(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171065
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/76 20230101AFI20231124BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H04N5/374
H01L27/146 E
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083283
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】荘保 信
(72)【発明者】
【氏名】向井 裕人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳壽子
(72)【発明者】
【氏名】赤松 秀治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 大陽
(72)【発明者】
【氏名】辻岡 竣祐
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 修
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118BA07
4M118CA14
4M118CB14
4M118CB20
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA26
4M118FA38
4M118FB23
4M118FB24
4M118GD03
5C024AX19
5C024CX54
5C024CY17
5C024CY41
5C024EX03
5C024GX05
5C024GX16
5C024GY31
5C024GY39
5C024HX17
(57)【要約】
【課題】それぞれ簡易に構成された複数の画素によって、シャッタ動作が異なる複数の画像を得ることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、複数の単位画素セル10と、電圧供給回路32と、制御回路39とを備える。単位画素セル10は、画素電極11と、対向電極12と、光電変換層15と、電荷蓄積領域とを含む。複数の単位画素セル10は、複数の第1画素ブロック10bgと、複数の第2画素ブロックbrとを構成する。制御回路39は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに対して、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧を同じタイミングで印加することにより露光期間を形成し、第2電圧を同じタイミングで印加することにより非露光期間を形成するグローバルシャッタ動作を、電圧供給回路32に行わせ、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに対してローリングシャッタ動作を行わせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の画素と、
電圧供給回路と、
制御回路と、
を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、
画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に位置し、光を信号電荷に変換する光電変換層と、
前記画素電極に電気的に接続され、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
を含み、
前記複数の画素は、1行以上の行毎に複数の画素ブロックを構成し、
前記複数の画素ブロックは、複数の第1画素ブロックと、複数の第2画素ブロックと、を含み、
前記制御回路は、
前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに対して、前記対向電極と前記画素電極との間に第1電圧を同じタイミングで印加することにより露光期間を形成し、前記対向電極と前記画素電極との間に第2電圧を同じタイミングで印加することにより非露光期間を形成するグローバルシャッタ動作を、前記電圧供給回路に行わせ、
前記複数の第2画素ブロックのそれぞれに対してローリングシャッタ動作を行わせる、
撮像装置。
【請求項2】
前記対向電極は、同じ画素ブロック内の複数の画素間で連続し、異なる画素ブロック間で分離しており、
前記電圧供給回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに対応する前記対向電極に電気的に接続される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記電圧供給回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに含まれる各画素の前記画素電極に容量を介して接続される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の第1画素ブロックのそれぞれでは、
前記対向電極と前記画素電極との間に前記第1電圧が印加されているときには、前記信号電荷は前記光電変換層から前記画素電極に移動し、
前記対向電極と前記画素電極との間に前記第2電圧が印加されているときには、前記信号電荷の前記光電変換層から前記画素電極への移動が抑制される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の画素ブロックのそれぞれは、同じ1行に属する複数の画素からなる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の画素ブロックのそれぞれは、2行以上の同じ行に属する複数の画素からなる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の第1画素ブロックのそれぞれと、前記複数の第2画素ブロックのそれぞれとは、交互に配置されている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
処理回路をさらに備え、
前記処理回路は、前記複数の第1画素ブロックから得られた第1画像データと、前記複数の第2画素ブロックから得られた第2画像データとに基づいて、前記撮像装置から被写体までの距離を検出する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込みフォトダイオードを用いたイメージセンサが広く用いられている。埋め込みフォトダイオードに代えて、半導体基板の上方に光電変換素子を配置した構造も提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の撮像装置は、画素電極と、対向電極と、これらの間に挟まれた光電変換膜とを含む光電変換素子を有する。光電変換素子で生成され、画素電極によって収集された信号電荷は、電荷蓄積ノードに蓄積される。電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷は、画素信号として垂直信号線に読み出される。
【0003】
また、同様の構成を用いてグローバルシャッタを可能としたものも提案されている(特許文献2および3を参照)。特許文献2および3に記載の撮像装置は、光電変換膜に印加する電界を全画素同時に制御することにより、全画素同時に露光を行っている。特許文献2および3の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-054499号公報
【特許文献2】国際公開第2017/094229号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0020171号明細書
【特許文献4】特許第5553727号公報
【特許文献5】特許第6903874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それぞれ簡易に構成された複数の画素によって、シャッタ動作が異なる複数の画像が得られると有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、行列状に配置された複数の画素と、電圧供給回路と、制御回路と、を備える。前記複数の画素のそれぞれは、画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に位置し、光を信号電荷に変換する光電変換層と、前記画素電極に電気的に接続され、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、を含む。前記複数の画素は、1行以上の行毎に複数の画素ブロックを構成する。前記複数の画素ブロックは、複数の第1画素ブロックと、複数の第2画素ブロックと、を含む。前記制御回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに対して、前記対向電極と前記画素電極との間に第1電圧を同じタイミングで印加することにより露光期間を形成し、前記対向電極と前記画素電極との間に第2電圧を同じタイミングで印加することにより非露光期間を形成するグローバルシャッタ動作を、前記電圧供給回路に行わせ、前記複数の第2画素ブロックのそれぞれに対してローリングシャッタ動作を行わせる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、それぞれ簡易に構成された複数の画素によって、シャッタ動作が異なる複数の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の単位画素セルの例示的なデバイス構造を示す模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の単位画素セルと対向電極との関係を示す模式的な平面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の光電変換層の光電流特性の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の単位画素セルと対向電極との関係と、電圧供給回路の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置における動作の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態2に係る撮像装置の単位画素セルと対向電極との関係と、電圧供給回路の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態2に係る撮像装置における動作の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態3に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態3に係る撮像装置の単位画素セルと対向電極との関係と、電圧供給回路の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態3に係る撮像装置における動作の一例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態4に係る撮像装置の単位画素セルと対向電極との関係を示す模式的な平面図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態4に係る対向電極の各電極片と電圧供給回路との接続形態の一例を示す模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態5に係る撮像システムの一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施の形態6に係る測距装置を備える車両の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施の形態6に係る測距装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施の形態6に係る、車両に取り付けられているカメラ部の位置および撮像範囲の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施の形態6に係る測距装置によって距離が測定される状況の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施の形態6に係る測距装置によって距離が測定される状況の他の例を示す図である。
【
図20】
図20は、本開示の実施の形態6に係る測距装置によって得られるローリングシャッタ歪みの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本開示の実施の形態6に係る測距装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、本開示の実施の形態7に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の一態様に至った経緯)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した従来の撮像装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0010】
特許文献1に記載の撮像装置は、ローリングシャッタ動作を行う撮像装置である。ローリングシャッタ動作を行う撮像装置では、例えば、リセット動作を行うことにより露光期間を開始し、露光期間の終了後に読み出し動作を行う。露光期間の開始時点を決めるリセット動作は、電子シャッタとも呼ばれる。電子シャッタおよび読み出し動作は、行毎に順次に行われる。そのため、高速で移動する被写体を撮像した場合、被写体像に歪みが生じる。この歪みは、ローリングシャッタ歪みと呼ばれる。ローリングシャッタ歪みの大きさは、異なる行の間の露光期間のずれと、撮像装置から被写体までの距離と、その被写体の撮像装置に対する相対速度とに依存する。そのため、ローリングシャッタ動作により撮像された画像は、被写体までの距離と、その被写体の相対速度とに関する情報を含み得る。
【0011】
また、特許文献2および3に記載の撮像装置は、グローバルシャッタ動作を行う撮像装置である。グローバルシャッタ動作を行う撮像装置では、露光期間が各行で共通であるため、つまり、各行の露光が同じタイミングで行われるため、高速で移動する被写体を撮像した場合でも被写体像に歪みは生じない。
【0012】
また、特許文献5に記載の撮像装置は、グローバルシャッタ動作を行うエリアと、ローリングシャッタ動作を行うエリアとを有する撮像素子を備えている。また、それらのエリアに含まれる複数の画素は、フォトダイオードと、そのフォトダイオードから信号を読み出す読出部とを備える。この読出部は、グローバルシャッタ動作のための専用の回路と、ローリングシャッタ動作のための専用の回路とを備えている。つまり、1画素に、2種類のシャッタ動作用の回路が備えられている。したがって、特許文献5に記載の撮像装置では、複数の画素のそれぞれは複雑な回路構成を有する。
【0013】
本発明者らは、それぞれ簡易に構成された複数の画素によって、1回の撮像により、ローリングシャッタ動作による画像と、グローバルシャッタ動作による画像とを、取得することができる新規な構成に至った。本構成により取得した画像を用いることにより、例えば被写体までの距離を高精度に測定することができる。
【0014】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、行列状に配置された複数の画素と、電圧供給回路と、制御回路と、を備える。前記複数の画素のそれぞれは、画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に位置し、光を信号電荷に変換する光電変換層と、前記画素電極に電気的に接続され、前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、を含む。前記複数の画素は、1行以上の行毎に複数の画素ブロックを構成する。前記複数の画素ブロックは、複数の第1画素ブロックと、複数の第2画素ブロックと、を含む。前記制御回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに対して、前記対向電極と前記画素電極との間に第1電圧を同じタイミングで印加することにより露光期間を形成し、前記対向電極と前記画素電極との間に第2電圧を同じタイミングで印加することにより非露光期間を形成するグローバルシャッタ動作を、前記電圧供給回路に行わせ、前記複数の第2画素ブロックのそれぞれに対してローリングシャッタ動作を行わせる。
【0015】
これにより、1回の撮像により、ローリングシャッタ動作による画像と、グローバルシャッタ動作による画像とを取得することができる。また、複数の画素のそれそれは、画素電極、対向電極、光電変換層、および電荷蓄積領域を備え、グローバルシャッタ動作のための専用の回路、ローリングシャッタ動作のための専用の回路などを備えていない。したがって、それらの画素の構成を簡易化することができる。その結果、それぞれ簡易に構成された複数の画素によって、シャッタ動作が異なる複数の画像を得ることができる。なお、同じタイミングは、本開示の効果を奏する範囲において実質的に同じタイミングという意味であって、厳密に同じタイミングに限定されない。
【0016】
また、前記対向電極は、同じ画素ブロック内の複数の画素間で連続し、異なる画素ブロック間で分離していてもよい。前記電圧供給回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに対応する前記対向電極に電気的に接続されていてもよい。
【0017】
これにより、電圧供給回路は、複数の第1画素ブロックのそれぞれについて、対向電極の電位を切り替えることによって、その第1画素ブロックに含まれる各画素の対向電極と画素電極との間の電圧を第1電圧と第2電圧とに切り替えることができる。その結果、複数の第1画素ブロックのそれぞれで行われる露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングを、一致させ易くすることができる。
【0018】
また、前記電圧供給回路は、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれに含まれる各画素の前記画素電極に容量を介して接続されていてもよい。
【0019】
これにより、電圧供給回路は、複数の第1画素ブロックのそれぞれに含まれる各画素の電荷蓄積領域および画素電極の電位を、容量を介して切り替えることによって、その画素の対向電極と画素電極との間の電圧を第1電圧と第2電圧とに切り替えることができる。
【0020】
また、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれでは、前記対向電極と前記画素電極との間に前記第1電圧が印加されているときには、前記信号電荷は前記光電変換層から前記画素電極に移動してもよい。前記対向電極と前記画素電極との間に前記第2電圧が印加されているときには、前記信号電荷の前記光電変換層から前記画素電極への移動が抑制されてもよい。
【0021】
これにより、対向電極と画素電極との間に第1電圧が印加されているときには、露光期間が形成され、対向電極と画素電極との間に第2電圧が印加されているときには、非露光期間が形成される。したがって、対向電極と画素電極との間の電圧の切り替えによって、露光期間と非露光期間との切り替えを適切に行うことができる。
【0022】
また、前記複数の画素ブロックのそれぞれは、同じ1行に属する複数の画素からなっていてもよい。
【0023】
これにより、行毎にシャッタ動作を独立して制御できる。さらに、グローバルシャッタ動作により得られる画像と、ローリングシャッタ動作により得られる画像とを、それぞれ行単位で構成することができ、高画質化を図ることができる。
【0024】
また、前記複数の画素ブロックのそれぞれは、2行以上の同じ行に属する複数の画素からなっていてもよい。
【0025】
これにより、対向電極の、画素ブロック毎に分離した部分の幅が広くなるので、抵抗を低くすることができる。また、対向電極の、画素ブロック毎に分離した部分の単位面積当たりの寄生容量も低減しうる。このため、対向電極に対するセトリングの時定数が小さくなるので、セトリング期間を短くすることができ、撮像装置の動作を高速化することができる。
【0026】
また、前記複数の第1画素ブロックのそれぞれと、前記複数の第2画素ブロックのそれぞれとは、交互に配置されていてもよい。
【0027】
これにより、グローバルシャッタ動作により得られる画像と、ローリングシャッタ動作により得られる画像との位置ずれを抑えることができる。
【0028】
また、前記撮像装置は、処理回路をさらに備えてもよい。前記処理回路は、前記複数の第1画素ブロックから得られた第1画像データと、前記複数の第2画素ブロックから得られた第2画像データとに基づいて、前記撮像装置から被写体までの距離を検出してもよい。
【0029】
例えば、撮像装置が移動しながら、静止している被写体を撮像する場合、第2画像データに映し出されている被写体の像は、その撮像装置の速度と、撮像装置から被写体までの距離とに応じた大きさで歪む。この歪みの大きさは、第1画像データに映し出されている被写体の像を基準に特定され得る。したがって、処理回路は、例えば撮像装置の速度を用いれば、その第1画像データと第2画像データとに基づいて、被写体までの距離を適切に検出することができる。その結果、撮像装置を測距装置として効果的に用いることができる。
【0030】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0031】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0032】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0033】
また、本明細書において、平行または垂直などの要素間の関係性を示す用語、および、長方形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0034】
また、本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」および「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0035】
(実施の形態1)
[撮像装置の回路構成]
まず、実施の形態1に係る撮像装置の回路構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【0036】
図1に示す撮像装置100は、行列状に配置された複数の単位画素セル10を含む画素アレイPAを有する。
図1は、4つの単位画素セル10が2行2列のマトリクス状に配置された例を模式的に示している。言うまでもないが、撮像装置100における単位画素セル10の数および配置は、
図1に示す例に限定されない。
【0037】
各単位画素セル10は、撮像装置100が備える画素の一例であり、光電変換部13および信号検出回路14を有する。後に図面を参照して説明するように、光電変換部13は、互いに対向する2つの電極の間に挟まれた光電変換層を有し、入射した光を受けて信号を生成する。光電変換部13は、その全体が、単位画素セル10毎に独立した素子である必要はなく、光電変換部13の例えば一部分が複数の単位画素セル10にまたがっていてもよい。光電変換部13の具体的な構造の詳細は、後述する。
【0038】
信号検出回路14は、光電変換部13によって生成された信号を検出する回路である。この例では、信号検出回路14は、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26を含んでいる。信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26は、典型的には、電界効果トランジスタ(FET)である。ここでは、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26として、NチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を例示する。
【0039】
図1において模式的に示すように、信号検出トランジスタ24の制御端子(ここではゲート)は、光電変換部13との電気的な接続を有する。光電変換部13によって生成される信号電荷(具体的には、正孔または電子)は、信号検出トランジスタ24のゲートと光電変換部13との間の電荷蓄積ノード41に蓄積される。電荷蓄積ノード41は、フローティングディフュージョンノードとも呼ばれる。
【0040】
各単位画素セル10の光電変換部13は、さらに、感度制御線42との接続を有している。
図1に例示する構成において、感度制御線42は、撮像装置100が備える電圧供給回路32に接続されている。
【0041】
電圧供給回路32は、撮像装置100の動作時、感度制御線42を介して光電変換部13に少なくとも2種類の電圧を行毎に個別に供給し得る。電圧供給回路32は、特定の電源回路に限定されず、所定の電圧を生成する回路であってもよく、あるいは、他の電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよい。後に詳しく説明するように、予め定められた1以上の行において、電圧供給回路32から光電変換部13に供給される電圧が、互いに異なる複数の電圧の間で切り替えられることにより、光電変換部13からの電荷蓄積ノード41への信号電荷の蓄積の開始および終了が制御される。換言すれば、予め定められた1以上の行において、電圧供給回路32から光電変換部13に供給される電圧を切り替えることによって、露光期間と非露光期間との切り替えが実行される。なお、予め定められた1以上の行は、後述のグローバルシャッタ動作に用いられる行であり、他の1以上の行は、後述のローリングシャッタ動作に用いられる行である。電圧供給回路32は、上述の他の1以上の行のそれぞれに対しては、撮像装置100の動作時、2種類の電圧のうちの一方の電圧を継続的に供給する。撮像装置100の動作の例は、後述する。
【0042】
各単位画素セル10は、電源電圧VDDを供給する電源線40との接続を有する。図示するように、電源線40には、信号検出トランジスタ24の入力端子(例えばドレイン)が接続されている。電源線40がソースフォロア電源として機能することにより、信号検出トランジスタ24は、光電変換部13によって生成された信号を増幅して出力する。
【0043】
信号検出トランジスタ24の出力端子(ここではソース)には、アドレストランジスタ26の入力端子(ここではドレイン)が接続されている。アドレストランジスタ26の出力端子(ここではソース)は、画素アレイPAの列毎に配置された複数の垂直信号線47のうちの1つに接続されている。アドレストランジスタ26の制御端子(ここではゲート)は、アドレス制御線46に接続されており、アドレス制御線46の電位を制御することにより、信号検出トランジスタ24の出力を、対応する垂直信号線47に選択的に読み出すことができる。
【0044】
図示する例では、アドレス制御線46は、垂直走査回路36に接続されている。垂直走査回路36は、行走査回路とも呼ばれる。垂直走査回路36は、アドレス制御線46に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の単位画素セル10を行単位で選択する。これにより、選択された単位画素セル10の信号の読み出しが実行される。
【0045】
垂直信号線47は、複数の単位画素セル10からの信号が入力される出力信号線の一例であり、画素アレイPAからの画素信号を周辺回路へ伝達する主信号線である。垂直信号線47には、カラム信号処理回路37が接続される。カラム信号処理回路37は、行信号蓄積回路とも呼ばれる。カラム信号処理回路37は、相関二重サンプリング(CDS)に代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。図示するように、カラム信号処理回路37は、画素アレイPAにおける単位画素セル10の各列に対応して設けられる。
【0046】
これらのカラム信号処理回路37には、水平信号読み出し回路38が接続される。水平信号読み出し回路38は、列走査回路とも呼ばれる。水平信号読み出し回路38は、複数のカラム信号処理回路37から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。
【0047】
図1に例示する構成において、単位画素セル10は、リセットトランジスタ28を有する。リセットトランジスタ28は、例えば、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26と同様に、電界効果トランジスタであり得る。以下では、特に断りの無い限り、リセットトランジスタ28としてNチャネルMOSFETを適用した例を説明する。図示するように、リセットトランジスタ28は、リセット電圧Vrを供給するリセット電圧線44と、電荷蓄積ノード41との間に接続される。リセットトランジスタ28の制御端子(ここではゲート)は、リセット制御線48に接続されている。リセット制御線48の電位を制御することによって、電荷蓄積ノード41の電位をリセット電圧Vrにリセットすることができる。この例では、リセット制御線48が、垂直走査回路36に接続されている。したがって、垂直走査回路36がリセット制御線48に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の単位画素セル10を行単位でリセットすることが可能である。
【0048】
この例では、リセットトランジスタ28にリセット電圧Vrを供給するリセット電圧線44が、リセット電圧源34に接続されている。リセット電圧源34は、リセット電圧供給回路とも呼ばれる。リセット電圧源34は、撮像装置100の動作時にリセット電圧線44に所定のリセット電圧Vrを供給可能な構成を有していればよく、上述の電圧供給回路32と同様に、特定の電源回路に限定されない。電圧供給回路32およびリセット電圧源34の各々は、単一の電圧供給回路の一部分であってもよいし、独立した別個の電圧供給回路であってもよい。なお、電圧供給回路32およびリセット電圧源34の一方または両方が、垂直走査回路36の一部分であってもよい。あるいは、電圧供給回路32からの感度制御電圧および/またはリセット電圧源34からのリセット電圧Vrが、垂直走査回路36を介して各単位画素セル10に供給されてもよい。
【0049】
信号電荷として正孔を用いる場合には、リセット電圧Vrとして、信号検出回路14のグランドを用いることも可能である。この場合、各単位画素セル10にグランドを供給する電圧供給回路(
図1において不図示)と、リセット電圧源34とを共通化し得る。また、電源線40とリセット電圧線44とを共通化できるので、画素アレイPAにおける配線を単純化し得る。ただし、リセット電圧Vrと信号検出回路14のグランドとに互いに異なる電圧を用いることは、撮像装置100のより柔軟な制御を可能にする。
【0050】
撮像装置100は、電圧供給回路32および垂直走査回路36を制御する制御回路39を備える。制御回路39は、電圧供給回路32および垂直走査回路36を制御することによって、1回の撮像で、画素アレイPAに対してグローバルシャッタ動作とローリングシャッタ動作とを同時に実行させる。つまり、制御回路39は、1回の撮像で、予め定められた1以上の行のそれぞれに含まれる単位画素セル10に対してグローバルシャッタ動作を実行させる。そのグローバルシャッタ動作が行われているときに、制御回路39は、他の1以上の行のそれぞれに含まれる単位画素セル10に対してローリングシャッタ動作を実行させる。
【0051】
[単位画素セルのデバイス構造]
次に、単位画素セル10のデバイス構造について、
図2および
図3を用いて説明する。
【0052】
図2は、本実施の形態に係る撮像装置100の単位画素セル10の例示的なデバイス構造を示す模式的な断面図である。
図3は、本実施の形態に係る撮像装置100の単位画素セル10と対向電極12との関係を示す模式的な平面図である。
【0053】
図2に例示する構成では、上述の信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28が、半導体基板20に形成されている。半導体基板20は、その全体が半導体である基板に限定されない。半導体基板20は、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであってもよい。ここでは、半導体基板20としてP型シリコン(Si)基板を用いる例を説明する。
【0054】
半導体基板20は、不純物領域(ここではN型領域)26s、24s、24d、28dおよび28sと、単位画素セル10間の電気的な分離のための素子分離領域20tとを有する。ここでは、素子分離領域20tは、不純物領域24dと不純物領域28dとの間にも設けられている。素子分離領域20tは、例えば所定の注入条件のもとでアクセプターのイオン注入を行うことによって形成される。
【0055】
不純物領域26s、24s、24d、28dおよび28sは、典型的には、半導体基板20内に形成された拡散層である。
図2に模式的に示すように、信号検出トランジスタ24は、不純物領域24sおよび24dと、ゲート電極24gとを含む。ゲート電極24gは、例えばポリシリコン電極である。不純物領域24sは、信号検出トランジスタ24の例えばソース領域として機能する。不純物領域24dは、信号検出トランジスタ24の例えばドレイン領域として機能する。不純物領域24sと不純物領域24dとの間に、信号検出トランジスタ24のチャネル領域が形成される。
【0056】
同様に、アドレストランジスタ26は、不純物領域26sおよび24sと、
図1に示されるアドレス制御線46に接続されたゲート電極26gとを含む。ゲート電極26gは、例えばポリシリコン電極である。この例では、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26は、不純物領域24sを共有することによって互いに電気的に接続されている。不純物領域26sは、アドレストランジスタ26の例えばソース領域として機能する。不純物領域26sは、
図1に示される垂直信号線47との接続を有する。
【0057】
リセットトランジスタ28は、不純物領域28dおよび28sと、
図1に示されるリセット制御線48に接続されたゲート電極28gとを含む。ゲート電極28gは、例えばポリシリコン電極である。不純物領域28sは、リセットトランジスタ28の例えばソース領域として機能する。不純物領域28sは、
図1に示されるリセット電圧線44との接続を有する。
【0058】
半導体基板20上には、信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28を覆うように層間絶縁層50が配置されている。層間絶縁層50は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)などの絶縁材料を用いて形成されている。
図2に示すように、層間絶縁層50中には、配線層56が配置され得る。配線層56は、典型的には、銅などの金属から形成され、例えば、上述の垂直信号線47などの配線をその一部に含み得る。層間絶縁層50中の絶縁層の層数、および、層間絶縁層50中に配置される配線層56に含まれる層数は、任意に設定可能であり、
図2に示す例に限定されない。
【0059】
層間絶縁層50上には、上述の光電変換部13が配置される。別の言い方をすれば、本実施の形態では、画素アレイPAを構成する複数の単位画素セル10が、半導体基板20上に形成されている。半導体基板20上に2次元に配列された複数の単位画素セル10は、感光領域を形成する。感光領域は、画素領域とも呼ばれる。隣接する2つの単位画素セル10間の距離(すなわち、画素ピッチ)は、例えば2μm程度であり得る。
【0060】
光電変換部13は、画素電極11と、対向電極12と、これらの間に配置された光電変換層15とを含む。この例では、対向電極12および光電変換層15は、複数の単位画素セル10にまたがって形成されている。
【0061】
画素電極11は、単位画素セル10毎に設けられており、隣接する他の単位画素セル10の画素電極11と空間的に分離されることによって、他の単位画素セル10の画素電極11から電気的に分離されている。
【0062】
画素電極11の電位に対する対向電極12の電位を制御することにより、光電変換によって光電変換層15内に生じた正孔-電子対のうち、正孔および電子のいずれか一方を、画素電極11によって収集することができる。例えば信号電荷として正孔を利用する場合、画素電極11よりも対向電極12の電位を高くすることにより、画素電極11によって正孔を選択的に収集することが可能である。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。もちろん、信号電荷として電子を利用することも可能である。
【0063】
対向電極12に対向する画素電極11は、対向電極12と画素電極11との間に適切なバイアス電圧が与えられることにより、光電変換層15において光電変換によって発生した正および負の電荷のうちの一方を収集する。画素電極11は、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される。
【0064】
画素電極11は、遮光性の電極であってもよい。例えば、画素電極11として、厚さが100nmのTaN電極を形成することにより、十分な遮光性を実現し得る。画素電極11を遮光性の電極とすることにより、半導体基板20に形成されたトランジスタのチャネル領域または不純物領域への、光電変換層15を通過した光の入射を抑制し得る。なお、半導体基板20に形成されたトランジスタとは、例えば、信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28の少なくともいずれかである。
【0065】
上述の配線層56を利用して層間絶縁層50内に遮光膜を形成してもよい。半導体基板20に形成されたトランジスタのチャネル領域への光の入射を抑制することにより、トランジスタの特性のシフト、例えば閾値電圧の変動などを抑制し得る。また、半導体基板20に形成された不純物領域への光の入射を抑制することにより、不純物領域における意図しない光電変換によるノイズの混入を抑制し得る。このように、半導体基板20への光の入射の抑制は、撮像装置100の信頼性の向上に貢献する。
【0066】
図2に模式的に示すように、画素電極11は、プラグ52、配線53およびコンタクトプラグ54を介して、信号検出トランジスタ24のゲート電極24gに接続されている。言い換えれば、信号検出トランジスタ24のゲートは、画素電極11との電気的な接続を有する。プラグ52および配線53は、例えば銅などの金属から形成される。プラグ52、配線53およびコンタクトプラグ54は、信号検出トランジスタ24と光電変換部13との間の電荷蓄積ノード41(
図1参照)の少なくとも一部を構成する。配線53は、配線層56の一部であり得る。また、画素電極11は、プラグ52、配線53およびコンタクトプラグ55を介して、不純物領域28dにも接続されている。
図2に例示する構成において、信号検出トランジスタ24のゲート電極24g、プラグ52、配線53、コンタクトプラグ54および55、ならびに、リセットトランジスタ28のソース領域およびドレイン領域の一方である不純物領域28dは、画素電極11によって収集された信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域として機能する。
【0067】
画素電極11によって信号電荷が収集されることにより、電荷蓄積領域に蓄積された信号電荷の量に応じた電圧が、信号検出トランジスタ24のゲートに印加される。信号検出トランジスタ24は、この電圧を増幅する。信号検出トランジスタ24によって増幅された電圧が、信号電圧としてアドレストランジスタ26を介して選択的に読み出される。
【0068】
対向電極12は、典型的には、透明な導電性材料から形成される透明電極である。対向電極12は、光電変換層15において光が入射される側に配置される。したがって、光電変換層15には、対向電極12を透過した光が入射する。なお、撮像装置100によって検出される光は、可視光の波長範囲(例えば、380nm以上780nm以下)内の光に限定されない。本明細書における「透明」は、検出しようとする波長範囲の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。本明細書では、赤外線および紫外線を含めた電磁波全般を、便宜上「光」と表現する。対向電極12には、例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO2、TiO2、ZnO2などの透明導電性酸化物(Transparent Conducting Oxide(TCO))を用いることができる。
【0069】
本実施の形態では、
図3に示すように、対向電極12は、同じ画素ブロック10b内の複数の単位画素セル10間で連続し、異なる画素ブロック10b間で分離している。ここで、画素ブロック10bはそれぞれ、同じ1行に属する複数の単位画素セル10からなる。言い換えると、複数の単位画素セル10は、1行毎に複数の画素ブロック10bを構成している。
【0070】
対向電極12は、複数の画素ブロック10bと一対一に対応する複数の電極片12bを有する。複数の電極片12bは、行毎に設けられており、互いに分離している。各電極片12bは、行方向に長尺な長方形状を有する。例えば、電極片12bは、同じ1行に属する複数の単位画素セル10の各々の画素電極11を覆っている。隣り合う電極片12b間には、絶縁層が配置されていてもよい。
【0071】
図1を参照して説明したように、対向電極12は、電圧供給回路32に接続された感度制御線42との接続を有する。感度制御線42は、電極片12b毎に設けられている。したがって、電極片12b毎に、対応する感度制御線42を介して、電圧供給回路32から所望の大きさの感度制御電圧を、対応する画素ブロック10bに属する複数の単位画素セル10の間に一括して印加することが可能である。
【0072】
後に詳しく説明するように、電圧供給回路32は、露光期間と非露光期間との間で互いに異なる電圧を対向電極12の各電極片12bに供給する。本明細書において、「露光期間」は、光電変換により生成される正および負の電荷の一方である信号電荷を電荷蓄積領域に蓄積するための期間を意味し、「電荷蓄積期間」と呼んでもよい。また、本明細書では、撮像装置の動作中であって露光期間以外の期間を「非露光期間」と呼ぶ。なお、「非露光期間」は、光電変換部13への光の入射が遮断されている期間に限定されず、光電変換部13に光が照射されている期間を含んでいてもよい。また「非露光期間」は、寄生感度の発生により意図せずに信号電荷が電荷蓄積領域に蓄積される期間を含む。
【0073】
光電変換層15は、画素電極11と対向電極12との間に位置し、光を信号電荷に変換する。具体的には、光電変換層15は、入射する光を受けて正孔-電子対を発生させる。発生した正孔および電子のいずれかが信号電荷である。
【0074】
光電変換層15は、例えば、有機材料から形成される。有機材料は、例えば、有機半導体材料である。有機半導体材料としては、例えば、近赤外領域に吸収波長を有するスズナフタロシアニンを含む材料を利用することができるが、これに限定されない。光電変換層15としては、所望の波長領域に吸収波長を有する1種類以上の光電変換材料を利用することができる。
【0075】
例えば、光電変換層15は、p型半導体層と、n型半導体層と、p型半導体層およびn型半導体層間に位置する混合層と、を含んでもよい。p型半導体層は、例えば、ドナー性有機半導体材料を用いて形成されている。n型半導体層は、例えば、アクセプター性有機半導体材料を用いて形成されている。混合層は、例えば、p型半導体およびn型半導体のバルクヘテロ接合構造層である。バルクヘテロ接合層は、例えば特許文献4(特許第5553727号公報)において詳細に説明されており、参考のため、特許文献4の開示内容を全て本明細書に援用する。
【0076】
また、光電変換層15は、光電変換材料を用いて形成された層以外の機能層を1層以上含んでもよい。例えば、光電変換層15は、機能層として、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔輸送層および電子輸送層の少なくとも1つを含んでもよい。
【0077】
なお、光電変換層15は、対向電極12と同様に、所定の領域毎に分離して設けられていてもよい。例えば、光電変換層15は、単位画素セル10毎、または、電極片12b毎に分離して設けられていてもよい。
【0078】
[光電変換層における光電流特性]
続いて、光電変換層における光電流特性について、
図4を用いて説明する。
【0079】
図4は、本実施の形態に係る撮像装置100の光電変換層15の光電流特性の一例を示すグラフである。
図4中、太い実線のグラフは、光が照射された状態における、光電変換層15の例示的な電流-電圧特性(I-V特性)を示している。なお、
図4には、光が照射されていない状態におけるI-V特性の一例も、太い破線によってあわせて示されている。
【0080】
図4は、一定の照度のもとで、光電変換層15の2つの主面の間に印加するバイアス電圧を変化させたときの主面間の電流密度の変化を示している。本明細書において、バイアス電圧における順方向および逆方向は、以下のように定義される。光電変換層15が、層状のp型半導体および層状のn型半導体の接合構造を有する場合には、n型半導体の層よりもp型半導体の層の電位が高くなるようなバイアス電圧を順方向のバイアス電圧と定義する。他方、n型半導体の層よりもp型半導体の層の電位が低くなるようなバイアス電圧を逆方向のバイアス電圧と定義する。
【0081】
有機半導体材料を用いた場合も、無機半導体材料を用いた場合と同様に、順方向および逆方向を定義することができる。光電変換層15がバルクヘテロ接合構造を有する場合、上述の特許文献4で示されるように、電極に対向する、バルクヘテロ接合構造の2つの主面のうちの一方の表面には、n型半導体よりもp型半導体が多く現れ、他方の表面には、p型半導体よりもn型半導体が多く現れる。したがって、n型半導体よりもp型半導体が多く現れた主面側の電位が、p型半導体よりもn型半導体が多く現れた主面側の電位よりも高くなるようなバイアス電圧を順方向のバイアス電圧と定義する。
【0082】
図4に示すように、光電変換層15の光電流特性は、概略的には、3つの電圧範囲によって特徴づけられる。第1電圧範囲は、逆バイアスの電圧範囲であって、逆方向バイアス電圧の増大に従って出力電流密度の絶対値が増大する電圧範囲である。第1電圧範囲は、光電変換層15の主面間に印加されるバイアス電圧の増大に従って光電流が増大する電圧範囲といってもよい。第2電圧範囲は、順バイアスの電圧範囲であって、順方向バイアス電圧の増大に従って出力電流密度が増大する電圧範囲である。つまり、第2電圧範囲は、光電変換層15の主面間に印加されるバイアス電圧の増大に従って順方向電流が増大する電圧範囲である。第3電圧範囲は、第1電圧範囲と第2電圧範囲の間の電圧範囲である。
【0083】
第1電圧範囲、第2電圧範囲および第3電圧範囲は、リニアな縦軸および横軸を用いたときにおける光電流特性のグラフの傾きによって区別され得る。参考のため、
図4では、第1電圧範囲および第2電圧範囲のそれぞれにおけるグラフの平均的な傾きを、それぞれ、破線L1および破線L2によって示している。
図4に例示されるように、第1電圧範囲、第2電圧範囲および第3電圧範囲における、バイアス電圧の増加に対する出力電流密度の変化率は、互いに異なっている。第3電圧範囲は、バイアス電圧に対する出力電流密度の変化率が、第1電圧範囲における変化率および第2電圧範囲における変化率よりも小さい電圧範囲として定義される。あるいは、I-V特性を示すグラフにおける立ち上がり(立ち下がり)の位置に基づいて、第3電圧範囲が決定されてもよい。第3電圧範囲は、典型的には、-1Vよりも大きく、かつ、+1Vよりも小さい。第3電圧範囲では、バイアス電圧を変化させても、光電変換層15の主面間の電流密度は、ほとんど変化しない。
図4に例示されるように、第3電圧範囲では、電流密度の絶対値は、典型的には100μA/cm
2以下である。
【0084】
[電圧供給回路32の構成と撮像装置100の動作の例]
図5は、本実施の形態に係る撮像装置100の単位画素セル10と対向電極12との関係と、電圧供給回路32の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【0085】
本実施の形態に係る撮像装置100は、
図3に示すように、複数の画素ブロック10bを備える。ここで、その複数の画素ブロック10bは、
図5に示すように、複数の第1画素ブロック10bgと、複数の第2画素ブロック10brとを含む。複数の第1画素ブロック10bgは、グローバルシャッタ動作に用いられ、上述の予め定められた1以上の行に相当する。複数の第2画素ブロック10brは、ローリングシャッタ動作に用いられ、上述の他の1以上の行に相当する。このような複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれと、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれとは、
図5に示すように、交互に配置されている。つまり、隣り合う2つの第1画素ブロック10bgの間には1つの第2画素ブロック10brが配置され、隣り合う2つの第2画素ブロック10brの間には1つの第1画素ブロック10bgが配置されている。別の言い方をすれば、複数の画素ブロック10bの並び方向に沿って、偶数番目に第1画素ブロック10bgが配置され、奇数番目に第2画素ブロック10brが配置されている。
【0086】
電圧供給回路32は、グローバルシャッタ動作用の第1電圧供給回路32Gと、ローリングシャッタ動作用の第2電圧供給回路32Rとを備える。第1電圧供給回路32Gは、感度制御線42のうちの第1感度制御線42gを介して、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれの電極片12bに接続されている。言い換えれば、電圧供給回路32は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに対応する対向電極12に電気的に接続される。
【0087】
このような第1電圧供給回路32Gは、制御回路39による制御に応じて、複数の第1画素ブロック10bgがグローバルシャッタ動作を行うように、それらの第1画素ブロック10bgに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。言い換えれば、制御回路39は、複数の第1画素ブロック10bgのグローバルシャッタ動作を電圧供給回路32に行わせる。そのグローバルシャッタ動作は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに対して、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧を同じタイミングで印加することにより露光期間を形成し、対向電極12と画素電極11との間に第2電圧を同じタイミングで印加することにより非露光期間を形成する動作である。第1電圧は、例えば、
図4の第1電圧範囲に含まれる電圧である。第2電圧は、例えば、
図4の第3電圧範囲に含まれる電圧である。したがって、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれでは、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧が印加されているときには、信号電荷は光電変換層から画素電極に移動する。つまり、露光期間が形成される。また、対向電極12と画素電極11との間に第2電圧が印加されているときには、信号電荷の光電変換層15から画素電極11への移動が抑制される。つまり、非露光期間が形成される。
【0088】
第2電圧供給回路32Rは、感度制御線42のうちの第2感度制御線42rを介して、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれの電極片12bに接続されている。言い換えれば、電圧供給回路32は、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに対応する対向電極12に電気的に接続される。このような第2電圧供給回路32Rは、複数の第2画素ブロック10brがローリングシャッタ動作を行うように、それらの第2画素ブロック10brに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。例えば、第2電圧供給回路32Rは、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに対して、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧を継続的に印加する。このような第1電圧が継続的に印加されている状態において、制御回路39は、例えば垂直走査回路36を制御することによって、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに対してローリングシャッタ動作を行わせる。
【0089】
続いて、
図1から
図5を適宜参照しながら、撮像装置100における動作の一例について、
図6を用いて説明する。簡単のため、以下の説明では、画素アレイPAに含まれる単位画素セル10の行数が合計8行である場合における動作の例を説明する。その合計8行は、それぞれ第1画素ブロック10bgに対応する第GS_0行から第GS_3行の計4行と、それぞれ第2画素ブロック10brに対応する第RS_0行から第RS_3行の計4行との総和である。なお、第GS_0行、第GS_1行、第GS_2行、および第GS_3行は、それぞれ偶数番目の行である。また、第RS_0行、第RS_1行、第RS_2行、および第RS_3行は、それぞれ奇数番目の行である。つまり、これらの行は、第RS_0行、第GS_0行、第RS_1行、第GS_1行、第RS_2行、第GS_2行、第RS_3行、第GS_3行の順に配列されている。
【0090】
図6は、本実施の形態に係る撮像装置100における動作の一例を説明するための図である。
図6は、同期信号の立ち下がりまたは立ち上がりのタイミングと、光電変換層15に印加されるバイアス電圧の大きさの時間的変化と、画素アレイPAの各行におけるリセットおよび露光のタイミングとを合わせて示している。
【0091】
より具体的には、
図6中の一番上のグラフは、垂直同期信号Vssの立ち下がりまたは立ち上がりのタイミングを示す。上から2番目のグラフは、水平同期信号Hssの立ち下がりまたは立ち上がりのタイミングを示している。水平同期信号Hssのパルス間隔が、1Hで表される1水平期間である。垂直同期信号Vssのパルス間隔が、1Vで表される1垂直期間である。1垂直期間は、1フレーム期間に相当する。
【0092】
これらのグラフの下においてITO_Rで表されるグラフは、第2感度制御線42rを介して第2電圧供給回路32Rから、各第2画素ブロック10brの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbの時間的変化の一例を示している。さらに、ITO_Gで表されるグラフは、第1感度制御線42gを介して第1電圧供給回路32Gから、各第1画素ブロック10bgの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbの時間的変化の一例を示している。ITO_Rは、第2画素ブロック10br毎に設けられた電極片12bとみなすことができる。ITO_Gは、第1画素ブロック10bg毎に設けられた電極片12bとみなすことができる。
【0093】
さらにその下のGS_0からGS_3で表されるチャートは、画素アレイPAの各第1画素ブロック10bgにおけるリセットおよび露光のタイミングを模式的に示す。さらにその下のRS_0からRS_3で表されるチャートは、画素アレイPAの各第2画素ブロック10brにおけるリセットおよび露光のタイミングを模式的に示す。具体的には、GS_0からGS_3はそれぞれ、ITO_Gに対応する第1画素ブロック10bgに属する単位画素セル10の動作を表している。RS_0からRS_3はそれぞれ、ITO_Rに対応する第2画素ブロック10brに属する単位画素セル10の動作を表している。例えば、GS_0は、画素アレイPAの偶数番目の行である第GS_0行に属する複数の単位画素セル10の動作を示している。GS_1、GS_2およびGS_3についても、GS_0と同様、画素アレイPAの偶数番目の行である第GS_1行、第GS_2行および第GS_3行に属する複数の単位画素セル10の動作をそれぞれ示している。これらの行に属する複数の単位画素セル10の動作は、ITO_Gが示す電圧の変化によって制御される。RS_0は、画素アレイPAの奇数番目の行である第RS_0行に属する複数の単位画素セル10の動作を示している。RS_1、RS_2およびRS_3についても、RS_0と同様、画素アレイPAの奇数番目の行である第RS_1行、第RS_2行および第RS_3行に属する複数の単位画素セル10の動作をそれぞれ示している。これらの行に属する複数の単位画素セル10の動作は、ITO_Rが示す電圧によって制御される。
【0094】
GS_0からGS_3とRS_0からRS_3とで表される各チャートは、矩形の枠内の網掛けの有無および種類によって、動作の内容を表している。具体的には、網掛けの無い白塗りの矩形は、露光状態であることを表している。すなわち、白塗りの矩形が占める期間(以下、単に「白塗りの期間」と記載する)は、対応する行に属する単位画素セル10の露光期間である。斜線の網掛けが付された矩形、および、ドットの網掛けが付された矩形はいずれも、露光状態ではないことを表している。すなわち、斜線の網掛けが付された矩形、または、ドットの網掛けが付された矩形が占める期間は、対応する行に属する単位画素セル10の非露光期間である。このうち、ドットの網掛けが付された矩形が占める期間(以下、単に「ドットの期間」と記載する)は、対応する行に属する単位画素セル10の信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しを行う期間である。すなわち、ドットの期間は、信号読み出しを行う読み出し期間と、電荷蓄積領域のリセットおよびリセット後の読み出しを行うリセット期間、との合計期間である。
【0095】
本実施の形態では、制御回路39は、電圧供給回路32および垂直走査回路36を制御することによって、1フレーム期間毎に、画素アレイPAに対してグローバルシャッタ動作とローリングシャッタ動作とを同時に実行させる。グローバルシャッタ動作では、第GS_0行から第GS_3行の各第1画素ブロック10bgにおいて、露光期間から非露光期間への切り替えのタイミングが同じであり、かつ、非露光期間から露光期間への切り替えのタイミングが同じである。他方、ローリングシャッタ動作では、第RS_0行から第RS_3行の各第2画素ブロック10brにおいて、露光期間から非露光期間への切り替えのタイミング、および、非露光期間から露光期間への切り替えのタイミングが異なる。
【0096】
具体的には、グローバルシャッタ動作では、第1電圧供給回路32Gは、第1電圧を各第1画素ブロック10bgの対向電極12に同時に印加することにより露光期間を形成する。第1電圧は、例えば、
図4の第1電圧範囲に含まれる電圧である。また、第1電圧供給回路32Gは、第2電圧を第1画素ブロック10bgの対向電極12に同時に印加することにより非露光期間を形成する。第2電圧は、例えば、
図4の第3電圧範囲に含まれる電圧である。
【0097】
他方、ローリングシャッタ動作では、第2電圧供給回路32Rは、1フレーム期間中、第1電圧を各第2画素ブロック10brの対向電極12に継続的に印加する。そして、垂直走査回路36による信号読み出し、リセット、およびリセット読み出しのための処理が行われることによって、露光期間と非露光期間とが形成される。また、垂直走査回路36は、その処理を第2画素ブロック10br毎に異なるタイミングで行う。その結果、各第2画素ブロック10brにおいて、露光期間から非露光期間への切り替えのタイミング、および、非露光期間から露光期間への切り替えのタイミングが異なる。
【0098】
以下、第GS_0行から第GS_3行におけるグローバルシャッタ動作について、先に詳細に説明する。
【0099】
画像の取得においては、まず、画素アレイPA中の各第1画素ブロック10bgに含まれる各々の単位画素セル10の電荷蓄積領域のリセットが実行される。例えば、
図6に示すように、垂直同期信号Vssに基づき、時刻t0で、第GS_0行に属する複数の単位画素セル10のリセットを開始する。なお、直前のフレームで露光が行われている場合には、リセットの前に画素信号の読み出しが行われ、リセットの後にもリセット後の信号(すなわち、リセット信号)の読み出しが行われる。
【0100】
第GS_0行に属する単位画素セル10のリセットにおいては、第GS_0行のアドレス制御線46の電位を制御することにより、そのアドレス制御線46にゲートが接続されているアドレストランジスタ26をオンする。さらに、第GS_0行のリセット制御線48の電位の制御により、そのリセット制御線48にゲートが接続されているリセットトランジスタ28をオンする。これにより、電荷蓄積ノード41とリセット電圧線44とが接続され、電荷蓄積領域にリセット電圧Vrが供給される。すなわち、信号検出トランジスタ24のゲート電極24gおよび光電変換部13の画素電極11の電位が、リセット電圧Vrにリセットされる。その後、垂直信号線47を介して、第GS_0行の単位画素セル10からリセット後の画素信号を読み出す。このときに得られる画素信号は、リセット電圧Vrの大きさに対応した画素信号である。画素信号の読み出し後、リセットトランジスタ28およびアドレストランジスタ26をオフとする。
【0101】
本実施の形態では、
図6に模式的に示すように、水平同期信号Hssにあわせて、第GS_0行から第GS_3行の各行に属する画素のリセットを行単位で順次に実行する。以下では、水平同期信号Hssのパルスの間隔、換言すれば、ある行が選択されてから次の行が選択されるまでの期間を「1H期間」と呼ぶことがある。この例では、時刻t0から時刻t1までの期間が1H期間に相当する。
【0102】
ここで、時刻t0から時刻t4の期間においては、画素電極11と対向電極12との間の電位差が上述の第3電圧範囲となるような電圧V3が、各第1画素ブロック10bgの対向電極12に印加されている。つまり、第1電圧供給回路32Gから、第GS_0行から第GS_3行の各行にある対向電極12の電極片12bにその電圧V3が印加されている。言い方を変えれば、時刻t0から露光期間の開始時刻t4までの期間において、光電変換部13の光電変換層15は、第3電圧範囲のバイアス電圧が印加された状態にある。
【0103】
光電変換層15に第3電圧範囲のバイアス電圧が印加された状態では、光電変換層15からの電荷蓄積領域への信号電荷の移動は、ほとんど起こらない。これは、光電変換層15に第3電圧範囲のバイアス電圧が印加された状態では、光の照射によって生じた正および負の電荷のほとんどが、速やかに再結合し、画素電極11によって収集される前に消滅してしまうためであると推測される。したがって、光電変換層15に第3電圧範囲のバイアス電圧が印加された状態では、光電変換層15に光が入射しても、電荷蓄積領域への信号電荷の蓄積は、ほとんど起こらない。そのため、露光期間以外の期間における、意図しない感度の発生が抑制される。なお、意図しない感度は、寄生感度とも呼ばれる。このように、光電変換層15へのバイアス電圧を第3電圧範囲とすることによって感度を速やかに0に落とし得る。バイアス電圧を第3電圧範囲とした状態では、画素電極11による信号電荷の収集が行われないので、露光していない状態と同じになる。バイアス電圧を第3電圧範囲としている期間は、
図6に示すように、非露光期間となる。なお、第3電圧範囲のバイアス電圧を印加するための電圧V3は、一例として0Vであるが、0Vに限定されない。電圧V3は、第2電圧の一例であり、非露光期間を形成するための電圧である。
【0104】
第GS_0行から第GS_3行では、時刻t4に、ITO_Gに対応する電極片12bに印加される電圧が電圧V3と異なる電圧Veに切り替わることによって露光期間が開始される。露光期間は、電圧供給回路32が、対向電極12の電極片12bに印加する電圧を電圧V3とは異なる電圧Veに切り替えることによって開始される。電圧Veは、第1電圧の一例であり、露光期間を形成するための電圧である。電圧Veは、例えば、画素電極11と対向電極12との間の電位差が上述の第1電圧範囲となるような電圧である。電圧Veは、例えば10V程度である。対向電極12に電圧Veが印加されることにより、光電変換層15中の信号電荷(この例では正孔)が画素電極11によって収集され、電荷蓄積領域に蓄積される。つまり、信号電荷が電荷蓄積ノード41に蓄積される。
【0105】
第1電圧供給回路32Gが、ITO_Gに対応する電極片12bに印加する電圧を、時刻t8で再び電圧V3に切り替えることにより、露光期間が終了する。このように、本実施の形態における第GS_0行から第GS_3行では、対向電極12の電極片12bに印加する電圧が電圧V3と電圧Veとの間で切り替えられることによって、露光期間と非露光期間とが切り替えられる。また、
図6から分かるように、本実施の形態では、第GS_0行から第GS_3行では、それぞれ互いに異なるタイミングでリセットが順次行われ、同じタイミングで露光期間と非露光期間とが切り替えられる。
【0106】
水平同期信号Hssに基づき、画素アレイPAの各行に属する単位画素セル10からの信号の読み出しを行う。この例では、時刻t8から、第GS_0行から第GS_3行の各行に属する単位画素セル10からの信号の読み出しが行単位で順次に実行されている。以下では、ある行に属する単位画素セル10が選択されてからその行に属する単位画素セル10が再び選択されるまでの期間を「1V期間」と呼ぶことがある。
【0107】
この例では、時刻t0から時刻t8までの期間が1V期間に相当する。露光期間の終了後における、第GS_0行に属する単位画素セル10からの信号の読み出しにおいては、第GS_0行のアドレストランジスタ26をオンする。これにより、露光期間において電荷蓄積領域に蓄積された電荷量に対応した画素信号が垂直信号線47に出力される。画素信号の読み出しに続けて、リセットトランジスタ28をオンして単位画素セル10のリセットを行う。リセット後に、リセットトランジスタ28を再びオフとする。そして、リセットトランジスタ28をオフとした後の信号(すなわち、リセット信号)を読み出す。リセット信号の読み出し後、アドレストランジスタ26をオフとする。画素アレイPAの各行に属する単位画素セル10からの画素信号とリセット信号との差分をとることにより、固定ノイズを除去した信号が得られる。
【0108】
このように、本実施の形態では、第GS_0から第GS_3行の対向電極12に印加する電圧が電圧V3と電圧Veとの間で切り替えられることによって、露光期間と非露光期間とが切り替えられる。
図6から分かるように、第GS_0から第GS_3行における露光期間の開始および終了は、複数の第1画素ブロック10bgに含まれる全ての画素において同時に行われる。その結果、撮像装置100においてグローバルシャッタ動作が実行される。また、露光期間は、読み出し動作をしている期間を除いて、1H期間からほぼ1V期間にわたって自由に選択することができる。なお、ほぼ1V期間とは、具体的には、1Vから、読み出し動作をしている期間を除く残りの期間である。
【0109】
一方、第RS_0行から第RS_3行では、ローリングシャッタ動作が行われる。つまり、ITO_Rのグラフのように、第2電圧供給回路32Rは、第RS_0行から第RS_3行の各行における対向電極12に電圧Veを常時印加する。これにより、光電変換層15中の信号電荷(この例では正孔)が画素電極11によって収集され、電荷蓄積領域に蓄積される。つまり、信号電荷が電荷蓄積ノード41に蓄積される。この信号電荷の蓄積は、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しを除く期間において行われる。ローリングシャッタ動作では、このように信号電荷が蓄積される期間が露光期間であって、それ以外の期間、すなわち、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しが行われる期間が、非露光期間である。本実施の形態における第RS_0行から第RS_3行では、時刻t0から時刻t4にかけて、互いに異なるタイミングで非露光期間が開始されて終了される。具体的には、第RS_0行では、時刻t0から時刻t1にかけて非露光期間が形成され、その時刻t1から露光期間が開始される。第RS_1行では、第RS_0行と比べて1H期間遅れ、時刻t1から時刻t2にかけて非露光期間が形成され、その時刻t2から露光期間が開始される。同様に、第RS_2行では、第RS_1行と比べて1H期間遅れ、時刻t2から時刻t3にかけて非露光期間が形成され、その時刻t3から露光期間が開始される。第RS_3行では、第RS_2行と比べて1H期間遅れ、時刻t3から時刻t4にかけて非露光期間が形成され、その時刻t4から露光期間が開始される。このように、第RS_0行から第RS_3行において、露光期間および非露光期間が互いに異なるタイミングで行われる。すなわちローリングシャッタ動作が行われる。
【0110】
このように、本実施の形態では、対向電極12を2つのグループに分割し、それぞれ独立に制御することによりローリングシャッタ動作に基づく画像と、グローバルシャッタ動作に基づく画像とを同時に取得することが可能である。また、複数の単位画素セル10のそれそれは、画素電極11、対向電極12、光電変換層15、および電荷蓄積領域を備え、グローバルシャッタ動作のための専用の回路、ローリングシャッタ動作のための専用の回路などを備えていない。したがって、それらの単位画素セル10の構成を簡易化することができる。その結果、それぞれ簡易に構成された複数の単位画素セル10によって、シャッタ動作が異なる複数の画像を得ることができる。
【0111】
また、本実施の形態では、対向電極12は、複数の画素ブロック10bのうち、同じ画素ブロック10b内の複数の単位画素セル10間で連続し、異なる画素ブロック10b間で分離している。電圧供給回路32は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに対応する対向電極12に電気的に接続されている。これにより、電圧供給回路32は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれについて、対向電極12の電位を切り替えることによって、その第1画素ブロック10bgに含まれる各単位画素セル10の対向電極12と画素電極11との間の電圧を第1電圧と第2電圧とに切り替えることができる。その結果、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれで行われる露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングを、一致させ易くすることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれでは、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧が印加されているときには、信号電荷は光電変換層15から画素電極11に移動する。対向電極12と画素電極11との間に第2電圧が印加されているときには、信号電荷の光電変換層15から画素電極11への移動が抑制される。これにより、対向電極12と画素電極11との間に第1電圧が印加されているときには、露光期間が形成され、対向電極12と画素電極11との間に第2電圧が印加されているときには、非露光期間が形成される。したがって、対向電極12と画素電極11との間の電圧の切り替えによって、露光期間と非露光期間との切り替えを適切に行うことができる。
【0113】
また、本実施の形態では、複数の画素ブロック10bのそれぞれは、同じ1行に属する複数の単位画素セル10からなっている。これにより、行毎にシャッタ動作を独立して制御できる。さらに、グローバルシャッタ動作により得られる画像と、ローリングシャッタ動作により得られる画像とを、それぞれ行単位で構成することができ、高画質化を図ることができる。
【0114】
また、本実施の形態では、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれと、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれとは、交互に配置されていている。これにより、グローバルシャッタ動作により得られる画像と、ローリングシャッタ動作により得られる画像との位置ずれを抑えることができる。
【0115】
なお、
図6に示す例では、第GS_0行および第RS_0行のそれぞれのドットの期間は、同一であって、共に時刻t0から時刻t1までの期間である。同様に、第GS_1行および第RS_1行のそれぞれのドットの期間も、同一であって、共に時刻t1から時刻t2までの期間である。第GS_2行および第RS_2行のそれぞれのドットの期間も、同一であって、第GS_3行および第RS_3行のそれぞれのドットの期間も、同一である。つまり、1つの第1画素ブロック10bgに対応する行のドットの期間と、1つの第2画素ブロック10brに対応する行のドットの期間とは、同一である。
【0116】
しかし、
図1に示す撮像装置100の構成では、第1画素ブロック10bgと第2画素ブロック10brとでは、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しは、そのドットの期間の全てにわたって行われることはない。例えば、1つのドットの期間内で、第1画素ブロック10bgおよび第2画素ブロック10brのそれぞれに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しが、シーケンシャルに行われてもよい。例えば、第1画素ブロック10bgに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しが先に行われ、その後に、第2画素ブロック10brに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しが行われてもよい。
【0117】
また、
図1に示す撮像装置100では、画素アレイPAの列毎に、1つの垂直信号線47と1つのカラム信号処理回路37とが配置されているが、2つの垂直信号線47と2つのカラム信号処理回路37とが配置されていてもよい。この場合、2つの垂直信号線47のうちの一方と、2つのカラム信号処理回路37のうちの一方とは、第1画素ブロック10bgに用いられる。そして、2つの垂直信号線47のうちの他方と、2つのカラム信号処理回路37のうちの他方とは、第2画素ブロック10brに用いられる。したがって、この場合には、第1画素ブロック10bgに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しと、第2画素ブロック10brに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しとが、同時に行われてもよい。
【0118】
また、本実施の形態におけるローリングシャッタ動作では、ドットの期間の終了時に露光期間が開始される。しかし、電子シャッタを用いることによって、ドットの期間の終了から所定の期間経過後に、露光期間が開始されてもよい。電子シャッタは、露光期間の開始時点を決めるリセット動作であって、上述のドットの期間において行われるリセットと同一の動作である。この電子シャッタを用いることによって、ローリングシャッタ動作が行われる各行の露光期間を調整することができる。その結果、グローバルシャッタ動作の露光期間の長さと、ローリングシャッタ動作の露光期間の長さとを容易に一致させることができる。
【0119】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
【0120】
実施の形態2に係る撮像装置100は、実施の形態1と比較して、ローリングシャッタ動作が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0121】
図7は、本実施の形態に係る撮像装置100の単位画素セル10と対向電極12との関係と、電圧供給回路32の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【0122】
電圧供給回路32は、グローバルシャッタ動作用の第1電圧供給回路32Gと、ローリングシャッタ動作用の第2電圧供給回路32Raとを備える。第1電圧供給回路32Gは、感度制御線42のうちの第1感度制御線42gを介して、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれの電極片12bに接続されている。このような第1電圧供給回路32Gは、複数の第1画素ブロック10bgがグローバルシャッタ動作を行うように、それらの第1画素ブロック10bgに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。第2電圧供給回路32Raは、第2画素ブロック10br毎に、感度制御線42のうちの第2感度制御線42rを介して、その第2画素ブロック10brの電極片12bに接続されている。このような第2電圧供給回路32Raは、それらの第2画素ブロック10brに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。このとき、第2電圧供給回路32Raは、実施の形態1の第2電圧供給回路32Rとは異なり、第2画素ブロック10br毎に、その第2画素ブロック10brの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbを変化させる。
【0123】
図8は、本実施の形態に係る撮像装置100における動作の一例を説明するための図である。
【0124】
第1電圧供給回路32Gは、ITO_Gのグラフのように、実施の形態1と同様、各第1画素ブロック10bgの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbを電圧V3と電圧Veとの間で切り替える。そして、垂直走査回路36は、実施の形態1と同様、第GS_0行から第GS_3行の各行に対して、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しのための処理を実行する。
【0125】
ここで、ITO_R0からITO_R3で表されるグラフはそれぞれ、第2感度制御線42rを介して第2電圧供給回路32Raから、第2画素ブロック10brの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbの時間的変化の一例を示している。具体的には、ITO_R0、ITO_R1、ITO_R2、およびITO_R3、は、第RS_0行、第RS_1行、第RS_2行、および第RS_3行の第2画素ブロック10brに対応するバイアス電圧Vbの時間的変化の一例をそれぞれ示す。ITO_R0からITO_R3はそれぞれ、第2画素ブロック10br毎に設けられた電極片12bとみなすことができる。
【0126】
ITO_R0からITO_R3のグラフのように、本実施の形態における第2電圧供給回路32Raは、各第2画素ブロック10brの電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbを電圧V3と電圧Veとの間で切り替える。さらに、第2電圧供給回路32Raは、そのバイアス電圧Vbの切り替えのタイミングを、各第2画素ブロック10brで異ならせる。
【0127】
具体的には、第RS_0行では、時刻t0から時刻t4にかけて、画素電極11と対向電極12との間の電位差が上述の第3電圧範囲となるような電圧V3が、その第RS_0行に対応する第2画素ブロック10brの電極片12bに印加される。次に、時刻t4から時刻t8にかけて、画素電極11と対向電極12との間の電位差が上述の第1電圧範囲となるような電圧Veが、その第RS_0行に対応する第2画素ブロック10brの電極片12bに印加される。その結果、第RS_0行では、時刻t0から時刻t4の期間は、非露光期間に設定され、時刻t4から時刻t8の期間は、露光期間に設定される。
【0128】
第RS_1行では、第RS_0行と比べて1H期間遅れ、時刻t1から時刻t5にかけて、その第RS_1行に対応する第2画素ブロック10brの電極片12bに電圧V3が印加される。次に、時刻t5から時刻t9にかけて、その第RS_1行に対応する第2画素ブロック10brの電極片12bに電圧Veが印加される。その結果、第RS_1行では、時刻t1から時刻t5の期間は、非露光期間に設定され、時刻t5から時刻t9の期間は、露光期間に設定される。このように、第RS_1行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングは、第RS_0行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングから1H期間ずらされる。同様に、第RS_2行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングは、第RS_1行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングから1H期間ずらされる。さらに、第RS_3行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングは、第RS_2行における露光期間と非露光期間との切り換えのタイミングから1H期間ずらされる。
【0129】
このように、本実施の形態では、ローリングシャッタ動作においても、グローバルシャッタ動作と同様、対向電極12の電極片12bに印加されるバイアス電圧Vbが切り替えられる。
【0130】
なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様、撮像装置100では、画素アレイPAの列毎に、2つの垂直信号線47と2つのカラム信号処理回路37とが配置されていてもよい。この場合には、第1画素ブロック10bgに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しと、第2画素ブロック10brに対する、信号読み出し、リセットおよびリセット読み出しとを、同時に行うことができる。
【0131】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
【0132】
実施の形態1および2では、画素電極11と対向電極12との間の電位差を電圧V3と電圧Veとの間で切り替えるときには、その対向電極12の電位を制御する。一方、実施の形態3では、電荷蓄積領域、すなわち電荷蓄積ノード41の電位を制御することによって、画素電極11と対向電極12との間の電位差を電圧V3と電圧Veとの間で切り替える。以下では、実施の形態1または2との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0133】
まず、実施の形態3に係る撮像装置の回路構成について、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【0134】
図9に示す撮像装置200の電圧供給回路32は、電位設定回路33と、第1電位切替回路33Gと、第2電位切替回路33Rとを備える。電位設定回路33は、行毎に設けられている感度制御線42に接続されている。
【0135】
第1電位切替回路33Gは、画素アレイPAのうちのグローバルシャッタ動作を行う各行、すなわち偶数番目の各行に設けられている第1電位制御線43gに接続されている。第2電位切替回路33Rは、画素アレイPAのうちのローリングシャッタ動作を行う各行、すなわち奇数番目の各行に設けられている第2電位制御線43rに接続されている。また、画素アレイPAに含まれる各単位画素セル10は、容量29を備える。なお、容量29は、具体的には静電容量であって、コンデンサとも呼ばれる。グローバルシャッタ動作を行う行に属する単位画素セル10の容量29は、その行に設けられている第1電位制御線43gと、その単位画素セル10の電荷蓄積ノード41との間に接続されている。ローリングシャッタ動作を行う行に属する単位画素セル10の容量29は、その行に設けられている第2電位制御線43rと、その単位画素セル10の電荷蓄積ノード41との間に接続されている。
【0136】
また、本実施の形態では、撮像装置200は、列毎に2本の垂直信号線を備える。つまり、
図9に示されるように、撮像装置200は、列毎に垂直信号線47aおよび垂直信号線47bを備える。垂直信号線47aは、例えば、奇数番目の行に属する単位画素セル10に接続されている。垂直信号線47bは、例えば、偶数番目の行に属する単位画素セル10に接続されている。
【0137】
垂直信号線47aおよび垂直信号線47bには、カラム信号処理回路37aおよびカラム信号処理回路37bがそれぞれ接続されている。カラム信号処理回路37aおよび37bは、実施の形態1に係るカラム信号処理回路37と同じである。
【0138】
以上のように、2本の垂直信号線が設けられていることで、2行の単位画素セル10からの信号を同時に読み出すことが可能である。
【0139】
図10は、本実施の形態に係る撮像装置200の単位画素セル10と対向電極12との関係と、電圧供給回路32の構成の一例とを示す模式的な平面図である。
【0140】
各第1画素ブロック10bgに対応する対向電極12の電極片12bと、各第2画素ブロック10brに対応する対向電極12の電極片12bとは、感度制御線42を介して電位設定回路33に接続されている。電位設定回路33は、それらの対向電極12の電極片12bに電圧(例えば10V程度)を常時印加する。
【0141】
第1電位切替回路33Gは、各第1画素ブロック10bgに対応する第1電位制御線43gの電位を切り替える。ここで、第1電位切替回路33Gは、第1電位制御線43gを介して複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに含まれる各単位画素セル10に接続されている。さらに、その第1電位制御線43gは、単位画素セル10内の容量29を介して電荷蓄積ノード41および画素電極11に接続されている。つまり、電圧供給回路32の第1電位切替回路33Gは、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに含まれる各単位画素セル10の画素電極11に容量29を介して接続される。
【0142】
これにより、容量29を介して第1電位制御線43gに接続されている電荷蓄積ノード41の電位も切り替えられる。その結果、実施の形態1および2と同様、第1画素ブロック10bgに属する各単位画素セル10における画素電極11と対向電極12との間の電位差を、電圧Veと電圧V3との間で切り替えられることができる。
【0143】
同様に、第2電位切替回路33Rは、各第2画素ブロック10brに対応する第2電位制御線43rの電位を切り替える。ここで、第2電位切替回路33Rは、第2電位制御線43rを介して複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに含まれる各単位画素セル10に接続されている。さらに、その第2電位制御線43rは、単位画素セル10内の容量29を介して電荷蓄積ノード41および画素電極11に接続されている。つまり、電圧供給回路32の第2電位切替回路33Rは、複数の第2画素ブロック10brのそれぞれに含まれる各単位画素セル10の画素電極11に容量29を介して接続される。
【0144】
これにより、容量29を介して第2電位制御線43rに接続されている電荷蓄積ノード41の電位も切り替えられる。その結果、実施の形態2と同様、第2画素ブロック10brに属する各単位画素セル10における画素電極11と対向電極12との間の電位差を、電圧Veと電圧V3との間で切り替えられることができる。
【0145】
図11は、本実施の形態に係る撮像装置200における動作の一例を説明するための図である。
【0146】
CC_Gで表されるグラフは、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに含まれる各単位画素セル10の電荷蓄積ノード41における電位の時間的変化の一例を示している。なお、その電荷蓄積ノード41における電位の時間的変化のタイミングは、第1電位制御線43gにおける電位の時間的変化のタイミングと一致する。また、電荷蓄積ノード41における電位は、容量29の大きさに応じて、第1電位制御線43gの電位と略一致し得る。
【0147】
上述の複数の第1画素ブロック10bgは、例えば、第GS_0行から第GS_3行に対応する第1画素ブロック10bgである。これらの第1画素ブロック10bgの電荷蓄積ノード41の電位は、第1電位切替回路33Gによって同一のタイミングで切り替えられる。例えば、電荷蓄積ノード41に印加される電圧は、10V程度と0V程度との間で切り替えられる。
【0148】
CC_R0からCC_R3で表されるグラフはそれぞれ、複数の第2画素ブロック10brの何れか1つに含まれる各単位画素セル10の電荷蓄積ノード41における電位の時間的変化の一例を示している。なお、その電荷蓄積ノード41における電位の時間的変化のタイミングは、第2電位制御線43rにおける電位の時間的変化のタイミングと一致する。また、電荷蓄積ノード41における電位は、容量29の大きさに応じて、第2電位制御線43rの電位と略一致し得る。
【0149】
上述の複数の第2画素ブロック10brは、例えば、第RS_0行から第RS_3行に対応する第2画素ブロック10brである。これらの第2画素ブロック10brの電荷蓄積ノード41の電位は、第2電位切替回路33Rによって互いに異なるタイミングで切り替えられる。この場合にも、上述と同様、例えば、電荷蓄積ノード41に印加される電圧は、10V程度と0V程度との間で切り替えられる。
【0150】
CC_GおよびCC_R0からCC_R3で表されるグラフのように、本実施の形態では、実施の形態2における対向電極12の電位の制御と逆の制御が、電荷蓄積ノード41に対して行われる。これにより、本実施の形態でも、第GS_0行から第GS_3行および第RS_0行から第RS_3行に対して、実施の形態2と同様のタイミングで、画素電極11と対向電極12との間の電位差を電圧V3と電圧Veとの間で切り替えることができる。つまり、電圧供給回路32は、複数の第1画素ブロック10bgのそれぞれに含まれる各単位画素セル10の電荷蓄積領域および画素電極11の電位を、容量29を介して切り替える。これによって、その単位画素セル10の対向電極12と画素電極11との間の電圧を、第1電圧と第2電圧とに切り替えることができる。その結果、実施の形態2と同様に、本実施の形態では、第GS_0行から第GS_3行が、グローバルシャッタ動作を行い、第RS_0行から第RS_3行が、ローリングシャッタ動作を行う。
【0151】
また、本実施の形態では、垂直信号線47aは、例えば、第RS_0行、第RS_1行、第RS_2行、および第RS_3行の単位画素セル10に接続されている。垂直信号線47bは、例えば、第GS_0行、第GS_1行、第GS_2行、および第GS_3行の単位画素セル10に接続されている。したがって、第GS_0行と第RS_0行とのそれぞれの単位画素セル10から同時に信号読み出しを行うことができる。同様に、第GS_1行と第RS_1行とのそれぞれの単位画素セル10から同時に信号読み出しを行うことができる。このように、グローバルシャッタ動作を行う1つの行と、ローリングシャッタ動作を行う1つの行とから同時に信号読み出しを行うことができる。これにより、信号の読み出し速度を向上することができるため、高速に撮像することができる。
【0152】
なお、本実施の形態では、各列に設けられる垂直信号線の数は2本であるが、実施の形態1または2と同様に、1本であってもよい。この場合には、例えば、第GS_0行と第RS_0行とのそれぞれの単位画素セル10からの信号読み出しは、シーケンシャルに行われる。
【0153】
なお、本実施の形態では、グローバルシャッタ動作およびローリングシャッタ動作の両方に対して、電荷蓄積ノード41の電位の切り替えが行われる。しかし、何れか一方のシャッタ動作に対して、電荷蓄積ノード41の電位の切り替えが行われ、他方のシャッタ動作に対しては、実施の形態1または2のように、対向電極12の電位の切り替えが行われてもよい。また、グローバルシャッタ動作に対して、電荷蓄積ノード41の電位の切り替えが行われ、ローリングシャッタ動作に対しては、実施の形態1のように、電荷蓄積ノード41および対向電極12の電位の切り替えが行われなくてもよい。この場合、ローリングシャッタ動作の露光期間および非露光期間は、信号読み出し、リセット動作、およびリセット読み出しのタイミングによって設定される。また、この場合には、電子シャッタが行われてもよく、行われなくてもよい。
【0154】
また、本実施の形態では、対向電極12は、同じ画素ブロック10b内の複数の単位画素セル10間で連続し、異なる画素ブロック10b間で分離している。しかし、対向電極12は、異なる画素ブロック10b間で分離されることなく連続していてもよい。
【0155】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明する。
【0156】
実施の形態4に係る撮像装置は、実施の形態1と比較して、画素ブロックに含まれる単位画素セルの行数が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0157】
図12は、本実施の形態に係る撮像装置300の単位画素セル10と対向電極212との関係を示す模式的な平面図である。本実施の形態では、複数の単位画素セル10は、i行以上の行毎に複数の画素ブロック210bを構成する。ここで、iは、2以上の整数である。言い換えれば、複数の画素ブロック210bのそれぞれは、2行以上の同じ行に属する複数の画素からなる。
図12に示される例では、i=2である。複数の画素ブロック210bはそれぞれ、隣り合う2行分の単位画素セル10を含んでいる。以下では、i=2である場合を例に説明するが、iは、3以上であってもよい。
【0158】
本実施の形態に係る対向電極212は、i行毎に分離されている。具体的には、対向電極212は、複数の画素ブロック210bと一対一に対応する複数の電極片212bを有する。
図12に示すように、複数の電極片212bは、2行毎に設けられており、互いに分離している。つまり、電極片212bは、同じ2行に属する複数の単位画素セル10の各々の画素電極11を覆っている。
【0159】
実施の形態1と同様に、電圧供給回路32は、電極片212b毎に、印加する電圧の大きさおよびタイミングを制御することができる。これにより、画素ブロック210b毎に、対応する画素ブロック210bに属する単位画素セル10の状態を制御することができる。
【0160】
図13は、本実施の形態に係る対向電極212の各電極片212bと電圧供給回路32との接続形態の一例を示す模式的な平面図である。
【0161】
複数の画素ブロック210bは、
図13に示すように、複数の第1画素ブロック210bgと、複数の第2画素ブロック210brとを含む。複数の第1画素ブロック210bgは、グローバルシャッタ動作に用いられ、複数の第2画素ブロック210brは、ローリングシャッタ動作に用いられる。このような複数の第1画素ブロック210bgのそれぞれと、複数の第2画素ブロック210brのそれぞれとは、
図13に示すように、交互に配置されている。つまり、隣り合う2つの第1画素ブロック210bgの間には1つの第2画素ブロック210brが配置され、隣り合う2つの第2画素ブロック210brの間には1つの第1画素ブロック210bgが配置されている。別の言い方をすれば、複数の画素ブロック210bの並び方向に沿って、偶数番目に第1画素ブロック210bgが配置され、奇数番目に第2画素ブロック210brが配置されている。
【0162】
電圧供給回路32は、例えば実施の形態1と同様、グローバルシャッタ動作用の第1電圧供給回路32Gと、ローリングシャッタ動作用の第2電圧供給回路32Rとを備える。第1電圧供給回路32Gは、感度制御線42のうちの第1感度制御線42gを介して、複数の第1画素ブロック210bgのそれぞれの電極片212bに接続されている。このような第1電圧供給回路32Gは、複数の第1画素ブロック210bgがグローバルシャッタ動作を行うように、それらの第1画素ブロック210bgに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。第2電圧供給回路32Rは、感度制御線42のうちの第2感度制御線42rを介して、複数の第2画素ブロック210brのそれぞれの電極片212bに接続されている。このような第2電圧供給回路32Rは、複数の第2画素ブロック210brがローリングシャッタ動作を行うように、それらの第2画素ブロック210brに属する各単位画素セル10に電圧を供給する。これにより、本実施の形態に係る撮像装置300は、実施の形態1と同様の処理動作、つまり
図6に示す処理動作を行う。この場合、
図6に示す第GS_0行および第GS_1行に共通の電極片212bに対してバイアス電圧Vbが印加され、第GS_2行および第GS_3行に共通の電極片212bに対してバイアス電圧Vbが印加される。同様に、第RS_0行および第RS_1行に共通の電極片212bに対してバイアス電圧Vbが印加され、第RS_2行および第RS_3行に共通の電極片212bに対してバイアス電圧Vbが印加される。したがって、画素アレイPAは、2行毎に、グローバルシャッタ動作を行う領域と、ローリングシャッタ動作を行う領域とに分離される。
【0163】
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置200では、複数の単位画素セル10は、2行以上の行毎に画素ブロック210bを構成しており、対向電極212は、画素ブロック210b毎に分離して設けられている。すなわち、対向電極212は、複数行にまたがる電極片212bを有する。
【0164】
これにより、対向電極212の電極片212bの個数を減らすことができるので、電極片212bを駆動するために必要なバッファ回路を削減できる。例えば、電極片212b毎にバッファ回路を1つずつ設ければよい。また、複数の電極片212bを形成するための加工精度が低くてもよい。
【0165】
また、電極片212bの線幅(すなわち、列方向の長さ)が広くなるので、電極片212bの抵抗が低くなる。また、電極片212bの寄生容量が小さくなる可能性がある。これらより、電極片212bの抵抗をR、電極片212bの寄生容量をCとした場合、電極片212bのセトリングの時定数はRCで表される。このため、電極片212bのセトリングの時定数が小さくなる可能性があり、セトリング期間を短くすることができうる。
【0166】
なお、本実施の形態における画素ブロック210bおよび電極片212bは、実施の形態1だけでなく、実施の形態2および3にも適用し得る。
【0167】
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5について説明する。
【0168】
実施の形態5は、上述した各実施の形態に係る撮像装置を備える撮像システムである。以下では、各実施の形態との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0169】
図14は、本実施の形態に係る撮像システム400の一例を示すブロック図である。
図14に示す撮像システム400は、概略的には、カメラ部480と、表示部490とを有する。カメラ部480および表示部490は、単一の装置の2つの部分であってもよいし、それぞれが独立した別個の装置であってもよい。
図14に示すように、カメラ部480は、光学系410、撮像装置100、システムコントローラ420および画像形成回路430を備える。表示部490は、信号処理回路450および表示装置460を備える。
【0170】
光学系410は、絞り、手振れ補正レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどを含む。光学系410が有するレンズの数は、要求される機能に応じて適宜決定される。
【0171】
システムコントローラ420は、カメラ部480が備える各処理部を制御する。システムコントローラ420は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの半導体集積回路であり、例えば、光学系410におけるレンズの駆動回路に制御信号を送出する。この例では、システムコントローラ420は、撮像装置100の動作の制御も行う。例えば、システムコントローラ420は、垂直走査回路36の駆動を制御する。システムコントローラ420の制御に基づいて、電圧供給回路32から感度制御線42に印加される電圧の切り替えが実行されてもよい。システムコントローラ420は、1以上のメモリを含み得る。
【0172】
画像形成回路430は、撮像装置100の出力に基づいて画像を形成するように構成されている。画像形成回路430は、例えばDSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などであり得る。画像形成回路430は、メモリを含んでいてもよい。
【0173】
図14に示す例では、画像形成回路430は、出力バッファ440を有している。画像形成回路430は、出力バッファ440を介して、生成した画像のデータを表示部490に出力する。画像形成回路430から出力されるデータは、典型的には、RAWデータであり、例えば12ビット幅の信号である。画像形成回路430から出力されるデータは、例えばH.264規格に準拠して圧縮されたデータであってもよい。
【0174】
表示部490の信号処理回路450は、画像形成回路430からの出力を受け取る。画像形成回路430からの出力は、カメラ部480に対する接続および取り外しが自在に構成された外部記録媒体(例えばフラッシュメモリデバイス)に一旦保存されてもよい。つまり、画像形成回路430からの出力が、外部記録媒体を介して表示部490に渡されてもよい。
【0175】
信号処理回路450は、例えば、ガンマ補正、色補間、空間補間およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。信号処理回路450は、典型的には、DSP、ISP(Image Signal Processor)などである。
【0176】
表示装置460は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。表示装置460は、信号処理回路450からの出力信号に基づいて画像を表示する。表示部490は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどであり得る。
【0177】
なお、
図14では、撮像システム400が撮像装置100を備える例を示したが、撮像システム400は、撮像装置200または300を備えてもよい。
【0178】
(実施の形態6)
続いて、実施の形態6について説明する。
【0179】
実施の形態6は、実施の形態5に係るカメラ部480を備える測距装置である。以下では、各実施の形態との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0180】
図15は、本実施の形態に係る測距装置を備える車両の一例を示す図である。
【0181】
車両1000は、測距装置500と、車速検出部600とを備える。車速検出部600は、車両1000の速度を車速として検出し、その検出された車速を示す車速情報を測距装置500に出力する。例えば、車速検出部600は、車両1000の車輪の回転に応じて出力されるパルス信号に基づいて車速を検出する。なお、車速検出部600は、パルス信号に基づく手法に限らず、他の任意の手法によって車速を検出してもよい。また、車速検出部600は、車両1000に備えられている、車速を扱うECU(Electronic Control Unit)から、車速情報を取得することによって、車速を検出してもよい。測距装置500は、上記実施の形態5に係るカメラ部480を備える。そして、測距装置500は、カメラ部480によって得られる画像データと、車速検出部600から出力される車速情報とを用いて、カメラ部480から測距対象物までの距離を測定し、その距離を示す測距情報を出力する。なお、その測距対象物は、カメラ部480によって撮像される被写体である。
【0182】
図16は、測距装置500の構成の一例を示すブロック図である。
【0183】
測距装置500は、カメラ部480、歪み検出部510、距離導出部503、およびシャッタ制御部504を備える。
【0184】
シャッタ制御部504は、車速検出部600から出力される車速情報を取得し、その車速情報によって示される車速に応じてカメラ部480のシャッタパラメータを設定する。さらに、シャッタ制御部504は、その設定されたシャッタパラメータを示すシャッタ情報を、距離導出部503に出力する。シャッタパラメータは、例えば、上記実施の形態1~5に係る撮像装置による撮像に用いられる1H、1Vなどである。
【0185】
カメラ部480は、1フレーム期間毎に、GS画像データとRS画像データとを歪み検出部510に出力する。GS画像データは、上記実施の形態1~4の何れかに係る撮像装置のグローバルシャッタ動作によって得られるデータである。RS画像データは、上記実施の形態1~4の何れかに係る撮像装置のローリングシャッタ動作によって得られるデータである。また、カメラ部480は、それらの画像データを得る場合には、シャッタ制御部504によって設定されたシャッタパラメータにしたがってグローバルシャッタ動作およびローリングシャッタ動作を行う。
【0186】
歪み検出部510は、カメラ部480からGS画像データおよびRS画像データを取得する。そして、歪み検出部510は、それらの画像データから測距対象物の形状の歪みの大きさを検出する。その歪みは、具体的には、GS画像データに映し出されている測距対象物の形状に対する、RS画像データに映し出されているその測距対象物の形状の歪みである。なお、このような歪みは、ローリングシャッタ歪みとも呼ばれる。また、歪み検出部510は、直線検出部501と、角度検出部502とを備える。
【0187】
直線検出部501は、カメラ部480からGS画像データおよびRS画像データを取得し、そのGS画像データおよびRS画像データのそれぞれについて、その画像データに映し出されている像に含まれる1以上のエッジを検出する。これらの検出されるエッジは、直線状のエッジである。そして、直線検出部501は、その直線状の複数のエッジを示すエッジ情報を角度検出部502に出力する。そのエッジ情報は、例えば、GS画像データおよびRS画像データのそれぞれにおいて、検出されたエッジが示されている情報である。
【0188】
角度検出部502は、直線検出部501からエッジ情報を取得し、そのエッジ情報によって示されている複数のエッジから、GS画像データとRS画像データとで互いに対応する2つのエッジを特定する。この2つのエッジは、GS画像データとRS画像データとのそれぞれに映し出されている同一の測距対象物の同一の部位のエッジである。そして、角度検出部502は、特定された2つの直線状のエッジ間の角度を検出する。この角度がローリングシャッタ歪みの一例である。そして、角度検出部502は、そのエッジ間の角度を示す角度情報を距離導出部503に出力する。
【0189】
距離導出部503は、角度情報、シャッタ情報および車速情報を、角度検出部502、シャッタ制御部504および車速検出部600から取得する。そして、距離導出部503は、角度情報、シャッタ情報および車速情報に基づいて、測距対象物までの距離を導出する。つまり、距離導出部503は、角度検出部502によって検出された角度と、シャッタ制御部504によって設定されたシャッタパラメータと、車速検出部600から出力される車速情報と基づいて、測距対象物までの距離を導出する。これにより、カメラ部480からその測距対象物までの距離が測定される。
【0190】
なお、本実施の形態では、測距装置500は、シャッタ制御部504を備えるが、シャッタ制御部504を備えていなくてもよい。つまり、シャッタパラメータが制御されることなく固定されていてもよい。このような場合には、距離導出部503は、少なくとも角度情報および車速情報に基づいて、距離を導出してもよい。また、カメラ部480は車両1000に固定されているため、車速は、カメラ部480の移動速度であると言える。したがって、本実施の形態における距離導出部503は、カメラ部480の移動速度を取得し、その移動速度と、歪み検出部510によって検出された歪みの大きさとに基づいて、カメラ部480から測距対象物までの距離を導出する。
【0191】
なお、本実施の形態における測距装置500が備えるカメラ部480の数は、1つに限らず、2つ以上であってもよい。
【0192】
図17は、車両1000に取り付けられているカメラ部480の位置および撮像範囲の一例を示す図である。なお、
図17の(a)は、車両1000を鉛直上方から見た状態を示し、
図17の(b)は、車両1000を前方から見た状態を示す。
【0193】
車両1000は、例えば
図17の(a)に示すように、4つのカメラ部480を備える。言い換えれば、
図17の例では、測距装置500は、4つのカメラ部480を備えている。この場合、シャッタ制御部504は、4つのカメラ部480のそれぞれに対してシャッタパラメータを設定する。さらに、歪み検出部510は、4つのカメラ部480のそれぞれについて、そのカメラ部480から出力されるGS画像データおよびRS画像データに基づいて、ローリングシャッタ歪みを検出する。なお、車両1000には、それぞれ1つのカメラ部480が備えられた4つの測距装置500が搭載されていてもよい。これにより、4つのカメラ部480のそれぞれについて、そのカメラ部480から、そのカメラ部480で撮像された測距対象物までの距離が導出される。
【0194】
4つのカメラ部480は、例えば
図17の(a)に示すように、車両1000の前方、後方、左側、および右側を撮像し得るようにその車両1000に配置される。このとき、車両1000の走行に応じて、4つのカメラ部480のそれぞれから出力されるRS画像データにおいて歪みが生じ易いように、これらの4つのカメラ部480が車両1000に取り付けられる。例えば、4つのカメラ部480のそれぞれが備える画素アレイPAの各行が、その画素アレイPAに投影される被写体の像の動きの方向に沿うように、4つのカメラ部480が車両1000に取り付けられる。その被写体の像の動きの方向は、その被写体が静止している場合には、カメラ部480の動きの方向である。また、カメラ部480が車両1000に固定されるため、その被写体の像の動きの方向は、車両1000の走行方向または旋回方向であるとも言える。したがって、4つのカメラ部480のそれぞれが備える画素アレイPAの各行が、それらのカメラ部480の動きの方向、すなわち車両1000の走行方向または旋回方向に沿うように、4つのカメラ部480が車両1000に取り付けられる。具体的な一例では、画素アレイPAの各行が水平方向に沿うように、4つのカメラ部480が取り付けられる。
【0195】
より具体的には、
図17の(b)に示すように、4つのカメラ部480のうち、車両1000の右側および左側に取り付けられる2つのカメラ部480は、車両1000が前方または後方に移動すると、その車両1000と共に前後方向に移動する。この場合、その2つのカメラ部480のそれぞれの画素アレイPAに投影される被写体の像は、水平方向または前後方向に移動する。したがって、その2つのカメラ部480は、画素アレイPAの各行がその水平方向または前後方向に沿うように車両1000に取り付けられる。
【0196】
図18は、測距装置500によって距離が測定される状況の一例を示す図である。
【0197】
測距装置500を備えた車両1000は、例えば駐車場を走行する。このとき、測距装置500は、その駐車場に既に駐車されている他の車両1001がカメラ部480によって撮像されたときには、その車両1001までの距離を測定する。あるいは、測距装置500は、その駐車場に既に駐車されている他の車両1002がカメラ部480によって撮像されたときには、その車両1002までの距離を測定する。具体的には、測距装置500は、車両1001における各特徴部分Eまでの距離、または、車両1002における各特徴部分Eまでの距離を測定する。この場合、車両1001の各特徴部分E、車両1002の各特徴部分Eなどが、測距対象物として扱われる。
【0198】
上述の特徴部分Eは、一方向に沿う例えば直線状のエッジとしてカメラ部480によって撮像される部分である。画素アレイPAに投影されるそのエッジは、車両1000の走行または旋回によって、画素アレイPAの各行の方向に沿って移動し、かつ、画素アレイPAの複数の行にまたがる。そのため、その特徴部分Eにおけるローリングシャッタ歪みが生じ得る。
【0199】
図19は、測距装置500によって距離が測定される状況の他の例を示す図である。なお、
図19は、車両1000およびトラック1003を鉛直上方から見た状態を示す。
【0200】
例えば、車両1000は、
図19に示すように、停車中のトラック1003の右側を通過する。このとき、車両1000に搭載されている測距装置500のカメラ部480は、そのトラック1003の右側面を撮像する。そして、カメラ部480は、トラック1003を撮像することによって、トラック1003の各特徴部分が映し出されたGS画像データとRS画像データとを出力する。
【0201】
図20は、ローリングシャッタ歪みの一例を示す図である。
【0202】
測距装置500のカメラ部480は、例えば
図19に示す状況での撮像によって、
図20の(a)に示すGS画像データと、
図20の(b)に示すRS画像データとを出力する。
【0203】
歪み検出部510の直線検出部501は、そのGS画像データおよびRS画像のそれぞれからエッジ検出を行う。具体的には、直線検出部501は、画素アレイPAの複数の行を横切る直線状のエッジを検出する。つまり、画素アレイPAの各行に対して平行でないエッジが検出される。例えば、
図20の例のように、直線検出部501は、GS画像データから、トラック1003の特徴部分Eの像である直線状のエッジEg1を検出し、他の特徴部分Eの像である直線状のエッジEg2を検出する。さらに、直線検出部501は、RS画像データから、トラック1003の特徴部分Eの像である直線状のエッジEr1を検出し、他の特徴部分Eの像である直線状のエッジEr2を検出する。GS画像データおよびRS画像データのそれぞれによって示される画像の水平方向は、画素アレイPAの各行に対して平行である。したがって、検出される上述のエッジEg1、Eg2、Er1、およびEr2のそれぞれは、画素アレイPAの各行に対して平行でない。このようなエッジの検出は、ディープラーニングなどの機械学習によって行われてもよく、他の周知の技術を用いて行われてもよい。
【0204】
角度検出部502は、GS画像データに含まれるエッジと、RS画像データに含まれるエッジとの対応付けを行う。例えば、GS画像データに映し出されているエッジEg1と、RS画像データに映し出されているエッジEr1とは、同じトラック1003の後端にある特徴部分Eの像である。したがって、角度検出部502は、エッジEg1とエッジEr1とを対応付ける。同様に、GS画像データに映し出されているエッジEg2と、RS画像データに映し出されているエッジEr2とは、同じトラック1003の前方にある特徴部分Eの像である。したがって、角度検出部502は、エッジEg2とエッジEr2とを対応付ける。このようなエッジの対応付けは、エッジのペアリングとも呼ばれる。また、対応付けられた2つのエッジの組は、ペアとも呼ばれる。なお、エッジの対応付けは、ディープラーニングなどの機械学習によって行われてもよく、他の周知の技術を用いて行われてもよい。
【0205】
次に、角度検出部502は、
図20の(c)に示すように、対応付けられたエッジ間の角度を検出する。
図20の(c)は、GS画像データとRS画像データとのそれぞれの画像を重ね合わせて、エッジ間の角度を分かり易く示した図である。具体的には、角度検出部502は、エッジEg1とエッジEr1との間の角度θ1を検出し、エッジEg2とエッジEr2との間の角度θ2を検出する。
【0206】
距離導出部503は、GS画像データおよびRS画像データが出力されたときの車両1000の車速と、検出された角度θ1と、そのときのシャッタパラメータとに基づいて、エッジEg1およびエッジEr1に対応する特徴部分Eの距離を導出する。その距離は、具体的には、カメラ部480から、トラック1003の後端にある特徴部分Eまでの距離である。同様に、距離導出部503は、GS画像データおよびRS画像データが出力されたときの車両1000の車速と、検出された角度θ2と、そのときのシャッタパラメータとに基づいて、エッジEg2およびエッジEr2に対応する特徴部分Eの距離を導出する。その距離は、具体的には、カメラ部480から、トラック1003の前方にある特徴部分Eまでの距離である。
【0207】
その距離の導出では、距離導出部503は、車両1000の車速として、車速検出部600から出力される車速情報に示される車速を用いる。また、距離導出部503は、テーブルを用いて距離を導出する。そのテーブルは、角度と、車速と、シャッタパラメータと、距離とを関連付けて示す。このようなテーブルは、距離導出部503に保持されていてもよく、測距装置500に備えられているメモリに格納されていてもよい。具体的には、距離導出部503は、テーブルを参照し、上述の2種類の画像データが出力されたときの車両1000の車速と、検出された角度θ1と、そのときのシャッタパラメータとに関連付けられている距離を、そのテーブルから特定する。そして、距離導出部503は、その特定された距離を、トラック1003の後端にある特徴部分Eの距離として導出する。距離導出部503は、検出された角度θ2に対しても同様の処理を行うことによって、トラック1003の前方にある特徴部分Eの距離を導出する。
【0208】
なお、本実施の形態における距離導出部503は、距離の導出にテーブルを用いるが、そのテーブルの代わりに関数が用いられてもよい。その関数は、角度と車速とシャッタパラメータとから、距離を算出するための関数である。あるいは、機械学習モデルが用いられてもよい。この機械学習モデルは、角度と車速とシャッタパラメータとの入力に対して、距離が出力されるように学習が行われたモデルである。距離導出部503は、例えば、上述の2種類の画像データが出力されたときの車両1000の車速と、検出された角度と、そのときのシャッタパラメータとを、その機械学習モデルに入力することによって、特徴部分Eの距離を導出する。
【0209】
図21は、測距装置500の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0210】
測距装置500のシャッタ制御部504は、車速検出部600から車速情報を取得する(ステップS1)。そして、シャッタ制御部504は、その車速情報によって示される車速に基づいて、カメラ部480に対してシャッタパラメータを設定する(ステップS2)。例えば、シャッタ制御部504は、車速が遅いほど、シャッタパラメータである1Hおよび1Vを長くし、逆に、車速が速いほど、シャッタパラメータである1Hおよび1Vを短くする。
【0211】
カメラ部480は、ステップS2で設定されたシャッタパラメータに基づいて撮像を行う。つまり、カメラ部480は、そのシャッタパラメータにしたがって、グローバルシャッタ動作(すなわちGS)と、ローリングシャッタ動作(すなわちRS)とを実行する。その結果、カメラ部480は、GS画像データとRS画像データとを取得し、それらの画像データを出力する(ステップS3)。
【0212】
次に、直線検出部501は、ステップS3で出力されたGS画像データおよびRS画像データのそれぞれから、1以上のエッジを検出する(ステップS4)。つまり、直線検出部501は、1以上の直線状のエッジをGS画像データから検出し、1以上の直線状のエッジをRS画像データから検出する。そして、角度検出部502は、GS画像データに含まれる1つの特徴部分Eに対応するエッジと、RS画像データに含まれるその1つの特徴部分Eに対応するエッジとを対応付けることによって、エッジのペアを決定する(ステップS5)。GS画像データおよびRS画像データのそれぞれに、複数の特徴部分Eがエッジとして映し出されていれば、角度検出部502は、その複数の特徴部分Eのそれぞれについて、ペアを決定する。
【0213】
次に、角度検出部502は、そのペアごとに、そのペアに含まれる2つのエッジの間の角度を検出する(ステップS6)。そして、距離導出部503は、ステップS6で検出された角度と、ステップS2で設定されたシャッタパラメータと、ステップS1で取得された車速情報によって示される車速とに基づいて、特徴部分Eの距離を導出する(ステップS7)。なお、シャッタパラメータが車速に関わらず固定にされている場合、あるいは、シャッタパラメータが車速から一意に決定される場合には、距離導出部503は、角度と車速とに基づいて、距離を導出する。
【0214】
このように、本実施の形態では、グローバルシャッタ動作とローリングシャッタ動作とを行う1つのカメラ部480によって測距対象物までの距離が導出される。したがって、例えばステレオ画像を得るために複数のカメラを備える装置と場合と比べて、測距装置500の構成の簡略化を容易に図ることができる。また、2種類のシャッタ動作が同時に行われるため、ステレオ画像を得るために互いに異なるタイミングで複数回撮像が行われる場合と比べて、距離の導出にかかる時間を短縮することができ、測距の遅延を抑制することができる。さらに、測距の精度を高めることができる。
【0215】
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7について説明する。
【0216】
実施の形態7は、測距の機能を有する撮像装置である。以下では、各実施の形態との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0217】
図22は、本実施の形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。
【0218】
本実施の形態に係る撮像装置100aは、実施の形態1の撮像装置100に含まれる各構成要素を備え、さらに、処理回路31を備える。処理回路31は、例えば、実施の形態5の画像形成回路430と、実施の形態6の歪み検出部510および距離導出部503とを備える。なお、処理回路31は、シャッタ制御部504を備えていてもよい。処理回路31は、水平信号読み出し回路38から水平共通信号線49を介して出力される信号を取得する。そして、処理回路31は、その信号に基づいて、グローバルシャッタ動作に基づくGS画像データと、ローリングシャッタ動作に基づくRS画像データとを生成する。そして、処理回路31は、実施の形態6の測距装置500と同様の処理を行うことによって、被写体である測距対象物までの距離を導出する。
【0219】
このように、本実施の形態では、処理回路31は、複数の第1画素ブロック10bgから得られたGS画像データと、複数の第2画素ブロック10brから得られたRS画像データとに基づいて、撮像装置100aから被写体までの距離を検出する。例えば、撮像装置100aが移動しながら、静止している被写体を撮像する場合、RS画像データに映し出されている被写体の像は、その撮像装置100aの速度と、撮像装置100aから被写体までの距離とに応じた大きさで歪む。この歪みの大きさは、GS画像データに映し出されている被写体の像を基準に特定され得る。したがって、処理回路31は、例えば撮像装置100aの速度を用いれば、そのGS画像データとRS画像データとに基づいて、被写体までの距離を適切に検出することができる。その結果、撮像装置100aを測距装置として効果的に用いることができる。
【0220】
なお、本実施の形態では、撮像装置100aは、実施の形態1の撮像装置100に含まれる各構成要素を備えるが、それらの構成要素の代わりに、実施の形態2~4の何れかの撮像装置に含まれる各構成要素を備えてもよい。このような場合でも、撮像装置100aを測距装置として効果的に用いることができる。
【0221】
(他の実施の形態)
以上、1つまたは複数の態様に係る撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0222】
例えば、撮像装置が備える各トランジスタが、NチャネルMOSFETである例を示したが、PチャネルMOSFETでもよい。また、各トランジスタは、MOSFET以外のFETであってもよく、バイポーラトランジスタであってもよい。各トランジスタがバイポーラトランジスタである場合、上述した説明において、ゲート、ソース、ドレインはそれぞれ、ベース、エミッタ、コレクタに置き換えられる。
【0223】
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0224】
本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサに適用可能である。本開示の撮像装置は、デジタルカメラ、医療用カメラ、ロボット用カメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0225】
10 単位画素セル
10b、210b 画素ブロック
10bg、210bg 第1画素ブロック
10br、210br 第2画素ブロック
11 画素電極
12、212 対向電極
12b、212b 電極片
13 光電変換部
14 信号検出回路
15 光電変換層
20 半導体基板
20t 素子分離領域
24 信号検出トランジスタ
24d、24s、26s、28d、28s 不純物領域
24g、26g、28g ゲート電極
26 アドレストランジスタ
28 リセットトランジスタ
29 容量
31 処理回路
32 電圧供給回路
32G 第1電圧供給回路
32R、32Ra 第2電圧供給回路
33 電位設定回路
33G 第1電位切替回路
33R 第2電位切替回路
34 リセット電圧源
36 垂直走査回路
37、37a、37b カラム信号処理回路
38 水平信号読み出し回路
39 制御回路
40 電源線
41 電荷蓄積ノード
42 感度制御線
42g 第1感度制御線
42r 第2感度制御線
43g 第1電位制御線
43r 第2電位制御線
44 リセット電圧線
46 アドレス制御線
47、47a、47b 垂直信号線
48 リセット制御線
49 水平共通信号線
50 層間絶縁層
52 プラグ
53 配線
54、55 コンタクトプラグ
56 配線層
100、100a、200、300 撮像装置
400 撮像システム
410 光学系
420 システムコントローラ
430 画像形成回路
440 出力バッファ
450 信号処理回路
460 表示装置
480 カメラ部
490 表示部
500 測距装置
501 直線検出部
502 角度検出部
503 距離導出部
504 シャッタ制御部
510 歪み検出部
600 車速検出部
1000、1001、1002 車両
1003 トラック