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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171147
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】カードホルダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/00 20060101AFI20231124BHJP
   G09F 1/10 20060101ALI20231124BHJP
   B42D 1/00 20060101ALI20231124BHJP
   H04W 12/47 20210101ALI20231124BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20231124BHJP
【FI】
G06K19/00 050
G09F1/10 H
B42D1/00 J
H04W12/47
H04W84/10 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083398
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】519392498
【氏名又は名称】パーソルエクセルHRパートナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】野阪 昌史
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 豊尚
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA06
5K067BB37
5K067DD27
5K067EE02
5K067FF05
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】ビーコン機能を備えるカードホルダにおいて、必要な間、ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止でき得るカードホルダを提供する。
【解決手段】カードホルダ1は、携帯端末に対して、当該携帯端末から所定範囲内にカードホルダ1が存在することを知らせるビーコン信号の電波を定期的に発信する発近距離無線通信モジュール570と、操作を受け付ける操作部400と、近距離無線通信モジュール570を制御する制御部560と、を備える。操作部400は、ビーコン信号の発信を中断させるための中断操作を受け付ける。制御部560は、中断操作が行われたことに基づいて、近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を停止させ、発信停止から所定の中断時間が経過したことに基づいて、近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを収納し、装着具を用いて使用者に身につけられるカードホルダにおいて、
携帯端末に対して、当該携帯端末から所定範囲内にカードホルダが存在することを知らせるビーコン信号の電波を定期的に発信する発信部と、
操作を受け付ける操作部と、
前記発信部を制御する制御部と、を備え、
前記操作部は、前記ビーコン信号の発信を中断させるための中断操作を受け付け、
前記制御部は、
前記中断操作が行われたことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止させ、
発信停止から所定の中断時間が経過したことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させる、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカードホルダにおいて、
前記操作部は、複数の時間の中から前記中断時間となる時間を指定するため指定操作を受け付け、
前記制御部は、前記指定操作により指定された時間を前記中断時間に設定する、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカードホルダにおいて、
前記操作部は、前記ビーコン信号の発信を再開させるための再開操作を受け付け、
前記制御部は、前記発信停止の後に前記再開操作が行われたことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させ、
前記中断操作および前記再開操作は、前記操作部に触れる操作とされ、
前記中断操作では、前記再開操作よりも前記操作部に触れる時間が長くなる、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のカードホルダにおいて、
前記発信部が収容されるハウジングと、
前記ハウジングにおける、前記カードホルダが使用者の身につけられた状態で上側となる面に設けられた表示部と、をさらに備える、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項5】
請求項1または2に記載のカードホルダにおいて、
前記発信部は、端末が実行するアプリケーションを遠隔操作するための遠隔操作信号の電波を発信可能であり、
前記操作部は、
前記発信部が前記ビーコン信号の電波を定期的に発信するビーコンモードにおいて、当該ビーコンモードから遠隔操作モードに切り替えるための切替操作を受け付け、
前記遠隔操作モードにおいて、前記遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付け、
前記制御部は、
前記切替操作に基づいて、前記ビーコンモードから前記遠隔操作モードへの切り替えを行い、
前記遠隔操作モードにおいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を行わせず、前記指令操作に基づいて、前記発信部に前記遠隔操作信号の電波を発信させる、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項6】
請求項5に記載のカードホルダにおいて、
前記制御部は、所定の解除条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを解除し、前記ビーコンモードへ戻す、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項7】
カードを収納し、装着具を用いて使用者に身につけられるカードホルダにおいて、
端末が実行するアプリケーションを遠隔操作するための遠隔操作信号の電波を発信する発信部と、
操作を受け付ける操作部と、
前記発信部を制御する制御部と、を備え、
前記操作部は、前記遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付け、
前記制御部は、前記指令操作に基づいて、前記発信部に前記遠隔操作信号の電波を発信させる、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項8】
請求項7に記載のカードホルダにおいて、
前記遠隔操作の対象となるアプリケーションは、入力された第1言語の音声を翻訳して第2言語の音声を出力する翻訳アプリケーションおよび複数の端末の間でオンライン会議を行うための会議アプリケーションのうち、少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするカードホルダ。
【請求項9】
請求項7または8に記載のカードホルダにおいて、
前記操作部は、複数種のアプリケーションの中から前記遠隔操作の対象となるアプリケーションを指定するための指定操作を受け付け、
前記制御部は、前記発信部に、前記指定操作により指定されたアプリケーションに対応する前記遠隔操作信号の電波を発信させる、
ことを特徴とするカードホルダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名札、社員証等のカードを収納し、ストラップ等の装着具を用いて使用者に身につけられるカードホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
身分証明書、社員証などのIDカードを収納するためのカードホルダにおいて、Bluetooth(登録商標)のような無線通信プロトコルによりスマートフォン(多機能携帯電話)と通信を行う送受信部を備え、当該カードホルダがスマートフォンから所定距離だけ離れ、互いに相手からの通信の電波が受信できなくなった場合に、カードホルダに備えられたブザーが鳴動したり、スマートフォンから警告音が鳴らされたりする構成が、以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
このように、カードホルダがスマートフォンから所定距離だけ離れた場合にスマートフォンで通知がなされると、カードホルダの紛失防止に役立ち得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6524326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のようにビーコン機能を有するカードホルダでは、スマートフォン等の携帯端末に対して、当該携帯端末から所定距離(範囲)内にカードホルダが存在することを知らせるビーコン信号の電波が定期的に発信される。
【0006】
このようなカードホルダは、主として、企業において使用され得る。工場、研究所など企業の施設内には多様な機器が設置されているが、それら機器の中には、他の機器から発せられた電波に晒されることが望ましくないものも存在し得る。よって、そのような機器が設置された部屋において、カードホルダの使用者が作業等を行っている間は、カードホルダからビーコン信号の電波が発信されなくなることが望ましい。
【0007】
さらに、カードホルダは、業務中において常に使用者の身につけられているものである。このため、カードホルダから発信される信号により、外部の端末で実行されるアプリケーションを遠隔操作できると、便利である。
【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、ビーコン機能を備えるカードホルダにおいて、必要な間、ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止でき得るカードホルダを提供することを目的とする。さらに、本発明は、カードホルダから発信される信号により、外部の端末で実行されるアプリケーションを遠隔操作でき得るカードホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、カードを収納し、装着具を用いて使用者に身につけられるカードホルダに関する。本態様に係るカードホルダは、携帯端末に対して、当該携帯端末から所定範囲内にカードホルダが存在することを知らせるビーコン信号の電波を定期的に発信する発信部と、操作を受け付ける操作部と、前記発信部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記操作部は、前記ビーコン信号の発信を中断させるための中断操作を受け付ける。前記制御部は、前記中断操作が行われたことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止させ、発信停止から所定の中断時間が経過したことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させる。
【0010】
なお、発信部は、たとえば、低電力の近距離無線通信規格に従って、ビーコン信号の発信を行う構成とすることができる。
【0011】
本態様に係るカードホルダによれば、携帯端末から所定範囲内にカードホルダが存在しなくなることに基づいて携帯端末に所定の報知を行わせることができるので、カードホルダの紛失防止に役立つ。
【0012】
さらに、使用者は、電波の発信が望まれない状況にある間、カードホルダからのビーコン信号の電波の定期的な発信を中断させることができる。しかも、中断時間が経過すれば、ビーコン信号の電波の発信が再開されるので、電波の発信が望まれない状況が解除された後、カードホルダが中断状態のまま放置されることを防止できる。
【0013】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記操作部は、複数の時間の中から前記中断時間となる時間を指定するため指定操作を受け付けるような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記指定操作により指定された時間を前記中断時間に設定するような構成とされ得る。
【0014】
なお、操作部は、たとえば、中断操作および指定操作を受け付ける一つの操作ボタンや各操作をそれぞれ受け付ける複数の操作ボタンにより構成することができる。
【0015】
上記の構成によれば、使用者は、中断時間として、所望の時間を選択できる。
【0016】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記操作部は、前記ビーコン信号の発信を再開させるための再開操作を受け付けるような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記発信停止の後に前記再開操作が行われたことに基づいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させるような構成とされ得る。そして、前記中断操作および前記再開操作は、前記操作部に触れる操作とされ、前記中断操作では、前記再開操作よりも前記操作部に触れる時間が長くなるようにされ得る。
【0017】
なお、操作部は、たとえば、中断操作および再開操作を受け付ける一つの操作ボタンや各操作をそれぞれ受け付ける複数の操作ボタンにより構成することができる。
【0018】
操作部に触れる操作は、たとえば、操作ボタンを長押しする操作とすることができる。この場合、中断操作では再開操作よりも押される時間が長くなる。また、操作部に触れる操作は、たとえば、操作ボタンを単位時間内に所定回押す操作とすることができる。この場合、中断操作では再開操作よりも押される回数が多くなる。
【0019】
上記の構成によれば、使用者は、中断時間が経過する前に、再開操作を行うことにより、ビーコン信号の電波の発信を再開させることができる。さらに、中断操作は、再開操作よりも操作部に触れる時間が長い操作であるため、中断操作が誤って行われにくく、誤ってビーコン信号の電波の発信が中断されにくい。一方で、再開操作は容易に行えて、ビーコン信号の電波の発信の再開を容易に行える。
【0020】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記発信部が収容されるハウジングと、前記ハウジングにおける、前記カードホルダが使用者の身につけられた状態で上側となる面に設けられた表示部と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
【0021】
上記の構成によれば、発信部からのビーコン信号の電波の発信状況などを使用者が確認できるように、表示部を点灯させることができる。このとき、カードホルダの上方に位置する使用者の目から表示部が見やすいので、使用者は、表示部の点灯を容易に確認できる。
【0022】
なお、表示部の点灯には、継続的な点灯以外に間欠的な点灯、即ち点滅が含まれる。
【0023】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記発信部は、端末が実行するアプリケーションを遠隔操作するための遠隔操作信号の電波を発信可能な構成とされ得る。この場合、前記操作部は、前記発信部が前記ビーコン信号の電波を定期的に発信するビーコンモードにおいて、当該ビーコンモードから遠隔操作モードに切り替えるための切替操作を受け付け、前記遠隔操作モードにおいて、前記遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付けるような構成とされ得る。前記制御部は、前記切替操作に基づいて、前記ビーコンモードから前記遠隔操作モードへの切り替えを行い、前記遠隔操作モードにおいて、前記発信部に前記ビーコン信号の電波の定期的な発信を行わせず、前記指令操作に基づいて、前記発信部に前記遠隔操作信号の電波を発信させるような構成とされ得る。
【0024】
なお、操作部は、たとえば、中断操作を受け付ける操作ボタンと、切替操作および遠隔操作を受け付ける1つまたは2つの操作ボタンとにより構成することができる。
【0025】
上記の構成によれば、使用者は、企業内等で常に身につけているカードホルダを利用して、使用者から離れた端末で実行されているアプリケーションの遠隔操作を行うことができる。よって、カードホルダの利便性が向上する。
【0026】
さらに、カードホルダが使用されているため紛失の虞がない遠隔操作モード中は、ビーコン信号の電波の発信が停止されるので、無駄な電力消費を防止できる。
【0027】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、所定の解除条件が成立したことに基づいて、前記遠隔操作モードを解除し、前記ビーコンモードへ戻すような構成とされ得る。
【0028】
このような構成とされれば、遠隔操作モードが解除されると、ビーコン信号の電波の発信が再開されるので、使用者が逐一、発信再開のための操作を行わなくてよい。
【0029】
本発明の第2の態様は、カードを収納し、装着具を用いて使用者に身につけられるカードホルダに関する。本態様に係るカードホルダは、端末が実行するアプリケーションを遠隔操作するための遠隔操作信号の電波を発信する発信部と、操作を受け付ける操作部と、前記発信部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記操作部は、前記遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付ける。前記制御部は、前記指令操作に基づいて、前記発信部に前記遠隔操作信号の電波を発信させる。
【0030】
本態様に係るカードホルダによれば、使用者は、企業内等で常に身につけているカードホルダを利用して、使用者から離れた端末で実行されているアプリケーションの遠隔操作を行うことができる。よって、カードホルダの利便性が向上する。
【0031】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記遠隔操作の対象となるアプリケーションは、入力された第1言語の音声を翻訳して第2言語の音声を出力する翻訳アプリケーションおよび複数の端末の間でオンライン会議を行うための会議アプリケーションのうち、少なくとも1つを含み得る。
【0032】
翻訳アプリケーションに利用される場合、遠隔操作は、たとえば、第1言語の入力を開始させるための操作とすることができる。会議アプリケーションに利用される場合、遠隔操作は、たとえば、マイクの入力をミュートとミュート解除との間で切り替える操作とすることができる。
【0033】
上記の構成によれば、翻訳アプリケーションを利用する2人の利用者は、一方がカードホルダを用いることにより、互いに距離を置いて会話することができる。また、カードホルダの使用者は、端末から離れていても、マイクのミュート等、会議アプリケーションに係る操作を行うことができる。
【0034】
本態様に係るカードホルダにおいて、前記操作部は、複数種のアプリケーションの中から前記遠隔操作の対象となるアプリケーションを指定するための指定操作を受け付けるような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記発信部に、前記指定操作により指定されたアプリケーションに対応する前記遠隔操作信号の電波を発信させるような構成とされ得る。
【0035】
上記の構成によれば、使用者は、遠隔操作の対象として、所望のアプリケーションを選択できる。
【発明の効果】
【0036】
以上のとおり、本発明によれば、ビーコン機能を備えるカードホルダにおいて、必要な間、ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止でき得るカードホルダを提供できる。さらに、カードホルダから発信される信号により、外部の端末で実行されるアプリケーションを遠隔操作でき得るカードホルダを提供できる。
【0037】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1(a)は、実施の形態に係る、使用者に身につけられた状態のカードホルダを示す図である。図1(b)は、実施の形態に係る、携帯端末にカードホルダが忘れられたときの報知が行われている状態を示す図である。図1(c)は、実施の形態に係る、カードホルダの遠隔操作機能について説明するための図である。
図2図2(a)および(b)は、実施の形態に係る、カードホルダの斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、2つのカバーが取り外された状態のカードホルダの斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る、2つのカバーが取り外された状態のカードホルダの斜視図である。
図5図5(a)は、実施の形態に係る、カバーを裏面側から見た斜視図であり、図5(b)および(c)は、それぞれ、図5(a)のA部およびB部の拡大図である。
図6図6は、実施の形態に係る、ハウジングの第2の面の位置で左右方向に切断されたカードホルダの断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る、ハウジングの前面の配置部にカードが配置された状態を示す図である。
図8図8(a)は、実施の形態に係る、ポーズボタンおよび遠隔操作ボタンの位置で左右方向に切断されたカードホルダの断面図である。図8(b)は、実施の形態に係る、ポーズボタンおよび第1表示部の位置で上下方向に切断されたカードホルダの断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、ポーズボタン、遠隔操作ボタン、基板ユニット、第1光拡散板および第2光拡散板の斜視図である。
図10図10は、実施の形態に係る、基板ユニットの構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態に係る、カードホルダにおいて制御部により実行される制御処理を示すフローチャートである。
図12図12(a)は、実施の形態に係る、ビーコン発信処理を示すフローチャートである。図12(b)は、実施の形態に係る、遠隔操作処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施の形態に係る、設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明のカードホルダの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0040】
図1(a)は、使用者に身につけられた状態のカードホルダ1を示す図である。図1(b)は、携帯端末3にカードホルダ1が忘れられたときの報知が行われている状態を示す図である。図1(c)は、カードホルダ1の遠隔操作機能について説明するための図である。
【0041】
図1(a)に示すように、カードホルダ1には、名札、社員証等のカードが収納される。カードが収納されたカードホルダ1は、装着具を用いて使用者に身につけられる。たとえば、カードホルダ1は、首掛け用のストラップ2を用いて使用者の首から吊り下げられる。カードホルダ1は、クリップ付きのストラップにより、使用者の胸ポケットから吊り下げられてもよい。
【0042】
カードホルダ1は、ビーコン信号の電波を定期的に発信するビーコン機能を備える。ビーコン信号は、使用者が所有するスマートフォン等の携帯端末3に対して、当該携帯端末3から所定範囲内にカードホルダ1が存在することを知らせるための信号である。ビーコン機能には、たとえば、近距離無線通信規格である、BLE(Bluetooth low energr)に基づくiBeacon(登録商標)の技術を用いることができる。
【0043】
携帯端末3には、カードホルダ1を見守るためのアプリケーションが搭載され、当該プリケーションがバックグランド等において動作している。携帯端末3を所持した使用者が、カードホルダ1を置き忘れるなどしたまま、カードホルダ1の位置から所定範囲の外に移動すると、ビーコン信号が携帯端末3に届かなくなる。この場合、図1(b)に示すように、携帯端末3では、ディスプレイ31に所定の報知画面が表示され、スピーカ32から所定の報知音(音声を含む)が出力される。これにより、置忘れ等によるカードホルダ1の紛失を防止することができる。
【0044】
さらに、図1(c)に示すように、カードホルダ1は、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の端末4が実行する翻訳アプリケーション等のアプリケーションを遠隔操作する遠隔操作機能を備える。カードホルダ1からは、使用者の操作に基づいて遠隔操作のための遠隔操作信号の電波が発信される。遠隔操作信号は、カードホルダ1と無線接続された端末4に受信される。遠隔操作機能における無線接続には、たとえば、BLEに基づくHID over GATT Profileの技術を用いることができる。
【0045】
端末4は、カードホルダ1からの遠隔操作信号を受信すると、実行中のアプリケーションにおいて、受信された遠隔操作信号に基づく処理を実行する。このように、使用者は、企業内等で常に身につけているカードホルダ1を利用して、使用者から離れた端末4で実行されているアプリケーションの遠隔操作が行えるので、便利である。たとえば、アプリケーションが、1つの端末4において複数の人に利用され得るアプリケーションであっても、人と人との間に距離が取れて、ソーシャルディスタンスの確保に繋がる。
【0046】
以下、カードホルダ1の詳細な構成と動作(ビーコン機能、遠隔操作機能)について説明する。説明の便宜上、操作部400およびカバー200が設けられた面をカードホルダ1の前面とし、ストラップ取付部150が設けられた面をカードホルダ1の上面とする。
【0047】
図2(a)および(b)は、カードホルダ1の斜視図である。図3および図4は、2つのカバー200が取り外された状態のカードホルダ1の斜視図である。図2(a)および図3は、カードホルダ1を前方から見た図であり、図2(b)および図4は、カードホルダ1を後方から見た図である。図5(a)は、カバー200を裏面側から見た斜視図であり、図5(b)および(c)は、それぞれ、図5(a)のA部およびB部の拡大図である。
【0048】
カードホルダ1は、ハウジング100と、2つのカバー200とを備える。
【0049】
ハウジング100は、樹脂材料により形成され、前後方向に扁平なほぼ方形状を有する。ハウジング100は、前側の第1部材100aと後側の第2部材100bとを、4本のネジ300を用いて結合することにより形成される。
【0050】
ハウジング100の前面101および後面102は、上側の第1の面101a、102aと、第1の面101a、102aに対して凹む下側の第2の面101b、102bとに分かれる。第2の面101b、102bは、前面101および後面102の大部分を占める。第1の面101a、102aと第2の面101b、102bは、これらの面に垂直な第3の面101c、102cにより繋がる。なお、前面101および後面102は、ハウジング100の扁平な方向における2つの面である。
【0051】
ハウジング100の前面101には、第1の面101aに、カードホルダ1に係る各種の操作を受け付けるための操作部400が配置される。操作部400は、操作ボタンであるポーズボタン410および遠隔操作ボタン420により構成される。
【0052】
ハウジング100の前面101および後面102には、第2の面101b、102bに、カードが、その表裏方向に垂直な面内方向(上下左右方向)への動きが規制された状態で配置される配置部110が設けられる。配置部110は、配置され得るカードの形状に相似する形状を有しており、第2の面101b、102bから僅かに突出するほぼ方形状の枠部103によって、当該枠部103の内側に形成される。配置部110は、底壁面111と、当該底壁面111の外周縁から立ち上がる周壁面112とを含み、カバー200側である前方に開口する。第2の面101b、102bにおける枠部103の内側の領域が底壁面111となり、枠部103の内周面が周壁面112となる。
【0053】
周壁面112は、上壁面113、下壁面114、左壁面115および右壁面116により構成され、4つの角にRを有する。上壁面113は、左側および右側に、下方に僅かに突出する2つの突部113aを有する。下壁面114は、左側および右側に、下方に方形状に凹む2つの凹部114aを有する。底壁面111には、左右の凹部114aに接するように、方形状の穴部117が形成される。
【0054】
本実施の形態では、配置部110のサイズ(縦、横および深さ)、即ち底壁面111の縦(上下)と横(左右)の長さおよび周壁面112の高さは、通常のICカード(プラスチックカード)のサイズである国際規格「ID-1」のサイズ、即ち、縦53.98mm、横85.60mm、厚さ0.76mmに対応しており、当該サイズよりも僅か大きくされている。特に、配置部110の深さである周壁面112の高さは、国際規格「ID-1」のサイズのカードの表面に顔写真、氏名等が印刷されたフィルムなどが貼られることにより、その厚みが国際規格「ID-1」の厚みより大きくなったカードが配置部110に収容できるよう、設定されている。
【0055】
第2の面101b、102bには、配置部110における、下壁面114の凹部114aの近傍である2つの穴部117の位置に、抑え部として、板ばね片120が設けられる。各板ばね片120は、凹部114aから、下壁面114の凹部114a以外の壁面部分よりも上方に張り出すように延び、底壁面111に沿うように凹部114a側に弾性変形可能である。板ばね片120は、その先端側に2つの山なり部121を有する。
【0056】
各板ばね片120は、底壁面111に垂直な方向(前後方向)の幅寸法Wが、当該垂直な方向の周壁面112の高さ寸法Hより大きく、幅方向の後端部分が穴部117に入り込んでいる。また、各板ばね片120は、配置部110の開口端面110aよりも前方、即ちカバー200側に突出しない。即ち、各板ばね片120の幅方向の前端面と配置部110の開口端面110aとが面一になっている。
【0057】
ハウジング100の前面101および後面102には、第2の面101b、102bと第3の面101c、102cとの間の角部に、3つの方形状の第1挿入孔131が形成される。また、ハウジング100の前面101および後面102には、第2の面101b、102bの左端部の上部と、右端部の上部と、下端部の左側および右側とに、合計4つの方形状の第2挿入孔132が形成される。さらに、ハウジング100の前面101および後面102には、第2の面101b、102bの左端部の2カ所と、右端部の2カ所と、下端部の2カ所とに、合計6つの第3挿入孔133が形成される。各第3挿入孔133の隣には、方形状の嵌合部134が形成される。
【0058】
ハウジング100の前面101および後面102には、第2の面101b、102bの下端部の中央に、円弧状の凹部140が設けられる。
【0059】
ハウジング100の上面104には、ストラップ2が取り付けられるストラップ取付部150が設けられる。ストラップ取付部150は、ストラップ2が通される取付孔151を有する。さらに、上面104には、右端部および左端部に、それぞれ、第1表示部161および第2表示部162が設けられる。第1表示部161および第2表示部162は、上面104からハウジング100の内部まで貫通する長円形の表示窓である。なお、上面104は、ハウジング100における、カードホルダ1が使用者の身につけられた状態で上側となる面である。
【0060】
2つのカバー200は、ハウジング100の前面101および後面102の第2の面101b、102bに着脱可能に装着される。これにより、各カバー200は、各配置部110に配置されたカードを覆う。2つのカバー200の表面は、ハウジング100の第1の面101a、102aとほぼ面一になっている。
【0061】
カバー200は、ほぼ方形の薄皿状を有し、カバー本体210と、窓パネル220と、を含む。カバー本体210は、樹脂材料により形成され、ほぼ方形状の窓部211を有する。窓パネル220は、透明な樹脂材料によりほぼ方形状に形成され、窓部211を塞ぐ。窓パネル220は、カバー本体210の裏面に装着される。窓パネル220が装着されるカバー本体210の窓部211の周縁部分210aは、窓パネル220の厚み分だけ凹んでおり、カバー本体210の裏面と窓パネル220の裏面とが面一となる。カバー本体210の裏面と窓パネル220の裏面とにより、カバー200の裏面が構成される。
【0062】
このように、各カバー200に窓部211が設けられているため、各カバー200がハウジング100に装着されている状態において、各配置部110に配置されたカードの表面を、外から視認することができる。なお、各カバー200に窓部211が設けられる代わりに、各カバー200が透明な材料により形成されるようにしてもよい。
【0063】
カバー本体210の裏側には、上端部に、上方に突出する3つの方形状の第1突出片231が形成される。また、カバー本体210の裏側には、左端部の上部と、右端部の上部と、下端部の左側および右側とに、後方に突出する合計4つの方形状の第2突出片232が形成される。さらに、カバー本体210の裏側には、左端部の2カ所と、右端部の2カ所と、下端部の2カ所とに、後方に突出する合計6つの第3突出片233が形成される。
【0064】
3つの第1突出片231の左右方向の寸法は、ハウジング100の3つの第1挿入孔131の左右方向の寸法とほぼ等しくされている。また、左端部および右端部の第2突出片232の上下方向の寸法は、ハウジング100の第2の面101b、102bの左端部および右端部の第2挿入孔132の上下方向の寸法とほぼ等しくされている。さらに、下端部の左側および右側の第2突出片232の左右方向の寸法は、ハウジング100の第2の面101b、102bの下端部の左側および右側の第2挿入孔132の寸法とほぼ等しくされている。
【0065】
図5(b)および(c)に示すように、各第3突出片233の先端部には、カバー200の内側に突出する爪部234が形成される。左端部および右端部の各2つの第3突出片233の爪部234は、上方に向かうに従って突出量が大きくなる形状とされている。また、下端部の左側の第3突出片233の爪部234は、左方に向かうに従って突出量が大きくなる形状とされており、下端部の右側の第3突出片233の爪部234は、右方に向かうに従って突出量が大きくなる形状とされている。
【0066】
図6は、ハウジング100の第2の面101b、102bの位置で左右方向に切断されたカードホルダ1の断面図である。図6では、カードホルダ1の中央部分が省略されている。
【0067】
2つのカバー200が、それぞれに対応する第2の面101b、102bに装着された状態において、各カバー200の3つの第1突出片231、4つの第2突出片232および6つの第3突出片233が、各第2の面101b、102bの3つの第1挿入孔131、4つの第2挿入孔132および6つの第3挿入孔133に挿入される。
【0068】
各第1突出片231と各第1挿入孔131とが嵌合し、各第2突出片232と各第2挿入孔132とが嵌合する。これにより、各カバー200が、ハウジング100に対して、その第2の面101b、102bに沿う面内方向(上下左右方向)に固定される。さらに、各第3突出片233の爪部234と各第3挿入孔133に隣接する嵌合部134とが嵌合する。これにより、各カバー200が、ハウジング100に対して、その第2の面101b、102bの法線方向(前後方向)に固定される。
【0069】
ハウジング100の前面101の第2の面101bとカバー200とにより、ハウジング100の前側に第1収納部1aが構成され、ハウジング100の後面102の第2の面102bとカバー200とにより、ハウジング100の後側に第2収納部1bが構成される。各収納部1a、1bには、それぞれの配置部110に、当該配置部110に対応するサイズ(本実施の形態では、国際規格「ID-1」のサイズ)を有する第1タイプのカードC1を配置できる。カードC1は、たとえば、ICカードからなる入門証や社員証である。
【0070】
さらに、各配置部110の開口端面110aと各カバー200の裏面との間には、開口端面110aに沿う面内方向(上下左右方向)に配置部110よりも広い面積を有する収納空間S1が形成される。これにより、各収納部1a、1bにおいて、収納空間S1内に、カードC1よりも縦横のサイズが大きな、たとえば、一般的な名刺のサイズ(縦55mm、横91mm)の第2タイプのカードC2を配置できる。カードC2は、たとえば、名札である。
【0071】
本実施の形態では、第1収納部1aに第1タイプのカードC1と第2タイプのカードC2とが収納され、第2収納部1bに第1タイプのカードC1のみが収納されている。
【0072】
カードホルダ1にカードC1、C2を収納する際には、ハウジング100からカバー200が取り外される。この際、使用者は、ハウジング100の下端部の凹部140に指先を入れて、カバー200の下端部の中央部を、カバー200がハウジング100から離れる方向に押す。これにより、各第3突出片233の爪部234が各嵌合部134から外れる。カバー200は、その下端部の中央側から左右の外側、下側から上側へ向けて、ハウジング100から剥されていくが、このとき、各第3突出片233の爪部234は、その突出量が変えられた形状(図5(b)、(c)参照)により嵌合部134への引っ掛かりが浅い部分から外れていく。よって、各第3突出片233の爪部234が各嵌合部134から外れやすくなるので、使用者は、ハウジング100からカバー200を容易に取り外すことが可能となる。
【0073】
図7は、ハウジング100の前面101の配置部110にカードC1が配置された状態を示す図である。
【0074】
カバー200が取り外された状態において、第1タイプのカードC1が配置部110に配置される。この際、使用者は、カードC1を、その下側の端辺で2つの板ばね片120を下方へ押すようにして配置部110にはめ込む。図7の破線に示す状態にあった各板ばね片120が、弾性変形して下方へ変位する。これにより、2つの板ばね片120による上方への弾性力がカードC1に付与され、カードC1が、周壁面112の一部である上壁面113と2つの板ばね片120との間に挟み込まれるようにして、上壁面113に押さえ付けられる。
【0075】
この際、カードC1は、その下側の端辺が2つの板ばね片120の山なり部121とほぼ点接触し、その上側の端辺が上壁面113の2つの突部113aとほぼ点接触する。このため、2つの板ばね片120と上壁面113とでカードC1をしっかりと挟み込むことができる。さらに、各板ばね片120は、底壁面111に垂直な方向(前方向)の幅寸法Wが、当該垂直な方向の周壁面112の高さ寸法Hより大きくされている。これにより、各板ばね片120の幅寸法WをカードC1の厚みよりも十分に大きくできるので、各板ばね片120をカードC1の下側の端辺にしっかりと当接させることができる。
【0076】
このようにして、2つの板ばね片120によって、配置部110に配置されたカードC1は、当該カードC1の表裏方向(前後方向)への動きが抑えられる。これにより、使用者がカードホルダ1を身につけた状態において、カードホルダ1の中でカードC1が表裏方向に小刻みに揺れにくくなる。さらに、カバー200がハウジング100から取り外された状態となっても、カードC1が、当該カードC1の表方向に動きにくく、配置部110から離脱しにくい。
【0077】
特に、カードホルダ1が、配置部110の正面に第2タイプのカードC2が配置できる収納空間S1が設けられる構成である場合、配置部110に配置された第1タイプのカードC1とカバー200の裏面との間に大きな隙間が生じやすく、カードC1のみが収納される場合に当該カードC1がその表裏方向に大きく動きやすい。このため、上記の構成では、配置部110に配置されたカードC1の表裏方向への動きを抑える必要性(意義)が大きくなる。
【0078】
なお、配置部110に配置されたカードC1は、周壁面112により表裏方向に垂直な面内方向(上下左右方向)の動きが規制されているが、当該面内方向にカードC1と周壁面112との僅かな隙間の分だけ動くことができる。しかしながら、上記の通り、2つの板ばね片120によってカードC1が周壁面112(上壁面113)に押さえ付けられることにより、上記面内方向へのカードC1のガタツキを抑えることもできる。
【0079】
図8(a)は、ポーズボタン410および遠隔操作ボタン420の位置で左右方向に切断されたカードホルダ1の断面図である。図8(b)は、ポーズボタン410および第1表示部161の位置で上下方向に切断されたカードホルダ1の断面図である。図9は、ポーズボタン410、遠隔操作ボタン420、基板ユニット500、第1光拡散板610および第2光拡散板620の斜視図である。図10は、基板ユニット500の構成を示すブロック図である。
【0080】
ハウジング100内には、前面101の第1の面101aの裏側の空間S2に、ポーズボタン410と、遠隔操作ボタン420と、基板ユニット500と、第1光拡散板610と、第2光拡散板620とが収納される。当該空間S2は、前面101の第2の面101bの裏側の空間S3よりも、カードホルダ1の前後方向に広くなっている。
【0081】
ポーズボタン410および遠隔操作ボタン420は、樹脂材料により形成され、方形板状のベース部411、421と、ベース部411、421から突出する長円形状のボタン部412、422と、ボタン部412、422の裏側から突出する押圧部413、423と、含む。遠隔操作ボタン420のボタン部422は、ポーズボタン410のボタン部412よりも大きく突出する。ベース部411、421の表面には、ボタン部412、422を囲むように、ゴム材料からなるパッキン430が取り付けられる。
【0082】
ハウジング100の前面101の第1の面101aには、2つの長円形のボタン窓170が形成されており、これらボタン窓170に、ハウジング100の内部からポーズボタン410および遠隔操作ボタン420のボタン部412、422が挿入される。ポーズボタン410のボタン部412は、第1の面101aよりも僅かにボタン窓170の中に入り込んでおり、遠隔操作ボタン420のボタン部422は、第1の面101aよりも僅かにボタン窓170の外に張り出している。
【0083】
ポーズボタン410は、主として、カードホルダ1からの定期的なビーコン信号の電波の発信を中断(停止)するための中断操作を受け付ける操作ボタンである。遠隔操作ボタン420は、主として、カードホルダ1から遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付ける操作ボタンである。上記のように、ポーズボタン410は、ボタン部412がボタン窓170の中に入り込んでいる。このため、ポーズボタン410が誤って押されにくく、不用意にビーコン信号の電波の発信が中断されにくい。
【0084】
ポーズボタン410および遠隔操作ボタン420が押されていない状態において、パッキン430は、ハウジング100のボタン窓170の周縁部に接触している。これにより、カードホルダ1に水が掛かるなどした際に、ボタン窓170を通じたハウジング100の内部への水の侵入が防止される。
【0085】
基板ユニット500は、ハウジング100の空間S2において、ポーズボタン410および遠隔操作ボタン420の後方に配置される。上述の通り、空間S2は空間S3よりも前後方向に広くなっている。このため、空間S2において、ポーズボタン410および遠隔操作ボタン420と基板ユニット500とが前後方向に重なるように配置されても、ハウジング100のサイズが前後方向に大きくなりにくい。
【0086】
図9に示すように、基板ユニット500は、基板510と、基板510上に配置された第1検出スイッチ520と、第2検出スイッチ530と、第1表示素子540と、第2表示素子550と、を含む。さらに、図10に示すように、基板ユニット500は、制御部560と、近距離無線通信モジュール570と、を含む。制御部560および近距離無線通信モジュール570は、たとえば、SoC(System on chip)化されて基板510に配置される。基板510は、プリント配線板であり、左右方向に細長い方形状を有する。
【0087】
第1検出スイッチ520および第2検出スイッチ530は、たとえば、タクトスイッチである。ポーズボタン410の押圧部413が第1検出スイッチ520に接触する。ポーズボタン410が押されると、当該押下が第1検出スイッチ520により検出される。遠隔操作ボタン420の押圧部423が第2検出スイッチ530に接触する。遠隔操作ボタン420が押されると、当該押下が第2検出スイッチ530により検出される。第1検出スイッチ520および第2検出スイッチ530からの検出信号が制御部560に入力される。
【0088】
第1表示素子540は、たとえば、緑色LED素子であり、緑色の光を発する。第2表示素子550は、たとえば、赤色LED素子であり、赤色の光を発する。第1表示素子540は第1表示部161のほぼ真下に位置し、第2表示素子550は、第2表示部162のほぼ真下に位置する。
【0089】
制御部560は、CPU、メモリ等を含み、第1表示素子540、第2表示素子550および近距離無線通信モジュール570を制御する。
【0090】
近距離無線通信モジュール570は、電波の発信部であり、制御部560からの制御信号に基づき、ビーコン信号の電波および遠隔操作信号の電波を発信する。たとえば、近距離無線通信モジュール570は、BLE(Bluetooth low energr)に基づくiBeacon(登録商標)の近距離無線通信規格に従い、ビーコン信号の電波を発信し、BLEに基づくHID over GATT Profileの近距離無線通信規格に従い、遠隔操作信号の電波を発信する。
【0091】
第1光拡散板610は、方形状を有し、第1表示素子540と第1表示部161の間に配置され、第1表示素子540からの光を拡散させることにより、第1表示部161が均一に光るようにする。第2光拡散板620は、方形状を有し、第2表示素子550と第2表示部162の間に配置され、第2表示素子550からの光を拡散させることにより、第2表示部162が均一に光るようにする。
【0092】
基板ユニット500には、電池B1(たとえば、ボタン電池)から電力が供給される。図4および図8(b)に示すように、ハウジング100の後面102には、配置部110内に、電池B1が収納される電池ボックス105が設けられている。電池ボックス105は、蓋106で覆われる。蓋106は、2本のネジ107で固定される。蓋106は、配置部110の底壁面111の一部を構成する。
【0093】
次に、カードホルダ1が有するビーコン機能および遠隔操作機能について説明する。
【0094】
ビーコン機能では、近距離無線通信モジュール570から所定時間毎(たとえば、3秒毎)に、ビーコン信号の電波が所定時間(たとえば、3秒)、発信される。上述の通り、発信されたビーコン信号の電波は、カードホルダ1と通信可能に接続された(ペアリングされた)使用者の携帯端末3に受信され、携帯端末3において、カードホルダ1の見守りが行われる。
【0095】
カードホルダ1は、主として、企業において使用され得る。工場、研究所など企業の施設内に設置された機器の中には、他の機器から発せられた電波に晒されることが望ましくないものも存在し得る。よって、そのような機器が設置された部屋で作業等を行う場合、使用者は、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の発信を中断する必要がある。このような場合に、使用者は、カードホルダ1において、ポーズボタン410による中断操作を行う。ポーズボタン410による中断操作が行われると、近距離無線通信モジュール570からのビーコン信号の電波の定期的な発信が中断される。その後、ビーコン信号の中断中に、ポーズボタン410による再開操作が行われると、近距離無線通信モジュール570からのビーコン信号の電波の発信が再開される。また、ビーコン信号の中断が開始されてから、再開操作が行われることがなく、所定の中断時間(たとえば、4時間)が経過した場合も、ビーコン信号の電波の発信が再開される。
【0096】
遠隔操作機能では、カードホルダ1において、遠隔操作ボタン420による指令操作が行われると、近距離無線通信モジュール570から遠隔操作信号が発信される。発信された遠隔操作信号は、遠隔操作の対象となるアプリケーションが実行されている端末4に受信される。端末4で実行中のアプリケーションにおいて、受信された遠隔操作信号に基づく処理が実行される。
【0097】
遠隔操作の対象となるアプリケーションとして、たとえば、入力された第1言語の音声を翻訳して第2言語の音声を出力する翻訳アプリケーションを挙げることができる。翻訳アプリケーションを利用して、異なる言語、たとえば日本語と英語を話す2人の利用者が会話を行う。たとえば、端末4のディスプレイに表示される翻訳プリケーションの画面には、第1言語の入力の開始するときに操作されるトークボタンが配置される。遠隔操作信号は、トークボタンの遠隔操作に割り当てられる。端末4は、遠隔操作信号を受信すると、トークボタンが操作されたと見做す。
【0098】
一方の利用者は、第1言語である日本語の音声を端末4に入力する際にトークボタンを利用する。トークボタンの操作に続いて端末4に日本語の音声が入力されると、日本語の音声が翻訳されて、第2言語である英語の音声が端末4のスピーカから出力される。他方の利用者は、当該利用者の音声を端末4のマイクが収集できる端末4から離れた位置において、第1言語である英語の音声を端末4に入力する際にカードホルダ1の遠隔操作ボタン420を利用する。遠隔操作ボタン420の操作に続いて端末4に英語の音声が入力されると、英語の音声が翻訳されて、第2言語である日本語の音声が端末4のスピーカから出力される。
【0099】
このようにして、2人の利用者は、互いに距離を置いて会話することができる。
【0100】
さらに、遠隔操作の対象となるアプリケーションとして、たとえば、複数の端末4の間でオンライン会議を行うための会議アプリケーションを挙げることができる。たとえば、端末4のディスプレイに表示される会議アプリケーションの画面には、マイクのミュートとミュートの解除とを行うミュートボタンが含まれる。遠隔操作信号は、ミュートボタンの遠隔操作に割り当てられる。端末4は、遠隔操作信号を受信すると、ミュートボタンが操作されたと見做す。
【0101】
マイクが機能する状態にあるときに、カードホルダ1において遠隔操作ボタン420が押されると、マイクがミュートされて機能しなくなる。マイクが機能していない状態にあるときに、遠隔操作ボタン420が押されると、ミュート解除されてマイクが機能するようになる。なお、遠隔操作信号が、端末4のカメラを有効な状態と無効な状態とに切り替えるカメラ切替ボタン等、他の操作ボタンに割り当てられてもよい。
【0102】
このようにして、カードホルダ1の使用者は、端末4から離れていても、マイクのミュート等、会議アプリケーションに係る操作を行うことができる。
【0103】
カードホルダ1は、ビーコン機能が実行されるビーコンモードと、遠隔操作機能が実行される遠隔操作モードと、を有する。さらに、カードホルダ1は、ビーコン機能および遠隔操作機能に係る各種の設定が行われる設定モードを有する。デフォルトのモードはビーコンモードであり、切替操作等に基づいて、ビーコンモードと遠隔操作モードの間でのモード遷移と、ビーコンモードと設定モードの間でのモード遷移とが行われる。
【0104】
図11は、カードホルダ1において制御部560により実行される制御処理を示すフローチャートである。
【0105】
カードホルダ1に電池B1がセットされて、基板ユニット500への電力供給が開始されると、制御部560により、図11に示す制御処理が開始される。
【0106】
上述の通り、デフォルトのモードはビーコンモードである。図11を参照して、制御部560は、ビーコン発信処理を開始する(S101)。
【0107】
図12(a)は、ビーコン発信処理を示すフローチャートである。
【0108】
図12(a)を参照して、ビーコン発信処理が開始されると、制御部560は、近距離無線通信モジュール570に、ビーコン信号の電波を発信させる(S201)。さらに、制御部560は、第1表示素子540を点滅させることにより第1表示部161を点滅させる(S202)。
【0109】
その後、制御部560は、予め定めた発信時間(たとえば、3秒)が経過すると(S203:YES)、近距離無線通信モジュール570に、ビーコン信号の電波の発信を停止させる(S204)。さらに、制御部560は、第1表示素子540を消灯させることにより第1表示部161を消灯させる(S205)。
【0110】
その後、制御部560は、予め定めた停止時間(たとえば、3秒)が経過すると(S206:YES)、再び、ビーコン信号の電波の発信を発信させるとともに(S201)、第1表示部161を点滅させる(S202)。
【0111】
このように、制御部560によってステップS201~S206の処理が繰り返され、カードホルダ1から定期的にビーコン信号の電波が発信される。そして、ビーコン信号の電波が発信されている間、第1表示部161が点滅する。なお、ビーコン信号の電波が発信されている間、第1表示部161が点灯していればよく、点灯の態様として、点滅、即ち間欠的な点灯ではなく、継続的な点灯が行われてもよい。
【0112】
図11に戻り、制御部560は、ビーコン発信処理を実行している間、操作部400が、ビーコン信号の発信を中断させるための中断操作、ビーコンモードから遠隔操作モードへの切替操作、または、ビーコンモードから設定モードへの切替操作を受け付けたか否かを監視する(S102、S103、S104)。中断操作は、たとえば、ポーズボタン410が第1時間以上(たとえば、3秒以上)の間、長押しされる操作である。遠隔操作モードへの切替操作は、たとえば、遠隔操作ボタン420が第2時間以上(たとえば、1秒以上)の間、長押しされる操作である。設定モードへの切替操作は、たとえば、ポーズボタン410が第1時間より長い第3時間以上(たとえば、10秒以上)の間、長押しされる操作である。
【0113】
使用者は、カードホルダ1からのビーコン信号の発信を中断したい場合にポーズボタン410による中断操作を行う。
【0114】
制御部560は、操作部400が中断操作を受け付けると(S102:YES)、ビーコン発信処理を停止させる(S105)。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が停止(中断)される。なお、制御部560は、ビーコン信号の電波の発信を中断する際、中断を知らせる信号を携帯端末3に送信するとよい。これにより、携帯端末3では、ビーコン信号が途切れても報知が行われない。
【0115】
制御部560は、操作部400がビーコン信号の発信を再開させるための再開操作を受け付けたか否かを監視する(S106)。再開操作は、たとえば、ポーズボタン410が第4時間以上(たとえば、1秒以上)の間、長押しされる操作である。再開操作では、中断操作よりも操作部400に触れる時間が短くなる。言い換えれば、中断操作では、再開操作よりも操作部400に触れる時間が長くなる。
【0116】
さらに、制御部560は、予め定めた中断時間が経過したか否かを監視する(S107)。中断時間は、後述する設定モードにおいて、4時間および8時間の中から選択設定できる。なお、候補となる時間および候補の個数は、上記に限られず、適宜の時間および個数とすることができる。
【0117】
使用者は、カードホルダ1からのビーコン信号の発信を再開したい場合にポーズボタン410による再開操作を行う。あるいは、使用者が忘れるなどすることにより、再開操作がなされないまま中断時間が経過する場合もある。
【0118】
制御部560は、操作部400が再開操作を受け付けると(S106:YES)、あるいは、再開操作が行われることなく中断時間が経過すると(S107:YES)、ステップS101の処理に戻って、再び、ビーコン発信処理を開始させる。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が再開される。
【0119】
後述の設定モードにおいて、中断時間の計測を行わないオフ設定を行うことができる。オフ設定がなされている場合は、ステップS107の判定が行われず、中断時間の経過に基づくビーコン信号の電波の発信再開が行われない。
【0120】
なお、中断操作が行われたときには第2表示部162が点灯し、再開操作が行われたときには第1表示部161が点灯する。
【0121】
使用者は、遠隔操作機能を利用したい場合、ビーコン信号の電波の定期的な発信が行われている間に、遠隔操作ボタン420による遠隔操作モードへの切替操作を行う。この際、端末4において、遠隔操作の対象となるアプリケーション、即ち翻訳アプリケーションまたは会議アプリケーションが起動されている。
【0122】
ステップS103において、操作部400が遠隔操作モードへの切替操作を受け付けると(S103:YES)、制御部560は、ビーコンモードから遠隔操作モードへモードを切り替え、ビーコン発信処理を停止する(S108)。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が停止される。なお、遠隔操作モードへの切替操作が行われたときには第1表示部161が点灯する。
【0123】
なお、制御部560は、遠隔操作モードへの切替前に、端末4との間で通信接続の処理を行う。この結果、端末4と通信接続できないことが生じた場合、制御部560は、遠隔操作モードへの切替を行わず、ビーコンモードを維持する。
【0124】
次に、制御部560は、遠隔操作処理を開始する(S109)。
【0125】
図12(b)は、遠隔操作処理を示すフローチャートである。
【0126】
図12(b)を参照して、遠隔操作処理が開始されると、制御部560は、操作部400が遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付けたか否かを監視する(S301)。指令操作は、たとえば、遠隔操作ボタン420を押す操作である。
【0127】
制御部560は、操作部400、即ち、遠隔操作ボタン420が指令操作を受け付けると(S301:YES)、近距離無線通信モジュール570に、遠隔操作信号の電波を発信させる(S302)。
【0128】
本実施の形態では、遠隔操作の対象となるアプリケーションが翻訳アプリケーションおよび会議アプリケーションとされており、後述する設定モードにおいて、遠隔操作モードでの操作部400、即ち遠隔操作ボタン420の機能を、翻訳アプリケーションのトークボタンの機能および会議アプリケーションのミュートボタンの機能の中から選択設定できる。遠隔操作ボタン420にトークボタンの機能が設定されている場合、トークボタンの操作のための遠隔操作信号が発信され、遠隔操作ボタン420にミュートボタンの機能が設定されている場合、ミュートボタンの操作のための遠隔操作信号が発信される。なお、遠隔操作の対象となるアプリケーションの種類や個数は、上記に限られず、他の種類や個数であってもよい。
【0129】
さらに、制御部560は、遠隔操作ボタン420による指令操作に基づいて、第1表示部161を点灯させる(S303)。制御部560は、予め定めた点灯時間(たとえば、0.25秒)が経過すると(S304:YES)、第1表示部161を消灯させる(S305)。
【0130】
このように、制御部560によってステップS301~S305の処理が繰り返され、遠隔操作ボタン420が押される度に、カードホルダ1から遠隔操作信号の電波が発信される。
【0131】
図11に戻り、制御部560は、遠隔操作処理を実行している間、遠隔操作モードを解除するための解除条件が成立したか否かを監視する(S110)。解除条件として、たとえば、遠隔操作ボタン420による指令操作が行われない無操作の時間が、規定時間(たとえは、120秒)に達したこと、端末4との通信が端末4側から切断されたこと、等を挙げるあげることができる。この他、たとえば、ポーズボタン410の特殊操作(長押し操作、複数回押し操作)が解除操作とされ、当該解除操作が受け付けられたことが解除条件とされてもよい。
【0132】
制御部560は、解除条件が成立すると(S110:YES)、遠隔操作処理を停止させる(S111)。そして、制御部560は、遠隔操作モードからビーコンモードへモードを切り替え、ステップS101の処理に戻って、再び、ビーコン発信処理を開始させる。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が再開される。
【0133】
遠隔操作モードでは、カードホルダ1を使用して操作が行われるため、遠隔操作モード中でのカードホルダ1の置忘れは、通常、生じない。よって、遠隔操作モードの間、ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止することにより、無駄な電力消費を防止できる。さらに、ビーコンモードにおいて、ビーコン信号の電波の発信が中断されているとき、制御部560は、遠隔操作ボタン420による遠隔操作モードへの切替操作を監視せず、当該切替操作を受け付けない。これにより、カードホルダ1からの電波の発信が望まれない状況において、遠隔操作信号の電波が発信される状態となることを回避できる。
【0134】
使用者は、各種の設定を行いたい場合、ポーズボタン410による設定モードへの切替操作を行う。
【0135】
ステップS104において、操作部400が設定モードへの切替操作を受け付けると(S104:YES)、制御部560は、ビーコンモードから設定モードへモードを切り替え、ビーコン発信処理を停止する(S112)。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が停止される。なお、設定モードへの切替操作が行われたときには第2表示部162が点灯する。
【0136】
次に、制御部560は、設定処理を開始する(S113)。
【0137】
図13は、設定処理を示すフローチャートである。
【0138】
図13を参照して、設定処理が開始されると、制御部560は、操作部400が時間確認操作、時間変更操作、機能確認操作または機能変更操作を受け付けたか否かを監視する(S401、S402、S403、S404)。
【0139】
時間確認操作は、現在設定されている中断時間を確認するための操作であり、たとえば、ポーズボタン410を1秒未満押し続ける操作とすることができる。時間変更操作は、中断時間を、4時間と、8時間と、オフ設定との間で変更するための操作であり、たとえば、ポーズボタン410を1秒以上2秒未満押し続ける操作とすることができる。時間変更操作は、中断時間となる時間を、4時間と8時間の中から指定するための指定操作ということもできる。
【0140】
機能確認操作は、現在設定されている遠隔操作モードでの遠隔操作ボタン420の機能を確認するための操作であり、たとえば、遠隔操作ボタン420を1秒未満押し続ける操作とすることができる。機能変更操作は、遠隔操作モードでの遠隔操作ボタン420の機能を、翻訳アプリケーションのトークボタンの機能と、会議アプリケーションのミュートボタンの機能との間で変更するための操作であり、たとえば、遠隔操作ボタン420を1秒以上2秒未満押し続ける操作とすることができる。機能変更操作は、翻訳アプリケーションと会議アプリケーションの中から遠隔操作の対象となるアプリケーションを指定するための指定操作ということもできる。
【0141】
制御部560は、ポーズボタン410による時間確認操作が行われると(S401:YES)、第1表示部161を、現在の中断時間に係る設定内容に応じた態様で点灯させる(S405)。たとえば、オフ設定の場合、第1表示部161が2回点滅し、4時間の場合、当該時間に合わせて第1表示部161が4回点滅し、8時間の場合、当該時間に合わせて第1表示部161が8回点滅する。使用者は、現在の中継時間に係る設定内容を確認できる。
【0142】
制御部560は、ポーズボタン410による時間変更操作が行われると(S402:YES)、中継時間に係る設定内容を変更する(S406)。たとえば、オフ設定の状態で時間変更操作が行われると4時間の設定に変更され、4時間の設定の状態で時間変更操作が行われると8時間の設定に変更され、8時間の設定の状態で時間変更操作が行われるとオフ設定に変更される。
【0143】
その後、制御部560は、第1表示部161を、変更後の中断時間に係る設定内容に応じた態様で点灯させる(S407)。使用者は、変更後の中継時間に係る設定内容を確認できる。
【0144】
制御部560は、遠隔操作ボタン420による機能確認操作が行われると(S403:YES)、第1表示部161を、現在の遠隔操作ボタン420の機能に係る設定内容に応じた態様で点灯させる(S408)。たとえば、遠隔操作の対象が翻訳アプリケーションであり、遠隔操作ボタン420にトークボタンの機能が設定されている場合、第1表示部161が2回点滅する。一方、遠隔操作の対象が会議アプリケーションであり、遠隔操作ボタン420にミュートボタンの機能が設定されている場合、第1表示部161が4回点滅する。使用者は、現在の遠隔操作ボタン420の機能に係る設定内容を確認できる。
【0145】
制御部560は、遠隔操作ボタン420による機能変更操作が行われると(S404:YES)、遠隔操作ボタン420の機能に係る設定内容を変更する(S409)。たとえば、トークボタンの機能が設定されている状態で機能変更操作が行われるとミュートボタンの機能の設定に変更され、ミュートボタンの機能が設定されている状態で機能変更操作が行われるとトークボタンの機能の設定に変更される。
【0146】
その後、制御部560は、第1表示部161を、変更後の遠隔操作ボタン420の機能に係る設定内容に応じた態様で点灯させる(S410)。使用者は、変更後の遠隔操作ボタン420の機能に係る設定内容を確認できる。
【0147】
図11に戻り、制御部560は、設定処理を実行している間、操作部400が設定モードを解除するための解除操作を受け付けたか否かを監視する(S114)。設定モードの解除操作は、たとえば、設定モードへの切替操作と同じ操作、即ち、ポーズボタン410が第1時間より長い第3時間以上の間、長押しされる操作とすることができる。使用者は、所望の設定が完了すると、解除操作を行う。
【0148】
制御部560は、操作部400が解除操作を受け付けると(S114:YES)、設定処理を停止させる(S115)。そして、制御部560は、設定モードからビーコンモードへモードを切り替え、ステップS101の処理に戻って、再び、ビーコン発信処理を開始させる。これにより、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信が再開される。
【0149】
なお、図11のフローチャートには示されていないが、制御部560は、ビーコンモードにおいて、ビーコン信号の電波の発信が中断している間も設定モードへの切替操作を監視し、当該切替操作が行われると、設定モードへモード切替を行ってステップS112ないしS115の処理を実行する。この場合、設定モードが解除されたときには、ステップS106へと処理が戻される。
【0150】
設定モードでは、カードホルダ1を使用して各種の設定が行われるため、設定モード中でのカードホルダ1の置忘れは、通常、生じない。よって、設定モードの間、ビーコン信号の電波の定期的な発信を停止することにより、無駄な電力消費を防止できる。
【0151】
なお、中断操作、再開操作および設定モードへの切替操作は、ポーズボタン410を長押しする操作でなく、単位時間内に予め決められた複数の回数押す操作(回数押し操作)であってもよい。この場合、中断操作でポーズボタン410が押される回数は、再開操作でポーズボタン410が押される回数より多くされる。同様に、遠隔操作モードへの切替操作も、遠隔操作ボタン420を、単位時間内に予め決められた複数の回数押す操作とされてもよい。
【0152】
さらに、ビーコンモードにおいて、使用者は、ポーズボタン410を短時間(1秒未満)の間押すことにより、ビーコン信号の電波の発信状況を確認できる。即ち、ビーコン信号の電波が定期的に発信されているときにポーズボタン410が押されると、第1表示部161が緑色に点灯し、ビーコン信号の電波の定期的な発信が中断されているときにポーズボタン410が押されると、第2表示部162が緑色に点灯する。
【0153】
<実施の形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0154】
発信部である近距離無線通信モジュール570は、携帯端末3に対して、当該携帯端末3から所定範囲内にカードホルダ1が存在することを知らせるビーコン信号の電波を定期的に発信する。操作部400は、ビーコン信号の発信を中断させるための中断操作を受け付ける。制御部560は、中断操作が行われたことに基づいて、発信部である近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を停止させ、発信停止から所定の中断時間が経過したことに基づいて、近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させる。
【0155】
この構成によれば、携帯端末3から所定範囲内にカードホルダ1が存在しなくなることに基づいて携帯端末3に所定の報知を行わせることができるので、カードホルダ1の紛失防止に役立つ。
【0156】
さらに、使用者は、電波に晒されることが望ましくない機器が設置された部屋で作業を行うなど、電波の発信が望まれない状況にある間、カードホルダ1からのビーコン信号の電波の定期的な発信を中断させることができる。しかも、中断時間が経過すれば、ビーコン信号の電波の発信が再開されるので、電波の発信が望まれない状況が解除された後、カードホルダ1が中断状態のまま放置されることを防止できる。
【0157】
さらに、操作部400は、複数の時間(たとえば、4時間、8時間)の中から中断時間となる時間を指定するため指定操作を受け付け、制御部560は、指定操作により指定された時間を中断時間に設定する。この構成によれば、使用者は、中断時間として、所望の時間を選択できる。
【0158】
さらに、操作部400は、ビーコン信号の発信を再開させるための再開操作を受け付け、制御部560は、発信停止の後に再開操作が行われたことに基づいて、近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を再開させる。中断操作および再開操作は、操作部400に触れる操作であり、中断操作では、再開操作よりも操作部400に触れる時間が長くなる。
【0159】
この構成によれば、使用者は、中断時間が経過する前に、再開操作を行うことにより、ビーコン信号の電波の発信を再開させることができる。さらに、中断操作は、再開操作よりも操作部400に触れる時間が長い操作であるため、中断操作が誤って行われにくく、誤ってビーコン信号の電波の発信が中断されにくい。一方で、再開操作は容易に行えて、ビーコン信号の電波の発信の再開を容易に行える。
【0160】
さらに、第1表示部161および第2表示部162が、カードホルダ1が使用者の身につけられた状態で上側となるハウジング100の上面104に設けられている。この構成によれば、カードホルダ1の上方に位置する使用者の目から第1表示部161および第2表示部162が見やすいので、使用者は、第1表示部161および第2表示部162の点灯を容易に確認できる。
【0161】
さらに、近距離無線通信モジュール570は、端末4が実行するアプリケーションを遠隔操作するための遠隔操作信号の電波を発信可能である。操作部400は、近距離無線通信モジュール570がビーコン信号の電波を定期的に発信するビーコンモードにおいて、当該ビーコンモードから遠隔操作モードに切り替えるための切替操作を受け付け、遠隔操作モードにおいて、遠隔操作信号の電波を発信させるための指令操作を受け付ける。制御部560は、遠隔操作モードへの切替操作に基づいて、ビーコンモードから遠隔操作モードへの切り替えを行い、遠隔操作モードにおいて、近距離無線通信モジュール570にビーコン信号の電波の定期的な発信を行わせず、指令操作に基づいて、近距離無線通信モジュール570に遠隔操作信号の電波を発信させる。
【0162】
この構成によれば、使用者は、企業内等で常に身につけているカードホルダ1を利用して、使用者から離れた端末4で実行されているアプリケーションの遠隔操作を行うことができる。よって、カードホルダ1の利便性が向上する。
【0163】
さらに、カードホルダ1が使用されているため紛失の虞がない遠隔操作モード中は、ビーコン信号の電波の発信が停止されるので、無駄な電力消費を防止できる。
【0164】
さらに、制御部560は、所定の解除条件が成立したことに基づいて、遠隔操作モードを解除し、ビーコンモードへ戻す。この構成によれば、遠隔操作モードが解除されると、ビーコン信号の電波の発信が再開されるので、使用者が逐一、発信再開のための操作を行わなくてよい。
【0165】
さらに、遠隔操作の対象となるアプリケーションには、翻訳アプリケーションおよび会議アプリケーションが含まれる。この構成によれば、翻訳アプリケーションを利用する2人の利用者は、一方がカードホルダ1を用いることにより、互いに距離を置いて会話することができる。また、カードホルダ1の使用者は、端末4から離れていても、マイクのミュート等、会議アプリケーションに係る操作を行うことができる。
【0166】
さらに、操作部400は、複数種のアプリケーション(たとえば、翻訳アプリケーション、会議アプリケーション)の中から遠隔操作の対象となるアプリケーションを指定するための指定操作を受け付ける。制御部560は、近距離無線通信モジュール570に、指定操作により指定されたアプリケーションに対応する遠隔操作信号の電波を発信させる。この構成によれば、使用者は、遠隔操作の対象として、所望のアプリケーションを選択できる。
【0167】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0168】
たとえば、上記実施の形態では、カードホルダ1がビーコン機能と遠隔操作機能とを備えており、近距離無線通信モジュール570(発信部)がビーコン信号の電波と遠隔操作信号の電波とを発信する。しかしながら、カードホルダ1がビーコン機能および遠隔操作機能の何れか一方の機能を備え、近距離無線通信モジュール570がビーコン信号および遠隔操作信号の何れか一方の信号の電波を発信するような構成とされてもよい。これに合わせて、操作部400は、ポーズボタン410または遠隔操作ボタン420のみにより構成され得る。さらに、近距離無線通信モジュール570は、ビーコン信号および遠隔操作信号以外の信号の電波を発信してもよい。
【0169】
さらに、上記実施の形態では、ハウジング100の第2の面101b、102bに、カードC1の形状に相似する形状の枠部103を形成することにより、配置部110が設けられる。しかしながら、第2の面101b、102bの一部(中央部)をカードC1の形状に相似する形状に凹ませることにより、第2の面101b、102bに配置部110が設けられるようにしてもよい。
【0170】
さらに、抑え部は、上記実施の形態に示された板ばね片120の構成に限られず、ハウジング100に設けられて、配置部110に配置されたカードC1の表裏方向への動きを抑えることができれば、如何なる構成であってもよい。たとえば、抑え部は、配置部110に配置されたカードC1に押されて、配置部110の底壁面111から離れる方向(前方向)に弾性変形し、弾性力によりカードC1を底壁面111に押さえ付けるような弾性体により構成されてもよい。また、抑え部は、弾性力を有さず、カードC1を配置部110に押さえ付けない構成とされてもよい。
【0171】
さらに、上記実施の形態では、主として、カバー200に設けられた第3突出片233の爪部234とハウジング100の第2の面101b、102bに設けられた嵌合部134とによる、いわゆるスナップフィット構造を用いて、カバー200がハウジング100に着脱可能に装着される。しかしながら、カバー200がハウジング100に着脱可能に装着される構成は、上記の構成に限られない。たとえば、カバー200およびハウジング100の第2の面101b、102bのうち一方に設けられたレール溝部と、他方に設けられてレール溝部内をスライドするスライド部とによるスライド構造が用いられてもよい。この場合、カバー200を、第2の面101b、102bに沿ってスライドさせることによりハウジング100に対して着脱できる。
【0172】
さらに、上記実施の形態では、カードホルダ1は、配置部110の開口端面110aとカバー200の裏面との間に収納空間S1を備え、当該収納空間S1にカードC1とサイズが異なるカードC2を配置できる。しかしながら、カードホルダ1は、配置部110の開口端面110aとカバー200の裏面との間に収納空間S1を備えないような構成、即ち、カバー200の裏面が配置部110の開口端面110aにほぼ接するような構成とされてもよい。
【0173】
さらに、上記実施の形態では、ハウジング100の前面101に操作部400、即ちポーズボタン410および遠隔操作ボタン420が配置される。しかしながら、ハウジング100の上面104または左右の側面に操作部400が配置されてもよい。この場合、ハウジング100の前面101および後面102が第1の面101a、102aおよび第2の面101b、102bに分けられず、前面101および後面102のほぼ全体がカバー200により覆われてもよい。
【0174】
さらに、上記実施の形態では、操作部400がポーズボタン410と遠隔操作ボタン420により構成される。しかしながら、操作部400は、上記の構成に限られず、一つ以上の操作ボタンにより構成されればよい。
【0175】
たとえば、上記実施の形態では、ポーズボタン410が設定モードへの切替操作を受け付ける操作ボタンとして機能しており、遠隔操作ボタン420が、遠隔操作モードへの切替操作を受け付ける操作ボタンとして機能している。しかしながら、操作部400に、ポーズボタン410と遠隔操作ボタン420の他、モードの切替操作のための操作ボタンが含まれるようにしてもよい。同様に、上記実施の形態では、ポーズボタン410が、設定モードでの各種操作を受け付ける操作ボタンとして機能しているが、操作部400に、別途、設定モード用の操作ボタンが含まれてもよい。さらに、操作部400に、ポーズボタン410とは別に、再開操作を受け付ける操作ボタンが含まれてもよい。
【0176】
さらに、上記実施の形態では、第1表示部161および第2表示部162がハウジング100の上面104に配置される。しかしながら、第1表示部161および第2表示部162がハウジング100の前面101の第1の面101aに配置されてもよい。さらに、カードホルダ1に、第1表示部161および第2表示部162ではなく、1つの表示部のみが備えられてもよい。この場合、表示部は、2色以上の光を発するLED等の表示素子により点灯するような構成とされるとよい。
【0177】
さらに、上記実施の形態では、ハウジング100の前面101および後面102の双方に配置部110が設けられてカバー200が装着される。しかしながら、ハウジング100の前面101のみに配置部110が設けられてカバー200が装着されてもよい。
【0178】
さらに、カードホルダ1に収納されるカードは、上記実施の形態に示された第1タイプのカードC1および第2タイプのカードC2に限られない。カードホルダ1は、収納されるカードの形状や大きさに応じて、配置部110、収納空間S1等の形状や大きさが、適宜、変更されればよい。
【0179】
さらに、上記実施の形態では、カードホルダ1が設定モードを有し、当該設定モードにおいて、中断時間となる時間を複数の候補から選択でき、遠隔操作の対象となるアプリケーション、即ち遠隔操作ボタン420に割り当てられるアプリケーションのボタン機能を複数の候補から選択できる。しかしながら、中断時間および遠隔操作の対象となるアプリケーションのうち、少なくとも一方を選択できないようにしてもよい。
【0180】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0181】
1 カードホルダ
100 ハウジング
104 上面(上側となる面)
161 第1表示部(表示部)
162 第2表示部(表示部)
400 操作部
560 制御部
570 近距離無線通信モジュール(発信部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13