(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171166
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】建造物情報集約システム、建造物情報集約方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20231124BHJP
G06F 16/54 20190101ALI20231124BHJP
【FI】
G06T1/00 200E
G06F16/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083447
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】521460549
【氏名又は名称】株式会社梓総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】墓田 京平
(72)【発明者】
【氏名】石川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】片渕 俊平
(72)【発明者】
【氏名】大場 翔太
(72)【発明者】
【氏名】三橋 祟弘
(72)【発明者】
【氏名】曽我 祟弘
【テーマコード(参考)】
5B050
5B175
【Fターム(参考)】
5B050BA15
5B050BA17
5B050CA07
5B050FA02
5B050GA08
5B175DA02
5B175JC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認可能とする。
【解決手段】建造物情報集約システム1は、建造物に関する情報を集約し、建造物を表示するための図面データを受け付ける図面データ受付手段110と、図面データに基づく建造物画像を端末200の入出力手段230に表示する表示制御手段160と、建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する特定情報取得手段130と、特定位置と特定位置に関する特定情報とを関連付ける関連付手段150と、を備え、表示制御手段160は、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を、入出力手段230に表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムにおいて、
前記建造物を表示するための図面データを受け付ける図面データ受付手段と、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示する表示制御手段と、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する特定情報取得手段と、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付ける関連付手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする建造物情報集約システム。
【請求項2】
前記特定情報取得手段は、複数種類の前記特定情報を取得し、
前記表示制御手段は、複数種類の前記特定情報を、種類毎に分類した前記一覧画面を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建造物情報集約システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を、前記表示手段に表示し、
前記関連付手段は、前記特定部位画像を、前記特定位置及び前記特定情報に関連づけ、
前記表示制御手段は、前記一覧画面において選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定部位画像を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建造物情報集約システム。
【請求項4】
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムが実行する方法であって、
前記建造物を表示するための図面データを受け付けるステップと、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示するステップと、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得するステップと、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付けるステップと、を含み、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする建造物情報集約方法。
【請求項5】
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムを、
前記建造物を表示するための図面データを受け付ける図面データ受付手段、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示する表示制御手段、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する特定情報取得手段、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付ける関連付手段、として機能させ、
前記表示制御手段は、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システム、建造物情報集約方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、建物の平面図に表示された室に、利用者からの要求に基づき発行されたタグ・コードを含む2次元コードが印刷され、利用者が、読取装置により、図面から2次元コードを読み取ってタグ・コードを復号化し、この復号化されたタグ・コードで、情報の検索を行って室Rに関連するデータを抽出し、このデータを表示部に表示する情報管理システムが提案されている。このような特許文献1の技術によれば、図面に印刷された2次元コードを読み取ることで、関連するデータを表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、建造物に関する情報は、建造物の維持管理に用いられる。建造物の維持管理では、建造物全体で維持管理に必要な情報を網羅的に把握した上で、各情報に関する位置を図面上で確認したい場合がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、建造物の図面のある位置に印刷された2次元コード毎に、この位置に関連するデータ(情報)にそれぞれアクセスする必要があるので、当該データ(情報)を網羅的に把握するのは困難である。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認可能な建造物情報集約システム、建造物情報集約方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面は、
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムにおいて、
前記建造物を表示するための図面データを受け付ける図面データ受付手段と、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示する表示制御手段と、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する特定情報取得手段と、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付ける関連付手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムは、図面データ受付手段と、表示制御手段と、特定情報取得手段と、関連付手段と、を備える。
図面データ受付手段は、建造物を表示するための図面データを受け付ける。
表示制御手段は、図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示する。
特定情報取得手段は、建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する。
関連付手段は、特定位置と特定位置に関する特定情報とを関連付ける。
そして、表示制御手段は、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を、表示手段に表示する。
【0009】
これにより、建造物の特定の位置を示す特定位置と、これに関する特定情報とを関連付け、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を表示する。よって、ユーザは、特定情報を一覧画面において網羅的に把握し、各特定情報に関する建造物の位置を、建造物画像において確認することが可能となる。
したがって、建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認可能な建造物情報集約システムを提供することが可能となる。
【0010】
本発明の第1側面について好ましい実施の形態としては、
前記特定情報取得手段は、複数種類の前記特定情報を取得し、
前記表示制御手段は、複数種類の前記特定情報を、種類毎に分類した前記一覧画面を表示する、
ことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、複数種類の特定情報を、種類毎に分類した一覧画面を表示できる。これにより、ユーザは、用途に応じた種類の特定情報を速やかに網羅的に把握し、各特定情報に関する建造物の位置を、建造物画像において確認することが可能となる。
【0012】
本発明の第1側面について他の好ましい実施の形態としては、
前記表示制御手段は、前記特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を、前記表示手段に表示し、
前記関連付手段は、前記特定部位画像を、前記特定位置及び前記特定情報に関連づけ、
前記表示制御手段は、前記一覧画面において選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定部位画像を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、表示制御手段は、特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を、表示手段に表示する。関連付手段は、特定部位画像を、特定位置及び特定情報に関連づける。
そして、表示制御手段は、一覧画面において選択された特定情報に関連付けられた特定部位画像を、表示手段に表示する。
【0014】
これにより、ユーザは、例えば、特定情報に関して、建造物における位置を確認したい場合には建造物画像において確認し、より詳細に確認したい場合には特定部位画像を確認することが可能となる。
【0015】
本発明の第2側面は、
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムが実行する方法であって、
前記建造物を表示するための図面データを受け付けるステップと、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示するステップと、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得するステップと、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付けるステップと、を含み、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする建造物情報集約方法。
【0016】
本発明の第3側面は、
建造物に関する情報を集約する建造物情報集約システムを、
前記建造物を表示するための図面データを受け付ける図面データ受付手段、
前記図面データに基づく建造物画像を表示手段に表示する表示制御手段、
前記建造物の特定の位置を示す特定位置に関する特定情報を取得する特定情報取得手段、
前記特定位置と前記特定位置に関する前記特定情報とを関連付ける関連付手段、として機能させ、
前記表示制御手段は、
前記特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、
前記建造物画像において、前記一覧画面で選択された前記特定情報に関連付けられた前記特定位置を含む部分を、前記表示手段に表示する、
ことを特徴とするプログラム。
【0017】
このような第2側面及び第3側面によれば、第1側面に係る建造物情報集約システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムにおける一覧画面の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムにおける建造物画像と特定部位画像の一例を示す図である。
図4(a)は建造物画像の一例を示す図であり、
図4(b)は特定部位画像の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムに実行される建造物情報集約処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
【0021】
〈実施形態〉
[建造物情報集約システムの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムの概要を説明する図である。
建造物情報集約システム1(以下、単に「システム」あるいは「本システム」ともいう)の概要について説明する。
【0022】
建造物情報集約システム1は、建造物情報集約装置100と、建造物情報集約装置100にネットワーク(例えば、クラウド、インターネット、社内LAN等)を介して接続された端末200を含む。
【0023】
本システムは、建造物(例えば、建築物や橋梁等)に関する情報を集約するものであり、活用の一例として、建造物の保全に用いられる。建造物の保全における情報は、建造物の設計図(意匠図、構造図、設備図等)や仕様書に加え、随時増えていく、建設後の改修工事の記録や、保全の記録等がある。このような建造物の保全に、本システムを利用することで、建造物の保全における情報を集約し、保全作業や管理の効率を向上可能となる。なお、本システムは、建造物の保全に限らず、建造物に関する多種多様な情報を集約し、これらの情報を利用可能とすることができる。
【0024】
本システムにおいて、ユーザは、例えば、端末200により、建造物情報集約装置100にアクセスし、建造物情報集約装置100に各種データを送受信し、建造物に関する情報を集約し、端末200において集約した各種データ(後述する建造物画像、特定情報、特定部位画像等)を表示させる。
【0025】
本システムにおいて、建造物情報集約装置100は、端末200から、建造物の図面データ(例えば、CADデータ、望ましくは、建造物を構成するオブジェクトの属性(オブジェクトの位置や寸法や仕様等)が規定されているBIM(Building Information Modeling)データ)を受け付ける。
【0026】
建造物情報集約装置100は、受け付けた図面データに、建造物の各位置を示す情報(例えば、建造物におけるある部屋やエントランス等の位置を示す情報)が含まれていれば、これらの情報が示す各位置を、それぞれ建造物の特定の位置を示す特定位置として設定する。なお、特定位置は、図面データにおいて、ユーザが任意に設定してもよい。
【0027】
また、建造物情報集約装置100は、端末200から、特定位置に関する特定情報(例えば、上記部屋等の仕様や、上記部屋等の改修の経緯を示す情報や、上記部屋等の保全の記録等)を取得する。
【0028】
また、建造物情報集約装置100は、設定した特定位置と取得した特定情報とを関連付けたデータベースを構築する。建造物情報集約装置100は、ある特定位置に関する特定情報を更に取得した場合(例えば、随時行われる保全の記録を取得した場合等)、当該データベースを更新する。
【0029】
また、建造物情報集約装置100は、特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を表示するための特定部位画像データ(例えば、実際の建造物の特定位置(例えば、エントランス等)において撮像装置で撮影した画像に基づき生成された3Dデータ)を取得してもよい。建造物情報集約装置100は、取得した特定部位画像データを、データベースにおいて、当該特定位置及び特定情報に関連付ける。
【0030】
建造物情報集約装置100は、端末200において、建造物情報集約装置100において構築されたデータベースに基づき、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示する。一覧画面では、特定情報の種類(
図1に示す例では、諸元、図面、保全、家具・備品等)毎に分類され、分類毎に一覧的に表示される。
【0031】
また、建造物情報集約装置100は、端末200において、図面データに基づく建造物画像を表示する。詳細には、端末200は、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を表示する。
【0032】
また、建造物情報集約装置100は、端末200において、特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を表示する。詳細には、一覧画面において選択された特定情報に関連付けられた特定部位画像を表示する。
【0033】
このような建造物情報集約システム1によれば、建造物の特定の位置を示す特定位置と、これに関する特定情報とを関連付け、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示し、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を表示する。よって、ユーザは、特定情報を一覧画面において網羅的に把握し、各特定情報に関する建造物の位置を、建造物画像において確認することが可能となる。
したがって、建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認可能な建造物情報集約システムを提供することが可能となる。
【0034】
[システムの機能構成]
次に、システムの機能構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムの機能構成を示すブロック図である。
【0035】
建造物情報集約システム1は、建造物情報集約装置100と、建造物情報集約装置100にネットワーク(例えば、インターネット、社内LAN等)を介して接続された端末200と、を備え、外部装置(例えば、撮像装置等)と接続可能である。また、建造物情報集約システム1は、建造物情報集約装置100とは別に、建造物情報集約装置100にネットワークを介して接続された記憶手段300を備えてもよい。
【0036】
(建造物情報集約装置)
建造物情報集約装置100は、図面データ受付手段110と、特定位置設定手段120と、特定情報取得手段130と、特定部位画像取得手段140と、関連付手段150と、表示制御手段160と、を備え、ネットワークを介して端末200や外部の記憶手段300と、接続されている。
【0037】
図面データ受付手段110は、端末200から、建造物を表示するための図面データを受け付け、記憶手段に記憶する。また、図面データ受付手段110は、ユーザの操作により、建造物情報集約装置100が備える記憶手段や記憶手段300に予め記憶されている図面データを読み込んで、本システムで使用する図面データとして、記憶手段に記憶してもよい。本実施形態における図面データは、例えば、CADデータであり、望ましくは、建造物を構成するオブジェクトの属性(オブジェクトの位置や寸法や仕様等)が規定されているBIM(Building Information Modeling)データ等の3Dデータであるが、2Dデータであってもよい。
【0038】
特定位置設定手段120は、受け付けた図面データに、建造物の各位置を示す情報(例えば、建造物におけるある部屋やエントランス等の位置を示す情報)が含まれていれば、これらの情報が示す各位置を、それぞれ建造物の特定の位置を示す特定位置として設定する。なお、特定位置は、図面データにおいて、ユーザが任意に設定してもよい。
【0039】
特定位置設定手段120は、特定位置を識別する特定位置識別情報(例えば、建造物におけるある部屋やエントランス等の位置の名称を示す情報)に、図面データにおける当該特定位置の位置情報(例えば、図面データ上の当該位置の座標を示す情報等)を対応付けて記憶手段に記憶する。
【0040】
特定情報取得手段130は、端末200から、特定位置設定手段120によって設定された特定位置に関する特定情報を取得する。また、特定情報取得手段130は、ユーザの操作により、建造物情報集約装置100が備える記憶手段や記憶手段300に予め記憶されている特定情報を読み込んでもよい。また、特定情報取得手段130は、図面データ受付手段110が受け付けた図面データに、建造物の特定位置(例えば、建造物におけるある部屋やエントランス等)の諸元(仕上げの仕様や形状や寸法等)が含まれていれば、これらの情報を特定情報として取得してもよい。
【0041】
特定情報取得手段130は、特定位置を識別する特定位置識別情報(例えば、建造物におけるある部屋やエントランス等の位置の名称を示す情報)に対応付けられた特定情報を取得し、記憶手段に記憶する。
【0042】
本実施形態において「特定情報」は、例えば、建造物の諸元(例えば、仕上げの仕様や形状や寸法等)を示す情報や、建造物の図面(例えば、各階の平面図、設備図等)を示す情報や、建造物の保全に関する情報(建設後に行われた改修についての記録や、随時行われる保守点検の記録等)や、建造物に配置されている家具・備品に関する情報(家具・備品の製品名や仕様やメーカ等を示す情報)等が含まれる。
【0043】
このように、特定情報取得手段130は、複数種類の特定情報を取得可能であるが、これに限らず、1つの特定情報(例えば、建造物の保全に関する情報)のみを取得してもよい。1つの特定情報に特化することで、全体的なデータ量を抑え、本システムや端末200の処理負荷を抑えることが可能となる。
【0044】
特定部位画像取得手段140は、建造物情報集約装置100に接続された外部装置である撮像装置から受け付けた画像データに基づき、特定位置設定手段120によって設定された特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を表示するための特定部位画像データを生成し、記憶手段に記憶する。特定部位画像データは、特定の部位を3D表示するためのデータであり、例えば、実際の建造物の特定位置(例えば、エントランス等)において撮像装置で撮影した画像に基づき生成された3Dデータである。特定部位画像取得手段140は、外部装置である撮像装置から特定部位画像データを、直接取得してもよいし、ユーザの操作により、建造物情報集約装置100が備える記憶手段や記憶手段300に予め記憶されている特定部位画像データを読み込んでもよい。
【0045】
特定部位画像取得手段140は、例えば、建造物の仮想空間内をユーザの操作に応じて移動したり、視点を変更したりすることが可能な特定部位画像を表示するための特定部位画像データを生成する。
【0046】
関連付手段150は、特定位置設定手段120が設定した特定位置に、特定情報取得手段130が取得した当該特定位置に関する特定情報を関連付ける。また、関連付手段150は、特定部位画像取得手段140が特定部位画像データを取得している場合には、特定位置及び特定情報に、特定部位画像データ(特定部位画像)を関連付ける。
【0047】
詳細には、関連付手段150は、特定位置識別情報に、特定位置の位置情報と特定情報を関連付けたデータベースを構築し、記憶手段に記憶する。また、関連付手段150は、特定部位画像取得手段140が特定部位画像データを取得している場合には、当該データベースにおいて、特定位置識別情報に、特定部位画像データも関連付ける。
【0048】
ここで、本システムにおいて、建造物情報集約装置100は、建造物情報集約装置100にアクセス可能なユーザを識別するユーザ識別情報を記憶手段に記憶している。そして、ユーザは、端末200によりユーザ識別情報を入力することで、建造物情報集約装置100にアクセスし、本システムにログインすることができる。
【0049】
関連付手段150は、更に、特定位置や特定情報毎に、複数のユーザに対して、データベースへのアクセス権を設定してもよい。この場合、例えば、各特定位置や各特定情報に、それぞれアクセス可能なユーザのユーザ識別情報を関連付ける。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムにおける一覧画面の一例を示す図である。
表示制御手段160は、関連付手段150が構築したデータベースに基づき、特定情報取得手段130が取得した特定情報を一覧的に表示する一覧画面を生成し、端末200の入出力手段230に表示する。表示制御手段160は、データベースにおいて複数種類の特定情報が存在する場合には、種類毎(
図3に示す例では、保全、家具・備品)に分類した一覧画面を表示する。
【0051】
詳細には、表示制御手段160が生成する一覧画面は、特定位置の識別情報(特定位置の名称等:
図3に示す例では、待合室、1階事務室)に、特定情報と特定部位画像の有無(
図3に示す例では、“○”は特定部位画像が有ることを示し、“-” は特定部位画像が無いことを示す。)と、各特定位置や各特定情報へのアクセス権を有するユーザ(
図3に示す例では、ユーザA,B,C)が対応付けられ、特定情報が一覧的に表示される。
【0052】
図3に示す例では、一覧画面において、特定情報は、特定情報の名称(例えば、2019年点検記録)のみ表示しており、例えば、ユーザが端末200に表示された一覧画面において、この特定情報の名称を選択(例えば、特定情報の名称をタッチ操作)した場合に、この特定情報の内容が表示される。なお、一覧画面において、特定情報の内容まで表示してもよい。
【0053】
また、表示制御手段160は、図面データ受付手段110が受け付けた図面データに基づき建造物画像を生成し、端末200の入出力手段230に表示する。表示制御手段160は、図面データが建造物の3Dデータ(例えば、BIMデータ等)であれば、建造物の仮想空間内をユーザの操作に応じて移動したり、視点を変更したりすることが可能な建造物画像を生成する。なお、表示制御手段160は、図面データが建造物の2Dデータであれば、平面的に表現された建造物画像を生成する。
【0054】
また、表示制御手段160は、特定部位画像取得手段140が生成した特定部位画像データに基づく特定部位画像を、端末200の入出力手段230に表示する。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムにおける建造物画像と特定部位画像の一例を示す図である。
図4(a)は建造物画像の一例を示す図であり、
図4(b)は特定部位画像の一例を示す図である。
図4に示す例では、ユーザによる端末200の操作において、一覧画面(
図3参照)において、待合室が特定位置として選択された場合に表示される建造物画像と特定部位画像の一例を示している。
【0056】
表示制御手段160は、例えば、建造物画像(
図4(a)参照)において、関連付手段150が当該特定位置(
図4に示す例では待合室)に関連付けた特定情報へのリンクR1と、関連付手段150が当該特定位置に関連付けた特定部位画像データへのリンクR2を表示する。
【0057】
また、表示制御手段160は、例えば、特定部位画像(
図4(b)参照)において、関連付手段150が当該特定位置(
図4に示す例では待合室)に関連付けた特定情報へのリンクR1と、関連付手段150が関連付けた建造物画像における当該特定位置へのリンクR3を表示する。
【0058】
このような本システムを利用するユーザは、例えば、自己のユーザ識別情報により本システムにログインし、端末200に一覧画面(
図3参照)を表示する。そして、ユーザは、一覧画面の目的に応じた種類の台帳において、例えば、特定位置を選択する。このとき、当該ユーザのユーザ識別情報が当該特定位置に対してアクセス可能なユーザとして関連づけられていた場合(
図3に示す例では、アクセス権に表示されているユーザであれば)、表示制御手段160は、例えば、特定位置として待合室が選択された場合、
図4(a)に示す例の建造物画像を、端末200に表示する。同様に、表示制御手段160は、例えば、待合室(特定位置)の特定部位画像の欄の“○”が選択された場合、
図4(b)に示す例の特定部位画像を、端末200に表示する。
【0059】
また、表示制御手段160は、ユーザにより、建造物画像(
図4(a)参照)において、リンクR1が選択(例えば、リンクR1のタッチ操作等)された場合、端末200に一覧画面(
図3参照)や、当該特定位置における特定情報の内容を示すファイル等を表示し、リンクR2(例えば、リンクR2のタッチ操作等)が選択された場合、端末200に特定部位画像(
図4(b)参照)を表示する。
【0060】
また、表示制御手段160は、ユーザにより、特定部位画像(
図4(b)参照)において、リンクR1が選択(例えば、リンクR1のタッチ操作等)された場合、端末200に一覧画面(
図3参照)や、当該特定位置における特定情報の内容を示すファイル等を表示し、リンクR3(例えば、リンクR3のタッチ操作等)が選択された場合、端末200に建造物画像において当該特定位置を含む部分(
図4(a)参照)を表示する。
【0061】
なお、建造物情報集約装置100は、分析手段を更に備え、分析手段により、特定情報の内容の集計・分析を行い、集計・分析の結果がグラフ等により図化された集計・分析画面を、端末200に表示してもよい。
【0062】
また、表示制御手段160は、一覧画面や、建造物画像や、特定部位画像や、集計・分析画面の全て又は一部を同時に端末200に表示してもよいし、それぞれ表示してもよい。
【0063】
(端末)
端末200は、例えば、スマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータで構成され、制御手段210と、送受信手段220と、表示手段の一例である入出力手段230と、を備える。
【0064】
制御手段210は、ユーザの操作に基づき、送受信手段220を介して、ユーザ識別情報や、図面データや、特定情報や、特定部位画像データを、建造物情報集約装置100に送信する。
【0065】
入出力手段230は、例えば、タッチパネルや、キーボード等の入力手段とディスプレイ等の表示手段とで構成され、制御手段210の制御により、建造物情報集約装置100から受信した各種情報に基づき、一覧画面(
図3参照)や、特定情報の内容を示すファイルや、建造物画像(
図4(a)参照)や、特定部位画像(
図4(b)参照)を表示する。
【0066】
なお、本実施形態では、建造物に関する情報を集約する建造物情報集約装置100と、情報を送信し、集約した情報を表示する端末200と、を別の装置として説明したが、これに限らず、端末200において、建造物情報集約装置100が備える機能構成の一部又は全てを備えてもよい。
【0067】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0068】
[建造物情報集約処理]
次に、本システムにより実行される建造物情報集約処理について説明する。以下の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
図5は、本発明の実施形態に係る建造物情報集約システムに実行される建造物情報集約処理を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS1において、図面データ受付手段110は、端末200から、建造物を表示するための図面データを受け付け、記憶手段に記憶する。
【0070】
ステップS2において、特定位置設定手段120は、ステップS1で図面データ受付手段110が受け付けた図面データにおいて、建造物の各位置を示す情報が示す各位置を、それぞれ建造物の特定の位置を示す特定位置として設定する。
【0071】
ステップS3において、特定情報取得手段130は、端末200から、ステップS2で特定位置設定手段120によって設定された特定位置に関する特定情報を取得する。
【0072】
ステップS4において、特定部位画像取得手段140は、建造物情報集約装置100に接続された外部装置である撮像装置から受け付けた画像データに基づき、ステップS2で特定位置設定手段120によって設定された特定位置における特定の部位の詳細を示す特定部位画像を表示するための特定部位画像データを生成し、記憶手段に記憶する。
【0073】
ステップS5において、関連付手段150は、ステップS2で特定位置設定手段120が設定した特定位置に、特定情報取得手段130が取得した当該特定位置に関する特定情報と、ステップS4で特定部位画像取得手段140が取得した特定部位画像データを関連付けたデータベースを構築する。
【0074】
ステップS6において、表示制御手段160は、ユーザの操作に応じて、ステップS5で関連付手段150が構築したデータベースに基づき、ステップS3で特定情報取得手段130が取得した特定情報を一覧的に表示する一覧画面(
図3参照)を生成し、端末200の入出力手段230に表示する。
【0075】
また、本ステップにおいて、表示制御手段160は、ステップS1で図面データ受付手段110が受け付けた図面データを読み込み、図面データに基づく建造物画像(
図4(a)参照)を生成し、端末200の入出力手段230に表示する。詳細には、表示制御手段160は、ユーザの操作に応じて、建造物画像において、特定情報に関連づけられた特定位置を含む部分を、端末200の入出力手段230に表示する。
【0076】
また、本ステップにおいて、表示制御手段160は、ステップS4で特定部位画像取得手段140が取得した特定部位画像データに基づく特定部位画像を、端末200の入出力手段230に表示する。詳細には、表示制御手段160は、ユーザの操作に応じて、特定情報に関連づけられた特定部位画像を、端末200の入出力手段230に表示する。
【0077】
このような建造物情報集約システム1によれば、建造物の特定の位置を示す特定位置と、これに関する特定情報とを関連付け、特定情報を一覧的に表示する一覧画面を表示する。このように、特定情報を一覧的に表示することで、複数の特定情報を一覧的に可視化することが可能となり、特定情報の相対的な把握が可能となる。そして、情報集約システム1によれば、建造物画像において、一覧画面で選択された特定情報に関連付けられた特定位置を含む部分を表示する。よって、ユーザは、特定情報を一覧画面において網羅的に把握し、各特定情報に関する建造物の位置を、建造物画像において確認することが可能となる。
したがって、建造物に関する情報を網羅的に把握し、各情報に関する建造物における位置を確認可能な建造物情報集約システムを提供することが可能となる。
【0078】
また、建造物情報集約システム1によれば、複数種類の特定情報を、種類毎に分類した一覧画面を表示できる。これにより、ユーザは、用途に応じた種類の特定情報を速やかに網羅的に把握し、各特定情報に関する建造物の位置を、建造物画像において確認することが可能となる。
【0079】
また、建造物情報集約システム1によれば、ユーザは、例えば、特定情報に関して、建造物における位置を確認したい場合には建造物画像において確認し、より詳細に確認したい場合には特定部位画像を確認することが可能となる。
【0080】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態及び応用例の内容に限定されないことはいうまでもない。上記実施形態及び変形に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者にとって明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0081】
1 建造物情報集約システム
100 建造物情報集約装置
110 図面データ受付手段
120 特定位置設定手段
130 特定情報取得手段
140 特定部位画像取得手段
150 関連付手段
160 表示制御手段
200 端末
210 制御手段
220 送受信手段
230 入出力手段
300 記憶手段