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  • 特開-車両用のワイヤハーネスシステム 図1
  • 特開-車両用のワイヤハーネスシステム 図2
  • 特開-車両用のワイヤハーネスシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170976
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両用のワイヤハーネスシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20231124BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60R16/02 620S
H02G3/16
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083111
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA06
5G361BB01
(57)【要約】
【課題】後嵌めされる電線の数を低減できる車両用のワイヤハーネスシステムを提供すること。
【解決手段】車両用のワイヤハーネスシステム1は、電気接続箱10と、複数のサブハーネス20A~20Cから構成されるワイヤハーネス20と、を備える。複数のサブハーネス20A~20Cの各々は、電気接続箱10と、ワイヤハーネスシステム1が適用される車両の特定のシステムを実現する一又は複数の電装品41~49と、を接続する。電気接続箱10は、複数のサブハーネス20A~20Cの各々に対応した複数のブロック10A~10Cに区分けされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱と、複数のサブハーネスから構成されるワイヤハーネスと、を備える、車両用のワイヤハーネスシステムであって、
前記複数の前記サブハーネスの各々は、
前記電気接続箱と、前記ワイヤハーネスシステムが適用される車両の特定のシステムを実現する一又は複数の電装品と、を接続し、
前記電気接続箱は、
前記複数の前記サブハーネスの各々に対応した複数のブロックに区分けされる、
車両用のワイヤハーネスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスシステムにおいて、
前記複数の前記ブロックは、
第1の前記システムに対応する第1ブロックと、第2の前記システムに対応する第2ブロックと、を有し、
前記第1ブロックに対応する前記サブハーネスに属する電線は、
前記第2ブロックには接続されず、
前記第2ブロックに対応する前記サブハーネスに属する電線は、
前記第1ブロックには接続されない、
車両用のワイヤハーネスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のワイヤハーネスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のワイヤハーネスは、一般に、電気接続箱(例えば、ヒューズ及びリレー等を格納した電源ボックス)と、車両に設けられた複数の電装品と、を接続するための複数のサブハーネスを有している。ワイヤハーネスは、複数のサブハーネスを組み合わせる(束ねる)ことによって製造される。一方、サブハーネスは、一般に、一又は複数の電線と、電線の端部に取り付けられた端子が収容されたコネクタハウジングと、を有している(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上述したように製造されたワイヤハーネスと、電気接続箱と、を含む一連のシステムを、以下「ワイヤハーネスシステム」と称呼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-010514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のワイヤハーネスシステムは、一般に、複数のリレー及びヒューズ等を格納した電気接続箱に、複数のサブハーネスを接続することで構成されるようになっている。従来のワイヤハーネスシステムでは、通常、サブハーネスを製造した時点では、コネクタハウジングに端子が収容済みの(いわゆる「先嵌め」済みの)電線もあれば、コネクタハウジングに端子が収容されずに独立した状態となっている電線もある。後者の電線の端子は、複数のサブハーネスを束ねて電気接続箱への接続を行う過程で、他のコネクタハウジング(例えば、他のサブハーネスに属するコネクタハウジング)に収容される場合もあれば、直接的に電気接続箱に取り付けられる場合もある。即ち、後者の電線は、いわゆる「後嵌め」の処理を要することになる。
【0006】
後嵌めは、一般に、機械による自動化が困難である。更に、自動化に代えて作業者の手作業で後嵌めを行うにあたっても、既に先嵌め済みの電線を掻き分けながら、コネクタハウジングや電気接続箱の所定の箇所に後嵌めを行うことになる。よって、後嵌めの作業は、一般に煩雑であり、その作業効率を向上させ難い。そこで、ワイヤハーネスシステムを構成する際の作業効率を高めて製造コストを低減する観点では、後嵌めの数を出来る限り低減することが望ましい。
【0007】
本発明の目的の一つは、後嵌めされる電線の数を低減できる車両用のワイヤハーネスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用のワイヤハーネスシステムは、以下を特徴としている。
【0009】
電気接続箱と、複数のサブハーネスから構成されるワイヤハーネスと、を備える、車両用のワイヤハーネスシステムであって、
前記複数の前記サブハーネスの各々は、
前記電気接続箱と、前記ワイヤハーネスシステムが適用される車両の特定のシステムを実現する一又は複数の電装品と、を接続し、
前記電気接続箱は、
前記複数の前記サブハーネスの各々に対応した複数のブロックに区分けされる、
車両用のワイヤハーネスシステムであること。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバスバモジュールによれば、電気接続箱が複数のブロックに区分けされ、複数のブロックの各々に、車両の特定のシステム(例えば、燃料噴射系システム、灯火系システム、及び、その他のシステム等)を実現する電装品に接続されるサブハーネスが、接続されることになる。即ち、特定のシステムに繋がるサブハーネスと、その特定のシステムに対応したヒューズ等の電子部品が取り付けられるブロックと、が一対一に対応する。特定のシステム(機能)ごとにサブハーネスを完結させやすくなることで、複数のサブハーネス間をまたぐような後嵌めを要する電線を減らすことができる。即ち、サブハーネスの構造が複雑になり難く、後嵌めされる電線の数を少なくすることができる。このように、本構成のワイヤハーネスシステムは、後嵌めされる電線の数を出来る限り低減することが可能である。
【0011】
更に、上記の効果に加え、後嵌めされる電線の接続先の電子部品を電気接続箱の各ブロックの出来る限り周縁部分に配置することで、先嵌め済みの電線を掻き分けながら後嵌めを行う作業を容易化できる。即ち、後嵌めされる電線の数を減らすことに加え、各ブロックの周縁部分で後嵌めを行うことで、ワイヤハーネスシステムの生産性を更に高めることができる。加えて、特定のシステム(機能)に属する電装品は、通常、車両内の互いに近い位置に配置されることが多いため、サブハーネスの配索を容易化できる。更に、車両の仕様等に応じてブロック単位でサブハーネスを準備することで、サブハーネスの品番管理を容易化できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るワイヤハーネスシステムが適用された車両を示す概略図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱と各サブハーネスとの接続箇所をより詳細に説明するための概略図である。
図3図3は、図1に示す電気接続箱に含まれる複数のブロック筐体の配置態様の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るワイヤハーネスシステム1について説明する。図1に示すように、ワイヤハーネスシステム1は、車両2に適用され、電気接続箱(電源ボックス)10と、複数のサブハーネス20A,20B,20Cから構成されるワイヤハーネス20と、備える。電気接続箱10は、電源用ケーブル4を介して、車両2のバッテリ3と接続されている。複数のサブハーネス20A,20B,20Cは、図示しないテープ等によって束ねられ、ワイヤハーネス20を形成している。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前」、「後」、「左」及び「右」を定義する。「前後方向」及び「左右方向」は、互いに直交している。前後方向及び左右方向は、車両の前後方向及び左右方向とそれぞれと一致している。
【0016】
電気接続箱10は、具体的には、図1図3に示すように、互いに独立配置された3つのブロック筐体10A,10B,10Cを含んでいる。換言すれば、電気接続箱10は、3つのブロック筐体10A,10B,10Cによって、3つのブロックに区分けされている。ブロック筐体10A,10B,10Cの各々には、一又は複数のリレー11、及び、一又は複数のヒューズ12が設けられている(図2参照)。
【0017】
複数のサブハーネス20A,20B,20Cの各々は、図1に示すように、電気接続箱10と、車両2の特定のシステムを実現する一又は複数の電装品と、を接続している。具体的には、サブハーネス20Aは、電気接続箱10と、「燃料噴射系システム」を実現する複数の電装品とを接続し、サブハーネス20Bは、電気接続箱10と、「灯火系システム」を実現する複数の電装品とを接続し、サブハーネス20Cは、電気接続箱10と、「その他のシステム」を実現する複数の電装品とを接続している。
【0018】
「燃料噴射系システム」を実現する複数の電装品は、本例では、車両2の後部に配置されたフューエルポンプ41と、車両2の前部のエンジンルーム内に配置されたラジエータ42、ラジエータファン43、燃料噴射用インジェクタ44及びスタータ45と、を含む(図1参照)。「灯火系システム」を実現する複数の電装品は、本例では、車両2の前部に配置された左右一対のヘッドランプ46と、車両2の前部に配置された左右一対のフォグランプ47と、を含む(図1参照)。「その他のシステム」を実現する複数の電装品は、本例では、車両2の中央部に配置されたエアコンブロアモータ48と、車両2の前部に配置されたホーン49と、を含む(図1参照)。
【0019】
サブハーネス20Aは、図2に示すように、電線21,22と、コネクタハウジング31,32と、を有している。コネクタハウジング31には、電線21を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。コネクタハウジング32には、電線22を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。電線21は、サブハーネス20Aの製造時点にてコネクタハウジング31に端子が収容される電線(先嵌め電線)である。電線21のコネクタハウジング31は、サブハーネス20Aの製造時点にて、ブロック筐体10Aに嵌合されてもよい。電線22は、サブハーネス20Aの製造時点ではコネクタハウジング32に端子が収容されずに独立した状態にあり且つサブハーネス20Aの電気接続箱10への接続過程でコネクタハウジング32に端子が収容される処理(所謂「後嵌め」の処理)が行われる電線(後嵌め電線)である。
【0020】
サブハーネス20Bは、図2に示すように、電線23,24と、コネクタハウジング33,34と、を有している。コネクタハウジング33には、電線23を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。コネクタハウジング34には、電線24を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。電線23は、サブハーネス20Bの製造時点にてコネクタハウジング33に端子が収容される電線(先嵌め電線)である。電線23のコネクタハウジング33は、サブハーネス20Bの製造時点にて、ブロック筐体10Bに嵌合されてもよい。電線24は、サブハーネス20Bの製造時点ではコネクタハウジング34に端子が収容されずに独立した状態にあり且つサブハーネス20Bの電気接続箱10への接続過程でコネクタハウジング34に端子が収容される後嵌めの処理が行われる電線(後嵌め電線)である。
【0021】
サブハーネス20Cは、図2に示すように、電線25,26,27と、コネクタハウジング35,36,37a,37bと、を有している。コネクタハウジング35には、電線25を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。コネクタハウジング36には、電線26を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)の全てが収容される。コネクタハウジング37a及び37bには、電線27を構成する複数の細電線の電気接続箱10側の端末部にそれぞれ取り付けられた複数の端子(図示省略)のうちの一部の端子及び残りの端子がそれぞれ収容される。電線25は、サブハーネス20Cの製造時点にてコネクタハウジング35に端子が収容される電線(先嵌め電線)である。電線25のコネクタハウジング35は、サブハーネス20Cの製造時点にて、ブロック筐体10Cに嵌合されてもよい。電線26は、サブハーネス20Cの製造時点ではコネクタハウジング36に端子が収容されずに独立した状態にあり且つサブハーネス20Cの電気接続箱10への接続過程でコネクタハウジング36に端子が収容される後嵌めの処理が行われる電線(後嵌め電線)である。電線27も、電線26と同様に、サブハーネス20Cの製造時点ではコネクタハウジング37a,37bに端子が収容されずに独立した状態にあり且つサブハーネス20Cの電気接続箱10への接続過程でコネクタハウジング37a,37bに端子が収容される後嵌めの処理が行われる電線(後嵌め電線)である。
【0022】
製造された複数のサブハーネス20A,20B,20Cは、必要に応じてテープ等によって束ねられた後に、電気接続箱10に接続される。具体的には、サブハーネス20Aについては、後嵌め電線22の前記複数の端子の全てをコネクタハウジング32に収容する後嵌めの処理が行われた後に、電線21及び22にそれぞれ接続された状態にあるコネクタハウジング31及び32が、ブロック筐体10Aに設けられた対応するコネクタ接続部(図示省略)にそれぞれ接続される。このように、サブハーネス20Aに属する全ての電線21,22がブロック筐体10Aに接続される。これにより、サブハーネス20Aは、「燃料噴射系システム」を実現する複数の電装品41~45(図1参照)に必要な電力を供給可能となる。なお、ブロック筐体10Aにおいて、後嵌め電線22の接続先のリレー11及びヒューズ12等の電子部品は、ブロック筐体10Aの出来る限り周縁部分(例えば、図3に示す領域10a等)に配置することが好適である。これにより、先嵌め電線21を掻き分けながら後嵌め電線22に対して後嵌めを行う作業を容易化できる。
【0023】
サブハーネス20Bについては、後嵌め電線24の前記複数の端子の全てをコネクタハウジング34に収容する後嵌めの処理が行われた後に、電線23及び24にそれぞれ接続された状態にあるコネクタハウジング33及び34が、ブロック筐体10Bに設けられた対応するコネクタ接続部(図示省略)にそれぞれ接続される。このように、サブハーネス20Bに属する全ての電線23,24がブロック筐体10Bに接続される。これにより、サブハーネス20Bは、「灯火系システム」を実現する複数の電装品46~47(図1参照)に必要な電力を供給可能となる。なお、ブロック筐体10Bにおいて、後嵌め電線24の接続先のリレー11及びヒューズ12等の電子部品は、ブロック筐体10Bの出来る限り周縁部分(例えば、図3に示す領域10b等)に配置することが好適である。これにより、先嵌め電線23を掻き分けながら後嵌め電線24に対して後嵌めを行う作業を容易化できる。
【0024】
サブハーネス20Cについては、後嵌め電線26の前記複数の端子の全てをコネクタハウジング36に収容する後嵌めの処理、並びに、後嵌め電線27の前記複数の端子のうちの一部の端子及び残りの端子をコネクタハウジング37a,37bにそれぞれ収容する後嵌めの処理が行われた後に、電線25~27にそれぞれ接続された状態にあるコネクタハウジング35,36及び37aが、ブロック筐体10Cに設けられた対応するコネクタ接続部(図示省略)にそれぞれ接続される。一方、電線27に接続された状態にあるコネクタハウジング37bは、(ブロック筐体10Cではなく)ブロック筐体10Bに設けられた対応するコネクタ接続部(図示省略)に接続される。このように、サブハーネス20Cに属する電線25,26及び電線27の一部がブロック筐体10Cに接続され、且つ、サブハーネス20Cに属する電線27の残りの部分がブロック筐体10Bに接続される。これにより、サブハーネス20Cは、「その他のシステム」を実現する複数の電装品48~49(図1参照)に必要な電力を供給可能となる。なお、ブロック筐体10Cにおいて、後嵌め電線26,27の接続先のリレー11及びヒューズ12等の電子部品は、ブロック筐体10Cの出来る限り周縁部分(例えば、図3に示す領域10c等)に配置することが好適である。これにより、先嵌め電線25を掻き分けながら後嵌め電線26,27に対して後嵌めを行う作業を容易化できる。
【0025】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るワイヤハーネスシステム1によれば、電気接続箱10が複数のブロック筐体10A~10Cを含み(即ち、3つのブロックに区分けされ)、複数のブロック筐体10A~10Bの各々に、車両の特定のシステム(具体的には、燃料噴射系システム、灯火系システム、及び、その他のシステム)を実現する電装品に接続されるサブハーネス20A~20Cが、接続されることになる。即ち、特定のシステムに繋がるサブハーネス20A~20Cと、その特定のシステムに対応したリレー11及びヒューズ12等の電子部品が取り付けられるブロック筐体10A~10Cと、が一対一に対応する。特定のシステム(機能)ごとにサブハーネス20A~20Cを完結させやすくなることで、複数のサブハーネス20A~20C間をまたぐような後嵌めを要する電線を減らすことができる。即ち、サブハーネス20A~20Cの構造が複雑になり難く、後嵌めされる電線の数を少なくすることができる。また、特定のシステム(機能)に属する電装品は、通常、車両2内の互いに近い位置に配置されることが多いため、サブハーネス20A~20Cの配索を容易化できる。なお、車両2の仕様等に応じてブロック単位でサブハーネス20A~20Cを準備することで、サブハーネス20A~20Cの品番管理を容易化できる。このように、本実施形態に係るワイヤハーネスシステム1は、後嵌めされる電線の数を出来る限り低減することが可能である。
【0026】
更に、上記の効果に加え、後嵌めされる電線の接続先のリレー11及びヒューズ12等の電子部品を電気接続箱10の各ブロック筐体10A~10Cの出来る限り周縁部分(例えば、図3に示す領域10a~10c)に配置することで、先嵌め済みの電線を掻き分けながら後嵌めを行う作業を容易化できる。即ち、後嵌めされる電線の数を減らすことに加え、各ブロック筐体10A~10Cの周縁部分で後嵌めを行うことで、ワイヤハーネスシステム1の生産性を更に高めることができる。
【0027】
更に、電気接続箱10のブロック筐体10A(燃料噴射系システムに対応するブロック)に対応するサブハーネス20Aはブロック筐体10Bには接続されず、電気接続箱10のブロック筐体10B(灯火系システムに対応するブロック)に対応するサブハーネス20Bはブロック筐体10Aには接続されない。即ち、ブロック筐体10Aに接続されるサブハーネス20Aからブロック筐体10Bに接続されるような電線を無くすことで、サブハーネス20Aを完結させやすくなる。ブロック筐体10Bに接続されるサブハーネス20Bについても、同様である。その結果、後嵌めされる電線を減らすことができる。
【0028】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0029】
上記実施形態では、サブハーネス20Cに属する電線25~27のうちの一部が、ブロック筐体10Bに接続されている。これに対し、サブハーネス20Cに属する電線25~27のうちの一部が、ブロック筐体10Cに接続されてもよい。或いは、サブハーネス20Cに属する電線25~27のうちの一部が、ブロック筐体10B及びブロック筐体10Cの双方に接続されてもよい。或いは、サブハーネス20Cに属する電線25~27の全てが、ブロック筐体10Cのみに接続されて、ブロック筐体10B及びブロック筐体10Cに接続されなくてもよい。
【0030】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスシステム1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0031】
[1]
電気接続箱(10)と、複数のサブハーネス(20A~20C)から構成されるワイヤハーネス(20)と、を備える、車両用のワイヤハーネスシステム(1)であって、
前記複数の前記サブハーネス(20A~20C)の各々は、
前記電気接続箱(10)と、前記ワイヤハーネスシステム(1)が適用される車両の特定のシステムを実現する一又は複数の電装品(41~49)と、を接続し、
前記電気接続箱(10)は、
前記複数の前記サブハーネス(20A~20C)の各々に対応した複数のブロック(10A~10C)に区分けされる、
車両用のワイヤハーネスシステム(1)。
【0032】
上記[1]の構成のワイヤハーネスシステムによれば、電気接続箱が複数のブロックに区分けされ、複数のブロックの各々に、車両の特定のシステム(例えば、燃料噴射系システム、灯火系システム、及び、その他のシステム等)を実現する電装品に接続されるサブハーネスが、接続されることになる。即ち、特定のシステムに繋がるサブハーネスと、その特定のシステムに対応したヒューズ等の電子部品が取り付けられるブロックと、が一対一に対応する。特定のシステム(機能)ごとにサブハーネスを完結させやすくなることで、複数のサブハーネス間をまたぐような後嵌めを要する電線を減らすことができる。即ち、サブハーネスの構造が複雑になり難く、後嵌めされる電線の数を少なくすることができる。また、特定のシステム(機能)に属する電装品は、通常、車両内の互いに近い位置に配置されることが多いため、サブハーネスの配索を容易化できる。なお、車両の仕様等に応じてブロック単位でサブハーネスを準備することで、サブハーネスの品番管理を容易化できる。このように、本構成のワイヤハーネスシステムは、後嵌めされる電線の数を出来る限り低減することが可能である。
【0033】
更に、上記の効果に加え、後嵌めされる電線の接続先の電子部品を電気接続箱の各ブロックの出来る限り周縁部分に配置することで、先嵌め済みの電線を掻き分けながら後嵌めを行う作業を容易化できる。即ち、後嵌めされる電線の数を減らすことに加え、各ブロックの周縁部分で後嵌めを行うことで、ワイヤハーネスシステムの生産性を更に高めることができる。
【0034】
[2]
上記[1]に記載のワイヤハーネスシステム(1)において、
前記複数の前記ブロック(10A~10C)は、
第1の前記システムに対応する第1ブロック(10A)と、第2の前記システムに対応する第2ブロック(10B)と、を有し、
前記第1ブロック(10A)に対応する前記サブハーネス(20A)に属する電線(21,22)は、
前記第2ブロック(10B)には接続されず、
前記第2ブロック(10B)に対応する前記サブハーネス(20B)に属する電線(23,24)は、
前記第1ブロック(10A)には接続されない、
車両用のワイヤハーネスシステム(1)。
【0035】
上記[2]の構成のワイヤハーネスシステムによれば、電気接続箱の第1ブロック(例えば、燃料噴射系システムに対応するブロック)に対応するサブハーネスは第2ブロックには接続されず、電気接続箱の第2ブロック(例えば、灯火系システムに対応するブロック)に対応するサブハーネスは第1ブロックには接続されない。即ち、第1ブロックに接続されるサブハーネスから第2ブロックに接続されるような電線を無くすことで、サブハーネスを完結させやすくなる。第2ブロックに接続されるサブハーネスについても、同様である。その結果、後嵌めされる電線を減らすことができる。なお、第1ブロック及び第2ブロック以外の他のブロックに対応するサブハーネスに属する電線は、出来る限り第1ブロック及び第2ブロックに接続されないことが好ましいが、第1ブロック及び第2ブロックに接続されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ワイヤハーネスシステム
10 電気接続箱
10A~10C ブロック筐体(ブロック)
10A ブロック筐体(第1ブロック)
10B ブロック筐体(第2ブロック)
20 ワイヤハーネス
20A~20C サブハーネス
21~24 電線
41~49 電装品
図1
図2
図3