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特開2023-171009作業機械およびスイング角度情報検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171009
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】作業機械およびスイング角度情報検出装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20231124BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20231124BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 M
E02F9/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083175
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】内山 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】松川 洋
(72)【発明者】
【氏名】池上 晃太
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003AB03
2D003DA04
2D015HA03
2D015HB04
(57)【要約】
【課題】スイング角度を検出するためのスイング角度情報検出装置を設置可能な作業機械を提供することができる。
【解決手段】作業機械1は、車両本体2と、作業機3と、スイングブラケット4と、スイング角度情報検出装置5と、を備える。作業機3は、車両本体2の前方に配置されている。スイングブラケット4は、作業機3を車両本体2に対して左右方向にスイング可能に支持する。スイング角度情報検出装置5は、車両本体2に対するスイングブラケット4の回転角度に関する情報を検出する。スイング角度情報検出装置5は、第1ロッド41と、変位量検出部43と、を有する。第1ロッド41は、スイングブラケット4に回転可能に支持された端部51と、端部51と反対側の端部52と、を有する。変位量検出部43は、車両本体2に固定され、作業機3の左右方向へのスイング動作の際のスイングブラケット4の回転に伴って移動する第1ロッド41の端部52における変位量を検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械本体と、
前記作業機械本体の前方に配置された作業機と、
前記作業機を前記作業機械本体に対して左右方向にスイング可能に支持するスイングブラケットと、
前記作業機械本体に対する前記スイングブラケットの回転角度に関する情報を検出するスイング角度情報検出装置と、を備え、
前記スイング角度情報検出装置は、
前記スイングブラケットに回転可能に支持された第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部と、を有する第1ロッドと、
前記作業機械本体に固定され、前記作業機の左右方向へのスイング動作の際の前記スイングブラケットの回転に伴って移動する前記第1ロッドの前記第2端部における変位量を検出する変位量検出部と、を有する、
作業機械。
【請求項2】
前記変位量検出部は、
前記作業機械本体に対して回転可能な第2ロッドと、
前記第2ロッドの回転角度を検出するセンサと、を有し、
前記第2ロッドの先端部は、前記第1ロッドの前記第2端部に回転可能に接続されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記左右方向のうち第1方向側に前記作業機がスイングした場合、前記第2ロッドは前記第1方向と反対の第2方向側に回転する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記左右方向のうち第1方向側に前記作業機がスイングした場合、前記第1ロッドは前記第1方向と反対の第2方向側に移動する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第2ロッドの前記先端部は、前記第2ロッドの回転中心よりも前方に配置されている、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第2ロッドは、前記スイングブラケットの前記左右方向のうち第1方向側に配置されており、
前記作業機が前記第1方向にスイングしたときに前記第1ロッドに対向する前記スイングブラケットの外形部分に沿うように前記第1ロッドは形成されている、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項7】
前記センサは、前記第1ロッドよりも下方に配置されている、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項8】
前記スイングブラケットは、前記第1ロッドの前記第1端部を支持するロッド支持部を有し、
前記第1端部は、前記ロッド支持部の下側に配置されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記スイングブラケットは、
前記作業機を上下方向に回転可能に支持する作業機支持部と、
前記第1ロッドの前記第1端部を支持するロッド支持部と、を有し、
前記スイングブラケットの左右方向の回転軸は、前記作業機支持部と前記ロッド支持部の間に配置されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項10】
作業機を作業機械本体に対して左右方向にスイング可能に支持するスイングブラケットの前記作業機械本体に対する回転角度に関する情報を検出するスイング角度情報検出装置であって、
前記スイングブラケットに回転可能に支持される第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部と、を有する第1ロッドと、
前記作業機械本体に固定され、前記作業機の左右方向へのスイング動作の際の前記スイングブラケットの回転に伴って移動する前記第1ロッドの前記第2端部における変位量を検出する変位量検出部と、を備えた、
スイング角度情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械およびスイング角度情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市街地等の狭い場所における掘削作業において、スイングブーム式の作業機を備えた油圧ショベルが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。スイングブーム式油圧ショベルでは、作業機械本体に対して作業機を左右方向にスイングすることによって、車体幅中心から左右にオフセットした位置を掘削可能である。特許文献1に示す油圧ショベルには、スイング角度を検出するスイング角度センサが設けられており、オフセット溝掘削姿勢をとる操作を行うために旋回角度とスイング角度の差が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-116108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すスイングブーム式油圧ショベルでは、スイング角度センサはスイングブラケットの回転中心等に設置されている。しかしながら、既存のスイングブーム式の油圧ショベルに対してスイング角度センサを後付けする場合、特に狭い場所において使用される小型の油圧ショベルではスイング角センサを設置する場所を確保できなかった。
【0005】
本開示は、スイング角度を検出するためのスイング角度情報検出装置を設置可能な作業機械、および、そのスイング角度情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る作業機械は、作業機械本体と、作業機と、スイングブラケットと、スイング角度情報検出装置と、を備える。作業機は、作業機械本体の前方に配置されている。スイングブラケットは、作業機を作業機械本体に対して左右方向にスイング可能に支持する。スイング角度情報検出装置は、作業機械本体に対するスイングブラケットの回転角度に関する情報を検出する。スイング角度情報検出装置は、第1ロッドと、変位量検出部と、を有する。第1ロッドは、スイングブラケットに回転可能に支持された第1端部と、第1端部と反対側の第2端部と、を有する。変位量検出部は、作業機械本体に固定され、作業機の左右方向へのスイング動作の際のスイングブラケットの回転に伴って移動する第1ロッドの第2端部における変位量を検出する。
【0007】
本開示の第2の態様に係るスイング角度情報検出装置は、作業機を作業機械本体に対して左右方向にスイング可能に支持するスイングブラケットの作業機械本体に対する回転角度に関する情報を検出するスイング角度情報検出装置であって、第1ロッドと、変位量検出部と、を備える。第1ロッドは、スイングブラケットに回転可能に支持される第1端部と、第1端部と反対側の第2端部と、を有する。変位量検出部は、作業機械本体に固定され、作業機の左右方向へのスイング動作の際のスイングブラケットの回転に伴って移動する第1ロッドの第2端部における変位量を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、スイング角度を検出するためのスイング角度情報検出装置を設置可能な作業機械、および、そのスイング角度情報検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態における作業機械の斜視図。
図2】本開示の実施形態における作業機械のスイングブラケット近傍を示す斜視図。
図3】本開示の実施形態における作業機械のスイングブラケット近傍を示す上面図。
図4】本開示の実施形態における作業機械のスイング角度情報検出装置の近傍を示す拡大斜視図。
図5】本開示の実施形態におけるスイング角情報検出装置を示す斜視図。
図6】本開示の実施形態におけるスイング角情報検出装置の取付ブラケットの近傍を後下方から視た斜視図。
図7】本開示の実施形態におけるスイング角情報検出装置の変位量検出部の近傍を前方から視た斜視図。
図8】本開示の実施形態におけるスイング角情報検出装置の変位量検出部の断面構成図。
図9】本開示の実施形態における作業機械の整備のためにフロアを上方に持ち上げた状態を示す側面図。
図10図9におけるスイング角度情報検出装置の近傍を示す側面図。
図11図9におけるスイング角度情報検出装置の近傍を示す斜視図。
図12】本開示の実施形態における作業機を右方向にスイングするようにスイングブラケットが回転した状態を示す上面図。
図13】本開示の実施形態における作業機を左方向にスイングするようにスイングブラケットが回転した状態を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る作業機械およびスイング角度情報検出装置について説明する。
【0011】
(作業機械1の概要)
図1は、実施形態に係る作業機械1の斜視図である。
【0012】
作業機械1は、車両本体2(作業機械本体の一例)と、作業機3と、スイングブラケット4と、スイング角度情報検出装置5と、を主に有する。
【0013】
車両本体2は、旋回体11と、下部構造体12と、ブレード13と、を有する。旋回体11は、下部構造体12の上側に配置されている。旋回体11は、下部構造体12に対して旋回可能に支持されている。旋回体11は、上面のフロア14と、フロア14に配置された運転席15と、運転席15の上方に配置されたルーフ16とを有している。本実施形態の作業機械1は、キャノピー型である。下部構造体12は履帯12a、12bを含む。履帯12a、12bが回転することにより作業機械1が走行する。ブレード13は、下部構造体12の前方に配置されている。ブレードは、油圧アクチュエータによってリフト動作可能である。
【0014】
なお、以下の説明において、「前」および「後」とは車両本体2の前後を意味する。また、以下の説明における「右」、「左」、「上」、及び「下」とは運転席15から前方を見た状態を基準とする方向を示す。「車幅方向」と「左右方向」は同義である。図には、前方向F、後方向B、左方向Lおよび右方向Rが示されている。
【0015】
(作業機3)
作業機3は、車両本体2に取り付けられている。作業機3は、ブーム21と、アーム22と、バケット23とを含む。ブーム21の基端は、スイングブラケット4を介して旋回体11に回転可能に取り付けられている。アーム22の基端は、ブーム21の先端に回転可能に取り付けられている。バケット23は、アーム22の先端に回転可能に取り付けられている。
【0016】
作業機3は、ブームシリンダ25と、アームシリンダ26と、バケットシリンダ27とを含む。ブームシリンダ25と、アームシリンダ26と、バケットシリンダ27は、それぞれ油圧シリンダである。
【0017】
ブームシリンダ25のボトム側の端は、スイングブラケット4に回転可能に取り付けられている。ブームシリンダ25のロッド側の端は、ブーム21に回転可能に取り付けられている。
【0018】
アームシリンダ26のボトム側の端は、ブーム21に回転可能に取り付けられている。アームシリンダ26のロッド側の端は、アーム22に回転可能に取り付けられている。
【0019】
バケットシリンダ27のボトム側の端は、アーム22に回転可能に取り付けられている。バケットシリンダ27のロッド側の端は、バケット23にリンク24を介して回転可能に取り付けられている。
【0020】
ブームシリンダ25が伸縮することで、ブーム21が上下方向に回転する。アームシリンダ26が伸縮することで、ブーム21に対してアーム22が回転する。バケットシリンダ27が伸縮することで、アーム22に対してバケット23が回転する。
【0021】
(スイングブラケット4)
図2は、作業機械1のスイングブラケット近傍を示す斜視図である。図3は、スイングブラケット4の近傍を示す上面図である。図3では作業機3は省略されている。図2および図3に示すスイングブラケット4は、旋回体11の前後方向に沿って作業機3が配置されている状態である。
【0022】
スイングブラケット4は、旋回体11の前側に配置されている。図2および図3に示すように、旋回体11は、前端部に支持ブラケット18を有している。支持ブラケット18は、前方に向かって突出するように配置されている。図3に示すように、スイングブラケット4は、上下方向のピン19によって上面視において時計回りおよび反時計回りに回転可能に支持ブラケット18に装着されている。図3には、ピン19の回転中心が軸A1として示されている。
【0023】
スイングブラケット4は、ブラケット本体31と、レバー部32と、を有する。ブラケット本体31は、図3に示すように、ピン19によって回転可能に支持ブラケット18に支持されている。レバー部32は、図2および図3に示すように、ブラケット本体31から右方向Rに突出している。
【0024】
作業機械1はスイングシリンダ6を更に有する。スイングシリンダ6は、油圧シリンダである。スイングシリンダ6は、旋回体11とレバー部32の間を接続する。スイングシリンダ6のボトム側の端は、旋回体11に回転可能に取り付けられている。スイングシリンダ6のロッド側の端は、レバー部32に回転可能に取り付けられている。スイングシリンダ6が伸縮することによって、スイングブラケット4が旋回体11に対して左右方向にスイングする。
【0025】
ブラケット本体31は、図3に示すように、作業機支持部33と、ロッド支持部34と、を有する。作業機支持部33は、作業機3を上下方向に回転可能に支持する。作業機支持部33は、図3に示すように、左側部33aと右側部33bと、を有する。左側部33aと右側部33bは、ブーム21の基端を左右から挟むように配置されている。ブームシリンダ25のボトム側の端も左側部33aと右側部33bの間に配置される。ロッド支持部34と作業機支持部33は、軸A1を挟んで配置されている。
【0026】
(スイング角度情報検出装置5)
図4は、作業機械1のスイング角度情報検出装置5の近傍を示す拡大斜視図である。図5は、スイング角度情報検出装置5を示す斜視図である。スイング角度情報検出装置5は、スイングブラケット4の旋回体11に対するスイング角度を求めるための情報を検出する。
【0027】
スイング角度情報検出装置5は、図4および図5に示すように、第1ロッド41と、取付ブラケット42と、変位量検出部43と、固定部材44と、を有する。第1ロッド41は、図4に示すように、概ね左右方向に沿って配置されている。第1ロッド41は、端部51(第1端部の一例)と、端部52(第2端部の一例)と、を有する。端部51は、取付ブラケット42を介してスイングブラケット4に回転可能に支持されている。
【0028】
図6は、作業機械1の取付ブラケット42の近傍を後下方から視た斜視図である。ロッド支持部34は、図6に示すように板状である。取付ブラケット42は、スイングブラケット4のロッド支持部34に下方から取り付けられている。
【0029】
図6に示すように、取付ブラケット42は、2つのボス部53と、板状部54と、突出部55と、ボス部56と、を有する。各々のボス部53は、上下方向に沿って配置されている。ボス部53には上端から下方に向かってボルト穴が形成されている。2つのボス部53は、前後方向に沿って作業機3が配置されている状態(図3に示す状態)において左右方向に並んで配置されている。2つのボス部53は、ロッド支持部34の下側に配置されている。板状部54は、2つのボス部53の下端に接続されている。板状部54は、前後方向に沿って作業機3が配置されている状態において左右方向に長く形成されている。突出部55は、前後方向に沿って作業機3が配置されている状態において板状部54から後方に向かって突出している。ボス部56は、突出部55の下側に配置されている。ボス部56には、下端から上方に向かってボルト穴が形成されている。
【0030】
図6に示すように、ロッド支持部34の上面から2つのボス部53にボルト61が挿入されることによって取付ブラケット42は、ロッド支持部34に固定されている。
【0031】
第1ロッド41の端部51は、上下方向に沿った貫通孔が設けられた円環形状に形成されている。端部51がボス部56の下側に配置された状態で、ボルト62が下方から端部51の円環の貫通孔およびボス部56のボルト穴に挿入される。これによって、第1ロッド41の端部51は、上下方向を回転軸として回転可能にロッド支持部34に支持される。なお、図6に示すように、ボス部56と端部51の間にはワッシャ63が配置されている。ワッシャ63の枚数を変更することによって端部51の上下位置を調整することができる。
【0032】
図4および図5に示すように、第1ロッド41の端部52は、上下方向に沿った貫通孔が設けられた円環形状に形成されている。図3に示す上面視においてスイングブラケット4が時計回りおよび反時計回りに回転すると、第1ロッド41の端部52の位置も変位する。変位量検出部43は、端部52の変位量を検出する。
【0033】
図7は、変位量検出部43の近傍を前方から視た斜視図である。図8は、変位量検出部43の断面構成図である。変位量検出部43は、図8に示すように、第2ロッド71と、ピン72と、回転センサ用マグネット73と、回転センサ74と、センサケース75と、を有する。
【0034】
第2ロッド71は、図3に示すように、スイングブラケット4の左方向L側に配置されている。左方向Lは第1方向の一例に対応し、この場合、右方向Rが第2方向の一例に対応する。第2ロッド71は、図4および図5に示すように、端部81(先端部の一例)と、端部82と、接続部83と、を有する。端部81には、第1ロッド41の端部52が互いに回転可能に接続されている。端部81は、ボルトの台座である。端部81には、上面から下方に向かってボルト穴が形成されている。端部81は、第1ロッド41の端部52の下側に配置されている。上方から端部52の貫通孔を通って端部81のボルト穴にボルト64が挿入される。これによって、第2ロッド71の端部81は、第1ロッド41の端部52と上下方向を回転軸として互いに回転可能に接続される。第1ロッド41の端部52と第2ロッド71の端部81の間には、ワッシャ65が配置されている。ワッシャ65の枚数を変更することによって、端部52と端部81の間の上下位置の調整を行うことができる。
【0035】
端部82は、ピン72に接続されている。端部82は上下方向に沿って貫通孔が形成された円環形状である。端部82は、端部81よりも下方に配置されている。
【0036】
接続部83は、端部81と端部82の間を繋ぐ。接続部83は、細長い板状である。図5および図8に示すように、接続部83は、端部81から水平方向に延びた第1部分83aと、第1部分83aの先端から斜め下方に向かって延びて端部82に接続される第2部分83bと、を有する。このように接続部83が、斜め下方に延びているため、第2ロッド71の端部82は、端部81よりも下方に位置する。
【0037】
ピン72は、円柱状の部材である。図8に示すように、ピン72の中心軸A2は、上下方向に沿って配置されている。ピン72の上端は、端部82の貫通孔に嵌って、端部82に固定されている。ピン72は、端部82から下方に延びている。ピン72は、上下方向に沿った中心軸A2を中心としてセンサケース75に回転可能に支持されている。第2ロッド71は中心軸A2を回転軸としてピン72とともに回転する。
【0038】
回転センサ用マグネット73は、図8に示すように、ピン72の下面に配置されている。回転センサ用マグネット73は、ピン72とともに回転する。回転センサ74は、回転センサ用マグネット73の下方に配置されている。回転センサ74は、回転センサ用マグネット73と所定間隔を空けて対向して配置されている。回転センサ74は、非接触型のセンサである。回転センサ74は、回転センサ用マグネット73の回転角度を検出する。これによって、回転センサ74は、第2ロッド71の回転角度を検出することができる。
【0039】
図8に示すように、センサケース75は、第2ロッド71およびピン72を回転可能に支持し、回転センサ用マグネット73および回転センサ74を収容する。センサケース75は、ケース部84と、カバー部85と、を有する。ケース部84は、図7に示すように、上面が開口された略四角形状を有する。カバー部85は、ケース部84の上面の開口を塞ぐようにケース部84の上側に配置されている。
【0040】
カバー部85は、図8に示すように、天井部91と、筒部92と、第1固定部93と、第2固定部94と、を有する。天井部91は、ケース部84の開口を塞ぐ。天井部91は、板形状である。天井部91は、上下方向に沿った貫通孔91aを有する。筒部92は、天井部91の上面に配置されている。
【0041】
筒部92は、天井部91の貫通孔91aの周縁から上方向に向かって延びる。筒部92および貫通孔91aには、ピン72が挿入されている。ピン72の外周面と筒部92の内周面の間には、ブッシュ86が配置されている。筒部の上側にはシム87を介して第2ロッド71の端部82が配置されている。
【0042】
センサケース75の内側には、回転センサ74が配置される配置部材88が設けられている。配置部材88は、板状の部材を折り曲げて形成されている。配置部材88は、配置部分88aと、前側部分88bと、後側部分88cと、前側取付部分88dと、後側取付部分88eと、を有する。配置部分88aは、水平に配置されている。配置部分88aの上面に回転センサ74が配置される。前側部分88bは上下方向に沿って配置されている。前側部分88bは、配置部分88aの前端から上方に向かって延びる。後側部分88cは、上下方向に沿って配置されている。後側部分88cは、配置部分88aの後端から上方に向かって延びる。前側取付部分88dは、水平に配置されている。前側取付部分88dは、前側部分88bの上端から前方に向かって延びる。後側取付部分88eは、水平に配置されている。後側取付部分88eは、後側部分88cの上端から後方に向かって延びる。
【0043】
前側取付部分88dには、上下方向に沿って貫通孔が形成されており、天井部91には、貫通孔91aの前側にも貫通孔が形成されている。これらの貫通孔にボルト101が挿入されることによって、前側取付部分88dが、天井部91に固定される。後側取付部分88eには、上下方向に沿って貫通孔が形成されており、天井部91には、貫通孔91aの後側にも貫通孔が形成されている。これらの貫通孔にボルト101が挿入されることによって、後側取付部分88eが、天井部91に固定される。このように、配置部材88は、前側取付部分88dおよび後側取付部分88eで天井部91に固定されており、配置部材88に回転センサ74が配置されている。
【0044】
第1固定部93は、図7に示すように、変位量検出部43の旋回体11に固定される部分である。第1固定部93は、天井部91の後端から下方に向かって形成されている。第1固定部93は、上下方向に沿って配置されている。第1固定部93は、図8に示すように、ケース部84と、旋回体11の前端面11aの間に配置されている。第1固定部93には、前後方向に沿って貫通孔が形成されている。図8に示すように、第1固定部93と前端面11aの間にボス102が配置されている。前端面11aには前後方向に沿ってボルト穴が形成されている。ボルト103が第1固定部93の貫通孔、ボス102および前端面11aのボルト穴まで挿入されている。これにより、第1固定部93が旋回体11に固定されている。
【0045】
第2固定部94は、図4に示すように、変位量検出部43の旋回体11に固定される部分である。第2固定部94は、天井部91の右端から上方に向かって形成されている。第2固定部94には、左右方向に沿って貫通孔が形成されている。第2固定部94は、固定部材44と固定される。
【0046】
固定部材44は、図4に示すように、第2固定部94と支持ブラケット18との間を接続する。固定部材44は、水平部111と、鉛直部112と、を有する。水平部111は、旋回体11の前端面11aの前方において左右方向に沿って水平に配置されている。水平部111の右端部111aには、上下方向に貫通孔が形成されている。支持ブラケット18の表面には、上面から下方に向かってボルト穴が形成されたボス15aが配置されている。ボス15aの上側に水平部111の右端部111aが配置されている。ボルト113が、上方から右端部111aの貫通孔を通ってボス15aのボルト穴に挿入されている。
【0047】
鉛直部112は、水平部111の左端部111bに固定されている。鉛直部112は、上下方向に沿って配置されている。鉛直部112には、左右方向に沿って貫通孔が形成されている。鉛直部112の貫通孔と、第2固定部94の貫通孔にボルト114が挿入されている。これによって、第2固定部94が固定部材44の鉛直部112に固定されている。センサケース75は、第1固定部93において旋回体の前端面11aに固定され、第2固定部94において旋回体11の支持ブラケット18に固定される。
【0048】
例えば、水平部111の右端部111aの貫通孔を左右方向への長孔とし、第2固定部94の貫通孔を前後方向の長孔とし、第1固定部93の貫通孔を上下方向の長孔としてもよい。これにより、センサケース75の位置の上下、左右、および前後の調整を行うことができる。
【0049】
(センサケース75の位置)
上述したように、第2ロッド71の端部82が端部81よりも下方に配置されているため、第1ロッド41よりセンサケース75は下方に配置されている。これにより、整備のためにフロア14を持ち上げた際に、フロア14の前端に配置されている部品(ライト17も含む)とセンサケース75との干渉を避けることができる。
【0050】
図9は、作業機械1の整備のためにフロア14を上方に持ち上げた状態を示す側面図である。図10は、図9におけるスイング角度情報検出装置5の近傍を示す側面図である。図11は、フロア14を持ち上げた状態におけるスイング角度情報検出装置5近傍を示す斜視図である。
【0051】
図9および図10に示すように、フロア14は、その前端に左右に沿って設けられた軸A3を中心にして後端側が上方に回転する。フロア14の回転によってフロア14の前端および前端に配置されている部品等が下方に迫り出す。仮に変位量検出部43の全体を上方に配置すると、変位量検出部43と固定部材44の一部がフロアの前端および前端に配置されている部品等と干渉のおそれがあるが、本実施形態では、変位量検出部43を迫り出してくる前端および部品よりも下方に配置しているため干渉をさけることができる。
【0052】
(スイング角度情報検出装置の動作)
次に、作業機3の左右方向へのスイング動作に伴うスイング角度情報検出装置5の動作について説明する。図12は、作業機3を右方向Rにスイングするようにスイングブラケット4が回転した状態を示す上面図である。
【0053】
図12に示すように、作業機3を右方向Rにスイングするためにスイングブラケット4の作業機支持部33が右方向Rに移動すると、ロッド支持部34は、左方向L側に移動する。ロッド支持部34の左方向L側への移動によって、ロッド支持部34に取付ブラケット42を介して取り付けられている第1ロッド41が左方向Lに移動する。第1ロッド41の左方向Lへの移動によって、第1ロッド41の端部52も左方向Lに移動する。端部52の移動によって、第2ロッド71の端部81が端部82に固定されているピン72を中心にして上面視で反時計回りに回転する。なお、図3図12および図13の平面視では、第2ロッド71の端部81は、第1ロッド41の端部52と重なるため、52とともに括弧内に示す。
【0054】
また、図13は、作業機3を左方向Lにスイングするようにスイングブラケット4が回転した状態を示す上面図である。
【0055】
図13に示すように、作業機3を左方向Lにスイングするためにスイングブラケット4の作業機支持部33が左方向Lに移動すると、ロッド支持部34は、右方向R側に移動する。ロッド支持部34の右方向R側への移動によって、ロッド支持部34に取付ブラケット42を介して取り付けられている第1ロッド41が右方向Rに移動する。第1ロッド41の右方向Rへの移動によって、第1ロッド41の端部52も右方向Rに移動する。端部52の移動によって、第2ロッド71の端部81が端部82に固定されているピン72を中心にして上面視で時計回りに回転する。
【0056】
図13に示すように、作業機3を左方向Lにスイングする際に、第1ロッド41は、スイングブラケット4と干渉しないように、スイングブラケット4の外形に沿って形成されている。第1ロッド41は、作業機3が前後方向に沿った状態のスイングブラケット4の左側面4a(図1参照)の形状に沿うように形成されている。図13に、第1ロッド41と同程度の高さのスイングブラケット4の輪郭4cを示す。輪郭4cのうち左側面4aの部分を左輪郭部分4cpとする。具体的には、第1ロッド41は、左右方向における中央部分41a(図3参照)が端部51と端部52を結ぶ線よりも後方に位置するように平面視において凹状に折れ曲がっている。左輪郭部分4cp(外形部分の一例)は、作業機3が前後方向に沿った状態において左方向に凸に湾曲した形状である。図13に示すように、作業機3を左方向Lにスイングする際、第1ロッド41の凹状部分に、対向して左輪郭部分4cpが配置されるため、第1ロッド41とスイングブラケット4の干渉を避けることができる。
【0057】
回転センサ74は、例えば、図3に示すような作業機3が前後方向に沿った状態での第2ロッド71の位置から第2ロッド71が左右方向に回転した回転角度(スイング角度に関する情報の一例)を検出することができる。この第2ロッド71の回転角度の情報から軸A1を回転中心とするスイングブラケット4のスイング角度を演算することができる。
【0058】
(まとめ)
上述したように、本実施形態の作業機械1は、第1ロッド41と、スイング角度情報検出装置5を備えている。第1ロッド41は、スイングブラケット4に回転可能に支持された端部51と、端部51と反対側の端部52と、を有する。スイング角度情報検出装置5は、車両本体2に固定され、スイング動作の際のスイングブラケット4の回転に伴って移動する第1ロッド41の端部52における変位量を検出する。このように、第1ロッド41を介してスイング角度を検出することができるため、作業機3のスイングの中心となる軸A1の周辺に十分なスペースの確保が難しい場合でも、スイング角度を検出することができる。
【0059】
また、図5に示すスイング角度情報検出装置5を既存のスイングアーム式の作業機械に後付けできるため、後付けで情報化施工を行うことができる。
【0060】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
(A)
上記実施形態では、第2ロッド71の回転角度を検出する回転センサとして非接触型のセンサが用いられているが、これに限らず、接触型のセンサが用いられてもよく、要するに、第2ロッド71の回転角度を検出できさえすればよい。
【0062】
(B)
上記実施形態では、キャノピー型の作業機械1を用いて説明したが、これに限らなくてもよく、キャブが配置されていてもよい。
【0063】
(C)
作業機械1は、上述した油圧ショベルに限らず、機械式ショベル、ロープショベル等の他の機械であってもよい。上記の実施形態に係る作業機械1は、いわゆるバックフォー型のショベルであるが、フェースショベルであってもよい。また、下部構造体は、履帯に限らず、ホイールであってもよい。また、下部構造体は、台船等の船体であってもよい。すなわち、作業機械1は、ブームを含む作業機を備える浚渫船であってもよい。
【0064】
(D)
上記実施形態では、アタッチメントの一例としてバケット23がアーム22に先端に取り付けられているが、これに限らなくてもよく、例えばブレイカー等が取り付けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示によれば、スイング角度を検出するためのスイング角度情報検出装置を設置可能な作業機械、および、そのスイング角度情報検出装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :作業機械
2 :車両本体
3 :作業機
4 :スイングブラケット
5 :スイング角度情報検出装置
41 :第1ロッド
43 :変位量検出部
51 :端部
52 :端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
図13