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特開2023-171048飲料注出装置、カラン及び操作レバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171048
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】飲料注出装置、カラン及び操作レバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20231124BHJP
   B67D 1/14 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083242
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】武井 義明
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚明
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB02
3E082CC01
3E082CC02
3E082DD01
3E082FF05
(57)【要約】
【課題】装置のコンパクト化を実現すると共に、片手で操作しても倒れにくい飲料注出装置、カラン及び操作レバーを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る飲料注出装置は、カラン10と、装着機構3と、操作レバー20とを備える。カラン10は、カラン本体12と、飲料Bが注出される飲料注出部13と、カラン本体12において突出しており、容器2に接近する方向、及び容器2から離隔する方向に傾動することによって飲料注出部13から飲料Bを注出させる傾動部16とを有する。操作レバー20は傾動部16から容器2に向かって延びている。操作レバー20は飲料Bを注出する注出者によって上下方向に押される操作部24を有し、傾動部16は操作部24が上下方向に押されることによって傾動する。操作部24は、傾動部16よりも、容器2の重心から鉛直上方に延びる重心線L寄りの位置に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を収容し、前記飲料が流出する口部を有する容器と、
前記口部から流出した前記飲料を注出するカランと、
前記カランを前記口部に装着する装着機構と、
前記カランによる前記飲料の注出が操作される操作レバーと、
を備え、
前記カランは、
前記装着機構に装着されており、前記容器からの前記飲料が入り込むカラン本体と、
前記カラン本体に入り込んだ前記飲料が注出される飲料注出部と、
前記カラン本体において突出しており、前記容器に接近する方向、及び前記容器から離隔する方向に傾動することによって前記飲料注出部から前記飲料を注出させる傾動部と、
を有し、
前記操作レバーは前記傾動部から前記容器に向かって延びており、
前記操作レバーは前記飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有し、前記傾動部は前記操作部が上下方向に押されることによって傾動し、
前記操作部は、前記傾動部よりも、前記容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる、
飲料注出装置。
【請求項2】
前記操作部を操作する前記注出者の手指を支持することによって前記容器が傾くことを規制する手指支持部を備える、
請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記傾動部から離隔するに従って前記カラン本体から離隔するように斜め上方に延在する、
請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【請求項4】
前記傾動部に前記操作レバーを着脱可能とする着脱機構を備える、
請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【請求項5】
前記操作レバーは、貫通孔を有し、
前記着脱機構は、前記傾動部の外面に形成されたボルトと、前記貫通孔に前記ボルトが通された前記操作レバーを締め付けるナットとを含む、
請求項4に記載の飲料注出装置。
【請求項6】
飲料を収容し、前記飲料が流出する口部を有する容器に装着されるカランであって、
前記カランには、前記カランによる前記飲料の注出が操作される操作レバーが取り付けられており、
前記容器からの前記飲料が入り込むカラン本体と、
前記カラン本体に入り込んだ前記飲料が注出される飲料注出部と、
前記カラン本体において突出しており、前記容器に接近する方向、及び前記容器から離隔する方向に傾動することによって前記飲料注出部から前記飲料を注出させる傾動部と、
を備え、
前記操作レバーは前記傾動部から前記容器に向かって延在し、
前記操作レバーは前記飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有し、前記傾動部は前記操作部が上下方向に押されることによって傾動し、
前記操作部は、前記傾動部よりも、前記容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる、
カラン。
【請求項7】
容器に収容されている飲料を注出するカランに取り付けられる操作レバーであって、
前記カランは、前記容器に接近する方向、及び前記容器から離隔する方向に傾動することによって前記飲料を注出する傾動部を有し、
前記飲料を注出する注出者によって上下方向に押され、上下方向に押されることによって前記傾動部を傾動させる操作部を備え、
前記操作部は、前記傾動部よりも、前記容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる、
操作レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料注出装置、カラン及び操作レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-70525号公報には、注出ヘッドを有する飲料サーバーが記載されている。飲料サーバーは、注出ヘッドと、ガスボンベと、ガスボンベを収容すると共に注出ヘッドを保持する筐体として機能する箱状の本体とを備える。注出ヘッドは、本体の内部において飲料容器に接続されている。
【0003】
注出ヘッドは、ガスボンベから供給される炭酸ガス等のガスを利用して飲料容器内の飲料を注出口からジョッキ又はグラス等の容器に注出する。飲料容器は飲料を飲料容器の外部に押し出すダウンチューブを有し、注出ヘッドは、ガスボンベから供給されるガスを飲料容器内の空間部に供給する。このガスが飲料容器内の飲料の液面を押し下げることにより、飲料がダウンチューブから飲料容器の外部に押し出される。
【0004】
注出ヘッドは操作レバーを備え、操作レバーが使用者から見て前後方向に押し引きされることに応じて飲料容器の飲料が注出口から注出される。注出ヘッドは、飲料容器の口部に締結される締結部と、操作レバーが設けられており且つ飲料が注出される注出部とを有する。注出ヘッドは、締結部が本体の内部に収容されると共に、注出部が本体部の外部に露出した状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-70525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した注出ヘッドでは、箱状の本体に支持された状態で操作レバーが前後方向に押し引きされる。ところで、特に近年、飲料注出装置では、装置のコンパクト化のため、前述した本体等の筐体が省略又は軽量化されることがある。しかしながら、前述の注出ヘッドでは、本体を省略したり軽量化したりすると、操作レバーを前後方向に押し引きするときに飲料容器が倒れるという問題が生じうる。例えば、飲料容器と注出ヘッドのみの構成の場合、片手で操作レバーを引くだけでは飲料容器が倒れてしまう。従って、グラス等を置き、飲料容器を片手で支えた状態でもう片方の手で操作レバーを引かないと、グラス等に飲料を注出できないので、使いづらいという現状がある。また、グラス等をおいて当該グラス等に飲料を注出する場合と比較して、グラス等を持って注出した方が品質が高い飲料を注出できる。従って、片手でグラス等を持って、グラス等を持つ手とは別の手で操作できることが求められる。
【0007】
本開示は、装置のコンパクト化を実現すると共に、片手で操作しても倒れにくい飲料注出装置、カラン及び操作レバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る飲料注出装置は、(1)飲料を収容し、飲料が流出する口部を有する容器と、口部から流出した飲料を注出するカランと、カランを口部に装着する装着機構と、カランによる飲料の注出が操作される操作レバーと、を備える。カランは、装着機構に装着されており、容器からの飲料が入り込むカラン本体と、カラン本体に入り込んだ飲料が注出される飲料注出部と、カラン本体において突出しており、容器に接近する方向、及び容器から離隔する方向に傾動することによって飲料注出部から飲料を注出させる傾動部と、を有する。操作レバーは傾動部から容器に向かって延びている。操作レバーは飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有し、傾動部は操作部が上下方向に押されることによって傾動する。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。
【0009】
この飲料注出装置では、飲料を収容する容器が口部を有し、口部から流出した飲料をカランが注出する。カランは、容器に接近する方向、及び容器から離隔する方向に傾動する傾動部を有し、傾動部が傾動することによって飲料がカランの飲料注出部から注出される。操作レバーは、傾動部から容器に向かって延びており、飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有する。操作部が上下方向に押されることによって傾動部が傾動して飲料が注出される。従って、操作レバーの操作部が上下方向に押されることによって飲料が注出されるので、前後方向に押し引きされる操作レバーと比較して、操作時に容器を倒れにくくすることができる。また、操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。よって、操作部が上下方向に押されるときに容器に生じるモーメントを小さく抑えることができるので、片手で操作部を上下方向に押しても容器を倒れないようにすることができる。従って、容器を収容すると共にカランを支持する筐体等を不要にできるので、装置のコンパクト化を実現させることができる。
【0010】
(2)上記(1)において、飲料注出装置は、操作部を操作する注出者の手指を支持することによって容器が傾くことを規制する手指支持部を備えてもよい。この場合、手指支持部が注出者の手指を支持することによって、飲料の注出時における容器の傾きが規制される。従って、注出時における容器の転倒をより確実に抑制することができる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)において、操作レバーは、傾動部から離隔するに従ってカラン本体から離隔するように斜め上方に延在してもよい。この場合、操作部が下方向に押されたときにおけるカラン本体への操作部の接触をより確実に抑制できる。従って、操作部の操作性を良好にできるので、より使いやすい操作レバーとすることができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、飲料注出装置は、傾動部に操作レバーを着脱可能とする着脱機構を備えてもよい。この場合、カランの傾動部から操作レバーを外すことが可能となるので、操作レバー単体で洗浄等を行うことができる。このように操作レバーを外して操作レバーのみの洗浄を行うことが可能となるので、操作レバーのメンテナンス性を良好にすることができる。
【0013】
(5)上記(4)において、操作レバーは、貫通孔を有してもよい。着脱機構は、傾動部の外面に形成されたボルトと、貫通孔にボルトが通された操作レバーを締め付けるナットとを含んでもよい。この場合、操作レバーは、ボルト及びナットによって傾動部に着脱可能とされている。従って、傾動部に操作レバーを容易に着脱できると共に、ボルト及びナットによって操作レバーをより強固に傾動部に固定できる。
【0014】
本開示に係るカランは、(6)飲料を収容し、飲料が流出する口部を有する容器に装着されるカランである。カランには、カランによる飲料の注出が操作される操作レバーが取り付けられている。カランは、容器からの飲料が入り込むカラン本体と、カラン本体に入り込んだ飲料が注出される飲料注出部と、カラン本体において突出しており、容器に接近する方向、及び容器から離隔する方向に傾動することによって飲料注出部から飲料を注出させる傾動部と、を備える。操作レバーは傾動部から容器に向かって延在する。操作レバーは飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有し、傾動部は操作部が上下方向に押されることによって傾動する。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。
【0015】
このカランは、容器の口部から流出した飲料を注出する。カランは傾動部を有し、傾動部が傾動することによって飲料がカランの飲料注出部から注出される。傾動部からは操作レバーが容器に向かって延びており、操作レバーは飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有する。従って、操作レバーの操作部が上下方向に押されることによって飲料が注出されるので、前述した飲料注出装置と同様、前後方向に押し引きされる操作レバーと比較して、操作時に容器を倒れにくくすることができる。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられるので、操作部が上下方向に押されるときに容器に生じるモーメントを小さく抑えることができる。よって、片手で操作部を上下方向に押しても容器を倒れないようにすることができる。従って、容器を収容すると共にカランを支持する筐体等を不要にできるので、装置のコンパクト化を実現させることができる。
【0016】
本開示に係る操作レバーは、(7)容器に収容されている飲料を注出するカランに取り付けられる操作レバーである。カランは、容器に接近する方向、及び容器から離隔する方向に傾動することによって飲料を注出する傾動部を有する。操作レバーは、飲料を注出する注出者によって上下方向に押され、上下方向に押されることによって傾動部を傾動させる操作部を備える。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。
【0017】
この操作レバーでは、注出者によって上下方向に押される操作部を有し、操作レバーの操作部が上下方向に押されることによって飲料が注出される。従って、前述した飲料注出装置及びカランと同様、前後方向に押し引きされる操作レバーと比較して、操作時に容器を倒れにくくすることができる。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。よって、操作部が上下方向に押されるときに容器に生じるモーメントを小さく抑えることができるので、片手で操作部を上下方向に押しても容器を倒れないようにすることができる。従って、容器を収容すると共にカランを支持する筐体等を不要にできるので、装置のコンパクト化を実現させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、装置のコンパクト化を実現すると共に、片手で操作しても容器を倒れにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る飲料注出装置を示す斜視図である。
図2図1の飲料注出装置の容器及び装着機構を示す斜視図である。
図3図2の装着機構に取り付けられるガス供給装置を示す斜視図である。
図4】従来のカランを示す斜視図である。
図5図4のカランから従来の操作レバーが外された状態を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係る操作レバーを示す斜視図である。
図7】(a)は、図6の操作レバーが引き上げられた状態を示す斜視図である。(b)は、図6の操作レバーが押し下げられた状態を示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係る飲料注出容器を示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係る操作レバーを示す斜視図である。
図10図9の操作レバーを下方から見た図である。
図11】第2実施形態に係る飲料注出装置の手指支持部を示す斜視図である。
図12】(a)は、図9の操作レバーの一方側が押された状態を示す斜視図である。(b)は、図9の操作レバーの他方側が押された状態を示す斜視図である。
図13】(a)は、第3実施形態に係る飲料注出装置の操作レバーを示す図である。(b)は、図13(a)の飲料注出装置の手指支持部を示す斜視図である。
図14】第4実施形態に係る飲料注出装置を示す図である。
図15】(a)は、図14の飲料注出装置の操作レバーが引かれた状態を示す図である。(b)は、図15(a)の操作レバーが押された状態を示す図である。
図16】第5実施形態に係る飲料注出装置の操作レバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る飲料注出装置、カラン及び操作レバーの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
本実施形態に係る飲料注出装置は、容器と、カランと、カランを容器に装着する装着機構と、カランによる飲料の注出を操作する操作レバーとを備える。「飲料注出装置」とは、飲料を注出する装置であり、「飲料」とは、飲用可能な液体又は半固体を示している。「飲料」としては、ビール、発泡酒、チューハイ、ワイン等のアルコール飲料、並びにアルコールを含まない炭酸飲料及び清涼飲料等も含まれる。
【0022】
「飲料」は、例えば、発泡性飲料である。「発泡性飲料」は、例えば、炭酸ガス等のガス含有発酵酒を含んでいる。「発泡性飲料」は、グラス等に注出されたときに液体の上に発泡体の層が形成される泡立ち特性と、形成された発泡体が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。
【0023】
「発泡性飲料」は、ビールテイスト飲料であってもよい。ビールテイスト飲料は、ビールのような味わいを奏する飲料、及び、ビールを飲用した感覚を飲用者に与える飲料を含む。アルコール度数が1%以上であるビールテイスト飲料は、ビールテイストアルコール飲料とも称される。なお、「発泡性飲料」は、ビールテイスト飲料以外の飲料であってもよい。本実施形態では、一例として、発泡性飲料がビールであって、発泡性飲料の液体がビール液である例について説明する。
【0024】
「容器」は、飲料を収容する器を示している。容器は、飲料が流出する口部を有する。「口部」は、容器に対する飲料の出入口を示している。例えば、口部は容器の上端に形成されている。カランは、口部から流出した飲料を注出する。「カラン」は、容器の内部の飲料を飲料注出装置の外部に注ぎ出す部品を示している。
【0025】
飲料注出装置は、カランを容器の口部に装着する装着機構を有する。「装着機構」は、カランを容器に装着する機構である。一例として、「装着機構」は、容器の口部にねじ込まれる第1ネジ部と、カランがねじ込まれる第2ネジ部とを有し、口部への第1ネジ部による結合、及び第2ネジ部へのカランの結合によってカランを容器に装着する。具体例として、環状を呈するパッキンを介して第1ネジ部が容器(例えば缶又は瓶等)の口部にねじ込まれる。しかしながら、「装着機構」の構成は、上記の例に限定されない。
【0026】
飲料注出装置は、カランによる飲料の注出が操作される操作レバーを有する。「操作レバー」は、容器に収容されている飲料を注出する注出者によって操作される部品である。「操作レバー」が操作されることによって、カランから飲料が注出される。カランは、容器に接近する方向、及び容器から離隔する方向に傾動する傾動部を有する。
【0027】
「傾動部」は、飲料の注出のために傾動するカランの部分を示している。カランでは、傾動部が傾動することによってカランの飲料注出部から飲料が注出される。「容器に接近する方向に傾動する」とは容器側(容器に向かって)に傾くことを示しており、「容器から離隔する方向に傾動する」とは容器の反対側に(容器から離れるように)傾くことを示している。
【0028】
操作レバーは、飲料を注出する注出者によって上下方向に押される操作部を有する。「操作部」は、操作レバーのうち注出者の手指が当接する部位であって、操作部に手指が当接することによってカランから飲料が注出される。「上下方向に押される」とは、下方向に押されること、及び上方向に押されることの双方を含んでおり、指で引き上げられることも「上下方向に押される」に含まれる。操作部は、傾動部よりも、容器の重心から鉛直上方に延びる重心線寄りの位置に設けられる。「容器の重心」とは容器の質量中心を示しており、「重心線」は重心から鉛直方向に沿って延在する仮想の直線を示している。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る飲料注出装置1を示す斜視図である。飲料注出装置1は、飲料Bを収容する容器2と、容器2の口部2bに装着される装着機構3と、装着機構3の容器2とは反対側に装着されたカラン10と、カラン10に取り付けられた操作レバー20とを備える。容器2は、飲料Bを収容すると共に手で持ち運びが可能な(一般的な)軽量容器であり、一例として、ペットボトルである。
【0030】
容器2の口部2bは、例えば、筒状を呈する。口部2bは容器2の上端に位置する。例えば、装着機構3は、既存(既製)の容器2に装着することが可能である。図2は、容器2及び装着機構3を拡大した斜視図である。図1及び図2に示されるように、装着機構3は、口部2bにねじ込まれる筒状部3bと、筒状部3bに固定されていると共に容器2の重心線Lから離隔する方向に突出する突出部3cとを有する。容器2の重心線Lは、容器2の重心から鉛直上方に延びる仮想の直線である。例えば、筒状部3bの軸線は、容器2の重心線Lに一致する。
【0031】
例えば、筒状部3bの内側には雌螺子が形成されており、筒状部3bの雌螺子が口部2bの雄螺子に螺合することによって口部2bに装着機構3が装着される。図2及び図3に示されるように、飲料注出装置1は、例えば、飲料Bにガス(例えば炭酸ガス)を供給するボンベ4を備え、筒状部3bはボンベ4が装着される穴部3dを有する。一例として、ボンベ4は、ミニガスである。
【0032】
穴部3dは、筒状部3bの外周面から窪んでいる。飲料注出装置1は、例えば、ボンベ4を装着機構3に取り付けるボンベ取付部材5を備え、ボンベ4はボンベ取付部材5を介して装着機構3に取り付けられる。ボンベ取付部材5は、ボンベ4を保持するボンベ保持部5bと、ボンベ保持部5bからボンベ4の延在方向とは異なる方向に延びる取付部5cとを有する。例えば、穴部3dの内側には雌螺子が形成されており、取付部5cの先端部の外面には雄螺子が形成されており、穴部3dの雌螺子に取付部5cの雄螺子が螺合することによって装着機構3にボンベ取付部材5が取り付けられる。
【0033】
一例として、筒状部3bは樹脂製であり、突出部3cは金属製である。しかしながら、筒状部3bの材料、及び突出部3cの材料は特に限定されない。例えば、飲料注出装置1は、装着機構3から下方に延び出すと共に容器2の内部の飲料Bに浸漬されるチューブCを備え、ボンベ4の圧力によってチューブCを介して装着機構3の突出部3cの内部に飲料Bが供給される。突出部3cの内部に供給された飲料Bがカラン10に流れ込む。
【0034】
例えば、突出部3cは、筒状部3bに固定される固定部3fと、固定部3fに対して重心線Lから離隔する方向に延在する延在部3gとを有する。一例として、固定部3fは、筒状部3bの上部において円板状を呈する。延在部3gは固定部3fの側面3hから突出しており、延在部3gの固定部3fとは反対側の端部にカラン10が取り付けられる。
【0035】
図4は、既存のカラン100を示す斜視図である。図5は、カラン100から既存の操作レバー11Aが取り外された状態を示す斜視図である。例えば、カラン100は、箱状の筐体を有する業務用の飲料サーバーに取り付け可能なカランである。カラン100は、装着機構3を介して容器2に装着される。カラン100は、手で握って移動操作が可能な操作レバー11Aと、操作レバー11Aが取り付けられるカラン本体12と、カラン本体12から斜め下方に延びる飲料注出部13とを備える。飲料注出部13は、例えば、発泡性飲料である飲料Bの液体(一例としてビール液)が注出される液体用ノズル14と、液体用ノズル14から見て容器2とは反対側に位置する発泡体用ノズル15とを備える。
【0036】
従来の操作レバー11Aは、飲料Bの注出者がカラン10から見て容器2とは反対側(飲料注出装置1の手前側、図4では右側)、及び容器2側(飲料注出装置1の奥側、図4では左側)の両方に移動可能となっている。以下では、カラン10から見て容器2とは反対側を手前側とし、カラン10から見て容器2側を奥側と称することがある。操作レバー11Aは、カラン本体12から上方に延在する棒状を呈する。
【0037】
カラン本体12は、例えば、操作レバー11A、液体用ノズル14及び発泡体用ノズル15が設けられる筒状部12bと、筒状部12bの操作レバー11Aとは反対側において拡径する取付部12cとを備える。例えば、取付部12cは、カラン本体12と装着機構3との間に介在する筒状部材6(図2参照)を介して装着機構3に取り付けられる。筒状部材6は、装着機構3の突出部3cを収容すると共に雌螺子が形成された内面を有する。この雌螺子に取付部12cの外面に形成された雄螺子が螺合することによって筒状部材6にカラン本体12が取り付けられる。
【0038】
カラン本体12の内部には、容器2、チューブC及び装着機構3を介して飲料Bが流入する。カラン本体12には、カラン本体12の内部に流入した飲料Bの流路を開閉するスライド弁が内蔵されている。例えば、操作レバー11Aが引かれて手前側に移動すると当該スライド弁が奥側に移動して液体用ノズル14から飲料Bの液体が注出され、操作レバー11Aが押されて奥側に移動すると当該スライド弁が手前側に移動して発泡体用ノズル15に飲料Bの発泡体(例えばビールのきめ細かい泡)が流れ込む。
【0039】
これにより、カラン100では、操作レバー11Aの押し引きによって飲料Bの液体及び発泡体の双方を注出可能である。すなわち、操作レバー11Aが引かれることによって液体用ノズル14から飲料Bの液体が注出され、操作レバー11Aが押されることによって発泡体用ノズル15から飲料Bの発泡体が注出される。
【0040】
カラン100は、カラン本体12において突出する傾動部16を備える。例えば、カラン本体12は筒状部12bから上方に突出する突出部12dを有し、傾動部16は突出部12dから更に上方に突出している。一例として、傾動部16は、突出部12dの上方に位置する環状部16bと、環状部16bの上端から上方に向かうに従って縮径する傾斜部16cと、傾斜部16cの上端から上方に向かうに従って拡径する拡径部16dと、拡径部16dから上方に突出するボルト16fとを有する。
【0041】
操作レバー11Aの長手方向の一端(図4では下端)は筒状部とされており、当該筒状部の内側にはボルト16fに螺合する雌螺子が形成されている。操作レバー11Aは、ボルト16fに当該筒状部の雌螺子が螺合することによって傾動部16に着脱可能とされている。
【0042】
傾動部16に操作レバー11Aが取り付けられた状態において、傾動部16は、操作レバー11Aの押し引きの操作に伴って傾動する。傾動部16は、容器2に接近する方向(奥側)、及び容器2から離隔する方向(手前側)に傾動することによって飲料注出部13から飲料を注出させる。
【0043】
より具体的には、傾動部16は、操作レバー11Aが引かれて容器2から離隔する方向に傾動するときに前述したスライド弁を奥側に移動させて液体用ノズル14から飲料Bの液体を注出させる。そして、傾動部16は、操作レバー11Aが押されて容器2に接近する方向に傾動するときに当該スライド弁を手前側に移動させて発泡体用ノズル15から飲料Bの発泡体を注出させる。
【0044】
以上のカラン100は、業務用の飲料サーバーの筐体に取り付けられているときには、操作レバー11Aの押し引きが行われても当該筐体の重量が大きいため問題ない。これに対し、業務用に限られず、例えば家庭用であっても、カラン100と同様に飲料Bの液体ときめ細かい泡を注出して発泡性飲料を楽しみたい場合がある。
【0045】
このような場合に、軽量容器である容器2に装着機構3を介してカラン100を装着することが求められる。しかしながら、カラン100が装着機構3を介して容器2に装着された状態で操作レバー11Aが押し引きされると、容器2が軽いので容器2が傾いて倒れる可能性がある。よって、カラン100を備えた飲料注出装置では、片手で飲料Bを注出できないという問題がある。
【0046】
これに対し、図1に示されるように、本実施形態のカラン10では、カラン100の操作レバー11Aに代えて、操作レバー20がカラン本体12に装着される。この操作レバー20を有するカラン10を備えた飲料注出装置1では、片手で飲料Bを注出することが可能である。例えば、飲料注出装置1の容器2を冷蔵庫に入れた状態で片手で飲料Bを注出できる。
【0047】
図6は、操作レバー20を示す斜視図である。図1図5及び図6に示されるように、操作レバー20は、傾動部16のボルト16fが挿通される貫通孔21が形成された板状部22を有する。操作レバー20は、例えば、板状部22から離隔するに従って斜め上方に延在している。
【0048】
一例として、操作レバー20は矩形板状を呈する。操作レバー20は、板状部22と、板状部22の長手方向の一端から斜め上方に傾斜する第1傾斜部23と、第1傾斜部23の板状部22とは反対側に位置する操作部24とを有する。操作部24は、飲料Bを注出する注出者M(図7参照)によって上下方向に押される部位である。更に、操作レバー20は、板状部22の長手方向の他端から斜め上方に傾斜する第2傾斜部25と、第2傾斜部25の板状部22とは反対側に位置する頂部26とを有する。
【0049】
貫通孔21は、例えば、円形状を呈する。貫通孔21の直径は、ボルト16fの直径よりも大きい。一例として、第1傾斜部23の長手方向の長さは板状部22の長手方向の長さよりも長い。例えば、板状部22に対する第1傾斜部23の傾斜角度は、板状部22に対する第2傾斜部25の傾斜角度よりも小さい。
【0050】
板状部22に対する操作部24の傾斜角度は、板状部22に対する第1傾斜部23の傾斜角度よりも小さい。操作部24は、板状部22から斜め上方に延びる第1傾斜部23の上端から板状部22とは反対側に延びている。一例として、操作部24は、板状部22と略平行に延びていてもよい。
【0051】
操作レバー20の長手方向における第2傾斜部25の長さは、操作レバー20の長手方向における第1傾斜部23の長さよりも短い。頂部26は、板状部22から斜め上方に延びる第2傾斜部25の上端から板状部22とは反対側に延びている。一例として、板状部22に対する操作部24の高さは、板状部22に対する頂部26の高さと同一である。
【0052】
図7(a)は、操作部24が上方に押される(引き上げられる)操作を示す斜視図である。図7(b)は、操作部24が下方に押される(押し下げられる)操作を示す斜視図である。例えば、飲料注出装置1は、傾動部16に操作レバー20を着脱可能とする着脱機構を備え、当該着脱機構は傾動部16のボルト16fとナット17とを含む。操作レバー20は、第1傾斜部23が板状部22から斜め上方に延びる向きで貫通孔21に傾動部16のボルト16fが通され、ボルト16fにナット17が締め付けられることにより傾動部16に取り付けられる。
【0053】
図1図7(a)及び図7(b)に示されるように、注出者Mの手指Fによって操作部24が上方に向かって押されると、傾動部16が容器2から離隔する方向に傾動する。「手指」とは、注出者の指又は手を示している。傾動部16が容器2から離隔する方向に傾動すると、カラン本体12の前述したスライド弁が奥側に移動して液体用ノズル14から飲料Bの液体が注出される。
【0054】
一方、注出者Mの手指Fによって操作部24が下方に向かって押されると、傾動部16が容器2に接近する方向に傾動する。傾動部16が容器2に接近する方向に傾動すると、上記のスライド弁が手前側に移動して発泡体用ノズル15から飲料Bの発泡体が注出される。
【0055】
操作レバー20は傾動部16から容器2に向かって延びており、傾動部16から容器2に向かって延在する操作レバー20の先端部に操作部24が設けられる。従って、上記のように操作部24が手指Fで上方又は下方に押されても、容器2が倒れないようにすることができる。よって、片手で飲料Bを注出することが可能である。
【0056】
操作レバー20の操作部24は、傾動部16よりも容器2の重心線L寄りの位置に設けられる。例えば、操作レバー20は、カラン本体12及び装着機構3の上方においてカラン本体12及び装着機構3に沿って延在している。カラン本体12又は装着機構3から操作レバー20までの距離(上下方向への間隔)は、板状部22から離隔するに従って大きくなっている。従って、操作部24を押し下げてもカラン本体12又は装着機構3に操作レバー20が接触することを抑制できる。
【0057】
例えば、操作部24は、カラン本体12が延在する方向(図1では左右方向)における傾動部16と重心線Lとの間に位置している。これにより、操作部24が押されたときにおける容器2の転倒をより確実に抑制できる。また、操作部24は、重心線Lよりも更に傾動部16とは反対側(図1における重心線Lよりも左側)に位置していてもよい。この場合も飲料Bの注出時における容器2の転倒が抑制される。なお、操作部24は重心線Lの真上に位置していてもよい。この場合、容器2をより確実に安定させて転倒を一層確実に抑制できる。
【0058】
次に、本実施形態に係る飲料注出装置1、カラン10及び操作レバー20から得られる作用効果についてより詳細に説明する。飲料注出装置1、カラン10及び操作レバー20では、飲料Bを収容する容器2が口部2bを有し、口部2bから流出した飲料Bをカラン10が注出する。カラン10は、容器2に接近する方向、及び容器2から離隔する方向に傾動する傾動部16を有し、傾動部16が傾動することによって飲料Bがカラン10の飲料注出部13から注出される。操作レバー20は、傾動部16から容器2に向かって延びており、飲料Bを注出する注出者Mによって上下方向に押される操作部24を有する。操作部24が上下方向に押されることによって傾動部16が傾動して飲料Bが注出される。従って、操作レバー20の操作部24が上下方向に押されることによって飲料Bが注出されるので、前後方向に押し引きされる操作レバー11Aと比較して、操作時に容器2を倒れにくくすることができる。
【0059】
また、操作部24は、傾動部16よりも、容器2の重心から鉛直上方に延びる重心線L寄りの位置に設けられる。よって、操作部24が上下方向に押されるときに容器2に生じるモーメントを小さく抑えることができるので、片手で操作部24を上下方向に押しても容器2を倒れないようにすることができる。従って、容器2を収容すると共にカラン10を支持する筐体等を不要にできるので、装置のコンパクト化を実現させることができる。更に、飲料Bを注出する対象のグラス等を片手で持って、グラス等を持つ手とは別の手で操作部24を操作することができる。よって、グラス等をおいて当該グラス等に飲料Bを注出する場合と比較して、グラス等を持って注出することで品質が高い飲料Bを注出できる。具体例として、飲料Bがビールテイスト飲料である場合には、グラス等を持って注出した方が粗い泡を発生しにくくできるので、生ビール品質に近く品質が良好なビールテイスト飲料を提供できる。
【0060】
操作レバー20は、傾動部16から離隔するに従ってカラン本体12から離隔するように斜め上方に延在してもよい。この場合、操作部24が下方向に押されたときにおけるカラン本体12への操作部24の接触をより確実に抑制できる。従って、操作部24の操作性を良好にできるので、より使いやすい操作レバー20とすることができる。
【0061】
飲料注出装置1は、傾動部16に操作レバー20を着脱可能とする着脱機構を備えてもよい。この場合、カラン10の傾動部16から操作レバー20を外すことが可能となるので、操作レバー20単体で洗浄等を行うことができる。このように操作レバー20を外して操作レバー20のみの洗浄を行うことが可能となるので、操作レバー20のメンテナンス性を良好にすることができる。
【0062】
操作レバー20は、貫通孔21を有してもよい。上記の着脱機構は、傾動部16の外面に形成されたボルト16fと、貫通孔21にボルト16fが通された操作レバー20を締め付けるナット17とを含んでもよい。この場合、操作レバー20は、ボルト16f及びナット17によって傾動部16に着脱可能とされている。従って、傾動部16に操作レバー20を容易に着脱できると共に、ボルト16f及びナット17によって操作レバー20をより強固に傾動部16に固定できる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る飲料注出装置について図8図12を参照しながら説明する。第2実施形態に係る飲料注出装置の一部の構成は、前述した飲料注出装置1の一部の構成と同一である。従って、以下では、飲料注出装置1の説明と重複する説明を適宜省略する。図8に示されるように、第2実施形態に係る飲料注出装置は、操作レバー20とは異なる操作レバー40が取り付けられるカラン31を備える。
【0064】
図9は、操作レバー40を示す斜視図である。図10は、図9とは異なる方向から見た操作レバー40を示す斜視図である。図8図10に示されるように、操作レバー40は、傾動部16のボルト16fが挿通される貫通孔41が形成された板状部42を有する。操作レバー40は、板状部42の長手方向の一端から斜め上方に傾斜する第1傾斜部43と、第1傾斜部43の板状部42とは反対側に位置する第1操作部44(操作部)とを有する。
【0065】
更に、操作レバー40は、板状部42の長手方向の他端から斜め上方に傾斜する第2傾斜部45と、第2傾斜部45の板状部42とは反対側に位置する第2操作部46(操作部)とを有する。第1操作部44及び第2操作部46のそれぞれは、飲料Bを注出する注出者Mによって上下方向に押される部位である。
【0066】
貫通孔41は、例えば、第1孔部41bと、第1孔部41bよりも面積が広い第2孔部41cとを含んでいる。第1孔部41b及び第2孔部41cは操作レバー40の厚さ方向に沿って並んでいる。一例として、第1孔部41b及び第2孔部41cは共に円形状を呈しており、第2孔部41cの直径は第1孔部41bの直径よりも大きい。操作レバー40は、第2孔部41cが下を向けられた状態で傾動部16に取り付けられる。また、操作レバー40は、第2操作部46が手前側に向けられると共に第1操作部44が奥側に向けられた状態でナット17によって傾動部16(ボルト16f)に取り付けられる。
【0067】
一例として、第1傾斜部43及び第1操作部44と、第2傾斜部45及び第2操作部46とは、貫通孔41の中心に対して互いに対称とされている。第1操作部44の厚さ(操作レバー40の板厚方向への長さ)は、第1傾斜部43から離隔するに従って(操作レバー40の長手方向の端部に向かうに従って)薄くなっている。これにより、第1操作部44は上下方向(操作レバー40の板厚方向)に押して操作しやすい形状とされている。第2操作部46も、第1傾斜部43と同様、操作レバー40の長手方向の端部に向かうに従って薄くなっている。
【0068】
図8及び図11に示されるように、カラン31は、注出者Mの手指Fが掛けられる手指支持部50を有する。手指支持部50は、例えば、板状を呈する。手指支持部50は、カラン31のカラン本体12に装着され、カラン本体12に装着された状態でカラン本体12から水平方向に突出している。例えば、手指支持部50は、カラン本体12に装着される装着部52と、装着部52から水平方向に突出する突出部51とを有する。
【0069】
装着部52は、カラン本体12が入り込むことが可能な半筒状を呈する。例えば、装着部52は凹状とされており、装着部52の凹状とされた部分にカラン本体12が入り込むことによってカラン本体12に装着される。例えば、装着部52は、柱状のカラン本体12が入り込む凹状に湾曲した内周面53を有する。一例として、内周面53は、円柱状のカラン本体12が入り込む円筒状の内面である。
【0070】
装着部52は、飲料注出部13(液体用ノズル14及び発泡体用ノズル15)が挿通される孔部54を有する。孔部54は、手指支持部50の板厚方向に貫通する貫通孔である。孔部54は、半筒状の装着部52の軸線が延びる方向(装着部52の長手方向)に沿って延在している。孔部54には、装着部52の軸線が延びる方向に沿って液体用ノズル14及び発泡体用ノズル15が並ぶように液体用ノズル14及び発泡体用ノズル15が挿通される。このとき、カラン本体12が内周面53に接触し、装着部52にカラン本体12が嵌まり込むことによってカラン本体12に手指支持部50が装着される。
【0071】
手指支持部50は、例えば、一対の突出部51を有し、一対の突出部51は装着部52から互いに反対方向に突出している。一例として、突出部51は平板状を呈する。突出部51には、飲料Bを注出する注出者Mの手指Fが掛けられる。一対の突出部51のそれぞれに注出者Mの複数の指のそれぞれが当接することによって飲料Bの注出時における容器2の転倒が防止される。
【0072】
図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態に係る飲料注出装置から飲料Bを注出する方法の例を示す斜視図である。図12(a)及び図12(b)に示されるように、注出者Mの手指Fによって第2操作部46が押されると、傾動部16が容器2から離隔する方向に傾動して液体用ノズル14から飲料Bの液体が注出される。
【0073】
このとき、注出者Mは、指F1(例えば親指)によって第2操作部46を押すと共に指F1とは異なる指F2(例えば人差し指、中指又は薬指)を手指支持部50(突出部51)の下面に接触させることにより、指F1によって下方に押される力を指F2によって相殺することができる。従って、飲料Bの液体の注出時に容器2を安定させることができるので、容器2の転倒が抑制され、且つ片手(例えば右手)で飲料Bの液体を注出できる。
【0074】
一方、注出者Mの手指Fによって第1操作部44が押されると、傾動部16が容器2に接近する方向に傾動して発泡体用ノズル15から飲料Bの発泡体が注出される。このとき、注出者Mは、指F1によって第1操作部44を押すと共に指F1とは異なる指F2を手指支持部50(突出部51)の下面に接触させることにより、このときも指F1によって下方に押される力を指F2によって相殺することができる。従って、飲料Bの発泡体の注出時に容器2を安定させることができるので、容器2の転倒が抑制され、且つ片手(例えば左手)で飲料Bの発泡体を注出できる。
【0075】
以上、第2実施形態に係る飲料注出装置、カラン31及び操作レバー40では、図8図12(a)及び図12(b)に示されるように、操作部(第1操作部44)は、傾動部16よりも、容器2の重心から鉛直上方に延びる重心線L寄りの位置に設けられる。よって、第1操作部44が上下方向に押されるときに容器2に生じるモーメントを小さく抑えることができるので、片手で第1操作部44を上下方向に押しても容器2を倒れないようにすることができる。従って、第1実施形態と同様、容器2を収容すると共にカラン31を支持する筐体等を不要にできるので、装置のコンパクト化を実現させることができる。
【0076】
第2実施形態では、第1操作部44及び第2操作部46のそれぞれを押し下げることによって飲料Bの発泡体及び液体のそれぞれを注出できる。更に、第2実施形態に係る飲料注出装置は、操作部(第1操作部44又は第2操作部46)を操作する注出者Mの手指Fを支持することによって容器2が傾くことを規制する手指支持部50を備える。この場合、手指支持部50が注出者Mの手指Fを支持することによって、飲料Bの注出時における容器2の傾きが規制される。従って、注出時における容器2の転倒をより確実に抑制することができる。
【0077】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る飲料注出装置について図13(a)及び図13(b)を参照しながら説明する。図13(a)及び図13(b)に示されるように、第3実施形態に係る飲料注出装置は、前述した操作レバー20,40とは異なる操作レバー60が取り付けられるカラン71を備える。
【0078】
操作レバー60は、例えば、カラン71のカラン本体12の手前側に取り付けられる。操作レバー60は、傾動部16から手前側に延在する上側延在部61と、上側延在部61の下方においてカラン本体12に対して手前側に延在する下側延在部62と、上側延在部61及び下側延在部62を互いに接続する接続部63とを有する。
【0079】
更に、操作レバー60は、傾動部16に取り付けられる取付部64を有する。取付部64は、例えば、上側延在部61の接続部63側の端部に位置する。取付部64は、前述した貫通孔21と同様の貫通孔を有し、当該貫通孔にボルト16fが挿通されることによって操作レバー60が傾動部16に取り付けられる。接続部63は、取付部64から手前側且つ斜め下方に延在している。接続部63の取付部64とは反対側の端部(下端)から下側延在部62が突出している。
【0080】
第3実施形態に係る飲料注出装置は、注出者Mの手指Fが掛けられる手指支持部65を有する。手指支持部65は、例えば、カラン本体12に取り付けられる。一例として、手指支持部65は、カラン本体12の長手方向の端部(手前側の端部)に取り付けられる。手指支持部65は、例えば,有底筒状(一例として有底円筒状)を呈する。
【0081】
すなわち、手指支持部65は、内周面65c及び底面65dが形成された筒状部65bを有する。筒状部65bがカラン本体12の端部に嵌め込まれることによってカラン本体12に手指支持部65が装着される。なお、手指支持部65は、カラン本体12に対して着脱自在とされていてもよい。
【0082】
第3実施形態に係る飲料注出装置では、注出者Mの指F1が上側延在部61を下方に押すと共に指F1とは異なる指F2で手指支持部65を押さえることによって、容器2の転倒を規制しつつ飲料Bの液体を注出できる。一方、注出者Mの指F1が下側延在部62を上方に押す(引き上げる)と共に指F1とは異なる指F2で手指支持部65を押さえることによって、容器2の転倒を規制しつつ飲料Bの発泡体を注出できる。従って、第3実施形態に係る飲料注出装置、カラン71及び操作レバー60からは第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0083】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る飲料注出装置について図14図15(a)及び図15(b)を参照しながら説明する。図14図15(a)及び図15(b)に示されるように、第4実施形態に係る飲料注出装置は、操作レバー81が取り付けられたカラン80を備える。
【0084】
操作レバー81は、傾動部16(ボルト16f)に取り付けられる棒状部82と、棒状部82を握る手と同じ手で握られる第1手指支持部83及び第2手指支持部84とを有する。棒状部82は、例えば、前述した操作レバー11Aと同様の操作レバーであり、棒状部82の内面に形成された雌螺子がボルト16fに螺合することによって傾動部16に取り付けられる。
【0085】
第1手指支持部83及び第2手指支持部84のそれぞれは、カラン本体12から上方に延在している。第1手指支持部83は棒状部82よりも手前側に位置しており、第2手指支持部84は棒状部82よりも奥側に位置している。すなわち、カラン本体12の長手方向において第1手指支持部83と第2手指支持部84との間に棒状部82が設けられる。一例として、第1手指支持部83及び第2手指支持部84のそれぞれは上方に向かうに従って棒状部82から離隔するように傾斜している。
【0086】
以上の操作レバー81を備えるカラン80では、片手で飲料Bの液体及び発泡体を注出することが可能である。具体的には、注出者Mは、棒状部82を指F1で引くと共に指F1とは異なる指F2で第1手指支持部83を持つように棒状部82及び第1手指支持部83を握ることよって、傾動部16が容器2から離隔する方向に傾動するので、飲料Bの液体を注出できる。このとき、棒状部82を手前側に引く力が第1手指支持部83を奥側に支持する力で相殺されるので、容器2の転倒が規制される。
【0087】
注出者Mは、第2手指支持部84を指F1で引くと共に指F1とは異なる指F2で棒状部82を押すように第2手指支持部84及び棒状部82を握ることによって、傾動部16が容器2に接近する方向に傾動するので、飲料Bの発泡体を注出できる。このとき、棒状部82を奥側に押す力が第2手指支持部84を手前側に引く力で相殺されるので、容器2の転倒が規制される。以上より、飲料Bの液体の注出時、及び飲料Bの発泡体の注出時における容器2の転倒を規制できるので、第4実施形態からは第2実施形態及び第3実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0088】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る飲料注出装置について図16を参照しながら説明する。図16に示されるように、第5実施形態に係る飲料注出装置は、操作レバー95が取り付けられたカラン90を備える。操作レバー95は、前述した操作レバー81等と同様、傾動部16に取り付けられる。
【0089】
操作レバー95は、例えば、側面視においてU字状を呈する。操作レバー95は、傾動部16から上方に延びる支持部91と、支持部91の下端においてカラン本体12の長手方向に延びる延在部94と、延在部94の手前側の端部から斜め上方に延在する第1傾動部92と、延在部94の奥側の端部から斜め上方に延在する第2傾動部93とを有する。なお、支持部91は、カラン本体12に取り付けられていてもよく、カラン本体12から延在していてもよい。
【0090】
例えば、第1傾動部92及び第2傾動部93のそれぞれは上方に向かうに従って支持部91から離隔するように傾斜している。第1傾動部92、第2傾動部93及び延在部94は、一体とされている。第1傾動部92、第2傾動部93及び延在部94は、一体で支持部91に対して傾動可能とされている。
【0091】
カラン90では、片手で飲料Bの液体及び発泡体を注出することが可能である。具体的には、注出者Mは、第2傾動部93を引くと共に同じ手で支持部91を押すように第2傾動部93及び支持部91を握ることにより、傾動部16が容器2から離隔する方向に傾動するので、飲料Bの液体を注出できる。一方、注出者Mは、第1傾動部92を押すと共に同じ手で支持部91を引くように第1傾動部92及び支持部91を握ることにより、傾動部16が容器2に接近する方向に傾動するので、飲料Bの発泡体を注出できる。以上より、飲料Bの液体の注出時、及び飲料Bの発泡体の注出時における容器2の転倒を規制できるので、第5実施形態からは第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0092】
以上、本開示に係る飲料注出装置、カラン及び操作レバーの種々の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る飲料注出装置、カラン及び操作レバーは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、本開示に係る飲料注出装置、カラン及び操作レバーの各部の構成、形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。更に、前述では、第1~第5実施形態について説明したが、これらの一部が複数組み合わされた飲料注出装置であってもよい。
【0093】
例えば、前述の実施形態では、図1に示されるように、傾動部16から容器2に向かって延びている操作レバー20について説明した。しかしながら、操作レバーは、傾動部から容器に向かって延びていないものであってもよく、例えば、手指支持部が取り付けられるものであってもよい。すなわち、本開示に係る操作レバーは、
容器に収容されている飲料を注出するカランに取り付けられる操作レバーであって、
前記カランは、前記容器に接近する方向、及び前記容器から離隔する方向に傾動することによって前記飲料を注出する傾動部を有し、
前記飲料を注出する注出者によって押され、押されることによって前記傾動部を傾動させる操作部と、
前記操作部を操作する前記注出者の手指を支持することによって前記容器が傾くことを規制する手指支持部と、
を備えた操作レバーであってもよい。そして、この操作レバーが取り付けられたカラン、又はこの操作レバーが取り付けられたカランを備える飲料注出装置であってもよい。
【0094】
前述の実施形態では、矩形板状を呈する操作レバー20について説明した。しかしながら、操作レバーの形状は特に限定されない。例えば、傾動部16が通される貫通孔が形成された板状部から離隔するに従って幅が広くなる操作レバーであってもよい。このように、操作レバーの形状は適宜変更可能である。また、操作レバー20では、操作部24が上下方向に押される例について説明した。しかしながら、操作レバー20では、頂部26が上下方向に押されてもよく、この場合も飲料Bを注出できる。
【0095】
前述の実施形態では、ペットボトルである容器2について説明した。しかしながら、装着機構を介してカランが装着される容器は、ペットボトル以外の容器であってもよい。この容器は、例えば、瓶、缶又はグラウラー(又は水筒)であってもよい。グラウラーは、飲料の持ち運びが可能な容器であって、飲料の保温が可能な容器である。また、複数の容器(例えば複数の飲料缶)に装着機構を介してカランが取り付けられてもよい。更に、容器は、プラスチック容器、又は現行の飲料サーバーよりも小型又は軽量化された飲料サーバーであってもよい。すなわち、容器は持ち運びが可能な軽量容器であってもよく、容器の種類は特に限定されない。
【符号の説明】
【0096】
1…飲料注出装置、2…容器、2b…口部、3…装着機構、3b…筒状部、3c…突出部、3d…穴部、3f…固定部、3g…延在部、3h…側面、4…ボンベ、5…ボンベ取付部材、5b…ボンベ保持部、5c…取付部、6…筒状部材、10…カラン、12b…筒状部、12c…取付部、12d…突出部、13…飲料注出部、14…液体用ノズル、15…発泡体用ノズル、16…傾動部、16b…環状部、16c…傾斜部、16d…拡径部、16f…ボルト、17…ナット、20…操作レバー、21…貫通孔、22…板状部、23…第1傾斜部、24…操作部、25…第2傾斜部、26…頂部、31…カラン、40…操作レバー、41…貫通孔、41b…第1孔部、41c…第2孔部、42…板状部、43…第1傾斜部、44…第1操作部(操作部)、45…第2傾斜部、46…第2操作部(操作部)、50…手指支持部、51…突出部、52…装着部、53…内周面、54…孔部、60…操作レバー、61…上側延在部、62…下側延在部、63…接続部、64…取付部、65…手指支持部、65b…筒状部、65c…内周面、65d…底面、71,80…カラン、81…操作レバー、82…棒状部、83…第1手指支持部、84…第2手指支持部、90…カラン、91…支持部、92…第1傾動部、93…第2傾動部、94…延在部、95…操作レバー、B…飲料、C…チューブ、F…手指、F1,F2…指、L…重心線、M…注出者。
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