(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171178
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】複雑な形状の表面を清掃するための変形可能な組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20231124BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20231124BHJP
C11D 7/04 20060101ALI20231124BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20231124BHJP
A47L 13/17 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/50
C11D7/04
C11D7/26
A47L13/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022092586
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】522225701
【氏名又は名称】TEAM ONE株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 蔦一
【テーマコード(参考)】
3B074
4H003
【Fターム(参考)】
3B074AA08
3B074AB01
3B074CC03
4H003BA15
4H003DA05
4H003EA18
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB46
4H003ED02
4H003FA30
(57)【要約】
【課題】 工業製品生産するクリーンルームの清掃において、複雑な形状の表面上の汚れ、ゴミを吸着させ、製品に影響を与えうる、有機系の防腐剤および殺菌剤、着色剤、香料を含まないことを特徴とした、清掃用品を提供する。
【解決手段】 水、アルコール、およびその混合物を含む群から選択される90~95重量%の溶媒成分、1~5重量%のグアーガム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウムおよびその混合物を含む群から選択される0.5~5重量%のホウ酸塩を含んでなることを特徴とし、界面活性剤、有機系の防腐剤および殺菌剤、顔料および染料から選択される着色剤、香料を含まないことを特徴とする、展性のある組成物を清掃用品とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、アルコール、およびその混合物を含む群から選択される90~95重量%の溶媒成分、1~5重量%のグアーガム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウムおよびその混合物を含む群から選択される0.5~5重量%のホウ酸塩を含んでなることを特徴とし、界面活性剤、有機系の防腐剤および殺菌剤、顔料および染料から選択される着色剤、香料を含まないことを特徴とする、展性のある組成物。
【請求項2】
前記組成物が、その表面上への付着によって、凹凸のある表面上または空洞内に存在する不純物を集めるのに適している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の用途が、クリーンルーム専用の清掃用具である請求項1または2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物を排除する必要がある、クリーンルームの空間にあるクリーニングしにくい表面を清掃する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム内の清掃には無塵布と呼ばれる不織布に水、アルコール、有機溶剤のいずれかを含ませて使用することが一般的だが、一旦拭き取られた埃や汚れ、固体粒子が、無塵布から脱落して落下し、下面に再付着することがある。
【0003】
特許文献1では、繊維に粘着剤を付着させた粘着性の布が、埃を吸塵でき、一旦吸塵すると容易には外れないことが記載されている。
【0004】
特許文献2では、繊維に粘着剤を付着させた粘着性の紙が、埃を吸塵でき、一旦吸塵すると容易には外れないことが記載されている。
【0005】
特許文献3では、固体粒子を表面から除去するためのクリーニング剤として、界面活性剤を含む擬塑性ポリガラクトマンナンゲル化合物が、狭い隙間に浸透し、そこに存在する固体粒子を集め掃除することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006―111694号公報
【特許文献2】特開2006―137894号公報
【特許文献3】国際公開02/055642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
凹凸のある表面や狭い隙間を清掃するには、清掃用具が細部まで入り込む必要がある。しかし、特許文献1で開示された粘着性の布や、特許文献2で開示された粘着性の紙では、細部まで入り込むことができず、複雑な形状の表面や空洞内を清掃するには不十分である。
【0008】
特許文献3で開示されたゲル化合物は、狭い隙間に浸透するが、界面活性剤を含んでおり、前述のゲル化合物が接触した表面に界面活性剤が付着してしまい、清掃により不純物を排除する目的としては不十分である。
【0009】
以上のような事情を鑑み、本発明は、凹凸のある表面上または空洞内に存在する不純物を集めるのに適しており、接触した表面への付着物を避ける組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、水、アルコールおよびその混合物を含む群から選択される90~95重量%の溶媒成分、1~5重量%のグアーガム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウムおよびその混合物を含む群から選択される0.5~5重量%のホウ酸塩、を含んでなることを特徴とした展性のある組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、接触した表面への付着物を避けるために、界面活性剤、有機系の防腐剤および殺菌剤、顔料および染料から選択される着色剤、香料を含まないことを特徴とする。
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明で用いられるグアーガムとは、豆科植物グアー(Cyamopsistetragonolobus)の種から発見されたゴムのりをいう。水可溶性画分(85%)は、(1,6)結合により結合されたα-D-ガラクトピラノシル単位を有する(1,4)-β-Dマンノピラノシル単位の直鎖からなる「グアラン」と呼ばれる。グアラン中のD-ガラクトース:D-マンノースの比は、約1:2である。グアーガムは、熱水又は冷水中では分散性の白粉の形態を取ってよい。典型的には、天然グアーガムは、約2,000,000~約5,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0013】
グアー種は、一対の固い非脆性内肺乳領域(以下、不安定な胚(胚芽)に挟まれた「グアー分離体」という)からなる。脱皮後、種は分けられ、胚芽(種の43~47%)は、ふるい分けにより除去され、そして分離体は粉砕される。粉砕された分離体は、約78~82%のガラクトマンナン多糖及び少量の幾つかのタンパク性材料、無機塩、水不溶性ガム、及び細胞膜、並びに幾つかの残りの種皮及び胚を含むことが分かっている。
【0014】
上記技術水準において知られているようなゲルクリーニング剤の場合においては、溶媒含有量の増加は、結果として不満足な粘稠度を有するゲルをもたらすことが分かっている。ホウ素含有量次第では、その結果として生じる粘稠度は、やわらかく、かつ、粘着性のあるものであるか、または、もろく、かつ、砕けやすいものである可能性がある。この種のゲルは、もはや、細かい裂け目および隙間の奥に素早く到達し、そこでその表面を清掃するのに必要である、必要な擬塑性流動能を有しない。
【0015】
本発明のこの種の組成物の、好ましい一実施形態においては、1~5重量%のグアーガムを含み、かつ、0.5~5重量%のホウ酸塩を含む。粘稠度を調整するに適したホウ酸塩としては、例えば、四ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸が挙げられる。
【0016】
本発明のこの種の組成物の、好ましい一実施形態においては、0.5~5重量%のホウ酸を含み、より好ましくは、1~3重量%のホウ酸を含む。ホウ酸は殺真菌性の活性成分として適している。ホウ酸量が0.5重量%未満の場合、真菌の繁殖により、保存性が極端に悪くなる。また、ホウ酸の配合は粘稠度をやわらかくするが、ホウ酸量が5重量%を超える場合、粘稠度は、やわらかく、かつ、粘着性のあるものである可能性がある。
【0017】
本発明にかかる組成物の、好ましい一実施形態においては、当該溶媒成分は、水、エタノール、グリセリンおよびその混合物を含む群から選択され、より好ましくは、水が選択される。一価の低級アルコールを含有させることで、表面の濡れを改善し、組成物が狭い隙間に浸透しやすくなるが、含有量次第では、その結果として生じる粘稠度は、もろく、かつ、砕けやすいものである可能性がある。
多価アルコールを含有させることで、粘稠度をやわらかし、組成物が狭い隙間に浸透しやすくなるが、含有量次第では、その結果として生じる粘稠度は、やわらかく、かつ、粘着性のあるものである可能性がある。
【0018】
本発明にかかる組成物には、接触した表面への付着する可能性がある、界面活性剤、有機系の防腐剤および殺菌剤、顔料および染料から選択される着色剤、香料を含んではならない。
【0019】
25℃にて測定される本発明にかかるこの種の化合物の粘度は、50,000~250,000mPa・sであり、好ましくは100,000~200,000mPa・sであり、特に好ましくは120,000~180,000mPa・sである。
(参考文献 特許5738982)