(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017112
(43)【公開日】2023-02-03
(54)【発明の名称】円弧形リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能な車輪
(51)【国際特許分類】
B60B 19/00 20060101AFI20230127BHJP
B60B 25/02 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B60B19/00 D
B60B25/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022196659
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】591184596
【氏名又は名称】欠田 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】欠田 俊幸
(57)【要約】
【課題】平滑な路面と段差の双方に対応できる車輪を提供する。
【解決手段】中心ハブと外周リムをスポークが繋ぐ車輪において、外周リムは複数の独立した円弧形リムから構成され、円弧形リムはその端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心ハブと外周リムをスポークが繋ぐ車輪において、
前記外周リムは複数の独立した円弧形リムから構成され、
前記円弧形リムはその端部が前記中心ハブの回転軸方向に揺動可能であることを特徴とする、
円弧形リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能な車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車輪は、外周が連続した円環状であり、平滑な路面には適するが、段差には不向きであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平滑な路面と段差の双方に対応できる車輪を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達する為、円弧形リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能な車輪は、中心ハブと外周リムをスポークが繋ぐ車輪において、外周リムが複数の独立した円弧形リムから構成され、円弧形リムはその端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
各々の円弧形リムの端部を中心ハブの軸回り方向に向ければ、各々の円弧形リムが連続して、外周形状がほぼ従来の車輪に近い円環状となり、平滑な路面を少ない転がり摩擦で移動することができる。
平滑な路面に段差が現れた場合は、その状態から、各々の円弧形リムの端部を中心ハブの回転軸方向に揺動させれば、ほぼ連続していた隣り合う円弧形リム相互の間に隙間ができ、その隙間が段差に勘合して移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】円弧形リムの端部をほぼ中心ハブの軸回り方向に向けた状態
【
図2】円弧形リムの端部を中心ハブの回転軸方向に揺動した状態
【発明を実施するための形態】
【0007】
中心ハブとは、車軸に勘合して車軸周りに回転する車輪の中心部である。
【0008】
リムとは、一般には車輪の外縁部の円環であるが、ここでは硬材だけでなく、摩擦係数が大きなゴムなどの部材で覆われた部分を含めた外縁部全体を指し、円弧形リムとは、その円弧部分である。
円周を円弧に分割する数は限定しないが、車軸の高さが対応できる段差の限界に近いため、4分割未満は実用的ではない、一方で分割数が多ければ、円弧形リムの端部を中心ハブの回転軸方向に揺動した場合の円弧形リム相互の間の隙間が小さくなり、通常の車輪の外周面の凹凸形状に近くなる。
【0009】
スポークとは、中心ハブとリムを繋ぐものだが、ここでは連続した円環状のリムを全てのスポークで一体として支える一般的な形ではなく、他のスポークとは独立して円弧形リムを中心ハブに対して保持するものである。
中心ハブに対するスポークの配置は、厳密に中心ハブの中心からの放射方向である必要はなく、中心ハブの回転軸に平行な線と直交する必要もない。
図のように、中心ハブの回転軸を避けて取り付ければ、中心ハブとの接線が長くなり、より強度を持たせることができる。
中心ハブから円弧形リムに向かうスポークの延長方向をスポークの軸とする。
【0010】
揺動とは、一定の幅で揺れ動く動作であるが、厳密に同一直線上を移動する場合のみでなく、回転には至らない振り子のような振幅動作も含む。
ここでの円弧形リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動可能との表現も、中心ハブの回転軸方向への揺動であればよく、中心ハブの回転軸と平行な直線上の動きには限定しない。
【0011】
揺動させる形態の一例として、スポークが中心ハブに対して円弧形リムを保持する状態で、スポークをその軸周りに回転させれば、円弧形リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動する。
スポークをその軸周りに回転させる方法としては、中心ハブに設けたギアードモータのような回転機構でスポークを回転させるなどの方法があるが、回転軸直結以外にリンクでもよく、形態は特定しない、いずれも既知の技術であり詳細は省略する。
【0012】
図1は、4本の円弧形リムの両端をほぼ中心ハブの回転軸周り方向に向けた状態であり、
図2は、4本の円弧形リムをそれを保持するスポークの軸周りに45度回転させた状態であり、円弧方リムの端部が中心ハブの回転軸方向に揺動し、隣り合う円弧形リム相互の間に隙間ができて、その隙間が段差に勘合している。
スポークの回転角度は90度が最大値であり、図のように90度以下の角度では、段差を上る場合、車輪の回転に伴って円弧形リムの一端から接地して、接地点が円弧形リムの他端方向に順次移動し、段差を下る場合はその逆となるので、段差にさしかかる前や、段差走行中に段差に応じた回転角度とすることで、より上下動が少ないスムーズな移動ができる。
段差と車輪の位置関係によっては、
図2のように、段差上端部に円弧形リムの中央付近が接して、その後の車輪の回転により、この接点より端部方向にむけて順次接地していく場合もある。
原理としては、円形の車輪を進行方向を軸として45度傾けた状態で、その傾いた状態の車輪を車軸周りに回転させることで、傾いた車輪が回転に伴って段差を上から押し付けて乗り上げる形である。
車体に対する円弧形リムの回転位置が左右同じあれば、車体は平行のまま上下するが、左右の位置が異なる場合は、段差を超える時、車体は左右に揺れるが、左右の車輪の円弧形リムが相互に段差を超えることになり、段差の形状によってはより乗り越えやすくなる。
【0013】
具体的な利用例としては、平滑な路面と不整地を行き来する車両やロボット、車椅子等が想定される。
車椅子の主車輪に応用すれば、道路と歩道の段差や階段に対応できる。
この構造では、車輪を手で回す為のハンドリムがないので、円弧形リムを直接手で操作するか、別途、車輪回転用にワンウェイクラッチを持つ往復レバーが必要になる。
【符号の説明】
【0014】
1 車軸
2 中心ハブ
3 円弧形リム
4 スポーク
5 ギアードモータ
6 段差