IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッドの特許一覧 ▶ エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図1
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図2
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図3
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図4
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図5
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図6
  • 特開-MEMSマイクロフォン 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171205
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】MEMSマイクロフォン
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20231124BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H04R19/04
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195993
(22)【出願日】2022-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202221236854.6
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522235504
【氏名又は名称】エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】趙転転
(72)【発明者】
【氏名】王凱傑
(72)【発明者】
【氏名】張叡
【テーマコード(参考)】
3C081
5D021
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA03
3C081BA29
3C081BA44
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA13
3C081DA03
3C081EA21
5D021CC17
(57)【要約】
【課題】本発明は、MEMSマイクロフォンを提供する。
【解決手段】バックチャンバーが形成された基板と、前記基板に設けられ、基板に接続された容量システムとを備え、前記容量システムが、基板の上部に位置する振動板と、前記振動板と間隔をあけて設けられたバックプレートとを有するMEMSマイクロフォンであって、振動方向において前記容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造をさらに備える。本発明は、振動方向において容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造により、小さな音圧下で振動板とバックプレートの動きに影響を与えないように確保し、マイクロフォンの性能に影響を与えないようにしつつ、大きな音圧下で振動板とバックプレートの歪みを阻害し、振動板とバックプレートが大きく変形して破断することによるマイクロフォンの不具合を抑制することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックチャンバーが形成された基板と、前記基板に設けられ、基板に接続された容量システムとを備え、前記容量システムが、基板の上部に位置する振動板と、前記振動板と間隔をあけて設けられたバックプレートとを有するMEMSマイクロフォンであって、
振動方向において前記容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造をさらに備える、
ことを特徴とするMEMSマイクロフォン。
【請求項2】
前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記振動板に背向するバックプレートの一面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項3】
前記バリア構造は、外枠部と、前記外枠部に連なって内向きに延びる複数の梁部とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項4】
前記バリア構造は、内向きに延びる四つの梁部からなる一つの十字形構造を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項5】
前記バリア構造の外枠部の外側エッジの振動方向への投影は、前記容量システムの外側エッジの振動方向への投影と重なっている、
ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項6】
前記バリア構造の外枠部と前記容量システムとの間には、前記外枠部と完全に重なっているガスケットがさらに設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項7】
前記バリア構造は、中央に補強部が設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項8】
前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記バックプレートに背向する振動板の一面に、振動方向において間隔をあけて設けられている、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のMEMSマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響分野に関し、特に、信頼性の高いMEMS(微小電気機械システム)マイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容量型MEMSマイクロフォンチップは、主に容量部と基板部から構成されている。チップ構造は、図1に示すように、主にバックチャンバーを有する基板構造と、基板の上部に位置する振動板および固定バックプレートとを備え、振動板と固定バックプレートとが容量システムを構成している。音圧が振動板に作用すると、振動板のバックプレートに正対する面とバックプレートに背向する面の両面には圧力差があり、振動板をバックプレートに近づけたりバックプレートから遠ざけたり運動させ、振動板とバックプレートの間の静電容量の変化を引き起こし、音声信号から電気信号への変換を実現する。これは、容量型MEMSマイクロフォンの動作原理である。
【0003】
音圧が大きいと、振動板とバックプレートが貼り合わされて変形し続け、音圧が十分に大きいと、振動板とバックプレートの変形が大きくなり過ぎて、振動板とバックプレートが固定位置で破断し、マイクロフォンの不具合を招いた。
【0004】
そのため、新たな信頼性の高いMEMSマイクロフォンを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題に基づき、本発明は、新たな信頼性の高いMEMSマイクロフォンチップ構造を提供する。具体的には、本発明の技術案は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
バックチャンバーが形成された基板と、前記基板に設けられ、基板に接続された容量システムとを備え、前記容量システムが、基板の上部に位置する振動板と、前記振動板と間隔をあけて設けられたバックプレートとを有するMEMSマイクロフォンであって、振動方向において前記容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造をさらに備えるMEMSマイクロフォンである。
【0007】
1つの改良として、前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記振動板に背向するバックプレートの一面に設けられている。
【0008】
1つの改良として、前記バリア構造は、外枠部と、前記外枠部に連なって内向きに延びる複数の梁部とを有する。
【0009】
1つの改良として、前記バリア構造は、内向きに延びる四つの梁部からなる一つの十字形構造を有する。
【0010】
1つの改良として、前記バリア構造の外枠部の外側エッジの振動方向への投影は、前記容量システムの外側エッジの振動方向への投影と重なっている。
【0011】
1つの改良として、前記バリア構造の外枠部と前記容量システムとの間には、前記外枠部と完全に重なっているガスケットがさらに設けられている。
【0012】
1つの改良として、前記バリア構造は、中央に補強部が設けられている。
【0013】
1つの改良として、前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記バックプレートに背向する振動板の一面に、振動方向において間隔をあけて設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0015】
本発明によるMEMSマイクロフォンは、従来技術に比べて、振動方向において容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造により、小さな音圧下で振動板とバックプレートの動きに影響を与えないように確保し、マイクロフォンの性能に影響を与えないようにしつつ、大きな音圧下で振動板とバックプレートの歪みを阻害し、振動板とバックプレートが大きく変形して破断することによるマイクロフォンの不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来技術におけるMEMSマイクロフォンの斜視図である。
図2図2は、図1に示すMEMSマイクロフォンのA―A線に沿った断面図である。
図3図3は、本発明の実施例1に係るMEMSマイクロフォンの斜視図である。
図4図4は、図3に示すMEMSマイクロフォンのB―B線に沿った断面図である。
図5図5は、図4に示す丸輪C部分の拡大図である。
図6図6は、本発明の実施例1におけるバリア構造を示す図である。
図7図7は、本発明の実施例2におけるバリア構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確にかつ理解しやすくするために、以下、具体的な実施形態を組み合わせて本発明を詳細に説明し、これによって、本発明の上記及びその他の目的、特徴及び利点がより明確になる。
【0018】
明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
実施例1
図3図4を参照して、MEMSマイクロフォン200は、主に基板1と、容量システム2とを備える。基板1は、例えばシリコン基板を用いて、エッチングによりバックチャンバー3が形成されている。容量システム2は、基板1の上面に設けられ、トランジション層4を介して基板1と絶縁接続されるものであり、この容量システム2は、振動板21と、振動板21と間隔をあけて設けられたバックプレート22とを有する。通常、バックプレート22には、貫通孔221も開設されており、貫通孔221は、音の伝達を容易にする。
【0020】
具体的には、本実施例では、振動方向においてこの容量システム2と間隔をあけて設けられたバリア構造5がある。具体的には、バリア構造5は、振動板21に背向するバックプレート22の一面に設けられている。実際の運用において、小さな音圧下で振動板21とバックプレート22の動きに影響を与えないように確保し、マイクロフォンの性能に影響を与えないようにしつつ、大きな音圧下で振動板21とバックプレート22の歪みを阻害し、振動板21とバックプレート22が大きく変形して破断することによるマイクロフォンの不具合を抑制することができる。
【0021】
さらに、バリア構造5は、外枠部51と、この外枠部51に連なって内向きに延びる複数の梁部52とを有しており、これにより、振動板21とバックプレート22との変形を効果的に抑制している。
【0022】
さらに、図6を参照して、バリア構造5は、内向きに延びる四つの梁部52からなる一つの十字形構造を有するが、他の実施可能な形態では、梁部52の数は、5、6、7などであってもよい。バリア構造5の形状は、本発明の実施例に示すものに限られない。
【0023】
改良の一つとして、バリア構造5の大きさを小さくし、MEMSマイクロフォン200の小型化を維持するために、バリア構造5の外枠部51のエッジの振動方向への投影は、容量システム2の外側エッジの振動方向への投影と重なっている。
【0024】
改良の一つとして、図5を参照して、バリア構造5の外枠部51とバックプレート22との間には、さらにガスケット6が設けられている。バリア構造5とバックプレート22との間には一定の距離があるため、小さな音圧の作用下で振動板21とバックプレート22の動きに影響を与えないように確保し、マイクロフォンの性能に影響を与えないようにすることができる。大きさな音圧の作用下で、また振動板21とバックプレート22の歪みに対して阻害作用を果たすことができ、これにより、振動板21とバックプレート22が大きく変形して破断することによるマイクロフォンの不具合を抑制することができる。
【0025】
他の実施可能な形態では、バリア構造5は、バックプレート22に背向する振動板21の一面に間隔をあけて設けられてもよい。振動板21のバックプレート22から離反する大きな変形に対して抑制作用を奏する。
【0026】
実施例2
図7を参照して、実施例2は、実施例1のMEMSマイクロフォン200とほぼ同様の構成を有するが、バリア構造5の中央に補強部53が設けられている点が異なる。この補強部53は、円形、矩形、三角形等の異なる形状とすることができる。この補強部53は、振動板21とバックプレート22の歪みに対する阻害作用を強め、変形を抑制する。
【0027】
また、本発明に係るMEMSマイクロフォンは、前記バリア構造の形状が本発明の実施例に示すものに限られない。
【0028】
本発明によるMEMSマイクロフォンは、振動方向において容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造により、小さな音圧下で振動板とバックプレートの動きに影響を与えないように確保し、マイクロフォンの性能に影響を与えないようにしつつ、大きな音圧下で振動板とバックプレートの歪みを阻害し、振動板とバックプレートが大きく変形して破断することによるマイクロフォンの不具合を抑制することができる。
【0029】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックチャンバーが形成された基板と、前記基板に設けられ、基板に接続された容量システムとを備え、前記容量システムが、基板の上部に位置する振動板と、前記振動板と間隔をあけて設けられたバックプレートとを有するMEMSマイクロフォンであって、
振動方向において前記容量システムと間隔をあけて設けられたバリア構造をさらに備え
前記バリア構造は、外枠部と、前記外枠部に連なって内向きに延びる複数の梁部とを有する、
ことを特徴とするMEMSマイクロフォン。
【請求項2】
前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記振動板に背向するバックプレートの一面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項3】
前記バリア構造は、内向きに延びる四つの梁部からなる一つの十字形構造を有する、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項4】
前記バリア構造の外枠部の外側エッジの振動方向への投影は、前記容量システムの外側エッジの振動方向への投影と重なっている、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項5】
前記バリア構造の外枠部と前記容量システムとの間には、前記外枠部と完全に重なっているガスケットがさらに設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項6】
前記バリア構造は、中央に補強部が設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項7】
前記バリア構造は、前記容量システムにおける前記バックプレートに背向する振動板の一面に、振動方向において間隔をあけて設けられている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のMEMSマイクロフォン。