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特開2023-171365バッテリ管理システムを備えるバッテリ・システム及び自動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171365
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】バッテリ管理システムを備えるバッテリ・システム及び自動車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20231124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083524
(22)【出願日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10 2022 112 664.1
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】ユーリアン ノヴロート
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ツィーグラー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ザイデル
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ブッシェ
(72)【発明者】
【氏名】マルク ハルトマイヤー
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB01
5G503FA06
5G503GA01
5G503GA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易に保守することができる簡素化されたバッテリ管理システムを有するバッテリ・システムを提供する。
【解決手段】自動車両用のバッテリ・システム(1)は、バッテリ管理システム(3)と、少なくとも二つのバッテリ・パック(5、6)と、を備え、それぞれのバッテリ・パック(5、6)が、バッテリ・セル(7)、それぞれのバッテリ・パック(5、6)を切り替えるための少なくとも一つのスイッチ(9)及びバッテリ・セル(7)の動作パラメータを測定するための測定装置(8)を有する。バッテリ管理システム(3)は、バッテリ・パックのうちの正確に一つであるメイン・モジュール(5)に配置され、残りのバッテリ・パック(6)のスイッチング素子(9)を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ管理システム(3)と、少なくとも二つのバッテリ・パック(5、6)と、を備え、それぞれのバッテリ・パック(5、6)が、バッテリ・セル(7)、前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を切り替えるための少なくとも一つのスイッチ(9)、及び前記バッテリ・セル(7)の動作パラメータを測定するための測定装置(8)を有する、好ましくは自動車両(2)用のバッテリ・システム(1)において、
前記バッテリ管理システム(3)が前記バッテリ・パックのうちの正確に一つ(5)に配置され、残りのバッテリ・パック(6)の前記スイッチ(9)が前記バッテリ管理システム(3)によって制御される、
ことを特徴とする、バッテリ・システム(1)。
【請求項2】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記測定装置(8)によって前記バッテリ・セル(7)の動作パラメータを直接測定するように構成されている、請求項1に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項3】
前記バッテリ管理システム(3)が、信号を送信及び/又は受信するための信号線(10)によって、前記測定装置(8)及び/又は前記スイッチ(9)に直接接続されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項4】
前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)が、空間的に分離され、好ましくは空間的に分散されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項5】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記バッテリ・セル(7)の動作状態、好ましくは前記バッテリ・システム(1)の前記動作状態を評価するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項6】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記それぞれのスイッチ(9)によってスイッチング機構(4)に対する前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)のスイッチング状態を変更するように、特に、前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を前記スイッチング機構(4)に電気的に接続するように、又は前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を前記スイッチング機構(4)から電気的に切断するように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項7】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記スイッチ(9)を制御することによって、前記スイッチング機構(4)を介して前記バッテリ・システム(1)のバランスをとるように構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項8】
すべてのバッテリ・パック(5、6)を充電装置(11)及び/又は電気負荷(12)に接続するための共通の電気接続部(13)、好ましくは端子又はコネクタが設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項9】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記スイッチ(9)によって、前記バッテリ・システム(1)、特に前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)の上流にプリチャージ回路(16)を接続するように構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバッテリ・システム(1)、特に空間的に分散されたバッテリ・システム(1)を備える自動車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ管理システムを備えるバッテリ・システム及び自動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
マスタ-スレーブ・システムは、複数のバッテリ・パックが共通の論理バッテリを形成するように相互接続された分散型バッテリ・システムを制御するためにしばしば使用され、マスタが一つのバッテリ・パックに配置され、スレーブが更なるバッテリ・パックに配置され、それぞれが個々のバッテリ・パックを制御する。
【0003】
これの欠点は、スレーブを備えたバッテリ・パックがそれぞれ独自の制御装置を必要とし、このために特別なソフトウェアを開発し、保守しなければならないことである。ソフトウェアを開発するプロセスの間、マスタ-スレーブ・システムにソフトウェアを組み込むことに加えて、特に、スレーブ制御装置用の新しいソフトウェアをバッテリ・パックにフラッシュすることが必要である。この目的のために、例えば、ニードル・アダプタを使用してスレーブ制御装置をフラッシュすることができるように、特に開発プロセス又は保守中に、バッテリ・パック内のスレーブ制御装置に直接アクセスすることが必要である。これは、バッテリ・パックにアクセスすることが困難な、自動車両内に空間的に分散されたバッテリ・パックの場合に、特に分散型バッテリ・システムの場合に困難である場合がある。
【0004】
更に、バッテリ管理のための分散型マスタ-スレーブ・システムを開発する場合、ハードウェア構成部品の数、したがってハードウェア開発コスト、及び個々のバッテリ・パック、特にスレーブ・バッテリ・パックの単価が増加する。バッテリ管理のためのマスタ-スレーブ・システムにおける複数の分散型制御装置の開発及び運用も、制御装置間の機能調整及び通信のために、同様に非常に複雑である。
【0005】
したがって、EP3497776A1は、複数の交換可能なバッテリ・パックを備えるバッテリ・ユニットを開示しており、個々のバッテリ・パックの充放電電流を調整するためのスイッチング素子がマスタ-スレーブ・システムによって制御されている。この場合、個々のバッテリ・パックは、構造的に実質的に同一であり、一つのバッテリ・パックがマスタ制御装置を有し、他の交換可能なバッテリ・パックがそれぞれスレーブ制御装置を有する。したがって、この場合、すべてのバッテリ・パックがそれぞれ独自の制御装置を有する。
【0006】
EP3687027A1は、マスタ-スレーブ・システムによって制御される二つのバッテリ・パックを備えるバッテリ・システムを開示している。バッテリ・パック内のスレーブ制御装置は、電圧、電流及び充電状態を測定し、測定値をマスタ制御装置に送信する。マスタ制御ユニットは、測定値の評価に従ってバッテリ・パック内のスイッチング素子を制御する。すべてのバッテリ・パックは、独自の制御装置を有する。
【0007】
米国特許2019/0229376A1号は、直列に接続された複数のバッテリ・パックで構成されたバッテリ用のバッテリ管理システムを開示しており、このバッテリ管理システムは、個々のバッテリ・セルのためのコマンド及び情報を送信するためのマスタ-サブマスタ-スレーブ・システムで編成されている。マスタは、電気データ・バスを介してサブマスタに信号を送信し、各サブマスタが一つのバッテリ・パックを担当する。サブマスタは、電気信号を光信号に変換してバッテリ・パック内の各スレーブに光信号として送信し、コマンドを実行したり、サブマスタに情報を送信したりする。この場合、スレーブは、バッテリ・パック内の各バッテリ・セルに割り当てられている。この場合も、すべてのバッテリ・パックが独自の制御装置を有する。
【0008】
WO2021/162740A1は、複数のバッテリ・パックで構成されたバッテリのバランスをとるためのバッテリ管理システムを開示しており、このバッテリ管理システムは、マスタ-スレーブ・システムで編成されている。この場合、構造的に実質的に同一のバッテリ・パックのうちの一つがマスタを有し、残りのバッテリ・パックがデータ・バスを介してマスタに接続された、交換可能なスレーブを有し、すべてのバッテリ・パックが独自の制御装置を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知の従来技術から進んで、本発明の目的は、より容易に保守することができる簡素化されたバッテリ管理システムを有するバッテリ・システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有するバッテリ・システムによって達成される。有利な発展形態は、従属請求項、明細書、及び図から明らかになる。
【0011】
したがって、バッテリ管理システムと、少なくとも二つのバッテリ・パックと、を備え、それぞれのバッテリ・パックが、バッテリ・セル、それぞれのバッテリ・パックを切り替えるための少なくとも一つのスイッチ、及びバッテリ・セルの動作パラメータを測定するための測定装置を有する、好ましくは自動車両用のバッテリ・システムが提案される。バッテリ・システムは、バッテリ管理システムがバッテリ・パックのうちの正確に一つに配置され、残りのバッテリ・パックのスイッチがバッテリ管理システムによって制御されることを特徴とする。
【0012】
言い換えれば、すべてのバッテリ・パックのスイッチは、一つのバッテリ・パックに配置された一つのバッテリ管理システムによって直接制御されるように構成されている。これにより、他のすべてのバッテリ・パックに制御装置を設ける必要をなくすことができ、バッテリ・システムの保守が大幅に簡素化される。
【0013】
バッテリ・パックをより良く区別するために、バッテリ管理システムが設けられているモジュールがメイン・モジュールである場合は、以下ではメイン・モジュールについても言及する。バッテリ管理システムが存在しない残りのバッテリ・パックは、サテライト・モジュールとも呼ばれる。
【0014】
バッテリ・パックはそれぞれ、バッテリ・パック内のそれぞれのバッテリ・セルの動作パラメータを測定するための測定装置、及び/又はスイッチング機構に対するバッテリ・パックのスイッチング状態を変更するためのスイッチング素子を有することができ、これらはそれぞれ、信号線によってバッテリ管理システムに電気的に及び/又は通信可能に直接接続されている。動作パラメータは、例えば、電圧、電流、温度又は充電状態であってもよい。
【0015】
バッテリ管理システムは、電子制御装置、特に電子制御ユニット(ECU)の形態であってもよく、バッテリ・パックのうちの正確に一つに配置されてもよい。バッテリ管理システムは、信号を送信及び/又は受信するための信号線によって測定装置及び/又はスイッチに直接接続されてもよく、残りのバッテリ・パックのスイッチが直接制御され、及び/又は動作パラメータがバッテリ管理システムによって直接測定されるように構成されてもよい。
【0016】
この目的のために、バッテリ管理システムは、少なくとも一つのプロセッサ及び/又は少なくとも一つのメモリを備える電子制御ユニット(ECU)として提供されてもよく、メモリは、少なくとも一つのプロセッサに、スイッチ、及び/又はバッテリ・パック内のそれぞれのバッテリ・セルの動作パラメータを測定するための測定装置を制御するための方法を実行させるプログラム命令を記憶する。言い換えれば、バッテリ管理システムは、スイッチ及び/又は測定装置を制御するための、特にバッテリ・パックのバランスをとるための方法を実行するように構成されたデータ処理装置又は少なくとも一つのプロセッサ・デバイスを有することができる。この目的のために、プロセッサ・デバイスは、少なくとも一つのマイクロプロセッサ及び/又は少なくとも一つのマイクロコントローラ及び/又は少なくとも一つのFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)及び/又は少なくとも一つのDSP(デジタル信号プロセッサ)を有することができる。
【0017】
スイッチは、例えば、トランジスタ、特に電界効果トランジスタ(MOSFET)若しくはバイポーラ・トランジスタ(IGBT)、又はリレーであってもよい。更に、プロセッサ・デバイスは、プロセッサ・デバイスによって実行されると、前記方法の実施形態を実行するように構成されたプログラム・コードを有することができる。プログラム・コードは、データ・メモリ又はプロセッサ・デバイスに記憶されてもよい。
【0018】
これにより、空間的にアクセスするのが困難な自動車両内の位置に配置されたバッテリ・パックが独自の制御装置を必要としないという利点がもたらされる。これにより、製造コスト及び保守コストを低減することができる。更に、アクチュエータ・システム及び/又はセンサ・システムを前記バッテリ管理システムなどの単一のマスタ制御装置に直接接続することによって、バッテリ管理システムを装備しておらず、スレーブ制御装置の形態であるのが好ましいバッテリ・パック(サテライト・モジュール)内の制御装置のための別個のソフトウェアを開発及び保守することを回避することが可能である。加えて、バッテリ・パックのアクチュエータ・システム及び/又はセンサ・システムを直接接続するという上述の概念は、バッテリ管理のための個々の制御装置のソフトウェアの複雑さを、特に、個々の制御装置のマスタ-スレーブ相互作用、診断及び保守、並びにスリープ及びウェイクアップ・プロセスに関する複雑さを低減する。
【0019】
一実施形態は、メイン・モジュール内のバッテリ管理システムと、少なくとも一つのサテライト・モジュール内の少なくとも一つの電子スイッチング制御装置とに接続された、信号を送信及び/又は受信するための信号線を提供し、バッテリ管理システムは、それぞれのスイッチング制御装置を介して信号によってそれぞれのサテライト・モジュール内のスイッチを制御するように構成されている。言い換えれば、それぞれのサテライト・モジュール内のスイッチング制御装置は、スイッチを開く及び/又は閉じるための信号をメイン・モジュール内のバッテリ管理システムから受信し、サテライト・モジュールのスイッチを直接制御するように構成されてもよい。この場合、メイン・モジュールは、バッテリ管理システムを備えることができ、それぞれのサテライト・モジュールは、スイッチング制御装置を備えることができる。
【0020】
一実施形態は、測定装置によってバッテリ・セルの動作パラメータを直接測定するように構成されたバッテリ管理システム、及び特にこのバッテリ管理システムに組み込まれた演算ユニットを提供する。言い換えれば、それぞれのバッテリ・セルの動作パラメータを測定するように構成された測定装置が、メイン・モジュール及び/又はそれぞれのサテライト・モジュールに設けられてもよい。動作パラメータは、電圧及び/又は電流及び/又は充電状態及び/又は温度であってもよい。この目的のために、測定装置は、信号線によってバッテリ管理システムに接続されてもよい。この場合、バッテリ管理システムは、測定装置によって直接、特にスレーブ制御装置を介して迂回することなく、動作パラメータを測定するように構成されてもよい。
【0021】
例えば、測定装置は、半導体部品、例えば、プリント回路板(PCB)、特に、電圧測定板の形態であってもよく、電圧測定板は、バッテリ・パックにおいて、電圧測定板に接続されたバッテリ・セルの電圧を測定するように構成されている。動作パラメータを測定する目的で、前記部品は、信号線によってバッテリ管理システムに直接接続されてもよく、バッテリ管理システムによって直接制御されるように構成されてもよい。これにより、測定装置が独自のソフトウェアを必要とせず、バッテリ管理システムが、空間的に分散されたバッテリ・パック内のそれぞれのバッテリ・セルの動作パラメータを直接測定することができるという利点がもたらされる。
【0022】
一実施形態は、信号を送信及び/又は受信するための信号線によって測定装置及び/又はスイッチに直接接続されたバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、スイッチ及び/又は測定装置は、例えば電気信号又は光信号を送信するための信号線によってバッテリ管理システムに接続されてもよく、バッテリ管理システムは、信号線を介して測定装置を直接制御するように構成される。信号線は、例えば動作パラメータの測定値を含む情報信号、及び/又はスイッチを開閉するための信号を送信するように構成されてもよい。例えば、スイッチを制御するための、又は測定装置、特に電圧測定板を制御するための信号線は、電線の形態であってもよい。これにより、スイッチ及び/又は測定装置が独自のソフトウェアを必要としないという利点がもたらされる。
【0023】
一実施形態は、メイン・モジュール内のバッテリ管理システムと、少なくとも一つのサテライト・モジュール内の少なくとも一つの電子測定制御装置とに接続された、信号を送信及び/又は受信するための信号線を提供し、測定制御装置は、サテライト・モジュールにおいて、特にサテライト・モジュールのバッテリ・セルにおいて電圧測定を実行するように構成されている。言い換えれば、メイン・モジュール内のバッテリ管理システムは、少なくとも一つの測定値を含む信号を、信号線によって、それぞれのサテライト・モジュール内のそれぞれの測定制御装置から受信するように構成されてもよい。電圧測定は、高電圧(HV)測定であってもよい。例えば、測定制御装置は、それぞれのサテライト・モジュールのバッテリ・セルの相互接続、例えば、直列回路若しくは並列回路の電圧を測定するように、及び/又は直列回路のバッテリ・セルの個々の電圧を加算することによってサテライト・モジュールの総電圧を形成するように構成されてもよい。それぞれのサテライト・モジュールは、スイッチング制御装置及び測定制御装置を更に有してもよく、その場合、これらは電子制御ユニット(ECU)に組み込まれてもよい。この場合、バッテリ管理システムは、信号線によって、電気信号を電子制御ユニットに送信するように、及び/又は電気信号を電子制御ユニットから受信するように構成されてもよい。信号線は、例えば、電気信号線又は光信号線であってもよく、信号は、それぞれ電気信号又は光信号であってもよい。
【0024】
一実施形態は、空間的に分離され、好ましくは空間的に分散されたそれぞれのバッテリ・パックを提供する。言い換えれば、バッテリ・パックは、スイッチング機構によって、互いに電気的に接続されてもよく、特に、直列又は並列に接続されてもよい。バッテリ・パックはそれぞれ、バッテリ管理システムによってスイッチを制御することによって、スイッチング機構に電気的に接続されてもよく、又はスイッチング機構から電気的に切断されてもよい。バッテリ・パックは、例えば、自動車両の車体内に空間的に分散されてもよく、同時に、スイッチング機構によって互いに電気的に接続されてもよい。これにより、バッテリ・システムが、個々の空間的に分離されたバッテリ・パックを含むバッテリとして機能することができるという利点がもたらされる。
【0025】
したがって、例えば、可能な限り多くのバッテリ・セルを収容するために、自動車両内の限られた設置空間をより良好に使用することができる。加えて、内燃機関に基づく自動車両の従来のプラットフォームが電動化された場合、自動車両へのバッテリ・システムの組み込みが大幅に簡素化される可能性がある。更に、自動車両内のバッテリ・システムの均一な及び/又は可変の重量配分によって、自動車両の走行力学にプラスの影響を与えることができる。特に、分散型バッテリ・システムの自動車両への組み込みは、特殊な走行力学要件及び/又は自動車両の特殊な重量配分の要件を有する自動車両、例えばスポーツカーの場合に特に有利である。
【0026】
一実施形態は、バッテリ・セルの動作状態、好ましくはバッテリ・システムの動作状態を演算ユニットによって評価するように構成されたバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、バッテリ管理システムは、測定装置によって測定された動作パラメータのプロファイルをメモリに記憶するように構成されてもよく、演算ユニットは、動作パラメータを、記憶された目標値と比較するように構成される。加えて、演算ユニットは、制御アルゴリズムによって、測定値のプロファイルを解釈し、対策を開始するように、例えば、プリチャージ抵抗器をオン又はオフに切り替えるように、又はスイッチを制御することによって、測定された動作パラメータを目標値に調整するように構成されてもよい。これにより、バッテリ管理システムが、サテライト・モジュール内の追加のスレーブ制御装置なしに、分散型バッテリ・システムの動作状態を監視し、特に調整することができるという利点がもたらされる。
【0027】
一実施形態は、それぞれのスイッチによって、スイッチング機構に対するそれぞれのバッテリ・パックのスイッチング状態を変更するように、特に、それぞれのバッテリ・パックをスイッチング機構に電気的に接続するように、又は、それぞれのバッテリ・パックをスイッチング機構から電気的に切断するように構成されたバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、バッテリ管理システムは、特にサテライト・モジュール内のそれぞれのバッテリ・パックをオン及びオフに切り替えるように構成されてもよい。この場合、オン及びオフに切り替えるとは、バッテリ・パックをバッテリ・システムから切断することができ、又はバッテリ・システムに組み込むことができることを意味してもよい。これにより、欠陥のあるバッテリ・パックをバッテリ・システムから切断することができ、バッテリ・パックの動作信頼性が向上するという利点がもたらされる。更に又は代わりに、スイッチング機構は、スイッチを制御することによって直列回路から並列回路に変換されてもよい。
【0028】
一実施形態は、スイッチを制御することによって、スイッチング機構を介してバッテリ・システムのバランスをとるように構成されたバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、バッテリ管理システムは、それぞれのバッテリ・パック、特にバッテリ・パック内のバッテリ・セルを、動作パラメータ、例えば電圧及び/又は充電状態の共通の目標値に調整するように構成されてもよい。例えば、バッテリ管理システムは、演算ユニットによって調整を実行することができる。これにより、分散型バッテリ・システムがバッテリ管理システムによって単一のバッテリのように監視され、調整されるという利点がもたらされる。
【0029】
一実施形態は、バッテリ・システムを充電装置及び/又は電気負荷に接続するための共通の電気接続部、好ましくは端子又はコネクタを有するバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、バッテリ・システムは、外部充電装置又は外部電気負荷に対して共通のインターフェースを有することができる。電気負荷は、例えば、自動車両の電気モータ及び/又は自動車両の別のシステム構成部品、例えば制御装置であってもよい。メイン・モジュールは、メイン・モジュールとサテライト・モジュールの共通インターフェースとしての接続部を含むことができる。この場合、接続部は、直流又は交流又は三相電流用に設計されてもよい。これにより、バッテリ・システムを単一のまとまったバッテリのように動作させることができるという利点がもたらされる。
【0030】
一実施形態は、充電のためのプリチャージ回路を、スイッチによって、バッテリ・システム、特にそれぞれのバッテリ・パックの上流に接続するように構成されたバッテリ管理システムを提供する。言い換えれば、バッテリ管理システムは、例えば、信号線を介してバッテリ主制御装置から充電動作の開始に関する信号を受信するように、又は接続部を介して測定装置によって充電電流を追加的に検出するように構成されてもよい。接続部において測定装置によって測定された電圧及び/又は電流値がしきい値を超えた場合、例えば、バッテリ管理システムは、充電動作を検出することができる。バッテリ・システムを充電するための電流制限を行うために、バッテリ管理システムは、バッテリ・システムの上流に共通のプリチャージ回路を接続するように構成されてもよい。加えて、バッテリ管理システムによって個別に制御することができるプリチャージ回路をそれぞれのバッテリ・パックに対していずれの場合も別々に設けることができる。例えば、寿命を延ばすために、動作パラメータの偏差が大きい場合にバランスをとる目的で、個々のバッテリ・パックに対してプリチャージ回路を個別に接続することが有利な場合がある。
【0031】
本発明はまた、前記バッテリ・システム、特に空間的に分散されたバッテリ・システムを備える自動車両を提供する。言い換えれば、バッテリ・システムは、自動車両内に空間的に分散されているが、共通の接続部を介して充電装置及び/又は電気負荷に接続することができる複数のバッテリ・パックを備えることができる。自動車両は、自動車、特に乗用車若しくは貨物自動車の形態、又はミニバス若しくはオートバイの形態であるのが好ましい。自動車両は、電気的に駆動されてもよく(EV)、又は、特に、ハイブリッド電気自動車両(HEV、PHEV)であってもよく、この目的のために自動車両に設けられる構成部品はそれぞれ、バッテリ・システムの電気負荷であってもよい。
【0032】
本発明はまた、記載された複数の実施形態の特徴の組合せを含む実施態様を含む。
【0033】
本発明の好ましい更なる実施形態は、以下の図の説明によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】自動車両内に空間的に分散されたバッテリ・システムの概略図である。
図2】空間的に分散されたバッテリ・システムの概略図である。
図3】バッテリ・システムのバッテリ・パックのスイッチング機構の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
好ましい例示的な実施形態について図を使用して以下に説明する。この場合、異なる図における同一の、同様の、又は同一に作用する要素には、同一の参照符号が付され、これらの要素の繰り返しの説明は、冗長性を避けるために部分的に省略される。
【0036】
図1は、バッテリ・システム1を備える自動車両2を非常に概略的に示す。バッテリ・システム1は、例えば、自動車両2内の駆動部品又は他の部品に給電する目的で設けられることがある。バッテリ・システム1は、一例として、それぞれがバッテリ・セル7(図1には図示せず)を備える三つのバッテリ・パック(参照符号5及び6を有する)を備え、バッテリ・システム1は、少なくとも一つのメイン・モジュール5と、任意の所望の数のサテライト・モジュール6とを備えることができる。
【0037】
バッテリ・パック5、6において、バッテリ・セル7は、バッテリ・モジュールで編成することもでき、その場合、一つのバッテリ・パック5、6が複数のバッテリ・モジュールをそれぞれ備えることができる。
【0038】
バッテリ・パックは、構造的には実質的に同一であるが、論理的にはメイン・モジュール5といくつかのサテライト・モジュール6とにグループ化される。この場合、メイン・モジュール5とサテライト・モジュール6は、スイッチング機構4において互いに電気的に接続されている。図1において、メイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6を備えるスイッチング機構4は、直列回路である。或いは、スイッチング機構4はまた、並列回路、又は直列回路と並列回路の組合せであってもよい。
【0039】
バッテリ・システム1のメイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6は、自動車両2内で空間的に分散された形で配置されている。したがって、容量が増えたバッテリ・システムを収容するために、自動車両2内の設置空間を最適に利用することが可能である。バッテリ・システム1は、接続部13を介して充電装置11及び/又は電気負荷12(それぞれ図示せず)に電気的に接続されてもよく、その結果、バッテリ・システム1は、消費体又は充電装置に対して単一の論理バッテリとして見える。
【0040】
言い換えれば、バッテリ・システム1は、負荷12又は充電装置11に対しては、ただ一つの接続部13を有する単一のバッテリとして提示され、その結果、バッテリ・パックの数が変化しても、特にサテライト・モジュール6が追加又は除去されても、それぞれの負荷12又は充電装置11に対しては原理的には何も変化せず、それによって可視バッテリの容量のみが変化する。
【0041】
サテライト・モジュール6とは対照的に、メイン・モジュール5は、唯一のバッテリ・パックとして、バッテリ管理システム3を有する。このバッテリ管理システム3は、電子制御装置の形態であってもよく、例えばメイン・モジュール5内に配置されてもよい。サテライト・モジュール6は、独自のアクチュエータ・システム及び/又はセンサ・システムのみを有し、独自の制御装置を有さない。したがって、サテライト・モジュール6は、バッテリ・セル7に加えて、例えばスイッチ及び/又は測定装置8を備える。
【0042】
メイン・モジュール5は、論理バッテリを電気負荷12及び/又は充電装置11(図示せず)に接続するための接続部13を有することもできる。しかしながら、この接続部13は、残りのバッテリ・パックのうちの一つに配置されてもよい。
【0043】
バッテリ管理システム3は、メイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6の両方のそれぞれのスイッチ9及び/又は測定装置8に電気的及び/又は通信可能にいずれの場合も接続されている。測定装置8はまた、メイン・モジュール5のバッテリ管理システム3内に配置されてもよく、又はこれに組み込まれてもよい。メイン・モジュール5に配置されたバッテリ管理システム3は、メイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6の両方のスイッチを直接制御するように構成されている。特に、サテライト・モジュール6内のスレーブ制御装置を介して迂回することなく制御を達成することが可能である。
【0044】
バッテリ管理システム3は、同様に、メイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6内の測定装置8にも直接接続されており、測定装置8と直接、更なる迂回なしに通信することができる。
【0045】
それぞれのスイッチ9は、この場合、それぞれのバッテリ・パックをオン及びオフに切り替えるように、すなわち、バッテリ・パックをスイッチング機構4から切断するように、又はバッテリ・パックをスイッチング機構4に電気的に接続するように構成されている。
【0046】
それぞれのバッテリ・パック内の測定装置8は、それぞれのバッテリ・セル7の動作パラメータ、例えば電圧、電流、温度及び/又は充電状態を測定するように構成されている。したがって、バッテリ管理システム3は、バッテリ・パック内、特にサテライト・モジュール6内のそれぞれのバッテリ・パックをオン及びオフに切り替えるためのスイッチ9を、スレーブ制御装置を介して迂回することなく直接制御することができ、並びに/又は動作パラメータを直接測定することができる。
【0047】
これにより、サテライト・モジュール6内の別個の制御装置を省くことが可能になり、このことは、コスト上の理由、システムの堅牢性の理由、及びシステムの保守の理由から有利である。
【0048】
例えば、メイン・モジュール5内のバッテリ管理システム3は、サテライト・モジュール6内及びメイン・モジュール5内のそれぞれのスイッチ9及び/又は測定装置8を直接制御するため、サテライト・モジュール6の構成を変更する場合に、又は更新のために、空間的に分散しているためにしばしばアクセスが困難であるスレーブ制御装置を再度フラッシュすることを回避することが可能である。
【0049】
言い換えれば、ここで説明したバッテリ・システム1の始動及び保守は、バッテリ・パックを、バッテリ管理システム3が配置されているメイン・モジュール5と、それぞれが独自の制御装置を有していないサテライト・モジュール6とに上述したように分割した結果として、従来のバッテリ・システムに比べて大幅に簡素化される。
【0050】
図2は、空間的に分散されたバッテリ・システム1を概略的に示す。バッテリ・システム1は、ここでは三つのバッテリ・パックを備え、バッテリ・パックのうちの正確に一つ、ここではメイン・モジュール5が、バッテリ管理システム3を備える。バッテリ・パックはそれぞれ、複数のバッテリ・セル7を備え、これらのバッテリ・セルはそれぞれ、例えばスイッチング機構4において互いに直列又は並列に接続されていてよい。サテライト・モジュール6は、バッテリ・セル7の配置に関してメイン・モジュール5と構造的に実質的に同一である。
【0051】
しかしながら、サテライト・モジュール6は、独自の電子制御装置を有さず、むしろ、物理的スイッチ9、及び/又はバッテリ・セル7の動作パラメータを測定するための測定装置8のみを有する。メイン・モジュール5は、同様に、少なくとも一つのスイッチ9、及び/又はバッテリ・セル7の動作パラメータを測定するための測定装置8を備えることができる。測定装置8は、例えば、特にプリント回路板上の半導体部品の形態であってもよい。
【0052】
したがって、メイン・モジュール5のみが、唯一のバッテリ・パックとして、信号線10によってメイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6内のスイッチ9及び/又は測定装置8に直接接続され、それらを直接制御するように、及び/又は動作パラメータを測定値として読み出すように構成されたバッテリ管理システム3を有する。この場合、バッテリ管理システム3は、電子制御装置の形態であってもよい。
【0053】
メイン・モジュール5は、充電装置11及び/又は電気負荷12(図示せず)に接続するための共通の電気接続部13も有する。接続部13は、例えば端子又はコネクタであってもよく、直流、交流又は三相電流用に設計されていてもよい。したがって、バッテリ・システム1は、複数のバッテリ・パック5及び6を備え、接続部13を介して充電装置11及び/又は電気負荷12に接続されるように構成された単一のバッテリを構成する。
【0054】
充電電流を制限するためのプリチャージ抵抗器17をそれぞれのスイッチ9を開閉することによってバッテリ・システム1の上流に接続することができるプリチャージ回路16を、接続部13の上流に接続することができる。この目的のために、バッテリ管理システム3は、バッテリが完全に有効になる前に、負荷側に配置される可能性のあるキャパシタンス又はインダクタンスを制限された電流で充電するために、バッテリをスイッチオンする際にプリチャージ回路16のスイッチ9を制御して、電流制限を行うことができる。
【0055】
したがって、プリチャージ回路16は、バッテリ・システム1全体に対してメイン・モジュール5内に、又はそれぞれのバッテリ・パック5及び6に対して個別に設けられてもよく、このプリチャージ回路は、スイッチ9を制御することによって、バッテリ管理システム3によって作動及び/又は非作動にすることができる。例えば、バッテリ管理システム3は、バッテリ主制御装置14からバッテリのスイッチオンに関する信号を受信することができる。これに応答して、バッテリ管理システム3は、電流制限を行うためにスイッチ9を制御することによって、それぞれのバッテリ・パック5及び6の上流にプリチャージ抵抗器17を接続するように構成されてもよい。
【0056】
更に又は代わりに、プリチャージ回路16は、特に、それぞれのバッテリ・パック5及び6の動作パラメータの偏差が大きい場合に、バランスをとる間に電流制限を行う目的で、それぞれのメイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6に対していずれの場合も別々に設けられてもよい。
【0057】
バッテリ管理システム3は、信号線10によって、メイン・モジュール5及び追加的にサテライト・モジュール6の両方のそれぞれのスイッチ9及び/又は測定装置8に電気的に及び/又は通信可能に接続されている。例えば、バッテリ管理システム3は、スイッチング機構4に対するメイン・モジュール5及び/又はサテライト・モジュール6のスイッチング状態を変更するために、信号線10を介して電気信号によってそれぞれのスイッチ9を開閉することができる。
【0058】
例えば、メイン・モジュール5及びサテライト・モジュール6はそれぞれ、スイッチング機構4から個別に切断されてもよく、又はスイッチング機構4に電気的に接続されてもよい。更に、バッテリ管理システム3は、信号線10によってバッテリ主制御装置14及び/又は別の外部制御装置に通信可能に接続されてもよく、その結果、バッテリ管理システム3は、バッテリ・セル7の動作状態を含む信号をバッテリ主制御装置14に送信し、及び/又はバッテリ主制御装置14から信号、例えば充電動作を開始するための信号を受信するように構成される。測定装置8は、例えば、測定機器、特に電圧測定板であってもよい。
【0059】
更に又は代わりに、測定装置8は、それぞれのバッテリ・セル7の温度、電流及び/又は充電状態を測定するように構成されてもよく、測定装置8は、それぞれのバッテリ・セル7の動作パラメータを、それぞれのバッテリ・セル7に対していずれの場合も個別に測定するように構成されてもよい。例えば、図1に示されるように、バッテリ・パック5及び6内の測定装置8は、バッテリ・セル7束の端子入力8a、並びに8bの上流及び8cの下流における電圧値を測定し、測定値8を直接、特に、スレーブ制御装置を介して迂回することなく、信号線10を介してバッテリ管理システム3に送信するように構成されてもよい。したがって、信号線10は、測定装置8への延長線として使用されている。信号線10は、例えば、電気的又は光学的な信号線10であってもよい。
【0060】
バッテリ管理システム3は、同様に、信号線10によってバッテリ・パック5及び6内のそれぞれのスイッチ9に直接接続され、いずれの場合もそれらを直接制御するように構成されてもよい。この目的のために、信号線10は、例えば、開閉するための電気信号をそれぞれのスイッチ9に直接、特に、スレーブ制御装置を介して迂回することなく送信することができる。したがって、バッテリ管理システム3は、スイッチ9を制御することによってそれぞれのサテライト・モジュール6をオン又はオフに切り替えるように、特に、それぞれのバッテリ・パック5及び6をスイッチング機構4から切断するように、又はスイッチング機構4に接続するように構成されてもよい。
【0061】
更に又は代わりに、バッテリ管理システム3及びスイッチング機構4は、それぞれのバッテリ・パック5及び6内のスイッチ9を開閉することによって、バッテリ・パック5及び6のスイッチング機構4を直列回路から並列回路に切り替えるように構成されてもよい。
【0062】
更に、バッテリ管理システム3及びスイッチング機構4は、スイッチ9を制御することによって、スイッチング機構4を介してそれぞれのバッテリ・パック5及び6のバランスをとるように構成されてもよく、その結果、すべてのバッテリ・パック5及び6、特にバッテリ・セル7は、同一の動作パラメータ値、例えば同一の電圧及び/又は同一の充電状態を有することになる。
【0063】
図3は、メイン・モジュール5の接続部13を介して充電装置11又は電気負荷12に接続されたバッテリ・システム1の補足的な概略回路図を示す。電気負荷12は、例えば、自動車両2の電気モータであってもよい。加えて、更なる電気負荷が、分岐18を介してバッテリ・システム1に接続されてもよい。電流変換装置はここでは図示されていない。
【0064】
メイン・モジュール5は、スイッチング機構4を介してバッテリ・セル7束に電気的に接続されたスイッチ9及びプリチャージ回路16を備える。メイン・モジュール5は、アース接点を有する電気ヒューズ15を更に備える。したがって、メイン・モジュール5は、バッテリ・システム1のインターフェースとして使用され、その結果、バッテリ・システム1は、外側から見て、すなわち、例えば電気負荷12の観点から見て、単一のバッテリとして機能する。
【0065】
加えて、独自の制御装置を有していないサテライト・モジュール6がメイン・モジュール5の下流に接続されてもよい。サテライト・モジュール6はそれぞれ、バッテリ容量を増加させるためのバッテリ・セル7束を備え、自動車両2内でメイン・モジュール5から空間的に分散された形で配置されてもよい。サテライト・モジュール6は、それぞれのサテライト・モジュール6をオン又はオフに切り替えることができ、特に、サテライト・モジュール6をバッテリ・システム1から切断することができ、及び/又はバッテリ・システム1に接続することができるスイッチ9を備える。この目的のために、スイッチ9は、バッテリ管理システム3による直接制御のためにバッテリ・システム1のバッテリ管理システム3に直接接続されるように構成された信号線10に接続されている。バッテリ管理システム3は、サテライト・モジュール6から空間的に分離されており、例えばメイン・モジュール5内に配置されている。
【0066】
この場合、サテライト・モジュール6は、独自の制御装置を有さず、むしろ、スレーブ制御装置を介して迂回することなく、信号線10を介してバッテリ管理システム3によってそれぞれが直接制御されるアクチュエータ・システムのみを有する。これにより、特に開発プロセスにおいて空間的にアクセスが困難な空間的に分散されたバッテリ・システム1のバッテリ・パックへの制御装置のフラッシュを回避することが可能になる。これは、多くの場合、影響を受けた制御装置を取り除く必要があるからである。この問題は、記載した構成によって、すなわち、信号線10によってバッテリ管理システム3をバッテリ・パック内のアクチュエータ・システム9及び/又はセンサ・システム8に直接接続することによって回避することができる。
【0067】
全体として、本例は、マルチパック・バッテリ・システムが単一の電子制御装置、特にECUによってどのように制御され得るかを示している。
【0068】
適用可能な場合は、例示的な実施形態に示されたすべての個々の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができ、及び/又は置き換えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 バッテリ・システム
2 自動車両
3 バッテリ管理システム
4 スイッチング機構
5 メイン・モジュール
6 サテライト・モジュール
7 バッテリ・セル
8 測定装置
8a 端子入力
8b 端子入力
8c 端子入力
9 スイッチング素子
10 信号線
12 電気負荷
13 接続部
14 バッテリ主制御装置
15 ヒューズ
16 プリチャージ回路
17 プリチャージ抵抗器
18 分岐
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ管理システム(3)と、少なくとも二つのバッテリ・パック(5、6)と、を備え、それぞれのバッテリ・パック(5、6)が、バッテリ・セル(7)、前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を切り替えるための少なくとも一つのスイッチ(9)、及び前記バッテリ・セル(7)の動作パラメータを測定するための測定装置(8)を有する、好ましくは自動車両(2)用のバッテリ・システム(1)において、
前記バッテリ管理システム(3)が前記バッテリ・パックのうちの正確に一つ(5)に配置され、残りのバッテリ・パック(6)の前記スイッチ(9)が前記バッテリ管理システム(3)によって制御される、
ことを特徴とする、バッテリ・システム(1)。
【請求項2】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記測定装置(8)によって前記バッテリ・セル(7)の動作パラメータを直接測定するように構成されている、請求項1に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項3】
前記バッテリ管理システム(3)が、信号を送信及び/又は受信するための信号線(10)によって、前記測定装置(8)及び/又は前記スイッチ(9)に直接接続されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項4】
前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)が、空間的に分離され、好ましくは空間的に分散されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項5】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記バッテリ・セル(7)の動作状態、好ましくは前記バッテリ・システム(1)の前記動作状態を評価するように構成されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項6】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記それぞれのスイッチ(9)によってスイッチング機構(4)に対する前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)のスイッチング状態を変更するように、特に、前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を前記スイッチング機構(4)に電気的に接続するように、又は前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)を前記スイッチング機構(4)から電気的に切断するように構成されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項7】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記スイッチ(9)を制御することによって、前記スイッチング機構(4)を介して前記バッテリ・システム(1)のバランスをとるように構成されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項8】
すべてのバッテリ・パック(5、6)を充電装置(11)及び/又は電気負荷(12)に接続するための共通の電気接続部(13)、好ましくは端子又はコネクタが設けられている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項9】
前記バッテリ管理システム(3)が、前記スイッチ(9)によって、前記バッテリ・システム(1)、特に前記それぞれのバッテリ・パック(5、6)の上流にプリチャージ回路(16)を接続するように構成されている、請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のバッテリ・システム(1)、特に空間的に分散されたバッテリ・システム(1)を備える自動車両(2)。
【外国語明細書】