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特開2023-171285物体を保持するためのホルダーおよび方法
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  • 特開-物体を保持するためのホルダーおよび方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171285
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】物体を保持するためのホルダーおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20231124BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20231124BHJP
【FI】
G01D11/30 S
G01K1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077405
(22)【出願日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】63/343,711
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/065,556
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ファーリー, デヴィッド ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CE10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホルダークリップは、異なる寸法を有する物体を保持するための調節可能な開放部を含み、ホルダークリップが開放部内の物体に及ぼす保持力を決定し得る、ホルダーを提供する。
【解決手段】第1の端部110aと第1の端部の反対側の第2の端部110bとを有するチューブ110と、チューブの第1の端部にある可動クリップで120あって、物体が貫通するよう挿入されて物体を内部に保持することができる開口部128を有する可動クリップと、
チューブの第2の端部にあるキャップ130と、チューブ内の発条140と、チューブ内の第1の固定器112であって、可動クリップを発条に連結させる第1の固定器と、チューブ内の第2の固定器114であって、キャップを発条に連結する第2の固定器と、を備え、キャップが、開口部内に物体を保持するために発条の発条力を調整するよう可動である、ホルダー。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を保持するためのホルダーであって、
第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有するチューブと、
前記チューブの前記第1の端部にある可動クリップであって、前記物体が貫通するよう挿入されて前記物体を内部に保持することができる開口部を有する可動クリップと、
前記チューブの前記第2の端部にあるキャップと、
前記チューブ内の発条と、
前記チューブ内の第1の固定器であって、前記可動クリップを前記発条に連結させる第1の固定器と、
前記チューブ内の第2の固定器であって、前記キャップを前記発条に連結する第2の固定器と、を備え、
前記キャップが、前記開口部内に前記物体を保持するために前記発条の発条力を調整するよう可動である、ホルダー。
【請求項2】
前記キャップが、前記発条力を前記可動クリップに及ぼすよう構成された前記発条の発条力を調整するよう回転可能である、請求項1に記載のホルダー。
【請求項3】
前記可動クリップが、前記開口部内において、前記チューブの前記第1の端部と前記開口部の内面との間に前記物体を保持するように構成されており、前記発条は、前記チューブの前記第1の端部に向かって前記開口部の内面を付勢する、請求項2に記載のホルダー。
【請求項4】
前記第2の固定器が、前記キャップに連結された第1の端部と、前記発条に係合する第2の端部とを有する、請求項2に記載のホルダー。
【請求項5】
前記発条が螺旋コイルを含み、
前記第2の固定器の前記第2の端部が、前記螺旋コイルの隣接する巻きの間に延在する少なくとも1つの歯を有し、
前記少なくとも1つの歯が、前記キャップが回転されると、前記螺旋コイルに沿って移動することによって、前記第2の固定器によって保持される前記螺旋コイルの巻き数が増加または減少するように構成されている、請求項4に記載のホルダー。
【請求項6】
前記発条が螺旋コイルを含み、
前記第1の固定器が、前記可動クリップに連結した第1の端部と、前記発条に係合する第2の端部とを有し、
前記第1の固定器の前記第2の端部が、前記螺旋コイルの隣接する巻きの間に延在する少なくとも1つの歯を有し、
前記少なくとも1つの歯が、前記螺旋コイルに沿って移動して、前記第1の固定器によって保持される前記螺旋コイルの巻き数を増加または減少するように構成されている、請求項4に記載のホルダー。
【請求項7】
前記チューブに連結されたピンを更に備え、前記ピンが前記可動クリップにおいて画定された溝の中へ延び、前記チューブに沿って前記可動クリップの移動をガイドする、請求項1に記載のホルダー。
【請求項8】
前記可動クリップに連結されたピンを更に備え、前記ピンが前記チューブ内に画定された溝を通って延び、前記可動クリップを前記第1の固定器に連結する、請求項1に記載のホルダー。
【請求項9】
前記ピンが、前記第1の固定器を突き抜け、前記チューブに対して前記第1の固定器の回転を防ぐ、請求項8に記載のホルダー。
【請求項10】
前記開口部の内面が、前記物体が前記開口部内に挿入されて保持されると、前記開口部内の一貫した位置に前記物体を導くような形状とされている、請求項1に記載のホルダー。
【請求項11】
ホルダーによって物体を保持する方法であって、
前記ホルダーのチューブに対して前記ホルダーの可動クリップを収縮位置から伸張位置に向かって移動させることであって、前記可動クリップは、前記物体が内部に挿入されると、前記物体を保持するように構成された開口部を有し、前記可動クリップが収縮位置にあるとき前記開口部は前記チューブによって閉じており、前記可動クリップが伸張位置にあるとき前記開口部は開いている、前記可動クリップを移動させることと、
前記開口部が開いているとき、前記物体を前記開口部に挿入することと、
前記可動クリップを解放し、前記物体を前記開口部内に保持することであって、前記チューブ内の発条が前記可動クリップを収縮位置に向かって付勢し、前記発条が、前記チューブの第1の端部にある前記可動クリップに連結された第1の端部と、前記チューブの第2の端部にあるキャップに連結された第2の端部とを有し、前記可動クリップを解放することで、前記可動クリップが、前記開口部内において、前記チューブの前記第1の端部と前記開口部の内面との間に前記物体を保持する、前記可動クリップを解放することと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記キャップを回転させ、前記チューブ内の前記発条が前記可動クリップに及ぼす発条力を調整することを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャップを回転させることによって、前記キャップに連結された固定器の少なくとも1つの歯を、前記発条を形成する螺旋コイルの隣接する巻きの間を移動させ、前記少なくとも1つの歯が、前記固定器によって保持される前記螺旋コイルの巻き数を増加または減少させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記発条を回転させることによって、前記可動クリップに連結された固定器の少なくとも1つの歯を、前記発条を形成する螺旋コイルの隣接する巻きの間を移動させ、前記少なくとも1つの歯が、前記固定器によって保持される前記螺旋コイルの巻き数を増加または減少させることを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記収縮位置と前記伸張位置との間の前記可動クリップの軸方向移動距離が、前記チューブ内に画定された溝の長さによって決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記チューブに対して前記可動クリップを動かすことによって、前記可動クリップに連結されたピンを前記チューブ内に画定された前記溝内で移動させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定プローブを較正バス内に保持するシステムであって、
支持構造であって、
前記較正バスに対して固定された垂直柱と、
前記垂直柱に沿って移動可能であり、前記垂直柱に固定可能な交差支持体と、
を備える、支持構造と、
前記交差支持体によって前記垂直柱に固定可能なホルダーであって、前記交差支持体により、前記較正バスに対する前記ホルダーの垂直および水平方向の位置決めがなされる、ホルダーと、
を備え、前記ホルダーが、
第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有するチューブと、
前記チューブの前記第1の端部にある可動クリップと、
前記チューブの前記第2の端部にあるキャップと、
前記チューブ内の発条と、
前記チューブ内の第1の固定器であって、前記可動クリップを前記発条に連結する第1の固定器と、
前記チューブ内の第2の固定器であって、前記キャップを前記発条に連結する第2の固定器と、を備え、
前記可動クリップが、前記測定プローブが貫通するよう挿入されて、前記測定プローブを内部に保持することができる開口部を有し、
前記キャップが、前記開口部内に前記測定プローブを保持するために前記発条の発条力を調整するよう可動である、
システム。
【請求項18】
前記キャップが、前記発条力を前記可動クリップに及ぼすよう構成された前記発条の発条力を調整するよう回転可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記発条が螺旋コイルを含み、前記発条の発条力が、前記チューブ内の少なくとも1つの歯によって調整可能であり、前記少なくとも1つの歯は、前記螺旋コイルの隣接する巻きの間に延在して前記螺旋コイルに沿って移動して、前記発条力を前記可動クリップに及ぼす前記螺旋コイルの巻き数を増加または減少させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記開口部が、前記測定プローブが前記開口部内に挿入されて保持されると、前記開口部内の一貫した位置に前記測定プローブを導くような形状とされた内面を有する、請求項19に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プローブまたは他の物体を保持するように構成されたホルダー、ならびにホルダーを備えた較正バスを対象とする。ホルダーは、例えば、較正バス内にプローブを保持するために、較正バスに取り付けることができる。本開示は、更に、複数のホルダーを支持するように構成された装置およびシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
一般に、保持構造は、異なる寸法および重量を有する様々な物体を保持するために、調節可能および可動構成要素を用いて設計することができる。保持構造は、ホルダーを3次元、例えば、垂直、水平、および回転で調節することができる構成要素を含み得る。例えば、保持構造は、テーブル、地面、または器具本体のような基準点に固定される立柱を含み得る。立柱は、立柱を表面上に位置決めするのに役立つ立脚部を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
立柱にはホルダークリップを取り付けることができる。ホルダークリップは、異なる寸法を有する物体を保持するための調節可能な開放部を含み得る。従来、開放部の寸法はファスナで調整可能である。また、ファスナは、ホルダークリップが開放部内の物体に及ぼす保持力を決定し得る。例えば、操作者は、ホルダークリップのファスナをねじって、物体に増大する力を加えたり、物体を開放部から放したりすることができる。これらの構成の全てにおいて、従来の保持構造は、操作者が両手を使用することを必要とする。すなわち、一方の手は、ホルダーを固定するために、もう一方の手は、ファスナをねじって、ホルダーの開放部における物体に対する保持力を調整する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、保持装置、システム、ホルダー、および、測定プローブなどの物体を、較正器具などの器具に対して固定された位置に保持するための方法に関する。少なくとも1つの実施形態では、ホルダーは、垂直柱に交差支持体によって固定される。ホルダーの上下左右の位置は、交差支持体を調整することで調整できる。
【0005】
ホルダーは、交差支持体に固定することができるチューブを含む。チューブの第1の端部に取り付けられた可動クリップは、物体を固定位置に保持するように構成される。可動クリップは、物体を挿入し、ホルダーによって保持することができる開口部を含む。可動クリップが開口部内の物体に及ぼす保持力は、チューブに取り付けられたキャップを、例えばチューブの第2の端部で、動かすことによって調節することができる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、キャップは、チューブ内の発条によって可動クリップに連結される。発条は、第1の固定器によって可動クリップに連結され、第2の固定器によってキャップに連結される螺旋コイルであってよい。第1の固定器は、チューブの長手方向軸に沿って可動クリップの軸方向移動を可能にする。可動クリップの軸方向移動は、可動クリップおよび/またはチューブ上の1つまたは複数の溝によって制限することができる。可動クリップの保持力は、第1の固定器および/または第2の固定器によって保持される螺旋コイルの巻き数を変化させることによって調節することができる。キャップおよび/または螺旋コイルの回転運動は、螺旋コイルの隣接する巻きの間で第1および/または第2の固定器の歯を移動させて、第1および/または第2の固定器によって保持される螺旋コイルの巻き数を減少または増加させ、結果として、発条が可動クリップに及ぼす発条力を調節することができる。
【0007】
可動クリップの開口部は、異なる寸法を有する異なる物体が開口部内に保持されることを可能にするように形成される。開口部のサイズは、保持される物体の寸法に合わせて可変である。操作者は、片手でチューブを掴み、可動クリップを軸方向に外側に動かして開口部を開き、開口部内に物体を挿入することができる。可動クリップを外側に動かすと、チューブ内の発条が伸びる。その後、操作者は、可動クリップを解除して、発条の収縮によって物体を開口部内に保持することができ、ここで、物体は、可動クリップの外側端部とチューブの端部との間に保持される。従って、異なる寸法の物体を保持するために開口部のサイズを調節するために、操作者が別個の手を使用する必要はない。更に、可動クリップが物体に及ぼす保持力は、第1の固定器および/または第2の固定器のいずれかによって保持される発条の巻き数の調節に従って可変である。保持システムは、測定器、例えば、較正バスを有するキャリブレータなどの様々な用途で使用することができる。ホルダーが保持する物体は、環境内に位置決めされ、環境の特性を測定する測定プローブであってよい。例えば、その特性は、温度、圧力、湿度、振動、密度、または粘度、またはそれらの組み合わせを含み得る。開口部は、測定プローブが開口部内に挿入されて保持されると、測定プローブを開口部内の一貫した位置に導くような形状である内面を有してもよい。
【0008】
また、本明細書には、例えば測定プローブのような複数の物体を保持するための装置の実施形態が開示されている。装置は、上述のように、例えば、複数のホルダーを同時に連結することができる中央保持装置を含む。各ホルダーは、例えば、チューブ、チューブの端部の可動クリップ、およびチューブ内の発条を含み得る。可動クリップは、物体を開口部内に挿入し、保持することができる開口部を有し、一方、可動クリップ上の発条の発条力は、可動クリップの開口部内に物体を保持するように調節可能である。
【0009】
較正のための複数の測定プローブのような複数の物体を保持するシステムの実施形態は、較正装置(例えば、較正バス)のような別の物体に取り付け可能な垂直柱を有する支持構造を含んでもよい。交差支持体は、垂直柱に沿って移動可能であり、垂直柱に固定可能である。水平柱は、交差支持体によって垂直柱に、および中央保持装置に固定可能である。交差支持体は、較正装置に対する水平柱の垂直および水平方向の位置決めを提供する。中央保持装置は、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部を含み、中央保持装置の周辺部は、複数の水平方向に配向された連結開口部を含む。水平柱は、中央保持装置に連結され、例えば、較正装置に対する中央保持装置を支持する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の態様は、添付の図面と併せて読む際、以下の詳細な説明から最もよく理解される。なお、様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。
図1A図1Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、プローブなどの物体を保持するように構成された保持システムを示す。
図1B図1Bは、1つまたは複数の実施形態による、図1Aに図示される保持システムの詳細な図を提供する。
図2A図2Aは、1つまたは複数の実施形態による、図1Aに図示される保持システムのホルダーを示す。
図2B図2Bは、1つまたは複数の実施形態による、図2Aに図示されるホルダーの断面図である。
図3A図3Aは、1つまたは複数の実施形態による、図2Bに図示されるホルダーの第1の端部の詳細な図を提供する。
図3B図3Bは、1つまたは複数の実施形態による、図2Bに図示されるホルダーの可動クリップの一部分の詳細な図を提供する。
図4図4は、1つまたは複数の実施形態による、図2Bに図示されるホルダーの第2の端部の詳細な図を提供する。
図5図5は、1つまたは複数の実施形態による、図2Bに図示される可動クリップのヘッドの詳細な断面図を提供する。
図6図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による方法を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、プローブなどの複数の物体を保持するように構成された保持システムを示す。
図8図8は、1つまたは複数の実施形態による、図7に図示される中央保持装置の詳細な図を提供する。
図9図9は、1つまたは複数の実施形態による、多段中央保持装置の詳細な図を提供する。
図10図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、プローブなどの複数の物体を保持するように構成された保持システムを示す。
図11図11は、1つまたは複数の実施形態による、中央保持装置に連結された複数の可動クリップの詳細な図を提供する。
図12図12は、1つまたは複数の実施形態による、中央保持装置の別の実施形態に連結された複数の可動クリップの詳細な図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される保持装置、システム、ホルダー、および方法の様々な実施形態は、測定プローブなどの物体を、較正装置などの別の物体に対して固定位置に保持することを可能にする。有利には、ホルダーのユーザ(または操作者)は、片手を用いてホルダーを操作することができる。ホルダーの少なくとも1つの実施形態では、チューブの第1の端部の可動クリップは、チューブの内側の発条によってチューブの第2の端部のキャップに接続されている。操作者は、チューブを掴み、可動クリップをチューブに沿って軸方向に外側に押して、可動クリップの開口部を開き、物体を開口部内に挿入することができる。その後、操作者は、可動クリップを解除でき、発条の発条力で、可動クリップがチューブの第1の端部に向かって引き戻る。物体は、チューブの第1の端部と可動クリップの外側端部の開口部の内面との間の開口部の内側に保持される。
【0012】
可動クリップ上の発条によって加えられる発条力の量は調節可能であり、それにより、可動クリップが開口部内に保持される物体に及ぼす保持力の量の調節が可能になる。可動クリップが物体に及ぼす保持力の量を増減すると、可動クリップとチューブの第1の端部によって物体にかかる摩擦力が増減する。様々な実施形態では、保持力は、各物体を保持するために動的に調整されてもよく、または特定の操作の間にホルダーによって保持される物体の特性に基づいて特定の操作の開始時にのみ調整されてもよい。保持力が設定されると、ホルダーの開口部に配置されるのと同じサイズの各物体に、同じ保持力が作用する。
【0013】
発条は、可動クリップを、発条の端部に連結された第1の固定器および第2の固定器を使用してキャップに連結する螺旋コイルであってよい。可動クリップの発条によって加えられる発条力は、第1の固定器および/または第2の固定器によって保持される螺旋コイルの巻き数を変化させることによって調節可能である。第1の固定器および/または第2の固定器は、螺旋コイルの隣接する巻きの間に延在する歯を有してよい。キャップおよび/または螺旋コイルの回転運動は、螺旋コイルの巻きに沿って歯を移動させて、第1の固定器および/または第2の固定器によって保持される螺旋コイルの巻き数を増加または減少させ、結果として、発条が可動クリップに及ぼす発条力を調節することができる。
【0014】
更に、可動クリップの開口部は、有利には、異なる寸法を有する異なる物体が開口部内の一貫した位置に保持されることを可能にするように形成されてよい。開口部の内面は、物体が開口部内に挿入され、その開口部内に保持されるときに、測定プローブなどの物体を開口部内の一貫した位置に導くような形状となっている。この保持システムは、温度などの環境特性を測定する測定プローブを保持するために、較正バスを有するキャリブレータなどの測定器など、様々な用途に使用することができる。
【0015】
図1Aは、測定プローブ150を固定位置に保持するように構成された保持システムの斜視図である。保持システムは、例えば、較正バス170を有する測定器など、様々な用途で使用することができる。測定プローブ150は、環境内に配置され、環境の特性(例えば、較正バス170内の流体)を測定する測定ツールであってよい。例えば、その特性は、温度、圧力、湿度、振動、密度、または粘度、またはそれらの組み合わせを含み得る。様々な実施形態では、保持システムは、測定プローブ150以外の物体を保持するために使用されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、保持システムは、ホルダー100、垂直柱160、及びホルダー100を垂直柱160に連結する交差支持体162を含む。ホルダー100は、ホルダー100の開口部128を通して選択的に挿入される測定プローブ150または他の物体を保持するように構成される。開口部128の寸法は、挿入された物体の寸法に基づいて自動的に調整される。ホルダー100のy軸に沿った垂直位置、及びx軸とz軸に沿ったホルダー100の水平位置は、交差支持体162を用いて調整することができる。垂直柱160は、測定プローブ150に関連して操作される機器に対する位置に固定されてよい。いくつかの実施例において、垂直柱160は、器具又はスタンドに取り付け可能な端部160aを有する柱状のカラムである。このようにして、端部160aは、(図1Bに示されるように)器具またはスタンドに挿入される軸方向に延在するピンを含み得る。スタンドは、図1Aに示す較正バス170のような、器具の表面上に、または、器具の表面に隣接して取り付けることができる。更に、または代替的に、ピンは、器具またはスタンドの構成要素に固定され得るクリップに挿入されてもよい。垂直柱160の材料は、電気および/または熱エネルギーの流れに関して、低導電性または絶縁体であり得る。いくつかの実施例では、垂直柱160の材料は、ステンレス鋼であり得る。いくつかの実施例では、ホルダー100の材料は、垂直柱160の材料と同じであり得る。低導電性材料を使用することにより、ホルダー100は、高温環境において高温測定プローブ150を保持することができる。
【0017】
図1Bは、図1Aに示される保持システムのより詳細を含む斜視図である。上述のように、交差支持体162は、ホルダー100を垂直柱160に固定する。交差支持体162は、垂直柱160に沿って垂直に移動可能であり、y軸におけるホルダー100の垂直位置を調整する。また、交差支持体162は、x軸およびz軸の平面内でホルダー100の水平位置を調整するために、垂直柱160の周りを回転移動可能である。交差支持体162は、第1の開放部162a、第2の開放部162b、第1のネジ164と、第2のネジ166を含む。ホルダー100は、第1の開放部162aに軸方向に挿入することができる。第1の開放部162aの寸法は、第1のネジ164によって調節可能である。
【0018】
ホルダー100の長さは、ホルダー100の適用に基づいて設計することができる。例えば、ホルダー100の長さは、ホルダー100が有毒または高温環境で使用されるように設計されている場合により長くすることができる。ホルダー100の有効長は、垂直柱160と開口部128との間の水平距離として定義され得る。ホルダー100の有効長は、第1の開放部162a内部でホルダー100の軸方向移動によって調節可能である。このようにして、第1のネジ164の回転は、ホルダー100の軸方向移動のために第1の開放部162aを開くことができる。ホルダー100の有効長が所望の長さに調整されると、第1のネジ164の回転は、ホルダー100を第1の開放部162aの内部に固定することができる。
【0019】
同様の方法で、垂直柱160は、第2の開放部162bの内側を垂直に移動することができる。第2のネジの回転は、第2の開放部162b内部の垂直柱160の垂直移動のために開放部162を開放することができる。交差支持体162の垂直位置と、その結果として、垂直柱160に対してホルダー100が所望の位置に調整されると、第2のネジ166の回転は、垂直柱160を所望の位置で第2の開放部162bの内側に固定することができる。交差支持体162の材料は、ホルダー100の材料および垂直柱160の材料と同じであっても、異なるものであってもよい。いくつかの例において、第1の開放部162a内のホルダー100の最大および最小の水平移動限界は、ホルダー100上の目に見える標識によって示されてもよい。最大および最小水平移動限界は、第1のネジ164の強度および第1の開放部162aの設計に基づいて決定されてよい。同様の方法で、第2の開放部162b内の垂直柱160の最大および最小の垂直移動限界は、垂直柱160上の目に見える標識によって示されてもよい。最大および最小垂直移動限界は、第2のネジ166の強度および第2の開放部162bの設計に基づいて決定されてよい。
【0020】
第2のネジ166および第2の開放部162bは、垂直柱160の周囲および垂直柱160沿いに交差支持体162の移動の自由を提供する。第2のネジ166の回転は、垂直柱160上の第2のネジ166によって加えられる力を解放することができ、その後、交差支持体162は、垂直柱160を中心に回転し、上下に移動することができる。交差支持体162が所望の位置に配置されると、第2のネジ166の回転は、交差支持体162を所望の位置で垂直柱160に固定することができる。同様の方法で、第1のネジ164および第1の開放部162aは、第1の開放部162aの内部でホルダー100の回転および軸方向移動の自由を提供する。第1のネジ164の回転は、ホルダー100上の第1のネジ164によって加えられる力を解放することができ、その後、ホルダー100は、内部で回転し、第1の開放部162a内で軸方向に移動することができる。ホルダー100が所望の位置に配置されると、第1のネジ164の回転によってホルダー100を所望の位置に固定することができる。
【0021】
図2Aは、図1Aおよび1Bに図示および説明される保持システムのホルダー100を示す。ホルダー100は、チューブ110、可動クリップ120、及びキャップ130を含む。チューブ110は、第1の端部110aおよび第2の端部110bを有する細長い形状を有する。可動クリップ120は、第1の端部110aに取り付けられ、キャップ130は、第2の端部130に取り付けられる。様々な実施形態では、チューブ110の材料は、図1Aおよび1Bに示される垂直柱60の材料と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。可動クリップ120の材料は、キャップ130の材料と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。いくつかの実施例では、可動クリップ120およびキャップ130の材料は、垂直柱160の材料と同じである。
【0022】
様々な実施形態では、チューブ110は、外径110cを有する円形の断面形状を有する。外径110cは、チューブ110に沿って一貫していてもよい。可動クリップ120は、第1の部分120a及び第2の部分120bを含む。第1の部分120aは外径120cを有し、第2の部分120bは外径120dを有する。図示の実施形態では、直径120cは直径120dより大きい。直径120dは、外径110cよりも大きく、その結果、可動クリップ120はチューブ110の外面上を軸方向にスライドすることができる。直径120cが直径120dよりも大きくなるように構成することによって、開口部128は、開口部128に挿入された物体と接触するより大きな表面積を有する。接触面が大きいほど、物体がホルダー100によって保持されるときの物体の安定性が増大する。
【0023】
可動クリップ120の第2の部分120bは、チューブ110に沿って可動クリップ120の軸方向移動をガイドし、可動クリップ120の軸方向移動の限界を画定する第1の溝126aを有する。チューブ110に連結された第1のピン122は、第1の溝126a内に外方に延び、可動クリップ120がチューブ110に沿って伸びて引っ込んだとき、第1の溝126a内を移動する。可動クリップ120に連結された第2のピン124は、チューブ110内に画定された第2の溝126b内に内方に延びる。第2の溝126bは、可動クリップ120の第2の部分120bの下に隠れているが、図2Bおよび図3Aに示されており、以下で更に詳細に説明されている。いくつかの実施形態では、単一のピン(例えば、第1のピン122又は第2のピン124)及び単一の溝(例えば、第1の溝126a又は第2の溝126b)のみを使用して、可動クリップ120の軸方向移動を制御することができる。
【0024】
キャップ130は、キャップ130がチューブ110の内径110cよりも大きい外径130d(すなわち、外径幅)を有する外側部分130aを有する、任意の寸法または形状を有する構造体と広く考えられる。したがって、キャップ130は、チューブ110の外側に保持される。キャップ130は、チューブ110の第2の端部110bの内側に延びるより小さな内側部分130b(図4参照)を有する。以下の説明から理解されるように、キャップ130の外側部分130aは、可動クリップ120に加えられ、したがって、開口部128に挿入された物体上の可動クリップ120によって加えられるチューブ110内の発条140の発条力を調整するために移動することができる(例えば、回転する)。更に、外側部分130aは、ホルダー110の操作者がチューブ110の第2の端部110bからキャップを外側に引っ張り、発条140にアクセスすることを可能にする。本明細書に記載されるように、チューブ110の第2の端部110bにおけるキャップ130を用いて発条140の発条力を調整することは、操作者がチューブ110の第1の端部110aから可動クリップ120を取り外すことを必要とせずに、可動クリップが開口部128内の物体に及ぼす保持力を調整することを可能にするという点で有益である。例えば、ホルダー100がプローブを高温較正バス(例えば、図1Aの較正バス170)内に保持するために使用されている場合、または有毒な環境下では、プローブおよび危険な環境に近いチューブ110の第1の端部110aへのアクセスを排除できる。本明細書に記載されるように構成されたホルダー100を用いて、操作者は、チューブ110のプローブまたは第1の端部110aに触れることなく、チューブ110の第2の端部110bから可動クリップ120の保持力を調節することができる。様々な実施形態では、ホルダー100の発条力(およびそれによって保持力)は、物体がホルダーに配置されるたびに動的に調整されてもよく、または発条力は、特定の操作の過程の間にホルダー100によって保持されるべき物体のグループの特徴に基づいて、特定の操作の開始時に一度だけ調整されてもよい。このように、発条力が調整されると(例えば、物体の平均または最大重量、寸法、または材料に応じて)、ホルダー100は、発条140の発条力が再調整されるまで、開口部128内に挿入された物体を保持するために、一貫して、各物体に対して同じ保持力を発揮する。
【0025】
いくつかの実施例では、発条140の発条力、従って可動クリップ120の保持力は、操作者の代わりに自動制御システムによって調整されてもよい。このような例では、発条力は、センサ、例えば、チューブ110の内側または第1の溝126aの内側に配置されたセンサによって検出することができる。センサは、ロードセル、ひずみゲージ、又は力感知抵抗器のような任意のタイプの機械的力センサであってよい。発条140の発条力を示すセンサからの信号を制御装置に送信することができる。制御装置は、発条140またはキャップ130に適用される機械的運動を制御することができる。例えば、機械的運動は、ステッパモータによって適用することができる。制御装置は、示された発条力に基づいて制御信号を生成し、制御信号をステッパモータに送ることができる。制御装置は、ホルダー100によって保持されるべき物体の重量および寸法に基づいて最小および/または最大の発条力を発生する実行可能プログラムでプログラムされてもよい。制御装置は、示された発条力を最小および/または最大閾値と比較し、制御装置が発条140の発条力が最小閾値より低いことを検出すると、制御信号は、発条力を増加させる方向にステッパモータによってキャップ130の運動を作動させることができる。同様に、制御装置が発条力が閾値よりも高いことを検出すると、制御信号は、発条力を減少させる方向にステッパモータによってキャップ130の運動を作動させることができる。この制御システムは、発条力の自動化された正確な調節を可能にするが、一方、操作者は、物体をホルダーの開口部128に挿入するだけでよく、場合によっては、物体の重量および/または寸法を制御装置に入力する必要がある。或いは、物体の重量および/または寸法は、ホルダー100に連結された1つまたは複数のセンサ、によって自動的に検出され、開口部128のサイズを検出し、したがって、可動クリップ120が解放された後、および/または物体を開口部128内に物体を保持するために物体上の可動クリップ120の不十分な摩擦力を検出することができる。1つまたは複数のセンサは、検出された重量および/または寸法データを制御装置に自動的に通信することができる。
【0026】
図2Bは、図2Aに示すホルダー100の断面図であり、ホルダー100の内部をより詳細に示す。この図では、ホルダー100の内部構成要素を概略的に示すために、断面切断がチューブ110および可動クリップ120から取り除かれている。図2Bに示される構成要素の相対的寸法は、開示の異なる実施形態に対して異なり得る。図示のように、ホルダー100の内部構成要素は、第1の固定器112、第2の固定器114、および発条140を含む。上述のように、キャップ130の一部、第1のピン122の一部、および第2のピン124の一部も、チューブ110の内側にある。
【0027】
図2Bでは、チューブ110内の第2の溝126bは、可動クリップ120内の第1の溝126aが示されていない間に見える。上述のように、第2のピン124は、可動クリップ120に連結され、チューブ110内の第2の溝126bを通って延びる。チューブ110の内部では、第2のピン124は、第1の固定器112の第1の部分112aを突き抜ける。したがって、第2のピン124は、第1の固定器112を可動クリップ120に連結する。第1の固定器112の第2の部分112bは、発条140の第1の端部140aに連結される。第1の固定器112は、第2のピン124によって発条140の発条力を可動クリップ120に変換する。第1の固定器112、すなわち可動クリップ120の最大および最小の軸方向移動は、第2の溝126bの長さによって画定される。いくつかの例において、ホルダー100は、X軸を横切って対称であり得る。このようにして、チューブ110は、第2の溝126bとは反対に画定される第3の溝126cを含む。第2のピン124は、第3の溝126cを通って可動クリップ120内に延びることができ、従って、第1の固定器112をy軸における可動クリップ120の上側部分および下側部分の両方に連結する。2つの溝126b、126cを介して第2のピン124を可動クリップ120に連結することにより、可動クリップ120と第1の固定器112との軸方向移動の安定性を高めることができる。
【0028】
図示のように、発条140は、螺旋コイルであってもよい。発条140によって可動クリップ120に加えられる発条力、従って可動クリップによって開口部128内の物体に加えられる保持力は、可動クリップ120をキャップ130に接続する発条140の有効長(螺旋コイルの巻き数)を調整することによって調整することができる。可動クリップ120をキャップ130に接続する発条140の螺旋コイルの巻き数を変えることは、発条140の有効長、従って発条140の発条力を増加または減少させる。例えば、チューブ110の固定長の螺旋コイルの巻き数を減らすことは、発条140の延長をもたらし、発条140によって加えられる軸方向の発条力を増大させる。これとは対照的に、チューブ110の同じ固定長における螺旋コイルの巻き数を増加させることは、発条140によって加えられる軸方向の発条力を減少させる。発条140の発条力を調整することにより、可動クリップ120、すなわちホルダー100の保持力が変化し、異なる重量および寸法を有する異なる物体を保持することができる。重い物体を安定した位置に保持するために、発条140によって保持力を増加させて、可動クリップ120およびチューブ110aの第1の端部によって物体の摩擦を増加させることができる。
【0029】
発条140の第1の端部140aは、第1の固定器112の第2の部分112bによって保持される。発条140の第2の端部140bは、第2の固定器114の第2の部分114bによって保持される。第2の固定器114は、キャップ130に連結された第1の端部114aを含む。第1の固定器112は、チューブ110の第1の端部110aに向かって位置決めされ、第2の固定器は、チューブ110の第2の端部110bに向かって位置決めされる。様々な実施形態では、第1の固定器112の第2の端部112bは、発条140の第1の端部140aにおける螺旋コイルの隣接する巻きの間に外側に延びる第1の歯部112cを含む。同様に、第2の固定器114の第2の端部114bは、発条140の第2の端部140bにおける螺旋コイルの隣接する巻きの間に外側に延びる第2の歯部114cを含む。いくつかの実施形態において、第1の固定器112は、同じ構造を有し、第2の固定器114と同じ材料で構成され得る。発条140の有効長は、第1の固定器112の第1の歯112cと第2の固定器114の第2の歯114cとの間の固定距離として画定することができる。従って、発条140の発条力は、発条140の螺旋コイルの巻き数を発条140の有効長で変えることによって調整することができる。
【0030】
様々な実施形態では、発条140の有効長における巻き数は、キャップ130の回転運動によって変更され得、これは、第2の固定器114の回転運動に変換される。第2の固定器114を回転させることによって、第2の歯114cは、発条140の螺旋コイルの隣接する回転に沿って移動することができる。螺旋コイルに沿った第2の歯114cの位置に応じて、螺旋コイルの巻き数は、第2の固定器114の第2の歯114cによって保持されてもよく、従って、発条140の有効長における螺旋コイルの巻き数を変化させてもよい。例えば、第2の固定器114の時計回りの回転は、第2の歯114cが第1の端部114aに向かってより多くの巻き数を保持し、一方、第1の歯112cと第2の歯114cとの間の巻き数を減少させる。この状態は、発条140の螺旋コイルを延長し、発条140によって加えられる発条力を増加させる。対照的に、第2の固定器114の反時計回りの回転は、第2の歯114cが第1の固定器112に向かって螺旋コイルの巻き数を解放し、第1の歯112cと第2の歯114cとの間の巻き数を増加させる。この状態は、発条140の螺旋コイルが、発条140によって加えられる発条力を後退させ、減少させる。第2の固定器114の回転運動は、キャップ130を回転させることによって適用することができる。第2の固定器114の第1の部分114aは、キャップ130の一部に挿入されるか、または他の方法で連結されてもよい。これにより、キャップ130の回転運動を第2の固定器114の回転運動に変換することができる。
【0031】
あるいは、第2の固定器114は、発条140の第2の端部140bに固定されてもよい。従って、キャップ130及び第2の固定器114の回転運動は、発条140の螺旋コイルを同じ方向に回転させることができる。第2のピン124が第1の固定器112の回転運動を防止するように、発条140の螺旋コイルは、第1の固定器112の第2の部分112bを越えて回転する。その結果、第1の歯112cは、発条140の第1の端部140aにおける螺旋コイルの巻きに沿って進み、第1の歯112cによって保持される螺旋コイルの巻き数を増加または減少させる。従って、発条140を回転させるキャップ130を回転させることによって、発条140の第1の端部140aにおけるより多くの巻き数が、発条140の有効長における巻き数を減少させ、発条140によって加えられる発条力を増加させるために、第1の固定器112の第1の部分112aに向かって保持されてもよい。キャップ130および発条140の逆回転は、発条140の有効長における螺旋コイルの巻き数を増加させ、その結果、発条140によって加えられる発条力を減少させるために、第1の歯112cによって保持される発条140の第1の端部140aにおける巻き数を減少させることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、発条140の第2の端部140bは、第2の固定器114なしでキャップ130に直接連結することができる。このような状況では、キャップ130の回転は、発条140の螺旋コイルを直接回転させる。或いは、歯は、発条140の螺旋コイルの隣接する巻きの間に、チューブ110の内側に内方に伸びることができる。このような代替的な構成では、発条140の螺旋コイルは、キャップ130によって回転することができ、一方、内方に延びた歯は、螺旋コイルの巻きに沿って移動し、発条140の有効長における螺旋コイルの巻き数を調整する。
【0033】
いくつかの実施例では、第2の固定器114の第2の部分114bは、(発条140の第2の端部140bの内側に挿入される代わりに)発条140の第2の端部140bを囲むことができる。このような例では、第2の固定器114は、中空管の内側に内方に延びた歯を有する中空管を含むことができる。発条140の第2の端部140bは、第2の固定器114の中空管に挿入することができ、中空管の歯は、発条140の螺旋コイルの隣接する巻きの間を移動することができる。発条140の有効長における発条140の巻き数は、第2の固定器114の第2の部分114bを回転させることによって、上述したのと同様の方法で調整することができる。このような例では、第1の固定器112の構造および寸法は、第2の固定器114と同様であるか、または異なることができる。
【0034】
図3Aは、チューブ110の第1の端部110aにおいて、可動クリップ120の第2の部分120bに連結されている第1の固定器112をより詳細に示す。図3Aでは、第2の溝126b、第3の溝126c、第1の固定器112、第1のピン122、及び第2のピン124の形状及び寸法がより明確に示されている。チューブ110の第1の端部110aとz軸の可動クリップ120の半分は、図2Bと同様に模式的に除去され、ホルダー100の内部構成要素を示す。
【0035】
いくつかの実施形態において、可動クリップ120の第2の部分120bは、x軸に沿ったチューブ110の円形断面と同心になり得る円形断面を有する。図示のように、第2の部分120bは、図2Aにおいて上述した直径120dよりも小さい内径120eを有する。内径120eは、チューブ110の外径110cよりも僅かに大きくなっている。直径120eと外径110cとの間の差により、x軸におけるチューブ110の外面にわたる可動クリップ120の自由な軸方向移動が可能になる。いくつかの実施形態では、チューブ110の第1の端部110aの外面または可動クリップ120の第2の部分120bの内面は、対向する摺動面間の摩擦を低減するための被覆材料を含み得る。被覆材料は、潤滑塗料のような任意のタイプの抗摩擦被覆(AFC)であり得る。或いは、異なるタイプの乾式または湿式潤滑剤を使用して、表面間の摩擦を低減し、チューブ110の第1の端部110aに沿って可動クリップ120を自由に軸方向に移動させることができる。
【0036】
第1の固定器112は、幅112eを有する第1の部分112aと、z軸に幅112fを有する第2の部分112bとを備える。図示のように、幅112eは、幅112fよりも大きく、チューブ110の外径110cよりも小さい。第1の部分112aは、第2のピン124を介して第1の固定器112を可動クリップ120に連結することを可能にする開口部112hを含む。第2のピン124は、開口部112hを突き抜け、可動クリップ120の第2の部分120bに連結される。このようにして、第2のピン124は、可動クリップ120が延長され又は引っ込められたときに、可動クリップ120及び第1の固定器112を一緒に移動させる。幅112eと比較して第2の部分112bの幅112fが小さいため、第2の部分112bを発条140の第1の端部140aに挿入することができる。幅112fは、発条140の螺旋コイル内を自由に移動するのに十分小さいように設計されている。この目的のために、幅112fは、発条140の螺旋コイルの直径140c未満である。第2の部分112bは、第1の歯112cを含む。いくつかの実施例では、対向歯112dは、z軸において第1の歯112cに対向する第2の部分112bからも延びることができる。第1の歯112cの外端から対向歯112dの外端までの幅は、発条140の直径140cよりも大きい。従って、第1の歯112cと対向する歯112dは、発条140の螺旋コイルの隣接する巻きの間に位置決めされる。第1の固定器112の実施形態は、1つの歯112cのみを利用することができるが、2つの歯112c及び112dを使用することにより、第1の固定器112は、1つの歯を有する固定器よりも大きな安定性で発条140を保持することができる。更に、第1の固定器112の実施形態は、互いに対向して整列された2つの歯112c及び112dを利用することができるが、他の実施形態では、第1の歯112cの位置は、対向歯112dの位置とx軸で整列されないこともあり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の固定器112の第2の部分112bは、発条140に対して移動可能であり、発条140によって加えられる発条力を調整することができる。発条140を回転させることによって、第1の歯112c(および対向歯112d)は、螺旋コイルの巻きの間を移動し、第1の固定器112によって保持される巻き数を減少または増加させ、それによって、発条140の有効長における巻き数を増加または減少させ、これにより、発条140によって加えられる発条力を減少または増加させる。
【0038】
第1の部分112aが第2の溝126b及び第3の溝126cを貫通する第2のピン124によって固定されるいくつかの実施形態では、第2の部分112bは、第1の部分112aに対して移動可能となるように構成されてもよい。例えば、第2の部分112bは、第1の部分112aが固定されている間に第2の部分112bが回転することを可能にする回転可能な構成要素を有する第1の部分112aに取り付けられてもよい。
【0039】
第2のピン124は、y軸に沿った長さ124aを有する。長さ124aは、可動クリップ120の内径120eよりも大きい。第2のピン124の第1の端部は、可動クリップ120の第2の部分120b上の穴の内側に固定することができる。第2のピン124の第2の端部は、第2の穴を有する第2の部分120bに固定することもできる。第2のピン124は、第2の溝126bの内側のチューブ110に沿って画定された長さだけ軸方向に移動することができる。いくつかの実施例では、第3の溝126cは、ピン124の第2の端部が第2の穴に取り付けられ、可動クリップ120と共に移動することを可能にするために、チューブ110内にも存在する。第2の溝126bは、x軸に長さ116bを有する。長さ116bは、第2のピン124の軸方向移動を制限し、その結果、可動クリップ120の軸方向移動を制限する。従って、長さ116bは、可動クリップ120の必要な移動量に基づいて設計することができる。いくつかの実施例では、長さ116bは、調節可能であり得る。このような方法で、取り外し可能な物体を第2の溝126bの内側に配置することができる。操作者は、取り外し可能な物体を第2の溝126bの内部に挿入または取り外すことによって、長さ116bを調整することができる。その結果、可動クリップの軸方向移動量を調整することができる。第3の溝126cは、第2の溝126bと同じ構造および寸法で設計され、x軸に沿って第2のピン124の一貫した移動を提供することができる。更に、溝は、第2のピン124の直径よりも大きいz軸の幅を有し、第2のピン124が溝内を移動することを可能にする。溝の幅は、第1固定器112と同様に、可動クリップ120の回転運動を制限する。
【0040】
第1のピン122は、チューブ110の第1の端部110aに固定される。第1のピン122の長さ122aは、可動クリップ120の内径120eよりも大きい。いくつかの例では、第1のピン122の寸法および構造は、第2のピン124と同じであり得る。長さ122aおよび124aは、可動クリップ120の第2部分120bの外面に滑らかに接線方向となるように、可動クリップ120の外径120dと同じか、またはわずかに異なるものとなり得る。第1のピン122は、第2のピン124に対して垂直に配置されてもよい。第1のピン122は、チューブ110の第1の端部110から、チューブ110の一方の側の穴、またはチューブ110の反対側の2つの穴を通って延びてもよい。可動クリップ120の第2の部分120bは、図3Aには示されていないが図3Bに示され説明される第2の溝126bを含む。
【0041】
図3Bは、図3Aに説明した可動クリップ120の第2部分120bの外観図である。第1の溝126aは外観から見え、第2の溝126bは可動クリップ120の第2部分120bの下に隠れている。第1の溝126aは、長さ116aを有する。長さ116aは、可動クリップ120の軸方向移動の限界を画定することができる。いくつかの実施態様において、第1の溝126aの長さ116aは、第2の溝126bの長さ116bと同じであり得る。或いは、長さ116aは、長さ116bと異なり得る。より小さな長さを有する溝は、可動クリップ120の軸方向移動を制限することができる。また、第1の溝126aは、可動クリップ120の第1の方向への軸方向移動を制限するように配置することができ、一方、第2の溝126bは、第1の方向と反対の第2の方向への軸方向移動を制限する。様々な実施形態では、ホルダー100は、溝126a、126bのうちの1つのみを利用することができる。このような実施形態では、ホルダー100は、チューブ110および第1の溝126aに連結された第1のピン122、または可動クリップ120および第2の溝126bに連結された第2のピン124のみを含んでもよい。可動クリップ120の第2の部分120bは、図3Bに隠れている第1の溝126aとは反対側の別の溝をさらに含み得る。反対側の溝は、第1の溝126aと同じ構造および寸法を有してもよく、第1のピン122は、溝126aおよび可動クリップ120の反対側の溝の両方内を移動してもよい。可動クリップ120の第2の部分120bの全長120bLは、第1の溝126aの長さ116aと第2の溝126bの長さ116bとの和以上となり得る。
【0042】
第1の溝126aの幅は、第1のピン122の直径よりも大きく、第1のピン122が第1の溝126a内を移動することを可能にする。第1の溝126aの幅は、第2の溝126bの幅と同じになり得る。y軸における第1の溝126aの幅は、可動クリップ120の回転運動を制限する。2つのピン126aおよび126bを使用することにより、可動クリップ120の性能および安定性を高めることができる。更に、2つのピン126aおよび126bと対応する溝を有するホルダー100の信頼性は、1つのピンのみを有するホルダーと比較して向上され得る。このような実施形態では、ピンの1つは、別のピンのバックアップとして機能することができる。一方のピンが対応する溝内で緩んだ場合、他方のピンおよび溝は、依然として十分な安定性を提供し、ホルダー100の性能を維持し得る。
【0043】
いくつかの実施態様において、第1の溝126aの長さ116aは、調整可能であり得る。長さ116aを調整することにより、可動クリップ120の軸方向移動量を調整することができる。第1の溝126a内の第1のピン122の移動を制限するために、取り外し可能な物体を第1の溝126a内に挿入してもよい。例えば、取り外し可能な物体は操作者がアクセス可能な外側部分と、第1の溝126aに連結された内側に延びた部分とを含むことができる。操作者は、第1の溝126aに沿って物体を移動させて、第1の溝126aの有効長を変更することができる。いくつかの実施形態では、操作者は、取り外し可能な物体を挿入して、ある条件下で長さを調整し、長さ116aが十分であり、調整の必要がない場合に、物体を取り外すことができる。
【0044】
図4は、チューブ110の第2の端部110bにおける、キャップ130に連結された第2の固定器114のより詳細を示す。図示の実施形態では、第2の固定器114及びキャップ130の形状及び寸法が明確に示されている。z軸のチューブ110の第2の端部110bの一部は、図2Bと同様に模式的に取り去られ、ホルダー100の内部構成要素を示す。
【0045】
第2の固定器114は、幅114eを有する第1の部分114aと、z軸に幅114fを有する第2の部分114bとを備える。図示のように、幅114eは、幅114fよりも大きく、チューブ110の外径110cよりも小さい。いくつかの例において、第2の固定器114の構造および寸法は、図3Aに記載される第1の固定器112と同じであり得る。第1の部分114aの幅114eと比較して第2の部分114bの幅114fが小さいため、第2の部分114bを発条140の第2の端部140bに挿入することができる。幅114fは、発条140の螺旋コイル内を自由に移動するのに十分小さいように設計されている。この目的のために、幅114fは、発条140の螺旋コイルの直径140c未満である。第2の部分114bは、第2の歯114cを含む。いくつかの実施例では、対向歯114dは、z軸において第2の歯114cに対向する第2の部分114bからも延びることができる。第2の歯114cの外端から対向歯114dの外端までの幅は、発条140の直径140cよりも大きい。従って、第2の歯114cと対向する歯114dは、発条140の螺旋コイルの隣接する巻きの間に位置決めされる。第2の固定器114の実施形態は、1つの歯114cのみを利用することができるが、2つの歯114c及び114dを使用することにより、第2の固定器114は、1つの歯を有する固定器よりも大きな安定性で発条140を保持することができる。更に、第2の固定器114の実施形態は、互いに対向して整列された2つの歯114c及び114dを利用することができるが、他の実施形態では、第2の歯114cの位置は、対向歯114dの位置とx軸で整列されないこともあり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の固定器114の第2の部分114bは、発条140に対して移動可能であり、発条140によって加えられる発条力を調整することができる。第2の固定器114を回転させることによって、第2の歯114c(および対向歯114d)は、螺旋コイルの巻きの間を移動し、第2の固定器114によって保持される巻き数を減少または増加させ、それによって、発条140の有効長における巻き数を増加または減少させ、これにより、発条140によって加えられる発条力を減少または増加させる。第2の固定器114の移動は、外部動力源によるキャップ130の移動によって提供され得る。例えば、キャップ130上の回転力は、操作者によって手動で、または図2Aに関して上述したような外部制御システムによって自動的に印加されてもよい。
【0047】
キャップ130は、外側部分130a及び内側部分130bを含む。チューブ110が円形の断面形状を有する実施形態では、外側部分130aおよび内側部分130bは、同様の円形の断面形状を有してもよい。外側部分130aは、直径130d及び長さ130aLを有する。内側部分130bは、直径130e及び長さ130bLを有する。直径130dは、チューブ110の外径110c以上である。直径130eは、チューブ110の外径110cより小さい。外側部分130aのより大きな直径130dは、キャップ130がチューブ110の第2の端部110bにおいてチューブ110の外側に保持されることを可能にする。更に、外側部分130aの長さ130aLは、操作者によるキャップ130の把持およびねじれを容易にするのに十分な表面を提供する。いくつかの例では、操作者は、外側部分130a上のx軸に外向きの力を加えることによって、キャップ130をチューブ110から引き離すことができる。キャップ130をチューブから離れるように引っ張ることによって、操作者は、発条140および第2の固定器114を点検または維持することができ、また、第2の固定器114または発条140を手動で回転させて、先に説明したように、発条140の有効長における発条140の螺旋コイルの巻数を変更することができる。より小さい直径130eにより、キャップ130の内側部分130bがチューブ110に挿入され、キャップ130上の任意の外部回転力を第2の固定器114に移動させるために自由に回転することができる。
【0048】
内側部130bは、x-z平面におけるy軸に沿った開放部130cと間隙130gを含む。第2の固定器114の第1の部分114aは、キャップ130に取り付けられるべき間隙130gに挿入され得る。第1の部分114aを間隙130gを介してキャップ130に連結することにより、第2の固定器114はキャップ130の移動と同じ力で同じ方向に移動することができる。いくつかの実施形態において、ピンは、開放部130cを通って、第2の固定器114の第1の部分114a上の開口部に通され、第2の固定器114をキャップ130に固定することができる。このようなピンおよび開口部は図4には示されていないが、第2の固定器114のピンおよび開口部の配置は、第2のピン124および第1の固定器112の開口部112hの配置と同様であり得る。
【0049】
図5は、可動クリップ120の第1の部分120aのより詳細を示す。チューブ110の第1の端部110aとz軸の可動クリップ120の一部は、図2Bと同様に模式的に取り除かれ、可動クリップ120の内部の形状および寸法を示す。第1の部分120aは、y軸に沿って延びる開口部128を含む。開口部128は、x軸に沿って第1の開放部128aおよび第2の開放部128bを含む。第1の開放部128aおよび第2の開放部128bは、チューブ110の第1の端部110aと同心にすることができる。第1の開放部128a及び第2の開放部128bは、チューブ110の外径110cよりも僅かに大きい直径128dを有する。開放部128a及び128bは、チューブ110の第1の端部110aがx軸方向に開口部128内を移動することを可能にする。
【0050】
開口部128は、x軸に直径128cを有する。いくつかの実施形態において、開口部128のサイズは、z軸およびx軸において対称であり得る。いくつかの実施態様において、開口部128は、x-z平面断面における四隅を有するダイヤモンド形状であってもよい。いくつかの実施形態において、全ての4つの角は、同じ形状および同じ寸法を有してもよい。いくつかの実施態様において、開口部128の各角部は、凹形を有してもよい。角部の凹形は、異なる寸法を有する物体を、開口部128内の一貫した位置に保持することを可能にする。或いは、角部の一部または全部を凸状にして、開口部128に挿入された比較的小さい物体に方向付けされた保持力を与えることができる。
【0051】
可動クリップ120の収縮位置において、チューブ110の第1の端部110aは、開放部128aの内側を移動可能クリップの外端に向かって移動し、開口部128を閉じる。操作者は、チューブ110の第1の端部110aから軸方向に外側に向かって可動クリップ120を伸張位置に移動させて、図5に示すように、開口部128を開く。これは、発条140を可動クリップ120と共に延在させ、したがって可動クリップ120に大きな発条力を与える。可動クリップ120を伸張位置にすることにより、物体を開口部128に挿入することができる。物体を開口部128に挿入した後、操作者は、可動クリップ120を解放することができ、その上で、発条140は、可動クリップを収縮位置に向かって付勢する。これにより、チューブの第1の端部110aは、第1の端部11aが物体に接触するまでx軸上の第2の開放部128を通ってスライドし、これにより、チューブ110の第1の端部110aと、可動クリップ120の外端部における開口部128の内面との間の物体を捕捉する。可動クリップ120の外側端部および第1の端部110aによって物体に加えられる摩擦力は、物体を開口部128内に保持する。
【0052】
従って、可動クリップ120を解除することによって、発条140は、開口部128内の物体の最大寸法によって決定される最大可能位置まで引き込まれる。開口部128内の物体の最大寸法は、開口部128の直径128c以下となり得る。従って、物体の第1の表面は、チューブ110の第1の端部110aに対して接線方向に位置決めされ、物体の第2の表面は、開放部128aにおいて開口部128の内面に対して接線方向に位置決めされる。
【0053】
いくつかの実施例では、チューブ110の第1の端部110aの断面は、開口部128の内側に保持される物体との接触面を増加させるために凹状であり得る。或いは、チューブ110の第1の端部110aの断面は、開口部128内の物体の中央部分に加えられる力を増加させるために凸状であり、比較的小さな物体を保持するホルダー100の能力を改善することができる。開口部128がダイヤモンド形状を有する実施形態では、異なる寸法を有する異なる物体は、x軸およびz軸の開口部128の内側の中心に配置される。従って、開口部128の寸法は、開口部128に保持される物体の寸法に基づいて有効に調整される。操作者は、可動クリップ120を延長することによって開口部128を開き、物体を開口部128内に挿入し、可動クリップ120を解除して、物体を開口部128内に保持する。可動クリップ120が物体に及ぼす保持力は、上述したように、可動クリップ120上の発条力を調整することによって調整することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、ホルダー内の開口部は、上述され、添付の図面に示される開口部128とは異なる形状および構造を有してもよい。例えば、開口部128は、開口部の側面128a内または開口部の側面128b内に平坦な端部を有することができる。いくつかの実施形態では、開口部128は、第1の側面、例えば、y軸内に開放部を有し、一方、開口部128の反対側は閉じている。このようにして、物体は、ホルダー100によって保持される開放部から開口部128に挿入され得る。物体が、閉側開口部128を軸方向に通過する必要はない。開口部の一方の側に開放部を有し、閉じられる反対側を有することは、限られた空間環境でホルダー100を使用する場合に有益であり得る。閉じ側は、物体が開口部128を通過して、物体または使用中の器具を損傷する可能性がある落下を防止する。いくつかの実施形態では、開口部128は、z軸に開口側を有することができる。このようにして、物体は、y軸の代わりにz軸の開口側から開口部128に挿入され得る。ここでも、このようにして開口側を有することは、y軸の方向へのアクセスが制限される環境でホルダー100を使用する場合に有益であり得る。更に、ホルダー100は、図1Bに記載されるように、交差支持体162の開放部162aの内側で回転されてもよい。従って、開口部128は、用途に基づいて任意の所望の方向を向くことができる。例えば、開口部128は、物体を、y軸において垂直に、またはz軸において水平に、調節可能に保持することができる。更に、ホルダー100を交差支持体162内で回転させることにより、開口部128は、y-z平面内の任意の所望の角度で物体を保持することができる。
【0055】
本開示によるホルダーによって物体を保持する方法200を、一例として、図6に示すフローチャートに示す。方法200の第1のステップ202は、ホルダー100のチューブ110に対してホルダー100の可動クリップ120を収縮位置から伸張位置に向かって移動させることを含む。上述したように、可動クリップ120は、物体が開口部128に挿入されたときに物体を保持するように構成された開口部128を有する。開口部128は、可動クリップ120が収縮位置にあるとき、チューブ110によって閉じられ、可動クリップ120が伸張位置にあるとき、開口部128が開かれる。
【0056】
方法200の第2のステップ204は、開口部が開いているときに、物体を開口部に挿入することを含む。方法200の第3のステップは、可動クリップ120を解除して物体を開口部128に保持することを含む。上述のように、チューブ110の内側の発条140は、可動クリップ120を収縮位置に向かって付勢する。発条140は、チューブ110の第1の端部110aにおいて可動クリップ120に連結された第1の端部140aと、チューブ100の第2の端部110bにおいてキャップ130に連結された第2の端部140bとを有する。可動クリップ120を解除することにより、可動クリップ120は、チューブ110の第1の端部110aと開口部128の内面との間の開口部128に物体を保持する。
【0057】
更なる態様では、本開示の方法は、次の特徴を含み得る。キャップを回転させることによって、チューブ内の発条が可動クリップに及ぼす発条力を調整し、キャップを回転させることによって、キャップに連結された固定器の少なくとも1つの歯が、発条を形成する螺旋コイルの隣接する巻きの間を移動するようにし、少なくとも1つの歯が、螺旋コイルの増加または減少した巻き数を固定器によって保持させ、発条を回転させることによって、可動クリップに連結された固定器の少なくとも1つの歯が、発条を形成する螺旋コイルの隣接する巻きの間を移動するようにし、少なくとも1つの歯が、螺旋コイルの増加または減少した巻き数を固定器によって保持させ、チューブ内に画定された溝の長さによって、収縮位置と伸張位置との間の可動クリップの軸方向移動距離を制限し、チューブに対して可動クリップを動かすことによって、可動クリップに連結されたピンをチューブ内に画定された溝内を移動させる。
【0058】
図7は、測定プローブ750のような複数の物体を固定位置に保持するように構成された保持システム700の斜視図である。保持システム700は、例えば、較正バス770内に保持されるプローブを有する様々な用途で使用することができる。複数の測定プローブ750は、環境内に配置され、環境の特性(例えば、較正バス770内の流体温度)を測定する測定ツールであってよい。例えば、その特性は、温度、圧力、湿度、振動、密度、または粘度、またはそれらの組み合わせを含み得る。様々な実施形態では、保持システム700は、測定プローブ750以外の物体を保持するために使用されてもよい。様々な実施形態では、複数の測定プローブ750のそれぞれは、図1Aに記載された測定プローブ150に対応してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、複数の測定プローブ750は、複数の測定プローブ750の他のプローブの中心に保持される主プローブ752を含み得る。主プローブ752は、較正される他のプローブのために較正された基準を提供する標準であってもよい。例えば、主プローブ752は、較正バス770の温度を測定することができる。このようにして、主プローブ752によって測定される温度は、主プローブ752と同じ較正バス770内に保持される他の温度測定プローブ750を較正するための基準として使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、保持システム700は、複数のホルダー702を含む。複数のホルダー702の各々は、図1Aから図5に記載のホルダー100に対応してもよい。複数のホルダー702の各々の長さは、保持システム700によって占有される領域を減少させるために、図1Aから図5に記載されるホルダー100の長さよりも短くなり得る。様々な実施態様において、保持システム700は、垂直柱760、及び水平柱704を垂直柱760に連結する交差支持体762を含む。垂直柱760および交差支持体762は、図1Aから図1Bに記載される垂直柱160および交差支持体162に対応し得る。
【0061】
水平柱704の端部は、中央保持装置706に連結されている。水平柱704は、交差支持体762に固定され、中央保持装置706を固定位置に保持する。代替の実施形態では、保持システム700は、垂直柱760、交差支持体762、または水平柱704のうちの1つ以上を含んでいないことがある。少なくとも1つの代替実施形態では、水平柱704の代わりにホルダー702を使用して、中央保持装置706を垂直柱760に連結してもよい。いくつかの実施形態では、複数のホルダー702は、垂直柱760なしで中央保持装置706に連結されてもよい。この状態で、主プローブ752は、中央保持装置706を垂直位置に固定することができる。そのため、複数のホルダー702は、同じ垂直位置で、中央保持装置706に連結され得る。
【0062】
様々な実施形態では、中央保持装置706は、複数のホルダー702が連結可能である周辺部を含む(例として、図11および12に図示されるように)。中央保持装置706はまた、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部(例えば、図8および本明細書中の他の図に示されるように)を含む。いくつかの実施形態において、中央保持装置706の周辺部は、複数のホルダー702の各ホルダーを中央保持装置706に連結するように構成された複数の水平方向に配向された連結開口部(例えば、図8の802)を含む。様々な実施形態では、複数のホルダー702の各ホルダーの可動クリップ(図2Aから図2Bの可動クリップ120に対応する)は、複数の水平方向に配向された連結開口部のうちの1つに連結されるファスナ(例えば、図11の1102)を含んでもよい。様々な実施形態では、ファスナは、ネジなどの様々なファスナ構造のいずれかを含み得る。様々な実施形態では、中央保持装置706またはホルダー702は、それぞれのホルダー702(特に、ホルダーの開口部128)を、較正バス770のような別の物体に対して所望の位置に固定するのを助けるキー(例えば、図11の1104)を含み得る。図11および図12に関して、キーの更なる議論を提供する。
【0063】
図7の実施形態は、4つのホルダー702と水平柱704とを同時に保持することが可能な、五角形形状の中央保持装置706の一例を示す。水平柱704が別のホルダー702に置き換えられる実施形態では、中央保持装置706は、5つのホルダーを同時に保持することができる。しかしながら、中央保持装置706の実施形態は、五角形形状の装置に限定されない。他の実施形態では、中央保持装置706は、三角形、四角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形などの異なる多角形形状を有してもよい。多角形の中央保持装置の場合、多角形形状の各周辺側は、1つまたは複数のそれぞれのホルダーを連結するように構成された1つまたは複数の水平方向に配向された連結開口部を含み得る。多角形状は、必要に応じて拡大することができるので、多角形の各周縁側は、2つ以上のホルダーを連結するように構成された2つ以上の水平方向に配向された連結開口部を含み得る。
【0064】
図7の実施形態および本明細書に記載される他の実施形態は、従って、較正バス内に測定プローブを保持するためのシステムを図示する。このような実施において、システムは、較正バス770、支持構造704、760、762、および中央保持装置706を含む。支持構造体は、較正バス770に取り付けられた垂直柱760と、垂直柱に沿って移動可能であり、垂直柱に固定可能な交差支持体762と、交差支持体によって垂直柱に固定可能な水平柱704とを含む。交差支持体762は、較正バス770に対する水平柱704の垂直および水平方向の位置決めを提供する。本明細書に記載されるように、中央保持装置706は、水平柱704に連結され、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部804(図8)を含み、複数の水平方向に配向された連結開口部802を含む周辺部を有する。
【0065】
いくつかの代替の実施形態では、中央保持装置は、円形または楕円形の形状などの湾曲した形状を有し得る。このような代替の実施形態では、中央保持装置の周辺部上の水平方向に配向された連結開口部の数は、円又は楕円の水平方向の寸法、及び水平方向に配向された連結開口部に連結されるホルダーの水平方向の寸法によってのみ制限される。例えば、円の直径を大きくすることによって、中央保持装置706は、より水平方向に配向された連結開口部を有することができる。いくつかの実施形態では、中央保持装置706は、調整可能な構造を含み得る。この状態では、例えば、中央保持装置706の寸法は、電気モータで機械的または電気的に調整されてもよい。例えば、操作者は、保持システム700に設置する前に、中央保持装置706の寸法を調整することができる。いくつかの実施形態では、中央保持装置706の寸法は、中央保持装置が保持システム700に設置または使用されるときに、動的に調整されてもよい。
【0066】
図8は、図7に記載された中央保持装置706の一実施形態を示す。この実施形態では、五角形の中央保持装置806は、図7に記載された中央保持装置706に対応する。五角形の中央保持装置806は、複数の水平方向に配向された連結開口部802を含む。この実施形態では、五角形の中央保持装置806の周辺部上の各側は、1つの水平方向に配向された連結開口部802を含む。しかし、いくつかの実施形態では、各側の水平方向に配向された連結開口部の数は、五角形の中央保持装置806の寸法および連結開口部806に固定されるホルダーの大きさに基づいて、2つ以上とすることができる。図示のように、各水平方向に配向された連結開口部806は、1つのホルダーを中央保持装置806に連結するように構成される。いくつかの実施形態では、各水平方向に配向された連結開口部は、それぞれのホルダーの可動クリップの外側端部から延びる対応するねじ付きファスナを受け入れるようにねじ込まれ得る。更に、図11に示されるように、中央保持装置の周辺部の各側は、それぞれのホルダーの位置を所望の位置に固定するために対応する開口部1108に嵌合するキー1104(例えば、ピンまたはその他の固定構造)を含んでもよい。
【0067】
五角形の保持装置806は、また、複数の垂直方向に配向された開口部を含む。図8の実施形態では、複数の垂直方向に配向された開口部は、2つの開口部804、805を含む。しかしながら、垂直方向に配向された開口部の数は、様々な実施形態に対して異なり得る。いくつかの実施形態では、垂直方向に配向された開口部804は、図7に記載される主プローブ752等の中心プローブを支持するように構成される中央開口部である。いくつかの実施形態では、中央開口部804または別の垂直方向に配向された開口部は、中央保持装置806をキャリブレータなどの外部計器に対して固定された位置で支持するために、中央開口部804または別の垂直方向に配向された開口部は、中央保持装置806を、中心プローブの代わりに、隣接する支持装置に接続するための垂直柱のような物体に連結することができる。いくつかの実施形態では、中央開口部は、中心プローブまたは垂直柱を固定位置に保持するためのOリングガスケットを含み得る。或いは、中央開口部は、中心プローブまたは垂直柱を保持するためのねじ切りおよびピンを含み得る。
【0068】
様々な実施形態では、複数の垂直方向に配向された開口部は、中央開口部の側面に1つまたは複数の開口部805を含む。1つまたは複数の開口部805は、中央保持装置806を1つまたは複数の他の中央保持装置または隣接する支持装置に固定するためのものである。例えば、図9に示すように、別の中央保持装置を、固定開口部805を介して中央保持装置806に取り付けることができる。この実施形態では、ネジは、中央保持装置の1つの開口部805を通って、別の中央保持装置の整列した開口部805に入ることができる。
【0069】
図9は、ネジ902によって互いに連結された2つの中央保持装置806および906を含む多段中央保持装置900の一例である。この実施形態では、五角形の保持装置806は、別の五角形の保持装置906に連結され、一方、2つの中央保持装置806、906の中央開口部904は、整列される。従って、主プローブまたは垂直柱は、中央開口部904に連結され、これらを通過できる。
【0070】
図9に示す実施形態では、中央保持装置806は、中央保持装置906に対して回転オフセット908を有する。回転オフセット908は、中央保持装置906が、中央保持装置806によって保持され得る複数のホルダーの間の位置に複数のホルダーを保持することを可能にする(例えば、図10に示されるように)。この状態では、できるだけ多くのホルダーを保持するための空間が最大化される。例えば、五角形の保持装置806は、その周辺部の各側に1つのホルダー(従って、合計5つのホルダー)を保持するように構成することができ、同様に、五角形の保持装置906は、その周辺部の各側に1つのホルダー(合計5つのホルダー)を保持することができる。従って、図9に示される多段保持装置900は、合計10個のホルダーを保持することができる。
【0071】
また、多段保持装置900は、図9に関して説明した保持装置の数とは異なる任意の数の保持装置を保持するように構成してもよい。更に、中央保持装置806、906の各々は、例えば、図7に関して説明したように、五角形の形状とは異なる形状を有し得る。様々な実施形態では、各段での中央保持装置の形状は、他の段で使用される形状と異なり得る。例えば、中央保持装置の1つ、例えば、806は五角形であり、一方で、他の中央保持装置、例えば、906は円形である。
【0072】
更に、多段保持装置900は、2つ以上の中央保持装置を一緒に取り付けることができ、複数の保持装置は、互いに同じ形状または異なる形状を有することができる。更に、中央保持装置の寸法は、各保持装置の各側、例えば、中央保持装置806、906が、2つ以上のホルダーを保持することを可能にするように拡大されてもよい(その例は、図12に記載されている)。更に、保持装置が多角形形状である場合には、多角形形状の角部は、側面に加えて角部にホルダーを保持するための開口部を含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、異なるタイプの固定装置を使用して、ネジ902の代わりに中央保持装置を連結することができる。このような固定装置は、例えば、キー、クリップ、または溶接構造を含み得る。いくつかの実施形態では、多段保持装置900の中央保持装置806、906の各々は、ネジ902または他のタイプの固定装置を介して、異なる中央保持装置を一緒に取り付けるための2つ以上の開口部を含むことができる。
【0074】
図10は、図7に記載される保持システム700と同様に構成される保持システム1000を示す。保持システム1000と保持システム700との主な相違点は、単段中央保持装置(図7に示されるように)の代わりに、多段中央保持装置900(図10に示されるように)を使用することである。図10に示される実施形態では、複数の測定プローブ1050は、図7の複数の測定プローブ750よりも多くの測定プローブを含み、これは、多段中央保持装置900を使用するためである。主プローブ752は、中央開口部904を通過し、8つの測定プローブは、中央保持装置900によって支持され、例えば、図7に示す較正バス770のような外部機器内に保持される。
【0075】
図10に示す実施形態では、垂直柱760に加えて、交差支持体762と、多段中央保持装置900の1つの段に連結された水平柱704と、別の垂直柱761と、交差支持体763と、ホルダー705とが、多段保持装置900の別の段に連結され、保持システム1000に更に安定性を加える。いくつかの実施形態では、保持システム1000の安定性を高めるために、ホルダー705を水平柱704のような水平柱に置き換えてもよい。代替の実施形態では、水平柱704をホルダーに置き換えることができ、保持システム1000によって支持される測定プローブ1050の総数は、10個の測定プローブに増加することができる。更に他の実施形態では、多段保持装置900の形状およびサイズは、図9に関して説明したように、保持システム1000が10を超える測定プローブを保持できるように、異なっていてもよい。
【0076】
図11は、複数のホルダー1100を六角形の中央保持装置1106に固定する詳細を示す。複数のホルダー1100の各々は、図2Aに記載されるようにホルダー100に対応してもよい。ホルダー100と複数のホルダー1100の各々との主な差異は、複数のホルダー1100の各々の端部から延在する固定構造1102である。固定構造1102は、複数のホルダー1100のそれぞれが六角形状の中央保持装置1106を取り付けることを可能にする。様々な実施形態では、六角形の中央保持装置1106は、図8に示すような五角形の中央保持装置806や、図7に関して説明したような他の可能な形状など、六角形とは異なる形状であってもよい。
【0077】
固定構造1102は、複数のホルダー1100の各々の端部から外側に延びるポストまたはネジを含み、六角形の中央保持装置1106の周辺部上の対応する水平方向に配向された連結開口部に嵌合する。様々な実施形態では、中央保持装置1106は、複数のホルダー1100の各々の端部上の対応する開口部1108に嵌合する外方に延在するキー1104(例えば、ポスト)を含み得る。このキー1104は、中央保持装置1106に対して特定の方向にそれぞれのホルダーを保持する。従って、複数のホルダー1100の各々は、物体が挿入され、それぞれのホルダーの可動クリップ内に保持されるときに、物体を正しい位置に保持することができる。或いは、キー1104は、ホルダー1100の一部であってもよく、ホルダー1100の各々の端部から中央保持装置1106の周辺部上の対応する開口部まで外側に延びてもよい。いずれにしても、キー1104は、複数のホルダー1100のそれぞれのホルダーを、中央保持装置1106に対して特定の方向に保持する。
【0078】
いくつかの実施形態では、適切なキー構造は、永久磁石、一時磁石、および電磁石などの磁石を含み得る。例えば、電気回路は、キー構造の電磁石に連結されてもよい。この状態では、電気回路をオンにすることによって、電流が、対応する金属構造体または反対の磁石を引き寄せて、それぞれのホルダー1102を中央保持装置1106に対して特定の方向に保持する電磁石を活性化する。電気回路は、一定の電流を発生し、回路がスイッチオンされたときに電磁石を活性化するためにコイルに供給する任意の電気部品を含み得る。
【0079】
図12は、六角形状の保持装置1106と略同一の構造を有するが寸法が異なる六角形状の中央保持装置1206の実施形態である。本実施の形態では、六角形状の中央保持装置1206の寸法が、図11の六角形状の中央保持装置1106に比べて拡大されている。中央保持装置1206の各側は、2つのホルダー1200を保持することができる。従って、中央保持装置1206に取り付けることができるホルダーの総数は、6つのホルダー(図11に記載されているように)から12のホルダーに増加される。この実施形態では、ホルダー1200の各々は、図11に記載されたホルダー1100に対応する。様々な実施形態では、中央保持装置1206の寸法は、各側に2つ以上の可動クリップ1200を保持するように拡大することができる。更に、中央保持装置1206のサイズおよび形状に応じて、1つまたは複数のホルダー1200が、六角形の中央保持装置1206の角部に連結されてもよい。従って、中央保持装置1206は、12を超えるホルダー1200を保持することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、中央保持装置1206の寸法は、調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、中央保持装置1206の寸法は、中央保持装置の寸法を増加または減少させる機械的エキスパンダを作動させるステッパモータのような電気モータを用いて、自動的に調整されてもよい。この状態では、制御装置は、ステッパモータを制御して、中央保持装置1206の寸法を精密に変化させ、その結果、異なる数のホルダーを保持するための中央保持装置1206の容量を増加または減少させることができる。
【0081】
前述の開示を考慮すると、以下の実施例によって示されるように、様々な追加の実施形態が明らかである。
【0082】
例1:中央保持装置と前記中央保持装置に同時に連結可能な複数のホルダーを備え、前記複数のホルダーの各ホルダーが、物体を開口部内に挿入し保持することができる開口部付きの可動クリップと、発条力を前記可動クリップに及ぼす発条とを含み、前記発条力が、前記可動クリップの前記開口部内の前記物体を保持するために調整可能である、複数の物体を保持するための装置。
【0083】
例2: 前記複数のホルダーの各ホルダーが、第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有するチューブを更に含み、前記可動クリップが前記チューブの前記第1の端部にあり、キャップが前記チューブの前記第2の端部にあり、前記キャップが、前記可動クリップへの前記発条の発条力を調整するよう可動である、例1に記載の装置。
【0084】
例3:前記複数のホルダーの各ホルダーが、前記チューブ内の第1の固定器を含み、前記第1の固定器が、前記可動クリップを前記発条と前記チューブ内の第2の固定器に連結させ、前記第2の固定器が、前記キャップを前記発条に連結させる、例2に記載の装置。
【0085】
例4:前記中央保持装置が前記複数のホルダーが連結可能な周辺部を含み、前記周辺部が、前記複数のホルダーのそれぞれのホルダーを前記中央保持装置に連結するよう構成された複数の水平方向に配向された連結開口部を含む、例1から3のいずれか一つに記載の装置。
【0086】
例5:前記中央保持装置が、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部を更に含み、前記1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部の少なくとも1つの垂直方向に配向された開口部が、外部機器に対して固定された位置で前記中央保持装置を支持する物体を保持するよう構成されている、例4に記載の装置。
【0087】
例6:ホルダーの前記可動クリップが、前記ホルダーを前記中央保持装置の前記周辺部のそれぞれの水平方向に配向された連結開口部に連結するよう操作可能であるファスナを含む、例4または例5に記載の装置。
【0088】
例7:前記中央保持装置が第1の中央保持装置であり、前記装置が、前記第1の中央保持装置に取付け可能な第2の中央保持装置を更に備え、前記第1及び第2の中央保持装置のそれぞれが、前記複数のホルダーの複数ホルダーに連結するよう構成されている、例1から6のいずれか一つに記載の装置。
【0089】
例8:前記第2の中央保持装置が、前記複数のホルダーの複数ホルダーが連結可能な周辺部を含み、前記第2の中央保持装置が、前記第1の中央保持装置に対して回転オフセット付きの前記第1の中央保持装置に取付け可能である、例7に記載の装置。
【0090】
例9:前記第2の中央保持装置が前記第1の中央保持装置に取付けられているとき、前記第2の中央保持装置が、前記第1の中央保持装置の1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部と整列する1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部を含む、例8に記載の装置。
【0091】
例10:前記第2の中央保持装置が、前記第1及び第2の中央保持装置の対応する垂直方向に配向された開口部内で垂直に保持されている1つまたは複数のファスナによって、前記第1の中央保持装置に取付けられている、例9に記載の装置。
【0092】
例11:前記第1及び第2の中央保持装置の少なくとも1つの垂直方向に配向された開口部が、前記第1及び第2の中央保持装置の中央にある物体を保持するよう構成されている、例9または例10に記載の装置。
【0093】
例12:前記中央保持装置またはホルダーから延びるキーを含むキー構造と、前記ホルダーの対応する開口部、または前記キーを受け入れるよう構成された前記中央保持装置とを更に備える装置であって、前記ホルダーが前記中央保持装置に連結されているとき、前記キーが、前記対応する開口部の中へ受け入れられ、前記中央保持装置に関して特定の方向において前記ホルダーを保持するよう操作する、例1から11のいずれか一つに記載の装置。
【0094】
例13:較正バスと、前記較正バスに取付けられた垂直柱と、前記垂直柱に沿って移動可能であり前記垂直柱に固定可能な交差支持体と、前記交差支持体によって前記垂直柱に固定可能な水平柱とを含む支持構造とを備え、前記交差支持体が、前記較正バスに対して前記水平柱の垂直及び水平位置決めを提供する、複数の測定プローブを保持するシステム。前記システムは、前記水平柱に連結した中央保持装置を更に含み、前記中央保持装置が、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部を含み、複数の水平方向に配向された連結開口部を含む周辺部を有する。
【0095】
例14:前記中央保持装置に同時に連結可能な複数のホルダーを更に備え、前記複数のホルダーの各ホルダーが、第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有するチューブと、前記チューブの前記第1の端部にある可動クリップとを含み、前記可動クリップが、物体を前記開口部内に挿入し保持することができる開口部と、前記チューブの前記第2の端部にあるキャップと、前記チューブ内の発条と、前記チューブ内の第1の固定器とを有し、前記第1の固定器が、前記可動クリップを前記発条と前記チューブ内の第2の固定器とに連結させ、前記第2の固定器が、前記キャップを前記発条に連結させ、前記キャップが、前記可動クリップの前記開口部内に前記物体を保持するために前記発条の発条力を調整するよう可動である、例13に記載のシステム。
【0096】
例15:前記複数のホルダーの各ホルダーが、前記中央保持装置の前記周辺部周りの前記複数の測定プローブの少なくとも1つの測定プローブを保持するよう構成されている、例14に記載のシステム。
【0097】
例16:前記中央保持装置に連結された前記水平柱が、前記複数のホルダーの1つのホルダーである、例14または例15に記載のシステム。
【0098】
例17:前記中央保持装置が第1の中央保持装置であり、前記システムが、1つまたは複数の垂直方向に配向された開口部を含み、複数の水平方向に配向された連結開口部を含む周辺部を有する第2の中央保持装置を更に備え、前記第2の中央保持装置が、積重構成で前記第1の中央保持装置に取付けられており、前記第1及び第2の中央保持装置のそれぞれが、複数のホルダーの複数ホルダーを同時に連結するよう構成されている、例13から16のいずれか一つに記載のシステム。
【0099】
例18:前記支持構造が第1の支持構造であって、前記水平柱が第1の水平柱であり、前記システムが、前記第2の中央保持装置に連結された第2の水平柱を有する第2の支持構造を更に備える、例17に記載のシステム。
【0100】
例19:前記第1の中央保持装置に連結された前記第1の水平柱と前記第2の中央保持装置に連結された前記第2の水平柱が、前記複数のホルダーの各ホルダーである、例18に記載のシステム。
【0101】
例20:前記第1及び第2の中央保持装置のそれぞれの少なくとも1つの垂直方向に配向された開口部が、整列して前記第1及び第2の中央保持装置の中央で測定プローブを保持し、前記中央の側面に位置づけされた少なくとも1つの垂直方向に配向された開口部が、前記第1の中央保持装置を前記第2の中央保持装置に取り付けるファスナを保持するよう配置されている、例17から19のいずれか一つに記載のシステム。
【0102】
上述の様々な実施形態は、更に別の実施形態を提供するために組み合わせることができる。
これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】