IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-充電システム 図1
  • 特開-充電システム 図2
  • 特開-充電システム 図3
  • 特開-充電システム 図4
  • 特開-充電システム 図5
  • 特開-充電システム 図6
  • 特開-充電システム 図7
  • 特開-充電システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171071
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20231124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231124BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083292
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 博
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC06
5G064AC09
5G064AC10
5G064BA02
5G064BA07
5G064CB07
5G064CB08
5G064CB12
5G064CB16
5G064DA05
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CC02
5G503DA04
5G503FA06
5G503FA17
5G503GD03
5G503GD06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】本願は、比較的簡単な構成でありながら、複数の人が利用し得る箇所に設置可能な充電システムを開示する。
【解決手段】本発明は、特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、特定の人のうち少なくとも電動式移動体の利用者に駐車枠が個別に割り当てられた駐車エリアに設置される複数の充電器設備と、複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバと、を備え、サーバは、駐車枠に割り当てられている利用者と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係の情報に基づき、利用者各々の使用電力量を特定する、充電システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、
前記特定の人のうち少なくとも前記電動式移動体の利用者に駐車枠が個別に割り当てられた駐車エリアに設置される複数の充電器設備と、
前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバと、を備え、
前記サーバは、前記駐車枠に割り当てられている前記利用者と、前記複数の充電器設備が各々対応する前記駐車枠との対応関係の情報に基づき、前記利用者各々の前記使用電力量を特定する、
充電システム。
【請求項2】
前記複数の充電器設備には、前記サーバからの指令に基づいて電路を開閉可能な開閉器が各々備わっており、
前記サーバは、前記利用者が前記充電システムによる前記電動式移動体の充電を要求すると、前記利用者自身に割り当てられている前記駐車枠に対応する前記充電器設備の前記開閉器を閉じる、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記利用者の移動通信端末から送信される開閉の要求を受信すると、前記利用者自身に割り当てられている前記駐車枠に対応する前記充電器設備の前記開閉器を開閉する、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記建物は、集合住宅であり、
前記複数の充電器設備は、前記集合住宅の共用部用の電線から給電される充電器設備であり、
前記サーバは、前記駐車枠に対応する住戸に居住する前記集合住宅の住人と、前記複数の充電器設備が各々対応する前記駐車枠との対応関係に基づき、前記住人各々に請求する料金を算出するための前記使用電力量を特定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記建物は、宿泊施設であり、
前記サーバは、前記駐車枠に対応する客室に滞在する前記宿泊施設の宿泊者と、前記複数の充電器設備が各々対応する前記駐車枠との対応関係に基づき、前記宿泊者各々に請求する料金を算出するための前記使用電力量を特定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式移動体用の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気モータの動力で走行する電動式自動車等の各種電動式移動体が普及しつつある。これに伴い、駆動用の電気モータへ給電する搭載バッテリ(以下、「走行用バッテリ」或いは「メインバッテリ」と呼ぶ場合もある)の充電等を司る電気設備の開発も盛んに行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-187451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動式移動体の充電設備としては、公共の場所に設置されるもの、個人宅に設置されるもの、集合住宅に設置されるもの等が存在する。個人宅に設置される充電設備では、利用者が当該個人宅の住人に限られるため、利用者を特定するための認証機能等は基本的に不要である。一方、高速道路のサービスエリアや店舗、宿泊施設、集合住宅等の公共エリアに設置される充電設備では、利用者を特定するための認証機能が必要となる。
【0005】
認証機能を備えた充電設備としては、例えば、ICカードを使った認証機能を備えたものが挙げられる。このような認証機能を備えた充電設備であれば、ICカードを有する様々な利用者が当該充電設備を利用可能である。しかしながら、このような認証機能を有す公共エリア用の充電設備は、ICカードの情報を読み取るカードリーダや、不正な工作行為等から設備を守るための堅牢な筐体等を有する必要があり、比較的高額な設備である。よって、このような公共エリア用の比較的高額な充電設備を、例えば、小規模な集合住宅や宿泊施設といった利用者数が限られる箇所に設置することは現実的でない。
【0006】
そこで、本願は、比較的簡単な構成でありながら、複数の人が利用し得る箇所に設置可能な充電システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、駐車枠に割り当てられている利用者と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係の情報に基づき、利用者各々の使用電力量を特定することにした。
【0008】
詳細には、本発明は、特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムであって、特定の人のうち少なくとも電動式移動体の利用者に駐車枠が個別に割り当てられた駐車エリアに設置される複数の充電器設備と、複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバと、を備え、サーバは、駐車枠に割り当てられている利用者と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係の情報に基づき、利用者各々の使用電力量を特定する、充電システムである。
【0009】
ここで、電動式移動体とは、電動式の移動体であり、例えば、電動式の普通自動車、大型自動車、自動二輪車、船舶、航空機、その他各種の移動体が挙げられる。
【0010】
上記の充電システムでは、駐車枠に割り当てられている利用者と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係の情報に基づき、利用者各々の使用電力量を特定するため、各充電器設備に利用者を特定する認証機能が備わっていなくても、充電器設備における利用者各々の使用電力量を特定することができる。このため、比較的簡単な構成でありながら、複数の人が利用し得る箇所に設置可能である。
【0011】
なお、複数の充電器設備には、サーバからの指令に基づいて電路を開閉可能な開閉器が各々備わっており、サーバは、利用者が充電システムによる電動式移動体の充電を要求すると、利用者自身に割り当てられている駐車枠に対応する充電器設備の開閉器を閉じるものであってもよい。これによれば、充電器設備の開閉器を必要に応じて開閉できるため、充電器設備の不正利用を可及的に抑制することが可能である。
【0012】
また、サーバは、利用者の移動通信端末から送信される開閉の要求を受信すると、利用者自身に割り当てられている駐車枠に対応する充電器設備の開閉器を開閉するものであってもよい。これによれば、利用者自らが充電器設備の開閉器を開閉可能である。よって、例えば、第三者に充電器設備を利用されることを防止可能である。
【0013】
また、建物は、集合住宅であり、複数の充電器設備は、集合住宅の共用部用の電源から給電される充電器設備であり、サーバは、駐車枠に対応する住戸に居住する集合住宅の住人と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係に基づき、住人各々に請求する料金を算出するための使用電力量を特定するものであってもよい。これによれば、集合住宅という複数の人が利用し得る箇所に、比較的簡単な構成の充電システムを設置可能である。
【0014】
また、建物は、宿泊施設であり、サーバは、駐車枠に対応する客室に滞在する宿泊施設の宿泊者と、複数の充電器設備が各々対応する駐車枠との対応関係に基づき、宿泊者各々に請求する料金を算出するための使用電力量を特定するものであってもよい。これによれば、宿泊施設は、宿泊者が利用した充電システムの使用電力量に応じた額の精算が容易である。
【発明の効果】
【0015】
上記の充電システムであれば、比較的簡単な構成でありながら、複数の人が利用し得る箇所に設置可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願で開示する充電システムで実現される処理内容のイメージを示した図である。
図2図2は、アパートにおける充電システムの詳細を示した図である。
図3図3は、充電器用コンセントの設置状態を示した図である。
図4図4は、スマートフォンに表示される画面の一例を示した図である。
図5図5は、サーバで管理される情報の一例を示した図である。
図6図6は、サーバのハードウェア構成の一例を示した図である。
図7図7は、新規利用者の受付に関する処理フローの一例を示した図である。
図8図8は、充電スイッチのオンオフ操作に関わる処理フローの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<適用例>
図1は、本願で開示する充電システムで実現される処理内容のイメージを示した図である。充電システム1は、建物に付帯設置される電動式移動体用の充電システムである。電
動式移動体としては、地上を走行する電動式自動車、水上を進む電動式船舶、空中を飛行する電動式飛行体が挙げられる。また、充電システム1が設置される建物としては、集合住宅や宿泊施設が挙げられる。電動式自動車としては、バッテリの電力のみで走行するBEV(Battery Electric Vehicle)、バッテリと内燃機関を併用するPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池の電力で走行するFCV(Fuel Cell Vehicle)、その他各種
の電動式自動車(以下、「EV」という)が挙げられる。また、集合住宅としては、賃貸アパートや分譲マンション等が挙げられる。また、宿泊施設としては、客室を複数有するビジネスホテル、リゾートホテル、旅館、ペンション、その他各種のものが挙げられる。以下においては、充電システム1の適用例として、アパート2の住人が充電システム1の利用者としてアパート2の駐車場で個人の電動式自動車に充電するケースを中心に説明するが、上記した各種の電動式移動体や建物へ適用することも可能である。
【0018】
アパート2には、EVの充電器を接続するための充電器用コンセントがアパート2付近の駐車エリアに設置されている。充電システム1は、このような充電器用コンセントへの電力の供給を、充電システム1の利用者によるスマートフォン3の操作でインターネット4経由により制御可能にする。また、充電システム1は、各充電器用コンセントで使用された電力量をサーバ5で収集し、使用電力量に応じた使用料を決済事業者6経由で充電システム1の利用者から集金する。
【0019】
アパート2のような集合住宅の場合、各住戸で電気を使うための電線は、電力系統8からアパート2への引き込み線から分岐し、各住戸へ別々に配線される。また、集合住宅の階段や通路といった共用エリアで電気を使用するための電線は、共用部用として各住戸への配線とは別個に配線される。そして、各住戸へ配線される電線は、通常、各住戸内に配置された分電盤に接続される。一方、共用部へ配線される電線は、通常、建物の外壁部分といった共用エリアに配置された分電盤に接続される。よって、電動式自動車用の充電設備を建物付近の駐車エリアに設置する場合、各住戸の分電盤から屋外の駐車エリアへ充電器用の電線を敷設するよりも、共用部の分電盤から屋外の駐車エリアへ充電器用の電線を敷設する方が配線しやすい。また、電動式自動車用の充電設備の設置工事に係る各種の公的な助成金制度においては、助成の適用要件として共用部の分電盤からの配線を要件に定めているものも存在する。そこで、充電システム1では、駐車エリアに敷設する充電器用の電線を共用部の分電盤から配線しつつ、使用電力量に応じた使用料を充電システム1の各利用者へ適正に請求可能にするべく、各充電器用コンセントに使用電力量を計るセンサを設けている。そして、充電システム1では、駐車枠に割り当てられている利用者と、各充電器用コンセントが対応する駐車枠との対応関係に基づいて、各利用者の使用電力量をサーバ5で特定する。そして、充電システム1では、使用電力量に応じた使用料の請求が決済事業者6を通じて利用者に対し行われると共に、共用部の電気代を電力会社へ支払っているオーナー7(本願でいう「管理人」の一例である)へ当該使用料に応じた返金が行われる。
【0020】
公共エリアに設置される充電設備としては、例えば、ICカードを使った認証機能を備えたものが挙げられる。このような認証機能を備えた充電設備であれば、ICカードを有する様々な利用者が当該充電設備を利用可能であるが、このような設備は高額である。また、住人という特定の人しか利用しないアパート2や、利用者が宿泊者として特定できるような宿泊施設であれば、充電設備の利用者の特定は、充電設備自体に認証機能が備わっていなくても可能である。
【0021】
そこで、本適用例の充電システム1は、駐車枠に割り当てられている住人と、各充電器用コンセントが対応する駐車枠との対応関係に基づいて各住人の使用電力量を特定することにより、認証機能を備えた堅牢で高額な充電設備を用いない比較的簡単な構成でも、複数の人が利用し得る箇所に充電設備を設置可能にしたものである。
【0022】
<実施形態>
以下、実施形態について図を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は、本願の一態様であり、本願の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
図2は、アパート2における充電システム1の詳細を示した図である。アパート2には、図2に示されるように、アパート2付近の電信柱に懸架或いは地中に埋設される電力系統8の電線と接続された引き込み線が引き込まれている。図2では電線が一本の太い線で描かれているが、これらは単相三線用や単相二線用のVVFケーブル等をイメージした線であり、銅線そのものが一本であることを表したものではない。
【0024】
アパート2の共用スペースには共用部分電盤10が配置され、アパート2の各住戸13には住戸分電盤15がそれぞれ配置されている。共用部分電盤10は、アパート2の共用スペースで使用される電気機器へ配電するための分電盤である。また、住戸分電盤15は、住戸13で使用される電気機器へ配電するための分電盤である。そして、電力会社に対する契約は、共用部を管理するオーナー7と、住戸13に住む住人とそれぞれ個別に取り交わされる。よって、共用部分電盤10に繋がる引き込み線には共用部分電盤10における消費電力量を計るために電力会社が管理する共用部電力量メータ9が取り付けられ、各住戸13の住戸分電盤15に繋がる各引き込み線には住戸13における消費電力量を計るために電力会社が管理する住戸電力量メータ14が取り付けられている。
【0025】
共用部分電盤10には、過電流や漏電を検知すると電路を遮断するメインブレーカ11、共用部分電盤10から分岐する各分岐線における過電流を検知すると電路を遮断する分岐ブレーカ12、その他には分岐用のバスバー等が備わっている。分岐ブレーカ12には、アパート2の共用エリアに設置されている照明器具や配線用差込接続器(いわゆるコンセント)に繋がる電線が接続されており、分岐ブレーカ12経由で共用エリアの照明、防犯カメラ、テレビジョン放送の共聴用ブースタ、その他の共用設備類の電力が供給される。また、分岐ブレーカ12には、電動式自動車を充電するための充電設備である充電器専用盤18に繋がる電線も接続されている。
【0026】
住戸分電盤15についても共用部分電盤10と同様、過電流や漏電を検知すると電路を遮断するメインブレーカ16、共用部分電盤10から分岐する各分岐線における過電流を検知すると電路を遮断する分岐ブレーカ17、その他には分岐用のバスバー等が備わっている。分岐ブレーカ17には、住戸13内に設置されている照明器具や配線用差込接続器に繋がる電線が接続されており、分岐ブレーカ17経由で住戸13内の照明、家電製品、ガス給湯器、インターホン、その他の非共用設備類の電力が供給される。
【0027】
充電器専用盤18について詳述する。充電器専用盤18は、分電盤の一種であり、アパート2の駐車エリアに設置される複数の充電器用コンセント23(本願でいう「充電器設備」の一例である)へ給電するための充電器用ブレーカ20及びコンタクタ21(本願でいう「開閉器」の一例である)が各充電器用コンセント23にそれぞれ対応する形で設けられている。充電器用ブレーカ20は、充電器用コンセント23へ繋がる電線における過電流や漏電を検知すると電路を遮断する。コンタクタ21は、制御信号の電流で励磁する電磁石の磁力で接点を閉じる電磁接触器である。コンタクタ21は、制御装置19から流れる制御信号を受けると励磁し、電路を閉じる。制御装置19は、電力量モニタであり、各充電器用コンセント23に繋がる電線に取り付けられた充電器電力量センサ22で各充電器用コンセント23の消費電力量に関するデータを記録することができる。制御装置19には、通信機能や制御機能も備わっており、通信設備24やインターネット4経由でサーバ5等へ消費電力量のデータを送信したり、サーバ5等から送られた指令に基づいてコンタクタ21の開閉制御を行ったりすることができる。制御装置19がインターネット4
経由でサーバ5等と通信を行うための通信設備24は、アパート2の共用部に設置される防犯カメラ25の映像データをインターネット4へ送るために用意された装置等を流用可能である。
【0028】
図3は、充電器用コンセント23の設置状態を示した図である。充電器用コンセント23は、例えば、アパート2の付近に用意された駐車エリア30に設置される。駐車エリア30には駐車枠27が表示されており、各駐車枠27の全部または一部にはEV26用の充電器用コンセント23がそれぞれ対応する形で設置されている。各駐車枠27の利用者は、アパート2へ入居する際の契約で予め指定されている。充電器用コンセント23は、EV26用の駐車枠27の付近に固定されたポール29に設置されている。充電器用コンセント23には、EV26の付属品である充電器28のプラグが差し込まれる。更に、充電器28がEV26に接続されると、充電システム1とEV26は電気的に接続された状態になる。メインブレーカ11や分岐ブレーカ12、充電器用ブレーカ20は、充電システム1に異常が無ければ通常は常時閉じた状態(オン状態)になっている。したがって、EV26が充電器28経由で充電器用コンセント23に接続され、更にコンタクタ21が閉じた状態になれば、EV26はいつでも充電可能な状態になる。また、EV26の充電が不要な場合、充電器28は、充電器用コンセント23にプラグが差し込まれた状態でポール29付近に保管されるか、或いは、充電器用コンセント23からも取り外されてEV26の車内等に保管される。
【0029】
図4は、スマートフォン3に表示される画面の一例を示した図である。サーバ5や充電器専用盤18といった充電システム1の主要な設備を管理する充電システム1の運営者は、充電システム1を利用するアパート2の住人等の利用者に対し、スマートフォン3を使ったアプリケーションソフト(以下、「アプリ」という)を提供する。スマートフォン3でこのアプリを実行すると、例えば、図4に示すような画面がスマートフォン3に表示される。すなわち、スマートフォン3の画面には、充電スイッチのオンオフボタン、充電で使った電力量を定量的に表したポイント数、充電で使った電力量に相当する使用料の金額等が表示される。
【0030】
スマートフォン3に表示される画面を見ると判るように、アパート2の住人がスマートフォン3で使用するアプリの画面には、駐車エリア30にある複数の充電器用コンセント23のうちの何れを選択するかの選択ボタンは存在しない。これは、既述したように、駐車枠27に割り当てられている住人と、各充電器用コンセント23が対応する駐車枠27との対応関係が契約で予め定められていることに由来する。すなわち、充電システム1を利用するアパート2の住人は、アパート2を所有するオーナー7と駐車枠27の利用契約を結んでいるため、アパート2の各住人が何れの充電器用コンセント23を使用するかは一意に定まっている。そこで、充電システム1の運営者は、充電システム1の利用を申し込んだアパート2の住人と、当該住人が利用する充電器用コンセント23との対応関係をサーバ5に設定しておくことで、当該住人がEV26の充電で消費した電力量を特定可能にしている。このため、特定の利用者がスマートフォン3のアプリにログインし、スマートフォン3の画面で充電スイッチのオンオフスイッチを操作すると、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21を開閉するための制御信号がサーバ5から制御装置19へ送られる。よって、当該利用者は、自身が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23を使ってEV26を充電可能な状態にしたり、或いは充電不能な状態にしたりすることができる。したがって、当該利用者は、自身が使用する駐車枠27の充電器用コンセント23を他人が無断使用するのを防ぎたい場合はスマートフォン3の画面で充電スイッチをオフにする。
【0031】
図5は、サーバ5で管理される情報の一例を示した図である。サーバ5には、例えば、図5に示されるように、各駐車枠27と利用者との対応関係が設定されている(図5では
、各駐車枠27が各住戸13の部屋番号と一意に対応している例を示している)。サーバ5には、各駐車枠27と利用者との対応関係が設定されているため、何れかの利用者がスマートフォン3の画面で充電スイッチのオンオフスイッチを操作すると、サーバ5は、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21を制御装置19に開閉させることができる。また、サーバ5は、各駐車枠27と利用者との対応関係により、制御装置19から送られる充電器電力量センサ22のデータから、各利用者がEV26の充電で消費した電力量を特定することができる。
【0032】
上記一連の動作は、例えば、以下のような装置構成及び処理フローによって実現できる。
【0033】
<サーバ5のハードウェア構成>
図6は、サーバ5のハードウェア構成の一例を示した図である。サーバ5は、CPU5A(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ5B、各
種通信や入出力を司るインタフェース5C、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid
State Drive)等のストレージによって形成されるデータベース5Dを備える情報処理装置である。サーバ5では、メモリ5Bに展開されたコンピュータプログラムをCPU5Aが実行することにより、下記の各種処理フローを実現する。
【0034】
<利用者の受付>
まず、新規利用者の受付に関する処理について説明する。図7は、新規利用者の受付に関する処理フローの一例を示した図である。例えば、アパート2の住人が充電システム1の新規利用を申し込む場合、サーバ5においては新規利用者の情報の入力を受け付ける処理が行われる(S101)。この受付処理における情報の入力は、当該新規利用者が自ら行う形態であってもよいし、アパート2を所有するオーナー(管理会社含む)7が行う形態であってもよいし、或いは、郵送された申込書を受け付けた充電システム1の運営者が行う形態であってもよい。
【0035】
サーバ5においてステップS101における入力の受付が正常に完了したことの判定(S102)が行われると、次に、当該新規利用者と各駐車枠27との対応関係に関する情報がサーバ5に格納される。これにより、利用者と当該利用者が利用する駐車枠27とが紐づけされた状態になる(S103)。
【0036】
ステップS101からステップS103までの一連の処理が実行されることにより、新規利用者の受付が完了し、当該利用者が充電システム1を利用可能な状態になる。
【0037】
<コンタクタ21の開閉操作>
次に、充電システム1の利用者による充電スイッチのオンオフ操作に関わる処理フローについて説明する。図8は、充電スイッチのオンオフ操作に関わる処理フローの一例を示した図である。サーバ5では、サーバ5の利用者によるオンオフ操作の有無や、サーバ5の利用者が設定したオンオフ時刻に到来したか否かの判定処理が常に行われている。よって、サーバ5は、例えば、サーバ5の利用者がスマートフォン3で充電スイッチのオン操作を行ったことを検知すると(S201)、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21をオンにする(S202)。また、サーバ5は、例えば、サーバ5の利用者が設定した充電スイッチのオン時刻が到来したことを検知すると(S203)、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21をオンにする(S202)。また、サーバ5は、例えば、サーバ5の利用者がスマートフォン3で充電スイッチのオフ操作を行ったことを検知すると(S204)、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21をオフにする(S205)。また、サーバ5は、例えば、サーバ5の利用者が設定した
充電スイッチのオフ時刻が到来したことを検知すると(S206)、当該利用者が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23に対応するコンタクタ21をオフにする(S205)。
【0038】
このような処理が行われることにより、充電システム1の利用者は、自身が利用する駐車枠27の充電器用コンセント23の電源を自由にオンオフすることが可能となる。
【0039】
このような充電システム1において、充電システム1の運営者は、月次等の適当なタイミングでサーバ5に蓄積されたデータから各利用者の使用電力量の集計を行い、決済事業者6を通じた各利用者への使用料の請求といった事務作業を行う。そして、充電システム1の運営者は、決済事業者6から入金された費用から諸経費を差し引いた額をオーナー7へ返金する。これにより、オーナー7は、電力会社へ支払うアパート2の共用部における電気代の費用のうち、アパート2の住人がEV26の充電に使った電気代に応じた金額を、充電システム1の運営者からの返金で賄うことができる。
【0040】
<変形例>
なお、上記実施形態においては、サーバ5がコンタクタ21を開閉する形態を採っていたが、コンタクタ21は省略されていてもよい。この場合、充電器用コンセント23を利用者以外の他人が不正利用するリスクがあるものの、例えば、アパート2に設置された防犯カメラ25等で駐車エリア30を監視する形態であれば、実用上許容できるリスクに抑制することも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、図3において平面駐車場を例示していたが、充電システム1は、平面駐車場のみならず、立体駐車場やその他各種形態の駐車場で適用することも可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、賃貸のアパート2を例示していたため、アパート2の住人がスマートフォン3で充電スイッチを操作する形態となっていたが、充電システム1が宿泊施設に用いられる場合、充電スイッチの操作は宿泊者と宿泊施設のスタッフの何れが行ってもよい。この場合、充電スイッチは、スマートフォン3のアプリで実現される形態に限定されるものでなく、例えば、宿泊施設の受付等に設置されたコンピュータで操作する形態であってもよいし、或いは、宿泊施設の受付等に設置された操作盤のスイッチ等であってもよい。宿泊施設の場合、利用者が利用した充電器用コンセント23と利用者との対応関係は、宿泊施設のスタッフが把握し、各充電器用コンセント23の利用者に対し使用電力量に応じた料金を宿泊料の精算時等に合わせて請求することになる。
【0043】
その他、上記実施形態は、本願で開示する要旨を変更しない範囲で適宜変形可能である。
【0044】
なお、本願は、以下の付記的事項を含む。
<付記1>
特定の人が利用する建物に付帯設置される電動式移動体(26)用の充電システム(1)であって、
前記特定の人のうち少なくとも前記電動式移動体の利用者に駐車枠(27)が個別に割り当てられた駐車エリア(30)に設置される複数の充電器設備(23)と、
前記複数の充電器設備各々の使用電力量に関する情報を収集可能なサーバ(5)と、を備え、
前記サーバ(5)は、前記駐車枠に割り当てられている前記利用者と、前記複数の充電器設備が各々対応する前記駐車枠との対応関係の情報に基づき、前記利用者各々の前記使用電力量を特定する、
充電システム。
【符号の説明】
【0045】
1・・充電システム
2・・アパート
3・・スマートフォン
4・・インターネット
5・・サーバ
6・・決済事業者
7・・オーナー(管理会社含む)
8・・電力系統
9・・共用部電力量メータ(取引用)
10・・共用部分電盤
11・・メインブレーカ
12・・分岐ブレーカ
13・・住戸
14・・住戸電力量メータ(取引用)
15・・住戸分電盤
16・・メインブレーカ
17・・分岐ブレーカ
18・・充電器専用盤
19・・制御装置
20・・充電器用ブレーカ
21・・コンタクタ
22・・充電器電力量センサ
23・・充電器用コンセント
24・・通信設備
25・・防犯カメラ
26・・EV
27・・駐車枠
28・・充電器
29・・ポール
30・・駐車エリア
5A・・CPU
5B・・メモリ
5C・・インタフェース
5D・・データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8