(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171036
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車載装置、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20231124BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20231124BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20231124BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60N2/56
B60N2/90
A47C7/74 B
A47C7/74 C
B60R16/02 660A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083222
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一孝
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JF04
3B084JG05
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】車両用シート内に設けられた温度調整装置に対する制御を効率的に行うことができる車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御する制御部を備える車載装置であって、前記制御部は、前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、前記車両における車室内温度を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御する制御部を備える車載装置であって、
前記制御部は、
前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、
前記車両における車室内温度を取得し、
取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する
車載装置。
【請求項2】
前記温度調整装置は、前記車両用シートの表面温度を上昇させるシートヒータ、及び前記車両用シートの表面から送風するシート送風機を含み、
前記制御部は、取得した前記生体情報及び前記車室内温度の組み合わせに基づき、前記シートヒータ又は前記シート送風機のいずれかを、制御対象の前記温度調整装置として特定する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記生体情報は、前記乗員の体温を含み、
前記制御部は、
前記乗員の体温が第1体温閾値以上であり、前記車室内温度が第1室温閾値以上である場合、前記シート送風機を駆動し、
前記乗員の体温が第2体温閾値以下であり、前記車室内温度が第2室温閾値以下である場合、前記シートヒータを駆動し、
前記第2体温閾値は、前記第1体温閾値未満であり、
前記第2室温閾値は、前記第1室温閾値未満である
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記乗員の体温が前記第2体温閾値よりも大きく前記第1体温閾値未満であり、前記車室内温度が前記第2室温閾値よりも大きく前記第1室温閾値未満である場合、前記温度調整装置を停止する
請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記乗員が前記車両に搭乗するよりも前に、
前記乗員が携帯する携帯装置から前記生体情報を取得し、
取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置の制御を開始する
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記生体情報の取得時点から所定時間の経過後、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置の制御を開始する
請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記温度調整装置は、前記車両用シートの表面温度を上昇させるシートヒータを含み、
前記制御部は、
前記車両用シートの表面温度が第1設定温度となるように前記シートヒータを制御し、
前記車両と前記乗員との離間距離が所定距離以内となった場合、前記第1設定温度よりも高い第2設定温度となるように前記シートヒータを制御する
請求項5に記載の車載装置。
【請求項8】
車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御するコンピュー
タに、
前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、
前記車両における車室内温度を取得し、
取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する
処理を実行させるプログラム。
【請求項9】
車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御するコンピュータに、
前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、
前記車両における車室内温度を取得し、
取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する
処理を実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられている車両用シートは、車体の床部に設けられたレール上において、スライド等の移動が可能となるように構成されている。この車両用シートを移動するためのモータ等の駆動部に電力を供給するため、車両用シートに設けられた受電コイルと、車体の床部に設けられた給電コイルを備える車両用シートの給電装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の車両用シートの給電装置は複数の受電コイルを有し、これら複数の受電コイルは、車両用シートの座面、アームレスト又はヘッドレストに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両用シートの給電装置は、当該車両用シートに着座した乗員の生体情報に応じて、車両用シート内に設けられた温度調整装置を駆動制御する点について考慮されていない。
【0005】
本開示は、車両用シート内に設けられた温度調整装置に対する制御を効率的に行うことができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御する制御部を備える車載装置であって、前記制御部は、前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、前記車両における車室内温度を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車両用シート内に設けられた温度調整装置に対する制御を効率的に行う車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る車載装置を含む車載システムの構成を示す模式図である。
【
図3】車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図5】シートヒータに対する車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図6】シート送風機に対する車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態2(所定時間経過後)に係る車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図8】シートヒータに対する車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図9】シート送風機に対する車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態3(第1設定温度)に係る車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図11】シートヒータに対する車載装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御する制御部を備える車載装置であって、前記制御部は、前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、前記車両における車室内温度を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、車両用シートに着座した乗員の体温等の生体情報を取得し、更に、車室における車室内温度(環境温度)を取得する。車載装置の制御部は、取得した生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置の温調制御を行うため、当該温度調整装置に対する制御を効率的に行うことができる。これにより、車両用シートの温度調整装置に対し、乗員が手動にて操作することを不要とし、当該操作に対する煩わしさを解消することができる。特に、乗員が車両を運転している際中においては、温度調整装置に対する操作を不要とすることにより、乗員が運転に専念することを支援することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記温度調整装置は、前記車両用シートの表面温度を上昇させるシートヒータ、及び前記車両用シートの表面から送風するシート送風機を含み、前記制御部は、取得した前記生体情報及び前記車室内温度の組み合わせに基づき、前記シートヒータ又は前記シート送風機のいずれかを、制御対象の前記温度調整装置として特定する。
【0013】
本態様にあたっては、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置は、シートヒータ、及びシート送風機を含む。シートヒータは、通電されることによりジュール熱を発する発熱素子を有する暖房装置であり、車両用シートの表面温度、すなわち座面温度又は背もたれ(バックレスト)温度を上昇させる。シート送風機(シートベンチレーション)は、送風ファンを有する空調装置であり、当該送風ファンを回転することにより、車両用シートの表面に設けられた通風孔又は微細孔から送風することにより表面温度を冷却する等、調整する。このように車両用シートの温度調整装置は、シートヒータ及びシート送風機を含むため、乗員の生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に応じて、シートヒータによる暖房、又はシート送風機による送風を行うことよって乗員の体感温度の低減を図ることができる。車載装置の制御部は、取得した生体情報及び車室内温度の組み合わせに基づき、制御対象の温度調整装置として、シートヒータ又はシート送風機のいずれかを特定するため、乗員及び車内の状態に応じた適切な温度調整装置を選択し、駆動制御することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記生体情報は、前記乗員の体温を含み、前記制御部は、前記乗員の体温が第1体温閾値以上であり、前記車室内温度が第1室温閾値以
上である場合、前記シート送風機を駆動し、前記乗員の体温が第2体温閾値以下であり、前記車室内温度が第2室温閾値以下である場合、前記シートヒータを駆動し、前記第2体温閾値は、前記第1体温閾値未満であり、前記第2室温閾値は、前記第1室温閾値未満である。
【0015】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、乗員の体温に対する体温閾値、及び車室内温度に対する室温閾値を用いて、シートヒータ又はシート送風機を選択的に駆動する。体温閾値は、第1体温閾値、及び第1体温閾値未満である第2体温閾値を含み、室温閾値は、第1室温閾値、及び第1室温閾値未満である第2室温閾値を含む。これら閾値それぞれは、車載装置の記憶部等、制御部がアクセス可能な所定の記憶領域に予め記憶されている。車載装置の制御部は、乗員の体温が第1体温閾値以上であり、車室内温度が第1室温閾値以上である場合、シート送風機を駆動するため、乗員が比較的に暑いと感じる際にシート送風機を駆動し、乗員の体感温度の低減を図り、車室内における快適性を向上させることができる。車載装置の制御部は、乗員の体温が第2体温閾値以下であり、車室内温度が第2室温閾値以下である場合、シートヒータを駆動するため、乗員が比較的に寒いと感じる際にシートヒータを駆動し、乗員の体感温度の上昇を図り、車室内における快適性を向上させることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記乗員の体温が前記第2体温閾値よりも大きく前記第1体温閾値未満であり、前記車室内温度が前記第2室温閾値よりも大きく前記第1室温閾値未満である場合、前記温度調整装置を停止する。
【0017】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、乗員の体温が第2体温閾値よりも大きく第1体温閾値未満であり、車室内温度が第2室温閾値よりも大きく第1室温閾値未満である場合、温度調整装置を駆動することなく、停止した状態を維持する。乗員の体温が第2体温閾値よりも大きく第1体温閾値未満であり、車室内温度が第2室温閾値よりも大きく第1室温閾値未満である場合は、乗員が比較的に適温と感じる状態にあり、当該状態下においては、温度調整装置を停止することにより、当該温度調整装置による電力消費を抑制することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記乗員が前記車両に搭乗するよりも前に、前記乗員が携帯する携帯装置から前記生体情報を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置の制御を開始する。
【0019】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、乗員が車両に搭乗するよりも前に、乗員が携帯する携帯装置から、当該乗員の体温等の生体情報を取得する。車載装置の制御部は、当該携帯装置から送信されるリモートスタート信号の受信に併せて、乗員の体温等の生体情報を取得するものであってもよい。車載装置の制御部は、リモートスタート信号を受信した場合、車両を起動するものであってもよい。携帯装置は、例えば、体温計等の機能を有するバイタルセンサを含むスマートウォッチ又はスマートホンであり、車載装置は当該スマートウォッチ等と直接、無線通信するものであってもよい。又は、乗員は、携帯装置としてスマートホン及びリモートスタートキーを保持(携帯)し、リモートスタートキーを介して、スマートホンと車載装置とは通信するものであってもよい。又は、リモートスタートキーが、バイタルセンサを含み、センサニングした乗員の体温等の生体情報を、車載装置に出力(送信)するものであってもよい。車載装置の制御部は、乗員が車両に搭乗するよりも前に、生体情報及び車室内温度(環境温度)を取得する。車載装置の制御部は、取得した生体情報及び車室内温度(環境温度)に基づき、乗員が車両に搭乗するよりも前に、温度調整装置の制御を開始する。これにより、乗員が車両に搭乗する際には、温度調整装置が既に駆動された環境を乗員に対し提供することができ、車室内における快適性を向上させることができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記生体情報の取得時点から所定時間の経過後、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置の制御を開始する。
【0021】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、乗員が車両に搭乗するよりも前であって、スマートウォッチ又リモートスタートキー等を含む携帯装置から乗員の体温等の生体情報を取得した時点(取得時点)から、所定時間の経過後、温度調整装置の制御を開始する。携帯装置から送信される生体情報の取得時点から所定時間の経過後、車載装置の制御部は、取得した生体情報及び車室内温度に基づき、温度調整装置の制御を開始するため、乗員が乗車するよりも前に、過度に温度調整装置が駆動されることを抑制し、温度調整装置による消費電力を低減することができる。温度調整装置の制御を開始する際に用いられる所定時間は、例えば、車載装置の記憶部に記憶されており、乗員がリモートスタートキー等を操作することにより生体情報が送信された時点(取得時点に相当)から、乗員が乗車するまでの時間(乗車所要時間)に基づき、決定されるものであってもよい。車載装置の制御部は、乗員が車両に搭乗するよりも前において、スマートウォッチ又リモートスタートキー等を含む携帯装置から乗員の体温等の生体情報を取得した時点(取得時点)から、当該乗員が車両に搭乗(乗車)するまでの時間(乗車所要時間)を算出する処理を定常的に行っている。算出した乗車所要時間は、車載装置の記憶部にログ情報等として記憶されており、車載装置の制御部は、記憶部を参照することにより、乗車所要時間(X分)を取得するものであってもよい。車載装置の制御部は、例えば、乗員によるリモートスタートキー等の操作ログ、及び、運転席の開閉操作又は車両用シートの着座センサ等による乗車ログ等を履歴情報として記憶し、これらログ情報を用いて算出した乗車所要時間を記憶部に記憶するものであってもよい。車載装置の制御部は、温度調整装置としてシート送風機(シートベンチレーション)を選択的に駆動する場合、生体情報の取得時点から、乗車所要時間(X分)の経過後、車室内温度の取得及びシート送風機の駆動を開始するものであってもよい。車載装置の制御部は、温度調整装置としてシートヒータを選択的に駆動する場合、生体情報の取得時点から、乗車所要時間(X分)からシートヒータの初期用時間(Y分)を減算した時間(X-Y分)の経過後、車室内温度の取得及びシートヒータの駆動を開始するものであってもよい。シートヒータの初期用時間(Y分)は、乗車所要時間(X分)よりも短い時間(Y<X)であって、シートヒータの駆動を開始した後、所定温度に達する前までの時間に相当するものであり、シートヒータの製品特性に応じて決定される時間である。このように選択される温度調整装置の種類に応じて、温度調整装置の制御を開始するまでの所定時間を異ならせることにより、温度調整装置の機能特性に応じた駆動制御を行うことができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記温度調整装置は、前記車両用シートの表面温度を上昇させるシートヒータを含み、前記制御部は、前記車両用シートの表面温度が第1設定温度となるように前記シートヒータを制御し、前記車両と前記乗員との離間距離が所定距離以内となった場合、前記第1設定温度よりも高い第2設定温度となるように前記シートヒータを制御する。
【0023】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、乗員が車両に搭乗するよりも前であって、スマートウォッチ又リモートスタートキー等を含む携帯装置から乗員の体温等の生体情報を取得した際、更に車室内温度(環境温度)を取得し、取得した生体情報(体温等)及び車室内温度に基づき、シートヒータ又はシート送風機のいずれかを選択する。車載装置の制御部は、シートヒータを選択した場合、当該シートヒータの駆動を開始し、車両用シートの表面温度が第1設定温度となるようにシートヒータを制御する。車載装置の制御部は、シートヒータの駆動を開始後も、乗員が携帯する携帯装置との通信を継続することにより、当該携帯装置の位置検出を周期的に繰り返すことにより、乗員と車両との離間距離の
導出を行う。車載装置の制御部は、乗員の位置検出を行うにあたり、例えば、LF波等を用いたリモートスタートキーのレスポンス機能、ビーコンシステムの活用、又はUWB(Ultra Wide Band)による位置検出を活用するものであってもよい。又は、車載装置の制御部は、乗員が携帯するスマートキー等の携帯装置と車両との離間距離を周期的に導出するボディECU等の車載ECUから、当該離間距離を定期的に取得するものであってもよい。車載装置の制御部は、車両と携帯装置(乗員)との離間距離が所定距離以内となった場合、シートヒータによる出力を増加(上昇)させ、第1設定温度よりも高い第2設定温度となるようにシートヒータを制御する。これにより、シートヒータの駆動開始時点における初期動作としては、比較的に低めの温度設定となる第1設定温度にて、車両用シートに対する暖房を開始し、携帯装置を保持する乗員が、例えば10m程度等、車両に近接した際(離間距離が所定距離以内となった際)、第1設定温度よりも高い第2設定温度にて、シートヒータを駆動することができる。このような段階的な設定温度を用いてシートヒータを駆動制御することにより、シートヒータによる電力消費を抑制しつつ、乗員が車両に近接した際には、設定温度を上昇させ、温度調整が好適に行われた車内環境を乗員に対し提供することができ、車室内における快適性を向上させることができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御するコンピュータに、前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、前記車両における車室内温度を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する処理を実行させる。
【0025】
本態様にあたっては、コンピュータを、車両用シート内に設けられた温度調整装置に対する制御を効率的に行うことができる車載装置として機能させるプログラムを提供することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載され、車両用シートの内部に設けられた温度調整装置を制御するコンピュータに、前記車両に搭乗する乗員の生体情報を取得し、前記車両における車室内温度を取得し、取得した前記生体情報及び前記車室内温度に基づき、前記温度調整装置を制御する処理を実行させる。
【0027】
本態様にあたっては、コンピュータを、車両用シート内に設けられた温度調整装置に対する制御を効率的に行うことができる車載装置として機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る車載装置1を含む車載システムの構成を示す模式図である。
図2は、車載装置1の構成を示すブロック図である。車載システムは、車両Cに搭載された車載装置1を主たる装置として構成され、車載装置1には、シートヒータS11及びシート送風機S12(シートベンチレーション)から成る温度調整装置S1が、通信可能に接続される。車載装置1は、バイタルセンサ31を備える携帯装置3から取得した乗員の生体情報、及び温度センサ141から取得した車室内温度(環境温度)に基づき、車両用シートS内に設けられたシートヒータS11及びシート送風機S12(シートベンチレーション)の駆動制御を行う。
【0030】
車載装置1には、更に車外通信装置2が接続され、乗員が携帯する携帯装置3が車両C
の外側(車外)にある場合であっても、当該車外通信装置2を介して、携帯装置3と通信するものであってもよい。車外通信装置2は、車外通信部(図示せず)及び、車載装置1と通信するための入出力I/F14(図示せず)(インターフェイス)を含む。車外通信部は、3G、LTE、4G、5G、WiFi等の移動体通信のプロトコルを用いて無線通信をするための通信装置であり、車外通信部に接続されたアンテナを介して携帯装置3とデータの送受信を行う。車外通信装置2と携帯装置3との通信は、例えば公衆回線網又はインターネット等の外部ネットワークを介して行われるものであってもよい。車外通信装置2と車載装置1は、車載ネットワークにて通信可能に接続されており、車載装置1は車外通信装置2を介して、携帯装置3と通信するものであってもよい。車載装置1と携帯装置3との通信経路は、車外通信装置2を介する場合に限定されず、車載装置1が備える通信部13による狭域通信、又は車載装置1の入出力I/F14に接続されるUWB(Ultra Wide Band)等に対応した無線送受信機142を介した無線通信によるものであってもよい。
【0031】
車載装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含み、例えば、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置にて構成される統合ECUであってもよい。又は、車載装置1は、ワイパー又はドアミラー等のボディ系アクチュエータの制御を行うボディECUであってもよい。
【0032】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶されたプログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。制御部11は、CPU等のソフトウェア処理を行うソフトウェア処理部のみに限定されず、FPGA、ASIC又はSOC等のハードウェア処理にて種々の制御処理及び演算処理等を行うハードウェア処理部を含むものであってもよい。
【0033】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、車載装置1の制御部11が読み取り可能な記録媒体から読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。記憶部12には、温度調整装置S1を制御する際に用いる制御テーブルが記憶されている。制御テーブルに関する詳細は、後述する。
【0034】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14及びシリアルケーブル等のワイヤーハーネスを介して、車載装置1は、シートヒータS11及びシート送風機S12(シートベンチレーション)から成る温度調整装置S1と通信可能に接続される。
【0035】
入出力I/F14には、更に温度センサ141、及び無線送受信機142が接続されるものであってもよい。温度センサ141は、車両Cの車室内に配置されており、車室の室温(環境温度)を周期的又は定常的に検出(センサニング)し、車載装置1に出力する。無線送受信機142は、例えば、LF波、RF波、又はUWBによる無線通信を行うための機能を有する通信インターフェイスである。車載装置1は、当該無線送受信機142と介して、スマートキー又はリモートスタートキーと、LF波、RF波又はUWB等による無線通信を行うものであってもよい。
【0036】
通信部13は、例えばCAN(Control Area Network)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)の通信プロトコルを用いた通信インターフェイスであり、制御部11は、通信部13を介して車載ネットワークに接続されている車外通信装置2と相互に通信する。通信部13は、有線通信に対応する通信インターフェイスに限定されず、例えば、WiFi(登録商標)又はZiGBee(登録商標)を用いた無線通信に対応する通信インターフェイスであってもよい。このように車載装置1は、通信部13及び無線送受信機142からなる複数の通信経路に対応した通信インターフェイスを備え、いずれかの通信インターフェイスを用いて、スマートウォッチ又はリモートスタートキー等を含む携帯装置3と通信するものであってもよい。
【0037】
温度調整装置S1は、車両用シートSの内部に設けられており、例えば、シートヒータS11、及びシート送風機S12を含む。シートヒータS11は、例えば、通電されることによりジュール熱を発する発熱素子を有する暖房装置である。シートヒータS11は、車両用シートSの表面温度、すなわち座面温度又は背もたれ(バックレスト)温度を上昇させる。シート送風機S12(シートベンチレーション)は、例えば、送風ファンを有する空調装置である。シート送風機S12(シートベンチレーション)は、当該送風ファンを回転することにより、車両用シートSの表面に設けられた通風孔又は微細孔から送風することにより表面温度を冷却する等、温度調整を行う。これらシートヒータS11及びシート送風機S12は、ワイヤーハーネス等により、車載装置1と通信可能に接続され、当該車載装置1から出力された制御信号に応じて、駆動する。
【0038】
携帯装置3は、車両Cに搭乗する乗員によって保持(携帯)される情報端末であり、例えば、スマートウォッチ、スマートホン、又はスマートグラスにより構成され、車載装置1と同様に制御部、記憶部、及び通信部を備える。携帯装置3は、当該携帯装置3を保持する乗員の体温、心拍数又は血圧数を測定するバイタルセンサ31を備える。当該バイタルセンサ31は、携帯装置3を保持する乗員の生体情報(バイタルデータ)を計測する体温計、心拍計、又は血圧計として機能する。携帯装置3は、内包されるバイタルセンサ31によってセンサニングした体温等の生体情報を、車載装置1に送信する。このように生体情報(バイタルデータ)は、体温、心拍数、血圧数、又はこれらの組み合わせによるものであってもよい。
【0039】
携帯装置3は、スマートウォッチ等の単体装置により構成される場合に限定されず、当該スマートウォッチ等と、スマートキー又はリモートスタートキーとの組み合わせにより、構成されるものであってもよい。リモートスタートキーは、LF波及びRF波を用いて車載装置1と通信し、乗員の操作に応じて車両Cの外部から、車両Cの起動、及び車両Cに搭載される各種車載器の操作を行う装置であり、照合機能等を有するスマートキーを包含するものであってもよい。スマートウォッチはセンサニングした体温等の生体情報をリモートスタートキー等に送信し、リモートスタートキーが、LF波又はUWB等を用いて、当該生体情報を車載装置1に送信するものであってもよい。又は、リモートスタートキーが、バイタルセンサ31を含み、センサニングした乗員の体温等の生体情報を、車載装置1に出力(送信)するものであってもよい。この場合、当該リモートスタートキーが携帯装置3として機能する。
【0040】
このように携帯装置3は、バイタルセンサ31を含み車載装置1との通信機能を有するスマートウォッチ又はリモートスタートキー等による単体装置による装置形態、又は、バイタルセンサ31を備えるスマートウォッチ等とリモートスタートキー等との組み合わせによる装置形態を含むものであってもよい。車載装置1は、リモートスタートキー等と周期的に通信することにより、当該リモートスタートキー等を保持する乗員の位置検出、又は乗員と車両Cとの離間距離の導出を行うものであってもよい。
【0041】
図3は、車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、例えば、車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。車載装置1の制御部11は、下記処理を行うにあたり、乗員が携帯するスマートキー又はリモートスタートキーに対する照合処理を行うものであってもよい。車載装置1の制御部11は、照合処理の結果が肯定的であり、IGスイッチがオンにされた場合、車両Cを起動するものであってもよい。当該車両Cの起動により、エンジンが始動、HVシステムが始動、又はEVシステムが始動される。
【0042】
車載装置1の制御部11は、車両Cに搭乗する乗員の生体情報を取得する(S101)。車載装置1の制御部11は、乗員が携帯する携帯装置3と、通信部13又は無線送受信機142を介して通信し、当該携帯装置3から乗員の体温等の生体情報を取得する。携帯装置3は、例えば、体温計等の機能を有するバイタルセンサ31を含むスマートウォッチ又はスマートホンであり、車載装置1は当該スマートウォッチ等と直接、無線通信するものであってもよい。又は、これらスマートウォッチ等は、乗員が携帯するスマートキー又はリモートスタートキーに対し生体情報を出力し、スマートキー等が、車載装置1の制御部11と通信し、当該生体情報(体温等)を車載装置1に送信するものであってもよい。又は、スマートキー又はリモートスタートキーが、バイタルセンサ31を含むものであり、センサニングした生体情報(体温等)を車載装置1に送信するものであってもよい。このように携帯装置3は、バイタルセンサ31を含むスマートウォッチのみならず、当該スマートウォッチ等とリモートスタートキー等との組み合わせ、又は、バイタルセンサ31を含むリモートスタートキーにより、構成されるものであってもよい。車載装置1の制御部11は、乗員が携帯する携帯装置3から、乗員の生体情報を周期的に取得し、取得した生体情報と取得時点とを関連付けて、記憶部12に履歴情報(ログデータ)として記憶するものであってもよい。
【0043】
車載装置1の制御部11は、車両Cにおける車室内温度を取得する(S102)。車載装置1の制御部11は、例えば、入出力I/F14に接続される温度センサ141から出力される温度データを取得することにより、車両用シートSが配置される車室内温度(環境温度)を取得する。温度センサ141は、車室内に設けられており、センサニングデータである温度データを周期的又は定常的に車載装置1に出力している。車載装置1の制御部11は、温度センサ141から車室内温度(環境温度)を周期的に取得し、取得した車室内温度と取得時点とを関連付けて、記憶部12に履歴情報(ログデータ)として記憶するものであってもよい。
【0044】
車載装置1の制御部11は、取得した生体情報及び車室内温度に基づき、温度調整装置S1の駆動の要否を判定する(S103)。温度調整装置S1の駆動が必要であると判定した場合(S103:YES)、車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1を特定する(S104)。車載装置1の制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されている制御テーブルを参照することにより、温度調整装置S1の駆動の要否判定、及び駆動が必要である場合、いずれかの温度調整装置S1を駆動するか選択(特定)するものであってもよい。
【0045】
図4は、制御テーブルの一例を示す説明図である。車載装置1の記憶部12には、取得した生体情報及び車室内温度に基づき、温度調整装置S1の駆動の要否判定、及び駆動が必要である場合、いずれかの温度調整装置S1を駆動するかを特定するための制御情報が記憶されており、当該制御情報は、例えば、マトリック形式による制御テーブルにて保存されている。
【0046】
制御テーブルは、体温閾値の管理項目(横軸項目)と、室温閾値の管理項目(縦軸項目
)とを含み、これら管理項目それぞれにて設定される閾値同士の組み合わせにて、温度調整装置S1の駆動の要否、及び選択される温度調整装置S1の種類(シートヒータS11又はシート送風機S12)が定められる。更に、当該制御テーブルと併せて、体温閾値設定及び室温閾値設定が、記憶部12に記憶されている。体温閾値設定は、第1体温閾値及び第2体温閾値を含み、第2体温閾値(例えば36.4℃)は、第1体温閾値(例えば36.6℃)未満となるように設定されている。室温閾値設定は、第1室温閾値及び第2室温閾値を含み、第2室温閾値(例えば20.0℃)は、第1室温閾値(例えば30.0℃)未満となるように設定されている。
【0047】
体温閾値の管理項目(横軸項目)には、第2体温閾値以下(体温≦第2体温閾値)、第2体温閾値よりも大きくかつ第1体温閾値未満(第2体温閾値<体温<第1体温閾値)、及び第1体温閾値以上(第1体温閾値≦体温)から成る、3項目が定義される。室温閾値の管理項目(縦軸項目)には、第1室温閾値以上(第1室温閾値≦室温)、第2室温閾値よりも大きく、第1室温閾値未満(第2室温閾値<室温<第1室温閾値)、及び第2室温閾値以下(室温≦第2室温閾値)から成る3項目が定義される。
【0048】
車載装置1の制御部11は、例えば、車室内温度(環境温度)が第2室温閾値よりも大きくかつ第1室温閾値未満である場合、温度調整装置S1の駆動は不要(停止/駆動無)であると判定する。又、車載装置1の制御部11は、例えば、車室内温度(環境温度)が第1室温閾値以上、かつ乗員の体温(生体情報)が第2体温閾値以下である場合、温度調整装置S1の駆動は不要(停止/駆動無)であると判定する。又、車載装置1の制御部11は、例えば、車室内温度(環境温度)が第2室温閾値以下、かつ乗員の体温(生体情報)が第1体温閾値以上である場合、温度調整装置S1の駆動は不要(停止/駆動無)であると判定する。
【0049】
車載装置1の制御部11は、例えば、車室内温度(環境温度)が第1室温閾値以上であり、乗員の体温(生体情報)が第2体温閾値よりも大きくかつ第1体温閾値未満、又は第1体温閾値以上である場合、温度調整装置S1の駆動は必要であると判定し、シート送風機S12を特定(選択)する。車載装置1の制御部11は、例えば、車室内温度(環境温度)が第2室温閾値以下であり、乗員の体温(生体情報)が第2体温閾値よりも大きくかつ第1体温閾値未満、又は第2体温閾値以下である場合、温度調整装置S1の駆動は必要であると判定し、シートヒータS11を特定(選択)する。
【0050】
本実施形態にて図示される制御テーブルによる設定は、一例であり、これに限定されない。本実施形態とは異なるように、体温閾値及び室温閾値の管理項目それぞれによる組み合わせに応じて、温度調整装置S1の要否、及び特定される温度調整装置S1の種類(シートヒータS11又はシート送風機S12)を設定するものであってもよい。又は、制御テーブルにて定義される管理項目は、体温閾値としたが、これに限定されず、心拍数又は血圧数に関する閾値(心拍数閾値、閾値血圧数)であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0051】
制御テーブルにて定義される設定情報、体温閾値設定、及び室温閾値設定は、車両Cの乗員の操作に応じて、変更されるものであってもよい。車載装置1の制御部11は、これら設定情報の変更を受け付ける設定変更画面を、通信部13を介して、車載装置1に通信可能に接続される携帯装置3、又はディスプレイ装置等のHMI装置に出力し、当該設定変更画面にて入力された情報に応じて、制御テーブルの設定情報等を変更するものであってもよい。
【0052】
体温閾値及び室温閾値の管理項目にて定義する項目数を増やし、各閾値の段階数を増加させて、より細分化したマトリックにより、シートヒータS11又はシート送風機S12
の駆動制御を行うものであってもよい。シートヒータS11及びシート送風機S12が、複数段階による稼働の設定レベル(Hi設定,Mid設定,Lo設定)を有する場合、各閾値の段階を増加させ、各設定レベルに対応させてシートヒータS11及びシート送風機S12の駆動制御を行うものであってもよい。
【0053】
本実施形態にて、車載装置1の制御部11は、制御テーブルを参照して上記処理を行うとしたが、これに限定されない。温度調整装置S1の要否判定、シートヒータS11又はシート送風機S12の選択等は、CASE又if文等を用いた判断分岐処理にて行われるものであってもよいことは、言うまでもない。又、制御テーブルが、心拍数閾値又は閾値血圧数を定義する管理項目を含む場合、車載装置1の制御部11は、体温を用いる場合と同様に、乗員の心拍数、血圧数又はこれらの組み合わせに基づき、判定制御等を行うものであってもよい。
【0054】
温度調整装置S1の駆動が不要(否)であると判定した場合(S103:NO)、車載装置1の制御部11は、温度調整装置S1を駆動することなく、温度調整装置S1の停止状態を維持する(S1031)。車載装置1の制御部11は、例えば、制御テーブルを参照し、取得した生体情報及び車室内温度の組み合わせに対応する制御態様が停止(駆動無)に該当する場合、シートヒータS11及びシート送風機S12のいずれの温度調整装置S1を駆動することなく、温度調整装置S1の停止状態を維持する。すなわち、車載装置1の制御部11は、取得した生体情報及び車室内温度の組み合わせに対応する制御態様が停止(駆動無)に該当する場合、温度調整装置S1に対する能動的な処理に関し、何も行わないものであってもよい。
【0055】
車載装置1の制御部11は、特定した温度調整装置S1の駆動を開始する(S105)。車載装置1の制御部11は、特定(選択)した温度調整装置S1の種類に応じて、シートヒータS11、又はシート送風機S12(シートベンチレーション)の駆動を開始する。これらシートヒータS11又はシート送風機S12の駆動制御については、それぞれに対応するサブルーチンを示す処理フローにて説明する。
【0056】
図5は、シートヒータS11に対する車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1としてシートヒータS11を特定(選択)した場合、以下の処理フローを実行する。
【0057】
車載装置1の制御部11は、シートヒータS11を始動するためのスイッチのオン制御を行う(H101)。車載装置1の制御部11は、例えば、入出力I/F14を介してシートヒータS11に制御信号を送信して、スイッチのオン制御を行い、シートヒータS11の駆動を開始(始動)する。シートヒータS11の出力レベルが、例えば、Hi設定(高出力)、Mid設定(中出力)、及びLo設定(低出力)を含む場合、車載装置1の制御部11は、Hi設定にてシートヒータS11を始動するものであってもよい。
【0058】
車載装置1の制御部11は、指定レベル数にて、シートヒータS11のスイッチ内LEDを点灯する(H102)。車載装置1の制御部11は、Hi設定ではLEDの点灯数を3つ、Mid設定ではLEDの点灯数を2つ、Lo設定LEDの点灯数を1つ等、シートヒータS11の出力レベルに応じて、スイッチ内LEDを指定レベル数にて点灯するものであってもよい。
【0059】
車載装置1の制御部11は、シートヒータS11の駆動を行う(H103)。シートヒータS11は、車載装置1の制御部11から送信された制御信号に応じて、駆動を行うことにより、車両用シートSに対する暖房(温度調整)が開始される。
【0060】
車載装置1の制御部11は、乗員の生体情報及び車室内温度を取得する(H104)。車載装置1の制御部11は、上述した処理S101、S102と同様に、乗員の生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)を再度、取得する。本処理は、ループ処理にて繰り返し行われるものとなり、車載装置1の制御部11は、乗員の生体情報及び車室内温度を取得する処理を所定の周期にて繰り返し行う。
【0061】
車載装置1の制御部11は、シートヒータS11による駆動が妥当であるか否かを判定する(H105)。車載装置1の制御部11は、上述した処理S103と同様に、例えば記憶部12に記憶されている制御テーブルを参照することにより、直前に取得した乗員の生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、シートヒータS11による駆動が妥当であるか否かを判定する。このようにシートヒータS11による駆動を開始した以降も、再取得した生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、シートヒータS11による駆動の継続が妥当であるか、又はシートの温度(暖房状態)が妥当であるかを効率的に判定することができる。シートヒータS11による駆動が妥当であると判定した場合(H105:YES)、すなわちシートの温度(暖房状態)が妥当である場合、再度H103の処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、シートヒータS11による暖房が継続される。
【0062】
シートヒータS11による駆動が妥当でないと判定した場合(H105:NO)、車載装置1の制御部11は、シートヒータS11の強さを変えて暖房を継続する操作がされたか否かを判定する(H106)。暖房を継続する操作がされたと判定した場合(H106:YES)、車載装置1の制御部11は、乗員により選択された指定レベルに応じて、シートヒータS11の強さを変更して、再度H102からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0063】
暖房を継続する操作がされていないと判定した場合(H106:NO)、車載装置1の制御部11は、手動によるシートヒータS11のオフ操作、又は自動オフを示すオフ制御信号を受信することにより、シートヒータS11の駆動を停止(オフ)する(H107)。又は、車載装置1の制御部11は、シートヒータS11の出力強度(指定レベル)の変更又はオフ操作等、乗員による手動操作に応じた制御信号が入力されなかった場合、再度S101からの処理を実行すべく、ループ処理を行うものであってもよい。
【0064】
図6は、シート送風機S12に対する車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1としてシート送風機S12(シートベンチレーション)を特定(選択)した場合、以下の処理フローを実行する。
【0065】
車載装置1の制御部11は、シート送風機S12を始動するためのスイッチのオン制御を行う(V101)。車載装置1の制御部11は、例えば、入出力I/F14を介してシート送風機S12に制御信号を送信して、スイッチのオン制御を行い、シート送風機S12の駆動を開始(始動)する。シート送風機S12の出力レベルが、例えば、Hi設定(高出力)、Mid設定(中出力)、及びLo設定(低出力)を含む場合、車載装置1の制御部11は、Hi設定にてシート送風機S12を始動するものであってもよい。
【0066】
車載装置1の制御部11は、指定レベル数にて、シート送風機S12のスイッチ内LEDを点灯する(V102)。車載装置1の制御部11は、Hi設定ではLEDの点灯数を3つ、Mid設定ではLEDの点灯数を2つ、Lo設定LEDの点灯数を1つ等、シート送風機S12の出力レベルに応じて、スイッチ内LEDを指定レベル数にて点灯するものであってもよい。
【0067】
車載装置1の制御部11は、シート送風機S12の駆動を行う(V103)。シート送風機S12は、車載装置1の制御部11から送信された制御信号に応じて、駆動を行うことにより、車両用シートSに対する送風(温度調整)が開始される。
【0068】
車載装置1の制御部11は、乗員の生体情報及び車室内温度を取得する(V104)。車載装置1の制御部11は、上述した処理S101、S102と同様に、乗員の生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)を再度、取得する。本処理は、ループ処理にて繰り返し行われるものとなり、車載装置1の制御部11は、乗員の生体情報及び車室内温度を取得する処理を所定の周期にて、繰り返し行うものとなる。
【0069】
車載装置1の制御部11は、シート送風機S12による駆動が妥当であるか否かを判定する(V105)。車載装置1の制御部11は、上述した処理S103と同様に、例えば記憶部12に記憶されている制御テーブルを参照することにより、直前に取得した乗員の生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、シート送風機S12による駆動が妥当であるか否かを判定する。このようにシート送風機S12による駆動を開始した以降も、再取得した生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、シート送風機S12による駆動の継続が妥当であるか、又はシートの温度(送風状態)が妥当であるかを効率的に判定することができる。シート送風機S12による駆動が妥当であると判定した場合(V105:YES)、すなわちシートの温度(送風状態)が妥当である場合、再度V103の処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、シート送風機S12による送風が継続される。
【0070】
シート送風機S12による駆動が妥当でないと判定した場合(V105:NO)、車載装置1の制御部11は、シート送風機S12の強さを変えて送風を継続する操作がされたか否かを判定する(V106)。送風を継続する操作がされたと判定した場合(V106:YES)、車載装置1の制御部11は、乗員により選択された指定レベルに応じて、シート送風機S12の強さを変更して、再度V102からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0071】
送風を継続する操作がされていないと判定した場合(V106:NO)、車載装置1の制御部11は、手動によるシート送風機S12のオフ操作、又は自動オフを示すオフ制御信号を受信することにより、シート送風機S12の駆動を停止(オフ)する(V107)。又は、車載装置1の制御部11は、シート送風機S12の出力強度(指定レベル)の変更又はオフ操作等、乗員による手動操作に応じた制御信号が入力されなかった場合、再度S101からの処理を実行すべく、ループ処理を行うものであってもよい。
【0072】
(実施形態2)
図7は、実施形態2(所定時間経過後)に係る車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、例えば、車両CCが停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。車載装置1の制御部11は、下記処理を行うにあたり、乗員が携帯するスマートキー又はリモートスタートキーに対する照合処理を行うものであってもよい。車載装置1の制御部11は、照合処理の結果が肯定的であり、IGスイッチがオンにされた場合、車両Cを起動するものであってもよい。当該車両Cの起動により、エンジンが始動、HVシステムが始動、又はEVシステムが始動される。
【0073】
車載装置1の制御部11は、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に、車両Cに搭乗する乗員の生体情報を取得する(S201)。車両Cに搭乗することを意図する乗員は、搭乗するよりも前(乗車前)に、例えば、リモートスタートキーを用いて、車両Cの外部から、当該車両Cの起動を行うことが想定される。リモートスタートキーは、近距離無線を用い
て、車載装置1と通信することにより、車両Cの起動、及び温度調整装置S1の駆動を開始することができる。
【0074】
乗員が携帯する携帯装置3は、バイタルセンサ31を含むスマートウォッチ等とリモートスタートキーによる組み合わせ、又はバイタルセンサ31を含むリモートスタートキーにより構成される。例えば、リモートスタートキーは、バイタルセンサ31を含むスマートウォッチから取得(受信)した生体情報を、車載装置1に出力(送信)するものであってもよい。車載装置1の制御部11は、このように構成される携帯装置3(スマートウォッチとリモートスタートキーとの組み合わせ)から、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に、車両Cに搭乗する乗員の生体情報(体温等)を取得する。
【0075】
車載装置1の制御部11は、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に当該乗員の生体情報を取得することにより、乗員の乗車以前に温度調整装置S1の駆動の要否判定、及び駆動を要する温度調整装置S1の種類(シートヒータS11又はシート送風機S12)の特定(選択)を行うことができる。その上で、車載装置1の制御部11は、当該特定(選択)したシートヒータS11又はシート送風機S12のいずれかを、乗員が乗車するよりも前、又は乗車するタイミングに合わせて駆動を開始することができる。
【0076】
車載装置1の制御部11は、実施形態1のS102からS105、S1041と同様に、S202からS205、S2041までの処理を行う。車載装置1の制御部11は、S205の処理を行うにあたり、実施形態1と同様に特定(選択)した温度調整装置S1の種類に応じて、シートヒータS11、又はシート送風機S12(シートベンチレーション)の駆動を開始する。これらシートヒータS11又はシート送風機S12の駆動制御については、それぞれに対応するサブルーチンを示す処理フローにて説明する。
【0077】
図8は、シートヒータS11に対する車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1としてシートヒータS11を特定(選択)した場合、以下の処理フローを実行する。
【0078】
車載装置1の制御部11は、生体情報の取得時点から所定時間が経過したか否かを判定する(H200)。シートヒータS11に対応する所定時間(シートヒータS11用所定時間)は、例えば、記憶部12に記憶されている。当該シートヒータS11用所定時間は、乗員がリモートスタートキーを操作してから、乗車するまでの乗車所要時間に基づき、決定される時間であってもよい。
【0079】
車載装置1の制御部11は、例えば、乗員によるリモートスタートキー等の操作ログ、及び、運転席の開閉操作又は車両用シートSの着座センサ等による乗車ログ等を履歴情報(ログ情報)として記憶し、これらログ情報を用いて算出した乗車所要時間を記憶部12に記憶している。車載装置1の制御部11は、複数回におけるログ情報を用いて算出した平均値を、乗車所要時間として記憶するものであってもよい。当該平均値は、直前の操作ログ及び、例えば過去5回等の所定の遡及数における移動平均によって算出されるものであってもよい。
【0080】
車載装置1の制御部11は、このように操作ログを用いて算出した乗車所要時間(X分)から、シートヒータS11の初期用時間(Y分)を減算した時間(X-Y分)を、所定時間として用いるものであってもよい。シートヒータS11の初期用時間(Y分)は、乗車所要時間(X分)よりも短い時間(Y<X)であって、例えば、シートヒータS11の駆動を開始した後、所定温度に達する前までの時間に相当するものであり、シートヒータS11の製品特性に応じて決定される時間(立ち上がり時間)に基づくものである。車載装置1の制御部11は、計時機能を有しており、リモートスタートキー等にて構成される
携帯装置3から生体情報(体温等)を取得した取得時点から、当該所定時間(X-Y分)が経過したか否かを判定する。
【0081】
生体情報の取得時点から所定時間が経過していない場合(H200:NO)、車載装置1の制御部11は、再度S200の処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、車載装置1の制御部11は、生体情報の取得時点から所定時間が経過するまでの間、待機処理を行うものとなる。
【0082】
生体情報の取得時点から所定時間が経過した場合(H200:YES)、車載装置1の制御部11は、実施形態1のH101からH107と同様に、H201からH207までの処理を行う。又、S202にて行う車室内温度の取得は、所定時間の経過に併せて行うものであってもよい。
【0083】
車載装置1の制御部11は、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に取得した生体情報及び車室内温度(環境温度)に基づき、乗員の乗車以前にシートヒータS11の制御を開始する。これにより、乗員が車両Cに搭乗する際には、シートヒータS11が既に駆動され、車両用シートSに対し暖房が施された環境を乗員に対し提供することができ、車室内における快適性を向上させることができる。シートヒータS11の駆動の開始時点は、操作ログを用いて算出した乗車所要時間(X分)、及びシートヒータS11の初期用時間(Y分)に基づき、決定される。これにより、乗員が乗車する前における、シートヒータS11の駆動時間を適正化して、シートヒータS11の駆動時間が過剰となることを抑制しつつ、シートヒータS11による消費電力の削減を図ることができる。
【0084】
図9は、シート送風機S12に対する車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1としてシート送風機S12(シートベンチレーション)を特定(選択)した場合、以下の処理フローを実行する。
【0085】
車載装置1の制御部11は、生体情報の取得時点から所定時間が経過したか否かを判定する(V200)。シート送風機S12に対応する所定時間(シート送風機S12用所定時間)は、例えば、記憶部12に記憶されている。当該シート送風機S12所定時間は、乗員がリモートスタートキーを操作してから、乗車するまでの乗車所要時間に基づき、決定される時間であってもよい。当該乗車所要時間(X分)は、上述したシートヒータS11の場合と同様に、操作ログ等に基づき算出され、記憶部12に記憶されている。車載装置1の制御部11は、このように操作ログを用いて算出した乗車所要時間(X分)を、所定時間として用いるものであってもよい。
【0086】
車載装置1の制御部11は、計時機能を有しており、リモートスタートキー等にて構成される携帯装置3から生体情報(体温等)を取得した取得時点から、当該所定時間(X分)が経過したか否かを判定する。生体情報の取得時点から所定時間が経過していない場合(V200:NO)、車載装置1の制御部11は、再度V200の処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、車載装置1の制御部11は、生体情報の取得時点から所定時間が経過するまでの間、待機処理を行うものとなる。
【0087】
生体情報の取得時点から所定時間が経過した場合(V200:YES)、車載装置1の制御部11は、実施形態1のV101からV107と同様に、V201からV207までの処理を行う。又、S202にて行う車室内温度の取得は、所定時間の経過に併せて行うものであってもよい。
【0088】
車載装置1の制御部11は、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に取得した生体情報及び
車室内温度(環境温度)に基づき、乗員の乗車以前にシート送風機S12(シートベンチレーション)の制御を開始する。これにより、乗員が車両Cに搭乗する際に併せて、シート送風機S12が既に駆動され、車両用シートSに対し送風が施された環境を乗員に対し提供することができ、車室内における快適性を向上させることができる。シート送風機S12の駆動の開始時点は、操作ログを用いて算出した乗車所要時間(X分)に基づき、決定される。これにより、乗員が乗車する前における、シート送風機S12の駆動時間を適正化して、シート送風機S12の駆動時間が過剰となることを抑制しつつ、シート送風機S12による消費電力の削減を図ることができる。
【0089】
(実施形態3)
図10は、実施形態3(第1設定温度)に係る車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、実施形態2のS201からS205、S2041と同様に、S301からS305、S3041の処理を行う。
【0090】
車載装置1の制御部11は、実施形態2と同様に、リモートスタートキー等を含む携帯装置3から、乗員が車両Cに搭乗するよりも前に、車両Cに搭乗する乗員の生体情報(体温等)を取得する(S301)。車載装置1の制御部11は、乗員の乗車前に取得した生体情報(体温等)及び車室内温度(環境温度)に基づき、本フローチャートにおける一連の処理を行う。
【0091】
当該処理を行うにあたり、S304の処理にてシートヒータS11を特定(選択)した場合、車載装置1の制御部11は、実施形態2とは異なる処理を行う。S304の処理にてシート送風機S12を特定(選択)した場合、車載装置1の制御部11は、実施形態1と同様の処理を行うものであってもよい。
【0092】
図11は、シートヒータS11に対する車載装置1の制御部11の処理を示すフローチャートである。車載装置1の制御部11は、駆動する温度調整装置S1としてシートヒータS11を特定(選択)した場合、以下の処理フローを実行する。車載装置1の制御部11は、実施形態1のH101と同様にH301の処理を行う。
【0093】
車載装置1の制御部11は、第1設定温度にて、シートヒータS11の駆動を行う(H302)。車載装置1の制御部11は、シートヒータS11に対し、第1設定温度に対応した制御信号を送信する。当該第1設定温度に対応した制御信号は、例えば、車両用シートSの表面温度が第1設定温度となるようにシートヒータS11を制御するための制御信号である。
【0094】
シートヒータS11は、車載装置1の制御部11から送信された制御信号に応じて第1設定温度にて駆動を行うことにより、車両用シートSに対する暖房(温度調整)が、第1設定温度にて開始される。車載装置1の制御部11は、シートヒータS11を第1設定温度にて駆動する際、実施形態1のH102と同様にシートヒータS11のスイッチ内LEDを点灯するものであってもよい。
【0095】
車載装置1の制御部11は、車両Cと乗員との離間距離が所定距離以内となったか否かを判定する(H303)。車載装置1の制御部11は、乗員が保持するスマートウォッチ又リモートスタートキー等を含む携帯装置3の位置検出を所定の周期にて行うことにより、当該乗員と車両Cとの離間距離を周期的に行う。車載装置1の制御部11は、例えば、LF波等を用いたリモートスタートキーのレスポンス機能、ビーコンシステムの活用、又はUWB(Ultra Wide Band)による位置検出を活用して、携帯装置3の位置検出を行うものであってもよい。又は、車載装置1の制御部11は、乗員が携帯するスマートキー等の携帯装置3と車両Cとの離間距離を周期的に導出するボディECU等と周期的又は定常
的に通信し、当該ボディECU等から、車両Cと乗員との離間距離を周期的に取得するものであってもよい。
【0096】
判定を行う際の閾値となる所定距離は、例えば、車載装置1の記憶部12等、制御部11がアクセス可能な所定の記憶領域に記憶されている。当該所定距離が例えば、10mに設定(記憶部12に記憶)されている場合、車載装置1の制御部11は、車両Cと乗員との離間距離が10m以内となった場合、車両Cと乗員との離間距離が所定距離以内であると判定する。車両Cと乗員との離間距離が所定距離以内となっていないと判定した場合(H303:NO)、車載装置1の制御部11は、再度S302の処理を行うことにより、第1設定温度にてシートヒータS11が駆動される状態を維持する。
【0097】
車両Cと乗員との離間距離が所定距離以内となった判定した場合(H303:YES)、車載装置1の制御部11は、指定レベル数にて、シートヒータS11のスイッチ内LEDを点灯する(H304)。車載装置1の制御部11は、実施形態1のH102と同様にシートヒータS11のスイッチ内LEDを点灯する。
【0098】
車載装置1の制御部11は、第2設定温度にて、シートヒータS11の駆動を行う(H305)。車両Cと乗員との離間距離が所定距離以内となった判定した場合、車載装置1の制御部11は、シートヒータS11による出力を増加(上昇)させ、第1設定温度よりも高い第2設定温度となるようにシートヒータS11を制御する。
【0099】
車載装置1の制御部11は、シートヒータS11に対し、第2設定温度に対応した制御信号を送信する。当該第2設定温度に対応した制御信号は、例えば、車両用シートSの表面温度が第2設定温度となるようにシートヒータS11を制御するための制御信号である。第2設定温度は、第1設定温度よりも高い設定温度であり、車両用シートSをより高い温度にて暖房することができる。
【0100】
シートヒータS11は、車載装置1の制御部11から送信された制御信号に応じて第2設定温度にて駆動を行うことにより、車両用シートSに対する暖房(温度調整)が、第2設定温度にて開始される。車載装置1の制御部11は、シートヒータS11を第2設定温度にて駆動する際、実施形態1のH102と同様にシートヒータS11のスイッチ内LEDを点灯するものであってもよい。
【0101】
車載装置1の制御部11は、実施形態1のH104からH107と同様に、H306からH309の処理を行う。
【0102】
車載装置1の制御部11は、第1設定温度及び第2設定温度による段階的な設定温度を用いてシートヒータS11を駆動制御する。乗員が車両Cに搭乗するよりも前において、リモートスタートキーにより車両Cが起動された直後は、第1設定温度にてシートヒータS11が駆動されることとなり、シートヒータS11による電力消費を抑制しつつ、車両用シートSの暖房を開始することができる。その上で、乗員が車両Cに近接した際(所定距離内となった際)には、設定温度を第1設定温度から第2設定温度に上昇させるため、温度調整が好適に行われた車内環境を乗員に対し提供することができ、車室内における快適性を向上させることができる。本実施形態において、車載装置1の制御部11は、第1設定温度及び第2設定温度から成る2段階による設定温度を用いてシートヒータS11を駆動制御したが、これに限定されない。車載装置1の制御部11は、車両Cと乗員との離間距離を判定するための所定距離に関し、複数の閾値(第1所定距離、第2定距離等)を設定し、これら閾値(第1所定距離、第2所定距離等に応じて、3段階以上による設定温度を用いてシートヒータS11を段階的に駆動制御するものであってもよい。
【0103】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0104】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0105】
C 車両
S 車両用シート
S1 温度調整装置
S11 シートヒータ
S12 シート送風機(シートベンチレーション)
1 車載装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入出力I/F
141 温度センサ
142 無線送受信機
2 車外通信装置
3 携帯装置
31 バイタルセンサ