(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170903
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20231124BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20231124BHJP
H02H 5/08 20060101ALI20231124BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G06F1/26
H02H5/04 140
H02H5/08 130
H02H7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082997
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 大
【テーマコード(参考)】
5B011
5G053
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011EA02
5B011HH04
5B011MB11
5G053AA14
5G053AA16
5G053BA07
5G053CA01
(57)【要約】
【課題】負荷への駆動電圧の供給開始を伴う起動動作を適正に行う。
【解決手段】半導体装置(1)は、負荷に対する駆動電圧の供給又は非供給を制御するよう構成された制御回路(60)と、特定異常(温度異常又は水濡れ異常)を含む1種類以上の異常を検出するよう構成された異常検出回路(30)と、何れかの異常が検出されたとき、その旨を示す異常情報を保持するよう構成された異常情報保持回路(40)と、を備え、特定異常が検出されとき、異常情報として特定異常情報が保持され、制御回路は、所定の起動トリガ信号の受信を契機に、負荷への駆動電圧の供給開始を伴う起動動作を実行可能であり、制御回路は、特定異常情報が保持されている状態にて起動トリガ信号を受信したとき、起動動作の実行を制止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対する駆動電圧の供給又は非供給を制御するよう構成された制御回路と、
特定異常を含む1種類以上の異常を検出するよう構成された異常検出回路と、
何れかの異常が検出されたとき、その旨を示す異常情報を保持するよう構成された異常情報保持回路と、を備え、前記特定異常が検出されとき、前記異常情報として特定異常情報が保持され、
前記制御回路は、所定の起動トリガ信号の受信を契機に、前記負荷への前記駆動電圧の供給開始を伴う起動動作を実行可能であり、
前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止する
、半導体装置。
【請求項2】
第1電圧入力端子と、
第2電圧入力端子と、
第1電圧源から前記第1電圧入力端子に対して第1入力電圧が供給されるときにおいて、前記第1入力電圧に基づき第1電源電圧を生成するよう構成された第1電源電圧生成回路と、
前記第1電圧入力端子に対して前記第1入力電圧が供給されるときには、前記第1電源電圧に基づいて第2電源電圧を生成し、前記第1電圧入力端子に対する前記第1入力電圧の供給が途絶えるときには、第2電圧源から前記第2電圧入力端子に対して供給される第2入力電圧に基づき前記第2電源電圧を生成するよう構成された第2電源電圧生成回路と、
前記第1電源電圧に基づき動作するよう構成された第1回路ブロックと、
前記第2電源電圧に基づき動作するよう構成された第2回路ブロックと、を備え、
前記第1回路ブロックは前記制御回路を含み、
前記第2回路ブロックは前記異常検出回路及び前記異常情報保持回路を含む
、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止し、その後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されたとき、保持された前記特定異常情報を破棄して前記起動動作の実行を許可する状態に遷移する
、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止し、その後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されてから前記起動トリガ信号を再度受信したとき、前記起動動作を実行する
、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記起動動作の実行後に前記特定異常が検出されたとき、前記制御回路は、前記負荷への前記駆動電圧の供給停止を含むシャットダウン動作を実行し、その後、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止する
、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記シャットダウン動作の実行後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されたとき、保持された前記特定異常情報を破棄して前記起動動作の実行を許可する状態に遷移する
、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記シャットダウン動作の実行後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されてから前記起動トリガ信号を再度受信したとき、前記起動動作を実行する
、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記起動動作の実行後に前記特定異常が検出されたとき、前記制御回路は、当該半導体装置と通信可能に接続される処理装置と協働して前記シャットダウン動作を実行する
、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記特定異常は、
当該半導体装置を搭載した電子機器における温度検出対象部位の温度が所定温度以上となる温度異常、及び、
前記電子機器内の水濡れ検出対象部位が水に濡れる水濡れ異常、
の内、少なくとも一方を含む
、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器においては、負荷の駆動が不要であるとき、負荷への駆動電圧の供給を停止して省電力を図ることが一般的である。そして、必要なときに、負荷への駆動電圧の供給を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、負荷への駆動電圧の供給開始を伴う動作を、無条件に行うことは好ましくなく、何らかの制限を設けた方が良いこともある。
【0005】
本開示は、負荷への駆動電圧の供給開始を伴う動作を適正に行い得る半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、負荷に対する駆動電圧の供給又は非供給を制御するよう構成された制御回路と、特定異常を含む1種類以上の異常を検出するよう構成された異常検出回路と、何れかの異常が検出されたとき、その旨を示す異常情報を保持するよう構成された異常情報保持回路と、を備え、前記特定異常が検出されとき、前記異常情報として特定異常情報が保持され、前記制御回路は、所定の起動トリガ信号の受信を契機に、前記負荷への前記駆動電圧の供給開始を伴う起動動作を実行可能であり、前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、負荷への駆動電圧の供給開始を伴う動作を適正に行い得る半導体装置提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る電子機器用のシステムの概略全体構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係り、システムが電子機器に搭載される様子を示した図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る電子機器の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る半導体装置の外観斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係り、4つのラッチ回路の具体的な構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係り、スタンバイ状態と通常動作状態の説明図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、システムの起動時における半導体装置のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、システムの起動時における半導体装置のフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、システムの起動時における半導体装置のフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に属する第4実施例に係り、半導体装置のフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に属する第4実施例に係り、シャットダウン動作のフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に属する第5実施例に係り、半導体装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“109”によって参照される水濡れ検出センサは(
図1参照)、水濡れ検出センサ109と表記されることもあるし、センサ109と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0011】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。
【0012】
任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称する。アップエッジをライジングエッジに読み替えて良い。任意の注目した信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称する。ダウンエッジをフォーリングエッジに読み替えて良い。
【0013】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0014】
任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0015】
図1は、本開示の実施形態に係る電子機器用のシステムSYSの概略全体構成図である。
図2に示す如くシステムSYSは電子機器EEに搭載される。
図3に電子機器EEの外観の一例を示す。
図3に示される電子機器EEはノート型のパーソナルコンピュータであるが、システムSYSが搭載される電子機器EEの種類は任意である。例えば、電子機器EEは、スマートホン又はタブレット等の情報端末、ゲーム機器、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カーナビゲーションシステム又はドライブレコーダ等の車載機器であって良い。
【0016】
図1のシステムSYSは、半導体装置1と、第1電圧源の例であるバッテリ101と、第2電圧源の例であるコイン型電池102と、抵抗103~105と、コンデンサ106及び107と、サーミスタ108と、水濡れ検出センサ109と、衝撃検出センサ110と、上位処理装置120と、計時回路130と、出力コンデンサ141、142b及び143bと、出力コイル142a及び143aと、出力トランジスタ144及び145と、を備える。システムSYSに対して負荷LD1~LD5が接続される。
【0017】
図4は半導体装置1の外観斜視図である。半導体装置1は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体から半導体装置1の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置1が形成される。尚、
図4に示される半導体装置1の外部端子の数及び半導体装置1の筐体の種類は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。
図1には、半導体装置1に設けられる複数の外部端子の一部として、端子TM1~TM5、TM11~TM14、TM20及びTM31~TM35のみが示されているが、他の外部端子も半導体装置1に設けられる。尚、端子TM4は2以上の端子から成る通信用端子群である。
【0018】
バッテリ101は、電子機器EEの駆動用の主電源であり、充電及び放電が可能な二次電池である。例えば、電子機器EEは所定の直流電圧(例えばACアダプタからの直流電圧)を受けるための外部電圧入力端子を有しており、その外部電圧入力端子に所定の直流電圧が入力されているとき、電子機器EEに設けられた図示されない充電回路は、その直流電圧に基づいてバッテリ101を充電する。システムSYS内の各回路は、外部電圧入力端子に直流電圧が入力されているとき、その直流電圧に基づいて駆動することがあっても良いが、以下では、外部電圧入力端子に直流電圧が入力されていないものとする。
【0019】
バッテリ101の負側端子(負極)はグランドに接続され、バッテリ101はグランド電位を基準に自身の正側端子(正極)から直流の電圧VBATを出力する。バッテリ101の出力電圧VBATは、例えば9V~20Vの範囲内の電圧値を有する。
【0020】
コイン型電池102は、主に計時回路130の駆動用の電源として機能する一次電池である。コイン型電池102の負側端子(負極)はグランドに接続され、コイン型電池102はグランド電位を基準に自身の正側端子(正極)から直流の電圧VCOINを出力する。コイン型電池102の出力電圧VCOINは例えば3.0Vである。
【0021】
バッテリ101は電子機器EEに対し着脱可能な形態で電子機器EEに搭載される。バッテリ101が電子機器EEに装着されている状態(以下、バッテリ装着状態と称する)においては、バッテリ101の負側端子(負極)がグランドに接続される一方でバッテリ101の正側端子(正極)はノードND1に接続される。故に、バッテリ装着状態においては、グランド電位を基準にノードND1に対してバッテリ101の出力電圧VBATが加わる。
【0022】
一方、バッテリ101が電子機器EEに対して装着されていない状態(以下、非バッテリ装着状態と称する)においては、当然、ノードND1に電圧VBATが加わらない。また、後述されるよう、ノードND1は抵抗103及び104の直列回路を介してグランドに接続されている。このため、非バッテリ装着状態においてノードND1の電位はゼロとなる(即ちグランド電位と一致する)。
【0023】
半導体装置1と半導体装置1に外部接続される部品との接続関係を説明する。ノードND1は抵抗103の一端に接続され、抵抗103の他端は抵抗104を介してグランドに接続される。抵抗103及び104間の接続ノードND2は端子TM11に接続される。また、ノードND1は抵抗105の一端に接続され、抵抗105の他端は端子TM1に接続されると共にコンデンサ106を介してグランドに接続される。
【0024】
端子TM1は第1電圧入力端子である。端子TM1に加わる電圧(換言すれば端子TM1に供給される電圧)を入力電圧VS1と称する。抵抗105及びコンデンサ106は、バッテリ装着状態においてバッテリ101の出力電圧VBATに含まれうる交流成分を低減して入力電圧VS1を生成するローパスフィルタを形成する。但し、このローパスフィルタは必須ではない。入力電圧VS1は、抵抗105での電圧降下を無視すれば、バッテリ装着状態においてバッテリ101の出力電圧VBATと一致し、非バッテリ装着状態においてゼロとなる。即ち、バッテリ装着状態は、バッテリ101からの入力電圧(VS1、VBAT)が端子TM1に供給されている状態に相当し、非バッテリ装着状態は、バッテリ101からの入力電圧(VS1、VBAT)の端子TM1への供給が途絶えている状態に相当する。
【0025】
コイン型電池102の正側端子(正極)は端子TM2に接続される。端子TM2は第2電圧入力端子である。端子TM2に加わる電圧(換言すれば端子TM2に供給される電圧)を入力電圧VS2と称する。コイン型電池102は電子機器EEに対し着脱不能な形態で電子機器EEに搭載されている。このため、入力電圧VS2は常にコイン型電池102の出力電圧VCOINと一致する。
【0026】
端子TM5はコンデン107の一端に接続され、コンデン107の他端はグランドに接続される。コンデンサ107は、後述の内部電源電圧VCC1を安定化させるために設けられる。端子TM12はサーミスタ108の一端に接続され、サーミスタ108の他端はグランドに接続される。端子TM13は水濡れ検出センサ109に接続される。端子TM14は衝撃検出センサ110に接続される。これらセンサ109及び110の機能及び動作については後述される。
【0027】
端子TM3は電圧出力端子である。端子TM3は計時回路130に接続される。計時回路130は、いわゆるリアルタイムクロックであり、現在の時刻及び日付を計測する。計時回路130の計測結果は、上位処理装置120又は電子機器EE内の図示されない回路に伝達されて所定処理に供される。計時回路130は、端子TM3から出力される電圧(後述のRTC用の電源電圧VCC2)に基づいて駆動する。
【0028】
通信用端子群TM4は上位処理装置120に接続される。上位処理装置120は、半導体装置1に外部接続される処理装置(外部処理装置)の例である。
【0029】
出力コンデンサ141の一端は端子TM31に接続され、出力コンデンサ141の他端はグランドに接続される。端子TM31における電圧は負荷LD1への駆動電圧VR1として機能する。負荷LD1は端子TM31に接続され、駆動電圧VR1を用いて動作する。本実施形態において上位処理装置120は負荷LD1に属し、駆動電圧VR1に基づいて動作する。但し、上位処理装置120は、バッテリ101の出力電圧VBATに基づく他の電圧を用いて動作するものであっても良い。
【0030】
出力コイル142aの一端は端子TM32に接続される。出力コイル142aの他端は出力コンデンサ142bの一端に接続され、出力コンデンサ142bの他端はグランドに接続される。出力コイル142a及び出力コンデンサ142b間の接続ノードにおける電圧は負荷LD2への駆動電圧VR2として機能する。負荷LD2は出力コイル142a及び出力コンデンサ142b間の接続ノードに接続され、駆動電圧VR2を用いて動作する。
【0031】
出力コイル143aの一端は端子TM33に接続される。出力コイル143aの他端は出力コンデンサ143bの一端に接続され、出力コンデンサ143bの他端はグランドに接続される。出力コイル143a及び出力コンデンサ143b間の接続ノードにおける電圧は負荷LD3への駆動電圧VR3として機能する。負荷LD3は出力コイル143a及び出力コンデンサ143b間の接続ノードに接続され、駆動電圧VR3を用いて動作する。
【0032】
出力トランジスタ144及び145はPチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)にて構成される。出力トランジスタ144及び145の各ソースは電圧Vaが加わる端子に接続される。電圧Vaは、バッテリ101の出力電圧VBATに基づき図示されない電源回路にて生成された正の直流電圧である。但し、バッテリ101の出力電圧VBATそのものが電圧Vaであっても良い。
【0033】
出力トランジスタ144のゲートは端子TM34に接続される。出力トランジスタ144のドレインにおける電圧は負荷LD4への駆動電圧VR4として機能する。負荷LD4は出力トランジスタ144のドレインに接続され、駆動電圧VR4を用いて動作する。
【0034】
出力トランジスタ145のゲートは端子TM35に接続される。出力トランジスタ145のドレインにおける電圧は負荷LD5への駆動電圧VR5として機能する。負荷LD5は出力トランジスタ145のドレインに接続され、駆動電圧VR5を用いて動作する。
【0035】
負荷LD1~LD5は、電子機器EEを構成する任意のハードウェアであり、例えば、表示装置、ハードディスクの駆動用モータ、スピーカ、ロジック回路及び半導体集積回路を含む。後述の通常動作状態において、駆動電圧VR1~VR5は夫々に正の直流電圧を有し、負荷LD1~LD5は夫々駆動電圧VR1~VR5に基づいて動作する。但し、駆動電圧VR1~VR5はゼロになることもある(詳細は後述)。
【0036】
次に、半導体装置1の内部構成について説明する。半導体装置1は、内部電源回路10と、RTC用の電源電圧生成回路20と、異常検出回路30と、異常情報保持回路40と、レベルシフタ50と、メインロジック回路60と、電力供給回路70と、を備える。
【0037】
内部電源回路10は、バッテリ装着状態において、端子TM1に供給される入力電圧VS1に基づき内部電源電圧VCC1を生成するLDO (Low Drop Out)レギュレータである。但し、内部電源回路10は入力電圧VS1に基づき内部電源電圧VCC1を生成できる任意の電源回路(DC/DCコンバータを含む)であって良い。非バッテリ装着状態において内部電源電圧VCC1は生成されない(即ち電圧VCC1はゼロとなる)。バッテリ装着状態において、内部電源電圧VCC1は正の直流電圧であり例えば3.3Vである。内部電源電圧VCC1が生じる配線は端子TM5に接続される。内部電源回路10に対しては、後述のバッファ回路31の出力信号が内部電源回路10のイネーブル信号として供給されており、バッテリ装着状態において、バッファ回路31の出力信号がハイレベルであるときに限り、内部電源回路10は内部電源電圧VCC1の生成動作を行う。
【0038】
尚、半導体装置1には、内部電源回路10とは別の電源回路(
図1において“REG”に対応)が設けられていて良く、その別の電源回路は、バッテリ装着状態において、入力電圧VS1に基づき内部電源電圧VCC1とは別の1以上の直流電圧(例えば2.6Vの直流電圧を含む)を生成する。その1以上の直流電圧は、半導体装置1内の図示されない回路の電源電圧又は基準電圧として利用されて良い。
【0039】
RTC用の電源電圧生成回路20は、ダイオード21及び22を備える。ダイオード21のアノードは端子TM2に接続され、ダイオード22のアノードは端子TM5(従って内部電源電圧VCC1が生じる配線)に接続される。ダイオード21及び22の各カソードは端子TM3に共通接続される。ダイオード21及び22の各カソードに生じる電圧は、RTC用の電源電圧VCC2である。つまり、電源電圧VCC2は、計時回路130に対する電源電圧として端子TM3から出力されることになる。
【0040】
ここではダイオード21及び22の順方向電圧は互いに同じであるとする。そして、バッテリ装着状態において、内部電源電圧VCC1の方がコイン型電池102の出力電圧VCOINよりも高くなるよう、内部電源電圧VCC1の値が設定されている(例えば、電圧VCOINは3.0Vであって、電圧VCC1は3.3V)。このため、バッテリ装着状態においては、ダイオード21に電流は流れず、内部電源電圧VCC1に基づいてRTC用の電源電圧VCC2が生成される(内部電源電圧VCC1よりダイオード22の順方向電圧だけ低い電圧がRTC用の電源電圧VCC2となる)。非バッテリ装着状態においては“VCC1=0”となるので、コイン型電池102からの入力電圧VS2に基づいてRTC用の電源電圧VCC2が生成される(入力電圧VS2よりダイオード21の順方向電圧だけ低い電圧がRTC用の電源電圧VCC2となる)。尚、バッテリ装着状態においてダイオード21に電流が流れずに内部電源電圧VCC1に基づいて電源電圧VCC2が生成される限り、ダイオード21及び22の順方向電圧は不一致でも構わない。
【0041】
コイン型電池102は、非バッテリ装着状態において(又はバッテリ101の残容量が非常に低い状態において)、計時回路130の動作を継続させるための補助的な電圧源であり、コイン型電池102の容量はバッテリ101の容量よりも小さい。また、コイン型電池102の充電は不可である。このため、内部電源電圧VCC1が生成されないようなイレギュラーな状態においてのみ、コイン型電池102の出力を用いてRTC用の電源電圧VCC2を生成するようにしている。
【0042】
異常検出回路30は、バッファ回路31、35及び36、インバータ回路32、定電流回路33並びにコンパレータ34を備える。異常検出回路30を構成する各回路(31~36)はRTC用の電源電圧VCC2に基づいて動作する。インバータ回路32、コンパレータ34、バッファ回路35、バッファ回路36の出力信号を、夫々、記号DET1、DET2、DET3、DET4にて参照する。バッファ回路31、35及び36、インバータ回路32並びにコンパレータ34の夫々において、正側の電源電圧は電源電圧VCC2であり、負側の電源電圧は0Vである。バッファ回路31の出力信号及び信号DET1~DET4は、VCC2系デジタル信号に属する。VCC2系デジタル信号において、ハイレベルは実質的に電源電圧VCC2のレベルと一致し、ローレベルは実質的にグランドのレベルと一致する。
【0043】
バッファ回路31の入力端は端子TM11に接続され、バッファ回路31の出力端はインバータ回路32の入力端に接続される。バッテリ装着状態においては、バッテリ101の出力電圧VBATの分圧がノードND2に生じ、その分圧による正の電位がノードND2及び端子TM11に加わることで、バッファ回路31はハイレベルの信号を出力する。バッファ回路31の出力信号がハイレベルであるとき、インバータ回路32はローレベルの信号DET1を出力する。一方、非バッテリ装着状態においては、ノードND2の電位が0Vとなることでバッファ回路31はローレベルの信号を出力する。バッファ回路31の出力信号がローレベルであるとき、インバータ回路32はハイレベルの信号DET1を出力する。
【0044】
コンパレータ34の非反転入力端子は端子TM12に接続される。コンパレータ34の反転入力端子には所定の正の基準電圧VREFが印加される。基準電圧VREFは、例えば、電源電圧VCC2に基づき、半導体装置1に設けられた基準電圧生成回路(不図示)により生成される。定電流回路33は電源電圧VCC2の印加端と端子TM12との間に挿入され、電源電圧VCC2に基づき電源電圧VCC2の印加端から端子TM12を介しサーミスタ108に向けて所定の定電流を供給する。
【0045】
ここで、サーミスタ108は、検出対象温度の上昇に伴ってサーミスタ108の抵抗値が増大するPTCサーミスタである。検出対象温度が所定の異常検出温度TMPTH未満ではサーミスタ108での電圧降下が基準電圧VREF未満となることで信号DET2がローレベルとなる。検出対象温度が所定の異常検出温度TMPTH以上となるとサーミスタ108での電圧降下が基準電圧VREF以上となることで信号DET2がハイレベルとなる。但し、コンパレータ34にヒステリシス特性を付与しておいて良い。
【0046】
サーミスタ108は温度検出対象部位(温度検出対象位置)に配置される。故に、検出対象温度は、サーミスタ108の温度であると共に、温度検出対象部位の温度を表す。温度検出対象部位(温度検出対象位置)は電子機器EE内の第1所定部位(第1所定位置)である。尚、サーミスタ108として、検出対象温度の上昇に伴ってサーミスタ108の抵抗値が減少するNTCサーミスタを用いても良い。この場合には、コンパレータ34の反転入力端子を端子TM12に接続し且つコンパレータ34の非反転入力端子に基準電圧VREFを印加するなどの回路変形を施せば良い。
【0047】
バッファ回路35の入力端は端子TM13に接続され、バッファ回路35の出力端から信号DET3が出力される。水濡れ検出センサ109は、水濡れ検出対象部位(水濡れ検出対象位置)に配置され、水濡れ検出対象部位が水に濡れているか否かを検出して検出結果を示す信号を端子TM13に出力する。水濡れ検出対象部位(水濡れ検出対象位置)は電子機器EE内の第2所定部位(第2所定位置)である。水濡れ検出対象部位が水に濡れていると検出したとき、センサ109は端子TM13に対し第1電位の信号を出力し、そうでないとき、センサ109は端子TM13に対し第1電位よりも低い第2電位の信号を出力する。センサ109の出力信号における第1電位、第2電位は、夫々、バッファ回路35にとってハイレベル、ローレベルに属する。故に、センサ109から第1電位の信号が出力されているとき、バッファ回路35はハイレベルの信号DET3を出力し、センサ109から第2電位の信号が出力されているとき、バッファ回路35はローレベルの信号DET3を出力する。
【0048】
バッファ回路36の入力端は端子TM14に接続され、バッファ回路36の出力端から信号DET4が出力される。衝撃検出センサ110は、所定軸方向における電子機器EEの加速度の大きさを検出する。検出された加速度の大きさが所定の加速度閾値を超えるとき、センサ110は端子TM14に対し第1電位の信号を出力し、そうでないとき、センサ110は端子TM14に対し第1電位よりも低い第2電位の信号を出力する。センサ110の出力信号における第1電位、第2電位は、夫々、バッファ回路36にとってハイレベル、ローレベルに属する。故に、センサ110から第1電位の信号が出力されているとき、バッファ回路36はハイレベルの信号DET4を出力し、センサ110から第2電位の信号が出力されているとき、バッファ回路36はローレベルの信号DET4を出力する。
【0049】
尚、センサ109及び110は、バッテリ101の出力電圧VBATに基づく正の直流電圧を駆動電圧として用いて動作する。バッテリ101の出力電圧VBAT又は端子TM5における電圧(即ち電圧VCC1)がセンサ109及び110の駆動電圧であっても良い。或いは、RTC用の電源電圧VCC2がセンサ109及び110の駆動電圧であっても良い。この場合には、非バッテリ装着状態においても所望の水濡れ検出及び衝撃検出を行うことができる。
【0050】
バッテリ101は電子機器EEに対し着脱可能な形態で電子機器EEに搭載されると上述した。しかしながら、電子機器EEの製造工程でバッテリ101が電子機器EEに装着された後、バッテリ101が電子機器EEから外されることは通常の使用環境において想定されていない。故に非バッテリ装着状態は異常な状態に属する。非バッテリ装着状態による異常、即ち、電源入力端子TM1に対する入力電圧(VS1、VBAT)の供給が途絶える異常を、電源消失異常と称する。バッファ回路31及びインバータ回路32は、抵抗103及び104と協働して電源消失異常の有無を検出し且つ検出結果を示す信号DET1を出力する。ハイレベルの信号DET1は、電源消失異常が検出された旨を示す電源消失異常検出信号として機能する。
【0051】
検出対象温度が所定の異常検出温度TMPTH以上となる状態は、検出対象温度が過度に高くなる温度異常に相当する。定電流回路33及びコンパレータ34は、サーミスタ108と協働して温度異常の有無を検出し且つ検出結果を示す信号DET2を出力する。ハイレベルの信号DET2は、温度異常が検出された旨を示す温度異常検出信号として機能する。
【0052】
電子機器EEは水に濡れる環境で使用されることが許容又は想定された機器ではない。水濡れ検出対象部位が水に濡れる状態は水濡れ異常に相当する。バッファ回路35は、センサ109と協働して水濡れ異常の有無を検出し且つ検出結果を示す信号DET3を出力する。ハイレベルの信号DET3は、水濡れ異常が検出された旨を示す水濡れ異常検出信号として機能する。
【0053】
電子機器EEへの過度の衝撃は電子機器EEの故障要因となる。上記加速度閾値を超える大きさの加速度が電子機器EEに加わる状態は、過度の衝撃が電子機器EEに加わる状態に相当し、当該状態を衝撃異常と称する。バッファ回路36は、センサ110と協働して衝撃異常の有無を検出し且つ検出結果を示す信号DET4を出力する。ハイレベルの信号DET4は、衝撃異常が検出された旨を示す衝撃異常検出信号として機能する。
【0054】
異常情報保持回路40はラッチ回路41~44を備える。異常情報保持回路40を構成する各回路(41~44)はRTC用の電源電圧VCC2に基づいて動作する。ラッチ回路41、42、43、44の出力信号を、夫々、記号LCH1、LCH2、LCH3、LCH4にて参照する。ラッチ回路41~44の夫々において、正側の電源電圧は電源電圧VCC2であり、負側の電源電圧は0Vである。故に、信号LCH1~LCH4は、VCC2系デジタル信号に属する。
【0055】
ラッチ回路41は、信号DET1の入力を受け、信号DET1が表す情報を保持する(ラッチする)ことが可能であって、保持情報を信号LCH1として出力する。ラッチ回路41にはレベルシフタ50から信号RST1が供給されており、ラッチ回路41の保持情報は信号RST1のレベルに応じて破棄される。ここでは、信号DET1がローレベルであり続ける限りラッチ回路41は“0”の情報を保持し、信号DET1が一旦ハイレベルとなると信号RST1がローレベルとならない限りラッチ回路41は“1”の情報を継続して保持するものとする。そして、ラッチ回路41にて“0”の情報が保持されているとき信号LCH1はローレベルとなる一方でラッチ回路41にて“1”の情報が保持されているとき信号LCH1はハイレベルとなるものとする。信号RST1がハイレベルである限りラッチ回路41での情報の保持は継続され、信号RST1がローレベルであるとラッチ回路41での保持情報は破棄されて信号DET1のレベルに関係なく信号LCH1がローレベルとなるものとする。
【0056】
同様に、ラッチ回路42は、信号DET2の入力を受け、信号DET2が表す情報を保持する(ラッチする)ことが可能であって、保持情報を信号LCH2として出力する。ラッチ回路42にはレベルシフタ50から信号RST2が供給されており、ラッチ回路42の保持情報は信号RST2のレベルに応じて破棄される。ここでは、信号DET2がローレベルであり続ける限りラッチ回路42は“0”の情報を保持し、信号DET2が一旦ハイレベルとなると信号RST2がローレベルとならない限りラッチ回路42は“1”の情報を継続して保持するものとする。そして、ラッチ回路42にて“0”の情報が保持されているとき信号LCH2はローレベルとなる一方でラッチ回路42にて“1”の情報が保持されているとき信号LCH2はハイレベルとなるものとする。信号RST2がハイレベルである限りラッチ回路42での情報の保持は継続され、信号RST2がローレベルであるとラッチ回路42での保持情報は破棄されて信号DET2のレベルに関係なく信号LCH2がローレベルとなるものとする。
【0057】
同様に、ラッチ回路43は、信号DET3の入力を受け、信号DET3が表す情報を保持する(ラッチする)ことが可能であって、保持情報を信号LCH3として出力する。ラッチ回路43にはレベルシフタ50から信号RST3が供給されており、ラッチ回路43の保持情報は信号RST3のレベルに応じて破棄される。ここでは、信号DET3がローレベルであり続ける限りラッチ回路43は“0”の情報を保持し、信号DET3が一旦ハイレベルとなると信号RST3がローレベルとならない限りラッチ回路43は“1”の情報を継続して保持するものとする。そして、ラッチ回路43にて“0”の情報が保持されているとき信号LCH3はローレベルとなる一方でラッチ回路43にて“1”の情報が保持されているとき信号LCH3はハイレベルとなるものとする。信号RST3がハイレベルである限りラッチ回路43での情報の保持は継続され、信号RST3がローレベルであるとラッチ回路43での保持情報は破棄されて信号DET3のレベルに関係なく信号LCH3がローレベルとなるものとする。
【0058】
同様に、ラッチ回路44は、信号DET4の入力を受け、信号DET4が表す情報を保持する(ラッチする)ことが可能であって、保持情報を信号LCH4として出力する。ラッチ回路44にはレベルシフタ50から信号RST4が供給されており、ラッチ回路44の保持情報は信号RST4のレベルに応じて破棄される。ここでは、信号DET4がローレベルであり続ける限りラッチ回路44は“0”の情報を保持し、信号DET4が一旦ハイレベルとなると信号RST4がローレベルとならない限りラッチ回路44は“1”の情報を継続して保持するものとする。そして、ラッチ回路44にて“0”の情報が保持されているとき信号LCH4はローレベルとなる一方でラッチ回路44にて“1”の情報が保持されているとき信号LCH4はハイレベルとなるものとする。信号RST4がハイレベルである限りラッチ回路44での情報の保持は継続され、信号RST4がローレベルであるとラッチ回路44での保持情報は破棄されて信号DET4のレベルに関係なく信号LCH4がローレベルとなるものとする。
【0059】
ローレベルの信号RST1~RST4は、夫々、ラッチ回路41~44の保持情報を破棄させるリセット信号として機能する。但し、ハイレベルの信号RST1~RST4がリセット信号として機能するように変形が施されても良い。この他、任意の信号についてハイレベル及びローレベル間の関係を逆転させる変形も可能である。
【0060】
図5にラッチ回路41~44の具体的な構成例を示す。
図5の構成では、ラッチ回路41~44として、ポジティブエッジトリガ型且つD型のフリップフロップであるDFF41a~44aが用いられる。DFF41a~44aは電源電圧VCC2に基づいて動作する。DFF41a~44aの夫々において、D入力端子に電源電圧VCC2が印加される、即ちハイレベルの信号が入力される。DFF41a~44aのクロック入力端子に、夫々、信号DET1~DET4が入力される。DFF41a~44aのリセット入力端子に、夫々、信号RST1~RST4が入力される。DFF41a~44aのQ出力端子から、夫々、信号LCH1~LCH4が出力される。
【0061】
DFF41aは、信号LCH1がローレベルである状態を起点に信号DET1にアップエッジが生じると“1”の情報を保持して、以後、信号RST1がローレベルにならない限り、信号LCH1をハイレベルに維持する。信号RST1がローレベルとなると保持情報が破棄されて信号LCH1がローレベルとなる。同様に、DFF42aは、信号LCH2がローレベルである状態を起点に信号DET2にアップエッジが生じると“1”の情報を保持して、以後、信号RST2がローレベルにならない限り、信号LCH2をハイレベルに維持する。信号RST2がローレベルとなると保持情報が破棄されて信号LCH2がローレベルとなる。DFF43a及び44aについても同様である。
【0062】
尚、
図1に示す如く信号LCH1~LCH4はレベルシフタ50に供給されることになるが、DFFa41のQ出力端子とレベルシフタ50との間にバッファ回路を挿入しても良い。同様に、DFFa42のQ出力端子とレベルシフタ50との間、DFFa43のQ出力端子とレベルシフタ50との間、DFFa44のQ出力端子とレベルシフタ50との間に、夫々、バッファ回路を挿入しても良い。
【0063】
ラッチ回路41にて保持される“1”の情報は、電源消失異常の発生が検出された旨を示す電源消失異常情報である。ラッチ回路41は電源消失異常が検出されたとき電源消失異常情報を保持する。ラッチ回路42にて保持される“1”の情報は、温度異常の発生が検出された旨を示す温度異常情報である。ラッチ回路42は温度異常が検出されたとき温度異常情報を保持する。ラッチ回路42は電源消失異常の発生中においても温度異常情報を保持できる。ラッチ回路43にて保持される“1”の情報は、水濡れ異常の発生が検出された旨を示す水濡れ異常情報である。ラッチ回路43は水濡れ異常が検出されたとき水濡れ異常情報を保持する。ラッチ回路43は電源消失異常の発生中においても水濡れ異常情報を保持できる。ラッチ回路44にて保持される“1”の情報は、衝撃異常の発生が検出された旨を示す衝撃異常情報である。ラッチ回路44は衝撃異常が検出されたとき衝撃異常情報を保持する。ラッチ回路44は電源消失異常の発生中においても衝撃異常情報を保持できる。
【0064】
図1を再度参照し、レベルシフタ50は、電源電圧VCC2及びVCC1に基づくレベルシフト処理を実行する。レベルシフト処理はバッテリ装着状態においてのみ実行される。具体的には、レベルシフタ50は、異常情報保持回路40から信号LCH1~LCH4の入力を受け、レベルシフト処理において信号LCH1~LCH4をレベルシフトした信号LCH1’~LCH4’をメインロジック回路60に出力する。また、レベルシフタ50は、メインロジック回路60から信号RST1’~RST4’の入力を受け、レベルシフト処理において信号RST1’~RST4’をレベルシフトした信号RST1~RST4を異常情報保持回路40に出力する。更に、レベルシフタ50は、コンパレータ34及びバッファ回路35から信号DET2及びDET3の入力を受け、レベルシフト処理において信号DET2及びDET3をレベルシフトした信号DET2’及びDET3’をメインロジック回路60に出力する。
【0065】
バッテリ装着状態において、レベルシフト前の信号がハイレベルであれば、レベルシフト後の信号もハイレベルであり、レベルシフト前の信号がローレベルであれば、レベルシフト後の信号もローレベルである。レベルシフト前の信号が信号LCH1、LCH2、LCH3、LCH4、RST1’、RST2’、RST3’、RST4’、DET2、DET3であるとき、レベルシフト後の信号は、夫々、信号LCH1’、LCH2’、LCH3’、LCH4’、RST1、RST2、RST3、RST4、DET2’、DET3’である。
【0066】
信号LCH1~LCH4、RST1~RST4、DET2及びDET3は、VCC2系デジタル信号に属する一方、信号LCH1’~LCH4 ’、RST1’~RST4 ’、DET2’及びDET3’は、VCC1系デジタル信号に属する。VCC1系デジタル信号において、ハイレベルは実質的に電源電圧VCC1のレベルと一致し、ローレベルは実質的にグランドのレベルと一致する。非バッテリ装着状態においては、“VCC1=0”であるから、VCC1系デジタル信号のレベルは常にグランドのレベルと一致することになる。尚、非バッテリ装着状態では、信号RST1~RST4がハイレベルに維持されるよう(即ちラッチ回路41~44にリセット信号が供給されないよう)レベルシフタ50が構成されているものとする。
【0067】
メインロジック回路60は電源電圧VCC1に基づいて動作する。故に、非バッテリ装着状態において、メインロジック回路60の動作は停止している。メインロジック回路60は上位処理装置120と双方向通信が可能な態様で通信用端子群TM4を介して上位処理装置120に接続される。通信の方式は任意であり、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)による通信や、I2C(Inter-Integrated Circuit)による通信を用いることができる。またメインロジック回路60は端子TM20に接続される。端子TM20の役割は後述される。
【0068】
信号LCH1’~LCH4’はラッチ回路41~44の保持情報を表している。メインロジック回路60はラッチ回路41~44の保持情報を上位処理装置120に伝達することができる。故に、上位処理装置120は、異常検出回路30による異常の検出結果を通信を介して認識することができ、何らかの異常(ここでは電源消失異常、温度異常、水濡れ異常又は衝撃異常)が検出されたのであれば、検出された異常に応じた所定の異常対応処理を行うことができる。
【0069】
メインロジック回路60は、電力供給回路70を制御することで負荷LD1~LD5に対する駆動電圧VR1~VR5の供給又は非供給を制御する。電力供給回路70は入力電圧VS1又は内部電源電圧VCC1に基づいて動作する。電力供給回路70は、LDO(Low Drop Out)に分類されるリニアレギュレータ71と、DC/DCコンバータ72及び73と、ゲートドライバ74と、を備える。メインロジック回路60は、リニアレギュレータ71、DC/DCコンバータ72、DC/DCコンバータ73、ゲートドライバ74に対して、夫々、信号EN1、EN2、EN3、EN4を供給する。EN1~EN4は夫々に“1”又は“0”の値を持つイネーブル信号である。
【0070】
リニアレギュレータ71は、端子TM31に接続され、信号EN1の値が“1”であるとき、自身への入力電圧を降圧した直流電圧を電圧VR1として生成及び出力する第1電力供給動作を行う。信号EN1の値が“0”であるとき、第1電力供給動作は実行されず、電圧VR1は0Vとなる(但し過渡期を無視)。信号EN1の値が“1”であるとき、リニアレギュレータ71は、電圧VR1を所定の第1目標電圧にて安定化させるための帰還制御を行って良い。
【0071】
DC/DCコンバータ72は、端子TM32に接続され、信号EN2の値が“1”であるとき、自身への入力電圧を降圧した直流電圧を電圧VR2として生成及び出力する第2電力供給動作を行う。信号EN2の値が“0”であるとき、第2電力供給動作は実行されず、電圧VR2は0Vとなる(但し過渡期を無視)。DC/DCコンバータ72は、電圧VR2を所定の第2目標電圧にて安定化させるための帰還制御を行って良い。例えば、DC/DCコンバータ72は、ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタの直列回路を有し、当該直列回路に対し自身への入力電圧が印加される。ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタ間の接続ノードが端子TM32に接続される。第2電力供給動作において、ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタを交互にオン、オフすることで、端子TM32に矩形波状のスイッチング電圧を発生させ、当該スイッチング電圧を出力コイル142a及び出力コンデンサ142bから成る整流平滑回路にて整流及び平滑化することで直流の駆動電圧VR2を得る。
【0072】
DC/DCコンバータ73は、端子TM33に接続され、信号EN3の値が“1”であるとき、自身への入力電圧を降圧した直流電圧を電圧VR3として生成及び出力する第3電力供給動作を行う。信号EN3の値が“0”であるとき、第3電力供給動作は実行されず、電圧VR3は0Vとなる(但し過渡期を無視)。DC/DCコンバータ73は、電圧VR3を所定の第3目標電圧にて安定化させるための帰還制御を行って良い。DC/DCコンバータ73の構成及び動作はDC/DCコンバータ72のそれらと同じであって良い。尚、リニアレギュレータ71、DC/DCコンバータ72及び73への入力電圧は入力電圧VS1であるが、他の電圧であっても良い。
【0073】
ゲートドライバ74は、端子TM34及びTM35に接続され、端子TM34及びTM35を通じ出力トランジスタ144及び145の各ゲート電位を制御することで、出力トランジスタ144及び145のオン、オフを制御する。ゲートドライバ74は、信号EN4の値が“1”であるとき、出力トランジスタ144及び145の各ゲート電位を十分に低くすることで出力トランジスタ144及び145をオンとし、これによって出力トランジスタ144及び145のドレインから正の電圧VR4及びVR5を出力させる第4電力供給動作を行う。信号EN4の値が“0”であるとき、ゲートドライバ74は、出力トランジスタ144及び145のゲート-ソース間電圧を十分に小さくすることで出力トランジスタ144及び145をオフにする。即ち、信号EN4の値が“0”であるとき、第4電力供給動作は実行されず、電圧VR4及びVR5は0Vとなる(但し過渡期を無視)。尚、電圧VR4を生成するためのイネーブル信号と電圧VR5を生成するためのイネーブル信号とを別々に設けるようにしても良い。
【0074】
このように、半導体装置1は、内部電源電圧VCC1に基づき動作する第1回路ブロックと、RTC用の電源電圧VCC2に基づき動作する第2回路ブロックと、を備える、と考えることができる。第1回路ブロックは制御回路とも称されるべきメインロジック回路60を含む。第2回路ブロックは異常検出回路30及び異常情報保持回路40を含む。
【0075】
システムSYSにおいては、バッテリ装着状態から非バッテリ装着状態に遷移したとき、電源消失異常の発生が検出されて“1”の情報(即ち電源消失異常情報)がラッチ回路41にて保持される。その後、非バッテリ装着状態からバッテリ装着状態に戻ったとき、ラッチ回路41での“1”の保持情報に基づき(ハイレベルの信号LCH1に基づき)ハイレベルの信号LCH1’がメインロジック回路60に伝達される。この場合、メインロジック回路60は上位処理装置120の起動後に上位処理装置120に対して電源消失異常情報を送信することができ、上位処理装置120は電源消失異常の発生に対応した必要な措置(異常対応処理)を行うことができる。メインロジック回路60は、上位処理装置120から所定のリセットコマンドを受信すると、ハイレベルの信号RST1’を出力することでラッチ回路41による電源消失異常情報の保持を破棄させることができる。
【0076】
また、非バッテリ装着状態において温度異常の発生が検出された場合、“1”の情報(即ち温度異常情報)がラッチ回路42にて保持される。その後、非バッテリ装着状態からバッテリ装着状態に戻ったとき、ラッチ回路42での“1”の保持情報に基づき(ハイレベルの信号LCH2に基づき)ハイレベルの信号LCH2’がメインロジック回路60に伝達される。バッテリ装着状態において温度異常の発生が検出された場合にも“1”の情報(即ち温度異常情報)がラッチ回路42にて保持される。異常情報保持回路40に温度異常情報が保持されているとき、メインロジック回路60は上位処理装置120の起動後に上位処理装置120に対し温度異常情報を送信して良く、上位処理装置120は温度異常情報の発生に対応した必要な措置(異常対応処理)を行うことができる。メインロジック回路60は、上位処理装置120から所定のリセットコマンドを受信すると、ハイレベルの信号RST2’を出力することでラッチ回路42による温度異常情報の保持を破棄させることができる。
【0077】
同様に、非バッテリ装着状態において水濡れ異常の発生が検出された場合、“1”の情報(即ち水濡れ異常情報)がラッチ回路43にて保持される。その後、非バッテリ装着状態からバッテリ装着状態に戻ったとき、ラッチ回路43での“1”の保持情報に基づき(ハイレベルの信号LCH3に基づき)ハイレベルの信号LCH3’がメインロジック回路60に伝達される。バッテリ装着状態において水濡れ異常の発生が検出された場合にも“1”の情報(即ち水濡れ異常情報)がラッチ回路43にて保持される。異常情報保持回路40に水濡れ異常情報が保持されているとき、メインロジック回路60は上位処理装置120の起動後に上位処理装置120に対し水濡れ異常情報を送信して良く、上位処理装置120は水濡れ異常情報の発生に対応した必要な措置(異常対応処理)を行うことができる。メインロジック回路60は、上位処理装置120から所定のリセットコマンドを受信すると、ハイレベルの信号RST3’を出力することでラッチ回路43による水濡れ異常情報の保持を破棄させることができる。
【0078】
同様に、非バッテリ装着状態において衝撃異常の発生が検出された場合、“1”の情報(即ち衝撃異常情報)がラッチ回路44にて保持される。その後、非バッテリ装着状態からバッテリ装着状態に戻ったとき、ラッチ回路44での“1”の保持情報に基づき(ハイレベルの信号LCH4に基づき)ハイレベルの信号LCH4’がメインロジック回路60に伝達される。バッテリ装着状態において衝撃異常の発生が検出された場合にも“1”の情報(即ち衝撃異常情報)がラッチ回路44にて保持される。異常情報保持回路40に衝撃異常情報が保持されているとき、メインロジック回路60は上位処理装置120の起動後に上位処理装置120に対し衝撃異常情報を送信して良く、上位処理装置120は衝撃異常情報の発生に対応した必要な措置(異常対応処理)を行うことができる。メインロジック回路60は、上位処理装置120から所定のリセットコマンドを受信すると、ハイレベルの信号RST4’を出力することでラッチ回路44による衝撃異常情報の保持を破棄させることができる。
【0079】
尚、以下では、特に記述なき限り、バッテリ101が電子機器EEに装着されているものとする。
【0080】
システムSYS及び電子機器EEは、複数の状態の内、何れかの状態をとる。複数の状態の内、1以上の状態はスタンバイ状態に属し、他の1以上の状態は通常動作状態に属する。
図6に示す如く、スタンバイ状態においても通常動作状態においても、内部電源電圧VCC1の生成は行われている。但し、スタンバイ状態においては、信号EN1~EN4の値が全て“0”であって、故に上述の第1~第4電力供給動作は行われず、結果、駆動電圧VR1~VR5は全て0Vである(但し過渡期を無視)。スタンバイ状態において上位処理装置120に対する電力供給は途絶えており、上位処理装置120は動作しない。通常動作状態においては、信号EN1~EN4の値が全て“1”である。故に、通常動作状態において上述の第1~第4電力供給動作が行われて正の駆動電圧VR1~VR5が生成され、負荷LD1~LD5が動作する。通常動作状態において上位処理装置120は動作する。
【0081】
以下、複数の実施例の中で、システムSYSに関わる幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0082】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。
図7は、第1実施例に係り、システムSYSの起動時における半導体装置1のフローチャートである。ステップS11においてシステムSYSはスタンバイ状態にある。ステップS11において半導体装置1にて起動トリガ信号が受信される。半導体装置1にて起動トリガ信号が受信されるとステップS11からステップS12に進む。半導体装置1の外部における起動トリガ発生回路(不図示)から端子TM20に対し起動トリガ信号が入力される。入力される起動トリガ信号はメインロジック回路60にて受信される。起動トリガ信号は、例えば、所定操作が電子機器EEに入力された場合に端子TM20へ入力される。ここにおける所定操作は、例えば電子機器EEの電源ボタン(不図示)を押下する操作である。
【0083】
ステップS12において、メインロジック回路60は、異常情報保持回路40にて特定異常情報が保持されているかを確認する。特定異常情報が保持されている場合には(ステップS12のY)ステップS12からステップS16に進み、特定異常情報が保持されていない場合には(ステップS12のN)ステップS12からステップS13に進む。
【0084】
特定異常情報は特定異常が検出されたことを示す情報である。特定異常は温度異常のみであって良い(即ち特定異常情報は温度異常情報のみであって良い)。この場合、信号LCH2が“1”の値を有していればステップS16に進み、信号LCH2が“0”の値を有していればステップS13に進むことになる。或いは、特定異常は水濡れ異常のみであって良い(即ち特定異常情報は水濡れ異常情報のみであっても良い)。この場合、信号LCH3が“1”の値を有していればステップS16に進み、信号LCH3が“0”の値を有していればステップS13に進むことになる。更に或いは、温度異常及び水濡れ異常の双方が特定異常に該当しても良い(即ち温度異常情報及び水濡れ異常情報の双方が特定異常情報に該当しても良い)。この場合、信号LCH2及びLCH3の少なくとも一方が“1”の値を有していればステップS16に進み、信号LCH2及びLCH3の双方が“0”の値を有しているときに限りステップS13に進むことになる。
【0085】
ステップS13においてメインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。起動動作はステップS14及びS15の処理を含み、ステップS13に至った場合、ステップS14の処理を経てステップS15の処理が実行される。ステップS14及びS15の処理が実行されることで、システムSYSの状態はスタンバイ状態から通常動作状態に遷移する(
図6参照)。
【0086】
ステップS14において、メインロジック回路60は信号EN1~EN3の値を所定順序で“0”から“1”に変更する。ここにおける所定順序は任意である。例えば、信号EN1の値を “0”から“1”に変更した後に信号EN2及びEN3の値を“0”から“1”に変更する。或いは、信号EN1~EN3の値を同時に“0”から“1”に変更しても良い。ステップS14の処理により負荷LD1~LD3への駆動電圧VR1~VR3の供給が開始され、負荷LD1~LD3が起動する。ステップS14の処理により負荷LD1に属する上位処理装置120も起動する。
【0087】
上位処理装置120が起動すると、上位処理装置120内での所定の初期動作を経て、ステップS15において上位処理装置120からメインロジック回路60に対し所定の負荷電源供給コマンドが送信される。負荷電源供給コマンドは駆動電圧VR4及びVR5を負荷LD4及びLD5に供給することを指示するコマンドである。ステップS15において、メインロジック回路60は、受信した負荷電源供給コマンドに従い、信号EN4の値を “0”から“1”に変更する。これにより、負荷LD4及びLD5への駆動電圧VR4及びVR5の供給が開始され、負荷LD4及びLD5が起動する。
【0088】
ステップS12からステップS16に移行した場合、メインロジック回路60は起動動作の実行を制止する。即ち、起動トリガ信号を受信したとしても、特定異常情報が保持されている場合には、メインロジック回路60は起動動作を非実行とする。
【0089】
スタンバイ状態にて温度異常があった場合、駆動電圧VR1~VR5の生成に関わる回路素子又は負荷LD1~LD5にダメージが加わっている可能性があり、起動動作にて駆動電圧VR1~VR5の生成を行ったとき、望ましくない事態の発生が懸念される。或いはスタンバイ状態にて水濡れ異常があった場合、本来必要な電気的な絶縁状態が確保されていないおそれがあり、起動動作にて駆動電圧VR1~VR5の生成を行ったとき、望ましくない事態の発生が懸念される。本実施例によれば、温度異常又は水濡れ異常に対応する特定異常情報が保持されている場合において起動動作の実行が制止されるため、これらの懸念が抑制される。
【0090】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。
図8は、第2実施例に係り、システムSYSの起動時における半導体装置1のフローチャートである。ステップS21においてシステムSYSはスタンバイ状態にある。ステップS21において半導体装置1にて起動トリガ信号が受信される。半導体装置1にて起動トリガ信号が受信されるとステップS21からステップS22に進む。起動トリガ信号の意義は第1実施例で述べた通りである。
【0091】
ステップS22において、メインロジック回路60は、異常情報保持回路40にて温度異常情報が保持されているかを確認する。第2実施例では特定異常情報として温度異常情報のみに注目する。温度異常情報が保持されている場合には(ステップS22のY)ステップS22からステップS26に進み、特定異常情報が保持されていない場合には(ステップS22のN)ステップS22からステップS23に進む。従って、信号LCH2が“1”の値を有していればステップS26に進み、信号LCH2が“0”の値を有していればステップS23に進むことになる。
【0092】
ステップS23においてメインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。起動動作はステップS24及びS25の処理を含み、ステップS23に至った場合、ステップS24の処理を経てステップS25の処理が実行される。ステップS24及びS25の処理が実行されることで、システムSYSの状態はスタンバイ状態から通常動作状態に遷移する(
図6参照)。ステップS24及びS25の処理内容は上述のステップS14及びS15の処理内容と同じである。
【0093】
ステップS22からステップS26に移行した場合、メインロジック回路60は起動動作の実行を制止する。即ち、起動トリガ信号を受信したとしても、温度異常情報が保持されている場合には、メインロジック回路60は起動動作を非実行とする。但し、第2実施例では、ステップS26の後、ステップS27に進み、ステップS27にて信号DET2がローレベルに遷移したかが継続的に監視される(即ち信号DET2のダウンエッジの発生有無が継続的に監視される)。実際には、メインロジック回路60により信号DET2’がローレベルに遷移したかが継続的に監視される。尚、本実施例では、ステップS22からステップS26に移行した直後において、信号DET2がハイレベルであることが想定されている。
【0094】
信号DET2及びDET2’のダウンエッジは温度異常の解消を表す。ステップS27において信号DET2’のダウンエッジが確認されると(ステップS27のY)、ステップS27からステップS28に移行する。ステップS28において、メインロジック回路60は、ハイレベルの信号RST2’を出力することでラッチ回路42による温度異常情報の保持を破棄させ、これによってメインロジック回路60の状態を起動動作の実行を許可する状態へ遷移させる。ステップS26及びS27の段階において、メインロジック回路60の状態は起動動作の実行を制止する状態に相当する。
【0095】
ステップS28の後、ステップS29に進む。ステップS29において、メインロジック回路60は、起動トリガ信号が再び受信されることを待機する。信号DET2がローレベル(従って信号DET2’がローレベル)である状態で起動トリガ信号が再び受信されると、ステップS29からステップS23に移行し、メインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。ステップS29からステップS23に移行した後の動作と、ステップS22からステップS23に移行した後の動作は同じである。
【0096】
本実施例によれば、温度異常情報が保持されている状態での起動動作の実行を制止しつつも、温度異常が解消したと判断される場合には、起動動作を経てシステムSYSを通常動作状態に移行させることが可能である。第1実施例で述べた懸念を完全に払しょくするためには第1実施例の採用が好ましい。但し、温度異常情報が一度保持された後でも起動動作の実行の途が残される点において、第2実施例は第1実施例よりも優位となり得る。
【0097】
尚、ステップS27からステップS28に移行した場合、ステップS29に進むことなく(即ち起動トリガ信号の再度の受信を待つことなく)、ステップS28からステップS23に移行するようにしても良い。
【0098】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。
図9は、第3実施例に係り、システムSYSの起動時における半導体装置1のフローチャートである。ステップS31においてシステムSYSはスタンバイ状態にある。ステップS31において半導体装置1にて起動トリガ信号が受信される。半導体装置1にて起動トリガ信号が受信されるとステップS31からステップS32に進む。起動トリガ信号の意義は第1実施例で述べた通りである。
【0099】
ステップS32において、メインロジック回路60は、異常情報保持回路40にて水濡れ異常情報が保持されているかを確認する。第3実施例では特定異常情報として水濡れ異常情報のみに注目する。水濡れ異常情報が保持されている場合には(ステップS32のY)ステップS32からステップS36に進み、特定異常情報が保持されていない場合には(ステップS32のN)ステップS32からステップS33に進む。従って、信号LCH3が“1”の値を有していればステップS36に進み、信号LCH3が“0”の値を有していればステップS33に進むことになる。
【0100】
ステップS33においてメインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。起動動作はステップS34及びS35の処理を含み、ステップS33に至った場合、ステップS34の処理を経てステップS35の処理が実行される。ステップS34及びS35の処理が実行されることで、システムSYSの状態はスタンバイ状態から通常動作状態に遷移する(
図6参照)。ステップS34及びS35の処理内容は上述のステップS14及びS15の処理内容と同じである。
【0101】
ステップS32からステップS36に移行した場合、メインロジック回路60は起動動作の実行を制止する。即ち、起動トリガ信号を受信したとしても、水濡れ異常情報が保持されている場合には、メインロジック回路60は起動動作を非実行とする。但し、第3実施例では、ステップS36の後、ステップS37に進み、ステップS37にて信号DET3がローレベルに遷移したかが継続的に監視される(即ち信号DET3のダウンエッジの発生有無が継続的に監視される)。実際には、メインロジック回路60により信号DET3’がローレベルに遷移したかが継続的に監視される。尚、本実施例では、ステップS32からステップS36に移行した直後において、信号DET3がハイレベルであることが想定されている。
【0102】
信号DET3及びDET3’のダウンエッジは水濡れ異常の解消を表す。ステップS37において信号DET3’のダウンエッジが確認されると(ステップS37のY)、ステップS37からステップS38に移行する。ステップS38において、メインロジック回路60は、ハイレベルの信号RST3’を出力することでラッチ回路43による水濡れ異常情報の保持を破棄させ、これによってメインロジック回路60の状態を起動動作の実行を許可する状態へ遷移させる。ステップS36及びS37の段階において、メインロジック回路60の状態は起動動作の実行を制止する状態に相当する。
【0103】
ステップS38の後、ステップS39に進む。ステップS39において、メインロジック回路60は、起動トリガ信号が再び受信されることを待機する。信号DET3がローレベル(従って信号DET3’がローレベル)である状態で起動トリガ信号が再び受信されると、ステップS39からステップS33に移行し、メインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。ステップS39からステップS33に移行した後の動作と、ステップS32からステップS33に移行した後の動作は同じである。
【0104】
本実施例によれば、水濡れ異常情報が保持されている状態での起動動作の実行を制止しつつも、水濡れ異常が解消したと判断される場合には、起動動作を経てシステムSYSを通常動作状態に移行させることが可能である。第1実施例で述べた懸念を完全に払しょくするためには第1実施例の採用が好ましい。但し、水濡れ異常情報が一度保持された後でも起動動作の実行の途が残される点において、第3実施例は第1実施例よりも優位となり得る。
【0105】
尚、ステップS37からステップS38に移行した場合、ステップS39に進むことなく(即ち起動トリガ信号の再度の受信を待つことなく)、ステップS38からステップS33に移行するようにしても良い。
【0106】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。
図10は第4実施例に係る半導体装置1のフローチャートである。まずステップS40において、起動トリガ信号の受信に応答した起動動作を経てシステムSYSの状態が通常動作状態に遷移する。その後、ステップS41において、メインロジック回路60は信号DET2(実際には信号DET2’)を監視することで通常動作状態での温度異常の発生有無を監視する。ステップS41に続くステップS42において、信号DET2(DET2’)にアップエッジが生じたかが確認される。信号DET2(DET2’)のアップエッジが確認されたとき(ステップS42のY)、メインロジック回路60は温度異常の発生が検出されたと認識してステップS43への移行を発生させ、そうでなれば(ステップS42のN)ステップS41に戻る。尚、第4実施例では特定異常として温度異常のみに注目し、信号DET1、DET3及びDET4はローレベルに維持されているものとする。
【0107】
ステップS43においてメインロジック回路60はシャットダウン動作を実行する。
図11にシャットダウン動作のフローチャートを示す。シャットダウン動作はステップS111~S115の処理から成る。シャットダウン動作では、まずステップS111にてメインロジック回路60から上位処理装置120に対し所定のエラー信号を送信する。例えば、半導体装置1に外部端子として設けられたエラー端子(不図示)が上位処理装置120に接続され、メインロジック回路60はエラー端子からエラー信号を送信する。エラー信号は1ビットデジタル信号であって良い。
【0108】
上位処理装置120はエラー信号を受信すると、ステップS112にて所定のリードコマンドを送信し、メインロジック回路60にて当該リードコマンドが受信される。ステップS112にて送受信されるリードコマンドは、異常フラグデータを読み出し及び送信を要求するコマンドである。当該リードコマンドの受信に応答し、ステップS113にてメインロジック回路60から上位処理装置120に対し異常フラグデータを送信する。異常フラグデータは、メインロジック回路60にて取得又は保持されるデータであり、ラッチ回路41~44の保持情報を表す。異常フラグデータは信号LCH1’~LCH4’のレベルに応じた4ビットデータを含む。例えば、信号LCH2’がハイレベルであれば温度異常の発生が検出された旨を示すデータ(以下、温度異常データと称する)が異常フラグデータに含まれ、信号LCH3’がハイレベルであれば水濡れ異常の発生が検出された旨を示すデータ(以下、水濡れ異常データと称する)が異常フラグデータに含まれる。
【0109】
本実施例では、通常動作状態への遷移直後において温度異常データ及び水濡れ異常データが異常フラグデータに含まれておらず、その後、信号DET2のハイレベルへの遷移に同期してメインロジック回路60により温度異常データが異常フラグデータに含められる。
【0110】
異常フラグデータを受信した上位処理装置120は、異常フラグデータを解析する。この際、温度異常データ又は水濡れ異常データが異常フラグデータに含まれることが確認されると、ステップS114にて上位処理装置120はメインロジック回路60に対しシャットダウン指令コマンドを送信する。シャットダウン指令コマンドはメインロジック回路60にて受信される(ステップS114)。シャットダウン指令コマンドは、負荷LD1~LD5への駆動電圧VR1~VR5の供給を停止することを指示する。シャットダウン指令コマンドに従い、ステップS115にてメインロジック回路60は、信号EN1~EN4の各値を“1”から“0”に変更することで、負荷LD1~LD5への駆動電圧VR1~VR5の供給を停止する。これにより、システムSYSの状態は通常動作状態からスタンバイ状態に遷移する(
図6参照)。ステップS115において、信号EN1~EN4の各値は所定順序で順次に“1”から“0”に変更されても良いし、同時に“1”から“0”に変更されても良い。
【0111】
このように、シャットダウン動作は負荷LD1~LD5への駆動電圧VR1~VR5の供給停止を含む動作である。それ以外の動作もシャットダウン動作に含まれていて良い。
図11のシャットダウン動作はメインロジック回路60と上位処理装置120との協働により実現される、と言える。但し、上位処理装置120に依らず、メインロジック回路60単体でシャットダウン動作を行うようにしても良い。即ち例えば、通常動作状態において信号DET2’のアップエッジが確認されたとき、メインロジック回路60は、上位処理装置120からのコマンドの受信を必要とすることなく、信号EN1~EN4の各値を“1”から“0”に変更し、これによって負荷LD1~LD5への駆動電圧VR1~VR5の供給を停止しても良い。
【0112】
図10を再度参照し、ステップS43のシャットダウン動作の後、ステップS44に進む。ステップS44の段階において温度異常情報(“1”のLCH2)が異常情報保持回路40に保持されている。ステップS44に続くステップS45において、メインロジック回路60は信号DET2(実際には信号DET2’)にダウンエッジが発生したかを確認する。上述したように、信号DET2及びDET2’のダウンエッジは温度異常の解消を表す。
【0113】
ステップS45において信号DET2’のダウンエッジが生じていない場合(ステップS45のN)、ステップS45からステップS46に移行する。ステップS46にてメインロジック回路60は起動トリガ信号を受信したかを確認する。起動トリガ信号を受信していない場合(ステップS46のN)にはステップS45に戻る。起動トリガ信号を受信した場合(ステップS46のY)、ステップS47に進むが、ステップS47においてメインロジック回路60は起動動作の実行を制止する。即ち、起動トリガ信号を受信したとしても、温度異常情報が保持されている場合には、メインロジック回路60は起動動作を非実行とする。ステップS47の後、ステップS45に戻る。
【0114】
ステップS45において信号DET2’のダウンエッジが生じている場合(ステップS45のY)、ステップS45からステップS48に移行する。ステップS48において、メインロジック回路60は、ハイレベルの信号RST2’を出力することでラッチ回路42による温度異常情報の保持を破棄させ、これによってメインロジック回路60の状態を起動動作の実行を許可する状態へ遷移させる。ステップS48の後、ステップS49に進む。ステップS49において、メインロジック回路60は、起動トリガ信号が再び受信されることを待機する。信号DET2がローレベル(従って信号DET2’がローレベル)である状態で起動トリガ信号が再び受信されると、ステップS49からステップS23に移行し、メインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。ステップS49からステップS23に移行した場合、ステップS23~S25の処理が実行される。ステップS23~S25の処理内容は第2実施例で示した通りである。
【0115】
このように、通常動作状態への遷移後に温度異常が検出されたとき、シャットダウン動作を実行することで各種部品を保護することが可能となる。その後、温度異常が解消しない限りは起動動作の実行を制止することで各種部品の安全性が確保される(ステップS46及びS47)。
【0116】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。
図12は第5実施例に係る半導体装置1のフローチャートである。まずステップS50において、起動トリガ信号の受信に応答した起動動作を経てシステムSYSの状態が通常動作状態に遷移する。その後、ステップS51において、メインロジック回路60は信号DET3(実際には信号DET3’)を監視することで通常動作状態での水濡れ異常の発生有無を監視する。ステップS51に続くステップS52において、信号DET3(DET3’)にアップエッジが生じたかが確認される。信号DET3(DET3’)のアップエッジが確認されたとき(ステップS52のY)、メインロジック回路60は水濡れ異常の発生が検出されたと認識してステップS53への移行を発生させ、そうでなれば(ステップS52のN)ステップS51に戻る。尚、第5実施例では特定異常として水濡れ異常のみに注目し、信号DET1、DET2及びDET4はローレベルに維持されているものとする。
【0117】
ステップS53においてメインロジック回路60はシャットダウン動作を実行する。シャットダウン動作は第4実施例で示した通りである。尚、本実施例では、通常動作状態への遷移直後において温度異常データ及び水濡れ異常データが異常フラグデータに含まれておらず、その後、信号DET3のハイレベルへの遷移に同期してメインロジック回路60により水濡れ異常データが異常フラグデータに含められる。第4実施例で述べたように、シャットダウン動作はメインロジック回路60と上位処理装置120との協働により実現される、と言える。但し、上位処理装置120に依らず、メインロジック回路60単体でシャットダウン動作を行うようにしても良い。即ち例えば、通常動作状態において信号DET3’のアップエッジが確認されたとき、メインロジック回路60は、上位処理装置120からのコマンドの受信を必要とすることなく、信号EN1~EN4の各値を“1”から“0”に変更し、これによって負荷LD1~LD5への駆動電圧VR1~VR5の供給を停止しても良い。
【0118】
ステップS53のシャットダウン動作の後、ステップS54に進む。ステップS54の段階において水濡れ異常情報(“1”のLCH3)が異常情報保持回路40に保持されている。ステップS54に続くステップS55において、メインロジック回路60は信号DET3(実際には信号DET3’)にダウンエッジが発生したかを確認する。上述したように、信号DET3及びDET3’のダウンエッジは水濡れ異常の解消を表す。
【0119】
ステップS55において信号DET3’のダウンエッジが生じていない場合(ステップS55のN)、ステップS55からステップS56に移行する。ステップS56にてメインロジック回路60は起動トリガ信号を受信したかを確認する。起動トリガ信号を受信していない場合(ステップS56のN)にはステップS55に戻る。起動トリガ信号を受信した場合(ステップS56のY)、ステップS57に進むが、ステップS57においてメインロジック回路60は起動動作の実行を制止する。即ち、起動トリガ信号を受信したとしても、水濡れ異常情報が保持されている場合には、メインロジック回路60は起動動作を非実行とする。ステップS57の後、ステップS55に戻る。
【0120】
ステップS55において信号DET3’のダウンエッジが生じている場合(ステップS55のY)、ステップS55からステップS58に移行する。ステップS58において、メインロジック回路60は、ハイレベルの信号RST3’を出力することでラッチ回路43による水濡れ異常情報の保持を破棄させ、これによってメインロジック回路60の状態を起動動作の実行を許可する状態へ遷移させる。ステップS58の後、ステップS59に進む。ステップS59において、メインロジック回路60は、起動トリガ信号が再び受信されることを待機する。信号DET3がローレベル(従って信号DET3’がローレベル)である状態で起動トリガ信号が再び受信されると、ステップS59からステップS33に移行し、メインロジック回路60は起動動作(起動シーケンス動作)の実行を開始する。ステップS59からステップS33に移行した場合、ステップS33~S35の処理が実行される。ステップS33~S35の処理内容は第3実施例で示した通りである。
【0121】
このように、通常動作状態への遷移後に水濡れ異常が検出されたとき、シャットダウン動作を実行することで各種部品を保護することが可能となる。その後、水濡れ異常が解消しない限りは起動動作の実行を制止することで各種部品の安全性が確保される(ステップS56及びS57)。
【0122】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。上述の異常フラグデータは、起動動作においてメインロジック回路60から上位処理装置120に対して送信される。このため、スタンバイ状態において温度異常、水濡れ異常又は衝撃異常の発生が検出された場合、温度異常、水濡れ異常又は衝撃異常の発生が検出された旨を示す異常フラグデータが起動動作にてメインロジック回路60から上位処理装置120に送信される。上位処理装置120は受信した異常フラグデータを自身が保持する不揮発性メモリ(不図示)に格納しておいて良い。
【0123】
スタンバイ状態にて衝撃異常が検出された後、起動動作の実行中に、何らかの他の異常が半導体装置1により検出された場合、メインロジック回路60は、その時点で起動動作の実行を停止しても良い。ここにおける他の異常とは、電源消失異常、温度異常、水濡れ異常及び衝撃異常とは異なる異常(例えば、負荷LD4の起動不良)である。異常情報保持回路40に保持された衝撃異常情報を、電子機器EEの修理又は保守等を行う際に参考することができる。電子機器EEの修理又は保守等を行う際、上記処理装置120の不揮発性メモリ内の異常フラグデータが参照されても良い。
【0124】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。
【0125】
図1の異常検出回路30は4種類の異常を検出する構成を有するが、異常検出回路30にて検出される異常の種類は1種類以上であれば任意である。但し、少なくとも特定異常は異常検出回路30にて検出される。
【0126】
図1では負荷LD1~LD5が示されているが、本開示において、メインロジック回路60により駆動電圧の供給又は非供給が制御される負荷の個数は1以上であれば任意である。
【0127】
本開示において、バッテリ101は第1電圧源の例であり、コイン型電池102は第2電圧源の例である。本開示において、第1電圧源及び第2電圧源の種類は任意である。第1電圧源は、充電及び放電が可能な任意の電圧源であっても良いし、放電のみが可能な任意の電圧源であっても良い。同様に、第2電圧源は、充電及び放電が可能な任意の電圧源であっても良いし、放電のみが可能な任意の電圧源であっても良い。
【0128】
既に述べた事項と部分的に重複するが、任意の信号又は電圧に関し、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
【0129】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0130】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0131】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0132】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0133】
本開示の一側面に係る半導体装置(1)は、負荷に対する駆動電圧の供給又は非供給を制御するよう構成された制御回路(60)と、特定異常(温度異常又は水濡れ異常)を含む1種類以上の異常を検出するよう構成された異常検出回路(30)と、何れかの異常が検出されたとき、その旨を示す異常情報を保持するよう構成された異常情報保持回路(40)と、を備え、前記特定異常が検出されとき、前記異常情報として特定異常情報が保持され、前記制御回路は、所定の起動トリガ信号の受信を契機に、前記負荷への前記駆動電圧の供給開始を伴う起動動作を実行可能であり、前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止する構成(第1の構成)である。
【0134】
特定異常が発生した後に起動動作を行ったとき、電子機器内で望ましくない事態が生じる可能性が懸念される。上記第1の構成によれば、特定異常情報が保持されている場合において起動動作の実行が制止されるため、上記事態の発生が抑制される。
【0135】
上記第1の構成に係る半導体装置において、第1電圧入力端子(TM1)と、第2電圧入力端子(TM2)と、第1電圧源(101)から前記第1電圧入力端子に対して第1入力電圧(VS1)が供給されるときにおいて、前記第1入力電圧に基づき第1電源電圧(VCC1)を生成するよう構成された第1電源電圧生成回路(10)と、前記第1電圧入力端子に対して前記第1入力電圧が供給されるときには、前記第1電源電圧に基づいて第2電源電圧(VCC2)を生成し、前記第1電圧入力端子に対する前記第1入力電圧の供給が途絶えるときには、第2電圧源(102)から前記第2電圧入力端子に対して供給される第2入力電圧(VS2)に基づき前記第2電源電圧を生成するよう構成された第2電源電圧生成回路(20)と、前記第1電源電圧に基づき動作するよう構成された第1回路ブロックと、前記第2電源電圧に基づき動作するよう構成された第2回路ブロックと、を備え、前記第1回路ブロックは前記制御回路を含み、前記第2回路ブロックは前記異常検出回路及び前記異常情報保持回路を含む構成(第2の構成)であっても良い。
【0136】
これにより、第1電圧入力端子に対する第1入力電圧の供給が途絶えるときにおいても、異常の検出及び異常情報の保持が可能となる。
【0137】
上記第1又は第2の構成に係る半導体装置において、前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止し、その後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されたとき、保持された前記特定異常情報を破棄して前記起動動作の実行を許可する状態に遷移する構成(第3の構成)であっても良い(例えば
図8のS21、S22、S26~S28参照)。
【0138】
これにより、特定異常情報が保持されている状態での起動動作の実行を制止しつつも、特定異常が解消したと判断される場合には、起動動作を許可して、半導体装置を含むシステムを起動動作後の状態に移行させることが可能である。
【0139】
上記第3の構成に係る半導体装置において、前記制御回路は、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止し、その後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されてから前記起動トリガ信号を再度受信したとき、前記起動動作を実行する構成(第4の構成)であっても良い(例えば
図8のS21、S22、S26~S29、S23参照)。
【0140】
上記第1~第4の構成の何れかに係る半導体装置において、前記起動動作の実行後に前記特定異常が検出されたとき、前記制御回路は、前記負荷への前記駆動電圧の供給停止を含むシャットダウン動作を実行し、その後、前記特定異常情報が保持されている状態にて前記起動トリガ信号を受信したとき、前記起動動作の実行を制止する構成(第5の構成)であっても良い(例えば
図10のS40~S47参照)。
【0141】
起動動作の実行後に特定異常が検出されたとき、シャットダウン動作を実行することで各種部品を保護することが可能となる。その後、特定異常情報が保持されている状態にて起動動作の実行を制止することにより各種部品の安全性が確報される。
【0142】
上記第5の構成に係る半導体装置において、前記制御回路は、前記シャットダウン動作の実行後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されたとき、保持された前記特定異常情報を破棄して前記起動動作の実行を許可する状態に遷移する構成(第6の構成)であっても良い(例えば
図10のS40~S45、S48参照)。
【0143】
起動動作の実行後に特定異常が検出されたとき、シャットダウン動作を実行することで各種部品を保護することが可能となる。その後、特定異常が解消しない限りは起動動作の実行を制止することにより各種部品の安全性が確報される。
【0144】
上記第6の構成に係る半導体装置において、前記制御回路は、前記シャットダウン動作の実行後、前記特定異常の解消を示す信号が前記異常検出回路から出力されてから前記起動トリガ信号を再度受信したとき、前記起動動作を実行する構成(第7の構成)であっても良い(例えば
図10のS40~S45、S48、S49、S23参照。
【0145】
上記第5~第7の構成の何れかに係る半導体装置において、前記起動動作の実行後に前記特定異常が検出されたとき、前記制御回路は、当該半導体装置と通信可能に接続される処理装置(120)と協働して前記シャットダウン動作を実行する構成(第8の構成)であっても良い。
【0146】
上記第1~第8の構成の何れかに係る半導体装置において、前記特定異常は、当該半導体装置を搭載した電子機器における温度検出対象部位の温度が所定温度以上となる温度異常、及び、前記電子機器内の水濡れ検出対象部位が水に濡れる水濡れ異常、の内、少なくとも一方を含む構成(第9の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0147】
SYS システム
EE 電子機器
1 半導体装置
10 内部電源回路
20 RTC用の電源電圧生成回路
21、22 ダイオード
30 異常検出回路
31、35、36 バッファ回路
32 インバータ回路
33 定電流回路
34 コンパレータ
40 異常情報保持回路
41~44 ラッチ回路
41a~44a DFF
50 レベルシフタ
60 メインロジック回路
70 電力供給回路
71 リニアレギュレータ
72、73 DC/DCコンバータ
74 ゲートドライバ
101 バッテリ
102 コイン型電池
103~105 抵抗
106、107 コンデンサ
108 サーミスタ
109 水濡れ検出センサ
110 衝撃検出センサ
120 上位処理装置
130 計時回路
TM1~TM5、TM11~TM14、TM20、TM31~TM35 端子
LD1~LD5 負荷
141、142b、143b 出力コンデンサ
142a、143a 出力コイル
144、145 出力トランジスタ