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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171027
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/071 20060101AFI20231124BHJP
   B65G 15/14 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B65G39/071
B65G15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083208
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】洲本 康樹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 信人
【テーマコード(参考)】
3F023
3F033
【Fターム(参考)】
3F023AA01
3F023AB01
3F023BA03
3F023BB06
3F023BC02
3F023EA01
3F033GA03
3F033GA04
3F033GD04
(57)【要約】
【課題】下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟んで上方に運搬する搬送装置において、挟み込み前の荷こぼれを防止する。
【解決手段】本発明の搬送装置1は、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが対向した状態で、それぞれの幅方向断面における湾曲状態が変化する準備領域Pと、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが対向して被搬送物2を挟持して被搬送物2を上昇させる上昇領域Jとを備え、準備領域Pにおいて、搬送装置1の搬送方向の上流側から下側搬送ベルト23の下側耳部23bを、下側搬送ベルト23の中央部よりも上側になるように支持する第1ローラ41と、上側搬送ベルト13の上側耳部13bを、上側搬送ベルト13の中央部よりも下側になるように支持する第2ローラ42と、下側耳部23bを、下側搬送ベルト23の中央部よりも上側になるように支持する第3ローラ43と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟持し、前記被搬送物を上方へ搬送する搬送装置であって、
前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとが対向した状態で、それぞれの幅方向断面における湾曲状態が変化する準備領域と、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとが対向して前記被搬送物を挟持して前記被搬送物を上昇させる上昇領域と、を備え、
前記準備領域において、前記搬送装置の搬送方向の上流側から順に、
前記下側搬送ベルトの耳部である下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持する第1ローラと、
前記上側搬送ベルトの耳部である上側耳部を、前記上側搬送ベルトの中央部よりも下側になるように支持する第2ローラと、
前記下側搬送ベルトの前記下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持する第3ローラと、
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記第3ローラは、略水平方向に延びる回転軸を有し、中央部の径が最大で両端に行くほど径が小さくなり、且つ、前記下側耳部を支持する2つの樽型ローラを有する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1ローラは、
略水平方向に延びる回転軸を有する円柱状の水平ローラと、
前記水平ローラの両側から前記回転軸に対して傾いた回転軸を有し且つ前記下側耳部を支持する2つの円柱状のトラフローラとを有し、
前記第2ローラは、
略水平方向に延びる回転軸を有する円柱状の水平ローラと、
円柱状水平ローラの両側から前記回転軸に対して傾いた回転軸を有し且つ前記上側耳部を支持する2つの円柱状のトラフローラとを有する、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1ローラにおいて、前記水平ローラの前記回転軸に対する、前記トラフローラの回転軸の傾斜角度が約18度である、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟持し、前記被搬送物を上方へ搬送する搬送方法であって、
前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとを対向させた状態で、それぞれの幅方向断面における湾曲状態を変化させる準備領域において、
前記下側搬送ベルトの耳部である下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持し、
前記上側搬送ベルトの耳部である上側耳部を、前記上側搬送ベルトの中央部よりも下側になるように支持し、
前記下側搬送ベルトの前記下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持することによりそれぞれの幅方向断面における湾曲状態を変化させ、
上昇領域において、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとを対向させた状態で、前記被搬送物を挟持して前記被搬送物を上昇させる、
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭等を、サイロからバンカへといった低所から高所へと運び上げる際に、ベルトコンベア等の搬送装置を用いる場合、ベルトコンベアの上昇傾斜角度は被搬送物の安息角により制限を受ける。このため、運搬の高度差が大きいほど被搬送物を運び上げるために必要な搬送距離を長くする必要があり、搬送装置の設置面積も大きくなるという問題が生じていた。
この問題を解決するために、近年、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟み込んで上方に運搬する搬送装置が活用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2015-238145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の挟み込み型の搬送装置は、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとで被搬送物を完全に挟み込む前に、下側搬送ベルトと上側搬送ベルト間に隙間が生じることがある。被搬送物が、例えば石炭よりも流動性の高いペレット形状であると、この隙間から荷こぼれを生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟んで上方に運搬する搬送装置及び搬送方法において、挟み込み前の荷こぼれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟持し、前記被搬送物を上方へ搬送する搬送装置であって、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとが対向した状態で、それぞれの幅方向断面における湾曲状態が変化する準備領域と、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとが対向して前記被搬送物を挟持して前記被搬送物を上昇させる上昇領域と、を備え、前記準備領域において、前記搬送装置の搬送方向の上流側から順に、前記下側搬送ベルトの耳部である下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持する第1ローラと、前記上側搬送ベルトの耳部である上側耳部を、前記上側搬送ベルトの中央部よりも下側になるように支持する第2ローラと、前記下側搬送ベルトの前記下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持する第3ローラと、を備える搬送装置を提供する。
【0007】
前記第3ローラは、略水平方向に延びる回転軸を有し、中央部の径が最大で両端に行くほど径が小さくなり、且つ、前記下側耳部を支持する2つの樽型ローラを有することが好ましい。
【0008】
前記第1ローラは、略水平方向に延びる回転軸を有する円柱状の水平ローラと、前記水平ローラの両側から前記回転軸に対して傾いた回転軸を有し且つ前記下側耳部を支持する2つの円柱状のトラフローラとを有し、前記第2ローラは、略水平方向に延びる回転軸を有する円柱状の水平ローラと、円柱状水平ローラの両側から前記回転軸に対して傾いた回転軸を有し且つ前記上側耳部を支持する2つの円柱状のトラフローラとを有することが好ましい。
【0009】
前記第1ローラにおいて、前記水平ローラの前記回転軸に対する、前記トラフローラの回転軸の傾斜角度が約18度であることが好ましい。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の他の形態によると、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟持し、前記被搬送物を上方へ搬送する搬送方法であって、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとを対向させた状態で、それぞれの幅方向断面における湾曲状態を変化させる準備領域において、前記下側搬送ベルトの耳部である下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持し、前記上側搬送ベルトの耳部である上側耳部を、前記上側搬送ベルトの中央部よりも下側になるように支持し、前記下側搬送ベルトの前記下側耳部を、前記下側搬送ベルトの中央部よりも上側になるように支持することによりそれぞれの幅方向断面における湾曲状態を変化させ、上昇領域において、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトとを対向させた状態で、前記被搬送物を挟持して前記被搬送物を上昇させる、搬送方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下側搬送ベルトと上側搬送ベルトとの間に被搬送物を挟んで上方に運搬する搬送装置及び搬送方法において、挟み込み前の荷こぼれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の搬送装置の全体構成を説明する図である。
図2】水平領域に配置されている水平領域用ローラを幅方向からみた図である。
図3】第4ローラを幅方向からみた図である。
図4】第1ローラを幅方向からみた図である。
図5】第2ローラを幅方向からみた図である。
図6】第3ローラを幅方向からみた図である。
図7】上昇領域用ローラを幅方向からみた図である。
図8】位置a,b,c,d,eでの、上側搬送ベルトと下側搬送ベルトとの湾曲形状の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態の搬送装置1の全体構成を説明する図である。搬送装置1は、上側ベルトコンベア10と、上側ベルトコンベア10の下方に設置された下側ベルトコンベア20とを備え、上側ベルトコンベア10と下側ベルトコンベア20との間に被搬送物2(図1には図示せず)を挟み込んで上方に運搬する搬送装置1である。
【0014】
(上側ベルトコンベア10)
上側ベルトコンベア10は、上方に配置された上側ヘッドプーリ11と、下方に配置された上側テールプーリ12と、上側ヘッドプーリ11と上側テールプーリ12との間にかけ渡された無端状の上側搬送ベルト13とを備える。
【0015】
上側搬送ベルト13は、上側テールプーリ12から上側ヘッドプーリ11へ向かう搬送方向Dに沿った被搬送物2の搬送に寄与する上側搬送部13Cと、上側搬送部13Cの上方において上側搬送部13Cと逆方向に、上側ヘッドプーリ11から上側テールプーリ12へと戻る上側戻り部13Rとを有する。上側戻り部13Rの途中には、上側搬送ベルト13に駆動力を付与する上側ドライブプーリ14が設けられている。
【0016】
(下側ベルトコンベア20)
下側ベルトコンベア20は、上側ベルトコンベア10の下方に配置され、上流側は、上側ベルトコンベア10よりも延びている。
下側ベルトコンベア20は、上方に配置された下側ヘッドプーリ21と、下方に配置された下側テールプーリ22と、下側ヘッドプーリ21と下側テールプーリ22との間にかけ渡された無端状の下側搬送ベルト23とを備える。
【0017】
下側搬送ベルト23は、下側テールプーリ22から下側ヘッドプーリ21へ向かう搬送方向Dに沿った被搬送物2の搬送に寄与する下側搬送部23Cと、下側搬送部23Cの下方において下側搬送部23Cと逆方向に、下側ヘッドプーリ21から下側テールプーリ22へと戻る下側戻り部23Rとを有する。下側戻り部23Rの途中には、下側搬送ベルト23に駆動力を付与する下側ドライブプーリ24が設けられている。
【0018】
搬送装置1は、被搬送物2が下側搬送ベルト23上に載置され、被搬送物2が上側搬送ベルト13に覆われていない状態で略水平に搬送される水平領域Hと、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが対向しているが、被搬送物2はまだ上昇を開始していない準備領域Pと、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが対向して被搬送物2を挟持して上昇する上昇領域Jと、を有する。
【0019】
下側搬送ベルト23は、下側ヘッドプーリ21と下側テールプーリ22との間で長手方向に引っ張られて張力が付与されている。上側搬送ベルト13は、上側ヘッドプーリ11と上側テールプーリ12との間で長手方向に引っ張られて張力が付与されている。
【0020】
上昇領域Jでは、この張力によって下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが互いに密着し、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが被搬送物2を挟んで被搬送物2を包み込むことにより、被搬送物2は、荷こぼれすることなく上方に運搬される。
【0021】
(水平領域H)
水平領域Hは、下側搬送ベルト23の下側テールプーリ22と、上側搬送ベルト13の上側テールプーリ12との間の領域であり、上側搬送ベルト13は配置されていない。被搬送物2は、下側搬送ベルト23の下側テールプーリ22側で下側搬送ベルト23上に載置され、上側搬送ベルト13に覆われていない状態で略水平に搬送される。
【0022】
(水平領域用ローラ31)
図2は、水平領域Hに配置されている水平領域用ローラ31を、搬送方向Dから、搬送方向Dと直交する幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態を示す。水平領域用ローラ31は、下側搬送ベルト23の下側搬送部23Cを、下側搬送ベルト23のループの内側となる下面から支持する。
【0023】
水平領域用ローラ31は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、下側搬送ベルト23の幅方向Wの中央部である下側中央部23aを支持する円柱状の水平ローラ31Mと、水平ローラ31Mの回転軸の両端から連続し、水平軸に対して所定のトラフ角度α31、傾いた回転軸を有し、下側搬送ベルト23の幅方向Wの両端である下側耳部23bを支持する2つの円柱状のトラフローラ31Aとを備える。
なお、実施形態において下側耳部23bとは、下側搬送ベルト23を略3等分した場合の両側の部分であり、下側中央部23aとは、下側搬送ベルト23を略3等分した場合の中央の部分である。
【0024】
なお、本明細書において、種々のローラにおいて、水平ローラの回転軸に対するトラフローラの回転軸の傾斜角度をトラフ角度という。
【0025】
また、水平領域用ローラ31の上側には、被搬送物2の幅方向Wの両側を押さえる2つのスカート部32が設けられている。下側搬送ベルト23は、水平領域用ローラ31とスカート部32との間を挿通される。
【0026】
水平領域Hの上流側の下側テールプーリ22側で、被搬送物2は下側搬送ベルト23上に積み込まれる。このとき、下側搬送ベルト23は、水平領域用ローラ31によって支持されて上側に開口したU字形状に保持され、さらに、被搬送物2の幅方向W両側を押さえる2つのスカート部32が設けられている。したがって、下側搬送ベルト23上に積み込まれた被搬送物2は、幅方向Wに荷崩れすることなく搬送される。
【0027】
(準備領域P)
水平領域Hの下流側に設けられた準備領域Pは、下側搬送ベルト23の上に上側搬送ベルト13が配置されているが、被搬送物2はまだ上昇を開始していない。下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とは上流側から下流側に向かうに従い、湾曲状態を変更し、間に被搬送物2を挟持するための準備をしている領域である。湾曲状態とは、U字形状のカーブの状態で、U字形状のカーブの緩やかさ(きつさ)であり、また、下側搬送ベルト23及び上側搬送ベルト13のそれぞれの幅方向両端間の距離でも表すことができ、U字形状のカーブが緩いとは、それぞれのベルトの幅方向両端間の距離が長く、U字形状のカーブがきついとは、それぞれのベルトの幅方向両端間の距離が短い状態である。
【0028】
準備領域Pには、下側搬送ベルト23を下側搬送ベルト23のループの内側となる下面から支持する第4ローラ44と、第1ローラ41と、第3ローラ43とが配置されている。
また、上側搬送ベルト13を上側搬送ベルト13のループの内側となる上面から押さえる第2ローラ42が配置されている。
これらのローラは、上流側から第4ローラ44、第1ローラ41、第2ローラ42、第3ローラ43の順に配置されている。
なお、準備領域Pは、これらのローラを配置して、後述のように下側搬送ベルト23及び上側搬送ベルト13の湾曲状態を、無理な負荷なく変更可能な程度の距離を有している。
なお、実施形態では第4ローラ44と、第1ローラ41と、第3ローラ43との3つのローラが配置されているが、それ以上の数のローラが配置されていてもよい。
【0029】
(第4ローラ44)
図3は、準備領域Pの上流端に配置されている第4ローラ44を、搬送方向Dから、幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態である。第4ローラ44は、下側搬送ベルト23の下側搬送部23Cを、下側搬送ベルト23のループの内側となる下面から支持する。
【0030】
第4ローラ44は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、下側搬送ベルト23の下側中央部23aを支持する円柱状の水平ローラ44Mと、水平ローラ44Mの回転軸の両端から連続し且つ水平軸に対して、トラフ角度としてα44傾いた回転軸を有し、下側搬送ベルト23の下側耳部23bを支持する円柱状の2つのトラフローラ44Aとを備える。なお、実施形態でα44は約23度である。
また、第4ローラ44上方においても水平領域Hから連続して被搬送物2の幅方向W両側を押さえる2つのスカート部32が延びている。このスカート部32は、水平領域Hから徐々に低くなり、第4ローラ44の位置で終了する。
【0031】
(第1ローラ41)
図4は、水平領域Hにおいて、第4ローラ44の下流側に配置された第1ローラ41を、搬送方向Dから、幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態である。第1ローラ41は、下側搬送ベルト23の下側搬送部23Cを、下側搬送ベルト23のループの内側となる下面から支持する。
【0032】
第1ローラ41は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、下側搬送ベルト23の下側中央部23aを支持する円柱状の水平ローラ41Mと、水平ローラ41Mの回転軸の両端から連続し且つ水平軸に対して、トラフ角度としてα41傾いた回転軸を有し、下側搬送ベルト23の下側耳部23bを支持する円柱状の2つのトラフローラ41Aとを備える。なお、実施形態でα41は約18度である。
すなわち、第1ローラ41のトラフ角度α41は18度であり、第4ローラ44のトラフ角度α44の23度より小さい。
【0033】
(第2ローラ42)
図5は、水平領域Hにおいて、第1ローラ41の下流側に配置された第2ローラ42を、搬送方向Dから、幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態である。第2ローラ42は、上側搬送ベルト13の上側搬送部13Cを、上側搬送ベルト13のループの内側となる上面から支持する。
【0034】
第2ローラ42は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、上側搬送ベルト13の上側中央部13aを支持する円柱状の水平ローラ42Mと、水平ローラ42Mの回転軸の両端から連続し且つ水平軸に対して、トラフ角度としてα42傾いた回転軸を有し、上側搬送ベルト13の上側耳部13bを支持する円柱状の2つのトラフローラ42Aとを備える。なお、実施形態でα42は約20度である。
なお、実施形態において上側耳部13bとは、上側搬送ベルト13を略3等分した場合の両側の部分であり、上側中央部13aとは、上側搬送ベルト13を略3等分した場合の中央の部分である。
【0035】
(第3ローラ43)
図6は、水平領域Hにおいて、第2ローラ42の下流側に配置された第3ローラ43を、搬送方向Dから、幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態である。第3ローラ43は、下側搬送ベルト23の下側搬送部23Cを、下側搬送ベルト23のループの内側となる下面から支持する。
【0036】
第3ローラ43は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、下側搬送ベルト23の下側耳部23bを支持する2つのローラ43Bを備える。2つのローラ43Bはそれぞれ同形で、図6に示すように回転軸方向において、中央部の径が両端部よりも大きい、樽型形状である。
【0037】
(上昇領域J)
準備領域Pの下流側に設けられた上昇領域Jは、下側搬送ベルト23と上側搬送ベルト13とが対向して被搬送物2を挟持して、被搬送物2を上昇させる領域である。
上昇領域Jでは、上側搬送ベルト13を、上側搬送ベルト13のループの内側となる上面から押さえる複数の上昇領域用ローラ51が、略等間隔で配置されている。
【0038】
図7は、上昇領域Jに配置された上昇領域用ローラ51を、搬送方向Dから、幅方向Wにみた図である。図中左側は被搬送物2が存在しない状態、図中右側は被搬送物2が存在する状態である。
上昇領域用ローラ51は、上側搬送ベルト13の上側搬送部13Cを、上側搬送ベルト13のループの内側の上面から支持する。
上昇領域用ローラ51は、幅方向Wに沿った水平軸を回転軸とし、上側搬送ベルト13の上側中央部13aを支持する円柱状の水平ローラ51Mと、水平ローラ42Mの回転軸の両端から連続し且つ水平軸に対して、トラフ角度としてα51傾いた回転軸を有し、上側搬送ベルト13の上側耳部13bを支持する円柱状の2つのトラフローラ51Aとを備える。なお、実施形態でα51は約26.5度である。
【0039】
第4ローラ44と第1ローラ41と第3ローラ43とは、略均等な間隔で配置されている。第2ローラ42は第1ローラ41と第3ローラ43の略中間位置に配置されている。上昇領域用ローラ51は、第1ローラ41と第3ローラ43の間隔と略等しい距離、第3ローラ43から離れたところに1番目が配置され、そこから連続して複数配置される。
【0040】
図8は準備領域P及び上昇領域Jの図1に示す位置a、b、c、d、eでの、上側搬送ベルト13と下側搬送ベルト23との湾曲形状の変化を模式的に示す図である。図中、上側搬送ベルト13と下側搬送ベルト23との湾曲形状は、実際の湾曲の度合いより強調して示す。図中上は本実施形態、下は比較形態である。
実施形態では、第4ローラ44、第1ローラ41、第2ローラ42、第3ローラ43、及び上昇領域用ローラ51が配置されている。比較形態では、第4ローラ44及び上昇領域用ローラ51は配置されているが、第1ローラ41、第2ローラ42及び第3ローラ43は配置されていない。
【0041】
実施形態及び比較形態では、第4ローラ44及び上昇領域用ローラ51が配置されているので、位置aと位置eでの上側搬送ベルト13と下側搬送ベルト23との湾曲状態は同じである。
上側搬送ベルト13は、位置aにおいて上側テールプーリ12において方向転換された直後の略水平な状態であり、位置eにおいて上昇領域用ローラ51に沿った下向きのU字形状である。
下側搬送ベルト23は、位置aにおいて第4ローラ44に沿った上向きのU字形状であり、位置eにおいて、カーブの緩い下向きのU字形状である。
【0042】
位置b、c、dでは実施形態及び比較形態ともに、上側搬送ベルト13は、位置aにおける略水平な状態から、位置eにおける上昇領域用ローラ51に沿った下向きのU字形状へと変化する。しかし、実施形態及び比較形態とは、その変化の途中の形状が異なる。
下側搬送ベルト23は、位置aにおける第4ローラ44に沿った上向きのU字形状から、位置eにおける、カーブの緩い下向きのU字形状へと変化する。しかし、実施形態及び比較形態とは、その変化の途中の形状が異なる。
【0043】
すなわち、比較形態で下側搬送ベルト23は、位置c及び位置dでは略水平になる。そうすると、被搬送物2が、荷崩れしやすい例えばペレット等の場合、下側搬送ベルト23上で横に広がりやすい。
上側搬送ベルト13は、位置aでの略水平な状態から、位置eでの上昇領域用ローラ51に沿った下向きのU字形状に徐々に変化する。
しかし、下側搬送ベルト23が位置c及び位置dで略水平になったとき、上側搬送ベルト13は、十分に湾曲しておらず、下側搬送ベルト23の幅方向Wの両側を覆っていない。したがって、上側搬送ベルト13と下側搬送ベルト23との間の隙間からこぼれてしまう。
【0044】
しかし、実施形態では、下側搬送ベルト23に対して位置bに第1ローラ41が設けられ、位置dで第3ローラ43が設けられている。
そうすると、位置bで下側搬送ベルト23は第1ローラ41の形に沿うので、比較形態よりU字形状のカーブを比較形態に比べてきつくすることができる。
位置cにおいて下側搬送ベルト23を支持するローラは設けられていないが、第1ローラ41の影響で、下側搬送ベルト23は位置cにおいても、僅かにU字形状が保たれる。
そして、位置dにおいて、下側搬送ベルト23は、下側中央部23aが下側で、下側中央部23aから下側耳部23b側に行くにつれて持ち上がり、下側耳部23bの途中から、端部に行くにつれて下側に下がるように第3ローラ43の樽型のローラで保持される。
【0045】
さらに、実施形態では、位置cで上側搬送ベルト13が第2ローラ42の形に沿うので、比較形態よりも、カーブのきついU字形状にすることができる。
これにより、実施形態の場合、位置cでは比較形態と比べて上側搬送ベルト13の上側耳部13bが下側に湾曲し、下側搬送ベルト23の下側耳部23bが上側に湾曲するので、上側搬送ベルト13と下側搬送ベルト23の耳部同士がより密着し、被搬送物2が荷崩れしやすい例えばペレット状のものであっても、荷こぼれが生じにくい。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
D 搬送方向
H 水平領域
J 上昇領域
P 準備領域
1 搬送装置
2 被搬送物
10 上側ベルトコンベア
13 上側搬送ベルト
13C 上側搬送部
13a 上側中央部
13b 上側耳部
14 上側ドライブプーリ
20 下側ベルトコンベア
23 下側搬送ベルト
23C 下側搬送部
23a 下側中央部
23b 下側耳部
24 下側ドライブプーリ
41 第1ローラ
41A トラフローラ
41M 水平ローラ
42 第2ローラ
42A トラフローラ
42M 水平ローラ
43 第3ローラ
43B ローラ
44 第4ローラ
44A トラフローラ
44M 水平ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8