(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171384
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】アビオニクスシステム、航空機、及びストレージ媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20231124BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20231124BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G01C21/34
B64C13/18 D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148378
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2020526231の分割
【原出願日】2018-11-14
(31)【優先権主張番号】62/586,022
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514043159
【氏名又は名称】ガルフストリーム エアロスペース コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】プロッサー ケビン
(57)【要約】
【課題】三角関数の計算負荷を削減しつつ、風を考慮した航空機の正確な位置情報を提供する。
【解決手段】航空機に対するアビオニクスシステムは、航空機の実性能を監視するための命令を格納するためのストレージデバイスと、1つ以上のデータプロセッサとを含み、1つ以上のデータプロセッサは、航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分に基づいて横の位置オフセットを生成すること(213)と、航空機に関連して、測定された移動性気団の縦成分に基づいて縦の位置オフセットを生成すること(213)と、予測モデルを使用して航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び横の位置オフセットと縦の位置オフセットを繰り返し使用して航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置をオフセットすること、によって航空機の風で修正された複数の位置を生成すること(214-222)のために命令を実行するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に対するアビオニクスシステムであって、
前記航空機の実性能を監視するための命令を格納するためのストレージデバイスと、
前記航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分に基づいて横の位置オフセットを生成することと、
前記航空機に関連して、測定された前記移動性気団の縦成分に基づいて縦の位置オフセットを生成することと、
予測モデルを使用して航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された複数の位置を生成すること
のために前記命令を実行するように構成された1つ以上のデータプロセッサと
を含む、アビオニクスシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルを使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な位置に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の風で修正された前記複数の位置を生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項1に記載のアビオニクスシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルに使用される時間間隔で前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を生成することによって、前記風で修正された複数の位置の内の前記風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を繰り返し生成するために前記命令を実行するように構成される、請求項2に記載のアビオニクスシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のデータプロセッサは、
WindLat=dt*WindKnots*Math.Cos(WindHeading*.0174533)/(3600*60)
であって、WindLatは前記横の位置オフセットであり、dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の方向であること
に従って、前記横の位置オフセットを生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項1に記載のアビオニクスシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のデータプロセッサは、
WindLong=dt*WindKnots*Math.Sin(WindHeading*.0174533)/(3600*60*Math.Cos(CurrentLatitude*.0174533))
であって、WindLongは前記縦の位置オフセットであり、dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の方向であること
に従って、前記縦の位置オフセットを生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項1に記載のアビオニクスシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルを使用して航空機の第2の潜在的な軌道に沿った風に無関係な第2の位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された第2の複数の位置を生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項1に記載のアビオニクスシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルを使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の前記第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された第2の複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の前記風で修正された第2の複数の位置を生成するために前記命令を実行するように構成される、請求項6に記載のアビオニクスシステム。
【請求項8】
移動性気団の大きさ及び方向を測定するように構成されたセンサシステムと、
命令を格納するためのストレージデバイスと、
前記センサシステムからの出力に基づいて前記移動性気団の前記大きさ及び方向を測定することと、
航空機に関連して、測定された前記移動性気団の横成分に基づいて横の位置オフセットを生成することと、
前記航空機に関連して、測定された前記移動性気団の縦成分に基づいて縦の位置オフセットを生成することと、
予測モデルを使用して航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された複数の位置を生成すること
のために前記命令を実行するように構成された1つ以上のデータプロセッサとを含むアビオニクスシステムと
含む、航空機。
【請求項9】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルを使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な位置に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の前記潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の風で修正された前記複数の位置を生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項8に記載の航空機。
【請求項10】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルに使用される時間間隔で前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を生成することによって、前記風で修正された複数の位置の内の前記風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を繰り返し生成するために前記命令を実行するように構成される、請求項9に記載の航空機。
【請求項11】
前記1つ以上のデータプロセッサは、
WindLat=dt*WindKnots*Math.Cos(WindHeading*.0174533)/(3600*60)
であって、WindLatは前記横の位置オフセットであり、dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の前記方向であること
に従って、前記横の位置オフセットを生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項8に記載の航空機。
【請求項12】
前記1つ以上のデータプロセッサは、
WindLong=dt*WindKnots*Math.Sin(WindHeading*.0174533)/(3600*60*Math.Cos(CurrentLatitude*.0174533))
であって、WindLongは前記縦の位置オフセットであり、dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の前記方向であること
に従って、前記縦の位置オフセットを生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項8に記載の航空機。
【請求項13】
前記1つ以上のデータプロセッサは、
前記予測モデルを使用して航空機の第2の潜在的な軌道に沿った風に無関係な第2の位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿って前記風に無関係な第2の位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された第2の複数の位置を生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項8に記載の航空機。
【請求項14】
前記1つ以上のデータプロセッサは、前記予測モデルを使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された第2の複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の前記風で修正された複数の位置を生成するために前記命令を実行するように構成される、請求項13に記載の航空機。
【請求項15】
航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分に基づいて横の位置オフセットを生成することと、
前記航空機に関連して、測定された前記移動性気団の縦成分に基づいて縦の位置オフセットを生成することと、
予測モデルを使用して航空機の潜在的な軌道に沿った風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された複数の位置を生成することと、
を1つ以上のデータプロセッサに実行させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項16】
前記予測モデルを使用して前記航空機の潜在的な軌道に沿って風に無関係な位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の潜在的な位置に沿った前記風に無関係な位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の風で修正された前記複数の位置を生成することを前記1つ以上のデータプロセッサに実行させる命令を更に有する、請求項15に記載のストレージ媒体。
【請求項17】
前記予測モデルに使用される時間間隔で前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を生成することによって、前記風で修正された複数の位置の内の前記風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な複数の位置の内の前記次の連続的な位置を繰り返し生成することを前記1つ以上のデータプロセッサに実行させる命令を更に有する、請求項16に記載のストレージ媒体。
【請求項18】
前記ストレージ媒体は、
WindLat=dt*WindKnots*Math.Cos(WindHeading*.0174533)/(3600*60)
であって、WindLatは前記横の位置オフセットであり、dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の方向であること
に従って、前記横の位置オフセットを生成することを前記1つ以上のデータプロセッサに実行させる命令を更に有し、
前記1つ以上のデータプロセッサは、
WindLong=dt*WindKnots*Math.Sin(WindHeading*.0174533)/(3600*60*Math.Cos(CurrentLatitude*.0174533))
であって、WindLongは前記縦の位置オフセットであり、dtは前記時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での前記移動性気団の前記速度であり、WindHeadingは、度単位での前記移動性気団の前記方向であること
に従って、前記縦の位置オフセットを生成するために前記命令を実行するように更に構成される、請求項15に記載のストレージ媒体。
【請求項19】
前記予測モデルを使用して航空機の第2の潜在的な軌道に沿った風に無関係な第2の位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿って前記風に無関係な第2の位置をオフセットすること、によって前記航空機の風で修正された第2の複数の位置を生成することを前記1つ以上のデータプロセッサに実行させる命令を更に有する、請求項16に記載のストレージ媒体。
【請求項20】
前記予測モデルを使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿って前記風に無関係な第2の位置を繰り返し生成すること、及び前記横の位置オフセットと前記縦の位置オフセットを繰り返し使用して前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の位置をオフセットすること、によって、前記風で修正された第2の複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて前記航空機の第2の潜在的な軌道に沿った前記風に無関係な第2の複数の位置の内の次の連続的な位置を繰り返し生成することにより、前記航空機の前記風で修正された第2の複数の位置を生成することを前記1つ以上のデータプロセッサに実行させるための命令を更に有する、請求項19に記載のストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
この出願は、2017年11月14日に出願の米国仮出願番号62/586,022の利益を主張する。上述の出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、航空機の軌道の予測に関し、より具体的には、風の影響を考慮するために、位置オフセットを用いた潜在的な軌道に沿って航空機の位置を予測することに関する。
【背景技術】
【0003】
飛行中の航空機上に作用する力を判定することは、航空機がその中を飛行している風からの縦及び横の力を計算するために計算機負荷が大きい三角関数を必要とする複雑な式を利用する。こうした複雑な式は、高解像度に対して及び/又は複数軌道の航空機のモデル化に対して航空機の潜在的な性能及び位置を予測するためには航空機内に極めて大きな計算能力を必要とするであろう。
【0004】
したがって、三角関数の計算負荷を削減しつつ、風を考慮した正確な位置情報を提供する方法、システム、及び航空機を提供することが望ましい。更に、本開示のその他の所望の機構及び特徴は、付随の図面並びに前述の技術分野及び背景技術と併せて、後続の詳細な説明及び添付の請求項から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
システム、航空機、及び非一時的媒体が提供される。第1の非限定的な例では、航空機に対するアビオニクスシステムは、ストレージデバイス及び1つ以上のデータプロセッサを含む。ストレージデバイスは、航空機の実性能を監視するための命令を格納する。1つ以上のデータプロセッサは、航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分及び縦成分を生成することと、予測モデルに基づいて航空機の潜在的な軌道に沿った航空機の風に無関係な複数の位置を生成することと、風に無関係な複数の位置に、横成分に、及び縦成分に基づいて、航空機の風で修正された複数の位置を生成することのために命令を実行するように構成される。
【0006】
第2の非限定的な例では、航空機は、センサシステム及びアビオニクスシステムを含む。センサシステムは、移動性気団の大きさ及び方向を測定するように構成される。アビオニクスシステムは、命令を格納するためのストレージデバイスと、センサシステムからの出力に基づいて移動性気団の大きさ及び方向を測定することと、航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分及び縦成分を生成することと、予測モデルに基づいて航空機の潜在的な軌道に沿った航空機の風に無関係な複数の位置を生成することと、風に無関係な複数の位置に、横成分に、及び縦成分に基づいて、航空機の風で修正された複数の位置を生成することのために該命令を実行するように構成された1つ以上のデータプロセッサとを含む。
【0007】
第3の非限定的な実施形態では、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体は、航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分及び縦成分を生成することと、予測モデルに基づいて航空機の潜在的な軌道に沿った航空機の風に無関係な複数の位置を生成することと、風に無関係な複数の位置に、横成分に、及び縦成分に基づいて、航空機の風で修正された複数の位置を生成することとを、実行される場合に1つ以上のデータプロセッサにさせる命令を有する。
【0008】
本開示の利点は、付随の図面に関連して考察される場合に、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されると共に、より容易に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】様々な実施形態に従った、制御システムを有する航空機を説明する概略図である。
【
図2】様々な実施形態に従った、航空機の実性能を監視するための方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、本質的に例示にすぎず、用途及び使用を限定することを意図しない。更に、先行する技術分野、背景技術、発明の概要、又は以下の詳細な説明で提示した、表現又は暗示された何れかの理論に縛られる意図は何らない。本明細書で使用されるとき、用語、モジュールは、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、電子制御コンポーネント、処理ロジック、及び/若しくはプロセッサデバイスを個別に又は任意に組み合わせて指し、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ以上のソフトウェア若しくはファームウェアプログラムを実行する(共有された、分離された、若しくはグループの)プロセッサ及びメモリ、組み合わせ論理回路、並びに/又は説明する機能を提供するその他の適切なコンポーネントを非限定的に含む。
【0011】
本開示の実施形態は、機能的及び/又は論理的ブロックコンポーネントと様々な処理ステップとの観点で本明細書では説明され得る。こうしたブロックコンポーネントは、指定された機能を実施するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアコンポーネントによって実現され得ると分かるべきである。例えば、本開示の実施形態は、1つ以上のマイクロプロセッサ又はその他の制御デバイスの制御の下で様々な機能を実行し得る様々な集積回路コンポーネント、例えば、メモリ素子、デジタル信号処理素子、論理素子、又はルックアップテーブル等を用い得る。また、本開示の実施形態は、任意の数のシステムと併せて実践され得ること、並びに、本明細書で説明されるシステムは本開示の例示的な実施形態にすぎないことは当業者であれば分かるであろう。
【0012】
簡単にするために、システム(及びシステムの個別の運航コンポーネント)の信号処理、データ送信、シグナリング、制御、及びその他の機能的局面に関連する従来技術は本明細書には詳細には説明されないことがある。更に、本明細書に含まれる様々な図に示された接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図する。本開示の実施形態には多くの代替的な又は付加的な機能的関係又は物理的接続が存在し得ることに留意すべきである。
【0013】
システム及び方法は、本明細で開示される動作を実施するために命令(例えば、ソフトウェア命令)を実行する様々な種類のデータプロセッサ環境上で(例えば、1つ以上のデータプロセッサ上で)実装され得ることに更に留意されたい。非限定的な例は、単一の汎用コンピュータ若しくはワークステーション上での、又はネットワーク化されたシステム上での、又はクライアントサーバ構成中での、又はアプリケーションサービスプロバイダ構成中での実装を含む。例えば、本明細書で説明される方法及びシステムは、デバイス処理サブシステムにより実行可能なプログラム命令を含むプログラムコードによって多くの様々な種類の処理デバイス上で実装され得る。ソフトウェアプログラム命令は、本明細書で説明される方法及び動作を処理システムに実施させるように動作可能なソースコード、オブジェクトコード、機械コード、又はその他の格納されたデータを含み得る。しかしながら、本明細書で説明される方法及びシステムを実行するように構成された、ファームウェア又は適切に設計されたハードウェア等のその他の実装も使用され得る。例えば、コンピュータは、本明細書で説明されるフローチャートの様々なステップを実施するための命令を用いてプログラムされ得る。
【0014】
システムの及び方法のデータ(例えば、関連付け、マッピング、データ入力、データ出力、中間データ結果、最終データ結果等)は、様々な種類のストレージデバイス及びプログラミングコンストラクト(例えば、メモリ、RAM、ROM、フラッシュメモリ、フラットファイル、データベース、プログラミングデータ構造、プログラミング変数、IF-THEN(又は同様の種類の)文コンストラクト等)等の、様々な種類の1つ以上のコンピュータ実装データストア中に格納及び実装され得る。データ構造は、データベース、プログラム、メモリ、又はコンピュータプログラムによる使用のためのその他のコンピュータ可読媒体中にデータを組織化及び格納するのに使用されるフォーマットを説明することに留意されたい。
【0015】
システム及び方法は、本明細書で説明される方法の動作を実施し、システムを実装するために、プロセッサによる実行に使用される命令(例えば、ソフトウェア)を含むコンピュータストレージメカニズム(例えば、CD-ROM、ディスク、RAM、フラッシュメモリ、コンピュータのハードドライブ等の非一時的媒体)を含む多くの様々な種類のコンピュータ可読ストレージ媒体上で提供され得る。
【0016】
本明細書で説明されるコンピュータコンポーネント、ソフトウェアモジュール、機能、データストア、及びデータ構造は、それらの動作に必要なデータの流れを可能にするために相互に直接又は間接的に接続され得る。モジュール又はプロセッサは、ソフトウェア動作を実施し、また、例えば、サブルーチン単位のコードとして、又はソフトウェア機能単位のコードとして、又は(オブジェクト指向パラダイムのように)オブジェクトとして、又はアプレットとして、又はコンピュータスクリプト言語中に、又は別の種類のコンピュータコードとして実装され得る、単位のコードを非限定的に含むことにも留意されたい。ソフトウェアコンポーネント及び/又は機能は、目の前の状況に依存して、単一のコンピュータ上に配置され得、又は複数のコンピュータに渡って分散され得る。
【0017】
本明細書で開示される様々な実施形態は、航空機の潜在的な軌道を風の影響に対して調整するための方法及びシステムを説明する。幾つかの例では、軌道モデルは、参照により本明細書に組み込まれる2017年3月27日に出願の米国特許出願15/470,776に記載された潜在的軌道システムを使用する。
【0018】
図1をここで参照すると、幾つかの実施形態に従って航空機100の一例が説明される。航空機100は、とりわけ、制御システム110、センサシステム112、及びアクチュエータシステム114を含む。航空機100は飛行機としてこの説明では説明されているが、制御システム110は、本開示の範囲から逸脱することなく、その他の航空機、陸上車両、船舶、宇宙船、又はその他の機械に利用され得ると分かるべきである。例えば、制御システム110は、潜水艦、ヘリコプター、飛行船、スペースクラフト、又は自動車に利用され得る。
【0019】
航空機100は、移動性の空気(すなわち、風)の作用を受ける。移動性の空気120は、横成分122及び縦成分124を有する。横成分122は、航空機100の縦軸に対して垂直に作用し、縦成分124は、縦軸に対して平行に作用する。
【0020】
制御システム110は、航空機100を運航するように、並びに風に無関係な潜在的な飛行経路130と風で調整された潜在的な飛行経路とを予測するための以下で説明される方法を実施するように構成されたアビオニクスシステムである。風に無関係な潜在的な飛行経路130は、以下で更に論じられるように、軌道モデル化アルゴリズムの反復間隔で、風の位置に対してオフセット134だけ調整される。
【0021】
制御システム110は、少なくとも1つのプロセッサ116と、非一時的コンピュータ可読ストレージデバイス又は媒体117とを含む。非一時的コンピュータ可読ストレージデバイス又は媒体117は、以下で説明される方法を実施するための命令を格納するためのストレージデバイスである。少なくとも1つのプロセッサ116は、以下で説明される方法を実施するために該命令を実行するように構成された1つ以上データプロセッサである。該プロセッサは、任意の特注の若しくは市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、制御システム110と関連付けられた幾つかのプロセッサの内の補助プロセッサ、(マイクロチップ若しくはチップセットの形式での)半導体ベースのマイクロプロセッサ、マクロプロセッサ、それらの任意の組み合わせ、又は命令を実行するための一般的な任意のデバイスであり得る。コンピュータ可読ストレージデバイス又は媒体は、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びキープアライブメモリ(KAM)内の揮発性及び不揮発性のストレージを含み得る。コンピュータ可読ストレージデバイス又は媒体は、PROM(プログラム可能リードオンリーメモリ)、EPROM(電気的PROM)、EEPROM(電気的消去可能PROM)、フラッシュメモリ、又はデータの内の幾つかが航空機100の制御中に制御システム110により使用される実行可能命令を表すデータを格納可能な任意のその他の電気的、磁気的、光学的、若しくはそれらの組み合わせのメモリデバイス等の、複数の周知のメモリデバイスの内の幾つかを使用して実装され得る。
【0022】
命令は、1つ以上の別個のプログラムを含み得、それらの各々は、論理的機能を実装するための実行可能命令の順序付きリストを含む。命令は、プロセッサにより実行される場合に、センサシステムからの信号を受信及び処理し、航空機100のコンポーネントを自動的に制御するための論理、計算、方法、及び/又はアルゴリズムを実施し、該論理、計算、方法、及び/又はアルゴリズムに基づいて航空機100のコンポーネントを自動的に制御するためにアクチュエータシステム114に対する制御信号を生成する。
図1には唯一の制御システム110が示されているが、航空機100の実施形態は、任意の適切な通信媒体又は通信媒体の組み合わせを越えて通信し、並びに、センサ信号を処理することと、論理、計算、方法、及び/又はアルゴリズムを実施することと、航空機100の機構を自動的に制御するための制御信号を生成することとを協働する任意の数の制御システム110を含み得る。様々な実施形態では、制御システムの1つ以上の命令は、プロセッサにより実行される場合に、以下で説明される方法を実施する。
【0023】
センサシステム112は、航空機100の外部環境、内部環境の観察可能な条件、又は航空機100の運航条件及び状況を検知する1つ以上のセンシングデバイスを含む。例えば、センサシステム112は、加速度計、ジャイロスコープ、RADAR、LIDAR、グローバルポジショニングシステム、光学カメラ、サーマルカメラ、超音波センサ、及び/又はその他のセンサを含み得る。提供される例では、センサシステム112は、ピトー管118及び静的ポート119を有するピトー静的システムを含む。当業者であれば分かるであろうように、センサシステム112からの信号は、移動性の空気120の風速及び方向を判定するために使用され得る。
【0024】
アクチュエータシステム114は、1つ以上の車両機構を制御する1つ以上のアクチュエータデバイスを含む。例えば、アクチュエータシステム114は、航空機100上の操縦翼面を操舵し、航空機100のランディングギアを伸長若しくは格納し、及び/又は航空機100のその他のコンポーネントを移動させるアクチュエータを含み得る。
【0025】
図1を引き続き参照すると共に
図2をここで参照すると、予測される軌道を風の影響に対して調整するための方法200がフロー図の形式で説明されている。提供される例では、制御システム110は、方法200のタスクを実施する。例えば、制御システム110は、方法200のタスクを実行するため、実施するために、プロセッサ116に対する命令をストレージデバイス上に格納し得る。幾つかの例では、方法200は、ハザード認識システムにおいて風の影響に対して調整する。例えば、制御システム110は、航空機の潜在的な軌道が飛行エンベロープに従うか否かを判定し得、制御システム110により判定された、風で調整された位置に基づいて地形を回避し得る。
【0026】
タスク210は、航空機がその中を飛行している気団の移動を測定する。例えば、制御システム110は、センサシステム112を使用して移動性気団120の速度及び方向を測定し得る。
【0027】
タスク212は、航空機に関連して、測定された移動性気団の横成分及び縦成分を生成する。例えば、制御システム110は、移動性気団120を縦成分124及び横成分122に分解するために三角関数を使用し得る。提供される例では、縦成分124及び横成分122は、航空機100の軸に関して取られる。幾つかの例では、横及び縦の成分は、本開示の範囲から逸脱することなく、航空機100の飛行経路に関して、地上に関して、又はその他の機構に関して取られ得る。
【0028】
タスク213は、横成分に基づいた横の位置オフセットと、縦成分に基づいた縦の位置オフセットと、予測モデルに使用される計算の時間間隔とを生成する。提供される例では、制御システム110は、
WindLat=dt*WindKnots*Math.Cos(WindHeading*.0174533)/(3600*60);(式1)
に従って横の位置オフセットを生成する。
【0029】
式1において、Dtは時間間隔であり、WindKnotsはノット単位での移動性気団の速度であり、WindHeadingは、(風の方位の源と対比して)度単位での移動性気団の方向である。その他の単位(例えば、ノット、マイル毎時、キロメートル毎時、度、ラジアン)及び符号の規約が本開示の範囲から逸脱することなく使用され得ると分かるべきである。
【0030】
制御システム110は、
WindLong=dt*WindKnots*Math.Sin(WindHeading*.0174533)/(3600*60*Math.Cos(CurrentLatitude*.0174533)) (式2)
に従って縦の位置オフセットを生成する。
【0031】
タスク214は、予測モデルに基づいて航空機の潜在的な軌道に沿った航空機の風に無関係な複数の位置を生成する。例えば、制御システム110は、風に無関係な複数の位置を生成するために、各間隔で風の影響を計算せずに、2017年3月27日に出願の米国特許出願15/470,776で説明される予測モデルと同様の軌道予測モデルを実行し得る。提供される例では、風に無関係な潜在的な飛行経路130は、風に無関係な位置の間の経路を説明する。
【0032】
タスク218は、風に無関係な複数の位置に、横成分に、及び縦成分に基づいて、航空機の風で修正された複数の位置を生成する。提供される例では、制御システム110は、オフセット134を達成するために、風に無関係な複数の位置の各々に横の位置オフセット及び縦の位置オフセットを加算する。例えば、風に無関係な潜在的な飛行経路130は、風で調整された経路132に対応する調整された位置で、次の時間間隔を調整及び計算する。
【0033】
タスク220は、予測モデルの時間間隔を進める。それに応じて、制御システム110は、予測モデルで使用される各時間間隔において、風で修正された複数の位置の内の風で修正された対応する位置を生成する。
【0034】
タスク222は、予測が完了したか否かを判定する。予測が完了していない場合、方法200は、以前に判定された横の位置オフセット及び縦の位置オフセットを使用して航空機100の軌道の予測を継続するためにタスク214に戻る。例えば、制御システム110は、各時間間隔において、風で修正された複数の位置の内の風で修正された現在の位置に基づいて風に無関係な複数の位置の内の次の連続的な位置を生成し得る。
【0035】
全ての所望の軌道に対して軌道予測が完了した場合、方法200は終了する。
【0036】
様々な実施形態は、航空機の風で修正された潜在的な軌道の迅速な計算を可能にする。例えば、軌道に沿って各増加分で風の影響を計算する代わりに、風の影響は、一度に計算され得、後続の各位置計算に加算され得る。現在の位置以外の位置における風の状況は、飛行中に滅多に知られないので、現在の位置における風は、計算の複雑さを削減するために、並びに、所与の計算能力に対して付加的な軌道の評価及び/又はより短い時間間隔の評価を可能にするために使用され得る。例えば、複雑な三角数学計算は、各モデル化の増加分の間に風が生じさせるであろう緯度及び経度の変化を予め計算するような方法で一度に実施され得る。該変化は、風の角度に対するサイン/コサインを反復毎に再計算することなく単純な加算を使用して将来の位置にその後加算され得る。
【0037】
前述の詳細な説明では少なくとも1つの例示的な実施形態が提示されているが、膨大な数の変形が存在すると分かるべきである。1つ以上の例示的な実施形態は単なる例示であり、開示の範囲、利用可能性、又は構成を限定すること何ら意図しないことも分かるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、1つ以上の例示的な実施形態を実装するための好都合なロードマップを当業者に提供するであろう。添付の請求項及びその法的均等物に規定されるように、開示の範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更がなされ得ることを理解すべきである。