(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171042
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01L21/92 602N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083233
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
(72)【発明者】
【氏名】西山 雄人
(72)【発明者】
【氏名】宅間 徹
(72)【発明者】
【氏名】山田 克明
(57)【要約】
【課題】電気的特性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置61は、基板2と、基板2に設けられた出力領域6(デバイス領域)と、平面視で出力領域6を被覆するソース端子26(端子)と、ワイヤから開放された状態でソース端子26の上に密に配置された複数の疑似バンプ75と、ワイヤに接続された状態でソース端子26の上に複数の疑似バンプ75よりも疎に配置された少なくとも1個の真正バンプ90と、を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられたデバイス領域と、
平面視で前記デバイス領域を被覆する端子と、
ワイヤから開放された状態で前記端子の上に密に配置された複数の疑似バンプと、
ワイヤに接続された状態で前記端子の上に複数の前記疑似バンプよりも疎に配置された少なくとも1個の真正バンプと、を含む、半導体装置。
【請求項2】
複数の前記疑似バンプは、単位平面積当たりにおいて第1占有面積で前記端子の上に配置され、
少なくとも1個の前記真正バンプは、前記単位平面積当たりにおいて前記第1占有面積未満の第2占有面積で前記端子の上に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記真正バンプが、前記端子の上に疎に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記疑似バンプは、第1ピッチで前記端子の上に配置され、
複数の前記真正バンプは、前記第1ピッチよりも大きい第2ピッチで前記端子の上に配置されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
少なくとも3個の前記疑似バンプが、前記端子の上に密に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
少なくとも3個の前記疑似バンプは、平面視で二等辺三角形の頂点に位置するレイアウトで配置されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
少なくとも7個の前記疑似バンプが、前記端子の上に密に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
6個の前記疑似バンプが、1個の前記疑似バンプの周囲に配置されている、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
6個の前記疑似バンプが、平面視で六角形の頂点に位置するレイアウトで配置され、
1個の前記疑似バンプが、平面視で前記六角形の中心に位置するレイアウトで配置されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記端子における各前記疑似バンプの接合部に形成された薄膜部と、
前記端子における各前記疑似バンプの前記接合部外の領域に形成された厚膜部と、をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記端子における各前記疑似バンプの接合縁部において前記端子の一部が前記厚膜部よりも厚化した隆起部をさらに含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
各前記疑似バンプは、前記端子に接続された幅広なボディ部、および、前記ボディ部から前記端子とは反対側に向けて前記ボディ部よりも幅狭に突出したネック部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
各前記疑似バンプは、前記ネック部において前記ネック部の中央部に向けて窪んだ少なくとも1つの抉れ部を含む、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
各前記疑似バンプは、第1金属を含むバンプ本体、および、前記第1金属とは異なる第2金属を含み、前記バンプ本体の外面の少なくとも一部を被覆する金属膜を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記基板において前記デバイス領域に形成された複数のトレンチ構造をさらに含み、
各前記疑似バンプは、平面視において複数の前記トレンチ構造に重なっている、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
各前記疑似バンプは、各前記トレンチ構造の深さよりも大きい厚さを有している、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記基板に設けられた制御領域をさらに含み、
前記端子は、平面視で前記制御領域を露出させるように前記デバイス領域を被覆している、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板に設けられたデバイス領域と、
平面視で前記デバイス領域を被覆する端子と、
ワイヤから開放された状態で前記端子の上に配置された疑似バンプと、
ワイヤに接続された状態で前記端子の上に配置され、前記疑似バンプのサイズよりも小さいサイズを有する真正バンプと、を含む、半導体装置。
【請求項19】
ワイヤから開放された状態で前記端子の上において前記疑似バンプの周囲に配置され、前記疑似バンプのサイズよりも小さいサイズを有する小型疑似バンプをさらに含む、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
複数の前記小型疑似バンプが、前記疑似バンプの周囲に配置されている、請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マイコンやパワートランジスタ等の能動素子近傍に形成されたワイヤボンド用の電極を含む半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、電気的特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、基板と、前記基板に設けられたデバイス領域と、平面視で前記デバイス領域を被覆する端子と、ワイヤから開放された状態で前記端子の上に密に配置された複数の疑似バンプと、ワイヤに接続された状態で前記端子の上に複数の前記疑似バンプよりも疎に配置された少なくとも1個の真正バンプと、を含む、半導体装置を提供する。
【0006】
一実施形態は、基板と、前記基板に設けられたデバイス領域と、平面視で前記デバイス領域を被覆する端子と、ワイヤから開放された状態で前記端子の上に配置された疑似バンプと、ワイヤに接続された状態で前記端子の上に配置され、前記疑似バンプのサイズよりも小さいサイズを有する真正バンプと、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
上述のまたはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面の参照によって説明される実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1形態例に係る半導体チップを示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す半導体チップの電気的構成例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、出力領域のレイアウトを示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す半導体チップが搭載された半導体装置を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す半導体装置の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプと共に示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1レイアウト例に係る疑似バンプを示す平面図である。
【
図15】
図15は、第2レイアウト例に係る疑似バンプを示す平面図である。
【
図17】
図17は、半導体装置の内部構造を第3レイアウト例に係る疑似バンプと共に示す平面図である。
【
図18】
図18は、第3レイアウト例に係る疑似バンプを示す平面図である。
【
図21】
図21は、第2形態例に係る半導体チップを示す平面図である。
【
図22】
図22は、
図21に示す半導体チップが搭載された半導体装置を第1レイアウト例に係る疑似バンプと共に示す平面図である。
【
図24】
図24は、第1変形例に係る半導体装置の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプと共に示す平面図である。
【
図26】
図26は、第2変形例に係る半導体装置の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプと共に示す平面図である。
【
図28】
図28は、第1レイアウト例に係る疑似バンプの変形例を示す平面図である。
【
図29】
図29は、第2レイアウト例に係る疑似バンプの変形例を示す平面図である。
【
図30】
図30は、第3レイアウト例に係る疑似バンプの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態が詳細に説明される。添付図面は、模式図であり、厳密に図示されたものではなく、縮尺等は必ずしも一致しない。また、添付図面の間で対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。説明が省略または簡略化された構造については、省略または簡略化される前になされた説明が適用される。
【0010】
比較対象(comparison target)が存する説明において「ほぼ(substantially)等しい」等の文言が使用される場合、この文言は、比較対象の数値(形態)と等しい数値(形態)を含む他、比較対象の数値(形態)を基準とする±10%の範囲の数値誤差(形態誤差)も含む。実施形態では「第1」、「第2」、「第3」等の文言が使用されるが、これらは説明順序を明確にするために各構造の名称に付された記号であり、各構造の名称を限定する趣旨で付されていない。
【0011】
図1は、第1形態例に係る半導体チップ1Aを示す平面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3は、
図1に示す半導体チップ1Aの電気的構成例を示す回路図である。
図3には、誘導性負荷Lが出力端(ソース端子26)に接続された例が示されている。
【0012】
図1および
図2を参照して、半導体チップ1Aは、この形態(this embodiment)では、直方体形状に形成された基板2を含む。基板2は、Si単結晶基板からなる。基板2は、ワイドバンドギャップ半導体の単結晶基板(たとえばSiC単結晶基板)からなっていてもよい。基板2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。
【0013】
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。第1主面3は、機能デバイスが形成されたデバイス面である。第2主面4は、非デバイス面である。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
【0014】
第1~第4側面5A~5Dは、平面視において0.1mm以上10mm以下の長さをそれぞれ有していてもよい。第1~第4側面5A~5Dの長さは、0.1mm以上0.5mm以下、0.5mm以上1mm以下、1mm以上2.5mm以下、2.5mm以上5mm以下、5mm以上7.5mm以下、または、7.5mm以上10mm以下であってもよい。
【0015】
半導体チップ1Aは、第1主面3に設けられた出力領域6、電流検出領域7、制御領域8、第1検温領域9および第2検温領域10を含む。出力領域6、電流検出領域7、制御領域8、第1検温領域9および第2検温領域10は、「第1デバイス領域」、「第2デバイス領域」、「第3デバイス領域」、「第4デバイス領域」および「第5デバイス領域」とそれぞれ称されてもよい。
【0016】
出力領域6は、外部(半導体チップ1A外)に出力される出力信号を生成するように構成された機能デバイスを有する領域である。出力領域6は、この形態では、第1主面3において第1側面5A側の領域に区画されている。出力領域6は、平面視において四角形状に区画されていてもよいし、四角形状以外の多角形状に区画されていてもよい。出力領域6の位置、大きさおよび平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0017】
電流検出領域7は、出力信号を監視するモニタ信号を生成するように構成された機能デバイスを有する領域である。電流検出領域7は、出力領域6に隣り合っていることが好ましい。電流検出領域7は、この形態では、出力領域6の平面積未満の平面積を有し、出力領域6の内方部に設けられている。
【0018】
つまり、電流検出領域7は、出力領域6によって取り囲まれるように設けられている。ここに言う「取り囲まれている」とは、電流検出領域7が全周に亘って出力領域6によって取り囲まれている形態が含まれる他、電流検出領域7が少なくとも2つの方向に出力領域6に隣り合っている形態も含まれる。電流検出領域7の機能デバイスは、この形態では、出力領域6の機能デバイスの一部を利用して形成されている。
【0019】
制御領域8は、出力領域6の機能デバイスを制御する制御信号を生成するように構成された複数種の機能デバイスを有する領域である。制御領域8は、この形態では、出力領域6に対して第2側面5B側の領域に区画され、第2方向Yに出力領域6に対向している。制御領域8は、平面視において四角形状に区画されていてもよいし、四角形状以外の多角形状に区画されていてもよい。制御領域8の位置、大きさおよび平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0020】
制御領域8は、出力領域6の平面積以下の平面積を有していることが好ましい。出力領域6の平面積に対する制御領域8の平面積の面積比は、0.1以上2以下であってもよい。出力領域6の平面積に対する制御領域8の平面積の面積比は、0.1以上0.25以下、0.25以上0.5以下、0.5以上0.75以下、0.75以上1以下、1以上1.25以下、1.25以上1.5以下、1.5以上1.75以下、または、1.75以上2以下であってもよい。面積比は、1未満であることが好ましい。
【0021】
第1検温領域9は、出力領域6の温度を監視する検温信号を生成するように構成された機能デバイスを有する領域である。第1検温領域9は、出力領域6に隣り合っていることが好ましい。第1検温領域9は、この形態では、出力領域6の平面積未満の平面積を有し、出力領域6の内方部に設けられている。
【0022】
つまり、第1検温領域9は、出力領域6によって取り囲まれている。ここに言う「取り囲まれている」には、第1検温領域9が全周に亘って出力領域6によって取り囲まれている形態が含まれる他、第1検温領域9が少なくとも2つの方向に出力領域6に隣り合っている形態も含まれる。
【0023】
第2検温領域10は、制御領域8の温度を監視する検温信号を生成するように構成された機能デバイスを有する領域である。第2検温領域10は、制御領域8に隣り合っていることが好ましい。第2検温領域10は、この形態では、制御領域8の平面積未満の平面積を有し、制御領域8の内方部に設けられている。
【0024】
つまり、第2検温領域10は、制御領域8によって取り囲まれている。ここに言う「取り囲まれている」には、第2検温領域10が全周に亘って制御領域8によって取り囲まれている形態が含まれる他、第2検温領域10が少なくとも2つの方向に制御領域8に隣り合っている形態も含まれる。
【0025】
図1および
図3を参照して、半導体チップ1Aは、出力領域6に形成されたn系統(n-system)の絶縁ゲート型のメイントランジスタ11を含む。「n」は2以上(n≧2)である。
図3では、2系統のメイントランジスタ11が例示されている。メイントランジスタ11は、「ゲート分割トランジスタ」と称されてもよい。メイントランジスタ11は、n個(n-number)の第1ゲートFG、1つの第1ドレインFDおよび1つの第1ソースFSを含む。
【0026】
メイントランジスタ11は、同一のまたは異なるn個のゲート信号(ゲート電圧)が任意のタイミングでn個の第1ゲートFGに入力されるように構成されている。各ゲート信号は、メイントランジスタ11の一部をオン状態に制御するオン信号、および、メイントランジスタ11の一部をオフ状態に制御するオフ信号を含む。
【0027】
メイントランジスタ11は、n個のゲート信号に応答して単一の出力電流IO(出力信号)を生成する。つまり、メイントランジスタ11は、マルチ入力シングル出力型のスイッチングデバイスからなる。出力電流IOは、第1ドレインFDおよび第1ソースFSの間を流れるドレイン・ソース電流である。出力電流IOは、基板2外に出力される。
【0028】
メイントランジスタ11は、n個の系統トランジスタ12を含む。
図3では、第1系統トランジスタ12Aおよび第2系統トランジスタ12Bが例示されている。n個の系統トランジスタ12は、単一の出力領域6に集約して形成され、互いに電気的に独立してオン状態およびオフ状態に制御されるように構成されている。
【0029】
具体的には、n個の系統トランジスタ12は、n個のゲート信号が個別入力されるように互いに並列接続されている。つまり、n系統のメイントランジスタ11は、オン状態の系統トランジスタ12およびオフ状態の系統トランジスタ12が任意のタイミングで併存するように構成されている。
【0030】
n個の系統トランジスタ12は、第2ゲートSG、第2ドレインSDおよび第2ソースSSをそれぞれ含む。n個の第2ゲートSGは、n個の第1ゲートFGをそれぞれ構成している。n個の第2ドレインSDは、1つの第1ドレインFDを構成している。n個の第2ソースSSは、1つの第1ソースFSを構成している。
【0031】
n個の系統トランジスタ12は、対応するゲート信号に応答して系統電流ISをそれぞれ生成する。系統電流ISは、系統トランジスタ12の第2ドレインSDおよび第2ソースSSの間を流れるドレイン・ソース電流である。n個の系統電流ISは、互いに異なる値であってもよいし、互いに等しい値であってもよい。n個の系統電流ISは、第1ドレインFDおよび第1ソースFSの間で加算される。これにより、n個の系統電流ISの加算値からなる単一の出力電流IOが生成される。
【0032】
図1および
図3を参照して、半導体チップ1Aは、電流検出領域7に形成されたm系統(m-system)の絶縁ゲート型のモニタトランジスタ13を含む。「m」は1以上(m≧1)である。
図3では、2系統のモニタトランジスタ13が例示されている。モニタトランジスタ13は、メイントランジスタ11に並列接続され、出力電流IOの一部または全部を監視するように構成されている。つまり、モニタトランジスタ13は、少なくとも1つの系統トランジスタ12に並列接続され、少なくとも1つの系統電流ISを監視する。
【0033】
モニタトランジスタ13は、複数の系統トランジスタ12に並列接続され、複数の系統電流ISを監視するように構成されていることが好ましい。モニタトランジスタ13は、この形態では、n個の系統電流ISを監視するようにn個の系統トランジスタ12に並列接続されたn系統(m=n)のモニタトランジスタ13からなる。以下の説明では、必要に応じて「m系統」が「n系統」に置き換えられ、「m個」が「n個」に置き換えられる。
【0034】
モニタトランジスタ13は、この形態では、n個の第1モニタゲートFMG、1つの第1モニタドレインFMDおよび1つの第1モニタソースFMSを含む。n個の第1モニタゲートFMGは、n個のモニタゲート信号(モニタゲート電圧)が個別的に入力されるようにそれぞれ構成されている。
【0035】
第1モニタドレインFMDは、第1ドレインFDに電気的に接続されている。第1モニタソースFMSは、第1ソースFSから電気的に分離されている。n個の第1モニタゲートFMGには、同一のまたは異なるn個のモニタゲート信号が任意のタイミングで入力される。各モニタゲート信号は、モニタトランジスタ13の一部をオン状態に制御するオン信号、および、モニタトランジスタ13の一部をオフ状態に制御するオフ信号を含む。
【0036】
モニタトランジスタ13は、この形態では、n個のモニタゲート信号に応答してn個の系統電流IS(出力電流IO)を監視する単一のモニタ電流IM(モニタ信号)を生成する。つまり、モニタトランジスタ13は、マルチ入力シングル出力型のスイッチングデバイスからなる。モニタ電流IMは、第1モニタドレインFMDおよび第1モニタソースFMSの間を流れるドレイン・ソース電流である。
【0037】
n個の第1モニタゲートFMGは、この形態では、一対一の対応関係で対応するn個の第1ゲートFGにそれぞれ電気的に接続されている。したがって、n個の第1モニタゲートFMGは、ゲート信号からなるモニタゲート信号がそれぞれ個別的に入力されるように構成されている。つまり、モニタトランジスタ13はメイントランジスタ11と同じタイミングでオンオフ制御され、出力電流IOの増減に連動して増減するモニタ電流IMを生成する。
【0038】
モニタ電流IMは、出力電流IOの電流経路から電気的に独立した電流経路を介して出力領域6外に出力される。モニタ電流IMは、出力電流IO以下(IM≦IO)である。モニタ電流IMは、出力電流IO未満(IM<IO)であることが好ましい。出力電流IOに対するモニタ電流IMの電流比IM/IOは任意である。電流比IM/IOは、1/10000以上1以下(好ましくは1未満)であってもよい。
【0039】
モニタトランジスタ13は、m個(この形態ではn個)の系統モニタトランジスタ14を含む。
図3では、第1系統モニタトランジスタ14Aおよび第2系統モニタトランジスタ14Bが例示されている。モニタトランジスタ13の系統数は、系統モニタトランジスタ14の個数によって調整される。
【0040】
つまり、m系統のモニタトランジスタ13が少なくとも1つの系統電流ISを監視する場合、少なくとも1つの系統モニタトランジスタ14が少なくとも1つの系統トランジスタ12に電気的に接続(具体的には並列接続)される。また、m系統のモニタトランジスタ13が複数の系統電流ISを監視する場合、複数の系統モニタトランジスタ14が複数の系統トランジスタ12に電気的に接続される。この形態では、n個の系統モニタトランジスタ14がn個の系統トランジスタ12に電気的に接続されている。
【0041】
n個の系統モニタトランジスタ14は、互いに電気的に独立してオン状態およびオフ状態に制御されるように構成されている。具体的には、n個の系統モニタトランジスタ14は、n個のモニタゲート信号が個別入力されるように互いに並列接続されている。つまり、モニタトランジスタ13は、オン状態の系統モニタトランジスタ14およびオフ状態の系統モニタトランジスタ14が任意のタイミングで併存するように構成されている。
【0042】
n個の系統モニタトランジスタ14は、第2モニタゲートSMG、第2モニタドレインSMDおよび第2モニタソースSMSをそれぞれ含む。n個の第2モニタゲートSMGは、n個の第1モニタゲートFMGをそれぞれ構成している。n個の第2モニタドレインSMDは、1つの第1モニタドレインFMDを構成している。n個の第2モニタソースSMSは、1つの第1モニタソースFMSを構成している。
【0043】
n個の第2モニタゲートSMGには、同一のまたは異なるn個のモニタゲート信号が任意のタイミングで入力される。n個の系統モニタトランジスタ14は、対応するモニタゲート信号に応答して、対応する系統トランジスタ12の系統電流ISを監視する系統モニタ電流ISM(系統モニタ信号)をそれぞれ生成する。
【0044】
系統モニタ電流ISMは、系統モニタトランジスタ14の第2モニタドレインSMDおよび第2モニタソースSMSの間を流れるドレイン・ソース電流である。n個の系統モニタ電流ISMは、第1モニタドレインFMDおよび第1モニタソースFMSの間で加算される。これにより、n個の系統モニタ電流ISMの加算値からなる単一のモニタ電流IMが生成される。
【0045】
n個の系統モニタトランジスタ14は、この形態では、対応する系統トランジスタ12に一対一の対応関係で電気的に接続され、対応する系統トランジスタ12と連動して制御される。具体的には、n個の系統モニタトランジスタ14は、系統電流ISの電流経路から電気的に独立した電流経路に系統モニタ電流ISMが出力されるように対応する系統トランジスタ12にそれぞれ並列接続されている。
【0046】
n個の第2モニタゲートSMGは、一対一の対応関係で対応する第1ゲートFGにそれぞれ電気的に接続されている。つまり、この形態では、ゲート信号からなるモニタゲート信号が、n個の第2モニタゲートSMGにそれぞれ入力される。第2モニタドレインSMDは、第1ドレインFDに電気的に接続されている。第2モニタソースSMSは、第1ソースFSから電気的に分離されている。
【0047】
これにより、n個の系統モニタトランジスタ14は、対応する系統トランジスタ12と同じタイミングでオンオフ制御され、対応する系統電流ISの増減に連動して増減する系統モニタ電流ISMをそれぞれ生成する。系統モニタ電流ISMは、系統電流ISから電気的に独立して第2モニタソースSMSから取り出される。
【0048】
各系統モニタ電流ISMは、対応する系統電流IS以下(ISM≦IS)である。各系統モニタ電流ISMは、対応する系統電流IS未満(ISM<IS)であることが好ましい。系統電流ISに対する系統モニタ電流ISMの電流比ISM/ISは任意である。電流比ISM/ISは、1/10000以上1以下(好ましくは1未満)であってもよい。
【0049】
以下、2系統のメイントランジスタ11および2系統のモニタトランジスタ13の制御例が説明される。n個の第1ゲートFGの全てにゲート閾値電圧未満のゲート信号(つまりオフ信号)が入力されと、第1系統トランジスタ12Aおよび第2系統トランジスタ12Bがオフ状態になる。この制御は、メイントランジスタ11のオフ動作時に適用される。一方、モニタトランジスタ13では、メイントランジスタ11に連動して第1系統モニタトランジスタ14Aおよび第2系統モニタトランジスタ14Bがオフ状態になる。
【0050】
n個の第1ゲートFGの全てにゲート閾値電圧以上のゲート信号(つまりオン信号)が入力されると、第1系統トランジスタ12Aおよび第2系統トランジスタ12Bがオン状態になる。これにより、メイントランジスタ11は、第1系統トランジスタ12Aの系統電流ISおよび第2系統トランジスタ12Bの系統電流ISを含む出力電流IOを生成する。この場合、メイントランジスタ11のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗が相対的に減少する。この制御は、メイントランジスタ11の通常動作時に適用される。
【0051】
一方、モニタトランジスタ13では、メイントランジスタ11に連動して第1系統モニタトランジスタ14Aおよび第2系統モニタトランジスタ14Bがオン状態になる。モニタトランジスタ13は、第1系統モニタトランジスタ14Aの系統モニタ電流ISMおよび第2系統モニタトランジスタ14Bの系統モニタ電流ISMを含むモニタ電流IMを生成する。この場合、モニタトランジスタ13のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗が相対的に減少する。
【0052】
第1系統トランジスタ12Aの第1ゲートFGにゲート閾値電圧以上のゲート信号(つまりオン信号)が入力され、第2系統モニタトランジスタ14Bの第1ゲートFGにゲート閾値電圧未満のゲート信号(つまりオフ信号)が入力されると、第1系統トランジスタ12Aがオン状態になり、第2系統モニタトランジスタ14Bがオフ状態になる。
【0053】
これにより、メイントランジスタ11は、第1系統トランジスタ12Aの系統電流ISを含む出力電流IOを生成する。この場合、メイントランジスタ11のチャネル利用率が相対的に減少し、オン抵抗が相対的に増加する。この制御は、メイントランジスタ11のアクティブクランプ動作時に適用される。
【0054】
一方、モニタトランジスタ13では、メイントランジスタ11に連動して第1系統モニタトランジスタ14Aがオン状態になり、第2系統モニタトランジスタ14Bがオフ状態になる。モニタトランジスタ13は、第1系統モニタトランジスタ14Aの系統モニタ電流ISMを含むモニタ電流IMを生成する。この場合、モニタトランジスタ13のチャネル利用率が相対的に減少し、オン抵抗が相対的に増加する。
【0055】
図1および
図3を参照して、半導体チップ1Aは、第1検温領域9に形成された第1温度センサの一例としての第1感温ダイオード15を含む。第1感温ダイオード15は、順方向電圧に関して出力領域6の温度に応じて変動する温度特性を有し、出力領域6の温度を検出する第1検温信号ST1を生成する。順方向電圧は、出力領域6の温度上昇に伴って線形的に低下する負の温度特性を有していてもよい。
【0056】
図1および
図3を参照して、半導体チップ1Aは、第2検温領域10に形成された第2温度センサの一例としての第2感温ダイオード16を含む。第2感温ダイオード16は、順方向電圧に関して制御領域8の温度に応じて変動する温度特性を有し、制御領域8の温度を検出する第2検温信号ST2を生成する。順方向電圧は、制御領域8の温度上昇に伴って線形的に低下する負の温度特性を有していてもよい。
【0057】
第2感温ダイオード16は、第1感温ダイオード15とほぼ同一の構成を有していることが好ましく、第1感温ダイオード15とほぼ等しい電気的特性を有していることが好ましい。メイントランジスタ11が出力電流IOを生成している時、制御領域8の温度は出力領域6の温度未満である。したがって、出力電流IOの生成時において、第2感温ダイオード16の順方向電圧は第1感温ダイオード15の順方向電圧よりも大きい。
【0058】
半導体チップ1Aは、制御領域8に形成された制御回路17を含む。制御回路17は、「コントロールIC(Control Integrated Circuit)」と称されてもよい。制御回路17は、メイントランジスタ11と共にIPD(Intelligent Power Device)を構成している。IPDは、「IPM(Intelligent Power Module)」と称されてもよい。制御回路17は、外部から入力された電気信号に応答して種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。
【0059】
制御回路17は、この形態では、ゲート駆動回路18、アクティブクランプ回路19、過電流保護回路20および過熱保護回路21を含む。過電流保護回路20は「OCP(Over Current Protection)回路」と称され、過熱保護回路21は「TSD(Thermal Shutdown)回路」と称されてもよい。前述のモニタトランジスタ13、第1感温ダイオード15および第2感温ダイオード16は、制御回路17の一部を構成している。
【0060】
ゲート駆動回路18は、メイントランジスタ11の第1ゲートFGおよびモニタトランジスタ13の第1モニタゲートFMGに電気的に接続され、外部からの電気信号に応答してメイントランジスタ11およびモニタトランジスタ13を制御するゲート信号を生成する。
【0061】
アクティブクランプ回路19は、メイントランジスタ11およびゲート駆動回路18に電気的に接続されている。具体的には、アクティブクランプ回路19は、一部(全部ではない)の第1ゲートFG、第1ドレインFDおよびゲート駆動回路18に電気的に接続されている。
【0062】
アクティブクランプ回路19は、第1ダイオード段19a、第2ダイオード段19bおよびnチャネル型のMISFET19cを含んでいてもよい。第1ダイオード段19aは、順方向直列回路を形成する1つまたは複数のツェナダイオードを含む。第1ダイオード段19aのカソードは、第1ドレインFDに電気的に接続される。
【0063】
第2ダイオード段19bは、順方向直列回路を形成する1つまたは複数のpn接合ダイオードを含む。第2ダイオード段19bのアノードは、第1ダイオード段19aのアノードに逆バイアス接続される。第2ダイオード段19bのカソードは、ゲート駆動回路18に電気的に接続される。
【0064】
MISFET19cのゲートは、第2ダイオード段19bのカソードに電気的に接続される。MISFET19cのバックゲートは、第1ソースFSに電気的に接続される。MISFET19cのドレインは、第1ドレインFDに接続される。MISFET19cのソースは、一部(全部ではない)の第1ゲートFGに電気的に接続される。
【0065】
アクティブクランプ回路19は、誘導性負荷Lに蓄積されたエネルギに起因してメイントランジスタ11に逆起電力が入力された際にゲート駆動回路18と協働して出力電圧を制限(クランプ)し、逆起電力からメイントランジスタ11を保護する。つまり、アクティブクランプ回路19は、逆起電力の入力時にメイントランジスタ11をアクティブクランプ動作させることにより、逆起電力が消費されるまで出力電圧を制限するように構成されている。
【0066】
具体的には、アクティブクランプ回路19は、アクティブクランプ動作時において、ゲート駆動回路18と協働してメイントランジスタ11の一部(たとえば第1系統トランジスタ12A)をオン状態に制御し、メイントランジスタ11の一部(たとえば第2系統トランジスタ12B)をオフ状態に制御する。
【0067】
また、アクティブクランプ回路19は、アクティブクランプ動作時において、ゲート駆動回路18と協働してモニタトランジスタ13の一部(たとえば第1系統モニタトランジスタ14A)をオン状態に制御し、モニタトランジスタ13の一部(たとえば第2系統モニタトランジスタ14B)をオフ状態に制御する。
【0068】
アクティブクランプ回路19は、メイントランジスタ11の第1ソースFSが所定の電圧(たとえば所定の負電圧)以下になったとき、n個の系統トランジスタ12(系統モニタトランジスタ14)をオンオフ制御するように構成されていてもよい。
【0069】
過電流保護回路20は、モニタトランジスタ13およびゲート駆動回路18に電気的に接続されている。過電流保護回路20は、モニタトランジスタ13の第1モニタソースFMSに電気的に接続され、モニタ電流IMの一部または全部(この形態では全部)が入力されるように構成されている。過電流保護回路20は、ゲート駆動回路18と協働してゲート信号を制御し、過電流からメイントランジスタ11を保護する。
【0070】
過電流保護回路20は、モニタ電流IMが所定の閾値を超えた場合に過電流検出信号SCを生成し、ゲート駆動回路18に過電流検出信号SCを出力するように構成されていてもよい。過電流検出信号SCは、ゲート駆動回路18において生成されるn個のゲート信号の一部または全部を所定値以下(たとえばオフ)に制限するための信号である。
【0071】
ゲート駆動回路18は、過電流検出信号SCに応答してn個のゲート信号の一部または全部を制限し、メイントランジスタ11を流れる過電流を抑制する。過電流保護回路20は、モニタ電流IMが所定の閾値以下になると、ゲート駆動回路18(メイントランジスタ11)を通常制御に移行させる。
【0072】
過熱保護回路21は、第1感温ダイオード15、第2感温ダイオード16およびゲート駆動回路18に電気的に接続されている。過熱保護回路21は、ゲート駆動回路18と協働してゲート信号を制御し、過熱からメイントランジスタ11を保護するように構成されている。過熱保護回路21には、第1感温ダイオード15から第1検温信号ST1が入力され、第2感温ダイオード16から第2検温信号ST2が入力される。
【0073】
過熱保護回路21は、第1検温信号ST1および第2検温信号ST2の差分値が所定の閾値を超えた場合に過熱検出信号SHを生成し、ゲート駆動回路18に過熱検出信号SHを出力するように構成されていてもよい。過熱検出信号SHは、ゲート駆動回路18において生成されるn個のゲート信号の一部または全部をオフに制限するための信号である。
【0074】
ゲート駆動回路18は、過熱検出信号SHに応答してメイントランジスタ11の一部または全部をオフ状態に制御し、出力領域6の温度上昇を抑制する。また、ゲート駆動回路18は、過熱検出信号SHに応答してモニタトランジスタ13の一部または全部をオフ状態に制御し、電流検出領域7(出力領域6)の温度上昇を抑制する。過熱保護回路21は、差分値が閾値以下になると、ゲート駆動回路18を通常制御に移行させる。
【0075】
図2を参照して、半導体チップ1Aは、第1主面3を被覆する層間絶縁膜24を含む。層間絶縁膜24は、出力領域6、電流検出領域7、制御領域8、第1検温領域9および第2検温領域10を一括して被覆している。層間絶縁膜24は、この形態では、第1主面3の上に積層された複数の絶縁膜、および、任意の絶縁膜の上に配置された複数の配線を含む多層配線構造を有している。
【0076】
各絶縁膜は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。各配線は、純Al層(純度が99%以上のAl層)、Cu層(純度が99%以上のCu層)、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0077】
図1および
図2を参照して、半導体チップ1Aは、複数の端子25~30を含む。複数の端子25~30の個数やレイアウト等は、メイントランジスタ11の仕様や制御回路17の仕様に応じて適宜調整される。複数の端子25~30は、この形態では、ドレイン端子25(電源端子)、ソース端子26(出力端子)、第1制御端子27、第2制御端子28、第3制御端子29および第4制御端子30を含む。
【0078】
ドレイン端子25は、基板2の第2主面4を被覆し、第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン端子25は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン端子25は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。ドレイン端子25は、メイントランジスタ11の第1ドレインFDに電気的に接続され、電源電位を伝達する。
【0079】
ソース端子26は、層間絶縁膜24の上に配置されている。ソース端子26は、平面視において制御領域8を露出させるように出力領域6を被覆している。ソース端子26のレイアウトは、出力領域6のレイアウトによって調節され、特定の形態に限定されない。ソース端子26は、この形態では、平面視において四角形状(具体的には第1方向Xに延びる長方形状)に形成されている。むろん、ソース端子26は、平面視において四角形状以外の多角形状に形成されていてもよい。
【0080】
ソース端子26は、この形態では、第1検温領域9(第1感温ダイオード15)を露出させるように四角形状に切り欠かれた切欠き部26aを有している。ソース端子26は、メイントランジスタ11の第1ソースFSに電気的に接続され、出力電流IOを外部に伝達する。ソース端子26は、Al系金属層およびCu系金属層のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。ソース端子26は、純Al層、純Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0081】
第1~第4制御端子27~30は、層間絶縁膜24の上に配置されている。第1~第4制御端子27~30は、たとえば、制御回路17に入力信号を付与するインプット端子、制御回路17にイネーブル信号を付与するイネーブル端子、制御回路17の状態を診断するための電気信号を出力する自己診断出力端子、および、制御回路17にグランド電位を付与するグランド端子であってもよい。
【0082】
第1~第4制御端子27~30は、平面視において出力領域6外の領域(具体的には制御領域8)をそれぞれ被覆している。第1~第4制御端子27~30は、いずれも、ソース端子26の平面積未満の平面積を有している。第1~第4制御端子27~30は、純Al層、純Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0083】
以下、
図4~
図7を併せて参照して、出力領域6の構成が説明される。
図4は、出力領域6のレイアウトを示す平面図である。
図5は、
図4に示すV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。
【0084】
半導体チップ1Aは、基板2の第1主面3の表層部に形成されたn型(第1導電型)の第1半導体領域31を含む。第1半導体領域31は、メイントランジスタ11の第1ドレインFDおよびモニタトランジスタ13の第1モニタドレインFMDを形成している。第1半導体領域31は、「ドリフト領域」と称されてもよい。
【0085】
第1半導体領域31は、第1主面3の表層部の全域に形成され、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dから露出している。第1半導体領域31の厚さは、5μm以上30μm以下であってもよい。第1半導体領域31の厚さは、10μm以上20μm以下であることが好ましい。第1半導体領域31は、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0086】
半導体チップ1Aは、基板2の第2主面4の表層部に形成されたn型の第2半導体領域32を含む。第2半導体領域32は、第1半導体領域31と共にメイントランジスタ11の第1ドレインFDおよびモニタトランジスタ13の第1モニタドレインFMDを形成している。第2半導体領域32は、「ドレイン領域」と称されてもよい。
【0087】
第2半導体領域32は、第1半導体領域31に電気的に接続されるように第2主面4の表層部の全域に形成され、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。第2半導体領域32は、第1半導体領域31よりも厚い。第2半導体領域32の厚さは、10μm以上450μm以下であってもよい。第2半導体領域32の厚さは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。第2半導体領域32は、この形態では、n型の半導体基板(Si半導体基板)によって形成されている。
【0088】
半導体チップ1Aは、出力領域6および電流検出領域7の第1半導体領域31の表層部に形成されたp型(第2導電型)のボディ領域33を含む。ボディ領域33は、第1半導体領域31の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、第1半導体領域31の一部を挟んで第2半導体領域32に対向している。
【0089】
半導体チップ1Aは、出力領域6において第1主面3に形成された複数のトレンチ構造35を含む。トレンチ構造35は、「トレンチゲート構造」と称されてもよい。複数のトレンチ構造35は、出力領域6に形成されたメイントランジスタ11用の複数のトレンチ構造35、および、電流検出領域7に形成されたモニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35を含む。モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35の個数は、メイントランジスタ11用の複数のトレンチ構造35の個数未満である。
【0090】
複数のトレンチ構造35は、平面視において第1方向Xに間隔を空けて配列され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチ構造35は、第1半導体領域31に至るようにボディ領域33を貫通している。複数のトレンチ構造35は、第1半導体領域31の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、第1半導体領域31の一部を挟んで第2半導体領域32に対向している。
【0091】
各トレンチ構造35は、第1幅W1および第1深さD1を有している。第1幅W1は、トレンチ構造35が延びる方向に直交する方向の幅である。第1幅W1は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。第1深さD1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。各トレンチ構造35の底壁は、第1半導体領域31の底部から1μm以上5μm以下の間隔を空けていることが好ましい。
【0092】
複数のトレンチ構造35は、第1方向Xにトレンチ間隔ITを空けて配列されている。トレンチ間隔ITは、第1幅W1の0.25倍以上1.5倍以下であってもよい。トレンチ間隔ITは、第1幅W1以下であることが好ましい。トレンチ間隔ITは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0093】
以下、1つのトレンチ構造35の構成が説明される。トレンチ構造35は、トレンチ36、第1絶縁膜37、第2絶縁膜38、第1電極39、第2電極40および第3絶縁膜41を含むマルチ電極構造を有している。つまり、トレンチ構造35は、絶縁体(ゲート絶縁体)を挟んでトレンチ36に埋設された電極(ゲート電極)を含む。絶縁体は、第1絶縁膜37、第2絶縁膜38および第3絶縁膜41によって構成されている。電極は、第1電極39および第2電極40によって構成されている。
【0094】
トレンチ36は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がり、トレンチ構造35の壁面を区画している。第1絶縁膜37は、トレンチ36の上壁面を膜状に被覆している。具体的には、第1絶縁膜37は、ボディ領域33の底部に対してトレンチ36の開口側の領域に位置する上壁面を被覆している。
【0095】
第1絶縁膜37は、第1半導体領域31およびボディ領域33の境界を横切り、第1半導体領域31を被覆する部分を有している。第1絶縁膜37は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第1絶縁膜37は、基板2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第1絶縁膜37は、ゲート絶縁膜として形成されている。
【0096】
第2絶縁膜38は、トレンチ36の下壁面を膜状に被覆している。具体的には、第2絶縁膜38は、ボディ領域33の底部に対してトレンチ36の底壁側の領域に位置する下壁面を被覆している。第2絶縁膜38は、第1半導体領域31を被覆している。第2絶縁膜38は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜38は、基板2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第2絶縁膜38は、第1絶縁膜37よりも厚いことが好ましい。
【0097】
第1電極39は、第1絶縁膜37を挟んでトレンチ36内の上側(開口側)に埋設されている。第1電極39は、平面視において第2方向Yに延びる帯状に埋設されている。第1電極39は、第1絶縁膜37を挟んでボディ領域33および第1半導体領域31に対向している。第1電極39は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。第1電極39は、ゲート電極として形成されている。第1電極39には、ゲート信号が入力される。
【0098】
第2電極40は、第2絶縁膜38を挟んでトレンチ36内の下側(底壁側)に埋設されている。第2電極40は、平面視において第2方向Yに延びる帯状に埋設されている。第2電極40は、トレンチ36の深さ方向に関して第1電極39の厚さ(長さ)を超える厚さ(長さ)を有していてもよい。
【0099】
第2電極40は、第2絶縁膜38を挟んで第1半導体領域31に対向している。第2電極40は、第2絶縁膜38から第1主面3側に突出した上端部を有している。第2電極40の上端部は、第2電極40の底部に系合し、第1主面3に沿う横方向に第2電極40の底部を挟んで第1絶縁膜37に対向している。
【0100】
第2電極40は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。第2電極40は、この形態では、ゲート電極として形成され、第1電極39と同電位に固定される。つまり、同一のゲート信号が、第1電極39と同時に第2電極40に印加される。これにより、第1電極39および第2電極40の間の電圧降下が抑制される結果、第1電極39および第2電極40の間の電界集中が抑制される。また、トレンチ36の近傍におけるキャリア密度が上昇する結果、基板2(特に第1半導体領域31)のオン抵抗が低下する。
【0101】
第3絶縁膜41は、第1電極39および第2電極40の間に介在し、第1電極39および第2電極40を電気的に絶縁させている。第3絶縁膜41は、第2電極40のうち第2絶縁膜38から露出する部分を被覆し、第1絶縁膜37および第2絶縁膜38に連なっている。第3絶縁膜41は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第3絶縁膜41は、第2電極40の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第3絶縁膜41は、第2絶縁膜38よりも薄いことが好ましい。
【0102】
半導体チップ1Aは、出力領域6において第1主面3に形成された複数のトレンチ接続構造45を含む。複数のトレンチ接続構造45は、複数のトレンチ構造35の一端部側の領域および複数のトレンチ構造35の他端部側の領域にそれぞれ形成されている。
図4では、複数のトレンチ構造35の一端部側の領域が示されている。
【0103】
複数のトレンチ接続構造45は、第1方向Xに隣り合う少なくとも2つ(この形態では2つ)のトレンチ構造35の一端部を接続するように第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチ接続構造45は、第1方向Xに隣り合う少なくとも2つ(この形態では2つ)のトレンチ構造35の他端部を接続するように第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。
【0104】
複数のトレンチ接続構造45は、平面視において複数のトレンチ構造35と共に環状または梯子状の1つの単位トレンチ構造をそれぞれ構成している。複数のトレンチ接続構造45は、第1半導体領域31の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、第1半導体領域31の一部を挟んで第2半導体領域32に対向している。
【0105】
他方側のトレンチ接続構造45は、複数のトレンチ構造35の他端部に接続されている点を除き、一方側のトレンチ接続構造45と同様の構造を有している。以下、一方側の1つのトレンチ接続構造45の構成が説明され、他方側のトレンチ接続構造45の説明は省略される。
【0106】
トレンチ接続構造45は、第1方向Xに延びる第1トレンチ部45aおよび第2方向Yに延びる複数(この形態では2つ)の第2トレンチ部45bを有している。第1トレンチ部45aは、平面視において複数の一端部に対向している。複数の第2トレンチ部45bは、第1トレンチ部45aから複数のトレンチ構造35の一端部に向けて延び、当該複数の一端部に接続されている。
【0107】
トレンチ接続構造45は、第2幅W2および第2深さD2を有している。第2幅W2は、トレンチ接続構造45が延びる方向に直交する方向の幅である。第2幅W2は、トレンチ構造35の第1幅W1とほぼ等しいことが好ましい。第2深さD2は、トレンチ構造35の第1深さD1とほぼ等しいことが好ましい。トレンチ接続構造45の底壁は、第1半導体領域31の底部から1μm以上5μm以下の間隔を空けていることが好ましい。
【0108】
トレンチ接続構造45は、接続トレンチ46、接続絶縁膜47および接続電極48を含むシングル電極構造を有している。接続トレンチ46は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がり、トレンチ接続構造45の壁面を区画している。接続トレンチ46の側壁および底壁は、トレンチ構造35のトレンチ36の側壁および底壁に接続されている。
【0109】
接続絶縁膜47は、接続トレンチ46の壁面を膜状に被覆している。接続絶縁膜47は、トレンチ36および接続トレンチ46の連通部において第1絶縁膜37および第2絶縁膜38に接続されている。接続絶縁膜47は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。接続絶縁膜47は、基板2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。接続絶縁膜47は、第1絶縁膜37よりも厚いことが好ましい。接続絶縁膜47の厚さは、第2絶縁膜38の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0110】
接続電極48は、接続絶縁膜47を挟んで接続トレンチ46に埋設されている。接続電極48は、導電性ポリシリコンを含んでいてもよい。接続電極48は、第1トレンチ部45aにおいて第1方向Xに延び、第2トレンチ部45bにおいて第2方向Yに延びている。接続電極48は、トレンチ36および接続トレンチ46の連通部において第2電極40に接続され、第3絶縁膜41を挟んで第1電極39に対向している。接続電極48には、第1電極39および第2電極40と同時に同一のゲート信号が印加される。
【0111】
半導体チップ1Aは、出力領域6および電流検出領域7のボディ領域33の表層部において複数のトレンチ構造35に沿う領域にそれぞれ形成されたn型の複数のソース領域51を含む。複数のソース領域51のn型不純物濃度は、第1半導体領域31よりも高い。複数のソース領域51は、各トレンチ構造35の両サイドにそれぞれ配置され、各トレンチ構造35に沿って間隔を空けて配列されている。複数のソース領域51は、ボディ領域33の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、対応する第1絶縁膜37を挟んで第1電極39に対向している。
【0112】
一方のトレンチ構造35に沿う複数のソース領域51は、他方のトレンチ構造35に沿う複数のソース領域51に対して第2方向Yにずれて配列されていることが好ましい。つまり、一方のトレンチ構造35に沿う複数のソース領域51は、他方のトレンチ構造35に沿う複数のソース領域51の間の領域に第1方向Xに対向していることが好ましい。
【0113】
半導体チップ1Aは、出力領域6および電流検出領域7のボディ領域33の表層部において複数のトレンチ構造35に沿う領域にそれぞれ形成されたp型の複数のコンタクト領域52を含む。複数のコンタクト領域52のp型不純物濃度は、ボディ領域33よりも高い。
【0114】
複数のコンタクト領域52は、各トレンチ構造35の両サイドにそれぞれ配置され、各トレンチ構造35に沿って間隔を空けて配列されている。複数のコンタクト領域52は、ボディ領域33の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、対応する第1絶縁膜37を挟んで第1電極39に対向している。
【0115】
複数のコンタクト領域52は、各トレンチ構造35の両サイドにおいて複数のソース領域51と交互に配列されている。一方のトレンチ構造35に沿う複数のコンタクト領域52は、他方のトレンチ構造35に沿う複数のコンタクト領域52に対して第2方向Yにずれて配列されていることが好ましい。つまり、一方のトレンチ構造35に沿う複数のコンタクト領域52は、他方のトレンチ構造35に沿う複数のコンタクト領域52の間の領域(つまりソース領域51)に第1方向Xに対向していることが好ましい。
【0116】
半導体チップ1Aは、前述の層間絶縁膜24内に互いに電気的に独立した状態で配置されたn個のゲート配線53を含む。n個のゲート配線53は、メイントランジスタ11用のn個のゲート配線53およびモニタトランジスタ13用のn個のゲート配線53を含む。n個のゲート配線53は、出力領域6および電流検出領域7において複数の第1ビア電極54を介して対応する少なくとも1つのトレンチ構造35に選択的に電気的に接続され、制御領域8において制御回路17(ゲート駆動回路18)に電気的に接続されている。複数の第1ビア電極54は、タングステンを含んでいてもよい。
【0117】
具体的には、メイントランジスタ11用のn個のゲート配線53は、出力領域6において複数の第1ビア電極54を介して系統トランジスタ12として系統化(グループ化)すべき少なくとも1つ(この形態では複数)のトレンチ構造35および少なくとも1つ(この形態では複数)のトレンチ接続構造45にそれぞれ電気的に接続されている。
【0118】
ここでは、メイントランジスタ11用のn個のゲート配線53が、第1系統トランジスタ12A用の第1ゲート配線53Aおよび第2系統トランジスタ12B用の第2ゲート配線53Bを含む例が説明される。第1ゲート配線53Aは、出力領域6において複数の第1ビア電極54を介して第1系統トランジスタ12Aとして系統化(グループ化)すべき複数の単位トレンチ構造(複数のトレンチ構造35および複数のトレンチ接続構造45)に電気的に接続されている。
【0119】
第2ゲート配線53Bは、第1ゲート配線53Aから電気的に独立した状態で層間絶縁膜24内に配置されている。第2ゲート配線53Bは、出力領域6において複数の第1ビア電極54を介して第2系統トランジスタ12Bとして系統化(グループ化)すべき複数の単位トレンチ構造(複数のトレンチ構造35および複数のトレンチ接続構造45)に電気的に接続されている。この形態では、第2系統トランジスタ12B用の複数の単位トレンチ構造が、第1系統トランジスタ12A用の複数の単位トレンチ構造と交互に系統化されている。
【0120】
一方、モニタトランジスタ13用のn個のゲート配線53は、電流検出領域7において複数の第1ビア電極54を介して系統モニタトランジスタ14として系統化(グループ化)すべき少なくとも1つ(この形態では複数)のトレンチ構造35および少なくとも1つ(この形態では複数)のトレンチ接続構造45にそれぞれ電気的に接続されている。系統モニタトランジスタ14を構成するトレンチ構造35の個数(トレンチ接続構造45の個数)は、系統トランジスタ12を構成するトレンチ構造35の個数(トレンチ接続構造45の個数)未満である。
【0121】
ここでは、モニタトランジスタ13用のn個のゲート配線53が、第1系統モニタトランジスタ14A用の第1ゲート配線53Aおよび第2系統モニタトランジスタ14B用の第2ゲート配線53Bを含む例が説明される。第1ゲート配線53Aは、電流検出領域7において複数の第1ビア電極54を介して第1系統モニタトランジスタ14Aとして系統化すべき少なくとも1つのトレンチ構造35および少なくとも1つのトレンチ接続構造45に電気的に接続されている。
【0122】
第2ゲート配線53Bは、第1ゲート配線53Aから電気的に独立した状態で層間絶縁膜24内に配置されている。第2ゲート配線53Bは、電流検出領域7において複数の第1ビア電極54を介して第2系統モニタトランジスタ14Bとして系統化すべき少なくとも1つのトレンチ構造35および少なくとも1つのトレンチ接続構造45に電気的に接続されている。第2系統モニタトランジスタ14B用のトレンチ構造35は、第1系統モニタトランジスタ14A用のトレンチ構造35に隣り合っていてもよい。
【0123】
モニタトランジスタ13用の第1ゲート配線53Aは、メイントランジスタ11用の第1ゲート配線53Aと一体的に形成されていてもよい。また、モニタトランジスタ13用の第2ゲート配線53Bは、メイントランジスタ11用の第2ゲート配線53Bと一体的に形成されていてもよい。
【0124】
半導体チップ1Aは、層間絶縁膜24内に配置された複数のソース配線55を含む。複数のソース配線55は、メイントランジスタ11用の第1ソース配線55Aおよびモニタトランジスタ13用の第2ソース配線55Bを含む。第1ソース配線55Aは、層間絶縁膜24内において出力領域6を被覆し、複数の第2ビア電極56を介して複数のソース領域51および複数のコンタクト領域52に電気的に接続されている。複数の第2ビア電極56は、タングステンを含んでいてもよい。
【0125】
第2ソース配線55Bは、層間絶縁膜24内において電流検出領域7および制御領域8の間の領域を選択的に引き回されている。第2ソース配線55Bは、電流検出領域7において複数の第2ビア電極56を介して複数のソース領域51および複数のコンタクト領域52に電気的に接続され、制御領域8において制御回路17(過電流保護回路20)に電気的に接続されている。
【0126】
半導体チップ1Aは、層間絶縁膜24の上に配置された前述のソース端子26を含む。ソース端子26は、この形態では、平面視において複数のソース配線55(第1ソース配線55Aおよび第2ソース配線55B)に重なり、全てのトレンチ構造35および全てのトレンチ接続構造45を被覆している。
【0127】
ソース端子26は、層間絶縁膜24内に配置された複数の第3ビア電極57を介して第1ソース配線55Aに電気的に接続されている。複数の第3ビア電極57は、平面視および断面視において複数の第2ビア電極56の間の領域に配置されている。つまり、複数の第3ビア電極57は、この形態では、第1ソース配線55Aを挟んで第2ビア電極56に対向していない。むろん、複数の第3ビア電極57は、第1ソース配線55Aを挟んで第2ビア電極56に対向していてもよい。
【0128】
ソース端子26は、ソース配線55よりも大きい厚さを有していることが好ましい。ソース端子26の厚さは、複数のトレンチ構造35の第1深さD1(トレンチ接続構造45の第2深さD2)よりも大きいことが好ましい。ソース端子26の厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。ソース端子26の厚さは、1μm以上25μm以下であってもよい。
【0129】
ソース端子26の厚さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、または、20μm以上25μm以下であってもよい。ソース端子26がAl系金属を主成分に含む場合、ソース端子26の厚さは1μm以上10μm以下であってもよい。ソース端子26がCu系金属を主成分に含む場合、ソース端子26の厚さは10μm以上25μm以下であってもよい。
【0130】
図8は、
図1に示す半導体チップ1Aが搭載された半導体装置61を示す斜視図である。
図9は、
図8に示す半導体装置61の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプ75と共に示す平面図である。
図10は、
図9に示すX-X線に沿う断面図である。
図11は、
図9に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、第1レイアウト例に係る疑似バンプ75を示す平面図である。
図13は、
図12に示すXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14は、
図12に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。
【0131】
図8~
図14を参照して、半導体装置61は、「半導体パッケージ」または「半導体モジュール」と称されてもよい。半導体装置61のパッケージタイプは、使用環境、実装対象、半導体チップ1Aの形態等に応じて種々の形態を採る。ここでは、半導体装置61が8端子タイプのSOP(Small Outline Package)からなる形態が例示される。
【0132】
半導体装置61は、直方体形状のパッケージ本体62を含む。パッケージ本体62は、マトリクス樹脂および複数のフィラーを含む。マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂(たとえばエポキシ樹脂)であってもよい。複数のフィラーは、絶縁球体物(たとえばシリカ粒子)であってもよい。
【0133】
パッケージ本体62は、一方側の第1面63、他方側の第2面64、ならびに、第1面63および第2面64を接続する第1~第4側壁65A~65Dを有している。第1面63は実装面であり、第2面64は非実装面である。第1面63および第2面64は、平面視において四角形状(この形態では第1方向Xに延びる長方形状)に形成されている。
【0134】
第1側壁65Aおよび第2側壁65Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第2方向Yに対向している。第1側壁65Aおよび第2側壁65Bは、パッケージ本体62の長辺を形成している。第3側壁65Cおよび第4側壁65Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3側壁65Cおよび第4側壁65Dは、パッケージ本体62の短辺を形成している。
【0135】
半導体装置61は、パッケージ本体62内に配置された直方体形状の金属板66を含む。金属板66は、金属製の「ダイパッド」と称されてもよい。金属板66は、一方側の第1板面67、他方側の第2板面68、ならびに、第1板面67および第2板面68を接続する第1~第4板側壁69A~69Dを有している。
【0136】
第1板面67および第2板面68は、平面視において四角形状(この形態では第1方向Xに延びる長方形状)に形成されている。第2板面68は、パッケージ本体62の第2面64から露出している。むろん、金属板66は、第2面64から第2板面68が露出しないようにパッケージ本体62内に配置されていてもよい。
【0137】
第1板側壁69Aおよび第2板側壁69Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第2方向Yに対向している。第1板側壁69Aおよび第2板側壁69Bは、金属板66の長辺を形成している。第3板側壁69Cおよび第4板側壁69Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3板側壁69Cおよび第4板側壁69Dは、金属板66の短辺を形成している。
【0138】
半導体装置61は、パッケージ本体62内において金属板66から第1~第4側壁65A~65Dの少なくとも1つに向けて引き出された少なくとも1つ(この形態では複数)の延出部70を含む。複数の延出部70は、第1延出部70Aおよび第2延出部70Bを含む。
【0139】
第1延出部70Aは、第3板側壁69Cから第3側壁65Cに向けて帯状に引き出されている。第1延出部70Aは、この形態では、第1面63に向けて屈曲した屈曲部を有し、第3側壁65Cにおいてパッケージ本体62の厚さ範囲途中部から露出している。第2延出部70Bは、第4板側壁69Dから第4側壁65Dに向けて帯状に引き出されている。第2延出部70Bは、この形態では、第1面63に向けて屈曲した屈曲部を有し、第4側壁65Dにおいてパッケージ本体62の厚さ範囲途中部から露出している。
【0140】
半導体装置61は、パッケージ本体62の内部から外部に引き出されるように金属板66から間隔を空けてパッケージ本体62内に配置された金属製の第1~第8リード端子71A~71Hを含む。第1~第4リード端子71A~71Dは第1側壁65A側において第1方向Xに間隔を空けて配列され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。第5~第8リード端子71E~71Hは第2側壁65B側において第1方向Xに間隔を空けて配列され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。
【0141】
第1~第8リード端子71A~71Hは、内端部、帯部および外端部をそれぞれ有している。内端部は、金属板66の高さ位置に対して第1面63側に位置するようにパッケージ本体62の厚さ範囲途中部に配置されている。内端部の平面形状は任意である。帯部は、内端部からパッケージ本体62外に引き出され、パッケージ本体62外において第2面64側に向けて屈曲している。帯部は、パッケージ本体62の第2面64を横切る高さ位置まで延びている。外端部は、パッケージ本体62の第2面64よりも下方の高さ位置において第2面64に対してほぼ平行に延びている。
【0142】
半導体装置61は、パッケージ本体62内において金属板66(第1板面67)の上に配置された半導体チップ1Aを含む。半導体チップ1Aは、ドレイン端子25を金属板66(第1板面67)に対向させた姿勢で金属板66の上に配置されている。
【0143】
半導体装置61は、パッケージ本体62内において半導体チップ1Aおよび金属板66の間に介在された導電接合材72を含む。具体的には、導電接合材72は、ドレイン端子25および金属板66の間に介在され、ドレイン端子25および金属板66を電気的および機械的に接続している。導電接合材72は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。半田は、鉛フリー半田であってもよい。金属ペーストは、Au、AgおよびCuのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。Agペーストは、Ag焼結ペーストからなっていてもよい。
【0144】
半導体装置61は、パッケージ本体62内においてワイヤから開放された状態でソース端子26の上に配置された複数の疑似バンプ75を含む。複数の疑似バンプ75は、ソース端子26に対するワイヤボンディング工程を利用して形成された金属塊からそれぞれなる。ワイヤボンディング工程は、ボンディング装置のキャピラリ(ワイヤ供給装置)を用いて実施される。
【0145】
ワイヤボンディング工程では、まず、キャピラリの内孔にワイヤが供給され、ワイヤに対する放電加工によってキャピラリの先端部にイニシャルボールが形成される。次に、イニシャルボールがソース端子26に当接され、ソース端子26に向かう荷重がイニシャルボールに加えられると同時に超音波振動がイニシャルボールに加えられる。これにより、イニシャルボールが圧潰されると同時にソース端子26に圧着される。その後、圧潰されたイニシャルボールからワイヤが切り離され、バンプ状(たとえば略円柱状)の金属塊からなる疑似バンプ75が形成される。
【0146】
複数の疑似バンプ75は、ソース端子26の上に密に配置されている。ここに言う「密」とは、ソース端子26に接続される他の構造物(後述の真正バンプ90)と比較してソース端子26に対する複数の疑似バンプ75の占有面積が大きいことを意味する。複数の疑似バンプ75は、単位平面積当たりにおいて第1占有面積でソース端子26の上に配置されている。
【0147】
複数の疑似バンプ75は、平面視において第1サイズS1をそれぞれ有している。第1サイズS1は、平面視において疑似バンプ75のうちの最も幅広の部分の長さによって定義される。第1サイズS1は、50μm以上250μm以下であってもよい。
【0148】
第1サイズS1は、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、125μm以上150μm以下、150μm以上175μm以下、175μm以上200μm以下、200μm以上225μm以下、または、225μm以上250μm以下であってもよい。第1サイズS1は、75μm以上200μm以下であることが好ましい。第1サイズS1は、100μm以上180μm以下であることが特に好ましい。
【0149】
複数の疑似バンプ75は、平面視において第1ピッチP1でソース端子26の上に配置されている。第1ピッチP1は、複数の疑似バンプ75の中央部間の距離によって定義される。複数の疑似バンプ75は、第1ピッチP1で互いに接触するように配列されていてもよいし、第1ピッチP1で互いに間隔を空けて配列されていてもよい。複数の疑似バンプ75は、互いに間隔を空けて配列されていることが好ましい。
【0150】
第1ピッチP1は、第1サイズS1の1倍以上2.5倍以下であることが好ましい。第1サイズS1に対する第1ピッチP1の比P1/S1は、1以上1.25以下、1.25以上1.5以下、1.5以上1.75以下、1.75以上2以下、2以上2.25以下、または、2.25以上2.5以下であってもよい。比P1/S1は、1よりも大きいことが好ましい。比P1/S1は、1.25以上1.75以下であることが特に好ましい。
【0151】
第1ピッチP1は、50μm以上250μm以下であってもよい。第1ピッチP1は、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、125μm以上150μm以下、150μm以上175μm以下、175μm以上200μm以下、200μm以上225μm以下、または、225μm以上250μm以下であってもよい。第1ピッチP1は、75μm以上200μm以下であることが好ましい。第1ピッチP1は、100μm以上180μm以下であることが特に好ましい。
【0152】
複数の疑似バンプ75の間隔Iは、0μm以上100μm以下であってもよい。間隔Iは、0μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、40μm以上50μm以下、50μm以上60μm以下、60μm以上70μm以下、70μm以上80μm以下、80μm以上90μm以下、または、90μm以上100μm以下であってもよい。間隔Iは、10μm以上であることが好ましい。間隔Iは、30μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
【0153】
複数の疑似バンプ75は、第1厚さT1をそれぞれ有している。第1厚さT1は、断面視において疑似バンプ75のうちの最も厚い部分の厚さによって定義される。第1厚さT1は、複数のトレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。第1厚さT1は、ソース端子26の厚さよりも大きいことが好ましい。第1厚さT1は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第1厚さT1は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第1厚さT1は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0154】
第1厚さT1は、10μm150μm以下であってもよい。第1厚さT1は、10μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、または、125μm以上150μm以下であってもよい。第1厚さT1は、25μm以上100μm以下であることが好ましい。第1厚さT1は、50μm以上であることが特に好ましい。
【0155】
少なくとも3個の疑似バンプ75が、疑似バンプ群76としてソース端子26の上に配置されていることが好ましい。この場合、少なくとも3個の疑似バンプ75は、平面視において二等辺三角形の頂点に位置するレイアウトで配置されていることが好ましい。二等辺三角形は、正三角形であることが特に好ましい。
【0156】
少なくとも7個の疑似バンプ75が、疑似バンプ群76としてソース端子26の上に配置されていることが好ましい。この場合、6個の疑似バンプ75が、平面視において1個の疑似バンプ75の周囲に配置されていることが好ましい。6個の疑似バンプ75は、平面視において1個の疑似バンプ75の中央部を中心とする同心円上に配置されていることが好ましい。
【0157】
6個の疑似バンプ75が平面視において六角形の頂点に位置するレイアウトで配置され、1個の疑似バンプ75が平面視において六角形の中心に位置するレイアウトで配置されていることが好ましい。つまり、複数の疑似バンプ75は、平面視において六方最密配列(つまりハニカム配列)になるレイアウトでソース端子26に接合されていることが好ましい。この場合、六角形は、正六角形であることが最も好ましい。
【0158】
この形態では、六方最密となるレイアウトで配列された28個の疑似バンプ75を含む疑似バンプ群76がソース端子26に接合されている。ソース端子26に接合される疑似バンプ75の個数は任意であるが、少なくとも3個の疑似バンプ75を含む疑似バンプ群76、および/または、少なくとも7個の疑似バンプ75を含む疑似バンプ群76が、ソース端子26に接合されていることが好ましい。むろん、複数の疑似バンプ群76が、第1ピッチP1(間隔I)よりも大きい距離を空けてソース端子26に接合されていてもよい。
【0159】
ソース端子26に対する複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)の接合箇所は、半導体チップ1Aの温度分布に基づいて設定されてもよい。たとえば、サーモグラフィやシミュレーションツール等を用いて出力領域6の高温領域および低温領域を解析し、ソース端子26のうち出力領域6の高温領域を被覆する部分に複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)を接合してもよい。
【0160】
たとえば、出力領域6の内方部(たとえば中央部)は、出力領域6の周縁部よりも温度が高まりやすい。したがって、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)は、ソース端子26の内方部(たとえば中央部)において密になり、ソース端子26の周縁部において疎になるレイアウトでソース端子26に接合されていてもよい。複数の疑似バンプ75が「疎」である形態は、疑似バンプ75が存在しない形態を含む。この形態では、ソース端子26の周縁部のうち3つの辺に沿う部分に1個の疑似バンプ75がそれぞれ配置されている。
【0161】
制御領域8の温度は、出力領域6の温度よりも低い。この形態では、ソース端子26は、制御領域8を露出させるように出力領域6を被覆し、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)が平面視において出力領域6に重なる領域に配置されている。つまり、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)は、平面視においてメイントランジスタ11に重なる位置に配置され、平面視において制御領域8に重なる領域には配置されていない。
【0162】
複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)の一部は、平面視においてモニタトランジスタ13に対向していてもよい。つまり、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)は、メイントランジスタ11用の複数のトレンチ構造35、および、モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35に対向していてもよい。むろん、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)は、モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35に対向しないようにソース端子26の上に配置されていてもよい。
【0163】
各疑似バンプ75は、10個以上200個以下のトレンチ構造35に対向していてもよい。各疑似バンプ75に係るトレンチ構造35の対向数は、10個以上25個以下、25個以上50個以下、50個以上75個以下、75個以上100個以下、100個以上125個以下、125個以上150個以下、150個以上175個以下、または、175個以上200個以下であってもよい。各疑似バンプ75に係るトレンチ構造35の対向数は、25個以上100個以下であることが好ましい。
【0164】
以下、
図13を参照して、1つの疑似バンプ75の具体的な形状が説明される。疑似バンプ75は、この形態では、第1バンプ本体77および第1バンプ金属膜78を含む。第1バンプ本体77は、第1金属を含む。第1金属は、Cu系金属、Al系金属、Au系金属およびAg系金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0165】
Cu系金属は、純CuまたはCu合金を含んでいてもよい。Al系金属は、純AlまたはAl合金を含んでいてもよい。Au系金属は、純AuまたはAu合金を含んでいてもよい。Ag系金属は、純AgまたはAg合金を含んでいてもよい。第1バンプ本体77は、この形態では、純Cuを含む。
【0166】
第1バンプ本体77は、第1ボディ部79および第1ネック部80を含む。第1ボディ部79は、ソース端子26に接続された幅広な部分からなる。第1ボディ部79は、断面視において外方に向けて湾曲した側壁を有する略円柱状に形成されている。第1ボディ部79は、平面視において疑似バンプ75の第1サイズS1を形成する第1ボディサイズSB1を有している。
【0167】
第1ボディ部79は、疑似バンプ75の第1厚さT1の0.1倍以上0.9倍以下の第1ボディ厚さTB1を有していてもよい。第1ボディ厚さTB1は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第1ボディ厚さTB1は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第1ボディ厚さTB1は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0168】
第1厚さT1に対する第1ボディ厚さTB1の厚さ比T1/TB1は、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、0.7以上0.8以下、または、0.8以上0.9以下であってもよい。厚さ比T1/TB1は、0.4以上0.7以下であることが好ましい。厚さ比T1/TB1は、0.5以上であることが特に好ましい。
【0169】
第1ネック部80は、第1ボディ部79からソース端子26とは反対側に向けて第1ボディ部79よりも幅狭に突出した部分からなる。第1ネック部80は、断面視において略円柱状に形成されている。第1ネック部80は、この形態では、斜め下り傾斜した第1上端部81を有している。具体的には、第1上端部81は、断面視において上端頂部82、上端基部83および傾斜部84を有していてもよい。
【0170】
上端頂部82は、断面視において第1上端部81の周縁部の一方側に形成されている。上端基部83は、断面視において第1上端部81の周縁部の他方側に形成され、上端頂部82の高さ位置に対して第1ボディ部79側に位置している。傾斜部84は、断面視において上端頂部82から上端基部83に向けて斜め下り傾斜している。第1上端部81は、上端基部83において第1ボディ部79とは反対側に向けて突出した上端突起部85を有していてもよい。上端突起部85の先端部は、上端頂部82の先端部の高さ位置に対して第1ボディ部79側の高さ位置に形成されていてもよい。
【0171】
第1ネック部80は、平面視において第1ボディサイズSB1未満の第1ネックサイズSN1を有している。第1ネックサイズSN1は、第1ボディサイズSB1(第1サイズS1)の0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。
【0172】
第1ボディサイズSB1に対する第1ネックサイズSN1のサイズ比SN1/SB1は、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、0.7以上0.8以下、または、0.8以上0.9以下であってもよい。サイズ比SN1/SB1は、0.5以上0.7以下であることが好ましい。サイズ比SN1/SB1は、0.5よりも大きいことが特に好ましい。
【0173】
第1バンプ金属膜78は、第1バンプ本体77の第1金属とは異なる第2金属を含み、第1バンプ本体77の外面の少なくとも一部を被覆している。第1バンプ金属膜78は、第1バンプ本体77の外面のうちの上端頂部82を露出させるように上端頂部82外の領域を被覆している。
【0174】
図13では、第1バンプ金属膜78が上端頂部82外の領域の全域を被覆している形態が示されているが、第1バンプ金属膜78は必ずしもこのような形態を有している必要はない。また、複数の疑似バンプ75の間における第1バンプ金属膜78の形態は不定であり、一定の形態に定まらない。
【0175】
たとえば、第1バンプ金属膜78は、上端頂部82外の領域において第1バンプ本体77(第1金属)を部分的に露出させるように第1バンプ本体77の外面の少なくとも一部を被覆していればよく、第1バンプ金属膜78の一部は第1バンプ本体77の内部に位置していてもよい。
【0176】
たとえば、第1バンプ金属膜78の一部は、第1バンプ本体77の内部に溶け込んでいてもよい。たとえば、第1バンプ本体77に対する第1バンプ金属膜78の被覆面積は、第1バンプ金属膜78に対する第1バンプ本体77の露出面積未満であってもよい。むろん、第1バンプ本体77に対する第1バンプ金属膜78の被覆面積は、第1バンプ金属膜78に対する第1バンプ本体77の露出面積以上であってもよい。
【0177】
第1バンプ金属膜78は、めっき膜からなることが好ましい。第1バンプ金属膜78は、Niめっき膜、Pdめっき膜およびAuめっき膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。たとえば、第1バンプ金属膜78は、第1バンプ本体77からこの順に積層されたNiめっき膜、Pdめっき膜およびAuめっき膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0178】
たとえば、第1バンプ金属膜78は、第1バンプ本体77からこの順に積層されたNiめっき膜およびPdめっき膜を含む積層構造を有していてもよい。たとえば、第1バンプ金属膜78は、Niめっき膜、Pdめっき膜またはAuめっき膜からなる単層構造を有していてもよい。
【0179】
半導体装置61は、パッケージ本体62内に配置された少なくとも1つ(この形態では複数)の第1ボンディングワイヤ89を含む。複数の第1ボンディングワイヤ89は、ソース端子26を第1~第8リード端子71A~71Hから選択される少なくとも1つの接続対象(この形態では第1~第4リード端子71A~71D)に電気的に接続させている。第1ボンディングワイヤ89の個数は、1個以上であればよく、特定の個数に制限されない。
【0180】
この形態では、4個の第1ボンディングワイヤ89がソース端子26および第1リード端子71Aに接続され、4個の第1ボンディングワイヤ89がソース端子26および第2リード端子71Bに接続され、4個の第1ボンディングワイヤ89がソース端子26および第3リード端子71Cに接続され、4個の第1ボンディングワイヤ89がソース端子26および第4リード端子71Dに接続されている。
【0181】
複数の第1ボンディングワイヤ89は、真正バンプ90、ワイヤループ91およびワイヤテール92をそれぞれ含む。真正バンプ90は、ワイヤ(ワイヤループ91)に接続された状態でソース端子26に接合された金属塊である。ワイヤループ91は、真正バンプ90および接続対象の間の領域をアーチ状に延びるワイヤ部である。ワイヤテール92は、接続対象に接合されたワイヤ端部である。複数の第1ボンディングワイヤ89は、ボンディング装置のキャピラリ(ワイヤ供給装置)を用いたワイヤボンディング工程を経て形成される。
【0182】
ワイヤボンディング工程では、まず、キャピラリの内孔にワイヤが供給され、ワイヤに対する放電加工によってキャピラリの先端部にイニシャルボールが形成される。次に、イニシャルボールがソース端子26に当接され、ソース端子26に向かう荷重がイニシャルボールに加えられると同時に超音波振動がイニシャルボールに加えられる。これにより、イニシャルボールが圧潰されると同時にソース端子26に圧着される。また、バンプ状(たとえば略円柱状)の金属塊からなる真正バンプ90が形成される。
【0183】
次に、キャピラリが、ワイヤを引き出しながら真正バンプ90の上から接続対象の上に移動される。これにより、真正バンプ90および接続対象の間にアーチ状のワイヤループ91が形成される。次に、ワイヤループ91の一部が接続対象に当接され、接続対象に向かう荷重がワイヤループ91に加えられると同時に超音波振動がワイヤループ91に加えられる。これにより、ワイヤループ91の一部が圧潰されると同時に接続対象に圧着される。その後、ワイヤループ91の圧着部からワイヤが切り離され、ワイヤテール92が形成される。
【0184】
以下、複数の真正バンプ90の形態が説明される。複数の真正バンプ90は、複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)から間隔を空けてソース端子26の上に配置されている。複数の真正バンプ90は、この形態では、ソース端子26の周縁に沿って間隔を空けてソース端子26の周縁部の上に配列されている。複数の真正バンプ90の配置箇所は、ソース端子26の周縁および複数の疑似バンプ75(疑似バンプ群76)の間の空き領域であればよく、特定の配置箇所に制限されない。
【0185】
複数の真正バンプ90は、ソース端子26の上に複数の疑似バンプ75よりも疎に配置されている。ここに言う「疎」とは、ソース端子26に対する複数の真正バンプ90の占有面積が、ソース端子26に対する複数の疑似バンプ75の占有面積よりも小さいことを意味する。
【0186】
単一の真正バンプ90のみがソース端子26の上に配置され、かつ、当該単一の真正バンプ90の占有面積が複数の疑似バンプ75の占有面積よりも小さい場合も、真正バンプ90が「疎」に配置された形態に含まれる。つまり、1つまたは複数の真正バンプ90が、単位平面積当たりにおいて複数の疑似バンプ75の第1占有面積未満の第2占有面積でソース端子26の上に配置されていればよい。
【0187】
複数の真正バンプ90は、平面視において第2サイズS2をそれぞれ有している。第2サイズS2は、平面視において真正バンプ90のうちの最も幅広の部分の長さによって定義される。第2サイズS2は、50μm以上250μm以下であってもよい。
【0188】
第2サイズS2は、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、125μm以上150μm以下、150μm以上175μm以下、175μm以上200μm以下、200μm以上225μm以下、または、225μm以上250μm以下であってもよい。第2サイズS2は、75μm以上200μm以下であることが好ましい。第2サイズS2は、100μm以上180μm以下であることが特に好ましい。
【0189】
第2サイズS2は、疑似バンプ75の第1サイズS1以上であってもよいし、第1サイズS1未満であってもよい。第2サイズS2は、第1サイズS1とほぼ等しいことが好ましい。この構成によれば、サイズに関して同一の製造条件で疑似バンプ75および真正バンプ90を形成できる。
【0190】
複数の真正バンプ90は、平面視において疑似バンプ75の第1ピッチP1以上の第2ピッチP2でソース端子26の上に配置されている。第2ピッチP2は、互いに隣り合う2つの真正バンプ90の中央部間の距離によって定義される。複数の真正バンプ90は、互いに接触しないように第2ピッチP2で互いに間隔を空けて配列されていることが好ましい。
【0191】
第2ピッチP2は、ソース端子26の周縁によって取り囲まれた範囲内に真正バンプ90の全体が位置し、かつ、第1ピッチP1以上という条件を具備する限り任意の値を取る。一例として、第1ピッチP1に対する第2ピッチP2のピッチ比P2/P1は、1以上20以下であってもよい。ピッチ比P2/P1は、1以上2以下、2以上5以下、5以上10以下、10以上15以下、または、15以上20以下であってもよい。ピッチ比P2/P1は、1よりも大きいことが好ましい。
【0192】
複数の真正バンプ90は、近接する1つの疑似バンプ75を基準に第3ピッチP3でソース端子26の上に配置されている。第3ピッチP3は、互いに近接する疑似バンプ75および真正バンプ90の中央部間の距離によって定義される。第3ピッチP3は、疑似バンプ75の第1ピッチP1以上であることが好ましい。少なくとも1つの真正バンプ90は、第1ピッチP1よりも大きい第3ピッチP3で配置されていることが好ましい。この形態では、全ての真正バンプ90が、第1ピッチP1よりも大きい第3ピッチP3で配置されている。
【0193】
第3ピッチP3は、ソース端子26の周縁によって取り囲まれた範囲内に真正バンプ90の全体が位置し、かつ、第1ピッチP1以上という条件を具備する限り任意の値を取る。一例として、第1ピッチP1に対する第3ピッチP3のピッチ比P3/P1は、1以上20以下であってもよい。ピッチ比P2/P1は、1以上2以下、2以上5以下、5以上10以下、10以上15以下、または、15以上20以下であってもよい。
【0194】
複数の真正バンプ90は、第2厚さT2をそれぞれ有している。第2厚さT2は、断面視において真正バンプ90のうちの最も厚い部分の厚さによって定義される。第2厚さT2は、複数のトレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。第2厚さT2は、ソース端子26の厚さよりも大きいことが好ましい。第2厚さT2は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第2厚さT2は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第2厚さT2は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0195】
第2厚さT2は、10μm150μm以下であってもよい。第2厚さT2は、10μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、または、125μm以上150μm以下であってもよい。第2厚さT2は、25μm以上100μm以下であることが好ましい。第2厚さT2は、50μm以上であることが特に好ましい。
【0196】
第2厚さT2は、疑似バンプ75の第1厚さT1以上であってもよいし、第1厚さT1未満であってもよい。第2厚さT2は、第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい。この構成によれば、厚さに関して同一の製造条件で疑似バンプ75および真正バンプ90を形成できる。
【0197】
複数の真正バンプ90は、平面視において出力領域6に重なる領域に配置されている。つまり、複数の真正バンプ90は、平面視においてメイントランジスタ11に重なる位置に配置され、平面視において制御領域8に重なる領域には配置されていない。複数の真正バンプ90の一部は、平面視においてモニタトランジスタ13に対向していてもよい。
【0198】
つまり、複数の真正バンプ90は、メイントランジスタ11用の複数のトレンチ構造35、および、モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35に対向していてもよい。むろん、複数の真正バンプ90は、モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35に対向しないようにソース端子26の上に配置されていてもよい。
【0199】
各真正バンプ90は、10個以上200個以下のトレンチ構造35に対向していてもよい。各真正バンプ90に係るトレンチ構造35の対向数は、10個以上25個以下、25個以上50個以下、50個以上75個以下、75個以上100個以下、100個以上125個以下、125個以上150個以下、150個以上175個以下、または、175個以上200個以下であってもよい。各真正バンプ90に係るトレンチ構造35の対向数は、25個以上100個以下であることが好ましい。
【0200】
以下、
図14を参照して、1つの真正バンプ90の具体的な形状が説明される。真正バンプ90は、この形態では、第2バンプ本体97および第2バンプ金属膜98を含む。第2バンプ本体97は、第1金属を含む。第1金属は、Cu系金属、Al系金属、Au系金属およびAg系金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0201】
Cu系金属は、純CuまたはCu合金を含んでいてもよい。Al系金属は、純AlまたはAl合金を含んでいてもよい。Au系金属は、純AuまたはAu合金を含んでいてもよい。Ag系金属は、純AgまたはAg合金を含んでいてもよい。第2バンプ本体97は、この形態では、純Cuを含む。第2バンプ本体97は、疑似バンプ75の第1バンプ本体77と同一の金属を含むことが好ましい。むろん、第2バンプ本体97は、第1バンプ本体77とは異なる金属を含んでいてもよい。
【0202】
第2バンプ本体97は、第2ボディ部99および第2ネック部100を含む。第2ボディ部99は、ソース端子26に接続された幅広な部分からなる。第2ボディ部99は、断面視において外方に向けて湾曲した側壁を有する略円柱状に形成されている。第2ボディ部99は、平面視において真正バンプ90の第2サイズS2を形成する第2ボディサイズSB2を有している。
【0203】
第2ボディ部99は、真正バンプ90の第2厚さT2の0.1倍以上0.9倍以下の第2ボディ厚さTB2を有していてもよい。第2ボディ厚さTB2は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第2ボディ厚さTB2は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第2ボディ厚さTB2は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0204】
第2厚さT2に対する第2ボディ厚さTB2の厚さ比T2/TB2は、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、0.7以上0.8以下、または、0.8以上0.9以下であってもよい。厚さ比T2/TB2は、0.4以上0.7以下であることが好ましい。厚さ比T2/TB2は、0.5以上であることが特に好ましい。第2ボディ厚さTB2は、疑似バンプ75の第1ボディ厚さTB1とほぼ等しくてもよい。
【0205】
第2ネック部100は、第2ボディ部99からソース端子26とは反対側に向けて第2ボディ部99よりも幅狭に突出した部分からなる。第2ネック部100は、断面視において略円柱状に形成されている。第2ネック部100は、ワイヤループ91に接続された第2上端部101を有している。第2上端部101は、第1ネック部80の第1上端部81とは異なり、上端頂部82、上端基部83および傾斜部84を有していない。
【0206】
第2ネック部100は、平面視において第2ボディサイズSB2未満の第2ネックサイズSN2を有している。第2ネックサイズSN2は、第2ボディサイズSB2(第1サイズS1)の0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。
【0207】
第2ボディサイズSB2に対する第2ネックサイズSN2のサイズ比SN2/SB2は、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、0.7以上0.8以下、または、0.8以上0.9以下であってもよい。サイズ比SN2/SB2は、0.5以上0.7以下であることが好ましい。サイズ比SN2/SB2は、0.5よりも大きいことが特に好ましい。第2ネックサイズSN2は、疑似バンプ75の第1ネックサイズSN1とほぼ等しくてもよい。
【0208】
第2バンプ金属膜98は、第2バンプ本体97の第1金属とは異なる第2金属を含み、第2バンプ本体97の外面の少なくとも一部を被覆している。第2バンプ金属膜98は、ワイヤループ91の外面の少なくとも一部およびワイヤテール92の外面の少なくとも一部も被覆している。
【0209】
図14では、第2バンプ金属膜98が第2バンプ本体97の外面全域を被覆している形態が示されているが、第2バンプ金属膜98は必ずしもこのような形態を有している必要はない。また、複数の真正バンプ90の間における第2バンプ金属膜98の形態は不定であり、一定の形態に定まらない。
【0210】
たとえば、第2バンプ金属膜98は、第2バンプ本体97(第1金属)を部分的に露出させるように第2バンプ本体97の外面の少なくとも一部を被覆していればよく、第2バンプ金属膜98の一部は第2バンプ本体97の内部に位置していてもよい。
【0211】
たとえば、第2バンプ金属膜98の一部は、第2バンプ本体97の内部に溶け込んでいてもよい。たとえば、第2バンプ本体97に対する第2バンプ金属膜98の被覆面積は、第2バンプ金属膜98に対する第2バンプ本体97の露出面積未満であってもよい。むろん、第2バンプ本体97に対する第2バンプ金属膜98の被覆面積は、第2バンプ金属膜98に対する第2バンプ本体97の露出面積以上であってもよい。
【0212】
第2バンプ金属膜98は、めっき膜からなることが好ましい。第2バンプ金属膜98は、Niめっき膜、Pdめっき膜およびAuめっき膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。たとえば、第2バンプ金属膜98は、第2バンプ本体97からこの順に積層されたNiめっき膜、Pdめっき膜およびAuめっき膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0213】
たとえば、第2バンプ金属膜98は、第2バンプ本体97からこの順に積層されたNiめっき膜およびPdめっき膜を含む積層構造を有していてもよい。たとえば、第2バンプ金属膜98は、Niめっき膜、Pdめっき膜またはAuめっき膜からなる単層構造を有していてもよい。第2バンプ金属膜98は、疑似バンプ75の第1バンプ金属膜78と同様の構成を有していることが好ましい。
【0214】
図13および
図14を参照して、半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第1薄膜部111、複数の第2薄膜部112および厚膜部113を含む。複数の第1薄膜部111は、複数の疑似バンプ75の接合に伴ってソース端子26の一部が沈下した部分からそれぞれなり、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の接合部にそれぞれ形成されている。
【0215】
複数の第2薄膜部112は、複数の真正バンプ90の接合に伴ってソース端子26の一部が沈下した部分からそれぞれなり、ソース端子26における複数の真正バンプ90の接合部にそれぞれ形成されている。厚膜部113は、複数の疑似バンプ75および複数の真正バンプ90の接合に起因する沈下を免れた部分からなり、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の接合部および複数の真正バンプ90の接合部外の領域に形成されている。
【0216】
厚膜部113の最大厚さは、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さよりも大きく、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さの2.5倍以下であってもよい。最小厚さに対する最大厚さの厚さ比は、1倍よりも大きく1.25以下、1.25以上1.5以下、1.5以上1.75以下、1.75以上2以下、2以上2.25以下、または、2.25以上2.5以下であってもよい。
【0217】
半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第1隆起部114を含む。複数の第1隆起部114は、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の接合縁部に形成され、ソース端子26の一部が厚膜部113よりもさらに厚化した部分からなる。各第1隆起部114は、平面視において各疑似バンプ75の縁部(接合縁部)に沿って環状に延びている。各第1隆起部114の少なくとも一部は、厚さ方向に各疑似バンプ75の周縁部に対向している。
【0218】
ソース端子26における各疑似バンプ75の縁部に沿う部分は、厚膜部113および第1隆起部114によって第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されている。また、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、厚膜部113および複数の第1隆起部114によって複数の第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されている。
【0219】
ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。つまり、複数の疑似バンプ75の間の領域において、厚膜部113および複数の第1隆起部114は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。
【0220】
各第1隆起部114は、厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向している。各第1隆起部114は、この形態では、厚さ方向に複数のトレンチ構造35に対向するように形成されている。厚膜部113を基準とした少なくとも1つの第1隆起部114の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。少なくとも1つの第1隆起部114の隆起高さは、第1半導体領域31の厚さよりも大きくてもよい。むろん、少なくとも1つの第1隆起部114の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1以下であってもよい。
【0221】
厚膜部113および第1隆起部114の第1総厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。第1総厚さは、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さの1倍よりも大きく、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さの10倍以下であってもよい。最小厚さに対する第1総厚さの厚さ比は、1よりも大きく2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。厚さ比は、2以上6以下であることが好ましい。
【0222】
一方の疑似バンプ75側に形成された第1隆起部114は、他方の疑似バンプ75側に形成された第1隆起部114と一体化していてもよい。つまり、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、1つと見なせる第1隆起部114によって複数の第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されていてもよい。1つと見なせる第1隆起部114は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。
【0223】
半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第2隆起部115を含む。複数の第2隆起部115は、ソース端子26における複数の真正バンプ90の接合縁部に形成され、ソース端子26の一部が厚膜部113よりもさらに厚化した部分からなる。各第2隆起部115は、平面視において各真正バンプ90の縁部(接合縁部)に沿って環状に延びている。各第2隆起部115の少なくとも一部は、厚さ方向に各真正バンプ90の周縁部に対向している。
【0224】
ソース端子26における各真正バンプ90の縁部に沿う部分は、厚膜部113および第2隆起部115によって第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されている。また、ソース端子26における複数の真正バンプ90の間に位置する部分は、厚膜部113および複数の第2隆起部115によって第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されている。また、ソース端子26における疑似バンプ75および真正バンプ90の間に位置する部分は、厚膜部113および複数の第2隆起部115によって厚化されている。各第2隆起部115の少なくとも一部は、厚さ方向に各真正バンプ90の周縁部に対向している。
【0225】
各第2隆起部115は、厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向している。各第2隆起部115は、この形態では、厚さ方向に複数のトレンチ構造35に対向するように形成されている。厚膜部113を基準とした少なくとも1つの第2隆起部115の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。少なくとも1つの第2隆起部115の隆起高さは、第1半導体領域31の厚さよりも大きくてもよい。むろん、少なくとも1つの第2隆起部115の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1以下であってもよい。
【0226】
厚膜部113および第2隆起部115の第2総厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。第2総厚さは、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さの1倍よりも大きく、第1薄膜部111(第2薄膜部112)の最小厚さの10倍以下であってもよい。最小厚さに対する第2総厚さの厚さ比は、1よりも大きく2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。厚さ比は、2以上6以下であることが好ましい。
【0227】
半導体装置61は、パッケージ本体62内に配置された少なくとも1つ(この形態では複数)の第2ボンディングワイヤ119を含む。複数の第2ボンディングワイヤ119は、第1~第4制御端子27~30を第1~第8リード端子71A~71Hから選択される少なくとも1つの接続対象(この形態では第5~第8リード端子71E~71H)に電気的に接続させている。
【0228】
第1~第4制御端子27~30に対する第2ボンディングワイヤ119の個数は、1個以上であればよく、特定の個数に制限されない。この形態では、1個の第2ボンディングワイヤ119が第1制御端子27および第5リード端子71Eに接続され、1個の第2ボンディングワイヤ119が第2制御端子28および第6リード端子71Fに接続され、1個の第2ボンディングワイヤ119が第3制御端子29および第7リード端子71Gに接続され、1個の第2ボンディングワイヤ119が第4制御端子30および第8リード端子71Hに接続されている。
【0229】
複数の第2ボンディングワイヤ119は、第1ボンディングワイヤ89と同様、真正バンプ90、ワイヤループ91およびワイヤテール92をそれぞれ含む。また、複数の第2ボンディングワイヤ119は、第1ボンディングワイヤ89と同様、真正バンプ90において第2バンプ本体97および第2バンプ金属膜98を含む。
【0230】
真正バンプ90が第1~第4制御端子27~30に接合され、ワイヤテール92が第5~第8リード端子71E~71Hに接合されることが好ましい。むろん、真正バンプ90が第5~第8リード端子71E~71Hに接合され、ワイヤテール92が第1~第4制御端子27~30に接合されてもよい。第2ボンディングワイヤ119の他の説明については、第1ボンディングワイヤ89の説明が適用されるものとして、省略される。
【0231】
以上、半導体装置61は、基板2、出力領域6(デバイス領域)、ソース端子26(端子)、複数の疑似バンプ75および少なくとも1つの真正バンプ90を含む。出力領域6は、基板2に設けられている。ソース端子26は、平面視において出力領域6を被覆している。複数の疑似バンプ75は、ワイヤから開放された状態でソース端子26の上に密に配置されている。少なくとも1つの真正バンプ90は、ワイヤに接続された状態でソース端子26の上に複数の疑似バンプ75よりも疎に配置されている。
【0232】
つまり、複数の疑似バンプ75は単位平面積当たりにおいて第1占有面積でソース端子26の上に配置され、少なくとも1個の真正バンプ90は単位平面積当たりにおいて第1占有面積未満の第2占有面積でソース端子26の上に配置されている。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を複数の疑似バンプ75によって吸収できる。これにより、出力領域6の温度上昇を抑制し、温度上昇に起因する出力領域6の電気的特性の低下を抑制できる。よって、電気的特性を向上できる半導体装置61を提供できる。
【0233】
ソース端子26に対する複数の疑似バンプ75の配置箇所は、半導体チップ1Aの温度分布に基づいて設定されてもよい。たとえば、サーモグラフィやシミュレーションツール等を用いて出力領域6の高温領域および低温領域を解析し、ソース端子26のうち出力領域6の高温領域を被覆する部分に複数の疑似バンプ75が密に配置され、ソース端子26のうち出力領域6の低温領域を被覆する部分に複数の疑似バンプ75が疎に配置されてもよい。少なくとも1つの真正バンプ90は、複数の疑似バンプ75が疎に配置された部分に配置される。
【0234】
たとえば、出力領域6の内方部は、出力領域6の周縁部よりも温度が高まりやすい。したがって、複数の疑似バンプ75は、ソース端子26の内方部において密になり、ソース端子26の周縁部において疎になるレイアウトでソース端子26に接合されてもよい。複数の疑似バンプ75が「疎」である形態は、疑似バンプ75が存在しない形態も含む。
【0235】
デバイス領域で生じる熱を吸収する他の手段として、ウエハ段階においてソース端子26の上に、または、ソース端子26として比較的厚いめっき端子膜(たとえば10μm以上25μm以下のCuめっき膜)を成膜することが考えられる。
【0236】
この場合、めっき端子膜の成膜に必要な設備(成膜装置やめっき液等)に起因してコストが嵩むだけでなく、めっき端子膜に起因してウエハに反りが生じる。ウエハの電気的特性や物理的特性は、ウエハの反りによって低下する。たとえば、ウエハの反りに起因してウエハにクラックや結晶欠陥が生じた場合、デバイス領域の電気的特性が変動する。さらに、ウエハの反りは、ダイシング工程等の障害にもなる。
【0237】
これに対して、半導体装置61は、ダイシング工程を経てウエハから個片化された後の半導体チップ1Aのパッケージング工程において、複数の疑似バンプ75を半導体チップ1Aに接合させることができる。したがって、めっき端子膜の成膜に必要な設備を要しない。また、ウエハ段階におけるウエハの反りを抑制できるため、クラックや結晶欠陥の抑制された半導体チップ1Aを取得できる。さらに、真正バンプ90の形成工程に用いられる比較的安価なワイヤボンディング工程を利用して比較的厚い疑似バンプ75を形成できる。よって、コストを抑えながら電気的特性を向上できる。
【0238】
むろん、疑似バンプ75は、端子(ソース端子26)の上に形成されためっき端子膜または端子(ソース端子26)として形成されためっき端子膜に接合されてもよい。この場合、めっき端子膜による熱吸収効果に複数の疑似バンプ75による熱吸収効果を付加できる。ただし、めっき端子膜によって吸収可能な熱量が既に飽和している場合には、複数の疑似バンプ75をめっき端子膜に接合する利益は少ない点に留意すべきである。
【0239】
複数の疑似バンプ75は、ソース端子26よりも厚いことが好ましい。この構成によれば、比較的厚い複数の疑似バンプ75を形成することによってソース端子26を薄化できる。よって、比較的薄いソース端子26を介して複数の疑似バンプ75に熱を伝達できると同時に、ソース端子26の形成コストを抑えることができる。
【0240】
たとえば、比較的厚い複数の疑似バンプ75を採用することにより、Cu系金属膜またはAl系金属膜を含み、1μm以上10μm以下の厚さを有するソース端子26を採用できる。このようなソース端子26は、スパッタ法によって形成できるため、めっき膜以外の電極膜によって構成され得る。
【0241】
複数の真正バンプ90が、ソース端子26の上に疎に配置されていることが好ましい。つまり、複数の真正バンプ90に対しては、密に配置されるというデザインルールが課されないことが好ましい。この構成によれば、複数の真正バンプ90をソース端子26の適切な位置に接続させることができる。複数の疑似バンプ75は、第1ピッチP1でソース端子26の上に配置されていてもよい。この場合、複数の真正バンプ90は、第1ピッチP1以上の第2ピッチP2でソース端子26の上に配置されていることが好ましい。
【0242】
少なくとも3個の疑似バンプ75が、ソース端子26の上に密に配置されていることが好ましい。少なくとも3個の疑似バンプ75は、平面視で二等辺三角形の頂点に位置するレイアウトで配置されていることが好ましい。この場合、二等辺三角形は正三角形であること特に好ましい。これらの構成によれば、複数の疑似バンプ75を適切に密に配置できる。また、複数の疑似バンプ75を含む疑似バンプ群76によって、出力領域6で生じた熱を吸収できる。
【0243】
少なくとも7個の疑似バンプ75が、ソース端子26の上に密に配置されていることが好ましい。この場合、6個の疑似バンプ75が、1個の疑似バンプ75の周囲に配置されていることが好ましい。6個の疑似バンプ75は、平面視において1個の疑似バンプ75の中央部を中心とする同心円上に配置されていることが好ましい。6個の疑似バンプ75が平面視で六角形の頂点に位置するレイアウトで配置され、1個の疑似バンプ75が平面視で六角形の中心に位置するレイアウトで配置されていることが好ましい。
【0244】
つまり、複数の疑似バンプ75は、平面視において六方最密配列(つまりハニカム配列)になるレイアウトでソース端子26に接合されていることが好ましい。この場合、六角形は正六角形であること特に好ましい。これらの構成によれば、複数の疑似バンプ75を適切に密に配置できる。また、複数の疑似バンプ75を含む疑似バンプ群76によって、出力領域6で生じた熱を吸収できる。
【0245】
半導体装置61は、ソース端子26における疑似バンプ75の接合部に形成された第1薄膜部111を含むことが好ましい。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を、第1薄膜部111を介して疑似バンプ75に伝達させることができる。半導体装置61は、ソース端子26における疑似バンプ75の接合部外の領域に形成された厚膜部113を含むことが好ましい。この構成によれば、疑似バンプ75の接合部外の領域において、出力領域6で生じた熱を厚膜部113によって吸収できる。厚膜部113によって吸収された熱は、疑似バンプ75に伝達される。
【0246】
半導体装置61は、ソース端子26における疑似バンプ75の接合縁部においてソース端子26の一部が厚膜部113よりも厚化した第1隆起部114を含むことが好ましい。つまり、ソース端子26における疑似バンプ75の縁部に沿う部分は、厚膜部113および第1隆起部114によって第1薄膜部111よりも厚化されていることが好ましい。
【0247】
また、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、厚膜部113および複数の第1隆起部114によって複数の第1薄膜部111よりも厚化されている。これらの構成によれば、疑似バンプ75の接合部外の領域において、出力領域6で生じた熱を厚膜部113および第1隆起部114によって吸収できる。
【0248】
疑似バンプ75は、第1金属を含む第1バンプ本体77、および、第1金属とは異なる第2金属を含み、第1バンプ本体77の外面の少なくとも一部を被覆する第1バンプ金属膜78を含んでいてもよい。疑似バンプ75は、ソース端子26に接続された幅広な第1ボディ部79、および、第1ボディ部79からソース端子26とは反対側に向けて第1ボディ部79よりも幅狭に突出した第1ネック部80を含んでいてもよい。
【0249】
半導体装置61は、出力領域6の第1主面3に形成された複数のトレンチ構造35を含んでいてもよい。この場合、疑似バンプ75は、平面視において複数のトレンチ構造35に重なっていることが好ましい。この構成によれば、複数のトレンチ構造35および/または複数のトレンチ構造35の近傍で生じた熱を直上の疑似バンプ75によって吸収できる。
【0250】
疑似バンプ75は、各トレンチ構造35の深さよりも大きい厚さを有していることが好ましい。疑似バンプ75の接合縁部の近傍に第1隆起部114が形成される場合、第1隆起部114は厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向していることが好ましい。厚膜部113を基準とした第1隆起部114の隆起高さは、トレンチ構造35の深さよりも大きいことが好ましい。
【0251】
半導体装置61は、出力領域6において複数のトレンチ構造35を含む絶縁ゲート型のメイントランジスタ11を有していることが好ましい。この構成によれば、メイントランジスタ11のアクティブクランプ動作時において誘導性負荷Lの逆起電力に起因する温度上昇を複数の疑似バンプ75によって抑制できる。これにより、アクティブクランプ耐量を向上できる。
【0252】
メイントランジスタ11は、n個のゲート信号が個別入力されるn個の第1ゲートFGを含むn系統のゲート分割トランジスタであることが好ましい。この構成によれば、メイントランジスタ11は、全ての第1ゲートFGがオン状態になるフルオン状態、一部の第1ゲートFGがオン状態(一部のゲートがオフ状態)になるパートオン状態、および、全ての第1ゲートFGがオフ状態になるフルオフ状態の間で切り替わるように制御される。メイントランジスタ11において、パートオン状態のオン抵抗値はフルオン状態のオン抵抗値よりも高い。
【0253】
n系統のメイントランジスタ11によれば、アクティブクランプ動作時において、メイントランジスタ11の一部の第1ゲートFGをオン状態に制御し、メイントランジスタ11の一部の第1ゲートFGをオフ状態に制御することによって、メイントランジスタ11の出力電圧をクランプさせることができる。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力からメイントランジスタ11を保護でき、アクティブクランプ耐量を向上できる。
【0254】
半導体装置61は、第1主面3に設けられた制御領域8を含むことが好ましい。半導体装置61は、複数のトレンチ構造35に付与されるゲート信号を生成するように制御領域8に形成された制御回路17を含むことが好ましい。この場合、ソース端子26は、平面視で制御領域8を露出させるように出力領域6を被覆していることが好ましい。
【0255】
半導体装置61は、出力領域6に隣り合うように第1主面3に設けられた第1検温領域9、および、制御領域8に隣り合うように第1主面3に設けられた第2検温領域10を含むことが好ましい。半導体装置61は、出力領域6の温度を検出するように第1検温領域9に形成された第1感温ダイオード15(第1温度センサ)、および、制御領域8の温度を検出するように第2検温領域10に形成された第2感温ダイオード16(第2温度センサ)を含むことが好ましい。
【0256】
この場合、制御回路17は、第1感温ダイオード15からの第1検温信号ST1(電気信号)および第2感温ダイオード16からの第2検温信号ST2(電気信号)に基づいてゲート信号を生成するように構成されていてもよい。この構成によれば、複数の疑似バンプ75によって出力領域6の温度上昇を抑制できると同時に、制御回路17の制御を利用して出力領域6の温度上昇を抑制できる。
【0257】
図15は、第2レイアウト例に係る疑似バンプ75を示す平面図である。
図16は、
図15に示すXVI-XVI線に沿う断面図である。
図15および
図16では、複数の疑似バンプ75が互いに当接するように配置されたレイアウトが第2レイアウト例として示されている。
【0258】
各疑似バンプ75は、第1ネック部80の周縁部において第1ネック部80の中央部に向けて窪んだ少なくとも1つの抉れ部120を有していてもよい。抉れ部120は、キャピラリを用いて複数の疑似バンプ75を狭ピッチ配列する場合において、キャピラリの先端部が配置済みの疑似バンプ75の第1ネック部80に接触することによって形成される。
【0259】
抉れ部120は、第1ネック部80のうち隣接する疑似バンプ75に対向する部分に形成される。したがって、2つの疑似バンプ75に隣接する1つの疑似バンプ75は、第1ネック部80において2つの抉れ部120を含む。また、6つの疑似バンプ75によって取り囲まれた1つの疑似バンプ75は、第1ネック部80において6つの抉れ部120を含む。第1上端部81の一部(上端頂部82、上端基部83および傾斜部84)は、抉れ部120によって消失していてもよい。
【0260】
ソース端子26における各疑似バンプ75の接合縁部には、前述の第1隆起部114が形成されている。一方の疑似バンプ75側に形成された第1隆起部114は、他方の疑似バンプ75側に形成された第1隆起部114と一体化していてもよい。つまり、ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、1つと見なせる第1隆起部114によって複数の第1薄膜部111(第2薄膜部112)よりも厚化されていてもよい。
【0261】
ソース端子26における複数の疑似バンプ75の間に位置する部分は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。つまり、複数の疑似バンプ75の間の領域において、1つと見なせる第1隆起部114は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。
【0262】
図17は、半導体装置61の内部構造を第3レイアウト例に係る疑似バンプ75と共に示す平面図である。
図18は、第3レイアウト例に係る疑似バンプ75を示す平面図である。
図19は、
図18に示すXIX-XIX線に沿う断面図である。
図20は、
図18に示すXX-XX線に沿う断面図である。
【0263】
図17~
図20を参照して、第3レイアウト例に係る疑似バンプ75は、平面視において比較的大きい第1サイズS11を有し、ワイヤから切り離された状態でソース端子26の上に密に配置された少なくとも1つ(この形態では複数)の大型疑似バンプ75aを含む。第1サイズS11は、平面視において大型疑似バンプ75aのうちの最も幅広の部分の長さによって定義される。
【0264】
ここに言う「密」とは、ソース端子26に対する1つの大型疑似バンプ75aの占有面積がソース端子26に対する他の1つの構造物(後述する1つの小型疑似バンプ75bや1つの真正バンプ90等)と比較して大きいことを意味する。大型疑似バンプ75aは、単位平面積当たりにおいて第1占有面積でソース端子26の上に配置されている。
【0265】
第1サイズS11は、100μm以上1000μm以下であってもよい。第1サイズS11は、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、300μm以上400μm以下、400μm以上500μm以下、500μm以上600μm以下、600μm以上700μm以下、700μm以上800μm以下、800μm以上900μm以下、または、900μm以上1000μm以下であってもよい。
【0266】
複数の大型疑似バンプ75aは、第1厚さT11をそれぞれ有している。第1厚さT11は、断面視において大型疑似バンプ75aのうちの最も厚い部分の厚さによって定義される。第1厚さT11は、複数のトレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。第1厚さT11は、ソース端子26の厚さよりも大きいことが好ましい。第1厚さT11は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第1厚さT11は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第1厚さT11は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0267】
第1厚さT11は、50μm500μm以下であってもよい。第1厚さT11は、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上350μm以下、350μm以上400μm以下、400μm以上450μm以下、または、450μm以上500μm以下であってもよい。
【0268】
複数の大型疑似バンプ75aの配置箇所は任意である。複数の大型疑似バンプ75aは、この形態では、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。複数の大型疑似バンプ75aは、ソース端子26のうち出力領域6の高温領域を被覆する部分の上に配置されていることが好ましい。
【0269】
複数の大型疑似バンプ75aは、ソース端子26の内方部(たとえば中央部)において密になり、ソース端子26の周縁部において疎になるレイアウトでソース端子26の上に配置されていることが好ましい。大型疑似バンプ75aが「疎」である形態は、大型疑似バンプ75aが存在しない形態を含む。
【0270】
複数の大型疑似バンプ75aは、平面視においてメイントランジスタ11に重なる位置に配置され、平面視において制御領域8に重なる領域には配置されていない。少なくとも1つの大型疑似バンプ75aの一部は、平面視においてモニタトランジスタ13に対向していてもよい。つまり、複数の大型疑似バンプ75aは、メイントランジスタ11の複数のトレンチ構造35、および、モニタトランジスタ13用の複数のトレンチ構造35に対向していてもよい。
【0271】
各大型疑似バンプ75aは、50個以上200個以下のトレンチ構造35に対向していてもよい。各大型疑似バンプ75aに係るトレンチ構造35の対向数は、50個以上75個以下、75個以上100個以下、100個以上125個以下、125個以上150個以下、150個以上175個以下、または、175個以上200個以下であってもよい。
【0272】
第3レイアウト例に係る疑似バンプ75は、平面視において大型疑似バンプ75aの第1サイズS11よりも小さい第2サイズS12を有し、ワイヤから切り離された状態で大型疑似バンプ75aの周囲に配置された少なくとも1つの小型疑似バンプ75bを含む。第2サイズS12は、平面視において小型疑似バンプ75bのうちの最も幅広の部分の長さによって定義される。小型疑似バンプ75bの有無は任意であり、小型疑似バンプ75bの存在しない構造が採用されてもよい。
【0273】
第2サイズS12は、第1サイズS11の0.05倍以上0.8倍以下であってもよい。第1サイズS11に対する第2サイズS12のサイズ比は、0.05以上0.075以下、0.075以上0.1以下、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、または、0.7以上0.8以下であってもよい。サイズ比は、0.5未満であってもよい。つまり、小型疑似バンプ75bの平面積は、大型疑似バンプ75aの平面積の1/2未満であってもよい。
【0274】
第2サイズS12は、50μm以上250μm以下であってもよい。第2サイズS12は、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、125μm以上150μm以下、150μm以上175μm以下、175μm以上200μm以下、200μm以上225μm以下、または、225μm以上250μm以下であってもよい。第2サイズS12は、75μm以上200μm以下であることが好ましい。第2サイズS12は、100μm以上180μm以下であることが特に好ましい。
【0275】
複数の小型疑似バンプ75bは、第2厚さT12をそれぞれ有している。第2厚さT12は、断面視において小型疑似バンプ75bのうちの最も厚い部分の厚さによって定義される。第2厚さT12は、大型疑似バンプ75aの第1厚さT11よりも小さい。第2厚さT12は、複数のトレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。第2厚さT12は、ソース端子26の厚さよりも大きいことが好ましい。第2厚さT12は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第2厚さT12は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第2厚さT12は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0276】
第2厚さT12は、10μm150μm以下であってもよい。第2厚さT12は、10μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、または、125μm以上150μm以下であってもよい。
【0277】
小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aと併設されることによって、ソース端子26に対する疑似バンプ75の占有面積を高める。少なくとも1つの小型疑似バンプ75bは、各大型疑似バンプ75aの周囲にそれぞれ配置され、対応する1つの大型疑似バンプ75aと共に1つの疑似バンプ群76を構成していることが好ましい。この形態では、複数の小型疑似バンプ75bが、各大型疑似バンプ75aの周囲にそれぞれ配置され、対応する1つの大型疑似バンプ75aと共に1つの疑似バンプ群76を構成している。
【0278】
以下、1つの疑似バンプ群76内の構成が説明される。複数の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aの周囲に配置された2個の小型疑似バンプ75bを含んでいてもよい。この場合、2個の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aの中央部を中心とする同心円上に配置されていることが好ましい。
【0279】
2個の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aを挟んで第1方向Xまたは第2方向Yに対向していてもよい。一方の小型疑似バンプ75bは大型疑似バンプ75aから第1方向Xにずれて配置され、他方の小型疑似バンプ75bは大型疑似バンプ75aから第2方向Yにずれて配置されていてもよい。
【0280】
一方の小型疑似バンプ75bは、他方の小型疑似バンプ75bから大型疑似バンプ75aの周方向に沿って所定角度(絶対値)だけずれた位置に配置されていてもよい。所定角度は、大型疑似バンプ75aの中央部および一方の小型疑似バンプ75bの中央部を結ぶラインが、大型疑似バンプ75aの中央部および他方の小型疑似バンプ75bの中央部を結ぶラインとの間で成す角度である。
【0281】
所定角度は、10度以上180度以下であってもよい。所定角度は、10度以上30度以下、30度以上45度以下、45度以上60度以下、60度以上75度以下、75度以上90度以下、90度以上105度以下、105度以上120度以下、120度以上135度以下、135度以上150度以下、150度以上165度以下、または、165度以上180度以下であってもよい。
【0282】
複数の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aの周囲に配置されたx(x≧3)個の小型疑似バンプ75bを含んでいてもよい。x個の小型疑似バンプ75bは、平面視において大型疑似バンプ75aの周方向に沿って大型疑似バンプ75aの周囲に等間隔に配列されていることが好ましい。x個の小型疑似バンプ75bは、平面視において大型疑似バンプ75aの中央部を中心とする同心円上に配置されていることが好ましい。
【0283】
x個の小型疑似バンプ75bが正x角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正x角形の中心に配置されていることが特に好ましい。たとえば、x=3の場合、3個の小型疑似バンプ75bが正三角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正三角形の中心に配置される。たとえば、x=4の場合、4個の小型疑似バンプ75bが正四角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正四角形の中心に配置される。
【0284】
たとえば、x=5の場合、5個の小型疑似バンプ75bが正五角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正五角形の中心に配置される。たとえば、x=6の場合、6個の小型疑似バンプ75bが正六角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正六角形の中心に配置される。
【0285】
xの値を小さくすると、ワイヤボンディング工程の工数を削減できるが、大型疑似バンプ75aの周囲に形成される空き領域の面積が大きくなる。一方、xの値を大きくすると、工数が増加すると同時に、小型疑似バンプ75bが小径化し、1つ当たりの小型疑似バンプ75bの吸熱効果が低下する。
【0286】
たとえば、40個の小径化された小型疑似バンプ75bを同心円上に配列した場合の吸熱量は、前記同心円上に20個の大径化された小型疑似バンプ75bを配列した場合の吸熱量とほとんど変わらない。したがって、xの値が4以上20以下に設定された上で、小型疑似バンプ75bの第2サイズS12が調節されることが好ましい。
【0287】
この構成によれば、工数負担を抑制しながら、少なくとも4方向から大型疑似バンプ75aを取り囲む複数の小型疑似バンプ75bを配置できる。xの値は、6以上12以下に設定されること特に好ましい。この形態では、x=8であり、8個の小型疑似バンプ75bが正八角形の頂点にそれぞれ配置され、大型疑似バンプ75aが正八角形の中心に配置されている。
【0288】
複数の小型疑似バンプ75bは、1つの大型疑似バンプ75aを基準に第1ピッチP11でソース端子26の上に配置されている。第1ピッチP11は、大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの中央部間の距離によって定義される。複数の小型疑似バンプ75bは、第1ピッチP11で大型疑似バンプ75aに接触するように配列されていてもよいし、第1ピッチP11で大型疑似バンプ75aから間隔を空けて配列されていてもよい。
【0289】
複数の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aから間隔を空けて配列されていることが好ましい。複数の小型疑似バンプ75bが大型疑似バンプ75aに接触している場合、大型疑似バンプ75aの第1ボディ部79および第1ネック部80のいずれか一方または双方に少なくとも1つの抉れ部120が形成されていてもよい(
図15および
図16も併せて参照)。むろん、抉れ部120を有さない形態が採用されてもよい。
【0290】
小型疑似バンプ75bおよび大型疑似バンプ75aの間の第1間隔I1は、0μm以上100μm以下であってもよい。第1間隔I1は、0μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、40μm以上50μm以下、50μm以上60μm以下、60μm以上70μm以下、70μm以上80μm以下、80μm以上90μm以下、または、90μm以上100μm以下であってもよい。第1間隔I1は、10μm以上であることが好ましい。第1間隔I1は、30μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
【0291】
複数の小型疑似バンプ75bは、平面視において第2ピッチP12で大型疑似バンプ75aの周囲に配列されている。第2ピッチP12は、複数の小型疑似バンプ75bの中央部間の距離によって定義される。複数の小型疑似バンプ75bは、第2ピッチP12で互いに接触するように配列されていてもよいし、第2ピッチP12で互いに間隔を空けて配列されていてもよい。
【0292】
第2ピッチP12は、第1ピッチP11以上であってもよい。第2ピッチP12は、第1ピッチP11未満であることが好ましい。複数の小型疑似バンプ75bの間の第2間隔I2は、0μm以上であればよく、特定の数値に制限されない。複数の小型疑似バンプ75bは、第2ピッチP12(第2間隔I2)で等間隔に配列されていることが好ましい。第2ピッチP12(第2間隔I2)は、小型疑似バンプ75bの個数、配置箇所、第2サイズS12等によって調整される。
【0293】
疑似バンプ75は、疑似バンプ群76に属さない1つまたは複数の小型疑似バンプ75bを含んでいてもよい。疑似バンプ群76に属さない小型疑似バンプ75bは、ソース端子26の任意の空き領域に配置されていてもよい。疑似バンプ群76に属さない小型疑似バンプ75bは、たとえば、隣り合う複数の疑似バンプ群76の間の領域に配置されていてもよい。
【0294】
複数の大型疑似バンプ75aは、第1レイアウト例の場合と同様、第1バンプ本体77および第1バンプ金属膜78を含む。第1バンプ本体77は、第1ボディ部79および第1ネック部80を含む。複数の小型疑似バンプ75bは、第1レイアウト例の場合と同様、第1バンプ本体77および第1バンプ金属膜78を含む。第1バンプ本体77は、第1ボディ部79および第1ネック部80を含む。これらの説明については、前述の説明が適用されるものとして、省略される。
【0295】
前述の各真正バンプ90は、ソース端子26の上に1つの大型疑似バンプ75aよりも疎に配置されている。ここに言う「疎」とは、ソース端子26に対する1つの真正バンプ90の占有面積が、ソース端子26に対する1つの大型疑似バンプ75aの占有面積よりも小さいことを意味する。つまり、各真正バンプ90は、単位平面積当たりにおいて1つの大型疑似バンプ75aの第1占有面積未満の第2占有面積でソース端子26の上に配置されている。
【0296】
また、複数の真正バンプ90は、疑似バンプ群76よりも疎に配置されている。つまり、各真正バンプ90は、単位平面積当たりにおいて大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの占有面積未満の占有面積でソース端子26の上に配置されている。1つの大型疑似バンプ75aの占有面積と互いに隣り合う2つの真正バンプ90の占有面積とを比較した時、2つの真正バンプ90の占有面積は1つの大型疑似バンプ75aの占有面積未満であってもよい。
【0297】
複数の真正バンプ90は、平面視において大型疑似バンプ75aの第1サイズS11よりも小さい第3サイズS13をそれぞれ有している。第3サイズS13は、平面視において真正バンプ90のうちの最も幅広の部分の長さによって定義される。第3サイズS13は、第1サイズS11の0.05倍以上0.8倍以下であってもよい。
【0298】
第1サイズS11に対する第3サイズS13のサイズ比は、0.05以上0.075以下、0.075以上0.1以下、0.1以上0.2以下、0.2以上0.3以下、0.3以上0.4以下、0.3以上0.4以下、0.4以上0.5以下、0.5以上0.6以下、0.6以上0.7以下、または、0.7以上0.8以下であってもよい。サイズ比は、0.5未満であってもよい。つまり、真正バンプ90の平面積は、大型疑似バンプ75aの平面積の1/2未満であってもよい。
【0299】
第3サイズS13は、50μm以上250μm以下であってもよい。第3サイズS13は、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、125μm以上150μm以下、150μm以上175μm以下、175μm以上200μm以下、200μm以上225μm以下、または、225μm以上250μm以下であってもよい。
【0300】
第3サイズS13は、75μm以上200μm以下であることが好ましい。第3サイズS13は、100μm以上180μm以下であることが特に好ましい。第3サイズS13は、小型疑似バンプ75bの第2サイズS12以上であってもよいし、第2サイズS12未満であってもよい。第3サイズS13は、第2サイズS12とほぼ等しいことが好ましい。この構成によれば、サイズに関して同一の製造条件で小型疑似バンプ75bおよび真正バンプ90を形成できる。
【0301】
複数の真正バンプ90は、第3厚さT13をそれぞれ有している。第3厚さT13は、断面視において真正バンプ90のうちの最も厚い部分の厚さによって定義される。第3厚さT13は、大型疑似バンプ75aの第1厚さT11よりも小さい。第3厚さT13は、複数のトレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。第3厚さT13は、ソース端子26の厚さよりも大きいことが好ましい。第3厚さT13は、第1半導体領域31の厚さよりも大きいことが好ましい。第3厚さT13は、基板2の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第3厚さT13は、基板2の厚さよりも小さくてもよい。
【0302】
第3厚さT13は、10μm150μm以下であってもよい。第3厚さT13は、10μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、75μm以上100μm以下、100μm以上125μm以下、または、125μm以上150μm以下であってもよい。
【0303】
第3厚さT13は、小型疑似バンプ75bの第2厚さT12以上であってもよいし、第2厚さT12未満であってもよい。第3厚さT13は、第2厚さT12とほぼ等しいことが好ましい。この構成によれば、厚さに関して同一の製造条件で小型疑似バンプ75bおよび真正バンプ90を形成できる。
【0304】
複数の真正バンプ90は、平面視において任意の第3ピッチP13でソース端子26の上に配置されている。第3ピッチP13は、互いに隣り合う2つの真正バンプ90の中央部間の距離によって定義される。第3ピッチP13は、ソース端子26の周縁によって取り囲まれた範囲内に真正バンプ90の全体が位置する限り任意の値を取る。第3ピッチP13は、第1ピッチP11以上であってもよいし、第1ピッチP11未満であってもよい。第3ピッチP13は、第2ピッチP12以上であってもよいし、第2ピッチP12未満であってもよい。
【0305】
最も近接する1つの真正バンプ90および1つの小型疑似バンプ75bの間の第3間隔I3は、大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの間の第1間隔I1以上であることが好ましい。第3間隔I3は、第1間隔I1よりも大きいことが特に好ましい。一例として、第1間隔I1に対する第3間隔I3の比は、1以上20以下であってもよい。比は、1以上2以下、2以上5以下、5以上10以下、10以上15以下、または、15以上20以下であってもよい。
【0306】
複数の真正バンプ90は、前述の第2バンプ本体97および第2バンプ金属膜98を含む。第2バンプ本体97は、前述の第2ボディ部99および第2ネック部100を含む。これらの説明については、前述の説明が適用されるものとして、省略される。
【0307】
半導体装置61は、この形態では、ソース端子26に形成された複数の第1薄膜部121、複数の第2薄膜部122、複数の第3薄膜部123および厚膜部124を含む。複数の第1薄膜部121は、ソース端子26における複数の大型疑似バンプ75aの接合部にそれぞれ形成されている。複数の第2薄膜部122は、ソース端子26における複数の小型疑似バンプ75bの接合部にそれぞれ形成されている。複数の第2薄膜部122の最小厚さは、複数の第1薄膜部121の最小厚さよりも大きくてもよい。
【0308】
複数の第3薄膜部123は、ソース端子26における複数の真正バンプ90の接合部にそれぞれ形成されている。複数の第3薄膜部123の最小厚さは、複数の第1薄膜部121の最小厚さよりも大きくてもよい。厚膜部124は、ソース端子26における複数の大型疑似バンプ75aの接合部、複数の小型疑似バンプ75bの接合部および複数の真正バンプ90の接合部外の領域に形成されている。
【0309】
厚膜部124の最大厚さは、第1薄膜部121の最小厚さよりも大きく、第1薄膜部121の最小厚さの3倍以下であってもよい。最小厚さに対する最大厚さの厚さ比は、1倍よりも大きく1.25以下、1.25以上1.5以下、1.5以上1.75以下、1.75以上2以下、2以上2.25以下、2.25以上2.5以下、2.5以上2.75以下、または、2.75以上3以下であってもよい。
【0310】
半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第1隆起部125を含む。複数の第1隆起部125は、ソース端子26における複数の大型疑似バンプ75aの接合縁部に形成され、ソース端子26の一部が厚膜部124よりもさらに厚化した部分からなる。各第1隆起部125は、平面視において各大型疑似バンプ75aの縁部(接合縁部)に沿って環状に延びている。各第1隆起部125の少なくとも一部は、厚さ方向に各大型疑似バンプ75aの周縁部に対向している。
【0311】
ソース端子26における各大型疑似バンプ75aの縁部に沿う部分は、厚膜部124および第1隆起部125によって第1薄膜部121よりも厚化されている。各第1隆起部125は、厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向している。各第1隆起部125は、この形態では、厚さ方向に複数のトレンチ構造35に対向するように形成されている。
【0312】
厚膜部124を基準とした少なくとも1つの第1隆起部125の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。少なくとも1つの第1隆起部125の隆起高さは、第1半導体領域31の厚さよりも大きくてもよい。むろん、少なくとも1つの第1隆起部125の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1以下であってもよい。厚膜部124および第1隆起部125の第1総厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0313】
第1総厚さは、第1薄膜部121の最小厚さの1倍よりも大きく、第1薄膜部121の最小厚さの10倍以下であってもよい。最小厚さに対する第1総厚さの厚さ比は、1よりも大きく2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。厚さ比は、2以上6以下であることが好ましい。
【0314】
半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第2隆起部126を含む。複数の第2隆起部126は、ソース端子26における複数の小型疑似バンプ75bの接合縁部に形成され、ソース端子26の一部が厚膜部124よりもさらに厚化した部分からなる。各第2隆起部126は、平面視において各小型疑似バンプ75bの縁部(接合縁部)に沿って環状に延びている。各第2隆起部126の少なくとも一部は、厚さ方向に各小型疑似バンプ75bの周縁部に対向している。
【0315】
ソース端子26における各小型疑似バンプ75bの縁部に沿う部分は、厚膜部124および第2隆起部126によって第2薄膜部122よりも厚化されている。また、各小型疑似バンプ75bの縁部に沿う部分は、第1薄膜部121よりも厚化されている。また、ソース端子26における大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの間に位置する部分は、厚膜部124、第1隆起部125および第2隆起部126によって第1薄膜部121および第2薄膜部122よりも厚化されている。
【0316】
各第2隆起部126は、厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向している。各第2隆起部126は、この形態では、厚さ方向に複数のトレンチ構造35に対向するように形成されている。厚膜部124を基準とした少なくとも1つの第2隆起部126の隆起高さは、第1隆起部125の隆起高さよりも小さいことが好ましい。
【0317】
少なくとも1つの第2隆起部126の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。少なくとも1つの第2隆起部126の隆起高さは、第1半導体領域31の厚さよりも大きくてもよい。むろん、少なくとも1つの第2隆起部126の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1以下であってもよい。厚膜部124および第2隆起部126の第2総厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0318】
第2総厚さは、第2薄膜部122の最小厚さの1倍よりも大きく、第2薄膜部122の最小厚さの10倍以下であってもよい。最小厚さに対する第2総厚さの厚さ比は、1よりも大きく2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。厚さ比は、2以上6以下であることが好ましい。
【0319】
小型疑似バンプ75b側に形成された第2隆起部126は、大型疑似バンプ75a側に形成された第1隆起部125と一体化していてもよい。つまり、ソース端子26における大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの間に位置する部分は、1つと見なせる第1隆起部125(第2隆起部126)によって複数の第1薄膜部121(第2薄膜部122)よりも厚化されていてもよい。1つと見なせる第1隆起部125(第2隆起部126)は、複数のトレンチ構造35に対向していることが好ましい。
【0320】
半導体装置61は、ソース端子26に形成された複数の第3隆起部127を含む。複数の第3隆起部127は、ソース端子26における複数の真正バンプ90の接合縁部に形成され、ソース端子26の一部が厚膜部124よりもさらに厚化した部分からなる。各第3隆起部127は、平面視において各真正バンプ90の縁部(接合縁部)に沿って環状に延びている。各第3隆起部127の少なくとも一部は、厚さ方向に各真正バンプ90の周縁部に対向している。
【0321】
ソース端子26における各真正バンプ90の縁部に沿う部分は、厚膜部124および第3隆起部127によって第3薄膜部123よりも厚化されている。また、ソース端子26における小型疑似バンプ75bおよび真正バンプ90の間に位置する部分は、厚膜部124、第2隆起部126および第3隆起部127によって第2薄膜部122および第3薄膜部123よりも厚化されている。
【0322】
各第3隆起部127は、厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向している。各第3隆起部127は、この形態では、厚さ方向に複数のトレンチ構造35に対向するように形成されている。厚膜部124を基準とした少なくとも1つの第3隆起部127の隆起高さは、第1隆起部125の隆起高さよりも小さいことが好ましい。
【0323】
少なくとも1つの第3隆起部127の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1よりも大きいことが好ましい。少なくとも1つの第3隆起部127の隆起高さは、第1半導体領域31の厚さよりも大きくてもよい。むろん、少なくとも1つの第3隆起部127の隆起高さは、トレンチ構造35の第1深さD1以下であってもよい。厚膜部124および第3隆起部127の第3総厚さは、層間絶縁膜24の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0324】
第3総厚さは、第3薄膜部123の最小厚さの1倍よりも大きく、第3薄膜部123の最小厚さの10倍以下であってもよい。最小厚さに対する第3総厚さの厚さ比は、1よりも大きく2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。厚さ比は、2以上6以下であることが好ましい。
【0325】
以上、半導体装置61は、基板2、出力領域6(デバイス領域)、ソース端子26(端子)、大型疑似バンプ75aおよび真正バンプ90を含む。出力領域6は、基板2に設けられている。ソース端子26は、平面視において出力領域6を被覆している。大型疑似バンプ75aは、ワイヤから開放された状態でソース端子26の上に配置されている。真正バンプ90は、ワイヤに接続された状態でソース端子26の上に配置され、大型疑似バンプ75aのサイズよりも小さいサイズを有している。
【0326】
この構成によれば、出力領域6で生じた熱を真正バンプ90よりも大きい大型疑似バンプ75aによって吸収できる。吸熱量は、大型疑似バンプ75aのサイズによって調整される。これにより、出力領域6の温度上昇を抑制し、温度上昇に起因する出力領域6の電気的特性の低下を抑制できる。よって、電気的特性を向上できる半導体装置61を提供できる。
【0327】
大型疑似バンプ75aは、ソース端子26よりも厚いことが好ましい。この構成によれば、比較的厚い大型疑似バンプ75aを形成することによってソース端子26を薄化できる。よって、比較的薄いソース端子26を介して大型疑似バンプ75aに熱を伝達できると同時に、ソース端子26の形成コストを抑えることができる。
【0328】
たとえば、比較的厚い大型疑似バンプ75aを採用することにより、Cu系金属膜またはAl系金属膜を含み、1μm以上10μm以下の厚さを有するソース端子26を採用できる。このようなソース端子26は、スパッタ法によって形成できるため、めっき膜以外の電極膜によって構成され得る。
【0329】
半導体装置61は、ワイヤから開放された状態でソース端子26の上において大型疑似バンプ75aの周囲に配置され、大型疑似バンプ75aのサイズよりも小さいサイズを有する小型疑似バンプ75bを含んでいてもよい。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bによって吸収できる。
【0330】
小型疑似バンプ75bは、ソース端子26よりも厚いことが好ましい。この構成によれば、比較的厚い小型疑似バンプ75bを形成することによってソース端子26を薄化できる。よって、比較的薄いソース端子26を介して小型疑似バンプ75bに熱を伝達できると同時に、ソース端子26の形成コストを抑えることができる。
【0331】
x個(x≧2)の小型疑似バンプ75bが、大型疑似バンプ75aの周囲に配置されていることが好ましい。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を大型疑似バンプ75aおよびx個(x≧2)の小型疑似バンプ75bによって吸収できる。xの値は3以上(x≧3)であることが好ましい。xの値は、4以上(x≧4)であることが好ましい。xの値は20以下(x≦20)であることが好ましい。
【0332】
xの値は、6以上12以下であることが特に好ましい。x個の小型疑似バンプ75bは、大型疑似バンプ75aの周方向に沿って等間隔に配列されていてもよい。x個の小型疑似バンプ75bは、平面視において大型疑似バンプ75aの中央部を中心とする同心円上に配置されていてもよい。xの値が3以上(x≧3)の場合、x個の小型疑似バンプ75bは正x角形の頂点にそれぞれ配置されていてもよい。この場合、大型疑似バンプ75aが正x角形の中心に配置されていてもよい。
【0333】
複数の真正バンプ90がソース端子26の上に配置されていてもよい。この場合、各真正バンプ90は、単位平面積当たりにおいて大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75bの占有面積未満の占有面積でソース端子26の上に配置されていることが好ましい。単位平面積当たりにおいて、互いに隣り合う2つの真正バンプ90の占有面積は、1つの大型疑似バンプ75aの占有面積未満であってもよい。つまり、1つの真正バンプ90の平面積は、1つの大型疑似バンプ75aの平面積の1/2未満であってもよい。
【0334】
半導体装置61は、ソース端子26における大型疑似バンプ75aの接合部に形成された第1薄膜部121を含むことが好ましい。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を、第1薄膜部121を介して大型疑似バンプ75aに伝達させることができる。
【0335】
半導体装置61は、ソース端子26における小型疑似バンプ75bの接合部に形成された第2薄膜部122を含むことが好ましい。この構成によれば、出力領域6で生じた熱を、第2薄膜部122を介して小型疑似バンプ75bに伝達させることができる。第2薄膜部122は、第1薄膜部121よりも厚くてもよい。
【0336】
半導体装置61は、ソース端子26における大型疑似バンプ75aの接合部外の領域に形成された厚膜部124を含むことが好ましい。この構成によれば、大型疑似バンプ75aの接合部外の領域において、出力領域6で生じた熱を厚膜部124によって吸収できる。厚膜部124によって吸収された熱は、大型疑似バンプ75aに伝達される。
【0337】
半導体装置61は、ソース端子26における大型疑似バンプ75aの接合縁部においてソース端子26の一部が厚膜部124よりも厚化した第1隆起部125を含むことが好ましい。つまり、ソース端子26における大型疑似バンプ75aの縁部に沿う部分は、厚膜部124および第1隆起部125によって第1薄膜部121よりも厚化されていることが好ましい。この構成によれば、大型疑似バンプ75aの接合部外の領域において、出力領域6で生じた熱を厚膜部124および第1隆起部125によって吸収できる。
【0338】
半導体装置61は、ソース端子26における小型疑似バンプ75bの接合縁部においてソース端子26の一部が厚膜部124よりも厚化した第2隆起部126を含むことが好ましい。つまり、ソース端子26における小型疑似バンプ75bの縁部に沿う部分は、厚膜部124および第2隆起部126によって第2薄膜部122よりも厚化されていることが好ましい。この構成によれば、小型疑似バンプ75bの接合部外の領域において、出力領域6で生じた熱を厚膜部124および第2隆起部126によって吸収できる。
【0339】
大型疑似バンプ75aは、第1金属を含む第1バンプ本体77、および、第1金属とは異なる第2金属を含み、第1バンプ本体77の外面の少なくとも一部を被覆する第1バンプ金属膜78を含んでいてもよい。大型疑似バンプ75aは、ソース端子26に接続された幅広な第1ボディ部79、および、第1ボディ部79からソース端子26とは反対側に向けて第1ボディ部79よりも幅狭に突出した第1ネック部80を含んでいてもよい。
【0340】
小型疑似バンプ75bは、第1金属を含む第1バンプ本体77、および、第1金属とは異なる第2金属を含み、第1バンプ本体77の外面の少なくとも一部を被覆する第1バンプ金属膜78を含んでいてもよい。小型疑似バンプ75bは、ソース端子26に接続された幅広な第1ボディ部79、および、第1ボディ部79からソース端子26とは反対側に向けて第1ボディ部79よりも幅狭に突出した第1ネック部80を含んでいてもよい。
【0341】
半導体装置61は、出力領域6の第1主面3に形成された複数のトレンチ構造35を含んでいてもよい。この場合、大型疑似バンプ75aは、平面視において複数のトレンチ構造35に重なっていることが好ましい。この構成によれば、複数のトレンチ構造35および/または複数のトレンチ構造35の近傍で生じた熱を直上の大型疑似バンプ75aによって吸収できる。
【0342】
大型疑似バンプ75aは、各トレンチ構造35の深さよりも大きい厚さを有していることが好ましい。大型疑似バンプ75aの接合縁部の近傍に第1隆起部125が形成される場合、第1隆起部125は厚さ方向に少なくとも1つのトレンチ構造35に対向していることが好ましい。厚膜部124を基準とした第1隆起部125の隆起高さは、トレンチ構造35の深さよりも大きいことが好ましい。
【0343】
半導体装置61は、出力領域6において複数のトレンチ構造35を含む絶縁ゲート型のメイントランジスタ11を有していることが好ましい。この構成によれば、メイントランジスタ11のアクティブクランプ動作時において誘導性負荷Lの逆起電力に起因する温度上昇を複数の疑似バンプ75によって抑制できる。これにより、アクティブクランプ耐量を向上できる。
【0344】
メイントランジスタ11は、n個のゲート信号が個別入力されるn個の第1ゲートFGを含むn系統のゲート分割トランジスタであることが好ましい。この構成によれば、メイントランジスタ11は、全ての第1ゲートFGがオン状態になるフルオン状態、一部の第1ゲートFGがオン状態(一部のゲートがオフ状態)になるパートオン状態、および、全ての第1ゲートFGがオフ状態になるフルオフ状態の間で切り替わるように制御される。メイントランジスタ11において、パートオン状態のオン抵抗値はフルオン状態のオン抵抗値よりも高い。
【0345】
n系統のメイントランジスタ11によれば、アクティブクランプ動作時において、メイントランジスタ11の一部の第1ゲートFGをオン状態に制御し、メイントランジスタ11の一部の第1ゲートFGをオフ状態に制御することによって、メイントランジスタ11の出力電圧をクランプさせることができる。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力からメイントランジスタ11を保護でき、アクティブクランプ耐量を向上できる。
【0346】
半導体装置61は、第1主面3に設けられた制御領域8を含むことが好ましい。この場合、半導体装置61は、複数のトレンチ構造35に付与されるゲート信号を生成するように制御領域8に形成された制御回路17を含むことが好ましい。この場合、ソース端子26は、平面視で制御領域8を露出させるように出力領域6を被覆していることが好ましい。
【0347】
半導体装置61は、出力領域6に隣り合うように第1主面3に設けられた第1検温領域9、および、制御領域8に隣り合うように第1主面3に設けられた第2検温領域10を含むことが好ましい。この場合、半導体装置61は、出力領域6の温度を検出するように第1検温領域9に形成された第1感温ダイオード15(第1温度センサ)、および、制御領域8の温度を検出するように第2検温領域10に形成された第2感温ダイオード16(第2温度センサ)を含むことが好ましい。
【0348】
この場合、制御回路17は、第1感温ダイオード15からの第1検温信号ST1(電気信号)および第2感温ダイオード16からの第2検温信号ST2(電気信号)に基づいてゲート信号を生成するように構成されていてもよい。この構成によれば、複数の疑似バンプ75によって出力領域6の温度上昇を抑制できると同時に、制御回路17の制御を利用して出力領域6の温度上昇を抑制できる。
【0349】
図21は、第2形態例に係る半導体チップ1Bを示す平面図である。
図21を参照して、半導体チップ1Bは、半導体チップ1Aの出力領域6のレイアウトを変更した形態を有している。出力領域6は、この形態では、平面視においてL字状に区画されている。具体的には、出力領域6は、第1側面5A側の領域において第1方向Xに沿って帯状に延びる第1領域6A、および、第3側面5C側の領域において第2方向Yに沿って帯状に延びる第2領域6Bを有している。
【0350】
制御領域8は、この形態では、第2側面5B側の領域において第1主面3の周縁、出力領域6の第1領域6Aおよび出力領域6の第2領域6Bによって区画された領域に設けられている。電流検出領域7は、出力領域6の第1領域6Aおよび出力領域6の第2領域6Bのいずれか一方または双方に設けられていてもよい。電流検出領域7は、この形態では、第1領域6Aに設けられている。
【0351】
第1検温領域9は、出力領域6の第1領域6Aおよび出力領域6の第2領域6Bのいずれか一方または双方に隣り合うように設けられていてもよい。第1検温領域9は、この形態では、第1領域6Aに隣り合うように設けられている。第2検温領域10は、第1形態例の場合と同様、制御領域8に隣り合うように設けられている。
【0352】
ソース端子26は、この形態では、平面視においてL字状に区画されている。具体的には、ソース端子26は、出力領域6の第1領域6Aを被覆するように第1方向Xに沿って帯状に延びる第1端子部26A、および、出力領域6の第2領域6Bを被覆するように第2方向Yに沿って帯状に延びる第2端子部26Bを有している。ソース端子26は、この形態では、第1端子部26Aにおいて第1検温領域9を露出させるように四角形状に切り欠かれた切欠き部26aを有している。
【0353】
第1~第4制御端子27~30は、第2側面5B側の領域において第1主面3の周縁、ソース端子26の第1端子部26Aおよびソース端子26の第2端子部26Bによって区画された領域に配置されている。
【0354】
図22は、
図21に示す半導体チップ1Bが搭載された半導体装置61を第1レイアウト例に係る疑似バンプ75と共に示す平面図である。
図23は、
図22に示すXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
図22および
図23を参照して、半導体装置61は、半導体チップ1Aに代えて半導体チップ1Bを含む。
【0355】
前述の複数の疑似バンプ75は、ソース端子26の第1端子部26Aおよび第2端子部26Bのいずれか一方または双方の上に配置されていてもよい。複数の疑似バンプ75は、この形態では、第1端子部26Aおよび第2端子部26Bの交差部26Cの上に配置されている。交差部26Cは、この形態では、ソース端子26のうち出力領域6の高温領域を被覆する部分でもある。
【0356】
複数の疑似バンプ75のレイアウトや、複数の疑似バンプ75のレイアウトに対する真正バンプ90のレイアウトの関係の説明は、前述の通りであるため省略される。むろん、第2レイアウト例に係る疑似バンプ75がソース端子26の上に配置されていてもよい。また、第3レイアウト例に係る疑似バンプ75(大型疑似バンプ75aおよび小型疑似バンプ75b)がソース端子26の上に配置されていてもよい。
【0357】
図24は、第1変形例に係る半導体装置61の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプ75と共に示す平面図である。
図25は、
図24に示すXXV-XXV線に沿う断面図である。
図24および
図25を参照して、第1変形例に係る半導体装置61は、半導体チップ1Aに代えて第1半導体チップ1Cおよび第2半導体チップ1Dを含む。第1半導体チップ1Cおよび第2半導体チップ1Dは、2チップで半導体チップ1Aと同様の機能を果たすようにそれぞれ構成されている。
【0358】
具体的には、第1半導体チップ1Cは、基板2、出力領域6、電流検出領域7、第1検温領域9、メイントランジスタ11(複数のトレンチ構造35)、モニタトランジスタ13(複数のトレンチ構造35)、第1感温ダイオード15、層間絶縁膜24、ドレイン端子25、ソース端子26、ゲート配線53、ソース配線55および複数の第1機能端子131~133を含み、制御領域8、第2検温領域10、第2感温ダイオード16および制御回路17を含まない。
【0359】
複数の第1機能端子131~133は、n個(ここでは2個)の第1ゲート端子131、少なくとも1つ(ここでは1つ)の第1モニタ端子132、および、少なくとも1つ(ここでは1つ)の第1検温端子133を含む。n個の第1ゲート端子131は、n個のゲート配線53を介してn系統(ここでは2系統)のメイントランジスタ11の第1ゲートFG(複数のトレンチ構造35)に電気的に接続され、外部から入力されたn個(ここでは2個)のゲート信号を第1ゲートFGに伝達する。
【0360】
第1モニタ端子132は、ソース配線55を介してモニタトランジスタ13の第1モニタソースFMSに電気的に接続され、モニタトランジスタ13からのモニタ電流IMを外部に出力する。第1検温端子133は、第1感温ダイオード15に電気的に接続され、第1感温ダイオード15からの第1検温信号ST1を外部に出力する。
【0361】
一方、第2半導体チップ1Dは、基板2、制御領域8、第2検温領域10、第2感温ダイオード16、制御回路17(ゲート駆動回路18、アクティブクランプ回路19、過電流保護回路20および過熱保護回路21)、層間絶縁膜24、ドレイン端子25、第1~第4制御端子27~30、ゲート配線53、ソース配線55および複数の第2機能端子134~136を含み、出力領域6、電流検出領域7、第1検温領域9、メイントランジスタ11(複数のトレンチ構造35)、モニタトランジスタ13(複数のトレンチ構造35)、第1感温ダイオード15を含まない。
【0362】
複数の第2機能端子134~136は、n個(ここでは2個)の第2ゲート端子134、少なくとも1つ(ここでは1つ)の第2モニタ端子135、および、少なくとも1つ(ここでは1つ)の第2検温端子136を含む。n個の第2ゲート端子134は、n個のゲート配線53を介して制御回路17(ゲート駆動回路18)に電気的に接続され、制御回路17で生成されたn個のゲート信号を外部に出力する。
【0363】
第2モニタ端子135は、ソース配線55を介して制御回路17(過電流保護回路20)に電気的に接続され、モニタトランジスタ13からのモニタ電流IMが入力される。第2検温端子136は、制御回路17(過熱保護回路21)に電気的に接続され、第1感温ダイオード15からの第1検温信号ST1が入力される。
【0364】
半導体装置61は、パッケージ本体62内において第1半導体チップ1Cおよび金属板66の間に介在された第1導電接合材137を含む。具体的には、第1導電接合材137は、第1半導体チップ1Cのドレイン端子25および金属板66の間に介在され、第1半導体チップ1Cのドレイン端子25および金属板66を電気的および機械的に接続している。第1導電接合材137は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。半田は、鉛フリー半田であってもよい。金属ペーストは、Au、AgおよびCuのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。Agペーストは、Ag焼結ペーストからなっていてもよい。
【0365】
半導体装置61は、パッケージ本体62内において第2半導体チップ1Dおよび金属板66の間に介在された第2導電接合材138を含む。具体的には、第2導電接合材138は、第2半導体チップ1Dのドレイン端子25および金属板66の間に介在され、第2半導体チップ1Dのドレイン端子25および金属板66を電気的および機械的に接続している。第2導電接合材138は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。半田は、鉛フリー半田であってもよい。金属ペーストは、Au、AgおよびCuのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。Agペーストは、Ag焼結ペーストからなっていてもよい。
【0366】
第1変形例に係る半導体装置61は、パッケージ本体62内に配置された少なくとも1つ(この形態では複数)の第3ボンディングワイヤ139を含む。複数の第3ボンディングワイヤ139は、複数の第1機能端子131~133を複数の第2機能端子134~136にそれぞれ電気的に接続させている。
【0367】
複数の第3ボンディングワイヤ139は、第1ボンディングワイヤ89と同様、真正バンプ90、ワイヤループ91およびワイヤテール92をそれぞれ含む。また、複数の第3ボンディングワイヤ139は、第1ボンディングワイヤ89と同様、真正バンプ90において第2バンプ本体97および第2バンプ金属膜98を含む。
【0368】
真正バンプ90が第1機能端子131~133に接合され、ワイヤテール92が第2機能端子134~136に接合されることが好ましい。むろん、真正バンプ90が第2機能端子134~136に接合され、ワイヤテール92が第1機能端子131~133に接合されてもよい。第3ボンディングワイヤ139の他の説明については、第1ボンディングワイヤ89の説明が適用されるものとして、省略される。
【0369】
第1変形例に係る半導体装置61では、半導体チップ1Aの電気的構成が、第1半導体チップ1Cおよび第2半導体チップ1Dによって実現されている。第1半導体チップ1Cの製造工程では第2半導体チップ1D側の工程が省略されるため、第1半導体チップ1Cの製造難度を低下させ、第1半導体チップ1Cの製造時間を短縮できる。同様に、第2半導体チップ1Dの製造工程では第1半導体チップ1C側の工程が省略されるため、第2半導体チップ1Dの製造難度を低下させ、第2半導体チップ1Dの製造時間を短縮できる。
【0370】
図26は、第2変形例に係る半導体装置61の内部構造を第1レイアウト例に係る疑似バンプ75と共に示す平面図である。
図27は、
図26に示すXXVII-XXVII線に沿う断面図である。第2変形例に係る半導体装置61は、第1変形例に係る第1半導体チップ1Cの形態および第2半導体チップ1Dの形態を変更した形態を有している。
【0371】
具体的には、第1半導体チップ1Cは、ソース端子26から間隔を空けて層間絶縁膜24の上に配置されたパッド端子140を含む。パッド端子140の配置箇所は任意である。パッド端子140は、この形態では、複数の第1機能端子131~133を挟んでソース端子26に対向するように配置されている。パッド端子140は、平面視において出力領域6外の領域を被覆していることが好ましい。
【0372】
第2半導体チップ1Dは、第1半導体チップ1Cよりも小さいサイズを有し、第1半導体チップ1Cの上に配置されている。第2半導体チップ1Dは、ドレイン端子25をパッド端子140に対向させた姿勢でパッド端子140の上に配置されている。また、第2半導体チップ1Dは、平面視において複数の第2機能端子134~136を複数の第1機能端子131~133側に向けた姿勢で配置されている。
【0373】
前述の第2導電接合材138は、この形態では、パッケージ本体62内において第2半導体チップ1Dおよびパッド端子140の間に介在されている。具体的には、第2導電接合材138は、第2半導体チップ1Dのドレイン端子25およびパッド端子140の間に介在され、第2半導体チップ1Dのドレイン端子25およびパッド端子140を電気的および機械的に接続している。前述の複数の第3ボンディングワイヤ139は、第1半導体チップ1Cの上において、複数の第1機能端子131~133を複数の第2機能端子134~136にそれぞれ電気的に接続させている。
【0374】
以下、
図28~
図30の平面図を参照して、第1~第3レイアウト例に係る疑似バンプ75の変形例が示される。
図28を参照して、第1レイアウト例に係る複数の疑似バンプ75において、少なくとも1つの疑似バンプ75が真正バンプ90に置き換えられてもよい。
図29を参照して、第2レイアウト例に係る複数の疑似バンプ75において、少なくとも1つの疑似バンプ75が真正バンプ90に置き換えられてもよい。
【0375】
図30を参照して、第3レイアウト例に係る複数の小型疑似バンプ75bにおいて、少なくとも1つの小型疑似バンプ75bが真正バンプ90に置き換えられてもよい。第1~第3レイアウト例において、真正バンプ90に置き換えられる疑似バンプ75の配置箇所や個数は任意である。
図28~
図30に係るレイアウトの具体的な説明は、前述の「疑似バンプ75」に係る説明において、「真正バンプ90」に置換された「疑似バンプ75」を「真正バンプ90」に読み替えることによって得られる。
【0376】
前述の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。たとえば、前述の実施形態において、1系統のメイントランジスタ11が採用されてもよい。この場合、メイントランジスタ11用の全てのトレンチ構造35が同時にオンオフ制御される。たとえば、前述の実施形態において、1系統のモニタトランジスタ13が採用されてもよい。この場合、モニタトランジスタ13用の全てのトレンチ構造35が同時にオンオフ制御される。
【0377】
たとえば、前述の実施形態において、出力領域6外の領域(たとえば制御領域8内)に電流検出領域7が設けられてもよい。たとえば、前述の実施形態において、メイントランジスタ11に第1のアクティブクランプ回路19が接続され、モニタトランジスタ13に第2のアクティブクランプ回路19が接続された構造が採用されてもよい。
【0378】
たとえば、前述の実施形態において、モニタトランジスタ13は、n個の系統トランジスタ12から電気的に独立した少なくとも1つの系統モニタトランジスタ14を含んでいてもよい。たとえば、前述の実施形態において、1つの系統トランジスタ12に対して複数の系統モニタトランジスタ14が接続されていてもよい。たとえば、前述の実施形態において、少なくとも1つの第2モニタソースSMSが、独立した電流経路を形成するように第1モニタソースFMSから電気的に切り離されていてもよい。
【0379】
たとえば、前述の実施形態において、メイントランジスタ11に第1のゲート駆動回路18が接続され、モニタトランジスタ13に第2のゲート駆動回路18が接続された構造が採用されてもよい。この場合、モニタトランジスタ13は、メイントランジスタ11と連動するように制御されてもよいし、連動しないように制御されてもよい。
【0380】
前述の実施形態では、第2電極40が第1電極39と同電位に固定された例が示された。しかし、第1電極39とは異なる電位が、第2電極40に印加されてもよい。この場合、第2電極40にソース電位が印加されてもよい。この構造によれば、基板2および第2電極40の間の寄生容量を削減し、スイッチング速度を向上させることができる。
【0381】
前述の実施形態において、第3絶縁膜41が取り除かれ、第1電極39および第2電極40が一体的に形成されていてもよい。さらに、第2絶縁膜38は、第1絶縁膜37とほぼ等しい厚さを有していてもよい。つまり、トレンチ構造35は、絶縁膜を挟んでトレンチ36に埋設された単一の電極を含むシングル電極構造を有していてもよい。
【0382】
前述の実施形態では、出力領域6にトレンチゲート型のメイントランジスタ11が形成された例が示された。しかし、出力領域6には、プレーナゲート型のメイントランジスタ11が形成されていてもよい。この場合、電流検出領域7には、プレーナゲート型のモニタトランジスタ13が形成されていてもよい。
【0383】
前述の実施形態では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である例が示された。しかし、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、n型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0384】
以下、この明細書および添付図面から抽出される特徴の例を示す。以下、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表すが、各項目(Clause)の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。
【0385】
[A1]基板(2)と、前記基板(2)に設けられたデバイス領域(6)と、平面視で前記デバイス領域(6)を被覆する端子(26)と、ワイヤから開放された状態で前記端子(26)の上に密に配置された複数の疑似バンプ(75、75a、75b)と、ワイヤに接続された状態で前記端子(26)の上に複数の前記疑似バンプ(75、75a、75b)よりも疎に配置された少なくとも1個の真正バンプ(90)と、を含む、半導体装置(61)。
【0386】
[A2]複数の前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、単位平面積当たりにおいて第1占有面積で前記端子(26)の上に配置され、少なくとも1個の前記真正バンプ(90)は、前記単位平面積当たりにおいて前記第1占有面積未満の第2占有面積で前記端子(26)の上に配置されている、A1に記載の半導体装置(61)。
【0387】
[A3]複数の前記真正バンプ(90)が、前記端子(26)の上に疎に配置されている、A1またはA2に記載の半導体装置(61)。
【0388】
[A4]複数の前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、第1ピッチ(P1)で前記端子(26)の上に配置され、複数の前記真正バンプ(90)は、前記第1ピッチ(P1)よりも大きい第2ピッチ(P2)で前記端子(26)の上に配置されている、A3に記載の半導体装置(61)。
【0389】
[A5]少なくとも3個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)が、前記端子(26)の上に密に配置されている、A1~A4のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0390】
[A6]少なくとも3個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、平面視で二等辺三角形の頂点に位置するレイアウトで配置されている、A5に記載の半導体装置(61)。
【0391】
[A7]少なくとも7個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)が、前記端子(26)の上に密に配置されている、A1~A6のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0392】
[A8]6個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)が、1個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)の周囲に配置されている、A7に記載の半導体装置(61)。
【0393】
[A9]6個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)が、平面視で六角形の頂点に位置するレイアウトで配置され、1個の前記疑似バンプ(75、75a、75b)が、平面視で前記六角形の中心に位置するレイアウトで配置されている、A8に記載の半導体装置(61)。
【0394】
[A10]前記端子(26)における各前記疑似バンプ(75、75a、75b)の接合部に形成された薄膜部(111、121、122)と、前記端子(26)における各前記疑似バンプ(75、75a、75b)の前記接合部外の領域に形成された厚膜部(113、124)と、をさらに含む、A1~A9のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0395】
[A11]前記端子(26)における各前記疑似バンプ(75、75a、75b)の接合縁部において前記端子(26)の一部が前記厚膜部(113、124)よりも厚化した隆起部(114、125、126)をさらに含む、A10に記載の半導体装置(61)。
【0396】
[A12]各前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、前記端子(26)に接続された幅広なボディ部(79)、および、前記ボディ部(79)から前記端子(26)とは反対側に向けて前記ボディ部(79)よりも幅狭に突出したネック部(80)を含む、A1~A11のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0397】
[A13]各前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、前記ネック部(80)において前記ネック部(80)の中央部に向けて窪んだ少なくとも1つの抉れ部(120)を含む、A12に記載の半導体装置(61)。
【0398】
[A14]各前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、第1金属を含むバンプ本体(77)、および、前記第1金属とは異なる第2金属を含み、前記バンプ本体(77)の外面の少なくとも一部を被覆する金属膜(78)を含む、A1~A13のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0399】
[A15]前記基板(2)において前記デバイス領域(6)に形成された複数のトレンチ構造(35)をさらに含み、各前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、平面視において複数の前記トレンチ構造(35)に重なっている、A1~A14のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0400】
[A16]各前記疑似バンプ(75、75a、75b)は、各前記トレンチ構造(35)の深さよりも大きい厚さを有している、A15に記載の半導体装置(61)。
【0401】
[A17]複数の前記トレンチ構造(35)を含むトランジスタ(11、13)をさらに含む、A15またはA16に記載の半導体装置(61)。
【0402】
[A18]前記トランジスタ(11、13)は、個別制御される複数の系統トランジスタ(12、14)を含み、複数の前記系統トランジスタ(12、14)の選択制御によって単一の出力信号(IO、IM)を生成するゲート分割トランジスタ(11、13)である、A17に記載の半導体モジュール(1D)。
【0403】
[A19]前記トランジスタ(11、13)は、複数の前記系統トランジスタ(12、14)の個別制御によって、オン抵抗が変化するように構成されている、A18に記載の半導体モジュール(1D)。
【0404】
[A20]前記基板(2)に設けられた制御領域(8)をさらに含み、前記端子(26)は、平面視で前記制御領域(8)を露出させるように前記デバイス領域(6)を被覆している、A1~A19のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0405】
[A21]前記出力領域(6)に隣り合うように前記基板(2)に設けられた第1検温領域(9)と、前記制御領域(8)に隣り合うように前記基板(2)に設けられた第2検温領域(10)と、前記第1検温領域(9)に形成された第1温度センサ(15)と、前記第2検温領域(10)に形成された第2温度センサ(16)と、をさらに含む、A20に記載の半導体装置(61)。
【0406】
[B1]基板(2)と、前記基板(2)に設けられたデバイス領域(6)と、平面視で前記デバイス領域(6)を被覆する端子(26)と、ワイヤから開放された状態で前記端子(26)の上に配置された疑似バンプ(75a)と、ワイヤに接続された状態で前記端子(26)の上に配置され、前記疑似バンプ(75a)のサイズ(S11)よりも小さいサイズ(S13)を有する真正バンプ(90)と、を含む、半導体装置(61)。
【0407】
[B2]前記疑似バンプ(75a)は、前記端子(26)よりも厚い、B1に記載の半導体装置(61)。
【0408】
[B3]ワイヤから開放された状態で前記端子(26)の上において前記疑似バンプ(75a)の周囲に配置され、前記疑似バンプ(75a)のサイズ(S11)よりも小さいサイズ(S12)を有する小型疑似バンプ(75b)をさらに含む、B1またはB2に記載の半導体装置(61)。
【0409】
[B4]前記小型疑似バンプ(75b)は、前記端子(26)よりも厚い、B3に記載の半導体装置(61)。
【0410】
[B5]x個(x≧2)の前記小型疑似バンプ(75b)が、前記疑似バンプ(75a)の周囲に配置されている、B3またはB4に記載の半導体装置(61)。
【0411】
[B6]前記xの値は3以上(x≧3)である、B5に記載の半導体装置(61)。
【0412】
[B7]前記xの値は4以上(x≧4)である、B5またはB6に記載の半導体装置(61)。
【0413】
[B8]前記xの値は20以下(x≦20)である、B5~B7のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0414】
[B9]前記xの値は6以上12以下(6≦x≦12)である、B5~B8のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0415】
[B10]x個の前記小型疑似バンプ(75b)は、平面視において前記疑似バンプ(75a)の周方向に沿って等間隔に配列されている、B5~B9のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0416】
[B11]x個の前記小型疑似バンプ(75b)は、平面視において前記疑似バンプ(75a)の中央部を中心とする同心円上に配置されている、B5~B10のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0417】
[B12]x個(x≧3)の前記小型疑似バンプ(75b)は、平面視において正x角形の頂点にそれぞれ配置されている、B5~B11のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0418】
[B13]前記疑似バンプ(75a)は、平面視において前記正x角形の中心に配置されている、B12に記載の半導体装置(61)。
【0419】
[B14]複数の前記真正バンプ(90)が、前記端子(26)の上に配置されている、B1~B13のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0420】
[B15]前記疑似バンプ(75a)は、前記端子(26)に接続された幅広なボディ部(79)、および、前記ボディ部(79)から前記端子(26)とは反対側に向けて前記ボディ部(79)よりも幅狭に突出したネック部(80)を含む、B1~B14のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0421】
[B16]前記疑似バンプ(75a)は、第1金属を含むバンプ本体(77)、および、前記第1金属とは異なる第2金属を含み、前記バンプ本体(77)の外面の少なくとも一部を被覆する金属膜(78)を含む、B1~B15のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0422】
[B17]前記端子(26)における前記疑似バンプ(75a)の接合部に形成された薄膜部(121)と、前記端子(26)における前記疑似バンプ(75a)の前記接合部外の領域に形成された厚膜部(124)と、をさらに含む、B1~B16のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0423】
[B18]前記端子(26)における前記疑似バンプ(75a)の接合縁部において前記端子(26)の一部が前記厚膜部(124)よりも厚化した隆起部(125)をさらに含む、B17に記載の半導体装置(61)。
【0424】
[B19]前記基板(2)において前記デバイス領域(6)に形成された複数のトレンチ構造(35)をさらに含み、前記疑似バンプ(75a)は、平面視において複数の前記トレンチ構造(35)に重なっている、B1~B18のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0425】
[B20]前記疑似バンプ(75a)は、各前記トレンチ構造(35)の深さよりも大きい厚さを有している、B19に記載の半導体装置(61)。
【0426】
[B21]前記基板(2)に設けられた制御領域(8)をさらに含み、前記端子(26)は、平面視で前記制御領域(8)を露出させるように前記デバイス領域(6)を被覆している、B1~B20のいずれか一つに記載の半導体装置(61)。
【0427】
[B22]前記出力領域(6)に隣り合うように前記基板(2)に設けられた第1検温領域(9)と、前記制御領域(8)に隣り合うように前記基板(2)に設けられた第2検温領域(10)と、前記第1検温領域(9)に形成された第1温度センサ(15)と、前記第2検温領域(10)に形成された第2温度センサ(16)と、をさらに含む、B21に記載の半導体装置(61)。
【0428】
実施形態について詳細に説明してきたが、これらは技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0429】
1A 半導体チップ
1B 半導体チップ
1C 第1半導体チップ
2 基板
6 デバイス領域
8 制御領域
9 第1検温領域
10 第2検温領域
15 第1感温ダイオード
16 第2感温ダイオード
17 制御回路
26 ソース端子
35 トレンチ構造
61 半導体装置
75 疑似バンプ
75a 大型疑似バンプ
75b 小型疑似バンプ
77 第1バンプ本体
78 第1バンプ金属膜
79 第1ボディ部
80 第1ネック部
90 真正バンプ
111 第1薄膜部
113 厚膜部
114 第1隆起部
120 抉れ部
121 第1薄膜部
122 第2薄膜部
124 厚膜部
125 第1隆起部
126 第2隆起部
P1 第1ピッチ
P2 第2ピッチ
S11 第1サイズ
S12 第2サイズ
S13 第3サイズ