(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171059
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】プロセス制御装置及びプロセス制御方法
(51)【国際特許分類】
G05B 13/02 20060101AFI20231124BHJP
G05B 11/36 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G05B13/02 B
G05B11/36 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083274
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 数馬
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA14
5H004GB02
5H004GB03
5H004HA05
5H004HB05
5H004KC35
5H004KC39
(57)【要約】
【課題】制御対象の特性が変動したとしても、適宜適切な制御パラメータを適用することが可能なプロセス制御装置及びプロセス制御方法を提供する。
【解決手段】制御対象の制御量を制御目標値に制御するプロセス制御装置は、制御対象のプロセス特性に対応させてモデル化された内部モデル制御を実行し、制御対象に対する操作量を出力する制御器を備える。制御対象の制御量以外の出力が制御器にフィードバックされ、制御器は、制御対象からフィードバックされた出力に応じて、内部モデル制御に含まれる制御パラメータを変更するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の制御量を制御目標値に制御するプロセス制御装置であって、前記制御対象のプロセス特性に対応させてモデル化された内部モデル制御を実行し、制御対象に対する操作量を出力する制御器を備えるものにおいて、
前記制御対象の前記制御量以外の出力が前記制御器にフィードバックされ、
前記制御器は、前記制御対象からフィードバックされた前記出力に応じて、前記内部モデル制御に含まれる制御パラメータを変更するように構成されるプロセス制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のプロセス制御装置であって、前記制御器が、前記制御目標値と前記制御量との偏差に対して比例演算を行う比例器を有するものにおいて、
前記制御パラメータは前記比例演算のゲインであるプロセス制御装置。
【請求項3】
前記操作量はプロセスが行われる処理槽への液体の投入量であり、前記制御量は前記処理槽内に投入された前記液体の液面であり、前記出力は前記処理槽から抜出される前記液体の抜出量である請求項1記載のプロセス制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロセス制御装置を用いたプロセス制御方法であって、
前記出力と前記制御パラメータとの関係を取得する取得工程と、
前記制御対象から前記制御器にフィードバックされた前記出力が変化したときに、前記取得工程で取得した前記関係を用いて変化後の前記出力に対応する前記制御パラメータに変更する変更工程と、を含むプロセス制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセス制御装置及びプロセス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、例えば、プラントにおいて、制御対象となるプロセスの値を所定の目標値にフィードバック制御するプロセス制御装置が開示されている。このプロセス制御装置は、制御対象の特性に対応させてモデル化された所謂内部モデル制御を実行する制御器を備える。制御器は、比例器と、正帰還要素である補償器と、加算器とを有する。比例器は、制御目標値(SV)と制御対象の制御量(PV)との偏差を入力とし、入力された偏差に対して比例演算を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1では、制御器内部のプロセスモデルが固定であることに加えて、プロセスモデルの制御パラメータである比例器のゲインも固定されている。このため、条件によって変動する制御対象の特性に対し、適宜適切な制御パラメータを適用することができない。
【0005】
そこで、本開示は、制御対象の特性が変動したとしても、適宜適切な制御パラメータを適用することが可能なプロセス制御装置及びプロセス制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
制御対象の制御量を制御目標値に制御する本開示に係るプロセス制御装置は、前記制御対象のプロセス特性に対応させてモデル化された内部モデル制御を実行し、制御対象に対する操作量を出力する制御器を備え、前記制御対象の前記制御量以外の出力が前記制御器にフィードバックされ、前記制御器は、前記制御対象からフィードバックされた前記出力に応じて、前記内部モデル制御に含まれる制御パラメータを変更するように構成される。
【0007】
本開示において、前記制御器が、前記制御目標値と前記制御量との偏差に対して比例演算を行う比例器を有し、前記制御パラメータは前記比例演算のゲインであり得る。
【0008】
本開示は、前記操作量はプロセスが行われる処理槽への液体の投入量であり、前記制御量は前記処理槽内に投入された前記液体の液面であり、前記出力は前記処理槽から抜出される前記液体の抜出量である場合に好適に適用することができる。
【0009】
上記プロセス制御装置を用いた本開示に係るプロセス制御方法は、前記出力と前記制御パラメータとの関係を取得する取得工程と、前記制御対象から前記制御器にフィードバックされた前記出力が変化したときに、前記取得工程で取得した前記関係を用いて変化後の前記出力に対応する前記制御パラメータに変更する変更工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、制御対象の制御量以外の出力の変化に起因して制御対象の特性が変動したとしても、変化した出力に応じて制御器の制御パラメータを変更することで、制御対象の特性に対して最適な操作量を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1によるプロセス制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1による制御対象の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】制御パラメータの変更処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】抜出量と制御パラメータの関係を規定したマップを示す図である。
【
図5】実施の形態2による制御対象の構成の一例を示す模式図である。
【
図6】実施の形態2によるプロセス制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】制御量が一定の場合における操作量と制御パラメータの関係を規定したマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるプロセス制御装置の構成例を示すブロック図である。プロセス制御装置1は、例えば、石油化学プラント等の化学プラントや、鉄または紙等の製造プラントで利用される。プロセス制御装置1は、制御対象2となるプロセスの値、即ち、制御対象2の制御量PVを、制御目標値SVに制御するものである。本実施の形態では、
図2に示すように、制御対象2の制御量PVが、液位センサSsにより測定される処理槽Tk内の液体Lqの液面LSであり、操作量MVが、処理槽Tkに投入される液体投入量、すなわち、液体投入量を制御するバルブVaの開度である場合を例に説明する。このような制御対象2を、積分系の下式(1)で表す。
【0014】
【0015】
上式(1)中、Kpは積分系プロセスの特性パラメータ(ゲイン)であり、sはラプラス演算子であり、Lpは制御対象2のむだ時間である。
【0016】
特性パラメータKp及びLpは、以下の方法で求められる。即ち、制御対象2を液体Lqの抜出量AEが無い閉ループとすると、制御量PVは操作量MVの増分に比例して増加する。これらの操作量MVと制御量PVとの関係から、特性パラメータKpを求める。Lpは操作量MVの大小に関係なく固定値とし、固定値は、操作量MVが異なる複数のサンプルを基に決定することができる。
【0017】
図1に示すように、プロセス制御装置1は、制御器3と、外乱補償器4と、第1の減算器5と、第2の減算器6とを備える。
【0018】
制御器3は、制御対象2のプロセス特性に対応させてモデル化された所謂内部モデル制御を実行するものである。制御器3は、比例器31と、補償器32と、加算器33とを有する。
【0019】
比例器31は、第1の減算器5から入力された第1差分値に対して比例演算を行い、その演算値を加算器33に対して出力する。比例演算には、後述する制御パラメータKcとしての比例ゲインが用いられる。
【0020】
補償器32は、加算器33からフィードバックされた加算器33の出力に対して一次遅れ演算及びむだ時間演算を行い、その演算値を加算器33に対して出力する。補償器32の伝達関数は、上式(1)を考慮して設定されるものであり、具体的には、下式(2)で表すことができる。
【0021】
【0022】
上式(2)中、Lcは制御器3の内部モデルのむだ時間である。Lcは、式(1)のLpを用いて導出される。
【0023】
加算器33は、比例器31からの出力と補償器32からの出力とを加算し、その加算値を第2の減算器6に対して出力する。
【0024】
制御器3は、プロセス制御に関する各種プログラムを実行可能なコンピュータに相当し、図示省略する処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備える。メモリには、各種プログラムとして記述されるソフトウェアまたはファームウェアが記憶されており、プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行する。これにより、制御器3を構成するマップ部Mp1、比例器31、補償器32及び加算器33の各機能を実現することができる。また、マップ部Mp1の記憶部(以下「メモリ」と称する)には、後述する制御パラメータマップのデータ(以下、単に「マップデータ」という)DMp1が読み出し可能に格納されている。マップ部Mp1は、制御対象2の後述の流量センサSf等の出力Opである抜出量AEを入力とし、制御パラメータKcを比例器31に出力する。比例器31は、マップ部Mp1から入力された制御パラメータKcを比例器31の比例ゲインとして使用する。これにより、比例器31の比例ゲインが更新される。制御パラメータKcは、式(1)のKpを用いて導出される。
【0025】
外乱補償器4は、制御対象2から入力された制御量PVに対して所定のフィルタ演算を行い、その演算値を第2の減算器6に対して出力する。実際に制御対象2に付加された外乱から制御量PVまでの閉ループ伝達関数が安定限界に近づくように調整されている。なお、外乱は、例えば雷等であり、事前に検出不可能である。
【0026】
第1の減算器5は、制御目標値SVから制御対象2の制御量PVを減算し、その差分値である第1差分値を比例器31に対して出力する。
【0027】
第2の減算器6は、加算器33から入力された加算値から外乱補償器4から入力された演算値を減算し、その差分値である第2差分値を操作量MVとして制御対象2に対して出力する。
【0028】
ところで、
図2に示すプロセスでは、制御対象2から制御量PVとは異なる出力OPとして、処理槽Tkから抜出される抜出量AEがある。抜出量AEは、処理槽Tkからの抜き取り量に相当する。抜出量AEは、流量センサSfにより測定され、制御対象2に対して影響を与える。例えば、抜出量AEが大きく変化した場合、制御対象2の制御量PVを一定に保つためには、操作量MVを大きくする必要がある。この場合、抜出量AEと操作量MVとの関係は、線形関係として近似することができる。
【0029】
ここで、プロセス操業中に抜出量AEが変化すると、制御対象2の特性が変動するため、最適な操作量MVを生成することができない。
【0030】
そこで、本実施形態では、抜出量AEを制御器3にフィードバックすると共に、制御器3が、フィードバックされた抜出量AEに応じて、制御パラメータKcを変更するように構成した。制御パラメータKcの変更は、抜出量AEが変更されたタイミングで行われる。
【0031】
図3は、制御パラメータKcの変更処理の手順の一例を示すフローチャートである。フローチャートは、プロセス操業中、制御器3により繰り返し実行される。また、プロセス操業中、制御器3に対して抜出量AEが常時フィードバックされる。
【0032】
先ず、制御器3のマップ部Mp1が抜出量AEを取得する(ステップS10)。
【0033】
次に、抜出量AEの変更が有るか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11では、例えば、今回のステップS10で新たに取得した抜出量AEと前回のステップS10で取得した抜出量AEとの差の絶対値が所定値以上の場合には、抜出量AEの変更が有ると判定し(ステップS11のYES)、絶対値が所定値未満の場合には、抜出量AEの変更が無いと判定する(ステップS11のNO)。抜出量AEの変更が無い場合は、本処理を一旦終了する。抜出量AEの変更が有る場合には、ステップS12に移行する。このステップS11の処理が、判定工程に相当する。
【0034】
ステップS12では、マップ部Mp1のメモリからマップデータDMp1を読み出す。このステップS12の処理が、取得工程に相当する。
図4に示すように、マップデータDMp1には、抜出量AEと制御パラメータKcとの関係が規定されている。マップデータDMp1では、抜出量AEがAE1からAE2に増加するに連れて、制御パラメータKcもKc1からKc2まで直線的に増加している。なお、マップデータDMp1では、抜出量AEがAE1以下の範囲では、制御パラメータKcが最小値Kc1に固定されている。また、抜出量AEがAE2以上の範囲では、制御パラメータKcが最大値Kc2に固定されている。このように変更する制御パラメータKcの範囲に制約を設けることで、制御対象2に対して過剰な負荷を与えることを防止することができる。また、プラントにおいて、マージンを持って制御パラメータKcの変更(更新)を行うという要望に応えることができる。制御パラメータKcの決定については、例えば、Kc2は、本形態における制御対象2の操作量MVに係る制御パラメータの最大値と位置付けられる。操作量MVは、操作対象(例えばバルブVaの開度)の許容値や、もしくは制御対象(例えば処理槽Tkの液体投入量)の許容値を越えないように決定してもよい。また、例えば、最小値Kc1は、抜出量AE1以下の領域における制御対象2の許容精度の関係から決定してもよい。
【0035】
また、マップデータDMp1の代わりに、抜出量AEと制御パラメータKcとの関係を記述した関係式をマップ部Mp1のメモリに記憶しておき、メモリから関係式を読み出すようにしてもよい。この場合、後述するステップS13では、読み出した関係式を用いて制御パラメータKcを算出し、算出した制御パラメータKcに変更する。
【0036】
次に、制御器3のマップ部Mp1は、読み出したマップデータDMp1を参照して、フィードバックされた(即ち、今回のステップS10で取得した)抜出量AEに対応する制御パラメータKcを求め、比例器31の制御パラメータKcを変更(更新)する(ステップS13)。このステップS13の処理が、変更工程に相当する。その後、本処理を一旦終了する。
【0037】
本実施の形態によれば、プロセス操業中に抜出量AEの変化に起因して制御対象2の特性が変動したとしても、抜出量AEに応じて制御器3の制御パラメータKcを変更することで、制御対象2の特性に対して最適な操作量MVを生成することができる。即ち、制御対象2の特性が変動したとしても、操作量MVの生成に適切な制御パラメータKcを適宜適用することができる。
【0038】
実施の形態2.
図5は実施の形態2による制御対象の構成の一例を示す模式図である。
図5に示すプロセスでは、抜出量AEを測定する流量センサSfが存在しない点、つまり、抜出量AEが不知である点で実施の形態1と相違する。
【0039】
図6は、実施の形態2によるプロセス制御装置の構成例を示すブロック図である。
図6において
図1と同様の機能を示す要素については同一符号を付して、説明を省略する。以下、
図1との相違点を中心に説明する。
【0040】
実施の形態2のプロセス制御装置1Aは、
図1の制御器3に替えて制御器3Aを有する。制御器3Aは、
図1のマップ部Mp1に替えてマップ部Mp2を有する。さらに、第2の減算器6の出力である第2差分値は、操作量MVとして制御対象2に対して出力されると共に制御器3A内のマップ部Mp2に入力される。マップ部Mp2のメモリには、後述するように操作量MVと制御パラメータKcとの関係が規定されたマップデータDMp2が読み出し可能に格納されている。マップ部Mp2は、操作量MVに対応する制御パラメータKcを求め、求めた制御パラメータKcを比例器31に出力する。比例器31は、マップ部Mp2から入力された制御パラメータKcを比例ゲインとして使用する。これにより、比例器31の比例ゲインが変更される。
【0041】
本実施の形態では、
図7(a)に示すように、制御量PVが一定(例えば制御量PVがPV1)であるとき、操作量MVと制御パラメータKcとの関係は一意に定めることができる。そこで、
図7(b)に示すように規定するマップデータDMp2を作成し、マップ部Mp2のメモリに記憶しておく。例えば、
図7(a)に示すように制御量PVが制御量PV1で一定であるときの抜出量(推定値)AE11において適切な制御パラメータKcがKc11であり、そのときの操作量MVがMV11であったとする。また、例えば
図7(a)に示すように一定の制御量PV1において、抜出量AEが徐々に増加し、抜出量AE21にて適切な制御パラメータKcがKc21であり、そのときの操作量MVがMV21であったとする。この場合、
図7(b)に示すように、制御パラメータKcを操作量MVの関数として求めることができる。従って、
図7(b)に示す操作量MVと制御パラメータKcとの関係を規定したマップデータDMp2をマップ部Mp2に記憶しておけば、操作量MVを入力として適切な制御パラメータKcを求めることができる。即ち、Kc=fkc(MV)という関数で、適切な制御パラメータKcを求めることができる。
【0042】
なお、制御量PVの変動により、同一操作量MVでも適切な制御パラメータKcが変わる場合には、複数の制御量PV(例えば想定される制御量PVの下限と上限との間の複数の制御量PV)に対し、各々操作量MVと制御パラメータKcとの関係を規定したマップデータまたは関数(関係式)をマップ部Mp2のメモリに記憶し、マップ部Mp2に制御量PVも入力されるように構成する。そして、制御パラメータKcを操作量MVと制御量PVの関数として求められるように構成する。即ち、Kc=fkc(MV、PV)という関数で、適切な制御パラメータKcを求めることができる。例えば、制御量PV(x)且つ操作量MV(y)のときの制御パラメータKc(x、y)を求めたい場合には、制御量PV(x)以上で最も制御量PV(x)に近い値の操作量MV(x+)と制御パラメータKcとの関係を示す関数から求めた制御パラメータKc=fkc(MV、PV+)の値と、制御量PV(x)以下で最も制御量PV(x)に近い値の操作量MV(x-)と制御パラメータKcとの関係を示す関数から求めた制御パラメータKc=fkc(MV、PV-)の値とを補完して制御パラメータKcを求めるようにしてもよい。
【0043】
本実施の形態によれば、抜出量AEを測定できない場合でも、抜出量AEに応じた制御器3の制御パラメータKcに変更することができる。従って、上記実施の形態1と同様に、プロセス操業中に抜出量AEの変化に起因して制御対象2の特性が変動したとしても、適切な操作量MVを生成することができる。また、上記実施の形態1と同様に、変更する制御パラメータKcの範囲を最小値Kc1から最大値Kc2までの範囲に制約することで、制御対象2に対して過剰な負荷を与えることを防止することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態1及び2では、制御量PVが処理槽Tk内に導入される液体Lqの液面LSである場合を例に説明したが、これに限定されない。制御量PVが、例えば、温度、流量、圧力等の他のプロセス値であってもよい。この場合、制御対象2からの出力OPも、抜出量AEに限定されず、制御対象2の特性を変動させるものであればよい。また、マップデータDMp1,DMp2は、制御器3の外部にアクセス可能に設けられたメモリに格納されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…プロセス制御装置、2…制御対象、3…制御器、31…比例器、AE…抜出量、Kc…制御パラメータ,比例器31のゲイン、Lq…液体、LS…液面、MV…操作量、OP…出力、PV…制御量、SV…制御目標値、Tk…処理槽