(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170890
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】決済システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20231124BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231124BHJP
【FI】
G06Q20/40 300
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082976
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】末廣 和弥
(72)【発明者】
【氏名】岸根 大伍
(72)【発明者】
【氏名】原田 航太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L055AA73
(57)【要約】
【課題】明るい街づくりに寄与する決済システムを提供する。
【解決手段】決済システム1は、サーバ2と、顧客データベース3と、通信端末4を備える。サーバ2は、生体認証部21と、表情認識部22と、決済処理部23を有する。顧客データベース3は、複数の顧客の顧客情報が登録されている。その顧客情報は、各顧客の顔情報とその顧客のキャッシュレス決済を行うための決済情報を含む。通信端末4は、カメラを有し、サーバ2と接続される。生体認証部21は、通信端末4から受信した顔画像と顧客データベース3に登録されている顔情報との同一性を顔認証により確認する。表情認識部22は、顔画像の表情を認識する。決済処理部23は、顔認証に成功した顧客Cの決済処理を行う時、表情認識部22が認識したその顧客Cの表情の認識結果に基づいて、その顧客Cに所定のメリットを付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が商品又はサービスを購入するときの決済を行うための決済システムであって、
サーバと、
複数の顧客の顧客情報が登録された顧客データベースと、
カメラを有し、前記サーバと接続される通信端末を備え、
前記サーバは、生体認証部と、表情認識部と、決済処理部を有し、
前記顧客情報は、各顧客の顔情報とその顧客のキャッシュレス決済を行うための決済情報を含み、
前記通信端末は、決済金額と前記カメラで撮影した顧客の顔画像を前記サーバに送信し、
前記生体認証部は、前記通信端末から受信した前記顔画像と前記顧客データベースに登録されている前記顔情報との同一性を顔認証により確認し、
前記表情認識部は、前記顔画像の表情を認識し、
前記決済処理部は、前記顔認証に成功した顧客の決済処理を行う時、前記表情認識部が認識したその顧客の表情の認識結果に基づいて、その顧客に所定のメリットを付与することを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記決済処理部は、表情の前記認識結果が笑顔であるとき、前記顧客に所定のメリットを付与することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記所定のメリットは、決済金額の値引き又は前記キャッシュレス決済におけるポイント付与であることを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項4】
前記サーバは、キャッシュレス決済のサービスを提供する事業者のシステムに接続されており、
前記決済処理部は、前記決済処理において、前記事業者のシステムに前記決済情報、決済金額、及び前記所定のメリットの情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
各顧客のキャッシュレス決済は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、又はコード決済であり、
前記顔認証に成功した顧客の決済処理において、該決済システムは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーのICカード、又はコード決済のためのコードの提示を顧客に求めないことを特徴とする請求項4に記載の決済システム。
【請求項6】
前記通信端末は、マイクをさらに有し、
前記サーバは、音声認識部をさらに有し、
前記通信端末は、前記マイクで録音したその顧客の音声を前記サーバにさらに送信し、
前記音声認識部は、顧客の前記音声を認識し、
前記決済処理部は、前記顔認証に成功した顧客の決済処理を行う時、前記音声認識部が認識したその顧客の音声の内容に基づいて、その顧客に所定のメリットをさらに付与することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が商品又はサービスを購入するときの決済を行うための決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、来店者の顔認証を用いて決済処理を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、商品を購入しようとする顧客の顔認証によって決済を行う自動販売機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
商品を購入するときに顔認証によって決済ができれば、顧客は現金やクレジットカード等を持たずに買物やサービス利用ができるので便利である。
【0004】
しかし、近年、感染症の世界的流行や、国際情勢の不安定化によって、世の中の雰囲気が暗くなり、消費者心理に良くない影響が及んでいる。顔認証によって買物等が便利になっただけでは暗い雰囲気を改善することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-126749号公報
【特許文献2】特開2020-87093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、明るい街づくりに寄与する決済システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の決済システムは、顧客が商品又はサービスを購入するときの決済を行うためのシステムであって、サーバと、複数の顧客の顧客情報が登録された顧客データベースと、カメラを有し、前記サーバと接続される通信端末を備え、前記サーバは、生体認証部と、表情認識部と、決済処理部を有し、前記顧客情報は、各顧客の顔情報とその顧客のキャッシュレス決済を行うための決済情報を含み、前記通信端末は、決済金額と前記カメラで撮影した顧客の顔画像を前記サーバに送信し、前記生体認証部は、前記通信端末から受信した前記顔画像と前記顧客データベースに登録されている前記顔情報との同一性を顔認証により確認し、前記表情認識部は、前記顔画像の表情を認識し、前記決済処理部は、前記顔認証に成功した顧客の決済処理を行う時、前記表情認識部が認識したその顧客の表情の認識結果に基づいて、その顧客に所定のメリットを付与することを特徴とする。
【0008】
この決済システムにおいて、前記決済処理部は、表情の前記認識結果が笑顔であるとき、前記顧客に所定のメリットを付与することが好ましい。
【0009】
この決済システムにおいて、前記所定のメリットは、決済金額の値引き又は前記キャッシュレス決済におけるポイント付与であることが好ましい。
【0010】
この決済システムにおいて、前記サーバは、キャッシュレス決済のサービスを提供する事業者のシステムに接続されており、前記決済処理部は、前記決済処理において、前記事業者のシステムに前記決済情報、決済金額、及び前記所定のメリットの情報を送信することが好ましい。
【0011】
この決済システムにおいて、各顧客のキャッシュレス決済は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、又はコード決済であり、前記顔認証に成功した顧客の決済処理において、該決済システムは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーのICカード、又はコード決済のためのコードの提示を顧客に求めないことが好ましい。
【0012】
この決済システムにおいて、前記通信端末は、マイクをさらに有し、前記サーバは、音声認識部をさらに有し、前記通信端末は、前記マイクで録音したその顧客の音声を前記サーバにさらに送信し、前記音声認識部は、顧客の前記音声を認識し、前記決済処理部は、前記顔認証に成功した顧客の決済処理を行う時、前記音声認識部が認識したその顧客の音声の内容に基づいて、その顧客に所定のメリットをさらに付与してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の決済システムによれば、顧客の決済処理を行う時、その顧客の表情の認識結果に基づいて、その顧客に所定のメリットを付与するので、顧客の顔を明るくするために用いることができる。明るい顔の顧客が多くなれば、明るい街づくりに寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係る決済システムの構成図である。
【
図2】
図2は同システムにおける顧客情報登録処理のシーケンス図である。
【
図3】
図3は同システムにおける決済処理のシーケンス図である。
【
図4】
図4は同システムにおける決済処理の変形例のシーケンス図である。
【
図5】
図5は本発明の第2の実施形態に係る決済システムの構成図である。
【
図6】
図6は同システムにおける決済処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る決済システムを
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1に示すように、決済システム1は、顧客Cが商品又はサービスを購入するときの決済を行うためのシステムである。決済システム1は、サーバ2と、顧客データベース3と、通信端末4を備える。サーバ2は、生体認証部21と、表情認識部22と、決済処理部23を有する。顧客データベース3は、複数の顧客の顧客情報が登録されている。その顧客情報は、各顧客の顔情報とその顧客のキャッシュレス決済を行うための決済情報を含む。通信端末4は、カメラを有し、サーバ2と接続される。
【0016】
決済システム1の構成についてさらに説明する。サーバ2は、コンピュータであり、プログラムを実行することによって機能を提供する。サーバ2の生体認証部21、表情認識部22、及び決済処理部23は、それぞれプログラムの実行によって提供される機能部分である。生体認証部21は、顔認証を行う。表情認識部22は、表情を認識する。決済処理部23は、決済時の処理を行う。すなわち、サーバ2は、顔認証を行う機能と、表情を認識する機能と、決済時の処理を行う機能を有する。
【0017】
一般的に、認証とは、本人であるか否かを確認することである。顔認証とは、顔を鍵とする認証である。顔認証は、顔の照合画像と登録画像の同一性を確認する。1つの照合画像と複数の登録画像の同一性を確認する認証は、1対N認証である。1対N認証のNは、複数を意味する。1対N認証は、1対1認証をN回繰り返すものである。照合画像と登録画像の同一性が確認された人は、顔認証に成功した人であり、登録された人の中から特定されたことになる。このような顔認証は、AIによって行われる。
【0018】
決済システム1では、通信端末4から受信した顧客Cの顔画像が、顔認証における照合画像である。顧客データベース3に登録されている顔情報が、顔認証における登録画像の情報である。顧客データベース3には複数の顧客の情報が登録されており、決済システム1における顔認証は1対N認証である。顔画像と顧客データベース3に登録されている顔情報との同一性が確認された人は、顔認証に成功した顧客であり、顧客データベース3の中から特定されたことになる。このような顔認証は、生体認証部21によって行われる。生体認証部21は、ディープラーニングを用いた顔認証アルゴリズムを有する。
【0019】
なお、顔認証は、生体認証の一つである。生体認証には、顔認証以外に、虹彩認証や音声認証等がある。
【0020】
人の表情をコンピュータで認識することは可能である。例えば、日本産業規格JISS0020「アクセシブルデザイン-消費生活用製品のアクセシビリティ評価方法」には、音声入力の代替様式の一つとして、表情で入力することが記載されている。また、表情を認識して広告効果を確認するシステムが知られている(例えば、特開2017-187927号公報参照)。
【0021】
しかしながら、従来、表情は、顔認証において好ましくないパラメタと考えられていたため、顔認証とともには利用されてこなかった。日本産業規格JISX8101-2:2010「情報技術-バイオメトリック性能試験及び報告-第2部:テクノロジ評価及びシナリオ評価の試験方法」によれば、表情は、顔認証システムにおける精度影響因子の一つである。表情変化による顔形状、しわの変化は、顔認証の誤り率に影響し、無表情に近い方が精度がよいとされている。しかし、この規格は、2007年の国際規格ISO/IEC19795-2:2007に基づいており、10年以上前の技術である。その後、顔認証の技術は急速に進歩し、現在では、顔認証で無表情に限定する必要性は無い。
【0022】
顧客データベース3は、データベースサーバを用いて構築される。すなわち、サーバ2と顧客データベース3は、どちらもサーバの一種であり、本実施形態ではクラウドコンピューティング20を利用して実現される。サーバ2と顧客データベース3は、一体構成であってもよい。なお、サーバ2と顧客データベース3にクラウドコンピューティングを利用しなくても構わない。
【0023】
顧客データベース3に登録される顔情報は、顧客の顔画像から顔認証のために抽出される特徴量である。顧客データベース3に登録される顧客の決済情報は、顧客のキャッシュレス決済を行うための情報であり、例えば、キャッシュレス決済がクレジットカードである場合、クレジットカードの所有者の氏名、クレジットカード番号、クレジットカードの有効期限である。なお、決済金額は、決済ごとに異なり、この決済情報に含まれない。
【0024】
本実施形態では、通信端末4は、スマートフォンである。通信端末4は、カメラを有するタブレット端末又はPC等であってもよい。
【0025】
上記のように構成された決済システム1における顧客情報登録時の処理について説明する。サーバ2は、その機能部分としてさらに登録処理部24を有する。顧客Cは、顧客情報の登録に自分の顧客通信端末6を用いる。本実施形態では、顧客通信端末6は、顧客Cのスマートフォンである。なお、顧客通信端末6は、カメラを有するタブレット端末又はPC等であってもよい。
【0026】
顧客Cは、自分のスマートフォンで自分の顔を撮影し、その顔画像をスマートフォンに保存する。顧客Cは、スマートフォンのブラウザ又は専用アプリで決済システム1にアクセスする。顧客情報登録時、顧客Cのスマートフォン、すなわち顧客通信端末6は、決済システム1のサーバ2に接続される。
【0027】
図2は、顧客情報登録処理の主な流れを示す。なお、細かな例外処理等は、設計的事項であるので同図において図示を省略している。
【0028】
顧客通信端末6は、顧客Cの顔画像と決済情報をサーバ2に送信する。サーバ2の登録処理部24は、受信した決済情報を、キャッシュレス事業者のシステム5に送信し、決済情報の確認を依頼する。キャッシュレス事業者のシステム5は、受信した決済情報について不正利用防止のための確認を行い、その確認結果(合格/決済不適)をサーバ2に返す。登録処理部24は、その確認結果が決済不適であれば、その旨を顧客Cの顧客通信端末6に表示して処理を中止し、確認結果が合格であれば、次の処理に進む。
【0029】
サーバ2の生体認証部21は、顧客Cの顔画像から顔認証に用いる特徴量を抽出する。登録処理部24は、その特徴量を顧客Cの顔情報とする。特徴量は、数値列であり、個人の顔の違いを表す。顔情報として顔画像をそのまま用いることも技術的に可能であるが、特徴量を用いる方が顔認証のスピードが速いからである。登録処理部24は、顧客Cの顔情報と決済情報を対応させて(紐付して)顧客データベース3に登録する。顧客データベース3に登録されるデータは、暗号化される。そして、サーバ2は、顧客Cの顧客通信端末6に登録完了の通知をする。
【0030】
次に、決済システム1における決済時の処理について説明する(
図1参照)。店舗等のスタッフSは、顧客Cの買物等の決済に通信端末4を用いる。本実施形態では、通信端末4は、店舗等のスマートフォンである。通信端末4は、決済システム1のサーバ2にネットワークで接続される。
【0031】
図3は、決済処理の主な流れを示す。なお、細かな例外処理等は、設計的事項であるので同図において図示を省略している。
【0032】
顧客Cが商品又はサービスを購入するとき、店舗等のスタッフSは、顧客Cの顔を通信端末4で撮影し、ブラウザ又は専用アプリを用いて決済金額を通信端末4に入力する。通信端末4は、決済金額と通信端末4のカメラで撮影した顧客Cの顔画像をサーバ2に送信する。本実施形態では、決済処理における通信端末4とサーバ2との間のデータの送受信は、決済処理部23を介して行われる。
【0033】
生体認証部21は、通信端末4から受信した顔画像と顧客データベース3に登録されている顔情報との同一性を顔認証により確認する。この顔認証は、1対N認証である。生体認証部21は、その認証結果を決済処理部23に渡す。その認証結果が認証失敗である場合、決済処理部23は、認証失敗を通信端末4に通知する。認証失敗の通知を見たスタッフSは、現金等他の決済手段の利用を顧客Cに求めることになる。認証結果が認証成功である場合、顔認証に成功した顧客Cが特定される。決済処理部23は、その顧客Cの決済情報を顧客データベース3から取得する。
【0034】
表情認識部22は、通信端末4から受信した顔画像の表情を認識する。
【0035】
決済処理部23は、顔認証に成功した顧客Cの決済処理を行う時、表情認識部22が認識したその顧客Cの顔画像の表情に基づいて、その顧客Cに所定のメリットを付与する。顧客Cが明るい表情の場合にメリットを付与することが望ましい。
【0036】
本実施形態では、表情の認識結果が笑顔であるとき、顧客Cに所定のメリットを付与する。
【0037】
店舗等の雰囲気を明るくするためには、表情が笑顔の場合にメリットが付与されることを予め顧客Cに知らせることが望ましい。学習心理学によれば、メリットの付与が強化子となり、笑顔を作る行動が強化されるからである。
【0038】
普通、人は、面白い・楽しいと感じて、笑顔になるが、脳科学の一説によれば、その逆のプロセスもある。人の行動と脳の働きは連動しており、顔の筋肉を動かすことも行動である。顔の筋肉を笑顔の形にするとその信号が脳にフィードバックされ、面白い・楽しいと感じると言われている。
【0039】
さらに、顧客Cが笑顔になれば、それを見た人もつられて笑顔になる。行動心理学によれば、周りの言動に合わせて、自分も同じような言動をとってしまう同調行動という現象があり、表情も行動だからである。
【0040】
なお、もし顧客Cの表情を店舗等のスタッフSが評価すると、低評価の顧客CからスタッフSが苦情を受けるリスクがある。本発明では、顧客Cの表情を自動的に認識するので、そのようなリスクを回避できる。カラオケの採点をカラオケ機器が自動的に行うとゲーム感覚となって角が立たないのと同様である。
【0041】
図4に示すように、顔認証が成功した後、通信端末4のカメラで再度顧客Cの顔を撮影し、その顔画像をサーバ2に送信し、その再送信された顔画像の表情を表情認識部22が認識してもよい。これにより、店舗等のスタッフSは、顔認証時に無表情だった顧客Cに笑顔を促すことができる。
【0042】
顧客Cに付与する所定のメリットは、例えば、決済金額の値引き又は前記キャッシュレス決済におけるポイント付与である。値引きやポイント付与は、買物をするインセンティブになる。
【0043】
サーバ2は、キャッシュレス決済のサービスを提供する事業者のシステム5に接続されている(
図1参照)。決済処理部23は、決済処理において、事業者のシステム5に決済情報、決済金額、及び付与する所定のメリットの情報(例えば、決済金額の値引き又はキャッシュレス決済におけるポイント付与の情報)を送信する(
図3参照)。事業者のシステム5は、サーバ2から受信した情報に基づいて決済を実行する。そして、事業者のシステム5は、サーバ2に決済完了を通知する。そして、決済処理部23は、通信端末4に決済完了とメリット付与の情報を通知する。
【0044】
表情認識部22が認識した顧客Cの顔画像の表情によっては、その顧客Cにメリットを付与しないこと、すなわち、メリットの付与が0円又は0ポイントの場合もあり得る。
【0045】
顧客Cに付与する所定のメリットは、クーポンや物品であってもよい。それが決済に影響しないものであれば、決済処理部23は、決済処理において、事業者のシステム5にメリット付与の情報を送信しない。
【0046】
本実施形態では、サーバ2は、キャッシュレス決済のサービスを提供する複数の事業者のシステム5に接続されている(
図1参照)。各顧客のキャッシュレス決済は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、又はコード決済である。なお、決済システム1において、それら全てのキャッシュレス決済が選択可能でなくても構わない。顔認証に成功した顧客Cの決済処理において、決済システム1は、クレジットカード、デビットカード、電子マネーのICカード、又はコード決済のためのコードの提示を顧客Cに求めない(
図3及び
図4参照)。
【0047】
以上、本実施形態に係る決済システム1は、顧客の決済処理を行う時、その顧客の表情の認識結果に基づいて、その顧客に所定のメリットを付与するので、商品やサービスを購入する顧客の顔を明るくするために用いることができる。
【0048】
決済システム1によって店舗等を利用する顧客の顔が明るくなれば、その店舗等の雰囲気が明るくなり、その店舗等への顧客誘引効果が期待できる。明るい顔の顧客が多くなれば、明るい街づくりに寄与することになる。
【0049】
顧客Cが笑顔であるときにメリットを付与することにより、顧客Cが笑顔になる。
【0050】
顧客Cに付与するメリットを決済金額の値引き又はキャッシュレス決済におけるポイント付与とすることにより、そのメリットが買物やサービス利用のインセンティブになる。
【0051】
決済システム1がキャッシュレス決済のサービスを提供する事業者のシステムに接続されることにより、いろいろなキャッシュレス決済に対応することができる。
【0052】
決済システム1がクレジットカード等の提示を顧客Cに求めないことにより、顧客Cは、クレジットカード等を持たずに買物等ができる。
【0053】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る決済システム1を
図5及び
図6を参照して説明する。
図5に示すように、本実施形態の決済システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し、音声認識をする音声認識部25をさらに有する。第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0054】
決済システム1は、サーバ2と、顧客データベース3と、通信端末4を備える。サーバ2は、生体認証部21と、表情認識部22と、決済処理部23を有し、音声認識部25をさらに有する。顧客データベース3は、複数の顧客の顧客情報が登録されている。その顧客情報は、各顧客の顔情報とその顧客のキャッシュレス決済を行うための決済情報を含む。通信端末4は、カメラを有し、マイクをさらに有し、サーバ2と接続される。
【0055】
図6に示すように、顧客Cが商品又はサービスを購入するとき、店舗等のスタッフSは、顧客Cの顔を通信端末4で撮影し、ブラウザ又は専用アプリを用いて決済金額を通信端末4に入力する。通信端末4は、決済金額と通信端末4のカメラで撮影した顧客Cの顔画像をサーバ2に送信する。
【0056】
生体認証部21は、通信端末4から受信した顔画像と顧客データベース3に登録されている顔情報との同一性を顔認証により確認する。この顔認証は、1対N認証である。生体認証部21は、その認証結果を決済処理部23に渡す。その認証結果が認証失敗である場合、決済処理部23は、認証失敗を通信端末4に通知する。認証失敗の通知を見たスタッフSは、現金等他の決済手段の利用を顧客Cに求めることになる。認証結果が認証成功である場合、顔認証に成功した顧客Cが特定される。決済処理部23は、その顧客Cの決済情報を顧客データベース3から取得する。
【0057】
表情認識部22は、通信端末4から受信した顔画像の表情を認識する。
【0058】
通信端末4は、マイクで録音した顧客Cの音声(音声データ)をサーバ2に送信する。音声認識部25は、受信した顧客Cの音声を認識する。
【0059】
決済処理部23は、顔認証に成功した顧客Cの決済処理を行う時、表情認識部22が認識したその顧客Cの顔画像の表情と、音声認識部25が認識したその顧客Cの音声の内容に基づいて、その顧客Cに所定のメリットを付与する。
【0060】
メリットを付与するときの音声の内容は、例えば「ありがとう」である。これにより、決済システム1は、顧客Cの優しい(ハートフルな)言葉に報いることができ、活気ある街づくりに寄与することができる。
【0061】
メリットを付与するときの音声の内容は、「レジ袋要りません」であってもよい。これにより、決済システム1は、環境にやさしい街づくりに寄与することができる。
【0062】
第1の実施形態及び第2の実施形態において、決済システム1は、顔認証と虹彩認証を組み合わせてもよい。その場合、顧客データベース3に登録された顧客情報は、各顧客の虹彩情報をさらに含む。通信端末4が撮影する顧客Cの顔画像は、その顧客Cの虹彩画像を含む。生体認証部21は、通信端末4から受信した顔画像及び虹彩画像と顧客データベース3に登録されている顧客の顔情報及び虹彩情報との同一性を顔認証及び虹彩認証により確認する。
【0063】
このように、顔認証と虹彩認証を行うことにより、顧客の認証の精度が一層高くなる。さらに、顧客Cの顔の一部がマスクで覆われていても、虹彩はマスクで覆われないので高精度な認証を行うことができる。
【0064】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、通信端末4は、店舗のスマートフォンに限定されず、セルフレジや自動販売機に組み込まれた装置であってもよい。また、第2の実施形態において、顔認証と音声認証を行うように決済システム1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 決済システム
2 サーバ
21 生体認証部
22 表情認識部
23 決済処理部
25 音声認識部
3 顧客データベース
4 通信端末
5 キャッシュレス決済のサービスを提供する事業者のシステム