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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171266
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】薬剤揮散体および薬剤揮散器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20231124BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61L9/12
A01M1/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065020
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022083296
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
(72)【発明者】
【氏名】早田 香織
【テーマコード(参考)】
2B121
4C180
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA02
2B121CA17
2B121CA31
2B121CA46
2B121CA52
2B121CA60
2B121CA75
2B121CA81
2B121CC02
2B121CC31
2B121FA03
4C180AA02
4C180AA03
4C180AA13
4C180AA18
4C180CA06
4C180GG12
4C180GG17
4C180GG19
4C180HH10
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】低コストで簡単に製造でき撓みを防止しつつ薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が発揮される薬剤揮散体および薬剤揮散器を提供すること。
【解決手段】上部に開口1406を有し揮散性の薬剤12が収容された容器14と、その下部が開口1406から容器14に挿入されて薬剤12に浸漬され、その上部が開口1406から容器14の上方に突出し薬剤12を揮散する棒状の薬剤揮散体16とを備える薬剤揮散器10である。薬剤揮散体16は厚紙により形成され、薬剤揮散体16が容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さをL1[m]とし、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器に、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体であって、
前記薬剤揮散体は厚紙により形成され、
前記薬剤揮散体の前記容器から上方に突出した長さをL1[m]とし、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、
L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たす、
ことを特徴とする薬剤揮散体。
【請求項2】
上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器と、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器であって、
前記薬剤揮散体は厚紙により形成され、
前記薬剤揮散体の前記容器から上方に突出した長さをL1[m]とし、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、
L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たす、
ことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項3】
前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量が200g/m2以上600g/m2以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散用揮散体または請求項2記載の薬剤揮散器。
【請求項4】
前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量が400g/m2以上500g/m2以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散用揮散体または請求項2記載の薬剤揮散器。
【請求項5】
前記薬剤揮散体をその長手方向と直交する平面で切断した断面は長方形であり、
前記容器から上方に突出した前記薬剤揮散体部分の表面積が300mm2以上1400mm2以下になるように幅を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤用揮散体または請求項2記載の薬剤揮散器。
【請求項6】
前記薬剤揮散体が前記開口から前記容器に挿入された状態で、前記薬剤揮散体は水平面に対して50度以上70度以下の角度で傾斜している、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散用揮散体または請求項2記載の薬剤揮散器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤揮散体および薬剤揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の薬剤揮散器が提供されており、特許文献1、2、3、4には、上部に開口部を有し揮散性の薬剤が収容される容器と、開口部から容器に挿入されてその下部が薬剤に浸漬され、その上部が開口部から容器の上方に突出する複数の棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器が提供されている。
このような棒状の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器では、薬剤揮散体により容器内の薬剤を吸い上げ、容器から上方に突出する薬剤揮散体の部分から薬剤を揮散させるようにしている。
そして、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製のものが提供されている。
しかしながら、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製のものを使用する場合、使用する部位の選別、棒の表面の研磨、曲がった形状の矯正、防かび処理など複数の加工工程を要し、また、樹脂製のものを使用する場合、専用の成型機を要することから薬剤揮散体を製造するのに手間が掛り、薬剤揮散器がコスト高にならざるを得ない。
また、樹脂製のものを使用する場合、近年の環境問題に対しての配慮が不足しているという問題もある。
さらに、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製のものを使用する場合、天然素材であるため吸い上げ速度や揮散速度にばらつきがあり、薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮されず、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で不利があった。
そこで本出願人は、低コストで簡単に製造できる厚紙製の薬剤揮散体を出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188974号公報
【特許文献2】特開2021-176537号公報
【特許文献3】実用新案登録第3119834号公報
【特許文献4】特開2011-212271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、薬剤揮散体を厚紙で形成した場合、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体に比べて薬剤揮散体の剛性は弱く、また、薬剤揮散体自体に滲み込む薬剤の量も木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体に比べて多くなることから、厚紙製の薬剤揮散体の全長にわたって薬剤が滲み込んだ場合、薬剤揮散体の自重と滲みこんだ薬剤の重量とにより、棒状の薬剤揮散体が撓むことが考えられる。
薬剤揮散体が撓んだ場合には、容器と、この容器に挿入された薬剤揮散体とからなる薬剤揮散器の美観性が低下する。
薬剤揮散体の撓みを防止するため、薬剤揮散体を短くしたり薬剤揮散体の厚みを厚くすることが考えられるが、そのようにしたのでは、薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮されず、また、容器と、この容器に挿入された薬剤揮散体とからなる薬剤揮散器の美観性を高める上で不利となる。
また、薬剤揮散体の撓みを防止するため、薬剤揮散体を構成する厚紙の坪量を大きくすることも考えられるが、必要以上に坪量を大きくすると、薬液を一度に大量に吸い上げてしまい、使用期間を長くする上で不利となる。また、製品コストが増大する可能性があり、坪量を大きくするにも製造上の限界がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、低コストで簡単に確実に製造できかつ、環境に配慮し、撓みを防止しつつ薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮される薬剤揮散体および薬剤揮散器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器に、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体であって、前記薬剤揮散体は厚紙により形成され、前記薬剤揮散体の前記容器から上方に突出した長さをL1[m]とし、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たすことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器と、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器であって、前記薬剤揮散体は厚紙により形成され、前記薬剤揮散体の前記容器から上方に突出した長さをL1[m]とし、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たすことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量が200g/m2以上600g/m2以下であることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体を構成する前記厚紙の坪量が400g/m2以上500g/m2以下であることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体をその長手方向と直交する平面で切断した断面は長方形であり、前記容器から上方に突出した部分の表面積が300mm2以上1400mm2以下になるように幅を設定することを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体が前記開口から前記容器に挿入された状態で、前記薬剤揮散体は水平面に対して50度以上70度以下の角度で傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、厚紙を裁断することで複数の薬剤揮散体を簡単に確実に製造できる。
したがって、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体を使用する場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体および薬剤揮散器の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体および薬剤揮散器の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体は厚紙で形成されているので、薬剤の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮され、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体の長さ、坪量を薬剤揮散器の美観性、実用性の観点から、それぞれ適正な範囲で規定することにより、薬剤揮散体の撓みを防止しつつ、また、薬剤揮散器の美観性を確保しつつ薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果を十分に発揮することが可能となり、薬剤揮散器の実用的価値、商品価値を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体の断面を、幅が厚さよりも長い扁平な長方形状とすると、トムソン刃型で厚紙を打ち抜き加工することで複数の薬剤揮散体を簡単に確実に製造する上でより有利となり、また、薬剤揮散体に図柄を簡単に印刷できるので図柄が印刷された薬剤揮散体を簡単に打ち抜くことができ、薬剤揮散体および薬剤揮散器の美観性を高める上でより一層有利となる。
また、薬剤揮散体を偏平な矩形断面で形成すると、薬剤揮散器の設置場所を移動するときに容器が傾いたり、薬剤揮散器を車内で使用したときに容器が振動を受けても、容器内で薬剤揮散体がその中心軸を中心として回転や移動が起きにくくなり、複数の薬剤揮散体が密集して互いにくっついた状態になりにくくなるため薬剤揮散器の実用性に優れ、薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果および薬剤揮散器の美観性を保つ上で有利となる。
また、薬剤揮散体が容器に挿入された状態で水平面に対する薬剤揮散体の傾斜角度を適正な範囲に規定することにより、薬剤揮散器の実用性を高める上で有利となり、また、薬剤揮散体の撓みを防止して薬剤揮散器の美観性を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体が開口から容器に挿入された状態で、開口から突出する薬剤揮散体の長さを規定したので、薬剤揮散体の目詰まりの発生を抑制して薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮され、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】薬剤揮散器の使用状態の斜視図である。
図2】薬剤揮散体の斜視図である。
図3】(A)~(F)は薬剤揮散体が傾斜した姿勢は、容器の形状により決定されることを説明する説明図である。
図4】(A)は撓み試験の説明図、(B)は目詰まりの試験の説明図である。
図5】(A)、(B)、(C)は薬剤揮散体の他の例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図1図2を参照して本発明の薬剤揮散体および薬剤揮散器の実施の形態について説明する。
薬剤揮散器10は、揮散性の薬剤12が収容された容器14と、容器14に挿入される複数の薬剤揮散体16とを含んで構成されている。
薬剤12として芳香剤や防虫剤、殺虫剤などが用いられ、本発明の一実施の形態では、薬剤12として芳香剤12Aが用いられている。
芳香剤12Aは、香料成分単体もしくは、香料成分と揮散性の溶媒との混合物で構成され、本実施の形態では透明の液体である。
【0009】
容器14は合成樹脂やガラスで構成され、本実施の形態では透明である。
容器14は、薬剤12が収容されるものであり、大径部1402と、大径部1402の上部に設けられた小径部1404とを有し、小径部1404の上端は円形の開口1406となっている。
薬剤揮散器10の市場流通時、容器14に薬剤12として芳香剤12Aが収容され、開口1406には不図示のキャップが着脱可能に取着され、薬剤揮散器10の使用時に開口1406からキャップが取り外され、容器14は適宜箇所に載置される。
【0010】
薬剤揮散体16は、細長の棒状を呈し、開口1406から容器14に挿入され、下部が容器14内で芳香剤12Aに浸漬され、上部が開口1406から容器14の上方に突出して用いられる。
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aに浸漬された箇所から芳香剤12Aを毛細管現象により吸い上げ、芳香剤12Aの液面から露出する箇所から芳香剤12Aを揮散する部材である。
薬剤揮散体16の断面は、円形、正方形、長方形、菱形、多角形、楕円形などであってもよく、薬剤揮散体16の断面には従来公知の様々な形状が適用可能である。
【0011】
薬剤揮散体16は厚紙により形成されている。
厚紙とは、一般に用いられる紙よりも厚手の紙であり、紙とは、植物などの繊維を水中で密にからみ合わせ,薄く平面状にのばして脱水、乾燥させたものである。紙の種類も特に限定されず、コート紙、上質紙、マット紙、アートポスト紙、クラフト紙、マットポスト紙、ケント紙が用いられる。本実施の形態では再生紙(古紙50%)を用いている。再生紙は古紙をリサイクルしたものであり、森林環境保全の観点から好ましい。
本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在している。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、5mm程度の均一幅Wと、幅Wよりも小さい0.5mm程度の均一厚さTをと有して直線状に延在している。
このような薬剤揮散体16は、トムソン刃型で厚紙を打ち抜き加工することで簡単に確実に製造でき、従来のような木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体を使用する場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体16は厚紙で形成されているので、薬剤12の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮され、薬剤揮散器10の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在しているので、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の美観性を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体16が偏平な矩形断面で帯状に直線状に延在し、しかも厚紙により形成されているので、薬剤揮散体16に図柄18を簡単に印刷でき、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の美観性を高める上でより一層有利となる。
図柄18は、厚さT方向の両端のうちの少なくとも一方の面で薬剤揮散体16の長手方向の一側部に印刷されている。
ここで図柄18とは、文字、模様、キャラクターなどを含む概念である。
印刷に使用するインクは適宜選定されるが、吸い上げた芳香剤12Aによって滲むことがない様に、顔料を使用することが望ましい。
顔料の種類は特に限定されず、無機顔料としてカーボンブラック、チタンホワイト(酸化チタン)、有機顔料としてジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、レーキッドレッドCが用いられる。
印刷方法はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など適宜選定される。
【0012】
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態では、薄い青色や薄い黄色、薄いオレンジ色、薄いピンク色、薄い茶色、薄い灰色などの薄い色を呈しており、芳香剤12Aが染み込んだ状態では、これらがそれぞれ、濃い青色、濃い黄色、濃いオレンジ色、濃いピンク色、濃い茶色、濃い灰色に変化する。図柄18は芳香液12Aが染み込んだ薬剤揮散体の色に近い色で形成されている。
本実施の形態では、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で、薬剤揮散体16は薄い茶色を呈しており、また、図柄18は濃い茶色で形成され、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16は薄い茶色から濃い茶色に変色し、図柄18が視認しにくくなるように形成されている。
また、芳香剤12Aがなくなった薬剤揮散器10の使用終了時、薬剤揮散体16が乾燥することで、再度、薄い茶色となり、図柄18が視認できるように形成されている。
このような観点から薬剤揮散体16の色はL表色系における芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と芳香剤12Aが染み込んだ薬剤揮散体16の色のLの値との差が、15以上であることが好ましい。
また、芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と図柄18のLの値の差が、20以上50以下で、芳香剤12Aが染み込んだ状態のLの値と図柄18のLの値の差は、芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と図柄18のLの値の差よりも小さい値で30以下好ましくは10以下であることが好ましい。
薬剤揮散体16に芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で図柄18が視認可能であり、薬剤揮散器10の使用時に図柄18が視認しにくくなり、使用終了時期では図柄18が再度視認可能となる一例として、例えば次の3つの具体例が挙げられる。
1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は67であり、また、図柄18のLの値は22であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は45である。
また、他の1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は70であり、また、図柄18のLの値は20であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は48である。
また、残りの1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は48であり、また、図柄18のLの値は20であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は28である。
すなわち、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態での薬剤揮散体16のLの値は45以上75以下であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態での薬剤揮散体16のLの値は25以上55以下であり、図柄18のLの値は25以下であることが好ましい。
【0013】
次に、薬剤揮散器10の使用方法について説明する。
容器14に芳香剤12Aが収容され、開口1406にはキャップが着脱可能に取着され、容器14と共に複数本の薬剤揮散体16が箱に入れられ梱包されて市場に流通される。
薬剤揮散器10の購入者は、使用時、開口1406からキャップを取り外し、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、容器14を適宜箇所に載置する。
この場合、箱から取り出した当初、薬剤揮散体16の長手方向の一側に印刷された図柄18は視認可能であるため、使用者は、図柄18が印刷された箇所が容器14の上方に位置するように、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、それらの下部を芳香剤12Aに浸漬させる。
【0014】
やがて、薬剤揮散体16により芳香剤12Aが吸い上げられていき、薬剤揮散体16の色が下方から上方へ薄い茶色から濃い茶色に変色していき、図柄18が視認しにくくなる。
芳香剤12Aの芳香成分は、芳香剤12Aの液面の上方に露出する複数の薬剤揮散体16の箇所からが室内に揮散していく。
容器14内の芳香剤12Aがなくなり、複数の薬剤揮散体16に吸い込まれた芳香剤12Aの芳香成分が全て揮散した時点で、薬剤揮散器10は使用終了となる。
薬剤揮散器10は使用終了時、複数の薬剤揮散体16は乾燥して薄い茶色に戻り、図柄18が再度視認可能となるので、使用者は、容器14内の芳香剤12Aの残量を視認することなく薬剤揮散体16の色を視認することで、薬剤揮散器10が使用終了になったことが分かる。
したがって、例えば、容器14が不透明で容器14内の芳香剤12Aの残量を開口1406からしか視認できない場合であっても、使用者は、芳香剤12Aの残量を開口1406から視認することなく、薬剤揮散体16の色を視認することで薬剤揮散器10が使用終了時期になったことが分かり、薬剤揮散器10の使い勝手を高める上で有利となる。
【0015】
次に、薬剤揮散体16の長さL、厚さT、幅W、坪量について検討する。
薬剤揮散体16を厚紙で形成した場合、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体に比べて薬剤揮散体16自体に滲み込む薬剤12の量が多くなり、厚紙製の薬剤揮散体16の全長にわたって薬剤12が滲み込んだ場合、薬剤揮散体16の長さLが大きいと、あるいは、薬剤揮散体16の厚さTや幅Wが小さいと、薬剤揮散体16の自重と滲みこんだ薬剤12の重量とにより、棒状の薬剤揮散体16が撓むことが考えられる。
薬剤揮散体16の撓みを防止するため、薬剤揮散体16を短くしたり、薬剤揮散体16の厚さTや幅Wを大きくすると、容器14と、この容器14に挿入された薬剤揮散体16とからなる薬剤揮散器10の美観性を高める上で不利となる。
また、薬剤揮散体16の撓みを防止するため、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量を大きくすることが考えられるが、坪量の大きさには製造上限界がある。
また、薬剤12が薬剤揮散体16に滲み込んで揮散していくが、薬剤12には揮散しにくい成分も若干混合しており、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さを短くすると、薬剤揮散体16に揮散しにくい成分が蓄積してしまうことにより目詰まりを起こし、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が発揮されにくくなる。
【0016】
本発明の薬剤揮散体16の断面形状は、円形、正方形、長方形、菱形、多角形、楕円形など従来公知の様々な形状が適用されるが、薬剤揮散器10の美観性の観点から、また、回転、移動させないという実用性の観点から偏平な長方形が好ましい。
そこで、薬剤揮散器10の美観性、実用性の観点から、容器14から突出する薬剤揮散体16の長さL1を50mm以上200mm以下、幅Wを3mm以上10mm以下の寸法に設定した。
また、厚紙の坪量を200g/m2以上600g/m2以下に設定した。この場合の厚紙の厚さTは、美観性、実用性の観点からおよそ0.3mm以上1.0mm以下になる。
薬剤揮散体16の断面を偏平な長方形で形成すると、薬剤揮散器10の設置場所を移動するときに容器14が傾いたり、薬剤揮散器10を車内で使用したときに容器14が振動を受けても、容器14内で薬剤揮散体16がその中心軸を中心とした回転や移動が起きにくくなり、複数の薬剤揮散体16が密集して互いにくっついた状態になりにくくなる為、薬剤12の揮散性および薬剤揮散器10の美観性、実用性を保つ上で有利となる。
また、容器14に挿入された薬剤揮散体16が鉛直に近い状態で延在したり、また、水平に近い状態で延在していると、薬剤揮散器10の美観性を高める上で不利となり、また、容器14に挿入された薬剤揮散体16が水平に近い状態で延在していたのでは、設置するのに大きなスペースが必要となることから実用性に劣り、また、薬剤揮散体16の自重と滲みこんだ薬剤12の重量とにより薬剤揮散体16が撓み易くなり、薬剤揮散器10の美観性が低下する不具合が生じる。
本実施の形態では、薬剤揮散器10の美観性を高めるため、薬剤揮散体16が開口1406から容器14に挿入された状態で、薬剤揮散体16は水平面に対して50度以上70度以下の角度で傾斜した姿勢となるように設定した。
薬剤揮散体16が傾斜した姿勢は、図3に示すように、容器14の形状により決定される。
薬剤揮散体16が水平面に対して傾斜する角度θは、図3(A)の場合は50度であり、図3(B)の場合は65度であり、図3(C)、(D)、(F)の場合は70度であり、図3(E)の場合は50度である。
薬剤揮散体16が傾斜した姿勢は従来公知の様々な構造で決定され、図3(A)、(B)、(E)の場合には、薬剤揮散体16が小径部1404の上端(開口1406)と大径部1402の下端とに係止することで決定され、図3(C)、(D)の場合は、薬剤揮散体16が小径部1404の上端(開口1406)と下端とに係止することで決定され、図3(F)の場合には、薬剤揮散体16が小径部1404の上端(開口1406)と、容器14の底面に小径部1404と同軸上に設けられた環状の突起1408に係止することで決定される。
また、薬剤揮散体16が容器14の開口1406から突出する長さL1は、図3(A)の場合は薬剤揮散体16の全長の53%であり、図3(B)の場合は薬剤揮散体16の全長の60%であり、図3(C)の場合は薬剤揮散体16の全長の64%であり、図3(D)の場合は薬剤揮散体16の全長の43%であり、図3(E)の場合は全長の33%であり、図3(F)の場合は全長の64%である。
【0017】
(撓みの試験)
本実施の形態で使用する薬剤揮散体16のうちで最も撓み易い形状の薬剤揮散体16を、坪量を64g/m2,265g/m2、465g/m2、523g/m2、585g/m2としてそれぞれ用意し、図4(A)に示す容器14を用いて撓みの試験した。
ここで、図4(A)に示す容器14に挿入される薬剤揮散体16のうち、最も撓み易い形状の薬剤揮散体16とは、容器14から突出する薬剤揮散体16の長さL1が200mmでの場合である。
図4(A)のように容器14に、容器14から突出する薬剤揮散体16の長さL1を200mmとして薬剤揮散体16を挿入したところ、容器14内に位置する薬剤揮散体16の長さは90mmであった。
このようなことから、図4(A)に示す容器14を用いた撓みの試験において、最も撓み易い形状の薬剤揮散体16とは、薬剤揮散体16の長さLが290mm、厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの断面が偏平な長方形であり、断面積は0.9mm2である。
そして、図4(A)に示すように、それら薬剤揮散体16を開口1406から容器14に挿入し、本実施の形態で使用する50度以上70度以下の傾斜角度θのうちも薬剤揮散体16が最も撓み易い50度の傾斜角度θの姿勢とし、薬剤揮散体16が容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1を薬剤揮散体16の全長の約2/3である200mm(容器14内に入る薬剤揮散体16の長さは90mm)とし、薬剤揮散器10の使用期限である30日間放置して撓みを観察した。
薬剤揮散体16を構成する厚紙として、平和紙業株式会社のケント紙を用い、薬剤12として香料成分と揮散性の溶媒を含む芳香剤を用いた。
【0018】
ここで、薬剤揮散体16の容器から上方に突出した長さをL1[m]とし、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量をM[g/m2]とした場合、L1とMの積は、厚紙の坪量が64g/m2、265g/m2、465g/m2、523g/m2、585g/m2の場合にはそれぞれ12.8g/m、53g/m、93g/m、104.6g/m、117g/mである。
L1とMの積が12.8g/mの場合に撓みが生じ、L1とMの積が53g/m、93g/m、104.6g/m、117g/mの場合に撓みは生じなかった。
したがって、薬剤揮散体16の撓みを防止する観点から、L1とMの積が50g/m以上120g/m以下を満たすことが必要であることが判明した。
ここで、薬剤揮散体16の容器から上方に突出した長さL1[m]と、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量M[g/m2]との積を用いたのは、薬剤揮散体16の断面形状などの如何に拘らず、薬剤揮散体16の撓みを防止する技術的事項として普遍的な原理、原則であると考えたためである。
また、厚紙の坪量が64g/m2の場合には、撓みが生じており、265g/m2、465g/m2、523g/m2、585g/m2の場合には、撓みはなかったため、薬剤揮散体16の撓みを防止するため、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量が200g/m2以上必要であることも判明した。
なお、厚紙の坪量が650g/m2~700g/m2を超えると、一枚の厚紙としての製造が難しく、数枚の紙同士を接着して貼り合わせる工程が必要となり、薬剤の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が確実に発揮されず、また、コスト高となるため、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量は600g/m2以下が好ましい。
したがって、薬剤揮散体16が容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が200mm、厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量は、200g/m2以上600g/m2以下が好ましい。
上述のように、本発明の薬剤揮散体16の断面形状には、円形、正方形、菱形、多角形、楕円形など従来公知の様々な形状が適用される。厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの偏平な長方形断面の薬剤揮散体16と断面積が同一であっても断面形状が異なるそれら円形、正方形、菱形、多角形、楕円形などの薬剤揮散体16の剛性は、偏平な長方形に比べて大きく、また、薬剤揮散体16は短くなればなるほど撓みにくくなる。
したがって、薬剤揮散体16が容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が50mm以上200mm以下で断面積が0.9mm2の薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量は、薬剤揮散体16に撓みを生じさせない観点から200g/m2以上600g/m2以下が好ましい。
さらに、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量を大きくすれば薬剤揮散体16の剛性が高まるため、出荷時における工場での作業員による薬剤揮散体16の取り扱いや、購入者による薬剤揮散体16の取り扱いを考慮した場合、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量を大きくすればするほど薬剤揮散体16が破損しにくくなるため扱いやすくなり、一方、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量を大きくすればするほど、厚紙を構成する原材料を多く使用するため、薬剤揮散体16のコストが嵩む。
このように薬剤揮散体16の取り扱い性やコストを考慮すると、薬剤揮散体16を構成する厚紙の坪量は、400g/m2以上500g/m2以下がより好ましい。
また、薬剤揮散体16をその長手方向と直交する平面で切断した断面を長方形とする場合、撓み試験で用いた厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの長方形断面を用いる場合や厚さTが0.5mm、幅Wが5mmの長方形断面を用いるなど、撓みを防止する観点から容器14から上方に突出した薬剤揮散体16部分の表面積が800mm2以上1400mm2以下になるように幅を設定することが好ましい。
【0019】
(目詰まりの試験)
上述のように、薬剤揮散体16の長さが短いと目詰まりを起こし薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が低下するため、本実施の形態で使用する薬剤揮散体16の中で最も目詰まりを起こし易い長さLが100mm、厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの偏平な長方形断面で坪量が400g/m2の複数の薬剤揮散体16を複数用意すると共に、図4(B)に示すように、50度の傾斜角度θの姿勢で容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が90mm、50mm、10mmとなる形状の異なる複数の容器14を用意した。
そして、各容器14に全て同量の薬剤12を入れ、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1を、90mm、50mm、10mmとし、薬剤揮散器10の使用期限である30日間放置して容器14内における薬剤12の減少量を観察した。
容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が90mm、50mmの場合は薬剤12が無くなっていたのに対し、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さが10mmの場合は薬剤12が少量残存していた。
したがって、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が10mmの場合には、薬剤揮散体16が目詰まりを起こし、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が低下し、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が50mm以上の場合には、目詰まりの発生が抑制され、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が発揮されることが判明した。
したがって、本実施の形態の薬剤揮散器10では、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が効果的に発揮される観点から、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1を50mm以上にすることが好ましい。
上述のように、本発明の薬剤揮散体16の断面形状には、円形、正方形、菱形、多角形、楕円形など従来公知の様々な形状が適用され、断面積が同一であれば目詰まりも同様に生じることが考えられることから、薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が効果的に発揮される観点から、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1を50mm以上にすることが好ましい。
言い換えると、厚さTが0.3mm、幅Wが3mmの偏平な長方形断面で、図4(B)に示すように、50度の傾斜角度θの姿勢で容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が90mm、50mm、10mmとなる形状の異なる複数の容器14を用意した場合、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の表面積は、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が90mm、50mm、10mmの場合、66.9mm2,330.9mm2、594.9mm2となり、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の表面積が66.9mm2の場合に目詰まりが生じ、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の表面積が330.9mm2、594.9mm2の場合には目詰まりが生じなかった。
なお、上述の図4(A)に示す容器14を用いた撓みの試験において、厚さTが0.3mm、幅Wが3mm、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さL1が200mmの場合も目詰まりが生じておらず、この場合の、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の表面積は1320mm2である。
したがって、目詰まりを防止し薬剤12の揮散による芳香や消臭、防虫などの効果が効果的に発揮される観点から、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の表面積は300mm2以上1400mm2以下が好ましい。
なお、理論的には薬剤12は、薬剤12の液面の上方に露出する薬剤揮散体16の箇所から揮散していくので、薬剤12の液面の上方に露出する薬剤揮散体16の長さについて試験すべきであるが、実際に商品として販売する薬剤揮散器10の目詰まり防止の信頼性、保証性を高めるため、容器14の開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さを基準として試験した。
【0020】
なお、上記の実施の形態では、薬剤揮散体16が直線状に延在している場合について説明したが、薬剤揮散体16の延在方向は直線状に限定されず、図5(A)に示すようにS字状や、図5(B)に示すように屈曲状などで延在していてもよく、あるいは、薬剤揮散体16が実施の形態のように単一の平面上を延在せずに図5(C)に示すように薬剤揮散体16は旋回しつつ螺旋状に延在していてもよい。
図5(A)~(C)に示す薬剤揮散体16では、図1図2に示す薬剤揮散体16に比べて薬剤揮散体16の剛性が高くなることから、70度を超える傾斜角度θで容器14に挿入されても撓みにくくなり、また、薬剤揮散体16の軸心方向に沿った単位長さ当たりの体積が増えることから、開口1406から突出する薬剤揮散体16の長さを短くしても目詰まりが生じにくくなる。
【符号の説明】
【0021】
10 薬剤揮散器
12 薬剤
12A 芳香剤
14 容器
1402大径部
1404 小径部
1406 開口
1408 突起
16 薬剤揮散体
18 図柄
図1
図2
図3
図4
図5