(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171508
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】脂肪酸アナログ、ならびに認知機能障害、行動症状および慢性疼痛の処置におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/20 20060101AFI20231124BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231124BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20231124BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231124BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231124BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231124BHJP
A61K 31/41 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K31/20
A61P25/28
A61P25/30
A61P25/24
A61P25/04
A61P25/00
A61P43/00 107
A61K31/41
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175020
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2021552544の分割
【原出願日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】62/813,566
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/824,247
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520137235
【氏名又は名称】エピトラッカー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EPITRACKER, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ワトソン、ステファニー
(57)【要約】
【課題】 認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖を処置および予防
するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】 認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖および他の症状、
例えば、痙攣または発作を診断およびモニターするための方法も提供される。これらの組
成物は、単独でまたは他の薬とともにもしくは様々な処置レジメンの一部として投与され
得る、脂肪酸化合物およびその塩を含む。提供される組成物は、認知障害、運動障害、慢
性疼痛、うつ、食欲減退、オピエート嗜癖および他の関係症状に関連する行動を含むがこ
れらに限定されないマーカーの調節に有効である。それらの組成物を投与するための方法
が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、痙攣、発作および嗜癖からなる群より選択される症状を処置または発症予防する方法であって、
それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を投与する工程を含み、式(I)の化合物は、構造:
【化1】
式(I)
を有し、式中、
Gは、非置換または置換C
10-C
18アルキル、非置換または置換C
10-C
18アルケニル、1、2または3つのオキサまたはチア置換基を有する非置換または置換C
10-C
18アルキル、および1、2または3つのオキサまたはチア置換基を有する置換C
10-C
18アルケニルからなる群より選択され;
Xは、OおよびCR
1R
2からなる群より選択され、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、Hおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択され;
Y
1およびY
2は、それぞれ独立して、H、非置換または置換C
1-C
6アルコキシおよび非置換または置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択されるか、またはY
1および
Y
2は、一体となって、非置換または置換C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリールおよびC
1-C
10ヘテロシクリルを形成してもよく;
Zは、カルボン酸、-C(=O)-OH、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
置換される基は、1つ以上の置換基で置換され、各置換基は、独立して、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリール、C
1-C
10ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミノからなる群より選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖、発作および痙攣ならびに他の
症状を含む症状を処置するための、脂肪酸アナログを含む組成物が提供される。認知障害
、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖、発作、痙攣および他の症状を診断および
モニターするための方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
認知とは、思考、経験および感覚を通して知識および理解を得る精神的な行為またはプ
ロセスのことである。認知障害(認知低下とも呼ばれる)は、神経変性症状(例えば、ア
ルツハイマー病におけるもの)による脳への損傷、傷害による脳への損傷、感染症、物質
乱用、物質離脱、精神病、ビタミンおよび他の重要な栄養分の欠乏、ホルモンの問題、代
謝不均衡または薬剤の副作用によって引き起こされ得る。認知障害は、加齢による自然な
プロセスとしても生じる。認知障害は、幻覚、人格の変化、うつ症候、不安症候、自己喪
失および錯乱に関係し得る。世界的に高齢者数が増加していることに大きく起因して、認
知障害を予防、管理および処置するための新規治療法が早急に必要とされている。
【0003】
運動障害とは、運動に関する問題を引き起こす神経性の症状のことである。運動障害の
例としては、ジストニー、舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、パーキンソニズム
、チック、トゥーレット症候群、運動失調、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、多発性
硬化症、びっくり病、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群、歩行障害および
痙縮が挙げられる。運動障害は、脳、脊髄または末梢神経への損傷、代謝障害、脳卒中お
よび血管性疾患、トキシン、感染症、医薬ならびに遺伝によって引き起こされ得る。
【0004】
慢性疼痛は、12週間を超えて続き、数ヶ月間または数年間持続し得る任意の疼痛と定
義される。慢性疼痛の原因としては、過去の傷害、腰痛、片頭痛および他の頭痛、関節炎
、神経損傷、感染症ならびに線維筋痛症が挙げられる。慢性疼痛は、運動の制限、疲労、
睡眠障害、食欲減退および気分変化をもたらし得るか、またはそれらを伴い得る。生活様
式の変更が、慢性疼痛の管理に役立つ場合もあるが、この症状の管理を助けるために、処
方薬による治療法が必要になることが多い。オピエートなどの疼痛に対して最も効果的な
処方薬による治療法のいくつかは依存性があり、薬物嗜癖の蔓延およびその結果としての
死亡を招いた。したがって、依存性のない効果的な新規の疼痛管理の治療法が必要とされ
ている。
【0005】
うつとは、個体の感じ方、考え方および日常活動の対処の仕方に影響する気分障害のこ
とである。うつの形態には、遷延性うつ病性障害(気分変調)、産後うつ病、精神病性う
つ病、季節性感情障害、双極性障害、重篤気分調節症および月経前不快気分障害が含まれ
る。うつの原因としては、遺伝的、生物学的、環境的および心理学的な因子が挙げられる
。うつは、糖尿病、癌、心疾患およびパーキンソン病をはじめとした慢性疾患とともに生
じることがあり、慢性疾患によって悪化することがある。慢性疼痛は、持続的な悲しいま
たは不安な気分、絶望感、怒りっぽさ、活力低下、疲労、集中困難、睡眠困難、食欲の変
化、体重の変化、疼痛、頭痛および消化器系の問題をもたらし得る。うつは、生活様式の
変更および薬剤で処置できることが多いが、うつとそれに伴う慢性疾患の両方を最善に標
的化し得る新規の治療法が必要とされている。
【0006】
食欲喪失は、生命を脅かす多くの慢性疾患に共通し、適切な栄養が不足すると、慢性症
状がさらに悪化し得る。この慢性疾病と食欲喪失のサイクルは、個体の健康および福祉に
悪循環をもたらし得る。食欲不振は、食欲が無いことまたは失うことであり、その結果、
食べられなくなる。これは、進行癌ではよくあることであり得る。食欲不振の結果、体重
が減少する。悪液質は、全身の体調不良および栄養失調の状態であり、脂肪、筋肉および
骨量の減少による脱力および痩せを特徴とし、進行癌、AIDSおよびうっ血性心不全を
はじめとした重症の症状とともに生じ得る。癌患者の推定80%が悪液質を有する。食欲
不振/悪液質症候群の原因としては、代謝の変化、慢性炎症、疼痛、味覚不全、味覚消失
、睡眠過剰、嚥下障害、呼吸困難、悪心、嘔吐、便秘、下痢、薬剤の副作用、心理的苦悩
、高齢および口腔または食道の感染症をはじめとした、生命を脅かす慢性疾患に伴う変化
が挙げられる。食欲不振および悪液質に対する現行の処置としては、ステロイド、カンナ
ビノイドおよび消化管運動改善薬が挙げられる。しかしながら、これらの処置は、食欲不
振および悪液質の主な要因である根底にある慢性症状の処置には役立たない。
【0007】
痙攣は、身体の筋肉が収縮と弛緩を高速で繰り返す病状であり、その結果、制御できな
い身体の震えが生じる。痙攣は、発作、薬剤反応、重症感染症、敗血症、超高熱、重度の
嘔吐および/または下痢、糖尿病の急性発症(極端に高いまたは低い血糖値)、水分補給
異常(重度の脱水または水分過剰)、重度の栄養失調、外傷もしくは内出血に起因する過
剰な失血、臓器不全(例えば、急性腎不全)、アレルギー反応、薬物過量服用、薬物離脱
または熱射病によって引き起こされ得る。てんかん発作は、通常、痙攣を含むので、用語
「痙攣」は、時折、「発作」の同義語として使用される。しかしながら、すべてのてんか
ん発作が、痙攣に至るとは限らず、すべての痙攣が、てんかん発作によって引き起こされ
るとは限らない。非てんかん発作は、てんかん発作によく似ているが皮質ニューロンの異
常な律動性の放電を伴わない発作性の事象である。それらは、生理学的または心理学的な
症状によって引き起こされる。心因性非てんかん発作(PNES)は、てんかん発作に似
ているがてんかんに関連する特徴的な放電を伴わない事象である。それらは、心理的な原
因により生じ、非てんかん発作の模倣の一種である。PNESは、非てんかん発作障害(
NEAD)および機能性神経症候障害としても知られているが、あまり詳細には知られて
いない。
【0008】
オピオイドは、ニューロンの細胞膜におけるオピエートレセプターに結合し、鎮痛効果
を付与して疼痛をコントロールする規制薬物であり、それらには、モルヒネ、コデイン、
フェンタニル、メタドン、ブプレノルフィンが含まれる。オピエート嗜癖は、蔓延するよ
うになり、2017年の米国での49,000件の死亡を含むオピオイド過量服用死の増
加を招き、50歳未満の米国人の主な死因の主要な一因となっている。オピエートの離脱
症状は、重度であり、それらとしては、筋痛、疼痛、激越、不安、悪心、胃腸の不調、頻
拍、鼻漏および悪寒が挙げられる(Wesson DR,Ling W.The Cli
nical Opiate Withdrawal Scale(COWS)J Psy
choactive Drugs.2003;35:253-259)。これらの症候の
重症度のせいで、個体はオピオイドの使用を止めるのが難しくなるため、オピオイドの離
脱症候を減弱する新規アプローチ、ならびに疼痛をコントロールする新規の非依存性薬が
早急に必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖を処置および予防するため
の組成物および方法。認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖および他の
症状、例えば、痙攣または発作を診断およびモニターするための方法も提供される。これ
らの組成物は、単独でまたは他の薬とともにもしくは様々な処置レジメンの一部として投
与され得る、脂肪酸化合物およびその塩を含む。提供される組成物は、認知障害、運動障
害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、オピエート嗜癖および他の関係症状に関連する行動を含
むがこれらに限定されないマーカーの調節に有効である。それらの組成物を投与するため
の方法が提供される。
【0010】
したがって、広く適用可能な第1の態様(すなわち、本明細書中において特定される態
様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第1の態様)では、認知障害、
運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、痙攣、発作およびオピエート嗜癖を処置または発
症予防する方法が提供され、その方法は、それを必要とする患者に式(I)の化合物また
はその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む。様々な実施形態において、式(I
)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(I
f)、式(Ig)または式(Ih)の化合物であり得る。
【0011】
したがって、広く適用可能な第2の態様(すなわち、本明細書中において特定される態
様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第2の態様)では、ある化合物
またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物が提供され、その化合物は、2-
エチル、2,2-ジエチル、3-オキサ、2,2-ジメチル-3-オキサ、1-テトラゾ
ール、1-オキサゾロン、1-オキサジアゾロン、N-ヒドロキシアミド、2-メチル-
1-テトラゾールおよび2-メチル-2-エチルからなる群より選択される1つ以上の置
換基で置換された飽和脂肪酸であり;その脂肪酸は、トリデカン酸(C13:0)、ミリ
スチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)
、ヘプタデカン酸(C17:0)およびステアリン酸(C18:0)ならびに薬学的に許
容され得るキャリアから選択される。それらの実施形態の化合物の構造としては、以下が
挙げられるが、これらに限定されない。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【表40】
【表41】
【表42】
【表43】
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【表50】
【表51】
【表52】
【表53】
【表54】
【表55】
【表56】
【表57】
【表58】
【表59】
【表60】
【表61】
【表62】
【表63】
【表64】
【表65】
【表66】
【表67】
【表68】
【表69】
【表70】
【表71】
【表72】
【0012】
したがって、広く適用可能な第3の態様(すなわち、本明細書中において特定される態
様または実施形態のいずれかと独立して組み合わせ可能な第3の態様)では、式(I)の
化合物またはその薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得るキャリアを含む薬
学的組成物が提供される。様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)、
式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)または式(
Ih)の化合物であり得る。
【0013】
第1から第3の態様の実施形態の特徴のいずれもが、本明細書中において特定されるす
べての態様および実施形態に適用可能である。さらに、第1から第3の態様の実施形態の
特徴のいずれもが、多少なりとも本明細書中に記載される他の実施形態と部分的または全
体的に独立して組み合わせ可能であり、例えば、1、2もしくは3つまたはそれ以上の実
施形態が、全体的または部分的に組み合わせ可能であり得る。さらに、第1から第3の態
様の実施形態の特徴のいずれもが、他の態様または実施形態にとっては必須でなくなり得
る。任意の態様または実施形態の方法を、別の態様または実施形態のシステムまたは装置
によって行うことができ、任意の態様または実施形態のシステムは、別の態様または実施
形態の方法を実施するように設定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、無置換基飽和脂肪酸(C15:0)で処置されたアッセイと比べたときの、有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0、2-エチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0)のPPAR-アルファ、PPAR-デルタおよびCB1レセプターアゴニスト活性の有効濃度(EC50 μM)ならびにOPRM1アンタゴニスト活性に対する阻害濃度(IC50 μM)の要旨を提供している。
【0015】
【
図2】
図2は、無置換基飽和脂肪酸(C15:0)およびポジティブコントロールで処置されたアッセイと比べたときの、有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-C15:0、2-エチル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0)のPPAR-アルファ、PPAR-デルタおよびCB1レセプターアゴニスト活性の最大活性(%)ならびにOPRM1アンタゴニスト活性に対する阻害濃度(IC50)の要旨を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
化合物、例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物、
ならびに認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖、発作、痙攣および関連
障害を処置するための関連方法が提供される。様々な実施形態において、本明細書中に提
供される化合物は、2-アルキルもしくは2,2-ジ-アルキルで置換された飽和脂肪酸
、またはその酸同配体および/もしくは薬学的に許容され得る塩であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態は、薬学的組成物、およびその薬学的組成物を使用した処置方法に
関し、ここで、その薬学的組成物は、構造:
【化1】
式(I)
を有する式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含み、式中、Gは、非置
換もしくは置換C
10-C
17アルキル、非置換もしくは置換C
10-C
17アルケニル
、または1、2もしくは3つのオキサもしくはチア置換、例えば、アルキル鎖もしくはア
ルケニル鎖の炭素原子の1つ以上を置換する1つ以上の酸素原子および/もしくは硫黄原
子を有する非置換もしくは置換C
10-C
17アルキルから選択され;Xは、OおよびC
R
1R
2から選択され、ここで、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、Hまたは非置換
もしくは置換C
1-C
6アルキルであり;Y
1およびY
2は、それぞれ独立して、H、非
置換もしくは置換C
1-C
6アルコキシまたは非置換もしくは置換C
1-C
6アルキルで
あるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換または置換シクロアルキル、シ
クロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成してもよく;Z
は、カルボン酸、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換アミド、5または6員
の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換または置換ヘテロアリー
ルから選択される。式(I)において、ある基が、「置換」と示される場合、その基は、
C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロ
アルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6ア
ルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6ア
ルキル)、ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、ヘテロシクリル(C
1-C
6アルキ
ル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニ
ル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-
アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-
カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、シリル
、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6
ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよびアミ
ノからなる群より個別にかつおよび独立して選択される1つ以上の置換基で置換されてい
る。薬学的組成物は、薬学的に許容され得るキャリアをさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、Y1およびY2は、それぞれ独立して、H、または1つ
以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキルである。さらなる実施形態において、Y
1およびY2は、それぞれ独立して、H、非置換メチル、1~3つのハロゲンで置換され
たメチル、非置換エチル、および1~5つのハロゲンで置換されたエチルから選択される
。なおもさらなる実施形態において、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、BrおよびI
から選択される。いくつかの実施形態において、各ハロゲンは、Fである。いくつかの実
施形態において、Y1およびY2は、それぞれ独立して、Hおよび非置換メチルから選択
される。
【0019】
いくつかの実施形態において、Zは、5員の非置換または置換ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態において、Zは、5員の非置換ヘテロアリールである。1つの実施形
態において、5員の非置換ヘテロアリールは、非置換テトラゾールまたは非置換1,2,
4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。いくつかの実施形態において、Zは、
カルボン酸またはC1-C6アルキルエステルである。いくつかの実施形態において、Z
は、非置換または置換アミドである。なおもさらなる実施形態において、Zは、C1-C
6アルキル、ヒドロキシおよびC1-C6ヒドロキシアルキルから選択される1または2
つの基によって置換されたアミドである。
【0020】
いくつかの実施形態において、R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または1つ
以上のハロゲンで置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、
R1およびR2は、それぞれ独立して、Hである。
【0021】
いくつかの実施形態において、Gは、1つ以上のハロゲンによって置換されたC10-
C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Gは、非置換C12-C14アル
キルである。
【0022】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、式(I
c)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)または式(Ih)の構造を有し
、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(I
g)および式(Ih)の各々において、G、X、Y
1、Y
2およびZを含むすべての基が
、式(I)に関して示した通りである。
【化2】
式(Ia)
【化3】
式(Ib)
【化4】
式(Ic)
【化5】
式(Id)
【化6】
式(Ie)
【化7】
式(If)
【化8】
式(Ig)
【化9】
式(Ih)
【0023】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、以下から選択され得、各場合において
、Gは、非置換C
10-C
15アルキルである:
【化10】
【0024】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、
【化11】
および
【化12】
から選択され得る。
【0025】
さらなる実施形態において、上記化合物は、2,2-ジメチル、2-エチル、2,2-
ジエチル、3-オキサまたは3-オキサ-2,2-ジメチルで置換された、トリデカン酸
(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミ
チン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)もしくはステアリン酸(C18:
0)から選択される飽和脂肪酸、またはテトラゾール酸同配体、オキサゾロン酸同配体、
オキサジアゾロン酸同配体、アミド、N-ヒドロキシアミド、(2-ヒドロキシエチル)
アミドもしくはその薬学的に許容され得る塩であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、2-エチルペンタデカン酸または1-テ
トラゾールペンタデカン酸である。
【0027】
いくつかの実施形態において、オキサジアゾロン酸同配体は、非置換1,2,4-オキ
サジアゾール-5(4H)-オン酸同配体である。さらなる実施形態において、オキサゾ
ロン酸同配体は、非置換オキサゾール-2(3H)-オン酸同配体である。
【0028】
奇数鎖飽和脂肪酸であるヘプタデカン酸の食餌摂取量の増加は、バンドウイルカの代謝
症候群の改善と関連があった(Venn-Watson et al.Increase
d dietary intake of saturated fatty acid
heptadecanoic acid(C17:0)associated wit
h decreasing ferritin and alleviated met
abolic syndrome in dolphins,(2016)PLOS O
NE 10(7):e0132117を参照のこと)。したがって、修飾奇数鎖飽和脂肪
酸の経口投与は、糖尿病、心疾患、脳卒中、神経変性疾患およびうつをはじめとした複数
の慢性疾患のリスクを高める症状である代謝症候群の処置において有用である可能性があ
る。
【0029】
ある特定の脂質化合物は、WO2017/093732において、網膜変性障害および
眼球の炎症性疾患などの眼科障害の処置用として提唱された。しかしながら、これらの脂
質は、不飽和脂肪酸誘導体(例えば、1~5つの二重結合を含むアルキル基)である。L
arsonらは、Lipids,Vol.40,no.1(2005)において、1つの
飽和脂肪酸(パルミチン酸、すなわちC16:0)をはじめとした様々な脂肪酸のアルフ
ァ-メチル化による、PPAR-アルファ活性およびPPAR-ガンマ活性の増大を実証
した。しかしながら、それらの誘導体は、PPARδ(デルタ)の活性化因子としては不
十分であり有意でないと報告されている。対照的に、C15:0は、PPARデルタの部
分アゴニストであり、その誘導体は、改善されたPPAR-デルタのEC50および/ま
たは最高濃度を示すことが多いことが観察されている。
【0030】
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)は、哺乳動物の代謝を取り仕
切る公知の物質であり、ゆえに、数多くの疾患の治療標的である。PPARには、3つの
アイソタイプ:アルファ、デルタおよびガンマが存在する。この3つのPPARアイソタ
イプの各々に異なって結合し、活性化する分子が、炎症、脂質異常症、前糖尿病および糖
尿病、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎ならびにインスリン抵抗性をはじめとした
、代謝症候群に関連する種々の症状を処置すると実証されている。さらに、PPARアゴ
ニストは、自己免疫疾患、喘息、貧血、癌、循環器疾患、皮膚炎、高血圧症、肺疾患(肺
線維症および全身性硬化症を含む)、乾癬、鉄過剰症、ならびにアルツハイマー病および
他の形態の認知症を含む神経変性疾患に対する治療標的として提唱されている。飽和脂肪
酸は、PPARアイソフォームであるPPAR-アルファおよびPPAR-デルタに対す
る内因性リガンドであると考えられており、炭素鎖長などの構造的特徴が、PPARアゴ
ニスト活性に影響し得ると仮定されている(Forman BM,Chen J,Eva
ns RM(1997)Hypolipidemic drugs,polyunsat
urated fatty acids,and eicosanoids are l
igands for peroxisome proliferator-activ
ated receptors α and δ.Proc Natl Acad Sc
i 94:4312-4317を参照のこと)。
【0031】
代謝症候群の構成要素を減弱させる際のペンタデカン酸(C15:0)およびヘプタデ
カン酸(C17:0)の実証された有効性は、PPAR-アルファおよびPPAR-デル
タアゴニストとしてのそれらの役割に部分的に起因し得ると仮定できる。様々な適応症と
PPARとの関連は、以下の参考文献に記載されている:Aleshin S et a
l.(2013)Peroxisome proliferator-activate
d receptor(PPAR)β/δ,a possible nexus of
PPARα-and PPARγ-dependent molecular path
ways in neurodegenerative diseases:revie
w and novel hypotheses.Neurochem Int 63:
322-330;Barish GD et al.(2006)PPARδ:a da
gger in the heart of metabolic syndrome.
J Clin Invest 116:590-597;Bonomo LDF et
al.(2012)Iron overload potentiates diet-
induced hypercholesterolemia and reduces
liver PPAR-α expression in hamsters.J B
iochem Mol Toxicol 26:224-229;Chiba T et
al.(2012)Topical application of PPARα(b
ut not β/δ or γ)suppresses atopic dermat
itis in NC/Nga mice.Allergy 67:936-942;C
hoi JM and Bothwell ALM(2012)The nuclear
receptor PPARs as important regulators
of T-cell functions and autoimmune disea
ses.Mol Cell 33:217-222;Hosokawa M et al
.(2004)Fucoxanthin induces apoptosis and
enhances the antiproliferative effect o
f the PPARγ ligand,troglitazone,on colon
cancer cells.BBA Gen Subj 1675:113-119;
Janani C and Kumari BDR(2015)PPAR gamma
gene-a review.Diab Metab Synd Clin Res R
ev 9:46-50;Leibovitz E et al.(2007)PPAR
activation:a new target for the treatmen
t of hypertension.J Cardio Pharmacol 50:
120-125;Lee HY et al.(2015)PPAR-α and gl
ucocorticoid receptor synergize to promo
te erythroid progenitor self-renewal.Nat
ure 522:474-477;Madrazo JA and Kelly DP(
2008)The PPAR trio:Regulators of myocard
ial energy metabolism in health and dise
ase.J Mol Cell Cariol 44:968-975;Milam J
E et al.(2008)PPAR-γ agonists inhibit pr
ofibrotic phenotypes in human lung fibro
blasts and bleomycin-induced pulmonary f
ibrosis.Am J Physiol Lung Cell Mol Physi
ol 294:L891-L901;Sertznig P et al.(2008)
Peroxisome proliferator-activated recept
ors(PPARs)and the human skin.Am J Clin D
ermatol 9:15-31;Sokolowska M et al.(2005
)Peroxisome proliferator-activated recep
tor gamma(PPAR-gamma)and their role in i
mmunoregulation and inflammation control
.Postepy Higieny 59:472-484;Trifillieff
A et al.(2009)PPAR-α and-γ but not-δ ago
nists inhibit airway inflammation in a m
urine model of asthma:in vitro evidence
for an NF-kβ-independent effect.Br J Pha
rmacol 139:163-171;およびWei et al.(2010)Pe
roxisome proliferator-activated receptor
γ:innate protection from excessive fibr
inogenesis and potential therapeutic tar
get in systemic sclerosis.Curr Opin Rhem
atol 22:671-676。
【0032】
修飾された飽和脂肪酸は、Arm-IIのAF2ポケットにおける親水性結合を改善し
得る。したがって、脂肪酸のある特定のアナログは、天然の脂肪酸の形態と比べて、改善
されたPPARアゴニスト活性を提供し得る。PPARアゴニスト活性を改善することに
よって、本明細書中に提供される化合物などの飽和脂肪酸アナログは、天然の脂肪酸と比
べて、代謝症候群および代謝症候群の構成要素の処置においてより有効であり得ると仮定
できる。
【0033】
したがって、上記化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得
る塩もしくは代謝産物は、PPARを有利に活性化し得る。
【0034】
カンナビノイドレセプターは、エンドカンナビノイド、フィトカンナビノイドおよび合
成カンナビノイドに結合して、認知、記憶、気分、運動、痛覚ならびに食欲および皮膚の
健康に関係するカンナビノイド誘導性の効果をもたらす、Gタンパク質共役レセプターで
ある。したがって、カンナビノイドレセプターは、数多くの疾患の治療標的である。カン
ナビノイドレセプターには、2つのサブタイプ:カンナビノイドレセプター1(CNR1
またはCB1レセプターと称される)およびカンナビノイドレセプター2(CNR2また
はCB2レセプターと称される)が存在する。脳および脊髄に最も集中しているCB1レ
セプターは、カンナビノイドの主要な標的であり、グルタメートおよびガンマ-アミノ酪
酸(GABA)によって媒介される神経伝達の阻害によって主要な作用を発揮する。CB
1レセプターに異なって結合する分子が、慢性疼痛、うつ、食欲減退(食欲不振および悪
液質を含む)および炎症に関係する種々の症状を処置すると実証されている。さらに、C
B1レセプターアゴニストは、認知機能障害および運動障害に対する治療標的として提唱
されている。食事性脂肪酸は、CB1レセプターとPPAR-αの両方を標的化できるエ
ンドカンナビノイドの組織内レベルに影響し得る。エンドカンナビノイドの組み合わされ
たCB1レセプター/PPAR-αアゴニスト活性は、相乗的な抗炎症性、神経保護性お
よび食欲促進性(食欲増進性)の効果を有し得る。脂肪酸の構造的特徴の違いが、エンド
カンナビノイドに対する直接または前駆体としての役割に影響し得ると仮定されている(
Artman A,Petersen G,Hellgren LI,Boberg J
,Skonberg C,Nellermann C,Honore Hansen S
,Hansen HS(2008)Influence of dietary fat
ty acids on endocannabinoid and N-acylet
hanolamine levels in the rat brain,liver
and small intestine.BBA Mol Cell Biol L
ipids 1781:200-212を参照のこと)。
【0035】
オピオイドレセプターは、ベータ-エンドルフィンおよびエンケファリンなどの内因性
オピオイドならびに外来性オピオイドに結合するGタンパク質共役レセプターである。オ
ピオイドレセプターには、3つのサブタイプ:ミュー(OPRM1)、デルタ(OPRD
1)およびカッパー(OPRK1)が存在する。OPRM1は、モルヒネ、コデインおよ
びフェンタニルをはじめとしたオピオイドの最も一般的な標的である。オピオイド薬物の
過量服用の主要な処置は、強いOPRM1アンタゴニストであるナロキソンであるが、ナ
ロキソンは、オピオイド離脱プロセスを助ける長期的な解決策としては使用できない。よ
りリスクの高い短時間作用型OPRM1アゴニストによって引き起こされたオピオイド嗜
癖を有する人の処置を助けるために、完全アゴニストであるメタドンおよび部分的アゴニ
ストであるブプレノルフィンを含む長時間作用型OPRM1アゴニストが現在使用されて
いる。しかしながら、これらの処置も、呼吸数および心拍数の危険な減少を引き起こし、
過量服用および死亡をもたらす可能性がある。エンドカンナビノイドとオピオイドが関連
する系との間には広範なクロストークが存在し、カンナビノイドは、オピオイド嗜癖から
の離脱症候を減弱させると実証されているので、CB1レセプターアゴニストが、オピオ
イド嗜癖を含む薬物嗜癖を処置するための手段として提唱されている(Scavone
JL,Sterling RC,Bockstaele EJ(2013)Cannab
inoid and opioid interactions:implicatsi
ons for opiate dependence and withdrawal
.Neurosci 248:637-654を参照のこと)。
【0036】
上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、認知障害、運動障害、慢性疼痛、
うつ、食欲減退および嗜癖に対する保護因子および危険因子を検出するための方法を提供
することである。伴侶動物およびヒトなどの哺乳動物被験体における認知障害、運動障害
、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖を診断およびモニターするための方法。上記実施
形態のうちのある特定の実施形態の目標は、伴侶動物およびヒトなどの哺乳動物被験体に
おける認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖を処置するための方法
を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、被験体の血
清の式(I)の化合物またはその対応する脂肪酸のレベルを上昇させる、伴侶動物および
ヒトなどの哺乳動物被験体における認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退また
は嗜癖を検出するための方法を提供することである。上記実施形態のうちのある特定の実
施形態の目標は、オピオイド嗜癖を検出し、メタドンまたは他のOPRM1アゴニストの
使用に頼らずにオピオイド嗜癖を処置するための方法を提供することである。上記実施形
態のうちのある特定の実施形態の目標は、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減
退または嗜癖を検出および処置するためのサプリメント提供することである。上記実施形
態のうちのある特定の実施形態の目標は、費用対効果が高い様式で達成しやすい、伴侶動
物およびヒトなどの哺乳動物被験体における認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲
減退または嗜癖を検出および処置するための方法を提供することである。上記実施形態の
うちのある特定の実施形態の目標は、被験体における認知障害、運動障害、慢性疼痛、う
つ、食欲減退または嗜癖のマーカーまたは行動を調節するための方法を提供することであ
る。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、被験体における認知障害、運動
障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖を検出するための方法を提供することである
。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、被験体における認知障害、運動障
害、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖を処置するための方法を提供することである。
上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、被験体における認知障害、運動障害
、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖を発症予防するための方法を提供することである
。上記実施形態のうちのある特定の実施形態の目標は、被験体の血清中の式(I)の化合
物またはその対応する脂肪酸を増加させるための方法を提供することである。上記実施形
態のうちのある特定の実施形態の目標は、オピオイド嗜癖を処置する方法を提供すること
である。
【0037】
上述の目標のうちの1つまたは1つより多い目標が、本明細書中に記載されるような様
々な組成物、方法および使用によって提供されるかまたは達成される。
定義
【0038】
本明細書中で使用される用語「アルコール」は、広範な用語であり、当業者にとっての
その通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされ
た意味に限定されるべきでなく)、この用語は、1つ以上のヒドロキシ基を組み込んでい
るか、または1つ以上のヒドロキシ基によって置換されたもしくは1つ以上のヒドロキシ
基を含むように官能化された、本明細書中に記載されるような任意の化合物のことを指す
がこれに限定されない。
【0039】
本明細書中で使用される用語「誘導体」は、広範な用語であり、当業者にとってのその
通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意
味に限定されるべきでなく)、この用語は、1つ以上の誘導体基を組み込んでいるか、ま
たは1つ以上の誘導体基によって置換されたもしくは1つ以上の誘導体基を含むように官
能化された、本明細書中に記載されるような任意の化合物のことを指すがこれに限定され
ない。誘導体としては、エステル、アミド、無水物、酸ハロゲン化物、チオエステルおよ
びホスフェートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
本明細書中で使用される用語「炭化水素」は、広範な用語であり、当業者にとってのそ
の通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた
意味に限定されるべきでなく)、この用語は、炭素原子および水素原子だけを含む任意の
部分のことを指すがこれに限定されない。官能化されたまたは置換された炭化水素部分は
、本明細書中の他の箇所に記載されているような1つ以上の置換基を有する。
【0041】
本明細書中で使用される用語「脂質」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通
常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味
に限定されるべきでなく)、この用語は、飽和および不飽和の油およびろう、誘導体、ア
ミド、グリセリド、脂肪酸、脂肪アルコール、ステロールおよびステロール誘導体、とり
わけ、トコフェロール、カロテノイドのことを指すがこれらに限定されない。
【0042】
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容され得る」は、広範な用語であり、当業者
にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタ
マイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、過度の毒性、刺激作用、アレ
ルギー反応、または合理的なリスク/ベネフィット比に見合った他の合併症の問題を伴わ
ずに、適切な医学的判断の範囲内で人間および動物の組織との接触ならびに/または人間
および動物による消費に適した、化合物、材料、組成物および/または剤形のことを指す
がこれらに限定されない。
【0043】
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容され得る塩」および「その薬学的に許容さ
れ得る塩」は、広範な用語であり、当業者にとってのそれらの通常および通例の意味が与
えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく
)、これらの用語は、薬学的に許容され得る無毒性の酸または塩基から調製される塩のこ
とを指すがこれに限定されない。好適な薬学的に許容され得る塩としては、金属塩、例え
ば、アルミニウム塩、亜鉛塩、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩およ
びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩);
有機塩、例えば、リジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、
コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)
、プロカインおよびトリスの塩;遊離酸および遊離塩基の塩;無機塩、例えば、硫酸塩、
塩酸塩および臭化水素酸塩;ならびに現在広く薬学的に使用されていて、当業者に周知の
情報源、例えば、The Merck Indexに列挙されているその他の塩が挙げら
れる。本明細書中で論じられる治療薬の塩を生成するために、任意の好適な構成物を選択
することができるが、但し、それは、無毒性であり、所望の活性を実質的に干渉しない。
塩に加えて、上記化合物の薬学的に許容され得る前駆体および誘導体も使用することがで
きる。薬学的に許容され得るアミド、低級アルキル誘導体および保護誘導体も、好ましい
実施形態の組成物および方法において使用するために好適であり得る。好ましい実施形態
の化合物を薬学的に許容され得る塩の形態で投与することが可能であり得るが、化合物を
中性の形態で投与することが一般に好ましい。
【0044】
本明細書中で使用される用語「薬学的組成物」は、広範な用語であり、当業者にとって
のその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズさ
れた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、本明細書中に開示される1つ以上の化
合物と、他の化学的構成要素(例えば、希釈剤またはキャリア)との混合物のことを指す
がこれに限定されない。薬学的組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。薬学的組
成物は、化合物を無機酸もしくは無機塩基または有機酸もしくは有機塩基と反応させるこ
とによっても得ることができる。薬学的組成物は、通常、具体的な意図された投与経路に
合わせて調整される。
【0045】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「キャリア」は、広範な用語で
あり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味
またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、細胞または組織
への化合物の取り込みを容易にする化合物のことを指すがこれに限定されない。例えば、
以下に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、被験体の細胞または組織
への多くの有機化合物の取り込みを容易にする、よく利用されるキャリアである。水、生
理食塩水、エタノールおよび鉱油も、ある特定の薬学的組成物において使用されるキャリ
アである。
【0046】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「希釈剤」は、広範な用語であ
り、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味ま
たはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、薬理学的活性を欠
くが薬学的に必要であるかまたは望ましい可能性がある、薬学的組成物中の成分のことを
指すがこれに限定されない。例えば、希釈剤は、製造および/または投与するには質量が
小さすぎる強力な薬物の嵩を増加させるために使用され得る。希釈剤は、注射、経口摂取
または吸入によって投与される薬物を溶解するための液体でもあり得る。当該分野におけ
る希釈剤の一般的な形態は、緩衝水溶液(例えば、ヒト血液の組成を模倣しているリン酸
緩衝食塩水であるがこれに限定されない)である。
【0047】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「賦形剤」は、広範な用語であ
り、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味ま
たはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、薬学的組成物に、
以下に限定されないが、嵩、稠性、安定性、結合性、潤滑性、崩壊性などを提供するため
に、その組成物に加えられる物質のことを指すがこれに限定されない。「希釈剤」は、賦
形剤の1タイプである。
【0048】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「被験体」は、広範な用語であ
り、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味ま
たはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、処置、観察または
実験の対象である動物のことを指すがこれに限定されない。「動物」には、冷血および温
血の脊椎動物および無脊椎動物、例えば、魚類、甲殻類、爬虫類および特に哺乳動物が含
まれる。「哺乳動物」しては、イルカ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネ
コ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよび類人猿)お
よび特にヒトが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、被験
体は、ヒトである。
【0049】
本明細書中で使用されるとき、用語「処置する」、「処置」、「治療的な」または「治
療」は、広範な用語であり、それらの通常および通例の意味が与えられるべきであり(特
別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、これらの用語は、疾
患または症状の完治または完全な消滅を必ずしも意味しないがこれに限定されない。ある
疾患または症状の任意の望まれないマーカー、徴候または症候のいくらかの軽減が、処置
および/または治療とみなされ得る。さらに、処置には、患者の健康または見た目の全体
的な印象を悪化させ得る行為が含まれ得る。
【0050】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」および「有効量」は、広範な用語であり、
当業者にとってのそれらの通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味ま
たはカスタマイズされた意味に限定されるべきでなく)、これらの用語は、以下に限定さ
れないが、示される生物学的または医学的な応答を誘発する活性な化合物すなわち医薬品
の量のことを示すために使用される。例えば、化合物の治療有効量は、ある症状のマーカ
ーもしくは症候を予防する、軽減するもしくは回復させる、または処置されている被験体
の生存時間を延長するのに必要な量であり得る。この応答は、組織、系、動物またはヒト
において生じ得、それには、処置されている疾患の徴候または症候の軽減が含まれる。治
療有効量の決定は、本明細書中に提供される本開示に照らせば、十分、当業者の能力の範
囲内である。1用量として必要とされる本明細書中に開示される化合物の治療有効量は、
投与経路、処置されている動物のタイプ(ヒトを含む)および検討中の具体的な動物の身
体特性に依存する。用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食餌、
同時投薬のような因子、および医学分野の当業者が認識する他の因子に依存する。
【0051】
本明細書中で使用される用語「溶媒」は、広範な用語であり、当業者にとってのその通
常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意味
に限定されるべきでなく)、この用語は、他の化合物または手段に対していくらかの溶解
性の特性を有する化合物であって、極性または非極性、直鎖または分枝鎖、環状または脂
肪族、芳香族、ナフテン系であり得る化合物のことを指すが、これに限定されず、とりわ
け、アルコール、誘導体、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、
グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、複素環式化合物が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0052】
本明細書中で使用される用語「脂肪酸」は、広範な用語であり、当業者にとってのその
通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた意
味に限定されるべきでなく)、この用語は、非天然の脂肪酸のことを指すが、これに限定
されない。限定されないが、非天然の脂肪酸は、式(I)の化合物の酸同配体の加水分解
または代謝開裂から得られる可能性がある。
【0053】
本明細書中で使用されるとき、任意の基(例えば、R1、R2、Y1およびY2である
がこれらに限定されない)が、示される原子に結合し得る置換基に相当する。2つの基が
、「一体となる」と記載される場合、それらが結合する基および原子は、シクロアルキル
、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環を形成し得る。例えば、以
下に限定されないが、Y1およびY2が、「一体となる」と示される場合、それは、それ
らが、0~5つの介在原子を介して互いに共有結合して環を形成することを意味する。さ
らに、2つの基が、それらが結合する原子と「一体となって」、選択肢として環を形成す
ると記載される場合、それらの基は、先に定義された変数または置換基に限定されない。
【0054】
本明細書中に提供されるとき、「オキサ」脂肪酸または「チア」脂肪酸は、示された位
置におけるメチレン基が、(脂肪酸鎖における鎖の原子の数が変わらないように)酸素原
子または硫黄原子によって置換された、脂肪酸である。非限定的な例として、3-オキサ
ペンタデカン酸とは、構造:
【化13】
を有する2-(ドデシルオキシ)酢酸のことを指す。硫黄原子は、例えば、スルフェニル
、スルフィニルまたはスルホニル基として酸化され得る。いくつかの実施形態において、
硫黄原子は、スルフェニル部分の一部である。
【0055】
本明細書中で使用される用語「必要に応じて置換される」は、化学基、例えば、G、X
、Y1、Y2またはZが、非置換であってもよいし、示される1つ以上の置換基で置換さ
れてもよいことを示す。置換基が命名されていない場合、示される「必要に応じて置換さ
れる」基または「置換」基は、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6
アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルケニル、アシル(C1-
C6アルキル)、C1-C6アルコキシ(C1-C6アルキル)、アミノ(C1-C6ア
ルキル)、アミノ酸、C6-C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C6-
C10アリール(C1-C6アルキル)、ヘテロアリール(C1-C6アルキル)、ヘテ
ロシクリル(C1-C6アルキル)、ヒドロキシル(C1-C6アルキル)、アシル、シ
アノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミ
ル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホン
アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシア
ナト、アジド、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C1
-C6アルキル)、C1-C6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメ
タンスルホンアミドまたはアミノから個別にかつ独立して選択される1つ以上の置換基で
置換され得る。
【0056】
本明細書中で使用されるとき、「Ca-Cb」(「a」および「b」は整数である)と
は、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基における炭素原子の範囲、またはシクロ
アルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基の環
における炭素原子の数のことを指す。したがって、例えば、「C1-C4アルキル」基と
は、1~4つの炭素を有するすべてのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-
、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3C
H2CH(CH3)-および(CH3)3C-のことを指す。「a」および「b」が、ア
ルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル シクロアルケニル、アリール、ヘテ
ロアリールまたはヘテロアリシクリル基に関して指定されない場合、これらの定義に記載
されている最も広い範囲が想定されるべきである。
【0057】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、広範な用語であり、当業者にとってのそ
の通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズされた
意味に限定されるべきでなく)、この用語は、完全に飽和した(二重結合または三重結合
がない)炭化水素基を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖のことを指す。アルキル基は、
1~6つの炭素原子を有する低級アルキル基であり得る。典型的なアルキル基としては、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチ
ルおよびヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、7~14個の
炭素原子を有する中級アルキル基であり得る。アルキル基は、15個以上の炭素原子、例
えば、15~30個の炭素原子または15~25個の炭素原子を有する高級アルキル基で
あり得る。アルキル基は、例えば、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19
、21、23または25個の炭素原子、例えば、15または17個の炭素原子を有する、
奇数鎖アルキル基であり得る。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、「アルケニル」は、広範な用語であり、当業者にとって
のその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズさ
れた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、その鎖に1つ以上の炭素-炭素二重結
合を含む、直鎖または分枝鎖で、非置換または置換の炭化水素鎖のことを指す。アルケニ
ル基の非限定的な例としては、アレニル、ビニルおよびイソプレニルが挙げられる。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、「アルキニル」は、広範な用語であり、当業者にとって
のその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイズさ
れた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、その鎖に1つ以上の炭素-炭素三重結
合を含む、直鎖または分枝鎖で、非置換または置換の炭化水素鎖のことを指す。アルキニ
ルの非限定的な例としては、エチニルおよびプロピニルが挙げられる。
【0060】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアリール」は、広範な用語であり、当業者にと
ってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイ
ズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、芳香環に1つ以上のヘテロ原子を
有する芳香環を含む単環式または縮合多環式の環系のことを指す。そのヘテロ原子は、窒
素、酸素または硫黄であり得るが、これらに限定されない。「n員のヘテロアリール」と
は、環または環系であって、合計n個の原子がその環または環系の環を形成している、環
または環系のことを指す。ヘテロアリールには、オキソで置換された複素環式芳香環およ
び複素環式環系、ならびにそれらのヒドロキシ互変異性体が含まれる。ヘテロアリール環
の例としては、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが挙げられるが、これらに
限定されない:1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、テトラゾール、フラ
ン、フラザン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、
1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4
-チアジアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピ
ラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾ
ール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、
ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キ
ノキサリン、シンノリンおよびトリアジン。
【0061】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロシクリル」は、広範な用語であり、当業者にと
ってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(特別な意味またはカスタマイ
ズされた意味に限定されるべきでなく)、この用語は、単環式環系、スピロ環式環系およ
び/または縮合多環式環系であって、いかなる芳香環も含まず、その環または環系に1つ
以上のヘテロ原子を有する、単環式環系、スピロ環式環系および/または縮合多環式環系
のことを指す。ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄であり得るが、これらに限定されな
い。「n員のヘテロシクリル」とは、環または環系であって、合計n個の原子がその環ま
たは環系の環を形成している環または環系のことを指す。ヘテロシクリルには、オキソで
置換された複素環式環および環系ならびにそれらのヒドロキシ互変異性体が含まれる。ヘ
テロアリール環の例としては、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが挙げられ
るが、これらに限定されない:群には、本明細書中に記載されるものおよび以下のものが
含まれるが、これらに限定されない:オキサゾリジノン、1,3-ジオキシン、1,4-
ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,3-オキサチオラン、
1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,
4-チアジン、1,3-チアジナン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシン
イミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジ
ヒドロウラシル、トリオキサン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イ
ソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チ
アゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジ
ン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジ
ン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラ
ン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホンおよびそれ
らのベンゾ縮合アナログ(例えば、ベンゾイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリンおよ
び3,4-メチレンジオキシフェニル)。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、「シクロアルキル」とは、完全に飽和の(二重結合また
は三重結合がない)単環式または多環式の炭化水素環系のことを指す。2つ以上の環から
構成されるとき、それらの環は、縮合形式で結合され得る。シクロアルキル基は、そ(れ
ら)の環に3~10個の原子を含み得るか、またはそ(れら)の環に3~8つの原子を含
み得る。シクロアルキル基は、非置換であってもよいし、置換されてもよい。典型的なシ
クロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキ
シル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書中で使用されるとき、「シクロアルケニル」とは、少なくとも1つの環に1つ
以上の二重結合を含む単環式または多環式の炭化水素環系のことを指すが、二重結合が1
つより多く存在する場合、それらの二重結合は、すべての環にわたって、完全に非局在化
したπ電子系を形成できない(さもなければ、その基は、本明細書中で定義されるような
「アリール」となる)。2つ以上の環から構成されるとき、それらの環は、縮合形式で結
合され得る。シクロアルケニル基は、非置換であってもよいし、置換されてもよい。
【0064】
本明細書中で使用されるとき、「アリール」とは、すべての環にわたって完全に非局在
化したπ電子系を有する、炭素環式(すべてが炭素)で単環式または多環式の芳香環系(
2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)のことを指す。アリール基における
炭素原子の数は、様々であり得る。例えば、アリール基は、C6-C14アリール基、C
6-C10アリール基またはC6アリール基であり得る。アリール基の例としては、ベン
ゼン、ナフタレンおよびアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は
、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0065】
本明細書中で使用されるとき、「アラルキル」および「アリール(アルキル)」とは、
低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアリール基のことを指す。アラルキル
の低級アルキレンおよびアリール基は、置換されてもよいし、非置換であってもよい。例
としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキルおよびナフチルアル
キルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0066】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアラルキル」および「ヘテロアリール(アルキ
ル)」とは、1~6つの炭素原子を有する低級アルキレン基を介して置換基として結合さ
れるヘテロアリール基のことを指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレンおよびヘテロア
リール基は、置換されてもよいし、非置換であってもよい。例としては、2-チエニルア
ルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル
、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、イミダゾリルアルキルおよびそれらの
ベンゾ縮合アナログが挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」および「ヘテロシクリル(アルキル)」とは、低
級アルキレン基を介して置換基として結合される複素環式基またはヘテロ脂環式基のこと
を指す。ヘテロアリシクリル(アルキル)の低級アルキレンおよびヘテロシクリルは、置
換されてもよいし、非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-
4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピ
ル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)および1,3-チアジナン
-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
「低級アルキレン基」は、それらの末端の炭素原子を介してフラグメント分子を結合す
る結合を形成し、1~6つの炭素原子を有する、直鎖状のつなぎの-CH2-基である。
例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-
CH2CH2CH2-)およびブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられる
がこれらに限定されない。低級アルキレン基は、低級アルキレン基の1つ以上の水素を、
「置換」の定義において列挙された置換基で置き換えることによって、置換され得る。
【0069】
本明細書中で使用されるとき、「アルコキシ」とは、式-ORのことを指し、式中、R
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール
、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル
)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり、本明細書中
に定義される。アルコキシの非限定的なリストとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロ
ポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、s
ec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシおよびベンゾキシが挙げられる。アル
コキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0070】
本明細書中で使用されるとき、「アシル」とは、カルボニル基を介して置換基として結
合される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニ
ル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリー
ル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)のこと
を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイルおよびアクリルが
挙げられる。アシルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0071】
本明細書中で使用されるとき、「アシルアルキル」とは、低級アルキレン基を介して置
換基として結合されるアシルのことを指す。例としては、アリール-C(=O)-(CH
2)n-およびヘテロアリール-C(=O)-(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは
、1~6の範囲内の整数である。
【0072】
本明細書中で使用されるとき、「アルコキシアルキル」とは、低級アルキレン基を介し
て置換基として結合されるアルコキシ基のことを指す。例としては、C1-4アルキル-
O-(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは、1~6の範囲内の整数である。
【0073】
本明細書中で使用されるとき、「アミノアルキル」とは、低級アルキレン基を介して置
換基として結合される非置換アミノ基または置換アミノ基のことを指す。例としては、H
2N(CH2)n-が挙げられ、ここで、nは、1~6の範囲内の整数である。
【0074】
本明細書中で使用されるとき、「アミノ」とは、非置換の窒素、または必要に応じて置
換される1つもしくは2つのC1-C6アルキル基によって置換された窒素のことを指す
。アミノ基の例としては、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2および-N(CH
3)(CH2CH3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書中で使用されるとき、「ヒドロキシアルキル」とは、1つ以上の水素原子がヒ
ドロキシ基によって置換されたアルキル基のことを指す。例示的なヒドロキシアルキル基
としては、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピルお
よび2,2-ジヒドロキシエチルが挙げられるがこれらに限定されない。ヒドロキシアル
キルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0076】
本明細書中で使用されるとき、「ハロアルキル」とは、1つ以上の水素原子がハロゲン
によって置換されたアルキル基(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキルおよび
トリ-ハロアルキル)のことを指す。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメ
チル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロ-フルオロアルキル、クロロ-ジ
フルオロアルキルおよび2-フルオロイソブチルが挙げられるがこれらに限定されない。
ハロアルキルは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0077】
本明細書中で使用されるとき、「ハロアルコキシ」とは、1つ以上の水素原子がハロゲ
ンによって置換されたアルコキシ基(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキ
シおよびトリ-ハロアルコキシ)のことを指す。そのような基としては、クロロメトキシ
、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ-フルオロア
ルキル、クロロ-ジフルオロアルコキシおよび2-フルオロイソブトキシが挙げられるが
これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい
。
【0078】
「スルフェニル」基とは、「-SR」基のことを指し、ここで、Rは、水素、アルキル
、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリ
ール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロア
リール(アルキル)またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。スルフェニルは、置
換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0079】
「スルフィニル」基とは、「-S(=O)-R」基のことを指し、ここで、Rは、スル
フェニルに関して定義されたものと同じであり得る。スルフィニルは、置換されてもよい
し、非置換であってもよい。
【0080】
「スルホニル」基とは、「SO2R」基のことを指し、ここで、Rは、スルフェニルに
関して定義されたものと同じであり得る。スルホニルは、置換されてもよいし、非置換で
あってもよい。
【0081】
「O-カルボキシ」基とは、「RC(=O)O-」基のことを指し、ここで、Rは、本
明細書中で定義されるような、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキ
ル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(
アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル
(アルキル)であり得る。O-カルボキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよ
い。
【0082】
用語「エステル」および「C-カルボキシ」とは、「-C(=O)OR」基のことを指
し、ここで、Rは、O-カルボキシに関して定義されたものと同じであり得る。エステル
およびC-カルボキシは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0083】
「チオカルボニル」基とは、「-C(=S)R」基のことを指し、ここで、Rは、O-
カルボキシに関して定義されたものと同じであり得る。チオカルボニルは、置換されても
よいし、非置換であってもよい。
【0084】
「トリハロメタンスルホニル」基とは、「X3CSO2-」基のことを指し、式中、各
Xは、ハロゲンである。
【0085】
「トリハロメタンスルホンアミド」基とは、「X3CS(O)2N(RA)-」基のこ
とを指し、式中、各Xは、ハロゲンであり、RAは、水素、アルキル、アルケニル、アル
キニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリ
ル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)
またはヘテロシクリル(アルキル)である。
【0086】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒドロキシ」とは、-OH基のことを指す。
【0087】
「シアノ」基とは、「-CN」基のことを指す。
【0088】
本明細書中で使用される用語「アジド」とは、-N3基のことを指す。
【0089】
「イソシアナト」基とは、「-NCO」基のことを指す。
【0090】
「チオシアナト」基とは、「-CNS」基のことを指す。
【0091】
「イソチオシアナト」基とは、「-NCS」基のことを指す。
【0092】
「カルボニル」基とは、C=O基のことを指す。
【0093】
「S-スルホンアミド」基とは、「-SO2N(RARB)」基のことを指し、ここで
、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアル
キル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル
(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリ
ル(アルキル)であり得る。S-スルホンアミドは、置換されてもよいし、非置換であっ
てもよい。
【0094】
「N-スルホンアミド」基とは、「RSO2N(RA)-」基のことを指し、ここで、
RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル
、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(ア
ルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(
アルキル)であり得る。N-スルホンアミドは、置換されてもよいし、非置換であっても
よい。
【0095】
「O-カルバミル」基とは、「-OC(=O)N(RARB)」基のことを指し、ここ
で、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロア
ルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキ
ル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシク
リル(アルキル)であり得る。O-カルバミルは、置換されてもよいし、非置換であって
もよい。
【0096】
「N-カルバミル」基とは、「ROC(=O)N(RA)-」基のことを指し、ここで
、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキ
ル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(
アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル
(アルキル)であり得る。N-カルバミルは、置換されてもよいし、非置換であってもよ
い。
【0097】
「O-チオカルバミル」基とは、「-OC(=S)-N(RARB)」基のことを指し
、ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シ
クロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロ
アルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテ
ロシクリル(アルキル)であり得る。O-チオカルバミルは、置換されてもよいし、非置
換であってもよい。
【0098】
「N-チオカルバミル」基とは、「ROC(=S)N(RA)-」基のことを指し、こ
こで、RおよびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロア
ルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキ
ル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシク
リル(アルキル)であり得る。N-チオカルバミルは、置換されてもよいし、非置換であ
ってもよい。
【0099】
「C-アミド」基とは、「-C(=O)N(RARB)」基のことを指し、ここで、R
AおよびRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル
、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(ア
ルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(
アルキル)であり得る。C-アミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0100】
「N-アミド」基とは、「RC(=O)N(RA)-」基のことを指し、ここで、Rお
よびRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シ
クロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキ
ル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)またはヘテロシクリル(アル
キル)であり得る。N-アミドは、置換されてもよいし、非置換であってもよい。
【0101】
本明細書中で使用される用語「ハロゲン原子」または「ハロゲン」は、元素周期表の第
7列の放射安定性原子のいずれか1つ(例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素)を意
味する。
【0102】
本明細書中で使用されるとき、
【化14】
は、別段述べられない限り、単結合または二重結合を示す。
【0103】
置換基の数が特定されていない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存
在し得る。例えば、「ハロアルキル」は、同じまたは異なる1つ以上のハロゲンを含み得
る。別の例として、「C1-C3アルコキシフェニル」は、1つ、2つまたは3つの原子
を含む同じまたは異なる1つ以上のアルコキシ基を含み得る。
【0104】
本明細書中で使用されるとき、任意の保護基、アミノ酸および他の化合物の省略形は、
別段示されない限り、それらの通常の使用法、広く認められている省略形、またはIUP
AC-IUB Commission on Biochemical Nomencl
ature(Biochem.11:942-944(1972)を参照のこと)に従う
。
【0105】
本明細書中で使用されるとき、用語「アミノ酸」とは、任意のアミノ酸(天然アミノ酸
と非天然アミノ酸の両方)のことを指し、α-アミノ酸が含まれるがこれに限定されない
。好適なアミノ酸の例としては、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン
、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒ
スチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニ
ン、トリプトファンおよびバリンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアミノ
酸のさらなる例としては、オルニチン、ハイプシン、2-アミノイソ酪酸、デヒドロアラ
ニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ベータ-アラニン、アルファ-エチル-グリシ
ン、アルファ-プロピル-グリシンおよびノルロイシンが挙げられるが、これらに限定さ
れない。本明細書中で使用されるとき、「アミノ酸」には、主鎖のカルボン酸基がエステ
ル基に変換されたアミノ酸も含まれる。
【0106】
本明細書中で使用される用語「保護基」とは、ある分子の中の既存の基が、望まれない
化学反応を起こさないように、その分子に付加される任意の原子または原子の群のことを
指す。保護基部分の例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Pr
otective Groups in Organic Synthesis,3.E
d.John Wiley & Sons,1999およびJ.F.W.McOmie,
Protective Groups in Organic Chemistry P
lenum Press,1973に記載されており、この両方が、好適な保護基を開示
するという限定的な目的で参照により本明細書に援用される。保護基部分は、それらが、
ある特定の反応条件にとって安定であるように、および当該分野で公知の方法を用いて好
都合な段階において容易に除去されるように、選択され得る。保護基の非限定的なリスト
としては、ベンジル;置換ベンジル;アルキルカルボニルおよびアルコキシカルボニル(
例えば、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アセチルまたはイソブチリル);アリール
アルキルカルボニルおよびアリールアルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカル
ボニル);置換メチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル);置換エチルエーテ
ル;置換ベンジルエーテル;テトラヒドロピラニルエーテル;シリル(例えば、トリメチ
ルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ト
リ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル
またはt-ブチルジフェニルシリル);エステル(例えば、安息香酸エステル);カーボ
ネート(例えば、メトキシメチルカーボネート);スルホネート(例えば、トシレートま
たはメシレート);非環式ケタール(例えば、ジメチルアセタール);環式ケタール(例
えば、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよび本明細書中に記載されるもの)
;非環式アセタール;環式アセタール(例えば、本明細書中に記載されるもの);非環式
ヘミアセタール;環式ヘミアセタール;環式ジチオケタール(例えば、1,3-ジチアン
または1,3-ジチオラン);オルトエステル(例えば、本明細書中に記載されるもの)
およびトリアリールメチル基(例えば、トリチル;モノメトキシトリチル(MMTr);
4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr);4,4’,4”-トリメトキシトリチル(
TMTr);および本明細書中に記載されるもの)が挙げられる。
【0107】
本願、特に添付の請求項において使用される用語および句ならびにそれらの変化形は、
別段明確に述べられない限り、限定とは対照的な、オープンエンドとして解釈されるべき
である。前述の例として、用語「~を含む(including)」は、「以下に限定さ
れないが、~を含む」、「~を含むがこれらに限定されない」などを意味すると読み取ら
れるべきであり、本明細書中で使用される用語「~を含む(comprising)」は
、「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」または
「~を特徴とする」と同義であり、包括的であるか、またはオープンエンドであり、記載
されていないさらなるエレメントまたは方法工程を排除せず、用語「~を有する」は、「
~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「~が挙げられる」は、「~が挙
げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「例」は、論じてい
る項目の例示的な実例を提供するために使用されるのであって、その網羅的または限定的
なリストを提供するために使用されるのではなく、「好ましくは」、「好ましい」、「所
望の」または「望ましい」のような用語および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特
徴が、構造または機能にとって絶対に欠かせない、不可欠または重要であることを暗示し
ていると理解されるべきでなく、その代わりに、特定の実施形態において利用されてもよ
いし、されなくてもよい、代替のまたはさらなる特徴を強調するように単に意図されてい
ると理解されるべきである。さらに、用語「~を含む(comprising)」は、句
「~を少なくとも有する」または「~を少なくとも含む」の同意語として解釈されるべき
である。用語「~を含む(comprising)」は、あるプロセスの文脈において使
用されるとき、そのプロセスが、記載されている工程を少なくとも含むが、さらなる工程
も含んでよいことを意味する。用語「~を含む(comprising)」は、ある化合
物、組成物またはデバイスの文脈において使用されるとき、その化合物、組成物またはデ
バイスが、記載されている特徴または構成要素を少なくとも含むが、さらなる特徴または
構成要素も含んでもよいことを意味する。同様に、接続詞「および」を用いて連結される
項目の群は、それらの項目の各々およびすべてが、そのグループ分けに存在することを必
要とすると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/
または」と読み取られるべきである。同様に、接続詞「または」を用いて連結される項目
の群は、その群の中で相互排他性を必要とすると読み取られるべきでなく、むしろ、別段
明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られるべきである。
【0108】
本明細書中の実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業
者は、その文脈および/または用途にとって適切であるように、複数形から単数形に、お
よび/または単数形から複数形に読み換えることができる。明確にするために、様々な単
数形/複数形の入れ替えが、本明細書中で明確に示されることがある。不定冠詞「a」ま
たは「an」は、複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に
記載されるいくつかの項目の機能を果たすことがある。ある特定の基準が、相互に異なる
従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせを都
合よく使用できないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照符号も、その
範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0109】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書中に記載される任意の化合物において、絶対立
体化学が明確に示されない場合、各中心は、独立して、R配置もしくはS配置またはその
組み合わせであり得ると理解される。したがって、本明細書中に提供される化合物は、鏡
像異性的に純粋であり得るか、鏡像異性的に濃縮されたものであり得るか、ラセミ混合物
であり得るか、ジアステレオ異性的に純粋であり得るか、ジアステレオ異性的に濃縮され
たものであり得るか、または立体異性混合物であり得る。さらに、EまたはZとして定義
され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する本明細書中に記載される任意
の化合物において、各二重結合は、独立して、EまたはZ、その組み合わせであり得ると
理解される。
【0110】
同様に、記載される任意の化合物において、あらゆる互変異性体も包含されると意図さ
れていると理解される。
【0111】
本明細書中に開示される化合物の結合価が満たされていない場合、その結合価は、水素
またはその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)
で満たされると理解されるべきである。
【0112】
本明細書中に記載される化合物は、同位体的に標識され得ると理解される。ジュウテリ
ウムなどの同位体による置換は、より高い代謝的安定性に起因するある特定の治療上の利
点(例えば、インビボ半減期の延長または必要投与量の減少)をもたらし得る。化合物の
構造に現れるような各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含み得る。例えば、ある化
合物の構造において、水素原子が、その化合物に存在すると明示的に開示され得るかまた
は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、その水素原子は、
水素の任意の同位体であり得、それらとしては、水素-1(プロチウム)および水素-2
(ジュウテリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本明細書中での
ある化合物に対する言及には、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、存在し得るす
べての同位体型が包含される。
【0113】
本明細書中に記載される方法および組み合わせは、結晶型(同じ元素組成の化合物の異
なる結晶充填配置を含む、多形としても知られる)、アモルファス相、塩、溶媒和物およ
び水和物を含むと理解される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化
合物は、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和の形態で
存在する。他の実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、非溶媒和の形態で
存在する。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容され
得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)を用いた結晶化のプロセス中に形成され得る。
溶媒が水であるとき、水和物が形成されるか、または溶媒がアルコールであるとき、アル
コラートが形成される。さらに、本明細書中に提供される化合物は、非溶媒和の形態なら
びに溶媒和の形態で存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、本明細書中に提供される化合
物および方法においては、非溶媒和の形態と等価と見なされる。
【0114】
値の範囲が提供される場合、上限および下限ならびにその範囲の上限と下限との間に存
在する任意の値が含まれると理解される。
【0115】
本明細書中で言及される任意のパーセンテージ、比または他の量は、別段示されない限
り、重量基準である。
飽和脂肪酸
【0116】
飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸は、身体内に存在すると知られている(例えば、Jen
kins B,West J,Koulman A(2015),A review o
f odd-chain fatty acid metabolism and th
e role of pentadecanoic acid(C15:0)and h
eptadecanoic acid(C17:0)in health and di
sease,Molecules 20:2425-44を参照のこと)。本明細書中に
提供されるとき、脂肪酸は、当業者が用いるように、従来の命名法を用いて言及され、記
載される。飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を含まない。不飽和脂肪酸は、少なくとも
1つの炭素-炭素二重結合を含む。一価不飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を1つだけ
含む。多価不飽和脂肪酸は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を含む。脂肪酸における二重
結合は、通常cisであるが、しかしながら、trans二重結合もあり得る。二重結合
の位置は、Δnによって示すことができ、ここで、nは、二重結合した炭素原子の各対の
炭素の小さい方の番号を示す。炭素の合計数:二重結合の数,Δ二重結合の位置を明示す
る略記法が使用され得る。例えば、20:4Δ5,8,11,14とは、20個の炭素原
子および4つの二重結合を有する脂肪酸であって、それらの二重結合は、5位の炭素原子
と6位の炭素原子との間、8位の炭素原子と9位の炭素原子との間、11位の炭素原子と
12位の炭素原子との間、および14位の炭素原子と15位の炭素原子との間に位置し、
1位の炭素原子は、カルボン酸基の炭素である、脂肪酸のことを指す。ステアリン酸(オ
クタデカン酸)は、飽和脂肪酸である。オレイン酸(cis-Δ9-オクタデセン酸)は
、一価不飽和脂肪酸であり、リノレン酸(すべてcisのΔ9,12,15-オクタデカ
トリエン酸)は、多価不飽和脂肪酸である。
【0117】
飽和脂肪酸は、様々な名称で称されることがあり、例えば、ヘプタデカン酸は、ヘプタ
デシル酸およびn-ヘプタデシル酸またはC17:0と称されることがある。飽和脂肪酸
または不飽和脂肪酸は、当該分野で公知であるように、脂質の数によって称されることが
ある。奇数鎖脂肪酸の例は、マルガリン酸(ヘプタデカン酸、C17:0)、ペラルゴン
酸(ノナン酸、C9:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ノナデカン酸(C19:0)
、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テト
ラエン酸)、アドレン酸(すべてcisの7,10,13,16-ドコサテトラエン酸)
およびオズボンド酸(すべてcisの4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸)
である。一般に、1つ以上の飽和脂肪酸は、最も長いアルキル鎖に9つの炭素原子から3
1個の炭素原子(9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29ま
たは31個の炭素原子)、例えば、15~21個の炭素原子、例えば、17個の炭素原子
を有するが、しかしながら、ある特定の実施形態では、それより多いまたは少ない奇数個
の炭素原子が、許容され得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、奇数鎖脂肪
酸または偶数鎖脂肪酸であり得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、奇数鎖
脂肪酸であり得る。本明細書中に記載されるとき、奇数鎖脂肪酸は、最も長いアルキル鎖
に奇数個の炭素原子を有する脂肪酸である。本明細書中に記載されるとき、偶数鎖脂肪酸
は、最も長いアルキル鎖に偶数個の炭素原子を有する脂肪酸である。
【0118】
飽和脂肪酸は、塩として、例えば、カルボキシル基に存在し得る。いくつかの実施形態
において、1つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、例えば1つの
組成物に、存在してもよいし、2つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る
塩が、存在してもよいし、3つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が
、存在してもよいし、それ以上が存在してもよい。いくつかの実施形態において、複数の
式(I)の脂肪酸化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む混合物中の飽和脂肪酸
は、不飽和の量、炭化水素鎖の長さ、誘導体化(derivativeificatio
n)の様々な状態、アルキル置換の数、酸同配体の同一性、塩の同一性または他の構造的
特徴によって区別され得る。さらなる実施形態において、式(I)の化合物またはその薬
学的に許容され得る塩は、例えば組成物中に、天然に存在する脂肪酸または天然に存在す
る不飽和脂肪酸とともに存在し得る。
【0119】
奇数鎖脂肪酸は、バターを含む一部の乳製品に微量で見られ、一部の魚油の構成要素で
ある(例えば、Mansson HL(2008),Fatty acids in b
ovine milk fat,Food Nutr.Res.52:4,Luzia
LA,Sampaio GR,Castellucci CMN,Torres EAF
S(2013)The influence of season on the li
pid profiles of five commercially import
ant species of Brazilian fish.Food Chem.
83:93-97を参照のこと)。研究によって、奇数鎖脂肪酸を含む食物の毎日の食事
摂取量を増加させると、血清レベルの上昇に成功することが実証されている(例えば、B
enatar J.R.,Stewart R.A.H.(2014),The eff
ects of changing dairy intake on trans a
nd saturated fatty acid levels-results f
rom a randomized controlled study.Nutr.J
.13:32を参照のこと)。
【0120】
食事に様々な脂肪酸が広く使用されていることと、被験体における代謝症候群の発生と
には相関があった(例えば、Forouhi N,Koulman A,Sharp S
,Imamura F,Kroger J,Schulze M,et al.(201
4),Differences in the prospective associ
ation between individual plasma phosphol
ipid saturated fatty acids and incident
type 2 diabetes:the EPIC-InterAct case-c
ohort study.Lancet Diabetes Endocrinol.2
:810-8を参照のこと)。実際は、全脂乳製品の消費と、代謝症候群マーカーの低リ
スクとに相関があった(例えば、Kratz M,Marcovina S,Nelso
n JE,Yeh MM,Kowdley KV,Callahan HS,et al
.(2014),Dairy fat intake is associated w
ith glucose tolerance,hepatic and system
ic insulin sensitivity,and liver fat but
not beta-cell function in humans,Am.J.C
lin.Nutr.,99:1385-96を参照のこと)。
【0121】
純粋なまたは精製された奇数鎖脂肪酸は、様々な物理的状態で存在し得る。例えば、ヘ
プタデカン酸は、室温において安定なオフホワイトの粉末として存在し、この化合物は、
一部の商業的供給業者(例えば、Sigma-Aldrich corp.,St.Lo
uis,MO)から少量で研究目的に適した形態で購入できる。他の奇数鎖脂肪酸または
その塩もしくは誘導体は、油、固体、結晶性固体または気体として存在し得る。
【0122】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、少なくとも約10%、少なく
とも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なく
とも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なく
とも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少
なくとも約99.99%の純度または実質的に純粋な純度(例えば、バルク形態における
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩のパーセンテージ)で提供され得、
ここで、実質的に純粋には、不純物が存在することによる生理学的影響が検出不可能であ
るようなレベルで不純物を含む生成物が含まれ得るが、これらに限定されない。式(I)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の混合物は、少なくとも約10%、少なくと
も約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくと
も約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくと
も約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少な
くとも約99.99%の純度または実質的に純粋な純度で存在し得る。式(I)の化合物
またはその薬学的に許容され得る塩は、天然に存在する脂肪酸または脂肪酸誘導体を含ま
ないことがあるか、トリグリセリドを含まないことがあるか、またはリン脂質を含まない
ことがある。以下に限定されないが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る
塩は、単独の、またはある群としてみなされる、偶数鎖脂肪酸を実質的に含まないことが
あり、偶数鎖脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C
16:0)、ステアリン酸(C18:0)またはアラキジン酸(C20:0)が挙げられ
る。さらなる実施形態において、以下に限定されないが、式(I)の化合物またはその薬
学的に許容され得る塩は、天然に存在する偶数鎖脂肪酸を実質的に含まないことがある。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、
短鎖脂肪酸(SCFA)、中鎖脂肪酸(MCFA)、長鎖脂肪酸(LCFA)または極長
鎖脂肪酸(VLCFA)を実質的に含まないことがある。いくつかの実施形態において、
「実質的に含まない」は、組成物が、5wt.%未満の不純物、例えば、天然に存在する
偶数鎖脂肪酸、もしくは1wt.%未満の不純物を含むか、または例えば従来のGC/M
S検出法では検出不可能なレベルの不純物を有することを意味し得る。
【0123】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、当業者に公知の方法または本
明細書中に提供される方法を含む任意の方法によって合成され得る。いくつかの実施形態
において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然の起源に存在し
得るか、天然の起源から単離され得るか、半合成のものであり得るか、合成のものであり
得るか、またはこれらのうちの1つ以上の混合物であり得る。式(I)の化合物またはそ
の薬学的に許容され得る塩は、研究室内で生成され得るか、自然界で生成され得るか、酵
素プロセスによって生成され得るか、野生の微生物によって生成され得るか、遺伝的に改
変された微生物によって生成され得るか、動物組織から単離され得るか、化学合成によっ
て生成され得るか、または複数のこれらのプロセスによって生成され得る。
【0124】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、天然の起源、例えば、魚油か
ら得られることがあるか、または当該分野で公知であるような方法によって合成され得る
。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に
は、偶数鎖脂肪酸、または未純化もしくは未精製の天然物に存在する他の構成要素が混入
していることがある。そのような状況では、公知の分離または精製の手法を用いて、望ま
れない構成要素を除去することまたは所望の構成要素の濃度を高めることが望ましい場合
がある。
【0125】
記載される任意の化合物において、すべての互変異性体も包含されると意図されている
。以下に限定されないが、炭素-炭素二重結合およびカルボキシル基ならびに複素環、例
えばテトラゾールの、すべての互変異性体が、包含されると意図されている。本明細書中
に提供される互変異性体の例は、テトラゾール置換基の互変異性体:
【化15】
である。
【0126】
EまたはZとして定義され得る幾何異性体をもたらす1つ以上の二重結合を有する本明
細書中に記載される任意の化合物において、各二重結合は、独立して、EもしくはZまた
はその組み合わせであり得る。
【0127】
本明細書中に開示される化合物の結合価が満たされていない場合、その結合価は、水素
またはその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(ジュウテリウム)
で満たされる。
【0128】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、結晶型(同じ元素組成の化合
物の異なる結晶充填配置を含む、多形としても知られる)、アモルファス相、塩、溶媒和
物および水和物を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物は
、薬学的に許容され得る溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和の形態で存在す
る。他の実施形態において、本明細書中に記載される化合物は、非溶媒和の形態で存在す
る。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容され得る溶
媒(例えば、水、エタノールなど)を用いた結晶化のプロセス中に形成され得る。溶媒が
水であるとき、水和物が形成されるか、または溶媒がアルコールであるとき、アルコラー
トが形成される。さらに、本明細書中に提供される化合物は、溶媒和の形態のほかに非溶
媒和の形態でも存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、本明細書中に提供される化合物お
よび方法においては、非溶媒和の形態と等価と見なされる。
【0129】
本明細書中に記載される化合物は、同位体的に標識され得る。一部の場合において、ジ
ュウテリウムなどの同位体による置換は、より高い代謝的安定性に起因するある特定の治
療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長または必要投与量の減少)をもたらし得る。
同位体置換は、例えば、ある化合物におけるある原子の運命をモニターするための機会を
提供することによって、化合物の投与に対する被験体の反応をモニターする際に有益であ
り得る。化合物の構造に現れるような各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含み得る
。例えば、ある化合物の構造において、水素原子が、その化合物に存在すると明示的に開
示され得るかまたは理解され得る。水素原子が存在し得るその化合物の任意の位置におい
て、その水素原子は、任意の水素同位体であり得、それらとしては、水素-1(プロチウ
ム)および水素-2(ジュウテリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。したがっ
て、本明細書におけるある化合物に対する言及には、文脈が明らかに他のことを指示しな
い限り、存在し得るすべての同位体型が包含される。
化合物の調製
【0130】
式(I)の化合物は、当業者に公知の任意の好適な方法によって調製され得る。代表的
な方法として、例えば、Francis A.Carey et al.,Advanc
ed Organic Chemistry:Part B:Reaction and
Synthesis(5th Ed.2005)を参照のこと。
式(I)の化合物を含む薬学的組成物
【0131】
奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体および少なくとも1つの賦形剤を含む製剤が
提供される。上記の実施形態の化合物を経口製剤として投与することが一般に好ましいが
、しかしながら、他の投与経路も企図される。
【0132】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単独で、または組成物として、被験体に投与
され得、組成物の場合、その組成物は、併用療法におけるように他の活性な作用物質と混
合されているか、またはキャリア、希釈剤、賦形剤もしくはそれらの組み合わせと混合さ
れている。製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書中に記載される化合物の製
剤化および投与のための手法は、当業者に公知である(例えば、“Remington:
The Science and Practice of Pharmacy”,Li
ppincott Williams & Wilkins;20th edition
(June 1,2003)および“Remington’s Pharmaceuti
cal Sciences,”Mack Pub.Co.;第18版および第19版(そ
れぞれ1985年12月および1990年6月)を参照のこと。
【0133】
本明細書中に開示される薬学的組成物は、それ自体公知のプロセスによって、例えば、
従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、打錠または
抽出プロセスを用いて、製造され得る。本明細書中に開示される薬学的な併用において使
用される化合物の多くが、薬学的に許容され得る対イオンとの塩として提供され得る。
【0134】
化合物を投与する手法は、当該分野において複数存在し、それらとしては、経口、直腸
、局所的、エアロゾル、注射および非経口的送達(筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、
髄内注射、髄腔内注射、直接脳室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射および眼内注射を含む
)が挙げられるが、これらに限定されない。前述の任意の組み合わせ、または当業者に公
知であるような他の方法が本明細書中で企図される(例えば、“Remington:T
he Science and Practice of Pharmacy”,Lip
pincott Williams & Wilkins;20th edition(
June 1,2003)および“Remington’s Pharmaceutic
al Sciences,”Mack Pub.Co.;第18版および第19版(それ
ぞれ1985年12月および1990年6月)を参照のこと。
【0135】
実際に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、従来の薬学的調剤法
に従って、薬学的キャリアとの完全な混合物において活性成分として混ぜ合わされ得る。
そのキャリアは、投与とって望ましい調製物の形態に応じて多種多様の形をとり得る。し
たがって、本明細書中に提供される薬学的組成物は、経口投与に適した不連続単位(例え
ば、各々が所定の量の活性成分を含む、カプセル剤、カシェ剤または錠剤)として提供さ
れ得る。さらに、組成物は、オイル、散剤、顆粒剤、液剤、水性液体中の懸濁剤、非水性
液体、水中油型エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして提供され得る。上に
示された一般的な剤形に加えて、本明細書中に提供される化合物またはその薬学的に許容
され得る塩もしくは誘導体は、制御放出手段および/または送達デバイスによっても投与
され得る。それらの組成物は、薬学の任意の方法によって調製され得る。一般に、そのよ
うな方法は、1つ以上の必要な成分を構成するキャリアと活性成分を合わせる工程を含む
。一般に、組成物は、活性成分を液体キャリアもしくは微粉化された固体キャリアまたは
その両方と均一かつ完全に混ぜることによって調製される。次いで、その生成物は、所望
の体裁にうまく成形され得る。
【0136】
製剤は、全身的な様式ではなく、局所的な様式でも投与され得、例えば、感染領域に直
接化合物をしばしばデポー製剤または徐放製剤として注射することによっても、投与され
得る。さらに、標的化薬物送達系が、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポ
ソームにおいて使用され得る。
【0137】
薬学的組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、所望の治療
効果にとって有効な量で含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、単位
剤形であり、1単位剤形あたり約0.1mgまたはそれ以下から約5000mgまたはそ
れ以上を含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、1単位剤形あたり約1~約
500mgまたは1単位剤形あたり約500~5000mgを含む。そのような剤形は、
固体、半固体、液体、エマルジョンであり得るか、または吸入投与用のエアロゾルなどを
介した送達に適合され得る。
【0138】
使用される薬学的キャリアは、例えば、固体、液体または気体であり得る。固体キャリ
アの例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、
アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が挙げられる。液体キャリアの
例は、液糖、落花生油、オリーブ油、低級アルコールおよび水である。気体キャリアの例
としては、二酸化炭素および窒素が挙げられる。
【0139】
本明細書中に提供される薬学的組成物は、活性な化合物の水溶液または水性懸濁液とし
て調製され得る。好適な界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどを含め
ることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油におけるそれら
の混合物における分散液も調製され得る。さらに、例えば、微生物の有害な増殖を防ぐた
めに、保存剤を含めることができる。
【0140】
注射剤での使用に適した本明細書中に提供される薬学的組成物は、滅菌された水溶液ま
たは水性分散液を含む。さらに、それらの組成物は、そのような滅菌された注射可能な溶
液または分散液を即時調製するための滅菌された粉末の形態であり得る。薬学的組成物は
、製造および貯蔵の条件下において安定でなければならないので、好ましくは、細菌およ
び真菌などの微生物の混入に対抗した状態で保存されるべきである。キャリアは、例えば
、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液
体ポリエチレングリコール)、植物油およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または分散
媒であり得る。
【0141】
上述のキャリア成分に加えて、上に記載された薬学的製剤は、必要に応じて、1つ以上
のさらなるキャリア成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、表面活性剤、増粘
剤、潤滑剤、保存剤(酸化防止剤を含む)などを含み得る。さらに、意図されるレシピエ
ントの血液と製剤を等張にするために、他のアジュバントを含めることができる。本明細
書中に提供される化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体を含む組成物
は、粉末または希釈用液体濃縮物の形態でも調製され得る。
【0142】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を少なくとも1つのさらなる活性
な作用物質と組み合わせて含む組成物が、本明細書中で企図される。式(I)の化合物ま
たはその薬学的に許容され得る塩および少なくとも1つのさらなる活性な作用物質は、単
一の製剤もしくは一緒に提供される複数の製剤に存在してもよいし、製剤化されなくても
よい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る
塩は、1つ以上のさらなる作用物質とともに単一の組成物として投与され得る。例えば、
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1つの組成物として投与され得
、さらなる作用物質の少なくとも1つは、第2の組成物として投与され得る。さらなる実
施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および少なくとも
1つのさらなる活性な作用物質は、1つのキットに共に包装される。例えば、製薬業者、
医薬販売業者、医師、調剤店または薬剤師が、本開示の化合物または製品および患者に送
達するための別の構成要素を含むキットを提供し得る。
【0143】
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態は、治療有効量の1つ以上の本明細書中に
記載される化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)およ
びその薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または組み合わせを含み得る薬学
的組成物に関する。薬学的組成物は、1つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容さ
れ得る塩を、例えば、その組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、
≧7%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60
%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%または≧98%含み得る。いくつかの実施
形態において、薬学的組成物は、複数の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得
る塩を、例えば、その組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、≧7
%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、
≧70%、≧80%、≧90%、≧95%または≧98%含み得る。
食品
【0144】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む食品および他の食料品が提
供され、ここで、その食品中の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の量
は、強化(例えば、富化または濃縮)されている。本明細書中に提供される式(I)の化
合物またはその薬学的に許容され得る塩は、被験体による消費のために食品に加えられ得
る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、食品のうちの1つ以上の成
分に組み込まれ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、一成分と
して調製されてもよいし、調製されなくてもよい。その化合物、またはその化合物を含む
調製物は、調製前、調製中または調製後に加えられ得る。調製は、以下に限定されないが
、調理、混合、風味付け、調味、ブレンド、煮沸、油での加熱調理、ベーキングまたは当
該分野で公知の他のプロセスを含み得る。強化は、好ましくは、本明細書中の他の箇所に
記載されるような1日治療投与量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
を提供するようなレベルでの強化であるが、しかしながら、そのような投与量より少ない
量においても、有益な効果が得られることがある。
【0145】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、自然界で知られるプロセスの
操作によって、例えば、植物、動物、細菌または真菌の代謝プロセスを変化させることに
よって、食品中の支持者として存在し得る。奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の
濃度を高める、植物、動物、細菌または真菌の遺伝子変化が企図される。例として、式(
I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、少なくとも約1%、少なくとも約2
%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少な
くとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも
約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%またはそれ以
上、例えば、1%~2%または3%または4%または5%または6%または7%または8
%または9%または10%または20%または30%または40%または50%の濃度で
食品中に存在し得る。
適応症
【0146】
認知障害(神経変性症状による脳への損傷、傷害による脳への損傷、感染症、物質乱用
、物質離脱、精神病、ビタミンおよび他の重要な栄養分の欠乏、ホルモンの問題、代謝不
均衡または薬剤の副作用および他の関連症状に起因する認知障害を含む)、運動障害(ジ
ストニー、舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、パーキンソニズム、チック、トゥ
ーレット症候群、運動失調、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、多発性硬化症、びっく
り病、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群、歩行障害および痙縮に関連する
運動障害を含む)、慢性疼痛(過去の傷害、腰痛、片頭痛および他の頭痛、関節炎、神経
損傷、感染症ならびに線維筋痛症に起因する慢性疼痛を含む)、うつ(遷延性うつ病性障
害(気分変調)、産後うつ病、精神病性うつ病、季節性感情障害、双極性障害、重篤気分
調節症および月経前不快気分障害を含む)、食欲喪失(AIDS、癌、癌処置、慢性心疾
患、代謝の変化、慢性炎症、疼痛、味覚不全、味覚消失、睡眠過剰、嚥下障害、呼吸困難
、悪心、嘔吐、便秘、下痢、薬剤の副作用、心理的苦悩および口腔または食道の感染症に
関連する食欲不振および悪液質を含む)、痙攣、発作(非てんかん発作、てんかん発作お
よび心因性の非てんかん発作を含む)および嗜癖(オピオイド、コカイン、アルコールお
よび他の薬物に対する嗜癖を含む)を含むがこれらに限定されない症状を処置するための
組成物および方法が本明細書中に提供される。
【0147】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、認知障害
の処置、発症予防、予防または管理のために示される。
【0148】
認知とは、思考、経験および感覚を通して知識および理解を得る精神的な行為またはプ
ロセスのことである。認知障害(認知低下とも呼ばれる)は、神経変性症状による脳への
損傷、傷害による脳への損傷、感染症、物質乱用、物質離脱、精神病、ビタミンおよび他
の重要な栄養分の欠乏、ホルモンの問題、代謝不均衡または薬剤の副作用によって引き起
こされ得る。認知障害は、加齢による自然なプロセスとしても生じる。認知障害は、幻覚
、人格の変化、うつ症候、不安症候、自己喪失および錯乱に関係し得る。CB1アゴニス
トは、アルツハイマー病のマウスモデルにおいて認知機能障害を防ぐと実証されており(
Aso E,Palomer E,Juves S,Maldonado R,Muno
z FJ,Ferrer I(2012)CB1 agonist ACEA prot
ects neurons and reduces the cognitive i
mpairment of AβPP/PS1 mice.J Alz Dis 30:
439-459を参照のこと)、PPARアゴニストとCB1アゴニストとの対が、認知
機能障害に対する新規の処置として提唱されている(Panillo LV,Justi
nova Z,Goldberg SR(2013)Inhibition of FA
AH and activation of PPAR:New approaches
to the treatment of cognitive dysfuncti
on and drug addiction.Pharmacol Ther 138
:84-102)。認知機能障害を処置するための薬物としては、ドネペジル、ゴツコラ
(gotu kola)、コリンエステラーゼ阻害剤、リバスチグミン、ガランタミンお
よびメマンチンが挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、運動障害
の処置、発症予防、予防または管理のために示される。
【0150】
運動障害とは、運動に関する問題を引き起こす神経性の症状のことである。運動障害の
例としては、ジストニー、舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、パーキンソニズム
、チック、トゥーレット症候群、運動失調、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、多発性
硬化症、びっくり病、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群、歩行障害および
痙縮が挙げられる。運動障害は、脳、脊髄または末梢神経への損傷、代謝障害、脳卒中お
よび血管性疾患、トキシン、感染症、医薬ならびに遺伝によって引き起こされ得る。エン
ドカンナビノイドは、運動機能に関わる神経伝達を調節でき、大麻にまさる標的化CB1
アゴニストが、複数の運動障害を管理または処置するために提唱されている(Kluge
r B,Triolo P,Jones W,Jankovic J(2015)The
therapeutic potential of cannabinoids f
or movement disorders.Movement Disorders
30:313-327を参照のこと)。さらに、PPARアルファアゴニストは、パー
キンソン病などの運動障害の他の構成要素の管理および処置に役立ち得る(Kreisl
er A,Duhamel A,Vanbesien-Maillot C,Deste
e A,Bordet R(2010)Differing short-term n
europrotective effects of the fibrates f
enofibrate and bezafibrate in MPTP and 6
-OHDA experimental models of Parkinson’s
disease.Behav Pharmacol 21:194-205を参照のこ
と)。運動障害を処置するための薬物としては、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、MA
O-Bアンタゴニスト、COMT阻害剤、抗コリン薬、アマンタジンおよび抗うつ薬が挙
げられる。
【0151】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、慢性疼痛
の処置、発症予防、予防または管理のために示される。
【0152】
慢性疼痛は、12週間を超えて続き、数ヶ月間または数年間持続し得る任意の疼痛と定
義される。慢性疼痛の原因としては、過去の傷害、腰痛、片頭痛および他の頭痛、関節炎
、神経損傷、感染症ならびに線維筋痛症が挙げられる。慢性疼痛は、運動の制限、疲労、
睡眠障害、食欲減退および気分変化をもたらし得るか、またはそれらを伴い得る。生活様
式の変更が、慢性疼痛の管理に役立つ場合もあるが、この症状の管理を助けるために、処
方薬による治療法が必要になることが多い。オピエートなどの疼痛に対して最も効果的な
処方薬による治療法のいくつかは依存性があり、薬物嗜癖の蔓延およびその結果としての
死亡を招いた。したがって、依存性のない効果的な新規の疼痛管理の治療法が必要とされ
ている。CB1レセプターアゴニストは、疼痛をコントロールするための有望な非依存性
薬として登場した(Talwar R,Kumar Potluri V(2011)C
annabinoid 1(CB1)receptor-pharmacology,r
ole in pain and recent developments in e
merging CB1 agonists.CNS and Neurol Dis-
Drug Targets 10:536-544を参照のこと)。慢性疼痛の行動マー
カーとしては、疲労、睡眠障害、食欲減退および気分変化が挙げられる。慢性疼痛に対す
る薬剤としては、オピエート、オキシコドン、トラマドール、モルヒネ、非ステロイド性
抗炎症薬(NSAIDs)、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、COX
-2阻害剤、セレコキシブ、メロキシカム、三環系抗うつ薬(TCA)、セロトニンノル
エピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)および選択的セロトニン再取り込み阻害薬(
SSRI)、抗発作薬(プレガバリンおよびガバペンチン)、コルチコステロイド、筋弛
緩剤ならびにリドダームが挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、うつの処
置、発症予防、予防または管理のために示される。
【0154】
うつとは、個体の感じ方、考え方および日常活動の対処の仕方に影響する気分障害のこ
とである。うつの形態には、遷延性うつ病性障害(気分変調)、産後うつ病、精神病性う
つ病、季節性感情障害、双極性障害、重篤気分調節症および月経前不快気分障害が含まれ
る。うつの原因としては、遺伝的、生物学的、環境的および心理学的な因子が挙げられる
。うつは、糖尿病、癌、心疾患およびパーキンソン病をはじめとした慢性疾患とともに生
じることがあり、慢性疾患によって悪化することがある。うつは、持続的な悲しいまたは
不安な気分、絶望感、怒りっぽさ、活力低下、疲労、集中困難、睡眠困難、食欲の変化、
体重の変化、疼痛、頭痛および消化器系の問題をもたらし得る。CB1レセプターが欠損
しているマウスは、うつの徴候を示し、CB1アゴニストは、他の抗うつ薬に類似の効果
をもたらすことができ、CB1アゴニストは、抗うつ薬としてのCB1の有効性を高める
ことがあるので、CB1レセプターアゴニストとPPARアゴニストとの対は、うつに対
する有望な治療標的として提唱されている(Hillard,CJ,Lui QS(20
14)Endocannabinoid signaling in the etio
logy and treatment of major depressive i
llness.Curr Pharm Design 20:3795-3811を参照
のこと)。うつの行動マーカーまたは徴候、例えば、怒りっぽさおよび落ち着きのなさ、
抑うつの感情への執着の増大、決断力の低下、詳細を思い出すことの困難さ、集中力の低
下、思考および会話の鈍化、怒りの爆発、睡眠時間の増加、かつては楽しかった活動をや
めること、仕事、家庭、社会生活、学校生活の要求に応える上での課題の増加、自傷、自
殺企図、無価値感、自分に対する批判的な感情、圧倒的な悲しみ、不安、心の中が「空っ
ぽ」だと感じること、罪悪感、無力感、低い自尊心、乏しい自己像、または死、死ぬこと
および自殺への執着が、モニターされ得る。うつを処置するための薬物としては、アリピ
プラゾール、ドキセピン、クロミプラミン、ブプロピオン、アモキサピン、ノルトリプチ
リン、シタロプラム、デュロキセチン、トラゾドン、ベンラファキシン、セレギリン、ペ
ルフェナジン、アミトリプチリン、レボミルナシプラン、デスベンラファキシン、ルラシ
ドン、ラモトリジン、エスシタロプラム、イソカルボキサジド、フェネルジン、デシプラ
ミン、トラニルクプロミン、パロキセチン、フルオキセチン、ミルタザピン、クエチアピ
ン、ネファゾドン、イミプラミン、ペルフェナジン、ボルチオキセチン、ビラゾドン、プ
ロトリプチリン、セルトラリンおよびオランザピンが挙げられる。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、食欲不振
および悪液質を含む食欲喪失の処置、発症予防、予防または管理のために示される。食欲
不振を処置するための薬物としては、フルオキセチンもしくは他のSSRIまたはオラン
ザピンが挙げられる。
【0156】
食欲喪失は、生命を脅かす多くの慢性疾患に共通し、適切な栄養の不足は、慢性症状を
さらに悪化させ得る。この慢性疾病と食欲喪失のサイクルは、個体の健康および福祉に悪
循環をもたらし得る。食欲不振は、食欲が無いことまたは失うことであり、その結果、食
べられなくなる。これは、進行癌ではよくあることであり得る。食欲不振の結果、体重が
減少する。悪液質は、全身の体調不良および栄養失調の状態であり、脂肪、筋肉および骨
量の減少による脱力および痩せを特徴とし、進行癌、AIDS、うっ血性心不全および慢
性神経性食欲不振をはじめとした重症の症状とともに生じ得る。癌患者の推定80%が悪
液質を有する。食欲不振/悪液質症候群の原因としては、癌、AIDS、心疾患、代謝の
変化、慢性炎症、疼痛、味覚不全、味覚消失、睡眠過剰、嚥下障害、呼吸困難、悪心、嘔
吐、便秘、下痢、薬剤の副作用、心理的苦悩、神経性食欲不振および口腔または食道の感
染症をはじめとした、生命を脅かす慢性疾患に伴う変化が挙げられる。食欲不振および悪
液質に対する現行の処置としては、ステロイド、カンナビノイドおよび消化管運動改善薬
が挙げられる。しかしながら、これらの処置は、食欲不振および悪液質の主な要因である
根底にある慢性症状の処置には役立たない。カンナビノイドは、食欲を増進させると長く
知られており、CB1レセプターアゴニストは、食欲不振または悪液質に苦しんでいる人
において食物摂取および体重増加を高めるために使用され得る(Kirkham TC(
2009)Cannabinoids and appetite:Food crav
ing and food pleasure.Int Rev Psychiatry
21:163-171)。著しい体重減少、暖かいままでいることにより体重減少を大
きくするために重ね着すること、体重/食物/カロリー/脂肪グラム/ダイエットへの執
着、ある特定の食物を食べることの拒否、体重が減少しているにもかかわらず「太ってい
る」と感じるというコメント、便秘/腹痛/寒冷不耐症/嗜眠/過剰なエネルギーの愁訴
、空腹感を否定すること、食事の儀式、食事をせずに他の人のために食事を作ること、食
事時間を避けるための言い訳、カロリーを「燃焼」する必要があると表現すること、厳格
な運動レジメンを維持すること、友人からの離脱、限られた社会的自発性、適切な体重を
維持できないこと、およびコントロールしたいという強い欲求をはじめとした感情マーカ
ーおよび行動マーカーまたは食欲不振の徴候が、モニターされ得る。
【0157】
痙攣に対する処置としては、根底にある病状(薬剤反応、重症感染症、敗血症、超高熱
、重度の嘔吐および/または下痢、糖尿病の急性発症(極端に高いまたは低い血糖値)、
水分補給異常(重度の脱水または水分過剰)、重度の栄養失調、外傷または内出血に起因
する過剰な失血、臓器不全(例えば、急性腎不全)、アレルギー反応、薬物過量服用、薬
物離脱または熱射病)の安定化および処置が挙げられる。抗痙攣薬/抗発作薬としては、
アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、エトスクシミド、ガバペ
ンチン、ラコサミド、ラモトリジン、レベチラセタム、ロラゼパム、メトスクシミド、ニ
トラゼパム、オクスカルバゼピン、パラアルデヒド、フェノバルビタール、フェニトイン
、プレガバリン、プリミドン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、バルプ
ロ酸、ビガバトリン、フェルバメート、チアギャビン塩酸塩およびゾニサミドが挙げられ
る。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、嗜癖の処
置、発症予防、予防または管理のために示される。
【0159】
オピオイドは、ニューロンの細胞膜におけるオピエートレセプターに結合し、鎮痛効果
を付与して疼痛をコントロールする規制薬物であり、それらには、モルヒネ、コデイン、
フェンタニル、メタドン、ブプレノルフィンが含まれる。オピエート嗜癖は、蔓延するよ
うになり、2017年の米国での49,000件の死亡を含むオピオイド過量服用死の増
加を招き、50歳未満の米国人の主な死因の主要な一因となっている。オピエートの離脱
症候は、重度であり、それらとしては、筋痛、疼痛、激越、不安、悪心、胃腸の不調、頻
拍、鼻漏および悪寒が挙げられる(Wesson DR,Ling W.The Cli
nical Opiate Withdrawal Scale(COWS)J Psy
choactive Drugs.2003;35:253-259)。これらの症候の
重症度のせいで、個体はオピオイドの使用を止めるのが難しくなり、オピオイドの離脱症
候を減弱する新規アプローチ、ならびに疼痛をコントロールする新規の非依存性薬が早急
に必要とされている。ヘロイン、モルヒネ、コデインおよびフェンタニルを含むオピオイ
ドは、ミューオピオイドレセプター(OPRM1)を標的化し、OPRM1アンタゴニス
ト、主にナロキソンは、オピオイド過量服用の急性の緊急処置として使用される。エンド
カンナビノイドとオピオイド関連の系との間に広範なクロストークが存在し、カンナビノ
イドは、オピオイド嗜癖からの離脱症候を減弱すると実証されているので、CB1レセプ
ターアゴニストが、オピオイド嗜癖を含む薬物嗜癖を処置するための手段として提唱され
ている(Scavone JL,Sterling RC,Bockstaele EJ
(2013)Cannabinoid and opioid interaction
s:implications for opiate dependence and
withdrawal.Neurosci 248:637-654を参照のこと)。
OPRM1アゴニストは、オピオイド嗜癖のほかに、アルコールおよびコカインを含む他
の物質に対する嗜癖においても役割を果たすとみられ、OPRM1アンタゴニストは、ア
ルコールおよびコカイン嗜癖の処置に役立つと提唱されている(Kranzler HR
,Gelernter J,O’Malley S,Hernandez-Avila
CA,Kaufman D(2006)Association of the alc
ohol or other drug dependence with allel
es of the μ opioid receptor gene(OPRM1).
Alcoholism Clin Exp Res 22:1359-1362を参照の
こと)。さらに、PPARアゴニストとCB1アゴニストとの対が、薬物嗜癖に対する新
規の処置として提唱されている(Panillo LV,Justinova Z,Go
ldberg SR(2013)Inhibition of FAAH and ac
tivation of PPAR:New approaches to the t
reatment of cognitive dysfunction and dr
ug addiction.Pharmacol Ther 138:84-102)。
薬物嗜癖または薬物乱用の行動マーカーとしては、薬物を使用することに起因して人間関
係に支障をきたすこと、秘密主義的な行動または不審な行動を行うこと、けんか、事故、
違法行為および薬物影響下での運転を含む法律上のトラブルに頻繁に陥ること、職場、学
校または家庭における責任の放棄(自分の子供をネグレクトすることを含む)、友人、お
気に入りの行きつけの場所および趣味が急に変わること、不明な金銭の必要性または財務
問題(金を借りるまたは盗むこと)、危険な条件での薬物の使用(薬物使用中の運転、不
潔な針の使用、無防備性交)、薬剤耐性の増大(少量で達成されていた効果と同じ効果を
得るために、より多くの薬物を使用する必要があること)、離脱症候(悪心、落ち着きの
なさ、不眠、うつ、発汗、震え、不安)を回避または緩和するための薬物の使用、薬物使
用に関する制御不能(意図したより多く使用すること、やめられないこと)、薬物使用を
中心に回っている生活(常に使用しようと考えていること、より多く入手する方法を考え
ること、または使用から回復すること)、薬物を使用するために楽しい活動(趣味、スポ
ーツ、人付き合い)をやめること、有害な結果(ブラックアウト、感染症、気分変動、う
つ、パラノイア)にもかかわらず使用し続けること、おびえた様子、不安な様子または偏
執的な様子、理由もなく無気力;疲れた様子または「ぼんやりした」様子、活力が異常に
増加する時期、神経質な時期または不安定な時期、突然の気分変動、怒りっぽさの増大ま
たは怒りの爆発、および不明な人格または態度の変化が挙げられる。オピオド使用障害を
処置するための薬物としては、ブプレノルフィン、メタドンおよびナルトレキソンが挙げ
られる。アルコール使用障害を処置するための薬物としては、アカンプロセート、ジスル
フィラムおよびナルトレキソンが挙げられる。ニコチン使用障害を処置するための薬物と
しては、ブプロピオン、ニコチン補充療法およびバレニクリンが挙げられる。
【0160】
本明細書中に記載される症状、すなわち、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲
減退および嗜癖は、相互に関係づけられ得る。いくつかの実施形態において、これらの症
状のうちの1つは、本明細書中に記載される他の症状を伴う。
【0161】
上記実施形態の組成物は、必要に応じて、処置されている症状に対する従来の治療とと
もに、例えば、その従来の治療の前、治療中または治療後に、および同じまたは異なる単
位剤形で、投与され得る。
【0162】
徴候および症候の群が、個々の被験体に共存し得るが、多くの場合、影響される多くの
生理系の脆弱性の個体差に起因して、ただ1つまたはいくつかの症候だけが優勢であり得
る。
【0163】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、処置される被験体は、動物、例
えば、イヌまたはネコなどの家庭内の動物であり得るが、しかしながら、通常、それらの
実施形態の方法、使用および組成物は、ヒトに適用されると企図される。ヒト被験体と同
様に、イヌおよびネコ被験体を含む動物被験体も、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ
、低下および食欲に罹りやすいことがある。
【0164】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、アルツハイマー病とともに生じる認
知障害を含むがこれに限定されない認知障害である。
【0165】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるような認知障害である。
【0166】
いくつかの実施形態において、認知障害のマーカーが、臨床適応症を提供するとき、本
明細書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0167】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、認知障害の症候を軽減
する。
【0169】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、認知障害のリスクを低
下させる。
【0170】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、多発性硬化症またはパーキンソン病
とともに生じる運動障害を含むがこれに限定されない運動障害である。
【0171】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるような運動障害である。
【0172】
いくつかの実施形態において、運動障害のマーカーが、臨床適応症を提供するとき、本
明細書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0173】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0174】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、運動障害の症候を軽減
する。
【0175】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、運動障害のリスクを低
下させる。
【0176】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、痙攣を処置する。
【0177】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、発作を処置する。
【0178】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、慢性疼痛である。
【0179】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるような慢性疼痛である。
【0180】
いくつかの実施形態において、慢性疼痛のマーカーが、臨床適応症を提供するとき、本
明細書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0181】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、慢性疼痛の症候を軽減
する。
【0183】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、慢性疼痛のリスクを低
下させる。
【0184】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、うつである。
【0185】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるようなうつである。
【0186】
いくつかの実施形態において、うつのマーカーが、臨床適応症を提供するとき、本明細
書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0187】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0188】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、うつの症候を軽減する
。
【0189】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、うつのリスクを低下さ
せる。
【0190】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、食欲不振または悪液質である。
【0191】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるような食欲不振または悪液質である。
【0192】
いくつかの実施形態において、食欲不振または悪液質のマーカーが、臨床適応症を提供
するとき、本明細書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0193】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0194】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、食欲不振または悪液質
の症候を軽減する。
【0195】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、食欲不振または悪液質
のリスクを低下させる。
【0196】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、嗜癖である。
【0197】
いくつかの実施形態において、処置される症状は、本明細書中に提供されるマーカーに
よって指摘されるような嗜癖である。
【0198】
いくつかの実施形態において、上記マーカーは、行動マーカーである。
【0199】
いくつかの実施形態において、嗜癖のマーカーが、臨床適応症を提供するとき、本明細
書中に提供される方法は、そのマーカーを調節する。
【0200】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、嗜癖の症候を軽減する
。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、嗜癖のリスクを低下さ
せる。
【0202】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、ある特定の脂肪酸の血
清レベルを上昇させる。
【0203】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、認知機能
障害、運動障害またはうつのマーカーを調節する。ある特定の実施形態において、そのマ
ーカーは、血清または赤血球膜における奇数鎖脂肪酸のパーセンテージ、血清または赤血
球膜における式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物のパーセンテージ、奇数鎖
脂肪酸の血清濃度、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度、血清中
の総奇数鎖脂肪酸、血清フェリチン、血清鉄、トランスフェリチンの飽和度、血清グルコ
ース(例えば、空腹時血糖)、血清トリグリセリド、血圧、HDLコレステロール、ミク
ロアルブミン尿症(すなわち、尿中のアルブミン排出の増加)、CRP(C反応性タンパ
ク質)、IL-6およびTNFα(およびインスリン抵抗性に関連する他のサイトカイン
)、c-Jun N末端キナーゼ(JNK)、ATM(血管拡張性失調症変異)または単
球走化性タンパク質-1である。いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸あるいは式
(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物は、糖脂質の構成物として計測される。さ
らなる実施形態において、奇数鎖脂肪酸あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは
代謝産物は、リン脂質の構成物として計測される。
【0204】
いくつかの実施形態において、認知機能障害の行動マーカーには、錯乱、不良な運動協
調性、短期または長期記憶の喪失、同一性混乱、判断力の低下、幻覚、妄想、人格の変化
、感情鈍麻、うつ、不安、ナビゲーション、および視空間タスクに関する錯乱が含まれる
。認知状態を評価するために行われ得る当該分野で公知であるような認知検査、例えば、
3項目の想起および時計の描画を含むMini-Cog、MOCA検査(Montrea
l Cognitive Assessment Test)、SLUMS(St.Lo
uis University Mental Status Examination
)およびMini-Mental State Examを行うことができる。
【0205】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、認知機能障害、運動障
害またはうつのマーカーの濃度を計測する工程を含む。当業者は、そのような計測に適し
た方法(本明細書中に記載される方法を含むがそれらに限定されない)を行うことができ
る。
【0206】
本明細書中に記載される任意の症状の行動マーカーが、例えば、増加、定常状態もしく
は減少、または上昇率、低下率、または他の程度もしくは性質の任意の変化についてモニ
ターされ得る。一部のマーカーの場合、有効な治療は、処置を行わない場合に低下が観察
されるマーカーのレベルを維持し得るか、または処置を行わない場合に観察される低下速
度よりも低下速度を鈍化させ得る。有効な治療は、処置を行わない場合に上昇が観察され
るマーカーのレベルを維持し得るか、または処置を行わない場合に観察される上昇速度よ
りも上昇速度を鈍化させ得る。有効な治療は、処置を行わない場合にレベルの無変化また
は低下が観察されるマーカーのレベルを上昇させ得る。有効な治療は、処置を行わない場
合にレベルの無変化または上昇が観察されるマーカーのレベルを低下させ得る。有効な治
療は、処置を行わない場合に観察されると予想されるものと対比して、マーカーの割合を
上方または下方に変化させ得る。
【0207】
所定の間隔または被験体の判断に委ねられた間隔で、ある用量の式(I)の化合物また
はその薬学的に許容され得る塩を投与する工程を含む処置方法が、本明細書中に提供され
る。
【0208】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、比較または計測され
るとき、被験体の組織における天然に存在する脂肪酸に関して取り扱われ得る。式(I)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、それが天然に存在する食事性脂肪酸であ
るかのように、身体に取り込まれ得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得
る塩は、身体内において1つ以上の代謝プロセスを起こし得、そ(れら)の代謝産物の濃
度は、被験体の状態を示し得る。
【0209】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、すべての
血清脂肪酸または赤血球膜脂肪酸と比べて、それぞれ血清または赤血球膜における式(I
)の化合物またはその塩もしくは代謝産物のパーセンテージ閾値を提供し得る。例えば、
その閾値は、約0.05%またはそれ未満から90%またはそれ以上までの値、例えば、
少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約
0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少な
くとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0
%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも
約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少
なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.
2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくと
も約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、
少なくとも約3.0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4
.5%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、
少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少
なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少
なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少
なくとも約80%、少なくとも約90%または90%超の値であり得る。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、式(I)
の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度あるいは式(I)の化合物またはその
塩もしくは代謝産物の赤血球膜濃度のベースライン値(例えば、処置されている患者の処
置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より高い上昇を提供し
得る。例えば、血清中の式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物、あるいは式(
I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の赤血球膜濃度は、少なくとも約1μg/m
l、少なくとも約2μg/ml、少なくとも約3μg/ml、少なくとも約4μg/ml
、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、
少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、
少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/m
l、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg
/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/mlまたは50μg/m
l超、上昇し得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその塩もしく
は代謝産物の血清濃度あるいは式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の赤血球
膜濃度は、ベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患
者集団において観察された一般的な値)より高く、少なくとも約0.01×10-4M、
少なくとも約0.05×10-4M、少なくとも約0.1×10-4M、少なくとも約0
.2×10-4M、少なくとも約0.3×10-4M、少なくとも約0.4×10-4M
、少なくとも約0.5×10-4M、少なくとも約0.6×10-4M、少なくとも約0
.7×10-4M、少なくとも約0.8×10-4M、少なくとも約0.9×10-4M
、少なくとも約1×10-4M、少なくとも約2×10-4Mまたは少なくとも約3×1
0-4M上昇し得る。
【0211】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中の
総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜における総奇数鎖脂肪酸を増加させ得る。例えば、血清中
の総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜における総奇数鎖脂肪酸は、ベースライン値(例えば、
処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値
)より高く、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μ
g/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μ
g/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約2
5μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも
約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、少なく
とも約60μg/ml、少なくとも約70μg/ml、少なくとも約80μg/ml、少
なくとも約90μg/ml、少なくとも約100μg/ml、少なくとも約150μg/
ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも約250μg/ml、少なくとも約3
00μg/ml、少なくとも約350μg/ml、少なくとも約400μg/ml、少な
くとも約450μg/ml、少なくとも約500μg/mlまたは500μg/ml超、
増加し得る。
【0212】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清また
は赤血球膜におけるすべての脂肪酸と比べて、それぞれ血清または赤血球膜における奇数
鎖脂肪酸のベースライン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患
者集団において観察された一般的な値)より高い上昇を提供し得る。例えば、式(I)の
化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清または赤血球膜における濃度は、ベースライ
ン値(例えば、処置されている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察さ
れた一般的な値)より高く、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.05%、少なく
とも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%
、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約
0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.1%、少なくと
も約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、
少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1
.9%、少なくとも約2%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも
約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少
なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3%
、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%
または5%超、上昇し得る。
【0213】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清イン
スリンを低下させ得る。例えば、血清インスリンは、ベースライン値(例えば、処置され
ている患者の処置前の値、または特定の患者集団において観察された一般的な値)より低
く、少なくとも約0.1μIU/ml、少なくとも約0.2μIU/ml、少なくとも約
0.3μIU/ml、少なくとも約0.4μIU/ml、少なくとも約0.5μIU/m
l、少なくとも約0.6μIU/ml、少なくとも約0.7μIU/ml、少なくとも約
0.8μIU/ml、少なくとも約0.9μIU/ml、少なくとも約1.0μIU/m
l、少なくとも約1.1μIU/ml、少なくとも約1.2μIU/ml、少なくとも約
1.3μIU/ml、少なくとも約1.4μIU/ml、少なくとも約1.5μIU/m
l、少なくとも約2μIU/ml、少なくとも約2.5μIU/ml、少なくとも約3.
0μIU/ml、少なくとも約3.5μIU/ml、少なくとも約4μIU/ml、少な
くとも約5μIU/ml、少なくとも約6μIU/ml、少なくとも約7μIU/ml、
少なくとも約8μIU/ml、少なくとも約9μIU/ml、少なくとも約10μIU/
ml、少なくとも約11μIU/ml、少なくとも約12μIU/ml、少なくとも約1
3μIU/ml、少なくとも約14μIU/ml、少なくとも約15μIU/ml、少な
くとも約16μIU/ml、少なくとも約17μIU/ml、少なくとも約18μIU/
ml、少なくとも約19μIU/ml、少なくとも約20μIU/ml、少なくとも約2
5μIU/ml、少なくとも約30μIU/mlまたは30μIU/ml超、低下し得る
。
【0214】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は
、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清リン脂質パーセントまたはエン
ドカンナビノイド代謝産物パーセントを所定の閾値より高く維持するために投与される。
さらなるバリエーションにおいて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
は、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清リン脂質パーセントを約0.
1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約
0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約
2%、約2.2%、約2.4%または約2.6%より高く維持するために投与される。
併用療法
【0215】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される化合物(例えば、式(I)の化
合物またはその薬学的に許容され得る塩)、または本明細書中に記載される化合物もしく
はその塩を含む薬学的組成物は、1つ以上のさらなる活性な作用物質と併用して使用され
得る。式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または式(I)の化合物
もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物と併用して使用され得るさらなる活性
な作用物質の例としては、本明細書中に記載されるような、およびそうでない場合は医科
学で公知であるような、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖、発作、
痙攣および関連症状を処置するために現在使用されている作用物質が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0216】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩
、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物は、本明細
書中に記載される1つ、2つ、3つまたはそれ以上のさらなる活性な作用物質とともに使
用され得る。そのような作用物質としては、式(I)の第2の化合物またはその薬学的に
許容され得る塩、あるいは天然に存在する脂肪酸またはその塩もしくは誘導体が挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0217】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩
、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物は、認知障
害、運動障害、疼痛管理、うつ、嗜癖、食欲増進、痙攣もしくは本明細書中に開示される
ような他の症状の処置、予防、維持もしくは発症予防のため、またはその症状のマーカー
、例えば、生物学的マーカーもしくは行動マーカーの調節のための別の作用物質と併用し
て使用(例えば、投与または経口摂取)され得る。そのような症状を処置するための従来
のまたは公知の薬物または薬剤は、上に列挙されたものである。例えば、式(I)の化合
物またはその薬学的に許容され得る塩は、ドネペジル、ゴツコラ、コリンエステラーゼ阻
害剤、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、
MAO-Bアンタゴニスト、COMT阻害剤、抗コリン薬、アマンタジン、抗うつ薬、オ
ピエート、オキシコドン、トラマドール、モルヒネ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAI
Ds)、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、COX-2阻害剤、セレコ
キシブ、メロキシカム、三環系抗うつ薬(TCA)、セロトニンノルエピネフリン再取り
込み阻害剤(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、抗発作薬(
プレガバリンおよびガバペンチン)、コルチコステロイド、筋弛緩剤、リドダーム、アリ
ピプラゾール、ドキセピン、クロミプラミン、ブプロピオン、アモキサピン、ノルトリプ
チリン、シタロプラム、デュロキセチン、トラゾドン、ベンラファキシン、セレギリン、
ペルフェナジン、アミトリプチリン、レボミルナシプラン、デスベンラファキシン、ルラ
シドン、ラモトリジン、エスシタロプラム、イソカルボキサジド、フェネルジン、デシプ
ラミン、トラニルクプロミン、パロキセチン、フルオキセチン、ミルタザピン、クエチア
ピン、ネファゾドン、イミプラミン、ペルフェナジン、ボルチオキセチン、ビラゾドン、
プロトリプチリン、セルトラリン、オランザピン、アセタゾラミド、カルバマゼピン、ク
ロナゼパム、ジアゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリジン、
レベチラセタム、ロラゼパム、メトスクシミド、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パ
ラアルデヒド、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、ルフィ
ナミド、スチリペントール、トピラマート、バルプロ酸、ビガバトリン、フェルバメート
、チアギャビン塩酸塩、ゾニサミド、ブプレノルフィン、メタドン、ナルトレキソン、ア
カンプロセート、ジスルフィラム、ブプロピオン、ニコチン補充療法およびバレニクリン
から選択される1つ以上の作用物質と併用して使用され得る。
投薬
【0218】
当業者にはすぐに明らかになるように、投与されるべき有用なインビボ投薬量および特
定の投与様式は、齢、体重、症状の重症度および処置される哺乳動物の種、使用される化
合物の特定の形態、ならびにこれらの化合物が使用される具体的な使用法に依存して変化
する。効果的な投薬量レベルの決定、すなわち、所望の結果を達成するために必要な投薬
量レベルの決定は、日常的な方法、例えば、インビボ研究を用いて当業者によって達成さ
れ得る。例えば、“Estimating the Maximum Safe Sta
rting Dose in Initial Clinical Trials fo
r Therapeutics in Adult Healthy Voluntee
rs,”U.S.Food and Drug Administration,Jul
y 2005が参照され得る。
【0219】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、治療有効量の本明細書
中に提供される組成物を投与する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、治療有
効量は、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖のマーカーの調節を
参照することによって決定され得る。いくつかの実施形態において、治療有効量は、認知
障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖の症候の調節を参照することによ
って決定され得る。さらに他の実施形態では、本明細書中に記載される症状に対して確立
されたガイドライン(糖尿病の処置のためのガイドラインを含むがこれに限定されない)
が参照され得る。
【0220】
投薬量は、所望の効果および治療上の指標(例えば、マーカー値)に依存して大きく変
化し得る。あるいは、投薬量は、当業者が理解するように、患者の表面積または体重に基
づく場合があり、また、患者の表面積または体重に基づいて計算される場合がある。正確
な投薬量は症例ごとに決定されるか、または場合によっては、情報を得た被験体の判断に
委ねられる。成人患者に対する1日の投与レジメンは、例えば、約0.01mg~約10
000mg、約1mg~約5000mg、約5mg~約2000mg、約10mg~約1
000mgまたは約50mg~約500mgという経口量の式(I)の化合物またはその
薬学的に許容され得る塩、あるいは複数の式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容
され得る塩の混合物、あるいは式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と天
然に存在する脂肪酸またはその塩もしくは誘導体との混合物であり得る。単回用量は、奇
数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体を、約0.01mg、約0.1mg、約1mg、
約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約30
0mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約900mg、約
1000mg、約2000mg、約5000mgまたはそれ以上で含み得る。投薬量は、
被験体の体重に従って調整され得、例えば、投薬量は、約0.001mg/kg、約0.
01mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg
/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg
/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約2
0mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kgまたはそれ以上であり得る。投薬は
、個々の被験体にとって適切であるように、1日またはそれ以上の期間において単回であ
ってもよいし、2回以上であってもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、連続
治療の期間、例えば、約1週間もしくはそれ以上(例えば、1週間、2週間、3週間、4
週間、5週間、6週間、7週間、8週間またはそれ以上)、数週間、約1ヶ月間もしくは
それ以上(例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7
ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間またはそれ以上)、
約1年もしくはそれ以上または複数年にわたって、投与される。いくつかの実施形態にお
いて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1日あたり1回、1日あ
たり2回、1日あたり3回またはそれ以上、投与または経口摂取され得る。
【0221】
当業者が理解するように、ある特定の状況においては、被験体を効果的に処置するため
に、本明細書中に開示される化合物を、上で述べた好ましい投薬量の範囲を超える量で投
与する必要がある場合がある。
【0222】
単位剤形、例えば、所定のスケジュールでの投与のために設定された、予め計測された
量の組成物を含む個別の包装も提供され得る。1日あたり1~3回の投与のために形成さ
れた単位剤形が好ましいが、しかしながら、ある特定の実施形態では、1日あたり3回よ
り多い投与または1日あたり1回未満の投与のための単位剤形を形成することが望ましい
場合がある。
【0223】
投薬量および投薬間隔は、所定のパラメータ、指標もしくはマーカー値または最小有効
濃度(MEC)を維持するのに十分な血漿レベルの活性部分が提供されるように、個々の
被験体に合わせて調整され得る。所望の結果を達成するために必要な投薬量は、個々の特
性および投与経路に依存する。しかしながら、アッセイ、例えば、HPLCアッセイまた
はバイオアッセイを使用して、血清濃度を測定してもよい。
【0224】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、デバイス
およびデバイスの使用方法、例えば、米国特許第7,651,845号;米国特許第8,
251,904号;米国特許第8,251,904号;米国特許第4,985,015号
;米国特許第8,827,957号;米国特許第4,252,159号;米国特許第5,
318,521号;米国特許第4,718,430号;米国特許出願公開第2011/0
190702号;独国特許出願公開第2615061号に提供されているようなデバイス
およびデバイスの使用方法とともに、ならびに診断デバイス、例えば、米国特許出願公開
第2012/0072236号(これらの各内容はその全体が参照により本明細書に援用
される)に提供されているような診断デバイスとともに、使用され得る。
診断およびモニタリング
【0225】
認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖および関連症状の診断およびモ
ニタリングのための方法が、本明細書中に提供される。
【0226】
いくつかの実施形態において、診断またはモニタリングの方法は、式(I)の化合物ま
たはその塩もしくは代謝産物あるいは天然に存在する脂肪酸のパーセンテージを計測する
工程を含み得る。いくつかの実施形態において、診断またはモニタリングの方法は、認知
障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、嗜癖または代謝症候群のマーカーを計測す
る工程を含み得る。いくつかの実施形態において、1つのマーカーと別のマーカーとの相
関関係が有益であると判明している場合がある。いくつかの実施形態において、代謝症候
群または関連症状は、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖のマー
カーの閾値レベル、例えば、式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物の血清濃度
、天然に存在する脂肪酸の血清濃度(例えば、奇数鎖脂肪酸のパーセンテージ、奇数鎖脂
肪酸の血清濃度または血清中の総奇数鎖脂肪酸)を参照することにより診断され得る。例
えば、閾値は、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退および嗜癖または関連症
状の症候またはマーカーを参照することにより決定され得る。
【0227】
被験体における式(I)の化合物またはその塩もしくは代謝産物、あるいは認知障害、
運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退または嗜癖のマーカーのパーセンテージは、任意の
手段によってモニターされ得る。解析用のサンプルは、被験体のどの体液または組織から
得てもよい。例えば、血清、血漿、赤血球膜、尿および便から得てもよい。
【実施例0228】
比較実施例1
40匹のC57BL/6Jマウスに、高脂肪食(HFD)(D12492、60%kc
alの脂肪)を8週間与えた。次いで、試験マウスを10匹ずつ以下の4つの群に分けた
:ビヒクルコントロール、低用量C17:0処置(5mg/kg体重)、高用量C17:
0処置(50mg/kg体重)および低用量C15:0処置(5mg/kg体重)。被験
物質は、室温において安定な合成粉末の形態であり、Sigma-Aldrichから購
入した(製品W433400(≧99% C15:0)およびH3500 SIGMA(
≧98% C17:0)。引き続き自由にHFDを食べられる状態で、それらの被験物質
を12週間(84日間)にわたって毎日、胃管栄養法によって提供した。体重および食物
摂取量を毎週計測した。血清中のインスリン、グルコース、コレステロールならびにIL
-6、TNF-αおよびMCP-1レベルを84日目に計測した。処置群のデータを、ウ
ィルコクソン順位和解析を用いてコントロール群と比較した。有意性は、0.05以下の
P値と定義した。
【0229】
処置群のマウスは、試験全体にわたって、被験物質を許容した。処置群のマウスに早期
の死亡はなかったが、コントロール群の1匹のマウスが、予定外にも、7週目に死亡した
。試験群を比較したとき、体重、体重変化率または食物摂取量に変化は見られなかった(
示さず)。
【0230】
処置群をビヒクルコントロール群と比較したとき、C15:0(5mg/kg)で処置
された被験体は、コントロールと比べて、代謝症候群が減弱しており、それには、グルコ
ース、インスリン、コレステロールおよび炎症促進性サイトカイン(IL-6、TNF-
αおよびMCP-1)の低下が含まれた(表1)。C17:0で処置された被験体は、コ
ントロールと比べて、代謝症候群の減弱に向かう傾向があったが(表1)、高用量C17
:0(50mg/kg)だけしか、コントロールと比べて有意に低い炎症促進性サイトカ
インおよびケモカイン(TNF-αおよびMCP-1)を有しなかった(表1)。
【0231】
表1には、12週間、経口ペンタデカン酸(5mg/kgBW)、ヘプタデカン酸(5
および50mg/kgBW)で毎日処置された食餌誘発性の肥満マウスにおける心血管代
謝効果をビヒクルコントロールと比べた比較が提供されている。「結果」の値は、6時間
絶食したサンプルに基づく。
【表73】
比較実施例2
【0232】
この試験では、代謝症候群および関連疾患を処置する無置換基奇数鎖飽和脂肪酸の観察
される健康上の利益を最適化するために、無置換基飽和脂肪酸と有置換基飽和脂肪酸との
構造活性相関を比較した。脂肪酸は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PP
AR)に対する天然のリガンドであるので、リード化合物の最適化を、細胞ベースのPP
ARアゴニスト活性に関する構造活性相関から始めた。詳細には、この試験では、3つの
無置換基脂肪酸型の飽和脂肪酸(C14:0、C15:0およびC16:0)および種々
の有置換基飽和脂肪酸(2-メチル-、2,2-ジメチル-、1-テトラゾール-、3-
オキシ-、2-メチル-1-テトラゾール-、2-エチル-、2,2-ジエチル-および
2-メチル-2-エチル-)のPPARアゴニスト活性を調べ、それら3つの無置換基脂
肪酸型の飽和脂肪酸のPPARアゴニスト活性とそれらの種々の有置換基飽和脂肪酸のP
PARアゴニスト活性とを比較した。PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γア
ゴニスト活性を、PathHunter核内ホルモンレセプター(NHR)タンパク質相
互作用(Pro)アッセイ(DiscoverX,Freemont,Californ
ia)を用いて計測した。簡潔には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を使
用し、PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γの活性化を、Enzyme Fr
agment Complementation(EFC)を用いる同種の非イメージン
グアッセイの形式でモニターした。NHR Proアッセイは、活性化された完全長のP
PAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γタンパク質と、1つ以上のカノニカルなL
XXLL相互作用モチーフを有するステロイドレセプターコアクチベーターペプチド(S
RCP)ドメインを含む核融合タンパク質とのタンパク質間相互作用の検出に基づいた。
PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γを、EFCアッセイシステムのProL
ink構成要素でタグ化し、SRCPドメインを、核において発現される酵素アクセプタ
ー構成要素(EA)に融合した。PPAR-α、PPAR-δまたはPPAR-γは、リ
ガンドに結合すると、核に移動し、SRCPドメインをリクルートすることにより、補完
が生じ、活性なβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)の単位が生成され、化学発光シグナ
ルが発生する。このアプローチに関連する利点としては、化合物インキュベーション時間
が短縮される点、PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γ標的を直接計測できる
点、完全長ヒトPPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γ配列を使用する点、なら
びにタンパク質間相互作用の妨害に基づいて新規化合物クラスを選択できる点が挙げられ
た。PPAR-α、PPAR-δおよびPPAR-γアゴニスト用量曲線を、無置換基脂
肪酸型のC14:0、C15:0、C16:0;C14:0、C15:0、C16:0の
2-メチル置換基;C14:0、C15:0、C16:0の2,2-ジメチル置換基;C
14:0およびC15:0の1-テトラゾール置換基;ならびにC15:0およびC16
:0の3-オキシ置換基;ならびにC15:0の2-メチル-1-テトラゾール、2-エ
チル、2,2-ジエチルおよび2-メチル-2-エチル置換基、ならびにPPAR-α(
GW7647)、PPAR-δ(L-165,041)およびPPAR-γ(トログリタ
ゾン)に対するポジティブコントロールに対して10個の濃度において2つ組で作成した
。示されたデータは、コントロール化合物およびビヒクルの存在下においてそれぞれ観察
された最大応答および最小応答に対して正規化された。パーセンテージ活性を、以下の式
を用いて計算した:%活性=100%×(試験サンプルの平均RLU-ビヒクルコントロ
ールの平均RLU)/(平均MAXコントロールリガンド-ビヒクルコントロールの平均
RLU)。
【0233】
無置換基飽和脂肪酸型と比べて、有置換基飽和脂肪酸は、PPARアゴニスト活性のた
めの最大半量有効濃度に到達するために必要な濃度の低下という改善された濃度を示した
(表4)。種々の置換基が、異なるPPARアイソタイプ(PPAR-α、-δおよび-
γ)を改善したことから、所望のPPARアイソタイプのアゴニスト活性を標的化する構
成物を試験群の中から選抜することが可能になった。C14:0、C15:0およびC1
6:0に対する2-メチル置換基は、それらの無置換基脂肪酸型と比べて、PPAR-α
アゴニストEC50をそれぞれ17%、48%および62%改善した。C14:0、C1
5:0およびC16:0に対する2,2-ジメチル置換基は、それらの無置換基脂肪酸型
と比べて、PPAR-αアゴニストEC50をそれぞれ13%、44%および90%改善
した。1-テトラゾール-C15:0、3-オキサ-C15:0および2-メチル-1-
テトラゾール-C15:0置換基は、C15:0と比べてPPAR-αアゴニストEC5
0をそれぞれ77%、54%および44%改善した。2-エチル-C15:0および2,
2-ジエチル-C15:0置換基は、C15:0と比べてPPAR-αアゴニストEC5
0をそれぞれ90%および85%改善した。
【0234】
C14:0およびC15:0に対する1-テトラゾール置換基は、それらの無置換基脂
肪酸型と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ63%および81%改善し
た。C15:0およびC16:0に対する3-オキサ置換基は、それらの無置換基脂肪酸
型と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ85%および70%改善した。
2-メチル-1-テトラゾール-C15:0は、C15:0と比べて、PPAR-δアゴ
ニストEC50を59%改善した。2-メチル-C16:0および2,2-ジメチル-C
16:0は、C16:0と比べて、PPAR-δアゴニストEC50をそれぞれ11およ
び50%改善した。2-エチル-C15:0は、C15:0と比べて、PPAR-δアゴ
ニストEC50を89%改善した。非置換の無置換基飽和脂肪酸は、PPAR-γ活性を
有しなかったが、2-メチル-C14:0、2-メチル-C15:0、2-メチル-C1
6:0、2,2-ジメチル-C14:0、2,2-ジメチル-C15:0、2-エチル-
C15:0、2,2-ジエチル-C15:0および2-メチル-2-エチル-C15:0
は、PPAR-γアゴニスト活性を獲得した。肺系、線維性系、皮膚炎系、乾癬系、アレ
ルギー系および自己免疫系を含む系を模倣する細胞系に対するこの複数のアナログの強い
活性は、無置換基脂肪酸型のC15:0では全く到達されなかったことから、驚くべき活
性だった。それらのアナログは、単に無置換基脂肪酸型のC15:0の活性を向上させた
だけでなく、標的化された疾患の系を変化させた。
【0235】
まとめると、有置換基飽和脂肪酸は、それらの無置換基脂肪酸型と比べて、細胞ベース
のPPARアゴニスト活性を示すために必要な化合物の濃度を低下させることに成功した
。さらに、異なる置換基が、異なるPPARアイソタイプ(PPAR-α、-δおよび-
γ)を改善したことから、特定のPPARに関連する疾患を標的化する特定の置換基を選
択することが可能になる。
【0236】
表4には、細胞ベースのタンパク質間相互作用アッセイを用いたときの、選択された飽
和脂肪酸の間のPPARアゴニスト活性の比較が提供されている。
【表74】
【0237】
表5には、最大半量有効濃度(EC50)に基づいた、無置換基飽和脂肪酸(FFA)
型と置換基を有する飽和脂肪酸との間のPPARアゴニスト活性の比較が提供されている
。
【表75】
実施例3
【0238】
この試験では、これらの化合物間の潜在的な差異をさらなる薬理学的標的に関して評価
するために、選択された無置換基飽和脂肪酸とその有置換基飽和脂肪酸との構造活性相関
を比較した。詳細には、この試験では、SAFETYscan E/IC50 ELEC
T(DiscoverX/Eurofins,Fremont,California)
を用いた78個のアッセイにわたって、C15:0、2-メチル-C15:0、2-エチ
ル-C15:0および1-テトラゾール-C15:0のアゴニスト活性およびアンタゴニ
スト活性を調べ、比較した。簡潔には、種々の標準化および最適化された機能アッセイを
用いて、Gタンパク質共役レセプター(ADORA2A、ADRA1A、ADRA2A、
ADRB1、ADRB2、CB1、CB2、CCK1、D1、D2S、ETA、H1、H
2、M1 M2、M3、OPRD1、OPRK1、OPRM1、5HTR1A、5HTR
1B、5HTR2A、5HTR2B、AVPR1A)、キナーゼ(LCK、INSR、V
EGFR2、ROCK1)、トランスポーター(DAT、NET、SERT)、イオンチ
ャネル(GABAA、5-HT3、CA1.2、HERG、KVLQT1/MINK、N
A1.5、NMDAR1/2B、NACHR)、核内レセプター(AR、GR)および非
キナーゼ酵素(COX1、COX2、ACHE、MAO-A、PDE3A、PDE4D2
)を含む選択された化合物の薬理学的標的を評価し、比較した。アゴニスト活性(EC5
0)とアンタゴニスト活性(IC50)の両方に対する10点の濃度曲線を、各化合物に
対する各標的について確立した。100%の活性を割り当てた内部ポジティブコントロー
ルとの比較に基づいて、最大活性(%)も求めた。CB1レセプターアゴニスト活性に対
するポジティブコントロールは、CP55940(EC50=0.06nm)であり、O
PRM1アンタゴニスト活性に対するポジティブコントロールは、ナロキソン(IC50
=5nm)だった。
【0239】
78個のアッセイにわたって、C15:0および2-メチル-C15:0についてはさ
らなる活性は検出されなかった。驚くべきことに、2-エチル-C15:0は、C15:
0と比べて、強力なPPAR-αアゴニスト活性をより低濃度で獲得したこと(170%
の最大活性、EC50=1.2μM)および持続的なPPAR-δアゴニスト活性をかな
りより低濃度で獲得したこと(72.4%の最大活性、EC50=28nm)に加えて、
ナノモル濃度で新規の部分的なCB1アゴニスト活性も追加した(53.7%の最大活性
、EC50=27nm)。さらに驚くべきことに、1-テトラゾール-C15:0は、C
15:0と比べてPPAR-αおよびPPAR-δ最大活性を低下させつつ(PPAR-
αに対して32%およびPPAR-δに対して18%)、部分的なCB1アゴニスト活性
(48.3%の最大活性、IC50=1.3μm)と部分的なOPRM1アンタゴニスト
活性(46.2%の最大活性、IC50=3.9μm)の両方を追加した。
図1および図
2は、EC/IC50(
図1)および最大活性(
図2)を含む、試験された化合物の標的
化アゴニスト活性およびアンタゴニスト活性を比較している。
【0240】
この研究は、1)PPAR-αおよびPPAR-δアゴニスト活性の標的化を変化させ
るため、2)CB1アゴニストの新規標的化を導入するため、および3)OPRM1アン
タゴニストの新規標的化を導入するために飽和脂肪酸アナログを使用できることを裏付け
た。さらに、これらの活性に基づいて、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退
または嗜癖を予防、管理および処置するために、特定の飽和脂肪酸アナログを選択できる
。一例として、認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつおよび食欲不振を処置するために2
-エチル-C15:0が選択され得る。別の例として、オピオイド添加を処置するために
1-テトラゾール-C15:0が選択され得る。
実施例4
【0241】
この試験では、3-オキサ-C15:0、2-メチル-C15:0-テトラゾールおよ
びジエチル-C15:0のカンナビノイドレセプター1アゴニスト活性を評価した。これ
ら3つの各化合物が、ポジティブコントロール(THCを模倣する合成化合物であるCP
55940)と比べて強いカンナビノイドレセプター1アゴニストを示した。
【表76】
例示的な組成物、方法および使用
【0242】
方法1:認知障害、運動障害、慢性疼痛、うつ、食欲減退、痙攣、発作および嗜癖から
なる群より選択される症状を処置または発症予防する方法であって、その方法は、それを
必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む
薬学的組成物を投与する工程を含み、ここで、式(I)の化合物は、構造:
【化16】
式(I)
を有し、式中、Gは、非置換または置換C
10-C
18アルキル、非置換または置換C
1
0-C
18アルケニル、1、2または3つのオキサまたはチア置換基を有する非置換また
は置換C
10-C
18アルキル、および1、2または3つのオキサまたはチア置換基を有
する置換C
10-C
18アルケニルからなる群より選択され;Xは、OおよびCR
1R
2
からなる群より選択され、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、Hおよび非置換または
置換C
1-C
6アルキルからなる群より選択され;Y
1およびY
2は、それぞれ独立して
、H、非置換または置換C
1-C
6アルコキシおよび非置換または置換C
1-C
6アルキ
ルからなる群より選択されるか、またはY
1およびY
2は、一体となって、非置換または
置換C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、C
6-C
10アリール、
C
1-C
10ヘテロアリールおよびC
1-C
10ヘテロシクリルを形成してもよく;Zは
、カルボン酸、-C(=O)-OH、C
1-C
6アルキルエステル、非置換または置換ア
ミド、5または6員の非置換または置換ヘテロシクリルおよび5または6員の非置換また
は置換ヘテロアリールからなる群より選択され;置換される基は、1つ以上の置換基で置
換され、ここで、各置換基は、独立して、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルケニル、
C
1-C
6アルキニル、C
1-C
7シクロアルキル、C
1-C
7シクロアルケニル、アシ
ル(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
6アルコキシ(C
1-C
6アルキル)、アミノ(C
1-C
6アルキル)、アミノ酸、C
6-C
10アリール、C
1-C
10ヘテロアリール、
C
1-C
10ヘテロシクリル、C
6-C
10アリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロアリール(C
1-C
6アルキル)、C
1-C
10ヘテロシクリル(C
1-C
6
アルキル)、ヒドロキシル(C
1-C
6アルキル)、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカ
ルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル
、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ
、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、アジド、ニトロ、
シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロ(C
1-C
6アルキル)、C
1
-C
6ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミドおよ
びアミノからなる群より選択される、
方法。
【0243】
方法2:Gが、非置換C10-C18アルキルである、方法1。
【0244】
方法3:Gが、非置換ウンデシルである、方法1。
【0245】
方法4:Gが、非置換ドデシルである、方法1。
【0246】
方法5:Gが、非置換トリデシルである、方法1。
【0247】
方法6:Gが、非置換テトラデシルである、方法1。
【0248】
方法7:Gが、非置換ペンタデシルである、方法1。
【0249】
方法8:Gが、非置換ヘキサデシルである、方法1。
【0250】
方法9:Gが、非置換ヘプタデシルである、方法1。
【0251】
方法10:Gが、非置換オクタデシルである、方法1。
【0252】
方法11:Xが、CR1R2であり、R1およびR2が、それぞれHである、方法1~
10のうちのいずれか1つ。
【0253】
方法12:Xが、Oである、方法1~10のうちのいずれか1つ。
【0254】
方法13:Y1が、Hであり、Y2が、水素である、方法1~12のうちのいずれか1
つ。
【0255】
方法14:Y1が、Hおよび非置換C1-C6アルキルからなる群より選択され、Y2
が、非置換C1-C6アルキルである、方法1~12のうちのいずれか1つ。
【0256】
方法15:Y1が、H、非置換メチルおよび非置換エチルからなる群より選択され、Y
2が、非置換メチルまたはエチルである、方法1~12のうちのいずれか1つ。
【0257】
方法16:Y1が、Hおよび非置換エチルからなる群より選択され、Y2が、非置換エ
チルである、方法1~12のうちのいずれか1つ。
【0258】
方法17:Y1が、Hであり、Y2が、非置換エチルである、方法1~12のうちのい
ずれか1つ。
【0259】
方法18:Y1が、非置換エチルであり、Y2が、非置換エチルである、方法1~12
のうちのいずれか1つ。
【0260】
方法19:Y1が、Hであり、Y2が、非置換メチルである、方法1~12のうちのい
ずれか1つ。
【0261】
方法20:Zが、-C(=O)-OHである、方法1~19のうちのいずれか1つ。
【0262】
方法21:Zが、
【化17】
である、方法1~19のうちのいずれか1つ。
【0263】
方法22:Zが、
【化18】
である、方法1~19のうちのいずれか1つ。
【0264】
方法23:Zが、
【化19】
および
【化20】
からなる群より選択される、方法1~19のうちのいずれか1つ。
【0265】
方法24:Gが、非置換C10-C18アルキルであり、Xが、CR1R2であり、R
1およびR2が、それぞれHであり、Y1が、Hおよび非置換C1-C6アルキルからな
る群より選択され、Y2が、非置換C1-C6アルキルである、方法1。
【0266】
方法25:式(I)の化合物が、2-メチル-ステアリン酸、2,2-ジメチル-ステ
アリン酸、2エチルオクタデカン酸、2-エチル-2-メチルオクタデカン酸、2,2-
ジエチルオクタデカン酸、3-オキサ-ステアリン酸、2-(ペンタデシルオキシ)プロ
パン酸、2,2-ジメチル-3-オキサ-ステアリン酸、2-(ペンタデシルオキシ)ブ
タン酸、2-メチル-2-(ペンタデシルオキシ)ブタン酸、2-エチル-2-(ペンタ
デシルオキシ)ブタン酸、1-オクタデシル-1H-テトラゾール、1-(ノナデカン-
2-イル)-1H-テトラゾール、1-(2-メチルノナデカン-2-イル)-1H-テ
トラゾール、1-(イコサン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-メチルイコ
サン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-エチルイコサン-3-イル)-1H
-テトラゾール、5-オクタデシル-1H-テトラゾール、5-(ノナデカン-2-イル
)-1H-テトラゾール、5-(2-メチルノナデカン-2-イル)-1H-テトラゾー
ル、5-(イコサン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-メチルイコサン-3
-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-エチルイコサン-3-イル)-1H-テトラ
ゾール、4-オクタデシルオキサゾール-2(3H)-オン、4-(ノナデカン-2-イ
ル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(2-メチルノナデカン-2-イル)オキサ
ゾール-2(3H)-オン、4-(3-メチルイコサン-3-イル)オキサゾール-2(
3H)-オン、4-(イコサン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(3
-エチルイコサン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、3-オクタデシル-1
,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(ノナデカン-2-イル-1,2
,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(2-メチルノナデカン-2-イル)
-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(3-メチルイコサン-3-
イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(イコサン-3-イル
)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(3-エチルイコサン-3
-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、5-オクタデシルオキサ
ゾール-2(3H)-オン、5-(ノナデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-
オン、5-(2-メチルノナデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-
(イコサン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(3-メチルイコサン-
3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(3-エチルイコサン-3-イル)オ
キサゾール-2(3H)-オン、5-オクタデシル-1,2,3-オキサジアゾール-4
(5H)-オン、5-(ノナデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(
5H)-オン、5-(2-メチルノナデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾー
ル-4(5H)-オン、5-(イコサン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-
4(5H)-オン、5-(3-メチルイコサン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾ
ール-4(5H)-オン、5-(3-エチルイコサン-3-イル)-1,2,3-オキサ
ジアゾール-4(5H)-オン、N-ヒドロキシステアルアミド、N-ヒドロキシ-2-
メチルオクタデカンアミド、N-ヒドロキシ-2,2-ジメチルオクタデカンアミド、2
-エチル-N-ヒドロキシオクタデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチ
ルオクタデカンアミド、2,2-ジエチル-N-ヒドロキシオクタデカンアミド、1-オ
クタデシル-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ノナデカン-2-イル)-
2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルノナデカン-2-イル)-2
,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(イコサン-3-イル)-2,3-ジヒドロ
-1H-テトラゾール、1-(3-メチルイコサン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1
H-テトラゾール、1-(3-エチルイコサン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-
テトラゾール、1-オクタデシル-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ノナ
デカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルノナデ
カン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(イコサン-3-イル
)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルイコサン-3-イル)-
2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルイコサン-3-イル)-2,
5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、2-メチルヘプタデカン酸、2,2-ジメチルヘプ
タデカン酸、2-エチルヘプタデカン酸、2-エチル-2-メチルヘプタデカン酸、2,
2-ジエチルヘプタデカン酸、2-(テトラデシルオキシ)酢酸、2-(テトラデシルオ
キシ)プロパン酸、2-メチル-2-(テトラデシルオキシ)プロパン酸、2-(テトラ
デシルオキシ)ブタン酸、2-メチル-2-(テトラデシルオキシ)ブタン酸、2-エチ
ル-2-(テトラデシルオキシ)ブタン酸、1-ヘプタデシル-1H-テトラゾール、1
-(オクタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、1-(2-メチルオクタデカン-
2-イル)-1H-テトラゾール、1-(ノナデカン-3-イル)-1H-テトラゾール
、1-(3-メチルノナデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-エチルノ
ナデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-ヘプタデシル-1H-テトラゾール、
5-(オクタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、5-(2-メチルオクタデカン
-2-イル)-1H-テトラゾール、5-(ノナデカン-3-イル)-1H-テトラゾー
ル、5-(3-メチルノナデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-エチル
ノナデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、4-ヘプタデシルオキサゾール-2(3
H)-オン、4-(オクタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(
2-メチルオクタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(ノナデカ
ン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(3-メチルノナデカン-3-イ
ル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(3-エチルノナデカン-3-イル)オキサ
ゾール-2(3H)-オン、3-ヘプタデシル-1,2,4-オキサジアゾール-5(4
H)-オン、3-(オクタデカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4
H)-オン、3-(2-メチルオクタデカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾー
ル-5(4H)-オン、3-(3-メチルノナデカン-3-イル)-1,2,4-オキサ
ジアゾール-5(4H)-オン、3-(ノナデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジ
アゾール-5(4H)-オン、3-(3-エチルノナデカン-3-イル)-1,2,4-
オキサジアゾール-5(4H)-オン、5-ヘプタデシルオキサゾール-2(3H)-オ
ン、5-(オクタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(2-メチ
ルオクタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(ノナデカン-3-
イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(3-メチルノナデカン-3-イル)オキ
サゾール-2(3H)-オン、5-(3-エチルノナデカン-3-イル)オキサゾール-
2(3H)-オン、5-ヘプタデシル-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オ
ン、5-(オクタデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オ
ン、5-(2-メチルオクタデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(
5H)-オン、5-(ノナデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5
H)-オン、5-(3-メチルノナデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール
-4(5H)-オン、5-(3-エチルノナデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジ
アゾール-4(5H)-オン、N-ヒドロキシヘプタデカンアミド、N-ヒドロキシ-2
-メチルヘプタデカンアミド、N-ヒドロキシ-2,2-ジメチルヘプタデカンアミド、
2-エチル-N-ヒドロキシヘプタデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-2-メ
チルヘプタデカンアミド、2,2-ジエチル-N-ヒドロキシヘプタデカンアミド、1-
ヘプタデシル-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(オクタデカン-2-イル
)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルオクタデカン-2-イル
)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ノナデカン-3-イル)-2,3-
ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルノナデカン-3-イル)-2,3-ジ
ヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルノナデカン-3-イル)-2,3-ジヒ
ドロ-1H-テトラゾール、1-ヘプタデシル-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール
、1-(オクタデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2
-メチルオクタデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ノ
ナデカン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルノナ
デカン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルノナデ
カン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、2-メチルヘキサデカン酸
、2,2-ジメチルヘキサデカン酸、2-エチルヘキサデカン酸、2-エチル-2-メチ
ルヘキサデカン酸、2,2-ジエチルヘキサデカン酸、2-(トリデシルオキシ)酢酸、
2-(トリデシルオキシ)プロパン酸、2-メチル-2-(トリデシルオキシ)プロパン
酸、2-(トリデシルオキシ)ブタン酸、2-メチル-2-(トリデシルオキシ)ブタン
酸、2-エチル-2-(トリデシルオキシ)ブタン酸、1-ヘキサデシル-1H-テトラ
ゾール、1-(ヘプタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、1-(2-メチルヘプ
タデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、1-(オクタデカン-3-イル)-1H-
テトラゾール、1-(3-メチルオクタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-
(3-エチルオクタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-ヘキサデシル-1H
-テトラゾール、5-(ヘプタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、5-(2-メ
チルヘプタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、5-(オクタデカン-3-イル)
-1H-テトラゾール、5-(3-メチルオクタデカン-3-イル)-1H-テトラゾー
ル、5-(3-エチルオクタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、4-ヘキサデシ
ルオキサゾール-2(3H)-オン、4-(ヘプタデカン-2-イル)オキサゾール-2
(3H)-オン、4-(2-メチルヘプタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)
-オン、4-(オクタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(3-
メチルオクタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(3-エチルオ
クタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、3-ヘキサデシル-1,2,
4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(ヘプタデカン-2-イル)-1,2,
4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(2-メチルヘプタデカン-2-イル)
-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(3-メチルオクタデカン-
3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(オクタデカン-
3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(3-エチルオク
タデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、5-ヘキサ
デシルオキサゾール-2(3H)-オン、5-(ヘプタデカン-2-イル)オキサゾール
-2(3H)-オン、5-(2-メチルヘプタデカン-2-イル)オキサゾール-2(3
H)-オン、5-(オクタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(
3-メチルオクタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(3-エチ
ルオクタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-ヘキサデシル-1,
2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(ヘプタデカン-2-イル)-1,
2
,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(2-メチルヘプタデカン-2-イル
)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(オクタデカン-3-イル
)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(3-メチルオクタデカン
-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(3-エチルオ
クタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、N-ヒド
ロキシパルミトアミド、N-ヒドロキシ-2-メチルヘキサデカンアミド、N-ヒドロキ
シ-2,2-ジメチルヘキサデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシヘキサデカンア
ミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチルヘキサデカンアミド、2,2-ジエチル
-N-ヒドロキシヘキサデカンアミド、1-ヘキサデシル-2,3-ジヒドロ-1H-テ
トラゾール、1-(ヘプタデカン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール
、1-(2-メチルヘプタデカン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール
、1-(オクタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3
-メチルオクタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3
-エチルオクタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-ヘキ
サデシル-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ヘプタデカン-2-イル)-
2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルヘプタデカン-2-イル)-
2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(オクタデカン-3-イル)-2,5-ジ
ヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルオクタデカン-3-イル)-2,5-ジ
ヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルオクタデカン-3-イル)-2,5-ジ
ヒドロ-1H-テトラゾール、2-メチルペンタデカン酸、2,2-ジメチルペンタデカ
ン酸、2-エチルペンタデカン酸、2-エチル-2-メチルペンタデカン酸、2,2-ジ
エチルペンタデカン酸、2-(ドデシルオキシ)酢酸、2-(ドデシルオキシ)プロパン
酸、2-(ドデシルオキシ)-2-メチルプロパン酸、2-(ドデシルオキシ)ブタン酸
、2-(ドデシルオキシ)-2-メチルブタン酸、2-(ドデシルオキシ)-2-エチル
ブタン酸、1-ペンタデシル-1H-テトラゾール、1-(ヘキサデカン-2-イル)-
1H-テトラゾール、1-(2-メチルヘキサデカン-2-イル)-1H-テトラゾール
、1-(ヘプタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-メチルヘプタデカ
ン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)-1
H-テトラゾール、5-ペンタデシル-1H-テトラゾール、5-(ヘキサデカン-2-
イル)-1H-テトラゾール、5-(2-メチルヘキサデカン-2-イル)-1H-テト
ラゾール、5-(ヘプタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-メチルヘ
プタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-エチルヘプタデカン-3-イ
ル)-1H-テトラゾール、4-ペンタデシルオキサゾール-2(3H)-オン、4-(
ヘキサデカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(2-メチルヘキサデ
カン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(ヘプタデカン-3-イル)オ
キサゾール-2(3H)-オン、4-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾー
ル-2(3H)-オン、4-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(
3H)-オン、5-ペンタデシルオキサゾール-2(3H)-オン、5-(ヘキサデカン
-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(2-メチルヘキサデカン-2-イ
ル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(ヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-
2(3H)-オン、5-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H
)-オン、5-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン
、3-ペンタデシル-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(ヘキサ
デカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(2-メ
チルヘキサデカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3
-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)
-オン、3-(ヘプタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)
-オン、3-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-
5(4H)-オン、5-ペンタデシル-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オ
ン、5-(ヘキサデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オ
ン、5-(2-メチルヘキサデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(
5H)-オン、5-(ヘプタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(
5H)-オン、5-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾ
ール-4(5H)-オン、5-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)-1,2,3-オ
キサジアゾール-4(5H)-オン、N-ヒドロキシペンタデカンアミド、N-ヒドロキ
シ-2-メチルペンタデカンアミド、N-ヒドロキシ-2,2-ジメチルペンタデカンア
ミド、2-エチル-N-ヒドロキシペンタデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-
2-メチルペンタデカンアミド、2,2-ジエチル-N-ヒドロキシペンタデカンアミド
、1-ペンタデシル-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ヘキサデカン-2
-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルヘキサデカン-2
-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ヘプタデカン-3-イル)-
2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)-
2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)-
2,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-ペンタデシル-2,5-ジヒドロ-1H-
テトラゾール、1-(ヘキサデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾー
ル、1-(2-メチルヘキサデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾー
ル、1-(ヘプタデカン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(
3-メチルヘプタデカン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(
3-エチルヘプタデカン-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、2-メ
チルテトラデカン酸、2,2-ジメチルテトラデカン酸、2-エチルテトラデカン酸、2
-エチル-2-メチルテトラデカン酸、2,2-ジエチルテトラデカン酸、2-(ウンデ
シルオキシ)酢酸、2-(ウンデシルオキシ)プロパン酸、2-メチル-2-(ウンデシ
ルオキシ)プロパン酸、2-(ウンデシルオキシ)ブタン酸、2-メチル-2-(ウンデ
シルオキシ)ブタン酸、2-エチル-2-(ウンデシルオキシ)ブタン酸、1-テトラデ
シル-1H-テトラゾール、1-(ペンタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、1
-(2-メチルペンタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、1-(ヘキサデカン-
3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-メチルヘキサデカン-3-イル)-1H-
テトラゾール、1-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-
テトラデシル-1H-テトラゾール、5-(ペンタデカン-2-イル)-1H-テトラゾ
ール、5-(2-メチルペンタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール、5-(ヘキサ
デカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-メチルヘキサデカン-3-イル)
-1H-テトラゾール、5-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)-1H-テトラゾー
ル、4-テトラデシルオキサゾール-2(3H)-オン、4-(ペンタデカン-2-イル
)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(2-メチルペンタデカン-2-イル)オキサ
ゾール-2(3H)-オン、4-(ヘキサデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)
-オン、4-(3-メチルヘキサデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、
4-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、3-テト
ラデシル-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(ペンタデカン-2
-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(2-メチルペンタ
デカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(3-メ
チルヘキサデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3
-(ヘキサデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3
-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)
-オン、5-テトラデシルオキサゾール-2(3H)-オン、5-(ペンタデカン-2-
イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(2-メチルペンタデカン-2-イル)オ
キサゾール-2(3H)-オン、5-(ヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3
H)-オン、5-(3-メチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オ
ン、5-(3-エチルヘプタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-
テトラデシル-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(ペンタデカン
-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(2-メチルペ
ンタデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(ヘ
キサデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(3
-メチルヘキサデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン
、5-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5
H)-オン、N-ヒドロキシテトラデカンアミド、N-ヒドロキシ-2-メチルテトラデ
カンアミド、N-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラデカンアミド、2-エチル-N-
ヒドロキシテトラデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチルテトラデカン
アミド、2,2-ジエチル-N-ヒドロキシテトラデカンアミド、1-テトラデシル-2
,3-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ペンタデカン-2-イル)-2,3-ジヒ
ドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルペンタデカン-2-イル)-2,3-ジヒ
ドロ-1H-テトラゾール、1-(ヘキサデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H
-テトラゾール、1-(3-メチルヘキサデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H
-テトラゾール、1-(3-エチルヘキサデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H
-テトラゾール、1-テトラデシル-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ペ
ンタデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルペ
ンタデカン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ヘキサデカン
-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルヘキサデカン
-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-エチルヘキサデカン
-3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、2-メチルトリデカン酸、2,
2-ジメチルトリデカン酸、2-エチルトリデカン酸、2-エチル-2-メチルトリデカ
ン酸、2,2-ジエチルトリデカン酸、2-(デシルオキシ)酢酸、2-(デシルオキシ
)プロパン酸、2-(デシルオキシ)-2-メチルプロパン酸、2-(デシルオキシ)-
2-メチルブタン酸、2-(デシルオキシ)ブタン酸、2-(デシルオキシ)-2-エチ
ルブタン酸、1-トリデシル-1H-テトラゾール、1-(テトラデカン-2-イル)-
1H-テトラゾール、1-(2-メチルテトラデカン-2-イル)-1H-テトラゾール
、1-(ペンタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-メチルペンタデカ
ン-3-イル)-1H-テトラゾール、1-(3-エチルペンタデカン-3-イル)-1
H-テトラゾール、5-トリデシル-1H-テトラゾール、5-(テトラデカン-2-イ
ル
)-1H-テトラゾール、5-(2-メチルテトラデカン-2-イル)-1H-テトラゾ
ール、5-(ペンタデカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-メチルペンタ
デカン-3-イル)-1H-テトラゾール、5-(3-エチルペンタデカン-3-イル)
-1H-テトラゾール、4-トリデシルオキサゾール-2(3H)-オン、4-(テトラ
デカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(2-メチルテトラデカン-
2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、4-(ペンタデカン-3-イル)オキサゾ
ール-2(3H)-オン、4-(3-メチルペンタデカン-3-イル)オキサゾール-2
(3H)-オン、4-(3-エチルペンタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)
-オン、3-トリデシル-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(テ
トラデカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、3-(2
-メチルテトラデカン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン
、3-(3-メチルペンタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4
H)-オン、3-(ペンタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4
H)-オン、3-(3-エチルペンタデカン-3-イル)-1,2,4-オキサジアゾー
ル-5(4H)-オン、5-トリデシルオキサゾール-2(3H)-オン、5-(テトラ
デカン-2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(2-メチルテトラデカン-
2-イル)オキサゾール-2(3H)-オン、5-(ペンタデカン-3-イル)オキサゾ
ール-2(3H)-オン、5-(3-メチルペンタデカン-3-イル)オキサゾール-2
(3H)-オン、5-(3-エチルペンタデカン-3-イル)オキサゾール-2(3H)
-オン、5-トリデシル-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(テ
トラデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン、5-(2
-メチルテトラデカン-2-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン
、5-(ペンタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5H)-オン
、5-(3-メチルペンタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾール-4(5
H)-オン、5-(3-エチルペンタデカン-3-イル)-1,2,3-オキサジアゾー
ル-4(5H)-オン、N-ヒドロキシトリデカンアミド、N-ヒドロキシ-2-メチル
トリデカンアミド、N-ヒドロキシ-2,2-ジメチルトリデカンアミド、2-エチル-
N-ヒドロキシトリデカンアミド、2-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチルトリデカン
アミド、2,2-ジエチル-N-ヒドロキシトリデカンアミド、1-トリデシル-2,3
-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(テトラデカン-2-イル)-2,3-ジヒドロ
-1H-テトラゾール、1-(2-メチルテトラデカン-2-イル)-2,3-ジヒドロ
-1H-テトラゾール、1-(ペンタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テ
トラゾール、1-(3-メチルペンタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テ
トラゾール、1-(3-エチルペンタデカン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-テ
トラゾール、1-トリデシル-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(テトラデ
カン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(2-メチルテトラデ
カン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(ペンタデカン-3-
イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾール、1-(3-メチルペンタデカン-3-
イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾールおよび1-(3-エチルペンタデカン-
3-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-テトラゾールからなる群より選択される、方法1
。
【0267】
方法26:薬学的組成物が、単位剤形である、方法1。
【0268】
方法27:0.01mg~10000mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容
され得る塩を含む、方法1。
【0269】
方法28:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法1。
【0270】
方法29:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法28。
【0271】
方法30:運動障害を処置または発症予防するための、方法1。
【0272】
方法31:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法30。
【0273】
方法32:嗜癖を処置または発症予防するための、方法1。
【0274】
方法33:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法32。
【0275】
方法34:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法1。
【0276】
方法35:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法34。
【0277】
方法36:症状が、慢性疼痛である、方法1。
【0278】
方法37:症状が、うつである、方法1。
【0279】
方法38:式(I)の化合物が、
【化21】
1 2-エチルペンタデカン酸
である、方法1。
【0280】
方法39:慢性疼痛を処置するための、方法38。
【0281】
方法40:うつを処置するための、方法38。
【0282】
方法41:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法38。
【0283】
方法42:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法41。
【0284】
方法43:運動障害を処置または発症予防するための、方法38。
【0285】
方法44:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法43。
【0286】
方法45:嗜癖を処置または発症予防するための、方法38。
【0287】
方法46:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法45。
【0288】
方法47:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法38。
【0289】
方法48:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法47。
【0290】
方法49:式(I)の化合物が、
【化22】
2 5-(ペンタデカン-2-イル)-1H-テトラゾール
である、方法1。
【0291】
方法50:慢性疼痛を処置するための、方法49。
【0292】
方法51:うつを処置するための、方法49。
【0293】
方法52:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法49。
【0294】
方法53:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法52。
【0295】
方法54:運動障害を処置または発症予防するための、方法49。
【0296】
方法55:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法54。
【0297】
方法56:嗜癖を処置または発症予防するための、方法49。
【0298】
方法57:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法56。
【0299】
方法58:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法49。
【0300】
方法59:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法58。
【0301】
方法60:式(I)の化合物が、
【化23】
1 2,2-ジエチルペンタデカン酸
である、方法1。
【0302】
方法61:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法60。
【0303】
方法62:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法60。
【0304】
方法63:運動障害を処置または発症予防するための、方法60。
【0305】
方法64:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法63。
【0306】
方法65:嗜癖を処置または発症予防するための、方法60。
【0307】
方法66:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法65。
【0308】
方法67:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法60。
【0309】
方法68:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法67。
【0310】
方法69:慢性疼痛を処置するための、方法60。
【0311】
方法70:うつを処置するための、方法60。
【0312】
方法71:式(I)の化合物が、
【化24】
1 5-テトラデシル-1H-テトラゾール
である、方法1。
【0313】
方法72:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法71。
【0314】
方法73:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法72。
【0315】
方法74:運動障害を処置または発症予防するための、方法71。
【0316】
方法75:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法74。
【0317】
方法76:嗜癖を処置または発症予防するための、方法71。
【0318】
方法77:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法76。
【0319】
方法78:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法71。
【0320】
方法79:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法77。
【0321】
方法80:慢性疼痛を処置するための、方法71。
【0322】
方法81:うつを処置するための、方法71。
【0323】
方法82:式(I)の化合物が、
【化25】
2 1-ペンタデシル-1H-テトラゾール
である、方法1。
【0324】
方法83:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法82。
【0325】
方法84:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法83。
【0326】
方法85:運動障害を処置または発症予防するための、方法82。
【0327】
方法86:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法85。
【0328】
方法87:嗜癖を処置または発症予防するための、方法82。
【0329】
方法88:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法87。
【0330】
方法89:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法82。
【0331】
方法90:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群よ
り選択される、方法89。
【0332】
方法91:慢性疼痛を処置するための、方法82。
【0333】
方法92:うつを処置するための、方法82。
【0334】
方法93:式(I)の化合物が、
【化26】
である、方法1。
【0335】
方法94:認知機能障害を処置または発症予防するための、方法93。
【0336】
方法95:認知機能障害が、アルツハイマー病である、方法94。
【0337】
方法96:運動障害を処置または発症予防するための、方法93。
【0338】
方法97:運動障害が、多発性硬化症またはパーキンソン病からなる群より選択される
、方法96。
【0339】
方法98:嗜癖を処置または発症予防するための、方法93。
【0340】
方法99:嗜癖が、オピオイド嗜癖である、方法97。
【0341】
方法100:食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、方法93。
【0342】
方法101:食欲不振または悪液質を伴う症状が、癌、AIDSまたは高齢からなる群
より選択される、方法100。
【0343】
方法102:慢性疼痛を処置するための、方法93。
【0344】
方法103:うつを処置するための、方法93。
【0345】
上で言及した薬学的組成物、使用および方法の特徴のいずれもが、本明細書中において
特定される他の任意の薬学的組成物、使用または方法に適用可能である。さらに、上で言
及した薬学的組成物、使用および方法の特徴のいずれもが、多少なりとも本明細書中に記
載される薬学的組成物、使用および方法の他の実施形態と部分的または全体的に独立して
組み合わせ可能であり、例えば、1つ、2つもしくは3つまたはそれを超える特徴が、全
体的または部分的に組み合わせ可能であり得る。さらに、上に記載された薬学的組成物、
使用および方法の特徴のいずれもが、本明細書中に記載される他の薬学的組成物、使用お
よび方法にとっては必須でなくなり得る。本明細書中に記載される方法または使用の任意
の態様または実施形態が、本明細書中に記載されるような組成物、例えば、薬学的組成物
および/もしくは式(I)の化合物、または本明細書中に記載される構造を有する任意の
化合物を用いて行うことができ、組成物、例えば、薬学的組成物および/もしくは式(I
)の化合物、または本明細書中に記載される構造を有する任意の化合物の任意の態様また
は実施形態が、本明細書中に記載されるような方法もしくは使用を実施するように使用で
きるかまたは適合できる。
【0346】
上記の説明では、本発明を実施するために企図される最良の形態、ならびに本発明を構
成し、使用する様式およびプロセスの最良の形態が、本発明が関係する分野の任意の当業
者が本発明を構成し、使用できるようにするほど十分で、明確で、簡潔で、かつ正確な用
語で示される。しかしながら、本発明は、上で論じられたものからの、完全に等価な改変
および代替の構成を許す。その結果として、本発明は、開示される特定の実施形態に限定
されない。それどころか、本発明は、本発明の主題を詳細に指摘し、かつ明確に主張する
下記の請求項によって広く表されるような本発明の趣旨および範囲に含まれるすべての改
変および代替構成を包含する。本開示は、図面および前述の説明において例証され、詳細
に説明されてきたが、そのような例証および説明は、例証的または例示的であって、限定
的ではないとみなされるべきである。
【0347】
本明細書に引用されたすべての参考文献が、それらの全体が参照により本明細書中に援
用される。参照により援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれ
る開示と矛盾する限りにおいて、本明細書は、そのような矛盾するどのようなものにも取
って代わるおよび/または優先されると意図される。
【0348】
別段定義されない限り、すべての用語(専門用語および科学用語を含む)には、当業者
にとってのそれらの通常および通例の意味が与えられるべきであり、本明細書中で明確に
そのように定義されない限り、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべ
きでない。特定の用語の使用は、本開示のある特定の特徴または態様を説明するとき、そ
の用語は、その用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の具体的な特性を包含する
ように限定されると本明細書中で再定義されていることを暗示しているように解釈される
べきでないことに注意するべきである。本願、特に添付の請求項において使用される用語
および句ならびにそれらの変化形は、別段明確に述べられない限り、限定とは対照的な、
オープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「~を含む(inc
luding)」は、「以下に限定されないが、~を含む」、「~を含むがこれらに限定
されない」などを意味すると読み取られるべきであり、本明細書中で使用される用語「~
を含む(comprising)」は、「~を含む(including)」、「~を含
む(containing)」または「~を特徴とする」と同義であり、包括的であるか
、またはオープンエンドであり、記載されていないさらなるエレメントまたは方法工程を
排除せず、用語「~を有する」は、「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、
用語「~が挙げられる(includes)」は、「~が挙げられるが、これらに限定さ
れない」と解釈されるべきであり、用語「例」は、論じている項目の例示的な実例を提供
するために使用されるのであって、その網羅的または限定的なリストを提供するために使
用されるのではなく、「公知の」、「通常の」、「標準的な」などの形容詞および同様の
意味の用語は、所与の期間について記載される項目または所与の時点で利用可能な項目を
限定すると解釈されるべきでなく、その代わりに、現在または将来の任意の時点において
利用可能または公知であり得る、公知の、通常の、または標準的な技術を包含すると読み
取られるべきであり、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」または「望ましい」の
ような用語および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が、本発明の構造または機
能にとって絶対に欠かせない、不可欠または重要であることを暗示していると理解される
べきでなく、その代わりに、本発明の特定の実施形態において利用されてもよいし、され
なくてもよい、代替のまたはさらなる特徴を強調するように単に意図されていると理解さ
れるべきである。同様に、接続詞「および」を用いて連結される項目の群は、それらの項
目の各々およびすべてが、そのグループ分けに存在することを要求していると読み取られ
るべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない限り、「および/または」と読み取られ
るべきである。同様に、接続詞「または」を用いて連結される項目の群は、その群の中で
相互排他性を要求していると読み取られるべきでなく、むしろ、別段明確に述べられない
限り、「および/または」と読み取られるべきである。
【0349】
値の範囲が提供される場合、上限および下限ならびにその範囲の上限と下限との間に存
在する各値が上記の実施形態に含まれると理解される。
【0350】
本明細書中の実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業
者は、その文脈および/または用途にとって適切であるように、複数形から単数形に、お
よび/または単数形から複数形に読み換えることができる。明確にするために、様々な単
数形/複数形の入れ替えが、本明細書中で明確に示されることがある。不定冠詞「a」ま
たは「an」は、複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に
記載されるいくつかの項目の機能を果たすことがある。ある特定の基準が、相互に異なる
従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせを都合よく
使用できないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照符号も、その範囲を
限定すると解釈されるべきでない。
【0351】
具体的な数の請求項記載の導入が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に
記載されること、およびそのような記載がないときには、そのような意図は存在しないこ
とが、当業者によってさらに理解されるだろう。例えば、理解の一助として、下記の添付
の請求項は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つ」および「1つ以上」とい
う導入句の使用を含むことがある。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が
「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句および不定冠詞(例えば、「a」ま
たは「an」)を含むときでさえ、不定冠詞「a」または「an」による請求項記載の導
入が、そのような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を
1つだけ含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではない(例えば
、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意
味するように解釈されるべきである);同じことが、請求項記載を導入するために使用さ
れる定冠詞の使用についても当てはまる。さらに、具体的な数の請求項記載の導入が明示
的に記載されたとしても、当業者は、そのような記載が、通常、記載された数を少なくと
も意味するように解釈されるべきであることを認識するだろう(例えば、他の修飾語を伴
わない「2つの記載」というむきだしの記載は、通常、少なくとも2つの記載または2つ
以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびCなどのうちの少なくとも1つ」に類
似する慣例が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその慣例を理解する
意味として意図される(例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つを有するシス
テム」は、Aを単独で有するシステム、Bを単独で有するシステム、Cを単独で有するシ
ステム、AおよびBをともに有するシステム、AおよびCをともに有するシステム、Bお
よびCをともに有するシステム、ならびに/または、A、BおよびCをともに有するシス
テムなどを含み得るが、これらに限定されない)。「A、BまたはCなどのうちの少なく
とも1つ」に類似する慣例が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその
慣例を理解する意味として意図される(例えば、「A、BまたはCのうちの少なくとも1
つを有するシステム」は、Aを単独で有するシステム、Bを単独で有するシステム、Cを
単独で有するシステム、AおよびBをともに有するシステム、AおよびCをともに有する
システム、BおよびCをともに有するシステム、ならびに/または、A、BおよびCをと
もに有するシステムなどを含み得るが、これらに限定されない)。2つ以上の二者択一の
用語を示す実質的に任意の離接的接続詞および/または句は、それが明細書に存在するか
、請求項に存在するか、それとも図面に存在するかを問わず、それらの用語のうちの1つ
、それらの用語のどちらかまたは両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきで
あることが、当業者によってさらに理解されるだろう。例えば、句「AまたはB」は、「
A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0352】
本明細書において使用される成分および反応条件などの量を表すすべての数字が、すべ
ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがっ
て、それとは反対のことが示されない限り、本明細書中に示される数値パラメータは、得
ようとする所望の特性に依存して変化し得る近似値である。少なくとも、また、本願に対
して優先権を主張するいずれの出願においても任意の請求項の範囲に対して均等論を適用
することを制限する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、有効数字の数値
および通常の丸め法に照らして解釈されるべきである。
【0353】
さらに、前述は、明確化および理解のために、例証および例としていくらか詳細に説明
してきたが、ある特定の変更および改変が実施され得ることが当業者には明らかである。
ゆえに、それらの説明および例は、本発明の範囲を、本明細書中に記載される具体的な実
施形態および例に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の真の範囲および
趣旨に含まれるあらゆる改変および代替も包含するように解釈されるべきである。
食欲不振または悪液質を処置または発症予防するための、請求項1に記載の薬学的組成物であって、必要に応じて、食欲不振または悪液質を伴う症状は、癌、AIDSまたは高齢からなる群より選択される症状である、請求項1に記載の薬学的組成物。