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  • -鉄道車両の構造部材および鉄道車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171110
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】鉄道車両の構造部材および鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61F 1/12 20060101AFI20231124BHJP
   B61F 5/10 20060101ALI20231124BHJP
   B61D 17/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B61F1/12
B61F5/10
B61D17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083355
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 洋平
(72)【発明者】
【氏名】宮永 恭
(57)【要約】
【課題】
車体の組立性向上に寄与するとともに軽量かつ剛性の高い薄型の構造部材、およびこのような構造部材を備えた台枠構造で床面を構成する鉄道車両を提供する。
【解決手段】
鉄道車両の枕梁は、垂直荷重入力部の中心から放射状に配置され、水平方向に配置された平板の面上に突起状の形状を有し、垂直荷重入力部の中心から離れるに従って緩やかに車両の長手方向もしくは幅方向に沿うように曲率が設けられた複数の放射状リブと、複数の放射状リブに重なるように垂直荷重入力座面の周辺に、断続的に配置された円形リブと、を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両構体の床を構成する台枠構造に備えられる枕梁部材において、
垂直荷重入力部の中心から放射状に配置され、
水平方向に配置された平板の面上に突起状の形状を有し、
垂直荷重入力部の中心から離れるに従って緩やかに車両の長手方向もしくは幅方向に沿うように曲率が設けられた複数の放射状リブと、
前記複数の放射状リブに重なるように垂直荷重入力座面の周辺に、断続的に配置された円形リブと、
を有することを特徴とする枕梁部材。
【請求項2】
長手方向に延び、床面をなす台枠と、
前記台枠の両端部に配置される側構体と、
前記台枠の長手方向の両端部に配置される妻構体と、
前記側構体と前記妻構体の上部に配置される屋根構体とを有する構体と、
前記構体を搭載する台車とを有し、
長手方向において前記台車の位置に対応し、前記台枠の下側に位置する枕梁と、
前記台枠から前記台車に垂直荷重を受ける複数の緩衝部材と、
を備える鉄道車両において、
前記枕梁は、
前記緩衝部材に対する垂直荷重入力部の中心から放射状に配置され、
水平方向に配置された平板の面上に突起状の形状を有し、
垂直荷重入力部の中心から離れるに従って緩やかに車両の長手方向もしくは幅方向に沿うように曲率が設けられた複数の放射状リブと、
前記複数の放射状リブに重なるように垂直荷重入力座面の周辺に、断続的に配置された円形リブと、
を有することを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄道車両において、
前記放射状リブは、前記枕梁の各辺に対し垂直に交わるような曲線で構成されている
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄道車両において、
前記枕梁は、前記鉄道車両の幅方向の中心部に設けられた中梁当接部と、
前記垂直荷重入力部と前記中梁当接部との間において、前記鉄道車両の長手方向に延びる長手方向リブと、
前記中梁当接部付近において、前記枕梁の幅方向の中心部付近に切り欠き部を有する長手方向縁リブとを有する
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項4に記載の鉄道車両において、
前記円形リブの外形が、前記垂直荷重入力部に当接する空気ばねの座面の外径より大きいこと
を特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鉄道車両において、
前記円形リブの外形が、前記空気ばね座面の外径の2倍以下であること
を特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項6に記載の鉄道車両において、
断続的に配置された前記円形リブは、
リブ2つの前記空気ばね座面の中心を原点とし、原点から中心ピンの中心に向かう方向を0°としたとき、±30°以上の角度では、切り欠き部を有すること
を特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項5に記載の鉄道車両において、
前記枕梁は、
前記複数の放射状リブの一部と、前記長手方向リブとで囲まれた凹部の前記長手方向リブの付近に水抜き穴を有すること
を特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項8に記載の鉄道車両において、
前記円形リブの内、2つの前記空気ばね座面の中心を結んだ直線付近の円形リブは、放射状リブの幅より広く構成したこと
を特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の構造部材及び鉄道車両に関して、特に枕梁と台枠の間の空間を確保可能な鉄道車両の構造部材及びそれを備える鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両構体(以下、構体と記することもある)は、床面をなす台枠と、台枠の幅方向の両端部に配置される側構体と、台枠の長手方向の両端部に配置される妻構体と、側構体と妻構体の上部に配置される屋根構体とから構成される6面体の構造物である。
【0003】
台枠は、台枠の幅方向の両端部にその長手方向に沿って備えられる側梁と、側梁の長手方向の両端部同士を接続する端梁と、構体の長手方向端部から所定距離の位置に端梁に沿って備えられる枕梁と、端梁と枕梁とを構体に接続するための構体長手方向に沿って配置される中梁とを有する。
【0004】
枕梁の下面に構体上下方向に沿って備えられる中心ピンは、台車を構成する台車枠に接続される。車両の加速および減速の際、中心ピンを介して台車から枕梁に車両前後方向の荷重が伝達される。
【0005】
一方、鉄道車両の組立性向上の観点から、床下に取り付けられる配線やダクトの取り付けを容易化することが求められる。取り付けを容易化する上では、台車に枕梁を取り付けた状態で、台枠と枕梁の間に一定の空間を設けて構体に組み付けることが有効である。このような枕梁を搭載した台車構造として、特許文献1、2では、側梁とのみボルト締結する枕梁を備えた台車が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 500 231 号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第 2 540 592 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉄道車両の台枠構造において、台車から中心ピンを介して枕梁に伝達されるモーメント荷重により、枕梁には捩り変形が生じる。また、走行時の上下振動や車両・乗客の重さによって、台車から空気ばねを介して垂直荷重が伝達される。そのため、枕梁には曲げ変形が生じる。また、こうしたモーメント・垂直荷重に対し、過度の応力集中を避け、枕梁の強度を十分に確保することが必要となる。
特許文献1、2に記載の枕梁を備えた台車構造では、枕梁構造が、車両構体の幅方向に沿って一様な断面のリブと面板から構成されるため、枕梁の重量が増大し、枕梁と台枠との間の空間の大きさが制約される場合がある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、その目的は車体の組立性向上に寄与するとともに軽量・高剛性かつ十分な強度を有する薄型の構造部材により枕梁を構成し、このような構造部材を備えた台枠構造で床面を構成する鉄道車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決する鉄道車両の一態様は、鉄道車両の枕梁が、垂直荷重入力部の中心から放射状に配置され、水平方向に配置された平板の面上に突起状の形状を有し、垂直荷重入力部の中心から離れるに従って緩やかに車両の長手方向もしくは幅方向に沿うように曲率が設けられた複数の放射状リブと、複数の放射状リブに重なるように垂直荷重入力座面の周辺に、断続的に配置された円形リブと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明である構造部材およびそれを備えた台枠構造で床を構成する鉄道車両によれば、垂直荷重・モーメント荷重に対する構造部材の強度と剛性を維持しつつ軽量・薄型化できる。特に本発明を枕梁に適用した場合においては、強度と剛性を維持しつつ軽量・薄型化された結果、枕梁と台枠の間に所定の空間を確保し、車体組立性が向上した台枠構造および鉄道車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に関する枕梁を備えた台枠構造で床面を構成する鉄道車両の側面図である。
図2】実施例1に関する枕梁を備えた台枠構造で床面を構成する車両構体の下面側斜視図である。
図3】実施例1に関する枕梁を備えた台枠と台車の位置関係を示す断面図である。
図4】実施例1に関する枕梁上面の外観を示す図である。
図5】実施例1に関する枕梁下面の外観を示す図である。
図6】実施例2に関する枕梁下面の外観を示す図である。
図7】実施例3に関する枕梁下面の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
台枠と枕梁との間に一定の空間を設けた上で、側梁と中梁に枕梁をボルト締結した構体に関するものである。以下、実施例を、図面を参照して説明する。鉄道車両100の進行方向あるいは長手方向(前後方向)をX方向、鉄道車両100の幅方向(左右方向)をY方向、鉄道車両100の高さ方向(上下方向)をZ方向とする。以下、単に、X方向、Y方向、Z方向と記す場合がある。
【実施例0013】
図1は、実施例1の鉄道車両100の側面図である。図2は、実施例1の車両構体1の下面側斜視図である。本実施例においては、枕梁9に、提案するリブ配置を適用した構造部材に特徴がある。図3は、図1のA-A断面を示す図である。
【0014】
鉄道車両100は構体1と構体1を搭載する台車2を備えている。
【0015】
構体1は、床面をなす台枠3と、台枠3の幅方向の両端部に配置される側構体4と、台枠の長手方向の両端部に配置される妻構体5と、側構体4と妻構体5の上部に配置される屋根構体6とから構成される六面体の構造物である。側構体4には、窓および乗客等が乗降に供する側引き戸等を備える。
【0016】
台枠3は、台枠3のx方向の両端部に備えられる端梁8と、台枠3のy方向の両端部に備えられる側梁7とを有する周縁部と、この周縁部を外縁とする床構体とからなる平面状の構造体である。台枠3は、台車2に支持される部位にy方向に沿って備えられる一対の枕梁9を有する。一方の端梁8と一方の枕梁9とは、x方向に沿って備えられる一対の中梁10によって接続される。
【0017】
台枠3は、側梁7と、端梁8と、枕梁9と、中梁10とを備えている。側梁7は、台枠3の幅方向(Y方向)の両端部に長手方向(X方向)に沿って備えられる。端梁8は、側梁7の長手方向(X方向)の両端部同士を接続する。枕梁9は、構体1の長手方向(X方向)端部から所定距離の位置に台枠3の幅方向(Y方向)に沿って備えられる。中梁10は、端梁8と枕梁9とを接続するように構体1の長手方向(X方向)に沿って配置される。枕梁9は、構体1の重量を支えつつ、鉄道車両100を回転させる機能を担う。
【0018】
台車2は、枕梁9の下側に配置され、水平面内でZ方向に沿う中心ピン11周りに台枠3に対して旋回可能に備えられる。台車2は、台車枠12と、台車枠12に対して回転可能に保持される車軸の両端部に固定される車輪13とを備えている。台車2は、X方向中央付近のY方向両側に設けられた空気ばね(緩衝部材)14を介して台枠3を支持している。
【0019】
枕梁9の下面に構体1の上下方向に沿って備えられる中心ピン11は、台車枠12に接続される。車両の加速および減速の際、中心ピン11を介して台車2から枕梁9に車両前後方向の荷重が伝達される。
【0020】
図3に示すように枕梁9は、台車2と台枠3の間に設置される。
【0021】
空間15は、台枠3と枕梁9との間に設けられる空間である。この空間15は、配管・ダクト・センサ類・防振材など、様々な部材や部品を配置するスペース15aやスペース15bとして活用することが可能である。枕梁9の薄板化により、空間15を拡げ、配管・ダクト・センサ類・防振材の設置を容易にすることが出来る。
【0022】
図4は、実施例1として示す枕梁9の上面を表とした斜視図、図5は実施例1として示す枕梁9の下面を表とした斜視図である。
【0023】
枕梁9の締結部16は、側梁7および中梁10を枕梁9に対してボルト等で固定する部分である。締結部16は、構体1のY方向両端部および中央付近に位置しており、側梁7および中梁10と、枕梁9とを固定する。枕梁9の空気ばね座面17(図5参照)は、垂直荷重入力部として、台車2の空気ばね14の上側に荷重を伝える。
【0024】
枕梁9の中央の穴部18において、枕梁9は中心ピン11と接続される。鉄道車両の加減速等により、中心ピン11からY方向周りモーメント荷重が中央の穴部周辺に入力される。枕梁9においては、このようなモーメント荷重に対し剛性を確保することが求められる。
【0025】
枕梁9は、空気ばね支持穴19が二か所設けられており、各空気ばね支持穴19の周辺の空気ばね座面17(垂直荷重入力部)において、枕梁9は空気ばね14より伝達される垂直荷重を受ける。空気ばね支持穴19は垂直荷重入力部の中心に位置する。枕梁9においては、このような垂直荷重に対し強度および剛性を確保することが求められる。また、枕梁9は側梁7および中梁10とボルト等を介し締結するために、多数のボルト穴が設けられている。
【0026】
図4に示す通り、枕梁9の上面に空気ばね支持穴19から放射状リブ20を配置している。放射状リブ20は、空気バネ14を支持する垂直荷重入力部(空気ばね座面)17の中心に位置する空気バネ支持穴19から離れるに従ってX方向もしくはY方向に徐々に沿うように放射状リブ20に曲率を設けられている。つまり、各放射状リブ20は、空気バネ支持穴19から枕梁9の端部である各辺に向けて放射状に設けられ、枕梁9の端部である各辺と交わる位置において、各辺に対し垂直に交わるような曲線を構成する。
【0027】
枕梁9は、枕梁9のy方向の両端部にx方向に沿って備えられ側梁7に当接する側梁当接部7aと、枕梁9のy方向の中央部にx方向に沿って備えられ中梁10に当接する中梁当接部10aと、側梁当接部7aと中梁当接部10aとの間に備えられる空気ばね当接部と、を有する。
【0028】
枕梁9において、台車の空気ばねが当接する一対の空気ばね当接部は、中梁当接部10aを挟み対称形状を有する。空気ばね当接部は、その略中央部に、台車2が備える空気ばね14の中心部に対応する空気ばね中心部19を有する。
【0029】
枕梁9は、中梁当接部10aと垂直荷重入力部(空気ばね座面)17との略中心位置に、x方向に延びるx方向リブ(長手方向リブ)23を有する。つまり、枕梁9は、鉄道車両100の幅方向(y方向)の中心部に設けられた中梁当接部10aと、緩衝部材である空気ばね14が当接する垂直荷重入力部17との間において、x方向に延びるx方向リブとを有する。
【0030】
こうした放射状リブ20の配置により、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性の確保が、板厚や重量の増加を抑制しつつ実現される。
【0031】
また、枕梁9の上面の空気ばね支持穴19周辺において、放射状リブ20のさらに上部で、放射状リブ20に重なるように円形リブ21が設けられる。円形リブ21は、放射状リブ20の高さが不連続な断続的な形状となる。空気ばね支持穴19の周辺において、放射状リブ20と同様の形状であり、周辺部の放射状リブ20の高さを、空気ばね支持穴19付近において増加させる。断続的な円形リブ21の高さは、放射状リブ20単独の高さの2倍程度とする。
【0032】
また、断続的な円形リブ21は、外径が空気ばね座面17の外形より大きくなる(外径が空気ばね座面17の外形の2倍以下)ように配置され、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺および空気ばね座面周辺の応力を緩和する。
【0033】
枕梁9は、2つの空気ばね支持穴19を結ぶ直線付近で応力が高くなるため、断続的な円形リブは21aの部分で、放射状リブ20の幅より大きく構成する。
【0034】
放射状リブ20と断続的な円形リブ21の配置に加え、x方向リブ23により、枕梁9は、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性を確保することができる。そのため、放射状リブ20や円形リブは21の幅や厚さ(z方向)を抑制することができることの他、中梁当接部10a付近である領域25にx方向縁リブ(長手方向縁リブ)26を設ける必要がなく、板厚や重量増加を抑止できる。つまり、x方向縁リブ26は、中梁当接部10a付近において、枕梁9の幅方向(y方向)の中心部付近に切り欠き部25を有する。
【0035】
また、枕梁9においては、放射状リブ20または断続的な円形リブ21の凹部などに溜まる水を水抜き穴22から排水することが必要となる。空気ばね座面17に水抜き穴22を設けることは困難であるため、断続的な円形リブ21のリブ間の隙間を流路として空気ばね座面17より外側に設けた水抜き穴22へと水を流し、排水する。特に、放射状リブ20の一部とx方向リブ(長手方向リブ)23とで囲まれた凹部は、排水ができないため、水抜き穴22を設ける。
【実施例0036】
図6に実施例2として示す枕梁9は、枕梁9の外観に示すように、実施例1の枕梁構造に、断続的な円形リブ21に切り欠き部24を設けた形状である。実施例1の枕梁構造により、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力、ねじりモーメントの解析を行ったところ、2つの空気ばね支持穴19を結ぶ直線付近で応力が高くなり、空気ばね支持穴19からx方向に一定距離離れると、応力、ねじりモーメントが小さくなる分析結果が得られた。その結果、放射状リブ22のみで、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性の確保が図れるため、板厚や重量増加を抑止するため、断続的な円形リブ21に切り欠き部24を設けている。
【0037】
図6に示す、切り欠き部24は、枕梁9全体の剛性や強度に対する影響の小さい箇所に設けられる。具体的には、切り欠き部24は、2つの空気ばね座面の中心(空気ばね支持穴19の中心に対応)を原点とし、原点から中心ピン11の中心に向かう方向を0°としたとき、断続的に配置された円形リブとの角度θが±30°以上の角度範囲にわたり配置される。図6では、θが±30°以上の放射状リブ20に切り欠き部24が設けられていないが、理論上は、θが±30°以上の放射状リブ20では切り欠き部24を設けることができ、枕梁9の一層の軽量化を図ることができる。
【0038】
こうした断続的な円形リブ21の形状により、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性の確保が、板厚や重量の増加を抑制しつつ実現される。
【実施例0039】
図7に実施例3として示す枕梁9は、実施例2の断続的な円形リブ21の代わりに、放射状リブ20の高さを、空気ばね支持穴19を中心に周辺部に離れるにしたがって、低くするように構成している。放射状リブ20とx方向リブ(長手方向リブ)23とで囲まれた凹部は排水のため水抜き穴22を有する。
【0040】
実施例3においても、放射状リブ20と断続的な円形リブ21の配置に加え、x方向リブ23により、枕梁9は、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性を確保することができる。これにより、x方向縁リブ26に切り欠き25を設け、重量の増加を抑止することができる。
【0041】
また、枕梁9は、2つの空気ばね支持穴19を結ぶ直線付近で応力が高くなるため、断続的な円形リブ21aの部分で、放射状リブ20の幅より大きく構成することにより、十分な剛性が得られる場合には、放射状リブ20と断続的な円形リブ21の高さを同一とした形状とすることができる。このような形状とすることで、実施例1、2と比較し加工コストが削減される。
【0042】
以上説明した通り、枕梁9の放射状リブ20、円形リブ21の配置により、垂直荷重に対する空気ばね支持穴19周辺の応力の緩和および曲げ剛性の確保、ねじりモーメンに対するねじり剛性の確保が、板厚や重量の増加を抑制しつつ実現される。また、枕梁9と台枠3の間の空間を確保することができる。
【0043】
この空間15を確保することにより、中梁10と枕梁9とをボルトで締結した後でも空間15に配管・ダクト・センサ類・防振材など、様々な部材や部品を配置が容易となる。
【符号の説明】
【0044】
1:構体
2:台車
3:台枠
4:側構体
5:妻構体
6:屋根構体
7:側梁
8:端梁
9:枕梁
10:中梁
11:中心ピン
12:台車枠
13:車輪
14:空気ばね
15:空間
16:締結部
17:空気ばね座面
18:中央の穴部
19:空気ばね支持穴
20:放射状リブ
21:断続的な円形リブ
22:水抜き穴
23:x方向リブ
24:切り欠き部
26:x方向縁リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7