(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171652
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G03G15/20 555
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177458
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2019199740の分割
【原出願日】2019-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 昂生
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佐助
(57)【要約】
【課題】温度ムラを抑制することができる加熱装置および画像処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の加熱装置は、回転フィルムと、第1温度計と、第2温度計と、発熱体と、支持部材と、ステイと、を持つ。回転フィルムは、第1方向に長さを有し、第1方向に平行な軸の周りを回転する。第1温度計は、回転フィルムの内面に接触する。第2温度計は、回転フィルムの第1方向の中心に近くかつ回転フィルムの中心から第1方向にずれた位置で回転フィルムの内面に接触する。発熱体は、第1方向に長さを有し、第1方向に直交し回転フィルムの回転方向と一致する第2方向に幅を有する。支持部材は、回転フィルムに対して固定された位置に発熱体を保持する。ステイは、支持部材、第1温度計および第2温度計を支持し、第1方向に延び、回転フィルムに囲まれている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長さを有し、前記第1方向に平行な軸の周りを回転する回転フィルムと、
前記回転フィルムの内面に接触する第1温度計と、
前記回転フィルムの前記第1方向の中心に近くかつ前記回転フィルムの中心から前記第1方向にずれた位置で前記回転フィルムの内面に接触する第2温度計と、
前記第1方向に長さを有し、前記第1方向に直交し前記回転フィルムの回転方向と一致する第2方向に幅を有する発熱体と、
前記回転フィルムに対して固定された位置に前記発熱体を保持する支持部材と、
前記支持部材、前記第1温度計および前記第2温度計を支持し、前記第1方向に延び、前記回転フィルムに囲まれているステイと、を有する、
加熱装置。
【請求項2】
前記第1温度計は、前記回転フィルムの回転方向において前記発熱体よりも下流側で前記回転フィルムの内面に接触する、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記回転フィルムの内面に対向し、前記回転フィルムの内面に接する湾曲部を有する、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記第2温度計は、前記回転フィルムの回転方向において前記発熱体よりも下流側で前記回転フィルムの内面に接触する、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記第1温度計および前記第2温度計は、前記回転フィルムの回転方向において前記発熱体よりも下流側で前記回転フィルムの内面に接触する、
請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、加熱装置および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置として、シートに画像を形成する画像形成装置が利用されている。画像形成装置は、トナー(記録剤)をシートに定着させる加熱装置を有する。加熱装置には、温度ムラを抑制することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、温度ムラを抑制することができる加熱装置および画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の加熱装置は、回転フィルムと、第1温度計と、第2温度計と、発熱体と、支持部材と、ステイと、を持つ。回転フィルムは、第1方向に長さを有し、第1方向に平行な軸の周りを回転する。第1温度計は、回転フィルムの内面に接触する。第2温度計は、回転フィルムの第1方向の中心に近くかつ回転フィルムの中心から第1方向にずれた位置で回転フィルムの内面に接触する。発熱体は、第1方向に長さを有し、第1方向に直交し回転フィルムの回転方向と一致する第2方向に幅を有する。支持部材は、回転フィルムに対して固定された位置に発熱体を保持する。ステイは、支持部材、第1温度計および第2温度計を支持し、第1方向に延び、回転フィルムに囲まれている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の画像処理装置のハードウエア構成図。
【
図10】第2の実施形態の第1変形例におけるガイド部材の底面図。
【
図11】第2の実施形態の第2変形例におけるガイド部材の底面図。
【
図12】第2の実施形態の第3変形例におけるガイド部材の底面図。
【
図16】第3の実施形態の第1変形例における支持部材の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の加熱装置および画像処理装置を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の画像処理装置の概略構成図である。実施形態の画像処理装置は、画像形成装置1である。画像形成装置1は、シート(用紙)Sに画像を形成する処理を行う。
画像形成装置1は、ハウジング10と、スキャナ部2と、画像形成ユニット3と、シート供給部4と、搬送部5と、排紙トレイ7と、反転ユニット9と、コントロールパネル8と、制御部6と、を有する。
【0008】
ハウジング10は、画像形成装置1の外形を形成する。
スキャナ部2は、複写対象物の画像情報を光の明暗として読み取り、画像信号を生成する。スキャナ部2は、生成した画像信号を画像形成ユニット3に出力する。
画像形成ユニット3は、スキャナ部2から受信した画像信号または外部から受信した画像信号に基づいて、トナー等の記録剤により出力画像(以下、トナー像という)を形成する。画像形成ユニット3は、トナー像をシートSの表面上に転写する。画像形成ユニット3は、シートSの表面上のトナー像を加熱および加圧して、トナー像をシートSに定着させる。画像形成ユニット3の詳細は後述される。
【0009】
シート供給部4は、画像形成ユニット3がトナー像を形成するタイミングに合わせて、シートSを1枚ずつ搬送部5に供給する。シート供給部4は、シート収容部20と、ピックアップローラ21と、を有する。
シート収容部20は、所定のサイズおよび種類のシートSを収納する。
ピックアップローラ21は、シート収容部20からシートSを1枚ずつ取り出す。ピックアップローラ21は、取り出したシートSを搬送部5へ供給する。
【0010】
搬送部5は、シート供給部4から供給されるシートSを画像形成ユニット3に搬送する。搬送部5は、搬送ローラ23と、レジストローラ24と、を有する。
搬送ローラ23は、ピックアップローラ21から供給されるシートSをレジストローラ24へ搬送する。搬送ローラ23は、シートSの搬送方向の先端をレジストローラ24のニップNに突き当てる。
レジストローラ24は、ニップNにおいてシートSを撓ませることにより、搬送方向でのシートSの先端の位置を整える。レジストローラ24は、画像形成ユニット3がトナー像をシートSに転写するタイミングに応じてシートSを搬送する。
【0011】
画像形成ユニット3について説明する。
画像形成ユニット3は、複数の画像形成部25と、レーザ走査ユニット26と、中間転写ベルト27と、転写部28と、定着装置30と、を有する。
画像形成部25は、感光体ドラム25dを有する。画像形成部25は、スキャナ部2または外部からの画像信号に応じたトナー像を感光体ドラム25dに形成する。複数の画像形成部25Y,25M,25C,25Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーによるトナー像を形成する。
【0012】
感光体ドラム25dの周囲には、帯電器、現像器などが配置される。帯電器は、感光体ドラム25dの表面を帯電させる。現像器は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナーを含む現像剤を収容する。現像器は、感光体ドラム25d上の静電潜像を現像する。この結果、感光体ドラム25d上には、各色のトナーによるトナー像が形成される。
【0013】
レーザ走査ユニット26は、帯電した感光体ドラム25dにレーザ光Lを走査して感光体ドラム25dを露光する。レーザ走査ユニット26は、各色の画像形成部25Y,25M,25C,25Kの感光体ドラム25dを、各別のレーザ光LY,LM,LC,LKで露光する。これによりレーザ走査ユニット26は、感光体ドラム25dに静電潜像を形成する。
【0014】
中間転写ベルト27には、感光体ドラム25dの表面のトナー像が1次転写される。
転写部28は、中間転写ベルト27上に1次転写されたトナー像を2次転写位置においてシートSの表面上に転写する。
定着装置30は、シートSに転写されたトナー像を加熱および加圧して、トナー像をシートSに定着させる。定着装置30の詳細は後述される。
【0015】
反転ユニット9は、シートSの裏面に画像を形成するためシートSを反転させる。反転ユニット9は、定着装置30から排出されるシートSを、スイッチバックにより表裏反転させる。反転ユニット9は、反転したシートSをレジストローラ24に向けて搬送する。
排紙トレイ7は、画像が形成されて排出されたシートSを載置する。
コントロールパネル8は、操作者が画像形成装置1を操作するための情報を入力する入力部の一部である。コントロールパネル8は、タッチパネルや各種ハードキーを有する。
制御部6は、画像形成装置1の各部の制御を行う。
【0016】
図2は、実施形態の画像処理装置のハードウエア構成図である。画像形成装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、補助記憶装置93などを備え、プログラムを実行する。画像形成装置1は、プログラムの実行によってスキャナ部2、画像形成ユニット3、シート供給部4、搬送部5、反転ユニット9、コントロールパネル8、通信部90を備える装置として機能する。
【0017】
CPU91は、メモリ92および補助記憶装置93に記憶されたプログラムを実行することによって制御部6として機能する。制御部6は、画像形成装置1の各機能部の動作を制御する。
補助記憶装置93は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。補助記憶装置93は、情報を記憶する。
通信部90は、自装置を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部90は、通信インタフェースを介して外部装置と通信する。
【0018】
(第1の実施形態)
定着装置30について詳しく説明する。
図3は、第1の実施形態の加熱装置の正面断面図である。第1の実施形態の加熱装置は、定着装置30である。定着装置30は、加圧ローラ30pと、フィルムユニット30hと、を有する。
【0019】
加圧ローラ30pは、フィルムユニット30h(後述されるヒータユニット40)との間でニップNを形成する。加圧ローラ30pは、ニップNに進入したシートSのトナー像を加圧する。加圧ローラ30pは、自転してシートSを搬送する。加圧ローラ30pは、芯金32と、弾性層33と、離型層(不図示)と、を有する。
【0020】
芯金32は、ステンレス等の金属材料により円柱状に形成される。芯金32の軸方向の両端部は、回転可能に支持される。芯金32は、モータ(不図示)により回転駆動される。芯金32は、カム部材(不図示)に当接する。カム部材は、回転することにより、芯金32をフィルムユニット30hに対して接近および離反させる。
【0021】
弾性層33は、シリコーンゴム等の弾性材料で形成される。弾性層33は、芯金32の外周面上に一定の厚さで形成される。
離型層(不図示)は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などの樹脂材料で形成される。離型層は、弾性層33の外周面上に形成される。
加圧ローラ30pの外周面の硬度は、ASKER-C硬度計で9.8Nの荷重において、40°~70°であることが望ましい。これにより、ニップNの面積と加圧ローラ30pの耐久性が確保される。
【0022】
加圧ローラ30pは、カム部材の回転によりフィルムユニット30hに対して接近および離反することが可能である。加圧ローラ30pをフィルムユニット30hに接近させ、加圧バネにより押圧すると、ニップNが形成される。一方、定着装置30でシートSのジャムが発生した場合において、加圧ローラ30pをフィルムユニット30hから離反させることにより、シートSを取り除くことができる。また、スリープ時など筒状フィルム35が回転停止している状態において、加圧ローラ30pをフィルムユニット30hから離反させることにより、筒状フィルム35の塑性変形が防止される。
【0023】
加圧ローラ30pは、モータにより回転駆動されて自転する。ニップNが形成された状態で加圧ローラ30pが自転すると、フィルムユニット30hの筒状フィルム35が回転方向Rに従動回転する。加圧ローラ30pは、ニップNにシートSが配置された状態で自転することにより、シートSを搬送方向Wに搬送する。
【0024】
フィルムユニット30hは、ニップNに進入したシートSのトナー像を加熱する。フィルムユニット30hは、筒状フィルム(筒状体)35と、ヒータユニット40と、伝熱部材49と、支持部材70と、ステイ38と、剥離板39と、感温素子60と、フィルム温度計64と、を有する。
【0025】
筒状フィルム35は、筒状に形成される。筒状フィルム35は、内周側から順に、基層と、弾性層と、離型層と、を有する。基層は、ニッケル(Ni)等の金属材料またはポリイミド(PI)等の樹脂材料などにより筒状に形成される。弾性層は、基層の外周面上に積層配置される。弾性層は、シリコーンゴム等の弾性材料で形成される。離型層は、弾性層の外周面上に積層配置される。離型層は、PFA樹脂などの材料で形成される。
【0026】
図4は、
図5のIV-IV線におけるヒータユニットの正面断面図である。
図5は、ヒータユニットの底面図(+z方向から見た図)である。ヒータユニット40は、基板(発熱体基板)41と、発熱体セット(発熱体)45と、配線セット55と、を有する。
【0027】
基板41は、ステンレス等の金属材料または窒化アルミニウム等のセラミック材料などで形成される。基板41は、長細い長方形の板状に形成される。基板41は、筒状フィルム35の径方向の内側に配置される。基板41は、筒状フィルム35の軸方向を長手方向とする。
【0028】
本願において、x方向、y方向およびz方向が以下のように定義される。y方向は基板41の長手方向である。後述されるように、+y方向は中央部発熱体45aから第1端部発熱体45b1に向かう方向である。x方向は基板41の短手方向であり、+x方向はシートSの搬送方向(下流側の方向)である。z方向は基板41の法線方向である。+z方向は、基板41に対して発熱体セット45が配置される方向であり、ヒータユニット40において筒状フィルム35と接触する第1面40aが配置される方向である。-z方向は、+z方向とは反対の方向であり、ヒータユニット40において伝熱部材49と接触する第2面40bが配置される方向である。基板41の+z方向の面には、ガラス材料等により絶縁層43が形成される。
【0029】
発熱体セット45は、
図5に示されるように、基板41に配置される。発熱体セット45は、銀・パラジウム合金等により形成される。発熱体セット45の外形は、y方向を長手方向とし、x方向を短手方向とする長方形状に形成される。発熱体セット45のx方向の中心45cは、基板41(ヒータユニット40)のx方向の中心41cより、-x方向に配置される。
【0030】
発熱体セット45は、y方向に沿って設けられる複数の発熱体45b1,45a,45b2を有する。発熱体セット45は、y方向に並んで配置された、第1端部発熱体45b1と、中央部発熱体45aと、第2端部発熱体45b2と、を有する。中央部発熱体45aは、発熱体セット45のy方向の中央部に配置される。第1端部発熱体45b1は、中央部発熱体45aの+y方向であって、発熱体セット45の+y方向の端部に配置される。第2端部発熱体45b2は、中央部発熱体45aの-y方向であって、発熱体セット45の-y方向の端部に配置される。
【0031】
発熱体セット45は、通電により発熱する。y方向の幅が小さいシートSは、定着装置30のy方向の中央部を通過する。この場合に制御部6は、中央部発熱体45aのみを発熱させる。一方で制御部6は、y方向の幅が大きいシートSの場合に、発熱体セット45の全体を発熱させる。そのため、中央部発熱体45aと、第1端部発熱体45b1および第2端部発熱体45b2とは、相互に独立して発熱を制御される。また第1端部発熱体45b1および第2端部発熱体45b2は、同様に発熱を制御される。
【0032】
図4に示されるように、絶縁層43の+z方向の面に、発熱体セット45および配線セット55が形成される。発熱体セット45および配線セット55を覆うように、ガラス材料等により保護層46が形成される。保護層46は、ヒータユニット40と筒状フィルム35との摺動性を向上させる。
基板41の+z方向に形成される絶縁層43と同様に、基板41の-z方向に絶縁層が形成されてもよい。基板41の+z方向に形成される保護層46と同様に、基板41の-z方向に保護層が形成されてもよい。これにより、基板41の反りが抑制される。
【0033】
図3に示されるように、ヒータユニット40は、筒状フィルム35の内側に配置される。筒状フィルム35の内周面にはグリース(不図示)が塗布されている。ヒータユニット40の+z方向の第1面40aは、グリースを介して筒状フィルム35の内周面に接触する。ヒータユニット40が発熱すると、グリースの粘度が低下する。これにより、ヒータユニット40と筒状フィルム35との摺動性が確保される。
【0034】
伝熱部材49は、銅などの熱伝導率の高い金属材料により形成される。伝熱部材49の外形は、ヒータユニット40の基板41の外形と同等である。伝熱部材49は、ヒータユニット40の-z方向の第2面40bの少なくとも一部に接触して配置される。
【0035】
支持部材70は、液晶ポリマーなどの樹脂材料により形成される。支持部材70は、ヒータユニット40の-z方向と、x方向の両側とを覆うように形成される。支持部材70は、伝熱部材49を介してヒータユニット40を支持する。支持部材70は、ヒータユニット40のx方向の両端部において、筒状フィルム35の内周面を支持する。支持部材70の詳細は後述される。
【0036】
定着装置30を通過するシートSを加熱するとき、シートSのサイズに応じてヒータユニット40に温度分布が発生する。ヒータユニット40が局所的に高温になると、樹脂材料で形成される支持部材70の耐熱温度を上回る可能性がある。伝熱部材49は、ヒータユニット40の温度分布を平均化させる。これにより、支持部材70の耐熱性が確保される。
【0037】
ステイ38は、鋼板材料等により形成される。ステイ38のy方向に垂直な断面はU字状に形成される。ステイ38は、U字の開口部を支持部材70で塞ぐように、支持部材70の-z方向に装着される。ステイ38はy方向に伸びる。ステイ38のy方向の両端部は、画像形成装置1のハウジングに固定される。これにより、フィルムユニット30hが画像形成装置1に支持される。ステイ38は、フィルムユニット30hの曲げ剛性を向上させる。ステイ38のy方向の両端部付近には、筒状フィルム35のy方向への移動を規制するフランジ(不図示)が装着される。
【0038】
剥離板39は、ニップNから搬送方向Wの下流側に離れて配置される。剥離板39の-x方向の端部は、ニップNに向かって先細り、筒状フィルム35に近接して配置される。ニップNで加圧されたシートSは、筒状フィルム35に貼り付いた状態でニップNから排出される。剥離板39は、筒状フィルム35からのシートSの剥離を補助する。
【0039】
感温素子60は、ヒータユニット40の-z方向に配置される。感温素子60は、伝熱部材49の-z方向の表面に配置される。感温素子60は、支持部材70をz方向に貫通する孔の内側に配置される。感温素子60は、ヒータ温度計62およびサーモスタット(遮断装置)68である。例えば、ヒータ温度計62はサーミスタである。
【0040】
ヒータ温度計62は、伝熱部材49を介してヒータユニット40の温度を検知する。制御部6(
図1参照)は、定着装置30の始動時に、ヒータ温度計62の検知温度に基づいて、発熱体セット45への通電を制御する。
サーモスタット68は、伝熱部材49を介して検知したヒータユニット40の温度が所定温度を超えた場合に、発熱体セット45への通電を遮断する。その結果、ヒータユニット40による筒状フィルム35の過剰な加熱が抑制される。
【0041】
フィルム温度計64は、
図3に示されるように、筒状フィルム35の内周面に当接する。フィルム温度計64は、筒状フィルム35の温度を検知する。
制御部6は、定着装置30の運転時に、フィルム温度計64の検知温度に基づいて、発熱体セット45への通電を制御する。
【0042】
支持部材70について詳しく説明する。
図3に示されるように、支持部材70は、背面部材74と、上流側部材75uと、下流側部材75dと、を有する。背面部材74は、ヒータユニット40の-z方向を覆うように配置される。背面部材74は、伝熱部材49を介してヒータユニット40を支持する。
上流側部材75uおよび下流側部材75dは、支持部材70の一部として背面部材74と一体に形成される。なお、それぞれ別体に形成された背面部材74、上流側部材75uおよび下流側部材75dが結合されて、支持部材70が形成されてもよい。
【0043】
上流側部材75uは、筒状フィルム35の回転方向Rにおいてヒータユニット40の上流側に配置される。上流側部材75uは、背面部材74の-x方向の端部から+z方向に伸びる。上流側部材75uの+z方向の表面は、筒状フィルム35の内面に沿った曲面に形成され、筒状フィルム35の内面に沿って配置される。上流側部材75uが筒状フィルム35を支持することにより、ニップNに対するシートSの進入が安定する。
【0044】
下流側部材75dは、筒状フィルム35の回転方向Rにおいてヒータユニット40の下流側に配置される。下流側部材75dは、背面部材74の+x方向の端部から+z方向に伸びる。下流側部材75dの+z方向の表面は、筒状フィルム35の内面に沿った曲面に形成され、筒状フィルム35の内面に沿って配置される。下流側部材75dが筒状フィルム35を支持することにより、筒状フィルム35が剥離板39に近接して配置される。ニップNから排出されたシートSは、筒状フィルム35と剥離板39との間に入り込みにくい。シートSは、剥離板39により筒状フィルム35から分離される。これにより、シートSの剥離性が向上する。
【0045】
上流側部材75uは、上流側リブ7uとして第1上流側リブ71uを有する。第1上流側リブ71uは、筒状フィルム35の周方向に伸びる。第1上流側リブ71uは、上流側部材75uから筒状フィルム35の回転方向Rの上流側に伸びる。第1上流側リブ71uは、筒状フィルム35の内面に当接可能である。
【0046】
下流側部材75dは、下流側リブ7dとして第1下流側リブ71dを有する。第1下流側リブ71dは、筒状フィルム35の周方向に伸びる。第1下流側リブ71dは、筒状フィルム35の回転方向Rにおいて下流側部材75dの下流側に伸びる。第1下流側リブ71dは、筒状フィルム35の内面に当接可能である。
【0047】
図6は支持部材の周辺の側面図である。第1下流側リブ71dは、y方向を厚さ方向とする板状に形成される。第1下流側リブ71dのy方向の中央部にはスリットが形成される。これにより、第1下流側リブ71dと筒状フィルム35との接触面積が減少する。第1上流側リブ71uも、第1下流側リブ71dと同様に形成される。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、筒状フィルム35の回転をガイドする。筒状フィルム35は、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dにより所定の形状に保持された状態で回転する。
【0048】
図7は支持部材の周辺の底面図である。複数の第1上流側リブ71uが、y方向に並んで配置される。複数の第1下流側リブ71dが、y方向に並んで配置される。第1下流側リブ71dは、y方向において第1上流側リブ71uとは異なる位置に配置される。すなわち、第1上流側リブ71uの少なくとも一部は、y方向において第1下流側リブ71dと重ならない。第1下流側リブ71dの少なくとも一部は、y方向において第1上流側リブ71uと重ならない。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重ならない部分を有する。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重なる部分を有しないことが望ましい。
【0049】
前述されたように、定着装置30は、ニップNに進入したシートSのトナー像を加熱および加圧して、トナー像をシートSに定着させる。筒状フィルム35の温度は、y方向において均等であることが望ましい。筒状フィルム35の回転は、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとの当接によってガイドされる。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとの当接により、筒状フィルム35の熱が、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dに伝達される。仮に、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dがy方向において同じ位置に配置されると、その位置において筒状フィルム35の温度が著しく低下する。これにより、定着装置30の温度ムラが発生する。
【0050】
これに対して、本実施形態の第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において異なる位置に配置される。筒状フィルム35が第1上流側リブ71uに当接するy方向の位置と、第1下流側リブ71dに当接するy方向の位置とが異なる。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、y方向に分散される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。これに伴って、定着装置30の印刷品質が向上する。
【0051】
図7に示されるように、ヒータユニット40の中央部発熱体45aと第1端部発熱体45b1との間には、境界部45sが形成される。中央部発熱体45aと第2端部発熱体45b2との間にも、境界部45sが形成される。境界部45sは、x方向と平行に形成される。境界部45sは、x方向と交差して形成されてもよい。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において境界部45sとは異なる位置に配置される。すなわち、境界部45s並びに第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重ならない部分を有する。境界部45s並びに第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重なる部分を有しないことが望ましい。
【0052】
ヒータユニット40は、境界部45sにおいて発熱しない。境界部45sと同じy方向の位置における筒状フィルム35の温度は、他の位置に比べて低くなる。仮に、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dがy方向において境界部45sと同じ位置に配置されると、その位置において筒状フィルム35の温度が著しく低下する。これにより、定着装置30の温度ムラが発生する。
これに対して、本実施形態の第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において境界部45sとは異なる位置に配置される。第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、境界部45sとは異なる位置で発生する。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0053】
以上に詳述されたように、本実施形態の定着装置30は、筒状フィルム35と、ヒータユニット40と、上流側部材75uと、下流側部材75dと、上流側リブ7uと、下流側リブ7dと、を持つ。ヒータユニット40は、筒状フィルム35の内面に沿って配置され、筒状フィルム35の軸方向を長手方向(y方向)とし、発熱体セット45を有する。上流側部材75uは、筒状フィルム35の内面に沿って配置される。上流側部材75uは、筒状フィルム35の回転方向Rにおいてヒータユニット40の上流側に配置される。下流側部材75dは、筒状フィルム35の内面に沿って配置され、筒状フィルム35の回転方向Rにおいてヒータユニット40の下流側に配置される。上流側リブ7uは、上流側部材75uに形成され、筒状フィルム35の周方向に伸び、筒状フィルム35の内面に当接可能であり、y方向に並んで配置される。下流側リブ7dは、下流側部材75dに形成され、筒状フィルム35の周方向に伸び、筒状フィルム35の内面に当接可能である。下流側リブ7dは、y方向において上流側リブ7uとは異なる位置に並んで配置される。
これにより、上流側リブ7uおよび下流側リブ7dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、y方向に分散される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0054】
上流側リブ7uは、上流側部材75uから筒状フィルム35の回転方向Rの上流側に伸びる第1上流側リブ71uを有する。下流側リブ7dは、下流側部材75dから筒状フィルム35の回転方向Rの下流側に伸びる第1下流側リブ71dを有する。
第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dにより、筒状フィルム35の回転がガイドされる。これにより、筒状フィルム35の変形が抑制され、信頼性が向上する。
【0055】
発熱体セット45は、y方向に並んで配置される複数の発熱体45a,45b1,45b2を有する。上流側リブ7uおよび下流側リブ7dは、y方向において複数の発熱体45a,45b1,45b2の境界部45sとは異なる位置に配置される。
これにより、上流側リブ7uおよび下流側リブ7dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、境界部45sとは異なる位置で発生する。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0056】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態の加熱装置の正面断面図である。第2の実施形態の加熱装置である定着装置230は、ガイド部材80に形成されたガイドリブ81を有する点で、第1の実施形態とは異なる。第1の実施形態と同様である点についての第2の実施形態の説明は省略される。
【0057】
定着装置230は、ガイド部材80を有する。
ガイド部材80は、樹脂材料等により一体に形成される。ガイド部材80は、筒状フィルム35の内側に配置される。ガイド部材80は、ステイ38に固定される。ガイド部材80は、ガイドリブ81を有する。
【0058】
ガイドリブ81は、筒状フィルム35の内面に当接可能である。ガイドリブ81は、筒状フィルム35の周方向に伸びる。ガイドリブ81は、筒状フィルム35の周方向において、フィルム温度計64の近傍に配置される。フィルム温度計64は、筒状フィルム35の回転方向Rにおいて、第1下流側リブ71dの下流側に離れて配置される。ガイドリブ81は、第1下流側リブ71dの下流側の近くから、ステイ38を挟んでヒータユニット40の反対側の領域にかけて伸びる。ガイドリブ81は、筒状フィルム35の周方向において、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dが配置されない領域の大部分に配置される。
【0059】
本実施形態の筒状フィルム35は、基層がポリイミド(PI)等の樹脂材料により形成される。筒状フィルム35は、金属層を有しない。基層が樹脂材料により形成される筒状フィルム35は変形しやすい。この筒状フィルム35は、回転時に変形してフィルム温度計64から離れる場合がある。この場合には、フィルム温度計64による筒状フィルム35の温度検知の精度が低下する。
ガイドリブ81は、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとともに、筒状フィルム35の回転をガイドする。これにより、筒状フィルム35の回転時の変形が抑制される。したがって、フィルム温度計64による筒状フィルム35の温度検知の精度が向上する。
【0060】
図9は、支持部材およびガイド部材の斜視図である。ガイドリブ81は、y方向を厚さ方向とする板状に形成される。複数のガイドリブ81が、y方向に並んで配置される。ガイドリブ81は、y方向において第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとは異なる位置に配置される。すなわち、ガイドリブ81並びに第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重ならない部分を有する。ガイドリブ81並びに第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において相互に重なる部分を有しないことが望ましい。
【0061】
筒状フィルム35がガイドリブ81に当接するy方向の位置と、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dに当接するy方向の位置とが異なる。ガイドリブ81、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、y方向に分散される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0062】
以上に詳述されたように、本実施形態の定着装置230は、フィルム温度計64と、ガイドリブ81と、を有する。フィルム温度計64は、筒状フィルム35の内面の温度を計測する。ガイドリブ81は、筒状フィルム35の周方向においてフィルム温度計64の近傍に配置される。ガイドリブ81は、筒状フィルム35の周方向に伸び、筒状フィルム35の内面に当接可能である。ガイドリブ81は、y方向において上流側リブ7uおよび下流側リブ7dとは異なる位置に並んで配置される。
これにより、定着装置30の温度ムラが抑制される。
ガイドリブ81、第1上流側リブ71uおよび第1下流側リブ71dは、y方向において複数の発熱体の境界部45s(
図7参照)とは異なる位置に配置されることが望ましい。
【0063】
第2の実施形態の第1変形例について説明する。
図10は、第2の実施形態の第1変形例におけるガイド部材の底面図である。第2の実施形態の第1変形例は、孔部87を有する点で、第2の実施形態とは異なる。第2の実施形態と同様である点についての第1変形例の説明は省略される。
【0064】
孔部87は、筒状フィルム35の径方向に沿ってガイド部材80およびガイドリブ81を貫通する。孔部87は、ガイドリブ81と同じy方向の位置に形成される。孔部87は、ガイドリブ81の+z方向の端部に配置される。孔部87は、ガイドリブ81の周方向において
図10とは異なる位置に配置されてもよい。ガイドリブ81の周方向における孔部87の個数は、1個に限られず2個以上でもよい。孔部87は、複数のガイドリブ81のうち、一部のガイドリブ81のみに形成されてもよく、全部のガイドリブ81に形成されてもよい。孔部87は、第1上流側リブ71uに形成されてもよく、第1下流側リブ71dに形成されてもよい。
【0065】
孔部87により、ガイドリブ81と筒状フィルム35との接触面積が減少する。ガイドリブ81との接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0066】
第2の実施形態の第2変形例について説明する。
図11は、第2の実施形態の第2変形例におけるガイド部材の底面図である。第2の実施形態の第2変形例は、切り欠き部88を有する点で、第2の実施形態とは異なる。第2の実施形態と同様である点についての第2変形例の説明は省略される。
【0067】
切り欠き部88は、ガイドリブ81の外周の一部を切り欠くことにより形成される。切り欠き部88は、ガイドリブ81の+z方向の端部に配置される。切り欠き部88は、ガイドリブ81の周方向において
図11とは異なる位置に配置されてもよい。ガイドリブ81の周方向における切り欠き部88の個数は、1個に限られず2個以上でもよい。切り欠き部88は、複数のガイドリブ81のうち、一部のガイドリブ81のみに形成されてもよく、全部のガイドリブ81に形成されてもよい。切り欠き部88は、第1上流側リブ71uに形成されてもよく、第1下流側リブ71dに形成されてもよい。
【0068】
切り欠き部88により、ガイドリブ81と筒状フィルム35との接触面積が減少する。ガイドリブ81との接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0069】
第2の実施形態の第3変形例について説明する。
図12は、第2の実施形態の第3変形例におけるガイド部材の底面図である。第2の実施形態の第3変形例は、曲面部89を有する点で、第2の実施形態とは異なる。第2の実施形態と同様である点についての第3変形例の説明は省略される。
【0070】
曲面部89は、ガイドリブ81の外周においてガイドリブ81の厚さが連続的に減少するように形成される。曲面部89は、ガイドリブ81の外周の略全体に形成される。曲面部89は、ガイドリブ81の外周の一部に形成されてもよい。曲面部89は、ガイドリブ81の周方向に垂直な断面において円弧状を呈する。この円弧の半径は、ガイドリブ81の厚さの約半分である。曲面部89は、筒状フィルム35の内面と線接触する。曲面部89は、複数のガイドリブ81のうち、一部のガイドリブ81のみに形成されてもよく、全部のガイドリブ81に形成されてもよい。曲面部89は、第1上流側リブ71uの外周に形成されてもよく、第1下流側リブ71dの外周に形成されてもよい。
【0071】
曲面部89により、ガイドリブ81と筒状フィルム35との接触面積が減少する。ガイドリブ81との接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0072】
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態の加熱装置の正面断面図である。第3の実施形態の加熱装置である定着装置330は、上流側リブ7uとして第2上流側リブ72uを有し、下流側リブ7dとして第2下流側リブ72dを有する点で、第1の実施形態とは異なる。第1の実施形態と同様である点についての第3の実施形態の説明は省略される。
【0073】
第2上流側リブ72uは、筒状フィルム35の内面に沿う上流側部材75uの+z方向の表面に形成される。第2上流側リブ72uは、筒状フィルム35の内面に当接可能である。第2下流側リブ72dは、筒状フィルム35の内面に沿う下流側部材75dの+z方向の表面に形成される。第2下流側リブ72dは、筒状フィルム35の内面に当接可能である。
【0074】
図14は、支持部材の斜視図である。第2下流側リブ72dは、筒状フィルム35の周方向に伸びる。第2下流側リブ72dのy方向の幅は略一定である。第2下流側リブ72dは、x方向において下流側部材75dの略全体に形成される。第2下流側リブ72dのz方向の高さは、+x方向にかけて高くなる。第2上流側リブ72uも、第2下流側リブ72dと同様に形成される。
図15は、支持部材の底面図である。複数の第2上流側リブ72uが、y方向に並んで配置される。複数の第2下流側リブ72dが、y方向に並んで配置される。
【0075】
筒状フィルム35は、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dの+z方向の表面に当接する。筒状フィルム35は、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dの非形成領域における上流側部材75uおよび下流側部材75dの+z方向の表面に当接しにくい。これにより、筒状フィルム35と上流側部材75uおよび下流側部材75dとの接触面積が減少する。上流側部材75uおよび下流側部材75dとの接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。ヒータユニット40が筒状フィルム35を定着温度に加熱するまでの時間が短縮される。これにより、画像形成装置1が印刷待機状態から印刷可能状態に復帰するまでの時間が短縮される。
【0076】
第2下流側リブ72dは、y方向において第2上流側リブ72uとは異なる位置に配置される。すなわち、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dは、y方向において相互に重ならない部分を有する。第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dは、y方向において相互に重なる部分を有しないことが望ましい。
【0077】
筒状フィルム35が第2上流側リブ72uに当接するy方向の位置と、第2下流側リブ72dに当接するy方向の位置とが異なる。第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dとの当接による筒状フィルム35の温度低下が、y方向に分散される。したがって、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0078】
第2下流側リブ72dは、シートSのy方向の両端部を含む領域に形成される。定着装置330に対して、様々なサイズのシートSが進入する。複数の第2下流側リブ72dは、様々なサイズのシートSのy方向の両端部を含む領域に形成される。
図13に示されるように、第2下流側リブ72dは、筒状フィルム35を支持する。第2下流側リブ72dは、シートSのy方向の両端部において、筒状フィルム35を剥離板39に近接して配置する。ニップNから排出されたシートSのy方向の両端角部は、筒状フィルム35と剥離板39との間に入り込みにくい。これにより、シートSの角折れや詰まりが抑制される。
【0079】
以上に詳述されたように、上流側リブ7uは、筒状フィルム35の内面に沿う上流側部材75uの表面に形成される第2上流側リブ72uを有する。下流側リブ7dは、筒状フィルム35の内面に沿う下流側部材75dの表面に形成される第2下流側リブ72dを有する。
筒状フィルム35は、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dに当接する。これにより、上流側部材75uおよび下流側部材75dとの接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。したがって、画像形成装置1が印刷待機状態から印刷可能状態に復帰するまでの時間が短縮される。
【0080】
第2下流側リブ72dは、シートSのy方向の両端部を含む領域に形成される。
第2下流側リブ72dは、シートSのy方向の両端部において、筒状フィルム35を剥離板39に近接して配置する。シートSのy方向の両端角部は、筒状フィルム35と剥離板39との間に入り込みにくい。したがって、シートSの角折れや詰まりが抑制される。
【0081】
第3の実施形態の定着装置330は、上流側リブ7uとして第2上流側リブ72uを有し、下流側リブ7dとして第2下流側リブ72dを有する。これに対して、定着装置330は、上流側リブ7uとして、第2上流側リブ72uに加えて、第1の実施形態の第1上流側リブ71uを有してもよい。定着装置330は、下流側リブ7dとして、第2下流側リブ72dに加えて、第1の実施形態の第1下流側リブ71dを有してもよい。第1上流側リブ71u、第1下流側リブ71d、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dは、y方向において異なる位置に配置されることが望ましい。
【0082】
第3の実施形態において、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dは、y方向において複数の発熱体の境界部45s(
図7参照)とは異なる位置に配置されることが望ましい。
第3の実施形態の定着装置330は、第2の実施形態のガイドリブ81を有してもよい。ガイドリブ81、第2上流側リブ72uおよび第2下流側リブ72dは、y方向において異なる位置に配置されることが望ましい。
【0083】
第3の実施形態の第1変形例について説明する。
図16は、第3の実施形態の第1変形例における支持部材の底面図である。第3の実施形態の第1変形例は、第2下流側リブ72dが傾斜している点で、第3の実施形態とは異なる。第3の実施形態と同様である点についての第1変形例の説明は省略される。
【0084】
第2下流側リブ72dは、x方向と交差するように傾斜して伸びる。第2下流側リブ72dは、+x方向にかけて+y方向に傾斜する。
図16に示される第1変形例の第2下流側リブ72dのy方向の幅は、
図15に示される第3の実施形態の第2下流側リブ72dのy方向の幅と同等である。すなわち、第1変形例の第2下流側リブ72dと筒状フィルム35との接触面積は、第3の実施形態の第2下流側リブ72dと筒状フィルム35との接触面積と同等である。これにより、第2下流側リブ72dとの接触による筒状フィルム35の温度低下が抑制される。
【0085】
シートSがy方向にずれた状態でニップNから排出される場合がある。第2下流側リブ72dが傾斜しているので、第2下流側リブ72dにより支持される筒状フィルム35のy方向の幅が広がる。y方向にずれてシートSが排出された場合でも、シートSの角部は、筒状フィルム35と剥離板39との間に入り込みにくい。これにより、シートSの角折れや詰まりが抑制される。
【0086】
実施形態の画像処理装置は画像形成装置1であり、加熱装置は定着装置30,230,330である。これに対して、画像処理装置は消色装置であり、加熱装置は消色部であってもよい。消色装置は、消色トナーによりシートに形成された画像を消色(消去)する処理を行う。消色部は、ニップを通過するシートに形成された消色トナー像を加熱して消色する。
【0087】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、下流側リブ7dは、y方向において上流側リブ7uとは異なる位置に配置される。これにより、定着装置30の温度ムラが抑制される。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
R…回転方向、S…シート、W…搬送方向、y…長手方向、1…画像形成装置(画像処理装置)、7d…下流側リブ、7u…上流側リブ、30,230,330…定着装置(加熱装置)、35…筒状フィルム(筒状体)、40…ヒータユニット、45…発熱体セット、45a…中央部発熱体(発熱体)、45b1…第1端部発熱体(発熱体)、45b2…第2端部発熱体(発熱体)、45s…境界部、64…フィルム温度計、71d…第1下流側リブ、71u…第1上流側リブ、72d…第2下流側リブ、72u…第2上流側リブ、75d…下流側部材、75u…上流側部材、81…ガイドリブ。