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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170992
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】竿装着具及びリールシート
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/06 20060101AFI20231124BHJP
   A01K 87/08 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A01K87/06 B
A01K87/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083135
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】小澤 知之
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA06
2B019CB02
2B019CB03
2B019CB10
(57)【要約】
【課題】竿体に変位可能に装着される竿装着具を確実に固定できるようにする。
【解決手段】釣竿の竿体3の外周面に装着される竿装着具であって、竿体3が貫通する挿通孔を有し、竿体3の外周面に変位可能に装着される本体10と、本体10に装着され、本体10を挿通孔の径方向の内側に弾性変形させる押圧体13と、本体10の内周面と竿体3の外周面との間に設けられ、本体10を竿体3の外周面に保持する保持体14と、を備え、押圧体13は、第1締め付け部材70と第2締め付け部材71を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の竿体の外周面に装着される竿装着具であって、
前記竿体が貫通する挿通孔を有し、前記竿体の外周面に変位可能に装着される本体と、
前記本体に装着され、前記本体を前記挿通孔の径方向の内側に弾性変形させる押圧体と、
前記本体の内周面と前記竿体の外周面との間に設けられ、前記本体を前記竿体の外周面に保持する保持体と、
を備える、竿装着具。
【請求項2】
前記本体は、前記挿通孔の軸方向の第1端部に設けられる第1変形部を有し、
前記押圧体は、前記第1変形部の外周面に装着されて前記第1変形部を前記径方向の内側に弾性変形させる第1締め付け部材を有し、
前記保持体は、前記第1変形部の内周面に設けられる第1層状部を有する、請求項1に記載の竿装着具。
【請求項3】
前記第1変形部は、前記軸方向に延びると共に互いに周方向に離間する複数の第1弾性片を有する、請求項2に記載の竿装着具。
【請求項4】
前記第1変形部は、外周面に、前記軸方向の第2端部に向けて拡径する第1ネジ部を有し、
前記第1締め付け部材は、前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有する、請求項3に記載の竿装着具。
【請求項5】
前記本体は、前記軸方向の第2端部に設けられる第2変形部をさらに有し、
前記押圧体は、前記第2変形部の外周面に装着されて前記第2変形部を前記径方向の内側に弾性変形させる第2締め付け部材をさらに有し、
前記保持体は、前記第2変形部の内周面に設けられる第2層状部をさらに有する、請求項2に記載の竿装着具。
【請求項6】
前記第2変形部は、前記軸方向に延びると共に互いに周方向に離間する複数の第2弾性片を有する、請求項5に記載の竿装着具。
【請求項7】
前記第2変形部は、外周面に、前記軸方向の第1端部に向けて拡径する第3ネジ部を有し、
前記第2締め付け部材は、前記第3ネジ部に螺合する第4ネジ部を有する、請求項6に記載の竿装着具。
【請求項8】
前記本体は、リールを前記釣竿に取り付けるためのリール載置部を有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載の竿装着具。
【請求項9】
前記本体は、釣糸ガイドを有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載の竿装着具。
【請求項10】
リールを釣竿に取り付けるために、釣竿の竿体の外周面に装着されるリールシートであって、
前記竿体が貫通する挿通孔、及び外周面に雄ネジ部を有し、前記竿体の外周面に変位可能に装着される本体と、
前記本体に装着され、前記リールの脚を保持する可動フードと、
前記雄ネジ部に螺合し、前記可動フードを前記挿通孔の軸方向に移動させるナットと、
前記本体に装着され、前記本体を前記挿通孔の径方向の内側に弾性変形させる押圧体と、
前記本体の内周面と前記竿体の外周面との間に設けられ、前記本体を前記竿体の外周面に保持する保持体と、
を備える、リールシート。
【請求項11】
前記本体は、前記軸方向の第1端部に設けられる第1変形部を有し、
前記押圧体は、前記第1変形部の外周面に装着されて前記第1変形部を前記径方向の内側に弾性変形させる前記第1締め付け部材を有し、
前記保持体は、前記第1変形部の内周面に設けられる第1層状部を有する、請求項10に記載のリールシート。
【請求項12】
前記第1変形部は、前記軸方向に延びると共に互いに周方向に離間する複数の第1弾性片を有する、請求項11に記載のリールシート。
【請求項13】
前記第1変形部は、外周面に、前記軸方向の第2端部に向けて拡径する第1ネジ部を有し、
前記第1締め付け部材は、前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有する、請求項12に記載のリールシート。
【請求項14】
前記雄ネジ部は、前記軸方向の第1端部側に位置する、請求項13に記載のリールシート。
【請求項15】
前記本体は、
第1外係合部を有する外筒部と、
前記第1外係合部に前記軸方向に係合する第1内係合部、及び、前記本体の第2端部から第1端部に向かう方向に前記外筒部から突出する第1突出部、を有する第1内筒部と、
を有し、
前記外筒部に前記雄ネジ部が設けられ、前記第1突出部に前記第1変形部が設けられる、請求項11乃至14の何れか1項に記載のリールシート。
【請求項16】
前記本体は、前記軸方向の第2端部に設けられる第2変形部をさらに有し、
前記押圧体は、前記第2変形部の外周面に装着されて前記第2変形部を前記径方向の内側に弾性変形させる第2締め付け部材をさらに有し、
前記保持体は、前記第2変形部の内周面に設けられる第2層状部をさらに有し、
前記外筒部は、第2外係合部をさらに有し、
前記本体は、
前記第2外係合部に前記軸方向に係合する第2内係合部、及び、前記本体の第1端部から第2端部に向かう方向に前記外筒部から突出する第2突出部、を有する第2内筒部をさらに有し、
前記第2突出部に前記第2変形部が設けられる、請求項15に記載のリールシート。
【請求項17】
前記外筒部は、前記リールの脚が載置されるリール載置部を有し、
前記第1内筒部は、前記リール載置部の径方向の内側に重なる第1内重合部を有する、請求項15に記載のリールシート。
【請求項18】
前記外筒部は、前記リールの脚が載置されるリール載置部を有し、
前記第2内筒部は、前記リール載置部の径方向の内側に重なる第2内重合部を有する、請求項16に記載のリールシート。
【請求項19】
前記第1内筒部と前記第2内筒部は、互いに同一の部品である、請求項16に記載のリールシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に装着されるリールシート等の竿装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
リールシートには、リールが取り付けられる。一般的には、リールシートは、釣竿の所定位置に固定されている。そのため、釣竿にリールを取り付ける位置は、一定である。
【0003】
これに対して、下記特許文献1では、竿体の軸方向に移動させることができ、その位置に固定することができるリールシートが記載されている。このリールシートは、前後両端部の外周面に雄ネジ部が形成された管状部材と、その雄ネジ部に螺合する一対の締付部材を備えている。一対の締付部材と竿体の外周面との間には、それぞれエラストマーリングが装着される。一対のエラストマーリングは、管状部材よりも前側と後側にそれぞれ位置している。締付部材を雄ネジ部に螺合させていくと、締付部材はエラストマーリングを竿体の軸方向に移動させて管状部材に接近させる。これにより管状部材が竿体に固定される。しかしながら、締付部材によってエラストマーリングを竿体の軸方向に移動させるため、例えば竿体の外周面にゴミが付着している場合にはエラストマーリングが移動しにくい。また、締付部材と竿体の外周面との間にエラストマーリングが介在しているため、締付部材を回転操作しにくい。
【0004】
一方、下記特許文献1の図11には、管状部材の端部の雄ネジ部にスリットが設けられている。そして、締付部材を雄ネジ部に螺合させると管状部材の端部が変形し、それにより管状部材が竿体に固定される。しかしながら、管状部材の端部内周面を竿体の外周面に密着させにくい。即ち、管状部材を竿体にしっかりと固定させにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭50-121091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、変位可能な竿装着具を竿体に確実に固定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1側面の竿装着具は、釣竿の竿体の外周面に装着される。竿装着具は、本体と、押圧体と、保持体とを備える。本体は、竿体が貫通する挿通孔を有する。本体は、竿体の外周面に変位可能に装着される。押圧体は、本体に装着される。押圧体は、本体を挿通孔の径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、本体の内周面と竿体の外周面との間に設けられる。保持体は、本体を竿体の外周面に保持する。この構成によれば、本体が径方向の内側に弾性変形すると、本体が保持体を竿体の外周面に押圧する。そのため、竿装着具を竿体の外周面にしっかりと固定することができる。
【0008】
本発明の第1側面に従う第2側面の竿装着具においては、本体は、第1変形部を有する。第1変形部は、挿通孔の軸方向の第1端部に設けられる。押圧体は、第1締め付け部材を有する。第1締め付け部材は、第1変形部の外周面に装着される。第1締め付け部材は、第1変形部を径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、第1層状部を有する。第1層状部は、第1変形部の内周面に設けられる。この構成によれば、本体の第1端部に第1変形部が設けられているので、第1変形部を容易に径方向の内側に変形させることができる。そして、その第1変形部の内周面に第1層状部が設けられているので、第1層状部を確実に竿体の外周面に密着させることができる。そのため、竿装着具を竿体の外周面により一層確実に固定することができる。
【0009】
本発明の第2側面に従う第3側面の竿装着具においては、第1変形部は、複数の第1弾性片を有する。複数の第1弾性片は、軸方向に延びる。複数の第1弾性片は、互いに周方向に離間する。この構成によれば、第1締め付け部材によって複数の第1弾性片が容易且つ確実に径方向の内側に弾性変形して第1層状部を竿体の外周面に密着させる。
【0010】
本発明の第3側面に従う第4側面の竿装着具においては、第1変形部は、外周面に第1ネジ部を有する。第1ネジ部は、本体の第2端部に向けて拡径する。第1締め付け部材は、第2ネジ部を有する。第2ネジ部は、第1ネジ部に螺合する。この構成によれば、第1締め付け部材を回転操作することで、複数の第1弾性片を均一にしかも容易に径方向に弾性変形させることができ、第1層状部を均一に竿体に密着させることができる。
【0011】
本発明の第2側面から第4側面の何れか一つに従う第5側面の竿装着具においては、本体は、第2変形部をさらに有する。第2変形部は、本体の第2端部に設けられる。押圧体は、第2締め付け部材をさらに有する。第2締め付け部材は、第2変形部の外周面に装着される。第2締め付け部材は、第2変形部を径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、第2層状部をさらに有する。第2層状部は、第2変形部の内周面に設けられる。この構成によれば本体の第1端部と第2端部においてそれぞれ竿体に固定されることになり、大きな固定力が得られる。
【0012】
本発明の第5側面に従う第6側面の竿装着具においては、第2変形部は、第2弾性片を有する。第2弾性片は、軸方向に延びる。第2弾性片は、互いに周方向に離間する。この構成によれば、本体の第2端部を確実に竿体に固定できる。
【0013】
本発明の第6側面に従う第7側面の竿装着具においては、第2変形部は、外周面に第3ネジ部を有する。第3ネジ部は、本体の第1端部に向けて拡径する。第2締め付け部材は、第4ネジ部を有する。第4ネジ部は、第3ネジ部に螺合する。この構成によれば、第2締め付け部材を回転操作することで、複数の第2弾性片を均一にしかも容易に径方向に弾性変形させることができ、第2層状部を均一に竿体に密着させることができる。
【0014】
本発明の第1側面から第7側面の何れか一つに従う第8側面の竿装着具においては、本体は、リール載置部を有する。リール載置部は、リールを釣竿に取り付けるためのものである。この構成によれば、竿装着具のリール載置部にリールを取り付けることができる。竿装着具が竿体に対して軸方向に移動可能であれば、釣竿に対するリールの軸方向の固定位置を容易に変更することができる。竿装着具が竿体に対して周方向に相対回転可能であれば、釣竿に対するリールの周方向の向きを容易に変更することができる。竿装着具が竿体に対して軸方向に移動可能であると共に周方向に相対回転可能であれば、釣竿に対するリールの軸方向の固定位置、及び、釣竿に対するリールの周方向の向きを容易に変更することができる。
【0015】
本発明の第1側面から第7側面の何れか一つに従う第9側面の竿装着具においては、本体は、釣糸ガイドを有する。この構成によれば、竿装着具が竿体に対して軸方向に移動可能であれば、釣糸ガイドの軸方向の位置を容易に変更できる。竿装着具が竿体に対して周方向に相対回転可能であれば、釣糸ガイドの周方向の向きを容易に変更できる。竿装着具が竿体に対して軸方向に移動可能であると共に周方向に相対回転可能であれば、釣糸ガイドの軸方向の固定位置と周方向の向きを容易に変更できる。
【0016】
本発明の第10側面のリールシートは、リールを釣竿に取り付けるために、釣竿の竿体の外周面に装着される。リールシートは、本体と、可動フードと、ナットと、押圧体と、保持体と、を備える。本体は、竿体の外周面に変位可能に装着される。本体は、挿通孔を有する。竿体は挿通孔を貫通する。本体は、外周面に雄ネジ部を有する。可動フードは、本体に装着される。可動フードは、リールの脚を保持する。ナットは、雄ネジ部に螺合する。ナットは、可動フードを挿通孔の軸方向に移動させる。押圧体は、本体に装着される。押圧体は、本体を挿通孔の径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、本体の内周面と竿体の外周面との間に設けられる。保持体は、本体を竿体の外周面に保持する。この構成によれば、リールシートを竿体の外周面にしっかりと固定することができる。
【0017】
本発明の第10側面に従う第11側面のリールシートにおいては、本体は、第1変形部を有する。第1変形部は、本体の第1端部に設けられる。押圧体は、第1締め付け部材を有する。第1締め付け部材は、第1変形部の外周面に装着される。第1締め付け部材は、第1変形部を径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、第1層状部を有する。第1層状部は、第1変形部の内周面に設けられる。この構成によれば、リールシートを竿体の外周面により一層確実に固定することができる。
【0018】
本発明の第11側面に従う第12側面のリールシートにおいては、第1変形部は、複数の第1弾性片を有する。複数の第1弾性片は、軸方向に延びる。複数の第1弾性片は、互いに周方向に離間する。この構成によれば、第1締め付け部材によって複数の第1弾性片が容易且つ確実に径方向の内側に弾性変形して第1層状部を竿体の外周面に密着させる。
【0019】
本発明の第12側面に従う第13側面のリールシートにおいては、第1変形部は、外周面に第1ネジ部を有する。第1ネジ部は、本体の第2端部に向けて拡径する。第1締め付け部材は、第2ネジ部を有する。第2ネジ部は、第1ネジ部に螺合する。この構成によれば、第1締め付け部材を回転操作することで、複数の第1弾性片を均一にしかも容易に径方向に弾性変形させることができ、第1層状部を均一に竿体に密着させることができる。
【0020】
本発明の第13側面に従う第14側面のリールシートにおいては、雄ネジ部は、本体の第1端部側に位置する。この構成によれば、雄ネジ部と第1ネジ部が軸方向に並ぶ。第1ネジ部は雄ネジ部とはネジの仕様が異なる。雄ネジ部に螺合するナットを回転操作することによってリールをリールシートに確実に固定することができる。そして、第1ネジ部に螺合する第1締め付け部材を回転操作することで、リールシートを竿体に確実に固定することができる。ナットと第1締め付け部材がリールに対して軸方向の同じ側に位置しているので、二つの回転操作を容易に行うことができる。しかも、雄ネジ部と第1ネジ部が異なる仕様であるため、ナットと第1締め付け部材とで操作感も異なる。そのため、ナットと第1締め付け部材が軸方向に並んでいても、操作を間違えにくい。
【0021】
本発明の第11側面から第14側面の何れか一つに従う第15側面のリールシートにおいては、本体は、外筒部と、第1内筒部と、を有する。外筒部は、第1外係合部を有する。第1内筒部は、第1内係合部を有する。第1内係合部は、第1外係合部に軸方向に係合する。第1内筒部は、第1突出部を有する。第1突出部は、本体の第2端部から第1端部に向かう方向に、外筒部から突出する。外筒部に雄ネジ部が設けられる。第1突出部に第1変形部が設けられる。この構成によれば、外筒部に対して第1内筒部を別体とすることで、外筒部の材質と第1内筒部の材質を異なるものとすることができる。例えば、外筒部よりも第1内筒部が弾性変形しやすい材質とすることができる。そのため、第1内筒部の第1突出部に設けられた第1変形部を容易に弾性変形させることができる。また、第1内筒部よりも外筒部の強度を上げることも容易である。そのため、リールを外筒部にしっかりと固定することができる。
【0022】
本発明の第15側面に従う第16側面のリールシートにおいては、本体は、第2変形部をさらに有する。第2変形部は、本体の第2端部に設けられる。押圧体は、第2締め付け部材をさらに有する。第2締め付け部材は、第2変形部の外周面に装着される。第2締め付け部材は、第2変形部を径方向の内側に弾性変形させる。保持体は、第2層状部をさらに有する。第2層状部は、第2変形部の内周面に設けられる。外筒部は、第2外係合部をさらに有する。本体は、第2内筒部をさらに有する。第2内筒部は、第2内係合部を有する。第2内係合部は、第2外係合部に軸方向に係合する。第2内筒部は、第2突出部を有する。第2突出部は、本体の第1端部から第2端部に向かう方向に、外筒部から突出する。第2突出部に第2変形部が設けられる。この構成によれば、例えば、外筒部よりも第1内筒部と第2内筒部が弾性変形しやすい材質とすることができる。そのため、第1内筒部の第1突出部に設けられた第1変形部と第2内筒部の第2突出部に設けられた第2変形部を容易に弾性変形させることができる。また、第1内筒部に対して第2内筒部の材質を異なるものとすることもでき、第1内筒部と第2内筒部の材質を同じものとすることもできる。
【0023】
本発明の第15側面に従う第17側面のリールシートにおいては、外筒部は、リール載置部を有する。リール載置部には、リールの脚が載置される。第1内筒部は、第1内重合部を有する。第1内重合部は、リール載置部の径方向の内側に重なる。この構成によれば、リール載置部が第1内重合部によって径方向の内側から支えられる。そのため、リール載置部に載置されたリールの脚が安定する。
【0024】
本発明の第16側面に従う第18側面のリールシートにおいては、外筒部は、リール載置部を有する。リール載置部には、リールの脚が載置される。第2内筒部は、第2内重合部を有する。第2内重合部は、リール載置部の径方向の内側に重なる。この構成によれば、リール載置部が第2内重合部によって径方向の内側から支えられる。そのため、リール載置部に載置されたリールの脚が安定する。
【0025】
本発明の第16側面に従う第19側面のリールシートにおいては、第1内筒部と第2内筒部は、互いに同一の部品である。この構成によれば、第1内筒部と第2内筒部を一つの部品として共用できる。そのため、部品点数を削減でき、リールシートの組立作業も容易となる。更に、第1変形部と第2変形部が互いに同程度で弾性変形するため、操作感が共通する。また、第1変形部における第1固定力と第2変形部における第2固定力が互いに等しくなるため、リールシートをより一層安定して釣竿に固定できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、押圧体が本体を径方向の内側に弾性変形させ、本体の内周面と竿体の外周面との間に保持体が設けられているので、竿装着具が竿体にしっかりと安定して固定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態における竿装着具であるリールシートを示す斜視図。
図2】同リールシートの正面図。
図3】同リールシートの断面図。
図4図3の要部拡大図で、(a)は本体の第1端部側の拡大図、(b)は本体の第2端部側の拡大図。
図5】同リールシートの断面図。
図6】同リールシートの本体を示す断面図。
図7】同本体の分解状態を示す断面図。
図8】同本体の第1内筒を示し、(a)は正面図、(b)は断面図。
図9】(a)及び(b)は、同リールシートを備えた釣竿の使用状態を示す斜視図。
図10】本発明の他の実施形態におけるリールシートを示す平面図。
図11】(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態における竿装着具の使用状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一の実施形態に係る竿装着具とそれを備えた釣竿について図1図9を参酌しつつ説明する。本実施形態における竿装着具は、筒状のリールシート1である。リールシート1の全体を図1図5に示している。尚、釣竿の種類は任意であって、振り出し竿であってもよいし、並継ぎの竿であってもよく、一本の竿体からなる、いわゆるワンピースロッドであってもよい。尚、以下、竿先側を前側と、竿元側を後側と称する。また、釣竿の軸方向を前後方向と称する。釣竿が複数の竿体を備えている場合には、リールシート1は、最も後側に位置する竿体に装着されることが好ましい。尚、釣竿は、釣糸が挿通する図示しない釣糸ガイドを備えている。釣糸ガイドは、竿体の外周面に設けられた外ガイドであってもよいし、竿体の内周面を釣糸が挿通するインナーガイドであってもよい。リールシート1は、スピニングリールを釣竿に取り付けることに適したものであってもよいし、両軸受けリールを釣竿に取り付けることに適したものであってもよい。本実施形態のリールシート1は、スピニングリールを釣竿に取り付けることに適したものである。
【0029】
リールシート1は、竿体3の外周面に装着される。リールシート1は、竿体3に対して変位可能であって、且つ、竿体3に対して所定の姿勢及び位置において固定可能である。本実施形態において、図9のように、リールシート1は、竿体3に対して前後方向に移動可能であり、更に、図示しないが、竿体3に対して周方向にも移動可能(回転可能)である。但し、リールシート1は、竿体3に対して、前後方向のみに移動可能であってもよいし、周方向のみに移動可能であってもよい。
【0030】
<リールシート1の全体構成と本体30>
リールシート1は、本体10と、可動フード11と、ナット12と、押圧体13と、保持体14を備えている。本体10は、竿体3の外周面に変位可能に装着される。即ち、本体10は、竿体3の外周面に前後方向と周方向に移動可能に装着される。本体10は、筒状である。本体10は、竿体3が前後方向に貫通する挿通孔20を有している。挿通孔20は前後に開口している。挿通孔20の中心線は、竿体3の中心線と一致する。挿通孔20の軸方向は、竿体3の軸方向であり、前後方向である。
【0031】
本体10は、リール100を釣竿に取り付けるためのリール載置部21を有する。リール載置部21は、本体10の外周面に設けられる。リール載置部21は、前後方向に延びている。リール載置部21には、リール100の脚101が載置される。スピニングリール100は、使用状態において、図2図3、及び図9のように釣竿の下側に位置する。そのため、リール載置部21は、使用状態において下側を向く。
【0032】
本体10は、リール100の脚101の前後方向の一端部を保持する固定フード22を有する。固定フード22は、リール載置部21の前後方向両端部のうちの一端部に位置する。リールシート1は、固定フード22がリール載置部21の前側に位置して脚101の前端部102を保持するように竿体3に取り付けられてもよいし、逆に、固定フード22がリール載置部21の後側に位置して脚101の後端部103を保持するように竿体3に取り付けられてもよい。例えば、図9においては、固定フード22はリール載置部21の前側に位置して脚101の前端部102を保持する。固定フード22は、本体10に一体的に形成されていることが好ましい。
【0033】
本体10は、外周面に雄ネジ部23を有する。雄ネジ部23にはナット12が螺合する。雄ネジ部23は、リール載置部21に対して、固定フード22とは前後反対側に位置する。雄ネジ部23は、リール載置部21の前側あるいは後側に隣接する。雄ネジ部23には、前後方向に沿って一又は複数のガイド溝24が形成されている。ガイド溝24に可動フード11が係合する。可動フード11はガイド溝24に案内されて本体10に対して前後方向に移動する。また、ガイド溝24によって可動フード11の本体10に対する周方向の移動が規制される。ガイド溝24は、雄ネジ部23の全周のうち一箇所のみに設けられてもよいし、周方向に間隔をあけて複数箇所に設けられてもよい。
【0034】
本体10は、前後方向の第1端部10aに第1変形部30を有する。第1変形部30は、全体として筒状であって径方向の内側に弾性変形可能である。第1変形部30は、雄ネジ部23に隣接している。第1変形部30は、外周面に、本体10の第2端部10bに向けて拡径する第1ネジ部31を有する。第1ネジ部31は、テーパネジである。第1ネジ部31は、第1変形部30の全長に亘って形成されている。第1変形部30の内周面は径一定である。第1ネジ部31の外径は、雄ネジ部23の近傍において最大となる。第1ネジ部31の最大径は、雄ネジ部23の外径と同一あるいはそれよりも小さいことが好ましい。第1弾性片33の肉厚は、第1端部10aに向けて、即ち、先端に向けて徐々に薄くなっている。
【0035】
第1変形部30は、前後方向に延びる一又は複数の第1スリット32を有している。第1スリット32は、周方向に間隔をあけて複数設けられることが好ましく、周方向に一定間隔毎に設けられることが好ましい。第1スリット32の本数は任意であるが、本実施形態では、90度間隔で合計四本形成されている。第1スリット32は、第1変形部30の全長に亘って形成されていることが好ましい。第1スリット32が形成されることにより、第1変形部30は、複数の第1弾性片33を有する。第1スリット32により第1変形部30は複数の第1弾性片33に分割されている。本実施形態では第1スリット32が四本設けられているので、第1変形部30は、四つの第1弾性片33に区画される。第1弾性片33は前後方向に延びていて、第1変形部30の全長に亘って設けられる。第1弾性片33は、周方向に沿って径方向外側に向けて湾曲している。
【0036】
第1弾性片33は、雄ネジ部23側の端部(雄ネジ部23に隣接する端部)が固定端であり、反対側の端部(本体10の第1端部10a)が自由端である。第1弾性片33は、雄ネジ部23側の端部を支点として径方向に撓んで弾性変形することができる。周方向に隣り合う第1弾性片33同士の間には第1スリット32が位置する。複数の第1弾性片33は、互いに周方向に離間している。複数の第1弾性片33は、全て同一形状である。従って、複数の第1弾性片33は、同じ程度で径方向に弾性変形する。第1変形部30に第1スリット32が形成されることにより、第1ネジ部31も第1スリット32により部分的に分断されている。
【0037】
本体10は、前後方向の第2端部10bに第2変形部40を有する。第2変形部40は、第1変形部30と同様の構成である。但し、第2変形部40が第1変形部30と異なる構成であってもよい。第2変形部40は、全体として筒状であって径方向の内側に弾性変形可能である。第2変形部40は、外周面に、本体10の第1端部10aに向けて拡径する第3ネジ部41を有する。第3ネジ部41は、テーパネジである。第3ネジ部41は、第2変形部40の全長に亘って形成されている。第2変形部40の内周面は径一定である。
【0038】
第2変形部40は、前後方向に延びる一又は複数の第2スリット42を有している。第2スリット42は、周方向に間隔をあけて複数設けられることが好ましく、周方向に一定間隔毎に設けられることが好ましい。第2スリット42の本数は任意であるが、本実施形態では、90度間隔で合計四本形成されている。第2スリット42は、第2変形部40の全長に亘って形成されていることが好ましい。第2スリット42が形成されることにより、第2変形部40は、複数の第2弾性片43を有する。第2スリット42により第2変形部40は複数の第2弾性片43に分割されている。本実施形態では第2スリット42が四本設けられているので、第2変形部40は、四つの第2弾性片43に区画される。第2弾性片43は前後方向に延びていて、第2変形部40の全長に亘って設けられる。第2弾性片43は、周方向に沿って径方向外側に向けて湾曲している。第2弾性片43の肉厚は、第2端部10bに向けて、即ち、先端に向けて徐々に薄くなっている。尚、図6等において、第1スリット32と第2スリット42の周方向の位置が互いに同じになっているが、互いに異なっていてもよい。
【0039】
第2弾性片43は、一方の端部が固定端であり、他方の端部(本体10の第2端部10b)が自由端であって、第2弾性片43は、固定端を支点として径方向に撓んで弾性変形することができる。周方向に隣り合う第2弾性片43同士の間には第2スリット42が位置する。複数の第2弾性片43は、互いに周方向に離間している。複数の第2弾性片43は、全て同一形状である。従って、複数の第2弾性片43は、同じ程度で径方向に弾性変形する。第2変形部40に第2スリット42が形成されることにより、第3ネジ部41も第2スリット42により部分的に分断されている。第2弾性片43は第1弾性片33と同一形状である。そのため、第1弾性片33と第2弾性片43は互いに同じ程度で径方向に弾性変形する。
【0040】
<本体10の部材構成>
本体10は、一つの部材から構成されていてもよいが、本実施形態では互いに別体の複数の部材から構成されている。図7に、本体10の分解図を示している。本体10は、外筒部としての外筒50と、外筒50の第1開口端部50aから内側に挿入されて外筒50に固定される第1内筒部としての第1内筒51と、外筒50の第2開口端部50bから内側に挿入されて外筒50に固定される第2内筒部としての第2内筒52を備える。外筒50、第1内筒51、及び、第2内筒52は、何れも筒状である。第1内筒51の内周面と第2内筒52の内周面は、挿通孔20の壁面を構成する。第1内筒51の内周面と第2内筒52の内周面は、竿体3の外周面に接触してもよいが、竿体3の外周面から僅かに径方向の外側に離れることが好ましい。即ち、竿体3の外周面と、第1内筒51の内周面及び第2内筒52の内周面との間には、環状の隙間が設けられることが好ましい。第1内筒51と第2内筒52は、互いに同一の部品である。図8に、代表的に、第1内筒51を単体の状態で示している。
【0041】
<外筒50>
外筒50は、本体10の主要部であり、内径一定である。外筒50に、リール載置部21と固定フード22と雄ネジ部23が設けられている。第1内筒51に第1変形部30が設けられ、第2内筒52に第2変形部40が設けられている。外筒50は、第1外係合部60と第2外係合部61を有する。第1外係合部60は、外筒50の第1開口端部50a側に設けられ、第2外係合部61は、外筒50の第2開口端部50b側に設けられる。外筒50は、リール載置部21とは周方向の反対側に、外筒50のうち最も厚肉である厚肉部62を有する。厚肉部62の径方向の内側において、第1内筒51と第2内筒52とが前後に対峙し、第1内筒51と第2内筒52とが離間している。つまり、本体10において、外筒50と第1内筒51又は第2内筒52とが重なっていない非重合部10cの径方向の外側に厚肉部62が位置する。
【0042】
<第1内筒51>
第1内筒51は、外筒50とは別体構成である。そのため、第1内筒51の材質を外筒50の材質とは異なるものとすることができる。特に、第1内筒51は、外筒50よりも弾性変形しやすい材質、即ち軟質の材質からなることが好ましい。第1内筒51が外筒50よりも軟質であると、第1変形部30を弾性変形させやすい。また、外筒50が第1内筒51よりも硬質であると、リール100の脚101を外筒50にしっかりと固定することができる。
【0043】
第1内筒51は、外筒50の第1開口端部50aから内側に部分的に挿入される。第1内筒51は、外筒50に挿入されて第1外係合部60に係合する第1内係合部63と、外筒50の第1開口端部50aから突出する第1突出部64とを有する。第1突出部64は、リール載置部21から離れるように外筒50の第1開口端部50aから突出する。第1内係合部63の外周面は、径一定であり、ネジが設けられていない滑面である。第1内係合部63の外径は、第1外係合部60の内径と略等しい。第1内係合部63の外周面は、第1外係合部60の内周面に係合する。第1内係合部63の外周面は、第1外係合部60の内周面に例えば接着により固定される。尚、第1外係合部60の内周面と第1内係合部63の外周面をそれぞれ多角形等の非円形としてもよく、その場合には、第1内係合部63の第1外係合部60に対する周方向の移動が規制される。第1内係合部63は、第1内筒51の全長のうち半分以上の長さを有していることが好ましい。第1内係合部63の内周面は、竿体3の外周面に接触してもよいが、竿体3の外周面から僅かに径方向の外側に離れることが好ましい。即ち、図4(a)のように、竿体3の外周面と第1内係合部63の内周面との間には、環状の第1隙間53が設けられることが好ましい。
【0044】
第1突出部64に第1変形部30が設けられる。本実施形態では、第1突出部64の全体が第1変形部30である。第1突出部64は、第1内係合部63に隣接する。第1内筒51は、第1内係合部63と第1突出部64に区画される。第1変形部30の内径は第1内係合部63の内径よりも大きく、竿体3の外径よりも大きい。第1内係合部63の内周面と第1変形部30の内周面との間の第1境界部には、第1段差65が設けられている。但し、第1段差65が設けられずに、第1内係合部63の内周面と第1変形部30の内周面が面一であってもよく、第1変形部30の内径と第1内係合部63の内径が等しくてもよい。
【0045】
第1ネジ部31の第1内係合部63側の端部は、外筒50の第1開口端部50aに当接し、それにより第1内筒51の外筒50へのそれ以上の挿入が阻止される。即ち、第1ネジ部31の第1内係合部63側の端部はストッパーとして機能する。図6のように、第1内係合部63は、リール載置部21の径方向の内側に重なる第1内重合部63aと、雄ネジ部23の径方向の内側に重なる第3内重合部63bとを有する。第1内重合部63aは、リール載置部21の全長のうちの一部と重なり合う。第3内重合部63bは、雄ネジ部23の全長と重なり合う。
【0046】
<第2内筒52>
第2内筒52は、外筒50とは別体構成である。そのため、第1内筒51と同様に、第2内筒52の材質を外筒50の材質よりも軟質のものとすることができる。第2内筒52が外筒50よりも軟質であると、第2変形部40を弾性変形させやすい。また、外筒50が第2内筒52よりも硬質であると、リール100の脚101を外筒50にしっかりと固定することができる。そして、第1内筒51と第2内筒52が同じ材質であると、第1変形部30と第2変形部40が同じ程度で弾性変形する。そのため、第1締め付け部材70と第2締め付け部材71の操作感が共通のものとなり、操作感に優れる。
【0047】
第2内筒52は、外筒50の第2開口端部50bから内側に部分的に挿入される。第2内筒52は、外筒50に挿入されて第2外係合部61に係合する第2内係合部66と、外筒50の第2開口端部50bから突出する第2突出部67とを有する。第2突出部67は、リール載置部21から離れるように外筒50の第2開口端部50bから突出する。図8のように、第2内係合部66の外周面は、径一定であり、ネジが設けられていない滑面である。第2内係合部66の外径は、第2外係合部61の内径と略等しい。第2内係合部66の外周面は、第2外係合部61の内周面に係合する。第2内係合部66の外周面は、第2外係合部61の内周面に例えば接着により固定される。尚、第2外係合部61の内周面と第2内係合部66の外周面をそれぞれ多角形等の非円形としてもよく、その場合には、第2内係合部66の第2外係合部61に対する周方向の移動が規制される。第2内係合部66は、第2内筒52の全長のうち半分以上の長さを有していることが好ましい。第2内係合部66の内周面は、竿体3の外周面に接触してもよいが、竿体3の外周面から僅かに径方向の外側に離れることが好ましい。即ち、図4(b)のように、竿体3の外周面と第2内係合部66の内周面との間には、環状の第2隙間54が設けられることが好ましい。
【0048】
第2突出部67に第2変形部40が設けられる。本実施形態では、第2突出部67の全体が第2変形部40である。第2突出部67は、第2内係合部66に隣接する。第2内筒52は、第2内係合部66と第2突出部67に区画される。第2変形部40の内径は第2内係合部66の内径よりも大きく、竿体3の外径よりも大きい。第2内係合部66の内周面と第2変形部40の内周面との間の第2境界部には、第2段差68が設けられている。但し、第2段差68が設けられずに、第2内係合部66の内周面と第2変形部40の内周面が面一であってもよく、第2変形部40の内径と第2内係合部66の内径が等しくてもよい。
【0049】
第2ネジ部の第2内係合部66側の端部は、外筒50の第2開口端部50bに当接し、それにより第2内筒52の外筒50へのそれ以上の挿入が阻止される。即ち、第2ネジ部の第2内係合部66側の端部はストッパーとして機能する。
【0050】
図6のように、第2内係合部66は、リール載置部21の径方向の内側に重なる第2内重合部66aを有する。第2内重合部66aは、リール載置部21の全長のうちの一部と重なり合う。第1内筒51及び第2内筒52が外筒50に挿入された状態において、第1内筒51と第2内筒52は前後方向に離間しているが、互いに当接していてもよい。即ち、第1内係合部63と第2内係合部66が互いに前後方向に離間しているが、互いに前後方向に当接していてもよい。第1内筒51と第2内筒52は互いに同軸であり、外筒50と第1内筒51と第2内筒52は互いに同軸である。このように外筒50に第1内筒51の第1内係合部63と第2内筒52の第2内係合部66が挿入されることにより、外筒50はその全長のうちの大部分が二重構造となる。
【0051】
<可動フード11とナット12>
図1図3のように、可動フード11は、本体10の外周面に前後方向に移動可能に装着される。可動フード11は筒状である。可動フード11は、図示しない係合突条を有している。係合突条は本体10のガイド溝24に係合する。これにより可動フード11は本体10に対して前後方向に移動可能であって且つ周方向には移動不能となる。可動フード11は、リール100の脚101の前後方向の他端部を保持する。固定フード22と可動フード11とによりリール100の脚101を前後方向に挟持する。
【0052】
ナット12は、本体10の雄ネジ部23に螺合する。ナット12は、可動フード11に周方向に相対回転可能に連結されている。ナット12を回転させることにより可動フード11を前後方向に移動させることができる。可動フード11及びナット12は、第1ネジ部31を通過できることが好ましく、第1ネジ部31を通過して本体10から取り外し可能且つ取り付け可能であることが好ましい。
【0053】
<押圧体13>
押圧体13は、本体10の外周面に装着される。押圧体13は、本体10を径方向の内側に弾性変形させる。押圧体13は、第1締め付け部材70と第2締め付け部材71を有する。第1締め付け部材70は、筒状であって、第1変形部30の外周面に装着される。第1締め付け部材70は、内周面に第2ネジ部70aを有する。第2ネジ部70aは、第1ネジ部31に螺合する。第2ネジ部70aはテーパネジである。第1締め付け部材70は、第1変形部30を径方向の内側に弾性変形させる。第1締め付け部材70は、複数の第1弾性片33を一括且つ均等に径方向の内側に弾性変形させる。第1締め付け部材70をリール載置部21に近づけるようにしてねじ込んでいくと、第1弾性片33が径方向の内側に弾性変形する。逆に、第1締め付け部材70をリール載置部21から遠ざけるように回転させると、第1弾性片33は径方向の外側に向けて復元する。第1締め付け部材70は、第1変形部30から前後方向に取り外すことができ、その後、可動フード11及びナット12を第1変形部30を通過させて本体10から取り外すことができる。第1締め付け部材70は雄ネジ部23には乗り入れることができない。
【0054】
第2締め付け部材71は第1締め付け部材70と同一であって互いに共通の部品である。第2締め付け部材71は、筒状であって、第2変形部40の外周面に装着される。第2締め付け部材71は、内周面に第4ネジ部71aを有する。第4ネジ部71aは、第2ネジ部70aに螺合する。第4ネジ部71aはテーパネジである。第2締め付け部材71は、第2変形部40を径方向の内側に弾性変形させる。第2締め付け部材71は、複数の第2弾性片43を一括且つ均等に径方向の内側に弾性変形させる。第2締め付け部材71をリール載置部21に向けてねじ込んでいくと、第2弾性片43が径方向の内側に弾性変形する。逆に、第2締め付け部材71をリール載置部21から遠ざけるように回転させると、第2弾性片43は径方向の外側に向けて復元する。第2締め付け部材71は、第2変形部40から前後方向に取り外すことができる。第2締め付け部材71は外筒50の外周面には乗り入れることができない。
【0055】
<保持体14>
保持体14は、本体10の内周面と竿体3の外周面との間に設けられて、本体10を竿体3の外周面に保持する。保持体14は、第1層状部としての第1層状体80と、第2層状部としての第2層状体81とを有する。第1層状体80及び第2層状体81は、本体10とは別体の構成である。第1層状体80と第2層状体81は互いに前後方向に離間して配置される。第1層状体80と第2層状体81は、竿体3の前後方向に離間した二箇所において、それぞれ独立して本体10を保持する。
【0056】
第1層状体80及び第2層状体81は、何れも径一定の薄肉の筒状であって、ゴム等の軟質の弾性材料からなる。本実施形態では、第1層状体80と第2層状体81は、互いに同一部品である。第1層状体80は、第1変形部30の内周面に装着される。第2層状体81は、第2変形部40の内周面に装着される。図5には、リールシート1から第1層状体80及び第2層状体81を分離した状態を示している。
【0057】
第1層状体80は、第1変形部30の内側に挿入される。第1層状体80は、第1内係合部63の内周面と第1変形部30の内周面との間の第1段差65に当接し、それ以上奥側、即ち、本体10の第2端部10a側には進入できない。第1層状体80が第1段差65に当接することにより、第1層状体80の前後方向の位置が定まる。第1層状体80の長さは、第1変形部30の長さよりも長いが、第1変形部30の長さと等しくてもよいし、それよりも短くてもよい。本実施形態では、第1層状体80は本体10の第1端部10aから部分的に突出する。
【0058】
第1層状体80の厚さは、好ましくは第1段差65よりも厚いが、第1段差65と同じであってもよい。図4に、第1内係合部63の内径と、第1層状体80の内径と、竿体3の外径の関係を示している。第1内係合部63の内径は、第1層状体80の内径よりも大きいことが好ましく、竿体3の外径よりも大きいことが好ましい。従って、第1内係合部63の内周面は、竿体3の外周面から僅かに離間していることが好ましい。このように第1内係合部63の内周面が竿体3の外周面に接触しないことにより、竿体3に対するリールシート1の摺動抵抗が小さくなり、リールシート1を竿体3に対して容易に移動させることができる。第1層状体80の内径は竿体3の外径と略等しいことが好ましいが、竿体3の外径よりも若干大きくてもよい。
【0059】
第2層状体81は、第2変形部40の内側に挿入される。第2層状体81は、第2内係合部66の内周面と第2変形部40の内周面との間の第2段差68に当接し、それ以上奥側、即ち、本体10の第1端部10a側には進入できない。第2層状体81が第2段差68に当接することにより、第2層状体81の前後方向の位置が定まる。第2層状体81の長さは、第2変形部40の長さよりも長いが、第2変形部40の長さと等しくてもよいし、それよりも短くてもよい。本実施形態では、第2層状体81は本体10の第2端部10bから部分的に突出する。
【0060】
第2層状体81の厚さは、好ましくは第2段差68よりも厚いが、第2段差68と同じであってもよい。図4に、第2内係合部66の内径と、第2層状体81の内径と、竿体3の外径の関係を示している。第2内係合部66の内径は、第2層状体81の内径よりも大きいことが好ましく、竿体3の外径よりも大きいことが好ましい。従って、第2内係合部66の内周面は、竿体3の外周面から僅かに離間していることが好ましい。このように第2内係合部66の内周面が竿体3の外周面に接触しないことにより、竿体3に対するリールシート1の摺動抵抗が小さくなり、リールシート1を竿体3に対して容易に移動させることができる。第2層状体81の内径は竿体3の外径と略等しいことが好ましいが、竿体3の外径よりも若干大きくてもよい。
【0061】
以上のように構成されたリールシート1は、例えば図9のように本体10の第1端部10aが後側となるようにして竿体3に装着される。但し、本体10の第1端部10aが前側を向くようにして竿体3にリールシート1が装着されてもよい。第1締め付け部材70を回転させながら前側に移動させることにより、第1変形部30を径方向の内側に弾性変形させることができる。第1変形部30が径方向の内側に弾性変形すると、第1変形部30が第1層状体80を竿体3の外周面に押圧する。それにより、第1層状体80が竿体3の外周面に密着する。同様に、第2締め付け部材71を回転させながら後側に移動させることにより、第2変形部40を径方向の内側に弾性変形させることができる。第2変形部40が径方向の内側に弾性変形すると、第2変形部40が第2層状体81を竿体3の外周面に押圧する。それにより、第2層状体81が竿体3の外周面に密着する。このように第1層状体80と第2層状体81が竿体3の外周面における前後に離れた二箇所に圧着されることにより、リールシート1を竿体3の所望の位置に固定することができる。
【0062】
そして、リール100の脚101をリール載置部21に載置し、脚101の前端部102を固定フード22に差し込んで保持させる。ナット12を回転させて可動フード11を前側に移動させることにより脚101の後端部103を可動フード11に差し込んで保持させる。これによりリール100をリールシート1に取り付けることができ、リール100を釣竿に取り付けることができる。
【0063】
リールシート1の取付位置は任意に変更可能である。例えば図9(a)に示した第1の取付位置から図9(b)に示した第2の取付位置に変更可能であり、釣り人の所望により任意に取付位置を変更可能である。その場合、第1締め付け部材70と第2締め付け部材71を共に緩めることにより、第1層状体80及び第2層状体81の竿体3の外周面への圧着状態が解除される。そのため、リールシート1を竿体3の所望の位置に移動させることができる。第1層状体80及び第2層状体81は、竿体3の外周面に接触しているが圧着されていないため、リールシート1を容易に前後方向に移動することができる。しかも、第1層状体80と第2層状体81の前後方向の間の区間においては、第1内筒51の第1内係合部63と第2内筒52の第2内係合部66が竿体3の外周面から径方向の外側に離間していて竿体3の外周面に接触していないので、リールシート1をスムーズに移動させることができる。尚、リールシート1を前後に移動させる際には、リール100がリールシート1に取り付けられていてもよいし、リールシート1からリール100が取り外された状態であってもよい。
【0064】
また、リールシート1は竿体3に対して周方向にも相対移動可能である。そのため、竿体3に対するリールシート1の向きも任意の向きに変更できる。尚、竿体3の外周面を部分的に多角形状等の非円形状としたり、竿体3の外周面に前後方向の溝を設ける等することにより、リールシート1が竿体3に対して前後方向には移動可能であるが周方向には移動不可とすることができる。
【0065】
また、リール載置部21の径方向の内側には第1内重合部63aと第2内重合部66aが重なり合う。そのため、リール載置部21が第1内重合部63aと第2内重合部66aによって径方向の内側から支えられ、リール載置部21に載置されたリール100の脚101が安定する。特に、可動フード11の径方向の内側に第1内重合部63aが位置するので、可動フード11によって脚101の後端部103をしっかりと保持できる。また、固定フード22の径方向の内側に第2内重合部66aが位置するので、固定フード22によって脚101の前端部102をしっかりと保持できる。
【0066】
更に、雄ネジ部23の径方向の内側には第3内重合部63bが重なり合う。そのため、雄ネジ部23が変形しにくく、ナット12を確実に締めることができ、リール100を確実に固定できる。また、外筒50を薄肉化することができ、軽量化が容易となる。また、雄ネジ部23を小径化することができ、リールシート1を小径化できる。そして、外筒50の径方向の内側に第1内係合部63と第2内係合部66が重なり合うので、外筒50を薄肉化することができ、本体10の強度も確保できる。特に、外筒50の全長のうちの大部分に第1内係合部63と第2内係合部66が重なり合って、本体10の大部分が二重構造となるので、本体10の強度を向上させることができる。尚、外筒50の全長のうち第1内係合部63と第2内係合部66が重なり合っていない部分、即ち非重合部10cについては、外筒50の厚肉部62が補強する。
【0067】
尚、リールシート1の構成は種々であってもよい。例えば、図10のように、本体10の外周面に金属製の板状のリール取付部材4が装着されていてもよい。リール取付部材4は例えば巻糸5により本体10の外周面に巻き付けられて接着固定される。リール取付部材4は、リール載置部21を有するベースプレート4aと、固定フード22と、可動フード11とを備える。
【0068】
また、竿装着具はリールシート1には限られない。例えば、図11のように竿装着具2が釣糸ガイド6を備えるものであってもよい。即ち、竿装着具2は遊動ガイドであってもよい。釣糸ガイド6は、本体10の外周面に装着される。この場合、釣糸ガイド6を前後方向に沿って移動させることができ、竿体3の任意の位置に固定できる。また、釣糸ガイド6の竿体3に対する周方向の向きも変更できる。
【0069】
尚、上記実施形態では、第1層状部として、本体10とは別体の第1層状体80が設けられたが、第1層状部は、例えば第1変形部30の内周面に一体的に積層された、弾性を有する弾性層や、粗面の摩擦層であってもよい。第1層状部は、筒状でなくてもよく、例えば一又は複数の第1弾性片33の内面のみに設けられてもよい。同様に、第2層状部は、例えば第2変形部40の内周面に一体的に積層された弾性層や摩擦層であってもよい。第2層状部は、筒状でなくてもよく、例えば一又は複数の第2弾性片43の内面のみに設けられてもよい。第1層状部と第2層状部は互いに前後に離間、分離していなくてもよく、一体構成であってもよい。例えば、本体10の全長に亘って保持体14が設けられていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、本体10が互いに別体構成である外筒50と第1内筒51と第2内筒52とを備えたが、本体10が一つの部材から構成されていてもよい。本体10に第1変形部30が一体的に形成されていてもよいし、第2変形部40が一体的に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 リールシート(竿装着具)
2 竿装着具
3 竿体
4 リール取付部材
4a ベースプレート
5 巻糸
6 釣糸ガイド
10 本体
10a 第1端部
10b 第2端部
10c 非重合部
11 可動フード
12 ナット
13 押圧体
14 保持体
20 挿通孔
21 リール載置部
22 固定フード
23 雄ネジ部
24 ガイド溝
30 第1変形部
31 第1ネジ部
32 第1スリット
33 第1弾性片
40 第2変形部
41 第3ネジ部
42 第2スリット
43 第2弾性片
50 外筒(外筒部)
50a 第1開口端部
50b 第2開口端部
51 第1内筒(第1内筒部)
52 第2内筒(第2内筒部)
53 第1隙間
54 第2隙間
60 第1外係合部
61 第2外係合部
62 厚肉部
63 第1内係合部
63a 第1内重合部
63b 第3内重合部
64 第1突出部
65 第1段差
66 第2内係合部
66a 第2内重合部
67 第2突出部
68 第2段差
70 第1締め付け部材
70a 第2ネジ部
71 第2締め付け部材
71a 第4ネジ部
80 第1層状体(第1層状部)
81 第2層状体(第2層状部)
100 リール
101 脚
102 前端部
103 後端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11