(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171063
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】観測点決定装置及び観測点決定方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/16 20060101AFI20231124BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20231124BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20231124BHJP
G21C 17/013 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01T1/16 A
G01T1/167 C
G01T1/167 D
G21C17/00 500
G21C17/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083280
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 昌彦
【テーマコード(参考)】
2G075
2G188
【Fターム(参考)】
2G075CA11
2G075DA08
2G075EA01
2G075FA05
2G075FA13
2G075FC19
2G188AA06
2G188AA19
2G188BB17
(57)【要約】
【課題】観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図る。
【解決手段】観測点決定装置1は、対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する格子面作成部13と、対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する空間格子点作成部16と、を備える。観測点決定装置1は、観測点における観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功する観測点の最少点数を、観測対象の数と格子面の数とに基づいて決定する最少点数決定部15を備える。観測点決定装置1は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、空間格子点毎に判定する直達判定部17と、観測点の最少点数と直達判定部17の判定結果とに基づいて観測点を決定する観測点決定部19と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定装置であって、
前記対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する格子面作成部と、
前記対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する空間格子点作成部と、
前記観測点における観測結果から前記観測対象を推定する逆推定が成功する前記観測点の最少点数を、前記観測対象の数と前記格子面の数とに基づいて決定する最少点数決定部と、
各格子面の任意の点と前記空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、前記空間格子点毎に判定する直達判定部と、
前記観測点の前記最少点数と前記直達判定部の判定結果とに基づいて前記観測点を決定する観測点決定部と、を備える
ことを特徴とする観測点決定装置。
【請求項2】
前記観測点決定部は、
前記直線が直接到達する前記格子面の数が最も多い前記空間格子点を前記観測点に決定する第1決定部と、
前記観測点に決定された前記空間格子点に対して前記直線が直接到達しない前記格子面を特定し、特定された前記格子面からの前記直線が直接到達する他の前記空間格子点を前記観測点に決定する第2決定部と、を有し、
前記第2決定部は、前記第1決定部又は前記第2決定部により決定された前記観測点の数が前記最少点数以上となるまで、前記観測点の決定を継続する
ことを特徴とする請求項1に記載の観測点決定装置。
【請求項3】
前記第2決定部は、前記観測点に決定された前記空間格子点に対して前記直線が直接到達しない前記格子面が無くなるまで、前記観測点の決定を継続する
ことを特徴とする請求項2に記載の観測点決定装置。
【請求項4】
前記観測対象の数をn
sとし、前記格子面の数をmとし、前記最少点数をpとし、前記対象区域の構造に応じて予め定められた定数をαとすると、前記最少点数決定部は、式(1)を用いて前記最少点数を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の観測点決定装置。
【数1】
【請求項5】
前記観測対象は、前記対象区域に存在する放射線源であり、
前記観測結果は、前記放射線源から放射される放射線の測定結果であり、
前記観測点は、前記放射線の測定点である
ことを特徴とする請求項1に記載の観測点決定装置。
【請求項6】
前記観測対象は、前記対象区域に存在する監視対象物であり、
前記観測結果は、前記監視対象物を監視する監視カメラの撮像画像であり、
前記観測点は、前記監視カメラの設置点である
ことを特徴とする請求項1に記載の観測点決定装置。
【請求項7】
対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定方法であって、
前記対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成することと、
前記対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成することと、
前記観測点における観測結果から前記観測対象を推定する逆推定が成功する前記観測点の最少点数を、前記観測対象の数と前記格子面の数とに基づいて決定することと、
各格子面の任意の点と前記空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、前記空間格子点毎に判定することと、
前記観測点の前記最少点数と前記直線が直接到達するか否かの判定結果とに基づいて前記観測点を決定することと、を備える
ことを特徴とする観測点決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定装置及び観測点決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線測定の分野では、測定点の位置及び数を決定する場合、経験的又は法的な基準等から、放射性物質によって汚染され易い箇所を測定点に決定することが多い。しかしながら、測定点決定の合理性に係る評価は困難であるので、放射線測定の分野では、測定点数が過剰になったり不足したりすることが通例である。
【0003】
このような測定点の最適化を図ることの難しさは、放射線測定に限定されず、例えば、監視カメラの設置にも当て嵌まる。監視カメラの設置点の最適化を図る技術の1つとして、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、予め定められた被配置対象に配置される複数の配置対象の最適な配置条件を探索する最適配置探索装置に係る技術が開示されている。特許文献1に開示された技術は、前記被配置対象の範囲を表す範囲情報と、前記被配置対象に配置される前記複数の配置対象各々の配置条件を表す配置情報とを用いて、前記被配置対象に配置される1以上の前記配置対象の全ての配置条件を評価した評価値を算出する評価手段と、前記複数の配置対象の各々を注目対象に設定して、前記複数の配置対象を前記被配置対象に配置した場合の前記評価手段で算出される評価値と、当該注目対象を除いた残りの配置対象を前記被配置対象に配置した場合の前記評価手段で算出される評価値との間の変化量に応じた当該注目対象の寄与度を算出する寄与度算出手段と、前記複数の配置対象各々の配置条件を更新する更新処理であって、前記寄与度が最小値である寄与度最小配置対象の配置条件の更新を、該寄与度最小配置対象以外の配置対象の配置条件の更新よりも大きく変化させる更新処理を行う更新手段と、前記寄与度算出手段による寄与度の算出、前記更新手段による配置条件の更新、及び前記評価手段による評価値の算出を順に繰り返させることによって得られた、前記配置情報が表す前記複数の配置対象各々の配置条件を、最適な配置条件の探索結果として出力する反復判定手段と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、寄与度が最小値である寄与度最小配置対象の配置条件の更新を、該寄与度最小配置対象以外の配置対象の配置条件の更新よりも大きく変化させることにより、複数の配置対象の最適な配置条件を探索するに過ぎない。すなわち、特許文献1に開示された技術は、複数の配置対象の数自体が過剰になったり不足したりすることを是正することが難しい。
【0007】
放射線測定の分野では、高線量区域において測定点数が過剰になれば、測定の手間と労力が掛かるだけでなく放射線による被曝量の増加を招いてしまい、測定点数が不足すれば、放射線源の推定に支障を来す。したがって、放射線測定の分野では、放射線の測定結果から放射線源を逆推定できる程度に、測定点数を極力少なくすることが望ましい。このことは、監視カメラの設置点の最適化を図る場合にも当て嵌まる。すなわち、放射線測定に係る測定点や監視カメラの設置点のような観測点の最適化を図るという点において、特許文献1に開示された技術には改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることが可能な観測点決定装置及び観測点決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の観測点決定装置は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定装置であって、前記対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する格子面作成部と、前記対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する空間格子点作成部と、前記観測点における観測結果から前記観測対象を推定する逆推定が成功する前記観測点の最少点数を、前記観測対象の数と前記格子面の数とに基づいて決定する最少点数決定部と、各格子面の任意の点と前記空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、前記空間格子点毎に判定する直達判定部と、前記観測点の前記最少点数と前記直達判定部の判定結果とに基づいて前記観測点を決定する観測点決定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、観測点決定部は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることができる。
【0011】
更に好ましい態様として、前記観測点決定部は、前記直線が直接到達する前記格子面の数が最も多い前記空間格子点を前記観測点に決定する第1決定部と、前記観測点に決定された前記空間格子点に対して前記直線が直接到達しない前記格子面を特定し、特定された前記格子面からの前記直線が直接到達する他の前記空間格子点を前記観測点に決定する第2決定部と、を有し、前記第2決定部は、前記第1決定部又は前記第2決定部により決定された前記観測点の数が前記最少点数以上となるまで、前記観測点の決定を継続する。
【0012】
この態様により、観測点決定部は、観測点数を極力少なくしながらも、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保することができる。したがって、観測点決定部は、観測点数を極力少なくしながらも、観測点数が不足して観測対象の推定に支障を来すことを確実に抑止できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0013】
更に好ましい態様として、前記第2決定部は、前記観測点に決定された前記空間格子点に対して前記直線が直接到達しない前記格子面が無くなるまで、前記観測点の決定を継続する。
【0014】
この態様により、全ての格子面から観測点に対して直線が直接到達することとなるので、観測点決定部は、対象区域内の観測対象を死角無しで観測できるように観測点を決定することができる。したがって、観測点決定部は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を更に隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0015】
更に好ましい態様として、前記観測対象の数をnsとし、前記格子面の数をmとし、前記最少点数をpとし、前記対象区域の構造に応じて予め定められた定数をαとすると、前記最少点数決定部は、式(1)を用いて前記最少点数を決定する。
【0016】
【0017】
この態様により、最少点数決定部は、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保するように、最少点数pを決定することができる。したがって、観測点決定部は、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保しながら、観測点数を極力少なくするように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0018】
更に好ましい態様として、前記観測対象は、前記対象区域に存在する放射線源であり、前記観測結果は、前記放射線源から放射される放射線の測定結果であり、前記観測点は、前記放射線の測定点である。
【0019】
この態様により、観測点決定装置は、放射線の測定点数が過剰になって、測定の手間と労力が掛かり、且つ、放射線による被曝量の増加を招くことを確実に抑止することができる。加えて、観測点決定装置は、放射線の測定点数が不足して放射線源の推定に支障を来すことを確実に抑止することができる。よって、観測点決定装置は、放射線の測定点数を極力少なくしながら放射線源を確実に推定できるよう放射線の測定点の最適化を図ることができる。
【0020】
更に好ましい態様として、前記観測対象は、前記対象区域に存在する監視対象物であり、前記観測結果は、前記監視対象物を監視する監視カメラの撮像画像であり、前記観測点は、前記監視カメラの設置点である。
【0021】
この態様により、観測点決定装置は、監視カメラの設置点数が過剰になって、設置の手間と労力が掛かることを確実に抑止することができる。加えて、観測点決定装置は、監視カメラの設置点数が不足して対象区域に死角が生じ、監視対象物の監視に支障を来すことを確実に抑止することができる。よって、観測点決定装置は、監視カメラの設置点数を極力少なくしながら監視対象物を確実に監視することができるよう監視カメラの設置点の最適化を図ることができる。
【0022】
また、本発明の観測点決定方法は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定方法であって、前記対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成することと、前記対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成することと、前記観測点における観測結果から前記観測対象を推定する逆推定が成功する前記観測点の最少点数を、前記観測対象の数と前記格子面の数とに基づいて決定することと、各格子面の任意の点と前記空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、前記空間格子点毎に判定することと、前記観測点の前記最少点数と前記直線が直接到達するか否かの判定結果とに基づいて前記観測点を決定することと、を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成により、観測点決定方法は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定方法は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることが可能な観測点決定装置及び観測点決定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態の観測点決定装置の構成を示す図。
【
図2】線源ベクトル、線量ベクトル及び行列の関係を示す図。
【
図3】対象区域の3次元CGモデルの一例を示す図。
【
図4】格子面作成部により作成される格子面を説明する図。
【
図7】観測点決定装置によって行われる処理の概略を示すフローチャート。
【
図8】
図7に続いて行われる処理の概略を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0027】
図1は、本実施形態の観測点決定装置1の構成を示す図である。
図2は、線源ベクトルω、線量ベクトルy及び行列Xの関係を示す図である。
図3は、対象区域の3次元CGモデルの一例を示す図である。
図4は、格子面作成部13により作成される格子面を説明する図である。
図5は、直達判定部17の処理内容を説明する図である。
図6は、観測点決定部19の処理内容を説明する図である。
【0028】
観測点決定装置1は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定するシステムを搭載した装置である。観測点を決定するとは、観測点の位置及び数を決定することである。対象区域は、観測点を決定する対象となる区域である。対象区域は、例えば、放射性物質の漏洩事故が発生した原子力発電所及びその周辺地域のような放射性物質の汚染区域である。この場合、観測対象は、対象区域に存在する放射線源である。観測結果は、放射線源から放射される放射線の測定結果である。放射線の測定結果は、例えば、空間線量率等の放射線量である。観測点は、放射線の測定点である。
【0029】
また、対象区域は、例えば、部品の盗難及び不審者の侵入等を抑止するために監視カメラ等によって監視される監視区域であってもよい。この監視区域には、一般的な施設の他、放射性物質が保管された区域も含まれる。この場合、観測対象は、放射性物質を含む物品又は不審者等の、対象区域に存在する監視対象物である。観測結果は、監視対象物を監視する監視カメラの撮像画像である。観測点は、監視カメラの設置点である。
【0030】
本実施形態では、対象区域として、複雑構造を有する原子力発電所の建屋内を例に挙げ、観測対象として、対象区域に存在する放射線源を例に挙げ、観測結果として、当該放射線源から放射された放射線の測定結果を例に挙げ、観測点として、当該放射線の測定点を例に挙げて説明する。
【0031】
放射線測定の分野では、高線量区域において測定点数が過剰になれば、測定の手間と労力が掛かるだけでなく放射線による被曝量の増加を招いてしまい、測定点数が不足すれば、放射線源の推定に支障を来す。したがって、放射線測定の分野では、放射線の測定結果から放射線源を逆推定できる程度に、測定点数を極力少なくすることが望ましい。この逆推定は、スパースモデリングを用いた次のような手法によって実現され得る。
【0032】
すなわち、当該逆推定法では、対象区域を分割して得られた複数の領域(メッシュ、格子又は要素とも称する)に存在すると仮定された放射線源を示す線源ベクトルωを作成する。線源ベクトルωは、各領域に設定された放射線源から放射される放射線の強度を要素値とし、設定された全放射線源の数mを要素数とする列ベクトルである。更に、当該逆推定法では、複数の測定点において放射線量を測定して得られた測定値を示す線量ベクトルyを作成する。線量ベクトルyは、各測定点における測定値を要素値とし、測定点の数pを要素数とする列ベクトルである。更に、当該逆推定法では、線源ベクトルωが示す放射線源から測定点に放射される放射線が、測定値に寄与する度合いを示す行列X(寄与率行列Xとも称する)を計算する。行列Xは、線源ベクトルωが示す放射線源の数mと測定点の数pとに対応するp×m行列である。そして、当該逆推定法では、線源ベクトルω、行列X及び線量ベクトルyには、
図2に示すように、下記の式(2)のような関係が成り立つとする。
【0033】
【0034】
対象区域では、高強度の放射線源がまばらに存在することが多いことから、当該逆推定法では、線源ベクトルωをスパースベクトルとする。そして、当該逆推定法では、下記の式(3)に示す目的関数Dを最小化するような線源ベクトルωを探索するLASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)を用いて、線源ベクトルωを復元する。
【0035】
【0036】
これにより、当該逆推定法は、数少ない放射線の測定結果から、対象区域における放射線源の分布を精度良く推定することができる。但し、上記のように、その測定点数が不足すれば、当該逆推定が不成功になり、放射線源の推定に支障を来す。そこで、観測点決定装置1は、数少ない放射線の測定結果から放射線源を逆推定できるように、放射線の測定点(観測点)を決定する。
【0037】
観測点決定装置1は、いわゆるコンピュータシステムによって構成される。観測点決定装置1は、入力装置2と、通信装置3と、記憶装置4と、表示装置5と、演算処理装置10と、を備える。入力装置2は、キーボード又はマウス等によって構成される。通信装置3は、ネットワークを介して外部装置との通信を行う通信装置によって構成される。記憶装置4は、SSD又はHDD等によって構成される。記憶装置4は、演算処理装置10の処理に用いられる各種データ等を記憶する。表示装置5は、演算処理装置10の処理結果等を表示する液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイによって構成される。演算処理装置10は、CPU、ROM及びRAM等によって構成される。演算処理装置10は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、観測点決定装置1の各種機能を実現する。
【0038】
なお、観測点決定装置1のハードウェア構成は、
図1に示す構成に特に限定されない。演算処理装置10の一部の機能は、コンピュータネットワークを介して通信装置3に接続された外部コンピュータとの協働によって実現されてもよい。
【0039】
演算処理装置10は、対象区域情報取得部11と、モデル作成部12と、格子面作成部13と、観測対象情報取得部14と、最少点数決定部15と、空間格子点作成部16と、直達判定部17と、判定ベクトル作成部18と、観測点決定部19と、出力部20と、を備える。
【0040】
対象区域情報取得部11は、対象区域の構造に関する情報(以下「対象区域情報」とも称する)を取得する。対象区域情報は、例えば、対象区域の点群データ又はポリゴンデータである。対象区域情報は、対象区域を3次元スキャン又はフォトスキャンすることによって予め生成される。対象区域情報取得部11は、入力装置2又は通信装置3から対象区域情報を取得する。
【0041】
モデル作成部12は、対象区域情報取得部11により取得された対象区域情報を用いて、
図3に示すように、対象区域の構造物を表現する3次元CGモデル(以下「構造モデル」とも称する)を作成する。
【0042】
格子面作成部13は、対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する。具体的には、格子面作成部13は、モデル作成部12により作成された構造モデルによって表現される建屋内の各表面(壁面、床面、地面、天井面及び屋内構造物の表面等)を分割して複数の格子面を作成する。
図4には、屋内構造物の1つの表面を、複数の三角形の格子面に分割した例が示されている。本実施形態では、各格子面には放射線源が存在すると仮定する。各格子面に存在すると仮定された放射線源は、上記の線源ベクトルωが示す放射線源に相当する。格子面は、線源候補面であり得る。
【0043】
観測対象情報取得部14は、観測対象に関する情報である観測対象情報を取得する。観測対象情報は、観測対象の数を含む。本実施形態では、観測対象の数は、対象区域に存在する高強度の放射線源の数に相当し、ユーザによって予め定められている。観測対象情報取得部14は、入力装置2又は通信装置3から観測対象情報を取得する。
【0044】
最少点数決定部15は、観測点における観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功する観測点の最少点数を、観測対象の数と格子面の数とに基づいて決定する。ここで、観測対象情報取得部14により取得された観測対象情報に含まれる観測対象の数をnsとし、格子面作成部13により作成された格子面の数をmとし、観測点の最少点数をpとする。最少点数決定部15は、下記の式(1)を用いて最少点数pを決定する。
【0045】
【0046】
上記の式(1)において、αは、対象区域の構造に応じて予め定められた定数である。αは、2~4の範囲内の数値であってもよい。本実施形態では、例えば3.83であってもよい。式(1)は、Candes-Taoの条件とも称され、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を数学的に定めている。
【0047】
最少点数決定部15は、上記の式(1)を用いて最少点数pを決定することにより、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保するように、最少点数pを決定することができる。したがって、観測点決定部19は、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保しながら、観測点数を極力少なくするように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置1は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0048】
空間格子点作成部16は、対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する。具体的には、空間格子点作成部16は、モデル作成部12により作成された構造モデルによって表現される対象区域内の空間を分割して複数の空間格子を作成する。そして、空間格子点作成部16は、隣接する空間格子の各辺が交わる交点を空間格子点とする。空間格子と格子面とは重複しない。空間格子点は、観測点の候補点であり得る。
【0049】
直達判定部17は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達する(「直達する」とも称する)か否かを、空間格子点毎に判定する。すなわち、直達判定部17は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が、当該各格子面以外の格子面を介さずに当該空間格子点に直接到達するか否かを、空間格子点毎に判定する。例えば、
図5に示すように、直達判定部17は、1つの空間格子点に注目し、1つの格子面の任意の点と当該空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを判定する。次に、直達判定部17は、他の1つの格子面の任意の点と当該空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを判定する。このような判定を繰り返し、直達判定部17は、全ての格子面について、当該空間格子点との間を結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを判定する。その後、直達判定部17は、他の空間格子点に注目し、各格子面の任意の点と当該他の空間格子点とを結ぶ直線が当該他の空間格子点に直接到達するか否かを判定する。このような判定を繰り返し、直達判定部17は、全ての空間格子点について、各格子面からの直線が直接到達するか否かを判定する。なお、各格子面の任意の点とは、各格子面の中心点が望ましいが、各格子面内に位置する点であれば中心点以外の点であってもよい。
【0050】
判定ベクトル作成部18は、直達判定部17の判定結果を示す判定ベクトルを、空間格子点毎に作成する。すなわち、判定ベクトル作成部18は、1つの空間格子点に対して1つの判定ベクトルを作成する。例えば、判定ベクトル作成部18は、直達判定部17の判定結果が、1つの格子面からの直線が直接到達するとの判定結果であれば要素値を1とし、他の1つの格子面からの直線が直接到達しないとの判定結果であれば要素値を0として、格子面の数mを要素数とする列ベクトルを作成する。そして、判定ベクトル作成部18は、全ての空間格子点に対して判定ベクトルを作成する。
【0051】
観測点決定部19は、最少点数決定部15により決定された観測点の最少点数pと、直達判定部17の判定結果とに基づいて、観測点を決定する。具体的には、観測点決定部19は、最少点数決定部15により決定された観測点の最少点数pと、判定ベクトル作成部18により作成された判定ベクトルとに基づいて、観測点を決定する。観測点決定部19は、第1決定部191と、第2決定部192と、を有する。
【0052】
第1決定部191が、各格子面からの直線が直接到達する格子面の数が最も多い空間格子点を観測点に決定する。具体的には、第1決定部191は、判定ベクトル作成部18により作成された複数の判定ベクトルのうち、要素値1の数が最多である判定ベクトルを選定し、選定された判定ベクトルの空間格子点を観測点に決定する。
【0053】
第2決定部192は、観測点に決定された空間格子点に対して、上記の直線が直接到達しない格子面を特定し、特定された格子面からの上記の直線が直接到達する他の空間格子点を次の観測点に決定する。具体的には、第2決定部192は、第1決定部191により選定された判定ベクトルにおいて要素値0の要素を特定し、特定された要素に対して、要素値1の要素数が最多である他の判定ベクトルを探索する。そして、第2決定部192は、探索された他の判定ベクトルの空間格子点を次の観測点に決定する。
【0054】
第2決定部192は、
図6に示すように、観測点に決定された空間格子点に対して上記の直線が直接到達しない格子面が無くなるまで、観測点の決定を継続する。具体的には、第2決定部192は、第1決定部191により選定された判定ベクトルにおける全ての要素値0の要素に対して、要素値1の要素を有する他の判定ベクトルが探索されて当該他の判定ベクトルの空間格子点が観測点に決定されるまで、当該他の判定ベクトルの探索及び観測点の決定を継続する。
【0055】
これにより、全ての格子面から観測点に対して直線が直接到達することとなるので、観測点決定部19は、対象区域内の観測対象を死角無しで観測できるように観測点を決定することができる。したがって、観測点決定部19は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を更に隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置1は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0056】
更に、第2決定部192は、第1決定部191又は第2決定部192により決定された観測点の数が最少点数p以上となるまで、観測点の決定を継続する。具体的には、第2決定部192は、決定された観測点数が最少点数pを下回る場合、観測点に決定済みの空間格子点の判定ベクトルを観測点の決定順に特定し、特定された判定ベクトルと、観測点に未決定の空間格子点の判定ベクトルとの積を算出する。そして、第2決定部192は、算出された積が最小となる、観測点に未決定の空間格子点の判定ベクトルを選定し、選定された判定ベクトルの空間格子点を次の観測点に決定する。そして、第2決定部192は、観測点の数が最少点数p以上となるまで、この積の算出及び観測点の決定を継続する。
【0057】
これにより、観測点決定部19は、観測点数を極力少なくしながらも、観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功するために最低限必要な観測点数を確実に確保することができる。したがって、観測点決定部19は、観測点数を極力少なくしながらも、観測点数が不足して観測対象の推定に支障を来すことを確実に抑止できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置1は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を更に図ることができる。
【0058】
出力部20は、観測点決定部19により決定された観測点の情報を、表示装置5又は通信装置3に出力する。例えば、出力部20は、モデル作成部12により作成された対象区域の3次元CGモデルである構造モデルに、観測点決定部19により決定された観測点を重畳して、対象区域における観測点の分布を可視化したマップをしてもよい。そして、出力部20は、作成されたマップを、表示装置5に表示させたり、通信装置3を介して外部装置に送信して外部装置に表示させたりしてもよい。
【0059】
図7は、観測点決定装置1によって行われる処理の概略を示すフローチャートである。
図8は、
図7に続いて行われる処理の概略を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS1において、観測点決定装置1は、対象区域の点群データ等である対象区域情報を取得する。
【0061】
ステップS2において、観測点決定装置1は、取得された対象区域情報を用いて対象区域の構造モデルを作成する。
【0062】
ステップS3において、観測点決定装置1は、作成された構造モデルに基づいて、対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する。
【0063】
ステップS4において、観測点決定装置1は、作成された格子面の数mと、予め定められた観測対象の数nsと、予め定められた定数αとに基づき、上記の式(1)を用いて観測点の最少点数pを決定する。
【0064】
ステップS5において、観測点決定装置1は、作成された構造モデルに基づいて、対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する。
【0065】
ステップS6において、観測点決定装置1は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、空間格子点毎に判定する。
【0066】
ステップS7において、観測点決定装置1は、各格子面からの直線が直接到達するか否かの判定結果を示す判定ベクトルを、空間格子点毎に作成する。
【0067】
ステップS8において、観測点決定装置1は、作成された複数の判定ベクトルのうち、要素値1の数が最多である判定ベクトルを選定し、選定された判定ベクトルの空間格子点を観測点に決定する。
【0068】
ステップS9において、観測点決定装置1は、選定された判定ベクトルにおける全ての要素値0の要素に対して、要素値1の要素を有する他の判定ベクトルが探索されたか否かを判定する。選定された判定ベクトルにおける全ての要素値0の要素に対して当該他の判定ベクトルが探索された場合、観測点決定装置1は、ステップS13に移行する。選定された判定ベクトルにおける全ての要素値0の要素に対して当該他の判定ベクトルが探索されていない場合、観測点決定装置1は、ステップS10に移行する。
【0069】
ステップS10において、観測点決定装置1は、選定された判定ベクトルにおける残りの要素値0の要素に対して要素値1の要素を有する他の判定ベクトルを探索し、当該他の判定ベクトルがあるか否かを判定する。選定された判定ベクトルにおける残りの要素値0の要素に対して当該他の判定ベクトルがある場合、観測点決定装置1は、ステップS11に移行する。選定された判定ベクトルにおける残りの要素値0の要素に対して当該他の判定ベクトルがない場合、観測点決定装置1は、ステップS12に移行する。
【0070】
ステップS11において、観測点決定装置1は、選定された判定ベクトルにおける残りの要素値0の要素に対して要素値1の要素数が最多である他の判定ベクトルの空間格子点を観測点に決定する。その後、観測点決定装置1は、ステップS9に移行する。
【0071】
ステップS12において、観測点決定装置1は、観測点に未決定の空間格子点の判定ベクトルのうち、要素値1の要素数が最多である判定ベクトルを選定し、選定された判定ベクトルの空間格子点を観測点に決定する。その後、観測点決定装置1は、ステップS9に移行する。
【0072】
ステップS13において、観測点決定装置1は、決定された観測点の数が最少点数p以上であるか否かを判定する。決定された観測点の数が最少点数p以上である場合、観測点決定装置1は、
図7及び
図8に示す処理を終了する。決定された観測点の数が最少点数pを下回る場合、観測点決定装置1は、ステップS14に移行する。
【0073】
ステップS14において、観測点決定装置1は、観測点に決定済みの空間格子点の判定ベクトルを観測点の決定順に特定し、特定された判定ベクトルと、観測点に未決定の空間格子点の判定ベクトルとの積を算出する。算出される積は、内積とする。
【0074】
ステップS15において、観測点決定装置1は、算出された積が最小となる観測点に未決定の空間格子点の判定ベクトルを選定し、選定された判定ベクトルの空間格子点を観測点に決定する。算出された積が最小となる観測点に未決定の空間格子点は、当該空間格子点に直接到達する直線のうち、観測点に決定済みの空間格子点に直接到達する直線と重複する直線の数が最少となるような、観測点に未決定の空間格子点である。ステップS15の処理を行うことにより、観測点決定装置1は、既に決定済みの観測点の観測範囲と可能な限り重複しない観測範囲を有する観測点を新たに決定することができる。これにより、観測点決定装置1は、各観測点の観測範囲が可能な限り重複しないように観測点を分散させて、対象区域において観測点を可能な限り一様に分布させることができる。ステップS15の後、観測点決定装置1は、ステップS13に移行する。
【0075】
以上のように、本実施形態の観測点決定装置1は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定装置である。観測点決定装置1は、対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成する格子面作成部13と、対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成する空間格子点作成部16と、を備える。観測点決定装置1は、観測点における観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功する観測点の最少点数を、観測対象の数と格子面の数とに基づいて決定する最少点数決定部15を備える。観測点決定装置1は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、空間格子点毎に判定する直達判定部17と、観測点の最少点数と直達判定部17の判定結果とに基づいて、観測点を決定する観測点決定部19と、を備える。
【0076】
これにより、観測点決定部19は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定装置1は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることができる。
【0077】
更に、観測点決定装置1において、観測対象は対象区域に存在する放射線源であり、観測結果は放射線源から放射される放射線の測定結果であり、観測点は放射線の測定点である。
【0078】
これにより、観測点決定装置1は、放射線の測定点数が過剰になって、測定の手間と労力が掛かり、且つ、放射線による被曝量の増加を招くことを確実に抑止することができる。加えて、観測点決定装置1は、放射線の測定点数が不足して放射線源の推定に支障を来すことを確実に抑止することができる。よって、観測点決定装置1は、放射線の測定点数を極力少なくしながら放射線源を確実に推定できるよう放射線の測定点の最適化を図ることができる。
【0079】
更に、観測点決定装置1において、観測対象は対象区域に存在する監視対象物であり、観測結果は当該監視対象物を監視する監視カメラの撮像画像であり、観測点は監視カメラの設置点である。
【0080】
これにより、観測点決定装置1は、監視カメラの設置点数が過剰になって、設置の手間と労力が掛かることを確実に抑止することができる。加えて、観測点決定装置1は、監視カメラの設置点数が不足して対象区域に死角が生じ、監視対象物の監視に支障を来すことを確実に抑止することができる。よって、観測点決定装置1は、監視カメラの設置点数を極力少なくしながら監視対象物を確実に監視することができるよう監視カメラの設置点の最適化を図ることができる。
【0081】
本実施形態の観測点決定方法は、観測点決定装置1が
図7及び
図8に示す処理を行うことによって実現され得る。
【0082】
すなわち、本実施形態の観測点決定方法は、対象区域内の観測対象を観測するための観測点を決定する観測点決定方法である。観測点決定方法は、対象区域の構造物の表面を分割して複数の格子面を作成すること(ステップS3)と、対象区域内の空間を分割して複数の空間格子点を作成すること(ステップS5)と、を備える。観測点決定方法は、観測点における観測結果から観測対象を推定する逆推定が成功する観測点の最少点数を、観測対象の数と格子面の数とに基づいて決定すること(ステップS4)を備える。観測点決定方法は、各格子面の任意の点と空間格子点とを結ぶ直線が当該空間格子点に直接到達するか否かを、空間格子点毎に判定すること(ステップS6)と、観測点の最少点数と直線が直接到達するか否かの判定結果とに基づいて、観測点を決定すること(ステップS8~ステップS15)と、を備える。
【0083】
これにより、本実施形態の観測点決定方法は、観測点数を極力少なくしながらも、対象区域内の観測対象を隈なく観測できるように観測点を決定することができる。よって、観測点決定方法は、観測点数を極力少なくしながら観測対象を確実に観測できるよう観測点の最適化を図ることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…観測点決定装置、2…入力装置、3…通信装置、4…記憶装置、5…表示装置、10…演算処理装置、11…対象区域情報取得部、12…モデル作成部、13…格子面作成部、14…観測対象情報取得部、15…最少点数決定部、16…空間格子点作成部、17…直達判定部、18…判定ベクトル作成部、19…観測点決定部、191…第1決定部、192…第2決定部、20…出力部