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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171561
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】テープ装填装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175850
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2022512998の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星川 和美
(57)【要約】
【課題】 フィーダへのキャリアテープの装填の正確性を向上させるとともに、装填の効率向上を図ることができるテープ装填装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 テープ装填装置は、フィーダを保持するフィーダ保持台と、前記フィーダの側面を構成するカバーを開閉する開閉部と、複数の部品を収容するキャリアテープが巻かれたリールから前記キャリアテープの始端を移動させる移動部と、前記移動部により始端を移動前記リールから繰り出された前記キャリアテープを前記フィーダに装填する装填部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダを保持するフィーダ保持台と、
前記フィーダの側面を構成するカバーを開閉する開閉部と、
複数の部品を収容するキャリアテープが巻かれたリールから前記キャリアテープの始端を移動させる移動部と、
前記移動部により始端を移動された前記キャリアテープを前記フィーダに装填する装填部と、
を備えるテープ装填装置。
【請求項2】
前記フィーダ保持台に保持された前記フィーダの識別情報、および前記リールの識別情報を取得する取得部をさらに備える、請求項1に記載のテープ装填装置。
【請求項3】
前記フィーダおよび前記リールのそれぞれを前記識別情報により管理する管理装置と通信可能に接続され、前記管理装置による前記フィーダへの前記キャリアテープの装填可否の判定結果に基づいて前記装填部の動作を制御する制御装置をさらに備える、請求項2に記載のテープ装填装置。
【請求項4】
前記管理装置は、部品装着機などの対基板作業機により構成される生産ラインを統括管理する、請求項3に記載のテープ装填装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記管理装置により前記フィーダへの前記キャリアテープの装填が許可されなかった場合に、不許可の要因を示す情報を前記管理装置から取得し、作業者に対して異常とともに前記不許可の要因を通知する、請求項3または4に記載のテープ装填装置。
【請求項6】
前記管理装置は、前記フィーダおよび前記リールの少なくとも一方について、部品装着機による前記部品の装着処理への適用を規制するブロック情報を前記識別情報に関連付けて管理し、前記ブロック情報に基づいて前記フィーダへの前記キャリアテープの装填可否を判定する、請求項3-5の何れか一項に記載のテープ装填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ装填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープ装填装置は、基板製品を生産する部品装着機において部品を供給するフィーダにキャリアテープを自動的に装填する装置である(特許文献1を参照)。フィーダへのキャリアテープの装填は、例えば部品装着機による装着処理の実行前に段取り替えの一環として実行される。このとき、装着処理に用いられる予定のフィーダに適正なキャリアテープが装填されるように、フィーダの識別情報とキャリアテープが巻かれたリールの識別情報とを照合する照合作業が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/132599号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、段取り替えを行う際には、テープ装填装置の周囲には多数のフィーダやリールが載置されていることがある。このような場合に、照合作業によりそれぞれの識別情報が適合すると判定された後に、フィーダとリールをテープ装填装置にそれぞれセットする際に、何れか一方を取り違えるおそれがある。このように、フィーダまたはリールの取り違えが発生すると、照合作業に用いた組み合わせと異なる状態でフィーダにキャリアテープが装填されることになる。
【0005】
本明細書は、フィーダへのキャリアテープの装填の正確性を向上させるとともに、装填の効率向上を図ることができるテープ装填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、フィーダを保持するフィーダ保持台と、前記フィーダ保持台に保持されたフィーダの識別情報、および複数の部品を収容するキャリアテープが巻かれたリールの識別情報を取得する取得部と、前記リールから繰り出された前記キャリアテープを前記フィーダに装填する装填部と、前記フィーダおよび前記リールのそれぞれを前記識別情報により管理する管理装置と通信可能に接続され、前記管理装置による前記フィーダへの前記キャリアテープの装填可否の判定結果に基づいて前記装填部の動作を制御する制御装置と、を備えるテープ装填装置を開示する。
本明細書は、フィーダを保持するフィーダ保持台と、前記フィーダの側面を構成するカバーを開閉する開閉部と、複数の部品を収容するキャリアテープが巻かれたリールから前記キャリアテープの始端を移動させる移動部と、前記移動部により始端を移動された前記キャリアテープを前記フィーダに装填する装填部と、を備えるテープ装填装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、識別情報の取得対象のフィーダがフィーダ保持台に保持されている状態にあるので、管理装置から装填可否の判定結果を取得した後に、別のキャリアテープをフィーダに取り違えて装填することが防止される。結果として、装填の正確性を向上できる。また、テープ装填装置が直接的に管理装置と通信するため、装填の効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】テープ装填装置の外観を示す斜視図である。
図2】キャリアテープを示す平面図である。
図3】フィーダおよびリールを示す側面図である。
図4】テープ装填装置の機能を示すブロック図である。
図5】テープ装填装置による装填処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.テープ装填装置10の概要
テープ装填装置10は、図1に示すように、フィーダ20およびリール30をセットされ、フィーダ20へのキャリアテープ40の装填を補助または自動的に装填する。フィーダ20は、部品装着機71にセットされて部品51の供給に用いられる。キャリアテープ40およびフィーダ20の構成については後述する。テープ装填装置10は、例えば部品装着機71による部品51の装着処理の実行前に段取り替えに用いられる。フィーダ20へのキャリアテープ40の装填には、実行予定の装着処理に用いられるフィーダ20に適正なキャリアテープ40が組み合わせられることが要求される。
【0010】
2.キャリアテープ40の構成
キャリアテープ40は、図2に示すように、ベーステープ41およびカバーテープ42により構成される。ベーステープ41には、搬送方向(キャリアテープの長手方向)に等間隔で形成された複数の送り穴45と、部品51を収容する複数のキャビティ46とが形成される。カバーテープ42は、ベーステープ41の上面に接着され、キャビティ46を閉塞する。以下、キャリアテープを単に「テープ」とも称する。
【0011】
テープ40は、リール30に巻かれた状態で保管される。リール30には、テープ40に固有の識別情報(以下、「リールID」とも称する)を示すコード31が付される。コード31は、例えばバーコードや2Dコードである。テープ40は、テープ40の種類、収容する部品51の種類、残数、使用期限、生産者などを示すリール情報がリールIDに関連付けられ、管理装置60により管理される。
【0012】
3.フィーダ20の構成
フィーダ20は、部品装着機71にセットされ、装填されたテープ40に収容された部品51を供給位置Psにおいて供給するテープフィーダである。フィーダ20は、部品51の供給処理において、リール30から繰り出されたテープ40を挿入位置Piから供給位置Psまで送り移動させる(図3を参照)。本実施形態において、フィーダ20は、供給位置Psにおいてキャビティ46が開口するようにカバーテープ42をベーステープ41から剥離するとともに、カバーテープ42を剥離位置Ppから排出位置Peまで所定の排出経路Teに沿って送り移動させる。
【0013】
詳細には、フィーダ20は、図3に示すように、フィーダ本体21と、リール収容部22と、送り駆動部23と、テープガイド24と、排出装置25と、フィーダ制御部26とを有する。フィーダ本体21は、扁平な箱形に形成されている。フィーダ本体21には、挿入位置Piから供給位置Psまで送り移動されるテープ40を案内するテープ搬送路211が形成される。リール収容部22は、テープ40が巻回されたリール30を収容する。
【0014】
送り駆動部23は、リール30から引き出されたテープ40をピッチ送りする。送り駆動部23は、供給位置Psにおけるテープ搬送路211の下方に配置される。送り駆動部23は、スプロケット231と、モータ232とを有する。スプロケット231は、フィーダ本体21に回転可能に設けられる。スプロケット231の外歯は、テープ40の送り穴45に係合する。モータ232は、スプロケット231を回転駆動させる。本実施形態において、モータ232は、ステッピングモータであり、図略の減速機構を介してスプロケット231に駆動力を出力する。
【0015】
テープガイド24は、送り駆動部23の上方においてテープ40を案内する。テープガイド24は、フィーダ本体21に取り付けられている。テープガイド24には、ベーステープ41から剥離されたカバーテープ42をフィーダ20の後方に引っ張るときの支点となる剥離部241が形成される。また、テープガイド24の上面には、キャビティ46から部品51を採取可能とする開口部242が形成される。フィーダ20における剥離部241の位置および開口部242の位置が、剥離位置Ppおよび供給位置Psに相当する。
【0016】
排出装置25は、ベーステープ41から剥離されたカバーテープ42を外部に排出する。本実施形態において、排出装置25は、送り駆動部23と同期して動作し、ベーステープ41から剥離されたカバーテープ42を剥離位置Ppから排出位置Peまで所定の排出経路Teに沿って送り移動する。このような構成により、カバーテープ42は、排出位置Peまで送り移動されて、フィーダ20の下方へと排出される。
【0017】
本実施形態において、フィーダ20にテープ40が装填された状態とは、送り駆動部23の駆動によって供給位置Psにおいて部品51を供給可能とする状態である。具体的には、リール30から繰り出されたテープ40が挿入位置Piから供給位置Psまで延びた状態にあり、且つベーステープ41から剥離されたトップテープ40を排出装置25の駆動により排出可能な状態を、テープ40の装填状態という。このとき、剥離位置Ppから排出位置Peまでの区間において、一部または全部がカバーテープ42に連結された仮テープであってもよい。
【0018】
なお、テープフィーダとしては、上記のようにベーステープ41からカバーテープ42を分離するように幅方向の全域に亘って剥離するタイプの他に、カバーテープ42の幅方向の一部のみを剥離する部分剥離タイプや、カバーテープ42を長手方向に沿って切断する切断タイプがある。部分剥離タイプおよび切断タイプは、キャビティ46が開口するように、供給位置Psよりも挿入位置Pi側においてカバーテープ42を折り曲げる。
【0019】
また、テープフィーダには、挿入位置Pi付近に送り駆動部を設けられ、テープ40の始端が挿入されると、自動的にテープ40の始端を供給位置Psまで送り移動させるオートローディングフィーダがある。何れのタイプのフィーダにおいても、テープ40の装填状態とは、そのフィーダが自己の機能によってテープ40を送り移動させて、供給位置Psにおいて部品51を供給可能とする状態である。
【0020】
フィーダ制御部26は、送り駆動部23および排出装置25の動作を制御する。フィーダ制御部26は、テープ40を送り移動させる搬送処理において、送り駆動部23のモータ232に給電することによりスプロケット231を回転させて、テープ40を所定位置まで搬送するように制御する。このとき、フィーダ制御部26は、送り駆動部23の動作に排出装置25の動作が同期するように制御する。
【0021】
フィーダ20は、テープ装填装置10や部品装着機71などの外部装置にセットされると、コネクタを介して外部装置から電力を供給される。これにより、フィーダ制御部26は、外部装置との間で通信可能な状態となる。フィーダ制御部26は、外部装置による制御指令などに基づいて、搬送処理を実行する。また、フィーダ制御部26は、外部装置からの要求に応じて、フィーダ20に固有の識別情報(以下、「フィーダID」とも称する)を外部装置に送出する。
【0022】
4.テープ装填装置10の構成
テープ装填装置10は、図3に示すように、生産施設などの床面に設置される装置本体11を備える。装置本体11には、装填対象のテープ40始端が挿入されるテープ挿入口12が形成される。テープ装填装置10は、フィーダ保持台13を備える。フィーダ保持台13は、装置本体11の幅方向の中央部に設けられる。フィーダ保持台13は、装填処理の対象のフィーダ20を保持する。フィーダ保持台13は、セットされたフィーダ20のコネクタに電気的に接続される。
【0023】
テープ装填装置10は、図4に示すように、取得部14を備える。取得部14は、フィーダ保持台13に保持されたフィーダ20の識別情報(フィーダID)、およびリール30の識別情報(リールID)を取得する。本実施形態において、取得部14は、フィーダ保持台13に保持された状態のフィーダ20との通信によりフィーダIDを取得する。また、取得部14は、リール30に付されたコード31を読み取ることによりリールIDを取得する。
【0024】
リールIDは、リーダ15を用いた作業者の作業により読み取られる。また、リール30がテープ装填装置10の所定位置に収容される場合には、リール30がセットされたことをもってコード31を自動で読み取るリーダを設けてもよい。取得部14は、フィーダIDおよびリールIDをそれぞれ取得した時点で後述する制御装置18に送出する。
【0025】
テープ装填装置10は、図3に示すように、装填部16を備える。装填部16は、リール30から繰り出されたキャリアテープ40をフィーダ20に装填する。本実施形態において、装填部16は、装填処理において、テープ挿入口12に挿入されたテープ40の始端を把持爪161により把持し、供給位置Psに対応する位置までテープ40を引き出す。そして、装填部16は、テープ40の始端から所定長さだけカバーテープ42をベーステープ41から剥離する。
【0026】
さらに、装填部16は、予め排出経路Teに沿った形状に取り回された仮テープ(図示しない)の後端に、カバーテープ42の始端を連結する。最後に、装填部16は、仮テープと一体になったテープ40をフィーダ20の側方からフィーダ20に受け渡す。このように、装填部16は、装填処理において、ベーステープ41が挿入位置Piから供給位置Psまで送り移動された状態とする。尚且、装填部16は、ベーステープ41から剥離されたカバーテープ42が仮テープを介して、剥離位置から排出位置Peまで排出経路Teに沿って延びた状態とする。
【0027】
テープ装填装置10は、図1および図4に示すように、表示装置17を備える。表示装置17は、装置本体11の上部に設けられ、作業者に種々の情報を視認可能に表示する。表示装置17は、後述する制御装置18による各種の通知を表示する。また、表示装置17は、作業者による操作を受け付け可能なタッチパネルを備えるようにしてもよい。
【0028】
テープ装填装置10は、図4に示すように、制御装置18を備える。制御装置18は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置18は、取得部14や各種センサから出力される情報などに基づいて、装填処理における装填部16の動作を制御する。また、制御装置18は、表示装置17に対して種々の情報を表示するように指令するとともに、表示装置17が作業者の操作を受け付けた場合には操作に応じた情報を取得する。
【0029】
ここで、装填処理の実行に際して、装着処理に用いられる予定のフィーダ20に適正なテープ40が装填されるように、フィーダIDとリールIDを照合する照合作業が実行される。従来のテープ装填装置は、上記の照合作業が外部の専用機器を用いてなされた後に、対応するフィーダ20およびリール30をセットされて装填処理を実行する構成である。なお、照合作業の専用機器は、フィーダ20およびリール30をそれぞれの識別情報(フィーダID、リールID)により管理する管理装置60と通信可能に接続される。
【0030】
上記の管理装置60は、図4に示すように、テープ装填装置10や、複数の部品装着機71などの対基板作業機により構成される生産ライン70を統括管理する。管理装置60の記憶部61には、生産計画M1や機器管理情報M2などが記憶されている。生産計画M1は、生産予定の基板製品の種類、生産予定数、および生産順序を示す情報である。機器管理情報M2は、生産計画M1に基づいて実行される装着処理に割り当てられたフィーダ20およびリール30を識別情報(フィーダID、リールID)により示す情報である。
【0031】
管理装置60は、フィーダIDおよびリールIDを取得すると、機器管理情報M2に基づいて、対応するフィーダ20へのテープ40の装填を許可するか否かを判定する。そして、管理装置60は、上記の装填可否の判定結果を出力する。ここで、テープ40の装填が装着処理の実行前の段取り替えの一環としてなされる場合には、テープ装填装置の周囲には多数のフィーダ20やリール30が載置されていることがある。そのため、フィーダ20とリール30をテープ装填装置にそれぞれセットする際に、何れか一方を取り違えるおそれがある。
【0032】
そこで、本実施形態のテープ装填装置10は、フィーダIDおよびリールIDを取得可能とし、且つ管理装置60に直接的に通信することにより照合作業を実行可能とする。そして、テープ装填装置10は、照合作業の結果として管理装置60から取得した装填可否の判定結果に基づいて、装填部16の動作を制御する。これにより、テープ装填装置10は、装填の正確性および作業効率の向上を図るものである。
【0033】
具体的には、制御装置18は、管理装置60と通信可能に接続される。そして、制御装置18は、取得部14がフィーダ20およびリール30のそれぞれの識別情報(フィーダID、リールID)を取得した場合に、一対の識別情報を管理装置60に送出する。制御装置18は、フィーダ20へのテープ40の装填可否の判定結果を管理装置60から通信により取得し、この判定結果に基づいて装填部16の動作を制御する。
【0034】
制御装置18は、管理装置60によりフィーダ20へのテープ40の装填が許可された場合に、装填部16による装填処理を実行させる。また、制御装置18は、装填部16による装填処理が終了した後に、装填処理の結果を管理装置60に送出する。これにより、装填処理が正常に終了した場合には、管理装置60において、フィーダ20に所定のテープ40が装填された状態にあることが記録される。
【0035】
また、制御装置18は、管理装置60によりフィーダ20へのテープ40の装填が許可されなかった場合に、装填部16の少なくとも一部の動作をロックする。これにより、作業者が許可されていない組み合わせのフィーダ20に所定のテープ40を装填するように指示したとしても、装填部16のロックにより装填処理が中止される。制御装置18は、フィーダ保持台13からフィーダ20が取り外され、またはテープ40が取外された場合に、装填部16のロックを解除してもよい。
【0036】
制御装置18は、取得部14によりフィーダIDが取得された後に、例えばフィーダ20がフィーダ保持台13から取り外された場合には、取得していた上記のフィーダIDを破棄する。同様に、制御装置18は、例えばリール30がセットされていること検出可能な構成において、取得部14によりリールIDが取得された後に、リール30が取り外された場合には、取得していたリールIDを破棄する。なお、管理装置60から既に装填可否の判定結果を取得した後において、フィーダ20およびリール30の少なくとも一方が取り外された場合には、制御装置18は、この判定結果を破棄するとともに、装填処理を中止する。
【0037】
制御装置18は、照合作業に係るフィーダIDやリールIDに関連付けられた情報(フィーダ20の種類やテープ40の終了された部品51の種類、残数など)、装填許否の判定結果などを表示装置17に表示させてもよい。例えば、制御装置18は、管理装置60によりフィーダ20へのテープ40の装填が許可されなかった場合に、作業者に対して異常を通知する。ここで、制御装置は、管理装置60によりフィーダ20へのテープ40の装填が許可されなかった場合に、不許可の要因を示す情報を管理装置60から通信により取得してもよい。
【0038】
そして、制御装置18は、作業者に対して異常とともに不許可の要因を通知してもよい。不許可の要因としては、テープ装填装置10にセットされているフィーダ20に装填すべきテープ40が照合作業の対象であったリール30に巻かれていないなど、フィーダ20とリール30の組み合わせに誤りがあることが想定される。また、フィーダIDまたはリールIDが事前に管理装置60に登録されていないことも不許可の要因とされる。
【0039】
その他に、ブロック情報M3に基づいて、装填処理が不許可となることがある。ここで、管理装置60の記憶部61には、ブロック情報M3が記憶されている。ブロック情報M3は、フィーダ20およびリール30の少なくとも一方について、部品装着機71による部品51の装着処理への適用を規制する情報である。例えば、所定のフィーダ20が動作精度などの観点からメンテナンスを要する状態にあると、当該メンテナンスが実行されるまで装着処理への適用が規制されるようにブロック情報M3にフィーダIDに関連付けて記録される。
【0040】
また、生産計画M1および機器管理情報M2に基づいて、装填しようとしているテープ40が使用期限を超過している状態にあると、装着処理への適用が規制されるようにブロック情報M3にリールIDに関連付けて記録される。ブロック情報M3は、例えばフィーダ20に対するメンテナンスの実行によって規制を解除するように編集がなされる。また、ブロック情報M3は、装着処理ごとの要求精度や優先事項に応じて、フィーダ20やリール30の適用可否を切り換えるように任意に設定され得る。管理装置60は、フィーダIDおよびリールIDを入力した場合に、ブロック情報M3に基づいてフィーダ20へのテープ40の装填可否を判定する。
【0041】
5.テープ装填装置10による装填処理
テープ装填装置10による装填処理について図5を参照して説明する。先ず、フィーダ保持台13にフィーダ20が保持された場合に(S11:Yes)、取得部14は、フィーダ20と通信によりフィーダIDを取得し、制御装置18に送出する(S12)。テープ装填装置10は、フィーダ20がセットされていない場合に(S11:No)、待機状態を維持する。
【0042】
また、テープ挿入口12にテープ40の始端が挿入され、且つリール30のコード31がリーダ15により読み取られた場合に(S21)、取得部14は、リーダ15よりリールIDを取得し、制御装置18に送出する(S22)。テープ装填装置10は、フィーダIDとリールIDの取得処理を並行して実行し、またリール30のコード31が読み取られていない場合に(S21:No)、待機状態を維持する。
【0043】
制御装置18は、取得部14より一対のフィーダIDおよびリールIDを取得すると、これらを管理装置60に送出する(S31)。管理装置60は、装填可否の判定を行う(S32)。具体的には、管理装置60は、入力したフィーダIDおよびリールIDがともに事前に登録されており、且つ組み合わせが実行予定の装着処理に適合し、且つ装着処理への適用が規制されていないかなどの条件を満たすかにより装填可否を判定する。上記の装填可否の判定には、生産計画M1、機器管理情報M2、およびブロック情報M3が用いられる。
【0044】
制御装置18は、現在セットされているフィーダ20へのリール30の装填可否の判定結果を管理装置60から取得する(S33)。制御装置18は、装填が許可された場合に(S34:Yes)、装填部16による装填処理を実行させる(S35)。そして、制御装置18は、装填処理が実行した後に、装填処理の結果を管理装置60に送出する(S36)。これにより、管理装置60において、フィーダ20に所定のテープ40が装填された状態にあることが記録される。また、制御装置18は、装填処理が終了したことを、作業者に報知すべく表示装置17に各種情報を表示してもよい。
【0045】
一方で、制御装置18は、装填が許可されなかった場合に(S34:No)、装填部16の少なくとも一部の動作をロックする(S37)。そして、制御装置18は、作業者に対して異常とともに不許可の要因を通知する(S38)。これにより、作業者には、例えばフィーダ20またはリール30が未登録であること、その組み合わせが装着処理に適合しないこと、少なくとも一方がブロックされていることが通知される。なお、装填部16の動作のロックは、フィーダ20やテープ40が取り外されることによって解除される。
【0046】
このような構成によると、テープ装填装置10は、フィーダ保持台13に保持されたフィーダ20を対象として、当該フィーダ20の識別情報(フィーダID)を取得する(S11)。そして、フィーダ20の識別情報(フィーダID)とリール30の識別情報(リールID)とを管理装置60に送出し(S31)、管理装置60から装填可否の判定結果を通信により取得する(S33)。装填処理におけるS11-S12,S21-S22,S31-S33は、フィーダIDとリールIDを照合する照合作業に相当する。
【0047】
そして、テープ装填装置10は、このような装填可否の判定結果に基づいて装填部16の動作を制御する(S35,S37)。このような構成によると、識別情報(フィーダID、リールID)の取得対象のフィーダ20がフィーダ保持台13に保持されている状態にあるので、管理装置60から装填可否の判定結果を取得した後に、別のテープ40をフィーダ20に取り違えて装填することが防止される。結果として、装填の正確性を向上できる。また、テープ装填装置10が直接的に管理装置60と通信するため、装填の効率向上を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態において、リール30は、フィーダ20に設けられたリール収容部22に保持され、且つテープ40の始端がテープ挿入口12に挿入された状態にあるので、管理装置60から装填可否の判定結果を取得した後に、別のリール30やテープ40を取り違えてセットすることが防止される。
【0049】
また、装填が許可されたことをもってテープ挿入口12にテープ40の始端を挿入する順序であったとしても、フィーダ20が既にセット済みであることから、作業者は、コード31を読み取ったリール30のテープ40の始端をテープ挿入口12に挿入することになる。これにより、リール30およびテープ40を取り違えてセットすることが抑制される。
【0050】
6.実施形態の変形態様
実施形態において、テープ装填装置10が装填の対象としたフィーダ20は、前部側に設けられた送り駆動部23によりテープ40を引き込むようにして送り移動させる構成とした。これに対して、フィーダ20は、上記のようなオートローディングフィーダであってもよい。装填部16は、フィーダ20の種類ごとにテープ40を装填する。
【0051】
また、テープ装填装置10は、装填処理において、フィーダ20の側面を構成するカバーの開閉し、フィーダ20やリール30を自動的にセットし、リール30からテープ40の始端を装填部16まで移動させる構成をさらに備えてもよい。何れの構成においても、テープ装填装置10が管理装置60と通信することにより照合作業を実行し、この結果により装填部16の動作を制御することにより、実施形態と同様の効果を奏する。
【0052】
実施形態において、テープ装填装置10は、管理装置60に対して識別情報(フィーダID、リールID)を送出し、管理装置60による装填可否の判定結果を取得し、その判定結果に基づいて装填部16の動作を制御する構成とした。これに対して、テープ装填装置10は、管理装置60から装填可否の判定結果に加えて、装填処理の実行を指令する動作指令を取得し、動作指令に基づいて装填部16の動作を制御してもよい。このような構成によると、管理装置60により装填処理の実行タイミングを含めた管理が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
10:テープ装填装置、 13:フィーダ保持台、 14:取得部、 15:リーダ、 16:装填部、 18:制御装置、 20:フィーダ、 Pi:挿入位置、 Ps:供給位置、 Pp:剥離位置、 Pe:排出位置、 Te排出経路、 30:リール、 31:コード、 40:キャリアテープ、 41:ベーステープ、 46:キャビティ、 42:カバーテープ、 51:部品、 60:管理装置、 61:記憶部、 M1:生産計画、 M2:機器管理情報、 M3:ブロック情報、 71:部品装着機
図1
図2
図3
図4
図5