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特開2023-17133積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法
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  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図1
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図2
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図3
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図4A
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図4B
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  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図8
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図9
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図10
  • 特開-積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017133
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
H01G4/30 517
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 311E
H01G4/30 201G
H01G4/30 201A
H01G4/30 201N
H01G4/30 311Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115302
(22)【出願日】2021-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェン-シ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E001AH01
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG27
5E082FG46
5E082FG56
5E082GG10
5E082GG26
5E082HH43
5E082LL01
5E082PP06
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法を提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors, MLCC)に応用され、薄層化誘電体セラミックス層の厚さと複数層のニッケル内部電極の堆積により、高密度の電極―セラミック比の末端縁と側縁を作製して、高キャパシタンス化の目的を達成する。これにより、本発明は、超低温電気化学堆積塗膜技術で、低内部応力の積層セラミックコンデンサ端電極と絶縁保護層を作製することにより、積層セラミックコンデンサの収率を向上でき、また、コストダウンできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより、構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が、全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有する、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップAと、
湿式化学浸漬塗膜方式で、当該積層セラミックコンデンサを、温度が80°Cより低い金属溶液に浸漬して、電気化学堆積によって、当該内部電極表面に、緩やかに、金属塗膜が生成されるステップBと、
1~2時間に堆積した後、当該内部電極表面に、持続的に金属塗膜が形成されて、一体に接続し、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に、接続面になる金属塗膜端電極が形成されるステップCと、
が含まれる、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項2】
その中、当該湿式化学浸漬塗膜は、一般の金属メッキ、或いは、金属置換化学鍍金が含まれる金属化学鍍金によって、実現される、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項3】
その中、当該積層セラミックコンデンサの内部電極と誘電体セラミックス層との比率は、1:50より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項4】
その中、当該電気化学堆積による当該金属塗膜端電極の材料は、オーミック接触として利用できる、当該内部電極と同じ金属材料であり、或いは、当該内部電極との合金が形成される金属材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項5】
その中、当該金属塗膜端電極は、銅端電極やニッケル端電極、銅ニッケル合金端電極、マンガニン合金端電極或いは、ニッケルクロムシリコン合金端電極である、ことを特徴とする請求項1か4に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項6】
その中、当該金属溶液は、硫酸銅や硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸クロム、ケイ素化合物或いは、その組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項7】
更に、
200~300°Cの低温熱処理によって、当該積層セラミックコンデンサの両側にある末端縁の当該金属塗膜端電極を、金属酸化物に酸化して、絶縁保護層とするステップDが含まれるステップDが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項8】
その中、当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力は、当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力及び、当該内部電極と当該金属塗膜端電極との結合力が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項9】
少なくとも、
当該積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより、構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が、全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有する、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップA1と、
当該積層セラミックコンデンサに対して、浸漬鍍金と低温焼成を行い、200°Cより低い熱処理を行った後、当該内部電極表面に、アルミ端電極が作製されるステップB1と、
湿式化学浸漬塗膜方式で、当該アルミ端電極の積層セラミックコンデンサを、60~80°Cの金属溶液に、10~60分に浸漬した後、当該積層セラミックコンデンサのアルミ端電極を、化学酸化還元置換反応によって、当該金属溶液に対応する金属塗膜端電極に転化するステップC1と、
が含まれる、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項10】
その中、当該積層セラミックコンデンサの内部電極と誘電体セラミックス層との比率は、1:50より大きい、ことを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法に関し、特に、超低温電気化学堆積塗膜技術で、低内部応力の積層セラミックコンデンサ端電極や絶縁保護層を作製することにより、積層セラミックコンデンサの収率を向上でき、また、コストダウンできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に、末端縁と側縁の低密度ニッケル内部電極の構造が示され、表三は、従来の低密度ニッケル積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors, MLCC)端電極の作製原理と方法であり、既存の積層セラミックコンデンサ5の端電極の作製は、ガラスを有する厚膜銅ペーストを利用して、浸漬鍍金工程によって端電極が成型され、そして、高温(800~900°C)において、窒素ガス雰囲気によって保護される下で、熱処理によって、銅電極53が焼結形成され、そして、銅と内部電極52で、合金のオーミック接触が形成されることにより、内部電極52を並列接続して、低損失高キャパシタンス値の目的を実現し、更に、銅ペースト内のガラスを利用して、誘電体セラミックス51と銅電極53を連結する。
【0003】
【表3】
【0004】
表三から分かるように、既存の技術は、厚膜導電性銅ペーストを利用して、浸漬鍍金工程によって成型され、そして、750~900°Cの窒素ガス還元雰囲気の下において、約1時間熱処理することにより、積層セラミックコンデンサ銅電極を焼結する。しかしながら、当該積層セラミックコンデンサの高温還元雰囲気の端電極工程において、高温熱処理に従って、積層セラミックコンデンサに高内部応力の釈放が発生することにより、素子亀裂等の厳しい欠陥が現れる。
【0005】
また、当該積層セラミックコンデンサ5は、高キャパシタンスを作製する時、内部電極52と内部電極52との間にある誘電体セラミックス層51の厚さを低減しなければならないだけでなく、同時に、より多い内部電極52の層数を堆積することが必要になり、そのため、容易に、中央の電極密度が、誘電体セラミックス層51だけを有する両辺の電極密度より、遥かに、高くなり、更に、高温焼結すれば、容易に、メイラード反応が形成され、図11のように、積層セラミックコンデンサの上下に、でこぼこのような隆起が生成される。前記の高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサを作製する時、薄い介電層と多数の内部電極の堆積により、電極がある中央と、電極を有しない側縁との密度が、極めて異なり、これに対して、既存の技術は、電極部分を有しない両辺に、セラミックを印刷することにより、電極を有する中央と電極を有しない両辺との密度差違を低減する。両辺において、余分に、高温セラミック絶縁保護層を作製するから、余分にセラミック絶縁層を印刷して、超高温還元雰囲気保護の下で、焼結することにより、積層セラミックコンデンサと保護層とが、緊密に結合されるように、ニッケル内部電極層の厚さを補充する。しかしながら、当該積層セラミックコンデンサは、余分の高温セラミック絶縁保護層工程において、高温熱処理に従って、積層セラミックコンデンサに高内部応力の釈放が発生することにより、素子亀裂等の厳しい欠陥が現れる。
【0006】
既存の積層セラミックコンデンサ端電極工程は、高温還元雰囲気で焼結することであり、また、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが焼結された後、多数電極が堆積された中央と電極がない空白セラミック層の両辺との密度差違によって隆起のメイラード反応が発生するため、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサの内部応力による品質問題が解決しなければならなく、超低温端電極技術の発展が要求される。そのため、一般の従来のものは、実用的とは言えない。
【0007】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、従来の上記らの問題を解消するため、超低温電気化学堆積塗膜技術で、低内部応力の積層セラミックコンデンサ端電極と絶縁保護層を作製することにより、積層セラミックコンデンサの収率を向上でき、コストダウンできる、積層セラミックコンデンサ端電極の作製方法と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記らの目的を達成するために、積層セラミックコンデンサ端電極の作製方法と全面積に内部電極保護層を印刷する方法を提供し、少なくとも、当該積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより、構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が、全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有する、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップAと、湿式化学浸漬塗膜方式で、当該積層セラミックコンデンサを、温度が80°Cより低い金属溶液に浸漬して、電気化学堆積によって、当該内部電極表面に、緩やかに、金属塗膜が生成されるステップBと、1~2時間に堆積した後、当該内部電極表面に、持続的に金属塗膜が形成されて、一体に接続し、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に、接続面になる金属塗膜端電極が形成されるステップCとが、含まれる。
【0010】
本発明の上記実施例によれば、当該湿式化学浸漬塗膜は、一般の金属メッキ、或いは、金属置換化学鍍金が含まれる金属化学鍍金によって、実現される。
【0011】
本発明の上記実施例によれば、当該積層セラミックコンデンサの内部電極と誘電体セラミックス層との比率は、1:50より大きい。
【0012】
本発明の上記実施例によれば、当該電気化学堆積による当該金属塗膜端電極の材料は、オーミック接触として利用できる、当該内部電極と同じ金属材料であり、或いは、当該内部電極との合金が形成される金属材料である。
【0013】
本発明の上記実施例によれば、当該金属塗膜端電極は、銅端電極やニッケル端電極、銅ニッケル合金端電極、マンガニン合金端電極或いは、ニッケルクロムシリコン合金端電極である。
【0014】
本発明の上記実施例によれば、当該金属溶液は、硫酸銅や硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸クロム、ケイ素化合物或いは、その組み合わせである。
【0015】
本発明の上記実施例によれば、更に、200~300°Cの低温熱処理によって、当該積層セラミックコンデンサの両側にある末端縁の当該金属塗膜端電極を、金属酸化物に酸化して、絶縁保護層とするステップDが含まれる。
【0016】
本発明の上記実施例によれば、当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力は、当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力及び、当該内部電極と当該金属塗膜端電極との結合力が含まれる。
【0017】
本発明は、上記の目的を達成するため、積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法を提供し、少なくとも、当該積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより、構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が、全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有する、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップA1と、当該積層セラミックコンデンサに対して、浸漬鍍金と低温焼成を行い、200°Cより低い熱処理を行った後、当該内部電極表面に、アルミ端電極が作製されるステップB1と、湿式化学浸漬塗膜方式で、当該アルミ端電極の積層セラミックコンデンサを、60~80°Cの金属溶液に、10~60分に浸漬した後、当該積層セラミックコンデンサのアルミ端電極を、化学酸化還元置換反応によって、当該金属溶液に対応する金属塗膜端電極に転化するステップC1と、が含まれる。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1図9は、それぞれ、本発明に係る末端縁と側縁にある高密度ニッケル内部電極の概念図や、本発明に係る高キャパシタンスの高密度のニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサと一般の低ニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサとの酸化還元電位の比較概念図、本発明に係る新規の端電極工程と既存の積層セラミックコンデンサ端電極工程との比較概念図、本発明に係る、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサ側縁の高密度ニッケル電極を銅電極に置換する場合の概念図、本発明に係る電気鍍金して堆積した後の銅電極の光学顕微構造図、本発明に係る電気鍍金して堆積する時の銅電極の電子顕微構造と材料分析図、本発明に係る高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが、低温硫酸銅溶液に浸漬されることにより、銅電極に転化する時の概念図、本発明に係る高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが、20分乃至2時間に、低温硫酸銅溶液に浸漬されることにより、端電極が、次第に銅電極に転化される時の光学顕微構造図、本発明に係る積層セラミックコンデンサの低温アルミ端電極が、酸化還元の化学置換反応によって、銅電極に転化される時の概念図、本発明に係る全面積電極を印刷してから、両辺の保護絶縁層を作製する時の概念図及び、本発明によって作製された全面積印刷且つメイラード反応なしの高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサの光学顕微構造図である。図のように、本発明は、積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法であり、積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors, MLCC)1を応用して、薄層化誘電体セラミックス層11の厚さと複数層のニッケル内部電極12の堆積により、高い、密度の電極とセラミック比の末端縁と側縁を作製して、高キャパシタンス化の目的を達成し、図1のようである。
【0020】
図2は、サイクリックボルタンメトリーで、本発明によって作製された積層セラミックコンデンサと従来の積層セラミックコンデンサを測定する時の酸化還元電位図であり、その中、図(a)は、本発明に係る高キャパシタンスの高密度ニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサの酸化還元電位で、図(b)は、一般の低密度のニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサの酸化還元電位である。分かるように、明らかに、本発明に係る高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサは、より高いニッケル内部電極を有して、導体化されるから、酸化還元電位が、より高くなり、そのため、この端面や側面には、容易に、電気化学堆積塗膜が行われる。
【0021】
表一は、本発明に係る高キャパシタンスの高密度ニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサ端電極の工程原理と方法であり、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサの末端縁に、高密度のニッケル内部電極が存在するため、高酸化還元電位になり、その故、電気鍍金と化学鍍金を含む電気化学堆積技術で、端電極を作製でき、当該電気化学堆積の金属塗膜端電極の材料は、ニッケル内部電極と同様の材料或いは、ニッケル内部電極とオーミック接触が形成される材料であり、また、連結端電極と誘電体セラミックス層の結合力は、電気化学堆積の金属塗膜端電極と誘電体セラミックス層との結合力の外に、更に、積層セラミックコンデンサの高密度ニッケル内部電極と電気化学堆積の金属塗膜端電極との結合力が含まれる。
【0022】
【表1】
【0023】
図3は、従来と本発明に係る新規の積層セラミックコンデンサ端電極の工程比較図であり、従来の工程は、厚膜銅ペーストを利用して、浸漬鍍金工程によって成型されてから、高温窒素ガス下の焼結により、図の破線Aによって囲まれた部分の銅電極になる。本発明に係る新規の工程によれば、電気化学堆積浸漬で、銅電極13が得られる。
【0024】
上記の、電気化学堆積浸漬によって銅電極が得られる工程は、図4Aのようであり、図(a)は、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサ端面にある高密度のニッケル内部電極12の表面に、電気化学堆積により、次第に、銅電極13aが形成され、図(b)のようである。さらに、所定の時間に堆積した後、ニッケル内部電極12表面の銅電極13aが、成長して、互いに連結し、末端縁の銅電極13が形成され、図(c)のようである。その中、本発明に係る電気鍍金堆積後の銅電極13の光学顕微構造は、図4Bのようであり、図4A(c)は、光学顕微鏡で観察した電気化学堆積による銅電極の完全構造である。電気鍍金堆積中の銅電極を電子顕微で観察した構造は、図4C(a)のように、電子顕微鏡により表示される新規銅電極とニッケル内部電極の微構造電子画像であり、その材料分析は、図4Cの(b)、(c)のように、それぞれ、銅電極材料分析とニッケル内部電極材料分析から、明らかに分かるように、銅電極とニッケル内部電極とが、優れた連結が得られる。
【0025】
以下、実施例を挙げて、本発明の細部や意図を説明するが、本発明の特許請求範囲は、それによって制限されない。
【0026】
[実施方式一:積層セラミックコンデンサ端電極(I)]
本新規工程は、銅ペーストや高温焼結窒化炉を利用せずに、焼結された、端電極を有しない積層セラミックコンデンサ1を、温度80°Cの硫酸銅溶液2に浸漬し、図5のように、初めに、ニッケル内部電極12の上端に、次第に、銅電極13aが形成され、時間の経過とともに、形成した銅電極13aと銅電極13aが、互いに接近し、約1時間後、接続面の銅電極13が形成される。図6のように、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサを、20分乃至2時間、温度80°Cの硫酸銅溶液に浸漬し、硫酸銅溶液に浸漬する時間の増加とともに、積層セラミックコンデンサの側縁に生成される銅電極が、より完全的になり、表二のように、浸漬時間が長くなるとともに、銅電極が、完全に形成され、その介電特性も、既存の厚膜銅ペーストを利用して、高温窒素ガス下で焼結される銅電極の特性に近づく。
【0027】
【表2】
【0028】
[実施方式二:積層セラミックコンデンサ端電極(II)]
図7のように、本発明は、積層セラミックコンデンサ3に対して、浸漬鍍金と低温焼成を行い、200°Cより低い熱処理を介して、当該内部電極の表面に、アルミ端電極31が作製され、また、湿式化学浸漬塗膜方式に従て、当該アルミ端電極31を有する積層セラミックコンデンサ3を、10~60分、60~80°Cの硫酸銅溶液2に浸漬し、当該積層セラミックコンデンサ3のアルミ端電極31が、化学酸化還元置換反応により、積層セラミックコンデンサ3の銅電極32になり、その容量特性は、銅ペーストで浸漬鍍金して、高温還元雰囲気窒素ガス下で焼結した積層セラミックコンデンサの銅電極に相当する。
【0029】
[実施方式三:積層セラミックコンデンサ絶縁保護層]
従来の高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサ5は、焼結後、中央に堆積される多数の内部電極52と、電極なしの両辺にある空白誘電体セラミックス層51との密度差違により、隆起のメイラード反応が現れ、図11のようである。本発明に係る解決策は、図8のように、全面積に電極を印刷してから、両辺にある絶縁保護層43を作製することである。本発明によれば、全面積に内部電極42を印刷することにより、内部電極42を有する中央と内部電極42を有しない両辺との密度差違を無くすことができ、そのため、積層セラミックコンデンサ4の内部製品の作製に、均一性が高いだけでなく、印刷面積を、極大化でき、大面積で、高キャパシタンスの目的を実現できる。しかしながら、積層セラミックの素子の両辺に絶縁保護層が作製されることが、課題になる。
【0030】
図9を参照しながら、当該絶縁保護層は、前記の高キャパシタンスの銅電極と同様に、積層セラミック素子を、1時間、温度80°Cの硫酸銅溶液に浸漬した後、両辺の側縁に銅電極が生成され、図9(a)(b)のようであり、更に、低温250°Cの大気中、半時間焼成した後、両側縁にある銅電極が、絶縁保護層として、酸化銅に酸化され、図9(c)のようであるが、ニッケル内部電極の導電性に悪影響を与えない。これにより、全面積印刷且つメイラード反応なしに、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが作製される。
【0031】
以上のように、本発明の主な技術特徴は、
1、積層セラミックコンデンサの内部電極層と誘電体セラミックス層との比例は、1:50より大きく、誘電体セラミックス側面の導電性を増加するだけでなく、連続的に、端電極或いは側電極が形成される。
2、上記湿式化学浸漬塗膜技術は、一般の金属メッキ或いは、金属置換化学鍍金が含まれる金属化学鍍金を利用して達成できる。
3、上記化学塗膜と積層セラミックの内部電極は、銅金属或いは、合金が形成される金属であり、これにより、内部電極と、優れた電極接続オーミック接触が形成される。
4、上記金属塗膜端電極と誘電体セラミックス層の結合力は、金属塗膜と誘電体セラミックス層との結合力だけでなく、内部電極と金属塗膜との結合力がある。
5、上記側縁にある化学浸漬の金属塗膜は、適当な熱処理条件の下で、金属酸化物に転化し、絶縁保護層とされる。
【0032】
また、本発明と既存技術の差違点は次のようである。
1、本新規技術は、厚膜導電膏や、保護雰囲気下で、電極を高温焼結することを必要しなく、低温下で、超低内部応力且つ、薄層介電層や多内部電極の高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサに適用できる端電極が、作製される。
2、本新規技術は、両側縁において、余分に、低温(<300°C)の大気下熱処理工程で、絶縁保護層を作製でき、新規工程と積層セラミックコンデンサとの結合力は、主として、内部電極と絶縁保護層との結合力であり、低温工程であるため、印刷工程や高温還元雰囲気熱処理工程を必要としなく、工程が簡単だけでなく、絶縁保護層の品質も、既存の工程よりも優れる。
【0033】
上記のように、本新規技術は、受動素子産業に適用でき、また、貴金属電極の代わりに銅電極を利用する、商業製品に応用でき、例えば、受動素子の積層セラミックコンデンサ端電極や、超低抵抗チップ抵抗器である。
【0034】
上述のように、本発明に係る積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法は、有効的に、従来の諸欠点を解消でき、超低温電気化学堆積塗膜技術で、低内部応力の積層セラミックコンデンサ端電極と絶縁保護層を作製することにより、積層セラミックコンデンサの収率を向上でき、また、コストダウンできるため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0035】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の末端縁と側縁にある高密度ニッケル内部電極の概念図である。
図2】本発明に係る高キャパシタンスの高密度のニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサと一般の低ニッケル内部電極の積層セラミックコンデンサとの酸化還元電位の比較概念図である。
図3】本発明に係る新規の端電極工程と既存の積層セラミックコンデンサ端電極工程との比較概念図である。
図4A】本発明に係る、高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサ側縁の高密度ニッケル電極を銅電極に置換する場合の概念図である。
図4B】本発明に係る電気鍍金して堆積した後の銅電極の光学顕微構造図である。
図4C】本発明に係る電気鍍金して堆積する時の銅電極の電子顕微構造と材料分析図である。
図5】本発明に係る高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが、低温硫酸銅溶液に浸漬されることにより、銅電極に転化する時の概念図である。
図6】本発明に係る高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサが、20分乃至2時間に、低温硫酸銅溶液に浸漬されることにより、端電極が、次第に銅電極に転化される時の光学顕微構造図である。
図7】本発明に係る積層セラミックコンデンサの低温アルミ端電極が、酸化還元の化学置換反応によって、銅電極に転化される時の概念図である。
図8】本発明に係る全面積電極を印刷してから、両辺の保護絶縁層を作製する時の概念図である。
図9】本発明によって作製された全面積印刷且つメイラード反応なしの高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサの光学顕微構造図である。
図10】従来の末端縁と側縁の低密度ニッケル内部電極概念図である。
図11】従来の高キャパシタンスの積層セラミックコンデンサ焼結後、隆起メイラード反応が現れるときの概念図である。
【符号の説明】
【0037】
(本発明の部分)
1 積層セラミックコンデンサ
11 誘電体セラミックス層
12 内部電極
13 銅電極
13a 銅電極
2 硫酸銅溶液
3 積層セラミックコンデンサ
31 アルミ端電極
32 銅電極
4 積層セラミックコンデンサ
42 内部電極
43 絶縁保護層
A 破線
(従来の部分)
5 積層セラミックコンデンサ
51 誘電体セラミックス層
52 内部電極
53 銅電極
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が、全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有し、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップAと、
湿式化学浸漬塗膜方式で、当該積層セラミックコンデンサを、温度が80°Cより低い金属溶液に浸漬して、電気化学堆積によって、当該内部電極表面に、緩やかに、金属塗膜が生成されるステップBと、
1~2時間に堆積した後、当該内部電極表面に、持続的に金属塗膜が形成されて、一体に接続し、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に、接続面になる金属塗膜端電極が形成されるステップCと
更に、
200°C~300°Cの低温熱処理によって、当該積層セラミックコンデンサの両側にある末端縁の当該金属塗膜端電極を金属酸化物に酸化して絶縁保護層とするステップDと、が含まれ
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
該湿式化学浸漬塗膜は、一般の金属メッキ、或いは、金属置換化学鍍金が含まれる金属化学鍍金によって実現され
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
該積層セラミックコンデンサの内部電極と誘電体セラミックス層との比率は、1:50より大き
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
該電気化学堆積による当該金属塗膜端電極の材料は、オーミック接触として利用できる、当該内部電極と同じ金属材料であり、或いは、当該内部電極との合金が形成される金属材料であ
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と、全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
該金属塗膜端電極は、銅端電極、ニッケル端電極、銅ニッケル合金端電極、マンガニン合金端電極或いは、ニッケルクロムシリコン合金端電極であ
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
該金属溶液は、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸クロム、ケイ素化合物或いは、それらの組み合わせであ
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力は、当該金属塗膜端電極と当該誘電体セラミックス層との結合力及び当該内部電極と当該金属塗膜端電極との結合力が含まれ
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項8】
少なくとも、
当該積層セラミックコンデンサが、複数層の薄層化誘電体セラミックス層と複数層の内部電極とを相互に堆積することにより構成され、当該積層セラミックコンデンサの内部電極が全面積に印刷され、当該積層セラミックコンデンサ末端縁に高密度の内部電極を有し、焼結された後、端電極を有しない積層セラミックコンデンサを用意するステップA1と、
当該積層セラミックコンデンサに対して浸漬鍍金と低温焼成を行い、200°Cより低い熱処理を行った後、当該内部電極表面にアルミ端電極が作製されるステップB1と、
湿式化学浸漬塗膜方式で、当該アルミ端電極の積層セラミックコンデンサを、60~80°Cの金属溶液に、10~60分に浸漬した後、当該積層セラミックコンデンサのアルミ端電極を化学酸化還元置換反応によって当該金属溶液に対応する金属塗膜端電極に転化するステップC1と、が含まれる、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法において、
当該積層セラミックコンデンサの内部電極と誘電体セラミックス層との比率は、1:50より大きい、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ端電極の作製と全面積に内部電極保護層を印刷する方法。