(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170994
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20231124BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H04L12/46 100Z
H04L12/28 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083138
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000181
【氏名又は名称】岩崎通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】青木 哲
(72)【発明者】
【氏名】亀井 謙一
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA03
5K033CB01
5K033DB18
5K033EC03
(57)【要約】
【課題】第1機器と通信を行うことを可能としながら、データ処理装置の負荷を軽減する。
【解決手段】本発明のデータ処理装置は、データ通信を行う第1機器と第2機器との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部を有する。データ処理装置は、第1送受信部、第2送受信部、MACアドレス設定部、第1判定部を備える。MACアドレス設定部は、第1機器と同一のMACアドレスを第2送受信部に設定し、第2機器と同一のMACアドレスを第1送受信部に設定する。第1判定部は、第1機器から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置宛のデータかを判定し、データ処理装置宛のデータと判定したときはデータを処理部に送信し、データ処理装置宛のデータではないと判定したときは第2機器側にデータを送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信を行う第1機器と第2機器との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部を有するデータ処理装置であって、
前記第1機器と前記データ通信を行うネットワークに接続される第1送受信部と、
前記第2機器と前記データ通信を行うネットワークに接続される第2送受信部と、
前記第1機器の当該データ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを前記第2送受信部のMACアドレスとして設定し、前記第2機器の当該データ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを前記第1送受信部のMACアドレスとして設定するMACアドレス設定部と、
前記第1機器から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいて当該データ処理装置宛のデータかを判定し、当該データ処理装置宛のデータと判定したときは当該データを前記処理部に送信し、当該データ処理装置宛のデータではないと判定したときは前記第2機器側に当該データを送信する第1判定部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
さらに、
前記第2機器から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいて当該データ処理装置宛のデータかを判定し、当該データ処理装置宛のデータと判定したときは当該データを前記処理部に送信し、当該データ処理装置宛のデータではないと判定したときは前記第1機器側に当該データを送信する第2判定部
も備えるデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のデータ処理装置であって、
前記MACアドレス設定部は、接続機器のMACアドレスを特定する近隣探索要求データをマルチキャスト送信もしくはブロードキャスト送信し、それに対して返信された近隣探索応答データを前記第1機器と前記第2機器から受信することで、前記第1機器と前記第2機器のMACアドレスを取得する、
とともに、設定したMACアドレスを前記第1機器と前記第2機器に通知する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のデータ処理装置であって、
前記MACアドレス設定部は、ユーザによる設定インタフェースを介して、前記第1機器と前記第2機器のMACアドレスを取得する、
とともに、設定したMACアドレスを前記第1機器と前記第2機器に通知する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記第1判定部は、IPv4アドレス、IPv6アドレス、ポート番号、プロトコル番号の少なくともいずれか1つを含む情報に基づいて当該データ処理装置宛のデータかを判定する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項2記載のデータ処理装置であって、
前記第2判定部は、IPv4アドレス、IPv6アドレス、ポート番号、プロトコル番号の少なくともいずれか1つを含む情報に基づいて当該データ処理装置宛のデータかを判定する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1または2記載のデータ処理装置であって、
前記第1機器と前記第2機器との間で行われる前記データ通信とは異なる通信を、前記第1機器と行う通信部も備え、
前記処理部は、前記通信部の制御を行う
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
請求項1または2記載のデータ処理装置であって、
前記第1機器と当該データ処理装置との間は、前記第1機器と前記第2機器との間で行われる前記データ通信のデータと、前記データ通信とは異なる通信のデータも重畳されており、
前記データ通信のデータと前記データ通信とは異なる通信のデータとの分離と重畳を行う分離・重畳部も備える
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項9】
請求項1または2記載のデータ処理装置としてコンピュータを機能させるためのデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信を行う第1機器と第2機器との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部を有するデータ処理装置と、コンピュータをデータ処理装置として機能させるためのデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の種類の通信を1つの装置で行う技術として、特許文献1~3などが従来技術として知られている。特許文献1の
図1においては、2つのネットワークでの通信が光ファイバなどに重畳されることが示されている。特許文献2の
図1においても、中継装置は音声通信とデータ通信を処理している。特許文献3の
図1においても1つの装置が、複数の種類の通信を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-10881号公報
【特許文献2】特開2013-62588号公報
【特許文献3】特開2010-109735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、データ通信を行う第1機器と第2機器との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部を有するデータ処理装置の場合、当該データ処理装置の処理のためのデータの送受信以外は、第1機器と第2機器との間で行われるデータ通信の中継装置として機能する。
【0005】
仮に、第1機器と第2機器との間で行われるデータ通信において、データ処理装置をブリッジとして機能させれば、データ処理装置内での処理の負荷を抑えることができる。しかし、データ処理装置がブリッジとして機能した場合、第1機器もしくは第2機器からのデータを全て中継対象として扱うため、データ処理装置自体が第1機器もしくは第2機器との間で通信できない問題が生じる。
【0006】
一方、データ処理装置がルータとして機能すれば、データ処理装置が第1機器もしくは第2機器と通信を行うことは可能である。しかし、ルータとして機能する場合は、データを中継する際に、宛先MACアドレス(Media Access Control address)と送信元MACアドレスを書き換える処理を行わなければならないので、中継装置としての処理の負荷が増える。特に、データ通信量が急激に増大している近年においては、データ処理装置をルータとして機能させると、中継装置としての処理の負荷が増大し、スループットの低下などの問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、データ処理装置が少なくとも第1機器と通信を行うことを可能としながら、第1機器と第2機器との間のデータ通信においてはデータ処理装置の中継装置としての処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ処理装置は、データ通信を行う第1機器と第2機器との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部を有する。本発明のデータ処理装置は、第1送受信部、第2送受信部、MACアドレス設定部、第1判定部を備える。第1送受信部は、第1機器とデータ通信を行うネットワークに接続される。第2送受信部は、第2機器とデータ通信を行うネットワークに接続される。MACアドレス設定部は、第1機器のデータ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第2送受信部のMACアドレスとして設定し、第2機器のデータ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第1送受信部のMACアドレスとして設定する。第1判定部は、第1機器から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置宛のデータかを判定し、データ処理装置宛のデータと判定したときはデータを処理部に送信し、データ処理装置宛のデータではないと判定したときは第2機器側にデータを送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のデータ処理装置によれば、第1判定部が第1機器から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置宛のデータかを判定するので、データ処理装置は第1機器と通信できる。また、MACアドレス設定部が、第1機器のデータ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第2送受信部のMACアドレスとして設定し、第2機器のデータ処理装置側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第1送受信部のMACアドレスとして設定するので、MACアドレスを書き換える処理を行う必要がない。第1判定部は受信データの一部分のみ参照するのに対し、MACアドレス書き換えはMACアドレス変更により受信データ全体に対するFCS(Frame Check Sequence)再計算が必要となるため、第一判定部の処理負荷はMACアドレス書き換えの処理負荷よりも小さい。よって、本発明により、データ処理装置の中継装置としての処理の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のデータ処理装置を含むシステムの構成例を示す図。
【
図2】一般的なルータとして動作する場合の例を示す図。
【
図3】実施例1のデータ処理装置の動作の例を示す図。
【
図4】実施例1のMACアドレス取得方法を示すシーケンス図。
【
図5】実施例1のMACアドレス取得方法の代替手段1を示すシーケンス図。
【
図6】実施例1のMACアドレス取得方法の代替手段2を示すシーケンス図。
【
図7】実施例1のMACアドレス取得方法の代替手段3を示すシーケンス図。
【
図8】実施例1のMACアドレス通知方法の一例を示すシーケンス図。
【
図9】変形例1のデータ処理装置を含むシステムの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0012】
図1に実施例1のデータ処理装置を含むシステムの構成例を示す。データ処理装置100は、データ通信を行う第1機器800と第2機器900との間に配置され、あらかじめ定めた処理を行うための処理部240を有する。第1機器800は、例えばWAN(Wide Area Network)側の通信装置(通信事業者の設備に配置された装置)であり、第1機器800とデータ処理装置100との間は光ファイバなどの高速通信が可能な媒体で接続される。データ処理装置100は、例えば、ユーザのオフィスに配置される通信用の主装置であり、音声通信とデータ通信の両方の処理を行う。例えば、音声通信はIPv4(Internet Protocol version 4)で通信され、データ通信はIPv6(Internet Protocol version 6)で通信される。第1機器800とデータ処理装置100との間の光ファイバには、音声通信とデータ通信とが重畳される。この場合、データ処理装置100は、重畳された2つの通信のデータの分離と重畳を行う分離・重畳部260を備える。ただし、分離・重畳部260は、データ処理装置100の外部に配置してもよい。
【0013】
第2機器900は、例えばLAN(Local Area Network)側のルータであり、複数のデータ通信用の端末9101,…,910M(例えば、パソコンなど)が接続される。Mは1以上の整数である。上述のように、例えば、この通信ではIPv6(Internet Protocol version 6)が利用される。
【0014】
データ処理装置100は、第1送受信部110、第2送受信部120、MACアドレス設定部130、第1判定部115を備える。データ処理装置100は、通信部250も備えてもよい。通信部250は、第1機器800と第2機器900との間で行われるデータ通信とは異なる通信を、第1機器800と行う。通信部250は、例えば、IPv4(Internet Protocol version 4)を利用して音声通信などを行うための処理を行う。通信部250には、端末7001,…,700N(例えば、電話機、FAXなど)が接続される。Nは1以上の整数である。ただし、通信部250は、第1機器800と第2機器900との間のデータ通信とは異なる通信を行うのであれば、音声通信、IPv4などに限定する必要はない。
【0015】
処理部240は、通信部250の制御を行う。第1送受信部110は、第1機器800とデータ通信を行うネットワークに接続される。第2送受信部120は、第2機器900とデータ通信を行うネットワークに接続される。
【0016】
MACアドレス設定部130は、第1機器800のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第2送受信部120のMACアドレスとして設定し、第2機器900のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第1送受信部110のMACアドレスとして設定する。
【0017】
MACアドレス設定部130を備えた場合の効果を説明するため、まず、MACアドレス設定部130がない場合にどのようになるかを説明する。
図2に、一般的なルータとして動作する場合の例を示す。ルータ300は、第1送受信部310と第2送受信部320を備える。第1送受信部310は、第1機器800とデータ通信を行うネットワークに接続される。第2送受信部320は、第2機器900とデータ通信を行うネットワークに接続される。第1機器800のデータ処理装置側のMACアドレス(Media Access Control address)をY、第2機器900のデータ処理装置側のMACアドレスをX、第1送受信部310のMACアドレスをA、第2送受信部320のMACアドレスをBとする。第1機器800から第1送受信部310へのデータは宛先A、送信元Yであり、第2送受信部320から第2機器900へのデータは宛先X、送信元Bである。また、第2機器900から第2送受信部320へのデータは宛先B、送信元Xであり、第1送受信部310から第1機器800へのデータは宛先Y、送信元Aである。このように、MACアドレス設定部130がない場合は、ルータ300の内部で宛先と発信元のMACアドレスを書き換える処理が行われる。したがって、ただ中継するだけでも処理に負荷がかかる。
【0018】
次に、MACアドレス設定部130を有する場合にどのような処理になるか説明する。
図3に、実施例1のデータ処理装置の動作の例を示す。MACアドレス設定部130は、第1機器800のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第2送受信部120のMACアドレスとして設定し、第2機器900のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第1送受信部110のMACアドレスとして設定する。したがって、第1機器800から第1送受信部110へのデータは宛先X、送信元Yであり、第2送受信部120から第2機器900へのデータは宛先X、送信元Yである。また、第2機器900から第2送受信部120へのデータは宛先Y、送信元Xであり、第1送受信部110から第1機器800へのデータは宛先Y、送信元Xである。したがって、データ処理装置100の内部で宛先と発信元のMACアドレスを書き換える必要がない。よって、データ処理装置100の処理への負荷を軽減できる。
【0019】
MACアドレス設定部130は、第1機器800/第2機器900に対して接続機器のMACアドレスを特定する近隣探索要求データをマルチキャスト送信もしくはブロードキャスト送信(以下、一斉送信と総称)し、それに対する応答(近隣探索応答データ)を受信時に、その送信元MACアドレスを参照することで、第1機器800/第2機器900のMACアドレスを取得する。以下では、図を用いてシーケンスを説明する。
【0020】
図4に、前記のMACアドレス取得のシーケンスを示す。始めに、第2機器900のMACアドレス取得を行う。MACアドレス設定部130は、第2送受信部120に対して、一斉送信要求3001を送信する。第2送受信部120は、第2機器900に対して、一斉送信3011により、近隣探索要求データを送信する。近隣探索要求データは、宛先MACアドレスがM(マルチキャストMACアドレスもしくはブロードキャストMACアドレス)で、かつ、第2機器900が近隣探索応答データを返すデータを指定する。例えば、リンクローカル全ノードアドレス(ff02::1)宛のICMPv6 Echo Requestを送信する。第2機器900は、前記一斉送信3011に対する応答3012を返信する。応答3012の送信元MACアドレスは、第2機器900のMACアドレスXが指定されている。一斉送信時に前記のICMPv6 Echo Requestを用いた場合、応答3012はICMPv6 Echo Replyとなる。第2送受信部120は、応答3012を受信すると、MACアドレス設定部130に対して応答受信通知3002を送信する。応答受信通知3002は、応答3012の送信元MACアドレスXを通知する。これにより、MACアドレス設定部130は、第2機器900のMACアドレスXを取得することができる。MACアドレス設定部130は、取得したMACアドレスXを、第1送受信部110に設定する(MACアドレス設定3003)。
【0021】
次に、第1機器800のMACアドレス取得を行う。MACアドレス設定部130は、第1送受信部110に対して、一斉送信要求3101を送信する。第1送受信部110は、第1機器800に対して、一斉送信3111により、近隣探索要求データを送信する。近隣探索要求データは、宛先MACアドレスがM’(マルチキャストMACアドレスもしくはブロードキャストMACアドレス)で、かつ、第1機器800が近隣探索応答データを返すデータを指定する。例えば、DHCPv6 Solicitを送信する。第1機器800は、前記一斉送信3111に対する応答3112を返信する。応答3112の送信元MACアドレスは、第1機器800のMACアドレスYが指定されている。一斉送信時に前記のDHCPv6 Solicitを用いた場合、応答3112はDHCPv6 Advertiseとなる。第1送受信部110は、応答3112を受信すると、MACアドレス設定部130に対して応答受信通知3102を送信する。応答受信通知3102は、応答3112の送信元MACアドレスYを通知する。これにより、MACアドレス設定部130は、第1機器800のMACアドレスYを取得することができる。MACアドレス設定部130は、取得したMACアドレスYを、第2送受信部120に設定する(MACアドレス設定3103)。
【0022】
以上で、第1機器800/第2機器900のMACアドレス取得シーケンスは完了する。なお、
図4の代替手段として、
図5に示すように、第1機器800/第2機器900のMACアドレス取得順序を入れ替えてもよい。始めに、第1機器800のMACアドレス取得を行う。MACアドレス設定部130は、第1送受信部110に対して、一斉送信要求4001を送信する。第1送受信部110は、第1機器800に対して、一斉送信4011により、近隣探索要求データを送信する。近隣探索要求データは、宛先MACアドレスがM(マルチキャストMACアドレスもしくはブロードキャストMACアドレス)で、かつ、第1機器800が近隣探索応答データを返すデータを指定する。例えば、DHCPv6 Solicitを送信する。第1機器800は、前記一斉送信4011に対する応答4012を返信する。応答4012の送信元MACアドレスは、第1機器800のMACアドレスYが指定されている。一斉送信時に前記のDHCPv6 Solicitを用いた場合、応答4112はDHCPv6 Advertiseとなる。第1送受信部110は、応答4012を受信すると、MACアドレス設定部130に対して応答受信通知4002を送信する。応答受信通知4002は、応答4012の送信元MACアドレスYを通知する。これにより、MACアドレス設定部130は、第1機器800のMACアドレスYを取得することができる。MACアドレス設定部130は、取得したMACアドレスYを、第2送受信部120に設定する(MACアドレス設定4003)。
【0023】
次に、第2機器900のMACアドレス取得を行う。MACアドレス設定部130は、第2送受信部120に対して、一斉送信要求4101を送信する。第2送受信部120は、第2機器900に対して、一斉送信4111により、近隣探索要求データを送信する。近隣探索要求データは、宛先MACアドレスがM’(マルチキャストMACアドレスもしくはブロードキャストMACアドレス)で、かつ、第2機器900が近隣探索応答データを返すデータを指定する。例えば、リンクローカル全ノードアドレス(ff02::1)宛のICMPv6 Echo Requestを送信する。第2機器900は、前記一斉送信4111に対する応答4112を返信する。応答4112の送信元MACアドレスは、第2機器900のMACアドレスXが指定されている。一斉送信時に前記のICMPv6 Echo Requestを用いた場合、応答4012はICMPv6 Echo Replyとなる。第2送受信部120は、応答4112を受信すると、MACアドレス設定部130に対して応答受信通知4102を送信する。応答受信通知4102は、応答4112の送信元MACアドレスXを通知する。これにより、MACアドレス設定部130は、第2機器900のMACアドレスXを取得することができる。MACアドレス設定部130は、取得したMACアドレスXを、第1送受信部110に設定する(MACアドレス設定4103)。
【0024】
また、
図4/
図5の代替手段として、
図6/
図7に示すように、ユーザ5500が、MACアドレス130に、第1機器800/第2機器900のMACアドレスを手動設定してもよい。この方法は、第1機器800/第2機器900が前記の近隣探索応答データを返信できない場合に用いることができる。
【0025】
図6は、ユーザ5500がMACアドレス設定部130に対して、第1機器800/第2機器900のMACアドレスを設定する(MACアドレス指定5001)。MACアドレス設定部130は、第1送受信部110に対して、ユーザ5500が設定した第2機器900のMACアドレスを設定する(MACアドレス設定5002)。次に、MACアドレス設定部130は、第2送受信部120に対して、ユーザ5500が設定した第1機器800のMACアドレスを設定する(MACアドレス設定5003)。
【0026】
図7は、
図6の第1送受信部110/第2送受信部120へのMACアドレス設定順序を入れ替えたものである。ユーザ5500がMACアドレス設定部130に対して、第1機器800/第2機器900のMACアドレスを設定する(MACアドレス指定6001)。MACアドレス設定部130は、第2送受信部120に対して、ユーザ5500が設定した第1機器800のMACアドレスを設定する(MACアドレス設定6002)。次に、MACアドレス設定部130は、第1送受信部110に対して、ユーザ5500が設定した第2機器900のMACアドレスを設定する(MACアドレス設定6003)。
【0027】
前記の方法で取得したMACアドレスを設定後は、第1送受信部110/第2送受信部120は、一般的なネットワーク機器と同じ手順で、ネットワーク層アドレス、サブネットマスク/プレフィックス、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバアドレス等のネットワーク情報の自動設定を行う。このネットワーク情報自動設定の一環として、第1送受信部110/第2送受信部120のMACアドレスを、第1機器800/第2機器900に通知する。
【0028】
一例として、DHCPv6-PD(Dynamic Host Configuration Protocol v6-Prefix Delegation)を用いたときのシーケンスを
図8に示す。処理部240は、第1送受信部110に対して、DHCPv6起動7001を要求する。第1送受信部110は、第1機器800に対して、DHCPv6 Solicit 7011を送信する。第1機器800は、DHCPv6 Advertise 7012を返信する。第1送受信部110は、DHCPv6 Request 7013を返信する。第1機器800は、前記DHCPv6 Request 7013の受信により、第1送受信部110のMACアドレスを把握し、DHCPv6 Reply 7014を返信する。第1送受信部110は、処理部240に、前記DHCPv6 Reply 7014によって取得したネットワーク情報を通知する。通知する内容は、IPv6アドレス、IPv6プレフィックス、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバアドレス等である。処理部240は、第1送受信部110に対して、IPv6アドレス/プレフィックスを設定する(IPv6アドレス/プレフィックス設定7003)。次に、第2送受信部120に対して、前記の第1送受信部110に対して設定したのとは異なるIPv6アドレス/プレフィックスを設定する(IPv6アドレス/プレフィックス設定7111)。さらに、第1送受信部110および第2送受信部120に対して、デフォルトゲートウェイとDNSサーバアドレスを設定する(デフォルトゲートウェイ設定7004、DNSサーバアドレス設定7005)。デフォルトゲートウェイとDNSサーバアドレスについては、同じものを第1送受信部110および第2送受信部120に設定する。最後に、第2送受信部120に対して、RA起動7102を要求する。第2送受信部120は、定期的にRA 7111を送信することで、ネットワーク情報を通知する。第2機器800は、前記RA 7111を受信したら、第2送受信部120のMACアドレスを把握すると共に、通知されたネットワーク情報の設定(IPv6アドレス/プレフィックス、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバアドレスなど)を行う。
【0029】
第1判定部115は、第1機器800から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置100宛のデータかを判定し、データ処理装置100宛のデータと判定したときはデータを処理部240に送信し、データ処理装置100宛のデータではないと判定したときは第2機器900側(第2送受信部120)にデータを送信する。第1判定部115は、例えば、IPv4アドレス、IPv6アドレス、ポート番号、プロトコル番号の少なくともいずれか1つを含む情報に基づいてデータ処理装置100宛のデータかを判定すればよい。なお、処理部240から第1機器800へのデータは、宛先のMACアドレスY、送信元のMACアドレスXで送信される。つまり、第2機器900からのデータと同じ宛先と送信元のMACアドレスになる。第1判定部115が、第1機器800からデータ処理装置100(処理部240)へのデータ通信を抽出するので、データ処理装置100(処理部240)を制御できる。
【0030】
処理部240は、第1機器800と第2機器900との間のデータ通信と同じ通信(プロトコル、例えばIPv6)で制御される。一方、処理部240は、第1機器800と第2機器900との間のデータ通信とは異なる通信(プロトコル、例えばIPv4)を行う通信部250の制御を行う。なお、本実施例では、通信部250を備え、処理部240が通信部250を制御する例を示した。しかし、本発明において通信部250を備えることは必須ではない。処理部240が行う処理は、「あらかじめ定めた処理」であればよい。第1機器800と第2機器900との間のデータ通信とは異なる通信によって送受信されるデータの処理を行う構成部(本実施例では通信部250)を、処理部240を用いて第1機器800と第2機器900との間のデータ通信と同じ通信で制御する場合は、本発明を利用できる。
【0031】
データ処理装置100によれば、第1判定部115が第1機器800から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置100宛のデータかを判定するので、データ処理装置100は第1機器800と通信できる。また、MACアドレス設定部130が、第1機器800のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第2送受信部120のMACアドレスとして設定し、第2機器900のデータ処理装置100側のMACアドレスと同一のMACアドレスを第1送受信部110のMACアドレスとして設定するので、MACアドレスを書き換える処理を行う必要がない。第1判定部115は受信データの一部分のみ参照するのに対し、MACアドレス書き換えは受信データ全体に対するFCS(Frame Check Sequence)再計算が必要となるため、第一判定部115はMACアドレス書き換えよりも処理負荷が小さい。よって、データ処理装置100の中継装置としての処理の負荷を軽減できる。
[変形例1]
【0032】
図9に変形例1のデータ処理装置を含むシステムの構成例を示す。実施例1では、第1機器800からのデータの宛先のみを判定した。変形例1では、第2機器900からのデータの宛先も判定する。データ処理装置101は、第2判定部125も備える。第2判定部125は、第2機器900から受信したデータを、宛先MACアドレス以外の情報に基づいてデータ処理装置101宛のデータかを判定し、データ処理装置101宛のデータと判定したときはデータを処理部240に送信し、データ処理装置101宛のデータではないと判定したときは第1機器800側(第1送受信部110)にデータを送信する。第2判定部125も、例えば、IPv4アドレス、IPv6アドレス、ポート番号、プロトコル番号の少なくともいずれか1つを含む情報に基づいてデータ処理装置101宛のデータかを判定すればよい。なお、処理部240から第2機器900へのデータは、宛先のMACアドレスX、送信元のMACアドレスYで送信される。つまり、第1機器800からのデータと同じ宛先と送信元のMACアドレスになる。第2判定部125が、第2機器900からデータ処理装置101(処理部240)へのデータを抽出するので、データ処理装置101(処理部240)を制御できる。
【0033】
データ処理装置101も実施例1と同じ効果が得られる。さらに、データ処理装置101の場合は、処理部240の制御を第2機器900側からも行うことができる。データ処理装置101がユーザのオフィスに配置される通信用の主装置であり、第2機器900がユーザのオフィスに配置されるルータの場合、例えば、端末9101からデータ処理装置101(処理部240)の初期設定を行うなどの制御が可能になる。
【0034】
[プログラム、記録媒体]
上述の各種の処理は、
図10に示すコンピュータ2000の記録部2020に、上記処理を実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040、表示部2050などに動作させることで実施できる。
【0035】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0036】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0037】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0038】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。