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特開2023-170973吸収性物品及び吸収性物品の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170973
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】吸収性物品及び吸収性物品の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/472 20060101AFI20231124BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20231124BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20231124BHJP
   A61F 13/505 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61F13/472 300
A61F13/53 200
A61F13/56 110
A61F13/505 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083108
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 基成
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA12
3B200DB11
3B200DE03
(57)【要約】
【課題】吸収性物品の取替作業の煩雑さを抑える。
【解決手段】本開示は、肌側に配置される液透過性のトップシート11と、トップシート11に対向して非肌側に配置される液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、バックシート12の非肌側の面に設けられる粘着層と、を備える吸収性物品10であって、吸収性物品10の外形は、正方形状であり、吸収体13は、吸収性物品10の外形の中央に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側の面に設けられる粘着層と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品の外形は、正方形状であり、
前記吸収体は、前記吸収性物品の外形の中央に配置される
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体の外形は、円形状又は正多角形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品の外形の一辺の長さは、70mm~150mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体の外形は、円形状であり、
前記吸収体の直径は、前記吸収性物品の外形の一辺の長さの40%~70%である
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品を装着して尿を吸収した後、この使用済み吸収性物品を取り外すことなく、新しい吸収性物品を前記使用済み吸収性物品の前記トップシート上に貼り付けて使用する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品の使用方法。
【請求項6】
前記新しい吸収性物品を前記使用済み吸収性物品の前記トップシート上に貼り付ける際に、前記新しい吸収性物品の角部が前記使用済み吸収性物品の角部に重ならないように、対角線が異なる角度となる状態で貼り付ける
ことを特徴とする請求項5に記載の吸収性物品の使用方法。
【請求項7】
前記吸収性物品を複数重ねた状態で装着し、最も肌側に位置する吸収性物品が尿を吸収した後、この使用済み吸収性物品のみを取り外し、次に肌側に露出する吸収性物品を使用する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品の使用方法。
【請求項8】
前記複数重ねた状態の吸収性物品の各々は、その角部が他の吸収性物品の角部に重ならないように、対角線が異なる角度となる状態で重ねられている
ことを特徴とする請求項7に記載の吸収性物品の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品及び吸収性物品の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁用の吸収性物品は、生理用ナプキン等の吸収性物品と同形状、すなわち、略長方形状かつ平面状のものが多い。また、略長方形状かつ平面状の吸収性物品は、特に男性が使用する場合、局所へのフィット感が得られ難いため、尿失禁が生じた際に横漏れが起こり易いという問題があったことから、男女間における局所の構造上の相違点を踏まえた、吸収性物品も開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、矩形のカバーシートに、男性器の陰茎部分に巻き付けられるつなぎ止めテープを具えた尿吸収パッドの発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、液透過性のトップシートと、非肌当接面に粘着層を有し、略凧形形状を有する液不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートとの間に設けられた吸収体とを含む本体と、本体長手方向の両側部に設けられ、非肌当接面に粘着層を有しないフラップとを備えることを特徴とする吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-122346号公報
【特許文献2】特開2014-195521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吸収性物品を装着した状態で尿失禁が生じた場合には、一般的に、使用中の吸収性物品を取り外して、新しい吸収性物品に取り換えるという作業を行う。すなわち、使用中の吸収性物品の取り外し、及び新しい吸収性物品の装着という2つの作業を行う必要がある。しかし、男性は、生理用ナプキン等を使用しないので、女性に比べてこのような作業に不慣れであり、特に家庭以外の外出先、職場などでは上記取り換え作業を煩雑に感じてしまうことがある。
【0007】
そこで、本開示は、吸収性物品の取替作業の煩雑さを抑えることが可能な吸収性物品及び吸収性物品の使用方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行い、吸収性物品を重ねる枚数によって、自身の尿失禁の頻度や量に対応することができ、吸収性物品の取替作業の煩雑さを抑えることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的には、尿失禁の頻度が少ない人は、1枚単独でも使用できる吸収性物品である。また、尿失禁の頻度が多い人は、複数の吸収性物品を予め重ねて装着しておき、尿失禁した際に最上層の使用済みの吸収性物品を剥がすことで、新しい吸収性物品の装着作業の手間を減らすことができ、或いは尿失禁する度に新しい吸収性物品を上から重ねて装着し、最後に使用済みの複数の吸収性物品を一度に廃棄することができる吸収性物品である。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側の面に設けられる粘着層と、を備える吸収性物品であって、前記吸収性物品の外形は、正方形状であり、前記吸収体は、前記吸収性物品の外形の中央に配置される。
【0011】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記吸収体の外形は、円形状又は正多角形状である。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記吸収性物品の外形の一辺の長さは、70mm~150mmである。
【0013】
本発明の第4の態様は、上記第2の態様の吸収性物品であって、前記吸収体の外形は、円形状であり、前記吸収体の直径は、前記吸収性物品の外形の一辺の長さの40%~70%である。
【0014】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの吸収性物品の使用方法であって、前記吸収性物品を装着して尿を吸収した後、この使用済み吸収性物品を取り外すことなく、新しい吸収性物品を前記使用済み吸収性物品の前記トップシート上に貼り付けて使用する。
【0015】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様の吸収性物品の使用方法であって、前記新しい吸収性物品を前記使用済み吸収性物品の前記トップシート上に貼り付ける際に、前記新しい吸収性物品の角部が前記使用済み吸収性物品の角部に重ならないように、対角線が異なる角度となる状態で貼り付ける。
【0016】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの吸収性物品の使用方法であって、前記吸収性物品を複数重ねた状態で装着し、最も肌側に位置する吸収性物品が尿を吸収した後、この使用済み吸収性物品のみを取り外し、次に肌側に露出する吸収性物品を使用する。
【0017】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様の吸収性物品の使用方法であって、前記複数重ねた状態の吸収性物品の各々は、その角部が他の吸収性物品の角部に重ならないように、対角線が異なる角度となる状態で重ねられている。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、吸収性物品の取替作業の煩雑さを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品を肌側から視た状態の平面図である。
図2図1の吸収性物品を非肌側から視た状態の平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】複数重ねた吸収性物品を肌側から視た状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0021】
本明細書では次のように定義する。吸収性物品10の装着状態とは、尿の吸収前、吸収時及び吸収後を問わず、装着者が吸収性物品10を装着(着用)した状態をいう。また、肌側とは、吸収性物品10の厚み方向のうち、装着状態で装着者の肌に面する側を意味し、非肌側とは、その反対方向を意味する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品10を肌側から視た状態の平面図である。図2は、図1の吸収性物品10を非肌側から視た状態の平面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。
【0023】
本開示に係る吸収性物品10は、特に男性による使用に適したシート状の吸収性物品10であって、例えば、地肌に直接的に装着される下着の内側面に取り付けて使用される。なお、使い捨て紙おむつ等を地肌に直接的に装着する場合には、当該使い捨て紙おむつの内側面に吸収性物品10を取り付けて使用してもよい。また、吸収性物品10は、男性による使用に適した吸収性物品10であるが、女性が使用してもよい。
【0024】
図1図3に示すように、本実施形態に係る吸収性物品10は、肌側に配置される液透過性のトップシート11と、トップシート11に対向して非肌側に配置される液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、バックシート12の非肌側の面12aに設けられる粘着層14とを備える。また、吸収性物品10は、粘着層14に剥離可能に貼り付けられて粘着層14を覆う保護シート15を備える。なお、図2では、保護シート15を二点鎖線で示している。
【0025】
トップシート11は、尿が吸収体13へと移動するような液透過性を備えた基材から形成される。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上の積層体である複合シート等が挙げられる。また、トップシート11には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート11には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0026】
トップシート11の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の点から、18g/m以上40g/m以下であることが好ましい。18g/mより小さい場合、吸収性物品10の製造時にトップシート11が破損し易くなる傾向があり、40g/mより大きい場合、肌に当たる際にトップシート11の硬さを感じる傾向があり、いずれの場合も好ましくない。
【0027】
バックシート12は、吸収体13が保持している尿の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の各種不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の積層体である複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0028】
バックシート12の坪量は、強度及び加工性の観点から、15g/m以上60g/m以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシート12には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート12に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート12にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0029】
吸収体13は、フラッフレスのパルプ含有複合不織布(パルプとスパンボンド不織布を水流交絡した複合不織布)からなり、1層又は複数積層したものとすることができる。また、基材としての複数層のパルプ含有複合不織布の間に高吸収性ポリマーを接着担持させることもできる。
【0030】
パルプ含有複合不織布は、ポリプロピレンからなるスパンボンド不織布に木材パルプ繊維をバインダーを使用せずに、ウォータージェットで交絡、一体化して成る複合不織布が好ましい。この複合不織布は、例えば、ポリプロピレン製スパンボンド不織布の一方の面に、該不織布に対して交絡により結合した木材パルプ繊維の層が形成されたものであり、他方の面にも木材パルプ繊維が交絡により結合していることもある。すなわち、パルプ含有複合不織布の好ましい形態として、不織布と不織布の少なくとも一方の表面に水流交絡一体化処理された木材パルプ繊維層とを含む形態が挙げられる。この形態では、木材パルプ繊維層が衣類側を臨むように配置されることが好ましい。ここで、木材パルプ繊維としては、例えば、フラッフパルプ、針葉樹クラフトパルプ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
パルプ含有複合不織布における木材パルプの含有量は、65質量%以上90質量%以下が好ましく、70質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。65質量%未満であると得られるパルプ含有不織布の材質や性能が不均一になる傾向があり、90質量%超えると得られるパルプ含有複合不織布が硬質になり、柔軟性が不足して本実施形態の吸収性物品のフィット性等が低下する傾向がある。
【0032】
パルプ含有複合不織布の坪量は、40g/m以上80g/m以下であり、好ましくは42g/m以上78g/m以下である。40g/m未満であるとバックシート12に用いた場合に柔らかくなりすぎる傾向があり、80g/m超えるとバックシート12に用いた場合に硬質になりすぎる傾向がある。いずれの場合も、吸収性物品のフィット性やホールド性に影響を及ぼす場合がある。
【0033】
パルプ含有複合不織布の厚みは、0.25mm以上0.50mm以下であることが好ましく、0.30mm以上0.45mm以下であることがさらに好ましい。0.25mmより低い値の場合、柔らかくなりすぎる傾向がある。また、0.50mmよりも高い値の場合、硬さが生じ、吸収性物品10のフィット性やホールド性に影響を及ぼす傾向がある。
【0034】
吸収体13の高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
【0035】
粘着層14は、吸収性物品10を下着の内面に取付可能な粘着層であって、バックシート12の非肌側の面12aに設けられる。本実施形態では、同一方向に延びる状態で互いに並列的に配置される複数のライン状の粘着層14が設けられる。粘着層14を構成する粘着剤については、公知の材料を用いることができる。なお、粘着層14の形状は、ライン状に限定されるものではなく、矩形状、円形状、サークル状等の様々な形状を適用することができる。
【0036】
保護シート15は、未使用時の吸収性物品10の粘着層14を保護するためのシート状の部材であって、粘着層14に剥離可能に接着される。保護シート15としては、例えば剥離紙が挙げられる。
【0037】
図1図3に示すように、トップシート11及びバックシート12は、その間に吸収体13を配置した状態で、互いに固定されている。本実施形態では、トップシート11及びバックシート12のうち吸収体13を囲む領域が、接着剤(例えばホットメルト接着剤)によって互いに接合されている。なお、トップシート11とバックシート12とは、直接的に接合されていてもよいし、他のシート状の部材を介して間接的に固定されていてもよい。
【0038】
吸収性物品10の外形は、平面視において正方形状に形成される。正方形状の吸収性物品10の角部10aは、角が丸くなるように面取りされている。吸収性物品10の外形の一辺の長さLは、70mm~150mmであることが好ましい。吸収性物品10の外形の一辺の長さLを70mmよりも短くすると、吸収体13が小さくなり、尿の吸収量を十分に確保することが難しい。一方、吸収性物品10の外形の一辺の長さLを150mmよりも長くすると、下着等の中で嵩張ってしまい、装着感が低下する。
【0039】
吸収体13の外形は、円形状又は正多角形状であることが好ましい。本実施形態では、吸収体13の外形は、円形状である。吸収体13は、平面視において吸収体13の中心と吸収性物品10の中心とが略同位置となるように配置される。すなわち、吸収体13は、吸収性物品の外形の中央に配置される。吸収体13の直径Rは、吸収性物品10の外形の一辺の長さLの40%~70%であることが好ましい。吸収体13の直径Rを吸収性物品10の外形の一辺の長さLの40%よりも小さくすると、吸収体13が設けられていない領域が吸収体13に対して大きくなり過ぎてしまい、装着感が低下する。一方、吸収体13の直径Rを吸収性物品10の外形の一辺の長さLの70%よりも大きくすると、吸収体13が設けられていない領域が小さくなり、使用後の吸収性物品10の持ち手となる部分の確保が難しくなってしまう。
【0040】
上記のように構成された吸収性物品10では、吸収性物品10の外形が正方形状であるので、吸収性物品10の中央を視認によって確認し易い。このため、複数の吸収性物品10をぞの中央同士を合わせた状態で容易に重ねることができる。例えば、一の吸収性物品10を他の吸収性物品10に対して重ねる際に、一の吸収性物品10の中央に指を添え、他の吸収性物品10の中央を視認によって確認し、そこに向かって一の吸収性物品10の中央に添えた指を移動させることによって、吸収性物品10の中央同士を合わせた状態で複数の吸収性物品10を容易に重ねることができる。
【0041】
また、吸収性物品10の外形が正方形状であるので、各吸収性物品10の対角線の角度(以下、単に「吸収性物品10の角度」という。)を互いに異ならせるように複数の吸収性物品10を重ねたとしても、角部10a以外の広範囲の領域を重ねることができ、各吸収性物品10を上記所望の位置に配置することができる。また、各吸収性物品10の角度を互いに異ならせるように複数の吸収性物品10を重ねたとしても、互いに異なる箇所は、角部10aという小さな領域であるので、装着時の違和感を抑えることができ、装着感の低下を抑えることができる。
【0042】
また、吸収体13が吸収性物品10の外形の中央に配置されるので、複数の吸収性物品10を重ねる際に、中央同士を合わせることによって、吸収体13を略同じ位置に配置することができる。すなわち、複数の吸収性物品10を重ねても、吸収体13を上記所望の位置に、容易に配置することができる。
【0043】
また、吸収体13の外形が円形状であるので、吸収性物品10の角度をどのような角度にしても、吸収性物品10の中心から吸収体13の外端部までの距離が略一定となる。このため、吸収性物品10の角度をどのような角度にしても、安定した吸収性能を確保することができる。なお、吸収体13の外形が角の数が比較的多い正多角形状であっても、同様の効果を期待できる。
【0044】
このように、吸収性物品10は、重ねて使用することに特化した構成を有しており、以下で説明する使用方法に適した吸収性物品10となっており、以下の使用方法でしようすることにより、吸収性物品10の取替作業の煩雑さを抑えることができる。詳細は、後述する。
【0045】
次に、吸収性物品の使用方法を図面に基づいて説明する。
【0046】
図4は、複数重ねた吸収性物品10を肌側から視た状態を示す平面図である。
【0047】
本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の使用方法は、上記吸収性物品10の使用方法であって、尿を吸収した使用済みの吸収性物品10(以下、「使用済み吸収性物品10」という。)を取り外すことなく、使用済み吸収性物品10に対して、未使用の新規の吸収性物品10(以下、「新しい吸収性物品10」という。)を重ねて使用することを繰り返し、ある程度溜まってからまとめて取り外して廃棄する方法である。
【0048】
具体的には、使用者は、先ず、新しい吸収性物品10A(図4参照)から保護シート15を取り外し、新しい吸収性物品10Aの粘着層14を下着等の内面の所望の位置(尿が排出される局所。以下同じ。)に貼り付ける。これにより、最初の新しい吸収性物品10Aが装着された状態となる。図4では、吸収性物品10B,10Cが取り付けられているが、新しい吸収性物品10Aを取り付けた段階では、吸収性物品10B,10Cは取り付けられておらず、吸収性物品10Aのみを取り付けた状態となる。
【0049】
新しい吸収性物品10Aを装着した状態で使用者(装着者)が尿失禁をし、吸収性物品10Aが尿を吸収すると、使用者は、この使用済み吸収性物品10Aを取り外すことなく、新しい吸収性物品10Bを使用済み吸収性物品10Aのトップシート11上(トップシート11の肌側の面)に貼り付けて使用する。このとき、図4の吸収性物品10Cは取り付けられておらず、吸収性物品10A,10Bを取り付けた状態となっている。新しい吸収性物品10Bを使用済み吸収性物品10Aに貼り付ける際には、新しい吸収性物品10Bの吸収体13が使用済み吸収性物品10Aの吸収体13に同位置(上記所望の位置)で重なることが好ましい。また、新しい吸収性物品10Bを使用済み吸収性物品10Aに貼り付ける際には、新しい吸収性物品10Bの角部10abが使用済み吸収性物品10Aの角部10aaに重ならないように、互いの対角線la,lbが異なる角度となる状態で貼り付けることが好ましい。
【0050】
新しい吸収性物品10Bを装着した状態で使用者が尿失禁をし、吸収性物品10Bが尿を吸収すると、使用者は、この使用済み吸収性物品10Bを取り外すことなく、新しい吸収性物品10Cを使用済み吸収性物品10Bのトップシート11上に貼り付けて使用する。新しい吸収性物品10Cを使用済み吸収性物品10Bに貼り付ける際には、上記と同様に、新しい吸収性物品10Cの吸収体13が使用済み吸収性物品10Bの吸収体13に同位置(上記所望の位置)で重なることが好ましい。また、新しい吸収性物品10Cを使用済み吸収性物品10Bに貼り付ける際には、新しい吸収性物品10Cの角部10acが使用済み吸収性物品10Bの角部10abに重ならないように、互いの対角線lb,lcが異なる角度となる状態で貼り付けることが好ましい。
【0051】
新しい吸収性物品10Cを装着した状態で使用者が尿失禁をし、吸収性物品10Cが尿を吸収すると、使用者は、使用済み吸収性物品10A,10B,10Cをまとめて取り外して廃棄する。その後、新しい吸収性物品10Aを装着してもよい。なお、本実施形態では、3枚の吸収性物品10を重ねて使用する例を説明したが、2枚、或いは4枚以上の吸収性物品10を重ねて使用してもよい。
【0052】
本実施形態に係る吸収性物品の使用方法では、使用済み吸収性物品10を取り外すことなく、新しい吸収性物品10を使用済み吸収性物品10に対して重ねて使用することを繰り返し、最後にまとめて複数の使用済み吸収性物品10を取り外して廃棄する。このため、使用済み吸収性物品10をその都度取り外して新しい吸収性物品10に取り替える場合とは異なり、使用済み吸収性物品10を取り外す作業回数を抑えることができるので、吸収性物品10の取替作業の煩雑さを抑えることができる。例えば、特に、吸収性物品10の取替作業に慣れていない男性であっても、数回は使用済み吸収性物品10を取り外さなくてもよいので、吸収性物品10の取替作業の煩雑さを抑えることができる。
【0053】
また、新しい吸収性物品10を使用済み吸収性物品10に貼り付ける際には、新しい吸収性物品10の角部10aが使用済み吸収性物品10の角部10aに重ならないように、互いの対角線が異なる角度となる状態で貼り付けることが好ましい。これにより、新しい吸収性物品10を使用済み吸収性物品10に貼り付けた後、位置ずれ等によって貼り直しをする際に、新しい吸収性物品10の角部10aが使用済み吸収性物品10の角部10aに重っている場合とは異なり、新しい吸収性物品10の角部10aをつまみ易いので、容易に貼り直すことができる。また、最後にまとめて複数の使用済み吸収性物品10を取り外して廃棄する際に、最も非肌側にある使用済み吸収性物品10の角部10aをつまんで取り外すことによって、複数の使用済み吸収性物品10を取り外して廃棄することができる。
【0054】
本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の使用方法は、上記吸収性物品10の使用方法であって、複数の吸収性物品10を予め重ねた状態(積層した状態)で装着しておき、尿失禁した際に最上層の使用済み吸収性物品10を剥がして廃棄し、その下の新しい吸収性物品10を使用する方法である。
【0055】
具体的には、図4に示すように、使用者は、先ず、複数(例えば、3枚)の新しい吸収性物品10A,10B,10Cを重ねた状態で装着しておく。吸収性物品10Aの粘着層14は、下着等の内面の上記所望の位置に貼り付けられ、吸収性物品10Bの粘着層14は、吸収性物品10Aのトップシート11上に貼り付けられ、吸収性物品10Cの粘着層14は、吸収性物品10Bのトップシート11上に貼り付けられている。複数の吸収性物品10A,10B,10Cは、吸収体13が互いに同位置となる状態で重ねられていることが好ましい。また、複数の吸収性物品10A,10B,10Cの各々は、その角部10aが他の吸収性物品の角部10aに重ならないように、対角線la,lb,lcが互いに異なる角度となる状態で重ねられていることが好ましい。なお、積層した新しい吸収性物品10A,10B,10Cを装着する場合、装着前に全ての新しい吸収性物品10A,10B,10Cを重ねた状態にしてから、複数まとめて下着等に装着してもよいし、或いは吸収性物品10Aを下着等に装着した後、吸収性物品10Bを吸収性物品10Aに貼り付け、最後に吸収性物品10Cを吸収性物品10Bに貼り付けてもよい。
【0056】
複数の新しい吸収性物品10A,10B,10Cを重ねて装着した状態で、使用者が尿失禁をし、吸収性物品10Cが尿を吸収すると、使用者は、複数の吸収性物品10A,10B,10Cから使用済み吸収性物品10Cのみを取り外して廃棄する。すなわち、使用済み吸収性物品10Cを取り外して廃棄した後、新しい吸収性物品10A,10Bが下着等に装着されたままの状態となっているので、使用者は、新しい吸収性物品10を装着することなく、肌側に露出する新しい吸収性物品10Bを使用する。
【0057】
新しい吸収性物品10A,10Bを重ねて装着した状態で、使用者が尿失禁をし、吸収性物品10Bが尿を吸収すると、使用者は、複数の吸収性物品10A,10Bから使用済み吸収性物品10Bのみを取り外して廃棄する。すなわち、使用済み吸収性物品10Bを取り外して廃棄した後、新しい吸収性物品10Aが下着等に装着されたままの状態となっているので、使用者は、新しい吸収性物品10を装着することなく、肌側に露出する新しい吸収性物品10Aを使用する。
【0058】
新しい吸収性物品10Aを装着した状態で、使用者が尿失禁をし、吸収性物品10Bが尿を吸収すると、使用者は、使用済み吸収性物品10Aを下着等から取り外して廃棄してもよいし、或いは上記第1実施形態のように、新しい吸収性物品10Bを使用済み吸収性物品10Aのトップシート11上に貼り付けて使用してもよい。なお、本実施形態では、3枚の吸収性物品10を予め重ねて装着する例を説明したが、2枚、或いは4枚以上の吸収性物品10を予め重ねて装着してもよい。
【0059】
本実施形態に係る吸収性物品の使用方法では、複数の吸収性物品10を予め重ねた状態で装着しておき、尿失禁した際に最上層の使用済み吸収性物品10を剥がして廃棄し、その下の新しい吸収性物品10を使用する。このため、使用済み吸収性物品10をその都度取り外して新しい吸収性物品10に取り替える場合とは異なり、新しい吸収性物品10を取り付ける作業回数を抑えることができるので、吸収性物品10の取替作業の煩雑さを抑えることができる。例えば、特に、吸収性物品10の取替作業に慣れていない男性であっても、数回は新しい吸収性物品10を取り付けなくてもよいので、吸収性物品10の取替作業の煩雑さを抑えることができる。
【0060】
また、複数の吸収性物品10の各々は、その角部10aが他の吸収性物品の角部10aに重ならないように、対角線が互いに異なる角度となる状態で重ねられていることが好ましい。これにより、最上層の使用済み吸収性物品10を剥がして廃棄する際に、吸収性物品10の角部10aが互いに重なっている場合とは異なり、使用済み吸収性物品10の角部10aをつまみ易いので、容易に最上層の使用済み吸収性物品10のみを剥がして廃棄することができる。
【0061】
なお、本開示に係る吸収性物品10は、重ねて使用することに特化した吸収性物品10であるが、例えば、尿失禁の頻度が少ない人等は、上記吸収性物品10を1枚単独で使用することもできる。
【0062】
また、上記第1本実施形態及び上記第2実施形態では、複数の吸収性物品10を対角線が異なる角度となる状態で重ねたが、これに限定されるものではなく、複数の吸収性物品10を同じ角度で重ねてもよい。
【0063】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10,10A,10B,10C:吸収性物品
10a,10aa,10ab,10ac:角部
11:トップシート
12:バックシート
13:吸収体
14:粘着層
図1
図2
図3
図4