(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171383
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231124BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231124BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231124BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231124BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20231124BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20231124BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20231124BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20231124BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 522
G06F3/041 640
G06F3/044 124
G09F9/00 366A
G09F9/30 365
G09F9/30 330
H10K59/35
H10K59/40
H10K59/80
H10K59/131
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148331
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2021189939の分割
【原出願日】2015-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2014112316
(32)【優先日】2014-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014128409
(32)【優先日】2014-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014242912
(32)【優先日】2014-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの検出感度を向上させる。または、厚さの薄いタッチパネルを提供
する。または、曲げることのできるタッチパネルを提供する。または、軽量なタッチパネ
ルを提供する。
【解決手段】一対の基板の間に、表示素子と、タッチセンサを構成する容量素子とを備え
る構成とする。さらに容量素子を構成する一対の導電層は、それぞれ開口を有することが
好ましい。そして当該開口と、表示素子とが互いに重なるように配置する構成とする。ま
た容量素子を構成する一対の導電層と、表示面側の基板との間に、遮光層を設ける構成と
する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示素子と、タッチセンサと、を有する発光装置であって、
前記タッチセンサは、第1の電極と、第2の電極と、を有し、
前記複数の表示素子は、いずれも、
前記表示素子の4つの辺が、それぞれ、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部が配置された第1の状態、
前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部が配置された第2の状態、
又は前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部が配置された第3の状態、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部と、前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第4の状態、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部と、前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第5の状態、
又は前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部と、前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第6の状態、のいずれかの状態であり、
前記第1の導電層と前記第2の導電層は、絶縁層を介して異なる層に設けられており、
前記第3の導電層は、前記第1の導電層又は前記第2の導電層と同層に設けられている、発光装置。
【請求項2】
マトリクス状に配置された複数の表示素子と、タッチセンサと、を有する発光装置であって、
前記タッチセンサは、第1の電極と、第2の電極と、を有し、
前記複数の表示素子は、いずれも、
前記表示素子の4つの辺が、それぞれ、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部が配置された第1の状態、
前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部が配置された第2の状態、
又は前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部が配置された第3の状態、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部と、前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第4の状態、
前記第1の電極として機能する領域を有する第1の導電層の少なくとも一部と、前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第5の状態、
又は前記第2の電極として機能する領域を有する第2の導電層の少なくとも一部と、前記第1の電極として機能せず且つ前記第2の電極として機能しない第3の導電層の少なくとも一部の両方が配置された第6の状態、のいずれかの状態であり、
前記複数の表示素子の少なくとも一の1つの辺は、前記第3の状態、前記第5の状態又は前記第6の状態のいずれか一の状態であり、
前記第1の導電層と前記第2の導電層は、絶縁層を介して異なる層に設けられており、
前記第3の導電層は、前記第1の導電層又は前記第2の導電層と同層に設けられている、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記複数の表示素子は、発光素子を有する、発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の電極と前記第2の電極の少なくとも一方は、パルス電圧出力回路に電気的に接続され、
前記第1の電極と前記第2の電極と少なくとも一方は、電流検出回路に電気的に接続される、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、タッチパネルに関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様は、物、方法、又は、製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのた
め、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、
表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置
、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶
装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、電
気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、
半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されており、多様化が求められている。例
えば、携帯情報端末としてタッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の開発
が進められている。
【0005】
また、特許文献1には、フィルム基板上に、スイッチング素子であるトランジスタや有
機EL素子を備えたフレキシブルなアクティブマトリクス型の発光装置が開示されている
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示パネルに、ユーザーインターフェースとして画面に指やスタイラス等で触れること
で入力する機能を付加したタッチパネルが望まれている。
【0008】
また、タッチパネルが適用された電子機器の薄型化、軽量化が求められている。そのた
め、タッチパネル自体の薄型化、軽量化が求められている。
【0009】
例えば、タッチパネルは、表示パネルの視認側(表示面側)にタッチセンサを設ける構
成とすることができる。
【0010】
ここで、表示パネルの表示面側に静電容量方式のタッチセンサを重ねて設けたタッチパ
ネルの構成とする場合に、表示パネルを構成する画素や配線と、タッチセンサを構成する
電極や配線との距離が小さくなると、タッチセンサが表示パネルを駆動した時に生じるノ
イズの影響を受けやすくなり、その結果としてタッチパネルの検出感度が低下してしまう
場合がある。
【0011】
本発明の一態様は、タッチパネルの検出感度を向上させることを課題の一とする。また
は、厚さの薄いタッチパネルを提供することを課題の一とする。または、曲げることので
きるタッチパネルを提供することを課題の一とする。または、軽量なタッチパネルを提供
することを課題の一とする。または、信頼性の高いタッチパネルを提供することを課題の
一とする。
【0012】
または、新規な入力装置を提供することを課題の一とする。または、新規な入出力装置
を提供することを課題の一とする。
【0013】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、第1の基板と、第2の基板と、第1の導電層と、第2の導電層と、
第1の発光素子と、第2の発光素子と、遮光層と、を有するタッチパネルである。第1の
導電層は、第1の開口を有し、第2の導電層は、第2の開口を有する。また第1の導電層
と、第2の導電層とは、容量を形成する。また第1の開口と、第1の発光素子とは、互い
に重なる領域を有し、第2の開口と、第2の発光素子とは、互いに重なる領域を有する。
また第1の導電層と、遮光層とは、互いに重なる領域を有し、第2の導電層と、遮光層と
は、互いに重なる領域を有する。また第1の発光素子及び第2の発光素子は、第1の基板
と第2の基板の間に位置する領域を有する。また第1の導電層及び第2の導電層は、第1
の発光素子または第2の発光素子と第2の基板との間に位置する領域を有する。また遮光
層は、第1の導電層または第2の導電層と第2の基板との間に位置する領域を有する。
【0015】
また上記において、第1の導電層、または第2の導電層は、CR値が0sec.より大
きく1×10-4sec.以下であることが好ましい。
【0016】
また、上記において、第1の導電層、または第2の導電層は、開口率が20%以上10
0%未満である領域を有することが好ましい。
【0017】
また、上記において、第3の導電層を有し、第3の導電層は、第1の導電層または前記
第2の導電層よりも第1の基板側に位置し、第1の導電層と第3の導電層との距離、また
は第2の導電層と第3の導電層との距離が、25nm以上、50μm以下である領域を有
することが好ましい。
【0018】
また、上記において、第3の発光素子を有し、第3の発光素子は、第1の基板と第2の
基板との間に位置する領域を有し、第3の発光素子と、第1の開口とは、互いに重なる領
域を有することが好ましい。
【0019】
また、上記において、第4の発光素子を有し、第4の発光素子は、第1の基板と第2の
基板との間に位置する領域を有し、第4の発光素子と、第2の開口とは、互いに重なる領
域を有することが好ましい。
【0020】
また、上記において、絶縁層を有し、第1の導電層と、第2の導電層とは、互いに重な
る領域を有し、絶縁層は、第1の導電層と第2の導電層の間に位置する領域を有すること
が好ましい。
【0021】
また、上記において、第4の導電層、第5の導電層、及び絶縁層を有することが好まし
い。ここで、第4の導電層と、遮光層とは、互いに重なる領域を有する。また第5の導電
層と、遮光層とは、互いに重なる領域を有する。また第5の導電層と、第2の導電層とは
、互いに重なる領域を有する。また絶縁層は、第1の導電層と第5の導電層との間に位置
する領域を有する。また絶縁層は、第2の導電層と第5の導電層との間に位置する領域を
有する。また絶縁層は、第4の導電層と第5の導電層との間に位置する領域を有する。ま
た絶縁層は、第3の開口と、第4の開口と、を有する。また第1の導電層と、第5の導電
層とは、第3の開口を介して電気的に接続する。また第4の導電層と、第5の導電層とは
、第4の開口を介して電気的に接続することが好ましい。
【0022】
またさらに、第5の発光素子を有することが好ましい。このとき、第4の導電層は、第
5の開口を有し、第5の発光素子は、第1の基板と第2の基板との間に位置する領域を有
し、第5の開口と、第5の発光素子とは、互いに重なる領域を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、タッチパネルの検出感度を向上できる。または、厚さの薄い
タッチパネルを提供できる。または、曲げることのできるタッチパネルを提供できる。ま
たは、軽量なタッチパネルを提供できる。または、信頼性の高いタッチパネルを提供でき
る。
【0024】
または、新規な入力装置を提供できる。または、新規な入出力装置を提供できる。なお
、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様
は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明
細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請
求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
【
図10】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図11】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図12】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図13】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図14】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図15】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図16】実施の形態に係る、タッチセンサのブロック図及びタイミングチャート図。
【
図17】実施の形態に係る、タッチセンサの回路図。
【
図22】実施例に係る、タッチパネルの寄生容量及び寄生抵抗の測定結果。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0028】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0029】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0030】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に
応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電
膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という
用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの構成例について説明する。以下で
はタッチパネルが備えるタッチセンサとして静電容量方式のタッチセンサを適用した場合
について説明する。
【0032】
なお、本明細書等において、タッチパネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能と
、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、または近接することを検知するタッ
チセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様であ
る。
【0033】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCP(Tap
e Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または
基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装さ
れものを、タッチパネルモジュール、または単にタッチパネルと呼ぶ場合がある。
【0034】
本発明の一態様に適用することのできる静電容量方式のタッチセンサは、容量素子を備
える。容量素子は、例えば第1の導電層と第2の導電層とが誘電体を挟んで設けられた構
成とすることができる。このとき、第1の導電層の一部、及び第2の導電層の一部は、そ
れぞれ容量素子の電極としての機能を有する。また、第1の導電層の他の一部、及び第2
の導電層の他の一部は、配線としての機能を有していてもよい。
【0035】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。投影型静
電容量方式としては、主に駆動方式の違いから、自己容量方式、相互容量方式などがある
。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0036】
本発明の一態様のタッチパネルは、一対の基板の間に、表示素子と、タッチセンサを構
成する容量素子とを備える構成を有する。したがって、薄型で且つ軽量なタッチパネルを
実現することができる。
【0037】
また容量素子を構成する一対の導電層は、それぞれ開口を有することが好ましい。そし
て当該開口と、表示素子とが互いに重なるように配置する構成とすることが好ましい。こ
うすることで、表示素子からの光が当該開口を介して外部に射出されるため、容量素子を
構成する一対の導電層は、透光性を有する必要がなくなる。すなわち、容量素子を構成す
る一対の導電層の材料として、透光性導電性材料よりも低抵抗な金属や合金などの材料を
適用することが可能となる。したがって検出信号の遅延などの影響が低減され、タッチパ
ネルの検出感度を高めることができる。さらに、このような構成は、携帯型の機器だけで
なくテレビジョン等の大型の表示装置にも好適に適用することができる。
【0038】
また、一対の導電層に低抵抗な材料を用いることができるため、その線幅を極めて小さ
いものとすることができる。すなわち、表示面側から見たとき(平面視)における一対の
導電層の表面積を小さくすることができる。その結果、画素を駆動させたときに生じるノ
イズの影響が抑制され、検出感度を高めることができる。さらには、2枚の基板の間にタ
ッチセンサを構成する容量素子と、画素を構成する表示素子とを挟持させ、これらが近接
して配置された構成としても検出感度の低下を抑えることができる。したがって、タッチ
パネルの厚さを低減することができる。特に、一対の基板に可撓性を有する材料を用いる
ことで、薄く、軽量で且つフレキシブルなタッチパネルを実現することができる。
【0039】
投影型静電容量方式の場合、第1の導電層は抵抗と容量の積(CR値、時定数とも呼ぶ
)が小さいほど好ましい。同様に、第2の導電層も、CR値が小さいほど好ましい。
【0040】
例えば、投影型相互容量方式の場合には、一方の導電層にパルス電圧が与えられ、他方
の導電層に流れる電流を検知する。このとき、電流を検知する導電層のCR値が小さいほ
ど、タッチ動作の有無による電流の変化を大きくすることができる。またパルス電圧が与
えられる導電層のCR値が小さいほど、パルス電圧の波形の遅延が抑制され、検出感度を
向上させることができる。
【0041】
一方、投影型自己容量方式の場合には、一対の導電層のそれぞれにパルス電圧が与えら
れ、そのときに導電層に流れる電流を検知する。そのため、導電層のCR値が小さいほど
、検出感度を向上させることができる。
【0042】
例えば、第1の導電層、または第2の導電層のCR値は、0sec.よりも大きく1×
10-4sec.以下、好ましくは0sec.よりも大きく5×10-5sec.以下、
より好ましくは0sec.よりも大きく5×10-6sec.以下、より好ましくは0s
ec.よりも大きく5×10-7sec.以下、より好ましくは0sec.よりも大きく
2×10-7sec.以下であるとよい。特に、CR値を1×10-6sec.以下とす
ることで、ノイズの影響を抑制しつつ高い検出感度を実現することができる。
【0043】
また、第1の導電層、または第2の導電層が複数の開口を有するメッシュ状の形状を有
することが好ましい。またこの時、第1の導電層または第2の導電層の開口率(単位面積
あたりの第1の導電層または第2の導電層の開口面積の割合)は、少なくともタッチパネ
ルが有する画素の開口率よりも高いことが好ましい。画素の開口率よりも第1の導電層ま
たは第2の導電層の開口率を高めることで、画素からの光を第1の導電層または第2の導
電層により遮光してしまうことを抑制できる。また、開口の大きさを大きくすることで開
口率を高めた場合には、第1の導電層または第2の導電層と、被検知体とが重なる面積が
低減してしまうため、検出感度が低下してしまう場合がある。そのため、被検知体の面積
よりも開口面積が小さくなるように、開口率と開口パターンを設定することが好ましい。
【0044】
例えば、第1の導電層または第2の導電層の開口率としては、20%以上100%未満
、好ましくは30%以上100%未満、より好ましくは50%以上100%未満とするこ
とが好ましい。
【0045】
本発明の一態様のタッチパネルは検出感度が向上し、表示パネルを駆動させたときのノ
イズの影響を受けにくいため、タッチパネル自体の厚さを薄くすることができる。例えば
、タッチパネルを構成する一対の基板間の距離を、50nm以上100μm以下、好まし
くは200nm以上50μm以下、より好ましくは500nm以上20μm以下にまで狭
めることが可能となる。この時、一対の基板に可撓性を有する基板を用いることで、フレ
キシブルで、且つ曲げに対する耐性の高いタッチパネルを実現できる。
【0046】
特に、第1の導電層または第2の導電層と、これよりも表示素子が設けられる基板側に
位置する導電層との距離を、例えば25nm以上50μm以下、好ましくは50nm以上
10μm以下、より好ましくは50nm以上5μm以下とすることが好ましい。
【0047】
また、容量素子を構成する一対の電極と、表示面側の基板との間に、遮光層を設けるこ
とが好ましい。遮光層は例えば隣接画素間の混色を抑制する機能を有していてもよい。一
対の電極よりも表示面側に遮光層を配置することにより、当該一対の電極による外光反射
を防ぎ、表示面側から当該一対の電極が視認されることがないため、タッチパネルの表示
品位を向上させることができる。
【0048】
容量素子を構成する一対の電極、及び遮光層は、表示面側から見て(平面視において)
隣接画素間に配置されることが好ましい。また容量素子を構成する一対の電極の各々の幅
は、遮光層の幅、または2つの画素の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0049】
以下では、本発明の一態様のより具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0050】
[構成例]
図1(A)は、本発明の一態様のタッチパネルモジュール10の斜視概略図である。ま
た、
図1(B)は、タッチパネルモジュール10を展開した時の斜視概略図である。タッ
チパネルモジュールは、タッチセンサモジュール20と、表示パネル30とが重ねて配置
された構成を有する。
【0051】
タッチセンサモジュール20は、基板21にFPC41が設けられた構成を有する。ま
た基板21の表示パネル30側の面にタッチセンサ22を有する。タッチセンサ22は、
導電層23、導電層24、導電層25を有する。またタッチセンサモジュール20は、こ
れら導電層とFPC41とを電気的に接続する配線29を有する。FPC41は、タッチ
センサ22に外部からの信号を供給する機能を有する。または、FPC41は、タッチセ
ンサ22からの信号を外部に出力する機能を有する。なお、FPC41を備えない形態を
、単にタッチセンサ、またはタッチセンサ基板、またはタッチセンサパネルと呼ぶことも
ある。
【0052】
タッチセンサ22は、複数の導電層23、複数の導電層24、及び複数の導電層25を
有する。導電層23は一方向に延伸した形状を有する。また導電層23は延伸方向と交差
する方向に複数並べて配置されている。また複数の導電層24は、隣接する2つの導電層
23の間に位置するように設けられている。導電層25は、導電層23の延伸方向と交差
する方向に沿って隣接する2つの導電層24を電気的に接続する。すなわち導電層23の
延伸方向と交差する方向に沿って配置された複数の導電層24は、複数の導電層25によ
って電気的に接続されている。
【0053】
ここで、導電層23と導電層25とは互いに重なる領域を有する。また導電層23と導
電層25との間には誘電体として機能する絶縁層を有し、これらは容量素子11を構成し
ている。したがって導電層23と導電層25は、それぞれ容量素子11の一対の電極とし
て機能する部分を有する。
【0054】
なお、ここでは複数の導電層24を導電層25によって電気的に接続する構成としたが
、導電層24を導電層23と同様に一方向に延伸した形状とし、導電層23と導電層24
との間に絶縁層を有する構成とし、導電層25を設けない構成としてもよい。このとき、
導電層24の一部は、容量素子11の一方の電極として機能する。
【0055】
なお、導電層23、導電層24、導電層25などの導電膜、つまり、タッチパネルを構
成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗値が低いものが望まし
い。一例として、銀、銅、アルミニウムなどの金属を用いてもよい。さらに、非常に細く
した(例えば、直径が数ナノメール)多数の導電体を用いて構成されるような金属ナノワ
イヤを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ
などを用いてもよい。Agナノワイヤの場合、例えば光透過率は89%以上、シート抵抗
値は40Ω/□以上100Ω/□以下を実現することができる。なお、このような金属ナ
ノワイヤは透過率が高いため、表示素子に用いる電極、例えば、画素電極や共通電極に、
当該金属ナノワイヤを用いてもよい。
【0056】
表示パネル30は、基板31上に表示部32を有する。表示部32は、マトリクス状に
配置された複数の画素33を有する。画素33は複数の副画素を備えていることが好まし
い。副画素は、それぞれ表示素子を備える。また基板31上には、表示部32内の画素3
3と電気的に接続する回路34を備えることが好ましい。回路34は、例えばゲート駆動
回路として機能する回路を適用することができる。FPC42は、表示部32または回路
34の少なくとも一に、外部からの信号を供給する機能を有する。なお、基板31、また
はFPC42に、ソース駆動回路として機能するICを実装することが好ましい。ICは
、COG方式またはCOF方式により基板31に実装することができる。または、ICが
実装されたFPC42、TAB、またはTCP等を基板31に取り付けることもできる。
なお、表示パネル30にICやFPC等のコネクターが実装された形態を、表示パネルモ
ジュールと呼ぶこともある。
【0057】
本発明の一態様のタッチパネルモジュールは、タッチセンサ22によりタッチ動作が行
われた際の容量の変化に基づく位置情報を出力することができる。また表示部32により
画像を表示することができる。
【0058】
[タッチセンサの構成例]
図2(A)は、タッチセンサ22の一部を示す上面概略図(平面概略図)である。また
図2(B)は、
図2(A)中の一点鎖線で囲った領域を拡大した上面概略図である。
【0059】
図2(A)(B)に示すように、導電層23は、導電層25と交差する部分の幅が小さ
くなるようにくびれた形状を有することが好ましい。こうすることで、容量素子11の容
量値を小さくすることが可能となる。例えば自己容量方式のタッチセンサの場合には、容
量素子11の容量値は小さいほど検出感度を向上させることができる。
【0060】
また、隣接する導電層23と導電層24との間には、これらと電気的に絶縁された導電
層26を有していることが好ましい。導電層26を有することにより、タッチセンサ22
の厚さの薄い部分が形成されてしまうことを抑制できる。例えば導電層23と導電層24
とを同一平面上に形成する場合には、これらと同様に形成された導電層26を設けること
により、これら導電層の形成工程よりも後に形成する薄膜の被覆性を高め、表面を平坦化
することができる。また、タッチセンサ22の厚さが均一化されることで、これを透過す
る画素からの光の輝度ムラが低減され、表示品位の高められたタッチパネルを実現するこ
とができる。
【0061】
また、
図2(C)には、導電層23と導電層24とを異なる平面上に形成し、導電層2
5を設けない場合について示している。このとき、導電層26は導電層23または導電層
24のいずれか一方と同一平面上に形成してもよいし、異なる平面上に形成してもよい。
なお、導電層26を設ける必要のない場合には、設けなくてもよい。
【0062】
図3(A)は、複数の導電層23と複数の導電層24を有するタッチセンサ22の回路
図の一例を示している。
図3(A)では、簡単のために6本の導電層23と、6本の導電
層24とを有する構成を示しているが、その数に限られない。
【0063】
1本の導電層23と、1本の導電層24の間には、一つの容量素子11が形成されてい
る。したがって、容量素子11がマトリクス状に配置されている。
【0064】
投影型自己容量方式の場合、導電層23及び導電層24の各々にはパルス電圧を走査す
るように与えられ、その時に自己に流れる電流の値を検知する。被検知体が近づいた場合
には当該電流の大きさが変化するため、この差を検知することで被検知体の位置情報を取
得することができる。また投影型相互容量方式の場合には、導電層23または導電層24
のいずれか一方にパルス電圧を走査するように与えられ、他方に流れる電流を検知するこ
とにより、被検知体の位置情報を取得する。
【0065】
導電層23、または導電層24は、そのCR値が0sec.より大きく1×10-4s
ec.以下、好ましくは0sec.より大きく5×10-5sec.以下、より好ましく
は0sec.より大きく5×10-6sec.以下、より好ましくは0sec.より大き
く5×10-7sec.以下、より好ましくは0sec.より大きく2×10-7sec
.以下であることが好ましい。
【0066】
導電層23及び導電層24は、それぞれ複数の開口を有する格子状または網目状(メッ
シュ状)の形状を有することが好ましい。
図3(B)には、導電層23の一部の上面形状
の例を示している。
【0067】
図3(B)に示す導電層23は、横方向の間隔P1、縦方向の間隔P2を有する格子状
の形状を有する。
図3(B)では、間隔P1と間隔P2とが同程度である場合を示してい
るが、これらは異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、
図3(C)に示すように横
方向の間隔P1よりも縦方向の間隔P2を大きくしてもよいし、その逆としてもよい。な
お導電層24についても同様である。
【0068】
導電層23または導電層24は、その開口率(単位面積当たりの導電層23または導電
層24の開口面積の割合)が、例えば20%以上100%未満、好ましくは30%以上1
00%未満、より好ましくは50%以上100%未満である領域を有することが好ましい
。
【0069】
開口率は、例えば間隔P1、間隔P2及び導電層の幅によって容易に算出することがで
きる。または、
図3(B)に示す周期単位の領域Rにおいて、領域Rの面積と、領域Rに
含まれる導電層23の面積の比によって、開口率を算出することができる。ここで領域R
は、周期性を有する導電層23のパターンの周期単位となる領域であり、これを縦及び横
方向に周期的に配列させることで導電層23のパターンを形成することができる。
【0070】
導電層23及び導電層24において、格子を構成するパターンの幅を、例えば50nm
以上100μm以下、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上2
0μm以下とすることが好ましい。このように、格子を構成するパターン幅を小さくする
ことで、後述するように開口と画素とを重ねる場合に、画素の間隔を狭めることが可能と
なるため、より高い精細度と高い開口率を有するタッチパネルを実現できる。
【0071】
図4(A)は、
図2(B)における一点鎖線で示した領域をさらに拡大した上面概略図
である。
【0072】
図4(A)に示すように、導電層23及び導電層24は、それぞれ格子状(網目状、メ
ッシュ状ともいう)の形状を有していることが好ましい。すなわち、導電層23及び導電
層24は、それぞれ複数の開口(開口23a及び開口24a)を有する形状とすることが
好ましい。後述のように、当該開口と画素とが重なるように設けることにより、画素が有
する表示素子からの光を導電層23及び導電層24によって遮光される、若しくは導電層
23及び導電層24を透過して輝度が低下してしまうことがない。その結果、画素の開口
率や光取り出し効率を犠牲にすることなく、タッチパネルにタッチセンサ22を適用する
ことができる。また同様に導電層25も画素と重ならないような形状とすることが好まし
い。
【0073】
図4(A)に示す構成では、導電層24と導電層25とは、その間に位置する絶縁層に
設けられた開口27を介して電気的に接続する例を示している。導電層23と導電層25
とが互いに重なる部分に容量素子11が形成されている。
【0074】
図4(A)に示すように、導電層23と交差する導電層25の形状として、導電層23
と交差する方向に長辺を有する帯状の部分を2以上有していることが好ましい。このよう
に複数の帯状の部分を設けることにより、導電層24と導電層25との接触抵抗を低減で
きる。また導電層25の一部が断線、または導電層25と導電層24との接続部における
接触不良が生じた場合であっても、導電層25と導電層24との電気的接続を保つことが
できる。特に、タッチパネルを曲げて使用する場合にはこのような断線や接触不良といっ
た不具合が生じる恐れがあるため、導電層25をこのような形状とすることは好適である
。
【0075】
図4(B)は、導電層23と導電層25とが互いに重なる面積を大きくした場合の例を
示す。このように、導電層23と導電層25とが交差する部分以外の部分で、導電層25
が導電層23と重なる形状とすることで、容量素子11の容量値を大きくすることができ
る。例えば容量素子11の容量値は、導電層23と導電層25とが互いに重なる面積、若
しくは絶縁層の誘電率または厚さを調整することにより適宜変更することができる。
【0076】
また、
図4(B)には、
図2で示した導電層26を配置した例を示している。
図4(B
)に示すように導電層26として複数の島状のパターンを有する構成とすることが好まし
い。
【0077】
また、
図5(A)には、
図4(A)に示した構成において、導電層25を設けない場合
の例を示している。
図5(A)では導電層23と導電層24とが互いに重なるように配置
されている。また、
図5(B)は
図4(B)に示した構成において、導電層25を設けな
い場合の例である。
【0078】
図6には、導電層23と導電層24の境界部分の例を示している。
図6に示すように、
これらの境界において、導電層23の一部と導電層24の一部とに囲まれた開口22aが
形成されるような形状としてもよい。このような構成とすることで、導電層23と導電層
24との距離を限りなく小さくすることが可能で、これらの相互容量を大きくすることが
できる。特に、相互容量方式を採用する際には、2つの導電層の距離を小さくし、相互容
量を高めることが好ましい。
【0079】
[導電層の開口と画素の配置例]
図7乃至
図9は、表示面側から見たときの画素及び画素に含まれる副画素と、導電層2
3の位置関係を示す概略図である。なお、ここでは導電層23を例に挙げて説明するが、
導電層24及び導電層25についても、同様の構成とすることができる。
【0080】
図7(A)では、画素33は副画素33R、副画素33G及び副画素33Bの3つの副
画素から構成されている例を示している。例えば、副画素33Rは赤色を表示し、副画素
33Gは緑色を表示し、副画素33Bは青色を表示する機能を有していればよい。なお、
画素33が有する副画素の数、及び副画素の色の種類はこれに限られない。
【0081】
画素33に含まれる複数の副画素は、それぞれ表示素子を備える。表示素子としては、
代表的には有機EL素子などの発光素子、液晶素子、電気泳動方式や電子粉流体(登録商
標)方式などにより表示を行う表示素子(電子インクともいう)、シャッター方式のME
MS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子等が挙げられる。また副画素は、当該表示
素子に加えて、トランジスタや容量素子、及びこれらを電気的に接続する配線などを有し
ていてもよい。
【0082】
また、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ
、直視型液晶ディスプレイなどにも適用できる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射
型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極と
しての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アル
ミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、S
RAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減
することができる。また、適用する表示素子に好適な構成を様々な画素回路から選択して
用いることができる。
【0083】
図7(A)に示す構成では、導電層23が有する一つの開口23aと、副画素33R、
副画素33G及び副画素33Bの3つの副画素が互いに重なるように配置されている。こ
のように、導電層23の開口23aは、一つの画素33と重なるように配置されているこ
とが好ましい。言い換えると、画素33の配列する間隔と、導電層23の格子の間隔とが
一致していることが好ましい。このような構成とすることで、画素33毎にその周辺部の
構造(例えば、画素及び画素周辺の膜構成、構成する膜の厚さ、または表面の凹凸形状な
ど)を同じにできるため、表示ムラの発生を抑制することができる。
【0084】
なお、例えば
図8に示すように2以上の画素33と、一つの開口23aとが互いに重な
る構成としてもよい。
【0085】
図7(B)には、一つの開口23aと、一つの副画素が互いに重なるように配置されて
いる例を示す。このように平面視において一つの画素33に含まれる2つの副画素の間に
導電層23が配置されている構成とすることで、導電層23の配線抵抗を低減することが
できる。その結果、タッチパネルの検出感度を向上させることができる。
【0086】
図7(C)では、
図7(A)に示す構成と比較して画素33がさらに副画素33Yを有
している場合の例を示している。副画素33Yは、例えば黄色を表示することができる画
素を適用することができる。なお、副画素33Yに代えて、白色を表示することのできる
画素を適用することもできる。このように3色よりも多くの副画素を備える画素33とす
ることで、消費電力を低減できる。
【0087】
また
図7(D)では、一つの開口23aと一つの副画素とが互いに重なるように配置し
た例を示している。すなわち、平面視において隣接する2つの副画素の間に導電層23を
配置した例を示している。なお図示しないが、4つの副画素のうち、2つの副画素が一つ
の開口23aと重なるように配置する構成としてもよい。
【0088】
図7(A)~(D)では、各々の副画素がストライプ状に配置された例を示したが、例
えば
図7(E)~(G)に示すように、一方向に2色の副画素が交互に配置される構成と
してもよい。
図7(E)では、4つの副画素を有する画素33と、一つの開口23aとが
互いに重なる構成を示している。また
図7(F)では隣接する2つの副画素と、一つの開
口23aとが互いに重なる構成を示している。また
図7(G)では、一つの副画素と一つ
の開口23aとが互いに重なる構成を示している。
【0089】
また、画素33が有する副画素の大きさ(例えば表示に寄与する領域の面積)は、各々
の副画素で異なっていてもよい。例えば視感度の比較的低い青を示す副画素を大きく、ま
た視感度の比較的高い緑または赤を示す副画素を小さくすることもできる。
【0090】
図9(A)、(B)では、副画素33R、副画素33G及び副画素33Bのうち、副画
素33Bの大きさを、他の副画素よりも大きくした場合の例を示している。ここでは副画
素33Rと副画素33Gとが交互に配列する例を示しているが、
図7(A)等に示すよう
に3つの副画素のそれぞれをストライプ状に配置し、各々の大きさを異ならせた構成とす
ることもできる。
【0091】
図9(A)では、3つの副画素を有する画素33と、一つの開口23aとが互いに重な
る構成を示している。また
図9(B)では、一つの開口23aと一つの副画素33Bとが
互いに重なり、他の一つの開口23aと2つの副画素(副画素33R及び副画素33G)
とが、互いに重なる構成を示している。
【0092】
また、
図9(C)~(E)に示すような画素構成とすることもできる。ここでは、副画
素33Bがストライプ状に配置され、副画素33Bの列の両側には副画素33R及び副画
素33Gが交互に配置された列を有している。また一つの副画素33Bの両側には、副画
素33R及び副画素33Gが一つずつ配置されている。
【0093】
図9(C)では、各色2つずつの6つの副画素と、一つの開口23aとが互いに重なる
構成を示している。また
図9(D)では、各色1つずつの3つの副画素と、一つの開口2
3aとが互いに重なる構成を示している。また、
図9(E)では、一つの副画素と一つの
開口23aとが互いに重なる構成を示している。なお、ここで示した構成に限られず、隣
接する2以上の副画素と、一つの開口23aとが互いに重なる構成としてもよい。
【0094】
なお、上述のようにここでは導電層23と副画素との位置関係について説明したが、導
電層24及び導電層25についても同様である。すなわち、本発明の一態様のタッチパネ
ルは、導電層23の開口23aと、1以上の副画素とが互いに重なる領域を有し、且つ、
導電層24の開口24aと、他の1以上の副画素とが互いに重なる領域を有する。また上
述のように各副画素は表示素子を有しているため、開口23a及び開口24aは、それぞ
れ一以上の表示素子と互いに重なる領域を有するともいえる。
【0095】
[タッチパネルが有する積層構造について]
図10(A)に、タッチパネルの一部を表示面側から見たときの上面概略図を示す。図
10(A)では導電層23、導電層24、導電層25、遮光層53、着色層52R、52
G、52B等を示している。
【0096】
図10(B)には、
図10(A)に示した積層構造を展開した概略図を示している。図
10(B)に示すように、基板21と基板31との間に、遮光層53、導電層23、導電
層24、絶縁層28、導電層25、着色層52R、52G、52B、表示素子51が配置
されている。
【0097】
なお以降では、着色層52R、着色層52G、着色層52Bを区別することなく、これ
らに共通する事項を説明する場合においては、単に着色層52と表記する場合がある。
【0098】
各着色層52は、特定波長帯域の光を透過する機能を有する。ここでは、着色層52R
は赤色の光を透過し、着色層52Gは緑色の光を透過し、着色層52Bは青色の光を透過
する。表示素子51と着色層52の一つが互いに重なるように配置されることで、表示素
子からの光のうちの特定波長帯域の光のみを基板21側に透過させることができる。
【0099】
遮光層53は、可視光を遮光する機能を有する。遮光層53は隣接する2つの着色層5
2の間の領域と重なるように配置されている。
図10では、遮光層53として開口を有す
る形状とし、当該開口が表示素子51および着色層52と互いに重なるように配置されて
いる例を示している。
【0100】
図10(B)に示すように、遮光層53は、導電層23、導電層24及び導電層25よ
りも基板21側に配置されることが好ましい。すなわち、遮光層53はこれら導電層より
も表示面側に配置されていることが好ましい。そして、遮光層53と、導電層23、導電
層24、及び導電層25のそれぞれとが、互いに重なる領域を有することが好ましい。こ
のような構成とすることで、表示面側からみたときに導電層23、導電層24及び導電層
25は遮光層53によって隠されるために、これら導電層が使用者に視認されてしまうこ
とを抑制することができる。特に、導電層23、導電層24または導電層25として金属
や合金等の、可視光を反射する材料を用いたときには有効である。
【0101】
図10(B)に示す構成では、導電層23と導電層25との間に絶縁層28が挟持され
、これらが容量素子11を形成している。また、絶縁層28に設けられた開口27を介し
て、導電層23を挟む2つの導電層24と導電層25とが電気的に接続されている。
【0102】
また、導電層23、導電層24及び導電層25は、平面視において、隣接する2つの表
示素子51の間に位置するように設けられていることが好ましい。また導電層23、導電
層24及び導電層25は、平面視において、隣接する2つの着色層52の間に位置するよ
うに設けられていることが好ましい。なお、遮光層53の開口の面積よりも、着色層52
の面積、または表示素子51の面積の方が大きい場合には、導電層23、導電層24また
は導電層25の一部が、表示素子51または着色層52と重なる領域を有していてもよい
。
【0103】
なお、ここでは着色層52を導電層23等よりも基板31側に配置する例を示したが、
導電層23等よりも基板21側に配置してもよい。
【0104】
図10では、導電層23を挟んで配置された2つの導電層24を導電層25によって電
気的に接続する構成の例を示したが、上述のように導電層25を設けない構成とすること
もできる。
【0105】
図11(A)(B)には、
図10(A)(B)における導電層25、及び開口27を有
していない場合の構成例である。
図11(B)に示すように導電層23と導電層24との
間に絶縁層28を有し、これらが容量素子11を構成している。
【0106】
以上が積層構造の説明である。
【0107】
[断面構成例]
以下では、タッチパネルモジュール10の断面構成例について説明する。
【0108】
〔断面構成例1〕
図12(A)に、本発明の一態様のタッチパネルモジュールの断面概略図を示す。
図1
2(A)に示すタッチパネルモジュールは、一対の基板間にタッチセンサを構成する容量
素子と、表示素子とを有するため、薄型化を図ることができる。
【0109】
タッチパネルモジュールは、基板21と基板31とが接着層220によって貼り合わさ
れた構成を有する。基板21上(基板21の基板31側)にはタッチセンサを構成する導
電層23、導電層24、導電層25、絶縁層28等のほか、コンタクト部253、着色層
52、遮光層53等が設けられている。また基板31上(基板31の基板21側)にはト
ランジスタ201、トランジスタ202、トランジスタ203、発光素子204、コンタ
クト部205等が設けられている。
【0110】
基板31上には接着層211を介して絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶
縁層215、絶縁層216、絶縁層217、絶縁層218、スペーサ219、導電層22
5等を有する。
【0111】
絶縁層217上に発光素子204が設けられている。発光素子204は、第1の電極2
21、EL層222、第2の電極223を有する(
図12(B)参照)。また第1の電極
221とEL層222との間には、光学調整層224が設けられている。絶縁層218は
、第1の電極221および光学調整層224の端部を覆って設けられている。
【0112】
図12(A)では、画素33に、電流制御用のトランジスタ201と、スイッチング制
御用のトランジスタ202を有する構成を示している。トランジスタ201は、ソース又
はドレインの一方が導電層225を介して第1の電極221と電気的に接続している。
【0113】
図12(A)では、回路34にトランジスタ203が設けられている構成を示している
。
【0114】
図12(A)では、トランジスタ201およびトランジスタ203として、チャネルが
形成される半導体層を2つのゲート電極で挟持する構成を適用した例を示している。この
ようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能で
あり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速動作が可能な回路を作製する
ことができる。さらには回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大き
なトランジスタを適用することで、表示パネルまたはタッチパネルを大型化、または高精
細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可
能であり、表示ムラを抑制することが可能である。
【0115】
なお、回路34が有するトランジスタと画素33が有するトランジスタは、同じ構造で
あってもよい。また回路34が有するトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、
異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、画素33が有するトラン
ジスタは、同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いて
もよい。
【0116】
発光素子204はトップエミッション構造の発光素子であり、第2の電極223側に光
を射出する。発光素子204の発光領域と重ねて、トランジスタ201、トランジスタ2
02等のほか、容量素子や配線等を配置することで、画素33の開口率を高めることがで
きる。
【0117】
スペーサ219は、絶縁層218上に設けられ、基板31と基板21との距離を調整す
る機能を有する。
図12(A)では、スペーサ219と、基板21のオーバーコート26
7との間に隙間がある場合を示しているが、
図13に示すように、基板21側の構造物で
あるオーバーコート267等と、スペーサ219上の第2の電極223とが接する領域を
有していてもよい。また、
図13に示すように、スペーサ219を画素33以外の部分、
例えば回路34と重なる領域や、基板21または基板31の周辺部などに配置してもよい
。また、ここではスペーサ219を基板31側に形成する構成としたが、基板21側に形
成する構成としてもよい。例えば絶縁層266、オーバーコート267、着色層52など
の上部に設ければよい。
【0118】
また、
図14に示すように、スペーサ219に代えて、粒状のスペーサ226を用いる
構成としてもよい。粒状のスペーサ226としては、透光性を有する材料、または光吸収
性を有する材料を用いることができる。また、スペーサ226としてはシリカなどの材料
を用いることもできるが、有機樹脂やゴムなどの弾性を有する材料を用いることが好まし
い。
図14では、弾性を有するスペーサ226が上下に潰れたように変形している様子を
示している。
【0119】
基板21の基板31側には、接着層261を介して絶縁層262、遮光層53、絶縁層
264、導電層23、導電層24、絶縁層28、導電層25、絶縁層266、着色層52
等を有する。また着色層52を覆うオーバーコート267を有していてもよい。
【0120】
遮光層53は、絶縁層262よりも基板31側に設けられている。遮光層53は開口を
有し、当該開口が発光素子204の発光領域と重なるように設けられている。
【0121】
遮光層53に用いることのできる材料としては、カーボンブラック、金属酸化物、また
は複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。また、遮光層53に、着
色層52の材料を含む膜の積層膜を用いることが好ましい。例えば、各着色層にアクリル
樹脂を含む材料を用い、赤色の光を透過する着色層52Rに用いる材料を含む膜と、青色
の光を透過する着色層52Bに用いる材料を含む膜との積層構造とすることができる。着
色層52と遮光層53の材料を共通化することで、装置を共通化できるため作製コストを
低減することができる。
【0122】
例えば着色層52に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料又は
染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0123】
遮光層53を覆って絶縁層264が設けられている。絶縁層264は平坦化膜としての
機能を有していてもよい。また遮光層53として耐熱性の低い材料を用いた場合には、絶
縁層264として有機絶縁材料を用いると、平坦性の高い層を低温で形成できるため好ま
しい。また、絶縁層264として無機絶縁材料を用いると、導電層23及び導電層24を
加工する際のエッチングストッパーとして機能させることができるため好ましい。
【0124】
導電層23及び導電層24の各々は、絶縁層264の一部を覆って設けられている。導
電層23及び導電層24は、遮光層53と互いに重なる領域を有する。また
図12(A)
では画素33の領域の一部に導電層24が設けられている例を示している。導電層24が
有する開口24aと、発光素子204とは互いに重なる領域を有する。また画素33にお
いて、導電層24は発光素子204の発光領域を囲って設けられている。したがって、導
電層24は、例えばスペーサ219、絶縁層218、導電層225、トランジスタ201
またはトランジスタ202、若しくは各トランジスタと電気的に接続する配線等と、互い
に重なる領域を有していてもよい。なお、導電層23や導電層25についても同様である
。
【0125】
図12(A)では、導電層23と導電層24とを同一の導電膜を加工して形成する例を
示している。導電層23と導電層24は、表示領域全体に亘って形成されるため、これら
を同一工程により形成することで、表示ムラを低減することができる。
【0126】
絶縁層28は容量素子11の誘電体としての機能を有する。
図12(A)では、絶縁層
28に無機絶縁材料を用いた場合の例を示している。絶縁層28として無機絶縁材料を用
いることで、均一な厚さに形成しやすく、また有機絶縁材料と比較して薄く形成すること
が容易であるため、容量素子11の容量値のばらつきを低減することができる。また絶縁
層264と同様に、導電層25を加工する際のエッチングストッパーとして機能させるこ
ともできる。なお、絶縁層28に有機絶縁材料を用いてもよく、その場合には絶縁層28
よりも基板21側に耐熱性の低い材料を用いることができるため、材料の選択の幅を広げ
ることができる。
【0127】
導電層25は、絶縁層28の一部を覆って設けられる。導電層25は、遮光層53と互
いに重なるように設けられている。導電層25の一部は導電層23と互いに重なる領域を
有する。また導電層25は絶縁層28に設けられた開口を介して、導電層23の両側に位
置する2つの導電層24を電気的に接続する機能を有する。
【0128】
また、導電層25及び絶縁層28を覆って絶縁層266が設けられ、絶縁層266の一
部を覆って着色層52が設けられている。また着色層52を覆ってオーバーコート267
が設けられていてもよい。
【0129】
絶縁層266は、平坦化層としての機能を有していることが好ましく、好適には有機絶
縁材料を用いることができる。または平坦性の高い無機絶縁材料を用いてもよい。絶縁層
266によりその表面を平坦化することにより、着色層52の厚さのばらつきを低減する
ことができるため、表示品位の高いタッチパネルを実現できる。
【0130】
基板21と基板31の少なくとも一方に可撓性を有する基板を用いると、薄型で且つ軽
量なタッチパネルを実現できる。またその両方に可撓性を有する基板を用いると、フレキ
シブルなタッチパネルを実現できる。
【0131】
また、
図12に示すタッチパネルはカラーフィルタ方式を用いている。例えば、着色層
52として、R(赤)、G(緑)、B(青)のうちいずれかが適用された3色の画素によ
り1つの色を表現する構成としてもよい。また、これに加えてW(白)やY(黄)の画素
を適用した構成としてもよい。
【0132】
また発光素子204が備えるEL層222として、白色を発光するEL層を適用するこ
とが好ましい。このような発光素子204を適用することで、各画素にEL層222を塗
り分ける必要がないためコストを削減できるほか、画素の高精細化が容易となる。また各
画素における光学調整層224の厚さを変更することにより、各々の画素に適した波長の
発光を取り出すことができ、色純度を高めることができる。なお、各画素に対してEL層
222を塗り分ける構成としてもよく、その場合には光学調整層224を用いない構成と
することもできる。
【0133】
基板31上に設けられたコンタクト部205と重なる領域に位置する各絶縁層等には開
口が設けられ、当該開口に配置された接続層260によりコンタクト部205とFPC4
1とが電気的に接続している。また基板21と重なる領域に位置する各絶縁層には開口が
設けられ、当該開口に配置された接続層210を介してコンタクト部253とFPC42
とが電気的に接続している。
【0134】
なお、
図13または
図14に示すように、FPC41及び接続層260と、基板21及
び基板21に設けられた絶縁層等とが重ならない構成とすることもできる。同様に、
図1
3及び
図14では、FPC42及び接続層210と、基板31及び基板31上に設けられ
た絶縁層等が重ならない構成を示している。
【0135】
図12(A)では、コンタクト部205がトランジスタのソース電極及びドレイン電極
と同一の導電膜を加工して形成された導電層を有する構成を示している。またコンタクト
部253は、導電層23及び導電層24と同一の導電膜を加工して形成された導電層、及
び導電層25と同一の導電膜を加工して形成された導電層の積層構造を有する構成を示し
ている。このように、コンタクト部を複数の導電層を積層した構成とすることで、電気抵
抗を低減するだけでなく、機械的強度を高めることができるため好ましい。
【0136】
また
図12(A)では、一例としてトランジスタのゲート電極と同一の導電膜を加工し
て形成された配線と、トランジスタのソース電極及びドレイン電極と同一の導電膜を加工
して形成された配線とが交差する交差部206の断面構造を示している。
【0137】
接続層210や接続層260としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotr
opic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Ani
sotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0138】
絶縁層212および絶縁層262は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用い
ることが好ましい。すなわち、絶縁層212および絶縁層262はバリア膜として機能さ
せることができる。このような構成とすることで、基板21や基板31として透湿性を有
する材料を用いたとしても、発光素子204や各トランジスタに対して外部から不純物が
拡散することを効果的に抑制することが可能で、信頼性の高いタッチパネルを実現できる
。
【0139】
ここで、導電層23または導電層24(または導電層25)のうち、表示パネル側(す
なわち、表示素子が設けられる基板側)に位置する導電層と、当該導電層よりも表示パネ
ル側に位置する導電層のうち当該導電層(導電層23または導電層24(または導電層2
5))に最も近い導電層との距離を、例えば25nm以上、100μm以下、好ましくは
50nm以上10μm以下、より好ましくは50nm以上5μm以下とすることが好まし
い。
【0140】
図12(A)に示す例では、画素33の領域に位置する導電層24よりも表示パネル側
に位置する導電層のうち最も近くに位置するのは、発光素子204の第2の電極223と
なる。このとき、導電層24と第2の電極223との距離をDとする。距離Dが小さいほ
ど、一対の基板間を小さくすることが可能となるため、タッチパネルの厚さを薄くするこ
とができる。特に、一対の基板に可撓性を有する基板を用いることで、フレキシブルで、
且つ曲げに対する耐性の高いタッチパネルを実現できる。
【0141】
なお、導電層23または導電層24よりも表示パネル側に位置する導電層のうち最も近
い導電層は、第2の電極223には限られず、他の導電層である場合がある。例えば導電
層23または導電層24と、第2の電極223との間に他の導電層を有する場合には、導
電層23または導電層24と、当該導電層との間の距離が、上述の範囲になるようにすれ
ばよい。例えば絶縁層266上に接着層220を塗布する際の濡れ性または密着性向上の
ために導電層を設けることもできる。
【0142】
〔各構成要素について〕
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0143】
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として
機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する
絶縁層と、を有する。
図12(A)には、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場
合を示している。
【0144】
なお、本発明の一態様のタッチパネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない
。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしても
よい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよ
い。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、酸化物半導体、シリコ
ン、ゲルマニウム等が挙げられる。
【0145】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、
結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0146】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、14族の元素、化合物半導
体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導
体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
【0147】
特に、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、酸化物半導体を適用することが
好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好
ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を
用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0148】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn系酸化物(MはAl、Ti、
Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含
む。
【0149】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界を有さ
ない酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0150】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いるタッチパネルなどに、このような酸化物半導体を好適に
用いることができる。
【0151】
また半導体層としてこのような酸化物半導体を用いることで、電気特性の変動が抑制さ
れ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0152】
また、その低いオフ電流により、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を長期間に
亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各
表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。そ
の結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0153】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ま
しい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリ
コンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコ
ンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温
で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備え
る。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることがで
きる。また極めて高精細に画素を有する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回
路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減す
ることができる。
【0154】
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、タッチパネルを構成する各種配
線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、
クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、また
はタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造と
して用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニ
ウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅
-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を
積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チ
タン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層
し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜また
は窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウ
ム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成す
る三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料
を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が
高まるため好ましい。
【0155】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、イ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物または
グラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タ
ングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの
金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒
化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそ
れらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材
料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とイン
ジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
【0156】
各絶縁層、オーバーコート267、スペーサ219等に用いることのできる絶縁材料と
しては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸
化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムな
どの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0157】
また上述のように、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていること
が好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、発光装置
の信頼性の低下を抑制できる。
【0158】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を
含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、
酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0159】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)
]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×1
0-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・d
ay)]以下とする。
【0160】
各接着層としては、熱硬化樹脂や光硬化樹脂、2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性樹
脂を用いることができる。例えば、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結
合を有する樹脂などの樹脂を用いることができる。
【0161】
EL層222は少なくとも発光層を有する。EL層222は、発光層以外の層として、
正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物
質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い
物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0162】
EL層222には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無
機化合物を含んでいてもよい。EL層222を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸
着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することがで
きる。
【0163】
発光素子204として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層222に2種
類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発
光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができ
る。例えば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示
す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光
物質のうち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子204からの発光のスペクト
ルが、可視光領域の波長(例えば350nm~750nm)の範囲内に2以上のピークを
有する発光素子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料
の発光スペクトルは、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であるこ
とが好ましい。
【0164】
より好ましくは、EL層222は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色
を発光する発光材料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、E
L層222における複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、分離層を介
して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に分離層を設ける構
成としてもよい。
【0165】
分離層は、例えば燐光発光層中で生成する燐光材料等の励起状態から蛍光発光層中の蛍
光材料等へのデクスター機構によるエネルギー移動(特に三重項エネルギー移動)を防ぐ
ために設けることができる。分離層は数nm程度の厚さがあればよい。具体的には、0.
1nm以上20nm以下、あるいは1nm以上10nm以下、あるいは1nm以上5nm
以下である。分離層は、単一の材料(好ましくはバイポーラ性の物質)、又は複数の材料
(好ましくは正孔輸送性材料及び電子輸送性材料)を含む。
【0166】
分離層は、該分離層と接する発光層に含まれる材料を用いて形成してもよい。これによ
り、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。例えば、燐光発光層が
、ホスト材料、アシスト材料、及び燐光材料(ゲスト材料)からなる場合、分離層を、該
ホスト材料及びアシスト材料で形成してもよい。上記構成を別言すると、分離層は、燐光
材料を含まない領域を有し、燐光発光層は、燐光材料を含む領域を有する。これにより、
分離層と燐光発光層とを燐光材料の有無で蒸着することが可能となる。また、このような
構成とすることで、分離層と燐光発光層を同じチャンバーで成膜することが可能となる。
これにより、製造コストを削減することができる。
【0167】
また、発光素子204は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数の
EL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0168】
〔作製方法例〕
ここで、可撓性を有するタッチパネルを作製する方法について説明する。
【0169】
ここでは便宜上、画素や回路を含む構成、カラーフィルタ等の光学部材を含む構成また
はタッチセンサを含む構成を素子層と呼ぶこととする。素子層は例えば表示素子を含み、
表示素子の他に表示素子と電気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジスタなど
の素子を備えていてもよい。
【0170】
またここでは、素子層が形成される絶縁表面を備える支持体(例えば基板21または基
板31)のことを、基材と呼ぶこととする。
【0171】
可撓性を有する絶縁表面を備える基材上に素子層を形成する方法としては、基材上に直
接素子層を形成する方法と、剛性を有する支持基材上に素子層を形成した後、素子層と支
持基材とを剥離して素子層を基材に転置する方法と、がある。
【0172】
基材を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基材上に直接素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基材
を支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が容
易になるため好ましい。
【0173】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基材に転置する方法を用いる場合、まず支
持基材上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
材と素子層を剥離し、基材に転置する。このとき、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶
縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。
【0174】
例えば剥離層としてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と当該金属材料の酸化
物を含む層を積層して用い、剥離層上に窒化シリコンや酸窒化シリコンを複数積層した層
を用いることが好ましい。高融点金属材料を用いると、素子層の形成工程の自由度が高ま
るため好ましい。
【0175】
剥離は、機械的な力を加えることや、剥離層をエッチングすること、または剥離界面の
一部に液体を滴下して剥離界面全体に浸透させることなどにより剥離を行ってもよい。ま
たは、熱膨張の違いを利用して剥離界面に熱を加えることにより剥離を行ってもよい。
【0176】
また、支持基材と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
例えば、支持基材としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用いて
、有機樹脂の一部をレーザ光等を用いて局所的に加熱することにより剥離の起点を形成し
、ガラスと絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。または、支持基材と有機樹脂からなる絶
縁層の間に金属層を設け、当該金属層に電流を流すことにより当該金属層を加熱すること
により、当該金属層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。このとき、有機樹脂からなる
絶縁層は基材として用いることができる。
【0177】
可撓性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエ
ーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン
樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の
低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10-6/K以下である
ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、
繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプレグとも記す)や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜ
て熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。
【0178】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を可撓
性を有する基板として用いても良い。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる
構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好まし
い。
【0179】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基材に用いることもできる。ま
たは、ガラスと樹脂材料とが貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0180】
例えば、
図12(A)に示す構成の場合、第1の支持基材上に第1の剥離層、絶縁層2
62を順に形成した後に、それよりも上層の構造物を形成する。またこれとは別に、第2
の支持基材上に第2の剥離層、絶縁層212を順に形成した後に、それよりも上層の構造
物を形成する。続いて、第1の支持基材と第2の支持基材を接着層220により貼り合せ
る。その後、第2の剥離層と絶縁層212との界面で剥離することで第2の支持基材及び
第2の剥離層を除去し、絶縁層212と基板31とを接着層211により貼り合せる。ま
た、第1の剥離層と絶縁層262との界面で剥離することで第1の支持基材及び第1の剥
離層を除去し、絶縁層262と基板21とを接着層261により貼り合せる。なお、剥離
及び貼り合せはどちら側を先に行ってもよい。
【0181】
以上が可撓性を有するタッチパネルを作製する方法についての説明である。
【0182】
〔断面構成例2〕
図15に、
図12(A)とは構成の一部の異なる断面構成例を示す。なお、以下では上
記と重複する部分については説明を省略し、相違点について説明する。
【0183】
図15では、導電層25を設けない構成の例を示している。導電層24は、絶縁層28
の一部を覆って設けられている。導電層23と導電層24とは互いに重なる領域を有し、
この部分で容量素子11が形成されている。
【0184】
また、
図15では、導電層24が絶縁層28に設けられた開口を介して、導電層23と
同一の導電膜を加工して形成された配線と電気的に接続する接続部272の断面構造を示
している。
【0185】
また、
図15では、EL層222を各画素で塗り分けて形成した例を示している。EL
層222は、例えば一の色を発光する発光材料を含む発光層を有する構成とすることがで
きる。また
図15に示す発光素子204には、
図12(B)に示した光学調整層224を
有さない構成を示している。さらに、
図15では、着色層52を有さない構成を示してい
る。各画素が有する発光素子204が有するEL層222を塗り分けて形成し、発光素子
204が色純度の高い発光を呈する場合には、このように構成を簡略化することができる
ため好ましい。
【0186】
ここで、導電層23または導電層24のうち、表示パネル側に位置する導電層と、当該
導電層よりも表示パネル側に位置する導電層のうち当該導電層(導電層23または導電層
24)に最も近い導電層との距離を、例えば25nm以上、100μm以下、好ましくは
50nm以上10μm以下、より好ましくは50nm以上5μm以下とすることが好まし
い。
【0187】
図15に示す例では、導電層24と、導電層24よりも表示パネル側に位置する導電層
のうち最も近くに位置するのは、発光素子204の第2の電極223となる。このとき、
導電層24と第2の電極223との距離Dが小さいほど、一対の基板間を小さくすること
が可能となるため、タッチパネルの厚さを薄くすることができる。特に、一対の基板に可
撓性を有する基板を用いることで、フレキシブルで、且つ曲げに対する耐性の高いタッチ
パネルを実現できる。
【0188】
以上が断面構成例2についての説明である。
【0189】
なお、本実施の形態では、タッチセンサを支持する基板と、表示素子を支持する基板の
2枚の基板を有する構成を示したが、これに限られない。例えば表示素子を2枚の基板で
挟持し、これにタッチセンサを支持する基板を貼り合せ、3枚の基板を有する構成として
もよいし、表示素子及びタッチセンサのそれぞれを2枚の基板で挟持したものを貼り合せ
て、4枚の基板を有する構成としてもよい。
【0190】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0191】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの駆動方法の例について、図面を参
照して説明する。
【0192】
[センサの検知方法の例]
図16(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。
図16
(A)では、パルス電圧出力回路601、電流検出回路602を示している。なお
図16
(A)では、パルス電圧が与えられる電極621、電流の変化を検知する電極622をそ
れぞれ、X1-X6、Y1-Y6のそれぞれ6本の配線として示している。また
図16(
A)は、電極621および電極622が重畳することで形成される容量603を図示して
いる。なお、電極621と電極622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
【0193】
パルス電圧出力回路601は、X1-X6の配線に順にパルスを印加するための回路で
ある。X1-X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量603を形成する電極6
21および電極622の間には電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容
量603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を
検出することができる。
【0194】
電流検出回路602は、容量603での相互容量の変化による、Y1-Y6の配線での
電流の変化を検出するための回路である。Y1-Y6の配線では、被検知体の近接、また
は接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触
により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は
、積分回路等を用いて行えばよい。
【0195】
次いで
図16(B)には、
図16(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入
出力波形のタイミングチャートを示す。
図16(B)では、1フレーム期間で各行列での
被検知体の検出を行うものとする。また
図16(B)では、被検知体を検出しない場合(
非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。な
おY1-Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示して
いる。
【0196】
X1-X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1-
Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1-X6
の配線の電圧の変化に応じてY1-Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接
または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化す
る。
【0197】
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知
することができる。
【0198】
またパルス電圧出力回路601及び電流検出回路602として、一体化されたICの形
態でタッチパネルに実装される、若しくは電子機器の筐体内の基板に実装されることが好
ましい。また可撓性を有するタッチパネルとする場合には、曲げた部分では寄生容量が増
大し、ノイズの影響が大きくなってしまう恐れがあるため、ノイズの影響を受けにくい駆
動方法が適用されたICを用いることが好ましい。例えばシグナル-ノイズ比(S/N比
)を高める駆動方法が適用されたICを用いることが好ましい。
【0199】
また、
図16(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量603のみを設けるパ
ッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを備えたア
クティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。
図17にアクティブマトリクス型の
タッチセンサに含まれる一つのセンサ回路の例を示している。
【0200】
センサ回路は容量603と、トランジスタ611と、トランジスタ612と、トランジ
スタ613とを有する。トランジスタ613はゲートに信号G2が与えられ、ソース又は
ドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量603の一方の電極およびトラン
ジスタ611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ611はソース又はドレインの
一方がトランジスタ612のソース又はドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧V
SSが与えられる。トランジスタ612はゲートに信号G1が与えられ、ソース又はドレ
インの他方が配線MLと電気的に接続する。容量603の他方の電極には電圧VSSが与
えられる。
【0201】
続いて、センサ回路の動作について説明する。まず信号G2としてトランジスタ613
をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ611のゲートが接続されるノ
ードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次いで信号G2としてトランジスタ
613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
【0202】
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量603の相互容量が変化するこ
とに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
【0203】
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ612をオン状態とする電位を与える。ノー
ドnの電位に応じてトランジスタ611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が
変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することが
できる。
【0204】
トランジスタ611、トランジスタ612、トランジスタ613としては、チャネルが
形成される半導体層に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることが好ましい。特
にトランジスタ613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位
を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(
リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
【0205】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0206】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用して作製できる電子機器及び照明装置につい
て、
図18及び
図19を用いて説明する。
【0207】
本発明の一態様のタッチパネルは可撓性を有する。したがって、可撓性を有する電子機
器や照明装置に好適に用いることができる。また、本発明の一態様を適用することで、信
頼性が高く、繰り返しの曲げに対して強い電子機器や照明装置を作製できる。
【0208】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機とも
いう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタ
ルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、
携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0209】
また、本発明の一態様のタッチパネルは可撓性を有するため、家屋やビルの内壁もしく
は外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0210】
また、本発明の一態様の電子機器は、タッチパネル及び二次電池を有していてもよい。
このとき、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0211】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電
池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜
鉛電池などが挙げられる。
【0212】
本発明の一態様の電子機器は、タッチパネル及びアンテナを有していてもよい。アンテ
ナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電
子機器が二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0213】
図18(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体740
1に組み込まれた表示部7402のほか、操作ボタン7403、外部接続ポート7404
、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、
本発明の一態様のタッチパネルを表示部7402に用いることにより作製される。本発明
の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機を歩留まりよく提
供できる。
【0214】
図18(A)に示す携帯電話機7400は、指などで表示部7402に触れることで、
情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆ
る操作は、指などで表示部7402に触れることにより行うことができる。
【0215】
また、操作ボタン7403の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7402
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0216】
図18(B)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7100
は、筐体7101、表示部7102、バンド7103、バックル7104、操作ボタン7
105、入出力端子7106などを備える。
【0217】
携帯情報端末7100は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、イン
ターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することがで
きる。
【0218】
表示部7102はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行う
ことができる。また、表示部7102はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面
に触れることで操作することができる。例えば、表示部7102に表示されたアイコン7
107に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0219】
操作ボタン7105は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7100に組み込まれたオペレーティング
システムにより、操作ボタン7105の機能を自由に設定することもできる。
【0220】
また、携帯情報端末7100は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能
である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリー
で通話することもできる。
【0221】
また、携帯情報端末7100は入出力端子7106を備え、他の情報端末とコネクター
を介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7106を介して充
電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7106を介さずに無線給電により
行ってもよい。
【0222】
携帯情報端末7100の表示部7102には、本発明の一態様のタッチパネルが組み込
まれている。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯情報
端末を歩留まりよく提供できる。
【0223】
図18(C)~(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7200、照明装置
7210、及び照明装置7220は、それぞれ、操作スイッチ7203を備える台部72
01と、台部7201に支持される発光部を有する。
【0224】
図18(C)に示す照明装置7200は、波状の発光面を有する発光部7202を備え
る。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
【0225】
図18(D)に示す照明装置7210の備える発光部7212は、凸状に湾曲した2つ
の発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7210を中心に
全方位を照らすことができる。
【0226】
図18(E)に示す照明装置7220は、凹状に湾曲した発光部7222を備える。し
たがって、発光部7222からの発光を、照明装置7220の前面に集光するため、特定
の範囲を明るく照らす場合に適している。
【0227】
また、照明装置7200、照明装置7210及び照明装置7220の備える各々の発光
部はフレキシブル性を有しているため、発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどの部
材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
【0228】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部
を備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。発
光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明る
く照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0229】
ここで、各発光部には、本発明の一態様のタッチパネルが組み込まれている。本発明の
一態様により、湾曲した発光部を備え、且つ信頼性の高い照明装置を歩留まりよく提供で
きる。
【0230】
図18(F)には、携帯型のタッチパネルの一例を示している。タッチパネル7300
は、筐体7301、表示部7302、操作ボタン7303、引き出し部材7304、制御
部7305を備える。
【0231】
タッチパネル7300は、筒状の筐体7301内にロール状に巻かれたフレキシブルな
表示部7302を備える。
【0232】
また、タッチパネル7300は制御部7305によって映像信号を受信可能で、受信し
た映像を表示部7302に表示することができる。また、制御部7305にはバッテリを
備える。また、制御部7305にコネクターを接続する端子部を備え、映像信号や電力を
有線により外部から直接供給する構成としてもよい。
【0233】
また、操作ボタン7303によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替
え等を行うことができる。
【0234】
図18(G)には、表示部7302を引き出し部材7304により引き出した状態のタ
ッチパネル7300を示す。この状態で表示部7302に映像を表示することができる。
また、筐体7301の表面に配置された操作ボタン7303によって、片手で容易に操作
することができる。また、
図18(F)のように操作ボタン7303を筐体7301の中
央でなく片側に寄せて配置することで、片手で容易に操作することができる。
【0235】
なお、表示部7302を引き出した際に表示部7302の表示面が平面状となるように
固定するため、表示部7302の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0236】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によ
って音声を出力する構成としてもよい。
【0237】
表示部7302には、本発明の一態様のタッチパネルが組み込まれている。本発明の一
態様により、軽量で、且つ信頼性の高いタッチパネルを歩留まりよく提供できる。
【0238】
図19(A)~(C)に、折りたたみ可能な携帯情報端末310を示す。
図19(A)
に展開した状態の携帯情報端末310を示す。
図19(B)に展開した状態又は折りたた
んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末310を示す。
図19(C
)に折りたたんだ状態の携帯情報端末310を示す。携帯情報端末310は、折りたたん
だ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一
覧性に優れる。
【0239】
表示パネル316はヒンジ313によって連結された3つの筐体315に支持されてい
る。ヒンジ313を介して2つの筐体315間を屈曲させることにより、携帯情報端末3
10を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の
一態様のタッチパネルを表示パネル316に用いることができる。例えば、曲率半径1m
m以上150mm以下で曲げることができるタッチパネルを適用できる。
【0240】
なお、本発明の一態様において、タッチパネルが折りたたまれた状態又は展開された状
態であることを検知して、検知情報を供給するセンサを備える構成としてもよい。タッチ
パネルの制御装置は、タッチパネルが折りたたまれた状態であることを示す情報を取得し
て、折りたたまれた部分(又は折りたたまれて使用者から視認できなくなった部分)の動
作を停止してもよい。具体的には、表示を停止してもよい。また、タッチセンサによる検
知を停止してもよい。
【0241】
同様に、タッチパネルの制御装置は、タッチパネルが展開された状態であることを示す
情報を取得して、表示やタッチセンサによる検知を再開してもよい。
【0242】
図19(D)(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末320を示す。
図19(D)に
表示部322が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末320を示す。
図19
(E)に、表示部322が内側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末320を示
す。携帯情報端末320を使用しない際に、非表示部325を外側に折りたたむことで、
表示部322の汚れや傷つきを抑制できる。本発明の一態様のタッチパネルを表示部32
2に用いることができる。
【0243】
図19(F)は携帯情報端末330の外形を説明する斜視図である。
図19(G)は、
携帯情報端末330の上面図である。
図19(H)は携帯情報端末340の外形を説明す
る斜視図である。
【0244】
携帯情報端末330、340は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた
一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることが
できる。
【0245】
携帯情報端末330、340は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができ
る。例えば、3つの操作ボタン339を一の面に表示することができる(
図19(F)(
H))。また、破線の矩形で示す情報337を他の面に表示することができる(
図19(
F)(G)(H))。なお、情報337の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワー
キング・サービス)の通知、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールな
どの題名、電子メールなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強
度などがある。または、情報337が表示されている位置に、情報337の代わりに、操
作ボタン339、アイコンなどを表示してもよい。なお、
図19(F)(G)では、上側
に情報337が表示される例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例え
ば、
図19(H)に示す携帯情報端末340のように、横側に表示されていてもよい。
【0246】
例えば、携帯情報端末330の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末330を収
納した状態で、その表示(ここでは情報337)を確認することができる。
【0247】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末330の上
方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末330をポケットから取り出
すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0248】
携帯情報端末330の筐体335、携帯情報端末340の筐体336がそれぞれ有する
表示部333には、本発明の一態様のタッチパネルを用いることができる。本発明の一態
様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高いタッチパネルを歩留まりよく提供で
きる。
【0249】
また、
図19(I)に示す携帯情報端末345のように、3面以上に情報を表示しても
よい。ここでは、情報355、情報356、情報357がそれぞれ異なる面に表示されて
いる例を示す。
【0250】
携帯情報端末345の筐体354が有する表示部358には、本発明の一態様のタッチ
パネルを用いることができる。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼
性の高いタッチパネルを歩留まりよく提供できる。
【0251】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例0252】
本実施例では、本発明の一態様の折り曲げ可能なタッチパネルを作製した。また本実施
例では、当該タッチパネルに対して時定数の評価と、曲げ試験の評価を行った結果につい
て説明する。
【0253】
[タッチパネルの作製]
本実施例では、可撓性を有する表示パネルの対向基板(表示面側の基板)にタッチセン
サを作りこむ、インセル型のタッチパネルを作製した。さらに、タッチセンサの電極をメ
タルメッシュ形状にすることで、タッチセンサと表示パネルとの負荷容量を低減する構成
とした。このような構成により、使用者によって自由に折り畳みが可能な程度に、タッチ
パネル全体の厚さを薄くすることができる。また、負荷容量が小さいことで表示パネルか
らタッチセンサへのノイズの影響が抑制され、誤検出や検出不可といった不具合が生じる
ことを抑制することができる。
【0254】
本実施例で作製したインセル型のタッチパネルの駆動方法としては、投影型静電容量方
式のひとつである、相互容量方式を採用した。
【0255】
本実施例では、
図12で例示した断面構造を有するタッチパネルを作製した。また、タ
ッチセンサのメッシュパターンとしては、
図6で例示したパターンを用いた。
【0256】
図20に、本実施例で作製したタッチパネルの構成を示す。
図20の中央にはタッチパ
ネルの概略図を、左側にはタッチパネルの断面構造を、また右側にはタッチパネルを曲げ
た部分の拡大図をそれぞれ示している。タッチパネルは、可撓性を有する表示部(Dis
playと表記)と、FPCと、を有する。タッチパネルは、2枚のフレキシブル基板が
接着層により貼り合わされた構成を有する、また可撓性基板のそれぞれ対向する面上には
、パッシベーション層が設けられている。一方の可撓性基板上には、パッシベーション層
上にFET層(FETと表記)及び有機EL素子(OLEDと表記)が形成されている。
また他方の可撓性基板上には、パッシベーション層上にタッチセンサとカラーフィルタが
形成されている。
図20に示すように本実施例で作製したタッチパネルは、表示面が凸状
になるように曲げること、及び凹状になるように曲げることが可能である。
【0257】
まず、ガラス基板上に剥離層、パッシベーション層、FET層、有機EL素子を形成し
た。
【0258】
FET層に含まれるトランジスタ(トランジスタ201等)としては、チャネルが形成
される半導体に酸化物半導体を用いたトランジスタを適用した。ここで、本実施例では、
酸化物半導体として膜面に垂直方向にc軸が配向した結晶性の酸化物半導体(CAAC-
OS:C-Axis Aligned Crystalline-Oxide Semi
conductor)を用いた。
【0259】
CAAC-OSは、膜面に対して、結晶のc軸が概略垂直配向した結晶性酸化物半導体
のことである。酸化物半導体の結晶構造としては他にナノスケールの微結晶集合体である
nano-crystal(nc)など、単結晶とは異なる多彩な構造が存在することが
確認されている。CAAC-OSは、単結晶よりも結晶性が低く、ncに比べて結晶性が
高い。CAAC-OSは結晶粒界が確認されないという特徴を有するため、大面積に安定
で均一な膜を形成することが可能で、また可撓性を有する発光装置を湾曲させたときの応
力によってCAAC-OS膜にクラックが生じにくい。
【0260】
本実施例では、酸化物半導体材料としてIn-Ga-Zn系酸化物を用いた。
【0261】
画素電極(第1の電極221)としては、反射率の極めて高い銀を含む合金を用いた。
また副画素の構成に応じて、マイクロキャビティ効果が得られるよう、適切な厚さの透明
電極層(光学調整層224)を画素電極上に形成した。
【0262】
有機EL素子には、トップエミッション型の白色EL素子を用いた。当該有機EL素子
は、青色の発光ユニットと、黄色の発光ユニットとを積層したタンデム構造とした。
【0263】
また、上記とは異なるガラス基板上に、剥離層、パッシベーション層、遮光層、タッチ
センサ電極、カラーフィルタを形成した。タッチセンサ電極による光の反射を抑制するた
め、タッチセンサ電極とパッシベーション層との間に遮光層を配置する構成とした。
【0264】
続いて、2枚の基板を接着層により貼り合せた。この時の基板間の距離(セルギャップ
)を5μm程度に調整した。その後、それぞれの基板を剥離層とパッシベーション層との
間で剥離し、フレキシブル基板を貼り付けた。フレキシブル基板としては、厚さ約20μ
mのプラスチック基板を用いた。
【0265】
以上のようにして、タッチパネルを作製した。表示装置の仕様を表1に、タッチセンサ
の仕様を表2にそれぞれ示す。
【0266】
【0267】
【0268】
本実施例で作製したタッチパネルが有する画素は、RGBYの4色の副画素から構成さ
れている。Y(黄色)の副画素を用いることで、電流効率が高められ、白色よりも視野角
の違いによる色度の変化を低減できた。
【0269】
タッチセンサは、表示部の長辺方向に送信用電極を48本、短辺方向に受信用電極を2
7本形成した。またそれぞれの間隔を4mmとした。表示部が有する40×40の画素が
、タッチセンサの1ユニットに相当する。
【0270】
[タッチパネル]
図21(A)乃至(C)に作製したタッチパネルの写真を示す。
図21(A)は表示パ
ネルを広げた状態、
図21(B)は3つに折り畳んだ状態、
図21(C)は、途中の状態
でタッチ操作を行っている様子をそれぞれ示している。タッチパネルの表面が平面である
部分、凸状である部分、及び凹状である部分のそれぞれで、正常に検出できることを確認
した。
【0271】
また、タッチセンサ電極のメッシュの開口部分に画素が配置されるようにレイアウトし
ているため、タッチセンサを追加したことによる光取り出し効率の低下はほとんどなかっ
た。
【0272】
[時定数の評価]
続いて、作製したタッチパネルの受信電極と、表示パネルとの間の寄生容量と寄生抵抗
を、周波数ごとに測定した。測定は、LCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社
製、4275A)を用いて行った。
【0273】
図22に測定結果を示す。
図22において左の縦軸は寄生容量を、右の縦軸は寄生抵抗
を、また横軸は周波数をそれぞれ示している。測定数は6である。
図22に示すように測
定周波数が10kHzの場合、寄生容量が約910pF、寄生抵抗が約1.3kΩであっ
た。これらの値から時定数を計算すると約1.2μsec.である。この値は、十分にタ
ッチ検出が可能な程度に低い値である。
【0274】
[曲げ試験]
続いて、作製したタッチパネルに対し、曲げ試験を行った結果について説明する。曲げ
試験は、曲率半径5mmと、3mmの2条件について、それぞれ2秒間に1回の曲げ伸ば
し動作を10万回行った。また曲げ伸ばし動作は、表示面が内側となる曲げと、表示面が
外側になる曲げの2通りについて行った。10万回の曲げ伸ばし動作後でも、正常な表示
と、正常なタッチ検出ができることを確認した。
【0275】
以上の結果から、本発明の一態様のタッチパネルは、高い信頼性と、高い視認性と、低
い消費電力と、が実現された、折り畳み可能なタッチパネルであることを確認できた。こ
のようなタッチパネルは、これまでにない新たなモバイル機器の実現可能性を広げること
ができる。