(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171037
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車載装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B60R16/02 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083223
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一孝
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
(57)【要約】
【課題】駆動装置を効率的に制御することができる車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と、通信可能に接続される車載装置であって、前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備え、前記第1処理部と前記第2処理部は通信可能に接続されており、前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と、通信可能に接続される車載装置であって、
前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、
前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備え、
前記第1処理部と前記第2処理部は通信可能に接続されており、
前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する
車載装置。
【請求項2】
前記第1信号線と、前記第2処理部とは、連絡線にて接続されており、
前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記連絡線及び前記第1信号線を介して前記第3制御信号を出力する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記連絡線には、前記第3制御信号を前記第1制御信号に変換する変換部が設けられており、
前記第2処理部が前記連絡線を介して出力した前記第3制御信号は、前記変換部により前記第1制御信号に変換され、
前記第1信号線を介して、前記変換部により変換された前記第1制御信号が、前記第1給電スイッチに出力される
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第1処理部及び前記第2処理部には、前記第1車載負荷を操作するための操作スイッチから延設された通信ケーブルが接続されている
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載装置は、第1車載装置と第2車載装置とにより構成され、
前記第1車載装置は、前記第1処理部を含み、
前記第2車載装置は、前記第2処理部を含み、
前記第2車載装置は、前記第1車載装置が異常となった場合、前記第1車載装置を代替する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と通信可能に接続され、
前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、
前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部と
を備えるコンピュータに処理を実行させるプログラムであって、
前記第2処理部に、
前記第1処理部が異常であるか否かを判定し、
前記第1処理部が異常であると判定した場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項7】
車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と通信可能に接続され、
前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、
前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部と
を備えるコンピュータに処理を実行させる情報処理方法であって、
前記第2処理部に、
前記第1処理部が異常であるか否かを判定し、
前記第1処理部が異常であると判定した場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する
処理を実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、例えば、ワイパー駆動装置、車両の内外の灯火装置、ドアロック装置、パワーウインドウ等のボディ系の装置の制御を統括して行う車載ECU(Electronic Control Unit)であるボディECUが搭載されている(例えば特許文献1)。特許文献1のワイパー駆動装置は、車載ECU(ボデーECU)を含み、車載ECUに適用されている制御プログラムにより駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のワイパー駆動装置においては、制御プログラムを実行してワイパー等のアクチュエータ(車載負荷)の制御を行う制御装置(制御回路)と、アクチュエータ(車載負荷)の駆動を行う駆動装置(駆動回路)とを分離するものなく、更には、当該駆動装置(駆動回路)に対する制御装置(制御回路)を冗長化する点について考慮されていない。
【0005】
本開示は、駆動装置を効率的に制御することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と、通信可能に接続される車載装置であって、前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備え、前記第1処理部と前記第2処理部は通信可能に接続されており、前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、駆動装置を効率的に制御する車載装置等を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る車載システムのシステム構成を例示する模式図である。
【
図2】車載システムに含まれる車載装置等の内部構成を例示するブロック図である。
【
図3】車載装置が備える第2処理部による処理を例示するフローチャートである。
【
図4】実施形態2(別個の車載装置)に係る車載システムのシステム構成を例示する模式図である。
【
図5】実施形態3(相互に代替)に係る車載システムのシステム構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と、通信可能に接続される車載装置であって、前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備え、前記第1処理部と前記第2処理部は通信可能に接続されており、前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置は、例えばマイコン等により構成される第1処理部(第1マイコン)及び第2処理部(第2マイコン)から成る複数の処理部(マルチマイコン)を備える装置(ECU)である。車載装置と、第1車載負荷及び第2車載負荷と駆動する駆動装置(エクステンダー)とは、別個の装置として構成されており、これら車載装置と駆動装置とは、通信可能に接続されている。車載装置と駆動装置との接続構成において、第1処理部と、駆動装置が含む第1給電スイッチとが、第1信号線を介して接続されている。第2処理部は、第1処理部と通信可能に接続されており、当該第1処理部に対し、例えばポーリング通信等を行うことにより、第1処理部の可動状態を周期的又は定常的に監視している。第2処理部は、第1処理部との周期的な通信が途絶した場合、第1処理部は異常状態(機能失陥)であると判定し、第1信号線を介して、第1給電スイッチに対し第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。この場合、第3制御信号は、第1制御信号の信号形態(仕様)と同じものであってもよい。すなわち、第1制御信号と同様の第3制御信号を出力することにより、第2処理部は、第1制御信号を出力する第1処理部を代替するものであってもよい。又は、第2処理部が出力する第3制御信号は、第1処理部が出力する第1制御信号の信号形態(仕様)とは、異なるものであるが、第1給電スイッチは、第1制御信号及び第3制御信号のいずれの制御信号であっても、同様のオンオフ制御を行うように構成され、これら信号形態(仕様)の差異を吸収するものであってもよい。このように、第1処理部が例えば機能失陥した場合であっても、第2処理部は、当該第1処理部を代替して、第3制御信号を出力することにより、第1車載負荷に対する駆動制御を継続することができ、フェールセーフ環境を構築することができる。第1処理部が機能失陥した際、第2処理部から第1処理部へ出力される第3制御信号は、第1信号線を介して出力される。このように第2処理部が第1処理部を代替する際に用いる第1信号線は、第1処理部が正常動作時に用いる信号線(第1信号線)であるため、車載装置と駆動装置との間に設ける信号線を増加させることなく、フェールセーフ環境を構築することができる。従って、車載装置と駆動装置とが離間して配置される場合において、フェールセーフ環境を構築するにあたり、車載装置と駆動装置との間に設ける信号線の増設を不要とし、部品コスト及び装置重量の低減を図ることができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1信号線と、前記第2処理部とは、連絡線にて接続されており、前記第2処理部は、前記第1処理部が異常となった場合、前記連
絡線及び前記第1信号線を介して前記第3制御信号を出力する。
【0013】
本態様にあたっては、第2処理部から延設される連絡線は、第1信号線に接続されており、すなわち第1信号線には、連絡線が接続される接続端が形成されている。当該接続端は、第1信号線から連絡線が分岐する分岐部に相当する。第2処理部からの第3制御信号は、連絡線及び第1信号線を介して第1給電スイッチに出力されるため、比較的に簡易な構成にて、第2処理部から第1給電スイッチに対し第3制御信号を出力することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記連絡線には、前記第3制御信号を前記第1制御信号に変換する変換部が設けられており、前記第2処理部が前記連絡線を介して出力した前記第3制御信号は、前記変換部により前記第1制御信号に変換され、前記第1信号線を介して、前記変換部により変換された前記第1制御信号が、前記第1給電スイッチに出力される。
【0015】
本態様にあたっては、連絡線には、第2処理部が出力する第3制御信号を、第1処理部が正常時にて出力する第1制御信号に変換する変換部が設けられている。変換部は、例えば、フィルタ回路、PWM波形変換回路、又は出力電圧変換回路等、信号変換を行う回路又はIC(integrated circuit)等により構成されるものであってもよい。又は、変換部は、マイコン等により構成され、ソフトウェア処理にて、第3制御信号を第1制御信号に変換するものであってもよい。このように変換部を用いることにより、第1処理部が機能失陥し、第2処理部が当該第1処理部を代替するにあたり、第2処理部の信号出力仕様と、第1処理部の信号出力仕様との間に差異がある場合であっても、変換部にて第3制御信号を第1制御信号に変換するため、当該信号出力仕様の差異を吸収することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1処理部及び前記第2処理部には、前記第1車載負荷を操作するための操作スイッチから延設された通信ケーブルが接続されている。
【0017】
本態様にあたっては、車両には、第1車載負荷を操作するための操作スイッチが設けられており、車両の乗員は、当該操作スイッチを操作することにより、第1車載負荷の駆動を開始又は停止することができる。例えば、第1車載負荷がワイパーである場合、操作スイッチはワイパースイッチに相当する。操作スイッチから延設されたワイヤーハーネス等の通信ケーブルは、2つの分岐等されることにより、それぞれの端部が第1処理部及び第2処理部に接続されている。これにより、操作スイッチが操作された際の操作信号は、第1処理部と第2処理部との双方の処理部に入力されるものとなる。正常動作している場合の第1処理部は、入力された(取得した)操作信号に応じて、第1制御信号を出力することにより、第1給電スイッチのオンオフ制御を行う。第2処理部は、第1処理部が異常状態(機能失陥)であると判定した場合、入力された(取得した)操作信号に応じて、実質的に第1制御信号に相当する第3制御信号を出力することにより、第1給電スイッチのオンオフ制御を行う。このように操作スイッチから車載装置に延設される通信ケーブルを、第1処理部及び第2処理部の双方に接続して二重化することにより、第1処理部に対する第2処理部の代替処理(フェールセーフ)を効率的に行うことができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載装置は、第1車載装置と第2車載装置とにより構成され、前記第1車載装置は、前記第1処理部を含み、前記第2車載装置は、前記第2処理部を含み、前記第2車載装置は、前記第1車載装置が異常となった場合、前記第1車載装置を代替する。
【0019】
本態様にあたっては、車載装置は、第1処理部を含む第1車載装置と、第2処理部を含
む第2車載装置とを含み、これら第1車載装置及び第2車載装置により分離されて構成される。このように車載装置を2つの装置(第1車載装置及び第2車載装置)に分離することにより、個々の装置サイズを小型化でき、車両における配置自由度を向上させることができる。第1車載装置(第1処理部)と第2車載装置(第2処理部)とは、例えばCANバス又はイーサネット(登録商標)ケーブル等のネットワークケーブルにより通信可能に接続され、第2車載装置(第2処理部)は、第1車載装置(第1処理部)の動作状態を常時監視している。第2車載装置(第2処理部)は、第1車載装置(第1処理部)が異常となった場合、当該第1車載装置を代替して、第1車載装置に接続される第1給電スイッチをオンオフ制御するため、駆動装置を効率的に制御することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と通信可能に接続され、前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備えるコンピュータに処理を実行させるプログラムであって、前記第2処理部に、前記第1処理部が異常であるか否かを判定し、前記第1処理部が異常であると判定された場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。
【0021】
本態様にあたっては、コンピュータを、駆動装置を効率的に制御する車載装置として機能させるプログラムを提供することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載され、第1車載負荷に接続される第1給電スイッチと第2車載負荷に接続される第2給電スイッチとを含む駆動装置と通信可能に接続され、前記第1給電スイッチと通信可能に接続され、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第1制御信号を出力する第1処理部と、前記第2給電スイッチと通信可能に接続され、前記第2給電スイッチに対し前記第2車載負荷を駆動するための第2制御信号を出力する第2処理部とを備えるコンピュータに処理を実行させる情報処理方法であって、前記第2処理部に、前記第1処理部が異常であるか否かを判定し、前記第1処理部が異常であると判定された場合、前記第1処理部と前記第1給電スイッチとを接続する第1信号線を介して、前記第1給電スイッチに対し前記第1車載負荷を駆動するための第3制御信号を出力する。
【0023】
本態様にあたっては、コンピュータを、駆動装置を効率的に制御する車載装置として機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載システムSを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る車載システムSのシステム構成を例示する模式図である。
図2は、車載システムSに含まれる車載装置1等の内部構成を例示するブロック図である。当該ブロック図は、主には、通信系の接続態様に関し図示している。車載システムSは、車両Cに搭載される車載装置1及び駆動装置7を含む。車載装置1は、第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチ52から
出力された操作信号に応じて、第1制御信号又は第2制御信号を駆動装置7に出力する。
【0026】
駆動装置7は、第1制御信号を取得した場合、第1給電スイッチ71をオンオフ制御することにより、当該第1給電スイッチ71に接続されている第1車載負荷81の駆動制御を行う。駆動装置7は、第2制御信号を取得した場合、第2給電スイッチ72をオンオフ制御することにより、当該第2給電スイッチ72に接続されている第2車載負荷82の駆動制御を行う。
【0027】
車載装置1及び駆動装置7へ電力の供給は、車両Cに搭載される電源装置6によって行われる。電源装置6と、車載装置1及び駆動装置7とは、電力線61により接続されている。駆動装置7と第1車載負荷81は、第1給電スイッチ71及び電力線61を介して、接続される。駆動装置7と第2車載負荷82は、第2給電スイッチ72及び電力線61を介して、接続される。
【0028】
車載装置1と駆動装置7とは、第1信号線106及び第2信号線206によって通信可能に接続される。第1制御信号は第1信号線106を介して、車載装置1から駆動装置7に出力(送信)される。第2制御信号は第2信号線206を介して、車載装置1から駆動装置7に出力(送信)される。本実施形態において、第1信号線106及び第2信号線206の信号線は、単線にて示しているがこれに限定されない。車載装置1と駆動装置7との通信を、例えばSPI通信を用いて行う場合、当該SPI通信にて用いる信号線は、CS(チップセレクト)用信号線、SCLK(クロック)用信号線、MOSI(マスタ出力/スレーブ入力)用信号線、及びMISO(マスタ入力/スレーブ出力)用信号線を含むSPI通信回路により構成されるものであってもよい。車載装置1と駆動装置7とは電力線61により更に接続され、当該電力線61を介して、車載装置1が備える第1レギュレータ105によって降圧された電圧が、駆動装置7に供給(印加)されるものであってもよい。
【0029】
車載装置1は、第1処理部100、第2処理部200、第1レギュレータ105、第2レギュレータ205、及び変換部3を含む。車載装置1は、マイコン等により構成される第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)から成る複数の処理部(マルチマイコン)を備え、例えば、例えばヴィークルコンピュータ等にて構成される統合ECUであってもよい。又は、車載装置1は、電源装置6から出力された電力を分配及び中継し、自装置(車載装置1)に接続される駆動装置7に供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。
【0030】
第1処理部100は、例えばマイコン等により構成され、第1制御部101、第1記憶部102、第1通信部103、及び第1入出力I/F104を含む。第1制御部101は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、第1記憶部102に予め記憶されたプログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。第1制御部101は、CPU等のソフトウェア処理を行うソフトウェア処理部のみに限定されず、FPGA、ASIC又はSOC等のハードウェア処理にて種々の制御処理及び演算処理等を行うハードウェア処理部を含むものであってもよい。
【0031】
第1記憶部102は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。第1記憶部102に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。
また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、第1記憶部102に記憶させたものであってもよい。
【0032】
第1通信部103は、例えばCAN(Control Area Network)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)の通信プロトコルを用いた通信インターフェイスであり、第1制御部101は、第1通信部103を介して車載ネットワークに接続されている各種ECU等と相互に通信する。第1制御部101は、第1通信部103及び車載ネットワークを介して、第2処理部200の第2制御部201と相互に通信するものであってもよい。
【0033】
第1入出力I/F104は、例えば、複数のコネクタ又は端子にて構成され、例えば、SPI通信等を行うための通信インターフェイスである。第1入出力I/F104には、例えば、第1操作スイッチ51、第1給電スイッチ71、及び第2入出力I/F204が接続される。第1入出力I/F104と第1操作スイッチ51とは、通信ケーブル500を介して接続される。第1入出力I/F104と第1給電スイッチ71とは、第1信号線106を介して接続される。第1入出力I/F104と第2入出力I/F204とは、マイコン間通信線4を介して接続される。当該マイコン間通信線4は、例えば、内部バスにより構成されるものであってもよい。
【0034】
第2処理部200は、例えばマイコン等により構成され、第2制御部201、第2記憶部202、第2通信部203、及び第2入出力I/F204を含む。第2処理部200の第2制御部201、第2記憶部202、第2通信部203、及び第2入出力I/F204は、第1処理部100の第1制御部101、第1記憶部102、第1通信部103、及び第1入出力I/F104と同様の構成又は仕様によるものであってもよい。
【0035】
第2入出力I/F204は、例えば、複数のコネクタ又は端子にて構成され、例えば、SPI通信等を行うための通信インターフェイスである。第2入出力I/F204には、例えば、第2操作スイッチ52、第2給電スイッチ72、及び第1入出力I/F104が接続される。上述のとおり、第2処理部200の第2入出力I/F204と、第1処理部100の第1入出力I/F104とは、マイコン間通信線4にて接続されることにより、第2処理部200の第2制御部201は、第1処理部100が正常に動作しているか否かを監視することができる。
【0036】
第2入出力I/F204には、更に連絡線31が接続され、当該連絡線31は、第1処理部100と第1操作スイッチ51とを接続する第1信号線106に接続されている。連絡線31には、変換部3が設けられている。詳細は後述するが、第2処理部200(第2マイコン)の第2制御部201は、第1処理部100が動作不良(機能失陥)となった場合、当該連絡線31を介して、第1処理部100を代替するための第3制御信号を出力する。
【0037】
変換部3は、例えば、フィルタ回路、PWM波形変換回路、又は出力電圧変換回路等、信号変換を行う回路又はIC(integrated circuit)等により構成される。詳細は後述するが、変換部3は、第2処理部200(第2マイコン)から出力された第3制御信号を、第1処理部100(第1マイコン)が正常状態時において出力する第1制御信号に変換する。
【0038】
第1レギュレータ105は、電源装置6に接続され、電源装置6から印加された電圧を降圧し、降圧した電圧を第1処理部100(第1マイコン)及び駆動装置7に印加する、スイッチングレギュレータ又はリニアレギュレータ等である。第1レギュレータ105と駆動装置7とは、電力線61により接続され、駆動装置7に対し、第1レギュレータ10
5による降圧された電圧による電力が供給される。
【0039】
第2レギュレータ205は、第1レギュレータ105と同様にスイッチングレギュレータ等により構成される。第2レギュレータ205にて降圧された電圧は、第2処理部200(第2マイコン)に印加され、第2処理部200の動作電圧をして用いられる。
【0040】
電源装置6は、鉛バッテリ、オルタネータ、又は、リチウム電池等の二次バッテリ等にて構成され、例えば、12Vの電圧を出力(印加)する。電源装置6は、電源線にて、車載装置1及び駆動装置7に接続されている。電源装置6と、第1車載負荷81及び第2車載負荷82とは、駆動装置7を介して接続されている。
【0041】
駆動装置7は、第1給電スイッチ71、及び第2給電スイッチ72を含み、自装置に接続されるアクチュエータ等の車載負荷(第1車載負荷81、第2車載負荷82)を駆動するための駆動回路を備えるエクステンダーとして機能するものであってもよい。駆動装置7には、第1レギュレータ105にて降圧された電圧が印加される。駆動装置7は、当該降圧された電圧を、IPD(Intelligent Power Device)等により構成される第1給電スイッチ71及び第2給電スイッチ72の動作電圧として用いる。
【0042】
第1給電スイッチ71及び第2給電スイッチ72は、例えば、FET(Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子を含むIPD(Intelligent Power Device)にて構成される。第1給電スイッチ71には、第1信号線106が接続される。第1給電スイッチ71は、第1信号線106を介して、例えばPWM信号等の第1制御信号が入力されることにより、オンオフ制御を行う。第1給電スイッチ71に含まれるスイッチング素子には、第1車載負荷81が電源線にて接続されており、第1給電スイッチ71がオンとなることにより、第1車載負荷81に対し、電源装置6からの電力が供給される。第2給電スイッチ72には、第2信号線206が接続される。第2給電スイッチ72は、第2信号線206を介して、例えばPWM信号等の第2制御信号が入力されることにより、オンオフ制御を行う。第2給電スイッチ72に含まれるスイッチング素子には、第2車載負荷82が電源線にて接続されており、第2給電スイッチ72がオンとなることにより、第2車載負荷82に対し、電源装置6からの電力が供給される。
【0043】
第1操作スイッチ51は、第1車載負荷81を操作するための操作スイッチであり、例えば、車両Cの乗員等により操作される。例えば、第1車載負荷81がワイパーである場合、第1操作スイッチ51はワイパースイッチに相当する。第1操作スイッチ51は、通信ケーブル500を介して、第1処理部100の端子(第1入出力I/F104)及び第2処理部200の端子(第2入出力I/F204)に接続されている。
【0044】
第2操作スイッチ52は、第2車載負荷82を操作するための操作スイッチであり、例えば、車両Cの乗員等により操作される。例えば、第2車載負荷82がドアミラーである場合、第2操作スイッチ52はドアミラースイッチに相当する第2操作スイッチ52は、通信ケーブル500を介して、第2処理部200の端子(第2入出力I/F204)に接続されている。
【0045】
第1車載負荷81は、例えば、ワイパー等のアクチュエータであり、電源線を介して、駆動装置7の第1給電スイッチ71に接続されている。第1給電スイッチ71がオンとなることにより、当該第1給電スイッチ71を介して、電源装置6から出力される電力が、第1車載負荷81に対し供給される。
【0046】
第2車載負荷82は、例えば、ドアミラー等のアクチュエータであり、電源線を介して
、駆動装置7の第2給電スイッチ72に接続されている。第2給電スイッチ72がオンとなることにより、当該第2給電スイッチ72を介して、電源装置6から出力される電力が、第2車載負荷82に対し供給される。
【0047】
図3は、車載装置1が備える第2処理部200による処理を例示するフローチャートである。車載装置1の第1処理部100(第1マイコン)、及び第2処理部200(第2マイコン)は、それぞれに接続される操作スイッチ(第1操作スイッチ51、第2操作スイッチ52)からの操作信号に応じて、駆動装置7に対し制御信号(第1制御信号、第2制御信号)を出力するように構成されている。このように第1処理部100及び第2処理部200は、異なる操作系統(駆動系統)に対する制御処理を実行している。その上で、第2処理部200(第2マイコン)は、例えば車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0048】
第2処理部200の第2制御部201は、第1処理部100が正常に動作しているか否かを判定する(S101)。第2処理部200の第2制御部201は、例えば、内部バス等にて構成されるマイコン間通信線4を介して、第1処理部100に対し、周期的又は定期的なポーリング通信等を行うことにより、第1処理部100の可動状態を周期的又は定常的に監視している。又は、第1処理部100の第1制御部101は、マイコン間通信線4を介して、例えば、第2処理部200に対し周期的又は定期的にハートビート信号を出力(送信)するように構成され、第2処理部200の第2制御部201は、当該ハートビート信号を受信したか否かに基づき、第1処理部100が正常に動作しているか否かを判定するものであってもよい。
【0049】
第1処理部100が正常に動作していると判定した場合(S101:YES)、第2処理部200の第2制御部201は、再度S101の処理を実行すべくループ処理を行う。第2処理部200の第2制御部201は、このようにループ処理を行うことにより、第1処理部100に対する動作監視を継続するものとなる。このように、第1処理部100が正常に動作しているか否か監視する第2処理部200は、当該第1処理部100に対するウォッチドッグタイマ(WDT)として機能するものであってもよい。
【0050】
第1処理部100が正常に動作していないと判定した場合(S101:NO)、第2処理部200の第2制御部201は、第1操作スイッチ51からの操作信号を取得したか否かを判定する(S102)。第1操作スイッチ51から延設される通信ケーブル500は、2つに分岐され、第1処理部100及び第2処理部200の双方に接続されている。第2処理部200の第2制御部201は、このように分岐された通信ケーブル500を介して、第1操作スイッチ51からの操作信号を取得(受信)したか否かを判定する。
【0051】
第1操作スイッチ51からの操作信号を取得していないと判定した場合(S102:NO)、再度S102の処理を実行すべくループ処理を行う。第2処理部200の第2制御部201は、このようにループ処理を行うことにより、第1操作スイッチ51からの操作信号を待受ける処理を継続するものとなる。
【0052】
第1操作スイッチ51からの操作信号を取得したと判定した場合(S102:YES)、第2処理部200の第2制御部201は、第3制御信号を出力する(S103)。第2処理部200の第2制御部201は、連絡線31が接続されている端子(第2入出力I/F204)を介して、第3制御信号を出力する。連絡線31を介して出力された第3制御信号は、当該連絡線31に設けられている変換部3によって、第1処理部100(第1マイコン)が正常状態時において出力する第1制御信号に変換される。変換部3によって変換された第1制御信号は、連絡線31及び、当該連絡線31が接続される第1信号線106を伝搬し、当該第1信号線106を介して、第1給電スイッチ71に対し出力される。
第1給電スイッチ71は、入力された第1制御信号に応じて、オンオフ制御を行うことにより、当該第1給電スイッチ71に接続される第1車載負荷81への駆動制御が行われる。これにより、第1処理部100が例えば機能失陥した場合であっても、第2処理部200は、当該第1処理部100を代替して、第3制御信号を出力することにより、第1車載負荷81に対する駆動制御を継続(フェールセーフ)することができ、車載装置1の信頼性を向上させることができる。
【0053】
本実施形態において、第2処理部200(第2マイコン)からの第3制御信号は、変換部3により第1信号線106に変換され、変換された第1信号線106が、第1信号線106を介して第1給電スイッチ71に対し出力されるとしたが、これに限定されない。第2処理部200(第2マイコン)からの第3制御信号は、第1処理部100(第1マイコン)が正常状態時において出力する第1制御信号と、同じ信号形態(仕様)であり、第3制御信号が、連絡線31及び第1信号線106を介して第1給電スイッチ71に対し出力されるものであってもよい。この場合、変換部3を不要とすることができる。
【0054】
本実施形態において、第2処理部200(第2マイコン)は、第1操作スイッチ51から出力された操作信号に応じて、第3制御信号の出力等、第1処理部100(第1マイコン)を代替するとしたが、これに限定されない。第2処理部200(第2マイコン)は、第2通信部203を介して取得したCANメッセージ等の通信データに応じて、第3制御信号の出力等、第1処理部100(第1マイコン)を代替するものであってもよい。すなわち、第2処理部200(第2マイコン)は、例えば、第2通信部203を介して取得したCANメッセージが、第1車載負荷81を駆動するためのメッセージID(CAN-ID)である場合、当該取得したCANメッセージに応じて、第3制御信号の出力等、第1処理部100(第1マイコン)を代替するものであってもよい。
【0055】
(実施形態2)
図4は、実施形態2(別個の車載装置1)に係る車載システムSのシステム構成を例示する模式図である。実施形態2の車載システムSは、第1処理部100(第1マイコン)を含む第1車載装置11と、第2処理部200(第2マイコン)を含む第2車載装置12とから成る別個の車載装置1により構成される。すなわち、実施形態1にて説明した第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)を含むマルチマイコン態様の車載装置1は、実施形態2においては、第1処理部100(第1マイコン)を含む第1車載装置11と、第2処理部200(第2マイコン)を含む第2車載装置12との組み合わせによる装置構成に相当する。
【0056】
本実施形態においては、車載システムSは、第1車載装置11及び第2車載装置12から成る別個の車載装置1を含むものであるが、第1処理部100(第1マイコン)と第2処理部200(第2マイコン)との接続態様、は、実施形態1の接続態様それぞれと同様である。すなわち、第1車載装置11と第2車載装置12とは、実施形態1における第1処理部100(第1マイコン)と第2処理部200(第2マイコン)と同様に、マイコン間通信線4により通信可能に接続されている。第1車載装置11と第2車載装置12とは、第1通信部103、第2通信部203及び、CANバス又はイーサネットケーブルを介して、通信可能に接続されるものであってもよい。
【0057】
第1処理部100(第1マイコン)と第1給電スイッチ71との接続態様、及び第2処理部200(第2マイコン)と第2給電スイッチ72との接続態様は、実施形態1の接続態様それぞれと同様である。すなわち、第1車載装置11は、第1信号線106を介して、駆動装置7の第1給電スイッチ71に接続され、第2車載装置12は、第2信号線206を介して、駆動装置7の第2給電スイッチ72に接続される。
【0058】
第2処理部200を含む第2車載装置12は、実施形態1と同様に、第1処理部100を含む第1車載装置11が正常に動作しているかを判定するための監視処理を、周期的又は定常的に行っている。第2車載装置12の第2処理部200は、第1車載装置11の第1処理部100が異常状態(機能失陥)であると判定した場合、連絡線31を介して、第3制御信号を出力する。
【0059】
第2車載装置12は、実施形態1と同様に変換部3を備えている。連絡線31を介して出力された第3制御信号は、当該変換部3により第1制御信号に変換される。変換部3により変換された第1制御信号は、第1車載装置11と第1給電スイッチ71とを接続する第1信号線106を介して、第1給電スイッチ71に入力される。
【0060】
第1車載装置11及び第2車載装置12それぞれが、単一のマイコン等により構成されるシングルマイコン態様の車載装置1である場合であっても、第2車載装置12(第2処理部200)は、第1車載装置11(第1処理部100)が異常となった場合、当該第1車載装置11を代替して、第1車載装置11に接続される第1給電スイッチ71をオンオフ制御する。これにより、第1車載負荷81に対するフェールセーフ環境を構築することができる。
【0061】
(実施形態3)
図5は、実施形態3(相互に代替)に係る車載システムSのシステム構成を例示する模式図である。実施形態3の車載装置1は、実施形態1の車載装置1と同様に第1処理部100、第2処理部200、第1レギュレータ105、第2レギュレータ205、及び変換部3を含む。これら第1処理部100、第2処理部200、第1レギュレータ105、第2レギュレータ205、及び変換部3それぞれの構成は、実施形態1と同様である。
【0062】
実施形態3の車載装置1においては、第1操作スイッチ51のみならず、第2操作スイッチ52から延設される通信ケーブル500についても分岐され、分岐された通信ケーブル500のそれぞれの端部(分岐端)は、第1処理部100(第1マイコン)、及び第2処理部200(第2マイコン)のそれぞれに接続される。第1操作スイッチ51から延設される通信ケーブル500と同様に、第2操作スイッチ52から延設される通信ケーブル500は分岐され、分岐された通信ケーブル500は、第1処理部100の端子(第1入出力I/F104)と、第2処理部200の端子(第2入出力I/F204)とに接続される。これにより、第2操作スイッチ52からの操作信号は、第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)の双方に入力される。第1操作スイッチ51からの操作信号は、実施形態1と同様に、第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)の双方に入力される。
【0063】
第1処理部100(第1マイコン)の第1入出力I/F104には、実施形態1の連絡線31と同様の連絡線31が接続されており、当該連絡線31は第2処理部200の第2入出力I/F204と、第2給電スイッチ72とを接続する第2信号線206に接続される。第1処理部100の第1入出力I/F104と、第2信号線206とを接続する連絡線31には、実施形態1と同様に変換部3が設けられている。従って、変換部3は、第1処理部100の第1入出力I/F104と第2信号線206とを接続する連絡線31と、第2処理部200の第2入出力I/F204と第1信号線106とを接続する連絡線31とから成る、2つの連絡線31を跨ぐように配置されている。
【0064】
第1処理部100(第1マイコン)の第1制御部101は、第2処理部200(第2マイコン)が正常に動作しているかを判定するための監視処理を周期的又は定常的に行っている。当該監視処理は、実施形態1の第2処理部200(第2マイコン)の第2制御部201が、第1処理部100(第1マイコン)に対する監視処理と同様に、マイコン間通信
線4を介してポーリング通信又はハートビート信号を用いるものであってもよい。第1処理部100(第1マイコン)の第1制御部101は、第2処理部200(第2マイコン)が異常状態(機能失陥)であると判定した場合、連絡線31を介して、第4制御信号を出力する。
【0065】
変換部3は、第1処理部100(第1マイコン)から出力された第4制御信号を、第2処理部200(第2マイコン)が正常状態時において出力する第2制御信号に変換する。変換部3によって変換された第2制御信号は、連絡線31及び、当該連絡線31が接続される第2信号線206を伝搬し、当該第2信号線206を介して、第2給電スイッチ72に対し出力される。
【0066】
第2給電スイッチ72は、入力された第2制御信号に応じて、オンオフ制御を行うことにより、当該第2給電スイッチ72に接続される第2車載負荷82への駆動制御が行われる。これにより、第2処理部200が例えば機能失陥した場合であっても、第1処理部100は、当該第2処理部200を代替して、第4制御信号を出力することにより、第2車載負荷82に対する駆動制御を継続(フェールセーフ)することができる。車載装置1が含む第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)は、他方の処理部を監視し、異常状態(機能失陥)となった場合は、代替する処理を相互に実施し合うため、第1車載負荷81及び第2車載負荷82に対する駆動制御を継続でき、車載装置1の信頼性を向上させることができる。
【0067】
第1処理部100(第1マイコン)及び第2処理部200(第2マイコン)が相互に代替する処理を実施するにあたり、駆動装置7に出力される制御信号(変換部3により変換された第1制御信号、第2制御信号)は、第1信号線106又は第2信号線206を介して出力される。従って、第1車載負荷81及び第2車載負荷82に対するフェールセーフ環境を構築するにあたり、信号線を増設することを不要とし、製品コスト及び装置重量の低減を図ることができる。
【0068】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0070】
C 車両
S 車載システム
1 車載装置
11 第1車載装置
12 第2車載装置
100 第1処理部(第1マイコン)
101 第1制御部
102 第1記憶部
103 第1通信部
104 第1入出力I/F
105 第1レギュレータ
106 第1信号線
200 第2処理部(第2マイコン)
201 第2制御部
202 第2記憶部
203 第2通信部
204 第2入出力I/F
205 第2レギュレータ
206 第2信号線
P プログラム(プログラム製品)
M 記録媒体
3 変換部
31 連絡線
4 マイコン間通信線
51 第1操作スイッチ
52 第2操作スイッチ
500 通信ケーブル
6 電源装置
61 電力線
7 駆動装置
71 第1給電スイッチ
72 第2給電スイッチ
81 第1車載負荷
82 第2車載負荷