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特開2023-170954熱中症対策システムおよび冷却制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170954
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】熱中症対策システムおよび冷却制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20231124BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231124BHJP
   G08B 21/02 20060101ALN20231124BHJP
   A61B 5/00 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G16H20/00
G08B25/04 K
G08B21/02
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083081
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】509288552
【氏名又は名称】WINヒューマン・レコーダー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511241479
【氏名又は名称】WINフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 小絵
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 真人
【テーマコード(参考)】
4C117
5C086
5C087
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB03
4C117XB04
4C117XC11
4C117XD15
4C117XD17
4C117XD22
4C117XE13
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE76
4C117XJ13
4C117XJ42
4C117XJ45
5C086AA06
5C086AA09
5C086CB01
5C086CB07
5C086DA15
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA18
5C087AA19
5C087AA32
5C087DD03
5C087EE14
5C087GG08
5C087GG52
5C087GG65
5C087GG66
5C087GG84
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】 熱中症のリスクを低下させることができる熱中症対策システムおよび冷却制御プログラムを提供する。
【解決手段】 熱中症対策システムは、ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部と、ユーザーを冷却する冷却部による冷却を制御する冷却制御部とを備え、冷却制御部は、ユーザーの熱中症のリスクが特定の程度、すなわち、「注意」を超えることが熱中症判定部によって判定された場合(S144およびS145でNO)に冷却部にユーザーを冷却させる(S146)ことを特徴とする。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部と、
前記ユーザーを冷却する冷却部による冷却を制御する冷却制御部と
を備え、
前記冷却制御部は、前記リスクが特定の程度を超えることが前記熱中症判定部によって判定された場合に前記冷却部に冷却を実行させることを特徴とする熱中症対策システム。
【請求項2】
前記冷却制御部は、前記冷却部による冷却の程度が強い場合ほど、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度が高くなるように、前記冷却部による冷却を制御することを特徴とする請求項1に記載の熱中症対策システム。
【請求項3】
前記冷却制御部は、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度の履歴に基づいて、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度に対する、前記冷却制御部によって制御される、前記冷却部による冷却の程度を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱中症対策システム。
【請求項4】
前記熱中症判定部は、前記ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて前記リスクを判定し、
前記熱中症判定部は、前記熱中症対策システムの外部から取得した天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱中症対策システム。
【請求項5】
前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかを判断し、
前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋外に存在すると判断した場合に、前記天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱い、
前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、前記天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱わないことを特徴とする請求項4に記載の熱中症対策システム。
【請求項6】
前記熱中症判定部は、前記ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて前記リスクを判定し、
前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在するかを判断し、
前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、前記ユーザーが存在する屋内に設置された、前記熱中症対策システムの外部の電子機器によって計測された温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱中症対策システム。
【請求項7】
ユーザーを冷却する冷却部による冷却を制御する冷却制御部をコンピューターに実現させ、
前記冷却制御部は、前記ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部によって前記リスクが特定の程度を超えることが判定された場合に前記冷却部に冷却を実行させることを特徴とする冷却制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱中症の対策に使用される熱中症対策システムおよび冷却制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱中症対策システムとして、温度センサーによって計測された気温と、湿度センサーによって計測された湿度と、身体センサーによって計測された、ユーザーの体温、心拍数および加速度とに基づいて、ユーザーの熱中症のリスクを判定し、判定結果を表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-039637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の熱中症対策システムにおいては、ユーザーの熱中症のリスクの判定結果に応じてユーザーを冷却するか否かはユーザーに委ねられているので、ユーザーがユーザーを冷却しなかった場合にユーザーの熱中症のリスクを低下させることができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、熱中症のリスクを低下させることができる熱中症対策システムおよび冷却制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱中症対策システムは、ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部と、前記ユーザーを冷却する冷却部による冷却を制御する冷却制御部とを備え、前記冷却制御部は、前記リスクが特定の程度を超えることが前記熱中症判定部によって判定された場合に前記冷却部に冷却を実行させることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、ユーザーの熱中症のリスクが特定の程度を超える場合に冷却部にユーザーを冷却させるので、ユーザーの熱中症のリスクを低下させることができる。
【0008】
本発明の熱中症対策システムにおいて、前記冷却制御部は、前記冷却部による冷却の程度が強いほど、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度が高くなるように、前記冷却部による冷却を制御しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、冷却部による冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、冷却部による冷却を制御するので、ユーザーの熱中症のリスクを効果的に低下させることができる。
【0010】
本発明の熱中症対策システムにおいて、前記冷却制御部は、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度の履歴に基づいて、前記熱中症判定部によって判定された前記リスクの程度に対する、前記冷却制御部によって制御される、前記冷却部による冷却の程度を変更しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、熱中症のリスクの程度に対する冷却部による冷却の程度を適切化することができるので、ユーザーの熱中症のリスクを効果的に低下させることができる。
【0012】
本発明の熱中症対策システムにおいて、前記熱中症判定部は、前記ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて前記リスクを判定し、前記熱中症判定部は、前記熱中症対策システムの外部から取得した天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱っても良い。
【0013】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、熱中症対策システムの外部から取得した天気情報における、ユーザーが存在する地域の温度を、ユーザーの周囲の温度として扱うので、ユーザーの周囲の温度を計測するセンサーを熱中症対策システムが備えていなくても、ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて熱中症のリスクを判定することができる。
【0014】
本発明の熱中症対策システムにおいて、前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかを判断し、前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋外に存在すると判断した場合に、前記天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱い、前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、前記天気情報における、前記ユーザーが存在する地域の温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱わなくても良い。
【0015】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、熱中症対策システムの外部から取得した天気情報における、ユーザーが存在する地域の温度を、ユーザーの周囲の温度として扱わないので、熱中症のリスクを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0016】
本発明の熱中症対策システムにおいて、前記熱中症判定部は、前記ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて前記リスクを判定し、前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在するかを判断し、前記熱中症判定部は、前記ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、前記ユーザーが存在する屋内に設置された、前記熱中症対策システムの外部の電子機器によって計測された温度を、前記ユーザーの周囲の温度として扱っても良い。
【0017】
この構成により、本発明の熱中症対策システムは、ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、ユーザーが存在する屋内に設置された電子機器によって計測された温度を、ユーザーの周囲の温度として扱うので、熱中症のリスクを適切に判定する可能性を向上することができる。また、本発明の熱中症対策システムは、熱中症対策システムの外部の電子機器によって計測された温度を、ユーザーの周囲の温度として扱うので、ユーザーの周囲の温度を計測するセンサーを熱中症対策システムが備えていなくても、ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて熱中症のリスクを判定することができる。
【0018】
本発明の冷却制御プログラムは、ユーザーを冷却する冷却部による冷却を制御する冷却制御部をコンピューターに実現させ、前記冷却制御部は、前記ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部によって前記リスクが特定の程度を超えることが判定された場合に前記冷却部に冷却を実行させることを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明の冷却制御プログラムを実行するコンピューターは、ユーザーの熱中症のリスクが特定の程度を超える場合に冷却部にユーザーを冷却させるので、ユーザーの熱中症のリスクを低下させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱中症対策システムおよび冷却制御プログラムは、熱中症のリスクを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係る熱中症対策システムのブロック図である。
図2図1に示す冷却装置のブロック図である。
図3図1に示すユーザー用コンピューターのブロック図である。
図4図3に示す冷却制御用情報の一例を示す図である。
図5図1に示す管理者用コンピューターのブロック図である。
図6図1に示す熱中症判定システムの一例のブロック図である。
図7】ユーザーの熱中症のリスクを判定する場合の図6に示す熱中症判定システムの動作のフローチャートである。
図8図7に示す周囲温度湿度取得処理のフローチャートである。
図9】熱中症判定システムから判定結果を受信した場合の、図3に示すユーザー用コンピューターの動作のフローチャートである。
図10】熱中症判定システムから判定結果を受信した場合の、図5に示す管理者用コンピューターの動作のフローチャートである。
図11】冷却制御用情報を更新する場合の、図3に示すユーザー用コンピューターの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本発明の一実施の形態に係る熱中症対策システムの構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る熱中症対策システム10のブロック図である。
【0025】
図1に示すように、熱中症対策システム10は、ユーザーの心拍数および心拍間隔を計測する心拍計測部11と、ユーザーの体温を計測する体温計測部12と、ユーザーの活動量を計測する活動量計測部13と、ユーザーを冷却する冷却装置20と、ユーザーによって携帯されるユーザー用コンピューター30と、ユーザーを管理する管理者によって使用される管理者用コンピューター40と、ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定システム50と備えている。熱中症対策システム10は、心拍計測部11と同様な構成の心拍計測部を、心拍計測部11以外に少なくとも1つ備えても良い。熱中症対策システム10は、体温計測部12と同様な構成の体温計測部を、体温計測部12以外に少なくとも1つ備えても良い。熱中症対策システム10は、活動量計測部13と同様な構成の活動量計測部を、活動量計測部13以外に少なくとも1つ備えても良い。熱中症対策システム10は、冷却装置20と同様な構成の冷却装置を、冷却装置20以外に少なくとも1つ備えても良い。熱中症対策システム10は、ユーザー用コンピューター30と同様な構成のユーザー用コンピューターを、ユーザー用コンピューター30以外に少なくとも1つ備えても良い。熱中症対策システム10において、心拍計測部、体温計測部、活動量計測部、冷却装置およびユーザー用コンピューターは、ユーザー毎に備えられている。以下において、心拍計測部11、体温計測部12、活動量計測部13、冷却装置20およびユーザー用コンピューター30は、同一のユーザーを対象にしているものとする。
【0026】
なお、ユーザーとしては、例えば、高齢者や、建設作業員などの作業員などが考えられる。
【0027】
心拍計測部11は、様々なセンサーによって構成されることが可能である。例えば、心拍計測部11は、ユーザーの胸部から心拍数および心拍間隔を計測するセンサーによって構成されても良いし、ユーザーの手首から心拍数および心拍間隔を計測するリストバンド型のセンサーによって構成されても良いし、ユーザーの指から心拍数および心拍間隔を計測するセンサーによって構成されても良い。心拍計測部11としてどのようなセンサーが採用されるかは、ユーザー毎に決定されても良い。例えば、ユーザーが建設作業員などの作業員である場合には、ユーザーが活発に身体を動かすことが予想されるので、リストバンド型のセンサーが心拍計測部11として採用されても良い。例えば、ユーザーが高齢者である場合には、ユーザーの手首を締め付けることを防止するために、ユーザーの胸部から心拍数および心拍間隔を計測するセンサーが心拍計測部11として採用されても良い。
【0028】
体温計測部12は、例えば、ユーザーの手首から体温を計測するリストバンド型のセンサーなど、様々なセンサーによって構成されることが可能である。体温計測部12としてどのようなセンサーが採用されるかは、ユーザー毎に決定されても良い。
【0029】
活動量計測部13は、例えば、加速度を計測して、計測した加速度から活動量を推定するリストバンド型のセンサーなど、様々なセンサーによって構成されることが可能である。活動量計測部13としてどのようなセンサーが採用されるかは、ユーザー毎に決定されても良い。
【0030】
図2は、冷却装置20のブロック図である。
【0031】
図2に示すように、冷却装置20は、ユーザーの頸部を冷却することによってユーザーを冷却する冷却部21と、冷却装置20の周囲の温度を計測する温度センサー22と、冷却装置20の周囲の湿度を計測する湿度センサー23と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部24と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部25と、冷却装置20全体を制御する制御部26とを備えている。
【0032】
制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部26のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部26のCPUは、記憶部25または制御部26のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0033】
図3は、ユーザー用コンピューター30のブロック図である。
【0034】
図3に示すように、ユーザー用コンピューター30は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部31と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部32と、種々の情報を音によって出力する音出力デバイスである音出力部33と、ユーザー用コンピューター30の位置を計測するための位置計測部34と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部35と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部36と、ユーザー用コンピューター30全体を制御する制御部37とを備えている。ユーザー用コンピューター30は、例えばスマートフォンによって構成されても良い。
【0035】
位置計測部34は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機である。
【0036】
記憶部36は、ユーザーに向けて熱中症の対策を実行するためのユーザー向けアプリケーションプログラム36aを記憶している。ユーザー向けアプリケーションプログラム36aは、例えば、ユーザー用コンピューター30の製造段階でユーザー用コンピューター30にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部の記憶媒体からユーザー用コンピューター30に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からユーザー用コンピューター30に追加でインストールされても良い。
【0037】
記憶部36は、熱中症判定システム50による判定結果、すなわち、熱中症判定システム50によって判定された熱中症のリスクの程度の履歴を示す判定結果履歴36bを記憶可能である。
【0038】
記憶部36は、ユーザー用コンピューター30によって制御された、冷却装置20による冷却の程度の履歴を示す冷却制御履歴36cを記憶可能である。
【0039】
記憶部36は、熱中症判定システム50によって判定された熱中症のリスクの程度に対する、ユーザー用コンピューター30によって制御される、冷却装置20による冷却の程度を示す冷却制御用情報36dを記憶可能である。
【0040】
図4は、冷却制御用情報36dの一例を示す図である。
【0041】
図4に示す冷却制御用情報36dにおいて、熱中症判定システム50によって判定された熱中症のリスクの程度としては、熱中症である可能性が極めて低い「正常」よりも熱中症のリスクの程度が高い「注意」と、「注意」よりも熱中症のリスクの程度が高い「警告」と、「警告」よりも熱中症のリスクの程度が高い「危険」と、「危険」よりも熱中症のリスクの程度が高い「超危険」とが含まれている。図4に示す冷却制御用情報36dにおいて、ユーザー用コンピューター30によって制御される、冷却装置20による冷却の程度としては、冷却を実行しないことを示す「0」と、冷却の程度が最も弱い状態で冷却することを示す「1」と、冷却の程度が「1」より強い状態で冷却することを示す「2」とが含まれている。図4に示す冷却制御用情報36dにおいては、熱中症のリスクの程度である「注意」と、冷却の程度である「0」とが対応付けられており、熱中症のリスクの程度である「警告」と、冷却の程度である「1」とが対応付けられており、熱中症のリスクの程度である「超危険」および「危険」と、冷却の程度である「2」とが対応付けられている。冷却制御用情報36dは、図4に示す内容である必要はないが、冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、熱中症のリスクの程度と、冷却の程度とが対応付けられる。
【0042】
図3に示す制御部37は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部37のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAMとを備えている。制御部37のCPUは、記憶部36または制御部37のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0043】
制御部37は、ユーザー向けアプリケーションプログラム36aを実行することによって、熱中症判定システム50による判定結果を出力する判定結果出力部37aと、冷却装置20の冷却部21による冷却を制御する冷却制御部37bとを実現する。したがって、ユーザー向けアプリケーションプログラム36aは、本発明の冷却制御プログラムを構成している。
【0044】
図5は、管理者用コンピューター40のブロック図である。
【0045】
図5に示すように、管理者用コンピューター40は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部41と、種々の情報を表示する例えばLCDなどの表示デバイスである表示部42と、種々の情報を音によって出力する音出力デバイスである音出力部43と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部44と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部45と、管理者用コンピューター40全体を制御する制御部46とを備えている。管理者用コンピューター40は、例えばPC(Personal Computer)によって構成されても良い。
【0046】
記憶部45は、管理者に向けて熱中症の対策を実行するための管理者向けアプリケーションプログラム45aを記憶している。管理者向けアプリケーションプログラム45aは、例えば、管理者用コンピューター40の製造段階で管理者用コンピューター40にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体から管理者用コンピューター40に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から管理者用コンピューター40に追加でインストールされても良い。
【0047】
記憶部45は、熱中症判定システム50による判定結果の履歴を示す判定結果履歴45bを記憶可能である。
【0048】
制御部46は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部46のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAMとを備えている。制御部46のCPUは、記憶部45または制御部46のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0049】
制御部46は、管理者向けアプリケーションプログラム45aを実行することによって、熱中症判定システム50による判定結果を出力する判定結果出力部46aを実現する。
【0050】
図6は、熱中症判定システム50の一例のブロック図である。
【0051】
図6に示すように、熱中症判定システム50は、インターネットなどのネットワーク経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部51と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部52と、熱中症判定システム50全体を制御する制御部53とを備えている。熱中症判定システム50は、クラウド上に構築されている。熱中症判定システム50は、図6に示す例では1台のコンピューターによって構成されているが、複数台のコンピューターによって構成されても良い。
【0052】
記憶部52は、ユーザーの熱中症のリスクを判定するための熱中症判定プログラム52aを記憶している。熱中症判定プログラム52aは、例えば、熱中症判定システム50の製造段階で熱中症判定システム50にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体から熱中症判定システム50に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から熱中症判定システム50に追加でインストールされても良い。
【0053】
記憶部52は、ユーザーが着ている衣服の種類をユーザー毎に示す衣服情報52bを記憶可能である。衣服情報52bに登録可能な衣服の種類としては、例えば、「半袖の軽装」、「長袖の服」、「背広などの正装」、「化学防護服」などが存在しても良い。
【0054】
記憶部52は、ユーザーの心拍数の、ユーザー毎の履歴を示す心拍数履歴52cと、ユーザーの心拍間隔の、ユーザー毎の履歴を示す心拍間隔履歴52dと、ユーザーの体温の、ユーザー毎の履歴を示す体温履歴52eと、ユーザーの活動量の、ユーザー毎の履歴を示す活動量履歴52fと、ユーザーの周囲の温度および湿度の、ユーザー毎の履歴を示す周囲温度湿度履歴52gと、ユーザーの熱中症のリスクの判定結果の、ユーザー毎の履歴を示す判定結果履歴52hとを記憶可能である。
【0055】
制御部53は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部53のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAMとを備えている。制御部53のCPUは、記憶部52または制御部53のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0056】
制御部53は、熱中症判定プログラム52aを実行することによって、ユーザーの熱中症のリスクを判定する熱中症判定部53aを実現する。
【0057】
次に、熱中症対策システム10の動作について説明する。
【0058】
なお、以下においては、心拍計測部11、体温計測部12、活動量計測部13、冷却装置20およびユーザー用コンピューター30の対象のユーザーに対する動作について説明する。
【0059】
まず、ユーザーが着ている衣服の種類が登録される場合の熱中症判定システム50の動作について説明する。
【0060】
ユーザーは、例えばユーザー用コンピューター30を介して、ユーザーが着ている衣服の種類の登録を熱中症判定システム50に指示することができる。
【0061】
熱中症判定システム50の熱中症判定部53aは、ユーザーが着ている衣服の種類の登録がユーザーから指示されると、ユーザーが着ている衣服の種類を、ユーザーからの指示に応じて衣服情報52bに登録する。なお、ユーザーが着ている衣服の種類の登録がユーザーから指示されていない場合、衣服情報52bには、ユーザーが着ている衣服の種類として、特定の種類がデフォルト値として登録されている。
【0062】
次に、ユーザーの熱中症のリスクを判定する場合の熱中症判定システム50の動作について説明する。
【0063】
図7は、ユーザーの熱中症のリスクを判定する場合の熱中症判定システム50の動作のフローチャートである。
【0064】
図7に示すように、熱中症判定システム50の熱中症判定部53aは、心拍計測部11によって計測された心拍数および心拍間隔を心拍計測部11から取得する(S101)。熱中症判定部53aは、心拍数をS101において取得すると、取得した心拍数を心拍数履歴52cに書き込む。同様に、熱中症判定部53aは、心拍間隔をS101において取得すると、取得した心拍間隔を心拍間隔履歴52dに書き込む。
【0065】
熱中症判定部53aは、S101の処理の後、体温計測部12によって計測された体温を体温計測部12から取得する(S102)。熱中症判定部53aは、体温をS102において取得すると、取得した体温を体温履歴52eに書き込む。
【0066】
熱中症判定部53aは、S102の処理の後、活動量計測部13によって計測された活動量を活動量計測部13から取得する(S103)。熱中症判定部53aは、活動量をS103において取得すると、取得した活動量を活動量履歴52fに書き込む。
【0067】
熱中症判定部53aは、S103の処理の後、ユーザーの周囲の温度および湿度を取得するための周囲温度湿度取得処理を実行する(S104)。熱中症判定部53aは、温度および湿度をS104において取得すると、取得した温度および湿度を周囲温度湿度履歴52gに書き込む。
【0068】
図8は、図7に示す周囲温度湿度取得処理のフローチャートである。
【0069】
図8に示すように、熱中症判定部53aは、ユーザーの位置をユーザー用コンピューター30から取得する(S121)。ここで、ユーザー用コンピューター30の制御部37は、熱中症判定システム50からユーザーの位置が要求されると、位置計測部34によって計測された位置を、ユーザーの位置として熱中症判定システム50に送信する。
【0070】
熱中症判定部53aは、S121の処理の後、ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかを、S121において取得した位置に基づいて判断する(S122)。
【0071】
熱中症判定部53aは、ユーザーが屋外に存在するとS122において判断すると、天気情報を提供する天気情報提供システム80(図1参照。)から取得した天気情報における、ユーザーが存在する地域の温度および湿度を、ユーザーの周囲の温度および湿度として取得して(S123)、図8に示す周囲温度湿度取得処理を終了する。天気情報提供システム80は、熱中症対策システム10の外部のシステムである。天気情報提供システム80としては、例えば気象庁のWebサイトなどが考えられる。
【0072】
熱中症判定部53aは、ユーザーが屋内に存在するとS122において判断すると、ユーザーが存在する屋内に設置された電子機器90(図1参照。)によって計測された温度および湿度を、ユーザーの周囲の温度および湿度として取得して(S124)、図8に示す周囲温度湿度取得処理を終了する。電子機器90は、熱中症対策システム10の外部の電子機器である。電子機器90としては、例えばエアコンなどが考えられる。
【0073】
図7に示すように、熱中症判定部53aは、S104の周囲温度湿度取得処理が終了すると、衣服情報52bに登録されている衣服の種類と、心拍数履歴52cにおける最新の心拍数、すなわち、S101において取得した心拍数と、心拍間隔履歴52dにおける心拍間隔の履歴に基づいた心拍間隔の変動、すなわち、心拍変動の解析の結果と、体温履歴52eにおける最新の体温、すなわち、S102において取得した体温と、活動量履歴52fにおける最新の活動量、すなわち、S103において取得した活動量と、周囲温度湿度履歴52gにおける最新の温度および湿度、すなわち、S104において取得した温度および湿度とに基づいて、特定のアルゴリズムによって熱中症のリスクを判定する(S105)。例えば、熱中症判定部53aは、S105において、熱中症である可能性が極めて低い「正常」と、「正常」よりも熱中症のリスクの程度が高い「注意」と、「注意」よりも熱中症のリスクの程度が高い「警告」と、「警告」よりも熱中症のリスクの程度が高い「危険」と、「危険」よりも熱中症のリスクの程度が高い「超危険」との5段階で熱中症のリスクを判定しても良い。熱中症判定部53aは、熱中症のリスクをS105において判定すると、S105における判定結果を判定結果履歴52hに書き込む。
【0074】
ユーザーが着ている衣服が放熱し易い場合より、ユーザーが着ている衣服が放熱し難い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「ユーザーが着ている衣服の種類以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、ユーザーが着ている衣服の種類が放熱し難い種類である」など、ユーザーが着ている衣服の種類が放熱し難い種類になるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0075】
ユーザーの心拍数が低い場合より、ユーザーの心拍数が高い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「心拍数以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、心拍数が高くなる」など、心拍数が高くなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0076】
ユーザーの副交感神経が活性化している場合、すなわち、ユーザーがリラックスしている場合より、ユーザーの交感神経が活性化している場合、すなわち、ユーザーが緊張したり興奮したりしている場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「LF(Low Frequency)/HF(Hi Frequency)以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、LF/HFが大きくなる」など、LF/HFが大きくなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。また、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「HF以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、HFが小さくなる」など、HFが小さくなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。また、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「RMSSD(root Mean Square of Successive Differences)以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、RMSSDが小さくなる」など、RMSSDが小さくなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。ここで、LFは、心拍変動の例えば0.04Hz~0.15Hzの低周波成分である。HFは、心拍変動の例えば0.15Hz~0.4Hzの高周波成分であり、値が大きいほど、ユーザーがリラックスしている度合いが高いことを示す指標である。LF/HFは、値が大きいほど、ユーザーが緊張したり興奮したりしている度合いが高いことを示す指標である。RMSSDは、連続して隣接する心拍間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、値が大きいほど、ユーザーがリラックスしている度合いが高いことを示す指標である。
【0077】
ユーザーが若者であったり元気であったりする場合より、ユーザーが高齢者であったり疲れていたりする場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「自律神経のパワーを示す(LF+HF)以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、(LF+HF)が小さくなる」など、(LF+HF)が小さくなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。また、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「覚醒状態および睡眠状態におけるLF/HFの散らばり以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、覚醒状態および睡眠状態におけるLF/HFの散らばりが小さくなる」など、覚醒状態および睡眠状態におけるLF/HFの散らばりが小さくなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。ここで、自律神経のパワーを示す(LF+HF)は、値が大きいほど、ユーザーが若者であったり元気であったりする度合いが高いことを示す指標である。覚醒状態および睡眠状態におけるLF/HFの散らばりは、例えば、覚醒状態および睡眠状態におけるLF/HFの分散または標準偏差で表され、値が大きいほど、ユーザーが若者であったり元気であったりする度合いが高いことを示す指標である。
【0078】
ユーザーの体温が低い場合より、ユーザーの体温が高い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「体温以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、体温が高くなる」など、体温が高くなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0079】
ユーザーの活動量が少ない場合より、ユーザーの活動量が多い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「活動量以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、活動量が多くなる」など、活動量が多くなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0080】
ユーザーの周囲の温度が低い場合より、ユーザーの周囲の温度が高い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「ユーザーの周囲の温度以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、ユーザーの周囲の温度が高くなる」など、ユーザーの周囲の温度が高くなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0081】
ユーザーの周囲の湿度が低い場合より、ユーザーの周囲の湿度が高い場合の方が、ユーザーの熱中症のリスクの程度は高くなる傾向がある。したがって、S105における熱中症のリスクの判定のアルゴリズムは、例えば「ユーザーの周囲の湿度以外の値に差異が無い場合に、熱中症のリスクの程度が高いほど、ユーザーの周囲の湿度が高くなる」など、ユーザーの周囲の湿度が高くなるに伴って、熱中症のリスクの程度を高く判定する方向への影響力が変化しないか強くなるルゴリズムでも良い。
【0082】
熱中症判定部53aは、S105の処理が終了すると、S105における判定結果をユーザー用コンピューター30および管理者用コンピューター40に送信する(S106)。
【0083】
熱中症判定部53aは、S106の処理が終了すると、S101の処理を実行する。
【0084】
次に、熱中症判定システム50から判定結果を受信した場合のユーザー用コンピューター30の動作について説明する。
【0085】
図9は、熱中症判定システム50から判定結果を受信した場合のユーザー用コンピューター30の動作のフローチャートである。
【0086】
ユーザー用コンピューター30の判定結果出力部37aは、S106において熱中症判定システム50から送信された判定結果を受信する度に、図9に示す動作を実行する。
【0087】
図9に示すように、判定結果出力部37aは、受信した判定結果を判定結果履歴36bに書き込む(S141)。
【0088】
次いで、判定結果出力部37aは、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「正常」であるか否かを判断する(S142)。
【0089】
判定結果出力部37aは、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「正常」ではない、すなわち、ユーザーの熱中症のリスクが「正常」を超えるとS142において判断すると、例えば、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果を表示部32による表示と、音出力部33による音の出力との少なくとも1つによって出力することによって、アラートを実行する(S143)。したがって、ユーザーは、ユーザー自身の熱中症のリスクをリアルタイムで把握することができる。
【0090】
冷却制御部37bは、S143の処理が終了すると、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度を特定する(S144)。例えば、冷却制御部37bは、冷却制御用情報36dが図4に示すものである場合、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「注意」であるときに冷却部21による冷却の程度として「0」を特定し、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「警告」であるときに冷却部21による冷却の程度として「1」を特定し、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「超危険」または「危険」であるときに冷却部21による冷却の程度として「2」を特定する。
【0091】
冷却制御部37bは、S144の処理の後、S144において特定した冷却の程度が「0」であるか否かを判断する(S145)。
【0092】
冷却制御部37bは、S144において特定した冷却の程度が「0」ではないとS145において判断すると、S144において特定した程度で冷却を実行することを冷却装置20に指示する(S146)。冷却装置20の制御部26は、S146における指示を受けると、受けた指示に応じた強さで冷却部21に冷却を実行させる。
【0093】
冷却制御部37bは、判定結果履歴36bにおける最新の判定結果が「正常」であるとS142において判断されるか、S144において特定した冷却の程度が「0」であるとS145において判断すると、冷却を実行しないことを冷却装置20に指示する(S147)。冷却装置20の制御部26は、S147における指示を受けると、冷却部21に冷却を実行させない。
【0094】
冷却制御部37bは、S146またはS147の処理が終了すると、S146またはS147において冷却装置20に指示した、冷却の程度を冷却制御履歴36cに書き込んで(S148)、図9に示す動作を終了する。
【0095】
なお、判定結果出力部37aは、任意のタイミングで、例えば操作部31からの指示に応じて、判定結果履歴36bに示される履歴を例えば表示部32に表示することができる。
【0096】
次に、熱中症判定システム50から判定結果を受信した場合の管理者用コンピューター40の動作について説明する。
【0097】
図10は、熱中症判定システム50から判定結果を受信した場合の管理者用コンピューター40の動作のフローチャートである。
【0098】
管理者用コンピューター40の判定結果出力部46aは、S106において熱中症判定システム50から送信された判定結果を受信する度に、図10に示す動作を実行する。
【0099】
図10に示すように、判定結果出力部46aは、受信した判定結果を判定結果履歴45bに書き込む(S161)。
【0100】
次いで、判定結果出力部46aは、判定結果履歴45bにおける最新の判定結果が「正常」であるか否かを判断する(S162)。
【0101】
判定結果出力部46aは、判定結果履歴45bにおける最新の判定結果が「正常」ではないとS162において判断すると、例えば、判定結果履歴45bにおける最新の判定結果を表示部42による表示と、音出力部43による音の出力との少なくとも1つによって出力することによって、アラートを実行する(S163)。したがって、管理者は、ユーザーの熱中症のリスクをリアルタイムで把握することができる。
【0102】
判定結果出力部46aは、判定結果履歴45bにおける最新の判定結果が「正常」であるとS162において判断するか、S163の処理が終了すると、図10に示す動作を終了する。
【0103】
なお、判定結果出力部46aは、任意のタイミングで、例えば操作部41からの指示に応じて、判定結果履歴45bに示される履歴を例えば表示部42に表示することができる。
【0104】
次に、冷却制御用情報36dを更新する場合のユーザー用コンピューター30の動作について説明する。
【0105】
図11は、冷却制御用情報36dを更新する場合のユーザー用コンピューター30の動作のフローチャートである。
【0106】
ユーザー用コンピューター30の冷却制御部37bは、例えば定期的なタイミングなど、特定のタイミングで図11に示す動作を実行する。
【0107】
図11に示すように、冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第1の時間超であることがあったか否かを判定結果履歴36bに基づいて判断する(S181)。
【0108】
冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第1の時間超であることがあったとS181において判断すると、この判定結果に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度を1段階上げる(S182)。例えば、冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「警告」である場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第1の時間超であることがあったとS181において判断すると、「警告」に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度が「1」であるとき、「警告」に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度を1段階上げて「2」に変更する。なお、冷却制御部37bは、S182において1段階上げる対象の冷却の程度が上限に達している場合には、その冷却の程度を上限のまま維持する。
【0109】
冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第1の時間超であることがなかったとS181において判断するか、S182の処理が終了すると、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第1の時間より短い第2の時間未満であることがあったか否かを判定結果履歴36bに基づいて判断する(S183)。
【0110】
冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第2の時間未満であることがあったとS183において判断すると、この判定結果に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度を1段階下げる(S184)。例えば、冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「警告」である場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第2の時間未満であることがあったとS183において判断すると、「警告」に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度が「2」であるとき、「警告」に冷却制御用情報36dにおいて対応付けられている冷却の程度を1段階下げて「1」に変更する。なお、冷却制御部37bは、S184において1段階下げる対象の冷却の程度が下限である「0」に達している場合には、その冷却の程度を「0」のまま維持する。
【0111】
冷却制御部37bは、直近の特定の長さの期間において、熱中症のリスクの判定結果が「正常」でない場合に、熱中症のリスクの程度が下がるまでの時間が第2の時間未満であることがなかったとS183において判断するか、S184の処理が終了すると、冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、熱中症のリスクの程度と、冷却の程度とが冷却制御用情報36dにおいて対応付けられているか否かを判断する(S185)。
【0112】
冷却制御部37bは、冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、熱中症のリスクの程度と、冷却の程度とが冷却制御用情報36dにおいて対応付けられていないとS185において判断すると、冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、冷却制御用情報36dにおいて冷却の程度を必要最小限の分だけ上げる(S186)。
【0113】
冷却制御部37bは、冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、熱中症のリスクの程度と、冷却の程度とが冷却制御用情報36dにおいて対応付けられているとS185において判断するか、S186の処理が終了すると、図11に示す動作を終了する。
【0114】
以上に説明したように、熱中症対策システム10は、ユーザーの熱中症のリスクが特定の程度、すなわち、「注意」を超える場合(S144およびS145でNO)に冷却部21にユーザーを冷却させる(S146)ので、ユーザーの熱中症のリスクを低下させることができる。なお、S144~S145の処理における判断の基準である「特定の程度」は、「注意」でなくても良い。例えば、熱中症対策システム10は、ユーザーの熱中症のリスクが「正常」を超える場合に冷却部21にユーザーを冷却させても良い。
【0115】
熱中症対策システム10は、冷却部21による冷却の程度が強いほど、熱中症のリスクの程度が高くなるように、冷却部21による冷却を制御する(S144~S146)ので、ユーザーの熱中症のリスクを効果的に低下させることができる。
【0116】
熱中症対策システム10は、熱中症判定部53aによって判定された熱中症のリスクの程度の履歴に基づいて、熱中症判定部53aによって判定された熱中症のリスクの程度に対する、冷却制御部37bによって制御される、冷却部21による冷却の程度を変更する(S181~S186)。したがって、熱中症対策システム10は、熱中症のリスクの程度に対する冷却部21による冷却の程度を適切化することができるので、ユーザーの熱中症のリスクを効果的に低下させることができる。
【0117】
熱中症対策システム10は、熱中症対策システム10の外部のシステム80から取得した天気情報における、ユーザーが存在する地域の温度を、ユーザーの周囲の温度として扱う(S123)ので、ユーザーの周囲の温度を計測するセンサーを熱中症対策システム10が備えていなくても、ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて熱中症のリスクを判定する(S105)ことができる。
【0118】
熱中症対策システム10は、ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、熱中症対策システム10の外部のシステム80から取得した天気情報における、ユーザーが存在する地域の温度を、ユーザーの周囲の温度として扱わない(S124)ので、熱中症のリスクを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0119】
熱中症対策システム10は、ユーザーが屋内に存在すると判断した場合に、ユーザーが存在する屋内に設置された電子機器90によって計測された温度を、ユーザーの周囲の温度として扱う(S124)ので、熱中症のリスクを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0120】
熱中症対策システム10は、熱中症対策システム10の外部の電子機器90によって計測された温度を、ユーザーの周囲の温度として扱う(S124)ので、ユーザーの周囲の温度を計測するセンサーを熱中症対策システム10が備えていなくても、ユーザーの周囲の温度に少なくとも基づいて熱中症のリスクを判定することができる。
【0121】
熱中症判定部53aは、本実施の形態において、ユーザーが屋内に存在する場合に、ユーザーが存在する屋内に設置された電子機器90によって計測された温度および湿度を、ユーザーの周囲の温度および湿度として取得する(S124)。しかしながら、熱中症判定部53aは、ユーザーが屋内に存在する場合に、冷却装置20の温度センサー22によって計測された温度と、冷却装置20の湿度センサー23によって計測された湿度とを、ユーザーの周囲の温度および湿度として取得しても良い。
【0122】
熱中症判定部53aは、本実施の形態において、ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかに応じて、ユーザーの周囲の温度および湿度の取得先を変更する(S122~S124)。しかしながら、熱中症判定部53aは、ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかにかかわらず、ユーザーの周囲の温度および湿度の取得先が同一であっても良い。例えば、熱中症判定部53aは、ユーザーが屋外および屋内のいずれに存在するかにかかわらず、冷却装置20の温度センサー22によって計測された温度と、冷却装置20の湿度センサー23によって計測された湿度とを、ユーザーの周囲の温度および湿度として取得しても良い。
【0123】
熱中症判定部53aは、本実施の形態において、ユーザーの衣服の種類と、ユーザーの心拍数と、ユーザーの心拍変動と、ユーザーの体温と、ユーザーの活動量と、ユーザーの周囲の温度と、ユーザーの周囲の湿度とに基づいて熱中症のリスクを判定する(S105)。しかしながら、熱中症判定部53aは、ユーザーの衣服の種類と、ユーザーの心拍数と、ユーザーの心拍変動と、ユーザーの体温と、ユーザーの活動量と、ユーザーの周囲の温度と、ユーザーの周囲の湿度との少なくとも1つに少なくとも基づいて熱中症のリスクを判定するようになっていれば良い。例えば、熱中症判定部53aは、ユーザーの心拍数および体温と、ユーザーの周囲の温度とに基づいて、特定のアルゴリズムによって熱中症のリスクを判定しても良い。
【0124】
熱中症判定部53aは、本実施の形態において、熱中症のリスクの程度を5段階で判定する。しかしながら、熱中症判定部53aは、熱中症のリスクの程度を5段階以外の段階で判定しても良い。
【0125】
冷却制御部37bは、本実施の形態において、冷却部21による冷却の程度を「0」、「1」および「2」の3段階で特定する。しかしながら、冷却制御部37bは、冷却部21による冷却の程度を3段階以外の段階で特定しても良い。
【0126】
熱中症対策システム10は、本実施の形態において、熱中症判定システム50による判定結果に応じてユーザー用コンピューター30が冷却装置20の冷却部21による冷却を制御する(S142~S147)。しかしながら、熱中症対策システム10は、熱中症判定システム50による判定結果に応じて冷却装置20が冷却部21による冷却を制御するようにしても良い。ここで、熱中症対策システム10は、熱中症判定システム50による判定結果を冷却装置20が熱中症判定システム50から直接受信するようにしても良い。
【0127】
冷却装置20の冷却部21は、本実施の形態において、ユーザーの頸部を冷却することによってユーザーを冷却する。しかしながら、冷却部21は、任意の方法によってユーザーを冷却しても良い。
【符号の説明】
【0128】
10 熱中症対策システム
21 冷却部
30 ユーザー用コンピューター(コンピューター)
36a ユーザー向けアプリケーションプログラム(冷却制御プログラム)
37b 冷却制御部
53a 熱中症判定部
90 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11