(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171113
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】皮膚の形状を制御する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20231124BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20231124BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/89
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083358
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将行
(72)【発明者】
【氏名】塚原 和枝
(72)【発明者】
【氏名】前多 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】安 智子
(72)【発明者】
【氏名】花田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】笠松 慎也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD212
4C083BB14
4C083BB51
4C083CC03
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】皮膚の形状を根本的に制御する方法を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚の形状を制御する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚の形状を制御する方法。
【請求項2】
成分(A)のポリマーが、シリコーン構造を有するポリマーである請求項1記載の皮膚の形状を制御する方法。
【請求項3】
成分(B)が、炭化水素油及びシリコーン油から選ばれる1種以上である、請求項1又は2記載の皮膚の形状を制御する方法。
【請求項4】
組成物を除去するステップが、皮膚を洗浄するステップである、請求項1~3のいずれか1項記載の皮膚の形状を制御する方法。
【請求項5】
次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚のシワを改善する方法。
【請求項6】
次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、少なくとも1日1回、1日4時間以上、局所的に適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚の形状を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の形状を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢によってヒトの皮膚ではシワの程度が強くなる。これは皮膚の老化現象の一部であり、皮膚組織の変化、紫外線を浴びた影響など複数の因子に左右される。
従来、皮膚のシワを目立たなくするためのスキンケア商品などが検討されているが、その改善効果は低く、シワの悩みを持つ女性の満足度は得られていなかった。
また、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワを目立たなくする方法が検討されている。例えば、特許文献1には、特定の変形割合及び耐屈曲性を有するポリマーと、揮発性油を含有する組成物を皮膚に適用する、皮膚のシワ改善方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020/067359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、組成物を塗布したときにはシワが改善されるものの、組成物除去後にはその効果は得られず、シワを根本的に改善するものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の変形割合を有するポリマーと、揮発性油を含有する組成物を、特定の方法により皮膚の対象領域に適用することにより、組成物除去後においても、皮膚の形状を根本的に抑制できることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚の形状を制御する方法に関する。
【0007】
また、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であるポリマー、
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
(B)1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油
を含有する組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことを特徴とする、組成物除去後の皮膚のシワを改善する方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、皮膚の形状を、根本的に制御することができる。
本発明において、「皮膚の形状を制御する」とは、皮膚のシワやたるみを改善することであり、例えば、ほうれい線(鼻唇溝)、目尻シワ、額シワ、眉間シワ等を目立たなくしたり、頬のたるみを改善することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】方法(1)によるポリマーの変形割合(L2/L1)の評価方法の説明図である。
【
図2】実施例3において、表面形状を測定する範囲を示す図である。
【
図3】実施例3において、8週間連用後のシワの深さを示す図である。
【
図4】実施例3において、連用終了1週間後のシワの深さを示す図である。
【
図5】実施例4において、ほうれい線シワのRa変化量を示す図である。
【
図6】実施例4において、ほうれい線シワの長さ変化を示す図である。
【
図7】実施例4において、ほうれい線シワの深さ変化を示す図である。
【
図8】実施例4において、ほうれい線シワの目立ち変化を示す図である。
【
図9】実施例5において、目尻シワのRa変化量を示す図である。
【
図10】実施例6において、額シワのRa変化量を示す図である。
【
図11】実施例7において、眉間シワのRa変化量を示す図である。
【
図12】実施例8において、頬たるみスコアの変化量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)は、前記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下のポリマーである。
前記方法(1)による成分(A)の変形割合(L2/L1)の評価方法を、
図1を参照して説明する。まず、組成物に使用する成分(A)の10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。この溶液0.005gを、
図1(a)に示す、幅(W)20mm×長さ(L0)100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシート1の片面に、ポリエチレンシート1の短辺の一端1aから長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲(
図1(a)に示す2の部分)に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。
図1(b)は、前記溶液を塗布したポリエチレンシート1を乾燥した後、その一部が成分(A)であるポリマーの収縮により変形(カール)したポリエチレンシートの模式図である。
乾燥後のポリエチレンシート(
図1(b))において、溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1(50mm)、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1を算出して、この値を変形割合とする。L2はポリエチレンシート1の2本の長辺上で計測した値の平均値とする。L2/L1の値が大きいほど、乾燥による該ポリマーの収縮量が大きいことを示し、L2/L1の上限は1である。
【0011】
皮膚の形状を制御し、皮膚のシワやたるみを改善させる観点から、成分(A)の前記方法(1)により評価される変形割合L2/L1は、0.3以上であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、より更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは0.85以上、より更に好ましくは0.9以上、より更に好ましくは0.95以上であり、上限は1である。
当該変形割合は、具体的には実施例に記載の方法で評価することができる。
【0012】
成分(A)のポリマーは、前記変形割合を満たすものであれば制限されるに用いることができる。
成分(A)の基本骨格としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素等の縮合系ポリマー;ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物、環状オレフィン等のビニル系単量体の付加重合により得られるビニル系ポリマー;シリコーン系ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、見た目の皮膚の形状を制御し、皮膚のシワやたるみを改善させる観点から、ビニル系ポリマー及びシリコーン系ポリマーから選ばれる1種以上が好ましい。
【0013】
ビニル系ポリマーを構成するビニル系単量体としては、アニオン性基又はカチオン性基を有するものが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシ基(-COOM)、スルホン酸基(-SO3M)、リン酸基(-OPO3M2)等の解離して水素イオンが放出されることにより酸性を呈する基、又はそれらの解離したイオン形(-COO-、-SO3
-、-OPO3
2-、-OPO3
-M)等が挙げられる。前記化学式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。
アニオン性基を有するビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
カチオン性基としては、1級、2級、又は3級アミノ基のプロトン酸塩、及び第4級アンモニウム基等が挙げられる。
カチオン性基を有するビニル系単量体としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニル系ポリマーは、見た目の皮膚の形状を制御し、皮膚のシワやたるみを改善させる観点から、好ましくはアニオン性基を有するビニル系単量体由来の繰り返し単位を含むビニル系ポリマーであり、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のビニル系単量体由来の繰り返し単位を含むビニル系ポリマーであり、更に好ましくは、ポリメタクリル酸及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である。
ビニル系ポリマーは、アニオン性基を有するビニル系単量体由来の繰り返し単位に加えて、他の単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体であってもよいが、見た目の皮膚の形状を制御し、皮膚のシワやたるみを改善させる観点から、アニオン性基を有するビニル系単量体の単独重合体であることが好ましい。
【0014】
ビニル系ポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは10,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは50,000以上であり、そして、好ましくは700,000以下、より好ましくは500,000以下、更に好ましくは300,000以下である。前記重量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
ビニル系ポリマーは、合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
ビニル系ポリマーを合成により得る場合には、例えば、重合開始剤等の存在下、前述のアニオン性基を有するビニル系単量体及び必要に応じて他の単量体の公知の方法の付加重合により得ることができる。
ビニル系ポリマーの市販品としては、Alfa Aesar社製のポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0015】
また、成分(A)のうち、シリコーン系ポリマーは、好ましくはシリコーン構造を有するシリコーンポリマーである。
本発明において、「シリコーン構造」とは、下記一般式(I)で表される構造をいう。
【0016】
【0017】
一般式(I)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、pは1以上の整数である。適用した際に見た目の皮膚の形状を制御し、皮膚のシワやたるみを改善させる観点(以下、「皮膚の形状を制御する効果」ともいう)及び汎用性の観点から、R1は、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。
【0018】
成分(A)のポリマーはシリコーン構造を有していればよく、シリコーン構造のみからなるポリマーでもよいが、前記所定の特性を有するポリマーとする観点では、一部にシリコーン構造を有するポリマーであることが好ましい。
一部にシリコーン構造を有するポリマーである場合、該シリコーン構造はポリマー中、主鎖、側鎖のいずれに存在していてもよく、前記所定の特性を有するポリマーとする観点では、側鎖に存在していることが好ましい。
シリコーン構造がポリマー主鎖に存在する場合、その結合形態にも特に制限はなく、例えば、シリコーン構造がポリマー主鎖の末端に存在していてもよいし、ポリマー主鎖中にシリコーン構造がブロック状又はランダム状に結合した共重合ポリマーであってもよい。また、シリコーン構造を有する化合物によりグラフト変性されたポリマーも用いることができる。
【0019】
成分(A)としては、シリコーン変性ポリマーが好ましく、その具体例としては、シリコーン変性ポリノルボルネン等のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー;シリコーン変性プルラン;トリアルキルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルシロキシケイ酸、フェニル変性アルキルシロキシケイ酸等のシリコーン構造含有ケイ酸化合物;シリコーンデンドリマーなどが挙げられる。
【0020】
(ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー)
本発明において、ノルボルナン構造とは、下記式で示される構造を意味する。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、ポリマー中の任意の部位に該式で示される構造を有するシリコーン変性ポリマーであればよい。
【0021】
【0022】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0023】
【0024】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0025】
【0026】
式中、R1は前記と同じであり、cは1以上5以下の整数である。
【0027】
【0028】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0029】
前記一般式(1)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、皮膚の形状を制御する観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ブチル基、又はペンチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xは前記式(i)で表される基であり、式(i)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基である。皮膚の形状を制御する観点から、R1は好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。cは1以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、c=1が好ましい。すなわちXは、好ましくはトリメチルシロキシ基である。
aは1以上3以下の整数であり、例えばa=2の繰り返し単位とa=3の繰り返し単位が混合して存在する重合体であってよい。汎用性の観点から、aは3であることが好ましい。bは0以上2以下の整数であり、同様の観点から、好ましくは0、1又はこれらの組み合わせであり、0がより好ましい。
【0030】
前記一般式(2)中、R1、R2及びbは前記と同じである。dは2以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、d=2が好ましい。一般式(2)における環状シリコーン構造は、同様の観点から、R1及びR2がメチル基であり、dが2又は3であることが好ましい。すなわち一般式(2)における環状シリコーン構造は、好ましくは下記式(4)又は(5)で示される構造である。
【0031】
【0032】
皮膚の形状を制御する観点から、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。また、上限は100%であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは70%以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10~100%、より好ましくは10~95%、更に好ましくは30~90%、より更に好ましくは50~70%である。
【0033】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0034】
【0035】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0036】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、皮膚の形状を制御する観点から、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。また上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む場合、その割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(3)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5~90%、より好ましくは10~70%、更に好ましくは30~50%である。
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(1)~(3)で表される繰り返し単位の割合は、1H-NMR測定により求めることができる。
【0037】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、シリコーン変性ポリノルボルネンが好ましく、より好ましくは下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンである。
【0038】
【0039】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
皮膚のシワ改善効果の観点から、一般式(6)中のeとfの割合は、好ましくはe/f=20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0040】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnは、収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは80万以下、より更に好ましくは60万以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnの具体的範囲は、好ましくは5万~200万、より好ましくは10万~150万、更に好ましくは20万~80万、より更に好ましくは20万~60万である。
当該ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0041】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、例えば、ノルボルナン構造を含有するか又はノルボルナン構造を形成し得るシリコーン変性環状オレフィンモノマーを公知の方法で付加重合させて得られる。
例えば、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであれば、下記一般式(1a)又は(2a)で表される環状オレフィンモノマーを付加重合させて得ることができる。さらに、下記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させてもよい。
【0042】
【0043】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0044】
【0045】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0046】
【0047】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0048】
【0049】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0050】
上記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させる場合、その使用量は、収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点から、重合に使用する全モノマーを100モル%として、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
【0051】
前記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンは、下記式(6a)で表されるトリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとを付加重合させて得ることができる。
【0052】
【0053】
収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点から、トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとの共重合比は、好ましくは20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0054】
なお、前記一般式(1)~(3)、及び前記式(6)において示される繰り返し単位は、いずれも原料モノマーである環状オレフィンモノマーの2,3-付加構造単位を示すものであるが、該環状オレフィンモノマーの付加重合による2,7-付加構造単位となっているものが含まれていてもよい。
【0055】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーが好ましく、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第16版,第2巻,2016年,p.2274):NORBORNENE/TRIS(TRIMETHYLSILOXY)SILYLNORBORNENE COPOLYMERで表記される化合物である。
市販のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、信越化学工業社製「NBN-30-ID」(ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液)等が挙げられる。
【0056】
(シリコーン変性プルラン)
シリコーン変性プルランとしては、側鎖にシリコーン構造を有するプルランが挙げられ、具体的には、皮膚の形状を制御する観点から、プルラン中のOH基の水素原子の少なくとも一部が下記一般式(7)で表される基で置換されたシリコーン変性プルランが好ましい。
【0057】
【0058】
式中、Z1は単結合又は2価の有機基である。R2、X、aは前記と同じであり、同様の観点から、Xは好ましくはトリメチルシロキシ基、aは好ましくは3である。
【0059】
一般式(7)において、同様の観点から、Z1は2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(8)又は(9)で表される2価の基がより好ましく、下記一般式(9)で表される2価の基がより好ましい。
【0060】
【0061】
式中、R11は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示される。同様の観点から、これらの中でもエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が好ましく、トリメチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
【0062】
市販のシリコーン変性プルランとしては、信越化学工業社製「TSPL-30-ID」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのイソドデカン溶液)、「TSPL-30-D5」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのシクロペンタシロキサン溶液)等が挙げられる。
【0063】
(シリコーン構造含有ケイ酸化合物)
本発明に用いられるシリコーン構造含有ケイ酸化合物としては、末端にシリコーン構造を有するシリケート化合物が挙げられ、例えば、トリアルキルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルシロキシケイ酸、フェニル変性アルキルシロキシケイ酸等が挙げられる。
トリアルキルシロキシケイ酸におけるアルキル基は、皮膚の形状を制御する観点から、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上4以下であり、更に好ましくはメチル基である。トリアルキルシロキシケイ酸の具体例としてはトリメチルシロキシケイ酸が挙げられる。
フッ素変性アルキルシロキシケイ酸としては、トリアルキルシロキシケイ酸中のアルキル基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換された化合物が挙げられる。その具体例としては、トリフルオロプロピルジメチルシロキシケイ酸、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
フェニル変性アルキルシロキシケイ酸としては、例えば、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、フェニルプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
【0064】
シリコーン構造含有ケイ酸化合物の中でも、皮膚の形状を制御する観点からは、トリアルキルシロキシケイ酸及びフッ素変性アルキルシロキシケイ酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0065】
市販のシリコーン構造含有ケイ酸化合物としては、信越化学工業社製「KF-7312J」、「KF-7312K」、「KF-7312T」、「KF-7312L」、「X-21-5249」、「X-21-5250」、「KF-9021」、「X-21-5595」、「X-21-5616」、「KF-9021L」、「X-21-5249L」、「X-21-5250L」等のトリメチルシロキシケイ酸(溶液)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「XS66-B8226」(トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸のシクロペンタシロキサン溶液)、「XS66-B8636」(トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸のジメチコン溶液)、「SilShine151」(フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸)等を用いることができる。
【0066】
(シリコーンデンドリマー)
シリコーンデンドリマーとしては、例えば、シロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系ポリマーが挙げられる。シロキサンデンドリマー構造は、皮膚の形状を制御する観点から、具体的には下記一般式(10)で表される基であることが好ましい。
【0067】
【0068】
式中、R1は前記と同じである。Z2は単結合又は2価の有機基である。X1はi=1とした場合の下記一般式(11)で表される基であり、iは該基の階層を示す1以上10以下の整数である。
【0069】
【0070】
式中、R1は前記と同じであり、R12は炭素数1以上10以下のアルキル基である。Z3は炭素数2以上10以下のアルキレン基である。Xi+1は水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、アリール基又は一般式(11)で表される基であり、aiは0以上3以下の整数である。
【0071】
一般式(10)において、Z2は単結合又は2価の有機基であり、汎用性の観点から、2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(12)、(13)又は(14)で表される2価の基がより好ましい。
【0072】
【0073】
式中、R13は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示され、汎用性の観点から、エチレン基、トリメチレン基、又はプロピレン基が好ましい。R14は炭素数1以上10以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示され、同様の観点から、メチル基が好ましい。R15は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示され、同様の観点から、エチレン基が好ましい。qは0以上4以下の整数であり、rは0又は1である。
【0074】
上記のシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系ポリマー(以下、単に「ビニル系ポリマー」ともいう)としては、下記一般式(15)で表される単量体由来の繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0075】
【0076】
式中、R1及びX1は前記と同じである。Yはビニル結合を含む基であり、例えば、ビニル基、2-アクリロイルオキシエチル基、3-アクリロイルオキシプロピル基、2-メタクリロイルオキシエチル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2-プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、アリル基、5-ヘキセニル基が挙げられる。これらのうち、汎用性の観点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基又はビニル基、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0077】
当該ビニル系ポリマーは、前記一般式(15)で表される単量体以外のビニル系単量体に由来する繰り返し単位をさらに含んでもよい。当該ビニル系単量体としては、ビニル結合を含む基を有しかつ前記一般式(15)で表される単量体以外の単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有(メタ)アクリレート、脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレン又はその誘導体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、汎用性の観点から、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
【0078】
ビニル系ポリマー中の、前記一般式(15)で表される単量体由来の繰り返し単位の含有量は、皮膚の形状を制御する観点から、該ビニル系ポリマー中の全繰り返し単位に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、上限は100質量%である。
【0079】
前記ビニル系ポリマーは、アクリル系ポリマーであることがより好ましい。すなわち、好ましいシリコーンデンドリマーとしては、シロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するアクリル系ポリマー(以下、「アクリルシリコーンデンドリマー」ともいう)である。アクリルシリコーンデンドリマーは、前記一般式(15)において、Yが(メタ)アクロイル基である単量体由来の繰り返し単位を有するポリマーであり、一般式(15)で表される単量体以外の(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位をさらに含んでもよい。
【0080】
市販のシリコーンデンドリマーとしては、東レ・ダウコーニング社製「FA 4001 CM Silicone Acrylate」(アクリレート-ポリトリメチルシロキシメタクリレート共重合体のシクロペンタシロキサン溶液)、「FA 4002 ID Silicone Acrylate」(アクリレート-ポリトリメチルシロキシメタクリレート共重合体のイソドデカン溶液)等のアクリルシリコーンデンドリマーが挙げられる。
【0081】
シリコーン系ポリマーとしては、上記ポリマーの中でも、収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点からは、シリコーン変性ポリノルボルネン、シリコーン変性プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸、及びアクリルシリコーンデンドリマーからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネン、シリコーン変性プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、及びトリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、皮膚の収縮性の観点からは、シリコーン変性ポリノルボルネン及びシリコーン変性プルランからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネンがより更に好ましい。
【0082】
成分(A)のポリマーとしては、収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点から、シリコーン構造を有するシリコーンポリマーが好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネン及びシリコーン変性プルランから選ばれる1種以上がより好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネンが更に好ましい。
【0083】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、収縮性の観点及び皮膚の形状を制御、皮膚のシワ改善効果の観点から、組成物中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、18質量%以下がより更に好ましい。また、成分(A)の含有量は、組成物中に0.1~30質量%であるのが好ましく、1~25質量%がより好ましく、4~20質量%が更に好ましく、5~18質量%がより更に好ましい。
【0084】
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)は、1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が14%以上である揮発性油である。成分(B)を含有させると、成分(A)を含有する組成物の乾燥速度が向上することにより乾燥過程での成分(A)の収縮が加速して、皮膚を収縮させ、形状を保持させることで、皮膚の形状を制御したり、皮膚のシワを改善する効果がより向上する。
上記効果を得る観点から、成分(B)は、1気圧下、40℃、60%R.H.で30分乾燥後の揮発率が、好ましくは18%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上、より更に好ましくは45%以上、より更に好ましくは65%以上、より更に好ましくは80%以上、より更に好ましくは95%以上である。また、上限は100%である。
成分(B)の揮発率は、試料0.5gを直径40mmのガラス製シャーレに入れ、1気圧下、60%R.H.の環境下で、40℃にて30分静置して乾燥させて、乾燥前の試料質量をW0(g)、乾燥後の試料質量をW1(g)とし、{(W0-W1)/W0}×100の値として求める。この値が大きいほど揮発速度が速く、乾燥しやすいことを意味する。
なお、成分(B)として2種以上の揮発性油を用いてもよい。
上記揮発率は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
【0085】
成分(B)としては、収縮性の観点、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワ改善効果の観点から、炭化水素油及びシリコーン油から選ばれる1種以上であって、かつ揮発率が上記範囲となる油剤が挙げられる。これらの中でも、イソドデカン(揮発率33%)、ヘキサメチルジシロキサン(揮発率100%)、メチルトリメチコン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
収縮性の観点、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、成分(B)は、より好ましくは、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1.5cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が1cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは、ヘキサメチルジシロキサンである。
【0086】
ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンの市販品としては、信越化学工業社製の「KF-96L-0.65cs」(ヘキサメチルジシロキサン)、「TMF1.5」、「KF-96L-1cs」(オクタメチルトリシロキサン)、「KF-96L-1.5cs」、「KF-96L-2cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200C Fluid 1cs」、「SH200C Fluid 1.5cs」,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「TSF451-0.65」、旭化成ワッカーシリコーン社製の「BELSIL DM0.65」等が挙げられる。
【0087】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、収縮性の観点、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、組成物中に1質量%以上であるのが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、75質量%以上がより更に好ましく、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、95質量%以下がより更に好ましく、87質量%以下がより更に好ましい。また、成分(B)の含有量は、組成物中に1~99質量%であるのが好ましく、30~98質量%であるのがより好ましく、50~97質量%であるのが更に好ましく、70~95質量%がより更に好ましく、75~87質量%がより更に好ましい。
【0088】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、収縮性の観点、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、0.02以上であるのが好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、0.05以上がより更に好ましく、0.1以上がより更に好ましく、1以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましく、0.25以下がより更に好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.02~1が好ましく、0.03~0.7がより好ましく、0.04~0.4が更に好ましく、0.05~0.25がより更に好ましく、0.1~0.25がより更に好ましい。
【0089】
<その他の成分>
本発明で用いる組成物は、さらに、前記成分のほか、通常の化粧料等に用いられる成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、不揮発性油、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
なお、組成物中には、シワ改善成分を含有しなくても、シワを改善する効果が得られるので、シワ改善成分を含有する必要がない。
【0090】
本発明で用いる組成物は、通常の方法により、例えば、成分(A)及び(B)を含む成分を混合することにより、製造することができる。
【0091】
本発明においては、このようにして得られた組成物を、目的とする皮膚の領域に、7日間以上の期間、7日間の累積適用時間が28時間以上になるように、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返す。
適用期間は、7日以上であり、14日以上が好ましく、28日以上がより好ましい。
7日間の累積適用時間は、28時間以上であり、35時間以上が好ましく、42時間以上がより好ましい。
1回の適用時間は、4時間以上であるのが好ましく、5時間以上がより好ましく、6時間以上が更に好ましい。
また、7日以上の期間、少なくとも1日1回、1日4時間以上適用するのが好ましい。
【0092】
組成物は、目的とする皮膚の領域に、局所的に適用する。適用方法は、目的とする領域を覆うように指や用具などで塗布すればよい。例えば、ほうれい線を対象とする場合、ほうれい線を含む頬と鼻下の範囲に、組成物を指や用具でほうれい線に平行に塗布することができる。
1回に使用する組成物の適用量は、収縮性を向上させる観点、皮膚の形状を制御し、皮膚のシワ改善効果を高める観点から、0.02~0.5mg/mm2であるのが好ましく、0.05~0.15mg/mm2がより好ましい。
組成物を適用する前に、通常用いられる化粧水を適用していても良い。
また、本発明の組成物を適用後に、通常の化粧料を適用することも可能である。
【0093】
適用後、好ましくは4時間以上経過後、組成物を除去する。除去するステップは、皮膚を洗浄するステップであるのが好ましく、適用した組成物を洗い流したり、剥がしたりできる方法であれば良く、例えば、皮膚洗浄剤、洗顔料、メイク落とし等を用いて洗浄して、除去することができる。
例えば、就寝前に組成物を適用し、起床後に組成物を除去することを、繰り返すことにより、本発明の方法を行なうことができる。
なお、本発明で用いる組成物は、皮膚に適用後、含有されている揮発性成分が揮発するため、これを除去する際には、不揮発性成分だけが残っており、適用時とは組成が異なるものである。
【0094】
このように、組成物を、局所的に複数回適用するステップと、適用後、適用毎に組成物を除去するステップとを、繰り返すことにより、組成物除去後においても、皮膚の形状を根本的に制御することができる。
例えば、皮膚のシワやたるみを改善することができ、例えば、ほうれい線(鼻唇溝)、目尻シワ、額シワ、眉間シワ等を目立たなくしたり、頬やフェイスラインのたるみを改善することができる。
なお、本発明の方法は、美容目的で行われる。
【実施例0095】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0096】
(数平均分子量Mn)
ポリマーの数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件で測定した。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー社製)
カラム:K-806L(Shodex製)、2本直列
検出器:RI
溶離液:1mmol/L-ファーミンDM20(花王社製)/CHCl3
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
【0097】
(変形割合)
各組成物に使用する成分(A)のポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製した。この溶液0.005gを、
図1(a)に示す、幅(W)20mm×長さ(L0)100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシート1(エンシュー化成工業社製「LLフィルム」)の片面に、ポリエチレンシート1の短辺の一端1aから長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲(
図1(a)に示す2の部分)に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させた。乾燥後のポリエチレンシート(
図1(b))において、前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1(50mm)、乾燥後に収縮により変形(カール)した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1を算出して、この値をポリマーの変形割合とした。L2はポリエチレンシート1の2本の長辺上で計測した値の平均値とした。
【0098】
(揮発率)
試料0.5gを直径40mmのガラス製シャーレに入れ、1気圧下、60%R.H.の環境下で、40℃に設定したホットプレート上に30分静置して乾燥させた。乾燥前の試料質量をW0(g)、乾燥後の試料質量をW1(g)とし、{(W0-W1)/W0}×100の値を揮発率(%)とした。この値が大きいほど揮発速度が速く、乾燥しやすいことを意味する。
【0099】
実施例1
表1に示す組成の組成物を、常法により製造した。
化粧水を顔全体になじませ、次に、表1の組成物を、ほうれい線部位15cm2の範囲に150mg(0.1mg/mm2)塗布し、乾燥後6時間放置し、その後洗顔料で洗い落した。この工程を毎日繰り返し連用し、ほうれい線の目立ちの改善、肌のつや感、肌のはり感、口周りのすっきり感、肌の透明感を評価した。結果を表2及び表3に示す。
【0100】
(ほうれい線の目立ちの改善、肌のつや感、肌のはり感、口周りのすっきり感、肌の透明感)
専門パネラー3名により、組成物除去後の肌について、ほうれい線の目立ちの改善、肌のつや感、肌のはり感、口周りのすっきり感、肌の透明感を、何も塗布しない肌を基準として、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
0;変わらない。
1;やや改善した(やや良くなった)。
2;改善した(良くなった)。
【0101】
【0102】
*1:信越化学工業社製「NBN-30-ID」(下記式(6)においてe/f=60/40(mol/mol)、Mn=36万のノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液、有効分濃度:30質量%)
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
実施例2
化粧水を顔全体になじませ、次に、表1の組成物を、ほうれい線部位15cm2の範囲に150mg(0.1mg/mm2)塗布し、1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落した。40歳~65歳の健常女性39名により、この工程を毎日繰り返し2か月間連用した際、ほうれい線が目立たなくなる効果を実感し始めた連用日数と人数を示した。結果を表4に示す。
【0107】
【0108】
実施例3
ほうれい線にシワが確認される40代と50代の健常男性14名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、表1の組成物を、片側のほうれい線部位15cm
2の範囲に150mg(0.1mg/mm
2)塗布し(他方は無塗布)、1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落した。この工程を毎日繰り返し、8週間連用し、その後、1週間使用を中止した。連用前、連用8週間目、その後1週間使用中止後において、以下の方法でほうれい線の深さを測定した。結果を、
図3及び
図4に示す。
【0109】
(ほうれい線の深さの測定方法)
被験者14名により、洗顔料を用いて洗顔し、化粧水塗布後、20℃50%RH環境に15分間順化させ、測定した。測定は、皮膚分析器(ANTERA 3D、miravex社製社製)により、
図2に示すように、左右(塗布側、無塗布側)のほうれい線を含む5cm四方の画像を各3回ずつ撮影し、専用ソフトのシワ解析用フィルターを用いて画像解析をすることにより、シワの深さを求めた。結果は、14名の平均値で示した。
【0110】
図3の結果より、8週間連用により、無塗布に比べて、ほうれい線のシワは浅くなった。
また、
図4の結果より、連用終了1週後も、無塗布と比べて、ほうれい線のシワは浅く、効果が持続していた。
【0111】
実施例4(ほうれい線シワ改善効果)
ほうれい線にシワが確認される40代と50代の健常男性14名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、表1に示す組成物を、片側ほうれい線部位15cm2の範囲に150mg(0.1mg/mm2)塗布し、もう片側を無塗布側とした。1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落とし、8週間連続塗布した。
塗布開始前と塗布8週後に皮膚測定を行った。市販の洗顔料を使用して洗顔後、測定室(室温20℃、湿度50%RH)に入室して15分間馴化し、その後、レプリカ採取を行い、ほうれい線シワの変化を測定した。
また、塗布8週間後のみ、アンケートを実施した。
【0112】
(1)ほうれい線シワの三次元解析(Ra変化量):
座位にて軽く眼を閉じた状態で、左右それぞれのほうれい線にレプリカ剤(GC EXAFINE、GC社製)を塗布し、一定時間経過後に硬化したレプリカ剤を剥離して、皮膚レプリカを採取した。採取したレプリカは、PRIMOS(GF Messetechnik GmbH)を用いて、Ra:算術平均粗さ(μm)の解析を行い、Ra変化量を求めた。14名の平均を求め、結果を
図5に示した。
【0113】
(2)ほうれい線シワに対するアンケート:
被験者自身が鏡でほうれい線を確認しながら、塗布側と無塗布側について、シワの長さ、シワの深さ、シワの目立ちの変化の印象について、それぞれ下記に示す7段階で評価した。14名の平均を求め、結果を
図6~
図8に示した。
【0114】
<シワの長さ変化>
1:非常に短くなったと感じる。
2:短くなったと感じる。
3:やや短くなったと感じる。
4:どちらともいえない。
5:やや長くなったと感じる。
6:長くなったと感じる。
7:非常に長くなったと感じる。
【0115】
<シワの深さ変化>
1:非常に浅くなったと感じる。
2:浅くなったと感じる。
3:やや浅くなったと感じる。
4:どちらともいえない。
5:やや深くなったと感じる。
6:深くなったと感じる。
7:非常に深くなったと感じる。
【0116】
<シワの目立ち変化>
1:非常に改善したと感じる。
2:改善したと感じる。
3:やや改善したと感じる。
4:どちらともいえない。
5:やや悪化したと感じる。
6:悪化したと感じる。
7:非常に悪化したと感じる。
【0117】
図5の結果より、Raの変化量(8週-0週)について、無塗布側と比較して、組成物塗布側では有意な改善が認められた。また、
図6~
図8の結果より、シワの長さ及びシワの深さは無塗布側と比較して、組成物塗布側では有意な改善を示し、シワの目立ちでは改善傾向が見られた。
【0118】
実施例5(目尻シワ改善効果)
目尻にシワが確認される40代と50代の健常男性9名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、表1に示す組成物を、目尻片側に塗布し、もう片側を無塗布側とした。1回につき、片側の眼の端から1cm離れた目尻約1.5cm
2の範囲に15mg(0.1mg/mm
2)塗布し、1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落とし、8週間連続塗布した。
塗布開始前と塗布8週後に皮膚測定を行った。市販の洗顔料を使用して洗顔後、測定室(室温20℃、湿度50%RH)に入室して15分間馴化し、その後、実施例4と同様にして、左右それぞれの目尻のレプリカを採取した。採取したレプリカは、PRIMOS(GF Messetechnik GmbH)を用いて、Ra:算術平均粗さ(μm)の解析を行い、Ra変化量を求めた。9名の平均値を求め、結果を
図9に示した。
図9の結果より、Raの変化量(8週-0週)について、無塗布側と比較して、組成物塗布側では、改善傾向がみられた。
【0119】
実施例6(額シワ改善効果)
額にシワが確認される40代と50代の健常男性7名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、額のシワについて中央部の間隔を約10mm空け、表1に示す組成物を、額片側に塗布し、もう片側を無塗布側とした。1回につき、片側約3cm
2の範囲に30mg(0.1mg/mm
2)塗布し、1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落とし、8週間連続塗布した。
塗布開始前と塗布8週後に皮膚測定を行った。市販の洗顔料を使用して洗顔後、測定室(室温20℃、湿度50%RH)に入室して15分間馴化し、その後、実施例4と同様にして、額のレプリカを採取した。採取したレプリカは、PRIMOS(GF Messetechnik GmbH)を用いて、左右別にRa:算術平均粗さ(μm)の解析を行い、Ra変化量を求めた。7名の平均値を求め、結果を
図10に示した。
図10の結果より、Raの変化量(8週-0週)について、無塗布側と比較して、組成物塗布側では、改善傾向がみられた。
【0120】
実施例7(眉間シワ改善効果)
眉間にシワが確認される40代と50代の健常男性5名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、眉間のシワについて、表1に示す組成物を、片側に塗布し、もう片側を無塗布側とした。1回につき、片側約2cm
2の範囲に20mg(0.1mg/mm
2)塗布し、1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落とし、8週間連続塗布した。
塗布開始前と塗布8週後に皮膚測定を行った。市販の洗顔料を使用して洗顔後、測定室(室温20℃、湿度50%RH)に入室して15分間馴化し、その後、実施例4と同様にして、眉間のレプリカを採取した。採取したレプリカは、PRIMOS(GF Messetechnik GmbH)を用いて、左右別にRa:算術平均粗さ(μm)の解析を行い、Ra変化量を求めた。5名の平均値を求め、結果を
図11に示した。
図11の結果より、Raの変化量(8週-0週)について、無塗布側と比較して、組成物塗布側では、改善傾向がみられた。
【0121】
実施例8(頬たるみ改善効果)
頬にたるみが確認される40代と50代の健常男性14名を対象とし、化粧水を顔全体になじませた後、表1に示す組成物を、片側ほうれい線部位15cm
2の範囲に150mg(0.1mg/mm
2)塗布し、もう片側を無塗布側とした。1日1回最低4時間以上、就寝時に塗布して放置し、その後洗顔料で洗い落とし、8週間連続塗布した。
塗布開始前と塗布8週後に皮膚測定を行った。市販の洗顔料を使用して洗顔後、測定室(室温20℃、湿度50%RH)に入室して15分間馴化した。その後、VISIA-CR(Canfield Scientific)を用いて、左右斜め45度方向からの全顔写真を撮影した。被験部位の頬たるみについて、頬のたるみ評価基準(Tsukahara K, Takema Y, Fujimura T, Moriwaki S, Kitahara T, Imokawa G. Determination of age-related changes in the morphological structure (sagging) of the human cheek using a photonumeric scale and three-dimensional surface parameters. Int J Cosmet Sci 2000; 22: 247-258.)を用い、専門の判定者1名により目視評価を行った。得られたスコアについて、14名の平均値を求め、結果を
図12に示した。
図12の結果より、無塗布側と比較して、組成物塗布側では、頬たるみの改善傾向が確認された。
【0122】
実施例9
表5に示す組成物を製造した。
これらの組成物について、実施例1と同様にして、ほうれい線に繰り返し連用すると、組成物除去後の肌について、ほうれい線の目立ちが改善され、肌のつや感、肌のはり感、口周りのすっきり感、肌の透明感も良好である。
【0123】