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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171394
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/844 20230101AFI20231124BHJP
   H10K 59/129 20230101ALI20231124BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20231124BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231124BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231124BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231124BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20231124BHJP
   F21Y 107/70 20160101ALN20231124BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K59/129
H10K59/131
G09F9/00 348A
G09F9/30 365
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21Y115:15
F21Y107:70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149787
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2022064927の分割
【原出願日】2016-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大峡 秀隆
(57)【要約】
【課題】フレキシブルな発光装置の耐久性を向上させる。
【解決手段】発光部140は、基板100の一方の面101に形成されている。また発光部140は、第1電極110、有機層120、および第2電極130を有する。被覆部材180は、発光部140を被覆する。集積回路300は、基板100の一方の面101に配置されている。また、集積回路300は、第1電極110および第2電極130の少なくとも一方と電気的に接続されている。保護部材400は、被覆部材180と集積回路300との間の領域105に位置する。また、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の面に形成され、第1電極、有機層、及び第2電極を有する発光部と、
前記発光部を被覆する被覆部材と、
前記一方の面に配置され、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と電気的に接続された集積回路と、
前記被覆部材と前記集積回路との間の領域に位置する保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記集積回路の前記基板とは反対側の第1面の全体を露出するように設けられている発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、電子装置および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は有機ELを利用した発光装置の開発が進んでいる。この発光装置は、照明装置や表示装置として使用されており、第1電極と第2電極の間に有機層を挟んだ構成を有している。そして、樹脂や薄いガラスの基板を用いた、フレキシブルな発光装置が開発されている。
【0003】
特許文献1には、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を、保護部材で覆うことにより、透明基板の大部分において強度の向上を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-27502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特にガラス基板を用いた場合、樹脂基板に比べて発光部の劣化因子の侵入が少ないため、発光部の寿命を長くすることができる一方、湾曲させた場合の耐久性が劣るという問題があった。基板を湾曲させた際、特に基板上に設けた集積回路と封止部材との間に応力が集中し、割れ等の原因になりやすかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、フレキシブルな発光装置の耐久性を向上させることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
基板と、
前記基板の一方の面に形成され、第1電極、有機層、及び第2電極を有する発光部と、
前記発光部を被覆する被覆部材と、
前記一方の面に配置され、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と電気的に接続された集積回路と、
前記被覆部材と前記集積回路との間の領域に位置する保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記集積回路の前記基板とは反対側の第1面の全体を露出するように設けられている発光装置である。
【0008】
第2の発明は、
第1の発明に係る発光装置を備え、
前記基板の少なくとも一部が湾曲している電子装置
である。
【0009】
第3の発明は、
基板の一方の面に、第1電極、有機層、及び第2電極を有する発光部を形成する工程と、
前記一方の面に前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と電気的に接続された集積回路を設ける工程と、
前記発光部を被覆部材で被覆する工程と、
前記被覆部材と前記集積回路との間の領域に保護部材を形成する工程と、を含み、
前記保護部材を形成する工程において、前記保護部材は、前記集積回路の前記基板とは反対側の第1面の全体を露出するように設けられる発光装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図2】実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図3図2から保護部材、集積回路、被覆部材および封止膜を取り除いた図である。
図4図3から第2電極を取り除いた図である。
図5図4から絶縁層、及び有機層を取り除いた図である。
図6】被覆部材および集積回路の位置関係の例を示す平面図である。
図7】被覆部材および集積回路の位置関係の例を示す平面図である。
図8】発光装置の変形例を示す断面図である。
図9】発光装置の変形例を示す断面図である。
図10】発光装置の変形例を示す断面図である。
図11】発光装置の変形例を示す断面図である。
図12】発光装置を備える電子装置の構成を示す断面図である。
図13図18から保護部材、被覆部材、および集積回路を取り除いた図である。
図14図13から隔壁、第2電極、有機層、及び絶縁層を取り除いた図である。
図15図13のB-B断面図である。
図16図13のC-C断面図である。
図17図13のD-D断面図である。
図18】実施例1に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、図2は、本実施形態に係る発光装置10の構成を示す平面図である。図1図2のA-A断面図である。
【0014】
本実施形態に係る発光装置10は、基板100、発光部140、被覆部材180、集積回路300、および保護部材400を備える。発光部140は、基板100の一方の面(以下「第1面」とも呼ぶ。)101に形成されている。また発光部140は、第1電極110、有機層120、および第2電極130を有する。被覆部材180は、発光部140を被覆する。集積回路300は、基板100の一方の面101に配置されている。また、集積回路300は、第1電極110および第2電極130の少なくとも一方と電気的に接続されている。保護部材400は、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に位置する。また、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられている。以下に詳しく説明する。
【0015】
発光装置10の基板100は、例えばガラスや透光性の樹脂などの透光性の材料で形成されている。ただし、発光装置10が後述のトップエミッション型である場合、基板100は透光性を有さない材料で形成されていてもよい。基板100は、例えば矩形などの多角形である。ここで、基板100は可撓性を有している。基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。特に基板100が可撓性を有するガラス基板である場合、基板100の厚さは、例えば200μm以下である。基板100を樹脂材料で可撓性を持たせる場合は、基板100の材料として、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを含ませて形成されている。また、基板100が樹脂材料を含む場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも発光面(好ましくは両面)に、SiNやSiONなどの無機バリア膜が形成されている。
【0016】
基板100には発光部140が形成されている。発光部140は、発光を生じさせるための構造、例えば有機EL素子を有している。この有機EL素子は、第1電極110、有機層120、及び第2電極130をこの順に積層させた構成を有している。
【0017】
図3から図5を参照して発光部140の構成について詳しく説明する。図3は、図2から保護部材400、集積回路300、被覆部材180および封止膜190を取り除いた図である。本図において、集積回路300および被覆部材180は破線で示している。図4は、図3から第2電極130を取り除いた図である。図5は、図4から絶縁層150、及び有機層120を取り除いた図である。
【0018】
第1電極110は、光透過性を有する透明電極である。透明電極を構成する透明導電材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。
【0019】
発光装置10はさらに絶縁層150を備える。絶縁層150は、発光部140を画定している。絶縁層150は例えばポリイミドなどの感光性の樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140となる部分を囲んでいる。第2電極130は、一部が絶縁層150上に位置している。また、基板100に垂直な方向から見た場合において、絶縁層150の一部は第2電極130からはみ出ている。
【0020】
第2電極130は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極130は遮光性を有している。第2電極130の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。ただし、第2電極130は、第1電極110の材料として例示した材料を用いて形成されていてもよい。第2電極130は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0021】
なお、上記した第1電極110及び第2電極130の材料は、基板100を光が透過する場合、すなわち発光装置10からの発光が基板100を透過して行われる場合(すなわちボトムエミッション型)の例である。他の場合として、基板100とは逆側を光が透過する場合がある。すなわち、発光装置10からの発光が基板100を透過しないで行われる場合(すなわちトップエミッション型)である。トップエミッション型では、逆積型と、順積型との2種類の積層構造のいずれかを採用できる。逆積型では、第1電極110の材料と第2電極130の材料はボトムエミッション型と逆になる。すなわち第1電極110の材料には上記した第2電極130の材料が用いられ、第2電極130の材料には上記した第1電極110の材料が用いられる。他方の順積型では、上記した第2電極130の材料の上に第1電極110の材料を形成し、更にその上に有機層120、さらにその上に薄く成膜した第2電極130を形成することで、基板100とは逆側から光を取出す構造である。なお、薄く成膜する材料は、例えば第2電極130の材料として例示した材料やMgAg合金などである。AlやAgで形成する場合は、第2電極130の厚さは、30nm以下であるのが好ましい。本実施形態にかかる発光装置10は、ボトムエミッション型、及び上記した2種類のトップエミッション型のいずれの構造であってもよい。
【0022】
有機層120は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層120は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層120の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0023】
発光部140は、封止膜190によって封止されている(図1参照)。封止膜190は、基板100のうち、少なくとも発光部140が形成されている面に形成されており、発光部140を覆っている。ただし、後述する第1端子112及び第2端子132は封止膜190で覆われていない。封止膜190は、例えば絶縁材料、さらに具体的には酸化アルミニウムや酸化チタンなどの無機材料によって形成される。また、封止膜190の厚さは、好ましくは300nm以下である。また封止膜190の厚さは、例えば50nm以上である。
【0024】
封止膜190は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて形成されている。この場合、封止膜190の段差被覆性は高くなる。またこの場合、封止膜190は、複数の層を積層した多層構造を有していてもよい。この場合、第1の材料(例えば酸化アルミニウム)からなる第1封止層と、第2の材料(例えば酸化チタン)からなる第2封止層とを繰り返し積層した構造を有していてもよい。最下層は第1封止層及び第2封止層のいずれであってもよい。また、最上層も第1封止層及び第2封止層のいずれであってもよい。また、封止膜190は第1の材料と第2の材料の混在する単層であってもよい。
【0025】
ただし、封止膜190は、他の成膜法、例えばCVD法やスパッタリング法を用いて形成されていてもよい。この場合、封止膜190は、SiO又はSiNなど絶縁膜によって形成されており、その膜厚は、例えば10nm以上1000nm以下である。
【0026】
また、封止膜190の上にはさらに封止膜190を保護するための被覆部材180が設けられている。被覆部材180は、エポキシ系又はアクリル系等の樹脂を用いて形成される。被覆部材180は、封止機能を有していても良いし、有していなくても良い。
【0027】
なお、被覆部材180は例えば透光性を有するガラス又は樹脂を用いて形成されてもよい。その場合、被覆部材180は、基板100と同様の多角形や円形であり、接着層を介して発光部140に固定されている。また、被覆部材180は中央に凹部を設けた形状を有していても良い。この場合、被覆部材180の縁は接着剤で基板100に固定される。これにより、被覆部材180と基板100で囲まれた空間は封止される。そして発光部140は、封止された空間の中に位置する。なお、封止膜190は設けられていなくても良い。
【0028】
また、被覆部材180で封止された空間には、乾燥剤が配置されていてもよい。乾燥剤は、例えばCaO,BaOなどの乾燥部材を含有している。たとえば乾燥剤は、被覆部材180の基板100に対向する面に固定される。
【0029】
また、発光装置10は、基板100の第1面101に形成され、第1電極110又は第2電極130と電気的に接続された端子部をさらに備える。そして端子部は、集積回路300と接続されている。本図の例では、発光装置10は、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134を備えている。第1端子112および第2端子132は、上記の端子部である。第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134は、いずれも基板100のうち発光部140と同一面に形成されている。第1端子112及び第2端子132は被覆部材180の外部に位置している。第1引出配線114は第1端子112と第1電極110とを接続しており、第2引出配線134は第2端子132と第2電極130とを接続している。言い換えると、第1引出配線114及び第2引出配線134は、いずれも被覆部材180の内側から外側に延在している。
【0030】
第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層を有している。また、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134の少なくとも一つの少なくとも一部は、この層の上に、第1電極110よりも低抵抗な金属膜(不図示)を有していてもよい。この金属膜は、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134のすべてに形成されている必要はない。第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134のうち第1電極110と同一の材料で形成された層は、第1電極110と同一工程で形成されている。このため、第1電極110は、第1端子112の少なくとも一部の層と一体になっている。またこれらが金属膜を有している場合、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134の光線透過率は、基板100の光線透過率よりも低くなる。
【0031】
図1に戻り、集積回路300は、基板100と対向する面に複数の電極305を備える。複数の電極305には、集積回路300の正極端子および負極端子が含まれる。そして、第1端子112および第2端子132と集積回路300の電極305とは、異方性導電性樹脂層310を介して電気的に接続されている。異方性導電性樹脂層310は、絶縁性の樹脂に複数の導電粒子を混ぜた構成を有している。導電粒子はたとえば金属粒子であるが、樹脂粒子などの絶縁性の粒子の表面に金などの金属を成膜したものであってもよい。そして、第1端子112が集積回路300の正極端子に接続され、第2端子132が集積回路300の負極端子に接続されることにより、第1端子112および第2端子132は集積回路300と通電可能となる。また、集積回路300は、異方性導電性樹脂層310を介して基板100に固定されている。
【0032】
発光装置10が複数の発光部140を備える場合、第1引出配線114及び第2引出配線134は一つの発光部140について一つずつ形成される。複数の第1引出配線114はいずれも同一の第1端子112に接続され、複数の第2引出配線134はいずれも同一の第2端子132に接続される。ただし、第1引出配線114及び第2引出配線134は複数の発光部140について一つ形成されてもよい。そして、第1引出配線114は一つの第1端子112について一つずつ接続され、第2引出配線134は一つの第2端子132について一つずつ接続されてもよい。
【0033】
集積回路300は、たとえば半導体集積回路(IC)であり、発光部140の制御回路として機能する。集積回路300は、第1面301とは反対側の第2面302が、基板100の第1面101に対向するよう固定されている。集積回路300の形状や大きさは特に限定されないが、たとえば、基板100の第1面101から、被覆部材180の基板100とは反対側の第1面181までの高さhは、基板100の第1面101から、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301までの高さhICより低くなっている。集積回路300は複数の電極305を備えており、上記した通り、第1電極110または第2電極130に接続された端子部(第1端子112,第2端子132)と電気的に接続されている。
【0034】
発光装置10は、複数の集積回路300を基板100の第1面101に備えていてもよい。その場合、保護部材400は、集積回路300と被覆部材180との間の領域にそれぞれ設けられる。
【0035】
保護部材400は、上記した通り、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に位置する。保護部材400は、少なくとも第1領域105の基板100の全体を覆っていることが好ましい。また、保護部材400は、さらに被覆部材180の基板100とは反対側の第1面181の少なくとも一部を覆っていてもよい。また、保護部材400は、第1領域105以外の基板100の一部をさらに覆っていてもよい。
【0036】
図6および図7は、被覆部材180および集積回路300の位置関係の例を示す平面図である。図6および図7を参照して第1領域105について説明する。本図の例において集積回路300のメインの部材(たとえばシリコン等の無機材料)および被覆部材180は基板に垂直な方向から見て矩形である。なお、集積回路300はメインの部材に加えリード等を備えていてもよい。第1領域105は、基板100に垂直な方向から見て、集積回路300の辺のうち被覆部材180と対向する部分304と、被覆部材180の辺のうち集積回路300と対抗する部分184とを対向2辺とする矩形の領域であるといえる。図6では、集積回路300の側面303の全体が被覆部材180の側面183に対向している例を示し、図7では、側面303の一部のみが被覆部材180の側面183に対向している例を示している。
【0037】
なお、図7のように側面303の一部のみが被覆部材180の側面183に対向している場合、保護部材400は第1領域105に加え、第2領域106の全体を覆っていることが好ましい。ここで、第2領域106は、第1領域105に隣接する矩形の領域である。また、第2領域106の一辺は、集積回路300の側面303に垂直な第1領域105の一辺であり、第2領域106の他の一辺は、集積回路300の一つの角から部分304の端部までを結ぶ線である。
【0038】
保護部材400はたとえば、エポキシ系またはアクリル系等の樹脂からなる。保護部材400は、基板100の第1面101に被覆部材180および集積回路300を固定した後に、樹脂材料を塗布し、固化させることによって形成することができる。保護部材400は、固化した状態において、適度な弾力性、柔軟性を有することが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る発光装置10では、基板100の第1面101のうち、上記のような第1領域105を保護部材400が覆っていることにより、基板100を湾曲させた場合に基板100の第1領域105に集中する応力を軽減し、基板100にクラック等が生じることを防ぐことができる。したがって、発光装置10の耐久性を向上させることができる。
【0040】
図1に戻り、保護部材400についてさらに説明する。保護部材400は、集積回路300の第1面301に垂直な少なくとも一つの側面303に接していることが好ましい。また、基板100の第1面101から集積回路300の第1面301までの高さをhICとしたとき、保護部材400は、集積回路300の側面303の内、基板100の第1面101からhIC/2の高さまでの領域を覆っていることがより好ましい。そうすれば、基板100を湾曲させた場合に基板100の第1領域105に集中する応力をより軽減し、発光装置10の耐久性を向上させることができる。
【0041】
一方で、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられている。そうすることにより、発光部140によって発光装置10全体としての厚さが、厚くなることを避けることができる。ここで、集積回路300の第1面301は、撥水性を有することが好ましい。具体的には、集積回路300の第1面301の、水に対する接触角は90°以上であることが好ましく、150°以上であることがより好ましい。たとえば、集積回路300の表面を撥水処理したり、撥水性のコートを施したりすることで、第1面301に撥水性を付与することができる。そうすれば、保護部材400を塗布法によって形成する際に、集積回路300の第1面301が樹脂材料をはじく。したがって、第1面301が保護部材400に覆われるのを防ぎつつ効率よく発光装置10を製造できる。なお、集積回路300の側面303は撥水性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0042】
なお、保護部材400は、第1領域105の全体において基板100の第1面101と接していることが好ましい。ただし、第1領域105において、基板100の第1面101に被覆層等が形成されている場合は、保護部材400は基板100の第1面101と接していなくてもよい。
【0043】
図8から図11は、発光装置10の変形例を示す断面図である。図8から図11は、図1に相当する。図8の例では、保護部材400の表面は、発光装置10の第1面101とは反対側に向かって凸となっている。そして、保護部材400は被覆部材180の第1面181の少なくとも一部を覆っている。
【0044】
図9の例では、保護部材400の表面は、発光装置10の第1面101と反対側に向かって凹となっている。そして、保護部材400は、集積回路300の第1面301および被覆部材180の第1面181のいずれも覆っていない。
【0045】
図10の例では、保護部材400は、集積回路300の側面303のうち、一部のみを覆っている。そして、本図の例では、保護部材400は、集積回路300の側面303の内、基板100の第1面101からhIC/2の高さまでの領域を少なくとも覆っている。
【0046】
図11の例では、保護部材400は、被覆部材180の側面183のうち、一部のみを覆っている。また、保護部材400は、集積回路300の側面303のうち、一部のみを覆っている。本図の例では、保護部材400は、被覆部材180の側面183のうち、基板100の第1面101からh/2の高さまでの領域を少なくとも覆っており、集積回路300の側面303の内、基板100の第1面101からhIC/2の高さまでの領域を少なくとも覆っている。
【0047】
これらの変形例のように、保護部材400の形状は、保護部材400を形成する樹脂材料の粘性や塗布量、集積回路300および被覆部材180の表面の濡れ性等によって異なりうる。
【0048】
これらの変形例においても、基板100の第1面101のうち、上記のような第1領域105を保護部材400が覆っていることにより、基板100を湾曲させた場合に基板100の第1領域105に集中する応力を軽減し、基板100にクラック等が生じることを防ぐことができる。したがって、発光装置10の耐久性を向上させることができる。
【0049】
発光装置10の製造方法について以下に説明する。当該製造方法は、発光部140を形成する工程、基板100の第1面101に集積回路300を設ける工程、発光部140を被覆部材180で被覆する工程、および、保護部材400を形成する工程を含む。発光部140を形成する工程では、基板100の第1面101に、第1電極110、有機層120、及び第2電極130を有する発光部140を形成する。集積回路300を設ける工程では、集積回路300は第1電極110および第2電極130の少なくとも一方と電気的に接続される。保護部材400を形成する工程では、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に保護部材が形成される。また、保護部材400を形成する工程において、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられる。以下に詳しく説明する。
【0050】
まず、基板100の第1面101上に第1電極110を形成する。この工程において、第1端子112及び第2端子132も形成される。次いで、絶縁層150、有機層120、及び第2電極130をこの順に形成する(発光部140を形成する工程)。
【0051】
次いで、基板100の第1面101上の、第1端子112及び第2端子132を含む範囲であって、集積回路300を配置する範囲の上に異方性導電性樹脂層310を形成する。そして、異方性導電性樹脂層310を介して基板100の第1面101上に集積回路300を配置し、固定する。このとき、第1端子112及び第2端子132が複数の導電粒子を介して集積回路300の電極305に電気的に接続されるようにする(集積回路300を設ける工程)。なお、異方性導電性樹脂層310の基板100に平行な方向の導電性は低く、第1端子112と第2端子132とは短絡しない。
【0052】
次いで、発光部140を覆うように基板100の第1面101上に封止膜190および被覆部材180を形成する(被覆する工程)。
【0053】
次いで、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に保護部材400を形成するための樹脂材料を塗布し、固化させる(保護部材400を形成する工程)。樹脂材料は、たとえばディスペンサー等を用いて所望の領域にのみ塗布できる。
【0054】
なお、集積回路300を設ける工程の後、保護部材400を形成する工程の前には、集積回路300の少なくとも第1面301に対し、撥水処理を施す工程をさらに含んでもよい。そうすれば、集積回路300の第1面301が樹脂材料をはじくため、第1面301が保護部材400に覆われるのを防ぎつつ効率よく発光装置10を製造できる。
【0055】
発光装置10は、基板100が平坦な状態のみならず、基板100の少なくとも一部が湾曲している状態で用いることができる。また、発光装置10において、基板100は少なくとも一部が湾曲している状態で固定されていてもよい。
【0056】
図12は、発光装置10を備える電子装置50の構成を示す断面図である。電子装置50において、基板100の少なくとも一部は湾曲している。電子装置50は、固定部材510を備え、発光装置10は、基板100が湾曲した状態で固定部材510に固定されている。電子装置50はたとえば、広告板、携帯端末(ウェアラブル端末を含む)等である。
【0057】
以上、本実施形態によれば、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に保護部材400が設けられている。したがって、基板100を湾曲させた場合に基板100の第1領域105に集中する応力を軽減し、基板100にクラック等が生じることを防ぐことができる。よって、発光装置10の耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられている。したがって、発光部140により発光装置10全体としての厚さが厚くなることを避けることができる。
【0059】
(実施例1)
図18は、実施例1に係る発光装置10の構成を示す平面図である。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態に係る発光装置10と同じである。図13は、図18から保護部材400、被覆部材180、および集積回路300を取り除いた図である。本図において、被覆部材180および集積回路300を破線で示している。図14は、図13から隔壁170、第2電極130、有機層120、及び絶縁層150を取り除いた図である。図15図13のB-B断面図であり、図16図13のC-C断面図であり、図17図13のD-D断面図である。ただし、図15から図17において、封止膜190および被覆部材180は省略して示している。
【0060】
本実施例に係る発光装置10はディスプレイであり、基板100、第1電極110、発光部140、絶縁層150、複数の開口152、複数の開口154、複数の第1引出配線114、有機層120、第2電極130、複数の第2引出配線134、及び複数の隔壁170を有している。
【0061】
第1電極110は、第1方向(図13におけるY方向)にライン状に延在している。そして第1電極110の端部は、第1引出配線114に接続している。
【0062】
第1引出配線114は、第1電極110を第1端子112に接続する配線である。本図に示す例では、第1引出配線114の一端側は第1電極110に接続しており、第1引出配線114の他端側は第1端子112となっている。そして第1端子112の上及び第1引出配線114の上には、導体層182が形成されている。導体層182は、第1電極110よりも抵抗の低い金属、例えばAl又はAgを用いて形成されている。なお、第1引出配線114の一部は絶縁層150によって覆われている。
【0063】
絶縁層150は、図13、及び図15図17に示すように、複数の第1電極110上及びその間の領域に形成されている。絶縁層150には、複数の開口152及び複数の開口154が形成されている。複数の第2電極130は、第1電極110と交差する方向(例えば直交する方向:図13におけるX方向)に互いに平行に延在している。そして、複数の第2電極130の間には、詳細を後述する隔壁170が延在している。開口152は、平面視で第1電極110と第2電極130の交点に位置している。具体的には、複数の開口152は、第1電極110が延在する方向(図13におけるY方向)に並んでいる。また、複数の開口152は、第2電極130の延在方向(図13におけるX方向)にも並んでいる。このため、複数の開口152はマトリクスを構成するように配置されていることになる。
【0064】
開口154は、平面視で複数の第2電極130のそれぞれの一端側と重なる領域に位置している。また開口154は、開口152が構成するマトリクスの一辺に沿って配置されている。そしてこの一辺に沿う方向(例えば図13におけるY方向、すなわち第1電極110に沿う方向)で見た場合、開口154は、所定の間隔で配置されている。開口154からは、第2引出配線134の一部分が露出している。そして、第2引出配線134は、開口154を介して第2電極130に接続している。
【0065】
第2引出配線134は、第2電極130を第2端子132に接続する配線であり、第1電極110と同一の材料からなる層を有している。第2引出配線134の一端側は開口154の下に位置しており、第2引出配線134の他端側は、絶縁層150の外部に引き出されている。そして本図に示す例では、第2引出配線134の他端側が第2端子132となっている。なお、第2引出配線134の一部は絶縁層150によって覆われている。
【0066】
開口152と重なる領域には、有機層120が形成されている。有機層120の正孔注入層は第1電極110に接しており、有機層120の電子注入層は第2電極130に接している。このため、発光部140は、開口152と重なる領域それぞれに位置していることになる。
【0067】
なお、図15及び図16に示す例では、有機層120を構成する各層は、いずれも開口152の外側まではみ出している場合を示している。そして図13に示すように、有機層120は、隔壁170が延在する方向において、隣り合う開口152の間にも連続して形成されていてもよいし、連続して形成していなくてもよい。ただし、図17に示すように、有機層120は、開口154には形成されていない。
【0068】
第2電極130は、図13図15図17に示すように、第1方向と交わる第2方向(図13におけるX方向)に延在している。そして隣り合う第2電極130の間には、隔壁170が形成されている。隔壁170は、第2電極130と平行すなわち第2方向に延在している。隔壁170の下地は、例えば絶縁層150である。隔壁170は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。なお、隔壁170はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、二酸化珪素等の無機材料で構成されていても良い。
【0069】
隔壁170は、断面が台形の上下を逆にした形状(逆台形)になっている。すなわち隔壁170の上面の幅は、隔壁170の下面の幅よりも大きい。このため、隔壁170を第2電極130より前に形成しておくと、蒸着法やスパッタリング法を用いて、第2電極130を基板100の一面側に形成することで、複数の第2電極130を一括で形成することができる。また、隔壁170は、有機層120を分断する機能も有している。
【0070】
次に、本実施例における発光装置10の製造方法を説明する。本実施例に係る発光装置10の製造方法は、発光部140を形成する工程を除いて、実施形態に係る発光装置10の製造方法と同様である。まず、基板100上に第1電極110、第1引出配線114,および第2引出配線134を形成する。これらの形成方法は、実施形態において第1電極110を形成する方法と同様である。
【0071】
次いで、絶縁層150を形成し、さらに隔壁170を形成する。次いで有機層120及び第2電極130を形成する。
【0072】
そして、以降は、実施形態の方法と同様に、集積回路300を設ける工程、被覆する工程、および、保護部材400を形成する工程を行う。
【0073】
本実施例によれば、実施形態と同様に、被覆部材180と集積回路300との間の第1領域105に保護部材400が設けられている。したがって、基板100を湾曲させた場合に基板100の第1領域105に集中する応力を軽減し、基板100にクラック等が生じることを防ぐことができる。よって、発光装置10の耐久性を向上させることができる。
【0074】
また、保護部材400は、集積回路300の基板100とは反対側の第1面301の全体を露出するように設けられている。したがって、発光部140により発光装置10全体としての厚さが厚くなることを避けることができる。
【0075】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18