(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171440
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】低温抽出コーヒー飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 5/26 20060101AFI20231124BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A23F5/26
A23F5/24
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023167654
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2022004583の分割
【原出願日】2017-11-03
(31)【優先権主張番号】62/416,999
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】317001024
【氏名又は名称】ハートランド コンシューマー プロダクツ,エル エル シー
(71)【出願人】
【識別番号】319016091
【氏名又は名称】ゲロブ,テオドール,エッチ.
(71)【出願人】
【識別番号】319016105
【氏名又は名称】トレビノ,リカルド,レイエス
(71)【出願人】
【識別番号】319016116
【氏名又は名称】ソーヤー,メーガン,リー
(71)【出願人】
【識別番号】319016127
【氏名又は名称】キム,ペーター,デユン
(71)【出願人】
【識別番号】319016138
【氏名又は名称】クロスビー,ケント
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲロブ,テオドール,エッチ.
(72)【発明者】
【氏名】トレビノ,リカルド,レイエス
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,メーガン,リー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ペーター,デユン
(72)【発明者】
【氏名】クロスビー,ケント
(57)【要約】
【課題】低温抽出コーヒー飲料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】開示されるものは、濃縮物を含む低温抽出飲料組成物の製造方法及び低温抽
出飲料組成物を調製するための装置である。開示される方法および装置は、改善された全
固形分含量、改善された風味安定性、より長期の保存寿命、及び、小容量容器における使
用への適応性を有する低温抽出飲料組成物の効率的で迅速な工業規模の製造を可能にする
。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(i)少なくとも1つのフィルターバッグを用意する工程;
(ii)前記少なくとも1つのフィルターバッグに浸出材料を添加する工程;
(iii)前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、第1の器中で、第1の
継続期間で、第1の浸漬工程に付して第1の飲料抽出物を形成する工程、
(iv)前記第1の器から前記第1の飲料抽出物を除去する工程、及び
(v)第2の継続期間、第2の浸漬工程を実施してすすぎ飲料抽出物を形成するために、
前記第1の器中の前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、新鮮な精製水に
曝露する工程
を含む飲料を調製するための低温抽出方法。
【請求項2】
前記第1の器から除去された前記第1の飲料抽出物は、1種以上の加工補助で処理され
る請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項3】
前記第1の飲料抽出物は、浸出材料の第2のバッグを含む第2の器に移され、ここで、
前記第1の飲料抽出物は、前記第2の器中の浸漬液として使用される請求項1記載の低温
抽出方法。
【請求項4】
前記すすぎ飲料抽出物は、すすぎ水収集タンクに移される請求項1記載の低温抽出方法
。
【請求項5】
前記第1の浸漬工程は、精製水である浸漬液中で起こる請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項6】
前記第1の浸漬工程は、すすぎ水である浸漬液中で起こる請求項1記載の低温抽出方法
。
【請求項7】
前記第1の浸漬工程は、約65°F乃至約85°Fの温度で起こる請求項1記載の低温
抽出方法。
【請求項8】
前記第1の継続期間は、約12乃至約18時間である請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項9】
前記第2の浸漬工程は、約70°F乃至約80°Fの温度で起こる請求項1記載の低温
抽出方法。
【請求項10】
前記第2の継続期間は、約1乃至約8時間である請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項11】
前記第1の飲料抽出物は、約3.5乃至約6.5のブリックスレベルを有する請求項1
記載の低温抽出方法。
【請求項12】
1種以上の加工補助で処理される前記第1の飲料抽出物は、熱処理後に無菌で包装され
、5.5未満にならないpHを有し、約6乃至約12ヶ月の間、常温保存可能である請求
項2記載の低温抽出方法。
【請求項13】
前記すすぎ飲料抽出物は、約0.5乃至約3のブリックスレベルを有する請求項1記載
の低温抽出方法。
【請求項14】
前記フィルターバッグは、多孔質不織布、織布、1枚以上のろ紙又はろ過品質を有する
食品グレードのプラスチックから作られる請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項15】
前記浸出材料は、粉砕されたコーヒー豆又は茶葉を含む請求項1記載の低温抽出方法。
【請求項16】
前記第1の飲料抽出物は:pHを上げるための1種以上の緩衝剤の添加、沈殿形成を軽
減するための1種以上の酵素の添加、1種以上の消泡材料の添加、沈殿物を除去するため
のろ過、超高温処理又はこれらの何れかの組み合わせを含む群から選択される1種以上の
加工補助で処理される請求項2記載の低温抽出方法。
【請求項17】
前記第1の飲料抽出物は、pHを上げるための1種以上の緩衝剤で処理される請求項2
記載の低温抽出方法。
【請求項18】
前記処理は、炭酸カリウム、水酸化カリウム、第3リン酸カリウム又はそれらの何れか
の組み合わせの添加を含む請求項16記載の低温抽出方法。
【請求項19】
以下の工程:
(a)少なくとも1つのフィルターバッグを用意する工程;
(b)前記少なくとも1つのフィルターバッグに浸出材料を添加する工程;及び
(c)前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、第1の器中、第1の継続期
間で、第1の浸漬工程に付して第1の飲料抽出物を形成する工程
を含む飲料を調製するための低温抽出方法であって、
前記第1の飲料抽出物は、少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを含む第2の器
中にポンプで注入され、前記第1の飲料抽出物は、第2の浸漬のために前記第2の器内で
浸漬液として使用されて第2の飲料抽出物を形成する低温抽出方法。
【請求項20】
前記第1の浸漬工程は、約65°F乃至約85°Fの温度で起こる請求項19記載の低
温抽出方法。
【請求項21】
前記第1の継続期間は、約12乃至約18時間である請求項19記載の低温抽出方法。
【請求項22】
更に、pHを上げるための1種以上の緩衝剤で前記第2の飲料抽出物を処理する工程を
含む請求項19記載の低温抽出方法。
【請求項23】
前記処理は、炭酸カリウム、水酸化カリウム、第3リン酸カリウム又はそれらの組み合
わせの添加を含む請求項22記載の低温抽出方法。
【請求項24】
以下の工程:
(a)少なくとも1つのフィルターバッグを用意する工程;
(b)前記少なくとも1つのフィルターバッグに浸出材料を添加する工程;
(c)前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、第1の器中で、第1の継続
期間、第1の浸漬工程に付して第1の飲料抽出物を形成する工程
を含む飲料を調製するための低温抽出方法であって、
前記第1の飲料抽出物は、加工補助で処理される低温抽出方法。
【請求項25】
前記加工補助は:pHを調整するための1種以上の緩衝剤の添加、沈殿形成を軽減する
ための1種以上の酵素の添加、1種以上の消泡材料の添加、沈殿物を除去するためのろ過
、超高温処理又はこれらの何れかの組み合わせを含む群から選択される請求項24記載の
方法。
【請求項26】
前記第1の飲料抽出物は、pHを上げるための1種以上の緩衝剤で処理される請求項2
5記載の方法。
【請求項27】
前記処理は、炭酸カリウム、水酸化カリウム、第3リン酸カリウム又はそれらの何れか
の組み合わせの添加を含む請求項25記載の低温抽出方法。
【請求項28】
前記酵素の添加は、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルロース、ガラクトマンナナー
ゼ、エンド-1-4-β-マンナナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、ペクチン リアーゼ、
ポリガラクツロナーゼ、ロハペクトB1L又はそれらの何れかの組み合わせを含む群から
選択される少なくとも1種の酵素を添加することにより実施される請求項25記載の低温
抽出方法。
【請求項29】
請求項1記載の方法により調製された約3.5乃至6.5のブリックスレベルを有する
低温抽出コーヒー抽出物。
【請求項30】
請求項1に記載のすすぎ飲料抽出物から調製された約2のブリックスレベルを有する、
すぐに飲める(ready to drink)コーヒー製品。
【請求項31】
以下の工程:
(i)少なくとも1つの浸出材料のバッグを含む第1の器を、第1の浸漬工程に付して、
第1の飲料抽出物を形成する工程、
(ii)少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを含む第2の器を、第1の浸漬工
程に付して、第2の飲料抽出物を形成する工程、
(iii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを混合して混合抽出物を形成
する工程、
(iv)少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを含む第3の器を用意する工程、
(v)混合された第1及び第2の抽出物を含む前記第3の器中の少なくとも1つの浸出材
料のフィルターバッグを、第2の浸漬工程に付して、第3の飲料抽出物を形成する工程
を含む飲料濃縮物を調製するための低温抽出方法であって、
前記第3の飲料抽出物は、約10乃至約15のブリックスレベルを有する低温抽出方法。
【請求項32】
前記第3の飲料抽出物は:pHを調整するための緩衝剤の添加、沈殿形成を軽減するた
めの1種以上の酵素の添加、1種以上の消泡材料の添加、沈殿物を除去するためのろ過、
超高温処理又はこれらの何れかの組み合わせを含む群から選択される1種以上の加工補助
で処理される請求項31記載の低温抽出方法。
【請求項33】
pHの調整は、炭酸カリウム、水酸化カリウム、第3リン酸カリウム又はそれらの何れ
かの組み合わせからなる群から選択される1種以上の緩衝剤を使用して実施される請求項
31記載の低温抽出方法。
【請求項34】
前記第1の浸漬工程は、新鮮な精製水、すすぎ飲料抽出物又はそれらの組み合わせを含
む液中で実施される請求項31記載の低温抽出方法。
【請求項35】
前記第1の浸漬工程は、約70°F乃至約85°Fの範囲の温度において、約10乃至
約16時間の期間実施される請求項31記載の低温抽出方法。
【請求項36】
前記第2の浸漬工程は、約60°F乃至約75°Fの範囲の温度において、約4乃至約
8時間の期間実施される請求項31記載の低温抽出方法。
【請求項37】
前記第1の器、前記第2の器及び前記第3の器は、それぞれ、前記第1及び第2の浸漬
工程後に、新鮮な精製水で満たされてすすぎ飲料製品を形成する請求項31記載の低温抽
出方法。
【請求項38】
前記すすぎ飲料製品は、約1乃至約3の範囲のブリックスレベルを有する請求項37記
載の低温抽出方法。
【請求項39】
以下の工程:
(i)第1の器における第1の浸漬及び第2の器における第1の浸漬を実施して第1の飲
料抽出物及び第2の飲料抽出物を形成する工程であって、前記第1の器及び前記第2の器
は、それぞれコーヒー粉砕物のバッグを含む工程、
(ii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、コーヒー粉砕物のバッグを
含む第3の器中で混合することにより第2の浸漬を実施して、約10乃至約15のブリッ
クスレベルを有する第3の飲料抽出物を形成する工程、及び
(iii)前記第3の飲料抽出物を、1種以上の緩衝剤を用いる処理に付する工程
を含む低温抽出方法。
【請求項40】
前記緩衝剤で処理された第3の飲料抽出物は、約100mL以下の容積を有する容器内
に包装され、該容器はシングルサーブ飲料メーカーで使用されるのに適合する請求項39
記載の方法。
【請求項41】
容器内に包装された前記緩衝剤で処理された第3の飲料抽出物は、常温保存可能であり
、pHは5.5未満にならず、約6乃至約12ヶ月の期間、常温保存可能である請求項3
9記載の方法。
【請求項42】
前記緩衝剤で処理された第3の飲料抽出物は、約100mL以下の容積を有する容器中
に、熱処理後に無菌で包装され、該容器はシングルサーブ飲料メーカーで使用されるのに
適合する請求項39記載の方法。
【請求項43】
各第1の浸漬は、約70°F乃至約85°Fの範囲の温度で、約10乃至約16時間の
期間実施される請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記第2の浸漬は、約60°F乃至約75°Fの範囲の温度で、約4乃至約8時間の期
間実施される請求項39記載の方法。
【請求項45】
各第1の浸漬は、新鮮な精製水、すすぎ飲料抽出物又はそれらの組み合わせを含む液中
で実施される請求項39記載の方法。
【請求項46】
請求項39に記載の方法により調製された飲料濃縮物。
【請求項47】
以下の工程:
(i)第1の器における第1の浸漬を実施し及び第2の器における第1の浸漬を実施して
第1の飲料抽出物及び第2の飲料抽出物を形成する工程であって、前記第1の器及び前記
第2の器は、それぞれコーヒー粉砕物のバッグを含む工程、
(ii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、コーヒー粉砕物のバッグを
含む第3の器中で混合することにより第2の浸漬を実施して、約10乃至約15のブリッ
クスレベルを有する第3の飲料抽出物を形成する工程、
(iii)前記第3の飲料抽出物を、1種以上の緩衝剤を用いる処理に付する工程、及び
(iv)シングルサーブ飲料メーカーで使用されるのに適合する容器中に前記第3の飲料
抽出物を無菌で包装する工程
を含む低温抽出方法。
【請求項48】
前記容器は約100mL以下の製品を保持し、該容器はシングルサーブ飲料メーカーで
使用されるのに適合する請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記無菌で包装された抽出物は、常温保存可能であり、pHは5.5未満にならず、約
6乃至約12ヶ月の期間、常温保存可能である請求項47記載の方法。
【請求項50】
請求項47に記載の方法により調製されたコーヒー濃縮物製品。
【請求項51】
緩衝剤で処理され、シングルサーブ飲料メーカーで使用されるのに適合するカートリッ
ジ又は容器中に無菌で包装され、100mL以下の容積を有し、約10乃至約15のブリ
ックスレベルを有するコーヒー濃縮物製品。
【請求項52】
前記容器は、シングルサーブ飲料メーカーで使用されるのに適合する請求項51記載の
製品。
【請求項53】
前記コーヒー濃縮物製品のpHは、5.5未満にならず、約6乃至約12ヶ月の期間、
常温保存可能である請求項51記載の製品。
【請求項54】
以下の工程:
(i)浸出材料で満たされた少なくとも1つのフィルターバッグを第1の器に入れる工程
であって、前記第1の器は、以下を含むタンク本体:
内面と外面とを有する底部パネルであって、第1の伸長側部と第2の伸長側部から
該底部パネルの中央部に向かって下方に傾斜するように構成された第1の部分と第2の部
分とを含む、底部パネル、
頂部の開口部;
前記タンク本体の前記頂部の開口部を覆うことができる蓋部、及び
該タンク本体内に配置され、浸出材料を含む少なくとも1つのバッグを保持するよ
うに構成された、少なくとも1つの有孔区画
を含むものである、工程;
(ii)前記第1の器を水で満たす工程;
(iii)前記少なくとも1つのフィルターバッグを水に浸漬することにより第1の浸漬
工程を実施して第1の飲料抽出物を形成し、そして該第1の飲料抽出物をポンプで排出す
る工程、
(iv)浸出材料で満たされた第2のフィルターバッグを第2の器に入れる工程であって
、前記第2の器は前記第1の器と同様に構成される工程;
(v)前記第2の器を水で満たす工程;
(vi)前記第2のフィルターバッグを前記第2の器の水中に浸漬することにより第2の
浸漬工程を実施して第2の飲料抽出物を形成し、そして該第2の飲料抽出物をポンプで排
出する工程、及び
(vii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、第3の器中で混合して混
合抽出物を形成する工程であって、前記第3の器は、前記第1の器と同様に構成される工
程;
(viii)浸出材料で満たされた第3のフィルターバッグを前記第3の器に入れる工程
、及び
(ix)前記第3のフィルターバッグを前記混合抽出物中に浸漬することにより第3の浸
漬工程を実施して第3の飲料抽出物を形成する工程であって、該第3の飲料抽出物は、約
7乃至約13のブリックスレベルを有する工程
を含む低温抽出方法により調製されるコーヒー濃縮物製品。
【請求項55】
請求項54に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
第3の飲料抽出物は緩衝剤で処理され、100mL以下の容積を有するシングルサーブ飲
料メーカーで使用されるのに適合する容器中に無菌で包装された、コーヒー濃縮物製品。
【請求項56】
以下の工程:
(i)浸出材料で満たされた少なくとも1つのフィルターバッグを第1の器に入れる工程
であって、前記第1の器は以下を含むタンク本体:
第1の伸長側部、第2の伸長側部、第1の短側部及び第2の短側部であって、各側
部は内面及び外面を含む側部;
内面と外面とを有する底部パネルであって、前記第1の伸長側部と前記第2の伸長
側部から該底部パネルの中央部に向かって下方に傾斜するように構成された第1の部分と
第2の部分とを含む底部パネル、
ここで、前記第1の伸長側部、前記第2の伸長側部、前記第1の短側部、前記第2の短側
部及び前記底部パネルは、タンク本体を定義し、及び
該タンク本体は、頂部の開口部を含むように構成され、そして、
タンク本体の前記頂部の開口部を覆うことができる第1の蓋部及び第2の蓋部、及
び
タンク本体内に配置され、浸出材料を含む少なくとも1つのバッグを保持するよう
に構成された、少なくとも1つの有孔区画
を含むものである、工程;
(ii)前記第1の器を水で満たす工程;
(iii)前記少なくとも1つのフィルターバッグを水に浸漬することにより第1の浸漬
工程を実施して第1の飲料抽出物を形成する工程、
(iv)浸出材料で満たされた第2のフィルターバッグを第2の器に入れる工程であって
、前記第2の器は前記第1の器と同様に構成される工程;
(v)前記第2の器を水で満たす工程;
(vi)前記第2のフィルターバッグを前記第2の器の水中に浸漬することにより第2の
浸漬工程を実施して第2の飲料抽出物を形成する工程、及び
(vii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、第3の器中で混合して混
合抽出物を形成する工程であって、前記第3の器は、前記第1の器と同様に構成される工
程;
(viii)浸出材料で満たされた第3のフィルターバッグを前記第3の器に入れる工程
、及び
(ix)前記第3のフィルターバッグを前記混合抽出物中に浸漬することにより第3の浸
漬工程を実施して第3の飲料抽出物を形成する工程であって、該第3の飲料抽出物は、約
7乃至約13のブリックスレベルを有する工程
を含む低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品。
【請求項57】
請求項56に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
浸出材料は、粉砕されたコーヒー豆であるコーヒー濃縮物製品。
【請求項58】
請求項56に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
タンク本体は、約850乃至約1500ガロンの容量を有するコーヒー濃縮物製品。
【請求項59】
請求項56に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
第1の浸漬工程は、約65°F乃至約85°Fの範囲の温度で、約12乃至約18時間の
期間実施されるコーヒー濃縮物製品。
【請求項60】
請求項56に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
第2の浸漬工程は、約60°F乃至約75°Fの範囲の温度で、約6乃至約8時間の期間
実施されるコーヒー濃縮物製品。
【請求項61】
請求項56に記載の低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品であって、前記
第3の飲料抽出物は、プラスチックカップ、ボトル、FIDPEボトル、飲料カートリッ
ジ及び多層カートンを含む群から選択される容器内に無菌で充填されるコーヒー濃縮物製
品。
【請求項62】
以下を含むタンク本体:
第1の伸長側部、第2の伸長側部、第1の短側部及び第2の短側部であって、各側部は
内面及び外面を含む側部;
内面と外面とを有する底部パネルであって、前記第1の伸長側部と前記第2の伸長側部
から該底部パネルの中央部に向かって下方に傾斜するように構成された第1の部分と第2
の部分とを含む底部パネル、
ここで、前記第1の伸長側部、前記第2の伸長側部、前記第1の短側部、前記第2の短側
部及び前記底部パネルは、タンク本体を規定し、及び
該タンク本体は、頂部の開口部を含むように構成され、そして、
前記タンク本体の前記頂部の開口部を覆うことができる第1の蓋部及び第2の蓋部、
タンク本体内に配置され、浸出材料を含む少なくとも1つのバッグを保持するように構
成された、少なくとも1つの有孔区画
を含む低温抽出飲料を製造するためのシステム。
【請求項63】
前記有孔区画は、前記底部パネルの内面の上方に配置された少なくとも1つの有孔底板
及び有孔頂部扉により規定される請求項62記載のシステム。
【請求項64】
前記有孔底板は、前記タンク本体の前記底部パネルの上方約1インチに配置される請求
項63記載のシステム。
【請求項65】
前記システムは、前記タンク本体内に配置された少なくとも2つの有孔区画を含み、前
記有孔区画は、前記有孔底板から上方に延びる少なくとも1つの有孔壁により分離される
請求項62記載のシステム。
【請求項66】
各有孔区画は、更に前記有孔頂部扉に取り付けられた錠及び取っ手を含む請求項62記
載のシステム。
【請求項67】
前記タンク本体は、飲料すすぎ収集タンク及びバッチタンクと流体連通している、請求
項62記載のシステム。
【請求項68】
前記第1の蓋部及び前記第2の蓋部はそれぞれ、上面、内面及び少なくとも1つの側面
を含む請求項62記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の蓋部が前記タンク本体の前記第1の短側部に旋回可能に接続され、前記第2
の蓋部が前記タンク本体の前記第2の短側部に旋回可能に接続される請求項62記載のシ
ステム。
【請求項70】
前記第1の蓋部および前記第2の蓋部は、それらのそれぞれの側面のうちの少なくとも
1方に沿って互いに係止可能である、請求項62記載のシステム。
【請求項71】
前記タンク本体は、前記タンク本体の前記第1の短側部と前記第2の短側部とを貫通し
て配置された少なくとも2つの入口と、前記底部パネルの中央部を貫通して配置された出
口とを更に含む、請求項62記載のシステム。
【請求項72】
前記タンク本体は、前記低温抽出飲料の抽出中に液体の再循環を可能にするための、前
記タンク本体の前記第1及び第2の短側部の間の第1の導管、及び外部供給源から前記タ
ンク本体内に水をポンプで注入するための第2の導管を更に含む、請求項62記載のシス
テム。
【請求項73】
前記有孔区画のそれぞれは、約12乃至約15ポンドの浸出材料を含む少なくとも約1
3乃至約15個のバッグを保持するように構成されている、請求項62記載のシステム。
【請求項74】
前記有孔区画は、約12乃至約15ポンドの浸出材料を含む合計約72乃至約96個の
バッグを保持するように構成されている、請求項62記載のシステム。
【請求項75】
前記タンク本体は、約500乃至約1500ガロンの液体を保持するように構成されて
いる、請求項62記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2016年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/416,99
9号の優先権を主張し及びその恩恵を受けるが、その内容は参照としてここに組み込まれ
る。
【0002】
発明の分野
本開示は、一般に、低温抽出飲料組成物の製造方法、低温抽出飲料組成物を調製するた
めの装置、及び濃縮物を含む改善された低温抽出飲料組成物に関する。特に、ここで開示
される方法および装置は、改善された全固形分含量、改善された風味安定性、より長期の
保存寿命、及び、Keurig(登録商標)、Nespresso(登録商標)又は類似
の自家用抽出機のようなシングルサーブ飲料メーカーで使用するために設計された密封コ
ーヒーポッドのような小容量容器における使用への適応性を有する低温抽出飲料組成物の
効率的で迅速な工業規模の製造を可能にする。
【背景技術】
【0003】
背景
コーヒー又は茶などの抽出飲料は、非常に人気があり、様々な文化の多くの種類の人々
の間で、そして世界中の多くの国々で一般的である。最高品質の抽出物を入手し、最も効
率的な方法で最高の味を達成することは、長年にわたり多くのコーヒー及び茶製造業者の
目標であった。低温抽出のトレンドは、伝統的な高温抽出方法と比較して、過去数年間で
より主流となった。
【0004】
一般に、低温抽出方法は、粉砕されたコーヒー豆又は茶葉を常温に近い水又はより冷た
い水で長時間にわたって抽出することを含む。伝統的に、低温抽出コーヒープロセスは、
バッチごとに小さな容器でバッチプロセスで行われ、典型的には6ブリックス未満のコー
ヒー濃縮物を生じる。結果として得られる低温抽出飲料は、伝統的な高温抽出方法と比較
したときに、より望ましいと考えられる特徴を有する。例えば、低温抽出コーヒーは一般
に消費者には酸性が低く、カフェイン含有量が高く、滑らかな味を有する。一方、伝統的
に調製された高温抽出コーヒーは、より強い酸味を有することが一般に見出されており、
不均衡なpH、胸焼けの症状、及び付随する消費者の不快感を引き起こし得る。低温抽出
コーヒーは伝統的な高温抽出コーヒーよりも最大60%酸性が低いものの、加工中や包装
後の飲料のpHは、時間の経過とともに低下し、結果として酸性で苦い飲料を生じる。そ
のような飲料の消費者はまた、真の低温抽出方式で淹れられた飲料を消費することにも興
味を持っている。
【0005】
本出願人に既知の従来技術の方法は、比較的低い固形分含量レベルを有し、小売食料品
店で一般的に見られる無菌包装又は家庭用抽出機用に設計された低容量のコーヒーポッド
のような、小容量容器又は非冷蔵環境における成功利用に必要な品質を欠く低温抽出飲料
組成物をもたらす。本出願人に既知の先行技術はまた、Keurig又はNespres
soコーヒーポッドなどのシングルサーブ飲料メーカーにおける小容量包装を含む無菌包
装での使用に適した低温抽出組成物の工業規模生産に適した方法又は装置を開示していな
い。改善された全固形分含量、改善された風味安定性、より長期の保存寿命、及び、Ke
urig、Nespresso又は類似の自家用抽出機のようなシングルサーブ飲料メー
カーで使用するために設計された密封コーヒーポッドのような小容量容器における使用へ
の適応性を有する、低温抽出コーヒー濃縮物を含む低温抽出飲料組成物を製造するための
改善された方法及び装置に対する長年にわたる切実な要望が存在する。
【発明の概要】
【0006】
1態様において、飲料を調製するための低温抽出方法が提供される。該方法は以下の工
程
(i)少なくとも1つのフィルターバッグを用意する工程;
(ii)少なくとも1つのフィルターバッグに浸出材料を添加する工程;
(iii)前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、第1の継続期間で、第
1の浸漬工程に付して第1の飲料抽出物を形成し、そして該第1の飲料抽出物をポンプで
排出する工程、及び
(iv)第2の継続期間、第2の浸漬工程を実施してすすぎ飲料抽出物を形成するために
、前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグを、新鮮な精製水に曝露する工程
を含む。
【0007】
別の態様において、低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品が提供される。
該製品は、以下の工程:
(i)第1の器及び第2の器における第1の浸漬を実施して第1の飲料抽出物及び第2の
飲料抽出物を形成する工程であって、前記第1の器及び前記第2の器は、それぞれコーヒ
ー粉砕物のバッグを含む工程、
(ii)前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、コーヒー粉砕物のバッグを
含む第3の器中で混合することにより第2の浸漬を実施して、約10のブリックスレベル
を有する第3の飲料抽出物を形成する工程、及び
(iii)前記第3の飲料抽出物を、1種以上の緩衝剤を用いる処理に付する工程
を含む方法により調製される。この方法は、第3の飲料抽出物を飲料カートリッジ又は容
器又はポッドに無菌的に包装し、4℃で貯蔵する工程を更に含み得る。
【0008】
更なる別の態様において、低温抽出方法により調製されたコーヒー濃縮物製品が提供さ
れる。該方法は、浸出材料で充填された少なくとも1つのフィルターバッグを第1の器に
入れることを含み得、ここで第1の容器はタンク本体を含む。該タンク本体はまた、内面
と外面とを有する底部パネルも有し得、ここで、底部パネルは、第1の伸長側部と第2の
伸長側部から該底部パネルの中央部に向かって下方に傾斜するように構成された第1の部
分と第2の部分とを含む。該タンク本体は更に、頂部の開口部と、タンク本体の前記頂部
の開口部を覆うことができる蓋部を含むように構成される。該タンク本体は更に、タンク
本体内に配置され、浸出材料を含む少なくとも1つのバッグを保持するように構成された
、少なくとも1つの有孔区画を含む。この態様における方法は、更に、前記第1の器を水
で満たす工程、前記少なくとも1つのフィルターバッグを水に浸漬することにより第1の
浸漬工程を実施して第1の飲料抽出物を形成する工程を含み得る。該方法は更に、浸出材
料で満たされた第2のフィルターバッグを、前記第1の器と同様に構成される第2の器に
入れる工程、前記第2の器を水で満たす工程、前記第2のフィルターバッグを前記第2の
器の水中に浸漬することにより第2の浸漬工程を実施して第2の飲料抽出物を形成する工
程を含む。該方法は更に、前記第1の飲料抽出物と前記第2の飲料抽出物とを、第3の器
中で混合して混合抽出物を形成する工程であって、前記第3の器は、前記第1の器と同様
に構成される工程;浸出材料で満たされた第3のフィルターバッグを前記第3の器に入れ
る工程、及び、前記第3のフィルターバッグを前記混合抽出物中に浸漬することにより第
3の浸漬工程を実施して第3の飲料抽出物を形成する工程であって、該第3の飲料抽出物
は、約7乃至約13のブリックスレベルを有する工程を含む。
【0009】
別の態様において、低温抽出飲料を製造するためのシステムが提供される。該システム
は、第1の伸長側部、第2の伸長側部、第1の短側部及び第2の短側部含むタンク本体を
含み得、ここで、各側部は内面及び外面を含む。該タンク本体はまた、内面と外面とを有
する底部パネルも含み得、ここで、底部パネルは、前記第1の伸長側部と前記第2の伸長
側部から該底部パネルの中央部に向かって下方に傾斜するように構成された第1の部分と
第2の部分とを含む。前記第1の伸長側部、前記第2の伸長側部、前記第1の短側部、前
記第2の短側部及び前記底部パネルは、タンク本体を規定し、該タンク本体は、更に、頂
部の開口部、タンク本体の前記頂部の開口部を覆うことができる第1の蓋部及び第2の蓋
部を含むように構成される。タンク本体は更に、タンク本体内に配置され、浸出材料を含
む少なくとも1つのバッグを保持するように構成された、少なくとも1つの有孔区画を含
む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明を説明する目的で、本発明の特定の態様を示す。しかしながら、本発明は、図面
に示された態様の正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【
図1】
図1は、閉鎖状態にある抽出タンクの1態様の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、解放状態にある抽出タンクの1態様の斜視図を示す。
【
図2A】
図2aは、閉鎖状態にある抽出タンクの1態様の上面図を示す。
【
図3】
図3は、閉鎖状態にある抽出タンクの1態様の端面図を示す。
【
図4】
図4は、係止可能な縁部を示す、抽出タンク蓋の例示的な側面図である。
【
図5】
図5は、抽出タンク内の有孔底板の上面図を示す。
【
図6A】
図6Aは、有孔底板と抽出タンク内の区画の上面図である。
【
図6B】
図6Bは、抽出タンク内の閉鎖状態にある区画の上面図である。
【
図6C】
図6Cは、
図10Aにおいて示されるタンクの線6C-6Cに沿って切り取られた有孔区画の断面端面図を示す。
【
図6D】
図6Dは、
図3において示されるタンクの線6D、6E-6D、6Eに沿って切り取られた抽出タンクの断面図である。
【
図6E】
図6Eは、
図3において示されるタンクの線6D、6E-6D、6Eに沿って切り取られた抽出タンクの断面図であり、区画内のコーヒーバッグを示す。
【
図7】
図7は、抽出タンク内の1区画の詳細を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、抽出タンク内の1区画の扉の詳細を示す上面図である。
【
図9】
図9は、側部II及びIVの詳細を示す閉鎖された抽出タンクの斜視側面図である。
【
図10A】
図10Aは、導管を有するタンクの側部-Iの詳細を示す抽出タンクの1態様の側面図である。
【
図10B】
図10Bは、抽出タンクの入口に連結し得るノズルの1態様の側面図である。
【
図10C】
図10Cは、抽出タンクの入口に連結し得るノズルの別の態様の側面図である。
【
図11】
図11は、大規模スケールの低温抽出方法中の直列に配置されたタンクの斜視図を示す。
【
図12】
図12は、1回の浸漬工程を伴う低温抽出方法の略図である。
【
図13-2】
図13は、2回の浸漬工程を伴う低温抽出方法の略図である。
【
図14】
図14は、大規模スケールの低温抽出方法を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
ここに開示及び記載されているのは、低温抽出コーヒー製品を製造するために使用され
る新規な抽出システム又は装置である。該システムは、タンク中に浸されて分離されてい
る粉砕されたコーヒーの多数のバッグを加工するために、大きなステンレス鋼のタンクの
ような、1つ以上の器又は容器を含むがこれらに限定されない。開示されたシステム及び
方法は、小バッチ加工の利点を使用する低温抽出濃縮物の大規模製造を可能にする。開示
された抽出方法は半連続的であり、ブリックスレベル(ここで使用される「ブリックス」
は、液体中に溶解した固形物の量の程度の尺度である)が変化し得るコーヒー濃縮物製品
を提供し得るが、伝統的に製造されたコーヒーよりも、酸性が低く、保存安定性が高い(
即ち、包装時から消費時までの最低pHを保持する濃縮物であるか又は5.5乃至7.0
のpHを有する濃縮物)。
【0012】
開示されたシステム及び方法の重要な成果は、10を超えるブリックスレベルを達成す
るために伝統的な低温抽出方法に従うことができることにある。このレベルは、約40m
L乃至約100mLの一定サイズの飲料カートリッジに、結果として得られる低温抽出濃
縮液を充填することを可能とし、その後、Keurig抽出機のような定期利用可能なコ
ーヒーシステムに使用した際、結果として得られる希釈物は、心地良く口当たりがよいコ
ーヒー飲料を生じる。そのようなカートリッジはまた、消費者が蓋を外して氷の上に注ぎ
、ホットとは反対の冷たい、そのような製品を楽しむために、水又はミルク、アーモンド
ミルク等のような他の液体を加えるためにも使用され得る。
【0013】
本抽出システム及び方法は、実施例の方法及び図面を参照することにより詳細に記載さ
れる。修正は、開示及び記載された実施例、構成、構成要素、要素、装置、方法、材料等
に対してなすことができ、特定の用途には望ましいであろうことが理解されるであろう。
本開示において、特定の形状、材料、技術、配置等の何れの識別も、提示された特定の実
施例に関連するか、又は単にそのような形状、材料、技術、配置等の一般的な記載の何れ
かである。具体的な詳細又は実施例の識別は、そのように具体的に指定されていない限り
、必須であること又は限定することとして意図するものでなく、また、そのように解釈さ
れるべきではない。高品質の低温抽出コーヒー製品を製造するための抽出システム及び方
法の選択された実施例が、以下に開示され、
図1乃至14を参照して詳細に説明される。
【0014】
低温抽出コーヒーを製造するためのシステム
ここで
図1乃至14を参照するが、
図1は、低温抽出コーヒーを製造するための抽出シ
ステム10の1態様を示す。
【0015】
該システムは、
図11に示されるように、この開示において詳述される低温抽出コーヒ
ーの大規模バッチを加工するための何れの好適な形状及びサイズの、1つの器若しくは抽
出タンク本体12(
図1に示される)又は一連のタンク14も含み得る。器又はタンクは
、パイプと、タンク間の液体流を動かすためのポンプシステムとにより相互接続され得る
(
図11に示される)。
【0016】
1態様において、タンク本体12は、単層又は二層の鋼壁であり得る。タンクは、地面
から少なくとも40乃至約48インチの高さであるか、又はタンクの底面から上面まで約
22インチであり得る。タンク本体12の高さは、作業者が外部プラットフォームなしで
タンク本体12内にコーヒーバッグを積み込み又は積み降ろしするのを容易にするような
ものであり得る。タンク本体12は、約110インチの長さ、約65インチの幅であり得
る。各タンク本体12は、少なくとも約500乃至約1500ガロンの液体又はそれ以上
を保持し得る。1態様において、タンクは長方形の形状を有するものの、好適なサイズ及
び形状の何れの器も、開示された低温抽出方法のために使用され得ることは当業者に明ら
かであり得る。
【0017】
図1及び
図2に示すように、単一のタンク本体12は、第1の伸長側部I及び第2の伸
長側部IIであって、各伸長側部は内面la、Ila及び外面lb及びlibを有する;
第1の短側部III及び第2の短側部IVであって、各々は、内面Ilia、IVa及び
外面Illb及びIVbを有する、頂部の開口部16、及び底部パネル18を有する長方
形のタンク本体を有し得る。従って、タンク本体12は、第1の伸長側部I、第2の伸長
側部II、第1の短側部III、第2の短側部IV及び底部パネル18により規定される
。
図3に示されるように、底部パネル18はまた、第1の伸長側部I及び第2の伸長側部
IIから底部パネル18の中央部分に向かって下方に傾斜するように構成された内面18
a、外面18b、第1の部分及び第2の部分も有し得る。従って、タンク本体12の底部
パネル18はV-形状を有し得る。タンク本体12の底部パネル18のこの特定の設計は
、タンク本体12の底部パネル18の中央部分に配置された出口58を通る液体の容易な
排水を促進する。タンク本体12からの液体の容易な排出を促進するタンク本体12の何
れの好適な設計も使用され得ることは当業者に明らかであり得る。
【0018】
図1を再び参照すると、タンク本体12の頂部の開口部16は、第1の蓋部20a及び
第2の蓋部20bで覆われ得る。第1の蓋部20a及び第2の蓋部20bは、それぞれ蓋
が開閉できるように、タンク本体12の第1の短側部III及びタンク本体12の第2の
短側部IVに、旋回可能に接続され得る。
図2にも示されるように、各蓋部20a及び2
0bは、蓋20a又は20bの側部24a又は24bを通ってタンクの第1のIII又は
第2の短側部IVに旋回可能に接続され得る。各蓋部20a及び20bはまた、自由に対
向する係止可能面25a又は25bも含み得る。第1及び第2の蓋部20a及び20bは
、これに限定されるものではないが、ヒンジ機構のような当技術分野における既知の手段
を介してタンク本体12に旋回可能に接続され得る。
図2にも示されるように、ヒンジ機
構は、タンク蓋24aの各短側部に配置されたロッド形状の取っ手28を更に含み得る。
ロッド形状の取っ手28は、タンク本体12内のコーヒーバッグの積み込み又は積み降ろ
しの間、蓋を開いた状態に保ち、90度の角度で係止するように機能し得る。この態様に
おけるタンク蓋20a及び20bは、タンク本体12の短側部III及びIVに別々にヒ
ンジ結合されているものの、タンク本体12上でスライドすることができる一重の蓋又は
二重の蓋のような、しかしそれらに限定されない他の構成もまた使用され得ることは、当
業者に明らかであり得る。
【0019】
図4は、タンク蓋が閉じられたときに互いに係止することが可能な第1の蓋部20aの
係止可能面25a及び第2の蓋部20bの25bを示す。係止は、第2の蓋部20b上の
内向きに湾曲した表面34と共に第1の蓋部20aの上向きに突出する表面32により容
易にされ得る。この構成は、浸漬操作中に蓋を係止したままにし、外部の汚染液体がタン
クに入るのを防止することを可能とする。当技術分野における何れの他の既知の技術手段
、例えば、シールを用いるようなものもまた、タンク本体12に外部液体が入るのを防ぐ
ために利用され得ることは、当業者に明らかであり得る。
【0020】
蓋部20a及び20bの短側部24a及び24bがタンク本体12の側部III及びI
Vに旋回可能に接続されていることに加えて、第1及び第2の蓋部20a又は20bはま
た、上面21、内面22及び少なくとも1つの側面23a又は23bも有し得る(
図2、
及び2aに示される)。第1及び第2蓋部20a、20bの上面21は、タンク本体12
の伸長側部I及びII並びに短側部III及びIVから蓋の中心に向かって上向きに傾斜
して、ピラミッドの様な形状を形成し得る(
図2参照)。一方、蓋の内面は逆ピラミッド
のような形状であり得る(図示せず)。蓋表面、特にピラミッド形状の上面21の特定の
設計は、何れのこぼれる液体もタンクから滑り落ちることを可能にし、タンクの表面上に
溜まり水が蓄積するのを防止する。第1及び第2の蓋部の上面のピラミッド形状はタンク
本体12の表面上における水の蓄積を防止するため、本開示におけるこの特徴はまた、防
雨面とも言及される。蓋の各側面23a及び23bにおいて、少なくとも1つの取っ手2
6は、作業者が浸漬作業の前に蓋を開ける(
図2又は2a参照)か又は浸漬作業中に蓋を
閉じることを可能にするために、対向する両側に配置され得る。取っ手26は、
図1-2
に示されるように、長方形の形状の取っ手を含むが、これに限定されない何れの好適な形
状も有し得る。
【0021】
タンク本体12は更に、タンク本体12の各伸長側部、即ちI又はIIにおいて少なく
とも3つの支持部又は脚部30の手段により地面上に安定に保持され得る(
図1-3に示
される)。各支持部30は地面から約12インチの高さであり得る。開示された低温抽出
方法のために使用される大きな器に安定性を提供するために、吸引パッドのような、しか
しこれに限定されない他の機構又は何れの他の既知の手段も使用され得ることは、当業者
に明らかであり得る。
【0022】
この態様において、システムはまた、タンク本体12の底部パネル18の内面の上方に
配置された恒久的に吊り下げられた有孔平板又は上げ底部36(
図5)も含み得る。
図3
に示すように、上げ底部36は、上げ底部36とタンク本体12の底部パネル18の中央
部分との間に、少なくとも0.5乃至1インチの間隙が存在するように位置決めされ得る
。浸漬操作の間、上げ底部36はコーヒーバッグを保持するのに役立つ。この態様におい
て上げ底部36は恒久的に接続され得るものであるが、それはまた、タンク本体12の取
り外し可能及び/又は使い捨て可能な部分として存在し得るものでもあることは、当業者
に明らかであり得る。
【0023】
図6Aは、タンク本体12内に合計約96個のコーヒーバッグを保持するための少なく
とも約6つの等しいサイズの有孔区画38a乃至fを有する、開示された抽出タンク10
を示す。別の態様において区画の数が調整可能であり得ることは、当業者に明らかであり
得る。同様に、一つの区画内に配置されるコーヒーバッグの数もまた変化し得る。
【0024】
1態様において、各区画は、少なくとも約13乃至15個のコーヒーバッグを保持する
のに適した寸法を有し得る。三次元図において立方体のように形作られた有孔区画38a
乃至fは、タンク本体12内の区画(ケージ、又は立方体、又はバスケットとも言及され
る)のための骨格の枠組みを形成する仕切り又は鋼棒39a、b及び40a、b(
図6A
、Bに示される)により形成される。例えば、仕切りは、第1の位置39aにおいてタン
クの上げ底部36の中心に沿ってタンク本体12の側部IIIから側部IVへと長手方向
に延び得、他の2つの仕切りは、タンク本体12の上げ底部36上に等しい大きさの四角
形を創出するために、第2の位置40aにおいてタンクの上げ底部36上の側部Iから側
部IIへと幅方向に延び得る(
図6A)。これらの仕切り39a及び40aは、区画のた
めの底部の枠組みを提供する。約17インチの高さであり得る少なくとも2つの垂直仕切
り41は、6つの有孔区画38a乃至fのそれぞれの深さのための枠組みを提供するため
に、タンクの高さ(
図6Cに示される)に沿って仕切り39aから延長し得る。底部の枠
組みの位置を反映するさらなる同一の仕切り39b及び40b(
図6Bに示される)は、
区画38a乃至fのための頂部の枠組みを提供するために、垂直仕切り41の上に形成さ
れ得る。有孔区画のための骨格の枠組みが形成されると、タンク本体12における底部の
仕切り39a及び40aと頂部の仕切り39b及び40bとの間に垂直に延びる複数の有
孔壁42が、タンク本体12の有孔区画38の形成を完了するために形成され得る(
図6
C、6D及び6E)。従って、有孔区画38a乃至fは、各区画の底面を形成する上げ底
部36、各有孔区画の有孔側部又は壁、及びタンク本体12の内面(即ち、Ia、Ila
、Ilia及びIVa)により規定される。例えば、
図6Bに示される有孔区画38aは
、中央に沿って壁として機能する2つの垂直多孔板38a1及びa2を有し得るが、一方
タンクの側部II及びIVの内面は、他の2つの壁38a3及び38a4を形成する。一
方、有孔区画38bの場合、タンク側部IIの内面は1つの壁38を形成するが、他の3
つの壁は垂直に配置された有孔板により形成される。38a又は38bと同様の構造が、
残りの区画38c乃至fのために形成され得ることは、当業者に明らかであり得る。
【0025】
浸漬操作の間、コーヒーバッグは各有孔区画38の内部に配置され得る(
図6E及び図
7)か又は区画の数個のみに配置され得る。
【0026】
1態様において、各有孔区画のための扉44も頂部表面として設けられ得る。各扉44
は、何れの既知のヒンジ機構45(
図8に示される)を介しても仕切り39bに旋回可能
に連結され得るため、扉44a乃至fはそれぞれ独立してタンクの中央に向かって作業者
によって開けることができ(
図7における区画の開放扉参照)、これにより、コーヒーバ
ッグの積み込み又は積み降ろしの際に容易になる。各扉44はまた、コーヒーバッグを積
み込み又は積み降ろしをするときに作業者が区画扉を開くことを可能とするために、取っ
手47も含み得る。タンクが液体で満たされたときにコーヒーバッグが上方に浮くのを防
止するために、扉44は更に、何れの技術的に既知の係止手段48(
図8)も含み得る。
扉44は、タンク本体12の頂部16の少なくとも約7インチ下方に配置され得る。この
態様において、各区画a乃至fは、底部表面(上げ底部36によって特徴付けられる)及
び壁(有孔壁又はタンク側部の内面によって特徴付けられる)のような恒久的に溶接され
た部分と比較して、可動部分として扉44のみを含んでいるものの、恒久的に接続された
部分、即ち上げ底部、及び区画の壁もまた、タンク本体12内の取り外し可能及び/又は
調整可能な特徴として設計され得ることは、当業者により理解され得る。
【0027】
タンク本体12内の液体の穏やかな非乱流の再循環は、タンクの短側部、即ちIIIと
IV(
図1に示される)との間に延びる導管又はパイプ49を介して可能になり得る。図
1及び9に示されるように、2つの入口50及び52は、それぞれタンク本体12の各側
部III及びIVを介してして配置され得、地面から約15インチ及び側部III又は側
部IVの一方の端から約15インチに配置され得る。各入口50又は52は、ノズル54
を含み得る。ノズル54(
図1B乃至D)は、タンク本体12の内部に十分な速度の液体
流を創出するように成形され得る(
図10B及び
図10Cに示す)が、これはタンクが、
浸漬作業の完了後に、湯又は中性洗剤を含む水のような、しかしこれらに限定されない洗
浄液で洗浄されるときに特に有用である。当業者には明らかであるように、タンク本体1
2は、浸漬操作中又は浸漬操作後の液体の流量を調整するために、バルブのような当技術
分野において既知の何れの流量調整機能も含み得る。
【0028】
図1、9A又は10に示されるように、典型的には、浸漬操作の開始において、精製水
が、各区画に約12乃至15個のコーヒーバッグが充填されているタンク本体12内に、
パイプ49に接続された外部パイプ56を通して、ポンプで送り込まれ得る。水は、タン
クの各側部III及びIVに配置された両方の入口50及び52を通ってタンク内を流れ
る。タンクが水であふれ、タンク本体12内の区画扉44の上方約2乃至5インチに達す
ると、パイプ56内に配置されたバルブが閉鎖され得、これにより、2つの入口50と5
2の間で、水の再循環のみが生じることを可能にする。この再循環機構は、タンク本体1
2内の浸漬液が、浸漬操作中に穏やかに混合されることを可能にする。浸漬操作の完了後
、浸漬液又はコーヒー抽出物は、タンク本体12の底部に配置された1つの出口58(図
3に示される)を通してポンプで排出され得る。この態様において、入口50及び52並
びに出口58はステンレス鋼のパイプとして示されているものの、ホースのような、しか
しこれに限定されない他の既知の導管が、タンク本体12の入口50、52及び出口58
に、取外し可能に結合され得ることは、当業者により理解され得る。
【0029】
図7に示されるように、浸漬操作の開始において、粉砕されたコーヒーを含み、約13
ポンドの重さである約12乃至15個のコーヒーバッグが、タンク本体12内に充填され
得る。この態様において、バッグ72は、扉44と対面する描写線72aを用いて垂直に
配置されているように示されているものの、コーヒーバッグ72を互いに水平に積み重ね
るか又は区画内に形成された単一のセル内に個々のコーヒーバッグ72を配置するような
他の好適な何れの構成も、開示された方法において使用され得ることは、当業者に明らか
であり得る。
【0030】
コーヒーバッグ72は、タンク内の液体が各バッグ72を完全に濡らすことができ、同
様にタンクの一方の側から他方へ、1種以上の供給源で容易に満たされ及び空にされ得る
ように、区画38内に離間され得る。全てのコーヒーバッグが一緒に集まらず且つバッグ
が液体に浸され及び液体に囲まれた状態に保たれるように、コーヒーバッグを1つ又はグ
ループごとに分離することができるように維持する何れの機械装置も許容されることは、
当業者には明らかであり得る。
【0031】
全ての区画に装填した後、バッグ72を定位置に保ち及びそれらが区画38の上に浮か
ぶのを防ぐために、扉44は係止され得る。タンク蓋20a、bは、固定され得、そして
、タンク本体12は、パイプ49及び56を介して液体(精製水)で満たされ得る。タン
ク本体12が、流量計(図示せず)で示されたように、液体で満たされると、タンク内の
液体が今度はパイプ49を介して側部IIIから側部IVに再循環するようにパイプ56
内のバルブが閉じられる。浸漬操作は、コーヒー抽出物を形成するために約12乃至18
時間続けられ得る。浸漬操作の後、コーヒー抽出物はトート88(
図14に示される)に
収集され得るか又は追加の加工に付され得るか又は出口58を通して新たなタンクにポン
プで排出され得る。
【0032】
図11に示されるように、大規模の低温抽出操作のために使用され得る一連のタンク1
4が、本開示に記載されている。一連のタンク14は、すべて同じサイズ及び容量であり
得るか又は別の態様においては、サイズ及び容量が異なり得る。一連のタンク14は、バ
ルブ64を含むパイプシステム62、又はタンク間の液体流の調節を可能にする何れかの
既知の方法により相互接続され得る。タンク本体12内又は一連のタンク14間の液体の
循環は、一般に、モーターアセンブリ66により駆動される。
【0033】
低温抽出コーヒーの製造方法
本開示の方法は、ライト、ミディアム、ミディアム~ダーク又はダークローストを含む
すべての種類の焙煎コーヒー豆を抽出するために好適であるが、それらのより高いpHの
ために、「ミディアム~ダーク」又は「ダーク」ローストが好ましい。多くの焙煎業者は
彼らの好みの焙煎のための特別な名前を持ち得るが、業界標準化の欠如に起因して、焙煎
は一般的に焙煎の継続期間に基づいて定義される。そのため、より浅い焙煎は、より短い
継続期間の間豆を焙煎した後に得られた豆であり得、一方、ミディアム又はダークの焙煎
(ロースト)は、より長い時間豆を焙煎することにより得られ得る。しかしながら、焙煎
は一般に、全米コーヒー協会(NCA)によって概説されているように、それらの外観及
び風味により識別され得る。例えば、伝統的な3種類の焙煎のうち、「ライターロースト
(より浅い焙煎)」コーヒーは、コーヒー豆の表面に油が見られる、やや暗めの茶色の「
ミディアムロースト」又は暗色乃至殆ど黒色の「ダークロースト」コーヒーと比較して、
薄茶色を有し及び豆の表面に油を有さない。ライトローストコーヒー中のクロロゲン酸は
完全に分解されないため、ライターローストはまた、ミディアム又はミディアム~ダーク
又はダークの焙煎コーヒーと比較して、最も高い酸性度を有し得る。一方、焙煎プロセス
は焙煎レベルに依存してコーヒー豆中のクロロゲン酸の最大乃至完全な分解を容易にする
ため、ミディアム及びミディアム乃至よりダークな焙煎は、ライターローストコーヒーと
比較して酸性度が低い。従って、ミディアム乃至ダークの焙煎は、より酸性度が低く、よ
り口当たりがよい。
【0034】
図12は、開示された抽出システム10を使用する低温抽出コーヒーのための方法74
を示す。該方法は、(i)少なくとも1つのフィルターバッグを用意する工程、(ii)
前記少なくとも1つのフィルターバッグに浸出材料を添加し、そして、前記少なくとも1
つの浸出材料のフィルターバッグを、少なくとも第1の継続期間で、少なくとも1つの第
1の浸漬工程に付して第1の飲料抽出物を形成する工程、(iii)前記第1の飲料抽出
物を除去する工程、及び(iv)少なくとも第2の継続期間、第2の浸漬工程を実施して
すすぎ飲料抽出物を形成するために、前記少なくとも1つの浸出材料のフィルターバッグ
を、新鮮な精製水に曝露する工程を含む。
【0035】
浸漬方法は、一般に、水透過性フィルターバッグを、茶葉又は粗粉砕コーヒー豆のよう
な浸出材料で満たすことを含み得る。粗粉砕コーヒー豆は、市販で入手可能なミディアム
ロースト又はミディアム~ダークのコーヒーローストであり得、そしてエチオピア、スマ
トラ又はコロンビアのコーヒー粉砕物を含むがこれらに限定されない群から選択され得る
。フィルターバッグは、何れの伝統的な茶又はコーヒーのバッグ、パウチ、パケット、サ
シェ、パッケージでもあり得、そして多孔性の不織布、織布、又は1枚以上のろ紙又は食
品グレードのプラスチック又はナイロンから作製され得るか又はろ過品質を有する何れの
既知材料でも作成され得る。フィルターバッグは、長方形、円形又はボトル形状を含むが
これらに限定されない何れの適切な形状においても存在し得る。バッグは、茶葉又はコー
ヒー粉砕物からの細塵の通過を防止するために、高い湿潤強度及びろ過品質を有し得る。
フィルターバッグはまた、高い粒子保持容量のための大きな表面積を有する、McMas
ter-Carrからのフェルトフィルターバッグのように、市販で入手可能であり得る
。これらのフェルトフィルターバッグは、典型的には、コーヒー粉砕物又は茶葉のような
、浸出材料又は飲料の約15乃至約30ポンドに適合し得、そして約14乃至約24イン
チの範囲の直径及び約18インチ乃至約34インチの範囲の高さを有し得る。フェルトフ
ィルターバッグは、約1ミクロン乃至約200ミクロンの範囲の粒径をろ過することが可
能であり得る。典型的なティーバッグ又はコーヒーバッグのように、浸出材料は、バッグ
を何れのパイプ又はホース又はロッドにも結び付けるための縫い目のある引き紐のような
、しかしこれに限定されない、当技術分野における何れの既知手段によってもバッグ内に
密封され得る。
【0036】
1態様において、約13乃至15ポンドの範囲の既知量の浸出材料が、密封されている
バッグ72中に既に配置され得る。別の態様において、バッグの容積の約80%が茶又は
コーヒー粉砕物で満たされ、使用直前に密封され得る。フィルターバッグが浸出材料又は
具体的にはコーヒーで満たされると、バッグ72は、開示された単一のタンク本体12(
図1に示されるように)の区画38a乃至fの中、又は一連の14内の少なくとも2つの
タンク、タンク1及び2の中に配置され得、パイプ56及び49(
図13及び14)を介
して精製水で満たされ得る。別の観点において、バッグ72は、タンク本体12内に充填
する前に、バッグ及びその内容物を十分に湿らせるために、精製水内に予め浸すか又は精
製水を噴霧され得る。タンク本体12の寸法を考慮すると、1態様におけるタンク本体1
2内の単一区画38は、約12乃至15個のバッグを保持し得、6個の区画38a乃至f
を有する単一タンク本体12は、浸漬操作当たりの合計において、約72乃至96個のバ
ッグを保持し得る。
【0037】
タンク本体12内の単一の区画38内に充填されるコーヒーバッグの数もまた、コーヒ
ー焙煎の性質に応じて変わり得る。例えば、粉砕されたコーヒーがスマトラである場合、
12個のバッグのコーヒーが1つのタンク内に配置され得、一方、粉砕されたコーヒーが
コロンビアのブラックの場合、15個のバッグが各区画内に配置され得る。開示された方
法は、タンク本体12の全区画を、コーヒーバッグで充填することを記載しているが、当
業者は、浸漬工程の間、より少ない区画がコーヒーバッグで充填され得ることを認識する
だろう。
【0038】
当業者はまた、水の精製が、逆浸透(RO)を含むがこれに限定されない、当技術分野
における何れの既知の手段によっても達成され得ることも理解するであろう。精製水は一
般に、味、鉛、硝酸ヒ素、ナトリウムのような有害な不純物、及び水道水中に存在し得る
細菌のような、製品の品質を妨げ得る、水分子よりも大きな何れの汚染物質をも一掃する
のに役立つ。1態様において、浸漬タンク内の水は、浸漬操作の間、約60°F乃至約9
0°Fの範囲の周囲温度に維持される。別の態様において、浸漬タンク内の水は、冷たい
冷蔵水のような、60°F未満であり得るか又は90°Fを越え得る。
【0039】
浸漬タンク内の水の量は、一般に、コーヒーのような浸出材料の質量の約4倍である。
幾つかの態様において、コーヒーに対する水の比率は、約3:1又は2:1であり得る。
タンク本体12内の水位は、何れの任意のタンクにおいても区画扉44の少なくとも約2
乃至約10インチ上方に維持され得る。タンク本体12又は一連のタンク14が水で満た
されると、パイプ56内のバルブが閉じられてタンク内のパイプ49を介して水の再循環
が開始され得る。再循環プロセスは、浸漬サイクル全体の間に起こり得る。
【0040】
浸漬又は浸漬工程は、一般に、約2乃至約20時間の範囲の期間継続し得る。浸漬時間
はまた、約15又は約12又は約10又は約5又は約1のブリックスレベルが達成される
までに決定され得るか又はロースト及び/又は固形材料の量又はバッグの数に応じて使用
者により決定され得る。
図12及び
図13に示されるように、開示された抽出方法が1つ
以上の浸漬工程を含むとき、浸漬時間の継続期間もまた変化し得る。例えば、第1の浸漬
工程の継続期間は、典型的には約12乃至16時間続き得るが(「第1浸漬」としても言
及される)、一方、第2の浸漬工程の継続期間は約1乃至約8時間続き得る(「第2浸漬
」としても言及される)(
図12及び
図13に示される)。1態様において、第1及び/
又は浸漬工程は、新鮮なRO水を用いて行われ得るか又は前の浸漬工程から得られたすす
ぎ水を用いるか、若しくはブリックスレベルが約1に到達するまでコーヒー濃縮物又は固
形物を新鮮なRO水に添加することにより行われ得るか又はすすぎ水は在庫(inven
tory)から得られ得る。ここで使用される「すすぎ水」は、第2の浸漬工程の完了後
に器から得られる水を言及する。別の態様において、第1の浸漬工程及び/又は浸漬工程
は、新鮮なRO水とすすぎ水との組み合わせで行われ得る。
【0041】
第1の浸漬工程又は第1浸漬の完了後、単一のタンク本体12(
図12に示されるよう
な)又は少なくとも2つのタンク、即ち、
図14に示されるようなタンク1及び2からの
コーヒー抽出物84は、pH調整のための緩衝剤、沈殿物形成を軽減するための酵素、微
粒子、沈殿物等をろ去するためのプリーツフィルターシステムのような、しかしこれらに
限定されない加工補助を用いる即時加工のために、出口58を介してバッチタンク86内
にポンプで送り込まれ得る。さもなくば、第1浸漬の後のコーヒー抽出物84はまた、4
0°Fで低温保存するためにバッグイントート(bag-in-tote)にポンプで送
り込む前に同じタンク1又は2において追加の加工に付され得るか又はUHT処理及び包
装のような、しかしこれらに限定されない更なる加工まで凍結し得る。単一のタンク(図
12又は
図13のタンク1又は2)において新鮮な精製水を用いて行われた第1浸漬の後
のコーヒー抽出物84(又は「第1のコーヒー濃縮物」)は、典型的には約4.5乃至約
5.5のpH及び約3.5乃至約6.5のブリックスレベルを有し得る。バッチタンク8
6及びすすぎ収集タンク82(
図12及び
図13に示される)は、それぞれ、約1000
ガロンの液体又はコーヒー抽出物又は少なくとも2つのタンクからポンプで排出された抽
出物を保持する容量を有し得る。
【0042】
2つの別々のタンク、即ち、
図13又は
図14に示されるようなタンク1及び2から得
られる第1浸漬の後のコーヒー抽出物84が、新たなコーヒーバッグを含む第3のタンク
(例えば、
図13又は
図14におけるタンク5)にポンプで送り込まれ得ることもまた想
定される。第3のタンク(
図13におけるタンク5)が、新鮮なRO水の代わりにタンク
1及び2からの混合された抽出物で満たされると、第2の浸漬工程(「第2浸漬」とも言
及される)が、約60乃至75°Fの温度で約6乃至約8時間の継続期間で行われ得る。
2つの別々のタンク(即ち、
図13又は14におけるタンク1及び2)から得られる結果
として生じる抽出物86(又は「第2のコーヒー濃縮物」)は、約7乃至約13のブリッ
クスレベルを有し得る。抽出物のブリックスレベルは、米国ニュージャージー州のハケッ
トタウンに位置するRudolph Research AnalyticalからのR
efractometer Model A21341-CC J-257.12 VD
C;80W;SN 3964を使用して、ここで決定される。ブリックス測定は、以下の
工程を含むプロトコルにより行われ得る:
設定温度
a.プレス温度
b.プレス温度制御
i.25℃を選択
装置の較正
c.ゼロを押す
d.試料皿の純水を入れるよう画面に表示される
e.試料皿の目を水 ACS等級で覆う。泡がないことを確認する。
i.水、ACS、試薬等級、RICCAからの
ASTM Type CAT#9150-32
f.Doneをクリック
g.測定値がBrixとして画面に表示される。
h.装置はテストの準備ができている。
装置を乾かすためにKim Wipeで試料皿を拭く
試料皿の目にテストするサンプルを置く
測定を選択
測定値を記録する
【0043】
コーヒー抽出物84が、第1浸漬又は第2浸漬の後にポンプで排出されるとき、コーヒ
ーバッグを含む
図12におけるタンク1又は
図13におけるタンク1、2及び5は、再び
新鮮な精製水(RO水)で満たされて、約60乃至約70°Fの温度で約1乃至約4時間
の第2の継続期間の第2の浸漬工程が実施され得る。新鮮なRO水を用いるこの第2の浸
漬工程は、すすぎ工程として特徴付けられる。第2の浸漬工程が完了した後、結果として
生じたすすぎ水80は、その後、すすぎ収集タンク82にポンプで送り込まれ得る。さも
なくば、すすぎ水80はまた、新たなコーヒーバッグ72(図示せず)を含む新たなタン
クに送り込まれるか、又は別の浸漬工程のために同じタンク1又は2(
図13F参照)に
ポンプで送り込まれ得る。
【0044】
新鮮な精製水を用いる浸漬工程後に得られるすすぎ水80は、典型的には、約1.5の
ブリックスレベル(又は「第3のコーヒー濃縮物」)を有し得る。1.5を超えるブリッ
クスを有するコーヒー濃縮物はそれ自体が「すぐに飲める」(ready to dri
nk)(RTD)製品であり得ることは当業者に明らかであり得る。
【0045】
さもなくば、ブリックスレベルが増大したコーヒー濃縮物製品を得るために、新たに充
填されたコーヒーバッグを含む新たなタンクにおける浸漬液として約1.5ブリックスを
有するすすぎ水80を利用し得る。ブリックスが異なるコーヒー濃縮物製品を形成するた
めに、5ブリックスを超えるコーヒー濃縮物が、1部のコーヒーに対して2部の水の比率
において水で希釈され得、8ブリックスを超えるコーヒー濃縮物が、1部のコーヒーに対
して4部の水の比率において水で希釈され得、そして、11ブリックスを超えるコーヒー
濃縮物が、1部のコーヒーに対して5部の水の比率において水で希釈され得、従って、開
示された低温抽出方法の後に約100mL又は約60mLまでの容積を満たす容量を有す
る飲料カートリッジ中に包装され、別々の製品として販売される可能性があり得ることは
当業者に明らかであり得る。この開示は二重浸漬の抽出方法を記載しているが、12ブリ
ックスより高いコーヒー濃縮物を得るために、より多くの浸漬工程、即ち、第3浸漬又は
第4浸漬を実施し得ることは当業者に明らかであり得る。
【0046】
当業者はまた、低温又は高温抽出方法によって得られるコーヒー濃縮物に固形物を添加
すること又は低温抽出及び高温抽出からの抽出物を組み合わせることの何れかによりブリ
ックスレベルを増大させる従来の方法とは異なり、開示された方法が、何れのそのような
添加物無しに、約12ブリックスまでのコーヒー濃縮物を提供することができるという事
実も理解し得る。
【0047】
開示された低温抽出方法は、伝統的に抽出されたホットコーヒーと比較して酸性度が低
いが、浸漬抽出物のpHレベルは依然として経時的に低下し得るものであり、そのため、
室温で保管したときの保存寿命に影響を及ぼす。例えば、低温抽出抽出物は、周囲温度で
8乃至12週間貯蔵した後に非常に酸性(pH5.2未満)になり得る。そのため、浸漬
工程後に得られる、よりアルカリ性が高い抽出物が、保存寿命を延ばすのに理想的であり
得る。従って、抽出物84又は86は、抽出プロセス後に、緩衝剤、酵素、消泡材料等の
ような加工補助で処理され得る。緩衝剤又はアルカリ処理は、浸漬されたコーヒー抽出物
をよりアルカリ性にするために、炭酸カリウム、水酸化カリウム及び第3リン酸カリウム
のような、しかしこれらに限定されない1つ又は複数の緩衝剤の添加を含み得る。抽出物
のアルカリ処理は一般に浸漬工程の後に行われるものの、当業者は緩衝剤の添加が抽出プ
ロセスの何れの工程でも起こり得ることを理解するであろう。幾つかの他の態様において
、緩衝剤は浸漬工程の直前に添加され得る。別の態様において、緩衝剤は浸漬工程の後に
添加され得る。
【0048】
炭酸カリウムのような緩衝剤は、約0.35%乃至約0.45%の範囲の量で添加され
るか、又は包装前の製品のpHが約5.0乃至約7.0、又は好ましくは約5.5乃至約
6.8、より好ましくは約5.95乃至約6.2になるまで添加され得る。幾つかの態様
において、抽出物に添加される緩衝剤の量は、コーヒー焙煎の種類に依存し得る。例えば
、ダークコーヒーローストはそれほど酸性ではないため、より少ない量の緩衝剤を必要と
し得る。一方、ライターローストは、ミディアム又はミディアム~ダークロースト又はダ
ークローストと比較してより多くの緩衝剤を必要とし得る。
【0049】
抽出物のpHレベルの増加は、緩衝液を抽出物に同時に添加し、希釈又は他の処理をし
ていないタンクからの液体を用い、周囲温度で標準的なベンチトップpHメーターを使用
して抽出物のpHを測定することにより達成され得る。別の態様において、緩衝液がタン
ク内の抽出物に添加されるため、抽出物のpHが絶えず監視される。この工程の間、抽出
物はタンク内で再循環され得る。再循環は望ましくない発泡を引き起こし得るため、発泡
を防ぐために、緩衝剤処理の前又は後に消泡材料が抽出物に添加され得る。更なる加工の
前に、シリコーン消泡剤のような、しかしこれに限定されない別の加工補助として、消泡
材料又は脱泡剤を浸漬した抽出物に添加することが考慮される。1態様において、Xia
meter AFE-1510が、抽出物のその後の加工中の発泡を防止するために添加
され得る。抽出物に添加される消泡材料の量は、一般に約90ppmを超えない。緩衝剤
及び消泡材料の添加後、抽出物は約1,500ガロンの容量を有するより大きなバッチタ
ンクに移され得る。
【0050】
本開示の方法はまた、沈殿物形成を防ぐための加工補助として、コーヒー濃縮物を酵素
で処理する工程も含み得る。従って、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルロース、ガラ
クトマンナナーゼ、エンド-1-4-β-マンナナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、ペクチ
ン、リアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ロハペクトB1Lを含むがこれらに限定されない
1種以上の酵素が、沈殿物形成を減少させるために、抽出物に対して0.5%乃至3.0
% w/v及びv/vの範囲で添加され得る。抽出物は、アルカリ及び酵素処理の前又は
後にろ過され得る。酵素処理が濃縮物中の沈殿物の形成を、望ましい程度に低い又は無視
できるレベルまで減少させる場合、ろ過工程が任意であり得ることもまた当業者に明らか
であり得る。
【0051】
この開示の低温抽出方法はまた、濃縮物の超高温(UHT)処理の工程も含み得る。こ
れは、管状間接交換器において実施され得るが、ここで、抽出物は、約40秒未満、好ま
しくは約20秒未満又は約10秒未満、より好ましくは3秒未満の間、約100°F乃至
約300°F以上の温度に付される。濃縮物のUHT処理は、抽出物のpHを0.1乃至
約0.3低下させ得るが、しかし、製品の全体のpHは、浸漬工程の後及び/又はアルカ
リ処理の前の抽出物の酸性度と比較してより低い酸性のままであり得る。抽出物に添加さ
れた緩衝剤の存在はまた、このUHT処理中のpHレベルの更なる低下も防ぐ。包装の前
又は後の濃縮物が、標準的なレトルト殺菌プロセスに付され得ることもまた当業者に明ら
かであり得る。
【0052】
UHTプロセスからの濃縮物は、その後、保持タンクに方向付けられ得、そして、濃縮
物はこの段階で撹拌に付され得るか又は付され得ない。タンクの頭上空間は、最終濃縮物
の更なる酸化を防ぐために、パイプを介してタンク内に流入する窒素で満たされ得る。
【0053】
緩衝剤処理され、約5.5乃至約7.0、好ましくは5.95乃至6.8のpHを有す
る、結果として生じた最終濃縮物又は製品は、その後、飲料カートリッジ、又は容器、又
は何れかのサイズのボトル内に無菌的に包装され得る。容器又はカートリッジ又はボトル
は、HDPEボトル、プラスチックカップ又はKeurig K-カップ、多層カートン
等を含み得る。1態様において、濃縮物は、約100mLまでの液体又はそれ未満に保持
し得るK-カップのような飲料容器内に無菌的に包装され得る。最終濃縮物はまた、約7
5mLまで、又は約60mLまでの液体を保持し得る、多層カートン又はポッド又はボト
ル内にも包装され得る。別の態様において、飲料容器は、少なくとも約62オンス乃至約
65オンスの濃縮物又はすぐに飲める(ready to drink)飲料を保持し得
る。
【0054】
好適なカートリッジ内に無菌的に包装された濃縮物は、保存安定性が良好であり得(即
ち、濃縮物は5.5以上の安定したpH、又は包装前に達成された同じpHを有する)、
更に新鮮な風味を伴って低温抽出飲料の特徴的な滑らかさを有し得、そして、6ヶ月超え
るが14ヶ月未満の長期の保存寿命を有し得る。
【0055】
好適な飲料カートリッジ内に包装された保存安定性の良好な濃縮物は、続いて約4オン
ス又は約12オンスまでの熱い又は冷たい液体と混合されて、すぐに飲めるコーヒー飲料
を形成し得る。別の態様において、濃縮物はまた、無菌的な処理無しでも包装され、それ
が熱い又は冷たい液体と混合されて、すぐに飲める飲料を形成する前に低温(4℃以下)
で貯蔵され得る。濃縮物が熱い又は冷たい液体と混合されて、すぐに飲めるコーヒー飲料
を形成する前に、剥がすか又は穴を開けられ得る蓋又はカバーを、飲料容器が有し得るこ
とは当業者に明らかであり得る。
【実施例0056】
実施例1
ラボスケールプロセス
浸漬工程
約30ポンドのダークローストのコロンビアコーヒー粉砕物(フレンチプレス粉砕サイ
ズ)は、McMaster-Carrより入手したフェルトフィルターバッグ内に配置さ
れ得る。この試験のために全部で13個のそのようなバッグが準備され得る。フィルター
バッグがコーヒー粉砕物で満たされると同時に、それらは周囲温度に維持されたホースを
使用してRO水を手で噴霧されてバッグ及びその内容物を完全に湿らせる。続いてバッグ
を密封し、湿ったフィルターバッグは、その後、300ガロン容量の単層のステンレス鋼
の浸漬タンクに移される。浸漬タンクは、約1,200ポンドに達するまでRO水で満た
される。コーヒーに対する水の最終比率が質量で3:1になったら、タンクを蓋で閉じ、
バッグを50乃至60°Fで12時間の間、水中に浸漬させる。2乃至3時間後毎に、バ
ックは、プラスチック製のパドルを使用して、浸漬タンク内をあちこちに移動させられる
。コーヒーが充填されたバッグは、その後、それらの中に存在する液体の大部分を捕獲す
るために手動で優しく絞られる。浸漬工程後の抽出物のpHは約5.25であり、約5.
15%の溶解された固形物(ブリックス)を含有する。結果として生じた抽出物は、その
後、タンクとトートとの間に配置された約20ミクロンの市販で入手可能なフィルターハ
ウジングを有するトート内の再密閉可能なライナーバッグ内に直接ポンプで送り込まれ、
液体中の何れの潜在的なコーヒー粉砕物をも捕捉する。トートは、その後30日間までの
間又は更なる加工まで冷蔵される。
【0057】
アルカリ処理
浸漬工程から得られた抽出物のさらなる加工は、pHを上昇させるためのアルカリ処理
を含む。これは、炭酸カリウム、水酸化カリウム、及び第3リン酸カリウムを含むがこれ
らに限定されない少なくとも1つの緩衝剤を抽出物に添加し、米国、イリノイ州、バーノ
ンヒルズに位置するCole-Parmerより入手したOakton Instrum
ents pH 700 pH/mV/°C/°F Bench Meterを使用して
pHを測定することにより達成される。47%の濃度を有する溶液からの約0.41%の
量における炭酸カリウム又は約0.35%乃至約0.45%の炭酸カリウムのような1種
以上の緩衝剤の抽出物への添加は、pHを5.95乃至6.1に上昇させる。穏やかな攪
拌工程中の発泡を防ぐために、Xiameter AFE-1510も抽出物に添加され
る。抽出物に添加される消泡材料の量は、90ppm未満である。
【0058】
UHT処理
緩衝剤で処理されたコーヒー抽出物は、その後、超高温処理に付される。この工程は、
300°Fの温度が維持される管状間接熱交換器を介してコーヒー抽出物を通過させるこ
とを含む。抽出物は、40秒未満又は好ましくは10秒未満の間、この高温に曝露される
。熱への曝露は予想通り抽出物のpHレベルを低下させるものの、pHレベルの低下は、
たった約0.1から約0.3の間であると測定される。これは、添加された緩衝剤に起因
してコーヒー抽出物のpHが依然として5.5を超えているため、pHレベルの最小の低
下と考えられる。抽出物はまた、緩衝剤及び熱処理後に望ましい風味プロファイル(即ち
、浸漬された抽出物のpHレベルと比較して酸性度が低いこと、滑らかさ及び芳香)を有
する。
【0059】
最終的なコーヒー濃縮物又は製品は、その後、HDPEボトルのような容器中に無菌的
に充填される。このコーヒー濃縮物は、4ヶ月以上の間、保存安定性及び豊かなコーヒー
風味を伴う滑らかさを維持した。
【0060】
コーヒー濃縮物のpHの経時変化の評価
上記の手順に従って調製されたコーヒー濃縮物は、その後、異なる保管温度における1
0週間に亘るpH変化について試験される。この試験のために、濃縮物の以下の3つの試
料が使用される:
(i)濃縮物は4℃(「冷蔵」)に維持され、
(ii)濃縮物は室温(「周囲」)に維持され、そして
(iii)濃縮物は32℃(「加速」)に維持される。
【0061】
上記3つの濃縮物のpH変化は、10週間の期間の間、毎週測定され、結果は表1及び
図2に示される。データから明らかなように、「冷蔵」試料のpHレベルは、約10週間
の期間に亘って「周囲」及び「加速」の濃縮物と比較して酸性度が低いが、これは、上述
の方法に従って調製された低温抽出コーヒーが、低温で保存されたときの保存寿命を延長
し得る、より酸性度の低い製品をもたらすことを示唆する。
【表1】
【0062】
実施例2:
ラボスケールプロセス
浸漬工程-第1浸漬
約13ポンドのミディアムローストのコロンビアコーヒー粉砕物は、McMaster
-Carrより入手した25-ミクロンのメッシュサイズを有する各フェルトフィルター
バッグ内に配置された。この大規模な抽出プロセスのために合計180個のそのようなバ
ッグが準備された。
【0063】
バッグを密封した後、1170ポンドの粉砕コーヒーを含む90個の湿潤フィルターバ
ッグは、
図15に示されるように、850ガロンの容量の各タンク1及び2中に充填され
た。合計90個のコーヒーバッグが、1つの区画内にそれぞれ15個のバックを伴って、
単一のタンク、タンク1又は2の6つの区画中に分配された。タンクを充填した後、タン
ク1及び2の蓋を閉じ、タンク1において約4,100ポンド及びタンク2において約1
,740ポンドに達するまで、RO水が導管56及び49を介してタンク1及び2のそれ
ぞれにポンプで送り込まれた。タンク2におけるRO水に加えて、以前の浸漬から得られ
た、2,350ポンドの、0.76ブリックスのすすぎ水又はすすぎ抽出物が添加された
。浸漬液(RO水、又はRO水+すすぎ水)のポンプ注入は、導管56内のバルブを閉じ
ることにより停止された。このことは、タンク1及び2内の浸漬液が各タンク内の導管4
9を介してのみ再循環されることを可能にした。バッグは、その後、タンク1において8
6°Fで14時間の間及びタンク2において80°Fで11.5時間の間、水中に浸され
た。この工程は、
図14において「第1浸漬」として言及される。第1浸漬は、5.84
ブリックスで2350ポンドのコーヒー抽出物を生産した。更に、湿潤したコーヒーバッ
グを含むタンクへの2300ポンドのすすぎ水の添加は、タンク1において0.76ブリ
ックスで2301ポンドのすすぎ水を生産した。
【0064】
タンク2において、第1浸漬は、6.46ブリックスで、2306ポンドのコーヒー抽
出物を生産した。更に、湿潤したバッグを伴うタンクへの2300ポンドのすすぎ水の添
加は、1.01ブリックスで2264ポンドのコーヒ抽出物を生じた。
【0065】
浸漬工程がタンク1及び2で継続している間、1170ポンドのコーヒー粉砕物を含む
バッグは、タンク5に充填され、区画扉44及びタンク蓋20a、bは閉じられた。
【0066】
タンク1及び2における第1浸漬の完了後、タンク1及び2の両方からのコーヒー抽出
物84(
図14に示されるように)は、導管58を介してタンク5内にポンプで送り込ま
れた。タンク1及び2からのこの混合された抽出物は、タンク5のための浸漬液として働
き、浸漬工程は70°Fで8時間続けられた。この工程は、第2浸漬として言及された。
タンク5における第2浸漬は、9.85ブリックスで、2654ポンドのコーヒー抽出物
を生産した。更に、タンク5への2300ポンドのすすぎ水の添加は、2.43ブリック
スで2326のすすぎ抽出物を生じた。
【0067】
タンク1及び2におけるすすぎ工程の完了の後、すすぎ水80はすすぎ収集タンク82
(
図15)内にポンプで送り込まれた。両方のタンク中のコーヒーバッグを除去して処分
した。タンク1及び2を温水で洗浄した後、タンク1及び2の両方は、別のサイクルの浸
漬及びすすぎ工程のために準備された。
【0068】
タンク5における第2浸漬が完了に近づいている間に、90個の新たなコーヒーバッグ
が、各タンク2及び3中に充填され、新鮮なRO水、又はタンク1又は2からのすすぎ水
が、第1浸漬のために各タンク内にポンプで送り込まれて、タンク1及び2のために使用
されたのと同じ浸漬条件が使用された。
【0069】
第2浸漬後のコーヒー抽出物86は、pHを約5.25から6.1に上昇させるための
1種以上の緩衝剤の添加を含む、加工補助を用いる更なる処理に付された。緩衝剤で処理
された抽出物86は、その後、コーヒー粉砕物を含む何れの潜在的な沈殿物もトート88
内の再密封可能なライナーバッグ内に直接捕捉するために、1ミクロン及び0.8ミクロ
ンのプリーツフィルターを有するろ過システムを介してポンプ注入された。トートはその
後、包装の前に約1ヶ月間冷蔵された。
【0070】
タンク5からの抽出物86の除去の後、タンクは新鮮なRO水で満たされ、1回のすす
ぎ工程が行われた。結果として生じたすすぎ水はまた、すすぎ収集タンク82内に集めら
れた。バッグは、タンク5から除去され処分された(
図13及び
図14)。タンク5を洗
浄した後、それはコーヒーバッグで充填され、タンク3及び4のような追加のタンクから
抽出物を受け取るように準備され、そしてこのプロセスは繰り返される。用語「含む」(
includes)又は「含んでいる」(including)が本明細書又は請求項中
で使用されている限りにおいて、その用語が請求項中において暫定的な単語として使用さ
れるときに解釈されるように、用語「含む」(comprising)と類似の様式にお
いて包括されることが意図される。更に、用語「又は」(or)が使用される(例えば、
A又はB)限りにおいて、それは「A又はB又は両方」を意味することが意図される。「
A又はBのみで両方ではない」が意図される場合、「A又はBのみで両方ではない」が使
用されるだろう。従って、ここで、用語「又は」(or)の使用は包括的であり、排他的
な使用ではない。本明細書及び請求項において使用されるように、単数形「a」、「an
」及び「the」は複数形を含む。最後に、用語「約」(about)が数字と一緒に使
用される場合、それはその数字の±10%を含むことが意図される。例えば、「約10」
は、9乃至11を意味し得る。反応物質と成分は、同じ概念を言及し、全体として反応物
質混合物の一部を言及する。用語フィルムはまた、表面に適用されるコーティング又はシ
ート又は層も言及し得る。表面は、何れの所望の材料又は形状でもあり得る。
【0071】
上述のように、本出願は態様の説明によって示されており、態様はかなり詳細に説明さ
れているが、添付の請求項の範囲をそのような詳細なものに減縮又は何らかの限定をする
ことが意図されるものではない。本出願の利点を有する更なる利点及び改良物は、当業者
には容易に明らかとなるだろう。従って、本出願は、そのより広い観点において、示され
た具体的詳細及び具体的な実施例に限定されない。一般的な発明の概念の精神又は範囲か
ら逸脱することなく、そのような詳細なもの及び実施例から出発し得る。
加工補助がpHを調整するための緩衝剤の添加であり、前記添加が、炭酸カリウム、水酸化カリウム、及びリン酸三カリウムからなる群から選択される緩衝剤を使用して実施される、請求項1に記載の低温抽出方法。
第1の浸漬工程が、浸出材料の第1のフィルターバッグを、新鮮な水を以前の浸漬工程で用いた浸出材料の第1のフィルターバッグに曝露することにより得られたすすぎ水に曝露することにより実施される、請求項1に記載の低温抽出方法。
(i)第1の器において、周囲温度又はそれより低い温度で第1の浸漬を実施して第1の飲料抽出物を調製する工程であって、第1の器が、コーヒー粉砕物のバッグを含む工程、
(ii)第1の飲料抽出物を第2の器中のコーヒー粉砕物のバッグに曝露することにより、周囲温度又はそれより低い温度で第2の浸漬を実施し、9~15のブリックスレベルを有する液体である第2の飲料抽出物を調製する工程、及び
(iii)第2の飲料抽出物を、緩衝剤を用いる処理に供する工程
を含む低温抽出方法。
第1の浸漬が、新鮮な水を以前の浸漬工程で用いた浸出材料の第1のフィルターバッグに曝露することにより得られたすすぎ水を含む液中で実施される、請求項9に記載の方法。