(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171553
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】滅菌フィルタおよび排出迂回部を伴う腹膜透析患者ライン
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61M1/28 100
A61M1/28 110
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175777
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2021514579の分割
【原出願日】2019-09-18
(31)【優先権主張番号】62/732,782
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード シュパラ
(72)【発明者】
【氏名】カール カッツィーニ
(57)【要約】
【課題】好適な滅菌フィルタおよび排出迂回部を伴う腹膜透析患者ラインを提供すること。
【解決手段】医療流体治療システムは、精製水源と、源からの水と混合し、治療流体を形成するための少なくとも1つの濃縮物と、ポンプ部分、濃縮物源およびポンプ部分と流体連通する濃縮物ライン、およびポンプ部分と流体連通する患者ラインを含む、使い捨てセットであって、患者ラインは、治療流体を濾過するように構成される膜を有する、フィルタを含み、フィルタは、(i)ポンプ部分から患者に向かって流動する新鮮治療流体が、膜を通して流動し、(ii)フィルタを通して患者からポンプ部分まで流動する使用済み治療流体が、膜を迂回するように構成される、使い捨てセットと、使い捨てセットのポンプ部分と動作可能なポンプアクチュエータを含む、医療流体送達機械とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析システムであって、
腹膜透析液を圧送するように構成される循環装置と、
前記循環装置によって圧送された腹膜透析液を受容するように構成される使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、前記腹膜透析液を濾過するように構成される膜を有するフィルタを含み、前記フィルタは、(i)前記循環装置から患者に向かって流動する新鮮腹膜透析液が、前記膜を通る新鮮腹膜透析液流から下流に位置する退出端を有する経路を介して前記膜を通して流動し、(ii)前記フィルタを通して前記患者から前記循環装置まで流動する使用済み腹膜透析液が、前記膜を迂回するように構成される、使い捨てセットと
を備える、腹膜透析システム。
【請求項2】
前記使い捨てセットは、ラインを含み、前記ラインは、前記フィルタから、患者移送セットに接続するように構成されるコネクタまで延在する、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項3】
前記使い捨てセットはさらに、使い捨て排出ラインを含む、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項4】
前記フィルタは、前記循環装置から延在する患者ラインに接続される、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項5】
前記経路は、新鮮腹膜透析液経路であり、前記フィルタはさらに、前記新鮮腹膜透析液経路と平行に設置される使用済み腹膜透析液経路を含み、前記膜は、前記新鮮腹膜透析液経路に沿って位置し、前記使用済み腹膜透析液経路は、前記フィルタを通して流動する使用済み腹膜透析液が前記膜を迂回することを可能にするように構成される、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項6】
一方向弁が、前記新鮮腹膜透析液経路の前記退出端にまたは前記新鮮腹膜透析液経路の前記退出端の近くに位置し、前記一方向弁は、前記患者から戻る使用済み腹膜透析液が前記膜に到達することを防止するように位置付けられ、配列される、請求項5に記載の腹膜透析システム。
【請求項7】
一方向弁が、前記使用済み腹膜透析液経路の退出端に位置し、前記一方向弁は、新鮮腹膜透析液が前記使用済み腹膜透析液経路を介して前記フィルタを通して流動することを防止するように位置付けられ、配列される、請求項5に記載の腹膜透析システム。
【請求項8】
前記膜は、前記新鮮流体経路に沿って位置する膜筐体内に収納され、前記フィルタは、新鮮腹膜透析液が、前記膜筐体の外側から前記膜を通して前記膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される、請求項5に記載の腹膜透析システム。
【請求項9】
前記フィルタは、第1のポートおよび第2のポートを有する筐体を含み、前記第1のポートは、前記フィルタ筐体の第1の端部に開放し、前記第2のポートは、前記フィルタ筐体の第2の端部に開放し、前記フィルタ筐体の第1の端部は、前記新鮮および使用済み腹膜透析液経路の第1の端部を形成し、前記フィルタ筐体の第2の端部は、前記新鮮および使用済み腹膜透析液経路の第2の端部を形成する、請求項5に記載の腹膜透析システム。
【請求項10】
前記フィルタ筐体の第1の端部における前記新鮮流体治療経路の第1の端部は、第1の一方向弁を含み、前記フィルタ筐体の第2の端部における前記使用済み流体治療経路の第2の端部は、第2の一方向弁を含む、請求項9に記載の腹膜透析システム。
【請求項11】
前記膜は、膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮腹膜透析液は、前記膜筐体の外側まで流動し、前記フィルタから退出する新鮮な濾過された腹膜透析液は、前記膜筐体の内側から流動する、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項12】
前記膜は、第1の膜であり、前記フィルタは、第2の膜を含み、前記第1および第2の膜は、膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮腹膜透析液は、前記第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および前記第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項13】
前記膜筐体は、前記第1の膜と第2の膜との間に位置する通路のグリッドを含む、請求項12に記載の腹膜透析システム。
【請求項14】
前記第1および第2の膜は、それぞれ、前記膜筐体の対向側に位置し、前記第1の分岐は、前記筐体の第1の側面まで延在し、前記第2の分岐は、前記筐体の第2の側面まで延在する、請求項12に記載の腹膜透析システム。
【請求項15】
前記フィルタから空気を除去するための少なくとも1つの疎水性通気孔を含む、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項16】
腹膜透析システムであって、
腹膜透析液を圧送するように構成される循環装置と、
前記循環装置によって圧送された腹膜透析液を受容するように構成される使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、腹膜透析液が第1および第2の方向に流動することを意図しているフィルタを含み、前記フィルタは、前記第1の方向に流動する腹膜透析液を濾過するように、かつ前記第2の方向に流動する腹膜透析液を濾過しないように構成され、前記フィルタは、
フィルタ筐体と、
前記第1の方向に腹膜透析液を流動させるために前記フィルタ筐体によって提供される第1の流体経路と、
前記第2の方向に腹膜透析液を流動させるために前記フィルタ筐体によって提供される第2の流体経路と、
前記第1の方向に流動する腹膜透析液を濾過するように位置付けられる膜であって、前記第1の流体経路の退出端は、前記膜を通る腹膜透析液流から下流に位置する、膜と
を含む、使い捨てセットと
を備える、腹膜透析システム。
【請求項17】
前記膜は、前記フィルタ筐体内かつ前記新鮮流体経路に沿って位置する膜筐体内に収納され、前記フィルタは、新鮮腹膜透析液が、前記膜筐体の外側から前記膜を通して前記膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される、請求項16に記載の腹膜透析システム。
【請求項18】
前記フィルタ筐体は、第1のポートおよび第2のポートを含み、前記第1のポートは、前記フィルタ筐体の第1の端部に開放し、前記第2のポートは、前記フィルタ筐体の第2の端部に開放し、前記フィルタ筐体の第1の端部は、前記新鮮および使用済み腹膜透析液経路の第1の端部を形成し、前記フィルタ筐体の第2の端部は、前記新鮮および使用済み腹膜透析液経路の第2の端部を形成する、請求項16に記載の腹膜透析システム。
【請求項19】
前記膜は、前記フィルタ筐体内に位置する膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮腹膜透析液は、前記膜筐体の外側まで流動し、前記フィルタから退出する新鮮な濾過された腹膜透析液は、前記膜筐体の内側から流動する、請求項16に記載の腹膜透析システム。
【請求項20】
前記膜は、第1の膜であり、前記フィルタは、第2の膜を含み、前記第1および第2の膜は、前記フィルタ筐体内に位置する膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮腹膜透析液は、前記第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および前記第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される、請求項16に記載の腹膜透析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年9月18日に出願され、「PERITONEAL DIALYSIS PATIENT LINE WITH STERILIZING FILTER AND DRAIN BYPASS」と題された、米国仮特許出願第62/732,782号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、医療流体デバイスに関する。より具体的には、本開示は、治療のためにオンラインで流体を混合する、または治療のためにオンラインで混合される流体を受容する、医療流体デバイスに関する。
【0003】
種々の原因に起因して、個人の腎臓系は、機能しなくなり得る。腎不全は、いくつかの生理学的障害を生成する。水分およびミネラルの平衡を保つこと、または毎日の代謝負荷を排泄することが、もはや可能ではなくなる。尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他等の代謝の毒性最終生成物が、患者の血液および組織内に蓄積し得る。
【0004】
低減した腎臓機能、とりわけ、腎不全は、透析を用いて治療される。透析は、そうでなければ正常に機能する腎臓が除去するであろう、老廃物、毒素、および過剰な水分を身体から除去する。腎臓機能の置換のための透析治療は、治療が生命を救うことができるため、多くの人々にとって重要である。
【0005】
1つのタイプの腎不全療法は、一般に、拡散を使用し、患者の血液から老廃物を除去する、血液透析(「HD」)である。拡散勾配が、血液と、透析物質または透析液と呼ばれる電解質溶液との間の半透過性透析器を横断して生じ、拡散を引き起こす。
【0006】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依拠する、代替的な腎代替療法である。HFは、治療の間に代用または置換流体を体外回路に追加することによって遂行される。代用流体および治療の間に患者によって蓄積される流体は、HF治療の経過にわたって限外濾過され、中型および大型分子を除去することに特に有益である、対流輸送機構を提供する。
【0007】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流および拡散クリアランスを組み合わせる治療法である。HDFは、標準血液透析に類似する、透析器を通して流動する透析液を使用し、拡散クリアランスを提供する。加えて、代用溶液が、体外回路に直接提供され、対流クリアランスを提供する。
【0008】
殆どのHD(HF、HDF)治療は、センター内で生じる。1つには、HHDが、毎日実施され、典型的には、2週間または3週間に1回生じる、通院血液透析治療と比べて療法的利益を提供し得るため、在宅血液透析(「HHD」)に向かう傾向が、現在、存在している。研究は、より頻繁な治療が、低頻度であるが、おそらくより長い治療を受容する患者よりも多くの毒素および老廃物を除去することを示している。より頻繁な治療を受容する患者は、治療に先立って2日または3日に値する毒素を蓄積した、通院患者ほど多くのダウンサイクルを被らない。ある地域では、最も近い透析センターは、患者の自宅から何マイルもあり、戸別訪問治療時間に1日の大部分を消費させ得る。HHDは、一晩にわたって、または患者が寛いでいる、勤務している、または別様に生産的である間の日中に行われることができる。
【0009】
別のタイプの腎不全療法は、カテーテルを介して患者の腹膜腔の中に透析液とも呼ばれる透析溶液を注入する、腹膜透析(「PD」)である。透析液は、腹膜腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素、および過剰な水分が、拡散および浸透作用に起因して、患者の血流から腹膜を通して透析液の中に通過する、すなわち、浸透勾配が、膜を横断して生じる。PD透析液内の浸透作用物質が、浸透勾配を提供する。使用済みまたは使い尽くされた透析液が、患者から排出され、患者から老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する。本サイクルは、例えば、複数回繰り返される。
【0010】
持続的携帯型腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析および連続流腹膜透析(「CFPD」)を含む、種々のタイプの腹膜透析療法が存在する。CAPDは、手動透析治療である。ここでは、患者は、埋め込まれたカテーテルを排出管に手動で接続し、使用済みまたは使い尽くされた透析液が腹膜腔から排出することを可能にする。患者は、次いで、患者カテーテルが新鮮透析液のバッグと連通し、カテーテルを通して患者の中に新鮮透析液を注入するように、流体連通を切り替える。患者は、新鮮透析液バッグからカテーテルを接続解除し、透析液が腹膜腔内に滞留することを可能にし、老廃物、毒素、および過剰な水分の移送が、生じる。滞留周期後、患者は、例えば、1日に4回、手動透析手技を繰り返す。手動腹膜透析は、有意な時間量および患者からの努力を要求し、改良のための十分な余地を残す。
【0011】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析治療が、排出、充填、および滞留サイクルを含むという点で、CAPDに類似する。しかしながら、APD機械は、典型的には、患者が眠っている間に、自動的にサイクルを実施する。APD機械は、治療サイクルを手動で実施する必要があることから、および日中に供給品を運搬する必要があることから患者を解放する。APD機械は、埋め込まれたカテーテルに、新鮮透析液源またはバッグに、および流体排出管に流体的に接続する。APD機械は、透析液源からカテーテルを通して患者の腹膜腔の中に新鮮透析液を圧送する。APD機械はまた、透析液が空洞内に滞留すること、および老廃物、毒素、および過剰な水分の移送が生じることも可能にする。源は、複数の無菌透析液溶液バッグを含んでもよい。
【0012】
APD機械は、腹膜腔からカテーテルを通して排出管まで、使用済みまたは使い尽くされた透析物質を圧送する。手動プロセスと同様に、いくつかの排出、充填、および滞留サイクルが、透析の間に生じる。「最後の充填」が、APD治療の終わりに生じ得る。流体は、次の治療の開始まで患者の腹膜腔内に残留し得る、または日中のある時点において手動で空にされ得る。
【0013】
自動機械を使用する上記の治療法のうちのいずれかでは、治療流体が、例えば、治療の前および/または間に、オンラインで、または使用時点において調製されてもよい。流体が治療のために使用される、または患者に送達される前に、適切に精製されることが重要である。故に、調製されている流体が十分な品質であることを確実にする、改良されたオンラインまたは使用時点システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に説明される実施例は、例えば、腹膜透析(「PD」)、血漿交換、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、連続腎代替療法(「CRRT」)、アフェレーシス、自己血輸血、敗血症に関する血液濾過、および体外式膜型人工肺(「ECMO」)治療のための流体送達に適用可能な自動システムおよび方法を開示する。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、治療流体が、例えば、治療の直前および/または間に、オンラインで、または使用時点において作製され得る、任意の医療流体送達システムに適用可能である。これらの治療法は、本明細書では集合的に、または概して個別に、医療流体送達システムと称され得る。
【0015】
さらに、本明細書に説明されるシステムおよび方法はそれぞれ、臨床または在宅治療と併用されてもよい。例えば、本システムおよび方法は、1日の全体を通して起動する、施設内PD、HD、HF、またはHDF機械で採用されてもよい。代替として、本システムおよび方法は、概して、患者の都合の良いときに動作される、家庭用PD、HD、HF、またはHDF機械と併用されてもよい。
【0016】
一実施形態では、使用時点透析液生成を有する、腹膜透析システムおよび方法が、提供される。本システムは、循環装置と、浄水器とを含む。循環装置は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを有する、制御ユニットを含む。循環装置はさらに、情報を浄水器に送信し、そこから情報を受信するための有線または無線送受信機を含んでもよい。浄水器はまた、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを有する、制御ユニットと、情報を循環装置の制御ユニットに送信し、そこから情報を受信するための有線または無線送受信機とを含んでもよい。
【0017】
循環装置は、使用時点において新鮮透析溶液を調製し、新たに調製された透析液を患者に圧送し、透析液が患者内に滞留することを可能にし、次いで、使用済み透析液を排出管に圧送するように、その制御ユニットを介してプログラムされる機器を含む。循環装置は、一実施形態では、混合されるにつれて透析液を加熱するための制御ユニットの制御下にある加熱器を含む。加熱器は、例えば、循環装置の筐体の上部に、例えば、加熱蓋の下に位置してもよい。
【0018】
循環装置(および一実施形態では、浄水器)は、使い捨てセットとともに動作する。使い捨てセットは、可撓性膜によって片側または両側で被覆された平面剛性プラスチック部品から構築され、流体ポンプおよび弁チャンバを形成し得る、使い捨てポンプカセットを含んでもよい。流体ポンプチャンバは、循環装置の空気圧ポンプチャンバとともに動作してもよい一方で、流体弁チャンバは、循環装置の空気圧弁チャンバとともに動作する。
【0019】
使い捨てセットは、(i)カセットから患者ラインコネクタまで延在する、患者ライン、(ii)カセットから排出ラインコネクタ(ひいては、浄水器に除去可能に接続し得る)まで延在する、排出ライン、(iii)ポンプカセットから本開示の加熱器/混合バッグまで延在する、加熱器/混合ライン、(iv)浄水器から蓄水器の水入口まで延在する、上流水ライン区画、および蓄水器の水出口からカセットまで延在する、下流水ライン区画、(v)カセットから透析液の事前混合された最後の充填バッグまで、またはサンプルバッグまたは他のサンプル収集コンテナまで延在する、最後のバッグまたはサンプルライン、(vi)カセットから、第1の、例えば、グルコースの濃縮物コンテナまで延在する、第1の、例えば、グルコースの濃縮物ライン、および/または(vii)カセットから、第2の、例えば、緩衝剤の濃縮物コンテナまで延在する、第2の、例えば、緩衝剤の濃縮物ラインを含んでもよい。
【0020】
本開示の患者ラインが、一実施形態では、患者の腹膜腔の中に延在する単一の管腔カテーテルに接続する。治療の間に、新鮮腹膜透析液が、カテーテルを通して患者の腹膜腔の中に注入され、ある時間周期、例えば、約4時間にわたって滞留することを可能にされる。その時間周期の間に、毒素が、患者の腹膜腔を覆う患者の腹膜壁を通して、透析液の中に浸透圧的に移動し、患者の血液から毒素を除去する。使用済み透析液(流出物とも呼ばれる)が、次いで、患者ラインを通して戻るように排出され、廃棄される。透析溶液が、注入に応じて汚染物質を含有する場合、患者は、合併症を被り得る。1つの汚染物質源は、例えば、患者または介護者が接続に触れる、および/または接続解除に応じてコネクタを適切に消毒しないときに、使い捨てセットと管類接続を行うことに応じて生じる。
【0021】
上記に説明される汚染物質に対抗するために、患者の中に注入されることに先立って透析溶液を濾過するフィルタを、単一の管腔通路に沿って患者ライン内に設置することが検討される。フィルタは、同一の患者ラインを通して患者から排出される使用済み透析液または流出物に、フィルタのフィルタ膜を迂回させ、(i)フィルタの詰まり、および(ii)次いで、同一の患者ラインを通して次の注入サイクルにおいて新鮮透析液とともに患者の中に戻るように再注入され得る、流出物から毒素または他の物質をフィルタが除外することを防止する、筐体内に提供される。
【0022】
一実施形態では、フィルタ筐体は、平行流体経路が筐体内に生成されるように、構成される。フィルタの1つ以上の膜を通した新鮮透析液経路が、濾過された新鮮透析液を患者に送達するように提供される。使用済み透析液は、他方では、フィルタの1つ以上の膜を迂回する、異なる平行経路を介して、フィルタ筐体を通して流動する。一実施形態では、平行経路は、一対の一方向または逆止弁(ダックビル逆止弁等)を使用して補助される。第1の一方向弁が、筐体の新鮮透析液経路の新鮮透析液退出端に設置される。第1の逆止弁は、流入する使用済み透析液を遮断するように、かつ新鮮透析液経路を通して流動する新鮮透析液が、フィルタ筐体から退出し、患者まで流動することを可能にするように、配向される。第2の一方向弁が、筐体の使用済み透析液経路の使用済み透析液退出端に設置される。第2の一方向弁は、流入する新鮮透析液を遮断するように、かつ使用済み透析液経路を通して流動する使用済み透析液が、フィルタ筐体から退出し、それが排出するように圧送される、使い捨てセットのポンプカセットまで流動することを可能にするように、配向される。
【0023】
新鮮透析液経路を通して流動する新鮮透析液は、一実施形態では、ライン膜筐体を通して流動する。膜筐体は、上側および下側外部膜表面から、グリッドに隣接して位置する長方形の間隙通路の中に垂直に延在する、通路の長方形グリッドを有する、スペーサを含んでもよく、間隙は、フィルタ筐体の退出経路につながる。一実施形態では、フィルタ膜は、精製された流体が通過することを可能にするが、汚染物質を捕獲する、微細孔を有する、親水性材料である。親水性フィルタ膜が、湿潤されるとき、膜は、空気の通過を防止する。
【0024】
一実施形態では、2つの長方形フィルタ膜が、それぞれ、膜筐体の上および下面を形成するようにシールされる。新鮮流体が、フィルタに進入し、次いで、2つの新鮮透析液流または分岐、すなわち、上側膜の上部にわたって流動する1つの流れまたは分岐、および下側フィルタ膜の底部の下方に流動する別の流れまたは分岐に分かれる。上側流は、上側膜を通してスペーサグリッドの中に下向きに流動し、次いで、一方向弁を通して患者まで、フィルタ筐体の退出経路から流出する。下側流は、下側膜を通して膜筐体のスペーサグリッドの中に上向きに流動し、次いで、新鮮透析液一方向弁を通して患者まで、フィルタの退出経路から流出する。同一の新鮮流体逆止弁が、患者から退出する使用済み透析液がフィルタ膜を通して逆向きに戻って流動することを防止するように、配向される。使用済み透析液経路は、代わりに、膜筐体を完全に迂回する。
【0025】
患者滞留段階の終わりに、透析機械または循環装置は、患者ラインに沿って陰圧を供給し、患者から使用済み透析液を引動する。再度、新鮮透析液経路の端部における逆止弁は、流出物が膜筐体の内部領域の中に流動し、膜を通して流出することを防止する。代わりに、一方向弁は、フィルタ膜を迂回し、代わりに、膜筐体の側面に沿って延在する、フィルタ筐体内に形成される使用済み透析液経路に沿って流動するように、流出物を方向転換する。流出物流は、上記に述べられるように、ポンプカセットに指向される。
【0026】
ちょうど説明されたフィルタ構造は、治療のための透析溶液等の医療溶液を調製するステップと、フィルタ膜を通して患者まで患者ラインに沿って治療流体を送達するステップと、同一の患者ラインを通して使用済み溶液を戻すが、フィルタ膜を迂回するステップとを含む、濾過方法につながる。本方法では、フィルタ膜を迂回するステップは、依然として、フィルタの全体的筐体を通して使用済み溶液を流動させながら、そうするステップを含んでもよい。
【0027】
患者ライン内に滅菌フィルタを設置することは、いくつかの利点を有する。第1に、場所は、フィルタから患者まで至る管類の短い区分内に位置する汚染物質を除く、例えば、セット条件に起因する、使い捨てセット内に存在する任意の汚染物質が、医療流体から除去されるであろうように、患者に到達する医療流体の直前にある。第2に、フィルタは、フィルタが、オンライン医療流体を生成するために使用される1つ以上の濃縮物を介して提供される、任意の汚染物質を除去するであろうように、混合後に位置する。第3に、使い捨てセットのポンプまたは圧力提供部分からフィルタまで延在し、患者への送達に先立ったフィルタ膜の圧力試験を容易に利用可能にする、患者ラインの清潔で閉塞していない部分が存在する可能性が高い。
【0028】
本開示の要旨は、腹膜透析に関連して説明されるが、本開示は、注入または治療溶液に汚染物質が可能な限り欠けているものである、他のタイプの透析用途、代用流体用途、または静脈内(「IV」)注入ポンプ用途等の他の医療流体用途に適用可能であることを理解されたい。
【0029】
本明細書の開示を踏まえて、本開示をいかようにも限定することなく、別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第1の側面では、透析システムは、精製水源と、源からの水と混合し、治療流体を形成するための少なくとも1つの濃縮物と、ポンプ部分と、濃縮物源およびポンプ部分と流体連通する濃縮物ラインと、ポンプ部分と流体連通する患者ラインであって、患者ラインは、治療流体を濾過するように構成される膜を有する、フィルタを含み、フィルタは、(i)ポンプ部分から患者に向かって流動する新鮮治療流体が、膜を通して流動し、(ii)フィルタを通して患者からポンプ部分まで流動する使用済み治療流体が、膜を迂回するように構成される、患者ラインとを含む、使い捨てセットと、使い捨てセットのポンプ部分と動作可能なポンプアクチュエータを含む、医療流体送達機械とを含む、医療流体治療システムを含む。
【0030】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第2の側面では、治療流体は、腹膜透析治療流体である。
【0031】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第3の側面では、フィルタは、新鮮治療流体経路と、新鮮治療流体経路と平行に設置される使用済み治療流体経路とを含み、膜は、新鮮流体経路に沿って位置し、使用済み治療流体経路は、フィルタを通して流動する使用済み治療流体が膜を迂回することを可能にする。
【0032】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第3の側面と組み合わせられ得る、本開示の第4の側面では、一方向弁が、新鮮治療流体経路の退出端に位置し、一方向弁は、患者から戻る使用済み治療流体が膜に到達することを防止するように位置付けられ、配列される。
【0033】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第3の側面と組み合わせられ得る、本開示の第5の側面では、一方向弁が、使用済み治療流体経路の退出端に位置し、一方向弁は、使用済み治療流体経路を介してフィルタを通して流動する新鮮治療流体を防止するように位置付けられ、配列される。
【0034】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第3の側面と組み合わせられ得る、本開示の第6の側面では、膜は、新鮮流体経路に沿って位置する膜筐体内に収納され、フィルタは、新鮮治療流体が、膜筐体の外側から膜を通して膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される。
【0035】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第3の側面と組み合わせられ得る、本開示の第7の側面では、フィルタは、第1のポートと、第2のポートとを有する、筐体を含み、第1のポートは、フィルタ筐体の第1の端部に開放し、第2のポートは、フィルタ筐体の第2の端部に開放し、フィルタ筐体の第1の端部は、新鮮および使用済み治療流体経路の第1の端部を形成し、フィルタ筐体の第2の端部は、新鮮および使用済み治療流体経路の第2の端部を形成する。
【0036】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第7の側面と組み合わせられ得る、本開示の第8の側面では、フィルタ筐体の第1の端部における新鮮流体治療経路の第1の端部は、第1の一方向弁を含み、フィルタ筐体の第2の端部における使用済み流体治療経路の第2の端部は、第2の一方向弁を含む。
【0037】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第9の側面では、膜は、膜筐体内に収納され、フィルタに進入する新鮮治療流体は、膜筐体の外側まで流動し、フィルタから退出する新鮮治療流体は、膜筐体の内側から流動する。
【0038】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第10の側面では、膜は、第1の膜であり、フィルタは、第2の膜を含み、第1および第2の膜は、膜筐体内に収納され、フィルタに進入する新鮮治療流体は、第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される。
【0039】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第10の側面と組み合わせられ得る、本開示の第11の側面では、膜筐体は、第1の膜と第2の膜との間に位置する通路のグリッドを含む。
【0040】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第10の側面と組み合わせられ得る、本開示の第12の側面では、第1および第2の膜は、それぞれ、膜筐体の対向側に位置し、第1の分岐は、筐体の第1の側面まで延在し、第2の分岐は、筐体の第2の側面まで延在する。
【0041】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第13の側面では、(i)医療流体送達機械のポンプ部分とともに動作可能なポンプアクチュエータは、空気圧ポンプアクチュエータを含み、使い捨てセットのポンプ部分は、ポンプ膜を含む、または(ii)医療流体送達機械のポンプ部分とともに動作可能なポンプアクチュエータは、蠕動ポンプアクチュエータを含み、使い捨てセットのポンプ部分は、蠕動ポンプ管を含む。
【0042】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第14の側面では、医療流体治療システムは、フィルタから空気を除去するための少なくとも1つの疎水性通気孔を含む。
【0043】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第15の側面では、医療流体治療システムのための使い捨てセットは、ポンプ部分と、ポンプ部分と流体連通する濃縮物ラインと、ポンプ部分と流体連通する患者ラインであって、患者ラインは、治療流体を濾過するように構成される膜を有する、フィルタを含み、フィルタは、(i)ポンプ部分から患者に向かって流動する新鮮治療流体が、膜を通して流動し、(ii)フィルタを通して患者からポンプ部分まで流動する使用済み治療流体が、新鮮治療流体圧力下で開放し、使用済み治療流体圧力下で閉鎖するように位置付けられ、配列される一方向弁を介して、膜を迂回するように構成される、患者ラインとを含む。
【0044】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第15の側面と組み合わせられ得る、本開示の第16の側面では、一方向弁は、ダックビル逆止弁を含む。
【0045】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第15の側面と組み合わせられ得る、本開示の第17の側面では、一方向弁は、第1の一方向弁であり、第1の一方向弁が位置付けられるフィルタの第1の端部に対向する、フィルタの第2の端部に位置付けられる第2の一方向弁を含み、第2の一方向弁は、使用済み治療流体圧力下で開放し、新鮮治療流体圧力下で閉鎖するように位置付けられ、配列される。
【0046】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第18の側面では、流体が第1および第2の方向に流動することを意図している、フィルタであって、フィルタは、第1の方向に流動する流体を濾過するように、かつ第2の方向に流動する流体を濾過しないように構成され、筐体と、第1の方向に流体を流動させるために筐体によって提供される第1の流体経路と、第2の方向に流体を流動させるために筐体によって提供される第2の流体経路と、第1の方向に流動する流体を濾過するように位置付けられる膜と、第1の流体経路の退出端に位置する、一方向弁であって、第2の方向に流動する流体が膜に到達することを防止するように位置付けられ、配列される、一方向弁とを含む。
【0047】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第18の側面と組み合わせられ得る、本開示の第19の側面では、フィルタは、フィルタに接続される流体ラインと、ポンプアクチュエータとともに動作するためのポンプ部分であって、流体ラインと流体連通するポンプ部分とを含む、使い捨てセットの一部である。
【0048】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第19の側面と組み合わせられ得る、本開示の第20の側面では、ポンプ部分は、使い捨てセットの使い捨てカセットの一部であり、流体ラインは、使い捨てカセットからフィルタまで延在する。
【0049】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第19の側面と組み合わせられ得る、本開示の第21の側面では、フィルタは、異なる時間における流体ラインをフィルタの第1の流体経路および第2の流体経路と流体的に連通させるように構成される。
【0050】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第19の側面と組み合わせられ得る、本開示の第22の側面では、流体ラインは、第1の流体ラインであり、使い捨てセットは、フィルタに接続される第2の流体ラインであって、流体送達目的地まで延在するための第2の流体ラインを含む。
【0051】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第18の側面と組み合わせられ得る、本開示の第23の側面では、一方向弁は、第1の一方向弁であり、第2の流体経路の退出端に位置する第2の一方向弁を含み、第2の一方向弁は、第1の方向に流動する流体が第2の流体経路を通して流動することを防止するように位置付けられ、配列される。
【0052】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第23の側面と組み合わせられ得る、本開示の第24の側面では、筐体は、(i)第1の一方向弁から下流に位置し、第2の流体経路と流体連通する、第1のポートと、(ii)第2の一方向弁から下流に位置し、第1の流体経路と流体連通する、第2のポートとを含む。
【0053】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第18の側面と組み合わせられ得る、本開示の第25の側面では、膜は、フィルタ筐体内かつ第1の流体経路に沿って位置する膜筐体内に収納され、フィルタ筐体は、第1の方向に流動する流体が、膜筐体の外側から膜を通して膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される。
【0054】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第25の側面と組み合わせられ得る、本開示の第26の側面では、第1の方向に流動する流体は、膜筐体の内部領域から、フィルタを退出し、第2の方向に流動する流体は、第2の流体経路を介して膜筐体を迂回する。
【0055】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第25の側面と組み合わせられ得る、本開示の第27の側面では、膜は、第1の膜であり、第2の膜を含み、第1および第2の膜は、膜筐体内に収納され、第1の方向に流動する流体は、第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される。
【0056】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第27の側面と組み合わせられ得る、本開示の第28の側面では、膜筐体は、第1の膜と第2の膜との間に位置する通路のグリッドを含む。
【0057】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第27の側面と組み合わせられ得る、本開示の第29の側面では、第1および第2の膜は、それぞれ、膜筐体の対向側に位置し、第1の分岐は、膜筐体の第1の側面まで延在し、第2の分岐は、膜筐体の第2の側面まで延在する。
【0058】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第18の側面と組み合わせられ得る、本開示の第30の側面では、筐体は、空気除去のための疎水性通気孔を含む。
【0059】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第31の側面では、医療流体治療方法は、治療のための使用時点において医療流体の調製を可能にするステップと、フィルタ膜を通した患者までの患者ラインに沿った医療流体の送達を可能にするステップと、フィルタ膜が迂回される同一の患者ラインを通して、使用済み医療流体の帰還を可能にするステップとを含む。
【0060】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第31の側面と組み合わせられ得る、本開示の第32の側面では、フィルタ膜および迂回は、フィルタ膜を収納するフィルタ内で生じる。
【0061】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第31の側面と組み合わせられ得る、本開示の第33の側面では、治療のための使用時点において調製される医療流体は、腹膜透析液である。
【0062】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る、本開示の第34の側面では、流体濾過方法は、フィルタの第1のポートからフィルタの第2のポートまで流動する流体が濾過されることを可能にするステップと、フィルタの第2のポートからフィルタの第1のポートまで流動する流体が濾過を迂回することを可能にするステップとを含む。
【0063】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第34の側面と組み合わせられ得る、本開示の第35の側面では、フィルタの第2のポートからフィルタの第1のポートまで流動する流体が濾過を迂回することを可能にするステップは、フィルタの第2のポートから第1のポートまで流動する流体を濾過機構から離れるように方向転換するステップを含む。
【0064】
別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて第34の側面と組み合わせられ得る、本開示の第36の側面では、本方法はさらに、フィルタの第1のポートからフィルタの第2のポートまで流動する流体が、フィルタの第2のポートからフィルタの第1のポートまで流動する流体によって使用される流体経路を迂回することを可能にするステップを含む。
【0065】
本開示の第37の側面では、
図1-6に関連して開示される構造、機能性、および代替物のうちのいずれかが、
図1-6に関連して開示される他の構造、機能性、および代替物のうちのいずれかと組み合わせられてもよい。
【0066】
本開示および上記の側面を踏まえて、したがって、改良された医療流体送達システムを提供することが、本開示の利点である。
【0067】
オンラインで、または使用時点において治療流体を調製する、改良された医療流体送達システムを提供することが、本開示の別の利点である。
【0068】
患者ライン内に無菌の滅菌グレードフィルタを有する、改良された医療流体送達システムを提供することが、本開示のさらに別の利点である。
【0069】
オンラインで混合された治療流体を濾過する、無菌の滅菌グレードフィルタを有する、改良された医療流体送達システムを提供することが、本開示のその上さらなる利点である。
【0070】
空気をパージされ、液体でプライミングされるように容易にアクセス可能である、無菌の滅菌グレードフィルタを有する、改良された医療流体送達システムを提供することが、本開示のさらに別の利点である。
【0071】
本明細書に議論される利点は、本明細書に開示される実施形態のおそらく全てではなく、1つまたはいくつかで見出され得る。付加的特徴および利点が、本明細書に説明され、以下の詳細な説明および図面から明白であろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
医療流体治療システムであって、
精製水源と、
前記源からの水と混合し、治療流体を形成するための少なくとも1つの濃縮物と、
使い捨てセットであって、
ポンプ部分と、
濃縮物源および前記ポンプ部分と流体連通する濃縮物ラインと、
前記ポンプ部分と流体連通する患者ラインであって、前記患者ラインは、前記治療流体を濾過するように構成される膜を有するフィルタを含み、前記フィルタは、(i)前記ポンプ部分から患者に向かって流動する新鮮治療流体が、前記膜を通して流動し、(ii)前記フィルタを通して前記患者から前記ポンプ部分まで流動する使用済み治療流体が、前記膜を迂回するように構成される、患者ラインと
を含む、使い捨てセットと、
前記使い捨てセットのポンプ部分と動作可能なポンプアクチュエータを含む医療流体送達機械と
を備える、医療流体治療システム。
(項目2)
前記治療流体は、腹膜透析治療流体である、項目1に記載の医療流体治療システム。
(項目3)
前記フィルタは、新鮮治療流体経路と、前記新鮮治療流体経路と平行に設置される使用済み治療流体経路とを含み、前記膜は、前記新鮮流体経路に沿って位置し、前記使用済み治療流体経路は、前記フィルタを通して流動する前記使用済み治療流体が前記膜を迂回することを可能にする、項目1または2に記載の医療流体治療システム。
(項目4)
一方向弁が、前記新鮮治療流体経路の退出端に位置し、前記一方向弁は、前記患者から戻る使用済み治療流体が前記膜に到達することを防止するように位置付けられ、配列される、項目3に記載の医療流体治療システム。
(項目5)
一方向弁が、前記使用済み治療流体経路の退出端に位置し、前記一方向弁は、前記使用済み治療流体経路を介して前記フィルタを通して流動する新鮮治療流体を防止するように位置付けられ、配列される、項目3に記載の医療流体治療システム。
(項目6)
前記膜は、前記新鮮流体経路に沿って位置する膜筐体内に収納され、前記フィルタは、新鮮治療流体が、前記膜筐体の外側から前記膜を通して前記膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される、項目3-5のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目7)
前記フィルタは、第1のポートと、第2のポートとを有する筐体を含み、前記第1のポートは、フィルタ筐体の第1の端部に開放し、前記第2のポートは、前記フィルタ筐体の第2の端部に開放し、前記フィルタ筐体の第1の端部は、前記新鮮および使用済み治療流体経路の第1の端部を形成し、前記フィルタ筐体の第2の端部は、前記新鮮および使用済み治療流体経路の第2の端部を形成する、項目3-6のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目8)
前記フィルタ筐体の第1の端部における前記新鮮流体治療経路の第1の端部は、第1の一方向弁を含み、前記フィルタ筐体の第2の端部における前記使用済み流体治療経路の第2の端部は、第2の一方向弁を含む、項目7に記載の医療流体治療システム。
(項目9)
前記膜は、膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮治療流体は、前記膜筐体の外側まで流動し、前記フィルタから退出する新鮮治療流体は、前記膜筐体の内側から流動する、項目1-8のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目10)
前記膜は、第1の膜であり、前記フィルタは、第2の膜を含み、前記第1および第2の膜は、膜筐体内に収納され、前記フィルタに進入する新鮮治療流体は、前記第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および前記第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される、項目1-9のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目11)
前記膜筐体は、前記第1の膜と第2の膜との間に位置する通路のグリッドを含む、項目10に記載の医療流体治療システム。
(項目12)
前記第1および第2の膜は、それぞれ、前記膜筐体の対向側に位置し、前記第1の分岐は、前記筐体の第1の側面まで延在し、前記第2の分岐は、前記筐体の第2の側面まで延在する、項目10または11に記載の医療流体治療システム。
(項目13)
(i)前記医療流体送達機械のポンプ部分とともに動作可能な前記ポンプアクチュエータは、空気圧ポンプアクチュエータを含み、前記使い捨てセットのポンプ部分は、ポンプ膜を含む、または(ii)前記医療流体送達機械のポンプ部分とともに動作可能な前記ポンプアクチュエータは、蠕動ポンプアクチュエータを含み、前記使い捨てセットのポンプ部分は、蠕動ポンプ管を含む、項目1-12のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目14)
前記フィルタから空気を除去するための少なくとも1つの疎水性通気孔を含む、項目1-13のいずれかに記載の医療流体治療システム。
(項目15)
医療流体治療システムのための使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、
ポンプ部分と、
前記ポンプ部分と流体連通する濃縮物ラインと、
前記ポンプ部分と流体連通する患者ラインであって、前記患者ラインは、治療流体を濾過するように構成される膜を有するフィルタを含み、前記フィルタは、(i)前記ポンプ部分から患者に向かって流動する新鮮治療流体が、前記膜を通して流動し、(ii)前記フィルタを通して前記患者から前記ポンプ部分まで流動する使用済み治療流体が、新鮮治療流体圧力下で開放し、使用済み治療流体圧力下で閉鎖するように位置付けられ、配列される一方向弁を介して、前記膜を迂回するように構成される、患者ラインと
を備える、使い捨てセット。
(項目16)
前記一方向弁は、ダックビル逆止弁を含む、項目15に記載の使い捨てセット。
(項目17)
前記一方向弁は、第1の一方向弁であり、前記第1の一方向弁が位置付けられる前記フィルタの第1の端部に対向する前記フィルタの第2の端部に位置付けられる第2の一方向弁を含み、前記第2の一方向弁は、使用済み治療流体圧力下で開放し、新鮮治療流体圧力下で閉鎖するように位置付けられ、配列される、項目15または16に記載の使い捨てセット。
(項目18)
流体が第1および第2の方向に流動することを意図しているフィルタであって、前記フィルタは、前記第1の方向に流動する流体を濾過するように、かつ前記第2の方向に流動する流体を濾過しないように構成され、前記フィルタは、
筐体と、
前記第1の方向に流体を流動させるために前記筐体によって提供される第1の流体経路と、
前記第2の方向に流体を流動させるために前記筐体によって提供される第2の流体経路と、
前記第1の方向に流動する前記流体を濾過するように位置付けられる膜と、
前記第1の流体経路の退出端に位置する一方向弁であって、前記一方向弁は、前記第2の方向に流動する流体が前記膜に到達することを防止するように位置付けられ、配列される、一方向弁と
を備える、フィルタ。
(項目19)
前記フィルタは、使い捨てセットの一部であり、前記使い捨てセットは、前記フィルタに接続される流体ラインと、ポンプアクチュエータとともに動作するためのポンプ部分とを含み、前記ポンプ部分は、前記流体ラインと流体連通する、項目18に記載のフィルタ。
(項目20)
前記ポンプ部分は、前記使い捨てセットの使い捨てカセットの一部であり、前記流体ラインは、前記使い捨てカセットから前記フィルタまで延在する、項目19に記載のフィルタ。
(項目21)
前記フィルタは、異なる時間における前記流体ラインを前記フィルタの前記第1の流体経路および前記第2の流体経路と流体的に連通させるように構成される、項目19または20に記載のフィルタ。
(項目22)
前記流体ラインは、第1の流体ラインであり、前記使い捨てセットは、前記フィルタに接続される第2の流体ラインを含み、前記第2の流体ラインは、流体送達目的地まで延在する、項目19-21のいずれかに記載のフィルタ。
(項目23)
前記一方向弁は、第1の一方向弁であり、前記第2の流体経路の退出端に位置する第2の一方向弁を含み、前記第2の一方向弁は、前記第1の方向に流動する流体が前記第2の流体経路を通して流動することを防止するように位置付けられ、配列される、項目18-22のいずれかに記載のフィルタ。
(項目24)
前記筐体は、(i)前記第1の一方向弁から下流に位置し、前記第2の流体経路と流体連通する第1のポートと、(ii)前記第2の一方向弁から下流に位置し、前記第1の流体経路と流体連通する第2のポートとを含む、項目23に記載のフィルタ。
(項目25)
前記膜は、膜筐体内に収納され、前記膜筐体は、フィルタ筐体内かつ前記第1の流体経路に沿って位置し、前記フィルタ筐体は、前記第1の方向に流動する流体が、前記膜筐体の外側から前記膜を通して前記膜筐体の内部領域の中に流動するように構成される、項目18-24のいずれかに記載のフィルタ。
(項目26)
前記第1の方向に流動する流体は、前記膜筐体の内部領域から、前記フィルタを退出し、前記第2の方向に流動する流体は、前記第2の流体経路を介して前記膜筐体を迂回する、項目25に記載のフィルタ。
(項目27)
前記膜は、第1の膜であり、第2の膜を含み、前記第1および第2の膜は、前記膜筐体内に収納され、前記第1の方向に流動する流体は、前記第1の膜の外側まで流動する第1の分岐、および前記第2の膜の外側まで流動する第2の分岐に分割される、項目25または26に記載のフィルタ。
(項目28)
前記膜筐体は、前記第1の膜と第2の膜との間に位置する通路のグリッドを含む、項目27に記載のフィルタ。
(項目29)
前記第1および第2の膜は、それぞれ、前記膜筐体の対向側に位置し、前記第1の分岐は、前記膜筐体の第1の側面まで延在し、前記第2の分岐は、前記膜筐体の第2の側面まで延在する、項目27または28に記載のフィルタ。
(項目30)
前記筐体は、空気除去のための疎水性通気孔を含む、項目18-29のいずれかに記載のフィルタ。
(項目31)
医療流体治療方法であって、
治療のための使用時点において医療流体の調製を可能にすることと、
フィルタ膜を通した患者までの患者ラインに沿った前記医療流体の送達を可能にすることと、
前記フィルタ膜が迂回される同一の患者ラインを通して、使用済み医療流体の帰還を可能にすることと
を含む、医療流体治療方法。
(項目32)
前記フィルタ膜および前記迂回は、前記フィルタ膜を収納するフィルタ内で生じる、項目31に記載の医療流体治療方法。
(項目33)
治療のための前記使用時点において調製される前記医療流体は、腹膜透析液である、項目31または32に記載の医療流体治療方法。
(項目34)
流体濾過方法であって、
フィルタの第1のポートから前記フィルタの第2のポートまで流動する流体が濾過されることを可能にすることと、
前記フィルタの第2のポートから前記フィルタの第1のポートまで流動する流体が濾過を迂回することを可能にすることと、
を含む、方法。
(項目35)
前記フィルタの第2のポートから前記フィルタの第1のポートまで流動する流体が濾過を迂回することを可能にすることは、前記フィルタの第2のポートから前記第1のポートまで流動する流体を濾過機構から離れるように方向転換することを含む、項目34に記載の流体濾過方法。
(項目36)
前記フィルタの第1のポートから前記フィルタの第2のポートまで流動する流体が、前記フィルタの第2のポートから前記フィルタの第1のポートまで流動する流体によって使用される流体経路を迂回することを可能にすることをさらに含む、項目34または35に記載の流体濾過方法。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】
図1は、本開示の使用時点透析液生成を有する医療流体送達システムの一実施形態の正面立面図である。
【0073】
【
図2】
図2は、
図1に図示されるシステムと併用される使い捨てセットの一実施形態の立面図である。
【0074】
【
図3】
図3は、
図2の使い捨てセットと併用可能な患者ラインフィルタの一実施形態の立面断面図である。
【0075】
【
図4】
図4は、
図2の使い捨てセットと併用可能な患者ラインフィルタの一実施形態の斜視断面図である。
【0076】
【
図5】
図5は、フィルタ筐体がフィルタ膜の実施形態をより良好に示すように除去された、
図2の使い捨てセットと併用可能な患者ラインフィルタの一実施形態の斜視断面図である。
【0077】
【
図6】
図6は、フィルタ筐体およびフィルタ膜が、フィルタ膜の間に位置するスペーサグリッドの実施形態をより良好に示すように除去された、
図2の使い捨てセットと併用可能な患者ラインフィルタの一実施形態の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
(システム概観)
本明細書に説明される実施例は、透析液、代用流体、または静脈内薬物等の、治療に先立って、および/またはその間に使用時点において混合され得る医療流体を送達する、任意の医療流体療法システムに適用可能である。実施例は、特に、本明細書では集合的に、または概して個別に腎不全療法と称される、腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、および連続腎代替療法(「CRRT」)の全ての形態等の腎不全療法のために非常に適している。さらに、本明細書に説明される機械は、臨床または家庭設定で使用されてもよい。例えば、機械および関連付けられる方法は、1日の全体を通して事実上連続的に起動する、施設内PDまたはHD機械で採用されてもよい。代替として、機械および方法は、例えば、患者が眠っている間の夜間に起動され得る、家庭用PDまたはHD機械で使用されてもよい。本明細書に議論される機械および方法はまた、医療送達用途にも適用可能である。以下の実施例は、使用時点透析液生成を有する腹膜透析システムの設定で説明されるであろうが、代わりに、上記の治療法のうちのいずれかのための使用時点治療流体を作製するために使用されてもよい。
【0079】
ここで図面、特に、
図1を参照すると、本開示の使用時点透析液生成を有する、腹膜透析システムの一実施形態が、システム10によって図示される。システム10は、循環装置20と、浄水器210とを含む。循環装置20のための好適な循環装置は、それらの循環装置が、システム10に従って生成される使用時点透析液を実施および使用するように、更新されたプログラミングを具備するという理解の下で、例えば、Baxter International Inc.によって販売されているAmia(登録商標)またはHomeChoise(登録商標)循環装置を含む。この目的で、循環装置20は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを有する、制御ユニット22を含む。制御ユニット22はさらに、浄水器210に情報を送信し、そこから情報を受信するための有線または無線送受信機を含む。浄水器210はまた、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリとを有する、制御ユニット212も含む。制御ユニット212はさらに、循環装置20の制御ユニット22に情報を送信し、そこから情報を受信するための有線または無線送受信機を含む。有線通信は、例えば、イーサネット(登録商標)接続を介してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、無線ユニバーサルシリアルバス(「USB」)、または赤外線プロトコルのうちのいずれかを介して、または任意の他の好適な無線通信技術を介して実施されてもよい。
【0080】
循環装置20は、使用時点において新鮮透析溶液を調製し、新たに調製された透析液を患者Pに圧送し、透析液が患者P内に滞留することを可能にし、次いで、使用済み透析液を排出管に圧送するように、制御ユニット22を介してプログラムされる機器を保持する、筐体24を含む。図示される実施形態では、浄水器210は、屋内排出管または排出コンテナであり得る、排出管216につながる、排出ライン214を含む。使用時点において新鮮透析溶液を調製するように制御ユニット22を介してプログラムされる機器は、ある実施形態では、限定ではないが、(i)1つ以上の陽圧リザーバ、(ii)1つ以上の陰圧リザーバ、(iii)1つ以上の陽および陰圧リザーバにおいて貯蔵されるべき陽および陰圧を提供するための、それぞれ、制御ユニット22の制御下にある圧縮機および真空ポンプ、または制御ユニット22の制御下で陽および陰圧の両方を生成する単一のポンプ、(iv)陽および陰圧を複数の流体弁チャンバに送達するための複数の空気圧弁チャンバ、(v)陽および陰圧を複数の流体ポンプチャンバに送達するための複数の空気圧ポンプチャンバ、(vi)複数の空気圧弁チャンバと複数の流体弁チャンバとの間に位置する、制御ユニット22の制御下にある複数の電気作動型オン/オフ空気圧ソレノイド弁、(vii)複数の空気圧ポンプチャンバと複数の流体ポンプチャンバとの間に位置する、制御ユニット22の制御下にある複数の電気作動型可変オリフィス空気圧弁、(viii)一実施形態では、混合されるにつれて透析液を加熱するための制御ユニット22の制御下にある加熱器、および(ix)アラームおよび他の状況で患者および排出ラインを閉鎖するための制御ユニット22の制御下にある遮閉具26を含む、空気圧ポンプシステムのための機器を含む。
【0081】
一実施形態では、複数の空気圧弁チャンバおよび複数の空気圧ポンプチャンバは、循環装置20の筐体24の前面または表面上に位置する。加熱器は、筐体24の内側に位置し、ある実施形態では、加熱蓋(
図1では見られない)の下で筐体24の上部に位置する、加熱パンまたはトレイに接触する、加熱コイルを含む。
【0082】
図示される実施形態における循環装置20は、ユーザインターフェース30を含む。ある実施形態における制御ユニット22は、制御ユニット22の主要な制御処理およびメモリと相互作用するためのその独自の処理およびメモリを有し得る、ビデオコントローラを含む。ユーザインターフェース30は、ユーザインターフェース30を介してコマンドを制御ユニット22に入力するためにビデオモニタ32上に設置されるタッチスクリーンオーバーレイとともに動作し得る、ビデオモニタ32を含む。ユーザインターフェース30はまた、膜スイッチまたは他のボタン等の1つ以上の電気機械入力デバイスを含んでもよい。制御ユニット22はさらに、1つ以上のスピーカ34において音声アクティブ化コマンド等の音声ファイルを再生するためのオーディオコントローラを含んでもよい。
【0083】
図示される実施形態における浄水器210はまた、ユーザインターフェース220も含む。ある実施形態における浄水器210の制御ユニット212は、制御ユニット212の主要な制御処理およびメモリと相互作用するためのその独自の処理およびメモリを有し得る、ビデオコントローラを含む。ユーザインターフェース220は、コマンドを制御ユニット212に入力するためにビデオモニタ222上に設置されるタッチスクリーンオーバーレイとともに同様に動作し得る、ビデオモニタ222を含む。ユーザインターフェース220はまた、膜スイッチまたは他のボタン等の1つ以上の電気機械入力デバイスを含んでもよい。制御ユニット212はさらに、浄水器210の1つ以上のスピーカ224においてアラームまたはアラート音等の音声ファイルを再生するためのオーディオコントローラを含んでもよい。
【0084】
加えて、
図2を参照すると、使い捨てセット40の一実施形態が、図示される。使い捨てセット40はまた、使い捨てセット40内の流体を移動させ、例えば、本明細書に議論されるような透析液を混合するように、循環装置20に噛合されて、
図1に図示される。図示される実施形態における使い捨てセット40は、可撓性膜によって片側または両側で被覆された平面剛性プラスチック部品を含み得る、使い捨てカセット42を含む。循環装置20の筐体24に対して押圧される膜は、ポンプおよび弁膜を形成する。
図2は、使い捨てカセット42が、循環装置20の筐体24に位置する空気圧ポンプチャンバともに動作する流体ポンプチャンバ44と、循環装置20の筐体24に位置する空気圧弁チャンバともに動作する流体弁チャンバ46とを含むことを図示する。
【0085】
図1および2は、使い捨てセット40が、カセット42の患者ラインポートから延在し、患者ラインコネクタ52において終端する、患者ライン50を含むことを図示する。
図1は、患者ラインコネクタ52が、ひいては、患者Pの腹腔内に位置する留置カテーテルに接続する、患者移送セット54に接続することを図示する。患者ライン50はまた、下記に詳細に議論される、無菌の滅菌グレードフィルタ100も含む。使い捨てセット40は、カセット42の排出ラインポートから延在し、排出ラインコネクタ58において終端する、排出ライン56を含む。
図1は、排出ラインコネクタ58が浄水器210の排出コネクタ218に除去可能に接続することを図示する。
【0086】
図1および2はさらに、使い捨てセット40が、カセット42の加熱器/混合ラインポートから延在し、下記により詳細に議論される加熱器/混合バッグ62において終端する、加熱器/混合ライン60を含むことを図示する。使い捨てセット40は、蓄水器66の水入口66aまで延在する、上流水ライン区画64aを含む。下流水ライン区画64bは、蓄水器66の水出口66bからカセット42まで延在する。図示される実施形態では、上流水ライン区画64aは、水ラインコネクタ68から開始し、蓄水器66から上流に位置する。
図1は、水ラインコネクタ68が浄水器210の水出口コネクタ228に除去可能に接続されることを図示する。
【0087】
浄水器210は、水、可能性として、腹膜透析のために好適な水(「WFPD」)を出力する。患者ライン50内の無菌の滅菌グレードフィルタ100は、浄水器210から退出する水の中の任意の汚染物質が除去されることを確実にする。無菌の患者ライン滅菌グレードフィルタ100に加えて、システム10は、水ラインのうちの1つ以上のものの中に1つ以上の無菌の滅菌グレードフィルタを提供し得るが、そうする必要はない。図示される実施形態では、無菌の滅菌グレードフィルタ90aが、それぞれ、下流の無菌の滅菌グレードフィルタ90bから上流に設置される。フィルタ90aおよび90bが、蓄水器66の上流の水ライン区画64a内に設置されてもよい。無菌の滅菌グレードフィルタ100、90a、および90bは、除外ラインを有してない、通過フィルタであってもよい。フィルタ100、90a、および90bの濾過膜の細孔径は、例えば、0.1または0.2ミクロン等の1ミクロン未満であり得る。好適な無菌の滅菌グレードフィルタ100、90a、および90bは、本開示の出願人によって提供され得る。ある実施形態では、上流または下流滅菌フィルタ90aおよび90bのうちの1つだけが、WFPDを生成するために必要とされ、それにもかかわらず、2つの無菌の滅菌グレードフィルタ90aおよび90bが、一方が故障した場合の冗長性のために図示される実施形態において提供され得る。
【0088】
図2はさらに、カセット42の最後のバッグまたはサンプルポートから延在する、最後のバッグまたはサンプルライン72が提供され得ることを図示する。最後のバッグまたはサンプルライン72は、透析液の事前混合された最後の充填バッグの噛合コネクタに、またはサンプルバッグまたは他のサンプル収集コンテナに接続され得る、コネクタ74において終端する。最後のバッグまたはサンプルライン72およびコネクタ74は、代替として、所望される場合、第3のタイプの濃縮物のために使用されてもよい。
【0089】
図1および2は、使い捨てセット40が、カセット42の第1の濃縮物ポートから延在し、第1の、例えば、グルコースのカセット濃縮物コネクタ80aにおいて終端する、第1の、例えば、グルコースの濃縮物ライン76を含むことを図示する。第2の、例えば、緩衝剤の濃縮物ライン78が、カセット42の第2の濃縮物ポートから延在し、第2の、例えば、緩衝剤のカセット濃縮物コネクタ82aにおいて終端する。
【0090】
図1は、第1の濃縮物コンテナ84aが、コンテナ84aからコンテナライン86を通して、第1のカセット濃縮物コネクタ80aと噛合する第1のコンテナ濃縮物コネクタ80bに圧送される、第1の、例えば、グルコースの濃縮物を保持することを図示する。第2の濃縮物コンテナ84bが、コンテナ84bからコンテナライン88を通して、第2のカセット濃縮物コネクタ82aと噛合する第2のコンテナ濃縮物コネクタ82bに圧送される、第2の、例えば、緩衝剤の濃縮物を保持する。
【0091】
ある実施形態では、治療を開始するために、患者Pが、カセット42を循環装置の中に装填し、無作為または指定順序で、(i)循環装置20上に加熱器/混合バッグ62を設置し、(ii)上流水ライン区画64aを浄水器210の水出口コネクタ228に接続し、(iii)排出ライン56を浄水器210の排出コネクタ218に接続し、(iv)第1のカセット濃縮物コネクタ80aを第1のコンテナ濃縮物コネクタ80bに接続し、(v)第2のカセット濃縮物コネクタ82aを第2のコンテナ濃縮物コネクタ82bに接続する。本時点で、患者コネクタ52は、依然として、キャップを付けられている。いったん新鮮透析液が調製および検証されると、無菌の滅菌グレードフィルタ100を含む、患者ライン50が、新鮮透析液をプライミングされ、その後、患者Pが、治療のために患者ラインコネクタ52を移送セット54に接続してもよい。上記のステップはそれぞれ、ビデオモニタ32においてグラフィックで図示される、および/またはスピーカ34からの音声ガイダンスを介して提供されてもよい。
【0092】
使い捨てセット40に関して、カセット42の剛性部分は、例えば、非晶質構造の熱オレフィンポリマー(「TOPAS」)である、環状オレフィンコポリマー(「coc」)から作製されてもよい。カセット42の可撓性膜は、例えば、コポリエーテルエーテル(「PCCE」)から作製されてもよく、1つ以上の層であってもよい。管類またはラインのうちのいずれかは、例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)から作製されてもよい。コネクタのうちのいずれかは、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」、例えば、加熱器/混合バッグまたはコンテナ62のコネクタ70および/または下記に議論される濃縮物コネクタ80a、80b、82a、82bに関して)、アクリル(例えば、排出ラインコネクタ58に関して)、またはPVC(例えば、水ラインコネクタ68に関して)から作製されてもよい。下記に議論される加熱器/混合バッグまたはコンテナ62等のバッグまたはコンテナのうちのいずれかが、PVCから作製されてもよい。上記の構成要素のうちのいずれかに関する材料は、経時的に変更されてもよい。無菌の滅菌グレードフィルタ100のための筐体は、上記に列挙される材料のうちのいずれかから作製されてもよい。
【0093】
制御ユニット22は、循環装置20に1つ以上の混合作用を実施させ、治療のために適切かつ均質に透析液を混合することに役立つようにプログラムされてもよい。例えば、流体ポンプチャンバ44のうちのいずれかが、加熱器/混合バッグ62からのある量の混合流体(例えば、第1および第2の濃縮物84a、84bおよび精製水の一方または両方から作製される)をポンプチャンバの中に引き込ませ、そのような混合物を加熱器/混合バッグ62に返流させ、本手順を複数回繰り返させられてもよい(混合シーケンスまたは「ワッフリング」として本明細書に説明される)。特に、混合シーケンスを実施するために、ある実施形態における制御ユニット22は、循環装置20に、加熱器/混合ライン60および加熱器/混合バッグ62への流体弁チャンバ46を除く、カセット42における全ての流体弁チャンバ46を閉鎖させる。流体ポンプチャンバ44は、連続的に繰り返しストロークされ、(i)加熱器/混合バッグ62からポンプチャンバの中に精製水および濃縮物の可能性として混合されていない流体の組み合わせを引動し、それに続いて、(ii)ポンプチャンバから加熱器/混合バッグ62に戻るように、混合された精製水および濃縮物を押動し、(iii)(i)および(ii)を少なくとも1回繰り返す。制御ユニット22は、両方とも同時に引動および押動するようにともに、または一方のポンプチャンバ44が、加熱器/混合バッグ62から引動する一方で、他方のポンプチャンバ44が、加熱器/混合バッグ62まで押動し、加熱器/混合ライン60内で乱流を生成するように交互に、流体ポンプチャンバ44および関連付けられる弁46をストロークするようにプログラムされてもよい。
【0094】
カセット42および加熱器/混合ライン60とともに動作可能なコンテナまたはバッグ62を提供することは、蓄水器66からの精製水および第1および第2の濃縮物コンテナ84aおよび84bからの濃縮物が、コンテナまたはバッグに進入する前に少なくとも部分的に混合することを可能にする。しかしながら、カセット42が提供されない場合でさえも、精製水および少なくとも1つの濃縮物は、コンテナまたはバッグに到達することに先立って、加熱器/混合ライン60内で部分的に混合するであろう。
(患者ラインフィルタ)
【0095】
ここで
図3を参照すると、患者への使用時点においてオンラインで混合される新鮮透析液および患者から戻る使用済み透析液によってとられる流路を示す、患者ラインの無菌の滅菌グレードフィルタ100の実施形態の概略図が、図示される。ある実施形態では、循環装置20の制御ユニット22が、使い捨てカセット42の流体ポンプチャンバ44および流体弁チャンバ46に、
図3の右から左に、かつカセット42から患者Pに陽圧下で新鮮透析液を圧送させる。循環装置20の制御ユニット22は、使い捨てカセット42の流体ポンプチャンバ44および流体弁チャンバ46に、
図3の左から右に、かつ患者Pからカセット42に陰圧流体下で使用済み透析液を圧送させる。
【0096】
患者ラインの無菌の滅菌グレードフィルタ100は、フィルタ筐体102を含み、そのいずれか1つ以上の構成要素は、上記に列挙される材料のうちのいずれかから作製されてもよく、1つ以上の成型された、例えば、射出成型された部品から作製されてもよい。図示される実施形態では、筐体102は、第1のポートキャップ106および第2のポートキャップ112によって2つの端部においてシールされる、伸長エンクロージャ104を含む。第1のポートキャップ106が、第1のポート108を含み、第1のマニホールドまたは開放面積110を画定する一方で、第2のポートキャップ112は、第2のポート114を含み、第2のマニホールドまたは開放面積116を画定する。第1および第2のポート108および112は、圧縮継手(ポートが圧縮コネクタを有する)、ホース返し継手(ポートがホース返しを有する)、ルアー接続(ポートがオス型またはメス型ルアーコネクタを有する)、患者ライン継手の伸張(ポートの外径が患者ライン50の区画の内径よりも大きい)、またはそれらの組み合わせを介して、患者ライン50の区画に密閉状態で接続するように構成されてもよい。
【0097】
図3は、一実施形態におけるフィルタ筐体102が、使用済み透析液経路118を形成し、新鮮透析液経路120を収納することを図示する。第1のマニホールドまたは開放面積110および第2のマニホールドまたは開放面積116は、新鮮および使用済み透析液の両方を受容することができる。右を指し示す矢印を伴う線が、使用済み透析液経路118を通して流動する使用済み透析液を示す一方で、左を指し示す矢印を伴う線は、新鮮透析液経路120を通して流動する新鮮透析液を示す。図示されるような新鮮透析液経路120は、第1の上側分岐122および第2の下側分岐124に分割する。下記にさらに詳細に図示されるように、新鮮透析液は、第1の上側分岐122から、第1のフィルタ膜および内側グリッドによって生成される複数の略平行通路を通して、新鮮透析液経路120の内部領域126の中に下向きに流動する。同様に、新鮮透析液は、第2の下側分岐124から、第2のフィルタ膜および内部グリッドによって生成される複数の略平行通路を通して、新鮮透析液経路120の内部領域126の中に上向きに流動する。
【0098】
第1のポートキャップ106は、構造にシールされ、新鮮透析液経路120を形成する、第1の一方向弁150aを収納する。第2のポートキャップ112は、フィルタ筐体102の伸長エンクロージャ104にシールされ、図示される実施形態では、使用済み透析液経路118を形成する、第2の一方向弁150bを収納する。第1および第2の一方向弁150aおよび150bは、シリコーンまたは上記に列挙される可撓性材料のうちのいずれか等の医学的に安全なゴムまたはプラスチックから作製されてもよい。第1および第2の一方向弁150aおよび150bは、例えば、ダックビル逆止弁であってもよい。
【0099】
図3に図示されるように、第1の一方向弁150aは、ポンプカセット42によって新鮮透析液経路120を通して送達される新鮮透析液の陽圧下で開放するように、配向される。一方向弁150aから退出する新鮮透析液は、第1のポートキャップ106の第1のポート108および患者ライン50の一区画を通して患者Pまで流動する。しかしながら、一方向弁150aの配向は、弁150aが、ポンプカセット42からの陰圧下で閉鎖され、第1のポートキャップ106の第1のポート108を介してフィルタ100の中に使用済み透析液を引動するようなものである。このように、使用済み透析液は、新鮮透析液経路120に進入し、フィルタ膜に接触することを防止され、これは、使用済み透析液を濾過することが使用済み透析液から汚染物質を除去し、フィルタ膜を塞ぎ、汚染物質を新鮮流体の次のサイクルの中に再導入し得るため、望ましい。
【0100】
図3にさらに図示されるように、第2の一方向弁150bは、ポンプカセット42によって使用済み透析液経路118を通して引動される使用済み透析液の陰圧下で開放するように、配向される。一方向弁150bから退出する使用済み透析液は、第2のポートキャップ112の第2のポート114および患者ライン50の一区画を通して使い捨てカセット42まで流動する。しかしながら、一方向弁150bの配向は、弁150bが、ポンプカセット42からの陽圧下で閉鎖され、第2のポートキャップ112の第2のポート114を介してフィルタ100の中に新鮮透析液を押動するようなものである。このように、全ての新鮮透析液は、その濾過膜を含む、新鮮透析液経路120を通して進行することを余儀なくされる。
【0101】
ここで
図4を参照すると、患者ラインの無菌の滅菌グレードフィルタ100が、より詳細に図示される。ここでは、断面が、患者ライン50、フィルタ筐体102、使用済み透析液経路118、新鮮透析液経路120、第1のポートキャップ106、第2のポートキャップ112、および一方向弁150aおよび150bを通してとられる。上記に議論されるように、フィルタ筐体102は、一実施形態では、使用済み透析液経路118を画定し、一方向弁150bを保持する。
図4では、第2のポートキャップ112はまた、フィルタ筐体102と形成される、またはそれにシールされてもよい。本明細書で参照されるように、「~にシールされる」は、「~に接着される」、「~に超音波で溶接される」、「~に溶剤結合される」、「~に機械的にシールされる」、またはそれらの任意の組み合わせを意味し得るが、そうする必要はない。
【0102】
図4は、一実施形態では、フィルタ膜および一方向弁150aが、フィルタ筐体102内に位置し、それにシールされる膜筐体130によって保持され得ることを図示する。膜筐体130は、本明細書に議論される材料のうちのいずれかから作製されてもよく、1つ以上の部品に成型、例えば、射出成型されてもよく、本明細書に説明される技法のうちのいずれかを介して、フィルタ筐体102および第1のポートキャップ106にシールされてもよい。図示される実施形態では、第1のポートキャップ106は、膜筐体130にシールされる。代替実施形態では、ポートキャップ106は、膜筐体130と形成されてもよい。
【0103】
図4の図示される実施形態では、両方のフィルタ筐体102および膜筐体130は、新鮮透析液経路120を形成することに関わる。新鮮透析液経路120の上側分岐122は、フィルタ筐体102の上側壁128aと膜筐体130(下記に図示されるように上側フィルタ膜を収納する)の上側壁との間に位置する。新鮮透析液経路120の下側分岐124は、フィルタ筐体102の分割壁128bと膜筐体130(下記に図示されるように下側フィルタ膜を収納する)の下側壁との間に位置する。新鮮透析液経路120の内部領域126は、膜筐体130内に位置する。
【0104】
図4は、一方向弁150aおよび150bの構造および配向をより詳しく図示する。一方向弁150aは、膜筐体130にシールされる、例えば、接着される、および/または膜筐体130と第1のポートキャップ106との間に圧着されてもよい。図示される実施形態では、一方向弁150aは、ポンプカセット42によって提供される新鮮透析液の陽圧が、逆止弁の内側からスリットを開放するように、かつ使用済み透析液を圧送するカセット42からの陰圧が、スリットを開放することができないように、そのスリット付きダックビルが患者Pに向かって角度を付けられた、ダックビル逆止弁である。一方向弁150bは、フィルタ筐体102にシールされる、例えば、接着される、および/または図示されるようにフィルタ筐体102と第2のポートキャップ114との間に圧着されてもよい。図示される実施形態では、一方向弁150bはまた、ポンプカセット42によって提供される使用済み透析液の陰圧が、逆止弁の外側からスリットを開放するように、かつ新鮮透析液を圧送するカセット42からの陽圧が、スリットを開放することができないように、そのスリット付きダックビルが代わりにポンプカセット42に向かって角度を付けられた、ダックビル逆止弁である。
【0105】
図4はまた、フィルタ筐体の伸長エンクロージャ104が、1つ以上の疎水性(空気を通過させるが液体を留保する)通気孔152を含み、例えば、それにシールされ得ることも図示する。疎水性通気孔152は、例えば、プライミングの間に、かつ治療に先立って、空気が無菌の滅菌フィルタ100から逃散することを可能にする。無菌の滅菌フィルタ100から空気を除去することは、空気が患者Pに到達することを防止することに役立つ。空気除去はまた、親水性膜140および142を保護することにも役立つ。
【0106】
ここで
図5を参照すると、膜筐体130は、フィルタ筐体102が切り離された状態でより詳細に示される。膜筐体130は、上記に議論される技法のいずれかを介してフィルタ筐体102および第1のポートキャップ106にシールされるように定寸および配列される、搭載アーム132を含む。搭載アーム132はまた、一方向弁150aにシールされる、例えば、接着されるように定寸および配列される。搭載アーム132は、
図6に関連して下記により詳細に示される、グリッド筐体134まで延在する。
図5では重要なこととして、グリッド筐体134は、上側および下側(第1および第2の)フィルタ膜140および142にシールされるものとして図示される。第1の上側膜140が、第1の上側分岐122を通して下向きに流動する新鮮透析液を濾過する一方で、第2の下側膜142は、第2の下側分岐124を通して上向きに流動する新鮮透析液を濾過する。
【0107】
フィルタ膜140および142はそれぞれ、一実施形態では、親水性膜である。親水性膜は、一般に、液体水が膜の片側から反対側に通過することを可能にし、適切に湿潤されたときに、そのような通過から空気を遮断する。フィルタ膜140および142の細孔径は、例えば、0.1または0.2ミクロン等の1ミクロン未満であり得る。本細孔径は、新鮮透析液を作製するために使用される精製水、新鮮透析液を作製するために使用される濃縮物、および/または精製水または濃縮物を患者Pに搬送する使い捨てセットの任意の部分のうちのいずれかから、新鮮透析液内の任意の残存する汚染物質または不純物を除去することに役立つ。
【0108】
ここで
図6を参照すると、
図5に関連して議論される膜筐体130は、膜筐体130の内側の新鮮透析液経路120の内部領域126が、視認され得るように、フィルタ膜140および142が除去されて、より詳細に図示される。特に、グリッド筐体134が、より詳細に図示される。グリッド筐体134は、本明細書に議論される好適な材料のうちのいずれかから作製(例えば、射出成型)されてもよい。図示される実施形態では、グリッド筐体134は、膜筐体130の搭載アーム132から延在する。グリッド筐体134は、グリッド筐体134を横断して延在し、フィルタ膜140および142を通して複数の流体チャネル144の中に流入した、濾過された透析液を分離し、新鮮透析液経路120の内部領域126を形成する、複数のバッフル136を含む。バッフル136は、薄いフィルタ膜140および142を支持し、所望の距離で膜を離間することに役立つ。
【0109】
それらの図示される分離された略平行関係でバッフル136を維持するために、複数の交差ブレース138が、提供され得る。交差ブレース138は、濾過された透析液が、バッフル136によって画定されるチャネル144に沿って、交差ブレースにわたって収集チャネル146まで流動することを可能にするように、定寸される(狭められる)。収集チャネル146は、ひいては、濾過された透析液を第1の一方向弁150aに流し込み、その後、濾過された透析液は、本明細書に議論されたように、フィルタ100から患者ライン50の下流区画の中に退出する。
【0110】
本明細書に説明される本好ましい実施形態の種々の変更および修正が、当業者に明白であろうことを理解されたい。そのような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を軽減することなく、行われることができる。したがって、そのような変更および修正は、添付される請求項によって網羅されることが意図される。例えば、流体ポンプチャンバ44は、空気圧作動型ポンプチャンバまたは蠕動ポンプ管の一区分であってもよい。同様に、弁チャンバ46は、空気圧で作動される、例えば、ボルケーノ弁である、またはピンチ弁によって作用される管類の区分であってもよい。同様に、ポンプおよび弁アクチュエータは、それぞれ、空気圧アクチュエータまたは電気機械アクチュエータ、例えば、蠕動ポンプアクチュエータおよびピンチ弁であってもよい。
【外国語明細書】