(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171357
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】浴槽システム及び出槽判定方法
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20231124BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20231124BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20231124BHJP
F24H 15/30 20220101ALI20231124BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
F24H15/196 301Z
F24H15/246
F24H15/269
F24H15/30
F24H15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083256
(22)【出願日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2022083019
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】北村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】星島 弘明
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024GG12
3L024HH02
(57)【要約】
【課題】出槽の誤判定を抑制できる浴槽システムを提供する。
【解決手段】浴槽システムは、浴槽10と、浴槽に設けられ、浴槽の水位Lを測定可能な水位センサと、制御装置と、を含む。入槽時に浴槽のオーバーフローが想定される下限の水位を、あらかじめ上限基準水位Lr0と規定する。制御装置は、水位が、あらかじめ設定された安定時間を超えて安定している場合に、水位を基準水位Lrとして記憶し、基準水位が上限基準水位を上回る場合、上限基準水位を基準水位として記憶し、上限基準水位を基準水位として記憶した後で、水位が基準水位を下回った場合に、出槽と判定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、前記浴槽に設けられ、前記浴槽の水位を測定可能な水位センサと、制御装置と、を含む浴槽システムであって、
入槽時に前記浴槽のオーバーフローが想定される下限の前記水位を、あらかじめ上限基準水位と規定したときに、
前記制御装置は、
前記水位が、あらかじめ設定された安定時間を超えて安定している場合に、前記水位を基準水位として記憶し、
前記基準水位が前記上限基準水位を上回る場合、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶し、
前記上限基準水位を前記基準水位として記憶した後で、前記水位が前記基準水位を下回った場合に、出槽と判定する
浴槽システム。
【請求項2】
入槽時に浴槽のオーバーフローが想定される下限の前記浴槽の水位を、あらかじめ上限基準水位と規定したときに、
前記水位が、あらかじめ設定された安定時間を超えて安定している場合に、前記水位を基準水位として記憶し、
前記基準水位が前記上限基準水位を上回る場合、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶し、
前記上限基準水位を前記基準水位として記憶した後で、前記水位が前記基準水位を下回った場合に、出槽と判定する
出槽判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽システム及び出槽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅内での事故で亡くなる人のうち、溺死の割合が多い。介護現場では、施設内、住宅内によらず、入浴中の被介護者は、人により監視される場合が多い。人による監視は時間的にも労力的にも限界にきている。そこで、センサ等を用いて入浴中の被介護者を監視するシステムが鋭意検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、浴槽内の圧力変化から水位を検出する水位センサと、浴室内の人感センサにより、人の存否の有無を検知する風呂給油装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、荷重計を浴槽下に設置することで、人が浴槽に入槽したか否かを判別する手法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、浴槽内の水位と入浴者のバイタル情報に基づいて入浴体積を算出して、変化量に基づいて入浴又は退浴を判断するセンサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-002643号公報
【特許文献2】特開2019-158289号公報
【特許文献3】特開2019-203621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のシステムでは、人が浴槽から出槽していないのに出槽と判定する誤判定のリスクがあった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、出槽の誤判定を抑制できる浴槽システム及び出槽判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
(1)本発明の一態様に係る浴槽システムは、浴槽と、前記浴槽に設けられ、前記浴槽の水位を測定可能な水位センサと、制御装置と、を含む浴槽システムであって、入槽時に前記浴槽のオーバーフローが想定される下限の前記水位を、あらかじめ上限基準水位と規定したときに、前記制御装置は、前記水位が、あらかじめ設定された安定時間を超えて安定している場合に、前記水位を基準水位として記憶し、前記基準水位が前記上限基準水位を上回る満水領域にある場合、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶し、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶した後で、前記水位が前記基準水位を下回った場合に、出槽と判定する。
【0010】
ここで言う入槽とは、人が浴槽の外側から内側に移動することを意味する。出槽とは、人が浴槽の内側から外側に移動することを意味する。
【0011】
(2)本発明の一態様に係る出槽判定方法は、入槽時に浴槽のオーバーフローが想定される下限の前記浴槽の水位を、あらかじめ上限基準水位と規定したときに、前記浴槽の水位が、あらかじめ設定された安定時間を超えて安定している場合に、前記水位を基準水位として記憶し、前記基準水位が前記上限基準水位を上回る場合、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶し、前記上限基準水位を前記基準水位として記憶した後で、前記水位が前記基準水位を下回った場合に、出槽と判定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、出槽の誤判定を抑制できる浴槽システム及び出槽判定方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】人が入槽して全身浴している状態における水位を示す説明図である。
【
図3】人が入槽して全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変えた場合における水位を示す説明図である。
【
図4】人が出槽した状態における水位を示す説明図である。
【
図6】湯張り完了時における水位が上限基準水位より上方にある状態を示す説明図である。
【
図7】人が入槽して全身浴した状態で浴槽内の水がオーバーフローした状態を示す説明図である。
【
図8】人が入槽して全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変えた場合における水位を示す説明図である。
【
図9】人が出槽した状態における水位を示す説明図である。
【
図10】入槽前から出槽後までにおける水位、基準水位及び加速度の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る浴槽システム100について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る浴槽システム100の説明図である。
【0015】
(浴槽システム)
一実施形態に係る浴槽システム100は、
図1に示すように、框面10aを有する浴槽10と、浴槽10に設けられ、水位Lを測定可能な水位センサ20と、制御装置30と、を含んでいる。
【0016】
(浴槽)
浴槽10は、水を溜めることができるように下方に向かって窪んだ空間を形成する内槽を有している。内槽は、底面と、底面の周縁から上方に延びる内側面と、を有している。
浴槽10は、浴槽10に水を満たした状態における水面と同等の高さに位置する框面10aを有している。浴槽10は、上方に向かって開口する有底筒状に形成されている。
なお、以下、特に説明のない限り、水位Lは、鉛直方向における浴槽10(内槽)の底面から水面までの距離で表される。例えば、浴槽10に水が全くない場合、水位Lはゼロであり、水面が框面10aの高さにある場合における水位L(浴槽10の深さ)は400mmから450mmである。
【0017】
(水位センサ)
水位センサ20は、浴槽10の水位Lを測定可能なセンサである。水位センサ20は、例えば、水圧の変化に応じて変化する電圧を検出する圧力式水位センサであってよい。水位センサ20は、浴槽10の内槽に設置できる。なお、水位Lの変化から、水位Lの速度又は加速度を、水位センサ20で演算してもよく、制御装置30で演算してもよい。後述する平均の水位Lについても、同様である。
【0018】
(制御装置)
制御装置30は、制御部を含んでいる。制御部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部は、プロセッサがプログラムを実行することによって機能する。制御部の機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてよい。
プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えば、SSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、半導体記憶装置等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。プログラムは、浴槽システム100を用いた出槽判定方法をコンピュータに実行させるプログラムを含んでよい。
【0019】
詳細には、制御装置30は、記憶部31と判定部32と報知部33とを備えている。
【0020】
記憶部31は、制御に要する、あらかじめ設定される初期値(上限基準水位Lr0)及びあらかじめ設定される閾値(安定時間T1th、水位差閾値Lth)を記憶する。
【0021】
上限基準水位Lr0は、入槽時に浴槽10のオーバーフロー(浴槽10から水が溢れ出ること)が想定されるあらかじめ設定された下限の水位と規定される。上限基準水位Lr0は、比較的大きな体格の人が入浴した際に動いたりすることによる押し退ける浴槽10内の水の容積に対応するその浴槽10内の水位Lの変化量の分、かつ、比較的小さな体格の人が出槽した際に出槽した後の水位Lが基準水位Lrを下回ることが可能な変化量の分、框面10aから下方のレベルに設定されてよい。
浴槽10内における上限基準水位Lr0よりも上方の容積は、比較的大きな体格であって立位の人の、首以下の部分の容積であってもよい。
上限基準水位Lr0は、例えば、框面10aから100mV(67mm。すなわち、例えば、1mmが1.5mVに該当)下方のレベルである。
なお、水位センサ20で検出した電圧値は水位Lにほぼ比例するので、以下、例えば、1.5mVを1mmと読み替えてもよい。例えば、水位センサ20の検出値が100mV増えることは、水位Lが67mm高くなることを意味する。
すなわち、浴槽10の水位Lが上限基準水位Lr0を上回る場合、入槽時に浴槽10がオーバーフローすることが想定される。
【0022】
なお、以下のように、浴槽10から水を抜くたびに、上限基準水位Lr0を調整してもよい。
すなわち、浴槽10内に水が無い状態で水位センサ20が検出する電圧に対して、水位センサ20が検出する圧力が高くなるように、一定の電圧差変化させた電圧に対応する水位Lを、上限基準水位Lr0とする。水位センサ20のドリフトや、水位センサ20の周囲の大気圧の変化等に対応するためである。
【0023】
安定時間T1thは、水位Lが、例えば、±20mmの範囲で、大きく上下せずに安定している状態にあると判断するための基準となる最短の時間である。安定時間T1thは、例えば、10秒に設定される。
【0024】
水位差閾値Lthは、人が入槽又は出槽したと判断するための条件となる水位Lの変化量の基準となる距離である。人が入槽又は出槽する際に想定される水位Lの変化量より小さめに設定される。人が入槽又は出槽する際に想定される水位Lの変化量は、例えば、標準と比べて小さい体格の人が全身浴をしている状態においてその人が押し退けた浴槽10内の水の容積に対応するその浴槽10内の水位Lの変化量であってよい。水位差閾値Lthは、例えば、50mmである。
【0025】
例えば、判定部32は、0.2秒毎に水位センサ20の測定結果を検出する。そして、判定部32は、5回の検出結果を平均して、浴槽10の水位Lを測定する。すなわち、この例では、判定部32は、(0.2秒×10)である2秒毎に、浴槽10の水位L(平均の水位L)を算出する。
以下で言う水位Lには、0.2秒毎に検出される水位Lではなく、平均の水位Lを用いることが好ましい。特許請求の範囲における水位として、平均の水位Lを用いることが好ましい。
【0026】
判定部32は、
図10に示すように、水位Lが、あらかじめ設定された安定時間T1thを超えて安定している場合に、水位Lを基準水位Lrとして記憶する。ここで言う水位Lが安定しているとは、水位Lが鉛直方向に所定の範囲内にあることを意味する。例えば、所定の範囲とは、±13mmの範囲(鉛直方向に27mmの範囲)、好ましくは±7mmの範囲、より好ましくは±3mmの範囲を意味する。
水位Lが安定時間T1thを超えて安定していることを、例えば10秒である安定時間T1thの開始時と終了時との、時間に対する水位Lの傾きにより判断してもよい。
【0027】
判定部32は、基準水位Lrが上限基準水位Lr0を上回る場合、上限基準水位Lr0を基準水位Lrとして記憶する。言い換えれば、記憶部31に基準水位Lrとして記憶されている値を、上限基準水位Lr0に更新する(書き換える)。そして、上限基準水位Lr0を基準水位Lrとして記憶した後で、水位Lが基準水位Lrを下回った場合に、出槽と判定する。
【0028】
なお、出槽の判定に、水位Lと基準水位Lrとの水位差ΔL(例えば、水位Lから基準水位Lrを引いた値(L-Lr))が、あらかじめ設定された水位差閾値Lthを超えた場合という条件を付加してよい。このように、基準水位Lrは、入槽前に水位Lが、上限基準水位Lr0を上回る満水領域FWで安定している場合、上限基準水位Lr0に変更される。これにより、入槽前の水位Lが満水領域FWにあっても、出槽の誤判定を抑制でき、出槽を判定できる。
【0029】
報知部33は、入槽してから所定時間以上出槽がなかった場合に、外部に報知を行う報知部33を備えてよい。これにより、人が入槽してから所定時間以上出槽がないことを外部に知らせることができる。よって、介護者等、浴槽10を利用する被介護者を直接的に監視せずに、プライベートを確保しつつ、見守ることができる。なお、報知の方法は、例えば、音、表示等であってよい。報知の手段は、例えば、浴槽システム100に接続された通信手段を介した、スピーカ又はディスプレイ等であってよい。
【0030】
(出槽判定方法)
次に、浴槽システム100を用いた出槽判定方法を説明する。
一実施形態に係る出槽判定方法は、浴槽10の水位Lが安定時間T1thを超えて安定している場合に、水位Lを基準水位Lrとして記憶する。
そして、基準水位Lrが上限基準水位Lr0を上回る場合、上限基準水位Lr0を基準水位Lrとして記憶する。、水位Lが基準水位Lrを下回った場合に、出槽と判定する。
【0031】
(入槽前非満水状態の場合)
次に、入槽前に満水状態でない場合における出槽判定方法について、浴槽10への人の入槽から出槽までの流れに沿って、水位Lの変化と浴槽システム100の作用に着目して、例を挙げて説明する。
図1は、人が入槽していない状態における水位Lを示す説明図である。
図2は、人が入槽して全身浴している状態における水位Lを示す説明図である。
図3は、人が入槽して全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変えた場合における水位Lを示す説明図である。
図4は、人が出槽した状態における水位Lを示す説明図である。
図5は、水位Lの時間変化を示すグラフである。なお、
図1を除き、水位センサ20及び制御装置30の図示は省略されている。
【0032】
あらかじめ、浴槽システム100の記憶部31に、水位差閾値Lthとして、例えば、水位Lに対応する、水位センサ20が検出する電圧値である40mVを記憶しておく。
記憶部31に、上限基準水位Lr0として、框面10aから100mV下方のレベル、例えば、1500mVを記憶しておく。記憶部31に、安定時間T1thとして、例えば、10秒を記憶しておく。
【0033】
(A1)まず、
図1に示すように、浴槽10に湯はりする(水を溜める)。
浴槽システム100は、水位センサ20で測定した水位Lを、随時、例えば、2秒毎に取得している。
この際、
図5において矢印Aで示すように、水位Lは、1280mV近傍で安定している。水位Lの加速度Laは、ゼロ近傍で安定している。基準水位Lrは、水位Lが安定時間T1thを超えて安定している場合、水位Lと同じ1280mVとなる。
【0034】
(A2)次に、人が浴槽10内に入槽する。なお、ここでは、人は、半身浴している状態(頭を除く体の一部分が水に浸かっている状態)である。
すると、
図5において矢印Bで示すように、水位Lは、1400mV程度まで、人が入槽したことで押し退けられた水の容積分上昇する。基準水位Lrは、1280mVを維持する。
ここで、浴槽システム100(制御装置30の判定部32)は、水位Lと基準水位Lrとの水位差ΔL(120mV)が、あらかじめ設定された水位差閾値Lth(40mV)を超えているので、入槽と判定してよい。ここでは、水位差ΔLがプラスであるので、入槽と判定する。(入槽判定)
浴槽システム100(制御装置30の報知部33)は、判定部32で入槽と判定されると、入槽したことを示す情報を、外部に報知してもよい。
【0035】
(A3)次に、
図2に示すように、人が半身浴している状態から全身浴(頭を除く体の大部分が水に浸かっている状態)している状態に姿勢を変える。
すると、
図5において矢印Cで示すように、水位Lは、1400mV程度から1430mV程度まで、人が姿勢を変えたことで押し退けられた水の容積分上昇する。基準水位Lrは、1280mVを維持する。
【0036】
(A4)次に、
図3に示すように、人が全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変える。
すると、
図5において矢印Dで示すように、水位Lは、1430mV程度から1400mV程度まで、人が姿勢を変えたことで水面より上方に抜けた人体の容積に対応する水の容積分降下する。基準水位Lrは、1280mVを維持する。
【0037】
(A5)次に、
図4に示すように、人が浴槽10外に出槽する。
すると、
図5において矢印Eで示すように、水位Lは、1400mV程度から基準水位Lrより僅かに低いレベルまで降下する。基準水位Lrは、1280mVを維持する。
ここで、浴槽システム100(制御装置30の判定部32)は、水位Lが基準水位Lrを下回った(水位Lが基準水位Lrを水位差閾値Lthを超えて上回った後に基準水位Lrを下回った)ので、出槽と判定する。
このようにして、入槽前の水位Lが満水領域FWにない場合、誤判定を抑制して、出槽を判定できる。
【0038】
(入槽前満水状態の場合)
次に、入槽前に満水状態である場合における出槽判定方法について、浴槽10への人の入槽から出槽までの流れに沿って、水位Lの変化と浴槽システム100の作用に着目して、例を挙げて説明する。
図6は、湯張り完了時における水位Lが上限基準水位Lr0より上方にある状態を示す説明図である。
図7は、人が入槽して全身浴した状態で浴槽内の水がオーバーフローした状態を示す説明図である。
図8は、人が入槽して全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変えた場合における水位Lを示す説明図である。
図9は、人が出槽した状態における水位Lを示す説明図である。
図10は、入槽前から出槽後までにおける水位L、基準水位Lr及び加速度Laの時間変化を示すグラフである。
【0039】
(B1)まず、
図6に示すように、浴槽10に湯はりする(水を溜める)。
浴槽システム100は、水位センサ20で測定した水位Lを、随時、例えば、2秒毎に取得している。
この際、
図10で矢印Jで示すように、水位Lは、ほとんど框面10aと同じレベル(例えば、1450mV)にあり、満水領域FW(水位Lが上限基準水位Lr0のレベルである1400mVから框面10aのレベルである1450mVの間)で安定している。ここで、基準水位Lrは、水位Lが安定時間T1thを超えて安定している場合、入槽時にオーバーフローが想定されるあらかじめ設定された上限基準水位Lr0を上回る満水領域FWにあるので、この上限基準水位Lr0である1400mVを基準水位Lrとして設定する。
【0040】
(B2)次に、
図7に示すように、人が浴槽10内に入槽する。
すると、水位Lは、
図10で矢印Kで示すように、一時1450mVを超えて1470mVに到達するような場合はあるものの、1450mV程度を維持したまま、人が入槽したことで押し退けられた水の容積分、オーバーフローする。基準水位Lrは、上限基準水位Lr0である1400mVを維持する。
【0041】
(B3)次に、
図8に示すように、人が全身浴している状態から半身浴している状態に姿勢を変える。
すると、水位Lは、
図10で矢印Mで示すように、人が姿勢を変えたことで水面より上方に抜けた人の体積に対応する分(例えば、30mV)降下する。基準水位Lrは、上限基準水位Lr0である1400mVを維持する。ここで、水位Lは、上限基準水位Lr0である1400mVを下回らない(基準水位Lrまで戻らない)。よって、浴槽システム100は、出槽と判定しない。
【0042】
(B4)次に、
図9に示すように、人が浴槽10外に出槽する。
すると、水位Lは、
図10で矢印Nで示すように、上限基準水位Lr0である1400mVに設定された基準水位Lrより低いレベルまで降下する。基準水位Lrは、1400mVを維持する。
ここで、浴槽システム100(制御装置30の判定部32)は、水位Lが基準水位Lrを下回った(水位Lが基準水位Lrを水位差閾値Lthを超えて上回った後に基準水位Lrを下回った)ので、出槽と判定する。
このようにして、入槽前の水位Lが上限基準水位Lr0を上回っても、誤判定を抑制して、出槽を判定できる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の浴槽システム100及び出槽判定方法では、入槽する前の水位Lが上限基準水位Lr0を上回り、入槽時に浴槽10から水がオーバーフローしたあと、入槽した人が姿勢を変えたことで水位Lが低下した場合について説明する。この場合であっても、上限基準水位Lr0に設定された基準水位Lrまで水位Lが低下しなければ、出槽と判定しないようにできる。従って、出槽の誤判定を抑制した状態で、出槽を判定できる。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 浴槽
10a 框面
20 水位センサ
30 制御装置
31 記憶部
32 判定部
33 報知部
100 浴槽システム
L 水位
La 加速度
Lr 基準水位
Lr0 上限基準水位
Lth 水位差閾値
T1th 安定時間
ΔL 水位差