(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171540
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20231124BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F25D23/00 302L
F25D11/00 101B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175612
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2019157967の分割
【原出願日】2019-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎一
(72)【発明者】
【氏名】河野 卓也
(57)【要約】
【課題】貯蔵物を好適に貯蔵し得る冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、筐体と、貯蔵箱とを備えている。筐体には、貯蔵室が形成されている。貯蔵箱は、貯蔵室内に配置されている。貯蔵箱は、開口部と、開閉機構とを有する。開口部は、貯蔵箱の内外を接続している。開閉機構は、貯蔵箱内の相対湿度の変化に応じて開口部を開閉する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成された筐体と、
前記貯蔵室内に配置された貯蔵箱と、
を備え、
前記貯蔵箱は、
前記貯蔵箱の内外を接続する開口部と、
前記貯蔵箱内の相対湿度の変化に応じて前記開口部を開閉する開閉機構と、
を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記貯蔵箱内の相対湿度の上昇に伴って前記開口部の開度を高める、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記貯蔵箱内の相対湿度の上昇に伴って重量が増大する重量増大部を有し、
前記開閉機構は、前記重量増大部の重量増大に伴って前記開口部の開度が変化するように構成されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記重量増大部は、結露した水が付着する表面を有する、請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記重量増大部は、吸湿材を含む、請求項3または4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記開閉機構は、前記重量増大部の重量が増大した際に回転軸周りに回転し、前記回転軸周りの回転に伴って前記開口部の開度が変化するように構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記開口部は、第1開口部と、第2開口部とを含み、
前記開閉機構は、前記第1開口部を開閉可能な第1開閉部と、前記第2開口部を開閉可能な第2開閉部とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記開閉機構は、前記貯蔵箱内の相対湿度の上昇に伴って膨張する膨張材を有し、
前記開閉機構は、前記膨張材の膨張に伴って前記開口部の開度が変化するように構成されている。請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
貯蔵箱の内外を接続する開口部と、
前記貯蔵箱内の相対湿度の変化に応じて前記開口部を開閉する開閉機構と、
を有する、貯蔵箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫及び貯蔵箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜室を有する冷蔵庫が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1に記載の冷蔵庫は、野菜室を加湿するための超音波加湿装置を備えている。特許文献1に記載の冷蔵庫によれば、超音波加湿装置の噴霧にて野菜室を加湿し、その野菜室に収容された青果物等からの水分の蒸発を阻止し得る程度の雰囲気に保持することにより、新鮮度を長期間保持することができると特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫では、野菜室が加湿されるため、野菜室に貯蔵された野菜等からの水分の蒸発を抑制できる。しかしながら、野菜室を加湿し過ぎた場合、野菜室に貯蔵された野菜が傷む場合がある。
【0005】
本開示の主な目的は、貯蔵物を好適に貯蔵し得る冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る冷蔵庫は、筐体と、貯蔵箱とを備えている。筐体には、貯蔵室が形成されている。貯蔵箱は、貯蔵室内に配置されている。貯蔵箱は、開口部と、開閉機構とを有する。開口部は、貯蔵箱の内外を接続している。開閉機構は、貯蔵箱内の相対湿度の変化に応じて開口部を開閉する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の概略正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の概略縦断面図である。
【
図3】野菜室を引き出した状態の第1実施形態に係る冷蔵庫の概略縦断面図である。
【
図4】第1実施形態における貯蔵箱の概略斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫の一部分を拡大した概略縦断面図である。
【
図6】開閉機構により開口部が開状態とされている貯蔵箱を示す概略縦断面図である。
【
図7】第1変形例における貯蔵箱の概略斜視図である。
【
図8】第1変形例における、開閉機構により開口部が開状態とされている貯蔵箱を示す概略斜視図である。
【
図9】第1実施形態における重量増大部の概略斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る冷蔵庫の一部分を拡大した概略縦断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る冷蔵庫の一部分を拡大した概略斜視図である。
【
図12】第3実施形態の重量増大部52を説明するための模式的平面図である。(閉状態)
【
図13】第3実施形態の重量増大部52を説明するための模式的平面図である。(開状態)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。なお、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する。
【0009】
以下の説明において、前後左右、幅、高さ、奥行き、上下の方向は、設置された冷蔵庫に対面した人間が冷蔵庫を視たときの方向である。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫1の概略正面図である。
図2は、第1実施形態に係る冷蔵庫1の概略縦断面図である。
図3は、野菜室を引き出した状態の冷蔵庫1の概略縦断面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、冷蔵庫1は、筐体10を備えている。
図2に示すように、筐体10には、少なくともひとつの貯蔵室11が形成されている。具体的には、筐体10には、複数の貯蔵室11が形成されている。より具体的には、筐体10には、貯蔵室11として、冷蔵室11aと、冷凍室11bと、野菜室11cとが形成されている。本実施形態では、複数の貯蔵室11のうち、冷蔵室11aが最も上方に配置されている。野菜室11cが最も下方に配置されている。冷凍室11bは、上下方向において、冷蔵室11aと野菜室11cとの間に配置されている。
【0012】
筐体10は、本体21と、複数の扉22、23、24とを備えている。本体21には、複数の貯蔵室11(冷蔵室11a、冷凍室11b及び野菜室11c)が形成されている。冷蔵室11a、冷凍室11b及び野菜室11cは、それぞれ、本体21の前面に開口している。冷蔵室11aの開口部は、扉22により開閉可能である。冷凍室11bの開口部は、扉23により開閉可能である。野菜室11cの開口部は、扉24により開閉可能である。
【0013】
冷蔵室11aは、例えば、3℃以上6℃以下程度の温度に保持される貯蔵室である。冷蔵室11aは、食物などの貯蔵物を、氷点よりも高い温度範囲内において冷却して貯蔵するための部屋である。
【0014】
冷蔵室11aの下方には、冷凍室11bが配置されている。冷凍室11bは、例えば、-30℃以上-25℃以下、好ましくは、-25℃以上-15℃以下、より好ましくは、-20℃以上-18℃以下に保持される貯蔵室である。冷凍室11bは、食物などの貯蔵物を、氷点以下に冷却して貯蔵する。通常、水を含む貯蔵物は、冷凍室11bにおいて、凍った状態で貯蔵される。
【0015】
冷凍室11bの下方には、野菜室11cが配置されている。野菜室11cは、通常、冷蔵室11aよりも高い温度であって、外気温度よりも低い温度に保持される。野菜室11cは、例えば、5℃以上10℃以下、好ましくは、6℃以上8℃以下に保持される貯蔵室である。野菜室11cは、食物などの貯蔵物を、氷点よりも高い温度範囲内において冷却して貯蔵するための部屋である。
【0016】
冷蔵庫1は、冷却機構30を備えている。冷却機構30は、冷蔵庫1に設けられた貯蔵室11に対して冷却された空気を供給する機構である。詳細には、冷却機構30は、空気を冷却し、冷却した空気を貯蔵室11に対して供給する機構である。
【0017】
冷却機構30は、冷却器31と、送風器32と、流路33とを有する。冷却器31は圧縮機や凝縮器(不図示)とともに冷凍サイクルを構成しており、熱交換を行うことにより空気を冷却し、冷却空気を生成する。送風器32は、冷却器31により生成された冷却空気を各貯蔵室11に送風する。冷却空気は、各貯蔵室11の背面側に接続された流路33を経由して各貯蔵室11に供給される。
【0018】
貯蔵室11内には、貯蔵箱40が配置されている。具体的には、貯蔵箱40は、野菜室11c内に配置されている。貯蔵箱40は、野菜室11cの実質的に全体に配置されている。野菜室11cに貯蔵される貯蔵物は、貯蔵箱40内に貯蔵される。貯蔵箱40内の空間は、野菜室11cよりも高い相対湿度に保持される。このため、貯蔵箱40は、低温高湿状態で好ましく貯蔵される貯蔵物の貯蔵に好適である。貯蔵箱40は、例えば、青果等の貯蔵に好適である。青果には、少なくとも、野菜と果物等が含まれる。このように、貯蔵箱40は、野菜の専用貯蔵庫に限定されない。
【0019】
図4は、貯蔵箱40の概略斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る冷蔵庫1の一部分を拡大した概略縦断面図である。
図4に示すように、貯蔵箱40は、底壁40aと、天井壁40bと、側壁40cとを備えている。側壁40cは、前方側壁40c1と、後方側壁40c2と、左方側壁40c3と、右方側壁40c4とを含む。上記底壁40a、天井壁40b及び4つの側壁40cにより、内部空間(貯蔵空間)40Aが形成されている。
【0020】
貯蔵箱40は、箱本体41と、蓋42とを有する。箱本体41の開口部41aは、上方に向かって開口している。開口部41aは、箱本体41の上方に配置された蓋42により開閉可能である。開口部41aが蓋42により閉じられることにより、内部空間40Aが密閉されている。ここで、「密閉」とは、内部空間40Aへの空気の出入りが完全に遮断されることのみを意味するものではない。「密閉」には、空気の出入りが抑制された状態が含まれるものとする。
【0021】
貯蔵箱40のうち、箱本体41は、扉24に対して固定されている。一方、蓋42は、本体21に対して固定されている。このため、
図3に示すように、扉24が開けられる(本実施形態では、扉24が引き出される)と、箱本体41が扉24と共に、本体21内から引き出される。これにより、蓋42が箱本体41の上方位置から変位する。その結果、開口部41aが解放され、内部空間40Aからの貯蔵物の出し入れが可能となる。なお、本実施形態において、貯蔵箱40は、筐体10に対して着脱可能である。具体的には、箱本体41は、扉24に対して着脱可能である。蓋42は、本体21に対して着脱可能である。
【0022】
貯蔵箱40は、開口部43を有する。開口部43は、冷却機構30からの冷却空気が供給される流路33の先端部近傍に位置するように設けられている。この開口部43により貯蔵箱40の内外が接続されている。すなわち、開口部43は、貯蔵箱40の内部空間40Aと、貯蔵箱40外とを接続している。具体的には、本実施形態では、開口部43は、側壁40c、より具体的には、後方側壁40c2に形成されている。開口部43は、前方視において略矩形状である。開口部43は、蓋42に形成されている。
【0023】
貯蔵箱40は、開閉機構50を更に有する。開閉機構50は、開口部43を開閉可能である。具体的には、開閉機構50は、貯蔵箱40内の相対湿度(内部空間40Aの相対湿度)の変化に応じて開口部43を開閉するように構成されている。詳細には、開閉機構50は、貯蔵箱40内の相対湿度(内部空間40Aの相対湿度)が低いときに開口部43を閉じており、貯蔵箱40内の相対湿度(内部空間40Aの相対湿度)の上昇に伴って開口部43の開度を高めるように構成されている。
【0024】
以下、第1実施形態における開閉機構50の具体的構成について、主として
図5を参照しながら詳細に説明する。
図5に示すように、開閉機構50は、回転軸51と、重量増大部52と、錘53とを有する。
図4に示すように、回転軸51は、左右方向(幅方向)に沿って延びている。回転軸51の両端部のそれぞれは、蓋42により支持されている。
【0025】
図4及び
図5に示すように、重量増大部52は、略板状、詳細には、略矩形板状である。重量増大部52は、開口部43に対して開閉可能である。重量増大部52の前端部は、回転軸51に接続されている。
図5に示すように、開閉機構50が開口部43を閉じた状態において、重量増大部52は、回転軸51から後方に向かって斜め上方に延びている。
【0026】
錘53は、重量増大部52に対してカウンターウエイトとして機能する部分である。錘53は、回転軸51に接続されている。錘53の回転軸51から延びる方向と、重量増大部52の回転軸51から延びる方向とは、互いに異なっている。具体的には、錘53は、開閉機構50が開口部43を閉じた状態において、回転軸51から鉛直下方に向かって延びている。錘53及び重量増大部52は、回転軸51を中心として回転可能である。錘53及び重量増大部52が回転軸51を中心として回転することにより、開口部43の開閉が行われる。
【0027】
重量増大部52は、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って重量が増大するように構成されている。重量増大部52の重量が増大すると、重量増大部52と錘53との重量バランスが変化する。このため、開閉機構50が回転軸51を中心として回転する。これにより、開口部43の開度が変化する。具体的には、開口部43の開度が高くなる。
【0028】
具体的には、重量増大部52は、結露した水が付着する表面52aを有している。より具体的には、重量増大部52は、熱伝導率の高い部材により構成されている。例えば、重量増大部52は、錘53の表層よりも熱伝導率が高く、かつ、箱本体41及び蓋42よりも熱伝導率が高い部材により構成されていることが好ましい。例えば、錘53の表層、箱本体41及び蓋42が樹脂(例えば、プラスチック等)により構成されているのに対して、重量増大部52は、金属により構成されていることが好ましい。また、前述の通り、重量増大部52は、冷却機構30からの冷却空気が供給される流路33の先端部近傍に位置している開口部43を開閉可能に配置されている。従って、重量増大部52は、流路33の先端部からの冷却空気が吹き付けられている状態となり、貯蔵箱40を構成する壁面の中でも温度が低くなりやすい。このため、
図6に示すように、貯蔵箱40内の相対湿度が上昇したときに、錘53、箱本体41及び蓋42の表面よりも先に重量増大部52の表面52aに結露した水54が付着する。その結果、重量増大部52の重量が増大する。重量増大部52の重量が増大すると、開閉機構50が回転軸51を中心として回転し、開口部43の開度が高まる。なお、本発明において、「重量増大部の重量が増大」とは、重量増大部に水等が付着して重量が増大する場合と、水等が吸着することで重量増大部そのものの重量が増大する場合との両方が含まれることである。
【0029】
次に、開閉機構50の動作について説明する。開閉機構50を有する貯蔵箱40は、例えば、食物等の鮮度を維持しつつ貯蔵するための部屋を構成している。このため、貯蔵箱40内の空間には、高湿であることが求められる。一方、冷却機構30により冷却された空気は、低温である。このため、冷却機構30から供給される冷却空気は、低い含水率を有する。よって、貯蔵箱40内の空間を高湿に維持する観点からは、冷却空気が貯蔵箱40内に供給されないことが好ましい。そこで、貯蔵箱40内の空間の相対湿度が低く、結露した水が重量増大部52に付着していない状態においては、開閉機構50により開口部43が閉じられた状態となるように開閉機構50が設計されている。このため、冷却空気が貯蔵箱40内に供給されず、貯蔵箱40内の空間の相対湿度が低下することが抑制されている。従って、冷蔵庫1では、貯蔵箱40内において、鮮度を維持した状態で青果等を貯蔵し得る。
【0030】
貯蔵箱40内の空間の相対湿度の低下を抑制する観点からは、貯蔵箱40内への冷却空気が常時供給されないようにすることも考えられる。しかしながら、貯蔵箱40内の空間の相対湿度が高くなりすぎると、貯蔵箱40内において結露が発生する場合がある。結露が発生すると、結露により生じた水が、例えば青果等と接触する虞がある。青果等は、水と接触すると痛む。このため、貯蔵箱40内の空間に対して、低温かつ低含水量の冷却空気が常時供給されないようにした場合は、青果等の乾燥は防げるものの、青果等が痛んでしまう場合がある。
【0031】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、開閉機構50は、貯蔵箱40内の相対湿度の変化に応じて開口部43を開閉する。このため、例えば、貯蔵箱40内の空間の相対湿度の低下を抑制しつつ、貯蔵箱40内における結露の発生を抑制し得る。従って、青果等の乾燥を防ぎつつ、水との接触に伴って青果等が痛むことを抑制することができる。
【0032】
具体的には、開閉機構50は、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って開口部43の開度を高める。このため、貯蔵箱40内の相対湿度が低い場合は、開閉機構50により開口部43が閉じられた状態となる。よって、貯蔵箱40内の相対湿度の低下が抑制される。例えば、青果等から発生した水分等により貯蔵箱40内の相対湿度が結露するほどまで上昇すると、開閉機構50が回転し、開口部43の開度が高められる。このため、開口部43から、低温であり、かつ、含水量の低い冷却空気が貯蔵箱40内に供給される。その結果、貯蔵箱40内において結露が発生することが抑制される。貯蔵箱40内に冷却空気が供給されることにより貯蔵箱40内の相対湿度が低くなるに伴って、重量増大部52の表面52aに付着した水が蒸発する。
図6に示すように、開口部43から供給された冷気は重量増大部52の表面52aの近傍を流通する。このため、重量増大部52の表面52aに付着した水を速やかに蒸発させることができる。よって、貯蔵箱40内の相対湿度が低くなりすぎる前に、重量増大部52の重量が低くなる。従って、開口部43の開度が低くなる方向に開閉機構50が回転する。その結果、開口部43からの冷却空気の供給量が少なくなる。開口部43が開閉機構50により閉鎖されると開口部43からの冷却空気の供給が停止する。従って、貯蔵箱40内の相対湿度の低下が抑制される。このように、本実施形態では、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って開口部43の開度が高くなる一方、貯蔵箱40内の相対湿度の低下に伴って開口部43の開度が低くなるように開閉機構50が構成されている。そして、開閉機構50は、貯蔵箱40内で結露が起こりやすく、また、開口部43からの冷気によって結露が蒸発しやすい位置となるように配置されている。従って、貯蔵箱40内の相対湿度を、青果等の鮮度が失われず、かつ、結露が発生しない程度の好適な範囲に維持することができる。従って、青果等の鮮度をより好適に維持しつつ、水との接触に伴う青果等の痛みをより効果的に抑制することができる。また、貯蔵箱40内の相対湿度の変化に伴って開口部43の開度が変更されるように構成することにより、貯蔵される物の種類に応じた好適な湿度を保つ貯蔵箱40を実現することができる。
【0033】
尚、本実施形態では、開口部43が重量増大部52のみによって開閉される例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。開閉機構50は、例えば、開口部43が重量増大部52及び錘53、例えば、開閉機構50の実質的に全体により開閉されるように構成されていてもよい。
【0034】
図7及び
図8に、第1実施形態の第1変形例における貯蔵箱40を示す。
図7及び
図8に示すように、第1変形例では、開閉機構50は、開閉機構50の実質的に全体により開口部43が開閉されるように構成されている。具体的には、開閉機構50の回転軸51は、奥行き方向において、開口部43の中間位置に位置している。開閉機構50のうち、重量増大部52及び錘53の両方が開口部43が設けられた領域内に位置している。第1変形例においては、重量増大部52に結露水が付着して重量増大部52の重量が増大して、重量増大部52が下方に変位すると、錘53が上方に変位する。その結果、開口部43が開状態となる。このため、例えば、開口部43のうち、重量増大部52により閉じられていた部分が冷気の供給口となり、錘53により閉じられていた部分が冷気の戻り口となる。従って、貯蔵箱40内の空間に、冷気を効率的に供給できると共に、貯蔵箱40内に滞留している高湿の空気を戻り口から速やかに排出することができる。よって、貯蔵箱40内において結露が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0035】
また、第1変形例においては、錘53を含む開閉機構50が蓋42内に収まっている。このため、開閉機構50と箱本体41とが干渉せず、貯蔵箱40の容積を増大させることができる。
【0036】
貯蔵箱内の相対湿度を制御する方法として、電気的に制御された開閉機構を設けることも考えられる。しかしながら、その場合は、開閉機構まで電源線を引き回す必要がある。このため、冷蔵庫の構成が複雑となる。また、湿度センサを貯蔵箱内に設置する必要があり、その場合は、湿度センサへの配線のために貯蔵箱を筐体から取り外すことが困難となる。従って、貯蔵箱の洗浄等のメンテナンスが困難となる。
【0037】
それに対して冷蔵庫1では、機械的な開閉機構50が設けられているため、開閉機構50の制御に電気を必ずしも必要としない。従って、電源線の引き回しや固定等を行う必要がない。従って、冷蔵庫1の構成の複雑化を抑制でき、かつ、貯蔵箱40を容易に取り外すことができるため、貯蔵箱40の優れたメンテナンス性を実現することができる。
【0038】
冷蔵庫1では、開閉機構50が、結露した水の付着に伴って重量増大部52と錘53との重量バランスが変化することによって開閉する所謂天秤機構である。このため、てこの原理により少量の水の付着により大きな回転力が発生する。従って、開閉機構50は、少量の水の付着により駆動する。よって、重量増大部52の表面52aを小さくし得る。従って、重量増大部52を小面積化し得、その結果、開閉機構50を小型化し得る。
【0039】
なお、開閉機構50は、上記の天秤機構に限られない。開閉機構は、例えば、錘53の代わりにバネを有する機構であってもよい。この場合、開閉機構は、増大した重量増大部52の重量がバネの弾性力に抗して開口部43の開度が高まるように構成されていてもよい。
【0040】
なお、天秤機構を採用した開閉機構50の場合、開閉機構50自身の慣性力により、例えば、開閉機構50にかかる振動成分による開閉機構50の回転を抑制することができる。従って、例えば、冷蔵庫1のポンプ等に起因する高周波成分による開閉機構50の誤動作を抑制し得る。
【0041】
図9に示すように、重量増大部52の表面52aには、少なくともひとつの凹凸52a1が形成されている。具体的には、表面52aには、複数の凹凸52a1が設けられている。複数の凹凸52a1のそれぞれは、回転軸51と略平行に延びる線状の凸部により構成されている。複数の凹凸52a1のそれぞれは、回転軸51の延びる方向において、表面52aの一方側端から他方側端にわたって設けられている。
【0042】
このように、冷蔵庫1では、表面52aに凹凸52a1が設けられている。凹凸52a1は、表面52aに付着した水のストッパとして機能する。このため、表面52aに付着した水が表面52aに好適に保持される。表面52aに付着した水が表面52aから脱落することが抑制されている。従って、結露に伴い重量増大部52の重量が増大しやすい。
【0043】
なお、表面52aに付着した水の脱落を抑制する手段は、凹凸52a1に限定されない。例えば、表面52aを、ブラスト面等の粗面としてもよい。例えば、表面52aに連続気泡を有する多孔質体を設けてもよい。
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、第1実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0045】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る冷蔵庫の一部分を拡大した概略縦断面図である。
図10に示すように、第2実施形態に係る冷蔵庫は、第1実施形態に係る冷蔵庫1と、重量増大部52の構成においてのみ異なる。このため、第2実施形態では、重量増大部52の構成についてのみ説明し、他の説明を第1実施形態から援用するものとする。
【0046】
図10に示すように、重量増大部52は、内部空間40A内に位置する吸湿材52bを有する。吸湿材52bは、内部空間40A内の水蒸気を吸収する部材である。吸湿材52bの水蒸気吸収量は、貯蔵箱40内の相対湿度が高くなるほど多くなる。このため、吸湿材52bの重量は、貯蔵箱40内の相対湿度が高くなるほど大きくなる。従って、本実施形態のように、吸湿材52bを設けることによっても、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って重量が増大する重量増大部52を構成することができる。
【0047】
吸湿材52bは、例えば、水を物理吸着及び化学吸着の少なくとも一方の吸着を行う材料により形成することができる。吸湿材52bは、例えば、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブ等により構成することができる。
【0048】
吸湿材52bを用いた場合、貯蔵箱40内の空間が結露しないような条件であっても、重量増大部52の重量を増大させることができる。このため、貯蔵箱40内の空間が結露しないような条件でも開閉機構50が作動する。従って、例えば、貯蔵箱40内の結露条件に関わらない相対湿度の条件で開閉機構50が作動させたい場合に好適である。
【0049】
また、重量増大部52は、結露した水が付着する表面52aを有し、かつ、吸湿材52bを有していてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係る冷蔵庫の一部分を拡大した概略斜視図である。
図12及び
図13は、それぞれ、第3実施形態の重量増大部52を説明するための模式的平面図である。なお、
図12は、重量増大部52が開口部43を開けた状態を示している。
図13は、重量増大部52が開口部43を閉じた状態を示している。
【0051】
図11及び
図12に示すように、本実施形態では、開口部43が、第1開口部43aと、第2開口部43bとを含む。すなわち、蓋42には、第1開口部43aと、第2開口部43bとが形成されている。第1開口部43aと第2開口部43bとは、略水平位置に形成されている。第1開口部43aと第2開口部43bとは、幅方向において相互に間隔を置いて形成されている。第1開口部43aは、冷却機構30からの冷却空気が供給される流路33の先端部近傍に設けられている。
【0052】
開閉機構50は、軸55と、重量増大部52と、錘53とを有する。軸55は、第1開口部43aと第2開口部43bとの間に位置する中心軸A1を中心として回転可能に箱本体41に取り付けられている。軸55は、略直線状である。軸55の一方側端部に重量増大部52が接続されている一方、他方側端部に錘53が接続されている。錘53は、重量増大部52の重量が増大していない状態において、重量増大部52と錘53とが実質的に釣り合うような重さに設定されている。開閉機構50は、軸55が水平状態である場合に、重量増大部52が第1開口部43aを閉じ、錘53が第2開口部43bを閉じるように構成されている。この状態において、錘53は、錘53の下側に設けられた第1ストッパ56aと当接している。これにより、錘53が位置決めされている。第1ストッパ56aにより開閉機構50がそれ以上時計回りに回転することが規制されている。
【0053】
第3実施形態においても第1実施形態と同様に、重量増大部52は、熱伝導率が高い材質で形成されている。重量増大部52は下方に結露水を貯留する貯留部を備えていても良い。また、重量増大部52は、第2実施形態と同様に吸湿材を有していてもよい。第1実施形態と同様に、錘53は、重量増大部52よりも熱伝導率が低い材質により形成されていることが好ましい。
【0054】
貯蔵箱40内の相対湿度が上昇し重量増大部52の重量が増大すると、重量増大部52が下方に移動し、錘53が上方に移動する。その結果、
図13に示すように、第1開口部43a及び第2開口部43bが開状態となる。この状態において、錘53は、錘53の上側に設けられた第2ストッパ56bと当接している。これにより、錘53が位置決めされている。第2ストッパ56bにより、開閉機構50がそれ以上反時計回りに回転することが規制されている。
【0055】
その後、貯蔵箱40内の相対湿度が低下し、重量増大部52の重量が減少すると、重量増大部52が上方に移動し、錘53が下方に移動する。それにより、第1開口部43aが重量増大部52により閉鎖され、第2開口部43bが錘53により閉鎖される。
【0056】
本実施形態においても、開閉機構50により、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って開口部43の開度が高められる。従って、第1実施形態と同様に、青果等の鮮度を維持しつつ、青果等の痛みを抑制することができる。
【0057】
なお、開閉機構50にバネ等の付勢機構を設けてもよい。
【0058】
(第4実施形態)
上記実施形態では、貯蔵箱40内の相対湿度の変化に応じて重量変化する重量増大部52を設け、重量増大部52の位置エネルギーの変化をドライビングフォースとして駆動する開閉機構50を設ける例について説明した。但し、開閉機構50は、貯蔵箱40内の相対湿度の変化に応じて開口部43を開閉可能なものである限りにおいて特に限定されない。
【0059】
例えば、貯蔵箱40内の相対湿度の上昇に伴って膨張する膨張材の変形をドライビングフォースとして駆動する開閉機構50を設けてもよい。具体的には、例えば、膨張材に開口部43を開閉するための開閉板を接続し、膨張材の膨張及び収縮に伴って開閉板が変位するようにしてもよい。この場合であっても、貯蔵箱40内の相対湿度の変化に応じて開口部43の開閉が行われるため、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0060】
(変形例)
上記実施形態では、野菜室11cに貯蔵箱40が配される例について説明した。但し、本発明において、貯蔵箱が配置される貯蔵室は特に限定されない。例えば、貯蔵箱40は、冷蔵室内に配置されてもよい。その場合、貯蔵箱40は、例えば、青果等の貯蔵に好ましい温度条件及び湿度条件となるようにされていてもよいし、例えば、食品等の貯蔵物を所謂チルド状態で貯蔵する箱であってもよい。
【0061】
上記実施形態では、貯蔵箱40が扉24の開閉に伴って開閉される例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。貯蔵箱40は、例えば、貯蔵室を開閉する扉とは連動していない扉を有していてもよい。
【0062】
上記実施形態では、貯蔵箱40が冷蔵庫1の貯蔵室11内に配置される例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。貯蔵箱40は、例えば、冷蔵庫外に配置可能な箱であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 冷蔵庫
10 筐体
11 貯蔵室
40 貯蔵箱
41 箱本体
42 蓋
43 開口部
43a 第1開口部
43b 第2開口部
50 開閉機構
52 重量増大部
52b 吸湿材
53 錘
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成された筐体と、
前記貯蔵室内に配置された貯蔵箱と、
前記貯蔵室に対して冷却された空気を供給する冷却機構と、
を備え、
前記貯蔵箱は、
前記冷却機構からの冷却空気が供給される第1開口部と、前記貯蔵箱の外部へ冷気を戻す第2開口部と、
前記貯蔵箱内の湿度の変化に応じて前記第1開口部及び前記第2開口部の少なくとも一方の開口部を開閉する開閉機構と、
を有し、
前記開閉機構は、前記貯蔵箱内の湿度によって物理量が変化する検知部と、前記検知部の物理量の変化によって変位されて前記開口部を開閉する開閉部と、を含み、
前記検知部は、前記開閉部が前記開口部を開けたときに前記第1開口部から前記貯蔵箱内へ供給される冷却空気の流通路に配置される、冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵箱は、箱本体と蓋とを有し、
前記第1開口部、前記第2開口部および前記開閉機構は前記蓋に設けられ、
前記検知部は前記蓋の天面に対向して配置される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記開閉部の上面に前記検知部が配置される、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記検知部は、前記貯蔵箱内の湿度によって重量が変化する、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記検知部は、前記貯蔵箱内の湿度によって体積が変化する、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様に係る冷蔵庫は、貯蔵室が形成された筐体と、前記貯蔵室内に配置された貯蔵箱と、前記貯蔵室に対して冷却された空気を供給する冷却機構と、を備え、前記貯蔵箱は、前記冷却機構からの冷却空気が供給される第1開口部と、前記貯蔵箱の外部へ冷気を戻す第2開口部と、前記貯蔵箱内の湿度の変化に応じて前記第1開口部及び前記第2開口部の少なくとも一方の開口部を開閉する開閉機構と、を有し、前記開閉機構は、前記貯蔵箱内の湿度によって物理量が変化する検知部と、前記検知部の物理量の変化によって変位されて前記開口部を開閉する開閉部と、を含み、前記検知部は、前記開閉部が前記開口部を開けたときに前記第1開口部から前記貯蔵箱内へ供給される冷却空気の流通路に配置される。