(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170937
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置、酸素濃縮システム、酸素濃縮装置の制御方法及び酸素濃縮装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083055
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】509334996
【氏名又は名称】テルコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 博文
(57)【要約】
【課題】本発明は、酸素濃縮装置における酸素流量の変化に応じて自動的に酸素濃度を調整することができる酸素濃縮装置等を提供すること。
【解決手段】圧縮空気を導入し酸素を生成する複数の吸着部21,22と、酸素を収容するタンク部45と、複数の吸着部の出口部側に配置される複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部23と、を有し、タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、タンク部内の圧力を計測する圧力測定部51が接続され、圧力測定部の圧力の変動に基づき、酸素流量の酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部121と、酸素流量変化情報に基づき、均等圧弁部の開時間を変化させ酸素濃度に調整する均等圧弁調整部118と、を備える酸素濃縮装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、
前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、
前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、
前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有する酸素濃縮装置であって、
前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続され、
前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部と、
前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する均等圧弁調整部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項2】
前記タンク部内の圧力変化情報と前記酸素流量の対応情報を記憶する対応情報記憶部を有し、
前記酸素流量情報判断部は、前記対応情報記憶部の情報に基づいて前記酸素流量変化情報を判断することを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
前記均等圧弁の開時間情報、酸素濃度情報、酸素流量情報の間の相関関係情報を記憶する相関関係情報記憶部を有し、
前記均等圧弁調整部は、前記相関関係情報に基づいて前記均等圧弁開時間を特定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
前記均等圧弁調整部は、前記相関関係情報に基づいて前記均等圧弁開時間である第1の均等圧弁開時間を特定すると共に、前記第1の均等圧弁開時間に基づいて第2の均等圧弁開時間を設定できる構成となっていることを特徴とする請求項3に記載の酸素濃縮装置。
【請求項5】
圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、
前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、
前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、
前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有する酸素濃縮装置と、
前記酸素濃縮装置と接続され、酸素を提供する酸素提供先である対象物と、を備える酸素濃縮システムであって、
前記酸素濃縮装置の前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続され、
前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部と、
前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する均等圧弁調整部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮システム。
【請求項6】
前記対象物には、流量調整部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の酸素濃縮システム。
【請求項7】
圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部(と、
前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、
前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、
前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有し、
前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続されている酸素濃縮装置の制御方法であって、
前記酸素濃縮装置の酸素流量情報判断部が、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断し、
前記酸素濃縮装置の均等圧弁調整部が、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整することを特徴とする酸素濃縮装置の制御方法。
【請求項8】
圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、
前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、
前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、
前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有し、
前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続されている酸素濃縮装置に、
前記酸素濃縮装置の酸素流量情報判断部が、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する機能、
前記酸素濃縮装置の均等圧弁調整部が、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する機能、を実現させるための酸素濃縮装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素を提供するための酸素濃縮装置、酸素濃縮システム、酸素濃縮装置の制御方法及び酸素濃縮装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から酸素濃縮装置は、麻酔器等に供給する酸素ガスの濃度を約25%乃至90%の範囲等で任意に調節可能となっている(例えば、特許文献1等)。
また、麻酔器等では、一般的には、酸素濃縮装置ではなく「酸素ボンベ(酸素濃度が約100%)」から酸素を取得し、これに笑気ガス等を混合して麻酔薬(ガス)を供給する場合が多い。
この場合、その求められる酸素濃度は22%乃至100%が好ましいとされているが、痲酔薬の投与対象の動物等の覚醒時には、高濃度酸素供給により無気肺のリスクを負うことを回避するため、連続的に大気中酸素濃度を21%にしていくことが望まれている。
一方、麻酔器によっては手術に使用する際、人工空気や窒素ガスなどで酸素に混合し酸素濃度を任意に調整することができない麻酔器もあり、酸素濃度を任意に調節できる酸素濃縮装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように操作者が、麻酔器又は他の対象物において麻酔薬や酸素の流量を調整すると、それに応じて、酸素濃縮器から麻酔器又は他の対象物に供給される酸素の流量も変化することになる。
そして、酸素の流量が変化すると、酸素濃縮装置から供給される酸素の濃度も変化することになり、麻酔器側の操作で任意の酸素濃度を得ることは難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、酸素濃縮装置における酸素流量の変化に応じて自動的に酸素濃度を調整することができる酸素濃縮装置、酸素濃縮システム、酸素濃縮装置の制御方法及び酸素濃縮装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有する酸素濃縮装置であって、前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続され、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部と、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する均等圧弁調整部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、タンク部内には、予め特定の流量において特定の濃度の酸素が収容され、この収容された酸素が、他の対象物、例えば、麻酔器等に特定の流量で供給される。
一方、特定の流量の酸素の供給を受ける麻酔器等に流量調整部等が配置されている場合、麻酔器等の流量調整部を麻酔器等の操作者が操作し、流量を変更させることができる。
例えば、麻酔器は、酸素と笑気ガス等を混合することで、麻酔ガス(薬)を生成するが、麻酔器の操作者が、麻酔ガスの流量を調整する場合、この流量調整部等を操作し、麻酔ガスの流量を調整することになる。
そして、麻酔器等の操作者が流量を調整すると、酸素濃縮装置から麻酔器等に供給される酸素の流量も変更することになる。
【0008】
そこで、前記構成では、この酸素の流量の変化情報を取得するため、圧力センサの圧力の変動に基づき、酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部を有している。
さらに、酸素流量変化情報に基づき、均等圧弁部の開時間を変化させることで、酸素濃度に調整する均等圧弁調整部を有している。
このように、本発明では、酸素流量の変化を、タンク部内の圧力変化で判断し、この判断に基づき酸素濃度を調整することができるため、酸素流量の変化に基づき、自動的に酸素濃度を調整することが可能となる。
【0009】
好ましくは、前記酸素濃縮装置の前記タンク部内の圧力変化情報と前記酸素流量の対応情報を記憶する対応情報記憶部を有し、前記酸素流量情報判断部は、前記対応情報記憶部の情報に基づいて前記酸素流量変化情報を判断することを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、タンク部内の圧力変化情報と酸素流量の対応情報を記憶する対応情報記憶部を有しているので、この情報を参照することで、迅速且つ、精度良く酸素流量変化情報を判断することができる。
【0011】
好ましくは、前記酸素濃縮装置の前記均等圧弁の開時間情報、酸素濃度情報、酸素流量情報の間の相関関係情報を記憶する相関関係情報記憶部を有し、前記均等圧弁調整部は、前記相関関係情報に基づいて前記均等圧弁開時間を特定することを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、均等圧弁の開時間情報、酸素濃度情報、酸素流量情報の間の相関関係情報を記憶する相関関係情報記憶部を有しているので、この情報を参照することで、迅速且つ精度良く酸素濃度を調整することができる。
【0013】
好ましくは、前記酸素濃縮装置の前記均等圧弁調整部は、前記相関関係情報に基づいて前記均等圧弁開時間である第1の均等圧弁開時間を特定すると共に、前記第1の均等圧弁開時間に基づいて第2の均等圧弁開時間を設定できる構成となっていることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、第1の均等圧弁開時間で、たとえ目標の酸素濃度に設定することができなくても、第1の均等圧弁開時間で目標の酸素濃度近傍まで設定できるので、第2の均等圧開時間では、容易に目標の酸素濃度に設定することができる。
【0015】
上記目的は、本発明にあっては、圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有する酸素濃縮装置と、前記酸素濃縮装置と接続され、酸素を提供する酸素提供先である対象物と、を備える酸素濃縮システムであって、前記酸素濃縮装置の前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続され、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する酸素流量情報判断部と、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する均等圧弁調整部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮システムにより達成される。
【0016】
好ましくは、前記酸素濃縮システムの前記対象物には、流量調整部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、対象物に形成されている流量調整部で流量が変更されたときでも、その流量の変更を自動的に検知すると共に、酸素濃度も調整することができる。
【0018】
上記目的は、本発明にあっては、圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有し、前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続されている酸素濃縮装置の制御方法であって、前記酸素濃縮装置の酸素流量情報判断部が、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断し、前記酸素濃縮装置の均等圧弁調整部が、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整することを特徴とする酸素濃縮装置の制御方法により達成される。
【0019】
上記目的は、本発明にあっては、圧縮空気を導入し吸着剤により窒素を吸着することで酸素を生成する複数の吸着部と、前記吸着部から排出された酸素を収容するタンク部と、前記複数の吸着部の出口部側に配置される前記複数の吸着部内の酸素圧力を均等圧とするための均等圧弁部と、前記酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段と、を有し、前記タンク部内には、予め、特定の流量において特定の濃度となるように生成された酸素が収容されると共に、前記タンク部には、前記タンク部内の圧力を計測する圧力測定部が接続されている酸素濃縮装置に、前記酸素濃縮装置の酸素流量情報判断部が、前記圧力測定部の圧力の変動に基づき、前記酸素流量の変化情報である酸素流量変化情報を判断する機能、前記酸素濃縮装置の均等圧弁調整部が、前記酸素流量変化情報に基づき、前記均等圧弁部の開時間を変化させることで、前記酸素濃度に調整する機能、を実現させるための酸素濃縮装置の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明は、酸素濃縮装置における酸素流量の変化に応じて自動的に酸素濃度を調整することができる酸素濃縮装置、酸素濃縮システム、酸素濃縮装置の制御方法及び酸素濃縮装置の制御プログラムを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態にかかる酸素濃縮システムの一例である「動物用酸素濃縮システム500」の主な構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す動物用酸素濃縮装置1の上部を示す概略図である。
【
図3】動物用酸素濃縮装置1の本体2の内部構成例と、動物用麻酔器200とを示す概略図である。
【
図4】動物用酸素濃縮装置1と、動物用麻酔器200を示す概略図である。
【
図5】
図1の「動物用酸素濃縮装置1」の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図6】
図5の各種情報記憶部110の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図7】動物用酸素濃縮システム500の主な動作例を示す概略フローチャートである。
【
図8】動物用酸素濃縮システム500の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
【
図9】動物用酸素濃縮システム500の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
(動物用酸素濃縮システム500の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる酸素濃縮システムの一例である「動物用酸素濃縮システム500」の主な構成を示す概略図である。
図1に示すように動物用酸素濃縮システム500は、酸素濃縮装置の一例である動物用酸素濃縮装置1と、対象物である例えば、動物用麻酔器200を有し、動物用酸素濃縮装置1が、動物用麻酔器200に対し、酸素を供給する構成となっている。
したがって、動物用麻酔器200が「酸素提供先」の一例となっている。
以下「動物用酸素濃縮装置1」と「動物用麻酔器200」等について、説明する。
【0024】
(動物用酸素濃縮装置1の主な外部構成)
図1は、本発明の動物用酸素濃縮装置1の実施形態を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す動物用酸素濃縮装置1の上部を示す概略図である。
図1と
図2に示す動物用酸素濃縮装置1は、動物用酸素濃縮器ともいい、好ましくは携帯型(可搬型あるいは移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。
【0025】
動物用酸素濃縮装置1における濃縮酸素生成原理としては、例えば圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA)を用いている。
図1と
図2に示す動物用酸素濃縮装置1では、酸素濃度の数値は固定ではなく、酸素を供給しようとする動物用麻酔器200に用いられる酸素濃度に応じて、使用者が、動物用酸素濃縮装置1側で、酸素の濃度の数値を任意に設定できるようになっている。
【0026】
一例としては、動物用酸素濃縮装置1の酸素生成の基本性能としては、酸素流量が10L/分であって、酸素濃度が50%である。
動物用酸素濃縮装置1は、所定の流量範囲では、酸素濃度を、所定の濃度範囲、例えば2L/分では、25%から95%の間で調整可能である。
しかし、上述した酸素流量と酸素濃度の数値例は一例であり、限定されない。酸素を供給する供給対象体の例として、動物用の麻酔器を挙げるが、これらの構造例は、後で詳しく説明する。
【0027】
図1と
図2に示すように、動物用酸素濃縮装置1は、本体2と、操作パネル部3と、四隅のキャスタ4とを備える。
本体2は、フロント部5とリア部6を有する。4つのキャスタ4は、本体2の底部に取り付けられており、動物用酸素濃縮装置1はキャスタ4を用いて床面上を自由に移動可能である。
【0028】
図1と
図2に示すように、操作パネル部3は、フロント部5の上部に設けられており、操作パネル部3には、電源スイッチ7と、酸素の濃度を任意に設定する酸素濃度設定手段である例えば、酸素濃度調整操作部8と、酸素濃度の表示部9と、酸素出口部10とを有する。
図1に示すように、操作パネル部3の操作面は、使用者が操作し易いように、使用者側に向けて少し前傾している。
【0029】
図2に示すように、酸素濃度調整操作部8と表示部9は、電源スイッチ7と酸素出口部10との間に配置されている。
電源スイッチ7は、押すことにより動物用酸素濃縮装置1を起動し、再度押すことで動物用酸素濃縮装置1の動作を停止できる。
酸素濃度調整操作部8は、酸素出口部10からチューブ11を通じて、後で説明する動物用麻酔器200に対して供給する酸素の濃度を任意に設定することができる。
【0030】
酸素濃度調整操作部8は、上矢印8Aと下矢印8Bと、酸素濃度調整有効ボタン8Cを有している。
上矢印8Aと下矢印8Bと、酸素濃度調整有効ボタン8Cは、
図2に示す制御部100に電気的に接続されている。
使用者が、上矢印8Aを押すと調整しようとする酸素濃度の数値が上がり、下矢印8Bを押すと調整しようとする酸素濃度の数値が下がる。
また、使用者が、酸素濃度調整有効ボタン8Cを押すことによってのみ、制御部100は、上矢印8Aと下矢印8Bによる酸素濃度の数値の調整動作を確定し、有効にすることができる。
【0031】
これにより、使用者が上矢印8Aと下矢印8Bに不用意に触れたことで、酸素濃度の数値が変わってしまうのを防いでいる。
すなわち、使用者が酸素濃度調整有効ボタン8Cを押さなければ、制御部100は上矢印8Aと下矢印8Bによる酸素濃度の変更を受け付けないようにして、誤操作を防止している。
【0032】
図1と
図2の表示部9は、例えば液晶表示装置であり、2ケタの7セグメントのカラーデジタル表示が可能である。
【0033】
使用者により設定された酸素濃度の数値は、酸素濃度の表示部9において、例えば「50」%や「40」%等と表示される。
アップダウンスイッチである上矢印8Aあるいは下矢印8Bを押して、任意の酸素濃度を設定して例えば3秒間放置状態が継続すると、制御部100は酸素濃度の数値を自動的に確定して、酸素濃度の表示部9が点滅状態から常時点灯状態に変わる。
【0034】
図1に示すように、本体2の酸素出口部10は、コネクタ12を用いて可撓性を有するチューブ11を着脱可能に接続でき、所定の濃度の酸素は、このチューブ11を通じて、動物用麻酔器200に対して供給できる。
【0035】
(動物用酸素濃縮装置1の本体2の内部構成例等)
図3は、動物用酸素濃縮装置1の本体2の内部構成例と、動物用麻酔器200とを示す概略図である。
動物用酸素濃縮装置1の酸素出口部10は、コネクタ12を用いてチューブ11の一端部に気密に着脱可能に接続されている。
チューブ11の他端部は、コネクタ11Cを用いて動物用麻酔器200に気密に着脱可能に接続されている。これにより、動物用酸素濃縮装置1において生成された所定の濃度の酸素は、動物用麻酔器200側が要求する所定の酸素流量で、チューブ11を通じて、動物用麻酔器200に供給される。
【0036】
図3に示すように、酸素濃縮ユニット部20は、本体2の中に収容されている。
酸素濃縮ユニット部20は、吸着部である例えば、第1吸着部21と第2吸着部22と、第1切換弁31と第2切換弁32と、均等圧弁部である例えば、均等圧弁23と、2つのチェックバルブ41,42と、タンク部である例えば、製品タンク45と、サイレンサ46と、コンプレッサ50と、圧力測定部である例えば、圧力センサ51と、酸素センサ55と、絞り弁56と、制御部100とを有する。
【0037】
図3に示すように、圧縮空気と生成された酸素を通す配管60,61,62,63,64,65,66は、太線で示している。
第1吸着部21は、入口部21Pと出口部21Qを有し、内部には、吸着剤21Rを収容している筒体である。
【0038】
同様にして、第2吸着部22は、入口部22Pと出口部22Qを有し、内部には、吸着剤22Rを収容している筒体である。
原料空気ARは、コンプレッサ50の駆動により圧縮することで圧縮空気を生成する。
第1吸着部21と第2吸着部22は、それぞれ圧縮空気を導入して内部の吸着剤21R、22Rにより圧縮空気から窒素を吸着し、各出口部21Q,22Qから生成し濃縮した酸素を排出する。
この排出された濃縮酸素は、配管66を通じて製品タンク45内に一時的に貯蔵される。
【0039】
吸着剤21R、22Rとしては、窒素吸着剤である例えばゼオライトを用いているが、本発明では、これに限定されない。
図3において、コンプレッサ50と第1切換弁31と第2切換弁32とは、配管61,62を通じて接続され、第1切換弁31と第2切換弁32は、配管63を通じて接続されている。
第1吸着部21は、配管64の途中に接続されており、第2吸着部22は、配管65の途中に接続されている。配管64,65の各端部は、均等圧弁23に接続されている。
【0040】
第1切換弁31と第2切換弁32は、制御部100の指令により切り換る。
第1切換弁31と第2切換弁32は、第1吸着部21と第2吸着部22の入口部21P、22P側にそれぞれ配置されている。
制御部100は、第1切換弁31と第2切換弁32を切り換えることで第1吸着部21と第2吸着部22に対して交互に圧縮空気を導入して、第1吸着部21と第2吸着部22の一方において吸着剤の吸着状態が飽和したときに窒素を外部に排出し、第1吸着部21と第2吸着部22の他方から酸素を取り出す。
【0041】
また、均等圧弁23は、第1吸着部21の出口部21Qと第2吸着部22の出口部22Q側に配置されて、第1吸着部21と第2吸着部22の一方が所定内圧になったときに開くことで排出された酸素の圧力を均等圧化する。
図3に示す逆止弁としてのチェックバルブ41,42は、配管66と、第1吸着部21の出口部21Qと第2吸着部22の出口部22Qとの間にそれぞれ接続されている。
チェックバルブ41,42は、生成された酸素が、配管66側から第1吸着部21と第2吸着部22側に逆流するのを防ぎながら、生成された酸素を製品タンク45側に送る。
【0042】
酸素出口部10と配管66との間には、製品タンク45が接続されている。
製品タンク45は、製品タンク45内の酸素の圧力(圧力変化情報の一例)を検出する圧力センサ51を有している。
圧力センサ51は、圧力センサ51が検出した製品タンク45内の酸素の圧力を表す圧力信号SPを、制御部100に通知する。
これにより、制御部100は、製品タンク45内に貯蔵されている濃縮された酸素の量等を把握することができる。
【0043】
本実施形態では、後述するように、圧力センサの値で、動物用麻酔器200の流量の変化を自動的に把握する構成となっている。
【0044】
配管66の途中には、配管66を通過する酸素の濃度を検出する酸素センサ55が配置されている。
酸素センサ55は、酸素センサ55が検出した配管66を通過する酸素の濃度を表す酸素濃度信号SSを、制御部100に通知する。
この酸素センサ55は、好ましくはジルコニア式酸素センサが用いられ、第1吸着部21と第2吸着部22から酸素出口部10側へ排出される酸素の濃度を検出する。
【0045】
(動物用麻酔器200の構成)
次に、
図4を参照して、動物用麻酔器200を説明する。
図4は、上述した動物用酸素濃縮装置1と、動物用麻酔器200を示す概略図である。
動物用酸素濃縮装置1と動物用麻酔器200とで、動物に麻酔をかける動物用酸素濃縮システム500を構成している。
なお、
図4では、動物用酸素濃縮装置1は、図面の簡単化のために、簡略して示す。
【0046】
図4に示す動物用麻酔器200は、所定の濃度の酸素と、医療用ガスとして例えば笑気ガスであるN
2Oと、空気等から成る麻酔ガスを動物に供給して麻酔をかける。
所定の濃度の酸素は、動物用酸素濃縮装置1からチューブ11を通じて供給されて、N
2Oと所定酸素濃度ガスを混ぜて、呼吸回路部202に送られる。
動物用麻酔器200は、流量調整部219を有し、流量調整部219は、操作者が操作することで、麻酔ガスの流量を調整可能な構成となっている。
すなわち、この流量調整部219を操作することで、麻酔ガスの流量を変更可能な構成となっている。
【0047】
図4に示す麻酔回路部201では、酸素とN
2Oの混ざった麻酔の気体が、呼吸回路部202で矢印R1,R2のようにして流量を調整しながら循環されて、供給部材205を介して動物に供給される。
所定の圧力を超えた分の麻酔ガスは、バッグ203の動作により、不要な麻酔ガスとして、経路206から外部に排出される。
【0048】
図1の動物用酸素濃縮装置1及び動物用麻酔器200等は、コンピュータを有し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等を有し、バスを介して接続されている。
【0049】
図5は、
図1の「動物用酸素濃縮装置1」の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5に示すように、動物用酸素濃縮装置1は、「制御部100」を有し、制御部100は、他の装置等と通信するための「通信装置101」、時刻情報を生成するための計時装置102、酸素センサ55,圧力センサ51等を制御すると共に、各種情報記憶部110等も制御する。
【0050】
図6は、
図5の各種情報記憶部110の主な構成を示す概略ブロック図であり、これらの内容は後述する。
【0051】
図7乃至
図9は、動物用酸素濃縮システム500の主な動作例を示す概略フローチャートである。
本実施形態では、
図1で示す動物用酸素濃縮システム500を用いて、動物に麻酔ガスを提供する例で以下、説明する。
【0052】
先ず、
図7のステップ(以下「ST」という。)1に進む。
ST1では、動物用麻酔器200を使用する使用者である例えば、獣医Aが、動物用麻酔器200側の酸素流量を2L/分に設定し、動物用酸素濃縮装置1の
図1等の酸素濃度調整操作部8を操作し、酸素濃度を50%に設定する。
【0053】
そして、入力された「酸素濃度(50%)」のデータは、入力情報として
図6の「入力情報記憶部112」に記憶される。
また、動物用酸素濃縮装置1の「酸素流量情報判断部121(プログラム)121」は、製品タンク45内の酸素圧力を検出する「圧力センサ51」の値に基づき、動物用痲酔器200で設定された流量(例えば、2L/分)を認識し、記憶する。
【0054】
具体的には、動物用酸素濃縮装置1は製品タンク45内の酸素圧力を検出する「圧力センサ51」の値と、酸素流量との関係を示す「圧力/流量テーブル」を
図6の「圧力/流量テーブル記憶部122(対応情報記憶部の一例)」に記憶している。
このため、「酸素流量情報判断部121」が「圧力センサ51」の値と、「圧力/流量テーブル」を参照して、酸素の流量を判断し、記憶する。
【0055】
例えば、酸素流量が2L/分の場合の「製品タンク45」内の圧力は「最大圧力140KPa」から「圧力下限:120KPa」で変動するとの情報が「圧力/流量テーブル」に記憶されている。
【0056】
次いで、ST2へ進む。ST2では、動物用酸素濃縮装置1は、均等圧弁23の開時間のテーブルである相関関係情報の一例である「均等圧弁開時間テーブル」を有している。
この均等圧弁開時間テーブルには、特定の酸素流量(例えば、2L/分)で特定の酸素濃度(酸素濃度情報の一例)(例えば、50%)とするための均等圧弁開時間(例えば、5.1秒)が記憶され、
図6の「均等圧弁開時間テーブル記憶部(「相関関係情報記憶部」の一例)113」に記憶されている。
【0057】
このため、動物用酸素濃縮装置1の
図6に示す「均等圧弁開時間決定部(プログラム)114」は、
図6の「入力情報記憶部112」の「入力情報」、記憶された酸素流量(例えば、2L/分)及び「均等圧弁開時間テーブル」を参照し、「均等圧弁」の開時間(例えば、5.1秒)を特定する。
そして、「特定均等圧弁開時間(5.1秒)」として
図6の「特定均等圧弁開時間記憶部115」に記憶させる。
【0058】
次いで、ST3へ進む。ST3では、
図6の「均等圧弁調整部(プログラム)118」が動作し、
図6の「特定均等圧弁開時間記憶部115」の「特定均等圧弁開時間(5.1秒)」に基づき、
図1の「均等圧弁23」の開時間を特定する。
【0059】
次いで、ST4へ進み、
図6の「酸素濃度調整部(プログラム)119」が動作し、上述の「特定均等圧弁開時間(5.1秒)(第1の均等圧弁開時間の一例)」に基づき「均等圧弁23」を開け、酸素を生成する。(第1酸素濃度調整工程)
【0060】
次いで、ST5へ進む。ST5では、一定時間後(例えば、2分後等)に、ST4で生成された酸素濃度を
図3等の酸素センサ55で計測する。
そして、
図6の「酸素濃度判断部(プログラム)120」が、計測された酸素センサ55の値が、「入力情報記憶部112」の入力情報である酸素濃度50%のプラスマイナス1%以内に収まっているか否かを判断する。
【0061】
次いで、ST6で、酸素濃度判断部120が、酸素濃度が入力情報(50%)のプラスマイナス1%以内に収まっていないと判断した場合、ST7へ進む。
【0062】
ST7では、
図6の「均等圧弁調整部118」が動作し、
図6の「特定均等圧弁開時間記憶部115」の「特定均等圧弁開時間(5.1秒)」を変更して、「変更後均等圧弁開時間(第2の均等圧弁開時間の一例)」を生成する。
そして、この「変更後均等圧弁開時間」に基づいて、酸素を生成する。(第2酸素濃度調整工程)。
【0063】
具体的には、酸素センサ55が検知した酸素濃度(例えば、52%)と、入力情報の酸素濃度(例えば、50%)を比較して、差分(例えば、2%)を算出し、その差分に相当する時間分だけ「均等圧弁23」の「開時間」を調整する。
【0064】
例えば、酸素濃度設定(50%)に対し、実際の酸素濃度が高い場合は、均等圧弁23の開時間が更に、0.1秒プラスされ、2分後に再度、差分が検出される。
一方、酸素濃度設定(50%)に対し、実際の酸素濃度が低い場合は、0.1秒のマイナスが行われる。
このように、一定時間に差分を検出し、均等圧弁23の開時間をプラスマイナスすることで、目標の酸素濃度が達成される。
【0065】
そして、
図6の「均等圧弁開時間テーブルデータ更新部(プログラム)116」が動作し、目標値に達した「開時間」に基づいて、「特定均等圧弁開時間」を補正し、「補正特定均等圧弁開時間」を算出して、
図6の「補正特定均等圧弁開時間テーブル記憶部117」に記憶し、「均等圧弁開時間テーブル」が更新される。
したがって、次回(例えば、後述するST11等)より、この「補正特定均等圧弁開時間」に基づき、均等圧弁23の開時間を特定するので、極めて精度良く、「均等圧弁23」の開時間を特定することができる。
特に、ゼオライトが劣化した場合でも、その劣化状態に合致した「均等圧弁開時間」とすることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、最初の「第2酸素濃度調整工程」で入力情報の酸素濃度のプラスマイナス1%以内に収まらない場合、「第2酸素濃度調整工程」を繰り返す工程となっているため、確実に酸素濃度を入力情報(50%)のプラスマイナス1%以内に収めることができる。
【0067】
このように本実施の形態では、「第1酸素濃度調整工程」で、たとえ目標の酸素濃度に設定することができなくても、「第1の酸素濃度調整工程」で目標の近傍まで達するので、その後の「第2の酸素濃縮調整工程」を実行することで、容易且つ迅速に、目標値に設定することができる。
【0068】
一方、ST6で、酸素濃度判断部120が、酸素濃度が入力情報(50%)のプラスマイナス1%以内に収まっていると判断した場合、ST8へ進む。
ST8では、入力情報である「酸素濃度50%」で酸素を動物用麻酔器200に供給する。
【0069】
このように、本実施の形態では、自動的に所望(50%)の酸素濃度で、酸素を動物用麻酔器200に提供することができる。
【0070】
次いで、ST9へ進む。ST9では、動物用麻酔器200側の「麻酔薬(ガス)」の流量調整部219が使用者によって変更されたか否かを、上述と同様に、動物用酸素濃縮装置1の
図6の「酸素流量情報判断部(プログラム)121」が判断する。
【0071】
具体的には、動物用酸素濃縮装置1は製品タンク45内の酸素圧力を検出する「圧力センサ51」の値と、酸素流量との関係を示す「圧力/流量テーブル」を
図6の「圧力/流量テーブル記憶部122(対応情報記憶部の一例)」に記憶している。
このため、「酸素流量情報判断部121」が「圧力センサ51」の値と、「圧力/流量テーブル」を参照して、酸素の流量変化を判断する。
【0072】
例えば、酸素流量が2L/分の場合の「製品タンク45」内の圧力は「最大圧力140KPa」から「圧力下限:120KPa」の範囲内で変動するとの情報が「圧力/流量テーブル」に記憶されている(酸素流量変化情報の一例)。
【0073】
そこで、本実施の形態の「酸素流量情報判断部121」は「製品タンク45」内の酸素圧力をモニタリングし、圧力変化が、140KPaから120KPaの範囲内で変化する場合は、2L/分であると判断する。
【0074】
一方、圧力変化が140KPaから120KPaを下回る80KPaになる場合、2L/分を超えると判断し、動物用麻酔器200側で流量が変更されたと判断する。
本実施の形態では、「流量」が「2L/分」が「10L/分」に変更された例で以下説明する。
【0075】
このように本実施の形態では、動物用麻酔器200において流量の変更が操作者等によって行われた場合でも、動物用酸素濃縮装置1は、自動的にその流量の変更を検知することができる。
【0076】
ST9で、流量の変化を検知し、このまま放置すると、酸素濃度が入力情報(50%)より下降することになる。
そこで、ST10へ進む。ST10では、「均等圧弁開時間決定部114」が動作し、「10L/分」で「50%」となるための均等圧弁23の開時間である「補正特定均等圧弁開時間」を「補正特定均等圧弁開時間テーブル記憶部117」の「補正均等圧弁開時間テーブル」のデータから取得する。
【0077】
このように本実施に形態では、自動的に取得した流量変化に基づき、入力情報(所望情報)に酸素濃度を合致させるべく「均等圧弁」の開時間を特定する。
【0078】
次いで、ST11へ進む。ST11では、
図6の「酸素濃度調整部119」は、ST10の「補正特定均等圧弁開時間テーブル」の「補正特定均等圧弁開時間」に基づき「均等圧弁23」を開け、ST12で、酸素を生成する(第1酸素濃度調整工程)。
【0079】
次いで、ST13へ進む。ST13では、生成された酸素濃度を「酸素センサ55」で計測し、
図6の「酸素濃度判断部120」が、「酸素センサ55」の値に基づき、入力情報の酸素濃度50%のプラスマイナス1%以内に収まっているか否かを判断する。
【0080】
次いで、ST14で、「酸素センサ55」の値が、入力情報の酸素濃度50%のプラスマイナス1%以内に収まっていないと判断されたときは、ST15へ進む。
【0081】
ST15では、
図6の「酸素濃度調整部119」は、「補正特定均等圧開時間」を変更して、「変更後均等圧弁開時間」を生成し、この「変更後均等圧弁開時間」に基づいて、酸素を生成する(第2酸素濃度調整工程)。
【0082】
具体的には、酸素センサ55が検知した酸素濃度(例えば、52%)と、入力情報の酸素濃度(例えば、50%)を比較して、差分(例えば、2%)を算出し、その差分に相当する時間分だけ「均等圧弁23」の「開時間(開時間情報の一例)」を調整する。
【0083】
次いで、ST16へ進む。ST16では、入力情報である「酸素濃度50%」で酸素を動物用麻酔器200に供給する。
【0084】
このように本実施の形態では、動物用麻酔器200において流量の変更が操作者等によって行われた場合ででも、動物用酸素濃縮装置1は、自動的にその流量の変更を検知することができる。
また、自動的に取得した流量変化に基づき、入力情報(所望情報)に酸素濃度を合致させるべく「均等圧弁」の開時間も自動的に算出する構成となっている。
さらに、上述の「第1酸素濃度調整工程」で、たとえ目標の酸素濃度に設定することができなくても、「第1の酸素濃度調整工程」で目標の近傍まで達するので、その後の「第2の酸素濃縮調整工程」を実行することで、容易且つ迅速に、目標値に設定することができる。
【0085】
このように、本実施の形態では、動物用痲酔器200の流量調整部219で流量を調整した結果が動物用酸素濃縮装置1側で流量判別がなされ、動物用酸素濃縮装置1側の操作パネル部3上で任意設定された酸素濃度により均等圧弁23の開時間がコントロールされ、その結果、動物用麻酔器200に付帯される流量計出口(供給部材205)からは任意の酸素濃度の流量が達成されるものです。
【0086】
以上説明した実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0087】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0088】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0089】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0090】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0091】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0093】
1・・・動物用酸素濃縮装置、2・・・本体、3・・・操作パネル部、4・・・キャスタ、8・・・酸素濃度調整操作部、11・・・チューブ、20・・・酸素濃縮ユニット部、21・・・第1吸着部、22・・・第2吸着部、23・・・均等圧弁、45・・・製品タンク、55・・・酸素センサ、100・・・制御部、101・・・通信装置、102・・・計時装置、110・・・各種情報記憶部、111・・・ゼオライト開始時刻情報記憶部、112・・・入力情報記憶部、113・・・均等圧弁開時間テーブル記憶部、114・・・均等圧弁開時間決定部、115・・・特定均等圧弁開時間記憶部、116・・・均等圧弁開時間テーブルデータ更新部(プログラム)、117・・・補正特定均等圧弁開時間テーブル記憶部、118・・・均等圧弁調整部(プログラム)、119・・・酸素濃度調整部(プログラム)、120・・・酸素濃度判断部(プログラム)、121・・・酸素流量情報判断部(プログラム)、122・・・圧力/流量テーブル記憶部、200・・・動物用麻酔器、219・・・流量調整部、500・・・動物用酸素濃縮システム