(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171418
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231124BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20231124BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20231124BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20231124BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231124BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
H10K50/00
H10K77/10
H10K50/842
H10K59/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023163068
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2021088362の分割
【原出願日】2013-05-03
(31)【優先権主張番号】P 2012107283
(32)【優先日】2012-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2012107284
(32)【優先日】2012-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2012108190
(32)【優先日】2012-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013044857
(32)【優先日】2013-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】江口 晋吾
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い発光装置を提供する。外部から物理的な力が与えられた際に、素子
が破壊されることを抑制する。または、FPCを圧着する工程において、フレキシブル基
板に接する樹脂や配線が熱によるダメージを受けることを抑制する。
【解決手段】有機EL素子を含むフレキシブルな発光装置における、変形に対して応力歪
みが発生しない中立面が、トランジスタ及び有機EL素子の双方の近傍に位置する構成と
する。または、発光装置の最表面の硬さが硬い構成とする。または、FPCと接続する端
子部と重なる基板に熱膨張率が10ppm/K以下の基板を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の可撓性基板の一方の面及び第2の可撓性基板の一方の面の間に、
平坦化層と、
前記平坦化層の一方の面側に設けられたトランジスタと、
前記平坦化層の他方の面に接して設けられ、前記トランジスタと電気的に接続する第1の電極、前記第1の電極上の発光性の有機化合物を含む層、及び前記発光性の有機化合物を含む層上の第2の電極を有する発光素子と、
前記第1の可撓性基板及び前記第2の可撓性基板を接着する接着層と、を備え、
前記第1の可撓性基板の他方の面から前記平坦化層の他方の面までの厚さAは、前記平坦化層の他方の面から前記第2の可撓性基板の他方の面までの厚さBの0.8倍以上1.2倍以下である発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと
も記す)現象を利用した発光装置、電子機器、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機ELを利用した発光素子(有機EL素子)の研究開発が盛んに行われている。
有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(EL層)
を挟んだものである。
【0003】
有機EL素子は自発光型であるため、有機EL素子を用いた発光装置は、視認性に優れ、
バックライトが不要であり、消費電力が少ない等の利点を有する。さらに、薄型軽量化で
きる、入力信号に高速に応答できる等の利点も有する。
【0004】
また、有機EL素子を用いた発光装置は、薄型軽量化に加え、可撓性(フレキシブル性)
や耐衝撃性が図れることから、可撓性を有する基板(フレキシブル基板)への採用が検討
されている。また、可撓性を有する基板への採用は、発光装置だけでなく、半導体特性を
利用することで動作する半導体装置等にも適用されている。
【0005】
例えば、特許文献1に、フィルム基板上に、スイッチング素子であるトランジスタや有機
EL素子を備えたフレキシブルなアクティブマトリクス型の発光装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、可撓性を有するフィルムからなる樹脂基板上に有機EL素子が担
持された有機EL表示パネルと、該樹脂基板の表面を覆う無機バリア膜と、該有機EL表
示パネルを囲繞する樹脂封止膜と、を備える有機EL表示装置が開示されている。
【0007】
また、フレキシブル基板を用いた半導体装置の作製方法としては、ガラス基板や石英基板
といった基材上に薄膜トランジスタなどの半導体素子を作製した後、該基材から他の基材
(例えばフレキシブルな基材)へと該半導体素子を転置する技術が開発されている。半導
体素子を他の基材へ転置するためには、半導体素子を作製する際に用いた基材から半導体
素子を分離する工程が必要である。
【0008】
例えば、特許文献3には、次のようなレーザーアブレーションを用いた剥離技術が記載さ
れている。まず、基板上に非晶質シリコンなどからなる分離層を設け、分離層上に薄膜素
子を含む被剥離層を設け、被剥離層を、接着層により転写体に接着させる。そして、レー
ザ光の照射により分離層をアブレーションさせることで、分離層において剥離を生じさせ
る。
【0009】
また、特許文献1には、人の手などの物理的な力で剥離を行う技術が記載されている。特
許文献1では、基板と酸化物層との間に金属層を形成し、酸化物層と金属層との界面の結
合が弱いことを利用して、酸化物層と金属層との界面で剥離を生じさせることで、被剥離
層と基板とを分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003-174153号公報
【特許文献2】国際公開第2006/046679号パンフレット
【特許文献3】特開平10-125931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、可撓性を有する基板を用いた発光装置では、曲げ、湾曲等の物理的な力を外部か
ら与えたときに、トランジスタや有機EL素子に応力がかかり、これら素子が破壊されて
しまう場合がある。
【0012】
トランジスタ又は有機EL素子のいずれか一方でも破壊されてしまうと、発光装置の表示
には不具合が生じる。
【0013】
したがって、本発明の一態様は、外部から物理的な力が与えられた際に、トランジスタ又
は有機EL素子が破壊されることを抑制した、信頼性の高い発光装置を提供することを目
的の一とする。
【0014】
また、特許文献2に記載された構成では、樹脂封止膜の表面から機械的な圧力が局所的に
加わると、有機EL素子が破壊されてしまう恐れがある。
【0015】
また、特許文献2に記載された構成において、機械的強度を高めるために樹脂封止膜を厚
く形成すると以下のような問題点がある。一つには、機械的強度を十分に高めるように樹
脂封止膜を厚く形成すると、装置全体が厚くなってしまいフレキシブル性が損なわれてし
まう。また一つには、樹脂封止膜が厚くなると当該樹脂封止膜の収縮に伴う応力により、
装置全体がカールしてしまう。
【0016】
したがって、本発明の一態様は、高いフレキシブル性と高い機械的強度を兼ね備えた発光
装置を提供することを目的の一とする。
【0017】
また、フレキシブル基板上に形成された発光装置の実装において、異方導電フィルムを介
してコネクタ(FPC:Flexible printed circuit)等を熱圧
着によって端子電極に貼り付けて導通をとる。この熱圧着工程において、フレキシブル基
板自体、又は該基板に設けられた樹脂や配線が熱によるダメージを受けた結果、発光装置
の表示に不具合が生じる場合がある。フレキシブル基板が柔軟性を持っているため加熱変
形によって樹脂や配線にクラックが発生するからである。
【0018】
したがって、本発明の一態様は、配線にクラックが生じることなく、FPCを圧着によっ
て貼り付けて端子電極と導通を取ることのできる発光装置を提供することを目的の一とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様の発光装置は、一対の可撓性基板の間に、平坦化層、該平坦化層の一方の
面側に設けられたトランジスタ、該平坦化層の他方の面に接して設けられた有機EL素子
、及び一対の可撓性基板を接着する接着層を有する。本発明の一態様の発光装置では、発
光装置の一方の面から、平坦化層の他方の面までの厚さ(トランジスタを含む側の厚さ)
と、平坦化層の他方の面から、発光装置の他方の面までの厚さの差が小さくなるように各
層が設けられているため、外部から物理的な力が与えられたときにトランジスタにかかる
応力と有機EL素子にかかる応力との差が小さい。なお、本明細書中では、CがAとBを
接着する場合、AとBがそれぞれCと接する構成だけでなく、A上のDや、B上のEがC
と接することで、AとBが貼り合わされている構成も含む。
【0020】
また、発光装置における、曲げなどの変形に対して圧縮応力や引張応力などの応力歪みが
発生しない中立面(伸び縮みしない面)が、平坦化層内、トランジスタ内、又は有機EL
素子内等、トランジスタ及び有機EL素子の双方の近傍に位置する。よって、トランジス
タや有機EL素子にかかる応力の値をそれぞれ小さくできる。したがって、トランジスタ
及び/又は有機EL素子が、曲げや湾曲により破壊されることを抑制できる。したがって
、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0021】
本明細書等において、基板や平坦化層における一方の面と他方の面は、互いに対向する面
を指す。
【0022】
具体的には、本発明の一態様の発光装置は、第1の可撓性基板の一方の面及び第2の可撓
性基板の一方の面の間に、平坦化層と、平坦化層の一方の面側に設けられたトランジスタ
と、平坦化層の他方の面に接して設けられ、トランジスタと電気的に接続する第1の電極
、第1の電極上の発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上の第
2の電極を有する発光素子と、第1の可撓性基板及び第2の可撓性基板を接着する接着層
と、を備え、第1の可撓性基板の他方の面から平坦化層の他方の面までの距離である厚さ
Aは、平坦化層の他方の面から第2の可撓性基板の他方の面までの距離である厚さBの0
.8倍以上1.2倍以下である。つまり、第1の可撓性基板の他方の面から平坦化層と接
着層の界面までの距離である厚さAは、平坦化層と接着層の界面から第2の可撓性基板の
他方の面までの距離である厚さBの0.8倍以上1.2倍以下である。
【0023】
上記発光装置において、厚さAが、厚さBの0.9倍以上1.1倍以下であると、より好
ましい。
【0024】
また、本発明の一態様の発光装置は、第1の可撓性基板の一方の面及び第2の可撓性基板
の一方の面の間に、平坦化層と、平坦化層の一方の面側に設けられたトランジスタと、平
坦化層の他方の面に接して設けられ、トランジスタと電気的に接続する第1の電極、第1
の電極上の発光性の有機化合物を含む層、及び発光性の有機化合物を含む層上の第2の電
極を有する発光素子と、第1の可撓性基板及び第2の可撓性基板を接着する接着層と、を
備え、平坦化層の他方の面から第2の可撓性基板の他方の面までの距離である厚さBは、
第1の可撓性基板の他方の面から平坦化層の他方の面までの距離である厚さAの0.8倍
以上1.2倍以下である。
【0025】
上記発光装置において、厚さBが、厚さAの0.9倍以上1.1倍以下であると、より好
ましい。
【0026】
耐えられる応力の大きさが小さい素子は、中立面に近い位置に設けることが特に好ましい
。これにより、外部から物理的な力が与えられたときに素子にかかる応力を低減すること
ができる。したがって、上記発光装置において、平坦化層は、トランジスタと接すること
が好ましい。
【0027】
本発明の一態様の発光装置は、可撓性を有し、絶縁表面上に設けられ、一対の電極間に発
光性の有機化合物を含む層が挟持された発光素子と、発光素子を覆う第1の保護層と、第
1の保護層上に設けられた第2の保護層と、を備える。また、第1の保護層は、厚さが0
.1μm以上100μm未満であり、第2の保護層は、少なくとも発光素子と対向しない
表面の硬さが、第1の保護層の表面よりも硬いことが好ましい。
【0028】
ここで、第1の保護層の表面は第2の保護層の表面よりも柔らかいため、第2の保護層側
から機械的な圧力が局所的に加わった場合や、発光装置を湾曲させた場合に、発光素子に
かかる応力を緩和することができる(このような効果をクッション効果ともよぶ。)。な
お、第1の保護層が0.1μm未満である場合には、当該応力を十分に緩和しきれずに、
発光素子が破壊する恐れがある。一方、第1の保護層が100μm以上である場合には、
発光装置のフレキシブル性が損なわれてしまう、又は発光装置がカールしてしまう恐れが
ある。
【0029】
また、素子層(発光素子等を含む)と重なる領域と素子層が設けられていない領域では第
1の保護層の厚さが異なる場合がある。また素子層の上面が平坦でない場合にも、同様に
第1の保護層の厚さは一定とはならない。したがって、第1の保護層の厚さは、その最も
薄い箇所の厚さが上述の厚さの範囲内であればよい。
【0030】
このように、第1の保護層が十分に薄く形成されているため、発光素子への応力を緩和し
つつ、発光装置全体として高いフレキシブル性を備えることができる。また第1の保護層
をこのように薄く形成したとしても、発光装置の最表面に設けられた、少なくとも表面の
硬い第2の保護層により、外部からの機械的な圧力によって発光素子が破壊されてしまう
ことが抑制され、高いフレキシブル性と高い機械的強度を備えた発光装置とすることがで
きる。
【0031】
また、本発明の他の一態様の発光装置は、可撓性を有し、一対の電極間に発光性の有機化
合物を含む層が挟持された発光素子と、発光素子を間に挟持した第1の保護層及び第3の
保護層と、第1の保護層の発光素子と対向しない面上に設けられた第2の保護層と、第3
の保護層の発光素子と対向しない面上に設けられた第4の保護層と、を備える。また、第
1の保護層及び第3の保護層は、厚さが0.1μm以上100μm未満である。さらに、
第2の保護層は、少なくとも発光素子と対向しない表面の硬さが、第1の保護層の表面よ
りも硬く、第4の保護層は、少なくとも発光素子と対向しない表面の硬さが、第3の保護
層の表面よりも硬いことが好ましい。
【0032】
このような構成とすることにより、発光素子(を含む素子層)を両面から保護することが
できるため、より機械的強度が向上した発光装置とすることができる。
【0033】
またこのとき、上記第1の保護層と第3の保護層を同一材料から構成し、上記第2の保護
層と第4の保護層を同一材料から構成すると、材料を共通化できるため好ましい。
【0034】
また、上記いずれかの発光装置において、第1の保護層及び第2の保護層は、可視光に対
して透光性を有し、発光素子からの発光は、第1の保護層及び第2の保護層を介して射出
されることが好ましい。
【0035】
特に発光素子の形成面側に光を射出する上面射出(トップエミッション)構造の発光装置
の場合、発光面の機械的強度が低いと容易に発光素子が破壊してしまうため、上述の発光
装置の構成とすることで、フレキシブル性と高い機械的強度を兼ね備えた、信頼性の高い
トップエミッション構造の発光装置を実現できる。
【0036】
また、上記いずれかの発光装置において、発光素子と第2の保護層の間に、発光素子と重
なるカラーフィルタを備え、第1の保護層及び第2の保護層は、可視光に対して透光性を
有し、発光素子は、白色の発光を呈し、発光素子からの発光は、第1の保護層、カラーフ
ィルタ、及び第2の保護層を介して射出されることが好ましい。
【0037】
このような構成とすることにより、第2の保護層は発光素子だけでなくカラーフィルタの
保護層としても機能するため、カラーフィルタが破壊し光漏れが生じることを抑制できる
。
【0038】
また、上記いずれかの発光装置において、第2の保護層の表面に接して、光触媒作用を示
す材料を含む第5の保護層を備えることが好ましい。
【0039】
光触媒作用を示す材料の強い酸化作用により、発光装置の表面が有機物で汚れてしまうこ
とを抑制することができる。また、このような材料は超親水作用を示し、油性の汚れの定
着を防止することができ、流水などで容易に汚れを洗い流すことができる。したがって、
発光装置の表面に付着又は定着した有機物の汚れを拭き取るなど、機械的な圧力が与えら
れる頻度を低減でき、発光装置表面にキズが入ってしまう、又は発光素子が破壊してしま
うことなどの不具合を抑制できる。
【0040】
また、本発明の一態様は、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と一部
が重なる第3基板と、第3基板上の2以上の端子を有する端子部と、端子部が有する端子
に電気的に接続する発光素子と、第1基板と第2基板の間に発光素子を封止するように、
第1基板と第2基板を貼り合わせる接着層と、を有し、第3基板の熱膨張率(熱膨張係数
ともいう)が、10ppm/K以下である発光装置である。
【0041】
端子部にFPCを圧着するとき異方導電フィルムに加える熱で、端子部を有する基板に接
する樹脂や配線、又は該基板自体にクラックが入りやすい。本発明の一態様の発光装置に
おいて、第3基板の熱膨張率は10ppm/K以下と小さく、加熱による変形が少ないた
め、第3基板に接する樹脂や配線又は第3基板自体にクラックを入りにくくすることがで
きる。
【0042】
さらに、第3基板に可視光を透過しない基板を用いることができるため、第3基板が発光
素子と重ならないことが好ましい。このような構成とすることで、第1基板又は第2基板
の少なくとも一方に可視光に対する透光性を有する基板を用いればよいので、ボトムエミ
ッション構造(下面射出構造)、トップエミッション構造、デュアルエミッション構造(
両面射出構造)のいずれのパネルも容易に得ることが出来る。
【0043】
さらに、第1基板と第3基板が、端子部と重なるように貼り合わされ、第1基板と第3基
板とが貼り合わされた積層基板の熱膨張率Cと第2基板の熱膨張率Dの差の絶対値(|C
-D|)が、C又はDの10%以内であることが好ましい。
【0044】
第1基板と第3基板を貼り合わせた積層基板の熱膨張率と、第2基板の熱膨張率の差が、
該積層基板の熱膨張率又は第2基板の熱膨張率の10%以内であると、一方の方向に基板
を反りにくくすることができる。
【0045】
また、本発明の一態様は、第1の基板と、第1基板と対向する第2基板と、2以上の端子
を有する端子部と、端子部が有する端子に電気的に接続する発光素子と、第1基板と第2
基板の間に発光素子を封止するように、第1基板と第2基板を貼り合わせる接着層と、を
有し、端子部が、第1基板の第2基板と重ならない領域に設けられ、第1基板の熱膨張率
が、10ppm/K以下である発光装置である。
【0046】
本発明の一態様の発光装置において、第1基板の熱膨張率は10ppm/K以下と小さく
、加熱による変形が少ないため、第1基板に接する樹脂や配線、又は第1基板自体にクラ
ックを入りにくくすることができる。
【0047】
さらに、第1基板の熱膨張率Eと第2基板の熱膨張率Dの差の絶対値(|E-D|)が、
D又はEの10%以内であると好ましい。第1基板と第2基板の熱膨張率の差が、第1基
板又は第2基板の少なくとも一方の熱膨張率の10%以内であると、一方の方向に基板を
反りにくくすることができる。
【0048】
さらに、端子部にFPCが熱圧着された発光装置であることが好ましい。
【0049】
また、本発明の一態様は、上記発光装置を表示部に備えた電子機器である。上記発光装置
を適用することで、信頼性の高い電子機器を実現できる。
【0050】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示装置、もしくは光源(照明装置含む)
をいう。また、発光装置にコネクタ、例えばFPCもしくはTCP(Tape Carr
ier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が
設けられたモジュール、又は発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Gl
ass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含む
ものとする。
【発明の効果】
【0051】
本発明の一態様の発光装置では、外部から物理的な力が与えられたときにトランジスタに
かかる応力と有機EL素子にかかる応力との差が小さく、その応力の値も小さい。したが
って、トランジスタ又は有機EL素子が、曲げや湾曲により破壊されることを抑制した、
信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0052】
また、本発明の一態様では、フレキシブル性と高い機械的強度を兼ね備えた発光装置を提
供できる。
【0053】
また、本発明の一態様では、FPC端子電極周辺においてフレキシブル基板に接する樹脂
や配線、又は該基板自体にクラックが入ることが抑制された発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図5】本発明の一態様の発光装置の作製方法を示す図。
【
図6】本発明の一態様の発光装置の作製方法を示す図。
【
図16】本発明の一態様の発光装置の作製方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0056】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭
化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0057】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0058】
本発明の一態様の発光装置の概略図を
図1に示す。
図1に示す発光装置は、第1の可撓性
基板101の一方の面及び第2の可撓性基板111の一方の面の間に、平坦化層105と
、平坦化層105の一方の面側に設けられたトランジスタ103と、平坦化層105の他
方の面側に設けられた有機EL素子107と、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性
基板111をトランジスタ103、平坦化層105、及び有機EL素子107を挟持して
接着する接着層109と、を備える。有機EL素子107は、平坦化層105の他方の面
に接して設けられ、トランジスタ103と電気的に接続する第1の電極171、第1の電
極171上の発光性の有機化合物を含む層(EL層)173、及びEL層173上の第2
の電極175を有する。
【0059】
図1に示す発光装置において、第1の可撓性基板101の他方の面から平坦化層105の
他方の面までの距離を、厚さAとして示す。
図1に示す発光装置において、平坦化層10
5の他方の面から第2の可撓性基板111の他方の面までの距離を、厚さBとして示す。
つまり、厚さAは、第1の可撓性基板101の他方の面から平坦化層105と接着層10
9の界面までの距離を示し、厚さBは、平坦化層105と接着層109の界面から第2の
可撓性基板111の他方の面までの距離を示す。
【0060】
本発明の一態様の発光装置では、厚さAが、厚さBの0.8倍以上1.2倍以下(好まし
くは、0.9倍以上1.1倍以下)である、又は、厚さBが、厚さAの0.8倍以上1.
2倍以下(好ましくは、0.9倍以上1.1倍以下)である。
【0061】
本発明の一態様の発光装置では、厚さA(トランジスタ103を含む側の厚さ)と厚さB
(有機EL素子107を含む側の厚さ)の差が小さくなるように各層が設けられているた
め、外部から物理的な力が与えられたときにトランジスタ103にかかる応力と有機EL
素子107にかかる応力との差が小さい。
【0062】
また、発光装置における、曲げなどの変形に対して圧縮応力や引張応力などの応力歪みが
発生しない中立面(伸び縮みしない面)が、平坦化層105内、トランジスタ103内、
又は有機EL素子107内等、トランジスタ103及び有機EL素子107の双方の近傍
に位置する。よって、トランジスタ103や有機EL素子107にかかる応力の値をそれ
ぞれ小さくできる。したがって、トランジスタ103及び/又は有機EL素子107が曲
げや湾曲により破壊されることを抑制でき、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0063】
中立面から離れた位置にある素子ほど、かかる圧縮応力又は引張応力の大きさは大きくな
る。耐えられる応力の大きさが小さい素子は、中立面に近い位置に設けることが特に好ま
しい。これにより、外部から物理的な力が与えられたときに該素子にかかる応力を低減す
ることができる。したがって、本発明の一態様の発光装置において、平坦化層105は、
トランジスタ103と接することが好ましい。
【0064】
本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、本実施の形態
の発光装置の各構成要素は、後述する実施の形態にて例示する、同様の構成要素に用いる
ことができる材料も適用可能である。
【0065】
[可撓性基板]
第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111には、可撓性を有する材料を用いる
。特に、有機EL素子107からの発光を取り出す側の基板には、可撓性に加え、可視光
に対する透光性(以下、透光性と記す)も有する材料を用いる。
【0066】
可撓性及び透光性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂
、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、熱膨
張率の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹
脂、PET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプ
レグともいう)や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張率を下げた基板を使用するこ
ともできる。
【0067】
可撓性及び透光性を有する材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物又は
無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率又はヤング率
の高い繊維のことをいい、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル
系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレン
ベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、又は炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維とし
ては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。こ
れらは、織布又は不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構
造物を可撓性基板として用いてもよい。可撓性基板として、繊維体と樹脂からなる構造物
を用いると、曲げや局所的押圧による破壊に対する信頼性が向上するため、好ましい。
【0068】
光の取り出し効率向上のためには、可撓性及び透光性を有する材料の屈折率は高い方が好
ましい。例えば、有機樹脂に屈折率の高い無機フィラーを分散させることで、該有機樹脂
のみからなる基板よりも屈折率の高い基板を実現できる。特に粒子径40nm以下の小さ
な無機フィラーを使用すると、光学的な透明性を失わないため、好ましい。
【0069】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げ
た基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板の厚さは、可撓性や曲げ性を
得るために、10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下である
ことが好ましい。金属基板は熱導電性が高いため、有機EL素子の発光に伴う発熱を効果
的に放熱することができる。
【0070】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッ
ケル、又は、アルミニウム合金もしくはステンレス等の金属の合金などを好適に用いるこ
とができる。
【0071】
可撓性基板としては、上記材料を用いた層が、発光装置の表面を傷などから保護するハー
ドコート層(例えば、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、ア
ラミド樹脂層など)等と積層されて構成されていてもよい。また、水分等による有機EL
素子の寿命の低下等を抑制するために、窒化シリコン、酸化窒化(酸窒化とも記す)シリ
コン等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム等の窒素とアルミニウムを含む膜等の
透水性の低い保護膜を備えていてもよい。
【0072】
[トランジスタ]
本発明の一態様の発光装置に用いるトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、ス
タガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、
トップゲート型又はボトムゲート型のトランジスタのいずれのトランジスタ構造としても
よい。また、トランジスタに用いる材料についても特に限定されない。例えば、シリコン
やゲルマニウム、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタを適用すること
ができる。
【0073】
[平坦化層]
平坦化層105は、トランジスタ103起因の表面凹凸を低減するために設ける絶縁膜で
ある。例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブ
テン系樹脂等の有機材料を用いることができる。また、低誘電率材料(low-k材料)
等を用いることができる。また、絶縁膜を複数積層させることで、平坦化層105を形成
してもよい。
【0074】
[有機EL素子]
本発明の一態様の発光装置に用いる有機EL素子の構造は特に限定されない。トップエミ
ッション構造の有機EL素子を用いてもよいし、ボトムエミッション構造の有機EL素子
を用いてもよいし、デュアルエミッション構造の有機EL素子を用いてもよい。有機EL
素子の構成例は、実施の形態7で詳述する。
【0075】
[接着層]
トップエミッション構造の有機EL素子を用いる場合、接着層109は、該有機EL素子
の光を透過する材料を用いて形成する。例えば、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応
硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることがで
きる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール
樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい
。例えば、上記接着剤に乾燥剤(ゼオライト等)を含んでいてもよい。これにより、有機
EL素子の劣化を抑制することができる。また、接着層は屈折率が高いことが好ましい。
例えば、屈折率の高いフィラー(酸化チタンや、ジルコニウム等)を混合することにより
、有機EL素子からの光取り出し効率を向上させることができる。
【0076】
ボトムエミッション構造の有機EL素子を用いる場合にも、トップエミッション構造の有
機EL素子を用いる場合と同様の材料を接着層109に用いることができる。ただし、接
着層109の透光性は問わない。
【0077】
<発光装置の構成例1>
図2に本発明の一態様を適用した発光装置の具体的な構成の一例を示す。
図2(A)に、
本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。
図2(A)に示す発光装置は、画素部450
2、信号線駆動回路4503a、信号線駆動回路4503b、走査線駆動回路4504a
、走査線駆動回路4504b、及びFPC4505を有する。
図2(B)に、
図2(A)
の一点鎖線C-D間の断面図を示す。
【0078】
図2(B)に示す発光装置は、第1の可撓性基板101の一方の面及び第2の可撓性基板
111の一方の面の間に、平坦化層105と、平坦化層105の一方の面側に設けられた
トランジスタ103と、平坦化層105の他方の面側に設けられた有機EL素子107と
、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111を接着する接着層109と、を備
える。
【0079】
第1の可撓性基板101の一方の面上には、下地膜121が設けられ、下地膜121上に
トランジスタ103が設けられている。トランジスタ103は、ゲート電極131、ゲー
ト絶縁膜133、半導体層135、並びにソース電極又はドレイン電極としてそれぞれ機
能する導電層137a、及び導電層137bを有する。
【0080】
トランジスタ103上には、トランジスタを覆う絶縁膜141及び平坦化層105が設け
られている。
【0081】
有機EL素子107は、導電層137bと電気的に接続された第1の電極171、EL層
173、及び第2の電極175を有する。第1の電極171の端部は、隔壁161で覆わ
れている。
【0082】
図2(B)では、第1の可撓性基板101の他方の面から平坦化層105の他方の面まで
の距離を、厚さAとして示す。
図2(B)では、平坦化層105の他方の面から第2の可
撓性基板111の他方の面までの距離を、厚さBとして示す。
【0083】
本発明の一態様の発光装置では、厚さAが、厚さBの0.8倍以上1.2倍以下(好まし
くは、0.9倍以上1.1倍以下)である、又は、厚さBが、厚さAの0.8倍以上1.
2倍以下(好ましくは、0.9倍以上1.1倍以下)である。そのため、外部から物理的
な力が与えられたときにトランジスタ103にかかる応力と有機EL素子107にかかる
応力との差が小さい。
【0084】
また、発光装置における、曲げなどの変形に対して圧縮応力や引張応力などの応力歪みが
発生しない中立面(伸び縮みしない面)が平坦化層105内、トランジスタ103内、又
は有機EL素子107内等、トランジスタ103及び有機EL素子107の双方の近傍に
位置する。よって、トランジスタ103や有機EL素子107にかかる応力の値をそれぞ
れ小さくできる。したがって、トランジスタ103及び/又は有機EL素子107が、曲
げや湾曲により破壊されることを抑制できる。したがって、信頼性の高い発光装置を実現
できる。
【0085】
図2に示す発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、可撓性基板等、先に
材料を例示した構成については、説明を省略する。
【0086】
[下地膜]
トランジスタ103の特性安定化等のため、下地膜121を設けることが好ましい。下地
膜121としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン
などの無機絶縁膜を用い、単層で又は積層して作製することができる。下地膜121はス
パッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等を用いて形成できる。例えば、ス
パッタリング法を用いて、膜厚10nm以上3000nm以下、好ましくは200nm以
上1500nm以下の酸化シリコン膜を形成すればよい。なお、下地膜121は、必要で
無ければ設けなくてもよい。
【0087】
[トランジスタ]
〈ゲート電極〉
ゲート電極131の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ア
ルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料
を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0088】
〈ゲート絶縁膜〉
ゲート絶縁膜133は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリ
コン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、又は酸化アルミニウムを単
層で又は積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH4、N2Oを
用いてプラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成すればよい。
【0089】
〈半導体層〉
半導体層135の材料は、シリコン半導体や酸化物半導体を用いて形成することができる
。半導体の結晶性については特に限定されず、非晶質半導体、又は結晶性を有する半導体
(微結晶半導体、多結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いて
もよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化が抑制されるため好
ましい。シリコン半導体としては、非晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン等
を用いることができ、酸化物半導体としては、In-Ga-Zn-O系金属酸化物等を用
いることができる。本発明の一態様に適用できる酸化物半導体については、実施の形態8
にて説明する。
【0090】
〈ソース電極、ドレイン電極〉
ソース電極又はドレイン電極としてそれぞれ機能する導電層137a及び導電層137b
は、例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン
から選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を含む金属窒化物膜(窒化チタン膜、
窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、アルミニウム
、銅などの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にチタン、モリブデン、タングステンな
どの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タ
ングステン膜)を積層させた構成としてもよい。
【0091】
また、導電層137a及び導電層137bは、導電性の金属酸化物で形成してもよい。導
電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3等)、酸化スズ(SnO2等)、
酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxid
e)、インジウム亜鉛酸化物(In2O3-ZnO等)、又はこれらの金属酸化物材料に
酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0092】
[絶縁膜]
絶縁膜141は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏す
る。絶縁膜141としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜
などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0093】
[隔壁]
隔壁161としては、有機絶縁材料又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹
脂材料を用い、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように
形成することが好ましい。
【0094】
また、接着層109と第2の電極175の間に、透湿性の低い封止膜が形成されていても
よい。透湿性の低い封止膜としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニ
ウム等を用いることができる。
【0095】
本実施の形態の発光装置は、外部から物理的な力が与えられたときにトランジスタにかか
る応力と有機EL素子にかかる応力との差が小さく、かつ、応力の値が小さい。したがっ
て、トランジスタ又は有機EL素子が、曲げや湾曲により破壊されることを抑制でき、信
頼性の高い発光装置を実現できる。
【0096】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0097】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について、
図3~
図6を用いて説明する。
【0098】
本実施の形態の発光装置は、作製基板上にトランジスタ等の素子を作製した後、作製基板
から可撓性基板へと該素子を転置する技術を用いて作製される。
【0099】
<発光装置の構成例2>
図3に本発明の一態様を適用した発光装置の具体的な構成の一例を示す。
図3(A)に、
本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。
図3(A)に示す発光装置は、画素部450
2、信号線駆動回路4503、走査線駆動回路4504、及びFPC4505を有する。
図3(B)に、
図3(A)の一点鎖線E-F間の断面図を示す。
【0100】
図3(B)に示す発光装置は、第1の可撓性基板101の一方の面及び第2の可撓性基板
111の一方の面の間に、平坦化層105と、平坦化層105の一方の面側に設けられた
トランジスタ103と、平坦化層105の他方の面側に設けられた有機EL素子107と
、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111を接着する接着層109と、を備
える。
【0101】
第1の可撓性基板101の一方の面と下地膜121は、接着剤層123で貼り合わされて
いる。下地膜121上には、複数のトランジスタ(トランジスタ103、トランジスタ1
43、トランジスタ145、及びトランジスタ147)が設けられている。
【0102】
また、複数のトランジスタを覆う絶縁膜141及び平坦化層105が設けられている。平
坦化層105は、第1の平坦化層151及び第2の平坦化層153の積層構造である。第
1の平坦化層151及び第2の平坦化層153の間には、トランジスタ103のソース電
極又はドレイン電極と、有機EL素子の下部電極とを電気的に接続する配線155が設け
られている。
【0103】
図3(B)では、ボトムエミッション構造の有機EL素子を示す。絶縁膜141上には、
有機EL素子107の発光領域と重なる領域に、カラーフィルタ157が設けられている
。有機EL素子の下部電極の端部は、隔壁161で覆われている。
【0104】
<発光装置の構成例3>
図4に本発明の一態様を適用した発光装置の具体的な構成の一例を示す。
図4(A)に、
本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。
図4(A)に示す発光装置は、画素部450
2、信号線駆動回路4503a、信号線駆動回路4503b、走査線駆動回路4504a
、走査線駆動回路4504b、及びFPC4505を有する。
図4(B)に、
図4(A)
の一点鎖線G-H間の断面図を示す。
【0105】
図4(B)に示す発光装置は、第1の可撓性基板101の一方の面及び第2の可撓性基板
111の一方の面の間に、平坦化層105と、平坦化層105の一方の面側に設けられた
トランジスタ103と、平坦化層105の他方の面側に設けられた有機EL素子107と
、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111を接着する接着層109と、を備
える。
【0106】
第1の可撓性基板101の一方の面と下地膜121は、接着剤層123で貼り合わされて
いる。下地膜121上には、複数のトランジスタ(トランジスタ103等)が設けられて
いる。
【0107】
また、複数のトランジスタを覆う絶縁膜141及び平坦化層105が設けられている。平
坦化層105上には、有機EL素子107の下部電極の端部を覆う隔壁161が設けられ
ている。
【0108】
図4(B)に示す発光装置では、さらに、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板
111の間隔(セルギャップともいう)を調整するスペーサや、有機EL素子の上部電極
と電気的に接続する補助配線を隔壁161と第2の可撓性基板111との間に設けてもよ
い。
【0109】
第2の可撓性基板111の一方の面と、下地膜185は、接着剤層187で貼り合わされ
ている。下地膜185上には、有機EL素子107の発光領域と重なる領域に設けられた
カラーフィルタ181と、隔壁161と重なる領域に設けられたブラックマトリクス18
3が存在する。
【0110】
図3(B)及び
図4(B)では、第1の可撓性基板101の他方の面から平坦化層105
の他方の面までの距離を、厚さAとして示し、平坦化層105の他方の面から第2の可撓
性基板111の他方の面までの距離を、厚さBとして示す。
【0111】
本発明の一態様の発光装置では、厚さAが、厚さBの0.8倍以上1.2倍以下(好まし
くは、0.9倍以上1.1倍以下)である、又は、厚さBが、厚さAの0.8倍以上1.
2倍以下(好ましくは、0.9倍以上1.1倍以下)である。そのため、外部から物理的
な力が与えられたときにトランジスタ103にかかる応力と有機EL素子107にかかる
応力との差が小さい。
【0112】
また、発光装置における、曲げなどの変形に対して圧縮応力や引張応力などの応力歪みが
発生しない中立面(伸び縮みしない面)が平坦化層105内、トランジスタ103内、又
は有機EL素子107内等、トランジスタ103及び有機EL素子107の双方の近傍に
位置する。よって、トランジスタ103や有機EL素子107にかかる応力の値をそれぞ
れ小さくできる。したがって、トランジスタ103及び/又は有機EL素子107が、曲
げや湾曲により破壊されることを抑制できる。したがって、信頼性の高い発光装置を実現
できる。
【0113】
図3及び
図4に示す発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、可撓性基板
等、先に材料を例示した構成については、説明を省略する。本実施の形態の発光装置の各
構成要素は、他の実施の形態にて例示する、同様の構成要素に用いることができる材料も
適用可能である。
【0114】
[接着剤層]
接着剤層123や接着剤層187に用いることができる材料としては、接着層109と同
様の材料を用いることができる。特に、発光素子の光を取り出す側に用いる材料は、屈折
率が高い材料であることが好ましい。
【0115】
[カラーフィルタ、ブラックマトリクス]
カラーフィルタは、有機EL素子からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白
色発光の発光素子を用いてフルカラーの発光装置とする場合には、それぞれ異なる色のカ
ラーフィルタと重なる複数の有機EL素子を用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)
、青色(B)の3色を用いてもよいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもでき
る。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソ
グラフィ法を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0116】
ブラックマトリクス(遮光膜とも記す)は、隣接するカラーフィルタの間に設けられてい
る。ブラックマトリクスは隣接する有機EL素子からの光を遮光し、隣接する有機EL素
子間における混色を抑制する。ここで、カラーフィルタの端部を、ブラックマトリクスと
重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクスは
、有機EL素子からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、有機樹脂などの
材料を用いて形成することができる。なお、ブラックマトリクスは、駆動回路部などの画
素部以外の領域に設けてもよい。
【0117】
また、
図4(B)に示す発光装置では、カラーフィルタ181及びブラックマトリクス1
83を覆うオーバーコートを設けてもよい。オーバーコートを設けることで、カラーフィ
ルタに含有された不純物等の有機EL素子への拡散を防止することができる。オーバーコ
ートは、有機EL素子からの発光を透過する材料から構成され、例えば窒化シリコン膜、
酸化シリコン膜等の無機絶縁膜や、アクリル膜、ポリイミド膜等の有機絶縁膜を用いるこ
とができ、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。
【0118】
なお、本実施の形態では、カラーフィルタ方式を用いた発光装置を例に説明したが、本発
明の構成はこれに限られない。例えば、塗り分け方式や、色変換方式を適用してもよい。
【0119】
[下地膜]
下地膜185は、下地膜121と同様の材料で形成することができる。下地膜185は不
要であれば設けなくてもよい。
【0120】
[配線]
配線155は、導電性の高い材料を用いれば良く、例えば、トランジスタの電極に用いる
ことができる材料等を用いることができる。
【0121】
隔壁161上のスペーサとしては、無機絶縁材料、有機絶縁材料、金属材料を用いて形成
することができる。例えば、有機絶縁材料としては、ネガ型やポジ型の感光性を有する樹
脂材料、非感光性の樹脂材料などを用いることができる。また、金属材料としては、チタ
ン、アルミニウムなどを用いることができる。
【0122】
【0123】
<発光装置の作製方法1>
図3に示した発光装置の作製方法について、
図5を用いて説明する。
【0124】
まず、作製基板501上に剥離層503を形成し、剥離層503上に被剥離層505を形
成する(
図5(A))。
【0125】
被剥離層505として形成する層に特に限定は無い。ここでは、被剥離層505として、
保護層、下地膜121、トランジスタ103、絶縁膜141、カラーフィルタ157、平
坦化層105、有機EL素子107の下部電極、隔壁161を順に形成する。被剥離層5
05として、さらに、有機EL素子107のEL層、上部電極、有機EL素子107を封
止する封止膜等を形成してもよい。また、被剥離層505として、保護層や下地膜121
のみを形成し、剥離、転置後に、トランジスタ103等を作製してもよい。
【0126】
作製基板501としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金
属基板などを用いることができる。
【0127】
また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス
、バリウムホウケイ酸ガラス等のガラス材料を用いることができる。後の加熱処理の温度
が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いるとよい。なお、酸化バリウム(B
aO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。他にも、結晶化ガラ
スなどを用いることができる。
【0128】
作製基板501にガラス基板を用いる場合、作製基板501と剥離層503との間に、酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜を
形成すると、ガラス基板からの汚染を防止でき、好ましい。
【0129】
剥離層503は、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コ
バルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジ
ウム、シリコンから選択された元素、該元素を含む合金材料、又は該元素を含む化合物材
料からなり、単層又は積層された層である。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質、微
結晶、多結晶のいずれでもよい。また、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛、二
酸化チタン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、及びInGa
ZnO(IGZO)等の金属酸化物のいずれかを用いてもよい。
【0130】
剥離層503は、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等により形成で
きる。なお、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
【0131】
剥離層503が単層構造の場合、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモ
リブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。また、タングステンの酸化物もし
くは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、又はタング
ステンとモリブデンの混合物の酸化物もしくは酸化窒化物を含む層を形成してもよい。な
お、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金
に相当する。
【0132】
また、剥離層503として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積
層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される
絶縁膜を形成することで、タングステン層と絶縁膜との界面に、タングステンの酸化物を
含む層が形成されることを活用してもよい。また、タングステンを含む層の表面を、熱酸
化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングス
テンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒素、
亜酸化窒素単体、あるいは該ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行ってもよい。
上記プラズマ処理や加熱処理により、剥離層503の表面状態を変えることにより、剥離
層503と後に形成される保護層との密着性を制御することが可能である。
【0133】
被剥離層505に含まれる保護層は、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シ
リコン等を用いて、単層又は多層で形成することが好ましい。
【0134】
保護層は、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等を用いて形成するこ
とが可能であり、例えば、プラズマCVD法によって成膜温度を250℃以上400℃以
下として形成することで、緻密で非常に透水性の低い膜とすることができる。なお、保護
層の厚さは10nm以上3000nm以下、さらには200nm以上1500nm以下が
好ましい。なお、下地膜121が保護層の機能を兼ねる場合は、保護層は設けなくてもよ
い。
【0135】
次に、被剥離層505と、仮支持基板507とを、剥離用接着剤509を用いて接着し、
剥離層503を用いて被剥離層505を作製基板501より剥離する。これにより、被剥
離層505は、仮支持基板507側に設けられる(
図5(B))。
【0136】
仮支持基板507としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、
金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を
有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いてもよい
。
【0137】
剥離用接着剤509としては、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照射により可塑化
させることが可能であるもののように、必要時に仮支持基板507と被剥離層505とを
化学的もしくは物理的に分離することが可能な接着剤を用いる。
【0138】
なお、仮支持基板への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離
層として、被剥離層と接する側に金属酸化膜を含む層を形成した場合は、当該金属酸化膜
を結晶化により脆弱化して、被剥離層を作製基板から剥離することができる。また、耐熱
性の高い作製基板と被剥離層の間に、剥離層として水素を含む非晶質珪素膜を形成した場
合は、非晶質珪素膜に対してレーザ光を照射する、又はエッチングにより当該非晶質珪素
膜を除去することで、被剥離層を作製基板から剥離することができる。また、剥離層とし
て、被剥離層と接する側に金属酸化膜を含む層を形成し、当該金属酸化膜を結晶化により
脆弱化し、さらに剥離層の一部を溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ガスを用
いたエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化膜において剥離することができる。
さらには、剥離層として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜
、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用い、剥離層にレーザ光を照射して剥離層内
に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ被剥離層と基板との剥離を促進する方
法を用いてもよい。
【0139】
又は、被剥離層が形成された作製基板を機械的に除去する、又は溶液やNF3、BrF3
、ClF3等のフッ化ガスによるエッチングで除去する方法等を用いることができる。こ
の場合、剥離層を設けなくともよい。
【0140】
また、上記剥離方法を複数組み合わせることでより容易に転置工程を行うことができる。
つまり、レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層のエッチング、鋭いナイフやメス
などを用い、剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械等に
よる)によって剥離を行うこともできる。
【0141】
また、剥離層と被剥離層との界面に液体を浸透させて作製基板から被剥離層を剥離しても
よい。また、剥離を行う際に水などの液体をかけながら剥離してもよい。
【0142】
その他の剥離方法としては、剥離層503をタングステンで形成した場合は、アンモニア
水と過酸化水素水の混合溶液により剥離層503をエッチングしながら剥離を行うとよい
。
【0143】
続いて、作製基板501から剥離され、露出した剥離層503又は保護層が露出した被剥
離層505に剥離用接着剤509とは異なる接着剤による接着剤層123を用いて第1の
可撓性基板101を接着する(
図5(C))。
【0144】
その後、剥離用接着剤509を溶解又は可塑化させて、仮支持基板507を取り除く。仮
支持基板507を取り除いたら、有機EL素子107の下部電極が露出するように剥離用
接着剤509を水や溶媒などで除去する(
図5(D))。
【0145】
以上により、トランジスタ103及び有機EL素子107の下部電極までが形成された被
剥離層505を第1の可撓性基板101上に作製することができる。
【0146】
その後、有機EL素子107のEL層、上部電極(それぞれ図示しない)を作製し、接着
層109を用いて第2の可撓性基板111を接着する(
図5(E))。
【0147】
最後に、異方性導電材で入出力端子部の各電極にFPC4505を貼り付ける。必要があ
ればICチップなどを実装させてもよい。
【0148】
以上により、
図3に示す発光装置を作製することができる。
【0149】
なお、作製基板と被剥離層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
例えば、作製基板501としてガラス基板を用い、ガラスに接してポリイミド等の有機樹
脂膜を形成し、有機樹脂膜上に保護層や下地膜、トランジスタ等を形成する。この場合、
有機樹脂膜を加熱することにより、作製基板501と有機樹脂膜の界面で剥離することが
できる。そして、有機樹脂膜と第1の可撓性基板101とを接着剤層123を用いて接着
すればよい。又は、作製基板と有機樹脂膜の間に金属層を設け、該金属層に電流を流すこ
とで該金属層を加熱し、金属層と有機樹脂膜の界面で剥離を行ってもよい。
【0150】
<発光装置の作製方法2>
図4に示した発光装置の作製方法について、
図6を用いて説明する。
【0151】
まず、作製基板501上に剥離層503を形成し、剥離層503上に被剥離層505を形
成する(
図6(A))。
【0152】
ここでは、被剥離層505として、保護層、下地膜121、トランジスタ103、絶縁膜
141、平坦化層105、有機EL素子107の下部電極、隔壁161、有機EL素子1
07のEL層、上部電極を順に形成する。さらに、有機EL素子107を封止する封止膜
を形成してもよい。
【0153】
また、作製基板551上に剥離層553を形成し、剥離層553上に被剥離層555を形
成する(
図6(B))。
【0154】
ここでは、被剥離層555として、下地膜185、ブラックマトリクス183、及びカラ
ーフィルタ181を順に形成する。剥離層553と下地膜185の間に、保護層を形成し
てもよい。
【0155】
次に、作製基板501及び作製基板551を、接着層109を用いて貼り合わせる(
図6
(C))。
【0156】
そして、剥離層503を用いて被剥離層505を作製基板501より剥離する。続いて、
作製基板501から剥離され、剥離層503又は保護層(もしくは下地膜121)が露出
した被剥離層505に接着剤層123を用いて第1の可撓性基板101を接着する(
図6
(D))。
【0157】
同様に、剥離層553を用いて被剥離層555を作製基板551より剥離する。続いて、
作製基板551から剥離され、剥離層553又は下地膜185が露出した被剥離層555
に接着剤層187を用いて第2の可撓性基板111を接着する(
図6(E))。
【0158】
最後に、異方性導電材で入出力端子部の各電極にFPC4505を貼り付ける。必要があ
ればICチップなどを実装させてもよい。
【0159】
以上により、
図4に示す発光装置を作製することができる。
【0160】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0161】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について
図7~
図9を用いて説明する。
【0162】
<発光装置の構成例4>
図7は、本実施の形態で例示する発光装置400の断面概略図である。
【0163】
発光装置400は、基板401上に設けられた発光素子410を含む素子層420と、素
子層420を覆う第1の保護層411と、第1の保護層411上に設けられた第2の保護
層412と、を有する。
【0164】
基板401は可撓性を有し、基板401の絶縁表面上に発光素子410が形成されている
。
【0165】
発光素子410は基板401上に第1の電極403、EL層405、第2の電極407が
順に積層された積層体である。EL層405は少なくとも発光性の有機化合物を含む。ま
た、第1の電極403及び第2の電極407のうち少なくとも一方はEL層405からの
発光に対して透光性を有する。EL層405を挟持する第1の電極403と第2の電極4
07の間に電圧を印加することにより、発光素子410を発光させることができる。
【0166】
ここで、発光素子410を含む層を素子層420とする。なお、後の実施の形態に例示す
るように、素子層420は少なくとも発光素子410を含み、発光素子410以外の構成
要素(例えばトランジスタや配線など)を含んでいてもよい。
【0167】
第1の保護層411は素子層420を保護するための層であり、素子層420を覆って設
けられる。第1の保護層411は、その厚さが0.1μm以上100μm未満である。
【0168】
ここで、素子層420と重なる領域と素子層420が設けられていない領域では第1の保
護層411の厚さが異なる場合がある。また素子層420の上面が平坦でない場合にも、
同様に第1の保護層411の厚さは一定とはならない。したがって、第1の保護層411
は、その最も薄い箇所の厚さが上述の厚さの範囲内であればよい。
【0169】
第2の保護層412は、第1の保護層411上に設けられる。第2の保護層412は、そ
の少なくとも素子層420と対向しない表面の硬さが、第1の保護層411の表面よりも
硬い。
【0170】
第2の保護層412の素子層420と対向しない表面の硬さとしては、例えばISO15
184で規定されるPencil Test(鉛筆硬度試験)において、H以上、好まし
くは2H以上、より好ましくは3H以上の硬度を有することが好ましい。
【0171】
なお、硬さの評価方法として鉛筆硬度試験を用いた場合に、第2の保護層412の素子層
420と対向しない表面と、第1の保護層411の硬さが同一レベルと判定されるときに
は、その他の硬度指標(例えば、ビッカーズ硬度(Vickers hardness)
や、ヌープ硬度(Knoop hardness)など)を用いて比較することができる
。
【0172】
ここで、第1の保護層411の表面は第2の保護層412の素子層420と対向しない表
面よりも柔らかいため、第2の保護層412側から機械的な圧力が局所的に加わった場合
や、発光装置400を湾曲させた場合に、素子層420にかかる応力を緩和することがで
きる。ここで、第1の保護層411が0.1μmよりも薄い場合には、当該応力を緩和し
きれずに、素子層420を構成する発光素子410(又はトランジスタや配線など)が破
壊する恐れがある。一方、第1の保護層411が100μm以上である場合には、発光装
置400のフレキシブル性が損なわれてしまう、又は発光装置400がカールしてしまう
恐れがある。
【0173】
このように、第1の保護層411が十分に薄く形成されているため、素子層420への応
力を緩和しつつ、発光装置400全体として高いフレキシブル性を備えることができる。
また第1の保護層411をこのように薄く形成したとしても、発光装置の最表面に設けら
れた、少なくとも素子層420と対向しない表面の硬い第2の保護層412により、外部
からの機械的な圧力によって素子層420を構成する発光素子410などの素子が破壊さ
れてしまうことが抑制され、高いフレキシブル性と高い機械的強度を備えた発光装置40
0を実現できる。
【0174】
なお、第1の保護層411と第2の保護層412の間に、他の保護層を設ける構成として
もよい。例えば、第1の保護層411として有機樹脂を用い、第1の保護層411上に薄
いフィルムなどを設け、当該フィルムの素子層420と対向しない表面に第2の保護層4
12として無機絶縁膜を形成する構成としてもよい。第1の保護層411と第2の保護層
412の間に他の保護層を設けると、発光装置400の機械的強度をさらに向上させるこ
とができる。
【0175】
<発光装置の構成例5>
また、発光素子410を備える素子層420の下層に、基板401に換えて第3の保護層
及び第4の保護層を設ける構成としてもよい。
【0176】
図8に示す発光装置450は、素子層420よりも下層の構成が構成例4で例示した発光
装置400と相違している。
【0177】
発光装置450は、素子層420が絶縁層409上に設けられ、絶縁層409を介して素
子層420よりも下層に第3の保護層413が設けられ、第3の保護層413よりも下層
に第4の保護層414が設けられている。
【0178】
第3の保護層413は、その厚さが0.1μm以上100μm未満である。また、第4の
保護層414は、その少なくとも下面(素子層420と対向しない面)の硬さが、第3の
保護層413の表面よりも硬い。
【0179】
第4の保護層414の下面の硬さとしては、例えば鉛筆硬度試験において、H以上、好ま
しくは2H以上、より好ましくは3H以上の硬度を有することが好ましい。
【0180】
このように、素子層420を第1の保護層411と第2の保護層412を含む積層体、及
び第3の保護層413と第4の保護層414を含む積層体で挟持する構成とすることによ
り、発光装置450のいずれの面からの圧力に対しても素子層420を構成する素子の破
壊を抑制できるため、機械的強度が向上した信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0181】
ここで、第3の保護層413は、第1の保護層411と同一材料で構成されていると、作
製時に用いる材料を共通化できるため好ましい。また同様に、第4の保護層414を第2
の保護層412と同一材料で構成することが好ましい。
【0182】
なお、第1の保護層411と第3の保護層413のそれぞれの厚さは異なっていてもよい
。特に、第1の保護層411は少なくとも素子層420を覆う程度の厚さが必要であるた
め、第3の保護層413よりも厚くなっていてもよい。
【0183】
また、第3の保護層413と第4の保護層414の間に、構成例4で例示したような他の
保護層を設け、発光装置450の機械的強度を向上させる構成としてもよい。
【0184】
<発光装置の構成例6>
ここで、第2の保護層412や第4の保護層414の最表面に、光触媒作用を発現する第
5の保護層を設ける構成としてもよい。特に、光取り出し側に当該第5の保護層を設ける
ことが好ましい。
【0185】
図9に示す発光装置460は、第2の保護層412の素子層420と対向しない表面に接
して、第5の保護層415が設けられている点で、
図7で例示した発光装置400と相違
している。
【0186】
第5の保護層415は、光触媒作用を発現する材料を含む。当該材料としては、例えば酸
化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。
【0187】
第5の保護層415は、スパッタリング法、ゾルゲル法、スピンコート法、ディップ法、
印刷法などを用いて形成することができる。
【0188】
第5の保護層415の強い酸化還元反応により、第5の保護層415の表面に付着した有
機物質を分解することができ、発光装置460の表面が皮脂などで汚れてしまうことを抑
制することができる。また、第5の保護層415の超親水作用により、油性の汚れの定着
を防止し、例えば発光装置460の表面を流水に曝すだけで容易に汚れを除去することが
できる。その結果、発光装置460の表面に付着又は定着した有機物の汚れを拭き取るな
ど、機械的な圧力が与えられる頻度を低減でき、発光装置460の表面にキズが入ってし
まう、又は素子層420を構成する発光素子410などの素子が破壊してしまうことなど
の不具合を抑制できる。
【0189】
<素子層の形成方法>
以下では、可撓性を有する絶縁表面上に発光素子を含む素子層を形成する方法について説
明する。なお、他の実施の形態に示す発光装置の作製方法の記載も参酌できる。
【0190】
素子層は少なくとも発光素子を含み、発光素子の他に発光素子と電気的に接続する配線や
、発光素子の発光を制御する回路に用いるトランジスタなどの素子を備えていてもよい。
【0191】
ここでは、素子層が形成される絶縁表面を備える支持体のことを、基材と呼ぶこととする
。例えば構成例4や構成例6では、基板401が基材に相当する。また構成例5では、第
4の保護層414、第3の保護層413、絶縁層409の積層体が基材に相当する。
【0192】
可撓性を有する絶縁表面を備える基材上に素子層を形成する方法としては、基材上に直接
素子層を形成する方法と、基材とは異なる剛性を有する支持基材上に素子層を形成した後
、素子層と支持基材とを剥離して素子層を基材に転置する方法と、がある。
【0193】
基材を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には、
基材上に直接素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基材を
支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が容易
になるため好ましい。
【0194】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基材に転置する方法を用いる場合、まず支持
基材(実施の形態2に示す作製基板501等に相当)上に剥離層(実施の形態2に示す剥
離層503等に相当)と絶縁層(実施の形態2に示す保護層に相当)を積層し、当該絶縁
層上に素子層を形成する。続いて、支持基材と素子層を剥離し、基材に転置する。このと
き、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶縁層の界面、又は剥離層中で剥離が生じるよう
な材料を選択すればよい。
【0195】
例えば剥離層としてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と当該金属材料の酸化物
を含む層を積層して用い、剥離層上に絶縁層として窒化シリコン層や酸窒化シリコン層を
複数積層した層を用いることが好ましい。高融点金属材料を用いると、素子層の形成工程
の自由度が高まるため好ましい。
【0196】
剥離は、機械的な力を加えることや、剥離層をエッチングすること、又は剥離界面の一部
に液体を滴下して剥離界面全体に浸透させることなどにより行ってもよい。又は、熱膨張
率の違いを利用して剥離界面に熱を加えることにより剥離を行ってもよい。
【0197】
なお、後の実施の形態で例示するように、可撓性を有する基材上にカラーフィルタなどを
形成する場合にも、同様の方法を適用することができる。
【0198】
また、素子層が形成された基材とカラーフィルタが形成された基材を貼り合わせる場合に
は、第1の保護層411として硬化性の材料を用いてこれらを接着することが好ましい。
又は、第1の保護層411が設けられる領域よりも外側の領域で、硬化性の材料によりこ
れらを接着すればよい。
【0199】
また、素子層が形成された支持基材とカラーフィルタが形成された支持基材とをあらかじ
め貼り合わせた後に、素子層と支持基材、及び、カラーフィルタと支持基材、をそれぞれ
剥離してもよい。素子層とカラーフィルタがそれぞれ支持基材上に形成された状態で貼り
合わせを行うことで、貼り合わせの位置合わせ精度を向上させることができる。
【0200】
<材料及び形成方法>
以下では、上述した各要素に用いることのできる材料と、形成方法について説明する。な
お、実施の形態1にて例示した構成については、詳細な説明を省略する。本実施の形態の
発光装置の各構成要素は、他の実施の形態にて例示する、同様の構成要素に用いることが
できる材料も適用可能である。
【0201】
[基板]
基板401としては、有機樹脂や可撓性を有する程度の厚さのガラス材料などを用いるこ
とができる。発光装置をボトムエミッション構造、又はデュアルエミッション構造とする
場合には、基板401にEL層405からの発光に対して透光性を有する材料を用いる。
【0202】
ここで、トップエミッション構造の発光装置の場合には特に、基板401として、金属又
は合金材料を含む導電性の基板を用いると、後に形成される発光素子からの発熱に対する
放熱性が高まるため好ましい。
【0203】
また、導電性の基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどし、絶縁処理が
施された基板を用いることが好ましい。例えば、電着法、スピンコート法やディップ法な
どの塗布法、スクリーン印刷法などの印刷法、蒸着法やスパッタリング法など堆積法など
の方法を用いて導電性の基板表面に絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気下で放置又は
加熱する方法や、陽極酸化法などの様々な方法により、基板401の表面を酸化してもよ
い。
【0204】
また、基板401の表面に凹凸形状を有する場合、当該凹凸形状を被覆して平坦化した絶
縁表面を形成するために平坦化層を設けてもよい。平坦化層としては絶縁性の材料を用い
ることができ、有機材料又は無機材料で形成することができる。例えば、平坦化層は、ス
パッタリング法などの堆積法、スピンコート法やディップ法などの塗布法、インクジェッ
ト法やディスペンス法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法等を用いて形成する
ことができる。
【0205】
[発光素子]
発光素子410は、実施の形態1に示した有機EL素子107と同様の構成を適用できる
。
【0206】
[第1の保護層、第3の保護層]
第1の保護層及び第3の保護層としては、光硬化性の有機樹脂や2液混合型の硬化性樹脂
、熱硬化性の有機樹脂などの硬化性材料や、ゲルなどを用いることができる。例えば、エ
ポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリビニル
クロライド(PVC)、ポリビニルブチラル(PVB)、エチレンビニルアセテート(E
VA)などを用いることができる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい
。
【0207】
また第1の保護層411及び第3の保護層413には乾燥剤が含まれていてもよい。例え
ば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着
によって水分を吸着する物質を用いることができる。その他の乾燥剤として、ゼオライト
やシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。また照
明装置に応用する場合には、粒状の乾燥剤を設けることにより、当該乾燥剤により発光素
子410からの発光が乱反射されるため、信頼性が高く、且つ視野角依存性が改善した発
光装置を実現できる。
【0208】
[第2の保護層、第4の保護層]
第2の保護層及び第4の保護層としては、例えば、実施の形態1に示した可撓性基板に用
いることができる材料を使用することができる。
【0209】
また、第2の保護層及び第4の保護層として、複数の層を積層した材料を用いることもで
きる。例えば有機樹脂からなる層を2種類以上積層した材料、有機樹脂からなる層と無機
材料からなる層を積層した材料、無機材料からなる層を2種類以上積層した材料などを用
いる。複数の層を積層して用いる際、発光素子410と対向しない面側に配置する層に用
いる材料として、その硬さが少なくとも第1の保護層又は第3の保護層よりも硬い材料を
選択する。また無機材料からなる層を設けることにより、水分等の発光装置の内部への浸
入が抑制されるため、発光装置の信頼性を向上させることができる。
【0210】
上記無機材料としては、金属や半導体の酸化物材料や窒化物材料、酸窒化材料などを用い
ることができる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニ
ウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0211】
例えば、有機樹脂からなる層と無機材料からなる層を積層する場合、有機樹脂からなる層
の上層又は下層に、スパッタリング法、CVD法又は塗布法などにより、上記無機材料か
らなる層を形成することができる。
【0212】
また、第2の保護層及び第4の保護層として、可撓性を有する程度に薄いガラスを用いて
もよい。特に発光素子410に近い側から有機樹脂層、接着層、及びガラス層を積層した
シートを用いることが好ましい。当該ガラス層の厚さとしては20μm以上200μm以
下、好ましくは25μm以上100μm以下の厚さとする。このような厚さのガラス層は
、水や酸素に対する高いバリア性と可撓性を同時に実現できる。また、有機樹脂層の厚さ
としては、10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下とする。
このような有機樹脂層をガラス層と接して設けることにより、ガラス層の割れやクラック
を抑制し、機械的強度を向上させることができる。このようなガラス材料と有機樹脂の複
合材料を第2の保護層又は第4の保護層に適用することにより、極めて信頼性が高く、且
つフレキシブルな発光装置とすることができる。
【0213】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施すること
ができる。
【0214】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置のより具体的な例として、表示装置の構成
例について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分については、説明を省略する
か、簡略化して説明する。
【0215】
<発光装置の構成例7>
本構成例では、トップエミッション構造の表示装置について説明する。
【0216】
図10(A)は、本構成例で例示する表示装置270の上面概略図である。
【0217】
表示装置270は、第4の保護層414上の第3の保護層413の上面に、表示部271
、走査線駆動回路272、及び信号線駆動回路273を有する。また、表示部271を覆
う第1の保護層411と、第1の保護層411上に第2の保護層412が設けられている
。また、第3の保護層413上に走査線駆動回路272及び信号線駆動回路273と電気
的に接続する外部接続端子274が設けられ、当該外部接続端子274に電気的に接続さ
れたFPC275により、走査線駆動回路272、信号線駆動回路273等を駆動する電
源電位や駆動信号などの信号を外部から入力することができる。
【0218】
図10(B)は、外部接続端子274、走査線駆動回路272、及び表示部271を含む
領域を切断する
図10(A)での切断線I-J及びK-Lにおける断面概略図である。
【0219】
第3の保護層413上に絶縁層409が設けられ、絶縁層409上に発光素子410及び
走査線駆動回路272(及び信号線駆動回路273)を含む素子層420、及び外部接続
端子274が設けられている。
【0220】
外部接続端子274は、表示装置270内のトランジスタ又は発光素子を構成する導電層
で構成される。本構成例では、トランジスタのゲートを構成する導電層及び電極(ソース
電極又はドレイン電極)を構成する導電層を積層して用いる。このように、複数の導電層
を積層して外部接続端子274を構成することにより強度を高められるため好ましい。ま
た、外部接続端子274に接して接続体276が設けられ、当該接続体276を介してF
PC275と外部接続端子274とが電気的に接続している。接続体276としては、熱
硬化性の樹脂に金属粒子を混ぜ合わせたペースト状又はシート状の材料を用い、熱圧着に
よって異方性の導電性を示す材料を用いることができる。金属粒子としては、例えばニッ
ケル粒子を金で被覆したものなど、2種類以上の金属が層状となった粒子を用いることが
好ましい。
【0221】
図10(B)には走査線駆動回路272として、いずれもnチャネル型のトランジスタ2
11とトランジスタ212を組み合わせたNMOS回路を有する例を示している。なお、
走査線駆動回路272はNMOS回路に限られず、nチャネル型のトランジスタとpチャ
ネル型のトランジスタを組み合わせた種々のCMOS回路や、pチャネル型のトランジス
タを組み合わせたPMOS回路を有する構成としてもよい。なお、信号線駆動回路273
についても同様である。また、本構成例では、表示部271が形成される絶縁表面上に走
査線駆動回路272及び信号線駆動回路273が形成されたドライバ一体型の構成を示す
が、表示部271が形成される絶縁表面とは別に走査線駆動回路272、信号線駆動回路
273の一方又は両方を設ける構成としてもよい。
【0222】
図10(B)には、表示部271の一例として、一画素分の断面構造を示している。画素
は、スイッチング用のトランジスタ213と、電流制御用のトランジスタ214と、電流
制御用のトランジスタ214の電極(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続され
た第1の電極403を含む。また、第1の電極403の端部を覆う絶縁層219が設けら
れている。
【0223】
なお、表示部271、走査線駆動回路272、信号線駆動回路273を構成するトランジ
スタの構造は特に限定されない。
【0224】
発光素子410は、上記実施の形態と同様の構成を適用できる。本構成例で例示する表示
装置270はトップエミッション構造の表示装置であるため、第2の電極407には透光
性の材料を用い、第1の電極403には反射性の材料を用いる。
【0225】
ここで、絶縁層409は、第3の保護層413や第4の保護層414に含まれる不純物が
拡散することを抑制する。また、トランジスタの半導体層に接する絶縁層216、絶縁層
218は、半導体層への不純物の拡散を抑制することが好ましい。これら絶縁層には、例
えばシリコンなどの半導体もしくはアルミニウムなどの金属の、酸化物もしくは窒化物を
用いることができる。また、このような無機絶縁材料の積層膜、又は無機絶縁材料と有機
絶縁材料の積層膜を用いてもよい。また、絶縁層217は、トランジスタ起因の表面凹凸
を低減する平坦化膜として機能する。
【0226】
ここで、トランジスタ及び発光素子410を含む層が、素子層420に相当する。本構成
例では、絶縁層409の上面から第2の電極407までの積層を素子層420とする。
【0227】
第2の保護層412の発光素子410と対向する面上に、絶縁層223が設けられ、絶縁
層223の発光素子410と対向する面における、発光素子410と重なる位置にカラー
フィルタ221が設けられている。
【0228】
絶縁層223は、水や酸素などの不純物を透過しにくい材料を用いることが好ましい。絶
縁層223としては、上記絶縁層409と同様の材料を用いることができる。
【0229】
また、隣接するカラーフィルタ221の間には、ブラックマトリクス222が設けられて
いる。なお、ブラックマトリクス222は、走査線駆動回路272などの表示部271以
外の領域に設けてもよい。
【0230】
また、カラーフィルタ221及びブラックマトリクス222を覆うオーバーコートを設け
てもよい。オーバーコートは、カラーフィルタ221やブラックマトリクス222を保護
するほか、これらに含まれる不純物が拡散することを抑制する。
【0231】
素子層420上には第1の保護層411が設けられ、第1の保護層411上に絶縁層22
3を介して第2の保護層412が設けられている。このような構成とすることで素子層4
20が外部からの機械的な圧力によって破壊することが抑制され、信頼性の高い表示装置
270が実現されている。
【0232】
さらに素子層420は、第3の保護層413上に絶縁層409を介して設けられ、第3の
保護層413の素子層420と対向しない面上に、第4の保護層414が設けられている
。したがって、表示装置270の裏面側の機械的強度が高められている。
【0233】
このように、第1の保護層411が十分に薄く形成されているため、素子層420への応
力を緩和しつつ、表示装置270全体として高いフレキシブル性を備えることができる。
また表示装置の最表面に設けられた、少なくとも素子層420と対向しない表面の硬い第
2の保護層412により、第1の保護層411をこのように薄く形成したとしても、表示
装置270を湾曲させる際、又は外部からの機械的な圧力が加わる際に、素子層420を
構成する発光素子410などの素子が破壊されてしまうことが抑制され、高いフレキシブ
ル性と高い機械的強度を備えた表示装置270を実現できる。
【0234】
また、素子層420を第1の保護層411と第2の保護層412を含む積層体、及び第3
の保護層413と第4の保護層414を含む積層体で挟持する構成とすることにより、表
示装置270のいずれの面からの圧力に対しても素子層420を構成する素子の破壊を抑
制できるため、さらに機械的強度が向上した信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0235】
<発光装置の構成例8>
本構成例ではボトムエミッション構造の表示装置について説明する。なお、上記構成例7
と重複する部分については、説明を省略するか簡略化して説明する。
【0236】
図11は、本構成例で例示する表示装置250の断面概略図である。
【0237】
表示装置250は、発光素子410よりも素子層420の被形成面側にカラーフィルタ2
21を有する点で、構成例7で例示した表示装置270と相違している。
【0238】
発光素子410において、第1の電極403には透光性の材料を用い、第2の電極407
には反射性の材料を用いる。したがって、EL層405からの発光は、第3の保護層41
3側に射出される。
【0239】
また、トランジスタを覆う絶縁層218上の、発光素子410と重なる位置にカラーフィ
ルタ221が設けられている。さらに、カラーフィルタ221を覆って絶縁層217が設
けられている。
【0240】
ここで、絶縁層217、絶縁層218、絶縁層216、絶縁層409、第3の保護層41
3、及び第4の保護層414には、EL層405からの発光に対して透光性を有する材料
を用いる。
【0241】
本実施の形態で例示した表示装置は、高いフレキシブル性と高い機械的強度を兼ね備えた
表示装置である。
【0242】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施すること
ができる。
【0243】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置の例として、発光素子が適用された照明装
置の構成例について、図面を参照して説明する。なお以下では、上記実施の形態と重複す
る部分については、説明を省略するか簡略化して説明する。
【0244】
図12(A)は、本実施の形態で例示する照明装置290の上面概略図である。また、図
12(B)は、
図12(A)中の切断線M-Nに沿って切断した断面概略図である。照明
装置290は、トップエミッション構造の照明装置である。
【0245】
照明装置290は、第4の保護層414上に形成された第3の保護層413上に、絶縁層
409を介して発光素子410が設けられている。また発光素子410を覆う第1の保護
層411と、第1の保護層411上に第2の保護層412が設けられている。また、第3
の保護層413上の、第1の保護層411及び第2の保護層412と重ならない領域に、
発光素子410の第1の電極403と電気的に接続する取り出し電極293と、第2の電
極407と電気的に接続する取り出し電極297が設けられている。
【0246】
ここで、発光素子410を含む構成が素子層420に相当する。
【0247】
第1の保護層411、第2の保護層412には、EL層405からの発光に対して透光性
を有する材料を用いる。
【0248】
図12(B)には、取り出し電極293と取り出し電極297が同一平面上に形成され、
且つ、第1の電極403と同一の層から構成される例を示している。ここで第1の電極4
03の一部が取り出し電極293を構成している。
【0249】
第2の電極407は、第1の電極403と取り出し電極297の各々の段部を覆う絶縁層
299を越えて取り出し電極297と接するように設けられ、これと電気的に接続してい
る。
【0250】
なお取り出し電極293や取り出し電極297を、第1の電極403とは異なる導電膜で
別途形成してもよい。例えば第1の電極403よりも厚い導電膜を、絶縁層を介して発光
素子410よりも下側(第3の保護層413側)に配置する構成としてもよい。このとき
、当該導電膜に銅を含む導電膜を用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
また、上記絶縁層を介さずに、取り出し電極293の上面に接して第1の電極403を設
ける構成としてもよい。
【0251】
絶縁層299は、第2の電極407が第1の電極403とショートしないように、第1の
電極403の端部を覆って設けられる。また、絶縁層299の上層に形成される第2の電
極407の被覆性を良好なものとするため、絶縁層299の上端部又は下端部に曲率半径
(0.2μm~3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。また、絶縁層299の材
料としては、ネガ型の感光性樹脂、あるいはポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や、酸
化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0252】
また、
図12(A)(B)に示すように、第2の保護層412の発光素子410と対向し
ない面には、レンズ状の凹凸形状が形成されていることが好ましい。当該凹凸形状は、第
2の保護層412と外部(空気)との界面で、発光素子410からの発光の全反射が生じ
、光取り出し効率が低下することを抑制する目的で設けられる。第2の保護層412とし
ては、レンズアレイ、マイクロレンズアレイ、又は拡散シート、拡散フィルムなどを用い
ることもできる。特にマイクロレンズアレイを用いると、効率的に光取り出し効率を向上
させ、さらに視野角依存性を改善できるため、均一な発光輝度の照明装置を実現できる。
【0253】
また、第2の保護層412の表面に凹凸形状を形成する方法としては、フォトリソグラフ
ィ法、ナノインプリント法、サンドブラスト法などを適宜用いることができる。
【0254】
ここで、第2の保護層412の屈折率が、第1の保護層411の屈折率以上であることが
好ましい。すなわち、発光素子410から遠い位置にある膜ほど、屈折率が大きくなるよ
うに設定することが好ましい。このような構成とすることで、それぞれの層の界面での全
反射が抑制され、実質的に発光素子410からの発光を全て取り出すことができる。
【0255】
このように、第1の保護層411が十分に薄く形成されているため、素子層420への応
力を緩和しつつ、照明装置290全体として高いフレキシブル性を備えることができる。
また照明装置の最表面に設けられた、少なくとも素子層420と対向しない表面の硬い第
2の保護層412により、第1の保護層411をこのように薄く形成したとしても、照明
装置290を湾曲させる際、又は外部からの機械的な圧力が加わる際に、素子層420を
構成する発光素子410などの素子が破壊されてしまうことが抑制され、高いフレキシブ
ル性と高い機械的強度を備えた照明装置290を実現できる。
【0256】
また、素子層420を第1の保護層411と第2の保護層412を含む積層体、及び第3
の保護層413と第4の保護層414を含む積層体で挟持する構成とすることにより、照
明装置290のいずれの面からの圧力に対しても素子層420を構成する素子の破壊を抑
制できるため、さらに機械的強度が向上した信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0257】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施すること
ができる。
【0258】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について
図13及び
図14を用いて説明す
る。
【0259】
<発光装置の構成例9>
本発明の一態様の発光装置の概略図を
図13に示す。
図13に示す発光装置は、第1基板
901と、第1基板901と対向する第2基板902とを有し、第1基板901と第2基
板902の間に発光素子630が設けられている。第1基板901と第2基板902の間
には、接着層670を備える。端子部4601は2以上の端子電極を第3基板903上に
有し、第3基板903の一部は第1基板901と第2基板902に挟持されている。
【0260】
第3基板903は、熱膨張率が10ppm/Kと小さい。そのため、端子電極657a、
bにFPCを圧着するときに異方導電フィルムに加わる熱で、第3基板903は変形しに
くい。よって、第3基板903に接する樹脂、配線にクラックが入ることを防止すること
ができる。その結果、表示不良の少ない発光装置を得ることができる。
【0261】
また、
図13では、第3基板903は発光素子630と重ならない。そのため、第3基板
903は、可視光を透過しない基板も用いることができ、材料の選択の幅が広い。
【0262】
また、第1基板901と第2基板902の熱膨張率の差が、それぞれの基板の熱膨張率の
10%以内であるので、端子電極に熱が加えられた場合においても、一方の方向に基板が
反ることはない。
【0263】
本発明の一態様の発光装置に用いることのできる材料の一例を記す。なお、先の実施の形
態にて材料を例示した構成については、詳細な説明を省略する。本実施の形態の発光装置
の各構成要素は、先の実施の形態にて例示した、同様の構成要素に用いることができる材
料も適用可能である。
【0264】
[第1基板、第2基板、及び第3基板]
第1基板901、第2基板902、及び第3基板903には、それぞれ、実施の形態1に
示す可撓性基板や、実施の形態3に示す基板や第2の保護層、第4の保護層と同様の材料
を用いることができる。また、第2基板902としては、ガラス基板、石英基板、サファ
イア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。
【0265】
特に、第1基板901及び第3基板903は、熱膨張率が10ppm/K以下の基板を用
いる。第1基板901及び第3基板903は、熱を加えられても変形の少ない基板である
。そのため、第1基板901及び第3基板903は熱を加えられても、第1基板901及
び第3基板903に接する樹脂や配線又は該基板自体にクラックを生じにくい。
【0266】
[端子電極]
端子電極657a、bは、電気伝導性を有する物質で形成することができる。例えば、金
属、半導体などで形成することができる。
【0267】
[接着層]
接着層670は、第2電極622に接している。第2剥離層601bと第1基板901は
、接着層670により固定されている。接着層670は、実施の形態1に示した接着層1
09と同様の材料を用いて形成できる。また、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照
射により可塑化させることが可能であるような、必要時に第2基板902と被剥離層50
5とを化学的もしくは物理的に分離することが可能な接着剤を用いてもよい。
【0268】
[有機EL素子]
本実施の形態の有機EL素子は、実施の形態1に示した有機EL素子107と同様の構成
を適用できる。
【0269】
<発光装置の構成例10>
本発明の一態様の発光装置の上面図を
図14(A)に示す。
図14(B)は
図14(A)
を切断線P-Qで切断した断面図である。
【0270】
図14(B)に示す発光装置は、端子部4601、画素部4602、信号線回路部460
3を有する。端子部4601は第3基板903上に端子電極657を有する。画素部46
02は、第1基板901と、第2基板902で発光素子630と発光素子の駆動を制御す
るトランジスタ650を挟持している。また、信号線回路部4603は、第1基板901
と、第2基板902でトランジスタ652を挟持している。
【0271】
各画素には、発光素子の駆動を制御するトランジスタ650と、所望の画素を選択するト
ランジスタ652が形成されている。
【0272】
トランジスタ650は、絶縁層603上に形成されたゲート電極606と、ゲート電極6
06上に形成されたゲート絶縁層608と、ゲート絶縁層608上に形成された半導体層
610と、半導体層610上に形成されたソース電極612a及びドレイン電極612b
と、を有している。また、トランジスタ650は、第1の絶縁層614と、第2の絶縁層
616により覆われており、第2の絶縁層616の上には、第1電極618と、第1電極
618上に形成された有機化合物を含む層620(EL層)と、有機化合物を含む層62
0上に形成された第2電極622と、を有している。
【0273】
発光素子の駆動を制御するトランジスタ651は、トランジスタ650と同様の構成であ
る。ただし、トランジスタのサイズ(例えば、L長、及びW長)や、トランジスタの接続
等は、各トランジスタで適宜調整することができる。
【0274】
また、発光素子630は、隔壁624により分離されて画素を形成している。
【0275】
隔壁624については、第1電極618や、第1の絶縁層614、及び第2の絶縁層61
6に設けられた開口などの段差により、発光素子630が断線しないために設けられる。
そのため、隔壁624は、その上面に形成される膜が途切れないように、順テーパ形状を
有していることが好ましい。なお、順テーパ形状とは、下地となる層に他の層がなだらか
な角度で厚みを増して接する構成をいう。
【0276】
画素部4602及び、信号線回路部4603は、第1基板901と、第1有機層700a
と、第1のバッファー層604と、絶縁層603を有する。さらに、第1剥離層601a
を有していてもよい。
【0277】
第2基板902には、第2有機層700bと第2のバッファー層662と、パッシベーシ
ョン層663を有する。パッシベーション層663に接するようにカラーフィルタ666
及び遮光膜664と、これらを覆うオーバーコート668を有する。なお、発光素子63
0の発光を妨げない場合は、第2基板902上に第2剥離層601bを有していてもよい
。
【0278】
当該発光装置の端子部4601と重なる第3基板903は、熱膨張率が10ppm/Kと
小さい。そのため、端子電極657にFPCを圧着するときに異方導電フィルムに加える
熱で、第3基板903は変形しにくい。よって、第3基板903に接する樹脂、配線にク
ラックが入ることを防止することができる。その結果、表示不良の少ない発光装置を得る
ことが出来る。
【0279】
また、
図14(B)の構成では、第3基板903は画素部4602に設けなくてよい。そ
のため、第3基板903は、可視光を透過しない基板を用いることができる。
【0280】
また、第1基板901と第2基板902の熱膨張率の差が、それぞれの基板の熱膨張率の
10%以内であるので、端子電極657に熱が加えられた場合においても、一方の方向に
基板が反ることはない。
【0281】
第1剥離層601a及び第2剥離層601bは、実施の形態2に示す剥離層と同様の材料
を用いることができる。また、第1有機層700a及び第2有機層700bは、それぞれ
実施の形態2に示す接着剤層と同様の材料を用いることができる。また、第1のバッファ
ー層604や第2のバッファー層662は、それぞれ実施の形態2に示す保護層と同様の
材料を用いることができる。
【0282】
その他、絶縁層603、ゲート電極606、ゲート絶縁層608、半導体層610、ソー
ス電極612a及びドレイン電極612bは、それぞれ実施の形態1に示した下地膜12
1、ゲート電極131、ゲート絶縁膜133、半導体層135、導電層137a及び導電
層137bと同様の材料を用いて形成できる。
【0283】
第1の絶縁層614は、半導体層610、ソース電極612a及びドレイン電極612b
上に形成される。第1の絶縁層614は、実施の形態1に示した絶縁膜141と同様の材
料を用いて形成できる。
【0284】
第2の絶縁層616は、第1の絶縁層614の上に形成される。第2の絶縁層616は、
実施の形態1に示した平坦化層105と同様の材料を用いて形成できる。
【0285】
隔壁624は、隣接する第1電極618間の電気的ショートを防止するために設ける。ま
た、有機化合物を含む層620の形成時にメタルマスクを用いる場合、発光素子間の有機
化合物を含む層620を分断する役割も有する。隔壁624は、実施の形態1に示した隔
壁161と同様の材料を用いて形成できる。
【0286】
パッシベーション層663、遮光膜664、カラーフィルタ666、及びオーバーコート
668は、それぞれ実施の形態2に示した下地膜185、ブラックマトリクス183、カ
ラーフィルタ157、181、オーバーコートと同様の材料を用いて形成できる。
【0287】
<発光装置の作製方法3>
図14に示した発光装置の作製方法について、
図16を用いて説明する。なお、実施の形
態2と同様の部分は詳細な説明を省略する。
【0288】
まず、作製基板501に第1剥離層601aを形成し、第1剥離層601a上に被剥離層
505を形成する(
図16(A))。
【0289】
被剥離層505として形成する層に特に限定は無い。ここでは、被剥離層505として、
保護層、端子電極657、トランジスタ、発光素子630等を形成する。
【0290】
次に、被剥離層505と、第2基板902とを、接着層670を用いて接着し、第1剥離
層601aを用いて被剥離層505を作製基板501より剥離する。これにより、被剥離
層505は、第2基板902側に設けられる(
図16(B))。なお、第2基板902上
には、カラーフィルタ等の必要な構成を事前に形成しておく。
【0291】
続いて、作製基板501から剥離され、露出した第1剥離層601a又は保護層が露出し
た被剥離層505に第1有機層700aを用いて、端子電極657と重なるように第3基
板903を接着する(
図16(C))。
【0292】
次に、端子電極657と重ならないように第1基板901を、第1有機層700aに貼り
付ける(
図16(D)。
【0293】
以上により、トランジスタ及び発光素子630が形成された被剥離層505を第1基板9
01上に作製することができる。
【0294】
最後に、異方性導電材で端子電極657の各電極にFPC4605を貼り付ける。必要が
あればICチップなどを実装させてもよい。
【0295】
以上により、
図14に示す発光装置を作製することができる。
【0296】
<発光装置の構成例11>
本発明の一態様の発光装置における、端子部4601の構成について、発光装置の構成例
10と異なる構成について、
図15に示す。
【0297】
なお、先の実施の形態1で示した発光装置と同様の箇所には同様の符号を用い、その説明
は省略する。
【0298】
端子電極657は熱膨張率の小さい第1基板901と重なっている。そのため、端子電極
657に熱を加えても、第1基板901が熱により変形しにくいため、第1基板901に
接する樹脂、配線にクラックが生じにくい。
【0299】
上記の構成により、端子電極657に熱が加えられても、第1基板901は加熱による変
形が少ないため、第1基板901に接する樹脂や配線又は第1基板自体にクラックを入り
にくくすることができる。その結果、表示不良のない発光装置を得ることが出来る。
【0300】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0301】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用できる発光素子の一例について
図17を用いて
説明する。
【0302】
本実施の形態で例示する発光素子は、一対の電極(第1の電極及び第2の電極)と、該一
対の電極間に設けられたEL層と、を有する。該一対の電極は、一方が陽極、他方が陰極
として機能する。該EL層は、少なくとも発光層を有する。
【0303】
図17(A)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層2
03を有する。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極2
05が陰極として機能する。
【0304】
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加す
ると、EL層203に第1の電極201側から正孔が注入され、第2の電極205側から
電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層203において再結合し、EL層20
3に含まれる発光物質が発光する。
【0305】
EL層203は、少なくとも発光層を有する。EL層203は、発光層以外の層として、
正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物
質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い
物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0306】
EL層203には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機
化合物を含んでいてもよい。
【0307】
EL層203の具体的な構成例を、
図17(B)に示す。
図17(B)に示すEL層20
3では、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、電子輸送層304及び電
子注入層305が、第1の電極201側からこの順に積層されている。
【0308】
図17(C)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層2
03を有し、さらに、EL層203及び第2の電極205の間に、中間層207を有する
。
【0309】
中間層207の具体的な構成例を、
図17(D)に示す。中間層207は、電荷発生領域
308を少なくとも有する。中間層207は、電荷発生領域308以外の層として、電子
リレー層307や、電子注入バッファー層306をさらに有していてもよい。
【0310】
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加す
ると、電荷発生領域308において、正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極205へ移
動し、電子は電子リレー層307へ移動する。電子リレー層307は電子輸送性が高く、
電荷発生領域308で生じた電子を電子注入バッファー層306に速やかに受け渡す。電
子注入バッファー層306はEL層203に電子を注入する障壁を緩和し、EL層203
への電子注入効率を高める。従って、電荷発生領域308で発生した電子は、電子リレー
層307と電子注入バッファー層306を経て、EL層203のLUMO準位に注入され
る。
【0311】
また、電子リレー層307は、電荷発生領域308を構成する物質と電子注入バッファー
層306を構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を
防ぐことができる。
【0312】
図17(E)(F)に示す発光素子のように、第1の電極201及び第2の電極205の
間に複数のEL層が積層されていてもよい。この場合、積層されたEL層の間には、中間
層207を設けることが好ましい。例えば、
図17(E)に示す発光素子は、第1のEL
層203aと第2のEL層203bとの間に、中間層207を有する。また、
図17(F
)に示す発光素子は、EL層をn層(nは2以上の自然数)有し、各EL層の間には、中
間層207を有する。
【0313】
EL層203(m)とEL層203(m+1)の間に設けられた中間層207における電
子と正孔の挙動について説明する。第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素
子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層207において正孔と電子が発生し、正
孔は第2の電極205側に設けられたEL層203(m+1)へ移動し、電子は第1の電
極201側に設けられたEL層203(m)へ移動する。EL層203(m+1)に注入
された正孔は、第2の電極205側から注入された電子と再結合し、当該EL層203(
m+1)に含まれる発光物質が発光する。また、EL層203(m)に注入された電子は
、第1の電極201側から注入された正孔と再結合し、当該EL層203(m)に含まれ
る発光物質が発光する。よって、中間層207において発生した正孔と電子は、それぞれ
異なるEL層において発光に至る。
【0314】
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合
は、EL層同士を接して設けることができる。例えば、EL層の一方の面に電荷発生領域
が形成されている場合、その面に接してEL層を設けることができる。
【0315】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望
の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1
のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素
子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合する
と無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得
られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する
発光素子の場合でも同様である。
【0316】
図17(A)乃至(F)は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、
図17(
F)の第2の電極205とEL層203(n)の間に中間層207を設けることもできる
。
【0317】
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限ら
れず、二層以上積層してもよい。
【0318】
〈陽極〉
陽極として機能する電極(第1の電極201)は、導電性を有する金属、合金、導電性化
合物等を一種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数の大きい(4.0
eV以上)材料を用いることが好ましい。例えば、ITO、珪素もしくは酸化珪素を含有
したインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含
有した酸化インジウム、グラフェン、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリ
ブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)
等が挙げられる。
【0319】
なお、陽極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電
性材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金等も用
いることができる。
【0320】
〈陰極〉
陰極として機能する電極(第2の電極205)は、導電性を有する金属、合金、導電性化
合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数が小さい(3.
8eV以下)材料を用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属
する元素(例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム
等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、Mg-Ag
、Al-Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属、これら希土類金属を含
む合金、アルミニウム、銀等を用いることができる。
【0321】
なお、陰極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電
性材料を用いることができる。例えば、ITO、珪素又は酸化珪素を含有したインジウム
スズ酸化物等も用いることができる。
【0322】
発光素子は、陽極又は陰極の一方が可視光を透過する導電膜であり、他方が可視光を反射
する導電膜である構成としてもよいし、陽極及び陰極の両方が可視光を透過する導電膜で
ある構成としてもよい。
【0323】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物、
酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、
銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト
、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれ
ら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成するこ
とで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。
例えば、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めること
ができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0324】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングス
テン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又は
これら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタ
ン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチタ
ンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金等のアルミニ
ウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金、銀
とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅を含む合
金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜又は金属
酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属
膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可
視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とITOの
積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができる。
【0325】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イン
クジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形成
することができる。
【0326】
なお、可視光を透過する導電膜として、導電性酸化物をスパッタリング法によって形成す
る場合、当該導電性酸化物を、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、透光性を
向上させることができる。
【0327】
また、導電性酸化物膜をEL層上に形成する場合、酸素濃度が低減されたアルゴンを含む
雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜し
た第2の導電性酸化物膜の積層膜とすると、EL層への成膜ダメージを低減させることが
できるため好ましい。ここで特に第1の導電性酸化物膜を成膜する際に用いるアルゴンガ
スの純度が高いことが好ましく、例えば露点が-70℃以下、好ましくは-100℃以下
のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0328】
〈正孔注入層301〉
正孔注入層301は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
【0329】
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニ
ウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、また、フタロシア
ニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシア
ニン系の化合物を用いることができる。
【0330】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニ
ルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物や、ポリ(3,4-エチレンジオキ
シチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の酸を添加した
高分子化合物を用いることができる。
【0331】
また、正孔注入層301を、電荷発生領域としてもよい。陽極と接する正孔注入層301
が電荷発生領域であると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を該陽極に用いること
ができる。電荷発生領域を構成する材料については後述する。
【0332】
〈正孔輸送層302〉
正孔輸送層302は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
【0333】
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば良く、特に
、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。例えば、
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NP
B又はα-NPD)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリ
フェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物、4,4’-ジ(N-カ
ルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラ
セニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、9-フェニル-3-[4
-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:P
CzPA)等のカルバゾール誘導体、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチ
ル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセ
ン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等の芳
香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、種々の化合物を用いる
ことができる。
【0334】
〈発光層303〉
発光層303は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いるこ
とができる。
【0335】
発光層303に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’-ビス[4
-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4
,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル
)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、ル
ブレン等が挙げられる。
【0336】
また、発光層303に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2-(
4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコ
リナート(略称:FIrpic)、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリ
ジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-
ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-M
e)2(acac))等の有機金属錯体が挙げられる。
【0337】
なお、発光層303は、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の物
質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用
いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有
軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0338】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層303の結晶化を抑
制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制すること
ができる。
【0339】
ホスト材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物やカル
バゾール誘導体)や、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格又はベンゾキ
ノリン骨格を有する金属錯体や、オキサゾール系配位子又はチアゾール系配位子を有する
金属錯体)等を用いることができる。具体的には、トリス(8-キノリノラト)アルミニ
ウム(III)(略称:Alq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニ
ルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの金属錯体、3-(4-
ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-
トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュ
プロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、CzPA、DNA、t-BuDNA、
DPAnthなどの縮合芳香族化合物、NPB等の芳香族アミン化合物等を用いることが
できる。
【0340】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレ
ン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー
移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0341】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全
体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子に
おいて、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにするこ
とで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層
を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0342】
〈電子輸送層304〉
電子輸送層304は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
【0343】
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば良く
、特に、10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
【0344】
電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、BAlqなど、キノリン骨格又はベン
ゾキノリン骨格を有する金属錯体等や、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾオ
キサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)
ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール
系配位子を有する金属錯体などを用いることができる。また、TAZ、BPhen、BC
Pなども用いることができる。
【0345】
〈電子注入層305〉
電子注入層305は、電子注入性の高い物質を含む層である。
【0346】
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチ
ウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、酸化リチウム等のようなアルカリ金属、アル
カリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのよ
うな希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層304を構成す
る物質を用いることもできる。
【0347】
〈電荷発生領域〉
正孔注入層を構成する電荷発生領域や、電荷発生領域308は、正孔輸送性の高い物質と
アクセプター性物質(電子受容体)を含む領域である。アクセプター性物質は、正孔輸送
性の高い物質に対して質量比で0.1以上4.0以下の比率で添加されていることが好ま
しい。
【0348】
また、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有す
る場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積
層されていてもよい。但し、電荷発生領域を陰極側に設ける場合には、正孔輸送性の高い
物質を含む層が陰極と接する構造となり、電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合
には、アクセプター性物質を含む層が陽極と接する構造となる。
【0349】
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば良く
、特に、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好まし
い。
【0350】
具体的には、NPB、BPAFLP等の芳香族アミン化合物、CBP、CzPA、PCz
PA等のカルバゾール誘導体、t-BuDNA、DNA、DPAnth等の芳香族炭化水
素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、正孔輸送層302に用いることが
できる物質として例示した正孔輸送性の高い物質を用いることができる。
【0351】
アクセプター性物質としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラ
フルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等の有機化合物、遷移金属
酸化物、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができ
る。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブ
デン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい
。特に、酸化モリブデンは、大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため、好ま
しい。
【0352】
〈電子注入バッファー層306〉
電子注入バッファー層306は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッフ
ァー層306は、電荷発生領域308からEL層203への電子の注入を容易にする。電
子注入性の高い物質としては、前述の材料を用いることができる。また、電子注入バッフ
ァー層306は、前述の電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む構成としてもよい。
【0353】
〈電子リレー層307〉
電子リレー層307では、電荷発生領域308においてアクセプター性物質が引き抜いた
電子を速やかに受け取る。
【0354】
電子リレー層307は、電子輸送性の高い物質を含む。該電子輸送性の高い物質としては
フタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いるこ
とが好ましい。
【0355】
該フタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、PhO-VOPc(Vanad
yl 2,9,16,23-tetraphenoxy-29H,31H-phthal
ocyanine)等が挙げられる。
【0356】
該金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属-酸素の二重結合を有
する金属錯体を用いることが好ましい。金属-酸素の二重結合はアクセプター性を有する
ため、電子の移動(授受)がより容易になる。
【0357】
また、該金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、フタロシアニン系材
料が好ましい。
【0358】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。
具体的にはPhO-VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好
ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶であるため、発光素
子を形成する上で扱いやすい、かつ、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易であるとい
う利点を有する。
【0359】
電子リレー層307は、上述のドナー性物質をさらに含んでいてもよい。電子リレー層3
07にドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより
低電圧で駆動することが可能になる。
【0360】
該電子輸送性の高い物質や該ドナー性物質のLUMO準位は、電荷発生領域308に含ま
れるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層304に含まれる電子輸送性の高
い物質のLUMO準位(又は電子リレー層307もしくは電子注入バッファー層306が
接するEL層203のLUMO準位)の間となるようにする。LUMO準位は、-5.0
eV以上-3.0eV以下とするのが好ましい。なお、電子リレー層307にドナー性物
質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質として、電荷発生領域308に含まれるアクセ
プター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができ
る。
【0361】
なお、上述したEL層203及び中間層207を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空
蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法やディスペンス法などの吐出法、ス
ピンコート法などの塗布法等の方法で形成することができる。
【0362】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0363】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置が有するトランジスタの半導体層に用いる
ことができる酸化物半導体について説明する。
【0364】
トランジスタの半導体層に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)
又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ましい。また
、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタ
ビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニ
ウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
【0365】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(
Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホル
ミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ル
テチウム(Lu)のいずれか一種又は複数種を有してもよい。
【0366】
例えば、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Z
n系酸化物、In-Zr-Zn系酸化物、In-Al-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn
系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物や、In-Hf-Zn
系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系
酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸
化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化
物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物
、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Zn系酸化物、Sn-
Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-
Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、In系酸化物、Sn系酸化物、Zn系酸化物などを
用いることができる。
【0367】
なお、ここで、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを主成分と
して有する酸化物という意味であり、In、Ga及びZnの比率は問わない。
【0368】
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される材料を用い
てもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の
金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0)で
表記される材料を用いてもよい。
【0369】
例えば、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=1:1:1又はIn:Ga
:Zn=2:2:1の原子数比のIn-Ga-Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を
用いることができる。又は、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2:1
:3又はIn:Sn:Zn=2:1:5の原子数比のIn-Sn-Zn系酸化物やその組
成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0370】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+
c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C
=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、式(a―A)2+(b―B)2
+(c―C)2≦r2を満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい
。他の酸化物でも同様である。
【0371】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)
に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、
キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等
を適切なものとすることが好ましい。
【0372】
また、酸化物半導体を半導体層に用いたトランジスタは、酸化物半導体を高純度化するこ
とにより、オフ電流(ここでは、オフ状態のとき、例えばソース電位を基準としたときの
ゲート電位との電位差がしきい値電圧以下のときのドレイン電流とする)を十分に低くす
ることができる。例えば酸化物半導体の高純度化は、加熱成膜により水素や水酸基を酸化
物半導体中に含ませないようにし、又は成膜後の加熱により膜中から除去することで、実
現できる。高純度化されることにより、チャネル領域にIn-Ga-Zn系酸化物を用い
たトランジスタで、チャネル幅あたりのオフ電流を1×10-24A/μm(1yA/μ
m)から1×10-22A/μm(100yA/μm)程度とすることが可能である。
【0373】
酸化物半導体膜は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C
Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。
非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよ
りも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC-OS(C
Axis Aligned Crystalline Oxide Semicond
uctor)と呼ぶ。
【0374】
酸化物半導体膜は、例えばCAAC-OSを有してもよい。CAAC-OSは、例えば、
c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
【0375】
酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を
、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未
満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。
【0376】
酸化物半導体膜は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導
体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序
であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質
であり、結晶部を有さない。
【0377】
なお、酸化物半導体膜が、CAAC-OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の
混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物
半導体の領域と、CAAC-OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質
酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC-OSの領域と、の積層
構造を有してもよい。
【0378】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
【0379】
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部
間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜
の一例としては、CAAC-OS膜がある。
【0380】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさ
であることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission El
ectron Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれる
結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には粒
界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC-OS膜は、
粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0381】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から
見て金属原子が三角形状又は六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層
状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれ
a軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合
、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとす
る。また、単に平行と記載する場合、-10°以上10°以下、好ましくは-5°以上5
°以下の範囲も含まれることとする。
【0382】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAA
C-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形
成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。
【0383】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC-OS膜の形状
(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがあ
る。また、結晶部は、成膜したとき、又は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったと
きに形成される。したがって、結晶部のc軸は、CAAC-OS膜が形成されたときの被
形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
【0384】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動
が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0385】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0386】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置が適用された電子機器や照明装置について
、
図18を用いて説明する。
【0387】
本発明の一態様の発光装置は、可撓性を有し、外部から物理的な力が与えられたときにト
ランジスタ及び/又は有機EL素子が、曲げや湾曲により破壊されることを抑制した、信
頼性の高い発光装置である。したがって、該発光装置を適用することで、曲げや湾曲等に
強い信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0388】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともい
う)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル
フォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携
帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0389】
また、本発明の一態様の発光装置は、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内
装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0390】
図18(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401
に組み込まれた表示部7402のほか、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、
スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発
光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0391】
図18(A)に示す携帯電話機7400は、指などで表示部7402に触れることで、情
報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる
操作は、指などで表示部7402に触れることにより行うことができる。
【0392】
また、操作ボタン7403の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7402に
表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイン
メニュー画面に切り替えることができる。
【0393】
ここで、表示部7402には、本発明の一態様の発光装置が組み込まれている。したがっ
て、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機とすることができる。
【0394】
図18(B)は、リストバンド型の携帯表示装置の一例を示している。携帯表示装置71
00は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び送受信装置7104
を備える。
【0395】
携帯表示装置7100は、送受信装置7104によって映像信号を受信可能で、受信した
映像を表示部7102に表示することができる。また、音声信号を他の受信機器に送信す
ることもできる。
【0396】
また、操作ボタン7103によって、電源のON、OFF動作、表示する映像の切り替え
、又は音声のボリュームの調整などを行うことができる。
【0397】
ここで、表示部7102には、本発明の一態様の発光装置が組み込まれている。したがっ
て、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯表示装置とすることができる。
【0398】
図18(C)~(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7200、照明装置7
210、及び照明装置7220は、それぞれ、操作スイッチ7203を備える台部720
1と、台部7201に支持される発光部を有する。
【0399】
図18(C)に示す照明装置7200は、波状の発光面を有する発光部7202を備える
。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
【0400】
図18(D)に示す照明装置7210の備える発光部7212は、凸状に湾曲した2つの
発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7210を中心に全
方位を照らすことができる。
【0401】
図18(E)に示す照明装置7220は、凹状に湾曲した発光部7222を備える。した
がって、発光部7222からの発光を、照明装置7220の前面に集光するため、特定の
範囲を明るく照らす場合に適している。
【0402】
また、照明装置7200、照明装置7210及び照明装置7220の備える各々の発光部
はフレキシブル性を有しているため、発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどの部材
で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
【0403】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部を
備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。発光
面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明るく
照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0404】
ここで、各発光部には、本発明の一態様の発光装置が組み込まれている。したがって、湾
曲した発光面を備え、且つ信頼性の高い照明装置とすることができる。
【0405】
図19(A)には、携帯型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、筐体7
301、表示部7302、操作ボタン7303、引き出し部材7304、制御部7305
を備える。
【0406】
表示装置7300は、筒状の筐体7301内にロール状に巻かれたフレキシブルな表示部
7102を備える。
【0407】
また、表示装置7300は制御部7305によって映像信号を受信可能で、受信した映像
を表示部7302に表示することができる。また、制御部7305にはバッテリをそなえ
る。また、制御部7305にコネクタを接続する端子部を備え、映像信号や電力を有線に
より外部から直接供給する構成としてもよい。
【0408】
また、操作ボタン7303によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替え
等を行うことができる。
【0409】
図19(B)には、表示部7302を引き出し部材7304により引き出した状態の表示
装置7300を示す。この状態で表示部7302に映像を表示することができる。また、
筐体7301の表面に配置された操作ボタン7303によって、片手で容易に操作するこ
とができる。また、
図19(A)のように操作ボタン7303を筐体7301の中央でな
く片側に寄せて配置することで、片手で容易に操作することができる。
【0410】
なお、表示部7302を引き出した際に表示部7302の表示面が平面状となるように固
定するため、表示部7302の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0411】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によっ
て音声を出力する構成としてもよい。
【0412】
表示部7302には、本発明の一態様の発光装置が組み込まれている。したがって、表示
部7302はフレキシブルで且つ信頼性の高い表示装置であるため、表示装置7300は
軽量で且つ信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0413】
なお、本発明の一態様の発光装置を具備していれば、上記で示した電子機器や照明装置に
特に限定されないことは言うまでもない。
【0414】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例0415】
本実施例では、本発明の一態様の発光装置を作製し、該発光装置が有するトランジスタの
特性について評価した結果について説明する。
【0416】
本実施例では、本発明の一態様の発光装置である試料aと、比較例の発光装置である比較
試料bとを作製した。試料aは、第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111の
間に、平坦化層105と、平坦化層105の一方の面側に設けられたトランジスタ103
と、平坦化層105の他方の面側に設けられた有機EL素子107と、一対の基板を接着
する接着層109と、を備える(
図1参照)。比較試料bは、一対のガラス基板(可撓性
を有さない)及び接着層に囲まれた空間に、試料aと同様の平坦化層、トランジスタ、及
び有機EL素子を備える。該空間は不活性雰囲気である。
【0417】
はじめに、試料aの作製工程について説明する。本実施例では、
図6を参照して説明する
。
【0418】
まず、作製基板501であるガラス基板上に、膜厚200nmの酸化窒化シリコン膜を下
地膜として形成した。そして、0.5%のフッ化水素水溶液を用いて洗浄した。これによ
り、下地膜と後に成膜する剥離層503の密着性を向上させることができる。
【0419】
次に、下地膜上に、膜厚30nmのタングステン膜を剥離層503として形成し、剥離層
503上に被剥離層505を形成した(
図6(A))。本実施例で、被剥離層505は、
絶縁膜、トランジスタ103、平坦化層105、及び有機EL素子107などを含む。
【0420】
被剥離層505としては、まず剥離層503上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、膜
厚600nmの酸化窒化シリコン膜、膜厚200nmの窒化シリコン膜、膜厚200nm
の酸化窒化シリコン膜、膜厚140nmの窒化酸化シリコン膜、及び膜厚100nmの酸
化窒化シリコン膜をこの順で積層した。その後、窒素雰囲気下、480℃で1時間の加熱
処理を行った。そして、0.5%のフッ化水素水溶液を用いて洗浄した。
【0421】
次に、絶縁膜上にトランジスタ103を形成した。まず、絶縁膜上にスパッタリング法で
膜厚200nmのタングステン膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該タングステ
ン膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該タングステン膜の一部をエッチングし、ゲ
ート電極を形成した。
【0422】
次に、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成した。ゲート絶縁膜としては、膜厚90nmの
窒化シリコン膜と、膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜をこの順で積層した。
【0423】
次に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に重なる酸化物半導体膜を形成した。ここでは、
ゲート絶縁膜上に膜厚35nmの酸化物半導体膜をスパッタリング法で形成し、フォトリ
ソグラフィ工程により該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該酸化物
半導体膜の一部をエッチングし、酸化物半導体膜を形成した。
【0424】
酸化物半導体膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数
比)のターゲットとし、流量50sccmのアルゴン及び流量50sccmの酸素をスパ
ッタリングガスとしてスパッタリング装置の反応室内に供給し、反応室内の圧力を0.7
Paに制御し、5kWの直流電力を供給して形成した。なお、酸化物半導体膜を形成する
際の基板温度を170℃とした。
【0425】
その後、窒素雰囲気で、450℃、1時間の加熱処理を行った後、窒素及び酸素雰囲気で
、450℃、1時間の加熱処理を行った。
【0426】
次に、ゲート絶縁膜の一部をエッチングしてゲート電極を露出した後、酸化物半導体膜に
接する一対の電極(ソース電極及びドレイン電極)を形成した。ここでは、ゲート絶縁膜
及び酸化物半導体膜上に、導電膜を形成した。該導電膜として、膜厚50nmのタングス
テン膜、膜厚400nmのアルミニウム膜、及び膜厚100nmのチタン膜をこの順で形
成した。そして、フォトリソグラフィ工程により該導電膜の上にマスクを形成し、該マス
クを用いて該導電膜の一部をエッチングし、一対の電極を形成した。
【0427】
次に、反応室に設けられる上部電極に27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの
高周波電力を供給して発生させた酸素プラズマに酸化物半導体膜を曝した。
【0428】
次に、酸化物半導体膜及び一対の電極上に保護膜を形成した。ここでは、保護膜として、
第1の酸化絶縁膜、第2の酸化絶縁膜、及び窒化絶縁膜を形成した。
【0429】
まず、第1の酸化絶縁膜として膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜を形成し、第2の酸化
絶縁膜として膜厚400nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。
【0430】
次に、加熱処理を行い、第1の酸化絶縁膜及び第2の酸化絶縁膜から水、窒素、水素等を
脱離させた。ここでは、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行った。
【0431】
次に、減圧された処理室に基板を移動し、350℃で加熱した後、第2の酸化絶縁膜上に
窒化絶縁膜を形成した。ここでは、窒化絶縁膜として、厚さ100nmの窒化シリコン膜
を形成した。
【0432】
次に、保護膜の一部をエッチングして、一対の電極の一部を露出する開口部を形成した。
【0433】
次に、保護膜上に平坦化層105を形成した。ここでは、組成物を保護膜上に塗布した後
、露光及び現像を行って、一対の電極の一部を露光する開口部を有する平坦化層105を
形成した。なお、平坦化層105として厚さ1.5μmのアクリル樹脂膜を形成した。こ
ののち、加熱処理を行った。当該加熱処理は、温度を250℃とし、窒素を含む雰囲気で
1時間行った。
【0434】
次に、一対の電極の一部と電気的に接続する導電膜を形成した。ここでは、有機EL素子
107の下部電極として、スパッタリング法により膜厚50nmのチタン膜、膜厚200
nmのアルミニウム膜、及び膜厚3nmのチタン膜を形成し、さらに、酸化珪素を含むイ
ンジウム錫酸化物(ITSO)膜を光学調整層として形成した。ITSO膜の厚さは、赤
色の画素に含まれる発光素子では82nm、緑色の画素に含まれる発光素子では45nm
、青色の画素に含まれる発光素子では5nmとした。
【0435】
次に、導電膜の端部を覆う隔壁を形成した。ここでは、隔壁として膜厚1.0μmのポリ
イミド樹脂膜を形成した。こののち、加熱処理を行った。当該加熱処理は、温度を250
℃とし、窒素を含む雰囲気で1時間行った。
【0436】
次に、隔壁上に逆テーパ形状のスペーサを形成した。ここでは、厚さ2.0μmのスペー
サを、ネガ型の感光性樹脂を用いて形成した。こののち、加熱処理を行った。当該加熱処
理は、温度を250℃とし、窒素を含む雰囲気で1時間行った。
【0437】
次に、導電膜上にEL層及び上部電極を形成した。EL層及び上部電極は各色の画素の発
光素子で共通の構成である。本実施例の発光素子は、EL層が、青色の発光層を有する蛍
光発光ユニットと、緑色の発光層及び赤色の発光層を有する燐光発光ユニットとを有する
、タンデム型の発光素子である。上部電極としては、マグネシウムと銀とを共蒸着し、膜
厚15nmとなるように成膜した。さらに上部電極上に膜厚70nmのITO膜を形成し
た。以上により有機EL素子107を形成した。
【0438】
また、作製基板551であるガラス基板上に、下地膜及び剥離層553を形成した。下地
膜及び剥離層553は、作製基板501上に作製した下地膜及び剥離層503と同様に作
製した。そして、剥離層553上に被剥離層555を形成した(
図6(B))。本実施例
で、被剥離層555は、絶縁膜、カラーフィルタなどを含む。
【0439】
被剥離層555としては、まず剥離層553上に絶縁膜を形成した。絶縁膜は、被剥離層
505に含まれる絶縁膜と同様に作製した。次に、絶縁膜上にカラーフィルタを形成し、
その後、カラーフィルタ上に膜厚20nmのITO膜を形成した。ここで、ITO膜はカ
ラーフィルタに比べて、接着層109に用いる材料に対する濡れ性が高いため、作製基板
501と作製基板551を貼り合わせる際に、気泡が生成することを抑制でき、素子の封
止を良好に行うことができる。
【0440】
次に、作製基板501及び作製基板551を、接着層109を用いて貼り合わせた(
図6
(C))。接着層109には、紫外光硬化型樹脂を用いた。
【0441】
そして、剥離層503を用いて被剥離層505を作製基板501より剥離した。続いて、
作製基板501から剥離され、露出した被剥離層505に接着剤層123を用いて第1の
可撓性基板101を接着した(
図6(D))。同様に、剥離層553を用いて被剥離層5
55を作製基板551より剥離した。続いて、作製基板551から剥離され、露出した被
剥離層555に接着剤層187を用いて第2の可撓性基板111を接着した(
図6(E)
)。第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111には、膜厚20μmのプラスチ
ックフィルムを用いた。第1の可撓性基板101及び第2の可撓性基板111は、熱膨張
率が10ppm/K以下の基板であり、熱が加えられても変形しにくい。接着剤層123
及び接着剤層187には、紫外光硬化型樹脂を用いた。
【0442】
最後に、異方性導電材で入出力端子部の各電極にFPC4505を貼り付けた。
【0443】
以上により、本実施例の試料aを作製した。
【0444】
一方、比較試料bでは、支持基板であるガラス基板に直接(剥離層を介さずに)、トラン
ジスタ103、平坦化層105、及び有機EL素子107を形成した。そして、接着層を
用いて、対向基板と支持基板とを、減圧雰囲気下で、貼り合わせ、トランジスタ103、
平坦化層105、有機EL素子107、カラーフィルタ等を封止した。接着層には紫外光
硬化型樹脂を用い、対向基板にはカラーフィルタが設けられたガラス基板を用いた。最後
に、異方性導電材で入出力端子部の各電極にFPCを貼り付けた。以上により、本実施例
の比較試料bを作製した。
【0445】
試料aにおけるトランジスタと、比較試料bにおけるトランジスタのVg-Id特性の結
果を
図20に示す。試料aの結果を太い実線で、比較試料bの結果を細い実線で示す。こ
こでは、各試料が有するFPC端子を測定器に繋いで測定した。測定したトランジスタは
チャネル長及びチャネル幅が、L/W=3nm/1000nmであり、酸化シリコン膜(
誘電率4.1)に換算したゲート絶縁膜の膜厚は100nmであった。
【0446】
図20の結果から、試料aにおけるトランジスタと比較試料bにおけるトランジスタの特
性に大きな差は無いことが示された。したがって、本発明の一態様を適用することで、従
来の可撓性を有さない発光装置と同程度に信頼性の高い、可撓性を有する発光装置を作製
できることが示された。