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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171597
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231124BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 642A
H01L21/304 642F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176538
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2020024138の分割
【原出願日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019028413
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】武知 圭
(72)【発明者】
【氏名】秋山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(57)【要約】
【課題】処理液に供給される気泡が大きくなることを抑制できる基板処理装置、及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、内槽112に貯留される処理液Lである貯留処理液L1に基板Wを浸漬して基板Wの処理を行う。基板処理装置100は、気泡供給部130と、循環部160とを備える。気泡供給部130は、貯留処理液L1に気泡KAを供給する。循環部160は、気泡供給部130に対して貯留処理液L1の第1液流R1を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理装置であって、
前記貯留処理液に気泡を供給する気泡供給部と、
前記気泡供給部に対して前記貯留処理液の液流を生成する液流生成部と
を備え、
前記気泡供給部は、気体が流れる第1管部を有し、
前記第1管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成され、
前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触し、
前記液流生成部は、前記処理液が流れる一対の第2管部を有し、
一対の前記第2管部は、前記貯留処理液内において前記第1管部を挟む位置に配置され、
一対の前記第2管部の各々には、前記貯留処理液内に配置される処理液放出口が形成され、
一対の前記処理液放出口は、前記貯留処理液内に前記第2管部を流れる前記処理液を放出することで一対の前記液流を生成し、
一対の前記液流は、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる、基板処理装置。
【請求項2】
一対の前記第2管部は、前記第1管部の下方で互いに間隔を空けて配置される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1管部のうち前記気泡放出口が形成される部分には、疎水処理が施される、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液放出口は、上方から見て前記気泡放出口の側方に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液放出口は、前記貯留部の底部に向かい、前記底部で反射した後、前記気泡放出口へ向かうように前記処理液を放出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理装置であって、
前記貯留処理液に気泡を供給する気泡供給部と、
前記気泡供給部に対して前記貯留処理液の液流を生成する液流生成部と
を備え、
前記気泡供給部は、気体が流れる第1管部を有し、
前記第1管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成され、
前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触し、
前記液流生成部は、前記処理液が流れる第2管部を有し、
前記第2管部は、前記貯留処理液内において前記第1管部の下方に位置し、
前記第2管部には、前記貯留処理液内に配置される処理液放出口が形成され、
前記処理液放出口は、前記気泡放出口の直下に配置され、前記貯留処理液内に前記第2管部を流れる前記処理液を放出することで、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の前記液流を生成する、基板処理装置。
【請求項7】
前記第1管部は、
前記第1管部の内部に対向する内面と、
前記第1管部の外部に対向する外面と
を有し、
前記気泡放出口は、
前記外面に形成される外側開口と、
前記内面に形成され、前記外側開口に連通する内側開口と
を有し、
前記外側開口の開口面積の方が、前記内側開口の開口面積よりも小さい、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気泡放出口は、上方に向かって開口する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1管部は、外側配管と、前記外側配管の内部に配置される内側配管とを有し、
前記気泡放出口は、
前記外側配管に形成されて、前記外側配管の内部と外部とを連通する第1開口と、
前記内側配管に形成されて、前記内側配管の内部と外部とを連通する第2開口と
を有し、
前記第1開口と、前記第2開口とは、互いに同じ向きに開口する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理装置であって、
前記貯留処理液に気泡を供給する気泡供給部と、
前記貯留部に対して前記気泡供給部を移動させる移動部と
を備え、
前記気泡供給部は、気体が流れる管部を有し、
前記管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成され、
前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触し、
前記移動部は、前記貯留処理液内で前記管部を平行移動させる、基板処理装置。
【請求項11】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理装置であって、
前記貯留処理液に気泡を供給する気泡供給部と、
前記貯留部に対して前記気泡供給部を移動させる移動部と
を備え、
前記気泡供給部は、気体が流れる管部を有し、
前記管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成され、
前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触し、
前記移動部は、前記管部を、前記管部の軸回りに回転させる、基板処理装置。
【請求項12】
前記気泡供給部は、ポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理方法であって、
第1管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程と、
前記第1管部に気体を流す工程と、
前記貯留処理液内において前記第1管部を挟む位置に配置されている一対の第2管部に形成されている処理液放出口から前記処理液を放出させて、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の液流を生成する工程と、
前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記第1管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程と
を備え、
前記せん断力は、前記一対の液流により付与され、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する、基板処理方法。
【請求項14】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理方法であって、
第1管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程と、
前記第1管部に気体を流す工程と、
前記貯留処理液内において前記第1管部の下方に配置されている第2管部に形成されている処理液放出口から前記処理液を放出させて、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の液流を生成する工程と、
前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記第1管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程と
を備え、
前記処理液放出口は、前記気泡放出口の直下に配置され、
前記せん断力は、前記一対の液流により付与され、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する、基板処理方法。
【請求項15】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理方法であって、
管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程と、
前記管部に気体を流す工程と、
前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程と
を備え、
前記気体の気泡を放出させる工程において、前記貯留処理液内で前記管部を平行移動させることで前記せん断力を付与し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する、基板処理方法。
【請求項16】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理方法であって、
管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程と、
前記管部に気体を流す工程と、
前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程と
を備え、
前記気体の気泡を放出させる工程において、前記管部を、前記管部の軸回りに回転させることで前記せん断力を付与し、
前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置及び液晶表示装置のような電子部品に用いられる基板は、基板処理装置によって処理されることが知られている。基板処理装置は、処理槽内の処理液に浸漬することによって基板を処理する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の基板処理装置は、気泡発生器を備える。気泡発生器には吐出口が形成される。特許文献1の基板処理装置は、燐酸水溶液で基板を処理する際に、気泡発生器の吐出口から燐酸水溶液中に混合気体を吹きだして気泡を発生させて燐酸水溶液を曝気攪拌している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-56258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の基板処理装置では、吐出口の表面張力の影響により気泡が有る程度大きくなってから、燐酸水溶液中に気泡が供給されることがあった。また、燐酸水溶液中に発生される気泡を小さくしたいとする要望があった。理由は、気泡が小さい方が気泡による基板の表面付近の燐酸水溶液(処理液)の攪拌の程度が大きくなるので、基板の表面に接触する燐酸水溶液を新鮮な燐酸水溶液に効果的に置換できるからである。
【0006】
本発明は、処理液に供給される気泡が大きくなることを抑制できる基板処理装置、及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面によれば、基板処理装置は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理装置は、気泡供給部と、液流生成部とを備える。気泡供給部は、前記貯留処理液に気泡を供給する。液流生成部は、前記気泡供給部に対して前記貯留処理液の液流を生成する。前記気泡供給部は、気体が流れる第1管部を有する。前記第1管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成されている。前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。前記液流生成部は、前記処理液が流れる一対の第2管部を有する。一対の前記第2管部は、前記貯留処理液内において前記第1管部を挟む位置に配置される。一対の前記第2管部の各々には、前記貯留処理液内に配置される処理液放出口が形成されている。一対の前記処理液放出口は、前記貯留処理液内に前記第2管部を流れる前記処理液を放出することで一対の前記液流を生成する。一対の前記液流は、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる。
【0008】
本発明の基板処理装置において、一対の前記第2管部は、前記第1管部の下方で互いに間隔を空けて配置される。
【0009】
本発明の基板処理装置において、前記第1管部のうち前記気泡放出口が形成される部分には、疎水処理が施される。
【0010】
本発明の基板処理装置において、前記処理液放出口は、上方から見て前記気泡放出口の側方に配置される。
【0011】
本発明の基板処理装置において、前記処理液放出口は、前記貯留部の底部に向かい、前記底部で反射した後、前記気泡放出口へ向かうように前記処理液を放出する。
【0012】
本発明の第2の局面によれば、基板処理装置は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理装置は、気泡供給部と、液流生成部とを備える。気泡供給部は、前記貯留処理液に気泡を供給する。液流生成部は、前記気泡供給部に対して前記貯留処理液の液流を生成する。前記気泡供給部は、気体が流れる第1管部を有する。前記第1管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成されている。前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。前記液流生成部は、前記処理液が流れる第2管部を有する。前記第2管部は、前記貯留処理液内において前記第1管部の下方に位置する。前記第2管部には、前記貯留処理液内に配置される処理液放出口が形成されている。前記処理液放出口は、前記気泡放出口の直下に配置される。前記処理液放出口は、前記貯留処理液内に前記第2管部を流れる前記処理液を放出することで、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の前記液流を生成する。
【0013】
本発明の基板処理装置において、前記第1管部は、内面と、外面とを有する。内面は、前記第1管部の内部に対向する。外面は、前記第1管部の外部に対向する。前記気泡放出口は、外側開口と、内側開口とを有する。外側開口は、前記外面に形成される。内側開口は、前記内面に形成され、前記外側開口に連通する。前記外側開口の開口面積の方が、前記内側開口の開口面積よりも小さい。
【0014】
本発明の基板処理装置において、前記気泡放出口は、上方に向かって開口する。
【0015】
本発明の基板処理装置において、前記第1管部は、外側配管と、前記外側配管の内部に配置される内側配管とを有する。前記気泡放出口は、第1開口と、第2開口とを有する。第1開口は、前記外側配管に形成されて、前記外側配管の内部と外部とを連通する。第2開口は、前記内側配管に形成されて、前記内側配管の内部と外部とを連通する。前記第1開口と、前記第2開口とは、互いに同じ向きに開口する。
【0016】
本発明の第3の局面によれば、基板処理装置は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理装置は、気泡供給部と、移動部とを備える。気泡供給部は、前記貯留処理液に気泡を供給する。移動部は、前記貯留部に対して前記気泡供給部を移動させる。前記気泡供給部は、気体が流れる管部を有する。前記管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成されている。前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。前記移動部は、前記貯留処理液内で前記管部を平行移動させる。
【0017】
本発明の第4の局面によれば、基板処理装置は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理装置は、気泡供給部と、移動部とを備える。気泡供給部は、前記貯留処理液に気泡を供給する。移動部は、前記貯留部に対して前記気泡供給部を移動させる。前記気泡供給部は、気体が流れる管部を有する。前記管部には、前記貯留処理液内に配置される気泡放出口が形成されている。前記気泡放出口は、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。前記移動部は、前記管部を、前記管部の軸回りに回転させる。
【0018】
本発明の基板処理装置において、前記気泡供給部は、ポリエーテルエーテルケトンを含む。
【0019】
本発明の第5の局面によれば、基板処理方法は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理方法は、第1管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程を備える。基板処理方法は、前記第1管部に気体を流す工程を備える。基板処理方法は、前記貯留処理液内において前記第1管部を挟む位置に配置されている一対の第2管部に形成されている処理液放出口から前記処理液を放出させて、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の液流を生成する工程を備える。基板処理方法は、前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記第1管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程を備える。前記せん断力は、前記一対の液流により付与される。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。
【0020】
本発明の第6の局面によれば、基板処理方法は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理方法は、第1管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程を備える。基板処理方法は、前記第1管部に気体を流す工程を備える。基板処理方法は、前記貯留処理液内において前記第1管部の下方に配置されている第2管部に形成されている処理液放出口から前記処理液を放出させて、前記第1管部を挟むようにして前記第1管部の外周に沿って流れる一対の液流を生成する工程を備える。基板処理方法は、前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記第1管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程を備える。前記処理液放出口は、前記気泡放出口の直下に配置される。前記せん断力は、前記一対の液流により付与される。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。
【0021】
本発明の第7の局面によれば、基板処理方法は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理方法は、管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程を備える。基板処理方法は、前記管部に気体を流す工程を備える。基板処理方法は、前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程を備える。前記気体の気泡を放出させる工程において、前記貯留処理液内で前記管部を平行移動させることで前記せん断力を付与する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。
【0022】
本発明の第8の局面によれば、基板処理方法は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理方法は、管部に形成される気泡放出口を前記貯留処理液内に配置する工程を備える。基板処理方法は、前記管部に気体を流す工程を備える。基板処理方法は、前記気体のうち前記気泡放出口から前記貯留処理液内に隆起する隆起部分を、前記管部の内部に存在する前記気体からせん断するためのせん断力を付与して、前記貯留処理液内に前記気体の気泡を放出させる工程を備える。前記気体の気泡を放出させる工程において、前記管部を、前記管部の軸回りに回転させることで前記せん断力を付与する。前記気体の気泡は、前記貯留処理液中を浮上する際に前記基板の表面に接触する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の基板処理装置、及び基板処理方法によれば、処理液に供給される気泡が大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の模式図である。
図2】本実施形態の基板の処理方法を示すフロー図である。
図3】(a)は、基板が貯留処理液に浸漬される前の状態を示す図である。(b)は、基板が貯留処理液に浸漬された状態を示す図である。
図4】配管群をZ軸方向から見た図である。
図5】気泡放出口と処理液放出口との位置関係の第1例を示す図である。
図6】(a)は、気泡放出口から気泡が放出される原理を示す第1の模式図である。(b)は、気泡放出口から気泡が放出される原理を示す第2の模式図である。
図7】気泡放出口から気泡が放出される原理を示す第3の模式図である。
図8】気泡放出口と処理液放出口との位置関係の第2例を示す図である。
図9】気泡放出口と処理液放出口との位置関係の第3例を示す図である。
図10】気泡放出口と処理液放出口との位置関係の第4例を示す図である。
図11】気泡放出口と処理液放出口との位置関係の第5例を示す図である。
図12】気体の隆起部分に対してせん断力を付与するための構成の一例を示す模式図である。
図13】(a)は、気泡放出口から気泡が放出される原理を示す第4の模式図である。(b)は、気泡放出口から気泡が放出される原理を示す第5の模式図である。
図14】気泡放出口の第1変形例を示す図である。
図15】気泡放出口の第2変形例を示す図である。
図16】気体供給管の変形例を示す図である。
図17】PEEKと、PFAと、PTFEとの比較結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載することがある。典型的には、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0026】
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置100の模式図である。基板処理装置100は、複数の基板Wを一括して処理する。例えば、基板処理装置100は複数の基板Wに対して一括してエッチングする。
【0027】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板及び太陽電池用基板を含む。
【0028】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、処理液Lにより基板Wを複数枚まとめて処理する。処理液Lにより、基板Wには、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去及び洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。
【0029】
基板処理装置100は、処理槽110と、基板保持部120と、気泡供給部130と、制御部140とを備える。処理槽110は、処理液Lを貯留する。
【0030】
処理槽110は、内槽112と、外槽114と、規制部112aとを含む。処理槽110は、内槽112と外槽114とにより構成される二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114は、それぞれ上向きに開いた開口を有する。内槽112は、処理液Lを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の開口の外側に設けられる。外槽114の上縁の高さは、内槽112の上縁の高さよりも高い。
【0031】
内槽112は、本発明の貯留部の一例である。以下では、内槽112に貯留される処理液Lを、貯留処理液L1と記載することがある。
【0032】
内槽112には、規制部112aが設けられる。規制部112aは、基板Wを処理する際の基板WのX方向両端部において、1枚の基板Wの両方の主面と対向するように設けられる。規制部112aにより、基板Wの位置が規制される。このため、基板Wは、所定の位置で均一に処理される。
【0033】
処理槽110は、蓋116を有する。蓋116は、内槽112の開口に対して開閉可能である。蓋116が閉じることにより、蓋116は、内槽112の開口を塞ぐことができる。
【0034】
蓋116は、開戸部116aと、開戸部116bとを有する。開戸部116aは、内槽112の開口のうちの-X方向側に位置する。開戸部116aは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の開口に対して開閉可能である。開戸部116bは、内槽112の開口のうちの+X方向側に位置する。開戸部116bは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の開口に対して開閉可能である。開戸部116a及び開戸部116bが閉じて内槽112の開口を覆うことにより、処理槽110の内槽112を塞ぐことができる。
【0035】
内槽112の底壁には、排液配管118aが接続される。排液配管118aにはバルブ118bが配置される。バルブ118bは、制御部140によって開閉する。バルブ118bが開くことにより、貯留処理液L1は排液配管118aを通って内槽112の外部に排出された後、排液処理装置(不図示)へと送られて処理される。
【0036】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、複数の基板Wを一括して保持して、貯留処理液L1に浸漬させる。なお、基板保持部120は、1枚のみの基板Wを保持して、貯留処理液L1に浸漬させてもよい。
【0037】
基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。第1実施形態では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面からY方向に延びる。複数の基板Wは、紙面の奥手前方向に複数の基板Wを配列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0038】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている基板Wが内槽112内に位置する処理位置(図10に示す位置)と、基板保持部120に保持されている基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置(図示しない)との間で本体板122を昇降させる。従って、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが貯留処理液L1に浸漬される。これにより、基板Wに対するエッチング処理が施される。
【0039】
気泡供給部130は、貯留処理液L1に気泡を供給する。
【0040】
気泡供給部130は、気体供給管131を含む。気体供給管131は、管状の部材である。気体供給管131は、例えば、石英により形成される。気体供給管131は、内槽112内に配置される。気体供給管131は、貯留処理液L1に浸漬される。気泡供給部130の外部には、貯留処理液L1が存在する。
【0041】
気体供給管131の内部には、気体が流れる。気体は、例えば不活性ガスである。気体は、例えば、窒素ガスを含む。気体は、空気でもよい。
【0042】
気体供給管131には、気泡放出口Mが形成される。気泡放出口Mは、気体供給管131の内部と外部とを連通する孔である。気泡放出口Mは、貯留処理液L1に浸漬されることで、貯留処理液L1内に配置される。
【0043】
気体供給管131の内部を流れる気体は、気泡放出口Mを介して貯留処理液L1内に放出される。気体供給管131の内部を流れる気体は、気泡放出口Mから放出される際、気泡になる。その結果、気泡放出口Mから貯留処理液L1内に気泡が放出される。
【0044】
気体供給管131は、本発明の第1管部の一例である。
【0045】
気泡放出口Mから貯留処理液L1内に供給された気泡は、貯留処理液L1内を浮上し、貯留処理液L1の上面にまで達する。
【0046】
気泡が貯留処理液L1中を浮上する際に、気泡は基板Wの表面に接触する。この場合、気泡は、貯留処理液L1中の基板Wとの接触部分を押し出しながら基板Wの表面を上方に向けて移動する。気泡が通過した後には、気泡の周囲に存在していた新鮮な処理液Lが気泡の存在していた場所へ進入することで基板Wの表面に接触する。従って、気泡により基板Wの表面の周囲の処理液Lを攪拌できるので、基板Wの表面に接触する処理液Lを新鮮な処理液Lに置換できる。その結果、基板Wの処理速度を向上させることができる。
【0047】
制御部140は、例えば、マイクロコンピュータを用いて構成される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーと、固定メモリデバイス、又はハードディスクドライブのような記憶装置とを有する。記憶装置には、プロセッサーにより実行されるプログラムが記憶されている。制御部140のプロセッサーが、記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより、基板処理装置100の各要素を制御する。
【0048】
制御部140のプロセッサーは、気泡供給部130を制御することで、気泡供給部130による気泡の供給を制御する。制御部140のプロセッサーは、気泡供給部130による気泡の供給の開始及び停止を制御する。
【0049】
基板処理装置100は、気体搬送部150と、循環部160とをさらに備える。
【0050】
気体搬送部150は、気体供給管131の内部に気体を搬送する。
【0051】
気体搬送部150は、配管152と、バルブ154と、調整バルブ156とを備える。バルブ154及び調整バルブ156は、配管152に配置される。配管152は、気体供給管131に連結する。配管152は、気体供給管131の内部に気体を導く。バルブ154は、配管152を開閉する。調整バルブ156により、配管152の開度を調節して、気体供給管131の内部に搬送する気体の流量を調整する。
【0052】
循環部160は、貯留処理液L1を循環させることで、貯留処理液L1の液流を生成する。循環部160は、本発明の液流生成部の一例である。
【0053】
循環部160は、配管161と、ポンプ162と、フィルタ163と、ヒータ164と、調整バルブ165と、バルブ166と、処理液供給管167を含む。
【0054】
配管161は、外槽114から排出された処理液Lを内槽112に導く。配管161の下流端には、処理液供給管167が接続される。
【0055】
ポンプ162は、配管161から処理液供給管167の内部に処理液Lを送る。フィルタ163は、配管161を流れる処理液Lをろ過する。ヒータ164は、配管161を流れる処理液Lを加熱する。ヒータ164により、処理液Lの温度が調整される。
【0056】
調整バルブ165は、配管161の開度を調節することで、処理液供給管167の内部に供給される処理液Lの流量を調整する。調整バルブ165は、処理液Lの流量を調整する。調整バルブ165は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。他の調整バルブについても同様である。バルブ166は配管161を開閉する。
【0057】
処理液供給管167は、管状の部材である。処理液供給管167は、処理槽110の内槽112内に配置される。処理液供給管167は、貯留処理液L1に浸漬される。処理液供給管167の外部には、貯留処理液L1が存在する。
【0058】
処理液供給管167には、処理液放出口Nが形成される。処理液放出口Nは、処理液供給管167の内部と外部とを連通する孔である。処理液放出口Nは、貯留処理液L1に浸漬されることで、貯留処理液L1内に配置される。
【0059】
処理液供給管167の内部を流れる処理液Lは、処理液放出口Nを介して処理液供給管167の外部に放出される。その結果、処理液放出口Nから貯留処理液L1内に、処理液供給管167の内部を流れる処理液Lが放出される。
【0060】
処理液供給管167は、本発明の第2管部の一例である。
【0061】
なお、調整バルブ165を省略してもよい。この場合、処理液供給管167に供給される処理液Lの流量は、ポンプ162の制御よって調整される。
【0062】
基板処理装置100は、処理液供給部170と、水供給部180とをさらに備える。
【0063】
処理液供給部170は、ノズル172と、配管174と、バルブ176とをさらに含む。ノズル172は処理液Lを内槽112に吐出する。ノズル172は、配管174に接続される。配管174には、処理液供給源からの処理液Lが供給される。配管174には、バルブ176が配置される。
【0064】
制御部140がバルブ176を開くと、ノズル172から吐出された処理液Lが、内槽112内に供給される。そして、内槽112の上縁から処理液Lが溢れると、溢れた処理液Lは、外槽114によって受け止められ、回収される。
【0065】
水供給部180は、水を外槽114に供給する。水供給部180は、ノズル182と、配管184と、バルブ186とを含む。ノズル182は、水を外槽114に吐出する。ノズル182は、配管184に接続される。配管184に供給される水は、DIW(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水及び希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを採用することができる。配管184には、水供給源からの水が供給される。配管184には、バルブ186が配置される。制御部140がバルブ186を開くと、ノズル182から吐出された水が、外槽114内に供給される。
【0066】
例えば、基板処理装置100は、シリコン基板からなる基板Wのパターン形成側の表面に対して、シリコン酸化膜(酸化膜)及びシリコン窒化膜(窒化膜)のエッチング処理を施す。このようなエッチング処理では、基板Wの表面から酸化膜及び窒化膜が選択的に除去される。処理液Lは、例えば、燐酸を含む液体である。なお、処理液Lは、混酸を含む液体でもよい。
【0067】
次に、図1図3(b)を参照して、基板処理装置100による基板Wの処理方法を説明する。図2は、本実施形態の基板Wの処理方法を示すフロー図である。図3(a)は、基板Wが貯留処理液L1に浸漬される前の状態を示す図である。図3(b)は、基板Wが貯留処理液L1に浸漬された状態を示す図である。
【0068】
図1及び図2に示すように、S101において、循環部160は処理液Lの循環を開始する。制御部140がバルブ166を開くことにより、処理液Lが内槽112、外槽114、配管161、及び処理液供給管167の順番に流れる。配管161から処理液供給管167の内部に供給された処理液Lは、処理液放出口Nから貯留処理液L1内に放出される。その結果、処理液Lが循環する。
【0069】
図2図3(a)及び図3(b)に示すように、S102において、昇降ユニット126は、本体板122及び保持棒124によって基板Wを保持したまま下降させることで、貯留処理液L1に基板Wを浸漬する。
【0070】
図1及び図2に示すように、S103において、気泡供給部130は、貯留処理液L1内に気泡を供給する処理を開始する。制御部140がバルブ154を開くことにより、気体供給管131の気泡放出口Mから貯留処理液L1内に気泡が放出される。
【0071】
S104において、制御部140は、バルブ154を閉じることにより、気泡供給部130による気泡の供給処理を終了する。
【0072】
S105において、昇降ユニット126は、本体板122及び保持棒124によって基板Wを保持したまま上昇させることで、貯留処理液L1内から基板Wを引き上げる。その結果、基板Wに対する処理が終了する。
【0073】
次に、図1及び図4を参照して、気体供給管131と処理液供給管167とについて説明する。
【0074】
図1に示すように、基板処理装置100は、配管群G1を含む。配管群G1は、気体供給管131と、一対の処理液供給管167とで構成される。第1実施形態では、複数の配管群G1が設けられる。具体的には、2つの配管群G1が設けられる。2つの配管群G1は、仮想中心線CLを中心に対称に配置される。仮想中心線CLは、内槽112の中心を通り、かつ、Z軸に平行な仮想線である。
【0075】
図4は、配管群G1をZ軸方向から見た図である。
【0076】
図1及び図4に示すように、気体供給管131と処理液供給管167とは、内槽112の底部12a(図5参照)に配置される。気体供給管131と処理液供給管167とは、貯留処理液L1に浸漬された基板Wよりも下方に位置する。気体供給管131と処理液供給管167との各々は、Y軸方向に沿って延びる。
【0077】
気体供給管131には、複数の気泡放出口Mが形成される。複数の気泡放出口Mは、Y軸方向に沿って並ぶ。気体供給管131の内径は、例えば、約1mm以下である。気泡放出口Mの内径は、例えば、約5mm以下である。
【0078】
処理液供給管167には、複数の処理液放出口Nが形成される。複数の処理液放出口Nは、Y軸方向に沿って並ぶ。処理液供給管167の内径は、例えば、約30mm以下である。処理液放出口Nの内径は、例えば、約2mm以下である。
【0079】
配管群G1において、気体供給管131と、一対の処理液供給管167とは、互いに平行に配置される。配管群G1において、気体供給管131と、一対の処理液供給管167とは、X軸方向に沿って並ぶ。配管群G1において、一対の処理液供給管167の間には、気体供給管131が配置される。一対の処理液供給管167は、気体供給管131を挟むようにして配置される。
【0080】
次に、図4及び図5を参照して、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第1例について説明する。図5は、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第1例を示す図である。
【0081】
以下では、2つの配管群G1のうちの1つである配管群G11に着目して説明する。また、複数の気泡放出口Mのうちの1つである気泡放出口M1と、複数の処理液放出口Nのうちの1つである処理液放出口N1とに着目して説明する。
【0082】
図4及び図5に示すように、配管群G11において、一対の処理液供給管167には、それぞれ、処理液放出口N1が形成される。処理液放出口N1は、処理液供給管167のうち気泡放出口M1が位置する側に配置される。
【0083】
配管群G11において、気体供給管131には、気泡放出口M1が形成される。気泡放出口M1は、気体供給管131の上端部に配置される。
【0084】
一対の処理液放出口N1は、互いに間隔を空けて配置されている。一対の処理液放出口N1の間には、気泡放出口M1が配置される。Z軸方向から見て(上方から見て)、処理液放出口N1の側方に気泡放出口M1が配置される。
【0085】
一対の処理液放出口N1の各々は、第1方向D1に向かって開口する。第1方向D1は、処理液供給管167の中心T1から気体供給管131に向かう方向である。詳細には、第1方向D1は、処理液供給管167の中心T1から気体供給管131の気泡放出口M1に向かう方向である。処理液供給管167の中心T1は、処理液供給管167のうち処理液放出口N1が位置する場所を、処理液供給管167の延びる方向(Y軸方向)に対して垂直な方向に切断したときに形成される処理液供給管167の断面の中心である。
【0086】
次に、図5図7を参照して、気体供給管131の気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理について説明する。図6(a)は、気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理を示す第1の模式図である。図6(b)は、気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理を示す第2の模式図である。図7は、気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理を示す第3の模式図である。
【0087】
図5及び図6(a)に示すように、一対の処理液放出口N1の各々は、第1方向D1に向かって開口するので、第1方向D1に処理液Lを放出する。その結果、一対の処理液放出口N1の各々から第1方向D1に向かうように、貯留処理液L1の第1液流R1が生成される。
【0088】
第1液流R1は、第1方向D1に向かって生成されることで、気泡放出口M1に向かった後、気泡放出口M1の周辺を流れる。
【0089】
図5及び図6(b)に示すように、貯留処理液L1内に気体Kの隆起部分KIが発生する。隆起部分KIは、気体供給管131に供給された気体Kのうち、気泡放出口M1から貯留処理液L1内に隆起する部分である。隆起部分KIの周辺には、第1液流R1が流れる。第1実施形態では、一対の第1液流R1の間に隆起部分KIが位置する。
【0090】
隆起部分KIは、気泡放出口M1の周辺を流れる第1液流R1の圧力を受ける。その結果、気体供給管131の内部に存在する気体Kから、隆起部分KIがせん断(分離)されやすくなる。
【0091】
第1液流R1の流れによる圧力は、本発明のせん断力の第1例である。
【0092】
図5及び図7に示すように、隆起部分KIがせん断されると、気泡KAになる。気泡KAは、貯留処理液L1内を浮上する。
【0093】
以上、図1図7を参照して説明したように、循環部160は、処理液供給管167の処理液放出口N1から処理液Lを放出することで、気泡供給部130に対して貯留処理液L1の第1液流R1を生成する。従って、図6(b)に示すように、成長中の隆起部分KIに対して、第1液流R1の圧力を作用させることができる。その結果、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できるので、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0094】
また、早期に隆起部分KIがせん断されることで、単位時間当たりに生成される気泡KAの個数を増やすことができる。その結果、多数の小さい気泡KAを用いて基板Wの処理を迅速に行うことができる。
【0095】
[第2実施形態]
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図8は、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第2例を示す図である。
【0096】
第2実施形態は、処理液放出口N1の開口する方向が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。また、配管群G11に着目して説明する。
【0097】
図8に示すように、Z軸方向から見て、処理液放出口N1の側方に気泡放出口M1が配置される。
【0098】
一対の処理液放出口N1の各々は、処理液供給管167の下端側に配置される。一対の処理液放出口N1の各々は、第2方向D2に向かって開口する。第2方向D2は、処理液供給管167の中心T1から内槽112の底部12aに向かい、内槽112の底部12aで反射した後、気体供給管131に向かう方向である。
【0099】
一対の処理液放出口N1の各々は、第2方向D2に向かって開口するので、第2方向D2に処理液Lを放出する。その結果、一対の処理液放出口N1の各々から第2方向D2に向かうように、貯留処理液L1の第2液流R2が生成される。
【0100】
第2液流R2は、第2方向D2に向かって生成されることで、内槽112の底部12aに向かい、内槽112の底部12aで反射した後、気体供給管131に向かう。気体供給管131に到達した第2液流R2は、気体供給管131の外周に沿って流れる。そして、第2液流R2は、気泡放出口M1の周辺を流れた後、気体供給管131を通過する。
【0101】
気泡放出口M1の周辺を流れる第2液流R2は、気体Kの隆起部分KI(図6(b)参照)に対して、第2液流R2の流れによる圧力を付与する。従って、第2液流R2の圧力により、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できる。その結果、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0102】
第2液流R2の流れによる圧力は、本発明のせん断力の第2例である。
【0103】
[第3実施形態]
図9を参照して、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図9は、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第3例を示す図である。
【0104】
第3実施形態は、気体供給管131に対する処理液供給管167の位置が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。また、配管群G11に着目して説明する。
【0105】
図9に示すように、第3実施形態では、配管群G1は、1つの気体供給管131と、1つの処理液供給管167とで構成される。処理液供給管167は、気体供給管131の下方に配置される。
【0106】
処理液放出口N1は、気泡放出口M1の下方に配置される。処理液放出口N1は、処理液供給管167の上端側に配置される。処理液放出口N1は、第3方向D3に向かって開口する。第3方向D3は、処理液供給管167の中心T1から気体供給管131に向かう方向である。第3実施形態では、第3方向D3は、上方向である。
【0107】
処理液放出口N1は、第3方向D3に向かって開口するので、第3方向D3に処理液Lを放出する。その結果、処理液放出口N1から第3方向D3に向かうように、貯留処理液L1の第3液流R3が生成される。
【0108】
第3液流R3は、第3方向D3に向かって生成されることで、気体供給管131に向かう。気体供給管131に到達した第3液流R3は、気体供給管131の外周に沿って流れる。そして、第3液流R3は、気泡放出口M1の周辺を流れた後、気体供給管131を通過する。なお、第3液流R3は、気体供給管131に到達すると分離して一対の第3液流R3になり、一対の第3液流R3が気体供給管131を挟むようにして気体供給管131の外周に沿って流れる。
【0109】
気泡放出口M1の周辺を流れる第3液流R3は、気体Kの隆起部分KI(図6(b)参照)に対して、第3液流R3の流れによる圧力を付与する。従って、第3液流R3の圧力により、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できる。その結果、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0110】
第3液流R3の流れによる圧力は、本発明のせん断力の第3例である。
【0111】
[第4実施形態]
図10を参照して、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図10は、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第4例を示す図である。
【0112】
第4実施形態は、気体供給管131に対する処理液供給管167の位置が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。また、配管群G11に着目して説明する。
【0113】
図10に示すように、一対の処理液供給管167は、気体供給管131の下方で互いに間隔を空けて配置される。
【0114】
Z軸方向から見て、処理液放出口N1の側方に気泡放出口M1が配置される。
【0115】
一対の処理液放出口N1の各々は、処理液供給管167の上端側に配置される。処理液放出口N1は、第4方向D4に向かって開口する。第4方向D4は、処理液供給管167の中心T1から気体供給管131に向かう方向である。第4実施形態では、第4方向D4は、斜め上方向である。
【0116】
一対の処理液放出口N1の各々は、第4方向D4に向かって開口するので、第4方向D4に処理液Lを放出する。その結果、一対の処理液放出口N1の各々から第4方向D4に向かうように、貯留処理液L1の第4液流R4が生成される。
【0117】
第4液流R4は、第4方向D4に向かって生成されることで、気体供給管131に向かう。気体供給管131に到達した第4液流R4は、気体供給管131の外周に沿って流れる。そして、第4液流R4は、気泡放出口M1の周辺を流れた後、気体供給管131を通過する。
【0118】
気泡放出口M1の周辺を流れる第4液流R4は、気体Kの隆起部分KI(図6(b)参照)に対して、第4液流R4の流れによる圧力を付与する。従って、第4液流R4の圧力により、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できる。その結果、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0119】
第4液流R4の流れによる圧力は、本発明のせん断力の第4例である。
【0120】
[第5実施形態]
図11を参照して、本発明の第5実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図11は、気泡放出口Mと処理液放出口Nとの位置関係の第5例を示す図である。
【0121】
第5実施形態は、処理液Lが処理液供給管167から複数の方向に放出される点が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。また、配管群G11に着目して説明する。
【0122】
図11に示すように、一対の処理液供給管167の各々には、複数の処理液放出口Nが形成される。第3実施形態では、一対の処理液供給管167の各々には、3つの処理液放出口Nが形成される。3つの処理液放出口Nは、処理液放出口N1と、処理液放出口N2と、処理液放出口N3とで構成される。
【0123】
処理液放出口N1は、図5に示す処理液放出口N1に相当し、第1方向D1に向かって開口する。その結果、処理液放出口N1により第1液流R1が生成されるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0124】
処理液放出口N2は、第1方向D1とは異なる第6方向D6に向かって開口することで、処理液放出口N2から第6方向D6に向かうように貯留処理液L1の液流を生成する。処理液放出口N3は、第1方向D1及び第6方向D6とは異なる第7方向D7に向かって開口することで、処理液放出口N3から第7方向D7に向かうように貯留処理液L1の液流を生成する。第7方向D7は、第6方向D6を中心にして、第1方向D1と対称な方向である。第1液流R1以外にも貯留処理液L1の液流を生成することで、貯留処理液L1の攪拌を効果的に行うことができる。
【0125】
[第6実施形態]
図12図13(b)を参照して、本発明の第6実施形態に係る基板処理装置100を説明する。図12は、気体Kの隆起部分KIに対してせん断力を付与するための構成の一例を示す模式図である。
【0126】
第6実施形態は、貯留処理液L1の液流を用いず、気泡放出口Mを移動させることによって気体Kの隆起部分KIに対してせん断力を付与する点が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。
【0127】
図12に示すように、基板処理装置100は、移動部190をさらに備える。
【0128】
移動部190は、内槽112(図1参照)に対して気体供給管131を移動させる。移動部190は、例えば、モータを含む。移動部190は、例えば、気体供給管131を振動させる。移動部190は、制御部140によって制御される。
【0129】
次に、図12図13(b)を参照して、気体供給管131の気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理について説明する。図13(a)は、気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理を示す第4の模式図である。図13(b)は、気泡放出口M1から気泡KAが放出される原理を示す第5の模式図である。
【0130】
図12及び図13(a)に示すように、移動部190が気体供給管131を振動させることで、気体Kの隆起部分KIが振動する。その結果、気体供給管131の内部に存在する気体Kから、隆起部分KIがせん断されやすくなる。
【0131】
気体供給管131に付与される振動は、本発明のせん断力の第5例である。
【0132】
図12及び図13(b)に示すように、隆起部分KIがせん断されると、気泡KAになる。気泡KAは、貯留処理液L1内を浮上する。
【0133】
以上、図12図13(b)を参照して説明したように、移動部190が気体供給管131を振動させる。従って、成長中の隆起部分KIに対して、振動を付与することができる。その結果、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できるので、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0134】
なお、移動部190は、気体供給管131に超音波を付与することで気体供給管131を振動させてもよい。
【0135】
また、移動部190は、気体供給管131を平行移動させてもよい。気体供給管131が平行移動する際、隆起部分KIは、気体供給管131から貯留処理液L1内に突出しているので、気体供給管131の移動方向とは反対方向に、貯留処理液L1から圧力を受ける。その結果、貯留処理液L1からの圧力により、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できるので、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0136】
気体供給管131が平行移動する際、隆起部分KIが貯留処理液L1から受ける圧力は、本発明のせん断力の第6例である。なお、気体供給管131を平行移動させる方向は、特に限定されない。
【0137】
また、移動部190は、気体供給管131を気体供給管131の軸回りに回転させてもよい。気体供給管131が回転する際、隆起部分KIは、気体供給管131から貯留処理液L1内に突出しているので、気体供給管131の回転方向とは反対方向に、貯留処理液L1から圧力を受ける。その結果、貯留処理液L1から圧力により、成長中の隆起部分KIを早期にせん断できるので、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0138】
気体供給管131が回転する際、隆起部分KIが貯留処理液L1から受ける圧力は、本発明のせん断力の第7例である。
【0139】
以上、図面(図1図13(b))を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(6))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0140】
(1)第1実施形態~第5実施形態において、制御部140は、調整バルブ165により配管161の開度を調整することで、気体供給管131に付与される第1液流R1~第4液流R4の各々の圧力の大きさを制御する。
【0141】
制御部140は、配管161の開度を一定にすることで、第1液流R1~第4液流R4の各々の圧力の大きさを一定にしてよい。また、制御部140は、配管161の開度を所定時間間隔で変更することで、第1液流R1~第4液流R4の各々の圧力の大きさを周期的に変更してもよい。すなわち、制御部140は、第1液流R1~第4液流R4の各々の圧力の大きさに強弱をつけてもよい。
【0142】
(2)第1実施形態~第6実施形態において、気体供給管131(図4参照)のうち気泡放出口Mが形成される部分は、例えば、フッ素コーティングされることで、疎水処理が施されてもよい。その結果、気泡KAの泡切れをよくすることができるので、気泡KAが大きくなることを効果的に抑制できる。なお、疎水処理は、気体供給管131のうち気泡放出口Mが形成される部分のみならず、気体供給管131全体に施されてもよい。
【0143】
(3)第1実施形態~第6実施形態において、気泡放出口Mは、上方に向かって開口する。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0144】
図14を参照して、気泡放出口Mの第1変形例について説明する。図14は、気泡放出口Mの第1変形例を示す図である。
【0145】
図14に示すように、第1変形例において、気泡放出口Mは、横向きに開口する。横向きは、水平方向(X軸方向)に平行な向きである。従って、気体Kの隆起部分KIが気泡放出口Mから浮上しようとする際に、気泡放出口Mの上端に接触するので、気泡放出口Mの上端により隆起部分KIを効果的にせん断することができる。その結果、気泡KAが大きくなることを抑制できる。
【0146】
(4)図15を参照して、気泡放出口Mの第2変形例について説明する。図15は、気泡放出口Mの第2変形例を示す図である。
【0147】
図15に示すように、第2変形例において、気泡放出口Mの開口面積が、気体供給管131の外部に向かうに従って小さくなる。以下では、気泡放出口Mの第2変形例について詳細に説明する。
【0148】
気体供給管131は、内面131bと、外面131cとを有する。内面131bは、気体供給管131の内部131aに対向する。外面131cは、気体供給管131の内部に対向する。
【0149】
気泡放出口Mは、外側開口Maと、内側開口Mbとを有する。外側開口Maは、外面131cに形成される。内側開口Mbは、内面131bに形成される。内側開口Mbは、外側開口Maに連通する。
【0150】
外側開口Maの開口面積V1は、内側開口Mbの開口面積V2よりも小さい(V1<V2)。その結果、内側開口Mbから外側開口Maに向かうに従って、気泡放出口Mの開口面積が小さくなるので、気泡KAが大きくなることを効果的に抑制できる。開口面積は、内側開口Mbから外側開口Maに向かう方向に対して垂直な気泡放出口Mの断面の面積である。
【0151】
なお、内側開口Mbから外側開口Maに向かうに従って、気泡放出口Mの開口面積が徐々に小さくなってもよい。また、内側開口Mbから外側開口Maに向かうに従って、気泡放出口Mの開口面積が段階的に小さくなってもよい。
【0152】
(5)図16を参照して、気体供給管131の変形例について説明する。図16は、気体供給管131の変形例を示す図である。
【0153】
図16に示す気体供給管131の変形例は、二重管構造を有する。以下では、気体供給管131の変形例について詳細に説明する。
【0154】
気体供給管131は、外側配管131dと、内側配管131eとを有する。外側配管131d、及び内側配管131eの各々は、管状の部材である。外側配管131dの外径は、内側配管131eの外径よりも大きい。外側配管131dの内部には、内側配管131eが配置される。内側配管131eの内部131fには気体Kが流れる。
【0155】
気泡放出口Mは、第1開口MAと、第2開口MBとを有する。第1開口MAは、外側配管131dに形成され、外側配管131dの内部と外部とを連通する。第2開口MBは、内側配管131eに形成され、内側配管131eの内部131fと外部とを連通する。第1開口MAと、第2開口MBとは、互いに同じ向きに開口する。第1開口MAの開口面積V3は、第2開口MBの開口面積V4と略同じである(V3≒V4)。その結果、第1開口MAと、第2開口MBとにより隆起部分KI(図6(b)参照)に対して二重に圧力を加えることができるので、隆起部分KIの成長を抑制できる。なお、第1開口MAの開口面積V3が、第2開口MBの開口面積V4よりも小さくてもよい(V3<V4)。
【0156】
(6)第1実施形態~第6実施形態において、気泡供給部130である気体供給管131は、石英を含む。しかし、本発明はこれに限定されない。第1実施形態~第6実施形態において、気体供給管131は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含んでいてもよい。すなわち、第1実施形態~第6実施形態において、PEEK製の気体供給管131が用いられてもよい。
【0157】
以下では、図1図4、及び図17を参照して、基板処理装置100において、PEEK製の気体供給管131が用いられる理由について説明する。
【0158】
図1及び図4に示すように、基板処理装置100による基板Wの処理が行われる際、気体供給管131は、高温(例えば、160℃程度)の処理液L(燐酸水溶液)に浸漬される(図1参照)。しかし、気体供給管131を石英により形成した場合、気体供給管131が長期間(例えば、半年から1年)使用されると、気体供給管131が高温の処理液Lに長期間浸漬されることで、気泡放出口Mの径が拡大することがある。この場合、複数の気泡放出口Mのうち、径が拡大した気泡放出口Mから気泡KAが放出されることで、複数の気泡放出口Mからの気泡KAの放出にバラツキが生じ、基板処理装置100による基板Wの処理能力が低下する可能性がある。そこで、石英製の気体供給管131は、半年から1年程度で交換されていた。
【0159】
本願発明者は、気泡放出口Mの径が拡大することを抑制して、気体供給管131の交換寿命を延ばすため、気体供給管131の材料として、石英よりも処理液Lへの浸漬に長期間耐え得る樹脂を用いることとした。また、本願発明者は、気体供給管131の材料とする樹脂として、PEEKと、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)と、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)とを候補に挙げた。そして、本願発明者は、PEEK、PFA、及びPTFEのうちのどの樹脂が気体供給管131の材料として最も適しているかを検証した。
【0160】
なお、検証で用いられた気体供給管131において、気泡放出口Mの内径は、0.2mmである。また、検証で用いられた気体供給管131の外径は、8mmであり、内径は、4mmである。また、検証で用いられた気体供給管131の長さは400mmである。なお、気体供給管131の寸法はこれらに限られず、例えば、気体供給管131の外径は、6mm以上、12mm以下であってもよく、内径は、2mm以上、10mm以下であってもよい。
【0161】
また、処理液供給管167において、処理液放出口Nの内径は、例えば、1mmである。処理液放出口Nからは、気泡KAではなく、処理液Lが放出される。従って、処理液供給管167は、気体供給管131のような気泡KAのバラツキに起因した問題が生じないので、処理液供給管167の交換寿命(数年程度)は、気体供給管131の交換寿命(半年から一年程度)よりも長くなる。そこで、気体供給管131の方が処理液供給管167よりも交換頻度が多くなるので、本願発明者は、気体供給管131の交換寿命を延ばすことを課題とした。そして、本願発明者は、当該課題を解決するために、気体供給管131の材料を工夫した。
【0162】
以下では、図17を参照して、PEEKと、PFAと、PTFEとの比較結果について説明する。図17は、PEEKと、PFAと、PTFEとの比較結果を示す表Hである。なお、図17の表Hには、参考として石英に関する情報も記載されている。
【0163】
図17の表Hに示すように、耐熱温度については、PEEKと、PFAと、PTFEとが略同じである。従って、耐熱温度については、各種気体供給管(PEEK製の気体供給管131、PFA製の気体供給管131、及びPTFE製の気体供給管131)の間では差が生じない。
【0164】
表Hに示すように、線膨張係数については、各種樹脂材料(PEEK、PFA、及びPTFE)の間では、PEEKが最も低い。従って、各種気体供給管の間では、PEEK製の気体供給管131が、最も熱膨張しにくいので、内槽112内において熱膨張による位置ズレが最も生じにくい点で有利である。
【0165】
表Hに示すように、硬さについては、各種樹脂材料の間では、PEEKが最も硬い。従って、各種気体供給管の間では、PEEK製の気体供給管131が、外部から圧力を加えられても最も変形しにくい点で有利である。
【0166】
表Hに示すように、熱変形温度については、各種樹脂材料の間では、PEEKが最も高い。従って、各種気体供給管の間では、PEEK製の気体供給管131が、最も熱変形しにくい点で有利である。
【0167】
なお、表Hには、PEEKが、1.8MPaの圧力を加えられた状態で、152℃まで加熱されることで熱変形する情報が記載されている。しかし、基板処理装置100による基板Wの処理が行われる際、160℃程度の処理液Lが用いられるが、気体供給管131に対して1.8MPaのような高い圧力が加えられることは通常はない。その結果、基板処理装置100による基板Wの処理が行われる際、160℃程度の処理液Lが用いられても、PEEK製の気体供給管131が熱変形することが抑制される。
【0168】
また、本願発明者は、気体供給管131の表面の濡れ性(接触角)によって、気泡放出口Mから吐出される気泡KAの泡切れが影響を受けることを発見した。具体的には、本願発明者は、気体供給管131の表面の濡れ性が小さくなるほど(接触角が大きくなるほど)、気泡KAの泡切れがよくなり、気泡放出口Mから小さい気泡KAを放出できることを発見した。また、本願発明者は、各種気体供給管のうちで、PEEK製の気体供給管131の表面の濡れ性が最も小さいので、PEEK製の気体供給管131の気泡放出口Mから小さい気泡KAを効果的に放出できることを発見した。
【0169】
本願発明者は、上記した線膨張係数の観点、硬さの観点、熱変形温度の観点、及び濡れ性の観点を総合的に判断して、各種気体供給管のうちで、PEEK製の気体供給管131を用いることが最も有利であることを確認した。その結果、基板処理装置100において、PEEK製の気体供給管131が用いられる。
【0170】
以上のように、基板処理装置100において、PEEK製の気体供給管131が用いられることで、処理液Lに対する気体供給管131の耐久性を向上させることができ、気体供給管131の交換寿命を延ばすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、基板処理装置、及び基板処理方法の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0172】
100 基板処理装置
112 内槽(貯留部)
130 気泡供給部
160 循環部(液流生成部)
KA 気泡
L 処理液
L1 貯留処理液
R1 第1液流(液流)
R2 第2液流(液流)
R3 第3液流(液流)
R4 第4液流(液流)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、処理液に供給される気泡が大きくなることを抑制できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によれば、基板処理装置は、貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う。基板処理装置は、管部と、液流生成部とを備える。管部は、前記貯留処理液に気泡を供給する。液流生成部は、前記管部に対して前記貯留処理液の液流を生成する。管部は、ポリエーテルエーテルケトンを含む。管部の内径は、2mm以上10mm以下である
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の基板処理装置において、前記管部の外径は、6mm以上12mm以下である
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の基板処理装置において、前記貯留処理液は、燐酸水溶液である
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の基板処理装置によれば、処理液に供給される気泡が大きくなることを抑制できる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部に貯留される処理液である貯留処理液に基板を浸漬して前記基板の処理を行う基板処理装置であって、
前記貯留処理液に気泡を供給する管部と、
前記管部に対して前記貯留処理液の液流を生成する液流生成部と
を備え、
前記管部は、ポリエーテルエーテルケトンを含み、
前記管部の内径は、2mm以上10mm以下である、基板処理装置。
【請求項2】
前記管部の外径は、6mm以上12mm以下である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記貯留処理液は、燐酸水溶液である、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。