(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017172
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ゴーグル
(51)【国際特許分類】
A61F 9/02 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
A61F9/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121226
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000179926
【氏名又は名称】山本光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】富永 浩史
(57)【要約】
【課題】ゴーグル内部に外気を導入できる換気状態と、ゴーグル内部に外気が導入されない不換気状態とを簡易、確実に切替でき、様々な環境下で快適に使用できるように用途を拡大できるゴーグルを提供する。
【解決手段】
本発明のゴーグルは、ゴーグルレンズ10と、フレーム20と、少なくとも1つの通気部30と、保持手段40とを具備する。フレーム20は、弾性変形可能であり、ゴーグルレンズ10の周部12と気密に当接し、ゴーグルレンズ10と連結される。少なくとも1つの通気部30は、ゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との当接領域に配設され、フレーム20の部分的な弾性変形によってゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との間に通気可能な隙間31が形成され通気可能となり、部分的な変形が解消され通気不可能となる。保持手段40は、フレーム20における部分的な弾性変形を保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部(11)、及び他部材と連結可能な周部(12)を有するゴーグルレンズ(10)と、
弾性変形可能であり、前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と気密に当接し、前記ゴーグルレンズ(10)と連結されるフレーム(20)と、
前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と前記フレーム(20)との当接領域に配設される少なくとも1つの通気部(30)であって、前記フレーム(20)の部分的な弾性変形によって前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と前記フレーム(20)との間に通気可能な隙間(31)が形成され通気可能となり、前記部分的な弾性変形が解消され通気不可能となる少なくとも1つの通気部(30)と、
前記少なくとも1つの通気部(30)が通気可能であるときに前記少なくとも1つの通気部(30)において前記フレーム(20)と係合可能に前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)に設けられており、前記フレーム(20)における前記部分的な弾性変形を保持する保持手段(40)
とを具備するゴーグル。
【請求項2】
前記保持手段(40)は、前記少なくとも1つの通気部(30)が通気可能であるときに、前記少なくとも1つの通気部(30)において前記フレーム(20)と係合可能に前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)に突設される突起(41)を含む、請求項1に記載のゴーグル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの通気部(30)は、前記フレーム(20)の上部と下部とに少なくとも1つずつ設置される、請求項1又は請求項2に記載のゴーグル。
【請求項4】
前記フレーム(20)の上部に前記少なくとも1つの通気部(30)が設置され、
前記フレーム(20)の前記上部における外側面に突設され、異物が使用者の顔の方向から前記少なくとも1つの通気部(30)に侵入することを防止する防壁部(21)を更に具備する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴーグル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場、工事現場等の粉塵の多い場所や医療現場等の感染症対策において使用される防塵ゴーグル、又はバイク用ゴーグル、スノーゴーグルなどのスポーツ用のゴーグルに関し、特に、ゴーグル内部に外気を導入できる換気状態と、ゴーグル内部に外気が導入されない不換気・密閉状態とを切替できるゴーグルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズの曇り等を防止するためにゴーグル内部に外気を導入可能なゴーグルとして、特許文献1には、ゴーグル本体の上部に通気孔を有するゴーグルが記載されている。特許文献1に記載のゴーグルにおいては、通気孔を前方から覆う覆いがゴーグル本体に設置されており、前方から飛来する異物が通気孔を介しゴーグル内部に侵入することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のゴーグルにおいては、前方から飛来する比較的に大きな異物の侵入は防止できても、通気孔を塞ぐ手段がないために、通気孔を介しゴーグル内部に例えば粉塵が侵入することは防止できず、快適に使用できる環境が限定され、用途が限定される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴーグル内部に外気を導入できる換気状態と、ゴーグル内部に外気が導入されない不換気状態とを簡易、確実に切替でき、様々な環境下で快適に使用できるように用途を拡大できるゴーグルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するゴーグルは、ゴーグルレンズ(10)と、フレーム(20)と、少なくとも1つの通気部(30)と、保持手段(40)とを具備する。前記ゴーグルレンズ(10)は、レンズ部(11)、及び周部(12)を有する。前記周部(12)は、他部材と連結可能である。前記フレーム(20)は、弾性変形可能であり、前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と気密に当接し、前記ゴーグルレンズ(10)と連結される。前記少なくとも1つの通気部(30)は、前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と前記フレーム(20)との当接領域に配設され、前記フレーム(20)の部分的な弾性変形によって前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)と前記フレーム(20)との間に通気可能な隙間(31)が形成され通気可能となり、前記部分的な変形が解消され通気不可能となる。前記保持手段(40)は、前記少なくとも1つの通気部(30)が通気可能であるときに前記少なくとも1つの通気部(30)において前記フレーム(20)と係合可能に前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)に設けられており、前記フレーム(20)における前記部分的な弾性変形を保持する。
【0007】
本願に開示するゴーグルにおいて、前記保持手段(40)は、突起(41)を含む。前記突起(41)は、前記少なくとも1つの通気部(30)が通気可能であるときに、前記少なくとも1つの通気部(30)において前記フレーム(20)と係合可能に前記ゴーグルレンズ(10)の前記周部(12)に突設される。
【0008】
本願に開示するゴーグルにおいて、前記少なくとも1つの通気部(30)は、前記フレーム(20)の上部と下部とに少なくとも1つずつ設置される。
【0009】
本願に開示するゴーグルにおいては、前記フレーム(20)の上部に前記少なくとも1つの通気部(30)が設置される。そして、本願に開示するゴーグルは、防壁部(21)を更に具備する。前記防壁部(21)は、前記フレーム(20)の前記上部における外側面に突設され、異物が使用者の顔の方向から前記少なくとも1つの通気部(30)に侵入することを防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴーグルによれば、ゴーグル内部に外気を導入できる換気状態と、ゴーグル内部に外気が導入されない不換気状態とを簡易、確実に切替でき、様々な環境下で快適に使用できるように用途を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が開いている前面斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が開いている背面斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が閉じている前面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が閉じている背面斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るゴーグルレンズを示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るフレームを示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るゴーグルを示す正面図である。
【
図8】
図7のA-A線断面図であって、通気部が閉じているA-A線断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るゴーグルをA-A線において切断した切断体を示す、通気部が閉じている斜視図である。
【
図10】
図7のA-A線断面図であって、通気部が開いているA-A線断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るゴーグルをA-A線において切断した切断体を示す、通気部が開いている斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るゴーグルを図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0013】
〈実施形態〉
以下に、
図1から
図4を参照して、本発明の実施形態に係るゴーグルを説明する。
図1は、実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が開いている前面斜視図である。
図2は、実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が開いている背面斜視図である。
図3は、実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が閉じている前面斜視図である。
図4は、実施形態に係るゴーグルを示す、通気部が閉じている背面斜視図である。
【0014】
図1、
図2に示すように、実施形態のゴーグルは、ゴーグルレンズ10と、フレーム20と、少なくとも1つの通気部30と、保持手段40とを具備する。また、実施形態のゴーグルは、ストラップ50によって、使用者の顔面に装着される。なお、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、ゴーグルを着用している使用者を基準に決めている。
【0015】
ゴーグルレンズ10は、実施形態においては、比較的に硬質の樹脂材料から形成され、レンズ部11と、他部材と連結可能な周部12とを有する。ゴーグルレンズ10の材料として好ましい樹脂は、例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、繊維素樹脂である。
【0016】
実施形態において、レンズ部11は、右目用レンズと左目用レンズが一体的に形成された平板状の部材であり、右目用レンズと左目用レンズとの境界部分である中央部から右方向又は左方向に向かって後方に湾曲している。
【0017】
周部12は、レンズ部11の外周縁から後方に延出する枠状部であり、レンズ部11と一体形成される。周部12が、レンズ部11の外周縁から後方に延出する寸法である周部12の幅寸法は、実施形態においては、一定ではなく、レンズ部11の中央部から右方向又は左方向に向かうに連れて大きくなっている。
【0018】
図1、
図2に示すように、フレーム20は、弾性変形可能な材料から形成され、ゴーグルレンズ10の周部12と気密に当接し、ゴーグルレンズ10と連結される。また、フレーム20は、使用者の顔と当接するパッド部20aを有する。実施形態において、フレーム20は、比較的に軟質の材料から形成される。フレーム20の材料としては、樹脂であれば、例えばポリウレタン、塩化ビニル、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが好ましい。また、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム等のゴム材料もフレーム20の材料として好ましい。また、後で説明する通気部30の開閉操作を容易とし、かつ通気部30の開状態と閉状態とを安定的に維持できるようにするために、フレーム20の材料の硬度は、ショアA50°からショアA95°であることが好ましく、ショアA60°からショアA90°であることが更に好ましい。
【0019】
少なくとも1つの通気部30は、
図1、
図2に示すように、ゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との当接領域に配設される。当接領域とは、ゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20とが重なり合い、当接している領域をいう。
【0020】
そして、
図1、
図2に示すように、少なくとも1つの通気部30は、フレーム20の部分的な弾性変形によってゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との間に通気可能な隙間31が形成され通気可能となり、
図3、
図4に示すように、フレーム20の部分的な弾性変形が解消され、隙間31が閉じられ、通気不可能となる。
【0021】
また、実施形態において、少なくとも1つの通気部30は、フレーム20の上部と下部とに少なくとも1つずつ設置される。
図1から
図4に示す実施例においては、フレーム20の上部と下部とに左右の2個ずつ、合計4個の通気部30が設置されている。なお、フレーム20の上部、下部とは、フレーム20の上下方向における最高部と最低部との中央の位置より上の部分を上部とし、下の部分を下部とする。
【0022】
次に、
図5、
図6を参照して、本発明の実施形態に係るゴーグルレンズとフレームとを更に詳細に説明する。
図5は、実施形態に係るゴーグルレンズを示す斜視図である。
図6は、実施形態に係るフレームを示す斜視図である。
【0023】
図5に示すように、実施形態においては、ゴーグルレンズ10は、周部12の後端にフレーム20と当接する当接領域を有し、当接領域である周部12の後端のうち通気部30を除いた領域に嵌合部12aを有している。嵌合部12aは、周部12の後端を縁取るように周部12の後端に配される、屈曲した帯板状である。また、嵌合部12aには、フレーム20と係合される、複数の被係合凹部12bが形成される。
【0024】
図6に示すように、実施形態においては、フレーム20は、ゴーグルレンズ10と当接する当接領域のうち通気部30を除いた領域に、ゴーグルレンズ10の嵌合部12aと嵌り合う嵌合溝部20bを有している。嵌合溝部20bには、ゴーグルレンズ10の複数の被係合凹部12bと係合する複数の係合突部20cが形成されている。
【0025】
ゴーグルレンズ10の嵌合部12aとフレーム20の嵌合溝部20bとが嵌り合い、複数の被係合凹部12bと複数の係合突部20cとが係合されることによって、当接領域のうち通気部30を除いた領域において、フレーム20はゴーグルレンズ10と結合され、弾性変形が拘束される。一方、通気部30においては、フレーム20はゴーグルレンズ10と結合されておらず弾性変形可能であり、通気部30においてフレーム20に力を加えることによって、フレーム20を部分的に弾性変形できる。
【0026】
図6に示すように、実施形態のフレーム20は、防壁部21を更に具備する。防壁部21は、フレーム20の上部に設けられた通気部30を使用者の顔の方向から囲うように、フレーム20の上部における外側面に突設され、異物が使用者の顔の方向から通気部30に侵入することを防止する。
【0027】
次に、上述の
図1から
図6に加え、
図7から
図11を参照して、保持手段を説明する。
図7は、実施形態に係るゴーグルを示す正面図である。
図8は、
図7のA-A線断面図であって、通気部が閉じているA-A線断面図である。
図9は、実施形態に係るゴーグルをA-A線において切断した切断体を示す、通気部が閉じている斜視図である。
図10は、
図7のA-A線断面図であって、通気部が開いているA-A線断面図である。
図11は、実施形態に係るゴーグルをA-A線において切断した切断体を示す、通気部が開いている斜視図である。
【0028】
保持手段40は、
図1、
図2に示すように、少なくとも1つの通気部30が通気可能であるときに少なくとも1つの通気部30においてフレーム20と係合可能にゴーグルレンズ10の周部12に設けられており、フレーム20における部分的な弾性変形を保持する。
【0029】
図5に示すように、保持手段40は、実施形態においては、突起41を含む。突起41は、少なくとも1つの通気部30においてゴーグルレンズ10の周部12から使用者の顔の方向に突設される。
【0030】
そして、突起41は、少なくとも1つの通気部30が通気可能であるときに少なくとも1つの通気部30においてフレーム20と係合可能にゴーグルレンズ10の周部12に設けられており、フレーム20と係合し、フレーム20の部分的な弾性変形を保持する。突起41とフレーム20との係合が解除されると、フレーム20の部分的な弾性変形が解消され、隙間31が閉じられ、少なくとも1つの通気部30は通気不可能となる。
【0031】
また、
図5に示すように、ゴーグルレンズ10における周部12の後端のうち、通気部30が配設される領域には、カバー板42が上下方向において突起41と対向配置される。カバー板42と突起41との間には、
図6に示すフレーム20の周縁部22の厚みに相当する隙間が空いている。
【0032】
図7、
図8、
図9に示すように、少なくとも1つの通気部30が閉じており、通気不可能であるとき、少なくとも1つの通気部30において、フレーム20の周縁部22は、突起41とカバー板42とで挟持され、不換気状態における通気部30の密閉性が確保される。
【0033】
また、
図10、
図11に示すように、少なくとも1つの通気部30が開いており、通気可能であるとき、少なくとも1つの通気部30において、フレーム20の周縁部22は、突起41よりもゴーグルレンズ10の内部側に位置し、ゴーグルレンズ10とフレーム20との間に隙間31が形成される。
【0034】
以上、
図1から
図11を参照して説明したように、実施形態のゴーグルによれば、フレーム20が弾性変形可能であり、ゴーグルレンズ10の周部12と気密に当接し、少なくとも1つの通気部30が、ゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との当接領域に配設され、フレーム20の部分的な弾性変形によってゴーグルレンズ10の周部12とフレーム20との間に通気可能な隙間31が形成され通気可能となり、部分的な変形が解消され通気不可能となり、保持手段40が、少なくとも1つの通気部30が通気可能であるときに少なくとも1つの通気部30においてフレーム20と係合可能にゴーグルレンズ10の周部12に設けられており、フレーム20における部分的な弾性変形を保持する。
【0035】
従って、フレーム20を部分的に弾性変形する操作と、部分的な弾性変形を解消する操作といった簡単な操作を行うだけで、ゴーグル内部に外気を導入できる換気状態と、ゴーグル内部に外気が導入されない不換気ないしは密閉状態とを切替でき、換気状態と不換気状態とを簡易に切替できる。また、保持手段40が、フレーム20における部分的な弾性変形を保持することによって、換気状態を安定的に維持でき、様々な環境下で快適に使用できるように用途を拡大できる。
【0036】
より詳しくは、換気状態と不換気状態とを切替える手段としては、例えばゴーグルレンズ10に通気孔を設けるとともに、通気孔を開閉する蓋を設けることが考えられる。ところが、通気孔を開閉する蓋を設けると、ゴーグルの部品点数が増大するとともに、開状態と閉状態とに蓋を固定する固定手段を他に設けることも必要となり、ゴーグルの部品点数が更に増大する。
【0037】
また、通気孔を開閉する蓋は、開いているとき等にゴーグル本体から突出した状態となり、使用中に例えば保安用ヘルメットなどの他部材との衝突によって破損したり、意図せず閉まってしまったりすることも考えられ、換気状態と不換気状態とを安定的に切替できないことが考えられる。
【0038】
実施形態のゴーグルによれば、フレーム20における部分的な弾性変形によって形成される隙間31を介し通気可能となり、部分的な弾性変形が解消されることによって通気不可能となるので、蓋等の別部材を要せず、部品点数を削減できるとともに、ゴーグル本体から各部が突出しないように通気部30と保持手段40とを設けることが可能であり、他部材との衝突による破損や故障を防止でき、換気状態と不換気状態とを安定的に切替できる。
【0039】
特に、
図2、
図10、
図11に示すように、通気部30を換気状態とするフレーム20の部分的な弾性変形をゴーグルレンズ10の内部方向への変形とすることによって、保持手段40を形成する突起41がゴーグルレンズ10の外部に突出しないように設けることができ、使用中に、部分的に弾性変形したフレーム20や突起41が他部材と衝突し、破損したり、意図せず換気状態から不換気状態に切り換ったりすることを防止でき、換気状態と不換気状態とを更に安定的に切替できる。また、通気部30、保持手段40等の各部が外部に突出しないため、保安用ヘルメットを装着した状態でも、隙間31が塞がれることなく、安定した換気を行うことが出来る。
【0040】
また、
図1から
図11を参照して説明したように、実施形態のゴーグルによれば、保持手段40が突起41を含み、突起41が、少なくとも1つの通気部30が通気可能であるときに少なくとも1つの通気部30においてフレーム20と係合可能にゴーグルレンズ10の周部12に形成される。
【0041】
従って、通気部30においてフレーム20に力を加え、突起41にフレーム20の周縁部22を掛けたり、外したりするだけの簡単な操作によって、換気状態と不換気状態とを切替えでき、更に簡易に換気状態と不換気状態とを切替えできる。また、弾性変形可能なフレーム20が突起41に掛けられることによって換気状態となるために、外部から振動が加えられてもフレーム20が突起41に掛けられている状態を容易に維持でき、換気状態を安定的に維持できる。
【0042】
また、
図1から
図11を参照して説明したように、実施形態のゴーグルによれば、少なくとも1つの通気部30は、フレーム20の上部と下部とに少なくとも1つずつ設置される。従って、ゴーグルレンズ10の内部で温められた空気を上部の通気部30を介し排出し、下部の通気部30を介しゴーグルレンズ10の内部に新たな空気を導入でき、通気部30を介した異物の侵入を防ぎながら、例えばレンズの曇りを防止するように換気できる。
【0043】
また、
図1から
図11を参照して説明したように、実施形態のゴーグルによれば、フレーム20の上部に少なくとも1つの通気部30が設置され、防壁部21が、フレーム20の上部における外側面に突設され、異物が使用者の顔の方向から少なくとも1つの通気部30に侵入することを防止する。従って、額の汗などがゴーグルレンズ10の内部に進入することを防止でき、更に確実にレンズの曇り等を防止できる。
【0044】
以上、図面(
図1~
図11)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1)~(4))。
【0045】
(1)ゴーグルレンズにおいては、右目用のレンズ部と左目用のレンズ部とを一体にではなく別体に形成してもよく、右目用のレンズ部と左目用のレンズ部の各々に独立した周部を設け、2つのアイカップ状のゴーグルレンズから本発明のゴーグルレンズを形成してもよい。
【0046】
(2)2つのアイカップ状のゴーグルレンズを設けたとき、2つのゴーグルレンズにそれぞれ独立したフレームを連結することができ、2つのゴーグルレンズにそれぞれ独立したフレームを連結するとき、2つのゴーグルレンズのそれぞれと2つのフレームとの当接領域に少なくとも1つずつ通気部を形成することが好ましい。
【0047】
(3)2つのアイカップ状のゴーグルレンズを設け、2つのゴーグルレンズにそれぞれ独立したフレームを連結するとき、2つのフレームの上部と下部とに少なくとも1つずつ通気部を形成することが更に好ましい。
【0048】
(4)保持手段は、突起に限られず、フレームにおける部分的な弾性変形を保持できればよく、例えば、通気部においてネジの先端部がフレームの周縁部と当接するようにゴーグルレンズに雌ネジを形成し、ゴーグルレンズの外側から内側に向かってネジを締め込むことによって、ゴーグルレンズの周部とフレームとの間に通気可能な隙間を形成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…ゴーグルレンズ
11…レンズ部
12…周部
20…フレーム
21…防壁部
30…通気部
31…隙間
40…保持手段
41…突起