(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171087
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】機器収納用箱体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20231124BHJP
H02B 1/56 20060101ALI20231124BHJP
H02B 1/01 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H02B1/56 A
H02B1/01 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083318
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 典夫
【テーマコード(参考)】
5E322
5G016
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC02
5E322EA01
5E322EA11
5G016AA04
5G016BB05
5G016CG03
5G016CG09
(57)【要約】
【課題】従来よりも機器収納用箱体の換気を効果的に行うことができるとともに、防水性についても高い機器収納用箱体を提供する。
【解決手段】箱本体3の底板6に、設置用開口31が設けられているとともに、上面に開口する吸気ボックス32が設置用開口31を介して基台2内の空間へ突出するように設置されており、吸気ボックス32の底面に吸気孔33、33・・を穿設した。また、基台2の各板部に、基台2外の空気を基台2内の空間へ取り込むための吸気スリット22、22・・を穿設した。そして、基台2外の空気が吸気スリット22、22・・を介して基台2内の空間へ取り込まれるとともに、その空気が吸気孔33、33・・から吸気ボックス32内へ移動し、フィルター35を通った後に底板6側から箱本体3内へ吸気されるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート面上に固定される枠状の基台と、前記基台上に固定される箱本体とを備えてなる機器収納用箱体であって、
前記箱本体の底板に、設置用開口が設けられているとともに、上面に開口する吸気ボックスが前記設置用開口を介して前記基台内の空間へ突出するように設置されており、
前記吸気ボックスにおける前記基台内の空間へ突出する部位に第1の吸気孔が穿設されている一方、
前記基台の側面に、前記基台外の空気を前記基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されていることを特徴とする機器収納用箱体。
【請求項2】
前記設置用開口が複数設けられ、前記設置用開口の少なくとも何れか1つに前記吸気ボックスが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の機器収納用箱体。
【請求項3】
コンクリート面上に固定される枠状の基台と、前記基台上に固定される箱本体とを備えてなる機器収納用箱体であって、
前記箱本体の底板に、吸気用開口が設けられ、
上面に開口する吸気ボックスが、前記開口と前記吸気用開口とを連通させた状態で前記基台内の空間に設置されており、
前記吸気ボックスの側面及び/又は底面に、第1の吸気孔が穿設されている一方、
前記基台の側面に、前記基台外の空気を前記基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されていることを特徴とする機器収納用箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電気機器を収納するためのキャビネット等といった機器収納用箱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器収納用箱体としては、機器収納用箱体内部の空気を換気するための換気構造を備えてなるものがある。そのような換気構造としては、機器収納用箱体の側面下部に吸気口を開設する一方、機器収納用箱体の上部に排気口を開設し、特に吸気口についてフードで覆ったり、防塵フィルターを取り付けたりして構成していた(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の換気構造では、機器収納用箱体の内部空間における吸気口よりも下側の部分に空気が滞留してしまい、換気効果に乏しいという問題があった。また、吸気口から雨水等が機器収納用箱体の内部へ浸入しやすく、吸気口周りのコーキング等に手間がかかるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、従来よりも機器収納用箱体の換気を効果的に行うことができるとともに、防水性についても高い機器収納用箱体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、コンクリート面上に固定される枠状の基台と、前記基台上に固定される箱本体とを備えてなる機器収納用箱体であって、前記箱本体の底板に、設置用開口が設けられているとともに、上面に開口する吸気ボックスが前記設置用開口を介して前記基台内の空間へ突出するように設置されており、前記吸気ボックスにおける前記基台内の空間へ突出する部位に第1の吸気孔が穿設されている一方、前記基台の側面に、前記基台外の空気を前記基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記設置用開口が複数設けられ、前記設置用開口の少なくとも何れか1つに前記吸気ボックスが設置されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項3に記載の発明は、コンクリート面上に固定される枠状の基台と、前記基台上に固定される箱本体とを備えてなる機器収納用箱体であって、前記箱本体の底板に、吸気用開口が設けられ、上面に開口する吸気ボックスが、前記開口と前記吸気用開口とを連通させた状態で前記基台内の空間に設置されており、前記吸気ボックスの側面及び/又は底面に、第1の吸気孔が穿設されている一方、前記基台の側面に、前記基台外の空気を前記基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、箱本体の底板に、設置用開口が設けられているとともに、上面に開口する吸気ボックスが設置用開口を介して基台内の空間へ突出するように設置されており、吸気ボックスにおける基台内の空間へ突出する部位に第1の吸気孔が穿設されている一方、基台の側面に、基台外の空気を基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されているため、第2の吸気孔から第1の吸気孔を介して基台外の空気を吸気ボックス内へ、すなわち底板側から箱本体内へ取り込むことができる。したがって、従来のように箱本体の底部に空気が滞留してしまうようなことがなく、換気効果に優れた機器収納用箱体とすることができる。また、第1の吸気孔は基台内の空間において開口しているため、設置用開口等をコーキングせずとも雨水等が機器収納用箱体の内部へ浸入しづらい構造となっており、組み立てやすい上に防水性も高い機器収納用箱体とすることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、設置用開口が複数設けられ、設置用開口の少なくとも何れか1つに吸気ボックスが設置されているため、機器収納用箱体の用途や設置環境等に応じて吸気ボックスの設置数等を適宜変更することができる上、使用しない吸気用開口については配線を引き込むための引き込み口等として利用することも可能であり、使い勝手が良い。
一方、請求項3に記載の発明によれば、箱本体の底板に、吸気用開口が設けられ、上面に開口する吸気ボックスが、開口と吸気用開口とを連通させた状態で基台内の空間に設置されており、吸気ボックスの側面及び/又は底面に、第1の吸気孔が穿設されている一方、基台の側面に、基台外の空気を基台内の空間へ取り込むための第2の吸気孔が穿設されている。したがって、請求項1に記載の発明同様、換気効果に優れているとともに、組み立てやすく防水性も高い機器収納用箱体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、機器収納用箱体を下方から示した斜視説明図である。
【
図2】前扉及び後扉を外した状態にある機器収納用箱体を示した斜視説明図である。
【
図5】第1変更例となる吸気部の断面を示した説明図である。
【
図6】第2変更例となる吸気部を分解して示した説明図である。
【
図7】第3変更例となる吸気部を示した斜視説明図である。
【
図8】第3変更例となる吸気部を分解して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる機器収納用箱体(以下、単に箱体と称す)について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、箱体1を下方から示した斜視説明図である。
図2は、前扉7及び後扉8を外した状態にある箱体1を示した斜視説明図である。
図3は、吸気部の断面を示した説明図である。
図4は、吸気部を分解して示した斜視説明図である。
【0011】
箱体1は、設置面であるコンクリート面Lにアンカー固定される基台2と、基台2上に固定される箱本体3とを備えてなる。基台2は、前板部、左右の側板部、及び後板部を上面視矩形枠状に組んでなり、各板部の上端縁は内側へ折り曲げられていて、箱本体3と一体化するための連結部2Aとされている。箱本体3は、一対の側板4、4、天板5、及び底板6を有して、前面と後面とに開口してなり、その前面開口には前扉7が、後面開口には後扉8が夫々片開き可能に取り付けられている。そして、基台2と箱本体3の底板6とに、本発明の要部となる換気構造の吸気部が設けられている。なお、天板5には、換気構造の排気部として、排気口9と、排気口9からの空気の排出を促進するための排気ファン10とが設けられている。また、50は、天板5上に取り付けられた屋根部材である。
【0012】
ここで、本発明の要部である換気構造の吸気部について説明する。
まず基台2側について説明すると、基台2の上面には、連結部2Aで囲まれた基台開口21が開口している。また、基台2の各板部(基台2の側面)には、基台2外部の空気を基台2内の空間へ取り込むための多数の吸気スリット22、22・・が開設されている。なお、23は、基台2をアンカー固定するためのアンカー孔である。
【0013】
一方、箱本体3側について説明すると、箱本体3の底板6には、設置用開口31が開設されているとともに、該設置用開口31を介して箱本体3よりも下方へ突出するように吸気ボックス32が設置されている。吸気ボックス32は、上面に開口する方体箱状に形成されており、底面には多数の吸気孔33、33・・が穿設されている。また、吸気ボックス32の上面開口縁には、外側へ折り曲げられた鍔片が設けられており、底板6への設置時に設置用開口31の開口縁に掛止可能な掛止片37とされている。さらに、吸気ボックス32には、スペーサ34とフィルター35とが収納されるとともに、フィルター35上に多数の空気孔を有する蓋部材36が載置されており、蓋部材36の上面と底板6とが面一とされている。
【0014】
上述したような吸気部を組み立てるには、最初にコンクリート面L上に基台2をアンカー固定してから、基台2上に箱本体3を固定して、底板6で基台開口21を覆うとともに基台開口21内に設置用開口31を位置させる。次に、吸気ボックス32を箱本体3の内部から底板6に設置する。すなわち、設置用開口31を介して箱本体3よりも下方(すなわち、基台2内の空間)へ吸気ボックス32を突出させて、掛止片37を設置用開口31の開口周縁に掛止させる。それから、吸気ボックス32内に、スペーサ34とフィルター35とを収納するとともにフィルター35上に蓋部材36を載置すれば、吸気部の組み立ては完了となる。そして、このようにして組み立てられた吸気部では、基台2外の空気が吸気スリット22、22・・を介して基台2内の空間へ取り込まれるとともに、その空気が吸気孔33、33・・から吸気ボックス32内へ移動し、フィルター35を通った後に底板6側から箱本体3内へ吸気されることになる(
図3に示す)。
【0015】
以上のような構成を有する箱体1によれば、箱本体3の底板6に、設置用開口31が設けられているとともに、上面に開口する吸気ボックス32が設置用開口31を介して基台2内の空間へ突出するように設置されており、吸気ボックス32の底面(吸気ボックス32における基台2内の空間へ突出する部位)に吸気孔33、33・・が穿設されている一方、基台2の各板部に、基台2外の空気を基台2内の空間へ取り込むための吸気スリット22、22・・が穿設されているため、上述したような流れで基台2外の空気を箱本体3内へ取り込むことができる。したがって、従来のように箱本体3の底部に空気が滞留してしまうようなことがなく、換気効果に優れた箱体1とすることができる。また、基台2がコンクリート面L上に固定されているため、周囲よりも温度の低い空気を取り込むことができ、従来よりも箱本体3内の温度上昇を効果的に抑制することができる。さらに、吸気孔33、33・・は基台2内の空間において開口しているため、設置用開口31等をコーキングせずとも雨水等が箱本体3の内部へ浸入しづらい構造となっており、組み立てやすい上に防水性も箱体1とすることができる。
【0016】
また、吸気ボックス32の上面の開口周縁に掛止片37を設けており、吸気ボックス32を箱本体3の内部から箱本体3の下方へ突出させて、掛止片37を設置用開口31の周縁に掛止させるだけで吸気ボックス32を底板6に設置可能としている。したがって、吸気ボックス32の設置にネジ止め等が必要でなく、吸気ボックス32を非常に容易に設置することができる。
【0017】
なお、本発明に係る機器収納用箱体は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、箱体の全体的な構成は勿論、換気構造の吸気部に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
(第1変更例)
図5は、第1変更例となる吸気部の断面を示した説明図である。
上記実施形態では、フィルター35の上側に空気孔を有する蓋部材36を載置するという構成を採用しているが、そのような蓋部材36に代えて、
図5に示すような吸気ファン38、38・・付きの蓋部材39を取り付けるように構成することも可能である。そのような吸気ファン38、38・・付きの蓋部材39を取り付けることで、箱本体3内の換気を一層効果的に行うことができる。
【0019】
(第2変更例)
図6は、第2変更例となる吸気部を分解して示した説明図である。
上記実施形態では、吸気ボックス32を箱本体3の底板6に設置するという構成を採用しているが、吸気ボックス32を基台2側に設置するという構成を採用することも可能である。そのように構成された吸気部の組み立てについては、アンカー固定された基台2に対して、スペーサ34、フィルター35、及び蓋部材36を収納した吸気ボックス32を設置した後で、基台2上に箱本体3を固定して、吸気ボックス32の上面開口と底板6の開口(吸気用開口)40とを連通させた状態とすればよい。このような構成としても、上記実施形態の箱体1同様、底板6側から箱本体3内へ空気が吸気されるため、換気効果の向上を図ることができるし、箱本体3内の温度上昇も効果的に抑制することができる。また、組み立てやすく、開口40や吸気孔33、33・・から雨水等が浸入しづらい箱体とすることもできる。
【0020】
(第3変更例)
図7は、第3変更例となる吸気部を示した斜視説明図であり、
図8は、第3変更例となる吸気部を分解して示した説明図である。
上記実施形態では、底板6に設置用開口31を1つしか設けていないが、
図7及び
図8に示すように複数の設置用開口31、31・・を設けるという構成を採用することも可能である。このような箱体にあっては、箱体の用途や設置環境等に応じて必要な設置用開口31にのみ吸気ボックス32を設置すればよい。また、空気孔を有する蓋部材36を取り付けるか、それとも吸気ファン38付きの蓋部材39を取り付けるかについても適宜決定すればよい。そして、吸気ボックス32を設置しない設置用開口31については、蓋部材41で閉塞してもよいし、配線(図示せず)を引き込むための引き込み口として使用してもよい。このような構成を採用することで、換気効果の向上等の効果は勿論、汎用性が極めて高いという効果も奏し得る箱体とすることができる
【0021】
(他の変更例)
他の変更例としては、たとえば上記実施形態では、吸気ボックスの底面に吸気孔を設けているが、吸気孔の位置は適宜変更可能であって、基台内の空間に位置する箇所であれば吸気ボックスの側面等に吸気孔を設けることは可能である。また、吸気ボックスに収納するスペーサやフィルター、蓋部材の有無等についても適宜設計変更することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・箱体、2・・基台、3・・箱本体、6・・底板、21・・基台開口、22・・吸気スリット(第2の吸気孔)、31・・設置用開口、32・・吸気ボックス、33・・吸気孔(第1の吸気孔)、35・・フィルター、36・・蓋部材、38・・吸気ファン、39・・蓋部材、40・・開口(吸気用開口)、41・・蓋部材。