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特開2023-171373隣接するバッテリーモジュール間の熱拡散防止構造を有するバッテリーパック、及びそれを含むESSと自動車
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  • 特開-隣接するバッテリーモジュール間の熱拡散防止構造を有するバッテリーパック、及びそれを含むESSと自動車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171373
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】隣接するバッテリーモジュール間の熱拡散防止構造を有するバッテリーパック、及びそれを含むESSと自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231124BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231124BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231124BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20231124BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20231124BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALN20231124BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALN20231124BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/293
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6554
H01M10/658
H01M50/251
H01M50/249
H01M10/6565
H01M10/6567
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023144335
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2022519541の分割
【原出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082379
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・イ
(57)【要約】
【課題】バッテリーパックを構成する一部のバッテリーモジュールで発生した異常発熱によって全体のバッテリーモジュールへ熱が拡散することを防止または最小化する。
【解決手段】本発明の一実施例によるバッテリーパックは、相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、バッテリーモジュール積層体の下部とパックケースとの間に介在されるかまたはパックケースの下部に接触するヒートシンクと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、
前記バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含み、
前記ヒートスプレッダーシートが、前記バッテリーモジュール積層体の高さ方向へ延びるように備えられることを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項2】
前記バッテリーモジュール積層体の下部と前記パックケースとの間に介在されるかまたは前記パックケースの下部に接触するヒートシンクをさらに含み、
前記ヒートスプレッダーシートの一側端部が、前記パックケース及びヒートシンクの少なくとも一つに接触することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記ヒートスプレッダーシートの他側端部が、前記ヒートシンク及び前記パックケースと接触しないことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記ヒートスプレッダーシートの一側端部が、前記バッテリーモジュール積層体と対面するように折り曲げられた形態を有することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部が、前記バッテリーモジュール積層体と離隔するように備えられることを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記断熱パッドは、
前記ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた一側端部と前記バッテリーモジュール積層体との間に介在される第3断熱パッドをさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記断熱パッドは、
前記ヒートスプレッダーシートと前記第2バッテリーモジュールとの間に介在される第1断熱パッドと、
前記ヒートスプレッダーシートと前記第1バッテリーモジュールとの間に介在される第2断熱パッドと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記ヒートスプレッダーシートは、
前記第1バッテリーモジュールに隣接した第1ヒートスプレッダーシートと、
前記第2バッテリーモジュールに隣接した第2ヒートスプレッダーシートと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記第1ヒートスプレッダーシートと前記第2ヒートスプレッダーシートとの間に介在される第1断熱パッドと、
前記第1ヒートスプレッダーシートと第1バッテリーモジュールとの間及び前記第2ヒートスプレッダーシートと第2バッテリーモジュールとの間に各々介在される第2断熱パッドと、を含むことを特徴とする、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含むESS。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するバッテリーモジュール間の熱拡散防止構造を有するバッテリーパック及びそれを含むESS(Energy Storage System;エネルギー貯蔵装置)と自動車に関し、より詳しくは、バッテリーパックを構成する複数のバッテリーモジュールのうち少なくとも一つのバッテリーモジュールに異常発熱が発生する場合、隣接するバッテリーモジュールへの熱伝達を最小化できる構造を有するバッテリーパック及びそれを含むESSと自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年7月3日出願の韓国特許出願第10-2020-0082379号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
図1に示したような従来のバッテリーパックは、隣接する少なくとも一対のバッテリーモジュール1を含むバッテリーモジュール積層体と、バッテリーモジュール積層体の一側に備えられるヒートシンク2と、を含む。このような形態のバッテリーパックは、正常の使用状況では、バッテリーモジュール1で発生した熱がヒートシンク2を通して外部へ抜け出される方式で冷却が行われることで各々のバッテリーモジュール1の温度が正常範囲内に維持される。
【0004】
しかし、バッテリーモジュール積層体をなす複数のバッテリーモジュール1のうち一つまたはそれ以上に異常発熱が発生する場合、ヒートシンク2から排出可能な量を超過する熱が生成され得る。この場合、ヒートシンク2から排出されなかった熱は、隣接するバッテリーモジュール1へ拡散することがあり、これは全体バッテリーモジュール1の発火及び/または爆発につながる恐れがある。
【0005】
図2を参照すると、このように異常発熱が発生したバッテリーモジュール1から隣接するバッテリーモジュール1への熱拡散を防止するために断熱パッド3を適用している。しかし、この場合にもヒートシンク2からの熱排出が限界に至るようになると、断熱パッド3を適用したにもかかわらず、隣接するバッテリーモジュール1への熱拡散を避けることができなくなる。
【0006】
図3に示したように、異常発熱によって非正常的に高い温度T1を有するバッテリーモジュール1から正常範囲内の温度T2を示すバッテリーモジュール1へ移動する熱エネルギーの量は、二つのバッテリーモジュール1間の温度差(T2-T1)に比例し、断熱パッド3の幅に反比例する。これによって、異常発熱によって温度差(T2-T1)が非常に大きい状況では、熱伝導係数が低い断熱パッド3を使用するとしても、断熱パッド3の幅を非常に大きくしないと、バッテリーモジュール1間の熱拡散を防止しにくい。
【0007】
熱拡散防止の効果を極大化するためには、断熱パッド3の幅を大きくすることが重要であるが、断熱パッド3の幅増加は、バッテリーパックのエネルギー密度の損失をもたらすため、断熱パッド3の幅の増加量は、制限的になるしかない。
【0008】
そこで、バッテリーパックを構成する一部のバッテリーモジュールで発生した異常発熱によって全体のバッテリーモジュールへ熱が拡散することを防止するための構造的改善が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーパックを構成する一部のバッテリーモジュールで発生した異常発熱によって全体のバッテリーモジュールへ熱が拡散することを防止または最小化することを目的とする。
【0010】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるバッテリーパックは、相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、バッテリーモジュール積層体の下部とパックケースとの間に介在されるかまたはパックケースの下部に接触するヒートシンクと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含む。
【0012】
ヒートスプレッダーシートは、第1バッテリーモジュールに隣接した第1ヒートスプレッダーシートと、第2バッテリーモジュールに隣接した第2ヒートスプレッダーシートと、を含み得る。
【0013】
断熱パッドは、第1ヒートスプレッダーシートと第2ヒートスプレッダーシートとの間に介在される第1断熱パッドと、第1ヒートスプレッダーシートと第1バッテリーモジュールとの間及び第2ヒートスプレッダーシートと第2バッテリーモジュールとの間に各々介在される第2断熱パッドと、を含み得る。
【0014】
第1ヒートスプレッダーシートは、一側端部が第1バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し、第2ヒートスプレッダーシートは、一側端部が第2バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し得る。
【0015】
第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部及び第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部は各々パックケースと接触し得る。
【0016】
断熱パッドは、第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第1バッテリーモジュールの上面との間及び第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第2バッテリーモジュールの上面との間に各々介在される第3断熱パッドをさらに含み得る。
【0017】
第1ヒートスプレッダーシートの他側端部及び第2ヒートスプレッダーシートの他側端部は各々ヒートシンク及びパックケースと接触しないことがある。
【0018】
なお、上記の課題を達成するための本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含む。
【0019】
第1ヒートスプレッダーシートは、長手方向の一側端部及び他側端部のうち少なくともいずれか一つの端部が第1バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し、第2ヒートスプレッダーシートは、長手方向の一側端部及び他側端部のうち少なくともいずれか一つの端部が第2バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し得る。
【0020】
断熱パッドは、第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第1バッテリーモジュールの上面との間及び第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第2バッテリーモジュールの上面との間に各々介在される第3断熱パッドをさらに含み得る。
【0021】
上記の課題を達成するための本発明の他の実施例によるESSは、上述したのような本発明によるバッテリーパックを含む。
【0022】
上記の課題を達成するための本発明の他の実施例による自動車は、上述したのような本発明によるバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一面によると、バッテリーパックを構成する一部のバッテリーモジュールで発生した異常発熱によって全体のバッテリーモジュールへ熱が拡散することを防止または最小化することができる。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来のバッテリーパックを示す図である。
図2】従来のバッテリーパックを示す図である。
図3】従来のバッテリーパックを示す図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示す図である。
図5】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示す図である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示す図である。
図7】バッテリーモジュールで発生した熱が排出される経路を説明するための図である。
図8】バッテリーモジュールで発生した熱が排出される経路を説明するための図である。
図9】本発明の他の実施例によるバッテリーパックを示す図である。
図10】本発明の他の実施例によるバッテリーパックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
図4図6を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーパックを説明する。
【0028】
先ず、図4を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、複数のバッテリーモジュール10、ヒートシンク20、パックケース30、ヒートスプレッダーシート40及び断熱パッド50を含む。
【0029】
複数のバッテリーモジュール10は、相互に対面した状態で積層されて一つのバッテリーモジュール積層体を形成する。複数のバッテリーモジュール10は、相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール10a及び第2バッテリーモジュール10bを含む。各々のバッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル(図示せず)及び複数のバッテリーセルを収容するモジュールケースを含む。
【0030】
ヒートシンク20は、バッテリーモジュール積層体の下部とパックケース30との間に介在されるか、またはパックケース30の下部に接触する。即ち、ヒートシンク20はパックケース30の内部に位置してバッテリーモジュール10と直接的に接触するか、それとも、パックケース30の外部に位置してパックケース30を介してバッテリーモジュール10と間接的に接触し得る。このように、ヒートシンク20は、第1バッテリーモジュール10a及び第2バッテリーモジュール10bを含む複数のバッテリーモジュール10の下面と直接的にまたは間接的に接触してバッテリーモジュール10で発生する熱を外部へ排出する。ヒートシンク20は、水冷式または空冷式冷却部材であり得る。
【0031】
ヒートシンク20がパックケース30の内部に位置する場合、熱排出機能の遂行のためにヒートシンク20の一部は、パックケース30を貫通してバッテリーパックの外部に露出し得る。また、ヒートシンク20が水冷式である場合、ヒートシンク20の内部に冷媒を供給するためにヒートシンク20に連結された冷媒インレット及び冷媒アウトレットは、パックケース30を貫通してバッテリーパックの外部へ引き出され得る。即ち、ヒートシンク20は、パックケース30の内部に位置し、冷媒インレット及び冷媒アウトレットは、パックケース30の外部へ引き出され得る。
【0032】
パックケース30は、バッテリーモジュール積層体を収容する。パックケース30は、バッテリーモジュール積層体の外にもヒートシンク20をさらに収容し得る。パックケース30は、バッテリーパックの剛性確保及びモジュール積層体で発生する熱を外部へ容易に排出するために熱伝導性の優秀な金属材質からなり得る。
【0033】
ヒートスプレッダーシート40と断熱パッド50は、一つの熱拡散防止部材を形成する。このような熱拡散防止部材は、相互に隣接するバッテリーモジュール10の間ごとに介在される。熱拡散防止部材は、複数のバッテリーモジュール10のうち少なくともいずれか一つのバッテリーモジュール10の異常発熱によってヒートシンク20の冷却性能を超過する熱が発生する場合において熱エネルギーが他のバッテリーモジュール10へ転移されることを効果的に防止する。熱拡散防止部材は、一次的に断熱パッド50を用いて隣接するバッテリーモジュール10への熱拡散を遅延させ、断熱パッド50の適用にもかかわらず断熱パッド50の厚さ方向に沿って伝達された熱を二次的にバッテリーパックの上方へ分散させる方式で熱拡散を最小化することで熱暴走現状の急速な転移を防止する。
【0034】
ヒートスプレッダーシート40は、例えば、グラファイト材質のシートであって、シートの厚さ方向よりは面内方向(in-plane direction)、即ち、シートの広い面に平行する方向への熱伝達率が非常に高い特性を有する。
【0035】
図5を参照すると、ヒートスプレッダーシート40は、第1バッテリーモジュール10aに隣接して位置する第1ヒートスプレッダーシート40aと、第2バッテリーモジュール10bに隣接して位置する第2ヒートスプレッダーシート40bと、を含む。第1ヒートスプレッダーシート40aは、長手方向の一側端部がバッテリーモジュール積層体の上部へ延びた形態を有する。また、第1ヒートスプレッダーシート40aは、長手方向の一側端部が第1バッテリーモジュール10aの上面と対面するように折り曲げられた形態を有する。
【0036】
同様に、第2ヒートスプレッダーシート40bは、長手方向の一側端部がバッテリーモジュール積層体の上部へ延びた形態を有する。また、第2ヒートスプレッダーシート40bは、長手方向の一側端部が第2バッテリーモジュール10bの上面と対面するように折り曲げられた形態を有する。第1ヒートスプレッダーシート40aの折り曲げられた端部及び第2ヒートスプレッダーシート40bの折り曲げられた端部は、各々第1バッテリーモジュール10a及び第2バッテリーモジュール10bの上面と離隔する。これは、第1ヒートスプレッダーシート40a及び第2ヒートスプレッダーシート40bを通して上方へ分散した熱エネルギーがさらにバッテリーモジュール10側へ伝達されることを防止するためである。
【0037】
第1ヒートスプレッダーシート40aの折り曲げられた端部及び第2ヒートスプレッダーシート40bの折り曲げられた端部は、各々パックケース30と直接接触し得る。また、これとは異なり、第1ヒートスプレッダーシート40aの折り曲げられた端部とパックケース30との間及び第2ヒートスプレッダーシート40bの折り曲げられた端部とパックケース30との間には、各々接着及び熱伝達率の向上のために熱伝導材料(Thermal Interface Material;TIM)(図示せず)が介在され得る。
【0038】
断熱パッド50は、第1断熱パッド50a及び第2断熱パッド50bを含む。第1断熱パッド50aは、第1ヒートスプレッダーシート40aと第2ヒートスプレッダーシート40bとの間に介在される。第2断熱パッド50bは、第1ヒートスプレッダーシート40aと第1バッテリーモジュール10aとの間及び第2ヒートスプレッダーシート40bと第2バッテリーモジュール10bとの間に各々介在される。
【0039】
一方、断熱パッド50は、第1断熱パッド50a及び第2断熱パッド50bの外に第3断熱パッド50cをさらに含み得る。第3断熱パッド50cは、第1ヒートスプレッダーシート40aの折り曲げられた端部と第1バッテリーモジュール10aの上面との間及び第2ヒートスプレッダーシート40bの折り曲げられた端部と第2バッテリーモジュール10bの上面との間に各々介在される。第3断熱パッド50cは、第1ヒートスプレッダーシート40a及び第2ヒートスプレッダーシート40bを通して上方へ分散した熱エネルギーがさらにバッテリーモジュール10側へ伝達されることを防止する。
【0040】
一方、図6を参照すると、図5に示したこととは異なり、第1ヒートスプレッダーシート40aの長手方向の他側端部及び第2ヒートスプレッダーシート40bの長手方向の他側端部は各々、ヒートシンク20及びパックケース30と接触しない。これは、一部のバッテリーモジュール10の異常発熱によってヒートシンク20が正常に冷却を行わない状況で、ヒートスプレッダーシート40を通してヒートシンク20に熱エネルギーがさらに伝達されないようにすることが、熱エネルギー分散の効率をさらに高めることができるためである。
【0041】
図7及び図8を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーパックにおいて、正常の冷却が行われる場合の熱エネルギーの移動方向及び一部のバッテリーモジュール10の異常発熱時の熱エネルギーの分散方向が示されている。
【0042】
図7を参照すると、正常の冷却が行われる場合には、バッテリーモジュール10a、10bで発生した熱エネルギーがバッテリーモジュール積層体の下部とパックケース30との間に介在されるか、またはパックケース30の下部に接触するヒートシンク20から矢印方向に沿って排出され、これによって、バッテリーモジュール10a、10b相互間の熱転移が発生しない。
【0043】
しかし、例えば、第1バッテリーモジュール10aで異常発熱が発生してヒートシンク20による冷却がもうこれ以上円滑に行われなくなると、図8に示したように矢印方向に沿って第1バッテリーモジュール10aから第2バッテリーモジュール10bに向かって熱転移が発生するようになる。この場合、第2断熱パッド50bが一次的に熱エネルギーの拡散速度を低下させ、第2断熱パッド50bの厚さ方向に沿って伝達された熱エネルギーは、第1ヒートスプレッダーシート40aによって二次的に上方へ分散され、パックケース30を通して外部へ排出される。また、第1ヒートスプレッダーシート40aの厚さ方向に沿って伝達された熱エネルギーは、さらに第1断熱パッド50aによって拡散速度が遅延され、第1断熱パッド50aの厚さ方向へ伝達された熱エネルギーは、第2ヒートスプレッダーシート40bによって上方へ分散されてパックケース30を通して外部へ排出される。また、第2ヒートスプレッダーシート40bの厚さ方向に沿って第2バッテリーモジュール10bに向かって伝達される残りの熱エネルギーは、第1断熱パッド50aによって拡散速度が最小化される。
【0044】
このように、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、ヒートシンク20の冷却容量を超過する熱エネルギーの発生時、隣接するバッテリーモジュール10a、10bへ伝達される熱エネルギーを最小化することで、一部のバッテリーモジュール10で発生した異常発熱による熱暴走現状の急速な転移を防止することができる。
【0045】
次は、図9及び図10を参照して、本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明する。
【0046】
本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、前述した本発明の一実施例によるバッテリーパックと比較して冷却部材として機能するヒートシンク20が省略されたことと、熱拡散防止部材の具体的な構造において一部が相違するだけであり、他の構成要素は実質的に同一である。したがって、本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明することにおいて、前述した実施例と重複する説明は省略し、相違する部分のみについて説明する。
【0047】
本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、前述した実施例とは異なり、ヒートシンク20が省略された形態を有することから、パックケース30を用いて冷却をする。
【0048】
このようにヒートシンク20が省略されたことは、バッテリーパックの容量などを考慮するとき、正常の使用状態では熱が多く発生しないため、強制冷却のための冷却部材をさらに備える必要がないためである。しかし、例えば、第1バッテリーモジュール10aで異常発熱が発生する場合、パックケース30による熱エネルギーの排出のみでは十分な冷却速度が確保できず、バッテリーモジュール10a、10b間の熱転移が発生し得る。
【0049】
図9を参照すると、本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、このような熱転移の発生を防止または最小化するために、前述した実施例と同様に、隣接するバッテリーモジュール10a、10bの間ごとに介在される熱拡散防止部材を含む。この場合、複数のバッテリーモジュール10a、10bの下面は、パックケース30に接触するようになる。
【0050】
図10を参照すると、本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、図9に示したこととは異なり、第1ヒートスプレッダーシート40a及び第2ヒートスプレッダーシート40bは、バッテリーモジュール積層体の上部と下部の両方向へ共に延びた形態を有する。また、第1ヒートスプレッダーシート40aは、長手方向の一側端部のみならず、他側端部も折り曲げられて第1バッテリーモジュール10aの下面と対面する形態を有する。同様に、第2ヒートスプレッダーシート40bも、長手方向の一側端部のみならず、他側端部も折り曲げられて第2バッテリーモジュール10bの下面と対面する形態を有する。
【0051】
これによって、第1ヒートスプレッダーシート40aの折り曲げられた他側端部と第1バッテリーモジュール10aの下面との間及び第2ヒートスプレッダーシート40bの折り曲げられた他側端部と第2バッテリーモジュール10bの下面との間にも、第3断熱パッド50cが介在され得る。
【0052】
一方、前述したような本発明によるバッテリーパックは、自動車用バッテリーパックに適用可能であり、 ESS(Energy Storage System;エネルギー貯蔵装置)用のバッテリーパックにも適用可能である。したがって、本発明の一実施例による自動車及びESSは、各々本発明によるバッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【0053】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0054】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[1]
相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、
前記バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、
前記バッテリーモジュール積層体の下部と前記パックケースとの間に介在されるかまたは前記パックケースの下部に接触するヒートシンクと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含む、バッテリーパック。
[2]
前記ヒートスプレッダーシートは、
前記第1バッテリーモジュールに隣接した第1ヒートスプレッダーシートと、
前記第2バッテリーモジュールに隣接した第2ヒートスプレッダーシートと、を含むことを特徴とする、[1]に記載のバッテリーパック。
[3]
前記断熱パッドは、
前記第1ヒートスプレッダーシートと第2ヒートスプレッダーシートとの間に介在される第1断熱パッドと、
前記第1ヒートスプレッダーシートと第1バッテリーモジュールとの間及び前記第2ヒートスプレッダーシートと第2バッテリーモジュールとの間に各々介在される第2断熱パッドと、を含むことを特徴とする、[2]に記載のバッテリーパック。
[4]
前記第1ヒートスプレッダーシートは、一側端部が前記第1バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し、
前記第2ヒートスプレッダーシートは、一側端部が前記第2バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有することを特徴とする、[3]に記載のバッテリーパック。
[5]
前記第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部及び前記第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部が各々前記パックケースと接触することを特徴とする、[4]に記載のバッテリーパック。
[6]
前記断熱パッドは、
前記第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第1バッテリーモジュールの上面との間及び前記第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第2バッテリーモジュールの上面との間に各々介在される第3断熱パッドをさらに含むことを特徴とする、[4]に記載のバッテリーパック。
[7]
前記第1ヒートスプレッダーシートの他側端部及び前記第2ヒートスプレッダーシートの他側端部が各々前記ヒートシンク及び前記パックケースと接触しないことを特徴とする、[4]に記載のバッテリーパック。
[8]
相互に隣接して配置される第1バッテリーモジュール及び第2バッテリーモジュールを含むバッテリーモジュール積層体と、
前記バッテリーモジュール積層体を収容するパックケースと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在されるヒートスプレッダーシートと、
前記第1バッテリーモジュールと第2バッテリーモジュールとの間に介在される断熱パッドと、を含む、バッテリーパック。
[9]
前記ヒートスプレッダーシートは、
前記第1バッテリーモジュールに隣接した第1ヒートスプレッダーシートと、
前記第2バッテリーモジュールに隣接した第2ヒートスプレッダーシートと、を含むことを特徴とする、[8]に記載のバッテリーパック。
[10]
前記断熱パッドは、
前記第1ヒートスプレッダーシートと第2ヒートスプレッダーシートとの間に介在される第1断熱パッドと、
前記第1ヒートスプレッダーシートと第1バッテリーモジュールとの間及び前記第2ヒートスプレッダーシートと第2バッテリーモジュールとの間に各々介在される第2断熱パッドと、を含むことを特徴とする、[9]に記載のバッテリーパック。
[11]
前記第1ヒートスプレッダーシートは、長手方向の一側端部及び他側端部のうち少なくともいずれか一つの端部が前記第1バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有し、
前記第2ヒートスプレッダーシートは、長手方向の一側端部及び他側端部のうち少なくともいずれか一つの端部が前記第2バッテリーモジュールの上面と対面するように折り曲げられた形態を有することを特徴とする、[10]に記載のバッテリーパック。
[12]
前記第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部及び前記第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部はそれぞれ前記パックケースと接触することを特徴とする、[11]に記載のバッテリーパック。
[13]
前記断熱パッドは、
前記第1ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第1バッテリーモジュールの上面との間及び前記第2ヒートスプレッダーシートの折り曲げられた端部と第2バッテリーモジュールの上面との間に各々介在される第3断熱パッドをさらに含むことを特徴とする、[11]に記載のバッテリーパック。
[14]
[1]から[13]のいずれか一つに記載のバッテリーパックを含むESS。
[15]
[1]から[13]のいずれか一つに記載のバッテリーパックを含む自動車。
【符号の説明】
【0055】
10 バッテリーモジュール
10a 第1バッテリーモジュール
10b 第2バッテリーモジュール
20 ヒートシンク
30 パックケース
40 ヒートスプレッダーシート
40a 第1ヒートスプレッダーシート
40b 第2ヒートスプレッダーシート
50 断熱パッド
50a 第1断熱パッド
50b 第2断熱パッド
50c 第3断熱パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】