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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170999
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】圧縮成形装置及び圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20231124BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20231124BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/18
B29C43/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083159
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC05
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF23
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ38
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA22
5F061DA11
(57)【要約】
【課題】装置構成の小型化・簡素化を図り、且つ、一連の工程の効率化を図ることができる圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を有する封止金型202を用いて、基材Waに電子部品Wbが搭載されたワークWを樹脂封止して成形品Wpに加工する圧縮成形装置1であって、少なくとも電子部品Wbのアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂Ruを供給する第1ディスペンサ160と、少なくとも電子部品Wbのオーバーモールドに用いられるオーバーモールド樹脂Roを供給する第2ディスペンサ312と、をそれぞれ別のユニットに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び下型を有する封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、
少なくとも前記電子部品のアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂を供給する第1ディスペンサと、
少なくとも前記電子部品のオーバーモールドに用いられるオーバーモールド樹脂を供給する第2ディスペンサと、
をそれぞれ別のユニットに備えること
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記ワークが、予めアンダーフィルが行われていない状態である場合、前記第1ディスペンサが使用されて、前記ワークのアンダーフィルが行われる構成であり、
前記ワークが、予めアンダーフィルが行われた状態である場合、前記第1ディスペンサが使用されない構成であること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記アンダーフィルが行われた前記ワークを内部空間に収容して前記内部空間の減圧及び加熱を行う真空加熱部をさらに備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
予熱ヒータを有し、前記ワークを保持して前記封止金型に搬入する位置への移動を行うスライダをさらに備え、
前記真空加熱部は、前記アンダーフィルが行われた前記ワークが前記スライダに載置されて予熱されている状態で前記内部空間に収容して前記内部空間の減圧及び加熱を行う構成であること
を特徴とする請求項3記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記ワークの供給を行うワーク供給ユニットをさらに備え、
前記ワーク供給ユニットには、前記第1ディスペンサと、X-Y方向に移動可能に構成され、前記ワークを保持して前記第1ディスペンサによるディスペンス位置へ移動させるディスペンステーブルと、が配設されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
前記上型を所定温度に加熱する加熱機構と、
前記上型の下面側に配設されたキャビティ内にフィルムを吸引保持する吸着機構と、
前記第2ディスペンサから供給される前記オーバーモールド樹脂を、上面に載置させる押圧部材と、
前記押圧部材を上方へ移動させて、所定温度に加熱された状態の前記上型における前記キャビティ内で、載置された前記オーバーモールド樹脂を押圧して前記フィルムの下面に貼着させる移動貼着機構と、をさらに備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項7】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、
それぞれ異なるユニットにおいて実施する、少なくとも前記電子部品のアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂を供給するアンダーフィル樹脂供給工程と、
少なくとも前記電子部品のオーバーモールドに用いられるオーバーモールド樹脂を供給するオーバーモールド樹脂供給工程と、を備え、
前記オーバーモールド樹脂供給工程は、
前記上型を所定温度に加熱する加熱工程と、
前記上型のキャビティ内にフィルムを吸着保持する吸着工程と、
押圧部材の上面に前記オーバーモールド樹脂を載置する載置工程と、
前記上面に前記オーバーモールド樹脂が載置された前記押圧部材を上方へ移動して、前記フィルムに前記オーバーモールド樹脂を押圧して貼着する移動貼着工程と、を有すること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項8】
前記ワークが、予めアンダーフィルが行われていない状態である場合、前記アンダーフィル樹脂供給工程を実施して、前記ワークのアンダーフィルを行い、
前記ワークが、予めアンダーフィルが行われた状態である場合、前記アンダーフィル樹脂供給工程を実施しないこと
を特徴とする請求項7記載の圧縮成形装置。
【請求項9】
前記アンダーフィルを行った前記ワークをスライダに載置して予熱している状態で真空加熱部の内部空間に収容して減圧及び加熱を行う真空加熱工程をさらに備えること
を特徴とする請求項7又は請求項8記載の圧縮成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置及び圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材(回路基板等)に電子部品(半導体チップ等)が搭載されたワークを樹脂封止して成形品(半導体パッケージ等)に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。従来の例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-055609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体パッケージには、搭載される半導体チップの小型化や回路基板の高集積化に伴って当該半導体チップがフリップチップ接続されたものが多く用いられている。具体的に、半導体チップの電極端子部に形成されたはんだボール等のバンプが、回路基板に形成されたランド部に接続される構成が一般的である。通常、フリップチップ接続された半導体チップ-回路基板間の空隙部には、熱膨張係数の相違に基づく応力を緩和するためにアンダーフィル樹脂を用いた充填(単に「アンダーフィル」と称する場合がある)が行われる。さらに、その状態からオーバーモールド樹脂を用いた封止(単に「オーバーモールド」と称する場合がある)が行われる。一例として、特許文献1(特開2004-055609号公報参照)には、アンダーフィルが行われた半導体チップに対して、オーバーモールドを行う技術が開示されている。
【0006】
このような背景の下、圧縮成形方式による樹脂封止装置及び樹脂封止方法において、アンダーフィル樹脂及びオーバーモールド樹脂の供給を行う機構を中心に、装置構成を如何にして効率化・簡素化するか、且つ、それらの樹脂の供給を行う工程を中心に、一連の工程を如何にして効率化・短縮化するかが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、アンダーフィル樹脂及びオーバーモールド樹脂の供給を行う機構を中心に装置構成の効率化・簡素化を図り、且つ、当該樹脂の供給を行う工程を中心に一連の工程の効率化・短縮化を図ることができる圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る圧縮成形装置は、上型及び下型を有する封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、少なくとも前記電子部品のアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂を供給する第1ディスペンサと、少なくとも前記電子部品のオーバーモールドに用いられるオーバーモールド樹脂を供給する第2ディスペンサと、をそれぞれ別のユニットに備えることを要件とする。
【0010】
これによれば、アンダーフィル樹脂及びオーバーモールド樹脂のそれぞれの供給に関して、供給機構の効率的配置を実現し、装置全体の小型化・簡素化、及びこれに伴うコストダウンを図ることができる。また、供給工程の効率化を実現し、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0011】
また、前記アンダーフィルが行われた前記ワークを内部空間に収容して前記内部空間の減圧及び加熱を行う真空加熱部をさらに備えることが好ましい。これによれば、アンダーフィル樹脂にボイドが発生しないように所定の硬化状態となるまで熱硬化させることができる。
【0012】
また、予熱ヒータを有し、前記ワークを保持して前記封止金型に搬入する位置への移動を行うスライダをさらに備え、前記真空加熱部は、前記アンダーフィルが行われた前記ワークが前記スライダに載置されて予熱されている状態で前記内部空間に収容して前記内部空間の減圧及び加熱を行う構成であることが好ましい。これによれば、スライダから真空加熱部へ、またその逆に、ワークを移し替える工程を設けなくて済むため、工程の効率化を実現でき、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0013】
また、前記ワークの供給を行うワーク供給ユニットをさらに備え、前記ワーク供給ユニットには、前記第1ディスペンサと、X-Y方向に移動可能に構成され、前記ワークを保持して前記第1ディスペンサによるディスペンス位置へ移動させるディスペンステーブルと、が配設されていることが好ましい。これによれば、アンダーフィル樹脂を供給するための機構を、ワーク供給ユニット内に配置する構成が実現できる。したがって、効率的な機器配置を実現でき、装置全体の小型化・簡素化、及びこれに伴うコストダウンを図ることができる。
【0014】
また、前記上型を所定温度に加熱する加熱機構と、前記上型の下面側に配設されたキャビティ内にフィルムを吸引保持する吸着機構と、前記第2ディスペンサから供給される前記オーバーモールド樹脂を、上面に載置させる押圧部材と、前記押圧部材を上方へ移動させて、所定温度に加熱された状態の前記上型における前記キャビティ内で、載置された前記オーバーモールド樹脂を押圧して前記フィルムの下面に貼着させる移動貼着機構と、をさらに備えることが好ましい。これによれば、特に、上型にキャビティを備える圧縮成形方式において、オーバーモールド樹脂を効率的にキャビティ内に供給することができる。
【0015】
また、本発明に係る圧縮成形方法は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、それぞれ異なるユニットにおいて実施する、少なくとも前記電子部品のアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂を供給するアンダーフィル樹脂供給工程と、少なくとも前記電子部品のオーバーモールドに用いられるオーバーモールド樹脂を供給するオーバーモールド樹脂供給工程と、を備え、前記オーバーモールド樹脂供給工程は、前記上型を所定温度に加熱する加熱工程と、前記上型のキャビティ内にフィルムを吸着保持する吸着工程と、押圧部材の上面に前記オーバーモールド樹脂を載置する載置工程と、前記上面に前記オーバーモールド樹脂が載置された前記押圧部材を上方へ移動して、前記フィルムに前記オーバーモールド樹脂を押圧して貼着する移動貼着工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アンダーフィル樹脂及びオーバーモールド樹脂の供給を行う機構を中心に、装置構成の効率的な配置及び簡素化を図ることができる。また、当該樹脂の供給を行う工程を中心に、一連の工程の効率化及び時間短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
図2】樹脂封止の対象となるワークの例を示す断面図である。
図3図2のワークにアンダーフィルが行われた状態を示す断面図である。
図4図3のワークにオーバーモールドが行われた状態を示す断面図である。
図5図1の圧縮成形装置のプレス装置の例を示す側面図である。
図6図1の圧縮成形装置の封止金型の例を示す側面断面図である。
図7図1の圧縮成形装置の構成説明図及び動作説明図である。
図8図1の圧縮成形装置の構成説明図及び動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0019】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、成形対象であるワーク(被成形品)Wを封止樹脂(アンダーフィル樹脂Ru及びオーバーモールド樹脂Ro)により樹脂封止成形(圧縮成形)を行う装置である。以下、圧縮成形装置1として、上型204に複数のキャビティ208(208A、208B、208C)が設けられ、下型206に対応する複数のワーク保持部205(205A、205B、205C)が設けられた封止金型202を用いて、複数のワークWを一括して樹脂封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。但し、この構成に限定されるものではない。
【0020】
先ず、ワークWの基本構成として、基材Waに一または複数の電子部品Wbが搭載されている。基材Waの一例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(いわゆる、短冊ワーク)が挙げられる。尚、基材Waの他の例として、円形状、正方形状等に形成された上記部材を用いる構成としてもよい。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。
【0021】
本実施形態においては、基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、両者の間に空隙部等を有することによってアンダーフィルの実施を要する搭載方法(例えば、フリップチップ実装等)が採用される。ここで、ワークWの具体例を図2(概略断面図)に示す。また、当該ワークWに対して、アンダーフィル樹脂Ruを用いてアンダーフィルが行われた状態を図3に示し、さらに、オーバーモールド樹脂Roを用いてオーバーモールドが行われた状態を図4に示す。但し、この構成に限定されるものではない。
【0022】
上記の封止樹脂の例として、アンダーフィル樹脂Ruには、液状の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。但し、当該アンダーフィル樹脂Ruは、基材Waと電子部品Wbとの間の空隙部から外部へ漏出する部分がある場合、オーバーモールドの一部を構成するともいえる。また、オーバーモールド樹脂Roには、顆粒状(円柱状等を含む)、粉砕状、もしくは粉末状(本願において「粒状」と総称する場合がある)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる(液状、板状、シート状等であってもよい)。但し、当該オーバーモールド樹脂Roは、基材Waと電子部品Wbとの間の空隙部へ進入する部分がある場合、アンダーフィルの一部を構成するともいえる。尚、アンダーフィル樹脂Ru及びオーバーモールド樹脂Roのいずれの樹脂もエポキシ系に限定されるものではない。
【0023】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。変形例として、短冊状のフィルムを用いる構成としてもよい(不図示)。
【0024】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークW及びアンダーフィル樹脂Ruの供給を主に行うワーク供給ユニット100A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、オーバーモールド樹脂Roの供給を主に行うオーバーモールド樹脂供給ユニット100C、及び樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行う成形品収納ユニット100Dを主要構成として備えている。尚、各ユニットにおける各機構の作動制御を行う制御部150がワーク供給ユニット100Aに配置されているが、他のユニットに配置される構成としてもよい。
【0025】
本実施形態においては、所定の一方向(一例として、図1中のX方向)に沿って、ワーク供給ユニット100A、プレスユニット100B、オーバーモールド樹脂供給ユニット100C、プレスユニット100B、成形品収納ユニット100Dの順に配置されている。ここで、ワーク供給ユニット100Aとプレスユニット100Bとの間でワークWの搬送を行うワーク搬送部104、及び、プレスユニット100Bと成形品収納ユニット100Dとの間で成形品Wpの搬送を行う成形品搬送部106が設けられている。また、オーバーモールド樹脂供給ユニット100Cとプレスユニット100Bとの間でオーバーモールド樹脂Roの搬送を行うオーバーモールド樹脂搬送部108が設けられている。
【0026】
また、本実施形態においては、ワーク搬送部104は、スライダ116、ガイド117等を有する移動装置130を備えて構成されている。また、成形品搬送部106は、スライダ118、ガイド119等を有する移動装置132を備えて構成されている。また、オーバーモールド樹脂搬送部108は、樹脂ローダ304、ガイド305等を有する移動装置134を備えて構成されている。例えば、移動装置130及び移動装置132には、リニアコンベア等の直動機構が用いられる。また、移動装置134には、リニアコンベア等の直動機構及びエレベータ等の昇降機構が組み合わされて用いられる。但し、これらの構成に限定されるものではない。
【0027】
尚、圧縮成形装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを二組設置した例であるが、プレスユニット100Bを一組のみ設置する構成や、他のユニットを追加設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0028】
(ワーク供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるワーク供給ユニット100Aについて詳しく説明する。
【0029】
ワーク供給ユニット100Aは、ワークWの収容に用いられるワークストッカ110と、ワークWを搬送するワーク搬送部104と、ワークWの受渡しを行う受渡し機構120と、ディスペンステーブル124及び第1ディスペンサ160(詳細は後述)とを備えている。尚、ワークストッカ110には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。また、受渡し機構120には、公知のピックアップ、レール、プッシャ等が用いられる。
【0030】
先ず、ワーク供給ユニット100Aは、ワークW(具体的には、基材Waと電子部品Wbとの間の空隙部)のアンダーフィルに用いられる液状のアンダーフィル樹脂Ruを供給する第1ディスペンサ160を備えている。一例として、第1ディスペンサ160は、後述のディスペンステーブル124に配設される三個のワーク保持部124A、124B、124Cに対応させて、三個のワークWに同時にアンダーフィル樹脂Ruの供給が可能なように三個配設されている。但し、これに限定されるものではなく、一個の第1ディスペンサによって順番に供給する構成としてもよい(不図示)。尚、第1ディスペンサ160には、公知のシリンジ機構等が用いられる。
【0031】
さらに、ワーク供給ユニット100Aは、X-Y方向に移動可能に構成され、ワークWを保持して上記の第1ディスペンサ160によるディスペンス位置まで往復移動するディスペンステーブル124を備えている。本実施形態においては、ワークストッカ110から供給されたワークWが、受渡し機構120によってディスペンステーブル124に載置される。これによれば、アンダーフィル樹脂Ruを供給するための機構を、ワーク供給ユニット100A内に配置する構成が実現できる。したがって、効率的な機器配置を実現でき、装置全体の小型化・簡素化、及びこれに伴うコストダウンを図ることができる。
【0032】
ディスペンステーブル124の構成例として、上面に、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部124A、124B、124Cが設けられている。尚、ワーク保持部124A、124B、124Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0033】
尚、本実施形態においては、スライダ116がX方向に移動し、後述のローダ210がY方向に移動してワークWを封止金型202へ搬入する構成となっている。但し、これに限定されるものではなく、スライダとローダとを一体で構成してもよい(不図示)。
【0034】
具体的に、スライダ116は、ディスペンステーブル124から移載されるワークW(アンダーフィル樹脂Ruが充填された状態)を保持し、所定位置まで搬送してローダ210へ受渡す作用をなす。構成例として、上面に、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部116A、116B、116Cが設けられている。また、ガイド117に沿ってワーク供給ユニット100Aとプレスユニット100Bとの間をX方向に移動可能に構成されている。尚、ワーク保持部116A、116B、116Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0035】
ここで、スライダ116は、予熱ヒータを備えており、上面が加熱面として構成されている。すなわち、上面に載置されたワークWを下面側(本実施形態では、電子部品Wbの搭載面が上向きとなるように載置されたワークWの基材Waの裏面側)から加熱する構成となっている(不図示)。一例として、予熱ヒータには、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。この構成によれば、ワークWが封止金型202内に搬入されて加熱される前に予熱(予備加熱)をしておくことができる。但し、この構成に限定されるものではなく、スライダ116とは別に予熱ヒータを設ける構成としてもよい(不図示)。また、予熱ヒータの省略も可能である。
【0036】
また、ワーク供給ユニット100Aは、アンダーフィルが行われたワークW(基材Waと電子部品Wbとの間の空隙部にアンダーフィル樹脂Ruが充填された状態のワークW)を内部空間に収容して当該内部空間の減圧及び加熱を行う真空加熱部140を備えている。これによれば、アンダーフィル樹脂Ruにボイドが発生しないように所定硬度(所定の硬化状態)となるまで熱硬化させることができる。一例として、外部の吸引装置に連通して内部空間の減圧(大気圧未満の所定圧力状態であって厳密な真空状態ではない)を行う構成となっており、さらに、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ等)等の加熱機構が設けられて内部空間の加熱を行う構成となっている(いずれも不図示)。
【0037】
本実施形態に係る真空加熱部140は、アンダーフィルが行われたワークWがスライダ116に載置されて予熱されている状態で内部空間に収容して当該内部空間の減圧及び加熱を行う構成となっている。これによれば、スライダ116から真空加熱部140の内部空間へ、またその逆に、ワークWを移し替える工程を設けなくて済むため、工程の効率化を実現でき、タクトタイムの短縮を図ることができる。尚、変形例として、真空加熱部140における加熱機構は、内部空間にヒータを設けずに、スライダ116の予熱ヒータのみによって加熱する構成としてもよい。また、別の変形例として、アンダーフィルが行われたワークWがディスペンステーブル124に載置された状態で真空加熱部140の内部空間に収容されて減圧、加熱を行う構成としてもよい(不図示)。
【0038】
尚、上記の構成説明は、ワークWが、予めアンダーフィルが行われていない状態である場合を例に挙げたものである。これに対し、ワークWが、本装置外において予めアンダーフィルが行われた状態である場合に対しても、本実施形態に係る圧縮成形装置1を使用することができる。その場合は、制御部150によって第1ディスペンサ及び関連機構が使用されないように、つまり、第1ディスペンサからアンダーフィル樹脂Ruが供給されないように制御が行われる。
【0039】
(成形品収納ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える成形品収納ユニット100Dについて詳しく説明する。
【0040】
成形品収納ユニット100Dは、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ112と、成形品Wpを搬送する成形品搬送部106と、成形品Wpの受渡しを行う受渡し機構122とを備えている。尚、成形品ストッカ112には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。また、受渡し機構122には、公知のピックアップ、レール、プッシャ等が用いられる。
【0041】
尚、本実施形態においては、スライダ118がX方向に移動して、後述のローダ210がY方向に移動し、成形品Wpを封止金型202から搬出する構成となっている。但し、これに限定されるものではなく、スライダとローダとを一体で構成してもよい(不図示)。
【0042】
具体的に、スライダ118は、封止金型202から進出したローダ210から成形品Wpを受取って保持し、所定位置まで搬送して受渡す作用をなす。構成例として、上面に、X方向に三列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部118A、118B、118Cが設けられている。また、ガイド119に沿ってプレスユニット100Bと成形品収納ユニット100Dとの間をX方向に移動可能に構成されている。尚、成形品保持部118A、118B、118Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0043】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Bについて詳しく説明する。ここで、プレスユニット100Bに設けられるプレス装置250の側面図(概略図)を図5に示す。また、プレス装置250に設けられる封止金型202の側面断面図(概略図)を図6に示す。
【0044】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202と、当該封止金型202の型開閉を行うプレス装置250と、を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。この封止金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0045】
プレス装置250は、図5に示すように、一対の固定プラテン252及び可動プラテン254と、当該プラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、可動プラテン254を昇降させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。
【0046】
また、封止金型202は、プレス装置250における固定プラテン252と可動プラテン254との間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン252に組み付けられ、下型206が可動プラテン254に組み付けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい(いずれも不図示)。
【0047】
先ず、封止金型202の上型204について詳しく説明する。図6に示すように、上型204は、第1プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている。本実施形態においては、上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0048】
より具体的に、キャビティ駒226は、第1プレート222の下面に対して固定して組み付けられる。一方、クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、第1プレート222の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。尚、本実施形態においては、図1に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX方向に三組並設される構成(図中の208A、208B、208C)としているが、これに限定されるものではない。
【0049】
ここで、クランパ228に対向する下型206の金型面206aには吸引溝(不図示)が設けられ、これが吸引装置(不図示)に連通している。また、これらを囲うシール構造が設けられることで、吸引装置を駆動させて減圧することにより、型閉じされた状態でキャビティ208内の脱気を行うことが可能となる。
【0050】
また、本実施形態においては、後述のフィルム供給機構214から供給されるフィルムFを上型204に吸引保持する吸着機構が設けられている。この吸着機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設された吸引路230a、230b、及び第1プレート222、キャビティ駒226を貫通して配設された吸引路230cを介して吸引装置(不図示)に連通している。具体的には、吸引路230a、230b、230cの一端が上型204の金型面204aに通じ、他端が上型204外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路230a、230b、230cからフィルムFを吸引し、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
【0051】
このように、キャビティ208の内面、及び上型204の金型面204a(一部)を覆うフィルムFを設けることにより、成形品Wpの上面におけるオーバーモールド樹脂Roの部分を容易に剥離させることができるため、成形品Wpを封止金型202(本実施形態では、上型204)から容易に取り出すことが可能となる。
【0052】
尚、クランパ228の内周面とキャビティ駒226の外周面との間に設けられる所定寸法の隙間は、上記の吸引路230aの一部を構成する。そのため、当該隙間の所定位置にシール部材234(例えば、Oリング)が配設されて、フィルムFを吸引する際のシール作用をなす。
【0053】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する加熱機構(「上型加熱機構」と称する)が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、第1プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び封止樹脂(主にオーバーモールド樹脂Ro)に熱を加える構成となっている(後述)。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0054】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。図6に示すように、下型206は、第2プレート224、保持プレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、保持プレート236は、第2プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0055】
また、本実施形態においては、ワークWを保持プレート236の上面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、保持プレート236及び第2プレート224を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路240aを有している。具体的には、吸引路240aの一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路240aからワークWを吸引し、金型面206a(ここでは、保持プレート236の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。さらに、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。尚、本実施形態においては、図1に示すように、上型204のキャビティ208に対応して、一個の下型206にワーク保持部205がX方向に三組並設される構成(図中の205A、205B、205C)としているが、これに限定されるものではない。
【0056】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する加熱機構(「下型加熱機構」と称する)が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、第2プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0057】
また、本実施形態においては、ロール状のフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構214が設けられている。このフィルム供給機構214は、未使用のフィルムFが巻出し部214aから送り出されて型開きした封止金型202に供給され、封止金型202で樹脂封止に使用された後、使用済みのフィルムFとして巻取り部214bで巻取られる構成となっている。尚、巻出し部214aと巻取り部214bとはY方向において逆に配置してもよく、あるいは、X方向に一条もしくは複数条のフィルムFを供給するように配置してもよい(いずれも不図示)。
【0058】
また、プレスユニット100Bは、封止金型202へワークWを搬入すると共に、封止金型202から成形品Wpを搬出するローダ210を備えている。当該ローダ210には、ワーク搬送部104からワークWを受取って封止金型202へ受渡す作用と、封止金型202から成形品Wpを受取って成形品搬送部106へ受渡す作用とをなすハンド211が設けられている。一例として、ハンド211は、封止金型202へ進入・進出する方向と直交する方向(X方向)に複数個(図中の211A、211B、211C)が並設されている。このハンド211には、ワークWを保持するワーク保持部、及び成形品Wpを保持する成形品保持部として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が設けられている(不図示)。尚、本実施形態では、三個の場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、二個もしくは四個以上としてもよく、あるいは、複数個ではなく一個としてもよい。
【0059】
以上、本実施形態においては、上型204に所定数のキャビティ208を備え、下型206に対応数のワークWを保持させる構成を例に挙げて説明した。但し、この構成に限定されるものではなく、変形例として、下型206に所定数のキャビティを備え、上型204に対応数のワークWを保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0060】
(オーバーモールド樹脂供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるオーバーモールド樹脂供給ユニット100Cについて詳しく説明する。
【0061】
オーバーモールド樹脂供給ユニット100Cは、オーバーモールド樹脂Roの収容に用いられる樹脂ストッカ302と、樹脂ストッカ302からオーバーモールド樹脂Roを供給する第2ディスペンサ312と、供給されたオーバーモールド樹脂Roを封止金型202内へ搬送する樹脂ローダ304とを備えている。一例として、第2ディスペンサ312は、三組のキャビティ208に対応して設けられる三個の押圧プレート314(後述)に対して、同時にオーバーモールド樹脂Roの供給が可能なように三個配設されている。但し、これに限定されるものではなく、一個の第2ディスペンサによって順番に供給する構成としてもよい(不図示)。尚、本実施形態においては、樹脂ローダ304が、X方向に沿ってオーバーモールド樹脂Roを封止金型202内へ搬入する構成となっている。
【0062】
このように、本実施形態においては、前述の第1ディスペンサ160と、上記の第2ディスペンサ312とが、それぞれ別のユニットに設けられている。これによれば、後述するように、二種類の樹脂を効率的に供給する工程の実現が可能となる。
【0063】
次に、オーバーモールド樹脂供給ユニット100Cは、第2ディスペンサ312に隣接する位置等に、樹脂ローダ304によって搬送されるオーバーモールド樹脂Roを加熱する樹脂ヒータ306を備えている。一例として、樹脂ヒータ306には、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、押圧プレート314に載置された粒状のオーバーモールド樹脂Roの表面を加熱して溶融もしくは軟化状態とすることができ、搬送中のオーバーモールド樹脂Roから塵埃(オーバーモールド樹脂Roの微粉末等)が発生することを防止して、製品の成形不良や、装置の動作不良の発生を防止することができる。尚、樹脂ヒータ306を備えない構成としてもよい。
【0064】
ここで、図7に示すように、樹脂ローダ304には、第2ディスペンサ312から投下されたオーバーモールド樹脂Roを上面314aに載置させる押圧プレート314と、押圧プレート314における上面314aよりも高い位置まで外周部の全周を囲う周壁部316aを有するガード316とが設けられている。本実施形態は、一個の上型204に三組のキャビティ208を有し、一個の下型206に三個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を配置して一括して樹脂封止を行い、同時に三個の成形品Wpを得る構成である(三個以下の設定も可能)。したがって、キャビティ208の位置に対応して、三個の押圧プレート314(314A、314B、314C)が設けられている。また、ガード316は、三個の押圧プレート314(314A、314B、314C)の全周を周壁部316aが囲うよう構成されている。すなわち、ガード316は、各押圧プレート314の周囲に設けられる枠体として構成されている。
【0065】
また、同図7に示すように、樹脂ローダ304は、昇降可能に(すなわち、Z方向に往復動可能に)構成されている。さらに、当該樹脂ローダ304には、押圧プレート314を上方へ移動させて、載置されたオーバーモールド樹脂Roをキャビティ208内でフィルムFに押圧させる移動貼着機構315が設けられている。これによれば、樹脂ローダ304を上昇させて、ガード316の周壁部316aを上型204(一例として、クランパ228における金型面204a)に当接させることができる。さらに、その状態で、移動貼着機構315により押圧プレート314を上方へ移動させて、所定温度に加熱された状態の上型204におけるキャビティ208内で押圧プレート314に載置されたオーバーモールド樹脂RoをフィルムFに押圧させることができる(図8参照)。したがって、フィルムFを介して上型204の熱をオーバーモールド樹脂Roに伝えることができるため、オーバーモールド樹脂Roが軟化(溶融)状態となることによる接着力を発生させて、フィルムFの下面に貼着させることができる。但し、この構成に限定されるものではなく、ガード316を昇降させる機構を樹脂ローダ304に設けて、樹脂ローダ304に対して周壁部316aを取り外したガード316を昇降させる構成としてもよい(不図示)。
【0066】
上記の構成によれば、特に、上型204にキャビティ208を備える圧縮成形方式において、オーバーモールド樹脂Roを効率的にキャビティ208内に供給することができる。尚、オーバーモールド樹脂Roの供給機構の変形例として、ワーク供給ユニット100Aに第2ディスペンサを設けて、ワークW上にオーバーモールド樹脂Roを供給し、ワーク搬送部104等によりワークWと共に封止金型202内に搬送する構成も考えられる(不図示)。
【0067】
一方、下型206に所定数のキャビティを備える構成の場合には、樹脂ローダ304が、下型206のキャビティ内へオーバーモールド樹脂Roを搬入する構成が考えられる(不図示)。
【0068】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止(圧縮成形)を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について説明する。ここでは、一個の上型204に三組のキャビティ208を設けると共に、一個の下型206に三個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を配置して一括して樹脂封止を行い、同時に三個の成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではない。
【0069】
準備工程として、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。さらに、フィルム供給機構214によって、巻出し部214aから巻取り部214bへフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(初回のフィルム供給工程)を実施する。
【0070】
次いで(もしくは並行して)、ワークストッカ110からワークWを取り出して所定の機構へ受渡すワーク供給工程を実施する。本実施形態では、「所定の機構」がディスペンステーブル124に設定されるが、途中、他の機構にワークWを一時的に保持させてもよい。尚、変形例として、「所定の機構」がスライダ116に設定される構成も考えられる(不図示)。
【0071】
次いで、アンダーフィル樹脂供給工程として、ワーク供給ユニット100Aにおいて、ワークWの所定部位(本実施形態では、空隙部)にアンダーフィル樹脂Ruを充填する工程を実施する。先ず、受渡し機構120を用いて、ディスペンステーブル124の各ワーク保持部124A~124CにワークWを保持させる。次いで、ワーク保持部124A~124Cに保持された各ワークWがそれぞれ第1ディスペンサ160のノズルの直下位置となるように、ディスペンステーブル124を移動(X-Y移動)する。その位置において、各第1ディスペンサ160のノズルから、ワーク保持部124A~124Cに保持された各ワークWに対して規定量の液状のアンダーフィル樹脂Ruを供給(吐出)し、当該ワークWにおける基材Waと電子部品Wbとの間の空隙部への充填を行う(図3参照)。
【0072】
これに続く工程として、ワーク搬送工程を実施した後、オーバーモールド樹脂供給工程を実施する順序で説明するが、オーバーモールド樹脂供給工程をワーク搬送工程の前に実施してもよく、あるいは、並行して実施してもよい。
【0073】
先ず、ワーク搬送工程として、ワーク搬送部104によってワークWをワーク供給ユニット100Aからプレスユニット100Bへ搬送する工程を実施する。具体的に、受渡し機構120を用いて、ディスペンステーブル124からワークW(アンダーフィル樹脂Ruが充填された状態)をスライダ116上に移載する。次いで、ワークWを保持したスライダ116がプレスユニット100Bまで移動して、ローダ210へ受渡すための所定位置まで当該ワークWを搬送する工程を実施する。尚、ディスペンステーブル124からワークW(アンダーフィル樹脂Ruが充填された状態)をスライダ116上に移載する受渡し機構を別に設けてもよい(不図示)。
【0074】
次いで、プレスユニット100Bにおいて、ローダ210がスライダ116からワークWを受取って所定位置(一例として、下面)に保持するワーク保持工程を実施する。
【0075】
尚、本実施形態では、ワーク保持工程の前に(具体的には、ワーク搬送工程中において)、予熱ヒータを備えたスライダ116の上面(加熱面)にワークWを載置して予熱を行う予熱工程を実施する。但し、この構成に限定されるものではなく、スライダ116とは別に設けた予熱ヒータ(不図示)によって予熱を行う構成としてもよい。尚、予熱工程は省略も可能である。さらに、アンダーフィルを行ったワークWを真空加熱部140の内部空間に収容して減圧及び加熱を行う真空加熱工程を実施する。前述の通り、本実施形態においては、ワークWをスライダ116に載置して予熱している状態で真空加熱部140の内部空間に収容し、減圧及び加熱を行う構成としている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0076】
次いで、ローダ210が型開きした状態の封止金型202の内部すなわち上型204と下型206との間に進入し、当該封止金型の202の内部において、ハンド211の所定位置に保持したワークWを下型206に受渡すワーク受渡し工程を実施する。
【0077】
一方、オーバーモールド樹脂供給工程として、オーバーモールド樹脂Roをオーバーモールド樹脂供給ユニット100Cから供給し、プレスユニット100Bへ搬送する工程を実施する。一例として、樹脂ローダ304によって、三個の押圧プレート314がそれぞれ三個の第2ディスペンサ312のノズルの直下位置となるように、押圧プレート314の周囲を囲うガード316と共に搬送する。このとき、押圧プレート314における上面314aよりも高い位置まで外周部の全周をガード316(周壁部316a)によって囲った状態となっている。その状態において、各第2ディスペンサ312のノズルから、それぞれの押圧プレート314の上面314aに規定量のオーバーモールド樹脂Roを投下(供給)して載置する載置工程を実施する。前述の通り、ガード316は、押圧プレート314の外周部の全周を囲って配設される枠体である。したがって、オーバーモールド樹脂Roを投下する際に、押圧プレート314からオーバーモールド樹脂Roがこぼれ落ちないようにすることができる。尚、本実施形態においては、より平坦になるようにオーバーモールド樹脂Roを供給するが、変形例として、載置工程の後、押圧プレート314を振動させて、押圧プレート314の上面314aに載置されたオーバーモールド樹脂Roを最外周位置まで行き渡らせつつ、平坦化(厚さを均一化)させる工程を実施してもよい。
【0078】
次いで、樹脂ヒータ306によって、樹脂ローダ304による搬送中のオーバーモールド樹脂Roの加熱(予備加熱)を行う工程を実施する。例えば、オーバーモールド樹脂Roが完全に溶融もしくは溶解しない温度(例えば、60℃~80℃)に加熱部分の押し当てや輻射熱により予備加熱し、オーバーモールド樹脂Roの粒同士を溶着(もしくは軟化)させ一体化させる。これにより、押圧プレート314に載置された粒状のオーバーモールド樹脂Roの表面を溶着(もしくは軟化)させることができ、搬送中の塵埃(オーバーモールド樹脂Roの微粉末等)の発生を防止して、製品の成形不良や、装置の動作不良の発生を防止することができる。尚、予備加熱工程を省略してもよい。
【0079】
ここで、樹脂ローダ304によってオーバーモールド樹脂Roを搬送する工程と並行して(もしくは前後して)、フィルム供給機構214によって、巻出し部214aから巻取り部214bへフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(フィルム供給工程)を実施する。この工程は、初回は未使用フィルムFの供給のみを行う工程となるが、二回目以降は、使用済みフィルムFの送り出し(排出)と未使用フィルムFの供給とを同時に行う工程となる。
【0080】
次いで、図7に示すように、吸着機構によって、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持させる吸着工程(「フィルム吸着工程」と称する)を実施する。次いで、樹脂ローダ304によって、押圧プレート314に載置されたオーバーモールド樹脂Roを封止金型202内(上型204と下型206との間)へ搬送する工程を実施する。この工程においては、封止金型202内(上型204と下型206との間)の所定位置に樹脂ローダ304を配置した状態として、その状態から樹脂ローダ304の上昇を開始する。尚、ガード316の周壁部316aが上型204(本実施形態では、クランパ228の金型面204a)に当接した状態となったときに樹脂ローダ304の上昇を停止する。
【0081】
次いで、移動貼着工程として、図8に示すように、移動貼着機構315を駆動して押圧プレート314の上昇を開始する。このとき、押圧プレート314のみが上方へ(すなわち、キャビティ208内へ)移動し、上面314aに載置されたオーバーモールド樹脂RoをフィルムFの下面に押圧して貼着させる工程を実施する。
【0082】
このように、所定温度に加熱された状態の上型204におけるキャビティ208内で、押圧プレート314に載置されたオーバーモールド樹脂RoをフィルムFに押圧することができる。したがって、フィルムFを介して上型204の熱をオーバーモールド樹脂Roに伝えることができるため、オーバーモールド樹脂Roが軟化(溶融)状態となって接着力が発生し、フィルムFの下面に貼着する作用が得られる。尚、貼着工程は、輻射熱やオーバーモールド樹脂Roを介した熱伝達により移動貼着機構315が加熱されることのないよう、短時間で行うことが好ましい。この点において、前述の予備加熱工程を実施して事前にオーバーモールド樹脂Roを一体化させることにより、フィルムFの下面へのオーバーモールド樹脂Roの貼着工程を効率的に行うことができる。具体的には、オーバーモールド樹脂Roが一体化していることで、短時間でフィルムFの下面へのオーバーモールド樹脂Roの貼着を行うことができる。また、オーバーモールド樹脂Roが一体化していることでオーバーモールド樹脂Roの粒が押圧プレート314上に残ってしまうのを防止することもできる。
【0083】
次いで、移動貼着機構315を駆動して押圧プレート314の下降を開始する工程、及び、樹脂ローダ304の下降を開始する工程を実施する。次いで、樹脂ローダ304を封止金型202外へ移動する工程を実施する。
【0084】
前述の通り、アンダーフィル樹脂Ruは、ワーク供給ユニット100Aの第1ディスペンサ160によって供給されて、ワークWと共に(ワークWの空隙部に充填された状態で)、ローダ210を用いてY方向に沿って封止金型202へ搬入される。一方、オーバーモールド樹脂Roは、オーバーモールド樹脂供給ユニット100Cの第2ディスペンサ312によって供給されて、樹脂ローダ304を用いてX方向に沿って封止金型202へ搬入される。したがって、上記二種類の樹脂を供給する工程の効率化を実現でき、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0085】
尚、オーバーモールド樹脂供給工程の変形例として、前述の通り、ワークW上にオーバーモールド樹脂Roを供給し、ワーク搬送部104等によりワークWと共に封止金型202内に搬送する工程により実施してもよい(不図示)。
【0086】
次いで、型閉じ工程として、封止金型202の型閉じを行い、加熱加圧下でワークWをクランプする工程を実施する。
【0087】
上記の型閉じ工程では、各キャビティ208において、それぞれキャビティ駒226が相対的に下降して、ワークWに対してオーバーモールド樹脂Roを加熱加圧する(ワーク保持部205A~205Cの幾つかにワークWが保持されていない場合もある)。これにより、オーバーモールド樹脂Roが熱硬化して樹脂封止(成形)が完了する(図4参照)。尚、この工程において、アンダーフィル樹脂Ruの最終硬化を行ってもよい。
【0088】
次いで、型開き工程として、封止金型202の型開きを行い、樹脂封止(成形)した成形品Wpを下型206によって保持する工程を実施する。
【0089】
次いで、ローダ210が型開きした状態の封止金型202の内部すなわち上型204と下型206との間に進入し、当該封止金型の202の内部において、下型206から成形品Wpを受取ってハンド211の所定位置(一例として、下面)に保持する成形品受取り工程を実施する。
【0090】
次いで、ローダ210が型開きした状態の封止金型202の外部へ進出し、ハンド211の所定位置に保持した成形品Wpをスライダ118に受渡す成形品受渡し工程を実施する。
【0091】
次いで、成形品搬送工程として、成形品搬送部106によって、成形品Wpをプレスユニット100Bから成形品収納ユニット100Dへ搬送する工程を実施する。一例として、スライダ118がローダ210から成形品Wpを受取って保持し、受渡し機構122へ受渡すための所定位置まで搬送する工程を実施する。
【0092】
次いで、受渡し機構122を用いて、成形品ストッカ112に成形品Wpを収納する成形品収納工程を実施する。
【0093】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う樹脂封止(圧縮成形)の主要動作である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、複数(一例として二組)のプレスユニット100Bを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0094】
尚、上記の工程説明は、ワークWが、予めアンダーフィルが行われていない状態である場合を例に挙げたものである。これに対し、ワークWが、本装置外において予めアンダーフィルが行われた状態である場合に対しても、本実施形態に係る圧縮成形装置1を使用して圧縮成形を行うことができる。その場合は、アンダーフィル樹脂供給工程及び関連工程を実施しないこととなる。
【0095】
以上、説明した通り、本発明に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法によれば、アンダーフィル樹脂及びオーバーモールド樹脂のそれぞれを供給する機構を中心に、装置構成の効率的配置を実現し、装置全体の小型化・簡素化、及びこれに伴うコストダウンを図ることができる。さらに、それらの樹脂を供給する工程を中心に、一連の工程の効率化を実現し、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0096】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、オーバーモールド樹脂として、顆粒状、粉砕状、粉末状の熱硬化性樹脂を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、液状、板状、シート状等の樹脂を用いる構成にも適用可能である。
【0097】
また、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形方式による圧縮成形装置及び圧縮成形方法を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形方式による樹脂封止装置及び樹脂封止方法にも適用可能である。
【0098】
また、前述の通り、アンダーフィル成形した後のワークを本圧縮成形装置に供給する場合は、本装置ではアンダーフィルは行わず、オーバーモールドだけ行ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 圧縮成形装置
124 ディスペンステーブル
140 真空加熱部
160 第1ディスペンサ
312 第2ディスペンサ
W ワーク
Ro オーバーモールド樹脂
Ru アンダーフィル樹脂
図1
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図8