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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171303
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20231124BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20231124BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231124BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20231124BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/26
G02B5/30
G02B5/22
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079757
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】63/344045
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202210948785.X
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】李 柏徹
(72)【発明者】
【氏名】林 士逸
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H148CA01
2H148CA14
2H148CA19
2H148CA23
2H148CA24
2H148FA01
2H148FA09
2H148FA12
2H148FA22
2H149AA17
2H149AA20
2H149AB14
2H149BA02
2H149EA10
2H149FC08
2H149FC10
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA28
2H199DA29
2H199DA42
2H199DA48
3D344AA08
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】かかるヘッドアップディスプレイは画像生成ユニット、結像ユニット、赤外分光素子、及び少なくとも1つの赤外検出素子を含む。赤外分光素子は少なくとも1つの環境光の伝播径路に位置し、少なくとも1つの環境光の分光を行って赤外線を生成するために用いられる。少なくとも1つの赤外検出素子は少なくとも1つの環境光の赤外線の伝播径路に位置し、赤外線の強度を検出するために用いられる。少なくとも1つの赤外検出素子によって、赤外線の強度が所定閾値を超えたと検出されたときに、ヘッドアップディスプレイは、画像生成ユニットに伝播する少なくとも1つの環境光の強度を減少させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイであって、
画像生成ユニット、結像ユニット、赤外分光素子、及び少なくとも1つの赤外検出素子を含み、
前記画像生成ユニットは映像光束を提供するために用いられ、
前記結像ユニットは前記映像光束の伝播径路に位置し、
前記赤外分光素子は少なくとも1つの環境光の伝播径路に位置し、かつ前記少なくとも1つの環境光の分光を行って赤外線を生成するために用いられ、
前記少なくとも1つの赤外検出素子は前記少なくとも1つの環境光の前記赤外線の伝播径路に位置し、かつ前記赤外線の強度を検出するために用いられ、
前記少なくとも1つの赤外検出素子によって、前記赤外線の強度が所定閾値を超えたと検出されたときに、前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像生成ユニットに伝播する前記少なくとも1つの環境光の強度を減少させる、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記所定閾値は20μWである、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は、波長が700nmよりも大きい光を反射するために用いられる、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は、前記少なくとも1つの環境光の前記赤外線が前記画像生成ユニットに伝播しないように設置される、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記ヘッドアップディスプレイを離れた前記映像光束は反射スクリーンに伝播し、
前記映像光束は前記反射スクリーンで反射されてユーザの目に進入し、虚像を表示し、
前記赤外分光素子は、前記反射スクリーンと前記画像生成ユニットとの間に設置される、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は、灰塵の前記ヘッドアップディスプレイ内への進入を防止するために用いられる、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は前記結像ユニットの中に位置する、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は、前記反射スクリーンと前記結像ユニットとの間に設置される、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記赤外分光素子は、前記結像ユニットと前記画像生成ユニットとの間に設置される、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記少なくとも1つの環境光は複数の環境光であり、各前記環境光の前記赤外線は異なる入射方向で前記赤外分光素子に入射し、かつ異なる出射方向で前記赤外分光素子を離れ、
前記少なくとも1つの赤外検出素子は複数あり、かつそれぞれ、前記複数の環境光の前記複数の赤外線の異なる出射方向に対応して設置される、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記少なくとも1つの環境光は複数の環境光であり、各前記環境光の前記赤外線は異なる入射方向で前記赤外分光素子に入射し、かつ異なる出射方向で前記赤外分光素子を離れ、
前記少なくとも1つの赤外検出素子の数は1つであり、
前記ヘッドアップディスプレイは集光レンズをさらに含み、
前記集光レンズは、前記複数の環境光の前記複数の赤外線が前記赤外検出素子に集光して入射するようにさせるために用いられる、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項12】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
保護システムをさらに含み、
前記保護システムは遮光素子を含み、
前記ヘッドアップディスプレイが前記画像生成ユニットに伝播する前記少なくとも1つの環境光の強度を減少させる方法は、前記保護システムを起動することで、前記遮光素子が前記少なくとも1つの環境光の伝播径路に移動するようにさせることである、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項13】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
保護システムをさらに含み、
前記保護システムは、前記ヘッドアップディスプレイの中に設置される光変調装置を含み、
前記ヘッドアップディスプレイが前記画像生成ユニットに伝播する前記少なくとも1つの環境光の強度を減少させる方法は、前記保護システムを起動することで、前記光変調装置を前記少なくとも1つの環境光の伝播径路に移動させ、これによって、前記光変調装置を通過した後の前記少なくとも1つの環境光の光エネルギーが前記光変調装置に入射する前の前記少なくとも1つの環境光の光エネルギーの25%以下になるようにさせることである、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項14】
請求項13に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記光変調装置は、前記少なくとも1つの環境光が前記画像生成ユニットに入射する伝播径路に順次設置される第一直線偏光子、位相変調器、及び第二直線偏光子を含む、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項15】
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイであって、
前記ヘッドアップディスプレイが前記画像生成ユニットに伝播する前記少なくとも1つの環境光の強度を減少させる方法は、前記画像生成ユニットをオフにすることである、ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)に関し、特に、環境光(周囲光)の赤外線エネルギーを検出し得る機能を有するヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ技術の発展により、様々なヘッドアップディスプレイが日常生活に広く使用されるようになっており、そのうち、ヘッドアップディスプレイは、通常、飛行機、車両、ショーウィンドウなどに良く使用されている。車載用ヘッドアップディスプレイを例にする場合、それはフロントガラスの内表面を、光学的な組み合わせを行うコンポネントとして利用してドライバーに情報を提供し、ドライバーは運転中にダッシュボードやナビゲーターを見下ろす必要なく、車内情報システムにより提供される情報を見ることができる。
【0003】
多くの場合、ヘッドアップディスプレイが野外の領域に用いられているため、太陽光がヘッドアップディスプレイの結像ミラー組(セット)を介して内部の表示パネルに集光することによって、表示パネルの温度が表示パネルの耐熱温度の上限(約100度乃至110度)を超えるようにさせることがある。一般的に言えば、太陽光の光エネルギー密度が1050W/m2であり、太陽光が表示パネルの1つの小さな領域に集めるときに、光エネルギー密度が20000W/m2乃至60000W/m2よりも高くなり、表示パネルの温度が105度以上になる可能性があり、これによって、表示パネルが損傷し、ヘッドアップディスプレイの使用寿命が短くなる恐れがある。
【0004】
なお、この「背景技術」の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、環境光が画像生成ユニットに集光することを警告し、かつ対応して保護のための措置をとることで、ヘッドアップディスプレイが大量の環境光の照射を受けて損傷することを回避できるヘッドアップディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の1つ又は一部又は全部の目的あるいは他の目的を達成するために、本発明の一実施例ではヘッドアップディスプレイが提供される。ヘッドアップディスプレイは画像生成ユニット、結像ユニット、赤外分光素子、及び少なくとも1つの赤外検出素子を含む。画像生成ユニットは映像光束を提供するために用いられる。結像ユニットは映像光束の伝播径路に位置する。赤外分光素子は少なくとも1つの環境光の伝播径路に位置し、少なくとも1つの環境光の分光を行って赤外線を得るために用いられる(configured to split an infrared light beam from the at least one ambient light beam)。少なくとも1つの赤外検出素子は赤外線の伝播径路に位置し、赤外線の強度(light intensity)を検討するために用いられ、そのうち、少なくとも1つの赤外検出素子によって、赤外線の強度が所定閾値を超えたと検出されたときに、ヘッドアップディスプレイは、画像生成ユニットに伝播する少なくとも1つの環境光の強度を減少させる。
【発明の効果】
【0007】
上述により、本発明の実施例におけるヘッドアップディスプレイでは、赤外分光素子及び赤外検出素子の設置によって、環境光が画像生成ユニットに集めることを警告し、かつ対応して保護のための措置をとることで、ヘッドアップディスプレイが大量の環境光の照射を受けて損傷することを回避できる。
【0008】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて図面とともに詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の一実施例におけるヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図である。
図1B図1Aに示すヘッドアップディスプレイにおける赤外分光素子の透過率の光スペクトルの曲線図である。
図1C図1Aに示すヘッドアップディスプレイにおけるもう1つの赤外分光素子の透過率の光スペクトルの曲線図である。
図2】本発明の異なる実施例におけるヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図(その1)である。
図3】本発明の異なる実施例におけるヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図(その2)である。
図4】本発明の異なる実施例におけるヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図(その3)である。
図5A】本発明の異なる実施例における赤外分光素子及び赤外検出素子の配置を示す図(その1)である。
図5B】本発明の異なる実施例における赤外分光素子及び赤外検出素子の配置を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好適な実施例の詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0011】
図1Aは本発明の一実施例におけるヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図である。図1B図1Aに示すヘッドアップディスプレイにおける赤外分光素子の透過率の光スペクトルの曲線図である。図1Aに示すように、本実施例では、ヘッドアップディスプレイ100は画像生成ユニット110、結像ユニット120、赤外分光素子130、及び少なくとも1つの赤外検出素子140を含む。画像生成ユニット110は映像光束ILを提供するために用いられ、かつ画像生成ユニット110は例えば、表示パネル(Display Panel)である。例を挙げて言えば、表示パネルは透光型液晶パネル(Transparent Liquid crystal panel)、反射型LCOS(Liquid Crystal on Silicon、LCOS)、又はデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro-mirror Device、DMD)であっても良い。結像ユニット120は映像光束ILの伝播径路に位置し、かつ画像生成ユニット110とユーザの目の間に設置される。
【0012】
例を挙げて言えば、本実施例では、ヘッドアップディスプレイ100の結像ユニット120は平板(flat plate)反射鏡、凸面反射鏡、及び凹面反射鏡のうちの少なくとも1つを含んでも良い。映像光束ILの光路の設計に応じて必要な反射鏡を設けることで、画像生成ユニット110の映像光束ILが結像ユニット120のガイドによって反射スクリーンRに伝播するようにさせることができる。本実施例では、反射スクリーンRは例えば、フロントガラスであり、反射スクリーンRの表面RS1は対応してフロントガラスの車内における表面であり、表面RS2は対応してフロントガラスの車外における表面である。映像光束ILは反射スクリーンRの表面RS1で反射された後にドライバーの目に進入し、虚像をドライバーの目の前に表示する。
【0013】
また、ヘッドアップディスプレイ100はさらに防塵カバー150を含む。本実施例において、防塵カバー150は例えば、透光型プラスチックカバー体であっても良く、材質(材料)は例えば、PET(Polyethylene terephthalate、PET)であり、灰塵(ダスト)のヘッドアップディスプレイ100内への進入を絶つために用いられ、言い換えれば、灰塵は画像生成ユニット110に接触することがないため、映像の品質への悪影響を避けることができる。
【0014】
環境光SL(例えば、太陽光)がヘッドアップディスプレイ100に進入することによって、環境光Sが画像生成ユニット110に照射され、画像生成ユニット110が高温で損傷することを回避するために、本実施例では、環境光SLの伝播径路に赤外分光素子130を設置しても良く、それは環境光SLの分光を行って赤外線IR及び可視光VLを得るために用いられる。さらに言えば、図1Aに示するように、本実施例において、赤外分光素子130は、環境光SLのうちの赤外線IRが画像生成ユニット110に伝播することを避けるために用いられる。例を挙げて言えば、赤外分光素子130は結像ユニット120と画像生成ユニット110との間に設置されても良い。また、図1Bに示すように、赤外分光素子130は、波長が780nmよりも大きい光束を反射し得る赤外分光素子を採用しても良い。このようにして、環境光SLが画像生成ユニット110に伝播する光エネルギーを大幅に減少させることができるため、ヘッドアップディスプレイ100が長期間、周囲光SLの照射を受けて損傷する可能性を低減できる。
【0015】
また、図1Cに示すように、赤外分光素子130は、波長が700nmよりも大きい光束を反射し得る赤外分光素子を採用しても良い。このようにして、環境光SLが画像生成ユニット110に伝播する光エネルギーを大幅に減少させることもできるため、ヘッドアップディスプレイ100が長期間、周囲光SLの照射を受けて損傷する可能性を低減できる。
【0016】
一方、図1Aに示すように、本実施例では、環境光SLの赤外線IR及び可視光VLはそれぞれ赤外分光素子130の両側から出光し、環境光SLの可視光VLは赤外分光素子130を通過した後に、画像生成ユニット110に伝播する。これにより、画像生成ユニット110に伝播する可視光VLの強度(光エネルギー)が画像生成ユニット110の耐えられる最大強度を超えることときに、損傷が発生することがある。
【0017】
さらに言えば、赤外線IRの強度が少なくとも1つの環境光SLの可視光VLの強度に正比例するため、本実施例において、ヘッドアップディスプレイ100は、各少なくとも1つの環境光SLの赤外線IRの伝播径路に設置される少なくとも1つの赤外検出素子140によって、各少なくとも1つの環境光SLの赤外線IRの強度を検出することで、画像生成ユニット110に伝播する可視光VLの強度が画像生成ユニット110の表示パネルに損傷をもたらし得る程度の強度に達したかを推知できる。また、少なくとも1つの赤外検出素子140によって、対応する各少なくとも1つの環境光SLの赤外線IRの強度が所定閾値を超えたと検出されたときに、ヘッドアップディスプレイ100は保護システムの起動を行うことで、画像生成ユニット110に伝播する少なくとも1つの環境光SLの強度を減少させることができる。例を挙げて言えば、本実施例において所定閾値は20マイクロワット(μW)である。
【0018】
例を挙げて言えば、本実施例において、保護システムは遮光素子160又は光変調装置170を含み、そのうち、ヘッドアップディスプレイ100が画像生成ユニット110に伝播する少なくとも1つの環境光SLの強度を減少させる方法は、保護システムを起動することで、遮光素子160又は光変調装置170が少なくとも1つの環境光SLの伝播径路に移動(move onto)するようにさせることである。例を挙げて言えば、図1Aに示すように、本実施例において、遮光素子160又は光変調装置170の設置位置は画像生成ユニット110の前方であっても良いが、本発明はこれに限定されない。他の未図示の実施例において、遮光素子160は防塵カバー150に位置しても良く、反射スクリーンRから画像生成ユニット110までの間に位置しても良く、又は、少なくとも1つの環境光SLの可視光VLの他の伝播径路に位置しても良く、つまり、少なくとも1つの環境光SLの可視光VLの画像生成ユニット110への進入をブロッキングすることができれば良い。
【0019】
例を挙げて言えば、本実施例において、遮光素子160は遮光シート、又は、可視光VLの通過をブロッキング可能な任意の素子であっても良い。また、光変調装置170は太陽光エネルギーフィルタ(Sun Light Filter、SLF)であっても良く、これにより、光変調装置170を通過した後の少なくとも1つの環境光SLの光エネルギーが光変調装置170に入射する前の少なくとも1つの環境光SLの光エネルギーの25%以下になるようにさせることができる。
【0020】
さらに言えば、本実施例において、光変調装置170は、少なくとも1つの環境光SLが画像生成ユニット110に入射する伝播径路に順次設置される、第一直線偏光子、位相変調器、及び第二直線偏光子(未図示)を含んでも良い。具体的には、環境光SLは非偏光に属する。なお、非偏光は偏光方向を有しないのではなく、その偏光方向が時間とともに非常に急速に変化するものである。環境光SLは第一直線偏光子を通過した後に、偏光方向が第一直線偏光子の吸収軸に平行な一部の環境光SLは第一直線偏光子により吸収され、第一直線偏光子を通過した一部の環境光SLは直線偏光になる。偏光はS偏光又はP偏光であっても良い。一般的に言えば、上述の吸収される一部の環境光SLの光エネルギーは、元の環境光SLの光エネルギーの約50%を占める。換言すれば、第一直線偏光子を通過した一部の環境光SLの光エネルギーは元の環境光SLの光エネルギーの約50%を占める。位相変調器は第一直線偏光子と第二直線偏光子との間に設置され、それは、第一直線偏光子を通過した一部の環境光SLの位相を変調(modulate)することで、一部の環境光SLの偏光状態が直線偏光から他の偏光状態、例えば、円偏光、楕円偏光、又は非偏光に変わるようにさせるために用いられる。例を挙げて言えば、位相変調器は1/4波長板(wave plate)であっても良く、かつ第一直線偏光子の透過軸と1/4波長板の遅軸とは夾角を形成し、この夾角が0度よりも大きくかつ45度よりも小さいときに、環境光SLの偏光状態は楕円偏光(elliptical polarization)に変わり、この夾角が45度であるときに、環境光SLの偏光状態は円偏光(circular polarization)に変わり、あるいは、位相変調器はデポラライザ(depolarizer)であっても良く、これにより、位相変調器を通過した一部の環境光SLが非偏光に変わるようにさせることができる。そして、第二直線偏光子の吸収軸の方向を適切に配置することで、環境光SLの光エネルギーの50%をさらに吸収するようにすることができる。このようにして、光変調装置170を通過した後の一部の環境光SLの光エネルギーは、光変調装置170を通過する前の環境光SLの光エネルギーの25%以下になる。
【0021】
また、本実施例において、ヘッドアップディスプレイ100が画像生成ユニット110に伝播する少なくとも1つの環境光SLの強度を減少させる方法は、画像生成ユニット110をオフ(off)にすることで、画像生成ユニット110の表示パネルが動作中に損傷しないようにさせることであっても良い。
【0022】
このようにして、ヘッドアップディスプレイ100は赤外分光素子130及び赤外検出素子140の設置により、環境光が画像生成ユニット110に集光することを警告し、対応して保護のための措置をとることができるため、ヘッドアップディスプレイ100が大量の環境光の照射を受けて損傷することを回避できる。
【0023】
なお、前述の実施例において、赤外分光素子130を結像ユニット120と画像生成ユニット110との間に設置することを例にした、本発明はこれに限定されない。他の実施例において、赤外分光素子130は他の位置に設けられても良く、具体的には、少なくとも1つの環境光SLの伝播径路に位置することできれば良い。以下、図2から図4をもとにさらに詳しく説明する。
【0024】
図2から図4は本発明の異なる実施例のヘッドアップディスプレイのアーキテクチャを示す図である。図2乃至図4に示すように、ヘッドアップディスプレイ200、300、400は図1におけるヘッドアップディスプレイ100と類似しているが、相違点は次のとおりである。即ち、図2に示すように、本実施例において、ヘッドアップディスプレイ200の赤外分光素子230は反射スクリーンRと結像ユニット120との間に設置されても良い。また、図3に示すように、本実施例において、ヘッドアップディスプレイ300の赤外分光素子330は防塵カバー150の代わりに、防塵カバー150の元の設置位置に設けられ、これによって、灰塵のヘッドアップディスプレイ300内への進入を防ぐことができる。また、図4に示すように、本実施例において、赤外分光素子430は結像ユニット120内に位置し、映像光束IL及び可視光VLを通過させ、かつ赤外線IRを伝播させるために同時に用いることができ、結像ユニット120内のコールドミラーとして用いられ得る。
【0025】
このように、図2乃至図4に示すように、赤外分光素子230、330、430は異なる位置に設けられるが、依然として、各少なくとも1つの環境光SLの赤外線IRを対応して少なくとも1つの赤外検出素子240、340、440に伝播させることができ、これによって、赤外線IRの強度を監視し、環境光が画像生成ユニット110に集光することを警告し、かつ対応して保護のための措置をとることができ、結果として、ヘッドアップディスプレイ100が大量の環境光の照射を受けて損傷することを回避できる。このようにして、ヘッドアップディスプレイ200、300、400も前述のヘッドアップディスプレイ100と同様の効果及び利点を達成できるが、ここではその詳しい説明を省略する。
【0026】
また、前述の実施例において、環境光SLについて言えば、同じ角度で赤外分光素子130、230、330、430に入射することを例にしたが、本発明はこれに限定されない。他の実施例において、異なる角度で赤外分光素子130、230、330、430に入射する環境光SLの場合でも、対応して光学素子又は赤外検出素子140、240、340、440の数を増やすことで、各赤外線IRの強度を対応して監視できる。以下、図5A及び図5Bに基づいてさらに詳しく説明する。
【0027】
図5A及び図5Bは本発明の異なる実施例の赤外分光素子及び赤外検出素子の配置を示す図である。例を挙げて言えば、図5Aに示すように、本実施例において、少なくとも1つの環境光SLが異なる入射方向で赤外分光素子ISに入射する複数の環境光SL1、SL2、SL3であるときに、各環境光SLに含まれる赤外線IR1、IR2、IR3及び可視光VL1、VL2は(例えば、図5Bに示すように)異なる出射方向で赤外分光素子ISを離れることができる。このときに、ヘッドアップディスプレイ100では、環境光SL1、SL2、SL3のこれらの赤外線IR1、IR2、IR3の伝播径路に集光レンズ580を設置することで、これらの赤外線IR1、IR2、IR3が少なくとも1つの赤外検出素子SRに集光して入射するようにさせることができる。このようにして、この実施例では、少なくとも1つの赤外検出素子SRの数は1つのみであっても良い。
【0028】
また、図5Bに示すように、集光レンズが設置されない場合、異なる入射方向で赤外分光素子ISに入射する環境光SL1、SL2の数に対応して、複数の赤外検出素子SRを対応して設置し、また、これらの赤外検出素子SRがそれぞれ、これらの環境光SLのこれらの赤外線IR1、IR2の異なる出射方向に対応して設置されるようにさせることができる。このようにして、異なる出射方向で赤外分光素子ISを離れる赤外線IR1、IR2の監視を行うこともできる。
【0029】
このように、図5A及び図5Bに示すように、赤外線IR1、IR2、IR3は異なる出射方向で赤外分光素子ISから離れたとしても、依然として、対応して少なくとも1つの赤外検出素子SRに伝播し得るため、監視を受けることができる。このようにして、図5A及び図5Bに示す赤外分光素子ISと赤外検出素子SRの相対的な配置方式が前述のヘッドアップディスプレイ100、200、300、400に適用されるときにも、前述のヘッドアップディスプレイ100、200、300、400に、同様の効果及び利点を達成させることができるが、ここではその詳しい説明を省略する。
【0030】
以上のことから、本発明の実施例におけるヘッドアップディスプレイでは、赤外分光素子及び赤外検出素子の設置によって、環境光が画像生成ユニットに集めることを警告し、かつ対応して保護のための措置をとることができるため、ヘッドアップディスプレイが大量の環境光の照射を受けて損傷することを回避できる。
【0031】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の防護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0032】
100、200、300、400:ヘッドアップディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ装置ともいう)
110:画像生成ユニット
120:結像ユニット
130、230、330、430、IS:赤外分光素子
140、240、340、440、SR:赤外検出素子
150:防塵カバー
160:遮光素子
170:光変調装置
580:集光レンズ
IL:映像光束
IR、IR1、IR2、IR3:赤外線
R:反射スクリーン
RS1、RS2:表面
SL、SL1、SL2、SL3:環境光(周囲光)
VL、VL1、VL2:可視光
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B