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特開2023-171390地物検索装置、地物検索方法及び地物検索用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171390
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】地物検索装置、地物検索方法及び地物検索用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20231124BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20231124BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20231124BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231124BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20231124BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231124BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G09B29/00 F
G16Y20/20
G16Y40/60
G16Y10/40
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149086
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2022074065の分割
【原出願日】2014-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】松永 英士
(72)【発明者】
【氏名】天野 啓
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸史
(57)【要約】
【課題】簡易且つ少ない数の操作で到達圏内の施設を検索してその施設の情報等を表示させる地物探索装置を提供する。
【解決手段】検索対象施設の数を入力するために用いられる操作部1と、出発地等に対応した地図上の領域内にある一又は複数の施設に対応する施設データを取得すると共に、施設データに対応する施設に最も近いリンクのリンクデータを取得する処理部10と、そのリンクデータに基づいて、出発地等から各施設まで移動する際に必要な所要時間を検出する検出部4と、所要時間が最大所要時間以下である施設を、所要時間が短い施設から順に、その数が指定された数となるまで、施設データが取得された施設の中から抽出することを繰り返す抽出部5と、抽出された施設に対応する施設データを表示させる表示制御部6と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された起点を含む地図上の領域内にある一又は複数の地物に対応する地物情報を取得する地物情報取得手段と、
前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を検出する検出手段と、
前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から抽出することを繰り返す抽出手段と、
前記抽出手段による前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得手段による前記地物情報の取得、前記検出手段による前記所要時間の検出及び前記抽出手段による前記到達可能地物の抽出を、前記最大所要時間を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら繰り返すように、当該地物情報取得手段、当該検出手段及び当該抽出手段を制御する抽出制御手段と、
を備えることを特徴とする地物検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地物検索装置において、
前記抽出された到達可能地物に対応する前記地物情報を表示手段に表示させる表示制御手段を更に備えることを特徴とする地物検索装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地物検索装置において、
前記抽出された到達可能地物の数が前記所定数となったとき、各前記検出された所要時間に基づいて、各前記到達可能地物を含む前記地図上の領域である到達可能領域を示す到達可能領域情報を生成する生成手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記生成された到達可能領域情報により示される前記到達可能領域と、前記抽出された到達可能地物に対応する前記地物情報と、を前記表示手段に表示させることを特徴とする地物検索装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の地物検索装置において、
前記起点の位置が移動される度に、当該移動後の前記起点に基づいて、前記地物情報取得手段による前記地物情報の取得、前記検出手段による前記所要時間の検出及び前記抽出手段による前記到達可能地物の抽出が行われるように、当該地物情報取得手段、当該検出手段及び当該抽出手段を制御する移動制御手段を更に備えることを特徴とする地物検索装置。
【請求項5】
地図上の地物を検索する地物検索装置であって、地物情報取得手段と、検出手段と、抽出手段と、抽出制御手段と、を備える地物検索装置において実行される地物検索方法において、
予め設定された起点を含む地図上の領域内にある一又は複数の地物に対応する地物情報を前記地物情報取得手段により取得する地物情報取得工程と、
前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を前記検出手段により検出する検出工程と、
前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から抽出することを前記抽出手段により繰り返す抽出工程と、
前記抽出工程における前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得工程における前記地物情報の取得、前記検出工程における前記所要時間の検出及び前記抽出工程における前記到達可能地物の抽出を、前記最大所要時間を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら繰り返すように、前記地物情報取得手段、前記検出手段及び前記抽出手段を前記抽出制御手段により制御する抽出制御工程と、
を含むことを特徴とする地物検索方法。
【請求項6】
地図上の地物を検索する地物検索装置に含まれるコンピュータを、
予め設定された起点を含む地図上の領域内にある一又は複数の地物に対応する地物情報を取得する地物情報取得手段、
前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を検出する検出手段、
前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から抽出することを繰り返す抽出手段、及び、
前記抽出手段として機能する前記コンピュータによる前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得手段として機能する前記コンピュータによる前記地物情報の取得、前記検出手段として機能する前記コンピュータによる前記所要時間の検出及び前記抽出手段として機能する前記コンピュータによる前記到達可能地物の抽出を、前記最大所要時間を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら繰り返すように、当該地物情報取得手段、当該検出手段及び当該抽出手段を制御する抽出制御手段としてそれぞれ機能する前記コンピュータを制御する抽出制御手段、
として機能させることを特徴とする地物検索用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、地物検索装置、地物検索方法及び地物検索用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、地図上に示されている施設、名勝又は著名な地点等の地物を検索する地物探索装置及び地物探索方法並びに当該地物探索装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両、自転車、鉄道車両又は人等である移動体の目的地までの移動を案内するナビゲーション装置が広く一般化している。また従来のナビゲーション装置では、例えば上記移動体の移動の目的地となる施設等を、それに記録されている地図データにおいて検索することが行われる。更に従来のナビゲーション装置では、例えば現在のガソリンの残量等を検出し、その検出されたガソリンの量で到達し得る範囲を検出して表示することも行われている。なお以下において、ある特定の地点(例えば移動体の現在位置や、使用者により指定された現在位置以外の特定の地点)からの経路探索上の所要時間が同じ当該地点、又は当該地点の周囲の地点を相互に結んで得られる範囲を、「到達圏」と称する。この到達圏を表示する技術を含む従来技術の一例としては、例えば下記特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
この特許文献1に記載されている技術では、使用者(例えば運転者又は同乗者等)によって検索又は探索される地理的な範囲が所要時間により指定されると、上記特定の地点からその範囲内の全ての地点への所要時間を計算し、その計算結果に基づいた上記到達圏を表示することとされている。また、その到達圏を示す画像(到達圏図形)について、特定の地点からの所要時間についての等時間間隔で境界を決め、その境界ごとに色を変えて表示したり、その到達圏を波紋が広げるように表示したりすることとされている。
【0004】
また特許文献1に記載されている技術では、使用者から施設を検索する旨の指示があった場合、その時点で設定されている到達圏内において、自車の現在位置から最も近い(所要時間が最も短い)施設とその施設に至るルートを表示することとされている。そしてこの場合、検索された施設の数が既定の所定数に達していない場合は、検索された施設の次に近い施設から改めて順次表示されることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007-032318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、使用者が例えば所要時間を決めて到達圏が指定してからしか、その到達圏内での施設の検索が行われない。このため、所望の施設が検索されない場合は改めて所要時間を決めて到達圏を指定する必要があり、よって、所望の施設が検索されるまで複数回の使用者による操作が必要となってしまうという問題点がある。このことは、最終的には使用者に取っての利便性の低下という問題点に繋がる。
【0007】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、簡易且つなるべく少ない数の操作で到達圏内の施設を検索してその施設の情報等を表示させることが可能な地物探索装置及び地物探索方法並びに当該地物探索装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、予め設定された起点を含む地図上の領域内にある一又は複数の地物に対応する地物情報を取得するインターフェース等の地物情報取得手段と、前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を検出する検出部等の検出手段と、前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から抽出することを繰り返す抽出部等の抽出手段と、前記抽出手段による前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得手段による前記地物情報の取得、前記検出手段による前記所要時間の検出及び前記抽出手段による前記到達可能地物の抽出を、地物の属性情報及び前記所定数を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら且つ前記最大所要時間を延ばしながら繰り返すように、当該地物情報取得手段、当該検出手段及び当該抽出手段を制御する処理部等の抽出制御手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、地図上の地物を検索する地物検索装置であって、インターフェース等の地物情報取得手段と、検出部等の検出手段と、抽出部等の抽出手段と、処理部等の抽出制御手段と、を備える地物検索装置において実行される地物検索方法において、予め設定された起点を含む前記地図上の領域内にある一又は複数の前記地物に対応する地物情報を前記地物情報取得手段により取得する地物情報取得工程と、前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を前記検出手段により検出する検出工程と、前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から前記抽出手段により抽出することを繰り返す抽出工程と、前記抽出工程における前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得工程における前記地物情報の取得、前記検出工程における前記所要時間の検出及び前記抽出工程における前記到達可能地物の抽出を、地物の属性情報及び前記所定数を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら且つ前記最大所要時間を延ばしながら繰り返すように、前記地物情報取得手段、前記検出手段及び前記抽出手段を前記抽出制御手段により制御する抽出制御工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、地図上の地物を検索する地物検索装置に含まれるコンピュータを、予め設定された起点を含む前記地図上の領域内にある一又は複数の前記地物に対応する地物情報を取得する地物情報取得手段、前記起点から各前記地物まで移動する際に必要な所要時間を検出する検出手段、前記検出された所要時間が最大所要時間以下である前記地物である到達可能地物を、前記検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、前記地物情報が取得された前記地物の中から抽出することを繰り返す抽出手段、及び、前記抽出手段として機能する前記コンピュータによる前記到達可能地物の抽出数が前記所定数未満であるとき、前記地物情報取得手段として機能する前記コンピュータによる前記地物情報の取
得、前記検出手段として機能する前記コンピュータによる前記所要時間の検出及び前記抽出手段として機能する前記コンピュータによる前記到達可能地物の抽出を、地物の属性情報及び前記所定数を変更するための操作を使用者に要求することなく、前記領域を広げながら且つ前記最大所要時間を延ばしながら繰り返すように、当該地物情報取得手段、当該検出手段及び当該抽出手段としてそれぞれ機能する前記コンピュータを制御する抽出制御手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る地物検索装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例に係る施設検索処理の全体を示すフローチャートである。
図4】実施例に係る到達圏検索処理を示すフローチャートである。
図5】実施例に係る候補追加判定処理を示すフローチャートである。
図6】実施例に係る施設検索更新処理を示すフローチャートである。
図7】実施例に係る候補判定処理を示すフローチャートである。
図8】実施例に係る施設検索処理を概念的に説明する図であり、(a)は第一例を示す図であり、(b)は第二例を示す図である。
図9】実施例に係る施設検索処理を概念的に説明するための第三例を示す図である。
図10】実施例に係る到達圏の大きさ決定処理を示すフローチャートである。
図11】実施例に係る到達圏図形生成処理の全体を示すフローチャートである。
図12】実施例に係る到達圏図形生成処理の細部を示すフローチャートである。
図13】実施例に係る到達圏図形生成処理を例示する図(I)であり、(a)は当該生成過程の第一段階を例示する図であり、(b)は当該生成過程の第二段階を例示する図である。
図14】実施例に係る到達圏図形生成処理を例示する図(II)であり、(a)は当該生成過程の第三段階を例示する図であり、(b)は当該生成過程の第四段階を例示する図である。
図15】実施例に係る到達圏を例示する図であり、(a)は第一例を示す図であり、(b)は第二例を示す図である。
図16】実施例に係る到達圏及び施設情報の表示例を示す図(I)であり、(a)は第一例を示す図であり、(b)は第二例を示す図である。
図17】実施例に係る到達圏及び施設情報の表示例を示す図(II)であり、(a)は第三例を示す図であり、(b)は第四例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る地物検索装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る地物検索装置Sは、施設、名勝又は著名な地点等である地図上の地物を検索する地物検索装置であって、地物情報取得手段2と、リンク情報取得手段3と、検出手段4と、抽出手段5と、表示制御手段6と、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において地物情報取得手段2は、予め設定された起点を含む地図上の領域内にある一又は複数の地物に対応する地物情報を取得する。このとき、上記「起点」とは、実施形態に係る地物検索装置Sの使用者の現在位置や、当該使用者が入力/設定した現在位置以外の特定の地点が該当する。
【0015】
そしてリンク情報取得手段3は、地図内の移動路であって、地物情報取得手段2により取得された地物情報に対応する地物に最も近い移動路に相当するリンク情報を取得する。これにより検出手段4は、リンク情報取得手段3により取得されたリンク情報に基づいて、起点から各地物まで移動する際に必要な所要時間を検出する。
【0016】
これらにより抽出手段5は、検出手段4により検出された所要時間が最大所要時間以下である地物である到達可能地物を、検出手段4により検出された所要時間が短い当該到達可能地物から順に、当該到達可能地物の数が所定数となるまで、地物情報取得手段2により地物情報が取得された地物の中から抽出することを繰り返す。そして表示制御手段6は、抽出手段5により抽出された到達可能地物に対応する地物情報を表示手段13に表示させる。
【0017】
以上説明したように、実施形態に係る地物検索装置Sの動作によれば、既定の起点に対応した地図上の領域内にある地物に対応する地物情報を取得すると共に、その地物に最も近い移動路に相当するリンク情報を取得し、起点から各地物までの移動の所要時間をそのリンク情報に基づいて検出する。そして、所定数だけ抽出されるまで、所要時間が短い順に到達可能地物の抽出を繰り返し、当該抽出された到達可能地物に対応する地物情報を表示させる。よって、所定数に対応した到達可能地物の地物情報を表示させることができる。また、検索対象の地物の数だけ抽出されるまで到達可能地物の抽出が繰り返されるので、例えば手動により条件を設定し直して再検索を行う必要がなく、迅速且つ簡便に必要数の地物情報を表示させることができる。
【0018】
従って、簡易且つ少ない数の操作で必要な数の地物を検索して、その地物情報を表示させることができる。
【実施例0019】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図17を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、例えば車両に搭載されているナビゲーション装置に含まれており、且つ当該車両の移動の目的地等と成り得る施設を検索する施設検索装置に対して本願を適用した場合の実施例である。なお以下の実施例では、本願に係る「地物」の一例にそれぞれ相当する施設、名勝又は著名な地点等を、纏めて「施設」と称する。
【0020】
また、図2は実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図であり、図3は実施例に係る施設検索処理の全体を示すフローチャートであり、図4は実施例に係る到達圏検索処理を示すフローチャートである。更に、図5は実施例に係る候補追加判定処理を示すフローチャートであり、図6は実施例に係る施設検索更新処理を示すフローチャートであり、図7は実施例に係る候補判定処理を示すフローチャートである。更にまた、図8及び図9は実施例に係る施設検索処理を概念的に説明する図であり、図10は実施例に係る到達圏の大きさ決定処理を示すフローチャートであり、図11は実施例に係る到達圏図形生成処理の全体を示すフローチャートである。また、図12は実施例に係る到達圏図形生成処理の細部を示すフローチャートであり、図13及び図14は当該到達圏図形生成処理を例示する図であり、図15は実施例に係る到達圏を例示する図であり、図16及び図17は、実施例に係る到達圏及び施設データの表示例を示す図である。このとき図2では、図1に示した実施形態に係る地物探索装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該地物探索装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0021】
(I)実施例に係るナビゲーション装置の概要
図2に示すように、実施形態に係る地物探索装置Sの一例を含む実施例に係るナビゲーション装置NVは、操作ボタン及びリモコン等を含む操作部1と、インターフェース2と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部10と、不揮発性のHDD(Hard Disc Drive)及び揮発性のメモリ等を含む記録部11と、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両を案内するための各種センサ(例えば、加速度センサ等の自立的位置センサ及びGPS(Global Positioning System)センサ等)を含むセンサ部12と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ13と、により構成されている。なお記録部11には、後述する実施例に係る施設検索処理を含む上記案内に必要な地図データや音声データ等が不揮発性に記録されている。このとき当該地図データには、例えば交差点や駐車場等に対応したいわゆるノードの地理的な位置を示す緯度/経度データであるノードデータと、例えば交差点間の道路の地理的な位置や形状を示すリンクデータと、が、後述する実施例に係る施設検索処理に用いられる道路データとして含まれている。更に地図データには、実施例に係る施設検索処理のための施設データが含まれている。この施設データは、当該地図データに相当する地図の領域内に存在する施設についての、例えば名称データ、位置データ(緯度/経度データ)、当該施設に最も近いリンクを識別するためのリンク識別データ、及びその施設の特徴や細部を説明するための説明データ等が含まれている。またインターフェース2が実施形態に係る地物情報取得手段2の一例に相当し、ディスプレイ13が本願に係る「表示手段」の一例に相当する。
【0022】
一方処理部10は、検出部4と、抽出部5と、表示制御部6と、更新部7と、により構成されている。このとき検出部4、抽出部5、表示制御部6及び更新部7は、処理部10を構成するいわゆるハードウェアロジック回路により実現されるものであってもよいし、後述する本願に係る施設検索用プログラムを処理部10の上記CPUが読み込んで実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。また、上記検出部4が実施形態に係るリンク情報取得手段3の一例及び検出手段4の一例にそれぞれ相当し、抽出部5が実施形態に係る抽出手段5の一例に相当する。更に、表示制御部6が実施形態に係る表示制御手段6の一例に相当し、更新部7が本願に係る「更新手段」の一例に相当する。更にまた、上記インターフェース2、検出部4、抽出部5、表示制御部6及び更新部7が実施形態に係る地物探索装置Sの一例を構成している。また処理部10が、本発明に係る「抽出制御手段」の一例、「生成手段」の一例及び「移動制御手段」の一例にそれぞれに相当する。
【0023】
この構成においてインターフェース2は、例えばインターネット等のネットワークからのデータ又はいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)を介したデータとして、例えば検索された施設に移動するために探索された経路上に発生している渋滞を示す渋滞データの他、下記の実施例に係る施設情報等を取得して、処理部10に出力する。
【0024】
一方センサ部12は、自立的に又はGPSを用いて、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置を検出し、当該検出された現在位置を示す現在位置データを処理部10に出力する。
【0025】
更に操作部1では、実施例に係る施設検索処理において検索対象たる施設の数、及びその施設の属性を示す属性情報が使用者(即ち、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の運転者又は同乗者等)の操作により入力される。ここで当該「属性」とは、検索対象たる施設を他の施設から識別して特定するための属性であり、具体的に例えば、検索対象たる施設の名称やその施設が属するカテゴリの名称などが挙げられる。
【0026】
これらにより処理部10の検出部4は、後述する実施例に係る施設検索処理において、所定の施設に至る道路及び地点に相当するリンクデータ及びノードデータをそれぞれ記録部11から取得し、これらのリンクデータ等と上記インターフェース2を介して取得された渋滞データ等に基づき、例えばナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置から上記所定の施設まで移動する際に必要な所要時間を検出する。
【0027】
そして処理部10の抽出部5は、上記検出部4により検出された所要時間が、後述する実施例に係る施設検索処理において処理部10の更新部7により逐次更新される最大所要時間以下である施設を、それに至るまでに必要な所要時間が短い施設から順に、操作部1を介して入力された検索対象たる施設の数になるまで、例えば記録部11に記録されている地図データ内に施設データが記録されている施設の中から抽出することを繰り返す。
【0028】
そして処理部10の表示制御部6は、それら抽出された施設に対応する施設データをディスプレイ13上に表示すると共に、当該施設に対応する到達圏をディスプレイ13上に表示する。このときの到達圏の定義自体は、基本的には例えば上記特許文献1に記載されている到達圏と同様である。即ち実施例に係る到達圏は、例えばナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置からの経路探索上の所要時間が同じ地図上の地点を相互に結んで得られる地理的な範囲である。この場合の到達圏は、基本的には上記現在位置を含む閉じた領域となるが、例えば道路事情や地理的な制約等に起因して、その内部に空白の領域(当該車両が到達できない領域)を有する「中抜け」の領域となる場合がある。
【0029】
他方、処理部10の更新部7は、抽出部5による施設の抽出に用いられる上記最大所要時間を、その時点で抽出された施設に至るための各所要時間の最大値に基づく時間に更新することを、施設検索処理が実行される度に繰り返す。
【0030】
(II)実施例に係る施設検索処理の全体構成
次に、実施例に係る施設検索処理について、具体的に図2乃至図17を用いて説明する。以下に説明する施設検索処理は、図2に示す処理部10内の設定部4乃至更新部7等を中心として実行される。また当該施設検索処理は、記録部11に記録されている道路データ中の上記ノードデータ及びリンクデータを用いた従来のいわゆるダイクストラ法による経路探索処理を応用した施設検索処理の一部を改善した施設検索処理である。
【0031】
即ち、実施例に係る施設検索処理は、例えばナビゲーション装置NVにおいて、それが搭載されている車両の到達圏を表示すべき旨の操作が施設を検索すべき旨の操作と共に使用者により操作部1において実行されたタイミングにおいて開始される。そして実施例に係る施設検索処理として処理部10は、図3に示すように、初めに操作部1を介して入力された、検索対象たる施設の属性等を示す施設データと、検索が所望されるその施設の数を示す数データと、を取得する(ステップS0)。次に処理部10は、センサ部12からの現在位置データに基づいて、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置を検出/取得する(ステップS1)。次に処理部10は、ステップS1により取得された現在位置データにより示される現在位置からの所要時間の最大値である上記最大所要時間を仮に設定する(ステップS2)。より具体的に処理部10は、例えば、上記現在位置から車両が移動するに当たっての所要時間として十分大きな値の最大所要時間(例えば五時間等)、又は予め例えば当該車両の使用者により設定された最大所要時間を、仮設定される最大所要時間として設定する。
【0032】
次に処理部10は、上記現在位置を中心とした施設検索を行うに当たって上記所要時間を算出するための各施設への経路探索に係る現在の探索範囲(例えば方形の探索範囲)の周囲に、絶対位置(例えば緯度/経度データにより表される位置)を表す座標が与えられた実施例に係る区画を設定し、その区画内でのみ所望される施設の検索を行い、当該検索された施設に最も近いリンクへの紐付け(関連付け)を行う(ステップS3)。このとき当該施設の検索及び最近傍リンクへの紐付けは、地図データ内の上記リンクデータ及び施設データ内のリンク識別データを用いて行われる。なおこのステップS3については、関連する図6を用いて後ほど詳説する。
【0033】
次に処理部10の検出部4、抽出部5及び更新部7は、上記ステップS3までに検出/取得された現在位置データ及び検索された施設に対応する施設データ等を用いて、実施例に係る到達圏検索処理を行う(ステップS4)。このステップS4により、所望される施設が所望される数だけ含まれている実施例に係る到達圏が検索される。なおこのステップS4の処理については、後ほど図4乃至図9を用いて詳説する。
【0034】
これにより処理部10の表示制御部6は、ディスプレイ13上に実際に表示する上記到達圏の大きさ(表示上の大きさ)を決定する(ステップS5)。このステップS5の処理については、後ほど図10を用いて詳説する。その後表示制御部6は、当該決定された大きさの到達圏に相当する図形に対応した図形データを生成する(ステップS6)。このステップS6の処理については、後ほど図11及び図12を用いて詳説する。そして最後に表示制御部6は、ステップS6までの処理で生成された図形データを用いて、所望される数の施設を示す施設情報を、それに対応する実施例に係る到達圏の画像と共にディスプレイ13に表示する(ステップS7)。
【0035】
その後処理部10は、例えばナビゲーション装置NVの電源がオフとされること等により実施例に係る施設検索処理を終了するか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定により、引き続き実施例に係る施設検索処理を実行する場合(ステップS8;NO)、処理部10は上記ステップS1に戻って上述して来た処理を繰り返す。一方ステップS8の判定において実施例に係る施設検索処理を終了する場合(ステップS8;YES)、処理部10は当該施設検索処理を終了する。
【0036】
(III)実施例に係る到達圏検索処理
次に、上記ステップS4の到達圏検索処理について、具体的に図4乃至図9を用いて説明する。
【0037】
ステップS4の到達圏検索処理として初めに、処理部10は、所望の施設への経路探索の始点である探索始点に最も近いリンクを探索候補に追加する処理を行う(ステップS400)。なお、最初に実行されるステップS400における当該探索始点は、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置又は経路探索上の出発地である。このステップS400の処理として具体的に、処理部10は、上記リンクデータ及びノードデータに基づき、探索始点に最も近いリンクに接続するノードを示すノードデータを上記探索候補として記録部11に記録することにより、当該ノードを上記探索候補に追加する。
【0038】
次に処理部10は、探索候補としてのノードが残っているか否かを判定する(ステップS401)。このステップS401における探索候補としてのノードが残っているか否かの判定は、当該探索候補としてのノードを示すノードデータが記録部11に記録されているか否かを確認することにより行われる。ステップS401の判定において、探索候補としてのノードが残っていない場合(ステップS401;NO)、処理部10は図3ステップS5に移行する。
【0039】
一方ステップS401の判定において、探索候補としてのノードが残っている場合(ステップS401;YES)、処理部10は次に、設定されている探索条件に沿って積算したコスト(いわゆる積算コスト)が最小であるリンクを選択する(ステップS402)。なお図4及び以下の説明では、当該積算コストが最小のリンクを「リンクL_min」と称する。また、当該リンクL_minの始点側のノードを「ノードM_min」と称し、その終点側のノードを「ノードN_min」と称する。
【0040】
次に処理部10は、実施例に係る施設検索を継続するために必要な探索候補を追加するか否かを判定する、実施例に係る候補追加判定処理を実行する(ステップS403及びステップS404)。これらステップS403及びステップS404については、後ほど図5を用いて詳説する。ステップS404の判定において必要なリンクを探索の候補に追加しない場合(ステップS404;NO)、処理部10は上記ステップS401に戻る。一方ステップS404の判定において必要なリンクを探索の候補に追加する場合(ステップS404;YES)、処理部10は次に、現在のリンクL_minに接続する全てのリンクL_j(jはリンク番号。以下、同様)を地図データ内から抽出する(ステップS405)。
【0041】
次に処理部10の主として検出部4及び抽出部5は、施設検索に関する実施例に係る施設検索更新処理(ステップS406)及び探索候補としての判定処理(ステップS407)を、それぞれ実行する。このステップS406については後ほど図6を用いて、またステップS407については後ほど図7を用いて、それぞれ詳説する。
【0042】
次に処理部10は、次のリンクL_jが探索候補に既に追加されているか否かを判定する(ステップS408)。ステップS408の判定において、当該リンクL_jが探索候補に追加されていない場合(ステップS408;NO)、その後探索部5は、後述するステップS418に移行する。
【0043】
一方ステップS408の判定において、リンクL_jが既に探索候補である場合(ステップS408;YES)、処理部10は、例えば従来のダイクストラ法等の方法によりリンクL_jの通過コストc(L_j)及び当該通過に必要な所要時間t(L_j)をそれぞれ算出する(ステップS409)。次に処理部10は、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の出発地点から現在のノードN_minまでの積算コストC(N_min)を算出/取得し(ステップS410)、更に当該出発地点から現在のノードN_minまでの積算所要時間T(N_min)を算出/取得する(ステップS411)。次に処理部10は、現在のリンクL_jに接続する終点側のノードN_jまでの積算コストC’を、
C’=c(L_j)+C(N_min)
により算出する(ステップS412)。
【0044】
そして処理部10は、現在のノードN_jに接続する他の経路があるか否かを判定する(ステップS413)。なお図4及び以下の説明において、上記他の経路を経路P’と称する。ステップS413の判定において、他の経路P’が存在しない場合(ステップS413;NO)、処理部10は、現在のノードN_jについての積算コストC(N_j)を上記積算コストC’に設定する(ステップS415)。次に処理部10は、現在のノードN_jの積算所要時間T(N_j)をT(N_j)=T(N_min)+t(L_j)として設定し(ステップS416)、更に現在のリンクL_jの終点側のノードを示すノードデータを探索候補として記録部11に記録する
ことにより、リンクL_jを探索候補に追加する(ステップS417)。その後処理部10は後述するステップS418に移行する。なお、上記ステップS414の判定において「YES」となった以降のステップS415乃至ステップS417は、新たな最短経路が見つかったために、それを用いてこれまでの経路を挿げ替える処理であることになる。
【0045】
他方ステップS413の判定において、他の経路P’が存在する場合(ステップS413;YES)、処理部10は次に、当該他の経路P’のノードN_jまでの積算コストがCp’である場合において、その積算コストCp’が現在のリンクL_jを経由する場合の積算コストC’よりも大きいか否かを判定する(ステップS414)。そして、ステップS414の判定において積算コストCp’が積算コストC’よりも大きいとき(ステップS414;YES)、処理部10は上記ステップS415に移行する。一方ステップS414の判定において、積算コストCp’が積算コストC’よりも大きくないとき(ステップS414;NO)、処理部10は次に、リンクL_minに接続する全てのリンクL_jについて、上記ステップS406乃至ステップS417が終了したか否かを判定する(ステップS418)。ステップS418の判定において、リンクL_minに接続する全てのリンクL_jのうち上記ステップS406乃至ステップS417が終了していないリンクL_jがある場合(ステップS418;NO)、処理部10は、当該残りのリンクL_jについて上記ステップS406乃至ステップS417を繰り返すべく、上記ステップS406に移行する。一方、ステップS418の判定において、リンクL_minに接続する全てのリンクL_jについて上記ステップS406乃至ステップS417が終了している場合(ステップS418;YES)、処理部10は、現在のリンクL_minを候補とするステップS4を終了し、当該リンクL_minを探索候補から除外すべくそのリンクデータを記録部11から消去する(ステップS419)。その後処理部10は、次の探索候補について上記ステップS401乃至上記ステップS418を繰り返すべく、当該ステップS401に移行する。
【0046】
次に、上記ステップS403及びステップS404の候補追加判定処理について、具体的に図5を用いて説明する。
【0047】
ステップS403及びステップS404の候補追加判定処理として初めに、処理部10は、その時点で施設検索及び経路探索の対象となっているノードN_minの積算所要時間T(N_min)が、その時点で設定されている到達圏の所要時間上限を超えているか否かを判定する(ステップS420)。ステップS420の判定において、当該積算所要時間T(N_min)が、その時点での所要時間上限を超えている場合(ステップS420;YES)、処理部10はノードN_minを探索候補から除外し(ステップS425)、その後上記ステップS404に移行する。このステップS425は、それまでに確定したノードに到達するまでの所要時間が、現在定められている所要時間上限の値以上の場合、そのノードを確定された到達圏から外す処理である。
【0048】
一方、ステップS420の判定において、当該積算所要時間T(N_min)が上記所要時間上限を超えていない場合、即ち、到達圏として探索の候補とすべき場合(ステップS420;NO)、処理部10は次に、それまでに確定したリンクL_minが紐付けられている施設データを参照することで、そのリンクL_minが検索対象たる施設の最近傍リンクであるか否かを判定する(ステップS421)。ステップS421の判定において、リンクL_minが最近傍リンクでない場合(ステップS421;NO)、そのリンクL_minは最近傍でないが故に所望施設への経路探索に用いるべきではないことから、処理部10はそのまま上記ステップ404に移行する。
【0049】
他方、ステップS421の判定において、リンクL_minが最近傍リンクである場合(ステップS421;YES)、処理部10は、そのリンクL_minが最近傍リンクとなっている施設が検索できたことになるので、到達済み施設の総数を「1」だけインクリメントする(ステップS422)。これらステップS421及びステップS422は、既に最短経路上にある所望施設(検索対象たる施設)として上記総数に加算されている施設の最近傍リンクに接続している上記リンクL_minが次の所望施設の最近傍リンクとなっている場合、当該次の所望施設を上記総数に加算する(即ち、到達済み施設総数を更新する)処理である。
【0050】
次に処理部10は、更新された到達済み施設総数が上記ステップS0において入力された施設数に達したか否か(即ち、所望される施設が所望される数だけ「到達済み(探索済み)」となったか否か)を判定する(ステップS423)。ステップS423の判定において、いまだ当該施設数に達していない場合(ステップS423;NO)、処理部10は引き続き実施例に係る施設検索処理を継続すべく上記ステップS404に移行する。一方、ステップS423の判定において、当該施設数に達している場合(ステップS423;YES)、処理部10は次に、その時点での到達圏の所要時間上限を、到達済み施設のうち最大の所要時間(分)に予め設定された所定時間α分だけ加算した値とする(ステップS424)。ここで、当該所定時間α分として具体的には、例えば5分とされている。上記ステップS422乃至ステップS424は即ち、実施例に係る施設検索処理のための経路探索処及び探索処理を終了(完結)させるべく、以降の施設検索及び経路探索に用いられる上記最大所要時間を、それまでに検索された到達済み施設までの所要時間に応じて変更する処理である。より具体的に例えば、到達済み施設の中で最も遠い施設までの所要時間が38分である場合、例えば上記所定時間αを5分としておくと、以降の経路探索では、例えば現在位置からの所要時間が43分(38分+5分=43分)以下である全てのノードを経路探索の対象とするのである。なおこの所定時間αを、現在位置から遠ざかるほど長くなるように既定しておいてもよい。この場合は、より広い範囲での施設検索が、以降の施設検索処理において実行されることになる。
【0051】
次に、上記ステップS406の施設検索更新処理及びステップS407の候補判定処理について、具体的に図6乃至図9を用いて説明する。
【0052】
先ずステップS406の施設検索更新処理として初めに、処理部10は、現在のリンクL_minに隣接するリンクL_jが、施設が未探索である上記区画内に位置しているか否かを判定する(ステップS430)。このステップS430の判定は、上記区画としての絶対位置とリンクL_jの位置とが一致しているか否かにより判定される。ステップS430の判定において、リンクL_jが未探索区画内に位置していない場合(ステップS430;NO)、処理部10は上記ステップ407に移行する。
【0053】
そしてステップS407において処理部10は、図7に示すように、そのリンクL_jが、例えば、リンクL_jに相当する道路が時間規制による通行止めである場合や、一方通行規制により当該道路がそもそも通行できない場合、或いは他の事情で通行禁止であるといった既定の除外条件に当て嵌まるか否かを判定する(ステップS440)。このステップS440の判定は、例えばインターフェース2を介して取得されたVICS(登録商標)のデータ等により確認できる。ステップS440の判定において当該除外条件に当て嵌まる場合(ステップS440;YES)、処理部10はそのまま上記ステップS408の判定に移行する。一方ステップS440の判定において、リンクL_jが既定の除外条件に当て嵌まらない場合(ステップS440;NO)、処理部10はリンクL_jを探索候補として(ステップS441)、上記ステップS408の判定に移行する。
【0054】
一方図6に戻って、上記ステップS430の判定において、リンクL_jが未探索区画内に位置している場合(ステップS430;YES)、処理部10は次に、これまでに検索済みの施設の総数(上記「到達済み施設総数」とは異なることに注意を要する)が、上記ステップS0において入力された施設数に達したか否か(即ち、所望される施設が所望される数だけ「検索」されたか否か)を判定する(ステップS431)。ステップS431の判定において、検索済みの施設の総数がステップS0において入力された施設数に達している場合(ステップS431;YES)、処理部10はステップ407に移行する。一方ステップS431の判定において、検索済みの施設の総数がステップS0において入力された施設数に達していない場合(ステップS431;NO)、処理部10は、現状の上記区画を外側へ(即ちより遠方へ)拡張し(ステップS432)、その拡張後の区画内に位置する全ての施設の施設データを地図データから取得する(ステップS433)。次に処理部10は、ステップS433で取得した施設データのいずれかに相当する新たな施設pの最近傍リンクLpを上記地図データ内において探索し、当該探索されたリンクLpに対して施設pの最近傍リンクである旨のフラグを設定する(ステップS434)。その後処理部10は、ステップS433で取得した全ての施設データに対応する施設についてステップS406に係る判定が終了しているか否かを判定し(ステップS435)、終了していない場合は(ステップS435;NO)、当該終了していない施設について上記ステップS434の処理を繰り返す。一方ステップS435の判定において、ステップS433で取得した全ての施設データに対応する施設についてステップS406に係る判定が終了している場合(ステップS435;YES)、処理部20は上記ステップS407の処理に移行する。
【0055】
ここで、上記ステップS406及びステップS407の処理について、概念的に図8及び図9を用いて説明する。
【0056】
先ず図8(a)に例示するように、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置PSを中心とした現在の探索範囲SA0の周囲に、上記絶対位置を表す座標が与えられた区画A0乃至区画A7が設定されているものとする。なお以下の説明において、区画A0乃至区画A7等について共通の事項を説明する場合、これらを纏めて単に「区画A」と称する。そして、区画A0乃至区画A7の八つの区画において次の探索範囲SA1が設定されて、図8及び図9において○で示す到達済みノードまでの経路が探索されているとする。なお図8及び図9において、到達済みノードは○のみで示されており、未踏達ノード(経路が到達していないノード)は●のみで示されている。また、上記ステップS432による検索において未検索のノードは|が下方についた●で示されており、上記ステップS432による検索において検索済みのノードは|が下方についたハッチング付○で示されている。更にある施設の最近傍リンクは点線で示されている。この図8(a)に例示する場合において、区画A0乃至区画A7の八つの区画を対象とする施設検索において、上記ステップS0において入力された施設数に達しなかった場合(図6ステップS431;NO参照)、施設の検索対象となる区画が、それまでの探索方向に沿って、例えば図8及び図9に示す区画A8乃至区画A12まで拡張される(図6ステップS432参照)。そしてこの新たな検索範囲において、未検索の施設から新たな施設が検索され(図6ステップS433参照)、検索済施設として新たに記録部11に一時的に記録される。例えば図8に例示するように、区画A9と区画A11内に未検索施設がある場合(図8(a)参照)、その各施設が新たな検索で検索済施設となり(図6ステップS433及び図8(b)参照)、更にそれら新たな検索済施設についての最近傍リンクが探索される(図6ステップS434及び図8(b)参照)。そして、それ以降の新たなノードの探索により、例えば図9に示す区画A4の右下(地図上では南東方向)隅のノードが到達済ノードとされると、その最近傍の施設が新たに「到達済施設」とされ、上記到達済み施設の総数が更新される(図5ステップS421及びステップS422参照)。これ以降、順次区画Aが拡大されて施設検索及び経路探索が繰り返されることで、上記ステップS0において入力された施設数の所望の施設が検索される。
【0057】
次に、上記ステップS409の通過コストc(L_j)及び所要時間t(L_j)の算出処理について具体的に説明する。このステップS409は、基本的には従来の例えばダイクストラ法に沿って実行されるものであるが、より具体的に処理部10は、インターフェース2を介して渋滞データ及び/又は渋滞予測データを取得すると共に、記録部11の地図データから関連するリンクのリンク長データ及びそれに対応する道路種別データを取得し、更にそのリンクについての移動時間(旅行時間)t(L)を算出し、これらによりそのリンクについての通過コスト及び所要時間t(L_j)を算出/取得する。
【0058】
(IV)実施例に係る到達圏の大きさ決定処理
次に、上記ステップS5の実施例に係る到達圏の大きさ決定処理について、具体的に図10を用いて説明する。
【0059】
ステップS5の到達圏の大きさ決定処理として初めに、処理部10及び表示制御部6は、到達済み施設(図9等参照)の中での最長の所要時間を所要時間Tmax(単位は「分」とする)とし(ステップS50)、次にディスプレイ13において表示する到達圏の外周に係る所要時間Tcを以下に従って決定する(ステップS51)。即ち処理部10及び表示制御部6は、ステップS51として先ず、上記所要時間Tmaxを10で除し、その結果の小数点以下を例えば四捨五入し、その結果を十倍して上記所要時間Tcとする。これにより例えば、ステップS50で確認された所要時間Tmaxが38分であるとすると、「38」を「10」で除した結果としての「3.8」の小数点以下が四捨五入されて「4」とされ、これが十倍された値として上記所要時間Tcが「40分」とされる。これにより処理部10及び表示制御部6は、地図上で例えば色により当該地図自体に対して区別して表示する到達圏の所要時間を上記ステップS51の結果である所要時間Tc分で確定させる(ステップS52)。このステップS5により、ディスプレイ13上において地図と共に且つ当該地図と区別しながら表示される実施例に係る到達圏の大きさ(ディスプレイ13における表示上の大きさ)が決定される。
【0060】
(V)実施例に係る到達圏図形生成処理
次に、上記ステップS6の実施例に係る到達圏図形生成処理について、具体的に図11乃至図15を用いて説明する。
【0061】
ステップS6の到達圏図形生成処理としては、例えば図11に例示するように、上記ステップS5により決定された所要時間Tc分をそのまま用いて到達圏図形を生成した(ステップS60)後、その半分の所要時間Tc/2分に対応した到達圏図形を改めて生成する(ステップS61)ことも可能である。そこで、両者の処理を纏めて、図12を用いて具体的に説明する。なお図12は、上記ステップS60に対応する具体的な処理を示すフローチャートであるが、上記ステップS61に対応する具体的な処理としては、図12に示すフローチャートにおける所要時間Tc分を所要時間Tc/2分に置き換えれば足りる。
【0062】
即ち図12に示すように、ステップS60の到達圏図形生成処理では、先ず表示制御部6は、現在位置からの所要時間が、到達圏検索(図3ステップ4参照)の中で探索した所要時間T分(例えば図4ステップS409参照)以下である全ノードを、例えば記録部11内の地図データから取得する(ステップS600)。次に表示制御部6は、ステップS600で取得した全ノードを内包する最小の正方形区域(図8及び図9に記載された区画Aとは別個である点に注意を要する)を、例えばN分割(Nは二以上の自然数)したメッシュを生成する(ステップS601)。ここで上記「正方形区域」及び「メッシュ」とは、記録部11の図示しない作業領域上に仮想的に設定される座標系を有するものであり、その座標系は、いわゆる地図データとしての緯度/経度とは別個の座標系である。次に表示制御部6は、上記正方形区域に相当する地図上の領域に含まれるノードの緯度/経度座標を、上記メッシュの座標系に変換し、上記作業領域上において該当する画素を塗り潰す処理を行う(ステップS602)。このステップS602までの処理が実行された結果としては、概念上、例えば図13(a)に例示する図形が得られる。なお図13及び図14における「到達可能地点」は、実施例における到達済みノードに相当する。
【0063】
ここで、上記ステップS602について、より具体的に説明する。即ち、上記正方形区域の左下端が、その正方形区域が対応する地図上の領域の緯度/経度座標系においてLL=(LLx,LLy)の位置にあり、当該正方形区域の右上端が当該緯度/経度座標系においてUR=(URx,URy)の位置にあるとする。この正方形区域を、その分割数が例えば「N」である上記メッシュの座標系に変換(プロット)する場合について説明する。
【0064】
上記の座標を有する正方形区域の一辺の長さ(距離)をdとすると、上記緯度/経度座標系におけるその値は、概念的に以下の式により算出される。
【0065】
d=(正方形区域の左下端と右上端との距離)/√2
=|LL-UR|/√2
一方、その緯度/経度座標系における正方形区域の中心Cの座標(cx,cy)は、概念的に以下の式により算出される。
【0066】
C(cx,cy)=LL+UR/2
そして、上記緯度/経度座標軸から上記メッシュの座標系への座標変換Tは、下記式(1)に示す並進行列をT1とし、下記式(2)に示す拡大行列をMとし、下記式(3)に示す並進行列をT2とすると、概念的に以下の式により表現される。
【0067】
T=T2×M×T1
【数1】
【0068】
【数2】
【0069】
【数3】
【0070】
従って、上記緯度/経度座標系における頂点pがあるとすると、その座標を上記メッシュの座標p’に変換する場合は、以下の式により座標変換を行えばよいことになる。
【0071】
p’=T×p
従って、上記の座標変換Tを上記正方形区域に対応する地図上の領域の各頂点の位置を示す座標pに施すことで、上記ステップS602としての座標変換処理が可能となる。
【0072】
次に表示制御部6は、上記正方形区域の各メッシュの座標について、いわゆる「クロージング処理」を複数回施して各メッシュの座標を連結する(ステップS603)。このステップS603の処理が実行された結果としては、概念上、例えば図13(b)にハッチングにて例示する図形が得られる。次に表示制御部6は、上記クロージング処理に続けていわゆる「オープニング処理」を一回施し、到達圏図形としてのノイズを除去する(ステップS604)。このステップS604の処理が実行された結果としては、概念上、例えば図14(a)にハッチングにて例示する図形が得られる。
【0073】
その後表示制御部6は、到達圏図形に対してその輪郭抽出処理を行い(ステップS605)、更にその輪郭の平滑化処理を行う(ステップS606)。以上のステップS606までが終了した結果、図14(b)に例示するような到達圏図形Rが得られることになる。
【0074】
そして、上記ステップS60により生成された到達圏図形と上記ステップS61により生成された到達圏画像とを比較すると、それぞれの所要時間Tc分(ステップS60の場合)及び所要時間Tc/2分(ステップS61の場合)が異なることから、図15にそれぞれ例示するように、車両の現在位置PSを中心として、異なる広さの到達圏図形R1(図15(a)参照。ステップS60に対応。)又は到達圏図形R2(図15(b)参照。ステップS61に対応。)がそれぞれディスプレイ13上に表示されることになる。なお以下の
説明において到達圏図形R1及び到達圏図形R2等に共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「到達圏図形R」と称する。
【0075】
最後に、実施例に係る施設検索処理が実行された結果としてディスプレイ13に表示される到達圏図形等について、複数の例を具体的に図16及び図17を用いて説明する。
【0076】
先ず、例えば施設の種別として「ショッピングモール・スーパー」を、所望する施設数として「20」を、それぞれ上記ステップS0で入力した場合、これに基づいて実施例に係る施設検索処理を実行した場合には、図16(a)に例示するような到達圏図形R1が、現在位置PS及び施設マークFと共にディスプレイ13に表示される。この場合、施設マークFにより示される施設が上記「ショッピングモール・スーパー」に該当する施設であり、図16(a)の例では、最大所要時間は20分とされている。また施設マークFにより、その施設の位置が施設データとして表示される。なおこのとき、地図データから読み出した例えば施設の名称等をその施設の位置又はいわゆる「吹き出し」の態様で同時に表示するように構成することができる。なお、到達圏Rの外にも到達済み施設が表示されているのは、上記最大所要時間の更新にあたって上記所定時間αを見込んで更新することに起因するものである。
【0077】
また、異なる現在位置を起点に同じ条件で検索すると、例えば図16(b)に例示するように、同じ最大所要時間が20分でも22個の施設が、到達圏図形R2と共に検索/表示されている。
【0078】
一方、例えば施設の種別として「水族館」を、所望する施設数として「5」を、それぞれ上記ステップS0で入力した場合、これに基づいて実施例に係る施設検索処理を実行した場合には、図17(a)に例示するような広い到達圏図形R3が現在位置PS及び施設マークFと共にディスプレイ13に表示される。この場合、施設マークFにより示される施設が上記「水族館」に該当する施設であり、図17(a)の例では、最大所要時間は60分とされている。
【0079】
また、同じ条件で異なる現在位置で検索すると、例えば図17(b)に例示するように、同じ最大所要時間が60分でも3個の施設しか検索されなかったため、これらが到達圏図形R4と共に表示されている。
【0080】
以上説明したように、実施例に係るナビゲーション装置NVにおける施設検索処理によれば、例えば現在位置等の既定の起点に対応した地図上の区画A内にある施設に対応する施設データを取得すると共に、その施設に最も近いリンクのリンクデータを取得し、起点から各施設までの移動の所要時間t(L_j)をそのリンクデータに基づいて検出する。そして、入力された検索対象の施設の数だけ到達済み施設が抽出されるまで、所要時間t(L_j)が短い順に当該到達済み施設の抽出を繰り返し、当該抽出された到達済み施設に対応する施設データを表示させる。更に、抽出された到達済み施設の所要時間t(L_j)のうち最も長い時間に基づく時間に、最大所要時間を更新する。よって、検索対象たる施設の数及びその属性等を一度入力するのみで、その数に対応した到達済み施設の施設データを表示させることができる。また、検索対象の施設の数だけ抽出されるまで到達済み施設の抽出が繰り返されるので、例えば手動により条件を設定し直して再検索を行う必要がなく、迅速且つ簡便に必要数の施設データを表示させることができる。
【0081】
従って、簡易且つ少ない数の操作で必要な数の施設を検索して、その施設データを表示させることができる。
【0082】
また、到達済み施設の抽出数が検索対象たる施設の数未満であるとき、施設データの取得、リンクデータの取得、所要時間t(L_j)の検出及び到達済み施設の抽出が、対象の区画Aを広げながら繰り返されるので、検索対象たる施設の数等を一度入力するのみで、その数に対応した到達済み施設の施設データを確実に表示させることができる。
【0083】
更に、到達済み施設の抽出数が、入力された検索対象の施設の数となったとき、各到達済み施設を含む到達圏を示す到達圏図形Rと、到達済み施設に対応する施設データと、をディスプレイ13に表示させる(図16及び図17参照)。よって、到達済み施設の施設データと共に到達圏図形Rが表示されるので、両者及びそれらの相互関係を同時且つ容易に認識することができる。
【0084】
更にまた、到達済み施設の外縁に相当する所要時間tを、到達済み施設の抽出が完了した際の最大所要時間と、当該最大所要時間の更新幅に相当する所定時間αと、に関連した所要時間として到達圏図形Rが生成されるので、使用者に対して認識し易い態様で到達圏図形Rを施設データと共に表示することができる。
【0085】
また検出された所要時間t(L_j)のうち最も長い時間を最大所要時間として到達済み施設の抽出が行われるので、より正確な所要時間に基づいて到達済み施設の施設データを表示することができる。
【0086】
なお、上記起点の位置が移動される度に、移動後の起点に基づいた施設データの取得、リンクデータの取得、所要時間t(L_j)の検出、到達済み施設の抽出、及び最大所要時間の更新を行うように構成することで、起点が移動してもそれに対応して施設データ等を適切に表示することができる。
【0087】
また上述してきた実施例では、車両に搭載されたナビゲーション装置NVにおける施設検索処理に対して実施形態に係る施設検索処理を適用した場合について説明したが、これ以外に、例えば人が所持する携帯型情報端末装置による案内処理の一環としての施設検索処理を実行する場合に、実施形態に係る施設検索処理を適用することも可能である。またこの場合、検索対象たる施設の属性及び検索数を携帯型情報端末装置から入力し、それを例えばインターネット等のネットワークを介して固定設置されたサーバ装置において取得し、これらを用いて当該サーバ装置において実施例に係る施設検索処理を実行するように構成してもよい。このときの施設検索結果は、検索対象の施設の属性等が入力された携帯型情報端末装置に返信し、当該携帯型情報端末装置においてそれに対応する到達圏図形Rを表示するように構成するのが好ましいが、例えば予め定められた複数人が所持する携帯型情報端末装置にその施設検索結果を送信し、これらの者でその検索結果を共有するように構成することもできる。
【0088】
更に、上記携帯型情報端末装置とサーバ装置との関係は、例えば地図データが記録されていないナビゲーション装置が搭載されている車両が移動すべき経路等をサーバ装置において探索するシステムに置き換えることも可能である。この場合には、当該ナビゲーション装置において検索対象たる施設の属性等を入力し、その入力内容に基づいた施設検索処理をサーバ装置において実行し、その結果を元のナビゲーション装置に返信して対応する到達圏図形Rを表示させるのが好ましい。
【0089】
更にまた、図3乃至図7及び図10乃至図12にそれぞれ示したフローチャートに相当する施設検索用プログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部10として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 操作部
2 地物情報取得手段(インターフェース)
3 リンク情報取得手段
4 検出手段(検出部)
5 抽出手段(抽出部)
6 表示制御手段(表示制御部)
7 更新手段(更新部)
10 処理部
11 記録部
F 施設マーク
R、R1,R2、R3、R4 到達圏図形
L_min、L_j リンク
N_min、N_min、N_j ノード
A0、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12 区画
S 施設検索装置
NV ナビゲーション装置
図1
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