(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171716
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】太陽電池用のペロブスカイトに接触する不動態化バリア層
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20231128BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20231128BHJP
H10K 30/82 20230101ALI20231128BHJP
H10K 30/85 20230101ALI20231128BHJP
H10K 30/86 20230101ALI20231128BHJP
H10K 30/88 20230101ALI20231128BHJP
H10K 85/50 20230101ALI20231128BHJP
H10K 85/20 20230101ALI20231128BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231128BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20231128BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K30/82
H10K30/85
H10K30/86
H10K30/88
H10K85/50
H10K85/20
H10K85/60
H10K85/10
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023127166
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2019521181の分割
【原出願日】2017-07-07
(31)【優先権主張番号】62/359,656
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504346525
【氏名又は名称】ネーデルランツェ・オルガニザーティ・フォール・トゥーヘパストナトゥールウェテンシャッペレイク・オンダーズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クアン, インフゥァン
(72)【発明者】
【氏名】シュロップ, ルドルフ エマニュエル イシドール
(72)【発明者】
【氏名】コウシック, ディビヤシュリー
(72)【発明者】
【氏名】クレアトーレ, マリアドリアーナ
(72)【発明者】
【氏名】フェーンストラ, シュールト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耐環境性に優れた有機無機ペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】基板、基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、n型電子輸送材料(ETM)層、i型ペロブスカイト層、p型正孔輸送材料(HTM)層及び電極層を含むハイブリッド有機-無機太陽電池であって、原料としてトリメチルアルミニウム、TMA及びH2Oを含むALDプロセスにて形成される酸化アルミニウムを含む不働態化バリア層を各層間に配置する。
【選択図】
図3N
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基板、
b)前記基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、
c)n型層を含む電子輸送材料(ETM)層、
d)p型層を含む正孔輸送材料(HTM)層、
e)少なくとも1つの不動態化バリア層、
f)i型層を含むペロブスカイト層、及び
g)電極層
を含むハイブリッド有機-無機太陽電池であって、前記基板、前記TCO層、前記ETM層、前記ペロブスカイト層、前記HTM層及び前記電極層が、n-i-pスタックで配列されているか、又は前記基板、前記TCO層、前記HTM層、前記ペロブスカイト層、前記ETM層及び前記電極層が、p-i-nスタックで配列されており、
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、(i)前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(ii)前記ペロブスカイトと前記ETM層の間、又は(iii)前記ペロブスカイトと前記HTM層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記ETMの間、又は(iv)前記TCO層と前記ETM層の間、及び前記ETM層と前記ペロブスカイト層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(v)前記基板と前記TCO層の間、及び前記TCO層と前記ETM層の間、及びETM層と前記ペロブスカイト層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(vi)一対の前記ETM層の間、又は(vii)一対の前記HTM層の間に配置されている、ハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項2】
前記ETM層が、フラーレン、ZnOS、TiOx、SnOx、ZnOx、CdS、Sb2S3及びBi2S3からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項3】
前記フラーレンが、PCBM又はC60を含む、請求項2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項4】
前記フラーレンが、ドープされている、又はドープされていない、請求項2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項5】
前記HTM層が、P3HT、スピロ-OMeTAD、PEDOT:PSS、NiOx、MoOx、WOx、CuOx、Cu[SCN]x、V2O5、MoS2、CuGaO2、PTAA、ポリ-TPD及びPbSからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項6】
前記P3HT、スピロ-OMeTAD、PTAA及びポリ-TPDが、ドープされている、又はドープされていない、請求項5に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項7】
前記TCO層の材料が、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、SnO2:F(FTO)、SnO2、ZnO:Al及びZnO:Bからなる群から選択される、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項8】
前記電極層の材料が、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2、C、Au、Ag、Cu、Ni及びAlから選択される、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項9】
前記不動態化バリア層が、Al2O3、SnO2、TiO2、ZnO、NiOx、MoOx、CuOx、CuGaOx、Y2O3、SiNx、SiO2、Ta2O5、トリフルロロブチルアミンヨウ化水素酸塩(TFBA)、AlFx、LiF及びPbI2からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項10】
前記基板に近接する電極が、非透明電極上の半透明のものを含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項11】
前記ペロブスカイト層が、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3PbI3-xBrx、HC(NH2)2PbI3、HC(NH2)2PbCl3、HC(NH2)2PbBr3、HC(NH2)2PbI3-xClx、HC(NH2)2PbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3、CsPbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3-yBry、CH3NH3Pb1-xSnxI3-yBry、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPbI3-zBrz、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPb1-zSnzI3-δBrδ、及び(CH3NH3)1-x-y-z[HC(NH2)2]zCsyRbxPbI3-δBrδからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【請求項12】
前記ペロブスカイトの前記Pbが、他の第IV族元素で部分的に又は完全に置き換えられている、請求項11に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、太陽電池に関する。より詳細には、本発明は、太陽電池スタックの層の間に配置される不動態化バリア層に関する。
【0002】
[発明の背景]
ペロブスカイト材料は、光起電の太陽電池用途のために興味深いが、材料安定性の問題がある。このような問題は、電池の寿命にわたる、太陽電池の作製で使用される他の材料への曝露並びに環境上の曝露(水、酸素など)から生じる可能性がある。太陽電池のペロブスカイト層上に不動態化バリア層を作製する試みがなされたが、現在までの成果は乏しかった。
【0003】
性能増強のためのペロブスカイト太陽電池に配置される不動態化バリア層が、必要とされている。
【0004】
[発明の概要]
当業界での必要性に対処するために、基板、基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、n型層である電子輸送材料(ETM)層、p型層である正孔輸送材料(HTM)層、少なくとも1つの不動態化バリア層、i型層であるペロブスカイト層、及び電極層を含むハイブリッド有機-無機太陽電池であって、基板、TCO層、ETM層、ペロブスカイト層、HTM層及び電極層が、n-i-pスタックで配列されているか、又は基板、TCO層、HTM層、ペロブスカイト層、ETM層及び電極層が、p-i-nスタックで配列されており、少なくとも1つの不動態化バリア層が、(i)ペロブスカイト層とHTM層の間、又は(ii)ペロブスカイトとETM層の間、又は(iii)ペロブスカイトとHTM層の間、及びペロブスカイト層とETMの間、又は(iv)TCO層とETM層の間、及びETM層とペロブスカイト層の間、及びペロブスカイト層とHTM層の間、又は(v)基板とTCO層の間、及びTCO層とETM層の間、及びETM層とペロブスカイト層の間、及びペロブスカイト層とHTM層の間、又は(vi)一対のETM層の間、又は(vii)一対のHTM層の間に配置されている、ハイブリッド有機-無機太陽電池が提供される。
【0005】
本発明の一態様によれば、ETM層の材料は、フラーレン、ZnOS、TiO2、SnO2、ZnO、CdS、Sb2S3、Bi2S3又はその任意の組合せを含む。ここで、フラーレンは、PCBM又はC60を含み、フラーレンは、ドープされている、又はドープされていない。
【0006】
本発明の別の態様では、HTM層の材料は、P3HT、スピロ-OMeTAD、PEDOT:PSS、NiOx、MoOx、WOx、CuOx、CuSCN、V2O5、MoS2、CuGaO2、PTAA、ポリ-TPD、PbS又はその任意の組合せを含む。ここで、P3HT、スピロ-OMeTAD、PTAA及びポリ-TPDは、ドープされている、又はドープされていない。
【0007】
本発明のさらなる態様では、TCO層の材料は、In2O3:SnO2(ITO)、Ιn2O3:Η、SnO2:F(FTO)、SnO2、ZnO:Al、ZnO:B又はその任意の組合せを含む。
【0008】
本発明のさらに別の態様では、電極層の材料は、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2、C、Au、Ag、Cu、Ni又はAlを含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、不動態化バリア層の材料は、Al2O3、SnO2、TiO2、ZnO、NiO、MoOx、CuOx、CuGaOx、Y2O3、SiNx、SiO2、Ta2O5、トリフルロロブチルアミンヨウ化水素酸塩(Triflurorobutylamine hydroiodide)(TFBA)、AlFx、LiF又はPbI2を含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、基板に近接である電極は、非透明電極上で半透明であってもよい。
【0011】
本発明のさらなる態様では、ペロブスカイト層の材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3PbI3-xBrx、HC(NH2)2PbI3、HC(NH2)2PbCl3、HC(NH2)2PbBr3、HC(NH2)2PbI3-xClx、HC(NH2)2PbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3-yBry、CsPbI3-xBrx、CH3NH3Pb1-xSnxI3-yBry、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPbI3-zBrz、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPb1-zSnzI3-δBrδ、及び(CH3NH3)1-x-y-z[HC(NH2)2]zCsyRbxPbI3-δBrδを含む。一態様では、ペロブスカイトのPbは、他の第IV族元素で部分的に又は完全に置き換えられている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機太陽電池中の不動態化バリア層を作製するための、例示のALDの概略図を示す。
【
図2A】
図2A~2Cは、本発明の一実施形態により、(2A)作製直後(0日)に不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いて、及びなしで、(2B)不動態化バリア層なしに、及び(2C)不動態化バリア層に接触している、ペロブスカイト膜のX線回折(XRD)スペクトルを示す図である。
【
図2B】
図2A~2Cは、本発明の一実施形態により、(2A)作製直後(0日)に不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いて、及びなしで、(2B)不動態化バリア層なしに、及び(2C)不動態化バリア層に接触している、ペロブスカイト膜のX線回折(XRD)スペクトルを示す図である。
【
図2C】
図2A~2Cは、本発明の一実施形態により、(2A)作製直後(0日)に不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いて、及びなしで、(2B)不動態化バリア層なしに、及び(2C)不動態化バリア層に接触している、ペロブスカイト膜のX線回折(XRD)スペクトルを示す図である。
【
図3A】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3B】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3C】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3D】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3E】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3F】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3G】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3H】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3I】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3J】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3K】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3L】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3M】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3N】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図3O】
図3A~3Oは、本発明の一実施形態により、ハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池に堆積されている不動態化バリア層の概略図を示す。
【
図4A】
図4Aは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3なしに、劣化の実験データを示すグラフである。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態により、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いた、劣化の低減の実験データを示すグラフである。
【
図5A】
図5Aは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3なしに、劣化の実験データを示すグラフである。
【
図5B】
図5Bは、本発明の一実施形態により、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いた、劣化の低減の実験データを示すグラフである。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施形態により、作製直後(0日目)に、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いて又はなしで、電池性能を比較するグラフである。
【
図6B】
図6Bは、本発明の一実施形態により、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いた、実質的に劣化なしのグラフである。
【0013】
[詳細な説明]
本発明は、改善されたデバイス、及びペロブスカイト太陽電池中の少なくとも1つの不動態化バリア層を作製するプロセスを提供し、優れた性能を提示する。したがって、ハイブリッド有機-無機IV-ハライドペロブスカイト太陽電池の高い不安定性の問題が、首尾よく対処される。
【0014】
本発明の一例によれば、薄層(例えば、0.2nm~数ナノメートルの間の厚さ)Al
2O
3不動態化バリア層が、感受性ペロブスカイト層を密封するために使用される。Al
2O
3不動態化バリア層は、電子選択性又は正孔感受性接触層のさらなる堆積の間、並びに水、水蒸気及び酸素に対して使用できる太陽電池デバイスの寿命にわたりペロブスカイト層を保護するが、それは、ペロブスカイト層に対して低い耐性の接触の形成を防止しない。ここで、Al
2O
3不動態化バリア層は、太陽電池のためのトンネル接触を提供するのに十分に薄い。Al
2O
3不動態化バリア層は、100℃で、トリメチルアルミニウム(TMA)及びH
2Oから原子層堆積(ALD)を使用して堆積されるのが好ましい。これについての例示的なALDプロセスは、
図1に概略図で表される。この例では、本発明者らは、4つのALD堆積サイクルを使用した。ALDサイクルの数は、1~10であることが好ましく、ALDサイクルの数は、5~10であるのがさらに好ましい。
【0015】
頂部にALD Al
2O
3を有する、及び有しないペロブスカイト膜のX線回折(XRD)スペクトルが、
図2Aで示される。両方の個別のスペクトルに存在する特徴的ピーク(14.1°、28.4°及び43.2°)により確認されるとおり、頂部でのALD Al
2O
3の堆積の前後にペロブスカイト膜の結晶構造での明らかな変化がなく、CH
3NH
3PbI
3の(110)、(220)及び(330)ピークに割り当てることができる。湿気に曝露した後、頂部にALD Al
2O
3不動態化バリア層なしのペロブスカイトの劣化は、
図2BのXRDスペクトルで12.6°での新たなピークの出現から見出される。このピークは、PbI
2の(001)回折ピークに割り当てられ、酸素及び湿気に曝露されたときに、ペロブスカイトの変質の結果として形成される。対照的に、同じ湿度条件に曝露された場合に、頂部にALD Al
2O
3を有するペロブスカイトのXRDスペクトル(
図2C)でPbI
2のこの12.6°特性ピークの出現がなく、そのことで、ペロブスカイトに接触するALD Al
2O
3が、不動態化バリア層として役割を果たし、その安定性を増強することが確認される。
【0016】
完全な太陽電池デバイスが作製された。
図3A~3Oは、基板、基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、n型層である電子輸送材料(ETM)層、p型層である正孔輸送材料(HTM)層、少なくとも1つの不動態化バリア層、i型層であるペロブスカイト層、及び電極層を含むハイブリッド有機-無機太陽電池であって、基板、TCO層、ETM層、ペロブスカイト層、HTM層及び電極層が、n-i-pスタックで配列されているか、又は基板、TCO層、HTM層、ペロブスカイト層、ETM層及び電極層が、p-i-nスタックで配列されており、少なくとも1つの不動態化バリア層が、(i)ペロブスカイト層とHTM層の間、又は(ii)ペロブスカイトとETM層の間、又は(iii)ペロブスカイトとHTM層の間、及びペロブスカイト層及びETMの間に、又は(iv)TCO層及びETM層の間、及びETM層及びペロブスカイト層の間、及びペロブスカイト層及びHTM層の間、又は(v)基板及びTCO層の間に、並びTCO層及びETM層の間、及びETM層及びペロブスカイト層の間、及びペロブスカイト層及びHTM層の間、又は(vi)一対のETM層の間、又は(vii)一対のHTM層の間に配置されている、ハイブリッド有機-無機太陽電池の例示的な実施形態を示す。
【0017】
図3C~3D(p-i-n及びn-i-p配置の両方で示されるペロブスカイト及び電子輸送材料(ETM)の間の不動態化バリア層)及び
図3E~3F(p-i-n及びn-i-p配置の両方で示されるペロブスカイト及びHTMの間の、並びにペロブスカイト及びETMの間のバリア層)の配置も可能であるが、データに対する実験は、
図3A~3Bの配置(p-i-n及びn-i-p配置の両方で示されるペロブスカイト及び正孔輸送材料(HTM)の間の不動態化バリア層)に関する。ここで、全ての実施例の重要な特徴は、不動態化バリア層が、直接、光活性ペロブスカイト層の上にあることである。
図3G~3Nは、本発明の実施形態によるハイブリッド有機-無機p-i-n及びn-i-p太陽電池の複数層の間にある不動態化バリア層を示す。ペロブスカイト太陽電池は、その少なくとも一方が、透明であるべきである2つの電極を含む。したがって、電極の一方は、非透明である可能性がある。
図3Oは、基板層より遠位である透明な導電性酸化物層、及び基板層に近接する非透明又は半透明電極を有する太陽電池スタックを示す。
【0018】
したがって、本発明のさらなる態様では、基板に近い電極は、非透明のものの上の半透明のものでもあってもよい。
図3A~3Lでは、TCOは、常に基板に近い。しかし、頂部電極が透明である場合、基板に近い電極は、非透明である可能性がある。
【0019】
本発明の一態様によれば、ETM層の材料は、フラーレン、ZnOS、TiO2、SnO2、ZnO、CdS、Sb2S3、Bi2S3又はその任意の組合せを含む。ここで、フラーレンは、PCBM又はC60を含み、ここでフラーレンは、ドープされている、又はドープされていない。
【0020】
本発明の別の態様では、HTM層の材料は、P3HT、スピロ-OMeTAD、PEDOT:PSS、NiOx、MoOx、WOx、CuOx、CuSCN、V2O5、MoS2、CuGaO2、PTAA、ポリ-TPD、PbS又はその任意の組合せを含む。ここで、P3HT、スピロ-OMeTAD、PTAA及びポリ-TPDは、ドープされている、又はドープされていない。
【0021】
本発明のさらなる態様では、TCO層の材料は、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、SnO2:F(FTO)、SnO2、ZnO:Al若しくはZnO:B又はその任意の組合せを含む。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、電極層の材料は、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2、C、Au、Ag、Cu、Ni又はAlを含む。
【0023】
本発明の一態様によれば、不動態化バリア層の材料は、Al2O3、SnO2、TiO2、ZnO、NiO、MoO3、CuO、CuGaO2、Y2O3、SiNx、SiO2、Ta2O5、トリフルロロブチルアミンヨウ化水素酸塩(TFBA)、AlFx、LiF又はPbI2を含む。
【0024】
本発明のさらなる態様では、ペロブスカイト層の材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3PbI3-xBrx、HC(NH2)2PbI3、HC(NH2)2PbCl3、HC(NH2)2PbBr3、HC(NH2)2PbI3-xClx、HC(NH2)2PbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3-yBry、CsPbI3-xBrx、CH3NH3Pb1-xSnxI3-yBry、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPbI3-zBrz、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPb1-zSnzI3-δBrδ、及び(CH3NH3)1-x-y-z[HC(NH2)2]zCsyRbxPbI3-δBrδを含む。一態様では、ペロブスカイトのPbは、他の第IV族元素で部分的に又は完全に置き換えられている。
【0025】
第1の例では、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は、正孔輸送材料として使用される。
図4Aは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3なしの劣化を示す。
図4Bは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3での劣化の低減を示す。
【0026】
第2の例では、2,2’,7,7’-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニル-アミン)9,9’-スピロビフルオレン(スピロ-OMeTAD)は、正孔輸送材料として使用される。
図5Aは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3なしで劣化を示す。
図5Bは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3で劣化の低減を示す。
【0027】
第3の例では、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)が、正孔輸送材料として使用される。
図6Aは、作製直後(0日)に不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を用いて、及びなしでの電池性能を比較する。不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3の使用なしでは、電池が適切に作製されないことが分かる。不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3を使用することで、電池は、優れた当初のI-V性能を有する。さらに、
図6Bでは、不動態化バリア層に接触しているAl
2O
3で実際に劣化がないことが示された。HTMとしてPEDOT:PSSの場合には、Al
2O
3層は、湿気からデバイスを保護するのみならず、HTMとしてPEDOT:PSSを使用して、ペロブスカイト電池の加工を可能にすることも重要である。
【0028】
全ての場合に、Al2O3不動態化バリア層なしの電池と比較して、Al2O3不動態化バリア層が使用される場合、当初の電池効率の低下がない。電池を、15日間、40%湿度雰囲気条件に、その後さらに10日間60%湿度に、その後さらに30日間、周囲実験室雰囲気(60~75%湿度)に曝露した。湿潤条件下でのデバイスの大いに改善された安定性は、不動態化バリア層により提供される。I-V性能は、不動態化バリア層を有する構造で維持される一方で、不動態化バリア層なしの電池の性能は、時間とともに大幅に低下する。
【0029】
本発明は、いくつかの例示的な実施形態によりここに記載されているが、これは限定的であるよりもむしろ全ての態様で例示的であることが意図される。したがって、本発明は、詳述される実施において多くの変動が可能であり、それは、当業者により本明細書に含まれる説明から誘導されていてもよい。例えば、ETM(又はHTM)は、3つの主要な機能:
1.優れた電子輸送(優れた正孔輸送);
2.優れた正孔ブロック特性(優れた電子ブロック特性);及び
3.不動態化機能性及び化学的拡散バリア機能性を含むバリア特性
を有することが好ましい。ここで、不動態化機能性(すなわち、隣接層(複数可)を有する反応性種との化学反応又は物理吸収)であって、この機能性は、2つの効果:(i)バルク及び/又は界面の再結合の減少(これは、ペロブスカイト層、及び隣接層とのペロブスカイトの界面に適用する)、及び(ii)上述の反応性種を包含する劣化反応の防止(これは、スタック中の層のいずれかに適用する)を有しうる。
【0030】
さらに、化合物拡散バリア機能性は、H2O、CO2、O2、溶媒、他の層の分解材料(例えば、MAIなど)に対する保護を含む。
【0031】
さらに、上述の特性は、いくつかの層で実現されうる。例えば、ETMは、1つの電子輸送層、1つの正孔ブロック層、1つの不動態化バリア層から構成されうる。しかし、単独層で2つ又は3つの特性を合わせることも可能である。もちろん、ETM、HTM、TCO及び電極を構築する層を保護するために、さらなる不動態化バリア層が導入されてもよい。したがって、バリアは、多くのデバイススタックで描かれるとおり、異なる配置に置くことができる。
【0032】
全てのこのような変形体は、以下の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物により定義されるとおり本発明の範囲及び概念内にあると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、前記基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、n型層である電子輸送材料(ETM)層、p型層である正孔輸送材料(HTM)層、少なくとも1つの不動態化バリア層、i型層であるペロブスカイト層、及び電極層を含み、前記基板、前記TCO層、前記ETM層、前記ペロブスカイト層、前記HTM層及び前記電極層が、n-i-pスタックで配列されているか、又は前記基板、前記TCO層、前記HTM層、前記ペロブスカイト層、前記ETM層及び前記電極層が、p-i-nスタックで配列されているハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法であって、
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、(i)前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(ii)前記ペロブスカイト層と前記ETM層の間に配置されており、
前記製造方法は、前記太陽電池を作製することを含み、
前記少なくとも1つの不動態化バリア層は、原子層堆積 ALD プロセスにより形成される、ハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記不動態化バリア層を形成するALDプロセスが、1以上のALDサイクル、好ましくは1~10のALD堆積サイクル、より好ましくは、5~10のALD堆積サイクルを含む、請求項1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記不動態化バリア層が、酸化アルミニウム Al
2
O
3
を材料として含む、請求項1又は2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記Al
2
O
3
が、ALDプロセスにおいてトリメチルアルミニウム TMA及びH
2
Oから形成される、請求項3に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項5】
ALD堆積サイクルにおける堆積温度が100℃である、請求項3又は4に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記不動態化バリア層が、Al
2
O
3
、SnO
2
、TiO
2
、ZnO、NiO
x
、MoO
3
、CuO、SiN
x
、SiO
2
、Ta
2
O
5
及びPbI
2
から選択される1つを材料として含む、請求項1又は2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記ETM層が、フラーレン、ZnOS、TiOx、SnOx、ZnOx、CdS、Sb2S3及びBi2S3からなる群から選択される材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記HTM層が、P3HT、スピロ-OMeTAD、PEDOT:PSS、NiOx、MoOx、WOx、CuOx、Cu[SCN]x、V2O5、MoS2、CuGaO2、PTAA、ポリ-TPD及びPbSからなる群から選択される材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記TCO層の材料が、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、SnO2:F(FTO)、SnO2、ZnO:Al及びZnO:Bからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記電極層の材料が、In2O3:SnO2(ITO)、In2O3:H、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2、C、Au、Ag、Cu、Ni及びAlから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記ペロブスカイト層が、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3PbI3-xBrx、HC(NH2)2PbI3、HC(NH2)2PbCl3、HC(NH2)2PbBr3、HC(NH2)2PbI3-xClx、HC(NH2)2PbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3、CsPbI3-xBrx、[HC(NH2)2]1-xCsxPbI3-yBry、CH3NH3Pb1-xSnxI3-yBry、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPbI3-zBrz、(CH3NH3)1-x-y[HC(NH2)2]yCsxPb1-zSnzI3-δBrδ、及び(CH3NH3)1-x-y-z[HC(NH2)2]zCsyRbxPbI3-δBrδからなる群から選択される材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項12】
CH
3
NH
3
PbI
3
、CH
3
NH
3
PbCl
3
、CH
3
NH
3
PbBr
3
、CH
3
NH
3
PbI
3-x
Cl
x
、CH
3
NH
3
PbI
3-x
Br
x
、HC(NH
2
)
2
PbI
3
、HC(NH
2
)
2
PbCl
3
、HC(NH
2
)
2
PbBr
3
、HC(NH
2
)
2
PbI
3-x
Cl
x
、HC(NH
2
)
2
PbI
3-x
Br
x
、[HC(NH
2
)
2
]
1-x
Cs
x
PbI
3
、CsPbI
3-x
Br
x
、[HC(NH
2
)
2
]
1-x
Cs
x
PbI
3-y
Br
y
、CH
3
NH
3
Pb
1-x
Sn
x
I
3-y
Br
y
、(CH
3
NH
3
)
1-x-y
[HC(NH
2
)
2
]
y
Cs
x
PbI
3-z
Br
z
、(CH
3
NH
3
)
1-x-y
[HC(NH
2
)
2
]
y
Cs
x
Pb
1-z
Sn
z
I
3-δ
Br
δ
、及び(CH
3
NH
3
)
1-x-y-z
[HC(NH
2
)
2
]
z
Cs
y
Rb
x
PbI
3-δ
Br
δ
からなる群から選択される前記材料において、前記材料中のPb元素の量は、第IV族元素からの1つ又は複数の元素によって部分的に又は完全に置換されている、請求項11に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記基板と前記TCO層の間にさらに配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記TCO層と前記ETM層の間にさらに配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記TCO層と前記HTM層の間にさらに配置されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記電極層と前記HTM層の間にさらに配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記電極層と前記ETM層の間にさらに配置されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記太陽電池が、追加のETM層を含み、前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記ETM層と前記追加のETM層の間にさらに配置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記太陽電池が、追加のHTM層を含み、前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、前記HTM層と前記追加のHTM層の間にさらに配置されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
全てのこのような変形体は、以下の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物により定義されるとおり本発明の範囲及び概念内にあると考えられる。
(付記1)
a)基板、
b)前記基板上に堆積されている透明導電性酸化物(TCO)層、
c)n型層を含む電子輸送材料(ETM)層、
d)p型層を含む正孔輸送材料(HTM)層、
e)少なくとも1つの不動態化バリア層、
f)i型層を含むペロブスカイト層、及び
g)電極層
を含むハイブリッド有機-無機太陽電池であって、前記基板、前記TCO層、前記ETM層、前記ペロブスカイト層、前記HTM層及び前記電極層が、n-i-pスタックで配列されているか、又は前記基板、前記TCO層、前記HTM層、前記ペロブスカイト層、前記ETM層及び前記電極層が、p-i-nスタックで配列されており、
前記少なくとも1つの不動態化バリア層が、(i)前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(ii)前記ペロブスカイトと前記ETM層の間、又は(iii)前記ペロブスカイトと前記HTM層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記ETMの間、又は(iv)前記TCO層と前記ETM層の間、及び前記ETM層と前記ペロブスカイト層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(v)前記基板と前記TCO層の間、及び前記TCO層と前記ETM層の間、及びETM層と前記ペロブスカイト層の間、及び前記ペロブスカイト層と前記HTM層の間、又は(vi)一対の前記ETM層の間、又は(vii)一対の前記HTM層の間に配置されている、ハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記2)
前記ETM層が、フラーレン、ZnOS、TiO
x
、SnO
x
、ZnO
x
、CdS、Sb
2
S
3
及びBi
2
S
3
からなる群から選択される材料を含む、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記3)
前記フラーレンが、PCBM又はC60を含む、付記2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記4)
前記フラーレンが、ドープされている、又はドープされていない、付記2に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記5)
前記HTM層が、P3HT、スピロ-OMeTAD、PEDOT:PSS、NiO
x
、MoO
x
、WO
x
、CuO
x
、Cu[SCN]
x
、V
2
O
5
、MoS
2
、CuGaO
2
、PTAA、ポリ-TPD及びPbSからなる群から選択される材料を含む、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記6)
前記P3HT、スピロ-OMeTAD、PTAA及びポリ-TPDが、ドープされている、又はドープされていない、付記5に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記7)
前記TCO層の材料が、In
2
O
3
:SnO
2
(ITO)、In
2
O
3
:H、SnO
2
:F(FTO)、SnO
2
、ZnO:Al及びZnO:Bからなる群から選択される、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記8)
前記電極層の材料が、In
2
O
3
:SnO
2
(ITO)、In
2
O
3
:H、ZnO:Al、ZnO:B、SnO
2
、C、Au、Ag、Cu、Ni及びAlから選択される、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記9)
前記不動態化バリア層が、Al
2
O
3
、SnO
2
、TiO
2
、ZnO、NiO
x
、MoO
x
、CuO
x
、CuGaO
x
、Y
2
O
3
、SiN
x
、SiO
2
、Ta
2
O
5
、トリフルロロブチルアミンヨウ化水素酸塩(TFBA)、AlF
x
、LiF及びPbI
2
からなる群から選択される材料を含む、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記10)
前記基板に近接する電極が、非透明電極上の半透明のものを含む、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記11)
前記ペロブスカイト層が、CH
3
NH
3
PbI
3
、CH
3
NH
3
PbCl
3
、CH
3
NH
3
PbBr
3
、CH
3
NH
3
PbI
3-x
Cl
x
、CH
3
NH
3
PbI
3-x
Br
x
、HC(NH
2
)
2
PbI
3
、HC(NH
2
)
2
PbCl
3
、HC(NH
2
)
2
PbBr
3
、HC(NH
2
)
2
PbI
3-x
Cl
x
、HC(NH
2
)
2
PbI
3-x
Br
x
、[HC(NH
2
)
2
]
1-x
Cs
x
PbI
3
、CsPbI
3-x
Br
x
、[HC(NH
2
)
2
]
1-x
Cs
x
PbI
3-y
Br
y
、CH
3
NH
3
Pb
1-x
Sn
x
I
3-y
Br
y
、(CH
3
NH
3
)
1-x-y
[HC(NH
2
)
2
]
y
Cs
x
PbI
3-z
Br
z
、(CH
3
NH
3
)
1-x-y
[HC(NH
2
)
2
]
y
Cs
x
Pb
1-z
Sn
z
I
3-δ
Br
δ
、及び(CH
3
NH
3
)
1-x-y-z
[HC(NH
2
)
2
]
z
Cs
y
Rb
x
PbI
3-δ
Br
δ
からなる群から選択される材料を含む、付記1に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
(付記12)
前記ペロブスカイトの前記Pbが、他の第IV族元素で部分的に又は完全に置き換えられている、付記11に記載のハイブリッド有機-無機太陽電池。
【外国語明細書】