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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171375
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】排泄物撮影装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20231124BHJP
   A61B 5/20 20060101ALI20231124BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231124BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A61B5/20
A61B5/00 A
H04N7/18 U
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147335
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2022109932の分割
【原出願日】2017-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋式
(72)【発明者】
【氏名】笹垣 桂也
(57)【要約】
【課題】製品としての寿命の異なる衛生設備機器としての大便器・便座装置と、臨床応用のために使用される排泄物撮影機能とを適切に配置する。
【解決手段】水洗大便器に取り付けられて排泄物の画像を撮影する排泄物撮影装置であって、前記水洗大便器において使用者が排泄を行うボウル部の後方上面に取り付けられるプレート部と、該プレート部の左右方向の端部から垂下した機能ボックス部と、を備え、前記プレート部には、排泄物を撮影して画像データを生成する撮影手段が、前記ボウル部に対向するように設けられ、前記機能ボックス部には、前記撮影手段の動作を制御する制御手段と、前記撮影手段によって生成された画像データを外部に向けて出力する出力手段と、が収納されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に取り付けられて排泄物の画像を撮影する排泄物撮影装置であって、
前記水洗大便器において使用者が排泄を行うボウル部の後方上面に取り付けられるプレート部と、
該プレート部の左右方向の端部から垂下した機能ボックス部と、を備え、
前記プレート部には、排泄物を撮影して画像データを生成する撮影手段が、前記ボウル部に対向するように設けられ、
前記機能ボックス部には、前記撮影手段の動作を制御する制御手段と、前記撮影手段によって生成された画像データを外部に向けて出力する出力手段とが収納されていることを特徴とする排泄物撮影装置。
【請求項2】
前記プレート部には、前記ボウル部に排泄された排泄物を検出する排泄物検知手段を更に有し、
前記制御手段は、前記排泄物検知手段によって排泄物を検知してから前記撮影手段による撮影を開始することを特徴とする請求項1に記載の排泄物撮影装置。
【請求項3】
前記排泄物検知手段は、排泄物として大便および小便の両方を検知可能であり、
前記制御手段は、前記排泄物検知手段からの大便または小便の何れかの検知に基づいて前記撮影手段による撮影を開始することを特徴とする請求項2に記載の排泄物撮影装置。
【請求項4】
使用者を識別する個人識別データを取得する個人識別手段を更に備え、
前記制御手段は、前記個人識別手段によって取得した個人識別データと、前記撮影手段によって撮影された画像データとを統合して前記出力手段から出力することを特徴とする請求項1に記載の排泄物撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に取り付けられて排泄物の画像を撮影する排泄物撮影装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物撮影装置としては、臨床的に一般とされているブリストルスケールとの対比を行うために、便器で排泄した時の排泄物画像を撮影して管理しているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、病院のように一つの大便器を複数の患者が利用する場合において、撮影した画像データがどの患者のものかを管理できるように、排泄者を特定するための個人認証データを取得しておき、この個人認証データと排泄物画像データとを出力するものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
しかし、従来の排泄物撮影装置においては、排泄物の画像データを撮影・収集するための装置を、大便器と一体、または、他の便座装置と一体に設置する必要があり、大便器や便座装置と比べて寿命の短い排泄物撮影装置に合わせて、大便器や便座装置を交換しなければならないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3204400号公報
【特許文献2】特開2014-031655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明においては、製品としての寿命の異なる衛生設備機器としての大便器・便座装置と、臨床応用のために使用される排泄物撮影機能とを適切に配置することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、水洗大便器に取り付けられて排泄物の画像を撮影する排泄物撮影装置であって、前記水洗大便器において使用者が排泄を行うボウル部の後方上面に取り付けられるプレート部と、該プレート部の左右方向の端部から垂下した機能ボックス部と、を備え、前記プレート部には、排泄物を撮影して画像データを生成する撮影手段が、前記ボウル部に対向するように設けられ、前記機能ボックス部には、前記撮影手段の動作を制御する制御手段と、前記撮影手段によって生成された画像データを外部に向けて出力する出力手段と、が収納されていることを特徴とする。
従って、一般的に商品として寿命の異なる水洗大便器と排泄物撮影装置の組み付けに対して、各々を別々に手配して組み合わせることができるため、過大な負担はなく、かつ、撮影手段が使用者の視線に入らないように配置することが可能であり、使用者が撮影手段の存在を気にして精神的な問題の発生することを抑制することができるようになった。
【0007】
また、請求項2記載の発明によれば、前記プレート部には、前記ボウル部に排泄された排泄物を検出する排泄物検知手段を更に有し、前記制御手段は、前記排泄物検知手段によって排泄物を検知してから前記撮影手段による撮影を開始することを特徴とする。
従って、排泄物検知手段によって排泄が行われた直後の、トイレットペーパーなどの異物に遮られることの無い確実な排泄物画像を撮影することができるようになった。また、排泄物画像の活用者は、排泄物画像の確認に長時間を要することなく、必要の情報を効率的に収集できることになる。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば、前記排泄物検知手段は、排泄物として大便および小便の両方を検知可能であり、前記制御手段は、前記排泄物検知手段からの大便または小便の何れかの検知に基づいて前記撮影手段による撮影を開始することを特徴とする。
従って、大便の状態管理が必要な消化器系だけでなく、尿の排泄状態管理が必要な泌尿器科系の疾病や、尿量による代謝管理が必要な手術前後の状態管理についても状態を得ることができるようになった。これは排泄が大便であったのか、小便であったのか排泄者に特定させることを無くすことにもなり、使い勝手をより良くしていることにもなる。
【0009】
また、請求項4記載の発明によれば、使用者を識別する個人識別データを取得する個人識別手段を更に備え、前記制御手段は、前記個人識別手段によって取得した個人識別データと、前記撮影手段によって撮影された画像データとを統合して前記出力手段から出力することを特徴とする。
従って、排泄物の画像データと個人識別データとを組み合わせて利用することができ、排泄物画像の活用者は、個人を間違えることなく排泄物の状態を確認することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一般的に商品として寿命の異なる水洗大便器と排泄物撮影装置の組み付けに対して、各々を別々に手配して組み合わせることができるため、過大な負担はなく、かつ、撮影手段が使用者の視線に入らないように配置することが可能であり、使用者が撮影手段の存在を気にして精神的な問題の発生することを抑制することができるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における排泄物撮影装置を水洗大便器に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態における排泄物撮影装置の構成を示すシステムブロック図である。
図3】本発明の実施形態における排泄物撮影装置に衛生洗浄装置を組み付けた斜視図である。
図4】本発明の排泄物検出の一例を示す水位変化グラフである。
図5】本発明の実施形態における排泄物撮影装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係わる排泄物撮影装置について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態における排泄物撮影装置を水洗大便器に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、排泄物撮影装置1は、水洗大便器100に取り付けされて使用される。水洗大便器100は、使用者が排泄を行うための椀状に窪んだボウル部102を有している。ボウル部102の底部からは、斜め上方に延びる上昇管路(図示せず)が形成されており、この上昇管路によってボウル部102の底部には封水が溜まっている。また、水洗大便器100の後部上方には、ボウル部102に向けて供給される洗浄水を貯めておく洗浄水タンク104が固定されている。ボウル部102に排出された大便や小便などの排泄物は、洗浄水タンク104から供給された洗浄水によって建物に設けられている排水配管(図示せず)へと排出される。
【0014】
排泄物撮影装置1は、水洗大便器100の上面に載置される平板状のプレート部2と、このプレート部2の左方側の端部から下方に垂下するように設け荒れている機能ボックス部4とを有している。この機能ボックス部4の内部には、左右方向に比べて前後方向に長い収納空間を有しており、この収納空間に後述する制御手段等が収納されている。また、プレート部2には、水洗大便器100に形成されている便座取付孔(図示せず)と対応する一対の貫通孔5が形成されている。この貫通孔5に便座取付ボルト(図示せず)を挿入した状態で局部洗浄装置200(図3参照)を水洗大便器100に固定することで、プレート部2は水洗大便器100の上面と局部洗浄装置200底面との間に挟持されて固定される。
【0015】
プレート部2の下面には、ボウル部102に対向するように撮影手段6が固定されている。この撮影手段6は、CCDを利用したカメラであり、ボウル部102の内部、特に、封水の領域を撮影して電子化された画像データを生成する。また、撮影手段6の横には、ボウル部102内に対向して排泄物検出手段8が固定されている。この排泄物検出手段8は超音波センサであり、ボウル部102の底部にある封水の水位変化を、超音波反射時間変化によって検出することで、封水に落下した排泄物を検出するものである。
【0016】
また、トイレルームの壁面には個人識別手段10が設けられている。本実施形態においては、使用者として病院の入院患者を想定しており、そのため、この個人識別手段10は、バーコードリーダーによって構成されている。個人識別手段10は、入院患者が保持しているリストバンド等に印刷されている患者個人を識別するための個人誌識別データ(ID番号)を含むバーコードを読み取り、その読み取ったデータを機能ボックス部4に向けて無線送信可能に構成されている。
【0017】
次に、本実施形態に係わる排泄物撮影装置1の機能について図2に基づいて説明する。
図2は本発明の実施形態における排泄物撮影装置の構成を示すシステムブロック図である。この図2に示すように、機能ボックス部4には、撮影手段6や排泄物検出手段8の動作を制御する制御手段12が収納されている。なお、制御手段12による詳細な制御動作については後述する。
【0018】
また、機能ボックス部4には、個人識別手段10から無線送信された個人識別データを含む信号を受信する受信手段14が収納されている。制御手段12は、撮影手段6で撮影した排泄物の画像データに、受信手段14で受信した個人識別データを統合して、ワンセットの出力データとして送信手段16に向けて出力する。送信手段16では、そのワンセットの出力データをトイレルームに設置されているルーター50に向けて無線送信する。このルーター50は無線通信における中継端末であり、市販の機器をトイレルーム内に設置して(図3参照)利用することが可能である。
【0019】
ルーター50に送信された出力データは、病院内に設置されているLAN52を通じて病院内の所定の場所に設置されているサーバー54に送られ保存される。このサーバー54に保存された出力データは、パソコンや携帯型情報端末などの情報端末56によって利用可能である。情報端末56では、そこに内蔵されているプログラム(アプリケーションソフト)によって、特定の患者の個人識別データ(ID番号)を指定することで、その患者のデータをサーバー54から読み出して確認したり、サーバー54に保存された期間を指定してサーバー54から読み出すデータを絞り込んだりすることが可能である、
【0020】
次に、排泄物撮影装置1の使用状態について説明する。
図3は、本発明の実施形態における排泄物撮影装置に衛生洗浄装置を組み付けた斜視図である。この図3に示すように、排泄物撮影装置1におけるプレート部2の上面には、便座装置としての局部洗浄装置200が取付けられる。局部洗浄装置200は、ケーシング202内に使用者の局部に向けて洗浄水を吐水する局部洗浄機能部を内蔵している。また、ケーシング202には便座204が回動自在に軸支されている。トイレルームの壁面には、個人識別手段10としてのバーコードリーダーと並んで、局部洗浄装置200を操作するための局部洗浄リモコン206が設置されている。
【0021】
このように、プレート部2は平板状であるため、プレート部2の上面に局部洗浄装置200を載置しても、この局部洗浄装置200の取り付け高さは殆ど変わることがなく、従って、水洗大便器100に局部洗浄装置200が設置されていたトイレルームに対して排泄物撮影装置1を後付けすることができる。また、排泄物撮影装置1は局部洗浄装置200とは独立して水洗大便器100へ取り付けられているため、撮影手段6が経年劣化して寿命を迎えた場合には局部洗浄装置200は交換せずに排泄物撮影装置1だけを交換することができる。なお、プレート部2に固定されている撮影手段6が局部洗浄装置200のケーシング202によって隠されるようになり、使用者に対して撮影手段6の存在を目立ち難くすることができる。
【0022】
水洗大便器100の後方には、洗浄水タンク104を覆うようにキャビネット210が設けられている。キャビネット210の前面には、クッション性を有する背もたれ部212が設けられている。また、キャビネット210の上には、ルーター50が設けられている。ルーター50は、排泄物撮影装置1から出力された出力データを病院内のLANに送信するための中継端末である。
【0023】
キャビネット210の中には、使用者(被験者)が排泄する尿の量や、尿流率(単位時間当たり排泄尿量)などの生体情報を測定する尿量測定装置300が内蔵されている。この尿量測定装置300は、水洗大便器100の封水と連通した水位測定管路(図示せず)を有しており、この排尿時における水位測定管路の水位変化によって尿量や尿流率を測定可能となっている。トイレルームの壁面には、局部洗浄リモコン206の上方に尿量測定リモコン302が設けられている。尿量測定リモコン302には、尿量の測定開始を指示する測定開始スイッチや、排尿が終了したことを指示する尿量測定終了スイッチ等が設置されている。
【0024】
次に、本実施形態における排泄物検出手段8の動作について説明する。図4は、本発明の排泄物検出の一例を示す水位変化グラフである。この図4では、ボウル部102の底部に形成された封水の水位変化率について、大便と小便(尿)の夫々について経時変化をグラフで示している。大便は体積のあるものが短時間で水没するため、封水の水位変化率は大きく、その時間は短いことが一般的である。対して尿は長さのある尿道を介して排泄されるため、封水の水位変化率は抑制され、反対に長時間水位変化率の変化が続くことが一般的である。排泄物検出手段8は、超音波の反射時間の変化によって封水の水位変化を検出するものであり、この水位変化に基づいて、大便および小便の何れの場合であっても排泄物が排泄されたタイミングを検出することが可能である。
【0025】
次に、排泄物撮影装置1の動作について説明する。図5は、本発明の実施形態における排泄物撮影装置の動作を示すフローチャートであり、具体的には、排泄物撮影装置1の制御手段12による制御フローを示している。
排泄物撮影装置1の電源が投入されて制御手段12に通電されると制御シーケンスを開始する(S100)。なお、この状態では、制御手段12は待機状態であり、撮影手段6や排泄物検出手段8への通電は行われておらず、受信手段14に通電してこの受信手段14からの信号を待つ状態となっている。
【0026】
この待機状態において、個人識別手段10からの信号を受信手段14によって受け付けたか否かを判定する(S101)。具体的には、使用者(患者)が個人識別手段10のバーコードリーダーに対して手首に巻かれた個人識別データを含むバーコードが印刷されたリストバンドをかざし、そのバーコード情報を受信手段14が受信したか否かを判定している。受信手段14がバーコード情報を受信しない場合(S101N)は、制御手段12はS101の処理を繰り返し行う。受信手段14がバーコード情報を受信した場合(S101Y)、制御手段12は撮影手段6及び排泄物検出手段8を起動するために通電を開始する(S102)。
【0027】
続いて、S103では排泄物検出手段8によって排泄が行われたかどうかを判定する。排泄物検出手段8によって大便または小便の何れかの排泄を検出しない場合(S103N)は、制御手段12はS103の処理を繰り返し行う。排泄物検出手段8によって大便または小便の何れかの排泄を検出すると(S103Y)、S104で撮影手段6による撮影を開始する。なお、排泄開始の検出方法としては、図4に示した大便又は小便の何れかの排泄物による封水の水位変化が発生した時点である。
【0028】
続いて、S105の処理を実行し、S105の処理後にS106の処理において、制御手段12は排泄が終了したかどうかを判定する。具体的には、制御手段12が排泄物検出手段8からの水位変化信号を監視し、水位変化が無い状態が所定時間継続することで排泄終了を判定する。
排泄が続いている間(S106N)は、制御手段12は、S105の処理に戻り撮影を継続し、排泄が終了するまでS105及びS106の処理が繰り返し実行される。
なお、撮影手段6による撮影は動画である必要は無く、画像データの容量軽減と排泄物の確認との配慮から、静止画を数秒単位でインターバル撮影することが好ましい。
排泄終了と判定した場合(S106Y)、撮影手段6による撮影を終了すると共に、撮影開始(S104)以降に撮影した画像データと個人識別手段10から送信されてきた使用者(患者)を特定する識別信号を含むバーコード信号(S101参照)を統合した出力データを送信手段16からルーター50に向けて送信する。続いて、S108で撮影手段6と排泄物検出手段8への通電を停止し、待機状態へと移行してS101の処理へと戻る。
【0029】
この実施形態における排泄物撮影装置1においては、排泄物検出(S103Y)の直後に撮影を開始するため、排泄直後のトイレットペーパーのような障害物の無い排泄物の画像を撮影することができる。また、撮影期間を、排泄開始から排泄終了まで期間だけとしているため、排泄物を確実に撮影することができると共に画像データのデータ容量が無駄に増えることを抑制できる。また、撮影した画像データを送信して外部へ出力するため、医療従事者はその画像データが蓄積されたサーバー54にアクセスすることで、トイレルームに出向いてそこに設置されている排泄物撮影装置1に直接アクセスしなくてもタイムリーに排泄物画像データを見ることかでき、作業性を向上させることができる。医療従事者は排泄物を見るためだけに業務状況を寸断されることはないし、何より患者は排泄物を直接に見せるという精神的な圧迫を受けることが無い。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、排泄物検出手段8としては、前述した封水の水位変化を超音波の反射時間によって検出するものに代えて様々な様態とすることができる。例えば、排泄物に起因して発生するガスを検出するようにしてもよい。大便を対象とするなら二酸化炭素・水素・メチルメルカプタン・トリメチルアミンなどが推奨されるし、異常状態の尿を対象とするならアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンなどのケトン体が推奨される。
また、他の排泄物検出手段8の様態としては、排泄物自体が持つ温度に着目して、ボウル部102の内部や封水の温度変化によって排泄物を検出するようにしてもよい。
【0031】
また、撮影手段6の撮影期間を、排泄物検出手段8による排泄開始判定から排泄終了判定まで撮影することに代えて、排泄開始判定から予め定めた一定時間とすることもできる。また、使用者が撮影開始と撮影終了とを入力するようにしてもよい。
また、出力データが出力手段としての送信手段16からルーター50に向けて無線送信されることに代えて、機能ボックス部4の内部に出力データを保存しておく記憶手段を設けておき、医療従事者がその記憶手段にアクセスして出力データを出力するための出力ポートを出力手段として設けておいても良いし、記憶手段自体をカード型のメモリーとしておくことで、このカード型メモリーを出力手段としての出力スロットから取り出せるようにしても良い。
【0032】
また、個人識別手段10をトイレルーム壁面に設置するのではなく、機能ボックス部4に内蔵しても良い。また、個人識別手段10はバーコードリーダーである必要はなく、使用者が個人を特定するID番号を入力するようにしても良い。
また、撮影手段6に、カメラのレンズ部分を開閉する電動式のシャッターを設け、撮影手段6が撮影を行うことがない待機状態にあるときはシャッターを閉じ、非待機時にシャッターを開けることで、撮影終了後の局部洗浄装置200による局部洗浄時や水洗大便器100の洗浄時の飛沫水によってレンズが汚れることを防止しても良い。
また、シャッター開閉時にレンズ表面を拭き取る清掃手段を設け、配置的に排泄物飛沫が付着しやすい撮影手段6を自動で清掃する機能を有しても良い。
【符号の説明】
【0033】
1…排泄物撮影装置
2…プレート部
4…機能ボックス部
6…撮影手段
8…排泄物検出手段
10…個人識別手段
12…制御手段
14…受信手段
16…送信手段(出力手段)
50…ルーター
52…LAN
54…サーバー
56…情報端末
100…水洗大便器
102…ボウル部
104…洗浄水タンク
200…局部洗浄装置(便座装置)
202…ケーシング
204…便座
206…局部洗浄リモコン
210…キャビネット
212…背もたれ部
300…尿量測定装置
302…尿量測定リモコン
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に取り付けられて排泄物の画像を撮影する排泄物撮影装置であって、
泄物を撮影して画像データを生成する撮影手段と、
記撮影手段の動作を制御する制御手段と、
前記撮影手段が設けられるとともに、前記水洗大便器上に載置される平板状のプレート部と、を備え、
前記水洗大便器に取り付けられる便座装置が、平板状の前記プレート部が載置された前記水洗大便器上に設置されることで、前記プレート部が前記便座装置と前記洗浄大便器との間に挟まれ、
前記撮影手段が前記ボウル部の内側に配置される一方で、前記制御手段が前記ボウル部の外側に配置される、ことを特徴とする排泄物撮影装置。
【請求項2】
前記プレート部には、前記撮影手段、及び排泄物を検知する排泄物検知手段が設けられ、前記撮影手段の横には前記排泄物検知手段が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の排泄物撮影装置。
【請求項3】
前記排泄物撮影装置は、使用者を識別する個人識別データを取得する個人識別手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の排泄物撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段によって結合した前記個人識別データ及び前記画像データが出力データとして送信手段に出力され、所定の場所に設置されているサーバーに対して前記出力データが前記送信手段によって送信される、ことを特徴とする請求項3に記載の排泄物撮影装置。
【請求項5】
前記便座装置は、使用者の局部に向けて洗浄水を吐水する局部洗浄機能部を内蔵する局部洗浄装置であることを特徴とする請求項1に記載の排泄物撮影装置。