(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171670
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】外用油性固形組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/63 20060101AFI20231124BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20231124BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20231124BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231124BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20231124BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20231124BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231124BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231124BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K31/56
A61K31/573
A61K45/00
A61P43/00 113
A61K31/135
A61K9/00
A61P17/00
A61K8/41
A61K8/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177930
(22)【出願日】2023-10-14
(62)【分割の表示】P 2020511088の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2018068952
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(72)【発明者】
【氏名】太田 経子
(72)【発明者】
【氏名】丸川 純子
(57)【要約】
【課題】皮膚又は粘膜に滑らかに塗布することができる外用油性固形組成物を提供する。
【解決手段】(A)ステロイド化合物、及び抗ヒスタミン剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む外用油性固形組成物。この組成物は、スティック状の固形組成物とすることができる。(A)ステロイド化合物の含有量は、組成物の全量に対して、0.0001~5重量%とすることができ、(B)抗ヒスタミン剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01~5重量%とすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ステロイド化合物、及び(B)抗ヒスタミン剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む外用油性固形組成物。
【請求項2】
(A)ステロイド化合物が、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、それらのエステル、及びそれらの塩からなる群より選ばれる化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(A)ステロイド化合物が、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、及びヒドロコルチゾン酢酸エステルからなる群より選ばれる化合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(B)抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、及びその塩からなる群より選ばれる化合物である、請求項1~3の何れかに記載の組成物。
【請求項5】
(A)ステロイド化合物の含有量が、組成物の全量に対して、0.0001~5重量%である、請求項1~4の何れかに記載の組成物。
【請求項6】
(B)抗ヒスタミン剤の含有量が、組成物の全量に対して、0.01~5重量%である、請求項1~5の何れかに記載の組成物。
【請求項7】
さらに、(C)局所麻酔剤、(D)抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、(E)抗炎症剤、(F)殺菌剤、及び(G)清涼化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~6の何れかに記載の組成物。
【請求項8】
皮膚外用組成物である、請求項1~7の何れかに記載の組成物。
【請求項9】
スティック状である、請求項1~8の何れかに記載の組成物。
【請求項10】
外用油性固形組成物に、(A)ステロイド化合物、並びに/又は(B)抗ヒスタミン剤を含有させることにより、この組成物の塗布時の皮膚又は粘膜との摩擦を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック状などの固体形状の外用油性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、リップクリーム、ファウンデーション、化粧下地、アイクリーム、制汗剤、美白剤などの化粧料又は医薬部外品として、スティック状などに成形された油性の組成物が多用されている。このような固形組成物は、塗るときに手が汚れず簡便に使用できる、狭い部分に正確に塗ることができるといったメリットがある。
しかし、このような固形の油性組成物は、皮膚や、唇などの粘膜上に塗るときに、皮膚又は粘膜上でべたつく等の理由により塗り延ばし難い。近年の消費者は使用感を重視するため、商品化するには皮膚又は粘膜に滑らかに塗布できる組成物にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、皮膚又は粘膜に滑らかに塗布することができる外用油性固形組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、油性固形組成物は、基剤の組成だけでなく、有効成分や添加物のような配合成分によっても塗布時の滑らかさが大きく変化することを見出した。また、特に、(A)ステロイド化合物、並びに/又は(B)抗ヒスタミン剤を油性固形組成物に配合することにより、皮膚又は粘膜に塗布するときの摩擦が少なくなり、滑らかに塗布できるものとなることを見出した。
【0005】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の外用油性固形組成物を提供する。
項1. (A)ステロイド化合物、及び(B)抗ヒスタミン剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む外用油性固形組成物。
項2. (A)ステロイド化合物が、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、それらのエステル、及びそれらの塩からなる群より選ばれる化合物である、項1に記載の組成物。
項3. (A)ステロイド化合物が、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、及びヒドロコルチゾン酢酸エステルからなる群より選ばれる化合物である、項2に記載の組成物。
項4. (B)抗ヒスタミン剤が、ジフェンヒドラミン、及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1~3の何れかに記載の組成物。
項5. (A)ステロイド化合物の含有量が、組成物の全量に対して、0.0001~5重量%である、項1~4の何れかに記載の組成物。
項6. (B)抗ヒスタミン剤の含有量が、組成物の全量に対して、0.01~5重量%である、項1~5の何れかに記載の組成物。
項7. さらに、(C)局所麻酔剤、(D)抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、(E)抗炎症剤、(F)殺菌剤、及び(G)清涼化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、項1~6の何れかに記載の組成物。
項8. 皮膚外用組成物である、項1~7の何れかに記載の組成物。
項9. スティック状である、項1~8の何れかに記載の組成物。
項10. 外用油性固形組成物に、(A)ステロイド化合物、並びに/又は(B)抗ヒスタミン剤を含有させることにより、この組成物の塗布時の皮膚又は粘膜との摩擦を低減する方法。
【発明の効果】
【0006】
一般に、固形の油性組成物は、皮膚又は粘膜上に塗るときに、摩擦が大きく、塗り延ばし難い。この点、本発明の外用油性固形組成物は、ステロイド化合物、及び/又は抗ヒスタミン剤を含むため、皮膚又は粘膜に滑らかに塗布することができる。
このように、本発明の外用油性固形組成物は塗布時の使用感に優れるため、商品価値が高い。また、塗布時に滑りが悪いと塗布部に炎症や損傷がある場合には刺激につながる恐れがあり、また、皮膚や唇の落ち屑や汚れが組成物に付着して不衛生になりがちであるが、本発明の外用油性固形組成物は、皮膚や粘膜との摩擦が少ないため、炎症や損傷が生じている部位にも塗布しやすく、また、落ち屑や汚れが組成物に付着し難い。また、上記配合成分は、薬理活性を有するため、患部以外の箇所への付着を減らし、患部に限定的に塗布することが好ましいが、本発明の外用油性固形組成物は、滑らかに塗ることができるため、目的部分に正確に塗り易い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】油性固形組成物に(A)ステロイド化合物及び/又は(B)抗ヒスタミン剤を配合することにより皮膚との摩擦係数が低減したことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、(A)ステロイド化合物、及び/又は(B)抗ヒスタミン剤を含む外用油性固形組成物である。
【0009】
(A)ステロイド化合物
ステロイド化合物の具体例としては、例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ジフルプレドナード、モメタゾン、ジフルコルトロン、フルオニシド、ベクロメタゾン、デプロドン、アルクロメタゾン、フルメタゾン、アムシノニド、クロベタゾン、ジフロラゾン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0010】
誘導体としては、代表的には、エステル(特に、有機酸又は無機酸とのエステル)、塩、及びエステルの塩が挙げられる。
ステロイド化合物は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
エステルとしては、例えば、吉草酸、酢酸、コハク酸、酪酸(ブタン酸)、プロピオン酸、スルホ安息香酸、シペシル酸、パルミチン酸、フランカルボン酸、ピバル酸のような有機酸とのエステル;リン酸のような無機酸とのエステルが挙げられる。また、1分子中にエステルを複数含んでいてよい。1分子中にエステルを複数含む場合、1種の酸とのエステルを複数含んでいてもよく、或いは、2種以上の酸とのエステルを含んでいてもよい。
塩としては、有機塩基との塩(メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩のような有機アミン塩など)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩のような金属塩など)が挙げられる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。
【0011】
ステロイド化合物の誘導体の具体例としては、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)、プレドニゾロンコハク酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル、プレドニゾロンリン酸エステルなどのプレドニゾロンエステル、デキサメタゾン吉草酸エステル、デキサメタゾンプロピオン酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾンリン酸エステル、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステル、デキサメタゾンシペシル酸エステル、デキサメタゾンパルミチン酸エステルなどのデキサメタゾンエステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル(特に、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート)、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾンリン酸エステルなどのヒドロコルチゾンエステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、ジフルコルトロン吉草酸エステル、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルメタゾンピバル酸エステル、クロベタゾンプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、ジフロラゾン酢酸エステルなどが挙げられる。
中でも、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルが好ましく、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルがより好ましく、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが特に好ましい。
【0012】
抗ヒスタミン剤を含まない場合、ステロイド化合物として、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、及び/又はこれらの誘導体(特に、エステル)を用いることにより特に顕著に皮膚との摩擦が低減する。中でも、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルが好ましく、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルがより好ましく、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが特に好ましい。
ステロイド化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
ステロイド化合物の含有量は、組成物の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以下が好ましく、2.5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な薬理活性が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対するステロイド化合物の含有量としては、0.0001~5重量%、0.0001~2.5重量%、0.0001~1重量%、0.0001~0.5重量%、0.001~5重量%、0.001~2.5重量%、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.01~5重量%、0.01~2.5重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%が挙げられる。
【0014】
中でも、プレドニゾロン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.06重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらにより好ましい。また、1 重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下がさらにより好ましい。0.15重量%が特に好ましい。
組成物の全量に対するプレドニゾロン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量としては、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.2重量%、0.01~0.15重量%、0.06~1重量%、0.06~0.5重量%、0.06~0.2重量%、0.06~0.15重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、0.1~0.2重量%、0.1~0.15重量%が挙げられる。
【0015】
また中でも、デキサメタゾン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量は、組成物の全量に対して、0.005重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましく、0.0125重量%以上がさらにより好ましい。また、0.1重量%以下が好ましく、0.05重量%以下がより好ましく、0.025重量%以下がさらにより好ましい。
組成物の全量に対するデキサメタゾン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量としては、0.005~0.1重量%、0.005~0.05重量%、0.005~0.025重量%、0.01~0.1重量%、0.01~0.05重量%、0.01~0.025重量%、0.0125~0.1重量%、0.0125~0.05重量%、0.0125~0.025重量%が挙げられる。
【0016】
また中でも、ヒドロコルチゾン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量は、組成物の全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.15重量%以上がさらにより好ましい。また、2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましい。
組成物の全量に対するヒドロコルチゾン又はその誘導体(特に、エステル)の含有量としては、0.05~2重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、0.15~2重量%、0.15~1重量%、0.15~0.5重量%が挙げられる。
【0017】
(B)抗ヒスタミン剤
抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン、ブロモジフェンヒドラミン、クレマスチン、クロルフェノキサミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、オルフェナドリン、フェニルトロキサミンのようなエタノールアミン系抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミン、ジメチンデン、タラスチンのようなプロピルアミン系抗ヒスタミン剤、メピラミン、メタピリレン、トリペレナミンのようなエチレンジアミン系抗ヒスタミン剤、アリメマジン、ヒドロキシエチルプロメタジン、イソチペンジル、メキタジン、オキソメマジン、プロメタジンのようなフェノチアジン系抗ヒスタミン剤、ブクリジン、セチリジン、ホモクロルシクリジン、シクリジン、ヒドロキシジン、レボセチリジン、メクリジン、オキサトミドのようなピペラジン系抗ヒスタミン剤、ケトチフェン、オロパタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、テルフェナジン、アンタゾリン、アザタジン、バミピン、シプロヘプタジン、デプトロピン、エバスチン、エメダスチン、エピナスチン、メブヒドロリン、ミゾラスチン、ピメチキセン、ピロブタミン、キフェナジン、ルパタジン、トリプロリジン、アクリバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、ビラスチン、デスロラタジン、及びこれらの塩などが挙げられる。
抗ヒスタミン剤は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
【0018】
塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩のようなモノカルボン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩のような多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のようなオキシカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩のような有機スルホン酸塩などが挙げられる。
【0019】
具体的には、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ブロモジフェンヒドラミン塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩、クロルフェノキサミン塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ドキシラミンコハク酸塩、オルフェナドリン塩酸塩、フェニルトロキサミンクエン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジメチンデンマレイン酸塩、メピラミンマレイン酸塩、メタピリレン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、オキソメマジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、シクリジン塩酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、レボセチリジン塩酸塩、メクリジン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、オロパタジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、アンタゾリン塩酸塩、アザタジンジマレイン酸塩、バミピン塩酸塩、シプロヘプタジン塩酸塩、デプトロピンクエン酸塩、エメダスチンフマル酸塩、エピナスチン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ルパタジンフマル酸塩、トリプロリジン塩酸塩、アゼラスチン塩酸塩が挙げられる。
中でも、エタノールアミン系抗ヒスタミン剤が好ましく、ジフェンヒドラミン又はその塩(特に、塩酸塩)がより好ましく、ジフェンヒドラミンがさらにより好ましい。
抗ヒスタミン剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
抗ヒスタミン剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらにより好ましい。また、1重量%以下とすることもできる。この範囲であれば、適切な薬理活性が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する抗ヒスタミン剤の含有量としては、0.01~5重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量%、0.01~1重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2重量%、0.5~1重量%が挙げられる。
【0021】
本発明の外用油性固形組成物は、上記(A)成分、及び/又は(B)成分に加えて、(C)抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、(D)局所麻酔剤、(E)非ステロイド性抗炎症剤、(F)殺菌剤、及び(G)清涼化剤の1種又は2種以上を含んでいても、滑らかに塗布できるという効果を有する。この「2種以上」は、例えば(C)成分と(D)成分を含む場合や、(C)成分の2種以上を含む場合を包含する。
【0022】
(C)抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、クロタミトン、イクタモール、モクタール、チモールなどが挙げられる。中でも、クロタミトンが好ましい。
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
【0023】
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらにより好ましい。また、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な薬理活性が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤の含有量としては、0.01~20重量%、0.01~15重量%、0.01~10重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%が挙げられる。
【0024】
(D)局所麻酔剤
局所麻酔剤としては、リドカイン、ジブカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、オキセサゼイン、及びこれらの塩のようなアミン構造及びアミド構造を有する局所麻酔剤、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、及びこれらの塩のようなアミン構造及びエステル構造を有する局所麻酔剤、エステル構造を有するアミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカンなどが挙げられる。
局所麻酔剤は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
【0025】
塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩のようなモノカルボン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩のような多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のようなオキシカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩のような有機スルホン酸塩などが挙げられる。
具体的には、リドカイン塩酸塩、ジブカイン塩酸塩、メピバカイン塩酸塩、ブピバカイン塩酸塩、ロピバカイン塩酸塩、レボブピバカイン塩酸塩、オキセサゼイン塩酸塩、コカイン塩酸塩、プロカイン塩酸塩、クロロプロカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩などが挙げられる。
【0026】
中でも、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、又はそれらの塩(塩酸塩など)が好ましく、リドカイン又はその塩がより好ましく、リドカイン、塩酸リドカインがさらに好ましく、リドカインがさらにより好ましい。
局所麻酔剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0027】
局所麻酔剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましく、0.5重量%以上がさらにより好ましい。また、1重量%以上とすることもできる。また、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な薬理活性が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する局所麻酔剤の含有量としては、0.01~5重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量%、0.05~5重量%、0.05~3重量%、0.05~2重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2重量%、1~5重量%、1~3重量%、1~2重量%が挙げられる。
【0028】
(E)非ステロイド性抗炎症剤
非ステロイド性抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アセトアミノフェン、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、アズレン、ブロメライン、亜鉛;甘草抽出物、セージエキス、ローズマリーエキスのような植物抽出物;リゾチーム、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼのような酵素系抗炎症剤;メフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸のようなフェナム酸系抗炎症剤;アセメタシン、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、エドトラク、ジクロフェナク、スリンダク、ナブトメン、フェンブフェン、プログルメタシン、モフェゾラクのようなアリール酢酸系抗炎症剤;アミノブロフェン、イブプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、チアプロフェン酸、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ザルトプロフェン、イブプロフェンピコノール、フルルビプロフェンアキセチル、フェノプロフェン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンのようなプロピオン酸系抗炎症剤;アンピロキシカム、テノキシカム、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカムのようなオキシカム系抗炎症剤などが挙げられる。これらは塩であってもよい。
非ステロイド性抗炎症剤は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
【0029】
塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩のようなモノカルボン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩のような多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のようなオキシカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩のような有機スルホン酸塩などが挙げられる。
また、有機塩基との塩(メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩のような有機アミン塩など)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩のような金属塩など)も挙げられる。
【0030】
具体的には、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、インドメタシン塩酸塩、ジクロフェナクナトリウム塩、ブロムフェナク酸ナトリウム塩、ベルベリン硫酸塩、ベルベリン塩酸塩、ベルベリンタンニン酸塩、アズレンスルホン酸ナトリウム塩、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム塩酸塩、プログルメタシンマレイン酸塩、フェノプロフェンカルシウム塩、ロキソプロフェンナトリウム塩などが挙げられる。
【0031】
中でも、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルが好ましく、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩、グリチルレチン酸がより好ましく、グリチルレチン酸がさらに好ましい。
非ステロイド性抗炎症剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
非ステロイド性抗炎症剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましい。また、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な薬理活性が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する非ステロイド性抗炎症剤の含有量としては、0.01~5重量%、0.01~3重量%、0.01~1重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~1重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~1重量%が挙げられる。
【0033】
(F)殺菌剤
殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルへキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、サリチル酸、クレゾール、トリクロサン、及びビグアニド化合物などが挙げられる。
中でも、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムが好ましく、イソプロピルメチルフェノールがより好ましい。
殺菌剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
殺菌剤は、水和物、半水和物、又は無水物であり得る。
なお、本発明の外用油性固形組成物は、抗生物質を含まないものとすることもできる。
【0034】
殺菌剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましく、0.05重量%以上がさらに好ましい。また、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な殺菌効果が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する殺菌剤の含有量としては、0.001~3重量%、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.01~3重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.05~3重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%が挙げられる。
【0035】
(G)清涼化剤
清涼化剤としては、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノールのようなテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。);ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、テレビン油のような精油などが挙げられる。
中でも、メントール、カンフル、ボルネオールが好ましく、メントールがより好ましい。
清涼化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
清涼化剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3.5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切な清涼化効果が得られると共に、滑りが良い組成物となる。
組成物の全量に対する清涼化剤の含有量としては、0.001~10重量%、0.001~5重量%、0.001~3.5重量%、0.01~10重量%、0.01~5重量%、0.01~3.5重量%、0.1~10重量%、0.1~5重量%、0.1~3.5重量%が挙げられる。
【0037】
その他の成分
本発明の外用油性固形組成物は、上記有効成分を、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤や、その他の生理活性又は薬理活性成分と混合して、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の外用組成物とすることができる。特に、医薬組成物(医薬外用組成物)であり得る。
【0038】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤又は保存剤、pH調整剤、安定化剤、キレート剤、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、刺激軽減剤、着色剤、香料などが挙げられる。
添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0039】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、p-ヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸ジリン酸エステル、アスコルビン酸トリリン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステルなど)、トコフェロール、トコフェロール誘導体(酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)、エリソルビン酸、L-システイン塩酸、リコピン、グルタチオン、没食子酸プロピル、タンニン酸、エピガロカテキン、アントシアニン、ヒドロキシチロソール、ノルヒドログアセレテン酸、カフェイン酸、酵素(カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンパーオキシダーゼ、エラスターゼなど)などが挙げられる。
【0040】
本発明の組成物が、水などの水性基剤や水溶性成分を含む場合は界面活性剤が配合されることもある。
界面活性剤としては、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、及びテトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、及びイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、及びオレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤;リン脂質、サーファクチン、及びサポニンなどの天然界面活性剤;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン;トリラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、及びジ-2-エチルヘキシルアミンなどのアルキルアミン;並びにステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びラウリルヒドロキシスルホベタインなどのベタイン系両性界面活性剤などが挙げられる。
【0041】
増粘剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースなど)などが挙げられる。
【0042】
防腐剤又は保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、並びにグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。防腐剤又は保存剤の中には、(F)殺菌剤に含まれるものもある。
【0043】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、及び硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、及びコハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムなど)、並びに有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0044】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
【0045】
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0046】
刺激低減剤としては、甘草エキス、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0047】
紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、エトルヘキシルトリアゾリン、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、及び酸化亜鉛などが挙げられる。
【0048】
着色料としては、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004))に記載された色素などが挙げられる。
なお、本発明の外用油性固形組成物は、皮膚の炎症、発赤、色素沈着などの皮膚疾患を隠すための成分を含まないものとすることができる。
【0049】
香料としては、ラベンダー油、ローズマリー油、クラリセージ油、タイム油、ベルガモット油、ユーカリ油等のハーブ系精油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント系精油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油等の柑橘系精油のような各種精油、調合香料等が挙げられる。香料の中には、(G)成分として含まれるものもある。
【0050】
その他の生理活性又は薬理活性成分((A)~(G)成分以外の生理活性又は薬理活性成分)としては、例えば、保湿成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、血行促進成分、細胞賦活化成分、老化防止成分、角質軟化成分、収斂成分、アミノ酸、タンパク質、植物エキス、海藻エキス、抗真菌剤、美白成分などが挙げられる。
その他の生理活性又は薬理活性成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、その他の生理活性又は薬理活性成分は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0051】
保湿成分としては、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールのような多価アルコール、トレハロース、キシリトール、ソルビトールのような糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物、セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質、カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、アロエエキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。
【0052】
ビタミン類としては、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、ユビキノン誘導体及びその薬学的又は生理学的に許容される塩、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、フィロキノン、ファルノキノン、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、葉酸、プテロイルグルタミン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸、ヘスペリジン、γ-オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンなどが挙げられる。
【0053】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、加水分解シルクなどが挙げられる。
【0054】
血行促進成分としては、植物由来成分が好ましく例示される。例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシなどに由来する成分(これらの植物の抽出物など)や、グルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。
【0055】
細胞賦活成分としては、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-アミノカプロン酸のようなアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類、ビオチンのようなビタミン類、グリコール酸、乳酸のようなα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号、胎盤抽出液、ヒノキチオール、セファランチン、キウイ種子抽出物などが挙げられる。
【0056】
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトンなどが挙げられる。
【0057】
角質軟化成分としては、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレート、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、尿素、イオウ、レゾルシン、グリコール酸、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0058】
収斂成分としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、及びエタノールなどが挙げられる。
【0059】
植物エキスとしては、ソウハクヒ、ユキノシタ、シソ、米糠、酒粕、白芥子、シャクヤク、ムラサキシキブ、ハス種子、ハトムギ種子、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)、カミツレ、サンゴ草、イネの葉、アンズ果実、カタメンキリンサイ、バラの花、タケノコの皮、ゲンチアナ、ニンジン、オタネニンジン、紅参、ヘチマ、モモ、桃仁、キウイ、ヒマワリ、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)、パウダルコ、萱草(デイリリー)、ハイビスカスの花、ハゴロモグサ、チェリモヤ、マンゴー、紅富貴、シラン、山椒果皮又は種皮、ベニバナ花、カサブランカ、グアバ葉、ドクダミ、晩白柚、アロエイチジク花、リンゴ、ホワイトアスパラガス、マテ茶、サクラ葉、イランイラン葉(ylang ylang leaves)などの植物の抽出物が挙げられる。
【0060】
海藻エキスとしては、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・ピレノイドサ、クロレラ・エリプソイデイア、アオノリ、アオサ、アナアオサのような緑藻類;コンブ(ガゴメコンブ、マコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブ、ミツイシコンブなど)、ジャイアントケルプ、ワカメ又はアオワカメ、モズク、ヒロメ、ヒジキ、ヒバマタ、ウミウチワ、ウスバウミウチワ、キレバノウミウチワ、アカバウミウチワ、コナウミウチワ、オキナウチワ、ウスユキウチワ、エツキウミウチワのような褐藻類;ヒジリメン、マクサ又はテングサ、ヒラクサ、オニクサ、オバクサ、カタオバクサ、ヤタベグサ、ユイキリ、シマテングサ、トサカノリ、トゲキリンサイ、アマクサキリンサイ、キリンサイ、ビャクシンキリンサイ、ツノマタ、オオバツノマタ、トチャカ又はヤハズツノマタ、エゾツノマタ、トゲツノマタ、ヒラコトジ、コトジツノマタ、イボツノマタ、マルバツノマタ、ヒラコトジ、スギノリ、シキンノリ、カイノリ、ヤレウスバノリ、カギウスバノリ、スジウスバノリ、ハイウスバノリ、アカモミジノリのような紅藻類などが挙げられる。
【0061】
抗真菌剤としては、テルビナフィン、ナフチフィン、ブテナフィン、トルナフタート、リラナフタート、ミコナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ネチコナゾール、スルコナゾール、ビホナゾール、オキシコナゾール、エコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、エフィコナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、セルタコナゾールなどが挙げられる。
【0062】
美白成分としては、トコフェロール、アスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、4-アルキルレゾルシノ-ル、4-メトキシサリチル酸、ハイドロキノン、コウジ酸、それらの塩、又はそれらの誘導体、胎盤抽出物、オウバク抽出物、ユキノシタ抽出物、アロエ抽出物などが挙げられる。
【0063】
基剤又は担体
基剤又は担体としては、油性基剤、水性基剤が挙げられる。
油性基剤としては、ワセリン(白色ワセリン、黄色ワセリン)、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、パラフィン、流動パラフィン、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルのようなステロール類;シアバター、カルバナロウ、カカオ脂、及びキャンデリラロウのような植物脂;アボカド油、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ホホバ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、茶実油、コメヌカ油、米胚芽油、小麦胚芽油、落花生油、ヒマワリ油、アーモンド油、トウモロコシ油、ヤシ油、オレンジ油、セージ油、パーム油、ミンク油、メドウフォーム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローズヒップ油のような植物油;ラノリン、オレンジラフィー油、スクワラン、馬油、鯨ロウ、及びミツロウのような動物油脂;硬化油;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化グアガム、及びアセチル化ヒアルロン酸のような天然高分子誘導体;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体のような合成高分子;カラギーナン、アルギン酸、セルロース、グアーガム、クインスシード、デキストラン、ジェランガム、及びヒアルロン酸のような天然高分子;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなエステル類;デキストリン、及びマルトデキストリンのような多糖類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテルなどが挙げられる。
また、水性基剤としては、水、緩衝液の他に、エタノール、及びイソプロパノールのような低級アルコール;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコールのような多価アルコールなどが挙げられる。
基材又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0064】
中でも、炭化水素基剤が好ましく、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィンが好ましい。炭化水素基剤を含む場合、その合計含有量は、基剤又は担体の全量に対して、40重量%以上、中でも50重量%以上、中でも60重量%以上が好ましい。80重量%以上、又は90重量%以上とすることもできる。基剤として炭化水素基剤のみ(基剤又は担体の全量に対して、100重量%)を用いることもできる。
【0065】
また、炭化水素化合物に水性基剤を混合した基剤も好ましい。この場合、水性基剤の含有量は、例えば、外用油性固形組成物の全量に対して、15重量%以下、中でも10重量%以下、中でも5重量%以下とすることができる。また、3重量%以下とすることもできる。水性基剤の含有量は、外用油性固形組成物の全量に対して、0.00001重量%以上であり得る。
中でも、炭化水素化合物に水を混合した基剤も好ましい。この場合、水の含有量は、例えば、外用油性固形組成物の全量に対して、30重量%以下、中でも20重量%以下、中でも10重量%以下、中でも5重量%以下(特に、5重量%未満)、中でも3重量%以下、中でも1重量%以下、中でも0.5重量%以下とすることができる。水の含有量は、外用油性固形組成物の全量に対して、0.00001重量%以上であり得る。
【0066】
また、炭化水素化合物に硬化油を混合した基剤も好ましい。この場合も、炭化水素基剤の合計含有量は、基剤又は担体の全量に対して、40重量%以上、中でも50重量%以上、中でも60重量%以上が好ましい。80重量%以上、又は90重量%以上とすることもできる。また、この場合の炭化水素基剤の合計含有量の上限値は、基剤又は担体の全量に対して、99重量%程度とすることができる。
【0067】
なお、本発明の外用油性固形組成物が水溶性多価アルコール(多価アルコールは通常、水溶性である)を含む場合、その含有量は、組成物の全量に対して25重量%未満、中でも10重量%未満、中でも5重量%未満とすることができる。また、水溶性多価アルコールを含まないこともできる。
【0068】
また、本発明の外用油性固形組成物は、「副腎皮質ホルモン、及び抗ヒスタミン剤から選択される1種又は2種以上の医薬有効成分と、水溶性多価アルコール、高級脂肪酸塩、水溶性高分子、及び精製水を含む組成物」以外のものであり得る。また、「水溶性多価アルコール、高級脂肪酸塩、水溶性高分子、及び精製水を含む組成物」以外のものであり得る。
【0069】
また、本発明の外用油性固形組成物は、「ステロイド、不飽和脂肪酸アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールから選択されるアルキレングリコール、剛性化剤(中でも増粘剤、中でもろう様物質、中でも炭素数14~36のカルボン酸と炭素数14~36のアルコールとのモノエステル、又は炭素数18~36の脂肪酸のトリグリセリド若しくは炭素数18~36の脂肪酸のグリコールエステル)を含む組成物」以外のものであり得る。また、「不飽和脂肪酸アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールから選択されるアルキレングリコール、剛性化剤(中でも増粘剤、中でもろう様物質、中でも炭素数14~36のカルボン酸と炭素数14~36のアルコールとのモノエステル、又は炭素数18~36の脂肪酸のトリグリセリド若しくは炭素数18~36の脂肪酸のグリコールエステル)を含む組成物」以外のものであり得る。
【0070】
また、本発明の外用油性固形組成物は、「コルチコステロイド、ワセリン、ロウ、約5~約20重量%のプロピレングリコール、及び乳化剤を含み、実質的に水を含まない組成物」以外のものであり得る。また、「ワセリン、ロウ、約5~約20重量%のプロピレングリコール、及び乳化剤を含み、実質的に水を含まない組成物」以外のものであり得る。
【0071】
油性組成物
本発明の外用油性固形組成物は、基剤又は担体が主に油性基剤である油性組成物である。本発明の組成物中の水性基剤の含有量は、組成物の全量に対して、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらにより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。基剤又は担体が実質的に油性基剤のみからなる(中でも、油性基剤のみからなる)ものであってもよい。本発明の外用油性固形組成物が水性基剤を含む場合は、水性基剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.00001重量%以上であり得る。
特に、本発明の組成物中の水の含有量は、組成物の全量に対して、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらにより好ましく、5重量%以下が特に好ましく、5重量%未満が更により好ましく、3重量%以下が最も好ましい。また、1重量%以下、中でも0.5重量%以下とすることもできる。水を実質的に含まない(中でも、水を含まない)ものであってもよい。本発明の外用油性固形組成物が水を含む場合は、水の含有量は、組成物の全量に対して、0.00001重量%以上であり得る。
本発明の外用油性固形組成物が、水性基剤、特に水を含む場合、通常、油中水型の乳剤となるが、使用する界面活性剤によっては水中油型の乳剤となる場合もある。
【0072】
性状
本発明の外用油性固形組成物は、25℃の温度下で、固形の組成物であり、中でも成形された組成物であり得る。「成形された」は、25℃の温度下で、流動せず一定の形状を保つことを指す。「成形された組成物」は、力を加えることにより変形させ得る塑性を有する組成物や、ゲル状組成物も包含する。
中でも、スティック状又は棒状に成形された組成物であることが好ましい。「スティック状」及び「棒状」は、軸方向の長さが、周方向の直径より長いもの及び短いものの双方を含む。また、周方向の断面形状は、特に限定されず、円、楕円、角、不定形などが挙げられる。また、軸方向の端面(上端面及び/又は底端面)は、平面であってもよく、凸面や凹面であってもよい。
【0073】
本発明の外用油性固型組成物の硬度は、例えば1~100(g)とすることができ、好ましくは、5~90(g)であり、更に好ましくは、10~80(g)、さらにより好ましくは15~65(g)、特に好ましくは20~50(g)である。この範囲であれば、塗布部に過度な刺激を与えずに、製剤が適切量塗布でき、使用時の折れ(特に繰り出し容器に充填した油性組成物の繰り出し時に発生する折れ)を防止するとともに、滑りが良い組成物となる。
本発明における硬度とは、充填後の冷却として、約25℃で12時間以上、恒温化した製剤について、レオメーター(商品名「SUN RHEO METER CR-100」、株式会社サン科学製)を用いて、直径1mmの円柱状のアダプター(アダプター)を、筒状容器の中心の位置に、20mm/分の速度で進入させ、進入から30秒間の最大値を意味する(単位:g)。
【0074】
適用部位
本発明の外用油性固形組成物は、皮膚又は粘膜に適用することができるが、特に皮膚外用組成物であることが好ましい。皮膚には頭皮が含まれる。
【0075】
製造方法
本発明の外用油性固形組成物は、常法に従い製造できる。例えば、全成分(固形成分及び/又は液体状ないしは流動状成分を含む)を加熱しつつ混合及び撹拌することで、溶解又は分散させ、金型に充填した後に冷却し、容器に充填することで製造できるが、この製法に限定されない。
【0076】
摩擦低減方法
本発明は、外用油性固形組成物に、(A)ステロイド化合物、並びに/又は(B)抗ヒスタミン剤を含有させることにより、この組成物の塗布時の皮膚又は粘膜との摩擦を低減する方法を包含する。各成分の種類及び含有量、組成物の性状などは本発明の外用油性固形組成物について説明した通りである。
【実施例0077】
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1 塗布時の摩擦の評価(1)
表1に示す組成の油性スティック状組成物(重量約3.4g)を、常法により、直径1.3cmの繰り出し容器に充填することにより調製した。具体的には、以下の表1に示す成分を加熱溶解し、繰り出し容器の筒体内に充填し、冷却して棒状に固化させた後に、再度溶解、固化の操作を行い表面が平らな製剤を作成した。
各スティック製剤の塗布時の摩擦を、摩擦試験機(トリニティーラボ社製の「静・動摩擦測定機(トリラボ トライボマスター Type:TL201Sa)」)を用いて評価した。
具体的には、縦5cm×横15cmにカットした人工皮革を、摩擦試験機に取り付けた。次に、容器に充填された各スティック状組成物を、約0.5cm繰り出した状態でホルダーにセットし、平均動摩擦係数(μk)を、移動速度2mm/分、測定距離50mm、荷重50gの条件で測定した。
【0078】
下記の式(1)に従い、(A)ステロイド化合物も(B)抗ヒスタミン剤も含まない比較例1の組成物の摩擦係数を100とした場合の各実施例の組成物の摩擦係数の割合を算出した。
摩擦係数割合(%)=(各実施例の摩擦係数/比較例1の摩擦係数)×100・・・・・(1)
摩擦係数割合を、表1及び
図1に示す。
【0079】
【0080】
表1に示す通り、油性基剤にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、又はジフェンヒドラミンを配合することにより摩擦係数が低下し、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及びジフェンヒドラミンを配合することにより摩擦係数が顕著に低下した。
【0081】
実施例1-1の油性組成物の硬度を測定した結果、32.63(g)であった。
なお、硬度は、実施例1-1と同様の方法で別途作成した製剤について、約25℃で12時間以上、恒温化させた後、レオメーター(商品名「SUN RHEO METER CR-100」、株式会社サン科学製)を用いて、直径1mmの円柱状のアダプター(アダプター)を、油性組成物が充填された繰り出し容器の中心の位置に、20mm/分の速度で、進入させ、進入から30秒間の最大値を求めた(単位:g)。
【0082】
試験例2 塗布時の摩擦の評価(2)
油性スティック状組成物として、表2に示す組成のものを使用したこと以外は、試験例1と同様の方法で、塗布時の摩擦の評価を行った。
下記の式(2)に従い、比較例2-1の組成物の摩擦係数を100とした場合の実施例2-1の組成物の摩擦係数の割合を算出した。
摩擦係数割合(%)=(実施例2-1の摩擦係数/比較例2-1の摩擦係数)×100・・・・・(2)
摩擦係数割合を、表2に示す。
【0083】
【表2】
表2に示す通り、基剤として、水や、水性基剤を含有した場合も、摩擦係数が低減し、スティック剤を塗布する際の摩擦が低減することが確認された。
【0084】
試験例3 塗布時の摩擦の評価(3)
(A)ステロイド化合物としてヒドロコルチゾンを含む油性スティック状組成物を作製し、試験例1と同様の方法で、塗布時の摩擦の評価を行った。ヒドロコルチゾンの配合により摩擦係数が低下し、スティック剤を塗布する際の摩擦が低減することが確認された。
【0085】
製剤例
下記の処方で、外用油性固形組成物(製剤処方例1~3)を調製した。
<製剤処方例1>
(1)流動パラフィン 残余
(2)スクワラン 10.0重量%
(3)白色ワセリン 25.0重量%
(4)パラフィン 20.0重量%
(5)デキサメタゾン酢酸エステル 0.025重量%
(6)硬化油(硬化ヒマシ油タイプ) 5.0重量%
(7)クロタミトン 3.0重量%
全量100g
【0086】
<製剤処方例2>
(1)流動パラフィン 残余
(2)α-オレフィンオリゴマー 10.0重量%
(3)白色ワセリン 25.0重量%
(4)パラフィン 20.0重量%
(5)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15重量%
(6)硬化油(硬化ナタネ油タイプ) 5.0重量%
(7)クロタミトン 3.0重量%
全量100g
<製剤処方例3>
(1)流動パラフィン 残余
(2)白色ワセリン 27.0重量%
(3)硬化油 4.0重量%
(4)パラフィン 20.0重量%
(5)ジフェンヒドラミン 1.0重量%
全量100g